説明

化合物及び共役

【課題】5−FUで治療されている患者の治療管理用の5−FUのレベルを正確にモニターすることができる5−FU免疫測定法に利用することが可能な、テガフールと交差反応を生じない抗体を形成する化合物及びその共役を提供すること。
【解決手段】
一般式
【化37】


(式中、Yはスぺーシング基、Xは担体に結合可能な末端官能基、pは0〜1の整数)
の化合物を有する免疫原の使用により、5−FUに特異で、ウラシル、シトシンといった他のピリミジン塩基と同様に、テガフールと実質的に反応しない、又は結合しない抗体を生産できることが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、存在を決定し及び/又は化学療法中に急速に最適な薬物濃度を決定するために、ヒトの生体試料中の5−フルオロ−ウラシル(5−FU)の存在の決定及び/又はその量を定量化するための免疫学の評価の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、身体の一部の細胞がコントロールできずに成長し始める場合に発展するという共通の特性をすべて共有する一群の悪性腫瘍について記述するために使用される用語である。ほとんどの癌は腫物として生ずるが、血液にも同様に現れ、それらが成長する他の組織を通して循環することもある。癌悪性腫瘍には、外科、化学療法、放射線治療、及びこれらの組み合わせが最も一般に扱われる。特定の癌を治療するために使用される治療のタイプは、癌悪性のタイプ、およびそれが診断された段階を含むいくつかの要因に依存する。
【0003】
5−FUは、胸と結腸直腸癌の治療に使用される、より一般に使用された細胞毒性薬のうちの1つである。この化学療法薬は下記一般式で表わされる。
【0004】
【化1】

【0005】
この化合物は、骨髄密度ロス、粘膜炎、吐き気および嘔吐のような衰弱させる副作用に関係している。身体中の5−Fのレベルのモニタリング及び服用量の調節によって、これらの副作用を、患者の中で一層よく調整し制限することができる。
【0006】
同時に、多くの場合5−FUの服用量と、治療効果に影響する血清薬物濃度の結果との間に非常に可変関係がある。個人間での5−FUの薬物動能学の可変性の程度は10倍にもなることがあり(非特許文献1参照)、次のものを含む多くの要因によって強い影響が生じる。
・器官機能
・遺伝子調節
・病状
・年齢
・薬物間相互作用
・薬物接摂取時間
・投薬の方法
・投薬に関するテクニック
この可変性の結果、異なる個人が同じ薬を等しい量で服用して、結果的に劇的に異なる臨床結果をもたらされることもある(非特許文献2参照)。同じ5−FU投薬の有効性は、個々の薬物クリアランスおよび患者の中の最終の血清薬物濃度に基づいて著しく変わる。治療薬管理によって、臨床医に経口薬の投与および静脈注射用薬の投与の両方で患者の個々の変化を洞察することができるだろう。治療薬管理によって、患者への投薬を個別的に取り扱うことができるかもしれない。また、望まない副作用なしで癌を有効に治療する見込みは、はるかに高いだろう(非特許文献3)。
【0007】
さらに、5−FUの治療薬管理は、実際に処方された投薬及び効果的効な血清濃度レベルの達成を備えた投薬化学療法を施す際にコンプライアンスを保証する優れたツールとして役立つだろう。血清濃度での可変性は生理学の要因によるだけでなく、投薬技術および身体が5−FUを吸収する能力における変化にさらに起因することがあることが分かった。化学療法薬として、5−FUは以下に表わされる構造を有するテガフールとしてそのプロドラッグ形式で投薬することができる。
【0008】
【化2】

【0009】
テガフールは、患者に投薬されると、異なる割合で患者に5−FUへ通常吸収され代謝される。したがって、免疫測定法による患者の中の5−FUのレベルをモニタリングする際、免疫測定法が、不活性物質であるテガフールと、テガフールが代謝してなる活性物質である5−FUとを識別することができる、ということが重要である。5−FUの抗体に関する問題は、それらがこれらの免疫測定法を有用でなくするテガフールと交差反応し得るということである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Diasio et. al. J. Clin. Invest.81:pp47−51,1988,Wei et. al. J. Clin. Invest.98:pp610−615,1996
【非特許文献2】Hon et. al. Clinical Chemistry 44、pp 388−400,1998
【非特許文献3】Nieto,Current Drug Metabolism2:pp53−66,2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
5−FUの型通りの治療薬管理では、一般的な実験装置に適応可能な単純な自動テストに利用できることが要求されるだろう。最もこれらの基準に適合するテストは免疫測定法である。現在、利用可能な5−FUの免疫測定法はなく、この薬のモニタリングレベルは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(Escoriaza et.al.J. of Chromatography B: Biomedical Sciences and applications, 736(1+2): pp 97-102,1999)のような物理的方法によって導かれる。薬のレベルをモニタリングするにあたって最も有効にするために、抗体は5−FUに最も特異的であるべきであり、関連するピリミジン塩基、特にテガフールへの非交差反応性に対して非常に低い交差反応性を示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、他の妨害ピリミジン塩基、ウラシル及びシトシンと同様にテガフールに実質的に交差反応することなく5−FUに結合するために、5−FUに実質的に選択的に反応する新しい抗体クラスが生産される。選択的反応とは、本抗体が5−FU分子と反応し、5−FUの類似化合物のような他の妨害ピリミジン塩基と実質的に反応しないことを意味する。最も重要な妨害ピリミジン塩基はテガフールである。テガフールと実質的に交差反応しない抗体を提供することによって、5−FUで治療されている患者の治療管理用の5−FUのレベルを正確にモニターすることができる5−FU免疫測定法を提供することが可能となる。
【0013】
一般式
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、Yは有機スぺーシング基(organic spacing group)、Xはポリアミンポリマーに結合可能な末端官能基、pは0〜1の整数)
の化合物を有する免疫原のポリアミンポリマーの共役である免疫原の使用により、5−FUに特異で、ウラシル、シトシンといった他のピリミジン塩基と同様に、テガフールと実質的に反応しない、又は結合しない抗体を生産することが見出された。
【0016】
5−FUと本質的に選択的に反応し、テガフールと交差反応しないこれらの抗体が供給されることによって、5−FUで治療されている患者の流動性の試料中に5−FUを特に検出しモニターすることができる免疫測定法を提供することが可能となる。さらに、前記免疫測定法用の試薬およびキットが本発明内に含まれている。テガフールの存在は、不適当な5−FU免疫測定法で偽陽性判断を生じさせる主な原因である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、5−FUに実質的に選択的に反応し、ウラシル及びシトシンといった他の妨害ピリミジン塩基と同様に、テガフールと実質的に反応しない又は交差反応しない新しいクラスの抗体が提供される。免疫原として一般式II−Aの3位置換5−FU誘導体を使用することを通じて、本発明の新しいクラスの抗体が提供されることが発見された。これらの抗体の使用を通じて、血液、血漿あるいは他の体液試料中の5−FUの検出及び/又は定量のためのそのような免疫測定法用の試薬及びキットを含む免疫測定法が開発された。この免疫測定法の使用によって、体液試料(好ましくは血液または血漿の試料)中の5−FUの存在および量を検知しかつ/または定量することができる。このように、5−FUで治療されている患者は治療の間モニターされ、前記モニタリングに従って治療を調整することができる。本発明によって、化学療法薬として5−FUが取り扱われている癌患者での5−FUの治療上の薬管理が成し遂げられる。
【0018】
本発明の免疫測定法の中で利用される試薬は、一般式
【0019】
【化4】

【0020】
(p、X及びYは上述のとおり)
の1位置換5−FU化合物を備えた担体の共役、又は
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、Yは有機スぺーシング基、Xはポリアミンポリマーに結合可能な末端官能基、pは0〜1の整数)
の化合物、又はそれの混合物である。
【0023】
一般式II−A及びII−Bの試薬では、担体は、免疫測定法を実行する際に利用された従来の試薬担体のいずれかであってもよく、好ましくは、これらの担体には検出のために標識が付けられる。検定中で用いられる試薬を形成する際に利用される一般式II−Aの化合物では、Xは担体に結合することができる任意の官能基になりえる。好ましい担体は、反応性アミノ基を有する重合体のポリアミンポリマーを含んでおり、Xはポリアミンポリマーに結合することができる末端官能基である。
【0024】
本発明の免疫測定法では、これらの共役は、本発明の抗体と結合するための試料中に存在する5−FUとの競合的結合パートナーである。したがって、抗体に結合する共役試薬の量は、試料中の5−FUの量に反比例するだろう。本発明に従って、測定法は、抗体に結合する又は結合していない前記共役の量を検出および測定するためにどんな従来の測定手段でも利用する。
【0025】
前記手段の使用を通じて、結合又は結合していない共役の量を測定することができる。一般に、試料中の5−FUの量は、試料中の5−FUによって生じた結合または結合していない共役の測定量と、既知量の5−FUを含むスタンダードまたは較正曲線の資料から測定された結合又は結合してない共役値とを相互に関連付けることによって測定される。その既知量は試料としてテストされる推定範囲にある。較正曲線を作るためのこれらの研究は試料に使用されるのと同じ免疫測定法手続きを用いて測定される。
【0026】
共役は一般式II−AおよびII−Bの化合物から生成される一方、免疫原は一般式III−Aの化合物から生成される。本発明に従って免疫測定法を行なう際に、一般式II−AあるいはII−Bの化合物から共役が形成され、免疫原が一般式II−Aの化合物から形成されることは重要である。免疫原を含む共役では、ポリアミンポリマーは、一般式。
【0027】
【化6】

【0028】
(式中、Yとpは上述のとおりであり、X´は−CH−又は官能結鎖グループ)
からなる配位子部分と共役し、
一般式II−Bの化合物の官能結鎖部分は次に示す一般式からなる。
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、X´、Y及びpは上述のとおり)
これらの配位子部分は、共役の担体上で1つ以上の活性部位であってもよい。
【0031】
(定義)
この記述の全体にわたって、次の定義の意に解釈される。
【0032】
「免疫原」、「免疫原の」という用語は、有機体中の免疫反応を誘発する、作り出す、又は生じさせることが可能な物質を指す。
【0033】
「共役」という用語は、2つの部分をともに結合することから形成された物質を指す。本発明に従う代表的な共役は、一般式II―Bの化合物のような小さな分子と、担体やポリアミン・ポリマー(特にタンパク質)のような大きな分子とがともに結合することによって作られたものを含む。共役では、小さな分子は大きな分子の1つ以上の活性部位と結合されてもよい。
【0034】
「ハプテン」は部分的または不完全な抗原である。それらは、抗体形成を刺激することができないが、抗体と反応する、タンパク質なしの物質(ほとんど低い分子量物質)である。後者は、高い分子量の免疫原担体にハプテンが結合し、この結合物、例えば免疫原、を人間または動物の被験者に注射することによって形成される。本発明のハプテンは、5−FUである。
【0035】
ここで使用されるように、「スぺーシング基」あるいは「スペーサ」は、CHあるいは官能結鎖基により、ハプテン、担体、免疫原、標識あるいはトレーサのような2つ以上の下部構造を接続する化学構造の一部を指す。これらのスペーサ基は、本出願で後述で列挙する。スぺーシング基の原子及びスぺーシング基内の鎖の原子は、化学結合によってそれら自身接続される。好ましいスペーサは、直鎖か分岐鎖か、飽和か不飽和の炭素鎖である。これらの炭素鎖は、さらに鎖内で、あるいは鎖の末端で、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。「ヘテロ原子」は、酸素、窒素および硫黄からなる基から選ばれる、炭素以外の原子を意味する。スぺーシング基は、さらに鎖の一部又は鎖内の原子のうちの1つと置換して、環式又は芳香族基を含んでいてもよい。
【0036】
スぺーシング基中の原子の数は水素以外の原子を数えることにより決定される。スぺーシング基内の鎖中の原子の数は、接続している下部構造間の最短のルートに沿った水素以外の原子の数を数えることにより決定される。官能結鎖基は、ハプテンと標識又は担体又はポリアミンポリマーとの共役を合成するためのハプテン又はスぺーシング基を活性化する、例えば、利用可能な官能部をオンする、ために使用されてもよい。
【0037】
ここで使用される「免疫原の担体」という用語は、免疫原物質(一般にタンパク質)であり、それはハプテンと結合することができ、この場合5−FUあるいは記述された一般式II−Aの5−FU誘導体であり、それによってこれらのハプテン誘導体が免疫反応を引き起こすことができるようにし、これらのハプテンと特異的に結合する抗体の生成を誘発する。免疫原担体及び結鎖基は、本明細書で後述して列挙されるだろう。免疫原の担体物質は、宿主から異物として認識され、それによって免疫原反応を誘発する、タンパク質、糖タンパク質、複合ポリアミノ−多糖類、粒子、及び核酸である。ポリアミノ−多糖類は、この生成で知られている従来の手段を使用して、多糖から生成されてもよい。さらに様々なタンパク質タイプが、ポリ(アミノ酸)免疫原担体として使用されてもよい。これらのタイプは、アルブミン、血清蛋白質、リポタンパク質などを含んでいる。実例となるタンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、卵オボアルブミン、牛のチログロブリン(BTG)などを含んでいる。あるいは、合成ポリ(アミノ酸)を利用してもよい。
【0038】
免疫原担体はさらにポリアミノ多糖類を含んでもよい。それは、単糖の繰り返しの縮合によって作られた高分子量ポリマーである。多糖類の例は、デンプン、グリコーゲン、セルロース、アラビアゴムのような炭水化物ガム、寒天などである。多糖類はさらにポリアミノ酸残基および/または脂肪酸残基を含んでいる。
【0039】
免疫原の担体は、さらに単独または上述のポリ(アミノ酸)又は多糖類の内の1つに共役するポリ(核酸)であってもよい。
【0040】
免疫原担体はさらに固形粒子を含んでいてもよい。粒子は、大体少なくとも約0.02ミクロン(μm)で約100μm以下であり、そして通常およそ0.05〜10μmの直径である。粒子は有機又は無機であってもよく、膨張可能又は膨張不可能であってもよく、多孔性又は非多孔性であってもよく、水に近い最適密度が通常約0.7〜1.5g/mLであり、透明な、又は部分的に透明な、又は不透明な物質から構成されている。粒子は、赤血球、白血球、リンパ細胞、ハイブリドーマ、連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌およびウィルスのような例に制限されない細胞及び微生物のような生体物質であってもよい。粒子は、更に有機および無機ポリマー、リポソーム、ラテックス、リン脂質小胞あるいはリポタンパク質で構成されていてもよい。
【0041】
「ポリ(アミノ酸)」あるいは「ポリペプチド」は、アミノ酸から形成されたポリアミドである。ポリ(アミノ酸)は、約2,000分子量から、分子量の上限はなく、通常10,000,000未満、通常多くても約600,000ダルトンの範囲にある。免疫原担体あるいは酵素が含まれているかどうかに依存して、通常範囲が異なるだろう。
【0042】
「ペプチド」は、アミド(ペプチド)結合による2つ以上のアミノ酸の結合によって形成された化合物であり、通常α―アミノ酸のポリマーであり、各アミノ酸残基(NH末端を除く)のα―アミノ基が線鎖中の隣の残基のα―カルボキシ基に結合している。ここでは、ペプチド、ポリペプチドおよびポリ(アミノ酸)という用語を、サイズに関する制限なく、この種の化合物を現すために同じ意味で使用する。この種の最大の部分はタンパク質と言う。
【0043】
「標識」、「検出分子」あるいは「トレーサ」は、検出信号を作る、あるいは作ることを引き起こすことができるあらゆる分子である。標識は、分析物、免疫源、抗体、又は、受容体や配位子(特にハプテン)のような受容体に結合し得る分子のような他の分子に、共役することができる。標識の制限されない例は、放射性同位体および酵素、酵素破片、酵素基質、酵素阻害物、補酵素、触媒、蛍光物質、染料、化学ルミネセンス、ルミネセンス、又は感光剤を含み、磁性がない又は磁性のある粒子、固形支持体、リポソーム、配位子あるいは受容体を含む。
【0044】
用語「抗体」は、抗原の結合パートナーである特異タンパク質を指し、他の物質を除外して抗原に対して特異結合親和力を持つ物質又は物質のグループである。一般的な用語の抗体は、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体および抗体断片を包含する。
【0045】
用語「誘導体」は、1つ以上の化学反応によって母化合物から作られた化合物か分子を指す。
【0046】
一般式II−Bの共役の形成のための用語「担体」は、上述したような免疫原ポリマーのような固形粒子及び/又は重合体ポリマーを指す。担体が固形粒子である場合、固形粒子は、一般式II−Bの化合物中の末端官能基Xに結合するための1つ以上の反応部位を提供するためのポリアミンポリマーに結合される、覆われる、あるいは付着されていてもよい。
【0047】
用語「試薬キット」又は「テストキット」は、測定を行うのに使われる用具一式を指す。試薬は、それらの交差反応性および安定性、液中かあるいは凍結乾燥状態下であるかによって、同じ又は個別の容器の中に化合物がパッケージされた状態で提供することができる。キット中に供給される試薬の量および割合は、個々の用途に最適の結果がでるように選択することができる。本発明の特徴を具体化する試薬キットは、5−FUに特異な抗体を含んでいる。キットは、さらに分析物の配位子及び較正制御物質を含んでいてもよい。試薬は液体の形態で残ってもよいし、凍結乾燥されていてもよい。「較正制御物質」という表現は、測定される薬の既知量を含んでいる任意の標準あるいは参照物質を指す。薬の濃縮は、標準に対して得られた結果と未知の資料に対して得られた結果との比較により計算される。これは、較正曲線を描くことにより一般に行われる。
【0048】
用語「生体試料」は、生き物あるいは以前は生きているものからの物質の任意の量を含むが、これに限定されるものではない。そのような生き物は、人間、マウス、猿、ラット、ウサギ、馬、及び他の動物を含むが、これらに限定されるものではない。そのような物質は、血液、血清、血漿、尿、細胞、臓器、組織、骨、骨髄、リンパ液、リンパ節、滑膜組織、軟骨細胞、骨膜マクロファージ、内皮細胞、及び皮膚を含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
(試薬と免疫原)
免疫測定法を構築する際、5−FUの共役は、本発明の抗体上の結合部位に対して試料中の5−FUと競合するために構築される。本発明の免疫測定法では、本発明の抗体を生産するための免疫原は、一般式III−Aの化合物の3位置換5−FU誘導体である。また、試薬は、一般式III−AまたはIII-Bの1位置換5−FU誘導体である。一般式III−A及びIII−Bの化合物では、リンカースペーサは、この分子の−CH−(Y)−X´−部分を構成する。リンカーX´及びスペーサ−CH−(Y)−は、共役と免疫原の生成において一般的である。免疫測定法のための共役と免疫原を生成するために利用された従来のスペーサ結鎖基のうちのどれでも、一般式III−A及びIII−Bの化合物で利用することができる。そのような従来のリンカーおよびスペーサは米国特許5,501,987および米国特許5.101,015に開示されている。
【0050】
好ましいスペーサ基の中に、上述したスペーサ基が含まれている。特に好ましいスぺーシング基は、1〜10の炭素原子を含むアルキレン、
【0051】
【化8】

【0052】
【化9】

【0053】
、又は
【0054】
【化10】

【0055】
(式中、nとoは0から6までの整数、mは1から6までの整数であり、特に好ましいスぺーシング基であるアルキレンを伴う。)
【0056】
Yによって表わされる上記の構造に関して、それらの末端で構造の右側、例えば(CH2又は(CHによってあらわされる端部、で末端官能基Xはこれらの置換基に結合する。
【0057】
一般式III−A及びIII−Bの化合物では、X´は、−CH−又はスペーサ、好ましくはポリマーや担体上のアミン基と連結する官能基である。基X´は、担体か免疫原のいずれかとして使用されたポリアミンポリマー中のアミノ基に結合可能な一般式II−A及びII−Bの化合物中の末端官能基Xの結末である。アミンと反応可能などんな末端官能基も、一般式II−A及びII−Bの化合物中の官能基Xとして利用することができる。好ましくはX中に含まれたこれらの末端官能基は、
【0058】
【化11】

【0059】
【化12】

又は
【0060】
【化13】

【0061】
(式中、Rは水素又は反応エステルをなす酸素原子と結合して得られ、Rは酸素または硫黄である)
である。
【0062】
【化14】

基は、イソシアン酸塩、あるいはイソチオシアン酸塩とすることができる。ORによって形成された活性エステルは、N−ヒドロキシスクシンアミド、1位置換ヒドロキシベンゾトリアゾール及びp-ニトロフェニルエステルのようなイミドエステルを含んでいる。しかしながら、アミン基と反応することができるどんな活性エステルも使用することができる。カルボキシル基及び活性エステルは、担体又は免疫原ポリマーに従来の手段によって結合される。タンパク質のようなポリアミンポリマー上のアミン基は、ポリマー、免疫原又は担体、及び/又は本発明の共役にスペーサを接続するアミド基を生成する。
【0063】
本発明の免疫原及び共役では、5−FUハプテンを含むカルボキシル基と、担体または免疫原上のポリアミンポリマー上のアミノ基との間の化学結合は、当業者に既知の様々な方法を使用して確立することができる。アミド結合を形成することはしばしば望ましい。アミド結合は、脱離試薬(例えばN―ヒドロキシスクシンイミド、1位置換ヒドロキシベンゾトリアゾール、p−ニトロフェノールなど)でカルボキシル基を反応させることにより、一般式II−A及びII−Bの化合物中の5−FUハプテンのカルボン酸半分を最初に活性化することにより形成される。ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドなどのような活性化試薬を使用することができる。その後、一般式II−A又はII−Bの5−FUハプテン中のカルボキシル基の活性形態を、タンパク質担体を含んでいる緩衝液に反応させる。
【0064】
一般式II−A又はII−Bの5―FU誘導体が、カルボキシル基と同様に第1又は第2アミノ基を含んでいる場合、共役がそれら自身と反応するのを防ぐために、活性化とカップリング反応の間に、アミン保護基を使用することが必要である。典型的には、共役上のアミンは、対応するN−トリフルオロアセトアミド、N−第三ブチルオキシカルボニルウレタン(N−t−BOCウレタン)、N-カルボベンジルオキシウレタンあるいは同様の構造物の生成によって保護される。上述のように、一旦免疫原ポリマー又は担体へのカップリング反応が遂行されたならば、アミン保護基を、免疫原あるいは共役の構造を別なふうに変更しない試薬を使用して削除することができる。そのような試薬および方法は、当業者に知られており、弱い又は強い水性か無水の酸、弱い又は強い水性か無水の塩基、水素化ホウ素ナトリウムや水素化シアノホウ素ナトリウムのような水素化物を含む試薬、および触媒的水素添加手法がある。ハプテンと担体を共役する様々な方法もまた、米国特許3,996,344および米国特許4.016,146に開示されていおり、それらは参照としてここに含まれている。
【0065】
他方、一般式II−A又はII−Bの化合物においてXが末端イソシアン酸塩かチオイソシアン酸塩である場合、ポリアミンポリマーのフリーアミンと反応した時、これらの遊離基は、一般式II−Bの共役又はX´が次式で表わされる免疫原を生成する。
【0066】
【化15】

【0067】
(式中、Rは上記のとおりであり、担体又は免疫原ポリペプチドに機能的に結合する。)
【0068】
一般式II−A及びII−Bの化合物におけるXがアルデヒド基である場合、これらの化合物は、還元アミノ化によるアミン結合によって、ポリアミンポリペプチドか担体のアミン基に連結していてもよい。還元アミノ化によってのようなアミンを備えたアルデヒドを濃縮するどんな従来方法も、この結合を形成するために使用することができる。この場合、一般式III−A及びIII−Bの配位子部分中のX´は−CH−である。
【0069】
一般式
【0070】
【化16】

【0071】
の化合物を生成するために、一般式Iの化合物中の1位置換窒素原子は、5−FUと一般式
【0072】
【化17】

【0073】
(式中、Rは塩素又は臭素、Y、p及びXは上述のとおり)
のハロゲン化物とが反応することによって、一般式II−Bの化合物を生成するために結合させることができる。
【0074】
一般式Iの化合物は、アミン基を備えたハロゲン化物を縮合する従来方法によって一般式II−Bの化合物を生成するために、一般式V−Aのハロゲン化物とその環状結合の1位置置換窒素原子で反応させる。この縮合反応は塩基がある状態で行なわれる。この反応では、一般式Iの化合物の1位の位置にある環状結合の窒素原子は、3位の位置にある環状結合の窒素原子よりも反応性に富んでいる。したがって、1位の位置での環状結合の窒素原子が、むしろハロゲン化物と縮合するだろう。一般式V−Aの化合物が反応性アミノ又は他の官能置換基を含んでいる場合、これらの置換基を一般式V−Aを伴う5−FUの反応に先立って従来の保護基と反応させることができる。一般式VI−Aの化合物が生成された後、これらの保護基を、一般式II−Bの化合物中のアミンを保持する間にそのような保護基を除去するために当業者によく知られている手順によって除去することができる。
【0075】
一般式II−Aの3位置換5―FUは、最初に5−FUを一般式
【0076】
【化18】

のジクロロ化合物に変換することによって5−FUから生成することができる。
【0077】
これは、オキシ塩化リンのような塩素化剤で一般式Iの化合物を処理することにより成し遂げられる。これらの塩素化剤の利用において、従来の条件が、この反応を行なうのに使用することができる。次のステップで、一般式VIIの化合物は一般式
【0078】
【化19】

の化合物に転化される。これは、次式の一般式の化合物へエノール化する。
【0079】
【化20】

【0080】
この転化は、35℃から50℃までの温度下で水性の媒体で水酸化ナトリウムと供に一般式VIIの化合物を処理することによって行なわれる。一般式VIII−Bの化合物は、次式の一般式の化合物に転化することができる。
【0081】
【化21】

【0082】
(式中、Rはベンジルである。)
【0083】
一般式IXの化合物を生成する際、一般式VIII−Bの化合物を、固形水酸化ナトリウム存在の有機溶媒下でベンジルアルコールと反応させる。次のステップで、一般式IXの化合物は、一般式V−Aのハロゲン化物を備えた一般式Iの化合物の縮合を伴う結合に関して前述された方法で、一般式V−Aのハロゲン化物と一般式IXの化合物とを反応させることによって一般式II−Aの化合物に転化される。
【0084】
一般式II−A又はII−Bの化合物は、これらの化合物とポリアミン、ポリペプチドあるいは担体とを反応させることによって、本発明の共役担体試薬に転化することができる。ポリアミン又はポリペプチドを免疫学的に活性化させる本発明の一般式II−Bの化合物中の担体として、及び、一般式II−Aの免疫原中の免疫原ポリマーとして、同じポリペプチドを利用することができる。しかしながら、共役を生成するために、これらのポリマーは、免疫原に求められるような免疫反応を生じる必要はない。本発明によれば、一般式II−AおよびII−Bの化合物中のXによって表わされる様々な官能基は、ポリマー内に含まれているアミン基に官能基を付ける従来の方法によって重合体物質に共役することができる。好ましい実施例によれば、一般式II−AおよびII−Bの化合物では、Xはそれのカルボン酸基か活性エステルである。
【0085】
(抗体)
本発明は、さらに前述の免疫原の使用により生成された5−FUに対するモノクロナール抗体を含む新規の抗体に関する。本発明によれば、本発明に従って生成されたこれらの抗体は、5−FUに選択的に反応し、5−FUの免疫測定を邪魔する化合物を含んでいるテガフールあるいは他のピリミジンに反応しないことが分かった。本発明は5−FUに対する新規の抗体およびモノクロナール抗体に関する。発明の抗血清は、本発明の免疫原を備えた宿主動物を免疫することにより好都合に生成することができる。適切な宿主動物は、例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびその他同種のものといったげっ歯動物、あるいはヤギ、羊、馬およびその他同種のものといった高等哺乳動物を含んでいる。初回量、出血および追加免疫注射は、動物中の免疫反応を誘発するために認められた試験計画書(protocols)に従って与えることができる。例えば、好ましい実施例では、マウスは、初回量として100μgの免疫原を腹腔内投与(i.p.)で受け、また後に6か月の期間にわたって2回以上、100μgの免疫原の追加免疫注射を受けた。周期的な出血によって、免疫されたマウスの血液試料は、従来の免疫測定を利用する5−FU結合に対する免疫反応を発生させることが観察された。これらの方法は、望ましい活性を有する抗血清を生成している宿主に関して調べるための便利な方法を提供する。
【0086】
モノクロナール抗体は、上記スケジュールの後に細胞融合に先立って3日のスタートを切る連続3日に腹腔内投与(i.p.)又は静脈内投与(i.v.)で免疫原100μgをマウスに注射して、Balb/cマウスを免疫することにより好都合に生成される。抗体技術でよく知られている他の試験計画書(protocols)をもちろん同様に利用してもよい。ここに詳述された全部の免疫化試験計画書(protocols)は、5−FUの抗体用の血清抗体反応に最適の試験計画書(protocol)を提供した。
【0087】
宿主の脾臓、末梢血、リンパ節あるいは他の組織から得られたBリンパ球は、モノクロール抗体生産細胞として使用してもよい。最も好ましいのは、脾臓から得られたBリンパ球である。発明の望ましいモノクロール抗体を生成することができるハイブリドーマは、無限増殖できる細胞系を備えたそのようなBリンパ球を融合させることにより得られ、それはハイブリッド細胞上の長期的な組織培養安定を与える細胞系である。発明の好ましい実施形態では、無限増殖できる細胞は、それ自体が細胞を生成するだけでなく悪性である骨髄腫細胞のようなリンパ芽球状細胞あるいはプラズマ細胞腫細胞でもよい。5−FUモノクロール抗体を生成するマウスのハイブリドーマは、5−FUタンパク質共役に対して免疫されたハツカマウスから、マウス骨髄腫細胞および脾臓細胞の融合によって生成される。キメラ及びヒトモノクロナール抗体は、ハイブリドーマ細胞から遺伝子を発現させる抗体をクローン化し、ヒトの定常部領域にマウス可変領域の続きを結合するか、あるいは、ドナーマウスかラットの免疫グロブリンから相補性決定領域(CDRの)とヒトのフレームワーク領域を組み合わせる現在当業者によって知られている組み換えDNA方法を使用することによって生成することができる。親和力が高められた抗体を提供するマウスのモノクロナール抗体をヒトに適用するための改良方法は、国際特許出願WO92/11018に述べられる。一次抗体構造の一部だけを含むポリペプチド断片を生成してもよく、その断片は1つ以上の免疫グロブリン活性を有している。これらのポリペプチド断片は、当業者によって知られている方法によって手をつけていない抗体のタンパク質分解開裂によって、又は、Fab断片又は(Fab´)断片を生成するために部位特異的突然変異誘発を用いる抗体遺伝子を含んでいる発現ベクターに望ましい位置に終止コドンを挿入することによって、生成されてもよい。単鎖抗体は、DNAリンカーにVLとVHの部位を結合することによって生成してもよい(ヒューストンら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:5879−5883(1983)及びバードら、Science, 242:423−426(1988)参照)。本発明の抗体は、5−FUに選択的で、ウラシル、シトシン、テガフールなどのようなそのようなピリミジン塩基に対して実質的に交差反応性を有さない。実質的な交差反応性を有さないことによって、本発明の抗体は、12%未満、好ましくは5%未満の代謝産物を備えた5−FUに関係する交差反応を有していることを意味している。
【0088】
(免疫測定法)
本発明によれば、一般式II−Aのこれらの化合物の免疫原から生じた前述の共役および抗体は、患者試料中の5−FUの測定試薬として利用することができる。この測定は免疫測定法によって行なわれる。一般式II−Bの化合物から形成された試薬共役が、本発明に従って生じた抗体中の結合部位のために試料中の5−FUと競合するどんな免疫測定法も、患者試料中の5−FUの存在を決定するために使用することができる。5−FUを含んでいるという疑いをかけられた試料中の5−FUの測定を行うための方法は、(a)水性媒質試料、(b)本発明に従って生成された5−FUの抗体、(c)一般式II−A及びII−Bの化合物から形成された共役を、混合することを含む。試料中の5−FU量は、試料と抗体との混合物に既知量で加えられた共役の特異抗体への結合の阻害を測定することにより決定することができる。未知の試料による既知量の共役のそのような結合の阻害の結果は、5−FUの既知の標準溶液を使用して同じ測定で得られた結果と比較される。未知の試料中の5−FUの量を測定する際、試料、一般式II−Bの化合物から形成された共役、および抗体は、任意の順に加えられてもよい。
【0089】
抗体に結合した一般式II−A及びII−Bの化合物から形成された共役量を測定するために、様々手段を使用することができる。1つの方法は、抗体への共役の結合が蛍光団共役の回転率の減少を引き起こす点である。液体混合物中の蛍光団の回転率の減少量は、米国特許4,269,511及び米国特許4,420,568に開示されているような蛍光性の極性化技術によって検出することができる。
【0090】
他方で、粒子が一般式II−A及びII−Bの化合物から形成された5−FU共役と反応する場合、これらの微粒子が集合体を形成するように、抗体は微粒子上を覆うか吸収してもよい。しかしながら、微粒子を覆う或いは吸収した抗体が試料中の5−FUと反応するとき、これらの微粒子に結合する試料からの5―FUは、抗体微粒子の集合を生じさせない。集合または凝集の量は、吸光度による混合測定で測定することができる。
【0091】
他方、これらの測定は、マイクロタイタープレートのような固形支持体あるいは固形微粒子を含む他の従来の固形支持体に、抗体あるいは5−FU共役のいずれかを付着することにより実行することができる。そのような固形微粒子に抗体とタンパク質を付着することは当業者によって知られている。どんな従来方法もそのような付着を行うために使用することができる。多くの場合では、測定を促進するために、放射性標識や酵素標識のような標識を、抗体と結合または結合していない一般式II−Bの化合物から形成された共役量の検出を助けるものとして、抗体、共役あるいは固形微粒子に配置してもよい。他の適切な標識としては、発色団、蛍光団などがある。
【0092】
便宜の問題として、本発明の測定コンポーネントは、5−FUを測定するのに使用される所定量の新しい試薬を備えた化合物がパッケージされた状態でキットとして提供することができる。これらの試薬は、本発明の抗体を含むんでいることに加え、一般式II−A及びII−Bの化合物から生成された共役も含んでいる。
【0093】
これらの必要な試薬に加えて、補助試薬のような添加物、例えば安定剤、緩衝材などが含まれていてもよい。様々な試薬の相対量は、実質的に測定の感度を最適化するような試薬の溶液濃度を提供するために、広く変わってもよい。試薬は、溶液又は乾燥パウダー(通常は凍結乾燥されたもの)として供給され、溶解して測定を行うのに適した濃度の試薬溶液を提供する補形薬を含んでいる。
【0094】
(例)
例において、次の略語は、下記に指し示すように使用される。
THF テトラヒドロフラン
EA エチルアルコール
DCM ジクロロメタン
DMAP ジメチルアミノピリジン
NHS N−ヒドロキシ−コハク酸イミド
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
TLC 薄層クロマトグラフィ
ANS 8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸
i.p. 腹腔内の
HRP 西洋わさびペルオキシダーゼ
TMB 3,3´,5,5´―テトラメチルベンチジン
TRIS トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩
BSA ウシ血清アルブミン
BTG ウシチログロブリン
PBS リン酸塩緩衝生理的食塩水
di 脱イオン水
例において、図式1、図式2、図式3a、図式3b及び図式4は、例の番号に従って生成され言及された特異化合物を下記に示す。図式は以下の通りである。
【0095】
【化22】

【0096】
【化23】

【0097】
【化24】

【0098】
(例1)
図式1、1位置換5−FU活性化エステル[4]の生成
DMF(100ml)中にフルオロウラシル(50g)[1]を溶解した溶液に、トリエチルアミン(78g)を30℃下で攪拌しながら加えた。その後、エチル−4−ブロモ酪酸塩(88.5g)を滴下方法で加えた。添加が終わった後、生じた反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物をろ過し、溶剤を減圧下で取り除いた。残留物を酢酸エチル中で結晶化し、26g(29%)の化合物[2]を得た。
【0099】
[2](20g)をメタノール(100mL)中に溶解した溶液に、20%水酸化カリウム水溶液(27mL)を加えた。得た溶液を室温下で3時間攪拌し、その後、混合物を減圧下で濃縮した。残留物をアセトン(50−100mL)に溶解し、濃縮塩酸でpH2〜3に調整した。その後、それをろ過し、アセトンで洗浄した。固形生成物をアセトン(50mL)に加熱して溶解した。室温まで冷却した後、固形物を酢酸エチル(100mL)を加えることによって沈澱させた。固形生成物をろ過によって収集し、乾燥して10gの[3]を入手した。エステルのためのTLC条件は、酢酸エチ:エーテルが3:1であった。酸のためのTLC条件は、酢酸2滴を加えたクロロホルム:メタノールが15:1であった。
【0100】
0℃で600mLのジクロロメタン中に6.3gの化合物[3]が入ったものに、NHSを加えた。この溶液に、ジクロロメタンにDCC(4.8g)を溶解した溶液を滴下方法で加えた。0℃で2時間攪拌した後、生じる反応混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物を濃縮した。加工していない生成物を得るために、残留物をアセトン中で結晶化した。加工していない生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル:エーテルが3:1の溶液で抽出)で精製し、4gの化合物[4]を得た。
【0101】
(例2)
図式2、1位置換5−FU酸[5]の生成
アセトニトリル(300mL)に化合物[4](3.2g)を溶解した溶液に水(900mL)を加え、1.2当量のp−メチルアミノ安息香酸を加えた。得られる反応混合物を20時間室温で攪拌した。アセトニトリルを除去するために減圧下で混合物を濃縮した。沈澱が生じ、濾過によって収集した。その後、アセトン中で2.8gの加工していない生成物を結晶化した。加工していない生成物をシリカゲルカラム(1〜2滴の酢酸を加えたクロロホルム:メタノールが15:1の溶液で抽出)で精製し、2gの化合物[5]を得た。
【0102】
(例3a)
図式3a、3位置換5−FU酸誘導体[12]、[14]の生成
80mLのPOClと15.6gの5−FU[1]の混合物を、40℃で凝縮器、温度計および滴下漏斗を装備した三つ口フラスコの中で撹拌した。N,N−ジメチルアニリン25mLを滴下方法で加え、得られる混合物を還流するため3時間加熱した。過剰POClを減圧下で蒸発させた。混合物を室温まで冷やし、75gの砕いた氷の中へ注いだ。その後、クロロホルム(50mLで3回)で抽出した。化合した抽出物を水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮して約50%の収率で黄色っぽい固形の化合物[7]を得た。
【0103】
オキシ塩化物[7]16gと2規定の水酸化ナトリウム48mLとの混合物を45℃下で1時間攪拌した。反応混合物のpHは7まで減った。別の2規定の水酸化ナトリウム48mLを加え、油状の物質が反応混合物中に観察されなくなるまで攪拌を続けた。混合物を室温まで冷やした後、濃縮塩酸でpH3までpHを調整した。冷却し、生成物[8]を沈澱させた。オキシ塩化化合物[8]を収集し、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。収率は55%であった。
【0104】
凝縮器、温度計およびディーンスターク装置を装備した三つ口フラスコにトルエン20mL、ベンジルアルコール52mLおよび固形水酸化ナトリウム2.44gを加えた。得られる混合物が乾燥するまで還流した。その後、化合物[8]を3g加え、3時間還流を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、水50mLを加えた。有機相を、水で2度(それぞれ50mL)洗浄した。水相を混合し、トルエンとベンジルアルコールの残留物を減圧下で除去した。溶液を濃縮塩酸でpH3まで調整し、冷却し、生成された沈殿物を収集した。エタノール中で再結晶化し、約60%の収率で化合物[9]を得た。
【0105】
ベンゼン20mL、水20mL及びテトラブチルアモンモニウム臭化物0.5gの混合物を55℃まで加熱した後、溶液A(1規定水酸化ナトリウム溶液20mL中に2gの[9]を溶解したもの)と溶液B(20mLベンゼン中に1.9gの4−ブロモ酪酸エチル1.9gを溶解したもの)を滴下方法で交互に混合物に加えた。反応混合物のpHをpH8−10に調整した。添加終了後、反応混合物を2時間半還流した。有機相を分離し、5%水酸化ナトリウム及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。有機溶媒は減圧下で除去された。残留物をシリカゲルカラムで精製し(エーテル:酢酸エチルが10:1のもので溶出)、40%の収率で油状生成物の化合物[10]を得た。
【0106】
化合物[10]3gと、メタノール50mL中に10%Pd/C0.3gを混合したものとの混合物を、約24時間水素ガス(15psi)下で撹拌した。触媒はろ過によって除去した。[10]を含む濾液に、2gの水酸化ナトリウムと50mLの水を加えた。得られる混合物を、室温で8時間撹拌した。メタノールを減圧下で除去した。混合物を濃縮塩酸でpH3まで調整した。冷却後、沈殿物が生じ、ろ過によって収集した。沈殿物をエタノールで再結晶化し、50%の収率で[12]を得た。
【0107】
1gの乾燥[12]、0.74gのNHS、及びクロロホルム50mL中に1.47gのDCCを混合したものとの混合物を、室温で夜通し(約24時間)攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルカラムで精製し(酢酸エチル:メタノールが10:1のもので溶出)、約40%の収率で化合物[13]を得た。
【0108】
化合物[13]1gと、及び30mLのDMF中に0.5gの4−(アミノメチル)安息香酸を混合したものとの混合物を室温で8時間撹拌した。反応混合物に水150mLの一部を加えた。反応混合物を酢酸エチル100mLで洗浄した。水相を4℃の状態にし、溶液中にゆっくりと沈澱させた生成物[14]をろ過によって収集し、Pの存在下で室温で真空下で乾燥し、収率約65%で[14]を得た。
【0109】
(例3b)
図式3b、3位置換5−FU酸誘導体[6]の生成
ベンゼン20mL、水20mLおよび0.5gのテトラブチルアンモウニウム臭化物の混合物を55℃に加熱した後、溶液A(1規定水酸化ナトリウム水溶液20mL中に2gの[9]を混合したもの)及び溶液B(20mLのベンゼン中に2.05gの4−ブロモ酪酸エチルを混合したもの)を交互に混合物にくわえた。反応混合物のpHはpH8−10に調整した。添加終了後、反応混合物を2時間半還流した。有機相を分離し、5%水酸化ナトリウムと水で洗浄し、MgSOで乾燥した。有機溶媒は減圧下で除去した。残留物をシリカゲルカラムで精製し(エーテル:酢酸エチルが10:1のもので溶出)、化合物[15]を38%の収率で油状の生成物として得た。
【0110】
2gの化合物[15]と、メタノール60mL中に0.2gの10%Pd/Cを混合したものとの混合物を、約24時間水素ガス(15psi)の下で攪拌した。触媒はろ過によって除去した。化合物[16]を含む濾液に、水酸化ナトリウム1gと水20mLを加え、約20mLに濃縮した。得られる混合物を、室温で8時間撹拌した。減圧下でメタノールを除去し、混合物を濃縮塩酸でpH3に調整した。冷却後、沈殿物が生じ、ろ過によって収集した。沈殿物をエタノールで再結晶化し、約60%の収率で[6]を得た。
【0111】
(例4)
対応する酸[3,5,12,14,6]からNHS活性エステルを生成する一般的な方法
乾燥ジクロロメタン(CHCl)20mL中にNHS(1.39mol)を攪拌して溶解した溶液に、酸(0.695mmol)[3,5,12,14,または6]とEDC(2.085mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下の室温で18時間攪拌した。3mLの塩酸(0.3N)を加えることによって反応を止め、更に5分間攪拌した。有機相を分離し、(NaSOで)乾燥し、濾過し、(真空下で)蒸発させて、白い固形物を得た。
【0112】
(例5)
1位置換5−FU KLH免疫原の生成
50mMのリン酸緩衝液(50mM、pH7.5)にKLH(31.2mg/mL)を混合したもの5.86mLに、例1で生成した化合物[4](DMSO中12.8mg/mL)を0.692mL滴下法で加え、pHを8.5に調整した。混合物を室温で18時間撹拌した。その後、この免疫原の共役を透析によって精製し、以前に記載した生成物(Wu et. al., Bioconj. Chem., 8:pp385-390, 1997, Li et al., Bioconj. Chem., 8:pp896-905, 1997, Salamone et al., J. Forensic Sci. pp821-826, 1998)と一致した特徴をなした。
【0113】
(例6a)
3位置換5−FU BTG免疫原の生成
50mMのリン酸緩衝液(50mM、pH7.5)にBTG(16.9mg/mL)を混合したもの11.4mLに、DMSOを1.2mL滴下法で加え、pHは7.5であった。ここに、例3aで生成された化合物[13](DMSO中に52.5mg/mL)を0.277mL滴下法で加え、pHは再び7.5であった。混合物を室温で18時間撹拌した。その後、この免疫原の共役を透析によって精製し、以前に記載した生成物(Wu et. al., Bioconj. Chem., 8:pp385-390, 1997, Li et al., Bioconj. Chem., 8:pp896-905, 1997, Salamone et al., J. Forensic Sci. pp821-826, 1998)と一致した特徴をなした。
【0114】
(例6b)
3位置換5−FU KLH免疫原の生成
50mMのリン酸緩衝液(50mM、pH7.5)にKLH(24.9mg/mL)を混合したもの8.3mLに、DMSOを0.922mL滴下法で加え、pHは7.5であった。ここに、例3aで生成された化合物[13](DMSO中に52.6mg/mL)を0.277mL滴下法で加え、pHは再び7.5であった。混合物を室温で18時間撹拌した。その後、この免疫原の共役を透析によって精製し、以前に記載した生成物(Wu et. al., Bioconj. Chem., 8:pp385-390, 1997, Li et al., Bioconj. Chem., 8:pp896-905, 1997, Salamone et al., J. Forensic Sci. pp821-826, 1998)と一致した特徴をなした。
【0115】
(例7a)
誘導体12を伴う3位置換5−FU BSA共役(10:1比率)の生成
50mMのリン酸緩衝液(50mM、pH7.5)にBSA(50mg/mL)を溶解した溶液1mLに、DMSOを0.111mL滴下法で加えた。例4(52.5mg/mLのDMSO溶液0.045mL)のように生成した化合物[12]の活性化N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを滴下法で加えた。混合物を室温で夜通し攪拌し、3位置換5−FUとBSAの共役を生成した。その後、この共役を透析によって精製し、以前に記載した生成物(Wu et. al., Bioconj. Chem., 8:pp385-390, 1997, Li et al., Bioconj. Chem., 8:pp896-905, 1997, Salamone et al., J. Forensic Sci. pp821-826, 1998)と一致した特徴をなした。
【0116】
(例7b)
誘導体6を伴う3位置換5−FU BSA共役(1:1比率)の生成
50mMのリン酸緩衝液(50mM、pH7.5)にBSA(50mg/mL)を溶解した溶液20.0mLに、DMSOを2.222mL滴下法で加えた。pHは7.5であった。ここに、例4で生成した化合物[6](DMSO中に20.0mg/mL)の活性化N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを0.272mL滴下法で加えた。pHは再び7.5であった。混合物を室温で18時間攪拌した。その後、この免疫原共役を透析によって精製し、以前に記載した生成物(Wu et. al., Bioconj. Chem., 8:pp385-390, 1997, Li et al., Bioconj. Chem., 8:pp896-905, 1997, Salamone et al., J. Forensic Sci. pp821-826, 1998)と一致した特徴をなした。
【0117】
(例8)
誘導体5を伴う1位置換5−FU BSA共役(20:1比率)の生成
氷水槽中の、50mMのリン酸緩衝液(50mM、pH7.5)にBSA(50mg/mL)を溶解した溶液14mLに、DMSOを14mL滴下法で加えた。例4で生成した化合物[5]の活性化N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(57mg/mL DMSO溶液1.65mL)を滴下法で加えた。混合物を室温で夜通し攪拌し、1位置換5−FUとBSAの共役を生成した。その後、この共役を透析によって精製し、以前に記載した生成物(Wu et. al., Bioconj. Chem., 8:pp385-390, 1997, Li et al., Bioconj. Chem., 8:pp896-905, 1997, Salamone et al., J. Forensic Sci. pp821-826, 1998)と一致した特徴をなした。
【0118】
(例9)
5−FU抗体の生成
10匹の雌のBALB/cのマウスを、完全フロイントアジュバントで乳化された、例5で生成した5−FU−KLH又は例6aで生成した5−FU−BTGで、一匹につき100μg、腹腔内投与(i.p.)で免疫した。マウスは、不完全フロイントアジュバントで乳化された同じ免疫原を一匹につき100μgで最初の注射の4週間後に追加免疫した。追加免疫テストの10日後、各マウスからの出血を、眼窩出血によって得た。これらのテスト出血からの抗血清は、例12a、13及び14で評価された5−FU抗体を含んでいた。モノクロナール抗体に対しては、10匹の雌のBALB/cマウスを、完全フロイントアジュバントで乳化された例6bで生成した3位置換5−FU−KLHを、一匹につき100μg、腹腔内投与(i.p.)で免疫した。マウスは、不完全フロイントアジュバントで乳化された同じ免疫原を一匹につき100μgで最初の注射の4週間後に追加免疫した。追加免疫テストの10日後、各マウスからの出血を眼窩出血によって得、これらを例12a及び15のように検査した。融合(第0日)前の4日のスタートを切るモノクロナール抗体を生成するために、マウスに、連続3日間、PBS中の3位置換5−FU KLH免疫原を、400μg(第3日)、200μg(第2日)、200μg(第1日)で、腹腔内投与(i.p.)で注射した。脾臓細胞を選択したマウスから分離し、Curent Protocols in Immunology, 2.5.1-2.5.8, (1992), Wiley&Sons, NY. Coligan,J.E.らの方法による50%ポリエチレングリコール1500を備えた2×10SP2/O細胞と融合した。融合細胞を、10個の、20%Fetal Clone I、2%L−グルタミン(100mM)、2%50X HATが加えられたDMEM/F12の96ウェル形式プレートで培養した。2週間後、ハイブリドーマ上澄みをELISA(例12b)によって抗-5-FUの存在のために測定した。陽性ウェルを拡大し、再び同じ方法によって測定した。陽性クローンが、競合的ELISA(例12a及び15)によって結合する5−FUに対して確認された。ELISAによって陽性クローンは、Coligan、J.E.et al., Current Protocols in Immunology, 2.5.8-2.5.17,(1992),Wiley & Sons, NYで開示されている限界希釈法によって、一、二度サブクローン化された。
【0119】
(例10)
5−FU誘導体5―BSA共役を伴うマイクロタイタープレート感作手順
5−FU濃度を測定するELISA法を、タンパク質結合及びプレートにつき96ウェルを含むのに最適化されたポリスチレンマイクロタイタープレート(Nunc MaxiSorp C8又はF8 Immunomodules)で行った。pH9.6の0.05M重炭酸ナトリウム中に10μg/mLで5−FU―BSA共役(例8のように生成)を混合したもの300μLを加え、室温で3時間保温することによって、各ウェルを5−FU―BSA共役でコーティングした。ウェルをpH9.6の0.05M重炭酸ナトリウムで洗浄し、その後5%スクロース400μL、0.2%カゼインナトリウム溶液で室温で30分間ブロックした。ポストコート溶液を除去したのち、プレートを37℃で夜通し乾燥した。
【0120】
(例11a)
5−FU誘導体12―BSA共役を伴うマイクロタイタープレート感作手順
5−FU濃度を測定するELISA法を、タンパク質結合及びプレートにつき96ウェルを含むのに最適化されたポリスチレンマイクロタイタープレート(Nunc MaxiSorp C8又はF8 Immunomodules)で行った。各ウェルを、pH9.6の0.05M重炭酸ナトリウム中に10μg/mLで5−FU―BSA共役(例7aのように生成)を混合したもの300μLを加え、室温で3時間保温することによって、5−FU―BSA共役でコーティングした。ウェルをpH9.6の0.05M重炭酸ナトリウムで洗浄し、その後5%スクロース400μL、0.2%カゼインナトリウム溶液で室温で30分間ブロックした。ポストコート溶液を除去したのち、プレートを37℃で夜通し乾燥した。
【0121】
(例11b)
5−FU誘導体6―BSA共役を伴うマイクロタイタープレート感作手順
5−FU濃度を測定するELISA法を、タンパク質結合及びプレートにつき96ウェルを含むのに最適化されたポリスチレンマイクロタイタープレート(Nunc MaxiSorp C8又はF8 Immunomodules)で行った。各ウェルを、pH9.6の0.05M重炭酸ナトリウム中に10μg/mLで5−FU―BSA共役(例7bのように生成)を混合したもの300μLを加え、室温で3時間保温することによって、5−FU―BSA共役でコーティングした。ウェルをpH9.6の0.05M重炭酸ナトリウムで洗浄し、その後5%スクロース375μL、0.2%カゼインナトリウム溶液で室温で30分間ブロックした。ポストコート溶液を除去したのち、プレートを37℃で夜通し乾燥した。
【0122】
(例12a)
抗体選別手順−滴定量
5−FU抗体(例9で生成)を選別するためのELISA法を、例7a、7b及び8で記載されるような5−FU―BSAで感作されたマイクロタイタープレートで行なった。抗体選別検査を、5−FU抗体を含む抗血清を、0.1%BSA及び0.01%チメロサールを含むリン酸緩衝生理食塩水で1:100、1:1000、1:10,000及び1:100,000に希釈することによって行った。感作された5−FU―BSAウェル(例11a,11b及び10で生成)のそれぞれのウェルに、希釈抗体100μLを加え、振動させながら室温で10分間培養した。この培養中、抗体はウェル内で5−FU共役に結合する。未結合抗体を除去するために、プレートのウェルを、3回、0.02Mのトリス、0.9%塩化ナトリウム、0.5%Tween−80及び0.001%チメロサール、pH7.8で、洗浄した。ウェル内で5−FU―BSA共役に結合する5−FU抗体の量を検出するために、培養基で培養する時、特にマウス科の免疫グロブリンに結合可能で有色の生成物を生成することが可能な、0.1%BSA、0.05%ANS、0.01%チメロサールを伴うPBSに1/2000で希釈されたヤギ抗マウス抗体―HRP酵素共役(ジャクソン イムノリサーチ)100μLを各ウェルに加えた。振動させながら室温で10分間培養した後、ヤギ抗マウス抗体―HRP酵素共役がウェル内で5−FU抗体に結合する間、未結合ヤギ抗マウス抗体―HRP酵素共役を除去するためにプレートを再び3回洗浄した。ウェル内に適度な色をつけるために、洗浄後TMB(TMB Liquid Substrate, Sigma又はBioFx、HRP用培養基)100μLを加え、室温で振動させながら10分培養する間に適度な色をつけた。着色のための培養に続いて、停止液(1.5%フッ化ナトリウムの脱イオン水)50μLを着色を停止するために各ウェルに加え、10秒間の振動後、650nmの吸光度を測定した(モレキュラーデバイスプレートリーダ)。ウェル内の抗体量は、測定される吸光度に比例し、1.5の吸光度となる希釈(滴定量)として表わされる。滴定量は、測定された抗体の抗体希釈(x軸)対650nmでの吸光度(y軸)をログで図示し、1.5の吸光度での滴定量を推定することによって測定される。滴定量は、例13、14及び15に記載された間接競合マイクロタイタープレート測定で使用された抗体の濃度(希釈)を決定した。
【0123】
(例12b)
抗体選別手順―モノクロナール選別
5−FUモノクロナール抗体(例9で生成)を選別するELISA法を、例7bで記載した5−FU―BSAで感作されたマイクロタイタープレートで行った。5−FU―BSA感作ウェル(例11bで生成)の各ウェルに、0.1%BSA及び0.01%チメロサールを含む50μLリン酸緩衝生理食塩水と、そして次にモノクロナール培養上澄み50μLを加え、10分間室温で振動させながら培養した。この培養の間、抗体はウェル内で5−FU―共役に結合する。未結合抗体を除去するために、プレートのウェルを3回、0.02Mトリス、0.9%塩化ナトリウム、0.5%Tween−80及び0.001%チメロサール、pH7.8で、洗浄した。ウェル内で5−FU―BSA共役に結合する5−FU抗体の量を検出するために、培養基で培養する時、特にマウス科の免疫グロブリンに結合可能で有色の生成物を生成することが可能な、0.1%BSA、0.05%ANS、0.01%チメロサールを伴うPBS中に予め決められた比活性に希釈(約1/2000)されたヤギ抗マウス抗体―HRP酵素共役(ジャクソン イムノリサーチ)100μLを各ウェルに加えた。振動させながら室温で10分間培養した後、ヤギ抗マウス抗体―HRP酵素共役がウェル内で5−FU抗体に結合する間、未結合ヤギ抗マウス抗体―HRP酵素共役を除去するためにプレートを再び3回洗浄した。ウェル内に適度な色をつけるために、洗浄後TMB(TMB Liquid Substrate, Sigma又はBioFx、HRP用培養基)100μLを加え、室温で振動させながら10分培養する間に着色した。着色のための培養に続いて、停止液(1.5%フッ化ナトリウムの脱イオン水)50μLを着色を停止するために、各ウェルに加え、10秒間の振動後、650nmの吸光度を測定した(モレキュラーデバイスプレートリーダ)。ウェル内の抗体量は、測定される吸光度に比例した。2倍のバックグラウンドよりも大きい吸光度を有する試料を陽性とした。
【0124】
(例13)
5−FU誘導体4共役の抗体におけるIC50及び交差反応を測定する間接競合マイクロタイタープレート免疫測定手順
5−FU濃度を測定するためのELISA法を、例7aに記載する5−FU―BSAで感作したマイクロタイタープレートで行った。5−FU、ウラシル、チミン、シトシンおよびテガフールは、0.01〜10,000ng/mLの濃度範囲の間でPBS中に10倍希釈された。測定は、例12aで測定された滴定量に希釈された50μLの抗体(例5の免疫原を用いて例9で生産)で測定するために、50μLの分析物を培養することによって行った。10分間の培養(振動を伴うローテーター(R.T.))の間、ウェル内及び溶液中の分析物に5−FU共役に結合する抗体の競合が生じる。この培養に続いて、結合しないあらゆる物質を除去するために、プレートのウェルを、0.02Mトリス、0.9%塩化ナトリウム、0.5%Tween−80及び0.001%チメロサール、pH7.8で、3回洗浄した。ウェル内の5−FU―BSA共役に結合した5−FU抗体の量を検出するために、培養基で培養するとき、特にマウス科の免疫グロブリンに結合可能で有色の生成物を生成することが可能な、0.1%BSA、0.05%ANS、0.01%チメロサールを伴うPBS中に1/2000に希釈されたヤギ抗マウス抗体−HRP酵素共役(ジャクソン イムノリサーチ)100μLを、各ウェルに加えた。振動させながら室温で10分間培養した後、ヤギ抗マウス抗体−HRP酵素共役がウェル内の5−FU抗体に結合する間、結合していない第二の共役を除去するために、プレートを再び3回洗浄した。ウェル内で測定可能な色をつけるために、洗浄後、TMB(TMB Liquid Substrate, Sigma又はBioFx、HRP用培養基)を100μL加え、室温で振動させながら10分培養して着色した。着色のための培養に続いて、停止液(1.5%フッ化ナトリウムの脱イオン水)50μLを、着色を停止するために加え、10秒間の振動後、650nmでの吸光度を測定した(モレキュラーデバイスプレートリーダ)。ウェル内の抗体量は、測定される吸光度に比例し、試料中の5−FU量に逆比例した。分析物を含むウェル内の色の吸光度を、分析物のないものと比較し、標準曲線を形成した。
与えられた分析物に対するIC50値は、分析物を含んでいないウェルにおける吸光度の50%を阻害するために欠かせない分析物の濃度と定義した。与えられた分析物の交差反応性は、5−FUに対するIC50とウラシル、チミン、シトシンおよびテガフールに対するIC50との比率で、パーセント表示で計算した。例5の免疫原で例9のように生成した抗体で測定するとき、ウラシル、チミンおよびシトシンに対する5−FUに関連するパーセント表示で表わした交差反応性は7%以下で、テガフールに対しては200%であった。結果を表1に示す。
【0125】
(例14)
5−FU誘導体13共役抗体におけるIC50及び交差反応性を測定する間接競合マイクロタイタープレート免疫測定手順
5−FU濃度測定のためのELISA法を、例8で記載される5−FU―BSAで感作したマイクロタイタープレートで行った。5−FU、ウラシル、チミン、シトシンおよびテガフールを、0.01〜10,000ng/mLの濃度範囲の間でPBS中に10倍希釈した。測定は、例12aで測定された滴定量に希釈された50μLの抗体(例9で生成)で測定するために、50μLの分析物を培養することによって行った。10分間の培養(振動を伴うローテーター(R.T.))の間、ウェル内及び溶液中の分析物に5−FU共役に結合する抗体の競合が生じる。この培養に続いて、結合しないあらゆる物質を除去するために、プレートのウェルを、0.02Mトリス、0.9%塩化ナトリウム、0.5%Tween−80及び0.001%チメロサール、pH7.8で、3回洗浄した。ウェル内の5−FU―BSA共役に結合した5−FU抗体の量を検出するために、培養基で培養するとき、特にマウス科の免疫グロブリンに結合可能で有色の生成物を生成することが可能な、0.1%BSA、0.05%ANS、0.01%チメロサールを伴うPBS中に1/2000で希釈されたヤギ抗マウス抗体−HRP酵素共役(ジャクソン イムノリサーチ)100μLを、各ウェルに加えた。振動させながら室温で10分間培養した後、ヤギ抗マウス抗体−HRP酵素共役がウェル内の5−FU抗体に結合する間、結合していない第二の共役を除去するために、プレートを再び3回洗浄した。ウェル内で測定可能な色をつけるために、洗浄後、TMB(TMB Liquid Substrate, Sigma又はBioFx、HRP用培養基)を100μL加え、室温で振動させながら10分培養して着色した。着色のための培養に続いて、停止液(1.5%フッ化ナトリウムの脱イオン水)50μLを、着色を停止するために加え、10秒間の振動後、650nmでの吸光度を測定した(モレキュラーデバイスプレートリーダ)。ウェル内の抗体量は、測定される吸光度に比例し、試料中の5−FU量に逆比例した。分析物を含むウェル内の色の吸光度を、分析物のないものと比較し、標準曲線を形成した。与えられた分析物に対するIC50値は、分析物を含んでいないウェルにおける吸光度の50%を阻害するために欠かせない分析物の濃度と定義した。与えられた分析物の交差反応性は、5−FUに対するIC50とウラシル、チミン、シトシンおよびテガフールに対するIC50との比率で、パーセント表示で計算した。例6aの免疫原を用いて例9のように生成した抗体で測定するとき、ウラシルに対する5−FUに関連するパーセントで表わした交差反応性は8%未満で、シトシンに対しては0.03%未満、テガフールに対しては1%未満、チミンに対しては約12%であった。結果を表1に示す。
【0126】
(例15)
5−FU誘導体13共役抗体におけるIC50及び交差反応性を測定する間接競合マイクロタイタープレート免疫測定手順
5−FU濃度測定のためのELISA法を、例7bで記載される5−FU―BSAで感作したマイクロタイタープレートで行った。5−FU、ウラシル、チミン、シトシンおよびテガフールを、試料によって0.1〜1,000,000ng/mLの濃度範囲の間でPBS中に10倍希釈した。測定は、例12aで測定された滴定量に希釈された50μLの抗体(例9で生成)で測定するために、50μLの分析物を培養することによって行った。10分間の培養(振動を伴うローテーター(R.T.))の間、ウェル内及び溶液中の分析物に5−FU共役に結合する抗体の競合が生じる。この培養に続いて、結合しないあらゆる物質を除去するために、プレートのウェルを、0.02Mトリス、0.9%塩化ナトリウム、0.5%Tween−80及び0.001%チメロサール、pH7.8で、3回洗浄した。ウェル内の5−FU―BSA共役に結合した5−FU抗体の量を検出するために、培養基で培養するとき、特にマウス科の免疫グロブリンに結合可能で有色の生成物を生成することが可能な、0.1%BSA、0.05%ANS、0.01%チメロサールを伴うPBS中に、予め決められた比活性(約1/2000)に希釈されたヤギ抗マウス抗体−HRP酵素共役(ジャクソン イムノリサーチ)100μLを、各ウェルに加えた。振動させながら室温で10分間培養した後、ヤギ抗マウス抗体−HRP酵素共役がウェル内の5−FU抗体に結合する間、結合していない第二の共役を除去するために、プレートを再び3回洗浄した。ウェル内で測定可能な色をつけるために、洗浄後、TMB(TMB Liquid Substrate, Sigma又はBioFx、HRP用培養基)を100μL加え、室温で振動させながら10分培養して着色した。着色のための培養に続いて、停止液(1.5%フッ化ナトリウムの脱イオン水)を50μL、着色を停止するために加え、10秒間の振動後、650nmにおける吸光度を測定した(モレキュラーデバイスプレートリーダ)。ウェル内の抗体量は、測定される吸光度に比例し、試料中の5−FU量に逆比例した。分析物を含むウェル内の色の吸光度を、分析物のないものと比較し、標準曲線を形成した。与えられた分析物に対するIC50値は、分析物を含んでいないウェルにおける吸光度の50%を阻害するために欠かせない分析物の濃度と定義した。与えられた分析物の交差反応性は、5−FUに対するIC50とウラシル、チミン、シトシンおよびテガフールに対するIC50との比率で、パーセント表示で計算した。例6bの免疫原を用いて例9のように生成したモノクロナール抗体で測定するとき、ウラシルに対する5−FUに関連するパーセント表示の交差反応性は8%未満で、シトシンに対しては0.01%未満、テガフールに対しては約1%、チミンに対しては4%未満であった。結果を表2に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】

【0129】
これらの表中の結果は、一般式II−Aの化合物から免疫原を、及び一般式II−AあるいはII−Bの化合物から試薬を、生成する重要性を実証している。これらの結果から、免疫原が一般式II−Bではなく一般式II−Aの化合物から生成されるとき、テガフールに交差反応しない抗体が生成されることがわかる。一般式II−Aの化合物の免疫原から供給されta抗体及びII−A又はII−Bから提供される試薬担体により、5−FUで治療されているモニター患者に対して5−FUの正確な免疫測定が行なわれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化25】

(式中、Yはスペーシング基、Xは担体に結合可能な末端官能基、pは0〜1の整数)
で表される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
pは0である化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、
pは1である化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、
Yは、
1〜10の炭素原子を有するアルキレン
又は、
【化26】

又は、
【化27】

又は、
【化28】

(式中、n及びoは0〜6の整数、mは1〜6の整数)
である化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物であって、
Xは、
【化29】

又は、
【化30】

又は、
【化31】

(式中、Rは水素又は反応エステルをなす酸素原子と結合して得られ、Rは酸素又は硫黄)
である化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物であって、
Xは、
【化32】

であり、
は水素である
化合物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物であって、
Xは、
【化33】

であり、
は、反応エステルを形成する
化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物であって、
前記形成されるエステルは、低級アルキルエステル、イミドエステル又はアミドエステルである
化合物。
【請求項9】
一般式
【化34】

(式中、Y、Y及びpは、請求項1〜8のいずれかで定義される)
で表される化合物と担体の共役。
【請求項10】
請求項9に記載の共役であって、
担体は、
【化35】

又は、
【化36】

(式中、Rは酸素又は硫黄)
によって結合された1つ以上のアミノ基を含む
共役。

【公開番号】特開2012−197285(P2012−197285A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115934(P2012−115934)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−554208(P2007−554208)の分割
【原出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507266325)サラダックス バイオメディカル インク. (4)
【Fターム(参考)】