説明

化粧コンクリートブロックの製造方法、化粧ブロック塀の構築方法及び化粧コンクリートブロック積層体

【課題】化粧塗装層と被覆材層を形成する化粧コンクリートブロックを短時間で同時に複数個製造できる化粧コンクリートブロックの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、並行配置された各板部材12、13、14の間に複数の素材コンクリートブロック1が並置、積層されてコンクリートブロック積層体10が形成される。そして、この積層体10は加圧固定手段11によって固定されて、側方全表面1Cに下地調整塗材2A、密着塗材2B、装飾塗材2C、被覆塗材2Dが塗装されて化粧塗装層2が形成される。乾燥後、形成された化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aに、被覆材層4が形成され、個々の化粧コンクリートブロック5が、積層線3B、3Cに沿って化粧塗装層2、被覆材層4に同時に一緒に切目4A、4Bが入れられ、化粧塗装層2が被覆材層4によって保護された状態で切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧コンクリートブロックの製造方法、化粧ブロック塀の構築方法及び化粧コンクリートブロック積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートブロック塀等のコンクリートブロックの製造方法としては、コンクリートブロック塀構築現地において、複数のコンクリートブロック素体(以下、素材コンクリートブロックと称する。)を並べて土台の上に載置して積層し、これら積層したコンクリートブロックの側方面に塗装を施して側方面上に塗装層を形成するとともに各コンクリートブロック間の間隙である積層線でもある目地を埋める仕上処理を施してコンクリートブロック塀を完成させるものが知られている。また、近年では、コンクリートブロックの塗装材として化粧塗材を用い、意匠性のある美観を有する化粧コンクリートブロックを製造する方法が知られている。
【0003】
上記のようなコンクリートブロックの製造方法としては、例えば特許文献1には、建築用コンクリートブロックを上下左右に積み重ねて構築される新設ブロック塀等の着色方法であって、ブロック塀の表面に下地壁面を形成し、この下地壁面を単色の塗料により塗装して下塗り面を形成し、この上からマスキングを介して色彩混合塗装により塗装して上塗り面を形成するブロック塀等の着色方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献では、コンクリートブロックの塗装面即ち側方面の塗装がコンクリートブロック塀構築現地にてコンクリートブロックが積層された後に行われるため、現地環境によってはコンクリートブロックの塗装面即ち側方面の塗装が困難にある場合があるため、近時は、素材コンクリートブロック製造地において予め側方面に塗装処理による化粧塗装層を形成してから現地に運搬し、現地での側方面の塗装作業を省略することが要求されていた。
【0005】
この際、塗装されたコンクリートブロックがコンクリートブロック塀構築現地へ運搬中に、衝撃等によって側方面の塗装に傷がつくおそれがあるため、例えば、特許文献2記載の方法を用いて、コンクリート表面に表面保護が可能な被覆材となる保護フィルムを貼着し側方面に被覆材層を形成したコンクリートブロックを製造することにより、運搬中の衝撃に基づいてコンクリートブロック側方面の塗装に傷がつくことを防止する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−225660号公報
【特許文献2】特開2005−299320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献記載の方法では、製造地において素材コンクリートの側方表面に化粧塗装層と被覆材層を形成した化粧コンクリートを製造するためには、これら化粧塗装層と被覆材層をそれぞれ別工程で形成する必要があり、またこの化粧コンクリートブロックは一つずつ成型するため、製造時間がかかってしまい不経済的となる問題があった。
【0008】
本発明の目的は、側方表面に化粧塗装層と被覆材層を形成する化粧コンクリートブロックを素材コンクリートブロックの形状をかして短時間で同時に複数個製造することができる化粧コンクリートブロックの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、また、上記の製造方法で製造された化粧コンクリートブロックにより、運搬によって化粧塗装層が損傷せず美観を保つことができ、しかも容易に短時間で化粧ブロック塀を構築することができる化粧ブロック塀の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、また、運搬によって化粧塗装層が損傷せず美観を保つことができ、しかも容易に短時間で化粧ブロック塀を構築することができる本発明の化粧コンクリートブロック積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体が形成され、該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に被覆材層が形成され、個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたことを特徴としている。
【0012】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体が形成され、該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、接着剤が貼着された被覆層が被覆、付着されて被覆材層が形成され、個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたことを特徴としている
【0013】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、また、複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体が形成され、該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、塗装器具によって被覆層塗材が塗装され、乾燥されて、被覆材層が形成され、個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたことを特徴としている。
【0014】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、また、前記被覆層塗材は、ケトン系と芳香族系炭化水素との混合溶剤に塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合物を溶解してなる可剥性塗料からなることを特徴としている。
【0015】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、また、前記装飾塗材が、ペースト状塗材からなり、塗装された時に、表面に装飾が施されることを特徴としている。
【0016】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、また、前記装飾塗材が、タイルと該タイルに接着される接着剤とからなり、該装飾塗材を塗装する時に、該接着剤を付着してからタイルが付着されることで装飾塗材塗装がなされることを特徴としている。
【0017】
本発明の化粧ブロック塀の構築方法は、上記発明のいずれかに記載した化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックから前記被覆材層が剥離され、該被覆材層が剥離された化粧コンクリートが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀が形成され、該仮化粧ブロック塀の化粧コンクリートブロックの積層線に沿って、かつ近接して隣接する化粧コンクリートブロックに汚れ防止テープが貼着し、積層線に沿って介在する空隙に接着用モルタルをコーキング部材によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロックを接着一体化し、乾燥させ、乾燥後に前記汚れ防止テープを剥離して、化粧ブロック塀を完成することを特徴としている。
【0018】
本発明の化粧ブロック塀の構築方法は、または、上記発明のいずれかに記載した化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀が形成され、該仮化粧ブロック塀の化粧コンクリートブロックの積層線に沿って介在する空隙に接着用モルタルをコーキング部材によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロックを接着一体化し、乾燥させ、乾燥後に前記被覆材層を剥離して、化粧ブロック塀を完成することを特徴としている。
【0019】
本発明の化粧コンクリートブロック積層体は、複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体であって、該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、接着剤が貼着された被覆層が被覆、付着されて被覆材層が形成され、個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたことを特徴としている。
【0020】
本発明の化粧コンクリートブロック積層体は、または、複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体であって、該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に被覆材層が形成され、個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の化粧コンクリートブロックの製造方法は、上述の如く構成したので、側方表面に化粧塗装層と被覆材層を形成する化粧コンクリートブロックを素材コンクリートブロックの形状をかして短時間で同時に複数個製造することができる化粧コンクリートブロックの製造方法を提供することができる。
【0022】
また、本発明の化粧ブロック塀の製造方法は、上述の如く構成したので、上記の製造方法で製造された化粧コンクリートブロックにより、運搬によって化粧塗装層が損傷せず美観を保つことができ、しかも容易に短時間で化粧ブロック塀を構築することができる化粧ブロック塀の製造方法を提供することができる。
【0023】
また、本発明の化粧コンクリートブロック積層体は、上述の如く構成したので、運搬によって化粧塗装層が損傷せず美観を保つことができ、しかも容易に短時間で化粧ブロック塀を構築することができる本発明の化粧コンクリートブロック積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法における、コンクリートブロック積層体を形成する手順を示す図である。
【図2】図1において、コンクリートブロック積層体を形成し、加圧固定手段及び各板部材により保持した状態を示す図である。
【図3】図2にコンクリートブロック積層体において、側方面に塗装処理を施す手順を説明する図である。
【図4】図3のコンクリートブロック積層体において、側方面にされた塗装が乾燥した状態を示す図である。
【図5】図4のコンクリートブロック積層体において、塗装面上に被覆層を貼着した状態を示す図である。
【図6】図5のコンクリートブロック積層体において、積層線に沿って切目を入れた状態を示す図である。
【図7】図6のコンクリートブロック積層体において、個々のコンクリートブロックが切り離された状態を示す図である。
【図8】本発明の実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法によって製造された化粧コンクリートブロックの概略を示す図である。
【図9】本発明の実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法の適用例である製造された化粧コンクリートブロックの概略を示す図であり、(a)は一の適用例のもので、(b)は別の適用例のものである。
【図10】図9の化粧コンクリートブロックの側方面に形成された化粧塗装層の構造を示す図であり、(a)は一の適用例のもので、(b)は別の適用例のものである。
【図11】図10の化粧塗装層の構造を平面から示す部分断面図であり、(a)は一の適用例のもので、(b)は別の適用例のものである。
【図12】本発明の実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法によって製造された化粧コンクリートブロックの被覆材層を剥離して、仮化粧ブロック塀を構築した状態を示す図である。
【図13】図12の仮化粧ブロック塀の一部を示す部分拡大図である。
【図14】図12の仮化粧ブロック塀の各化粧コンクリートブロックの積層線に沿って隙間を埋めた状態を示す部分拡大図である
【図15】図14の隙間が埋められた各化粧コンクリートブロックの化粧塗装層に仕上げ作業を施して化粧ブロック塀を完成させる手順を説明する部分拡大図である。
【図16】本発明の実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法によって製造された化粧コンクリートブロックの被覆材層を剥離して、仮化粧ブロック塀を構築した状態の別の例を示す図である。
【図17】本発明の別の実施例である化粧コンクリートブロックの製造方法であり、図4のコンクリートブロック積層体において、塗装面上に被覆層塗材を塗装した状態を示す図である。
【図18】本発明の別の実施例である化粧コンクリートブロックの製造方法の手順をフローチャートで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例である化粧コンクリートブロックの製造方法について、以下図1〜図7を用いて説明する。まず、図1に示すように、複数の素材コンクリートブロック1が、上下方向に並行配置された上部板部材12、中間板部材13及び下部板部材14のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材12、13、14によって保持されたコンクリートブロック積層体10が形成される。
【0027】
次に、このコンクリートブロック積層体10が、加圧固定手段11によって上部板部材12の上方から加圧されて互いに固定されて、この固定されたコンクリートブロック積層体10の側方全表面1Cに、下地調整塗材2A、密着塗材2B、装飾塗材2C及び被覆塗材2Dが塗装器具30によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層2が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体3が形成される。
【0028】
そして、この化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aに、接着剤36Aが貼着された被覆層36が被覆、付着されて被覆材層4が形成され、個々の化粧コンクリートブロック5が、積層された化粧コンクリートブロック5の積層線3B、2Cに沿って切取部材37によって化粧塗装層2及び被覆材層4に同時に一緒に切目4A、4Bが入れられることによって形成されて、化粧塗装層2がこの被覆材層4によって保護された状態で切り離されるようになっている。以下、上記の本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法について詳述する。
【0029】
図1は、本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法における、コンクリートブロック積層体を形成する手順を示す図である。この図1に示すように、複数の素材コンクリートブロック1は、上下方向に並行配置された上部板部材12、中間板部材13及び下部板部材14のそれぞれの間に並置される。
【0030】
この素材コンクリートブロック1としては、空洞部1B、側方表面1C及び両端の溝部1Dが形成された方塊状のコンクリート部1Aからなり、工業製品として規格され市販されているものが用いられる。
【0031】
各板部材12、13、14は、水平方向に延在する板部材12A、13A、14Aと、この板部材上に設けられ、上記の並置する素材コンクリートブロック1間に介在若しくは外端の素材コンクリートブロック1の外側に設けられる区分板12B、13B、14Bと、積層する素材コンクリートブロック1間の溝部1Dの水平方向位置と同じ位置に設けられ、後述する固定軸21、22を貫通させる貫通穴12C、13C、14Cと、外側に設けられる区分板12B、13B、14Bに設けられる溝部12D、13D、14Dとから構成されている。
【0032】
この際、溝部12D、13D、14Dは、素材コンクリートの並置する数に応じて水平方向に図示しない他の区分板を設ける際に、その他の区分板の溝部と併せて後述するような固定軸を貫通させることができる溝を形成するようになっている。また、貫通穴13C、14Cと干渉する位置にある区分板13B、14Bには、切欠部13E、14Eが設けられ、固定軸21、22の貫通穴13C、14Cへの貫通ができるようになっている。
【0033】
このような各板部材12、13、14を素材コンクリートブロック1の間に介在させることによって、並置される素材コンクリートブロック1を等間隔に並置し、積層された素材コンクリートブロック1が水平方向に変位するのを防いで後述する縦の積層線3B、3Cが一直線になるように素材コンクリートブロック1を積層することができる。これにより、各板部材12、13、14によって保持されたコンクリートブロック積層体10が形成される。
【0034】
また、このコンクリートブロック積層体10は、加圧固定手段11によって上部板部材12の上方から加圧されて互いに固定される。この加圧固定手段11は、水平方向に延在する鉄骨角材等からなる角材11Aとこの角材11Aの下部に所定数の加圧部11Bと、角材と加圧部を貫通するように、かつ積層する素材コンクリートブロック1間の溝部1Dの水平方向位置と同じ位置即ち貫通穴12C、13C、14Cと同じ水平方向位置に設けられ、後述する固定軸21、22を貫通させる貫通穴11Cを備えている。
【0035】
この角材11Aを上部板部材12の上方に配置することによって、この上部板部材11を上方から加圧して、コンクリート積層体10が搖動しないように保持される。従って、上層に積層された素材コンクリートブロック1の転落を防止することができる。また、この角材11Aは、素材コンクリートブロック1の並置する数に応じて、他の加圧固定手段26と結合することができる構造となっている。
【0036】
加圧固定手段11は、また、雄ねじ部21A、22A及び雌ねじ部21B、22Bを有する固定軸21、22を有している。この固定軸21、22が、各貫通穴11C、12C、13C、14Cを貫通して、ナット等の結合部材15、18及び土台19に保持された下部雄ねじ部17がワッシャー16等を介して固定軸21、22の雄ねじ部21A、22A若しくは雌ねじ部21B、22Bと結合されることによって、角材11A、加圧部11Bと各板部材12、13、14がそれぞれ連結される。この際、下部雄ねじ部17と土台19間には、下部板部材14を支持するようにパッキン等の支持部材20が設けられる。
【0037】
図2は、コンクリートブロック積層体を形成し、加圧固定手段及び各板部材により保持した状態を示す図である。上述の構成により、図2に示すように、コンクリート積層体10を保持する各板部材12、13、14と加圧固定手段11の配置状態が安定され、コンクリート積層体10の保持がより強固なものになる。
【0038】
また、以上の構成により、コンクリート積層体10の素材コンクリートを並置して、容易に同じ位置で積層して上層の素材コンクリートブロック1を並置することができるために、コンクリート積層体10には、水平方向及び垂直方向に一直線に形成された積層線3B、3Cを形成することができる。これにより、後述する切取部材による積層線3B、3Cに沿った切れ目を形成することができる。
【0039】
中間板部材13は、コンクリート積層体10のコンクリートの積層数に応じて所定段の上下層間に複数個配置することができ、この中間板部材13自体の配置を省略することもできる。また、固定軸21、22は、コンクリート積層体10のコンクリートの積層数に応じて雄ねじ部21A、22A及び雌ねじ部22A、22Bの結合により複数個上下に連結することができる。
【0040】
このように、本実施例においては、加圧固定手段11及び各板部材12、13、14を結合して素材コンクリート積層体10の位置を保持しているので、容易に素材コンクリート積層体10の位置を保持又は保持の解除を行うことができる。
【0041】
尚、本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法では、上記の加圧固定手段11及び各板部材12、13、14は、素材コンクリート積層体10の位置を保持でき、後述する積層線3B、3Cを一直線に形成できるものであれば、上記の構造に限定されず、他の構成も適用することができる。例えば、中間板部材13を省略しても、上述同様に容易に素材コンクリート積層体10の位置を保持又は保持の解除を行うことができる。
【0042】
図3は、コンクリートブロック積層体において、側方面に塗装処理を施す手順を説明する図である。上述のように、加圧固定手段11によって上部板部材12の上方から加圧されて互いに固定されたこのコンクリートブロック積層体10は、図3に示すように、この固定されたコンクリートブロック積層体10の側方全表面1Cに、下地調整塗材2A、密着塗材2B、装飾塗材2C及び被覆塗材2Dが塗装器具30によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層2が形成される。
【0043】
下地調整塗材2Aとしては、フィラーと呼ばれる特殊合成樹脂製等からなる塗材等が用いられ、素材コンクリートブロック1の表面状態に応じて種々のものがあり、素材コンクリートブロック1の材質に応じて下地即ち側方表面1Cの調整を施し、塗膜即ち化粧塗装層2への下地からの悪影響を防ぎ、美観性と耐久性を兼ね備えた化粧塗装層2を得るような下地にする目的で用いられる。
【0044】
密着塗材2Bとしては、プライマーと呼ばれる接着性の塗材等が用いられ、コンクリート1の側方表面1Cと装飾塗材2Cとを接着する目的で用いられる。また、この密着塗材2Bは、コンクリート1の側方表面1Cの防錆機能を併せ持っている。
【0045】
装飾塗材2Cとしては、意匠性のある表面形状を形成することができる有色の塗材であり、コンクリート1の側方表面1Cの美観性を生成する目的で用いられるものであり、後述する化粧コンクリートの美観性を生成する塗材となる。
【0046】
この装飾塗材2Cは、例えば、後述するようにペースト状塗材からなり、塗装された時に、表面に装飾が施されるものや、タイルとこのタイルに接着される接着剤とからなり、これらを塗装する時に、接着剤を付着してからタイルが付着されることで装飾塗材塗装がなされるものがある。
【0047】
また、被覆塗材2Dとしては、トップコートと呼ばれるような仕上用塗材等が用いられ、コンクリート1の側方表面1Cの仕上処理をして、表面の保護や塗装表面の仕上処理をする目的で用いられる。
【0048】
以上の塗材2A、2B、2C、2Dによる塗装は、図2に示すように、吹付塗装具31、塗装ローラー32、塗装こて33、塗装はけ34及びエアレス塗装機35等の塗装器具30等が用いられる。
【0049】
尚、本実施例においては、本発明の目的を逸脱しない範囲において、使用する塗材2A、2B、2C、2Dの種類は限られない。
【0050】
本実施例においては、コンクリート積層体10を形成しているので、以上の塗材2A、2B、2C、2Dによる塗装が全ての素材コンクリートブロック1の側方全表面1Cに対して同時に一緒に施すことができるので、短時間で多くの素材コンクリートの塗装を施すことができる。
【0051】
図4は、コンクリートブロック積層体において、側方面にされた塗装が乾燥した状態を示す図である。上述のように、塗装されて化粧塗装層が形成された即ち化粧されたコンクリートブロック積層体10は、乾燥されて、図4に示すように、化粧コンクリートブロック積層体3が形成される。
【0052】
図5は、コンクリートブロック積層体において、塗装面上に被覆層を貼着した状態を示す図である。化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aには、図5に示すように、接着剤36Aが貼着された被覆層36が被覆、付着されて被覆材層4が形成される。この被覆層36としては、塩化ビニル等の被覆材の表面に接着剤が貼着されたものが用いられる。
【0053】
このような被覆層36が化粧コンクリートブロック5の側方全表面3Aに接触されると、接着剤36Aの接着能力により接着層36が化粧コンクリートブロック5の側方全表面3Aに被覆、付着される。尚、この被覆層36による接着によって化粧コンクリートブロックの化粧塗装層2の表面が傷付いたり変質したりすることはない。
【0054】
また、本実施例では、化粧コンクリートブロック積層体3が形成されているので、化粧コンクリートブロックの側方全表面3Aにわたって同時に一緒に被覆層36を付着して化粧コンクリートブロックの側方全表面3Aに被覆材層4を形成することができるので、短時間で多くの化粧コンクリートブロックに被覆材層4を形成することができる。
【0055】
図6は、コンクリートブロック積層体において、積層線に沿って切目を入れた状態を示す図である。この図6に示すように、個々の化粧コンクリートブロック5が、積層された化粧コンクリートブロック5の積層線3B、3Cに沿ってカッター等の切取部材37によって化粧塗装層2及び被覆材層4に同時に一緒に切目4A、4Bが入れられることによって形成されて、化粧塗装層2がこの被覆材層4によって保護された状態で切り離されるようになっている。
【0056】
これら積層線3B、3Cがあるために、カッターによる切目4A、4Bを容易に形成することができ、容易に被覆材層4によって化粧塗装層2が保護された状態で個々の化粧コンクリートブロック5を切り離すことができる。
【0057】
図7は、コンクリートブロック積層体において、個々のコンクリートブロックが切り離された状態を示す図である。上述のように切り離された個々の化粧コンクリートブロック5は、図7に示すように、側方表面3A上に化粧塗装層2が形成され、更にこの化粧塗装層2を覆うように被覆材層4が形成される。これにより、この化粧コンクリートブロック5は、運搬時に衝撃などが起きても被覆材層4により化粧塗装層2が保護されるので、化粧塗装層2が傷付くことを防止することができる。
【0058】
図8は、本実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法によって製造された化粧コンクリートブロックの概略を示す図である。この図8に示すように、上記の化粧コンクリートブロック5は、素材コンクリートブロック1の側方表面上1Cに、下地調整塗材2A、密着塗材2B、装飾塗材2C及び被覆塗材2Dが塗装されて形成された化粧塗装層2及びこの化粧塗装層2の上側に剥離可能に貼着された被覆材層4が形成されている。
【0059】
図9は、本実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法の適用例を示す図である。ここで、上述の化粧塗装層2の形成において、装飾塗材2Cがペースト状塗材からなる塗材の場合の個々の化粧コンクリートブロック6Aは、被覆層36を剥離すると図9(a)に示すように化粧塗装層2が形成される。
【0060】
図10は、化粧コンクリートブロックの側方面に形成された化粧塗装層の構造を示す図であり、図11は、この化粧塗装層の構造を平面から示す部分断面図である。また、この化粧コンクリートブロック6Aの化粧塗装層2の断面は、図10(a)の側面図、図11(a)の平面図に示すように、化粧コンクリートブロック6Aの側方表面1C上に順次下地調整塗材2A、密着塗材2B、ペースト状の装飾塗材2C及び2Dによる層が順次形成されている。
【0061】
また、上述の化粧塗装層2の形成において、装飾塗材2Cがタイル2Fとこのタイル2Fに接着される接着剤2Eとからなる塗材の場合の個々の化粧コンクリートブロック6Bは、被覆層36を剥離すると図9(b)に示すように化粧塗装層2が形成される。
【0062】
また、この化粧コンクリートブロック6Bの化粧塗装層2の断面は、図10(b)の側面図、図11(b)の平面図に示すように、化粧コンクリートブロック6Aの側方表面1C上に順次下地調整塗材2A、密着塗材2B、接着剤2E、タイル2F及び2Dによる層が順次形成されている。
【0063】
尚、これら化粧塗装層2は、上述の切取部材37によって積層線3B、3Cによって切り離されるために、切り取られて化粧コンクリートブロックに形成される化粧塗装層2表面の面積は、コンクリートブロックの側方表面の面積とほぼ同一とすることができ、他の化粧コンクリートブロックと並置若しくは積層する際に、各化粧塗装層2が干渉して他の化粧コンクリートブロックと並置若しくは積層の妨げにならないようにすることができる。
【0064】
次に、上述の化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックを用いて現地で化粧ブロック塀を構築する方法について説明する。尚、以下の説明では、化粧コンクリートブロックは、装飾塗材としてペースト状塗材を用いて形成された化粧コンクリートブロック6Aについて説明するが、他の装飾塗材を用いた化粧コンクリートブロックにおいても以下の本実施例の化粧ブロック塀の構築方法を適用することができる。
【0065】
本実施例の化粧ブロック塀の構築方法は、上記の化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックから被覆材層4が剥離され、この被覆材層4が剥離された化粧コンクリート6Aが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀50が形成され、この仮化粧ブロック塀50の化粧コンクリートブロック6Aの積層線51、52に沿って、かつ近接して隣接する化粧コンクリートブロック6Aに汚れ防止テープ7が貼着し、積層線51、52に沿って介在する空隙8に接着用モルタル38Aをコーキング部材37によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロック6Aを接着一体化し、乾燥させ、乾燥後に汚れ防止テープ7を剥離して、化粧ブロック塀100を完成するようになっている。この化粧ブロック塀100の構築方法について、以下詳述する。
【0066】
まず、上記の化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックが、ブロック塀構築の現地まで運搬された後に、この化粧コンクリートブロックから被覆材層4が剥離され、図9(a)に示すような化粧コンクリートブロック6Aの状態にされる。
【0067】
図12は、本実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法によって製造された化粧コンクリートブロックの被覆層を剥離して、仮化粧ブロック塀を構築した状態を示す図である。この図12に示すように、上記の被覆材層4が剥離された化粧コンクリート6Aが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀50が形成される。この際、化粧コンクリート6Aの垂直方向への積層は、ブロック塀構築補助部材40によって位置変動がないように保持するように補助されて仮化粧ブロック塀50が形成される。
【0068】
このブロック塀構築補助部材40は、隣接するコンクリートブロックの溝部1D間に貫通される所定数の補助部材36とこの補助部材36の下部に設けられて補助部材36を支持する支持板32と、各補助部材36間を連結具33、34を介して連結する連結部材35により構成される。
【0069】
また、仮化粧ブロック塀50の両端側の補助部材36は、支持補強のための補強部材31、32がそれぞれ連結される。この補強部材31、32は、それぞれ部材31A、32A、31B、32B、31C、32C、31D、32Dが連結されて構成されている。
【0070】
以上のようにブロック塀構築補助部材40が構成されており、これによって構築された仮化粧ブロック塀50の保持がより強固なものとされ、仮化粧ブロック塀50の各化粧コンクリートブロック6Aの位置が変位するのを防ぐことができる。従って、上層に積層された化粧コンクリートブロック6Aの転落を防止することができる。
【0071】
また、以上の構成により、容易に各化粧コンクリートブロック6Aを並置して、同じ位置で積層して上層の各化粧コンクリートブロック6Aを並置することができるために、容易に一直線である仮化粧ブロック塀50の積層線51、52を形成することができる。
【0072】
これによって、後述する積層線51、52に沿った接着用モルタル38A流し込みを行って、容易に化粧ブロック塀100を完成することができる。この際、仮化粧ブロック塀50の積層線51、52に沿ってわずかな空隙8が生じる。
【0073】
図13は、仮化粧ブロック塀の一部を示す部分拡大図である。上記のように仮化粧ブロック塀50が形成された後は、図13に示すように、この仮化粧ブロック塀50の化粧コンクリートブロック6Aの積層線51、52に沿って、かつ近接して隣接する化粧コンクリートブロック6Aに汚れ防止テープ7が貼着される。
【0074】
図14は、仮化粧ブロック塀の各化粧コンクリートブロックの積層線に沿って隙間を埋めた状態を示す部分拡大図である。この図14に示すように、積層線51、52に沿って介在する空隙8に接着用モルタル38Aをコーキング部材37によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロック6Aの接着一体化が行われる。
【0075】
ここで、汚れ防止テープ7は、上記の接着用モルタル38Aをコーキング部材37によって空隙8に流し込む際に、接着用モルタル38Aが化粧コンクリートブロック6Aの化粧塗装層表面に飛散して汚れることを防止することができる。
【0076】
図15は、隙間が埋められた各化粧コンクリートブロックの化粧塗装層に仕上げ作業を施して化粧ブロック塀を完成させる手順を説明する部分拡大図である。上記コーキング部材37によって流し込まれた接着用モルタル38Aの乾燥後は、図15に示すように、汚れ防止テープ7を剥離して、化粧ブロック塀100を完成するようになっている。ここで、化粧ブロック塀100の完成処理として、艶出しの被覆や、塗装面をはけ等で整形すること等が行われる。
【0077】
ここで、被覆材層に切目を入れる際、側方表面の外形線に沿って切れ目を入れておくことにより、現地で上述のような化粧コンクリート塀を構築する際に、被覆材層を剥離する必要がなく、またこの被覆材層が汚れ防止テープ7の機能を有するので、汚れ防止テープ7を用いずに隣接する化粧コンクリートブロック6Aの接着一体化及び化粧塗装層への仕上げ作業ができ、材料費の節約ができるので経済的に化粧ブロック塀100を構築することができる。
【0078】
以上のように、本実施例の化粧ブロック塀の製造方法による化粧ブロック塀100の構築は、予め塗装処理が施されている化粧コンクリートブロック6Aを用いて行うために、ブロック塀構築現地においての塗装作業が不要であるために、化粧ブロック塀100の構築時間を著しく短縮することができる。
【0079】
図16は、本実施例における化粧コンクリートブロックの製造方法によって製造された化粧コンクリートブロックの被覆層を剥離して、仮化粧ブロック塀を構築した状態の別の例を示す図である。この図16に示す例では、上記の仮化粧ブロック塀50の形成は、ブロック塀構築補助部材45によって位置変動がないように保持するように補助されて行われる。
【0080】
このブロック塀構築補助部材45は、上記のブロック塀構築補助部材40の隣接するコンクリートブロックの溝部1D間に貫通される所定数の補助部材36間の連が、補助部材36の軸方向に移動可能に連結する連結具43、44により行われ、補助部材36の下部に設けられて補助部材36を挟持してこの補助部材36の軸方向に移動可能とする溝部42を有する支持板41により構成されたものであり、その他の構成は塀構築補助部材40と同様に構成されるものである。
【0081】
このブロック塀構築補助部材45により、構築する化粧ブロック塀100の規模に応じて容易に補助部材36を任意に増減設することができ、より簡便に化粧ブロック塀100を構築することができ、化粧ブロック塀100の構築時間を著しく短縮することができる。
【0082】
また、上記の化粧コンクリートブロック6Aは、運搬中には側方表面3Aが被覆材層4によって保護されているために、現地において化粧塗装層2の美観を保ちつつ化粧ブロック塀100の構築を行うことができる。
【0083】
以上のように、本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法は、上述の如く構成したので、側方表面に化粧塗装層と被覆材層を形成する化粧コンクリートブロックを素材コンクリートブロックの形状をかして短時間で同時に複数個製造することができる化粧コンクリートブロックの製造方法を提供することができる。
【0084】
また、本実施例の化粧ブロック塀の製造方法は、上述の如く構成したので、上記の製造方法で製造された化粧コンクリートブロックにより運搬によって化粧塗装層が損傷せず美観を保つことができ、しかも容易に短時間で化粧ブロック塀を構築することができる化粧ブロック塀の製造方法を提供することができる。
【0085】
また、本実施例の化粧コンクリートブロック積層体は、上述の如く構成したので、運搬によって化粧塗装層が損傷せず美観を保つことができ、しかも容易に短時間で化粧ブロック塀を構築することができる本発明の化粧コンクリートブロック積層体を提供することができる。
【実施例2】
【0086】
本発明の別の実施例である化粧コンクリートブロックの製造方法について、以下説明する。本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法において、化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aに形成される被覆材層4は、上述の実施例1のように接着剤36Aが貼着された被覆層36を側方全表面3Aに被覆、付着して形成される代わりに、被覆層塗材を化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aが塗装されて形成されることが行われる。尚、その他の化粧コンクリートブロックの製造方法については、上述の実施例1と同様であるので説明を省略する。以下、本実施例について詳述する。
【0087】
図17は、コンクリートブロック積層体において、塗装面上に被覆層塗材を塗装して被覆層を形成した状態を示す図である。本実施例では、上述の如く塗装により化粧塗装層が形成されたコンクリートブロック積層体10が乾燥され、図4に示すように形成された化粧コンクリートブロック積層体3に、図17に示すように、塗装器具30によって化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aに被覆層塗材39が塗装され、乾燥されて、被覆材層4が形成される。
【0088】
この被覆層塗材39は、側方全表面3Aに塗装されると、化粧塗装層2の表面から内部まで浸透していき乾燥され、剥離性が良好に保たれつつ側方全表面3Aに密着される。従って、本実施例では、上述の実施例のように被覆材層4を形成するために接着剤36Aが貼着された接着層36を備えるような被覆層を用いることを要せず、被覆層塗材39を側方全表面3Aに塗装することで、容易に側方全表面2Aに付着された被覆材層4を形成することができる。
【0089】
また、この被覆層塗材39としては、ケトン系と芳香族系炭化水素との混合溶剤に塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合物を溶解してなる可剥性塗料からなるものが望ましい。この可剥製塗料は、例えば以下の特長を有している。
(1)常温で利用でき、速乾性である。
(2)有害物質を含んでおらず、安全に塗装作業ができる。
(3)適度な付着力を有しており、プレス等の加圧加工にも耐えられる。
(4)刷毛、スプレー、フローコーター等の塗装方法でも利用できる。
(5)耐薬品性も良好で、弱酸性、弱アルカリ性の水溶液による腐食にも耐えることができ、保護対象の防錆の機能も有する。
(6)コンクリートブロック塀構築の接着モルタルの流し込みの際の、汚れ防止のマスキングの役割も果たすことができる。
また、この可剥製塗料は、上述の実施例のように装飾塗材がペースト状塗材やタイルからなる化粧塗装層において、被覆による保護に用いることに好適である。
【0090】
また、本実施例では、側方全表面3Aの保護性と被覆材層4の剥離性を考慮して、被覆層塗材39による被覆材層4の塗装膜の厚さは適宜選択可能であるが、0.1〜0.4μm程度が望ましいとされる。
【0091】
尚、上述の実施例1同様、被覆層塗材39による塗装によって化粧コンクリートブロックの化粧塗装層2の表面が傷付いたり変質したりすることはない。
【0092】
次に、本実施例における本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法について、図18を用いて以下説明する。まず、複数の素材コンクリートブロック1が、上下方向に並行配置された複数個の板部材12〜14のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材12〜14によって保持されたコンクリートブロック積層体10が形成される。
【0093】
次に、このコンクリートブロック積層体10が、加圧固定手段11によって板部材の上部板部材12の上方から加圧されて互いに固定される。次に、この固定されたコンクリートブロック積層体10の側方全表面1Cに、下地調整塗材2A、密着塗材2B、装飾塗材2C及び被覆塗材2Dが塗装器具30によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層2が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体3が形成される。
【0094】
次に、この化粧コンクリートブロック積層体3の側方全表面3Aに、塗装器具30によって被覆層塗材39が塗装され、乾燥されて、被覆材層4が形成される。そして、個々の化粧コンクリートブロック5が、積層された化粧コンクリートブロックの積層線3B、2Cに沿って切取部材37によって化粧塗装層2及び被覆材層4に同時に一緒に切目4A、4Bが入れられることによって形成されて、化粧塗装層2が被覆材層4によって保護された状態で切り離される。
【0095】
以上のように、本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックは、上述のようにコンクリートブロック塀構築における接着モルタルの流し込みの際の汚れ防止のマスキングの役割も果たすことができるので、ブロック塀組立現地にて化粧ブロック塀を完成させる際、上述の実施例1のような被覆材層4を剥離する工程と、化粧コンクリートブロック6Aに汚れ防止テープ7を貼着する工程を要せず、隙間が埋められた各化粧コンクリートブロック6Aの化粧塗装層2に仕上げ作業を施して塗装されて乾燥された被覆材層4を剥離して化粧ブロック塀100を完成させることができるので、より簡便に化粧ブロック塀を構築することができ、化粧ブロック塀の構築時間を短縮することができる。
【0096】
従って、上述の本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法によれば、上述の本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀が形成され、該仮化粧ブロック塀の化粧コンクリートブロックの積層線に沿って介在する空隙に接着用モルタルをコーキング部材によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロックを接着一体化し、乾燥させ、乾燥後に前記被覆材層を剥離して、化粧ブロック塀を完成する化粧ブロック塀の構築方法を提供することができ、この化粧ブロック塀を完成する化粧ブロック塀の構築方法によれば、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0097】
また、上述の本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法によれば、複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体であって、該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、塗装器具によって被覆層塗材が塗装され、乾燥されて、被覆材層が形成され、個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離された化粧コンクリートブロック積層体を提供することができ、この化粧コンクリートブロック積層体によれば、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0098】
従って、本実施例の化粧コンクリートブロックの製造方法、化粧ブロック塀の構築方法及び化粧コンクリートブロック積層体は、以上のように構成しているために、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0099】
尚、素材コンクリートブロックは上述の実施例で説明するものに限られず、上述の実施例のような効果が達成できる範囲内において、別の構成を適用することができる。例えば、化粧コンクリートブロックの側方全表面に形成する被覆材層は、上述の実施例のような効果が達成できる範囲内において、上述の実施例とは別の構成を適用することができる。
また、化粧コンクリートブロックの化粧塗装層及び被覆材層は、化粧コンクリートブロックの両側方表面に形成してもよく、これによっても上述の実施例同様の効果を達成することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…素材コンクリートブロック、1C、3A…側方表面、2…化粧塗装層、2A…下地調整塗材、2B…密着塗材、2C…装飾塗材、2D…被覆塗材、2E…接着剤、2F…タイル、3B、3C、51、52…積層線、3…化粧コンクリートブロック積層体、4…被覆材層、4A、4B…切目、5、6A、6B…化粧コンクリートブロック、7…汚れ防止テープ、8…空隙、10…コンクリートブロック積層体、11…加圧固定手段、12…上部板部材、13…中間板部材、14…下部板部材、30…塗装器具、36…被覆層、37…切取部材、38…コーキング部材、39…被覆層塗材、50…仮化粧ブロック塀、100…化粧ブロック塀。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体が形成され、
該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、
該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、
該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に被覆材層が形成され、
個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたこと
を特徴とする化粧コンクリートブロックの製造方法。
【請求項2】
複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体が形成され、
該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、
該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、
該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、接着剤が貼着された被覆層が被覆、付着されて被覆材層が形成され、
個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたこと
を特徴とする化粧コンクリートブロックの製造方法。
【請求項3】
複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体が形成され、
該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、
該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、
該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、塗装器具によって被覆層塗材が塗装され、乾燥されて、被覆材層が形成され、
個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたこと
を特徴とする化粧コンクリートブロックの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、前記被覆層塗材は、ケトン系と芳香族系炭化水素との混合溶剤に塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合物を溶解してなる可剥性塗料からなることを特徴とする化粧コンクリートブロックの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記装飾塗材が、ペースト状塗材からなり、塗装された時に、表面に装飾が施されることを特徴とする化粧コンクリートブロックの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記装飾塗材が、タイルと該タイルに接着される接着剤とからなり、該装飾塗材を塗装する時に、該接着剤を付着してからタイルが付着されることで装飾塗材塗装がなされることを特徴とする化粧コンクリートブロックの製造方法。
【請求項7】
請求項2、5、6のいずれかに記載した化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックから前記被覆材層が剥離され、
該被覆材層が剥離された化粧コンクリートが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀が形成され、
該仮化粧ブロック塀の化粧コンクリートブロックの積層線に沿って、かつ近接して隣接する化粧コンクリートブロックに汚れ防止テープが貼着し、
積層線に沿って介在する空隙に接着用モルタルをコーキング部材によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロックを接着一体化し、乾燥させ、
乾燥後に前記汚れ防止テープを剥離して、化粧ブロック塀を完成すること
を特徴とする化粧ブロック塀の構築方法。
【請求項8】
請求項3または4のいずれかに記載した化粧コンクリートブロックの製造方法で製造された化粧コンクリートブロックが垂直方向に積層されて仮化粧ブロック塀が形成され、
該仮化粧ブロック塀の化粧コンクリートブロックの積層線に沿って介在する空隙に接着用モルタルをコーキング部材によって流し込んで隣接する化粧コンクリートブロックを接着一体化し、乾燥させ、
乾燥後に前記被覆材層を剥離して、化粧ブロック塀を完成すること
を特徴とする化粧ブロック塀の構築方法。
【請求項9】
複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体であって、
該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、
該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、
該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に、接着剤が貼着された被覆層が被覆、付着されて被覆材層が形成され、
個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたこと
を特徴とする化粧コンクリートブロック積層体。
【請求項10】
複数の素材コンクリートブロックが、上下方向に並行配置された複数個の板部材のそれぞれの間に並置されて、垂直方向に積層されて、各板部材によって保持されたコンクリートブロック積層体であって、
該コンクリートブロック積層体が、加圧固定手段によって前記板部材の上部板部材の上方から加圧されて互いに固定されて、
該固定されたコンクリートブロック積層体の側方全表面に、下地調整塗材、密着塗材、装飾塗材及び被覆塗材が塗装器具によって順次塗装されて化粧塗装が施されて化粧塗装層が形成され、乾燥されて、化粧された化粧コンクリートブロック積層体が形成され、
該化粧コンクリートブロック積層体の側方全表面に被覆材層が形成され、
個々の化粧コンクリートブロックが、積層された化粧コンクリートブロックの積層線に沿って切取部材によって前記化粧塗装層及び前記被覆材層に同時に一緒に切目が入れられることによって形成されて、前記化粧塗装層が該被覆材層によって保護された状態で切り離されたこと
を特徴とする化粧コンクリートブロック積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−161784(P2012−161784A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203883(P2011−203883)
【出願日】平成23年9月17日(2011.9.17)
【出願人】(511015526)株式会社 大蔵塗装工業 (1)
【Fターム(参考)】