説明

化学物質のミセルのナノ粒子

本発明は、補助物質中に溶解された生物学的活性物質のような低溶解性化学物質を含み、そして水溶性担体中に包埋されているナノサイズのミセルを含む、熱安定性の固形組成物に関する。本発明は更に、熱安定性の固形組成物の調製法および同を含んでなる製薬学的剤形の調製法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
薬剤発見計画から出現する大部分の新薬の分子は水性媒質中に低い溶解度を示しているか、または水性媒質に実際的に不溶性である。従って、それらを非経口または経口で投与することができる方法で、これらの有効物質を調合することは非常にやりがいのあることである。溶解速度および腸の透過性は特に経口投与される薬剤の生物学的利用能に対する重要な決定因子である[Noyes−Whitneyによる法則(Jinno他、ビーグル犬における低水溶性薬剤、シロスタゾール(cilostazol)の溶解および経口吸収に対する粒度縮小の効果、非特許文献1)により、低い溶解度は一般に低い溶解速度と相関する]。生物薬剤学分類システム[G.L.Amidon,H.Lennernas,V.P.ShahおよびJ.R.Crison.生物薬剤学の薬剤分類のための理論的基礎:インビトロの製剤の溶解とインビボの生物学的利用能の相関。非特許文献2]に従うと、低溶解性薬剤はBCSのクラスIIまたはBCSのクラスIVのいずれかに属する。BCSのクラスIVは、その薬剤が低溶解度および低透過性を同時に示すことを意味するが、他方、BCSのクラスIIの薬剤の生物学的利用能は典型的には溶解速度に限定される(経口投与のための低水溶性薬剤の調合:物理化学的および生理学的問題並びに脂質調合物分類システム、非特許文献3)。これは、BCSのクラスIIの薬剤の生物学的利用能はそれらの溶解速度および/または飽和溶解度Cを改善することにより増加させることができることを意味する。
【0002】
低溶解性薬剤の溶解度および溶解速度を改善するために種々の調合法が適用されてきた。
【0003】
有効物質のシクロデキストリンとの包接複合体の形成は薬剤の溶解度を改善することができる(例えば、THCの可溶化のためのシクロデキストリンの使用を開示している特許文献1を参照されたい)。シクロデキストリンは低溶解性薬剤と可逆性の非共有結合を形成してそれらを可溶化することができるデキストロースまたはデキストロース誘導体の環式オリゴマーである。
【0004】
エマルション、ミクロエマルション、自己乳化剤(self−emulsifying)送達系(SEDDS)または自己ミクロ乳化剤送達系(SMEDDS)のような脂質基剤の系は、脂質および油に可溶性の有効物質に適する。これらの脂質調合物においては、有効物質は油または脂質に溶解され、それがエマルションを形成するか、または水で希釈されるとエマルション系を形成する。
【0005】
有効物質が固形形態で保持される状況において、低溶解性薬剤の溶解作用を改善するために適用されてきた1つのアプローチは、固形の非晶質または結晶質の有効物質の粒度を縮小して、減少された粒度をもつ固形の非晶質または結晶質物質を形成することである。減少した粒度は増加した表面積をもたらす。より大きい表面積のために、薬剤の粒子は改善された溶解速度を有する。
【0006】
一般に、減少した粒度をもつ物質の製造においては、トップダウン法(top−down)とボトムアップ法(bottom up)の間が区別される。トップダウン法は大粒子を小粒子に破壊するためのエネルギー投入を伴う。使用される方法に応じて、粉砕される物質の平均粒度はミクロメーターの次元(例えばジェットミル法、ハンマーミル法)またはナノメーターの次元(例えば湿式ボールミル粉砕および高圧ホモジナイズ法)で得ることができる。後者に対しては、微粉砕出発物質の使用が推奨される(特許文献2、3参照)。これらの方法の典型的な欠点は、それらが出発物質を破壊するために膨大な量のエネルギーを要することである。
【0007】
ボトムアップ法は沈殿により薬剤のナノ結晶を形成するために使用される。この方法は昔の薬局方に「via humida paratum」と記載されている。有効物質を溶媒に溶解し、溶媒を非溶媒または抗溶媒(溶媒と混和性である)に添加し、そして有効物質が非晶質または結晶質のナノ粒子の形態で沈殿し、後者はまた、薬剤ナノ結晶とも呼ばれる。粒子は一般に界面活性剤またはポリマー安定剤により安定化される。この原理はいわゆる「ヒドロゾル(Hydrosols)」を製造するために適用された(特許文献4参照)。近年、この沈殿原理のいくつかの改良物が記載された(特許文献5参照)。しかし、ナノサイズの次元に沈殿結晶を固定することは非常に困難である。ナノ粒状構造物は通常、成長して、ミクロ粒子またはミクロ結晶を形成する傾向をもつ。この問題を解決する1つの方法は、調製された懸濁物を、例えば凍結乾燥(非特許文献4)により即時に乾燥することである(非特許文献4参照)。
【0008】
超臨界流体または噴霧凍結乾燥を伴う、より近年に開発された粒度減少法は固形薬剤のナノ粒子の製造のための文献中に記載されている(非特許文献5参照)。
【0009】
すべての粒度減少法は1つの共通の欠点をもつ:すなわち、通常、薬剤は腸から吸収されるために溶解されることが必要である。いくつかの非常に低溶解性の薬剤にとっては、溶解性を改善し、生物学的利用能を増加するためには粒度の減少では十分でないかも知れない。
【0010】
低溶解性の有効物質の溶解性を改善する他の方法は、固体分散体のような非晶質系中に前記物質を取り入れることである。用語「固体分散体」は、1つの成分が他の1種または複数の成分中に多少とも均一に分散されている、少なくとも2成分を含んでなる固体状態の系(液体または気体系に対する)と定義される。全体に化学的または物理的に均一なまたはホモジナスな、あるいは熱力学で定義される1相よりなる固体分散体はまた、固溶体と呼ぶこともできる(例えば、特許文献6参照)。固形のマトリックスは結晶質でも非晶質でもよい。薬剤は分子として分散されても、または非晶質粒子として(クラスター)並びに結晶粒子(固体分散体)として存在してもよい。このような固体分散体の例は、特許文献7に記載されたテブフェロン調合物並びに特許文献8に記載された生物学的活性ペプチド調合物である(特許文献7および8参照)。
【0011】
固体分散体は種々の方法、例えば融合法(fusion method)、ホットメルト押し出し法、溶媒蒸発法または超臨界流体法を使用して調製することができる(非特許文献6参照)。固体分散体または固溶体は溶解性を高めまたは薬剤を安定化するために界面活性剤または他の賦形剤を含んでなることができる。固体分散体の製造のいくつかの方法は特許文献7に考察されている(特許文献7参照)。この出願書はまた、親油性化合物が補助溶媒、好ましくはC−Cアルコールに溶解されている親油性化合物の糖のガラス(sugar glass)を製造する方法を開示している。好ましい溶媒は高い蒸気圧および高い融点を有する。しかし、提案された高蒸気圧の可燃性の補助溶媒の使用は、特に乾燥法として噴霧乾燥法が適用される時に、大規模生産において問題を引き起こす可能性がある。完成(complete)システムを爆発から防御するために、乾燥空気中の酸素含量を減少しなければならない。更に、親油性化合物は水性補助溶媒系中で十分には安定化されず、沈殿する傾向がある。そのため、「曇り(clouding)」の発生を回避するために急速な処理が提案される。
【0012】
有効物質が疎水性であるが、親油性ではない、すなわち脂質および油に可溶性でない時は、有効物質を安定化するために補助溶媒または補助溶媒−界面活性剤混合物を使用することができる。異なる可溶化系を分類するために、C.Poutonは脂質調合物分類システム(LFCS)を紹介した。このスキームの最近のバージョンは4種の異なる調合物タイプ(非特許文献7)を区別している。LFCSのタイプIVは界面活性剤−補助溶媒混合物基剤の、油を含まない調合物を記載している。通常、これらの界面活性剤−補助溶媒混合物は、軟ゼラチンカプセルまたはシールされた硬ゼラチンカプセル中に充填される。薬剤は経口投与されると、カプセルの殻の溶解後に放出される。薬剤はすでに担体中に溶解されているので、それは急速に吸収されることができる(非特許文献8参照)。
【0013】
低溶解性液剤から従来の固形剤形を製造するためには「粉体化溶液(powdered solution)」の製造がSpireas等により提案された(非特許文献9参照)。[粉体化溶液」は液体薬剤または薬剤溶液を、選択される担体と混合することにより製造された。この方法により得られた生成物は、薬剤/界面活性剤の溶液と、選択される担体の物理的混合物またはブレンドである。
【0014】
これらの種類の調合物の例は特許文献10、11および12に開示されている(特許文献10、11および12参照)。しかし、生成される粉体の典型的な欠点は、その低い流動性、その低い熱安定性および/またはその低い圧縮性である。
【0015】
市販の材料並びに標準的方法および装置を使用して調製することができる化合物、特に生物学的に活性な化合物のための、更なる、改善された調合物を提供することが本発明の目的である。生物学的に活性な化合物の場合の、本発明の更なる目的は、良好な生物学的利用能をもつ調合物を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開出願第9932107号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,145,684号明細書
【特許文献3】米国特許第5,858,410号明細書
【特許文献4】米国特許第5,389,382号明細書
【特許文献5】米国特許出願第20050139144号明細書
【特許文献6】国際公開出願第97/044014号パンフレット
【特許文献7】米国特許第5,281,420号明細書
【特許文献8】国際公開出願第2005/053727号パンフレット
【特許文献9】米国特許出願第20050266088A1号明細書
【特許文献10】国際公開出願第2005/041929号パンフレット
【特許文献11】国際公開出願第2006/113631号パンフレット
【特許文献12】国際公開出願第2006/135480号パンフレット
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】J.of Controlled Release 111(1−2),56−64,2006
【非特許文献2】Pharm.Res.12:413−420(1995)
【非特許文献3】Colin W.Pouton,European Journal of Pharmaceutical Sciences 2006,29,278−87
【非特許文献4】Sucker,H.,Hydrosole−eine Alternativefuer die parenterale Anwendung von schwer wasserloeslichen Wirksoffen,Mueller,R.H.,Hildebrand,G.E.,(Hrsg.),Pharmazeutische Technologie:Moderne Arzneiformen,2.Auflage,1998,WVG,Stuttgart
【非特許文献5】Jiahui Hu,Keith P.Johnston and Robert O.Williams III,低水溶性薬剤の溶解速度を高めるためのナノ粒子工学的方法、DRUG DEVELOPMENT AND INDUSTRIAL PHARMACY,Vol.30,No.3,pp.233−245,2004
【非特許文献6】D.J.van Drooge「非相容性物質を組み合わせる工程」、Rijksuniversiteit Groningen,PhD−Thesis 2006
【非特許文献7】経口投与のための低水溶性薬剤の調合:物理化学的および生理学的問題並びに脂質調合物分類システム、Colin W.Pouton,European Journal of Pharmaceutical Sciences 2006,29,278−87
【非特許文献8】液体−充填およびシール硬ゼラチンカプセル法、Ewart T.Cole,:修正放出薬剤送達法、eds.M.J.Rathbon,J.Hadgraft,M.S.Roberts,Marcel Dekker,Basel,2003
【非特許文献9】Spireas et al.,粉体化溶液法:原理および機序、Pharm.Res.9 No.10,1351−1358,1992
【発明の概要】
【0018】
本発明は、そのミセルが低溶解性化合物を含んでなる、ナノサイズのミセルを含んでなる、改善された溶解性を有する熱安定性の組成物に関する。1つの実施形態において、本発明の製薬学的組成物は、そのミセルが、低溶解性薬剤のような低溶解性化学物質を含む界面活性剤または界面活性剤−補助溶媒混合物を含んでなり、そのミセルが製薬学的に許容されうる担体のような水溶性担体の水溶性マトリックス中に包埋されている、ナノサイズのミセルを含んでなる。
【0019】
本発明の他の態様は、低溶解性化合物、補助物質または補助物質の混合物並びに水溶性マトリックスを含んでなる水性ミセル溶液を調製し、そしてミセル溶液を乾燥して、これらのミセルを担体の水溶性マトリックス中に包埋して、熱安定性の組成物を得る工程を含んでなる、製薬学的組成物の調製に関する。低溶解性化合物を含むミセルは1種または複数の界面活性剤および場合により1種または複数の補助溶媒を使用して製造される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従って、組成物、例えば製薬学的組成物を調製する一般的工程の図である。
【図2】雄のビーグル犬に、本発明に従う調合物を含む4種の異なる調合物を投与後に得られた、化合物1の血漿濃度を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
第1の態様において、本発明は、そのミセルが補助物質中に溶解された低溶解性化学物質を含んでなり、そしてそのミセルが水溶性担体中に包埋されている、ナノサイズのミセルを含んでなる熱安定性の固形組成物に関する。
【0022】
他の態様において、本発明は、そのミセルが補助物質中に溶解された低溶解性の生物学的活性物質を含んでなり、そしてそのミセルが水溶性の製薬学的に許容されうる担体のマトリックス中に包埋されている、ナノサイズのミセルを含んでなる熱安定性の固形の製薬学的組成物に関する。
【0023】
本発明の枠組み内の用語、熱安定性は、調合物が主要な補助物質の融点より上に加熱さ
れる時に、自由流動性の安定な粉体のままであることを意味する。これは、調合物が、主要な補助物質の融点より5℃、10℃、20℃、30℃、40℃または50℃上に加熱される時に物理的に安定のままであることを意味する。
【0024】
例えば、ビタミンE TPGS(d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)は36℃の融点を有する(参照:Eastman,Material Safety Data Sheet of Vit E TPGS NF Grade(ビタミンE TPGS NF等級の材料安全性のデータシート))。当業者は、ビタミンE TPGSが調合物の主成分である場合は、この調合物は、36℃をかなり超える温度、例えば80℃に暴露されると、少なくとも、部分的融解の経験を示すであろうと推定するであろう。しかし、ビタミンE TPGSが本発明における補助物質として使用される場合は、ビタミンE TPGSはミセルを形成し、そしてビタミンE TPGS(および有効物質)のミセルが36℃を超える融点を有する水溶性マトリックス物質中に包埋される。従って、生成される粉体は粉体の形態および流動性に主要な変化を示さないであろう。それは、主要な補助物質のビタミンE TPGSの融点より5℃、10℃、20℃、30℃、40℃または50℃上の温度に暴露される時ですら、安定な、自由誘動性粉体のままである。
【0025】
本発明の枠組み内の用語、生物学的に活性な物質、製薬学的に有効な物質、薬剤、有効化合物、有効成分は、ヒトまたは動物に投与される時に薬理学的効果を誘発する化学物質または化合物を表すために互換性に使用される。
【0026】
本発明の枠組み内の用語、低溶解性化合物は、33g/L未満の、37℃における水溶解度を有する化合物を意味する。とりわけ、製薬学的有効化合物に対して、用語の低溶解性化合物は、化合物が身体に対して利用可能になることが意図される(とりわけ化合物が身体により吸収されるように溶解される)インビボのサイト(例えば、胃内、腸内、皮下)における条件、とりわけpHにおいて、33g/L未満の溶解度を有する化合物を表すために使用される。従って、例えば、胃内で溶解することが意図される低溶解性化合物は胃液(約1〜3のpH)内で33g/l未満の溶解度を有し、そして腸内で溶解される低溶解性化合物は腸液(典型的にはpH約7.4まで)内で33g/l未満の溶解度を有する(米国特許第0050266088号明細書、Frijlink参照)。本発明は特に、10g/L、4g/L、1g/L、100mg/L、40mg/L、10mg/L、4mg/L、1mg/L、0.4mg/Lまたは0.1mg/L未満の胃腸液内溶解度を有する化合物のような、更により低い溶解性の化合物に有用である。
【0027】
本発明に従って処理することができる低溶解性化合物は、液体、半固体、固体の、非晶質、液晶質または固晶質であってもよい。
【0028】
本発明に従って処理することができる低溶解性化合物は、好ましくは、製薬学的に有効な物質であり、そして鎮痛剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗生物質、駆虫剤(anti−helminthics)、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗凝固剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、抗癲癇剤、勃起機能不全治療剤、抗真菌剤、抗通風剤、抗高血圧剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン作用剤、抗新生物薬、抗肥満剤、抗パーキンソン病剤、抗原生動物剤、抗甲状腺ホルモン剤、鎮咳剤、抗不安薬、ベータブロッカー、催眠剤、免疫抑制剤、神経安定剤、カンナビノイド受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、心筋収縮剤、細胞付着インヒビター、副腎皮質ホルモン剤、サイトカイン受容体活性モジュレーター、利尿剤、胃腸薬、ヒスタミンH−受容体アンタゴニスト、角質溶解剤、脂質調整剤、筋弛緩剤、ナイトレートおよび他の抗狭心症剤、非ステロイド抗喘息剤、オピオイド鎮痛剤、鎮静剤、性ホルモン剤および刺激剤、から選択することができる。
【0029】
低溶解性化合物のいくつかの例は低溶解性のカンナビノイドアゴニスト、インバースアゴニストおよびアンタゴニストである。これらの化合物のいくつかの例は、国際公開出願第03/026648号パンフレットに記載された(4S)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−(1−ピペリジニル−スルホニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドおよび国際公開出願第02/076949号パンフレットに記載された(4S)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4,5−ジヒドロ−N’−メチル−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミド(イビピナバントまたはSLV319としても知られる)および(4S)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−[[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル]−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドのような、国際公開出願第01/70700号、第02/076949号、第03/026647号、第03/026648号、第03/027076号、第2005/074920号、第2005/080345号、第2005/118553号および第2006/087355号パンフレットに開示された化合物である。
【0030】
本発明の組成物中の低溶解性化合物は、好ましくは、10未満、より好ましくは5未満、そして更により好ましくは2.5未満のlogPを有し、そして組成物の総重量の0.05重量/重量%〜少なくとも50重量/重量%の量で、好ましくは0.05〜10重量/重量%の間の量、または0.05〜5重量/重量%の間の量、または0.05〜1重量/重量%の間の量で存在することができる。
【0031】
本発明の枠組み内の用語、補助物質は、界面活性剤、補助溶媒または界面活性剤と補助溶媒の混合物のような、水と接触させるとミセルの形成を可能にする物質、あるいはそれらが形成された時にミセルの安定性に有効な効果を有する物質である。
【0032】
本発明の枠組み内の用語、ミセルは、水溶液中でクラフト点および臨界ミセル化濃度より上の界面活性剤分子の会合物(association)を意味する(Roempp Online Dictionary参照)。IUPACに従うと、溶液中の界面活性剤はしばしば、会合コロイドを形成する。すなわち、それらは、それから形成される分子またはイオンと平衡して存在するコロイド次元の凝集物を形成する傾向がある。このような凝集物がミセルと呼ばれる。クラフト点は、それより上で、水中の界面活性剤の溶解度が急激に上昇する温度(より正確には、狭い温度範囲)を意味する。この温度で、界面活性剤の溶解度は臨界ミセル濃度に等しくなる。それはtまたは1/Tに対する溶解度の対数のグラフの勾配における突然の変化を見いだすことにより決定することができる。それより下では実質的にどんなミセルも検出されない限界と、それより上では実質的にすべての更なる界面活性剤分子がミセルを形成する限界を分ける、界面活性剤濃度の比較的狭い範囲が存在する。界面活性剤溶液の多数の特性は、濃度に対してプロットされると、この範囲の上と下で異なった速度で変化するように見える。それらが交差するまでこの範囲の上と下のこのような特性の座(loci)を外挿することにより、臨界ミセル化濃度(臨界ミセル濃度)として知られる値を得ることができる(化学用語のIUPAC要約、Goldbook)。
【0033】
本発明に従う組成物中のミセルは1000nmより小さい、好ましくは500nmより小さい、または200nmより小さいまたは100nmより小さい平均粒度を有する。
【0034】
本発明の枠組み内の用語、平均粒度は、動力学的光散乱法(例えば、光相関分光法(PCS)、レーザー回折(LD)、低角度レーザー光散乱法(LALLS)、中角度レーザー光散乱法(MALLS)、光遮断法(light obscuration)(例えば、Coulter法)、レオロジー、または前記に示された範囲内の顕微鏡(光学または
電子))により決定される有効な平均粒径を表す。「約xnm未満の有効平均粒度」により、粒子の少なくとも90%が前記の方法により測定されると、約xnm未満の重量平均粒度を有することを意味する。
【0035】
本発明に従う組成物は、少なくとも10%、または少なくとも30%、または少なくとも50%の界面活性剤を含んでなり、そして99.95%までの界面活性剤を含んでなることができる。場合により、組成物はまた、1種または複数の補助溶媒および/または1種または複数の補助界面活性剤を含む。
【0036】
製薬学的組成物に対して使用することができる界面活性剤および場合により使用される補助界面活性剤は、Pharmaceutical Dosage Forms(製薬学的剤形)、Marcel Dekker Inc.,(1993),p.285−359中のM.M.Rieger,「界面活性剤」、第8章中に列記されている。好ましい界面活性剤は8より大きいHLB値をもつ界面活性剤である。もっとも好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンステアレート(例えば、Solutol(R))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(R))、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、Chremophor(R))、ビタミンE TPGS、非イオン性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー(例えば、Poloxamer(R))、水溶性長鎖有機ホスフェートエステル(例えば、Arlatone(R))、イヌリンラウリルカルバメート(例えば、Inutec SP1(R))よりなる群から選択される。
【0037】
製薬学的組成物のために使用される、場合により使用される補助溶媒は好ましくは、25℃で0.50mmHg未満の蒸気圧を有する物質の、製薬学的に許容されうる非揮発性補助溶媒である。製薬学的組成物は、Pouton(段落[0012]を参照)により、界面活性剤および補助溶媒を基剤とした、油を含まない調合物と定義された、脂質調合物分類システム(LFCS)のタイプIVの可溶化混合物のみに関し、従って、本発明における補助溶媒として明確に除外される。更に、LFCSのタイプI調合物(非分散性;消化を必要とする)、LFCSのタイプII調合物(水溶性成分を含まないSEDDS)、LFCSのタイプIIIA調合物(水溶性成分を含むSEDDS/SMEDDS)、LFCSのタイプIIIB調合物(水溶性成分および低い油含量を伴うSMEDDS)が除外される。
【0038】
非揮発性補助溶媒の例は、限定はされないが、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルトリアセテート、ベンジルアルコール、多価アルコール、例えばマニトール、ソルビトールおよびキシリトールのようなアルキレングリコール;ポリオキシエチレン;線状ポリオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびメトキシポリエチレングリコール;並びにそれらの混合物を含む。
【0039】
本発明における非揮発性補助溶媒として特に有用なものは、そのnが、ポリマーの平均分子量(m.w.)を規定する数字でもある単位の数である、一般に式(HOCHCHOHに従うエチレンオキシドのポリマーであるPEGである。
【0040】
本発明で有用なPEGのタイプは、物質のその状態により、すなわちその物質が室温および圧力下で固体形態で存在するかまたは液体形態で存在するかにより分類することができる。本発明の枠組み内の「液体PEG」は、物質が室温および圧力下で液体状態であるような分子量(m.w.)を有するPEGを意味する。例えば、800ドルトン未満の平均m.w.をもつPEGは液体PEGである。特に有用なものは、PEG400(約380〜420ドルトンのm.w.)、PEG600(約570〜630ドルトンのm.w.)およびそれらの混合物である。PEGは製品のCARBOWAX SENTRYライン下で、Dow Chemical(Danbury,Conn.)から市販されている。
【0041】
本発明の枠組み内の「固形のPEG」は物質が室温および圧力下で固形状態にあるような分子量を有するPEGを表す。例えば、900〜20,000ドルトン間の範囲の平均m.w.を有するPEGは固形PEGである。特に有用な固形PEGは3,350ドルトン(約3015〜約3685ドルトンのm.w.)と8,000ドルトン(約7,0009,000ドルトンのm.w.)間のm.w.を有するものである。固形PEGとして特に有用なものはPEG3350、PEG4000(3,600〜4,400のm.w.)、PEG8000およびそれらの混合物である。
【0042】
液体PEG(例えばPEG400)を固形PEG(例えばPEG4000)と置き換えると、生成される薬剤−界面活性剤−補助溶媒混合物は80℃に加熱しなければならない。驚くべきことには、PEG4000製品の凍結乾燥から生成されるケークはPEG400が使用される時より硬いが、PEG400がPEG4000により置き換えられる時は、放出性はあまり変化しないことが発見された。
【0043】
調合物が存在する場合は、0.01重量/重量%〜99.95重量/重量%、好ましくは10.0重量/重量%〜90.0重量/重量%、そしてもっとも好ましくは20.0重量/重量%〜70.0重量/重量%の量の補助溶媒を含んでなる。
【0044】
水溶性担体(マトリックスとしても記載される)は水中に可溶性のあらゆるポリマー物質であってよい。マトリックス物質は、マトリックス物質の少なくとも一部が10〜30部の水に溶解することができる場合に水中に可溶性であると考えることができる(USP24,2254ページに従う定義)。
【0045】
製薬学的組成物のための水溶性担体は製薬学的に許容され得なければならない。本発明に有用な製薬学的に許容されうる担体の例は以下から選択される:
−アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース)、
−ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロース)、−ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピル−メチルセルロース)、
−カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、
−カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、
−カルボキシアルキルアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルエチルセルロース)、
−カルボキシアルキルセルロースエステル、
−デンプン、
−ペクチン(例えば、ナトリウムカルボキシメチルアミロペクチン、
−キチン誘導体(例えば、キトサン)、
−多糖類(例えば、アルギン酸、そのアルカリ金属およびアンモニウム塩)、
−カラゲーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアゴム、グアガムおよびキサンタンガム、
−ポリアクリル酸およびそれらの塩、
−ポリメタクリル酸およびそれらの塩、メタクリレートコポリマー、
−ポリビニルアルコール、
−ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのビニルアセテートとのコポリマー、
−ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド)並びにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー。
【0046】
製薬学的に許容され得る、前記に規定された適当な物理化学的特性を有する列挙されなかったポリマーも同様に、製薬学的組成物のための本発明における担体として適する。
【0047】
本発明に有用な、好ましい水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびHPMCを含む。HPMCはそれを水溶性にするために十分なヒドロキシプロピルおよびメトキシ基を含有する。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度および約0.05〜約3.0のヒドロキシプロピルモル置換度を有するHPMCは一般に水溶性である。メトキシ置換度はセルロース分子のアンヒドログルコース単位当りに存在するメチルエーテル基の平均数を表す。ヒドロキシ−プロピルモル置換数はセルロース分子の各アンヒドログルコース単位と反応したプロピレンオキシドの平均モル数を表す。ヒプロメロース(Hypromellose)はヒドロキシプロピルメチルセルロースの米国の採用名(Adopted Name)である。
【0048】
本発明に従う組成物は1種または複数の他の添加剤を含むことができる。製薬学的組成物の場合のこれらの添加剤は、香り付け剤、着色剤、結合剤、充填剤、充填−結合剤、滑沢剤、崩壊補助剤のような製薬学的に許容されうる添加剤および/または他の製薬学的に許容されうる添加剤でなければならない。
【0049】
本発明に従う組成物の調製は、低溶解性化合物の水性ミセル溶液の調製、その後の、乾燥してこれらのミセルを製薬学的に許容されうる担体のような、担体の水溶性マトリックス中に包埋する工程を伴う。低溶解性化合物を含有するミセルは、1種または複数の界面活性剤を使用することにより製造される。所望されれば、1種または複数の補助溶媒を含むこともできる。
【0050】
本発明の他の態様において、低溶解性化合物を含んでなるミセル溶液は、低溶解性化合物を1種または複数の界面活性剤中に溶解することにより調製される。溶解は、低溶解性化合物が実質的に単分子として分散される、すなわち少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、更により好ましくは99.5%そしてもっとも好ましくは99.9%の低溶解性化合物が単分子として分散されることを意味する。必要な場合は、1種または複数の補助溶媒を添加することができる。発明の1態様において、成分の加熱、ブレンドまたは混合により、完全な分子分散を可能にするためのエネルギーを適用することができる。成分が分子分散系を形成した時に、それらは水相と一緒に混合されて、ミセル溶液を形成する。水相は製薬学的に許容されうる担体のような担体の溶解マトリックスを含有するか、または後に、担体の水溶性マトリックスをミセル溶液に溶解する。この混合物を乾燥して固体の粉体を得る。粉体はそのまま使用しても、または他の賦形剤と混合して更に処理してもよい。
【0051】
発明の他の態様において、本発明に従う組成物は、組成物が投与される時に、薬剤のミセル溶液を形成することにより、低溶解性薬剤の吸収を容易にする。
【0052】
発明の更なる態様は、組成物、例えば固体の粉体が調合物に容易に加工されることができ、硬ゼラチンカプセル[例えばPEG400、グリセロール、ポリオキシル35ヒマシ油(例えばCremophor EL(R))、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(例えばTranscutol P(R))、ソルビタンモノオレエート(例えばSpan 80(R))]と相溶性ではないことが知られている賦形剤を使用しても、カプセル充填のための粉体に加工することができることである。
【0053】
凍結乾燥は典型的には、大規模生産に使用される製法ではなく、通常、タンパク質のような極めて不安定な薬剤にのみ適用される。噴霧乾燥は大規模生産に対してより便利であり、より適する。従って、発明に従うミセル溶液に対する乾燥法として噴霧乾燥が試験され、その生産に非常に適することが見いだされた。高い蒸気圧をもつ可燃性の補助溶媒が使用されないので、噴霧乾燥された粉体の生産は爆発に対する特別の防御なしに標準装置上で実施することができる。更に、ミセル溶液は薬剤の沈殿を伴わずに、数時間、場合により数日間すら安定である。溶解性試験により、使用される乾燥法に拘わらず、ほとんど同様な溶解速度を得ることができることが示された。
【0054】
ミセルの粒度に対する乾燥工程の影響を試験するために、レーザー回折を使用する粒度分析を実施し、噴霧乾燥前と噴霧乾燥粉体からの再分散後の粒度が同一次元の大きさであったことが示された。この結果から、乾燥工程は生成されるミセルの粒度を変えないと結論することができる。
【0055】
本発明の方法は界面活性剤−補助溶媒混合物に限定されない。低溶解性化合物のミセル水溶液が、溶解された製薬学的に許容されうる担体の存在下で得られることができる場合、生成されるミセル溶液は本発明に従って処理することができる。
【0056】
本発明に従う製薬学的組成物は更に、どんな投与経路のためのどんな固形の剤形にも加工することができる。特に興味深い剤形は、顆粒、経口送達のための圧縮(即時放出)錠剤、舌下またはバッカル錠および散剤または顆粒充填硬ゼラチンカプセルまたは小袋である。
【0057】
錠剤は、製薬学的組成物を投与するために使用される一般的なタイプの固形剤形である。しかし、今までのところ、可溶化(すなわち、溶解された)形態の低溶解性薬剤を含有する液体または半固体調合物から製錠することは困難である。このような錠剤を製錠するために使用されてきた1つの方法は、選択された担体上への液体薬剤または薬剤溶液の吸着である(Spireas他、粉体溶液法:原理および機序、Pharm.Res.9 No.10,1351−1358,1992)。しかし、生成される粉体の典型的な欠点はその低流動性および圧縮性である。この問題に対する解決策を提供することが本発明の目的である。本発明に従って製造される粉体、とりわけ噴霧乾燥により製造される粉体は非常に良好な流動性を示す。乾燥粉体を乾燥状態で製薬学的賦形剤と混合することができる。生成される粉体混合物はカプセル中に直接充填することができるが、打錠さえ可能である。得られる錠剤は非常に急速な薬剤放出を示し、その放出速度は同様な成分をもつ粉体のカプセル調合物のものに匹敵した。本発明において、充填剤として顆粒化ヒュームドシリカ(例えばAEROPERL(R)300)を使用した時は特に、錠剤の非常に急速な崩壊および従って良好な薬剤放出を得た。
【0058】
本発明に従って製錠された錠剤は標準の方法(例えば溶融押し出しまたは液体充填カプセル)により製錠された錠剤より、ずっと良好な薬剤放出を示した。
【0059】
本発明に従って製造された錠剤調合物の放出プロファイルを、溶融押し出しにより調整された調合物と比較すると、溶融押し出しにより得られる固化した塊を粉体化することは非常に困難であるようにみえ、従って、ごく不均一な錠剤を得ることができたのみであり、本発明に従う調合物が使用される時の80%超の放出に比較して、20分後に、60%のみの薬剤が放出された。
【0060】
液体充填カプセルの製造は、製薬学的組成物を投与するために使用することができる剤形を提供するための当該技術の他の状態である。
【0061】
融解した薬剤−界面活性剤−補助溶媒(PEG4000)混合物を硬ゼラチンカプセル中に充填し、固化し、薬剤放出研究に提出すると、融解薬剤−界面活性剤−補助溶媒混合物はカプセルの殻と相容性であるように見えた。しかし、これらのカプセルもまた、比較的遅い薬剤放出を示した。20分後に薬剤の52%のみが放出された。従って、80%超の放出を有する本発明に従う調合物からの薬剤放出が、当該技術分野で知られる従来の液体充填カプセルからの薬剤放出に比較して優れている。
【0062】
凍結乾燥は大規模生産のために典型的に使用されるわけではないが、それはまた、錠剤に打錠することができる粉体の生産のために本発明に従って使用することができる。凍結乾燥は限定された量のみの薬剤が利用可能であり(例えば初期の開発段階中)、そして本発明に従う錠剤が所望される時にのみ使用することができる。凍結乾燥粉体はどんな更なる賦形剤をも添加せずに有効に打錠することができることが見いだされた。これらの「非調合」錠剤は、標準の打錠賦形剤を添加することにより確実に上昇させることができる20分後の約62%の有望な薬剤放出を示した。
【0063】
本発明はまた、本発明の組成物を調製するための方法に関する。
【0064】
第1の態様において、本発明は以下の工程を含んでなる、前記の固形の製薬学的組成物を調製する方法に関する:
a)補助物質または補助物質の混合物中に低溶解性有効物質を溶解し、
b)場合により、a)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
c)a)またはb)で得た溶液を水と混合してナノサイズのミセルを形成し、
d)c)で得た混合物中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る。
【0065】
更なる態様において、本発明は以下の工程を含んでなる、前記の固形の製薬学的組成物を調製する方法に関する:
a)補助物質または補助物質の混合物中に低溶解性有効物質を溶解し、
b)場合により、a)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
c)マトリックス形成物質を水に溶解し、
d)c)で得た溶液とa)またはb)で得た溶液を混合してナノサイズのミセルを形成し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る。
【0066】
更なる態様において、本発明は以下の工程を含んでなる、前記の固形の製薬学的組成物を調製する方法に関する:
a)補助物質または補助物質の混合物中に低溶解性有効物質を溶解し、
b)a)で得た溶液を水に溶解してナノサイズのミセルを形成し、
c)場合により、b)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
d)b)またはc)で得た溶液中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る。
【0067】
他の態様において、本発明は以下の工程を含んでなる、前記の固形の製薬学的組成物を調製する方法に関する:
a)補助物質または補助物質の混合物を水に溶解してナノサイズのミセルを形成し、
b)a)で得た溶液に低溶解性有効物質を溶解し、ここで、得られた溶液は低溶解性有効物質を含んでなるミセルを含有し、
c)場合により、b)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
d)b)またはc)で得た溶液中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る。
【0068】
更に他の態様において、本発明は以下の工程を含んでなる、前記の固形の製薬学的組成物を調製する方法に関する:
a)補助物質または補助物質の混合物を水に溶解し、
b)a)で得た溶液に低溶解性有効物質を溶解し、
c)b)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加して、低溶解性有効物質を含んでなるミセルを含有する溶液を形成し、そして
d)c)で得た低溶解性有効物質を含んでなるミセルを含有する溶液中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る。
【0069】
前記の方法を適用すると、工程a)、工程b)、工程c)または工程d)のいずれかでミセルを形成することができる。例えば、工程a)で使用される補助物質または補助物質の混合物が界面活性剤を含有し、そして該界面活性剤が工程a)で水と接触される時、ミセルは工程a)で形成することができる。その場合は、ミセルはまだ低溶解性有効物質を含有せず、低溶解性有効物質は工程b)においてミセルに含まれる。あるいはまた、界面活性剤を工程b)で水と接触させる時は、ミセルは工程b)において形成することができる。第3の代案として、ミセルが工程a)またはb)ではまだ形成されていない時は、それらは工程c)で形成される。この場合は、界面活性剤は工程c)で初めて添加され、そして/または界面活性剤は工程c)で水と接触される。第4の代案として、界面活性剤を工程d)で最初に水と接触させる時は、ミセルは工程d)で形成される。
【0070】
更に他の態様において、本発明は以下の工程を含んでなる、前記の固形の製薬学的組成物を調製する方法に関する:
A)低溶解性有効物質、補助物質または補助物質の混合物、場合により1種または複数の更なる補助物質、マトリックス形成物質および水を合せてナノサイズのミセルを形成し、そして
B)A)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る。
【0071】
前記の乾燥工程は凍結乾燥、噴霧乾燥または凍結噴霧乾燥により実施することができる。もっとも好ましい乾燥法は噴霧乾燥である。
【0072】
前記の方法の1つを適用することにより形成される粉体は、マトリックス形成物質の量が50%未満、30%未満すら、更に20%未満、または更に10%未満すらのような非常に低い時ですら、主要補助物質の融点超に加熱される時に、自由流動性であり、安定で、自由流動性のままである。粉体中ではミセルは最初の水性ミセル溶液中におけるもののままであるが、今は固形マトリックス中に包埋されており、それにより安定化されている。水に溶解すると、最初のミセル水溶液が再度形成される(図1参照)。
【0073】
乾燥後、生成物は更に顆粒、圧縮錠剤、舌下またはバッカル錠に加工されるか、あるいは従来の方法および装置の助けにより、乾燥組成物を粉末形態または顆粒形態でカプセルまたは小袋に充填することができる。
【0074】
非常に高い生物学的利用能をもつ低溶解性有効化合物の熱安定な固形組成物を得ることができることが本発明の利点である。低溶解性化合物、化合物1(SLV330)を含んでなる調合物の生物学的利用能の研究(雄のビーグル犬)を実施した。微粉化有効化合物を含んでなる組成物の相対的生物学的利用能に比較して、本発明に従う組成物の雄のビーグル犬における相対的生物学的利用能は約6倍高いことが認められた(以下の表2参照)。
【0075】
本発明は医薬の分野で使用することができる有効物質に基づいて開発されているが、その原理はナノサイズの粒子が利点をもつ他の技術分野で使用することができ、従って本発明は医薬分野に対するその使用に制約されない。
【0076】
以下の実施例は、本発明をより詳細に更に具体的に示すことを意図されるのみであり、従って本明細書に提供されるこれらの実施例はどんな方法でも本発明の範囲を制約すると考えてはならない。
【実施例1】
【0077】
材料および方法
材料:ポリエチレングリコール(例えば、PEG400およびPEG4000)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(例えばPolysorbat 80(R))、マクロゴール−15ヒドロキシステアレート(例えばSolutol(R)HS15)、無水クエン酸、マニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMC E5(R))、d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000(ビタミンE
TPGS)、ナトリウムドデシルスルフェート(SDS)、ポリビニルポリピロリドン(PVP−CL)、ナトリウムステアリルフマレート(例えばPruv(R))、微結晶セルロース(MCC)および顆粒化ヒュームドシリカ(例えばAeropearl 300(R))は市販源から得た。
化合物1:(4S)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−(1−ピペリジニル−スルホニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドは国際公開出願第03/026648号パンフレットに記載されたように調製した。
化合物2:(4S)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4,5−ジヒドロ−N’−メチル−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドは国際公開出願第02/076949号パンフレットに記載されたように調製した。
化合物3:(4S)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−[[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル]−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドは、国際公開出願第02/076949号パンフレットに記載されたように調製した。
【0078】
方法:
血漿サンプルを以下の方法に従って分析した。解凍血漿サンプル(20μL)に内部基準物(20μL、250ng/mL)を添加した。次に、メタノール(210μL)を使用して、サンプルをタンパク質沈殿にかけた。サンプルを混合し、遠心分離し(5分間、3400rpm、室温)、生成された上澄み液50μLを96−ウェルのプレートに移した。各ウェルにギ酸(0.2%、150μL)を添加した。抽出物を混合し、遠心分離し(5分間、3400rpm、公称4℃)、次にApplied Biosystems API 4000に接続されたWaters Acquity UPLC上でLC−MS/MS分析にかけた。質量分析計の操作モードはTurbo IonSprayポジティブであり、分析カラムはWaters Acquity BEHフェニル1.7um、100mm×2.1mm(内径)であった。検量標準およびQCサンプル中の化合物1の濃度を、重み(weighting)として濃度の逆数(1/x)との二次回帰を使用して決定した。データを収集し、Applied Biosystems/MDS Sciex AnalystTMソフトウェア1.4.1を使用して処理した。
【実施例2】
【0079】
化合物1の調合物(FD PEG400)の調製
50mgの低溶解性薬剤の化合物1をガラスの注入バイアル中に秤量した。その後、このバイアルに66.34%(重量/重量)のPEG400、16.58%(重量/重量)のPolysorbat80、16.58%(重量/重量)のSolutol(R)HS15および0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する、950mgの界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤の完全な溶解後、バイアルに4mlのマニトール水溶液(10重量/重量%)を添加し、内容物を十分混合した。次の5秒以内に、バイアルを液体窒素浴中に入れて混合物を急速に凍結した。最後に、−80℃、0.050mbarで48時間、実験室の冷凍乾燥機(Christ Alpha 2−4,Salm annd Kipp,オランダ)中で凍結混合物を凍結乾燥した。ふわふわしたケークを得た。
【実施例3】
【0080】
化合物1の調合物(FD PEG4000)の調製
50mgの低溶解性薬剤(化合物1)をガラスの注入バイアル中に秤量した。その後、このバイアルに66.34%(重量/重量)のPEG4000、16.58%(重量/重量)のPolysorbat80、16.85%(重量/重量)のSolutol(R)HS15および0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する、950mgの界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。その後、バイアルに4mlの加熱(80℃)マニトール水溶液(10重量/重量%)を添加し、あらゆる固形の内容物が溶解するまで内容物を十分混合した。次の5秒以内に、バイアルを液体窒素浴中に入れて混合物を急速に凍結した。最後に、−80℃、0.050mbarで48時間、実験室の冷凍乾燥機(Christ Alpha 2−4,Salm annd Kipp,オランダ)中で凍結混合物を凍結乾燥した。スパチュラで容易に粉末化することができるケークを得た。
【実施例4】
【0081】
化合物1の調合物(SD PEG4000)の調製
13.7gの低溶解性薬剤(化合物1)をガラスのフラスコ中に秤量した。その後、このフラスコに66.34%(重量/重量)のPEG4000、16.58%(重量/重量)のPolysorbat80、16.85%(重量/重量)のSolutol(R)HS15および0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する、260gの界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。この融解溶液1gを250mlのヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液(HPMC等級E5、0.016重量/重量%)と混合した。次に、Mini Spray Dryer Buechi 191(Buechi,スイス)を使用して、生成された溶液を噴霧乾燥した。空気流は600 l/時間であり、入り口温度は150℃であり、アスピレーターは80%に設定され、供給流速度は約5.5g/分であり、これらの条件下の出口温度は約90℃であった。自由流動性の粉体を得た。
【実施例5】
【0082】
化合物1の調合物(SD TPGS)の調製
フラスコ中に1.0gの低溶解性薬剤(化合物1)を秤量した。その後、このフラスコに0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する、20.0gの加熱(80℃)ビタミンE TPGSを添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。この融解溶液1gを25mlのヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液(HPMC等級E5、0.16重量/重量%)と混合した。次に、Mini Spray Dryer Buechi 191(Buechi,スイス)を使用して、生成された溶液を噴霧乾燥した。空気流は600 l/時間であり、入り口温度は150℃であり、アスピレーターは80%に設定され、供給流速度は約5.5g/分であり、これらの条件下の出口温度は約90℃であった。自由流動性の粉体を得た。本実施例は、本発明が界面活性剤−補助溶媒混合物に限定されないことを示している。低溶解性化合物のミセル水溶液が、溶解された製薬学的に許容されうる担体の存在下で得られた後に、生成されたミセル溶液は本発明に従って処理された。
【実施例6】
【0083】
化合物1調合物(SD PEG4000)の前、後の粒度
Coulter Aqueous Liquid Moduleを備えたレーザー回折装置Coulter LS 13 320(Beckman Coulter,Fullerton,CA,USA)を使用して、噴霧乾燥の前および後に、薬剤ミセルの粒度を測定した。流体の真の屈折率は1.33(水)に設定された。サンプルに対する真の屈折率は1.46に、想像の屈折率は0.01に設定された。ガラスの注入バイアル中に50mgの低溶解性薬剤(化合物1)を秤量した。その後、このバイアルに66.67%(重量/重量)のPEG4000、16.67%(重量/重量)のPolysorbat80および16.67%(重量/重量)のSolutol(R)HS15を含有する、950mgの加熱(80℃)界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。この融解溶液1gを250mlのヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液(HPMC等級E5、0.016重量/重量%)と混合した。レーザー回折により体積重み付き直径d95%として(as volume weighted diameter d 95%)測定された、生成されたミセル溶液の粒度は345nmであった。1.4gの実施例3に従って製造された粉体(50mgの化合物1含有)を250mLの水に溶解した。レーザー回折により体積重み付き直径d95%として決定された、生成されたミセル溶液の粒度は254nmであった。
【実施例7】
【0084】
化合物1のFD粉体の打錠
実験的液圧プレスおよび40秒間適用された100barsの圧縮圧を使用することにより、実施例3から生成される粉体を12.5mmの粒径をもつ両面錠に打錠した。
【実施例8】
【0085】
化合物1のSD粉体の打錠
実施例4に従って製造された325mgの粉体を325mgの顆粒化親水性ヒュームドシリカ(AEROPERL(R)300/30,Degussa AG,ドイツ)および125mgのポリビニルピロリドン(Kollidon(R)CL、BASF,ドイツ)と混合した。次に、実験的液圧プレスおよび2秒間適用された40barsの圧縮圧を使用することにより、混合物を12.5mmの粒径をもつ両面錠に打錠した。
【実施例9】
【0086】
化合物1のPEG400(FD)の放出プロファイル
実施例2に従って製造された粉体を硬ゼラチンカプセルに充填した。1カプセル中の薬剤含量は25mgであった。USPIIに従って溶解試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に10mLのサンプルを採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。サンプル中の薬剤含量をHPLCで測定した。20分後、薬剤の
約95%が放出された。
【実施例10】
【0087】
化合物1のPEG4000カプセル(FD)の放出プロファイル
実施例3から生成された粉体を硬ゼラチンカプセルに充填した。1カプセル中の薬剤含量は25mgであった。USPIIに従って溶解試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に10mLのサンプルを採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。サンプル中の薬剤含量をHPLCで測定した。20分後、薬剤の約85%が放出された。
【実施例11】
【0088】
化合物1のPEG4000カプセル(SD)の放出プロファイル
実施例4から製造された650mgの粉体を硬ゼラチンカプセルに充填した。1カプセル中の薬剤含量は25mgであった。USPIIに従って溶解試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に10mLのサンプルを採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。サンプル中の薬剤含量をHPLCで測定した。20分後、薬剤の約85%が放出された。
【実施例12】
【0089】
化合物1のPEG4000の錠剤(SD)の放出プロファイル
実施例8に従って製錠された錠剤からの薬剤放出を試験した。1錠中の薬剤含量は25mgであった。USPIIに従って溶解試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。10mLのサンプルを0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。サンプル中の薬剤含量をHPLCで測定した。20分後、薬剤の約82%が放出された。
【実施例13】
【0090】
噴霧乾燥しない化合物1のPEG4000錠
本実施例においては、本発明に従って製造された調合物の放出プロファイルを標準の方法(例えば溶融押し出し)により製造された他の調合物のものと比較するための比較調合物を調製した。従って、ガラス注入バイアル中に150mgの低溶解性薬剤(化合物1)を秤量した。その後、このバイアルに66.67%(重量/重量)のPEG4000、16.67%(重量/重量)のPolysorbat80および16.67%(重量/重量)のSolutol(R)HS15を含有する、2850mgの加熱(80℃)界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。生成された溶液をガラス板上に注入し、固化のために25℃に冷却した。次に固体の塊をスパチュラで約2mm〜5mmの粒径をもつ不規則な粒子に粉砕した。実験的油圧プレスおよび2秒間適用される40barsの圧縮圧を使用することにより、325mgの粉砕固形塊(12.5mgの薬剤を含有)、325mgの顆粒化親水性ヒュームドシリカ(AEROPERL(R)300/30,Degussa AG,ドイツ)および125mgのポリビニルピロリドン(Kollidon(R)CL、BASF,ドイツ)からなる、12.5mmの粒径をもつ3個の両面錠を打錠した。
【実施例14】
【0091】
噴霧乾燥を伴わないPEG4000化合物1錠の溶解
実施例13に従って製造された錠剤からの薬剤放出を試験した。1錠当たりの薬剤含量は12.5mgであった。USPIIに従って溶出試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に10mLのサンプルを採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。サンプル中の薬剤含量をHPLCで測定した。20分後、薬剤の約60%が放出された。
【実施例15】
【0092】
PEG4000基剤の化合物1の液体充填カプセル
この実施例においては、本発明に従って製造された調合物の放出プロファイルを標準の方法(例えば液体充填カプセル)により製造された他のサンプルのものと比較するための比較調合物を調製した。従って、ガラス注入バイアル中に150mgの低溶解性薬剤(化合物1)を秤量した。その後、このバイアルに66.67%(重量/重量)のPEG4000、16.67%(重量/重量)のPolysorbat80および16.67%(重量/重量)のSolutol(R)HS15を含有する、2850mgの加熱(80℃)界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。生成された溶液を硬ゼラチンカプセル(Licaps、サイズ0、Capsugel,ベルギー)中に充填し、固化のために25℃に冷却した。各カプセルに500mgの融解塊(25mgの化合物1含有)を充填した。
【実施例16】
【0093】
PEG4000基剤の液体充填化合物1のカプセルの溶出
実施例15に従って製造されたカプセルからの薬剤放出を試験した。1錠当たりの薬剤含量は25mgであった。USPIIに従って溶出試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に10mLのサンプルを採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。HPLCでサンプル中の薬剤含量を測定した。20分後、薬剤の約52%が放出された。
【実施例17】
【0094】
化合物2の調合物(SD)の調製
ガラスフラスコ中に250mgの低溶解性薬剤化合物2を秤量した。その後、このフラスコに66.34%(重量/重量)のPEG4000、16.58%(重量/重量)のPolysorbat80、16.58%(重量/重量)のビタミンE TPGSおよび0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する、9.75gの界面活性剤−補助溶媒混合物を添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。1gの融解溶液を100mlのヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液(HPMC等級E5、0.016重量/重量%)と混合した。次に、Mini Spray Dryer Buechi 191(Buechi,スイス)を使用して、生成された溶液を噴霧乾燥した。空気流は600 l/時間であり、入り口温度は150℃であり、アスピレーターは80%に設定され、供給流速度は約5.5g/分であり、これらの条件下の出口温度は約90℃であった。完全な薬剤−界面活性剤−補助溶媒混合物が処理されるまでこの工程を反復した。自由流動性粉体を得た。
【実施例18】
【0095】
化合物2のSD粉体の打錠
実施例17に従って製剤された650mgの粉体を450mgの顆粒化親水性ヒュームドシリカ(AEROPERL(R)300/30,Degussa AG,ドイツ)および200mgのポリビニルピロリドン(Kollidon(R)CL、BASF,ドイツ)と混合した。次に、実験的油圧プレスおよび2秒間適用される40barsの圧縮圧を使用することにより、混合物を12.5mm粒径をもつ両面錠に打錠した。
【実施例19】
【0096】
化合物2のPEG4000カプセル(SD)の放出プロファイル
実施例18に従って製錠された錠剤からの薬剤放出を試験した。1錠当たりの薬剤含量は12.5mgであった。USPIIに従って溶出試験を実施した。37.5℃で、0.5重量/容量%のナトリウムドデシルスルフェート含有の900mLの0.1MのHClを容器に充填した。最初の90分間はパドル速度を50rpmに設定し、その後更に30分間パドル速度を150rpmに増加した。0、5、10、20、30、45、60、90および120分後に10mLのサンプルを採取し、0.22μmのフィルターを通して濾過した。すべての実験を三重で実施し、これらの3回の実験の平均±共分散を時間の関数としてプロットした。HPLCでサンプル中の薬剤含量を測定した。20分後、薬剤の約92%が放出された。
【実施例20】
【0097】
化合物3の調合物(SD TPGS)の調製
フラスコ中に0.2gの低溶解性薬剤(化合物3)を秤量した。その後、このフラスコに0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する、1.8gの加熱(80℃)ビタミンE TPGSを添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。2gのこの融解溶液を100mlのヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液(HPMC等級E5、0.6重量/重量%)と混合した。次に、Mini Spray Dryer Buechi 191(Buechi,スイス)を使用して、生成された溶液を噴霧乾燥した。空気流は600 l/時間であり、入り口温度は120℃であり、アスピレーターは80%に設定され、供給流速度は約5.5g/分であり、これらの条件下の出口温度は約80℃であった。自由流動性の粉体を得た。本実施例は、本発明が界面活性剤−補助溶媒混合物に限定されないことを示している。溶解された製薬学的に許容されうる水溶性担体の存在下で一旦低溶解性化合物のミセル水溶液が得られた後に、生成されたミセル溶液を本発明に従って処理した。
【実施例21】
【0098】
化合物1の調合物(SD TPGS)の規模拡大実験
フラスコに100.0gの低溶解性薬剤(化合物1)を秤量した。その後、このフラスコに0.5%(重量/重量)の無水クエン酸を含有する1900.0gの加熱(80℃)ビタミンE TPGSを添加した。薬剤が完全に溶解するまで、この混合物を80℃のオーブン内に保存した。2kg(2000.0g)のこの融解溶液を18.0Lのヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液(HPMC等級E5、3.33重量/重量%)と混合した。次に、噴霧乾燥機Niro Atomizer Mobile Minor(Niro Inc.)を使用して、生成された溶液を噴霧乾燥した。入り口温度は250℃であり、供給流速度は約50g/分であり、これらの条件下の出口温度は約80℃であった。自由流動性の粉体を得た。本実施例は、より大型装置への規模拡大もまた可能であり、小型の実験室規模で製造された粉体と同様な特性を有する粉体をもたらしたことを示している。
【実施例22】
【0099】
実施例21で得た粉体(SD TPGS)の温度安定性の測定
実施例21の生成物(大量生産化合物1、SD TPGS)を80℃のオーブンに入れ、80℃で4週間保存した。粉体の形態に関する主要な変化は認めなかった。80℃で4週間の保存後にすら、自由流動性粉体がまだ残存していた。それに対し、同様な組成をもつ物理的混合物は、同一オーブン中で80℃で1時間の保存後にすでに完全に融解した。
【実施例23】
【0100】
雄のビーグル犬における化合物1の4種の異なる調合物に対する生物学的利用能の比較データ
他の調合タイプに対する、本発明に従う包埋ミセルを含有する最終剤形の生物学的利用能を試験するために、交差計画の生物学的利用能比較研究を実施した。4匹の雄のビーグル犬に、以下の表1に示されるような成分を含む幾つかの剤形に調合された50mgの化合物1を投与した。
【0101】
【表1】

【0102】
すべての例で、50mgの化合物1が投与され、それは、場合により2種の剤形が同時に投与されたことを意味する。実施例1に記載の方法に従って測定された経口投与後の平均血漿レベルは図2に示されている。これらの測定値から表2に与えられるデータを得た。
【0103】
【表2】

【0104】
前記のように、本発明に従う組成物、例えば有効化合物を含有する包埋ミセルを含んでなる錠剤の、雄のビーグル犬における相対的生物学的利用能は、微粉化有効化合物を含有する錠剤の相対的生物学的利用能と比較すると約6倍高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミセルが補助物質中に溶解された低溶解性化学物質を含んでなり、そしてミセルが水溶性担体中に包埋されている、ナノサイズのミセルを含んでなる、熱安定な固形組成物。
【請求項2】
ミセルが補助物質中に溶解された低溶解性化学物質を含んでなり、そしてミセルが水溶性の製薬学的に許容されうる担体のマトリックス中に包埋されている、ナノサイズのミセルを含んでなる、熱安定な固形の製薬学的組成物。
【請求項3】
ミセルが約1000nm未満の有効平均粒度を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ミセルが約500nm未満の有効平均粒度を有する、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
補助物質が少なくとも10重量/重量%の界面活性剤および、場合により1種または複数の補助溶媒および/または1種または複数の補助界面活性剤を含んでなる、請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
補助物質が、ポリオキシエチレンステアレート(例えば、Solutol(R))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween(R))、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、Chremophor(R))、ビタミンE TPGS、非イオンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー(例えば、Poloxamer(R))、水溶性長鎖有機ホスフェートエステル(例えば、Arlatone(R))、イヌリンラウリルカルバメート(例えば、Inutec SP1(R))よりなる群から選択される、請求項1〜5に記載の組成物。
【請求項7】
補助溶媒が、アルキレングリコール(例えば、PEG、プロピレングリコール);多価アルコール(例えば、マニトール、ソルビトールおよびキシリトール);ポリオキシエチレン;線状ポリオール(例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびメトキシポリエチレングリコール)並びにそれらの混合物、よりなる群から選択される、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
補助溶媒が800ドルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
補助溶媒がPEG200、PEG400およびPEG800よりなる群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
補助溶媒が950〜20,000ドルトンの範囲の分子量を有する、ポリエチレングリコール(PEG)である、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
補助溶媒がPEG2000、PEG3350、PEG4000およびPEG8000よりなる群から選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
水溶性の製薬学的に許容されうる担体が、
− アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース)、
− ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロース)、
− ヒドロキシアルキル−アルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチル−メチルセル
ロースおよびヒドロキシプロピル−メチルセルロース)、
− カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、
− カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、
− カルボキシアルキルアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルエチルセルロース)、
− カルボキシアルキルセルロースエステル、
− デンプン、
− ペクチン(例えば、ナトリウムカルボキシメチルアミロペクチン)、
− キチン誘導体(例えば、キトサン)、
− 多糖類(例えば、アルギン酸、そのアルカリ金属およびアンモニウム塩)、
− カラゲーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアゴム、グアガムおよびキサンタンガム、
− ポリアクリル酸およびそれらの塩、
− ポリメタクリル酸およびそれらの塩、メタクリレートコポリマー、
− ポリビニルアルコール、
− ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのビニルアセテートとのコポリマー、− ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド)並びにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、
よりなる群から選択される、請求項2〜11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が粒体、顆粒、圧縮錠剤、舌下錠、バッカル錠、充填カプセルまたは充填小袋の形態にある、請求項1〜12に記載の組成物。
【請求項14】
低溶解性有効物質がカンナビノイドアゴニスト、カンナビノイドインバースアゴニストおよびカンナビノイドアンタゴニストよりなる群から選択される、請求項1〜13に記載の組成物。
【請求項15】
低溶解性有効物質が(4S)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−(1−ピペリジニル−スルホニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドである、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
低溶解性有効物質が(4S)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4,5−ジヒドロ−N’−メチル−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドである、請求項14記載の組成物。
【請求項17】
低溶解性有効物質が(4S)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−[[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル]−1H−ピラゾール−1−カルボキシイミダミドである、請求項14記載の組成物。
【請求項18】
以下の工程:
a)補助物質または補助物質の混合物中に低溶解性有効物質を溶解し、
b)場合により、a)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
c)a)またはb)で得た溶液を水と混合してナノサイズのミセルを形成し、
d)c)で得た混合物中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る工程、
を含んでなる、請求項2〜17に記載の固形の製薬学的組成物を調製する方法。
【請求項19】
以下の工程:
a)補助物質または補助物質の混合物中に低溶解性有効物質を溶解し、
b)場合により、a)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
c)マトリックス形成物質を水に溶解し、
d)c)で得た溶液とa)またはb)で得た溶液を混合してナノサイズのミセルを形成し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る工程、
を含んでなる、請求項2〜17に記載の固形の製薬学的組成物を調製する方法。
【請求項20】
以下の工程:
a)補助物質または補助物質の混合物のいずれかに低溶解性有効物質を溶解し、
b)a)で得た溶液を水に溶解してナノサイズのミセルを形成し、
c)場合により、b)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、
d)b)またはc)で得た溶液中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る工程、
を含んでなる、請求項2〜17に記載の固形の製薬学的組成物を調製する方法。
【請求項21】
以下の工程:
a)補助物質または補助物質の混合物を水に溶解してナノサイズのミセルを形成し、
b)a)で得た溶液に低溶解性有効物質を溶解し、ここで、得られた溶液は低溶解性有効物質を含んでなるミセルを含有し、
c)場合により、b)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加し、そして
d)b)またはc)で得た溶液中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る工程、
を含んでなる、請求項2〜17に記載の固形の製薬学的組成物を調製する方法。
【請求項22】
以下の工程:
a)補助物質または補助物質の混合物を水に溶解し、
b)a)で得た溶液に低溶解性有効物質を溶解し、
c)b)で得た溶液に1種または複数の更なる補助物質を添加して、低溶解性有効物質を含んでなるミセルを含有する溶液を形成し、そして
d)c)で得た低溶解性有効物質を含んでなるミセルを含有する溶液中にマトリックス形成物質を溶解し、そして
e)d)で得た混合物を乾燥して、そのミセルがマトリックス形成物質中に包埋されている固形の製薬学的組成物を得る工程、
を含んでなる、請求項2〜17に記載の固形の製薬学的組成物を調製する方法。
【請求項23】
乾燥工程が凍結乾燥、噴霧乾燥、凍結噴霧乾燥、真空乾燥またはそれらの組み合わせにより実施される、請求項18〜22に記載の方法。
【請求項24】
固形の製薬学的組成物を顆粒、圧縮錠剤、舌下錠またはバッカル錠に加工する工程を更に含んでなる、請求項18〜23に記載の方法。
【請求項25】
固形の製薬学的組成物をカプセルまたは小袋に充填する工程を更に含んでなる、請求項18〜23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−506886(P2010−506886A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532815(P2009−532815)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061194
【国際公開番号】WO2008/046905
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】