説明

化合物及びフォトレジスト組成物

【課題】電子線リソグラフィー又はEUVリソグラフィー等の短波長リソグラフィーに適し、良好な解像度、感度に加えて、特に、ライン幅ラフネスが良好なパターンを、生産性及び操作性よく形成し得る新規のフォトレジスト材料の提供。
【解決手段】式(I)で示される化合物。R〜Rが、それぞれ独立に、式(II)で表される基(少なくとも1つ含む)、水素、アルキル基又は水酸基を示す。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工に用いられるフォトレジスト材料として利用可能な化合物と、それを用いたフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細加工が進むにつれて、解像度を向上させることが求められている。原理的には露光波長が短いほど解像度を上げることが可能であり、半導体の製造に用いられるリソグラフィー用露光光源は、波長436nmのg線、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザーと、年々短波長になってきている。次世代の露光光源として、波長13.5nm付近の軟X線(EUV)が光源として提案されている。また電子線リソグラフィーも高価なマスクを必要としないことで半導体の製造に活用されている。
【0003】
エキシマレーザー等の短い波長を用いたリソグラフィープロセスでは、線幅が狭くなるにつれて、加工に使用する化学増幅型レジスト組成物に対して、従来品をさらに上回る性能、例えば、解像度、感度、パターン形状のほか、ライン幅ラフネス(Line Width Loughness:LWR)といった性能が求められるようになっている。具体的には、現像後のパターンを電子顕微鏡で観察した場合に、パターンの壁面がより滑らかになっていることが求められている。LWRはパターンの滑らかさを示す指標であり、これが良好であるほど、パターンのがたつきが少なくなるので、より微細なパターンの忠実な再現が可能になる。
【0004】
特許文献1では、特定構造の多価フェノール化合物に1−エトキシエチル基等の保護基を導入してなるレジスト材料が記載されている。しかしながら保護基である1−エトキシエチル基は、加水分解して脱保護反応すると揮散し易い化合物となり、露光機のレンズ等、機器を汚染する懸念がある。その汚染を回避するために、当該特許文献においてはレジスト組成物を用いて形成された層の上に、フッ素含有ポリマーを含む保護膜を積層しているが、この方法は生産性又は操作性の点で必ずしも満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、電子線リソグラフィー又はEUVリソグラフィー等の短波長リソグラフィーに適しており、解像度、感度といった性能に加えて、特に、ライン幅ラフネスが良好なパターンを、生産性及び操作性よく形成し得る新規のフォトレジスト材料、及び、それを含有するフォトレジスト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、化学増幅型フォトレジスト材料として利用可能な化合物について鋭意検討を加えた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、式(I)で示される化合物に関する。
【0009】
【化1】

【0010】
(式(I)中、R1〜R9が、それぞれ独立に、式(II)で表される基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を示し、且つ、式(II)で表される基を少なくとも1つ含む。P1〜Pは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の飽和炭化水素基、炭素数2〜4の不飽和炭化水素基、炭素数3〜8の飽和環状炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は、炭素数7〜12のアラルキル基を示す。P及びP並びにP及びPは、互いに結合して環を形成してもよい。)
【0011】
【化2】

【0012】
(式(II)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは、1〜4の整数を示す。nが2以上の整数を示す場合、複数のX1又はX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Z1は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。環Yは飽和環状炭化水素基を示す。)
また、本発明は、前記化合物、及び、露光により酸を発生する酸発生剤、を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物にも関する。
また、本発明は、酸発生剤が、式(V)で表される化合物である、前記フォトレジスト組成物に関する。
【化3】


(式(V)中、R51は、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状の炭化水素基、又は、炭素数3〜30の単環式もしくは多環式炭化水素基を表す。A+は有機対イオンを表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。)
また、本発明は、上記化合物を製造する製造方法であって、
式(III)で示される化合物と式(IV)で示される化合物とを塩基の存在下に反応させることを特徴とする製造方法に関する。
【化4】

【0013】
【化5】


(式(III)及び式(IV)中、R11〜R19が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を示し、且つ、水酸基を少なくとも1つ含む。Wは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、又は、p−トルエンスルホニルオキシ基を示す。P1〜P、X1、X2、n、Z1、Yは、前記と同じ意味を表す。)
【発明の効果】
【0014】
本発明の化合物及びフォトレジスト組成物は、電子線リソグラフィー又はEUVリソグラフィー等の短波長リソグラフィーに適しており、半導体製造用の微細加工において、解像度、感度が優れるとともに、ライン幅ラフネスが良好なパターンを、生産性及び操作性よく形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の化合物は、式(I)で示される化合物である。
【0016】
【化6】

【0017】
式(I)中、R1〜R9が、それぞれ独立に、式(II)で表される基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を示し、且つ、式(II)で表される基を少なくとも1つ含む。P1〜Pは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の飽和炭化水素基、炭素数2〜4の不飽和炭化水素基、炭素数3〜8の飽和環状炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は、炭素数7〜12のアラルキル基を示す。P及びP並びにP及びPは、互いに結合して環を形成してもよい。
【0018】
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基が挙げられる。
【0019】
炭素数1〜4の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基が挙げられる。
【0020】
炭素数2〜4の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−メチルアリル基、エチニル基、2−プロピニル基、3−ブチニル基等が挙げられ、好ましくはビニル基、アリル基が挙げられる。
【0021】
炭素数3〜8の飽和環状炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0022】
炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、トリル基が挙げられる。
【0023】
炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、6−フェニルヘキシル基、4,4−ジメチル−4−フェニルブチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、3−(2−ナフチル)プロピル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
【0024】
式(I)で示される化合物のうち好適な化合物としては、R3、R7、及び、R9のうち1〜2個が式(II)で表される基を示し、残りが水酸基を示すか、あるいは、R3、R7、及び、R9の全てが式(II)で表される基を示し、かつ、R1、R2、R4〜R6、及び、R8が水素原子を示す化合物や、R3、R4、及び、R7〜R9のうち1〜4個が式(II)で表される基を示し、残りが水酸基を示すか、あるいは、R3、R4、及び、R7〜R9の全てが式(II)で表される基を示し、かつ、R1、R2、R5、及び、R6が水素原子を示す化合物が挙げられる。特に、R3、R7、及び、R9のうち1〜2個が式(II)で表される基を示し、残りが水酸基を示す化合物が最も好適な化合物である。
【0025】
【化7】

【0026】
式(II)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは、1〜4の整数を示す。nが2以上の整数を示す場合、複数のX1又はX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Z1は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。環Yは飽和環状炭化水素基を示す。
【0027】
式(II)におけるX1及びX2としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が例示され、好ましくは水素原子、メチル基およびエチル基が挙げられる。nは、1〜4の整数を示すが、1又は2が好ましい。
【0028】
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0029】
環Yは、式(II)中に示した環Y上にある炭素原子を含む飽和環状炭化水素基を示す。例えば炭素数3〜14の飽和環状炭化水素基が挙げられ、なかでも、炭素数3〜12の飽和環状炭化水素基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、シクロオクチル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、トリシクロノニル、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。また、これらの飽和環状炭化水素基は、メチル基やエチル基等の置換基を有していてもよい。
【0030】
式(II)における、環YとZ1とを含む
【0031】
【化8】



【0032】
で示される化学構造としては、下記のものが示されるが、これらに限定されるものではない。一端を有する線は、結合手を示す。
【0033】
【化9】

【0034】
【化10】



【0035】
【化11】



【0036】
【化12】



【0037】
【化13】



【0038】
式(II)において、nは1を示し、X1及びX2は共に水素原子を示すことが好ましい。
【0039】
式(I)で表される化合物は式(II)で表される基を1〜9個有するものである。すなわち、式(I)で表される化合物の置換形式には1置換体から9置換体があるが、好ましくは1置換体から3置換体が好ましく、1置換体又は2置換体がさらに好ましい。また、式(I)で表される化合物は1置換体から9置換体の任意の混合物であってもよいし、さらに、式(I)で表される化合物の原料である、後述する式(III)で示される化合物を含むものであってもよい。
【0040】
式(I)で示される化合物は、式(III)で示される化合物と式(IV)で示される化合物とを塩基の存在下に反応させることによって得ることができる。
【0041】
【化14】

【0042】
【化15】



【0043】
各式中、R11〜R19が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を示し、且つ、水酸基を少なくとも1つ含む。Wは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、又は、p−トルエンスルホニルオキシ基を示す。P1〜P、X1、X2、n、Z1、Yは、前記と同じ。
【0044】
式(III)で示される好ましい化合物としては以下の化合物が挙げられる。
【0045】
【化16】



【0046】
【化17】

【0047】
【化18】






【0048】
より好ましくは4−(3,4−ジヒドロ−7−ヒドロキシ−2,4,4−トリメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)1,3−ベンゼンジオ−ル、4−(3,4−ジヒドロ−7,8−ジヒドロキシ−2,4,4−トリメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)1,2,3−ベンゼントリオ−ルが挙げられる。
【0049】
式(III)で示される化合物は、特開平5−32654号公報、特開平9−31044号公報、Mendeleev Communications (4)194−197 (2003)等に記載された方法によって製造することができる。
式(IV)で示される化合物は、特開2004−26798号公報に記載された方法によって製造することができる。
【0050】
式(III)で示される化合物と式(IV)で示される化合物との反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、−30〜200℃、好ましくは、0〜150℃である。反応は塩基を添加することが好ましく、当該塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等の有機塩基、あるいは水素化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、あるいはこれらの混合物が用いられる。
【0051】
式(III)で示される化合物1モルに対して、式(IV)で示される化合物は、好ましくは1〜9倍モル量、より好ましくは1〜4倍モル量使用すればよく、塩基は、好ましくは1〜9倍量、より好ましくは1〜4倍モル量使用すればよい。
反応系には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加してもよい。
【0052】
式(III)で示される化合物と式(IV)で示される化合物との反応物(式(I)で表される化合物)は、通常の後処理によって取り出すことができる。この反応物は、クロマトグラフィー、再結晶あるいは蒸留によって精製することも可能である。
特定の置換体を混合物から単離する場合は、例えばシリカゲルクロマトグラフィーによって精製単離することができる。具体的には、得られた混合物に対して、2倍〜30倍、好ましくは5倍〜20倍(w/w)のシリカゲルを用いて、有機溶媒で溶出することによって目的の置換体を単離することができる。溶出展開に溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、メタノール、エタノール、エチルエーテルなどの有機溶媒およびそれらの混合溶媒が挙げられる。
【0053】
本発明の化合物の重量平均分子量は、通常、730〜5000であり、好ましくは750〜4500であり、より好ましくは800〜4000である。
各置換体の分子量は、液体クロマトグラフィー/質量分析器(LC/MS)で得られるスペクトルによって確認できる。本発明の化合物の分子量は、通常、500〜5000であり、好ましくは550〜4500であり、より好ましくは600〜4000である。
【0054】
本発明の化合物は、アルカリ水溶液に対して不溶又は難溶性であるが、酸が作用すると式(II)中の
【化19】


で示される基が脱離してカルボキシル基が生ずることによって、アルカリ水溶液に対して可溶性を示すようになる。したがって、本発明の化合物は、電子線又はEUV用の化学増幅型フォトレジスト材料として好適に用いられる。
【0055】
本発明の化合物は、脱保護反応した後に揮散しにくい嵩高い保護基を有することによって、解像度などの各種のレジスト性能とともに、ライン幅ラフネスが良好であるフォトレジスト組成物を与えることができる化合物となったものと考えられる。
【0056】
本発明のフォトレジスト組成物は、以上で詳述した化合物とともに、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する。
【0057】
酸発生剤は、その物質自体に、あるいはその物質を含むポジ型フォトレジスト組成物に、光や電子線などの放射線を作用させることにより、その物質が分解して酸を発生する。酸発生剤から発生する酸が前記式(I)で示される化合物に作用して、式(II)中の
【化20】


で示される基が脱離することになる。
【0058】
酸発生剤としては、オニウム塩、有機ハロゲン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物が挙げられ、オニウム塩であることが好ましい。酸発生剤としては、例えば、特開第2003−5374号公報に記載されている酸発生剤が挙げられる。
本発明に用いる酸発生剤として、下式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0059】
【化21】

【0060】
式(V)中、R51は、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状の炭化水素基、又は、炭素数3〜30の環式炭化水素基を表す。ただし、前記炭化水素基に含まれる炭素原子は、カルボニル基又は酸素原子に置換されていてもよく、前記炭化水素基は、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、水酸基、シアノ基、カルボニル基、及びエステル基のうち一つ以上を置換基として含んでいてもよい。前記環式炭化水素基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、シアノ基、カルボニル基、水酸基、及びエステル基のうち一つ以上を置換基として含んでいてもよい。A+は有機対イオンを表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。)
【0061】
式(V)で表される化合物のアニオン部分の具体例としては、以下のアニオンが挙げられる。
【0062】
【化22】















【0063】
【化23】









【0064】
【化24】









【0065】
【化25】















【0066】
【化26】









【0067】
【化27】















【0068】
【化28】









【0069】
【化29】















【0070】
【化30】















【0071】
【化31】















【0072】
【化32】





【0073】
本発明に用いる好ましい酸発生剤としては、下式(VI)または式(VII)で表される化合物が挙げられる。
【0074】
【化33】




【0075】
式(VI)および式(VII)中、環Xは、炭素数3〜30の単環式又は多環式炭化水素基を表す。A+は有機対イオンを表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。前記環Xは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、水酸基又はシアノ基を置換基として含んでいてもよい。Z’は、単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
【0076】
前記環Xとしては、例えば、炭素数4〜8のシクロアルキル骨格、アダマンチル骨格、ノルボルナン骨格などが挙げられる。いずれの骨格も、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、水酸基又はシアノ基を置換基として含んでいてもよい。
【0077】
式(VI)および式(VII)で表される酸発生剤のアニオン部分の具体例としては、以下のアニオンが挙げられる。
【0078】
【化34】



【0079】
【化35】




【0080】
また、本発明に用いる酸発生剤として、下式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
+−S−R13 (VIII)
式(VIII)中、R13は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキル基を表し、A+は有機対イオンを表す。
【0081】
式(VIII)のアニオン部分の具体的な例としては、次のようなイオンを挙げることができる。
トリフルオロメタンスルホネート、
ペンタフルオロエタンスルホネート、
ヘプタフルオロプロパンスルホネート、
パーフルオロブタンスルホネートなど。
【0082】
式(V)、(VI)、(VII)又は(VIII)において、A+は、有機対イオンを表し、具体的には、以下に示す式(IXz)、式(IXb)、式(IXc)又は式(IXd)で表されるカチオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンが挙げられる。
ここで、式(IXz)は、下記式である。
【0083】
【化36】



【0084】
式(IXz)中、Pa〜Pcは、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数3〜30の環式炭化水素基を表す。前記アルキル基は、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、及び炭素数3〜12の環式炭化水素基のうち一つ以上を置換基として含んでいてもよく、前記環式炭化水素基は、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、及び炭素数1〜12のアルコキシ基のうち一つ以上を置換基として含んでいてもよい。該アルキル基及び該アルコキシ基は、直鎖でも分岐していてもよい。
式(IXz)で表されるカチオンの中でも、式(IXa)で表されるカチオンが好ましい。
【0085】
【化37】



【0086】
式(IXa)中、P1〜P3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、該アルキル基及び該アルコキシ基は、直鎖でも分岐していてもよい。)
該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、該アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられる。
式(IXb)は、ヨウ素カチオンを含む下記式である。
【0087】
【化38】



【0088】
式(IXb)中、P4、P5は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、該アルキル基及び該アルコキシ基は、式(IXa)のアルキル基及びアルコキシ基と同じ意味を表す。
式(IXc)は、下記式である。
【0089】
【化39】



【0090】
式(IXc)中、P6、P7は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す。該アルキル基は、直鎖でも分岐していてもよい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。該シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などが挙げられる。また、P6とP7とが結合して、アルキレン基などの炭素数3〜12の2価の炭化水素基を形成してもよい。P8は、水素原子を表し、P9は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換されていてもよい芳香環基(例えば、フェニル基、ベンジル基など)を表すか、あるいは、P8とP9とが結合して、アルキレン基などの炭素数3〜12の2価の炭化水素基を表す。P9を表すアルキル基は、直鎖でも分岐していてもよい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。前記シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基などが挙げられる。前記2価の炭化水素基に含まれる炭素原子は、いずれも、カルボニル基、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよい。
式(IXd)は、下記式である。
【0091】
【化40】



【0092】
式(IXd)中、P10〜P21は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。該アルキル基及び該アルコキシ基は、式(IXa)のアルキル基及びアルコキシ基と同じ意味を表す。
Bは、硫黄原子又は酸素原子を表す。mは、0又は1を表す。
式(IXz)で表されるカチオンA+の具体例としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0093】
【化41】



【0094】
【化42】



【0095】
式(IXb)で表されるカチオンA+の具体例としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0096】
【化43】



【0097】
式(IXc)で表されるカチオンA+の具体例としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0098】
【化44】



【0099】
【化45】



【0100】
【化46】




【0101】
式(IXd)で表されるカチオンA+の具体例としては、以下のカチオンが挙げられる。
【0102】
【化47】



【0103】
【化48】



【0104】
【化49】




【0105】
+は、式(IXe)で表されるカチオンが好ましい。
【0106】
【化50】



【0107】
式(IXe)中、P22〜P24は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基は、直鎖でも分岐していてもよい。
本発明のフォトレジスト組成物において、酸発生剤は単独で用いても複数種を併用してもよい。
本発明で用いる酸発生剤のなかでも、前述の式(VI)又は(VII)で表される酸発生剤が好ましく、さらに、下記の式(Xa)、(Xb)又は(Xc)で表される酸発生剤が、優れた解像度及びパターン形状を示すフォトレジスト組成物を与えることからより好ましい。
【0108】
【化51】



【0109】
式(Xa)〜(Xc)中、P25〜P27は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。P28、P29は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を表し、該アルキル基は、直鎖でも分岐していてもよい。あるいは、P28とP29とが結合して、アルキレン基などの炭素数3〜12の2価の炭化水素基を形成してもよい。P30は、水素原子を表し、P31は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香環基を表すか、あるいはP30とP31が結合して炭素数3〜12の2価の炭化水素基を表す。ここで、2価の炭化水素基に含まれる炭素原子は、カルボニル基、酸素原子、又は硫黄原子に置換されていてもよい。Y11、Y12、Y21、Y22、Y31、又はY32は、それぞれ独立に、フッ素原子、又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
【0110】
式(VI)または式(VII)で表される酸発生剤は公知の手法により容易に合成できる(例えば、特開2007−249192号公報を参照)。
【0111】
本発明のフォトレジスト組成物には、前述した式(I)で示される化合物及び酸発生剤とともに、塩基性化合物を配合することが好ましい。当該塩基性化合物をクエンチャーとして作用し、この配合により、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良することができる。塩基性化合物としては、塩基性含窒素有機化合物が好ましく、アミン又はアンモニウム塩がより好ましい。
クエンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で表される化合物が挙げられる。
【0112】
【化52】




【0113】
【化53】



【0114】
式中、T1、T2及びT7は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基の水素原子、シクロアルキル基の水素原子又はアリール基の水素原子は、それぞれ独立に、水酸基、アミノ基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、該アルキル基は、炭素数1〜6程度が好ましく、該シクロアルキル基は、炭素数5〜10程度が好ましく、該アリール基は、炭素数6〜10程度が好ましい。
【0115】
3、T4及びT5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基を表す。該アルキル基の水素原子、シクロアルキル基の水素原子、アリール基の水素原子、又はアルコキシ基の水素原子は、それぞれ独立に、水酸基、アミノ基、又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、該アルキル基は、炭素数1〜6程度が好ましく、該シクロアルキル基は、炭素数5〜10程度が好ましく、該アリールは、炭素数6〜10程度が好ましく、該アルコキシ基は、炭素数1〜6程度が好ましい。
【0116】
6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。該アルキル基の水素原子又はシクロアルキル基の水素原子は、それぞれ独立に、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。また、該アルキル基は、炭素数1〜6程度が好ましく、該シクロアルキル基は、炭素数5〜10程度が好ましい。
【0117】
Aは、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、スルフィド基又はジスルフィド基を表す。該アルキレンは、炭素数2〜6程度であることが好ましい。
また、T1〜T7において、直鎖構造と分岐構造の両方をとり得るものについては、そのいずれでもよい。
【0118】
前記塩基性化合物として、具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−又は2−ナフチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、ビピリジン、2,2′−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2′−ジピコリルアミン、3,3′−ジピコリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンなどを挙げることができる。また、特開平11−52575号公報に開示されているような、ピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物も使用できる。
【0119】
本発明で使用する塩基性化合物としては、式(XII)で表される化合物が解像度向上の点で好ましい。式(XII)で表される化合物として、具体的には、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラヘキシルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラオクチルアンモニウムハイドロオキサイド、フェニルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、3−トリフルオロメチル−フェニルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。
【0120】
本発明のフォトレジスト組成物においては、その全固形分量を基準に、通常、本発明の式(I)で示される化合物を80〜99.9重量%程度の範囲で、酸発生剤を0.1〜20重量%程度の範囲で配合すればよい。クエンチャーである塩基性化合物を配合する場合、前記組成物の全固形分量を基準に、通常、0.01〜1重量%程度の範囲で配合すればよい。
【0121】
本発明のフォトレジスト組成物は、さらに、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など各種の添加物を少量含有することもできる。
【0122】
本発明のフォトレジスト組成物は、通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態で、シリコンウェハなどの基体上に、スピンコーティングなどの通常工業的に用いられる方法に従って塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で一般に用いられている溶剤が使用しうる。例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、シクロヘキサノン等のケトン類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0123】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種アルカリ性水溶液であればよく、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が挙げられる。
【実施例】
【0124】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。
【0125】
実施例1
【0126】
【化54】






【0127】
式(III−1)で表される化合物10gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)90gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム(5.1g;1.5倍モル)を添加し、さらに式(IV−1)で表される化合物6.0g(1倍モル)のDMF(30g)溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム0.4g(0.1倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A1)で表される化合物の混合物を、11.55g得た。
式(A1)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体=47:40:13:0であった。
FD−MS分析:M+ 614 (1置換体;n=1; Mw=614.81)
LC−MS分析:M+K 653.2 (1置換体;n=1; Mw=614.81)
M+K 859.4 (2置換体;n=2; Mw=821.09)
無置換体とは、式(AA1)において、R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA1)において、R,R及びRのうち1つが式(R−1)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA1)において、R,R及びRのうち2つが式(R−1)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA1)において、R,R及びRが式(R−1)で表される基を表す化合物である。
【0128】
前記の液体クロマトグラフィー分析は以下の条件で行った。
装置:LC−10A((株)島津製作所製)
カラム:Lカラム ODS 4.6mmφ×150mm
カラム温度:40℃
移動相溶媒:A液:5%アセトニトリル水 、 B液:アセトニトリル
グラジエント:初期 30%B液、70%A液
40分後 100%B液
80分後 100%B液 (分析終了)
流速:1.0mL/min
注入量:10μL
検出器:235nm UV検出
【0129】
前記のFD−MS分析は以下の条件で行った。
装置:JMS−SX102(日本電子製)
加速電圧:8kV
【0130】
前記のLC−MS分析は以下の条件で行った。
(分析条件−1)
以下ことわりのない限り、分析条件−1で分析を行った。
LC装置:Agilient 1100
カラム:Lカラム ODS 2.1mmφ×150mm
移動相溶媒:A液:水、 B液:アセトニトリル
グラジエント:初期 10%B液、90%A液
10分後 10%B液
40分後 100%B液
70分後 100%B液 (分析終了)
流速:0.3mL/min
注入量:2.5μL
検出器:210、254、220nm UV検出
MS装置:HP LC/MSD

(分析条件−2)
LC装置:Agilient 1100
カラム:Lカラム ODS 2.1mmφ×150mm
移動相溶媒:A液:水、 B液:アセトニトリル、 C液:テトラヒドロフラン
グラジエント:初期 A液 80%、B液 10%、 C液 10%
25分後 A液 30%、B液 60%、C液 10%
45分後 B液 30%、C液 70%
50分後 B液 30%、C液 70% (分析終了)
流速:0.4mL/min
注入量:2.5μL
検出器:210、254、280nm UV検出
MS装置:HP LC/MSD
【0131】
実施例2
【0132】
【化55】



【0133】
式(III−2)で表される化合物10gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)90gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム(10.2g;3倍モル)を添加し、さらに式(IV−2)で表される化合物11.9g(2倍モル)のDMF60g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム0.8g(0.2倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A2)で表される化合物の混合物を、9.59g得た。
式(A2)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体=28:34:32:6であった。
LC−MS分析:M+K 653.2 (1置換体;n=1; Mw=614.81)
M+K 859.4 (2置換体;n=2; Mw=821.09)
M+K 1066.6(3置換体;n=3; Mw=1027.37)
無置換体とは、式(AA2)において、R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA2)において、R,R及びRのうち1つが式(R−2)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA2)において、R,R及びRのうち2つが式(R−2)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA2)において、R,R及びRが式(R−2)で表される基を表す化合物である。
【0134】
実施例3
【0135】
【化56】




n=0〜3の混合物
化合物(2) 混合物A3
【0136】
式(III−3)で表される化合物10gをDMF100gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム5.5g(1.5倍モル)を添加し、さらに式(IV−3)で表される化合物6.4g(1倍モル)のDMF40g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム0.5g(0.1倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A3)で表される化合物の混合物を、11.20g得た。
式(A3)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体=37:37:17:9であった。
FD−MS分析:M+ 586 (1置換体;n=1; Mw=586.76)
LC−MS分析:M+K 625.2 (1置換体;n=1; Mw=586.76)
M+K 831.4 (2置換体;n=2; Mw=793.04)
M+K 1037.4(3置換体;n=3; Mw=999.32)
無置換体とは、式(AA3)において、R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA3)において、R,R及びRのうち1つが式(R−3)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA3)において、R,R及びRのうち2つが式(R−3)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA3)において、R,R及びRが式(R−3)で表される基を表す化合物である。
【0137】
実施例4
【0138】
【化57】




n=0〜3の混合物
化合物(2) 混合物A4
【0139】
式(III−4)で表される化合物10gをDMF100gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム10.9g(3倍モル)を添加し、さらに式(IV−4)で表される化合物12.8g(2倍モル)のDMF80g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム1.0g(0.2倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A4)で表される化合物の混合物を、12.76g得た。
式(A4)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体=14:22:33:31であった。
LC−MS分析:M+K 625.2 (1置換体;n=1; Mw=586.76)
M+K 831.4 (2置換体;n=2; Mw=793.04)
M+K 1037.4(3置換体;n=3; Mw=999.32)
無置換体とは、式(AA4)において、R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA4)において、R,R及びRのうち1つが式(R−4)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA4)において、R,R及びRのうち2つが式(R−4)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA4)において、R,R及びRが式(R−4)で表される基を表す化合物である。
【0140】
実施例5
【0141】
【化58】




n=0〜5の混合物
化合物(3) 混合物A5
【0142】
式(III−5)で表される化合物10gをDMF90gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム6.3g(1.5倍モル)を添加し、さらに式(IV−5)で表される化合物7.3g(1倍モル)のDMF35g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム0.5g(0.1倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A5)で表される化合物の混合物を、12.76g得た。
式(A5)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体:4置換体:5置換体=0:75:23:2:0:0であった。
FD−MS分析:M+ 538 (1置換体;n=1; Mw=538.63)
LC−MS分析:M+K 577.2 (1置換体;n=1; Mw=538.63)
M+K 783.2 (2置換体;n=2; Mw=744.91)
M+K 989.4 (3置換体;n=3; Mw=951.19)
無置換体とは、式(AA5)において、R,R,R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA5)において、R,R,R,R及びRのうち1つが式(R−5)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA5)において、R,R,R,R及びRのうち2つが式(R−5)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA5)において、R,R,R,R及びRのうち3つが式(R−5)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
4置換体とは、式(AA5)において、R,R,R,R及びRのうち4つが式(R−5)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
5置換体とは、式(AA5)において、R,R,R,R及びRが式(R−5)で表される基を表す化合物である。
【0143】
実施例6
【0144】
【化59】




n=0〜5の混合物
化合物(3) 混合物A6
【0145】
式(III−6)で表される化合物10gをDMF90gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム12.5g(3倍モル)を添加し、さらに式(IV−6)で表される化合物14.6g(2倍モル)のDMF70g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム1.0g(0.2倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A6)で表される化合物の混合物を、12.98g得た。
式(A6)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体:4置換体:5置換体=0:16:59:25:0:0であった。
LC−MS分析:M+K 577.2 (1置換体;n=1; Mw=538.63)
M+K 783.2 (2置換体;n=2; Mw=744.91)
M+K 989.4 (3置換体;n=3; Mw=951.19)
無置換体とは、式(AA6)において、R,R,R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA6)において、R,R,R,R及びRのうち1つが式(R−6)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA6)において、R,R,R,R及びRのうち2つが式(R−6)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA6)において、R,R,R,R及びRのうち3つが式(R−6)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
4置換体とは、式(AA6)において、R,R,R,R及びRのうち4つが式(R−6)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
5置換体とは、式(AA6)において、R,R,R,R及びRが式(R−6)で表される基を表す化合物である。
【0146】
実施例7
【0147】
【化60】




n=0〜3の混合物
化合物(4) 混合物A7
【0148】
式(III−7)で表される化合物10gをDMF100gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム6.9g(1.5倍モル)を添加し、さらに式(IV−7)で表される化合物8.1g(1倍モル)のDMF40g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム0.6g(0.1倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A7)で表される化合物の混合物を、9.45g得た。
式(A7)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体:4置換体:5置換体=29:36:26:9:0:0であった。
FD−MS分析:M+ 506 (1置換体;n=1; Mw=506.63)
LC−MS分析:M+K 545.2 (1置換体;n=1; Mw=506.63)
M+K 809.2 (2置換体;n=2; Mw=770.95)
M+K 957.4 (3置換体;n=3; Mw=919.19)
無置換体とは、式(AA7)において、R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA7)において、R,R及びRのうち1つが式(R−7)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA7)において、R,R及びRのうち2つが式(R−7)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA7)において、R,R及びRが式(R−7)で表される基を表す化合物である。
【0149】
実施例8
【0150】
【化61】



【0151】
式(III−8)で表される化合物10gをDMF100gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム13.8g(3倍モル)を添加し、さらに式(IV−8)で表される化合物16.2g(2倍モル)のDMF80g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム1.1g(0.2倍モル)添加した後、反応溶液を50℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を1%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄してpH5とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A8)で表される化合物の混合物を、14.16g得た。
式(A8)で表される化合物の混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体=11:23:38:28であった。
LC−MS分析:M+K 545.2 (1置換体;n=1; Mw=506.63)
M+K 809.2 (2置換体;n=2; Mw=770.95)
M+K 957.4 (3置換体;n=3; Mw=919.19)
無置換体とは、式(AA8)において、R,R及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA8)において、R,R及びRのうち1つが式(R−8)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA8)において、R,R及びRのうち2つが式(R−8)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA8)において、R,R及びRが式(R−8)で表される基を表す化合物である。
【0152】
実施例9
【0153】
【化62】

【0154】
式(III−9)で表される化合物15.0gをDMF150gに溶解した。この溶液に炭酸カリウム15.3g(3倍モル)を添加し、さらに式(IV−9)で表される化合物18.9g(2倍モル)のDMF50g溶液を室温で注加した。反応溶液にヨウ化カリウム1.2g(0.2倍モル)添加した後、反応溶液を70℃〜75℃で5時間保温した。冷却後、反応溶液を3%シュウ酸で希釈して、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を純水で洗浄して、pH7とし、活性炭で脱色した。濃縮して、式(A9)で表される化合物の混合物を32.0g得た。
式(A9)で表される混合物を液体クロマトグラフィーで分析した結果、無置換体:1置換体:2置換体:3置換体=13:19:26:42であった。
LC−MS分析(分析条件−2):
M+Na 651.4 (1置換体;n=1;Mw=628.84)
M+Na 871.5 (2置換体;n=2;Mw=849.14)
M+Na 1091.7(3置換体;n=3;Mw=1069.45)
無置換体とは、式(AA9)において、R、R、及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA9)において、R、R、及びRのうち1つが式(R−9)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA9)において、R、R、及びRのうち2つが式(R−9)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA9)において、R、R、及びRのすべてが式(R−9)で表される化合物である。
【0155】
実施例10
【0156】
【化63】

【0157】
実施例9で得られた式(A9)で表される混合物20.5gを、シリカゲル200gを用いて、クロマトグラフィーで精製を行った。ヘキサン/酢酸エチルで展開して、式(A10−1)で表される1置換体3.4g、式(A10−2)で表される2置換体6.2g、式(A10−3)で表される3置換体7.7g、および式(III−9)で表される無置換体1.1gを得た。
式(A10−1)で表される1置換体を液体クロマトグラフィーで分析した結果、1置換体:2置換体=77:23であった。
式(A10−2)で表される2置換体を液体クロマトグラフィーで分析した結果、2置換体:3置換体=98:2であった。
式(A10−3)で表される3置換体を液体クロマトグラフィーで分析した結果、2置換体:3置換体=5:95であった。
無置換体とは、式(AA10)において、R、R、及びRが−OHを表す化合物である。
1置換体とは、式(AA10)において、R、R、及びRのうち1つが式(R−10)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
2置換体とは、式(AA10)において、R、R、及びRのうち2つが式(R−10)で表される基を表し、残りは−OHを表す化合物である。
3置換体とは、式(AA10)において、R、R、及びRのすべてが式(R−10)で表される化合物である。
【0158】
実施例9,10
以下に示す各成分を表1に記載された比率で混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0159】
<化合物>
実施例1で得られた式(A1)で表される化合物の混合物
実施例6で得られた式(A6)で表される化合物の混合物
【0160】
<酸発生剤>
光酸発生剤P1:
トリフェニルスルホニウム 4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホナートを、特開2007−224008号に記載の方法に従って合成した。
【0161】
<クエンチャー>
クエンチャーQ1:2,6−ジイソプロピルアニリン
【0162】
【化64】



【0163】
<溶剤>
溶媒S1:
プロピレングリコールモノメチルエーテル 170部
2−ヘプタノン 30部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 40部
γ−ブチロラクトン 5部
【0164】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レジスト 化合物 光酸発生剤 クエンチャー 溶剤
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
組成例1 A1=10部 P1=0.8部 Q1=0.03部 溶媒S1
組成例2 A6=10部 P1=0.8部 Q1=0.03部 溶媒S1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【0165】
シリコンウェハーを、ダイレクトホットプレート上にて、ヘキサメチルジシラザンを用いて90度で60秒処理した後、表1の組成例のレジスト液を乾燥後の膜厚が0.06μmとなるようにスピンコート法で塗布した。レジスト液塗布後は、ダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」の欄に示す温度で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したそれぞれのウェハーに、電子線描画機〔(株)日立製作所製の「HL−800D 50keV」を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後は、ホットプレート上にて表2の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
シリコン基板上のもので現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を表2に示した。
【0166】
実効感度:0.10μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で表示した。
解像度:実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
ライン幅ラフネス:実効感度の露光量で0.10μmのラインアンドスペースパターンの側壁のがたつきが、良好である場合を○、がたつきの大きいものを×で表示した。
【0167】
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
例 組成例 No. PB PEB 実効感度 解像度 ライン幅
(μC) (nm) ラフネス
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実施例9 組成例1 110℃ 100℃ 50 80 ○
実施例10 組成例2 110℃ 100℃ 35 80 ○
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【0168】
表2より、実施例9,10では、解像度及びライン幅ラフネス両方について良好な結果が得られた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物。
【化1】


(式(I)中、R1〜R9が、それぞれ独立に、式(II)で表される基、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を示し、且つ、式(II)で表される基を少なくとも1つ含む。P1〜Pは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4の飽和炭化水素基、炭素数2〜4の不飽和炭化水素基、炭素数3〜8の飽和環状炭化水素基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、又は、炭素数7〜12のアラルキル基を示す。P及びP並びにP及びPは、互いに結合して環を形成してもよい。)
【化2】


(式(II)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは、1〜4の整数を示す。nが2以上の整数を示す場合、複数のX1又はX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Z1は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。環Yは飽和環状炭化水素基を示す。)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、及び、露光により酸を発生する酸発生剤、を含有することを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項3】
酸発生剤が、式(V)で表される化合物である、請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【化3】



(式(V)中、R51は、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状の炭化水素基、又は、炭素数3〜30の単環式もしくは多環式炭化水素基を表す。A+は有機対イオンを表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。)
【請求項4】
請求項1に記載の化合物を製造する製造方法であって、
式(III)で示される化合物と式(IV)で示される化合物とを塩基の存在下に反応させることを特徴とする製造方法。
【化4】


【化5】


(式(III)及び式(IV)中、R11〜R19が、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は水酸基を示し、且つ、水酸基を少なくとも1つ含む。Wは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、又は、p−トルエンスルホニルオキシ基を示す。P1〜P、X1、X2、n、Z1、Yは、前記と同じ意味を表す。)

【公開番号】特開2010−159253(P2010−159253A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280245(P2009−280245)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】