説明

化粧シート付棒材

【課題】化粧シートの側端部と溝との間に空気が残ることをなくし、残留空気によって化粧シートの剥がれが生じる事を防止する。
【解決手段】棒材1の外周一個所に断面形状がV字形の溝3を棒材1の軸心に沿って一直線状に設けることで、この溝3が曲面に形成した開口縁部3a、3bと、この開口縁部3a、3bから丸棒材1の中側に入り込む斜面部3c、3dと、最深部3eから成るものとし、このようにした棒材1の外周面を覆うように化粧シート2を棒材1の外周面に貼着すると共に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3内に折り込んで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3の斜面部3c、3dに貼着した構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段の手摺等に使用される化粧シート付棒材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の化粧シート付棒材として、例えば特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に開示された化粧シート付棒材は、薄板を積層してそれを円柱状に加工した丸棒材の外周一個所に、断面形状がコの字形の角溝を丸棒材の軸心に沿って一直線状に形成し、木目模様等を施した合成樹脂製の化粧シートを丸棒材の外周全体を覆うように貼り付けると共に、化粧シートの両端縁を角溝の内面に貼り付けて止めたものとなっている。
【0003】
化粧シートの両端縁を角溝の内面に貼り付けるに当たっては、特殊な形状の先端部を有する第1のローラで化粧シートの一方の端縁付近の部分を角溝内の一方の角部に押し付けた後、化粧シートの他方の端縁付近の部分を第1のローラと同様の形状の第2のローラで角溝内の他方の角部に押し付け、その後化粧シートの両端縁を平坦な外周面を持つ押し付けローラで角溝の奥面(突き当たり面)に押し付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−69081
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題を有している。
すなわち、従来の技術では、丸棒材に設けられた角溝が断面形状コの字形であって、角溝内部の角部は90度であるので、この角部に化粧シートを密着させて貼り付けることは非常に困難であり、そのため角溝内部の角部に空気が残り易く、角部に空気が残った場合、その残留空気によって化粧シートの剥がれが生じるという問題がある。
【0006】
また、角溝内の二つ角部に対し、特殊な形状の先端部を有する第1、第2のローラで順に化粧シートを貼り付けるため、化粧シートの貼り付けに手間がかかり、特殊なローラも必要になるという問題もある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明の化粧シート付棒材は、棒材の外周一個所に少なくとも奥側の部分の断面形状をV字形とした溝を棒材の軸心に沿って一直線状に設けて、この溝が曲面に形成した開口縁部と、V字を成す斜面部を有するものとし、前記棒材の外周面を覆うように化粧シートを棒材の外周面に貼着すると共に、化粧シートの両側端部を溝内に折り込んで、化粧シートの両側端部を前記斜面部にそれぞれ貼着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、化粧シートの側端部と溝との間に空気が残ることがなくなり、残留空気によって化粧シートの剥がれが生じる事を防止できるという効果が得られる。
また、溝に適合する断面(外周面)を有する図示しないローラを溝に嵌合させ、このローラを溝内で移動させるか、または棒材を軸方向に移動させることで、化粧シートの側端部を溝の斜面部に圧接して貼着させることが可能となり、化粧シートの貼り付けを特殊な形状の先端部を有するローラを用いることなく簡単に素早く行うことができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例を示す断面図
【図2】第1の実施例を示す側面図
【図3】第1の実施例を示す要部拡大断面図
【図4】第2の実施例を示す要部拡大断面図
【図5】第3の実施例を示す要部拡大断面図
【図6】第4の実施例を示す要部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による化粧シート付棒材の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は第1の実施例を示す断面図、図2は第1の実施例を示す側面図、図3は第1の実施例を示す要部拡大断面図で、本実施例の化粧シート付棒材は、例えば薄板を積層してそれを円柱状に加工した棒材1と、この棒材1の外周面を被覆する化粧シート(フィルム)2により構成されている。
【0012】
棒材1には、その外周一個所に断面形状がV字形の溝3が棒材1の軸心に沿って棒材1の全長にわたるように一直線状に設けられている。このV字形の溝3は、開口縁部(エッジ部)3a、3bと、この開口縁部3a、3bから丸棒材1の中側に入り込む斜面部3c、3dと、この斜面部3c、3dが結合するV字の最深部(先端部)3eを有し、開口縁部3a、3bは切削加工等によって曲面に形成されている。尚、本実施例では、最深部3eも切削加工等によって曲面に形成しているが、特に曲面に形成する必要はない。
【0013】
化粧シート2は、表面側に印刷等により木目模様等を施し、裏面側に粘着剤(接着剤)を塗布した合成樹脂製のシートで、この化粧シート2としては塩ビ系のダイノックシートあるいは非塩ビ系のオレフィンシートが用いられる。
【0014】
本実施例の化粧シート付棒材の製造(組み立て)については、まず、棒材1の外周面全体を化粧シート2で覆うように、化粧シート2を裏面側の粘着剤により棒材1の外周面に貼着し、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3内に折り込む。この工程は図示しない所定のシート貼着装置によって自動的に行われるが、溝3の開口縁部3a、3bは曲面に加工されているので、化粧シート2を開口縁部3a、3bに密着させながら側端部2a、2bを溝3内に折り込むことができる。
【0015】
次に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3の斜面部3c、3dに貼着するが、この貼着は、溝3に適合する断面(外周面)を有する図示しないローラを溝3に嵌合させ、このローラを溝3内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3の斜面部3c、3dに圧接して貼着させる。これにより化粧シート2の側端部2a、2bと溝3の斜面部3c、3dとの間に空気が残留しないように一工程で化粧シート2の側端部2a、2bを溝3の斜面部3c、3dに貼着させることができる。
【0016】
この場合、化粧シート2の側端部2a、2bのそれぞれの先端が溝3の最深部3eに達しないように、つまり最深部3eの手前までの長さとなるように予め化粧シート2の幅を限定しておく。但し、本実施例では溝3の最深部3eが曲面に形成してあるので、化粧シート2の側端部2a、2bが溝3の最深部3eで重なる長さになっていても、溝3の最深部3eで化粧シート2の側端部2a、2bとの間に空気が残留することはない。
【0017】
以上説明したように、第1の実施例では、棒材1の外周一個所に断面形状がV字形の溝3を棒材1の軸心に沿って一直線状に設けることで、この溝3が曲面に形成した開口縁部3a、3bと、この開口縁部3a、3bから丸棒材1の中側に入り込む斜面部3c、3dと、最深部3eから成るものとして、このようにした棒材1の外周面を覆うように化粧シート2を棒材1の外周面に貼着すると共に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3内に折り込んで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3の斜面部3c、3dに貼着した構造としているため、化粧シート2の側端部2a、2bと溝3との間に空気が残ることがなくなり、残留空気によって化粧シート2の剥がれが生じる事を防止できるという効果が得られる。
【0018】
また、溝3に適合する断面(外周面)を有する図示しないローラを溝3に嵌合させ、このローラを溝3内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝3の斜面部3c、3dに圧接して貼着させることが可能となり、化粧シート2の貼り付けを特殊な形状の先端部を有するローラを用いることなく簡単に素早く行うことができるという効果も得られる。
【実施例2】
【0019】
図4は本発明の第2の実施例を示す要部拡大断面図で、この実施例は棒材1の外周一個所に少なくとも奥側がV字形の断面形状が五角形の溝4を設けたもので、この溝4は溝3と同様に棒材1の軸心に沿って棒材1の全長にわたるように一直線状に設けられている。
【0020】
本実施例における五角形の溝4は、開口縁部(エッジ部)4a、4bと、この開口縁部3a、3bから丸棒材1の中側に入り込む平行な平行面部4c、4dと、この平行面部4c、4dからV字形をなすように延在する斜面部4e、4fと、この斜面部4e、4fが結合するV字の先端部である最深部4gを有し、開口縁部3a、3bは切削加工等によって曲面に形成されている。また、平行面部4cと斜面部4e、平行面部4dと斜面部4fはそれぞれ鈍角を成すが、その平行面部4cと斜面部4eの境界部と平行面部4dと斜面部4f境界部も曲面に形成されていて角部が生じないようにしている。尚、この本実施例でも、溝4の最深部4gを曲面に形成しているが、特に曲面に形成する必要はない。
尚、棒材1そのものと、化粧シート2は第1の実施例と同様のものである。
【0021】
本実施例の化粧シート付棒材の製造(組み立て)については、まず、棒材1の外周面全体を化粧シート2で覆うように、化粧シート2を裏面側の粘着剤により棒材1の外周面に貼着し、化粧シート2の側端部2a、2bを溝4内に折り込む。この工程も第1の実施例と同様に行われるが、溝4の開口縁部4a、4bは曲面に加工されているので、化粧シート2を開口縁部4a、4bに密着させながら側端部2a、2bを溝4内に折り込むことができる。
【0022】
次に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝4の平行面部4c、4dと斜面部4e、4fに貼着するが、この場合も溝4に適合する断面(外周面)を有する図示しないローラを溝4に嵌合させ、このローラを溝4内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝4の平行面部4c、4dと斜面部4e、4fに圧接して貼着させる。
【0023】
この実施例では、鈍角をなす平行面部4cと斜面部4e、平行面部4dと斜面部4fのそれぞれの境界部が曲面に形成されていて角部が生じないようにしているので、これにより化粧シート2の側端部2a、2bと溝4の平行面部4c、4dと斜面部4e、4fとの間に空気が残留しないように一工程で化粧シート2の側端部2a、2bを溝4の平行面部4c、4dと斜面部4e、4fに貼着させることができる。
【0024】
この場合も、化粧シート2の側端部2a、2bのそれぞれの先端がV字の最深部4gに達しないように、つまり最深部4gの手前までの長さとなるように予め化粧シート2の幅を限定しておく。また、この実施例でも溝4内の最深部4gが曲面に形成してあるので、化粧シート2の側端部2a、2bが溝4の最深部4gで重なる長さになっていても、溝4の最深部4gで化粧シート2の側端部2a、2bとの間に空気が残留することはない。
【0025】
以上説明したように、第2の実施例では、棒材1の外周一個所に断面形状が五角形の溝4を棒材1の軸心に沿って一直線状に設けることで、溝4が曲面に形成した開口縁部4a、4bと、この開口縁部3a、3bから丸棒材1の中側に入り込む2つの平行面部4c、4dと、この平行面部4c、4dからV字形をなすように延在する斜面部4e、4fと、この斜面部4e、4fによるV字の最深部4gから成るものとして、このようにした棒材1の外周面を覆うように化粧シート2を棒材1の外周面に貼着すると共に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝4内に折り込んで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝4の平行面部4c、4dと斜面部4e、4fに貼着した構造としているため、化粧シート2の側端部2a、2bと溝4の平行面部4c、4d及び斜面部4e、4fとの間に空気が残ることがなくなり、残留空気によって化粧シート2の剥がれが生じる事を防止できるという効果が得られる。
【0026】
また、溝4に適合する断面を有するローラを溝4に嵌合させ、このローラを溝4内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bと溝4の平行面部4c、4dと斜面部4e、4fに圧接して貼着させることが可能となり、化粧シート2の貼り付けを特殊な形状の先端部を有するローラを用いることなく簡単に素早く行うことができるという効果も得られる。
【実施例3】
【0027】
図5は本発明の第3の実施例を示す要部拡大断面図で、この実施例は棒材1の外周一個所に断面形状が半円形の溝5を設けたもので、この溝5は溝3または溝4と同様に棒材1の軸心に沿って棒材1の全長にわたるように一直線状に設けられている。
【0028】
本実施例における半円形の溝5は、開口縁部(エッジ部)5a、5bと、この開口縁部5a、5bから丸棒材1の中側に入り込む曲面部5cを有し、開口縁部5a、5bは切削加工等によって曲面に形成されている。
尚、棒材1そのものと、化粧シート2は第1の実施例と同様のものである。
【0029】
本実施例の化粧シート付棒材の製造(組み立て)については、まず、棒材1の外周面全体を化粧シート2で覆うように、化粧シート2を裏面側の粘着剤により棒材1の外周面に貼着し、化粧シート2の側端部2a、2bを溝5内に折り込む。この工程も第1の実施例と同様に行われるが、溝5の開口縁部5a、5bは曲面に加工されているので、化粧シート2を開口縁部5a、5bに密着させながら側端部2a、2bを溝5内に折り込むことができる。
【0030】
次に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝5の曲面部5cに貼着するが、この場合も溝5に適合する断面(外周面)を有する図示しないローラを溝5に嵌合させ、このローラを溝5内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝5の曲面部5cに圧接して貼着させる。
この場合、溝5の内部は角のない曲面部5cであるので、空気が残留することなく一工程で化粧シート2の側端部2a、2bを溝5の曲面部5cに貼着させることができる。
【0031】
この場合も、化粧シート2の側端部2a、2bのそれぞれの先端が曲面部5cの最深部である中央部に達しないように、つまり最深部の手前までの長さとなるように予め化粧シート2の幅を限定しておくが、上記のように溝5の内部は角のない曲面部5cであるので、化粧シート2の側端部2a、2bが溝5の曲面部5cの中央部で重なる長さになっていても、その重なった側端部2a、2bとの間に空気が残留することはない。
【0032】
以上説明したように、第3の実施例では、棒材1の外周一個所に断面形状が半円形の溝5を棒材1の軸心に沿って一直線状に設けることで、溝5が曲面に形成した開口縁部5a、5bと、この開口縁部3a、3bから丸棒材1の中側に入り込む曲面部5cから成るものとして、このようにした棒材1の外周面を覆うように化粧シート2を棒材1の外周面に貼着すると共に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝5内に折り込んで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝5の曲面部5cに貼着した構造としているため、化粧シート2の側端部2a、2bと溝5の曲面部5cとの間に空気が残ることがなくなり、残留空気によって化粧シート2の剥がれが生じる事を防止できるという効果が得られる。
【0033】
また、溝5に適合する断面を有するローラを溝5に嵌合させ、このローラを溝5内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bと溝5の曲面部5cに圧接して貼着させることが可能となり、化粧シート2の貼り付けを特殊な形状の先端部を有するローラを用いることなく簡単に素早く行うことができるという効果も得られる。
【実施例4】
【0034】
図6は本発明の第4の実施例を示す要部拡大断面図で、この実施例は棒材1の外周一個所に断面形状がU字形の溝6を設けたもので、この溝6は溝3、溝4、または溝5と同様に棒材1の軸心に沿って棒材1の全長にわたるように一直線状に設けられている。
【0035】
本実施例におけるU字形の溝6は、開口縁部(エッジ部)6a、6bと、この開口縁部6a、6bから丸棒材1の中側に入り込む2つの平行面部6c、6dと、この側面部6c、6dから延在する円弧形あるいは半円形の曲面部6eを有し、開口縁部6a、6bは切削加工等によって曲面に形成されている。
尚、棒材1そのものと、化粧シート2は第1の実施例と同様のものである。
【0036】
本実施例の化粧シート付棒材の製造(組み立て)については、まず、棒材1の外周面全体を化粧シート2で覆うように、化粧シート2を裏面側の粘着剤により棒材1の外周面に貼着し、化粧シート2の側端部2a、2bを溝6内に折り込む。この工程も第1の実施例と同様に行われるが、溝6の開口縁部6a、6bは曲面に加工されているので、化粧シート2を開口縁部6a、6bに密着させながら側端部2a、2bを溝6内に折り込むことができる。
【0037】
次に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eに貼着するが、この場合も溝6に適合する断面(外周面)を有する図示しないローラを溝6に嵌合させ、このローラを溝6内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eに圧接して貼着させる。
【0038】
この実施例でも、溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eとの境界に角がないので、化粧シート2の側端部2a、2bと溝6の平行面部6c、6d及び曲面部6eとの間に空気が残留しないように一工程で化粧シート2の側端部2a、2bを溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eに貼着させることができる。
【0039】
この場合も、化粧シート2の側端部2a、2bのそれぞれの先端が曲面部6eの最深部である中央部に達しないように、つまり最深部の手前までの長さとなるように予め化粧シート2の幅を限定しておくが、上記のように溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eとの境界に角がないので、化粧シート2の側端部2a、2bが溝6の曲面部6eの中央部で重なる長さになっていても、その重なった側端部2a、2bとの間に空気が残留することはない。
【0040】
以上説明したように、第4の実施例では、棒材1の外周一個所に断面形状がU字形の溝6を棒材1の軸心に沿って一直線状に設けることで、溝6が曲面に形成した開口縁部6a、6bと、この開口縁部6a、6bから丸棒材1の中側に入り込む平行面部6c、6dと、この平行部6c、6dから延在する円弧形の曲面部6eから成るものとして、このようにした棒材1の外周面を覆うように化粧シート2を棒材1の外周面に貼着すると共に、化粧シート2の側端部2a、2bを溝6内に折り込んで、化粧シート2の側端部2a、2bを溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eに貼着した構造としているため、化粧シート2の側端部2a、2bと溝6の平行面部6c、6d及び曲面部6eとの間に空気が残ることがなくなり、残留空気によって化粧シート2の剥がれが生じる事を防止できるという効果が得られる。
【0041】
また、溝6に適合する断面を有するローラを溝6に嵌合させ、このローラを溝6内で移動させるか、または棒材1を軸方向に移動させることで、化粧シート2の側端部2a、2bと溝6の平行面部6c、6dと曲面部6eに圧接して貼着させることが可能となり、化粧シート2の貼り付けを特殊な形状の先端部を有するローラを用いることなく簡単に素早く行うことができるという効果も得られる。
【0042】
尚、上述した各実施例では、薄板を積層してそれを円柱状に加工した棒材1を用いるものとしたが、木製の棒材であればよく、また形状は円柱状の他に五角形以上の多角形であってもよい。また化粧シート2は、木目模様等を施した合成樹脂製のシートとしたが、無地や他の模様を施したものでもよく、合成樹脂製のシートの他に、紙あるいは布製の化粧シートを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 棒材
2 化粧シート
2a、2b、2c、2d 側端部
3 溝
3a、3b 開口縁部
3c、3d 斜面部
3e 最深部
4 溝
4a、4b 開口縁部
4c、4d 平行面部
4e、4f 斜面部
4g 最深部
5 溝
5a、5b 開口縁部
5c 曲面部
6 溝
6a、6b 開口縁部
6c、6d 平行面部
6e 曲面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材の外周一個所に少なくとも奥側の部分の断面形状をV字形とした溝を棒材の軸心に沿って一直線状に設けて、この溝が曲面に形成した開口縁部と、V字を成す斜面部を有するものとし、
前記棒材の外周面を覆うように化粧シートを棒材の外周面に貼着すると共に、化粧シートの両側端部を溝内に折り込んで、化粧シートの両側端部を前記斜面部にそれぞれ貼着したことを特徴とする化粧シート付棒材。
【請求項2】
請求項1に記載の化粧シート付棒材において、
前記溝は、全体の断面形状がV字形で、前記開口縁部から前記棒材の内側に入り込む2つの斜面部を有し、
前記化粧シートの両側端部をV字の最深部に達しないように前記斜面部にそれぞれ貼着したことを特徴とする化粧シート付棒材。
【請求項3】
請求項1に記載の化粧シート付棒材において、
前記溝は全体の断面形状が五角形で、前記開口縁部から前記棒材の内側に入り込む2つの平行面部と、この平行面部からV字形を成すように延びる斜面部を有するものとして、前記平行面部と斜面部の境界部分を曲面に形成し、
前記化粧シートの両側端部をV字の最深部に達しないように前記平行面部と前記斜面部にそれぞれ貼着したことを特徴とする化粧シート付棒材。
【請求項4】
棒材の外周一個所に少なくとも奥側の部分の断面形状を曲面形とした溝を棒材の軸心に沿って一直線状に設けて、この溝が曲面に形成した開口縁部と、曲面部を有するものとし、
前記棒材の外周面を覆うように化粧シートを棒材の外周面に貼着すると共に、化粧シートの側端部を溝内に折り込んで、化粧シートの側端部を前記曲面部に貼着したことを特徴とする化粧シート付棒材。
【請求項5】
請求項4に記載の化粧シート付棒材において、
前記溝は、全体の断面形状が半円形で、前記開口縁部から前記棒材の内側に入り込む2つの曲面部を有し、
前記化粧シートの両側端部を前記曲面部の最深部に達しないように前記曲面部にそれぞれ貼着したことを特徴とする化粧シート付棒材。
【請求項6】
請求項4に記載の化粧シート付棒材において、
前記溝は全体の断面形状がU字形で、前記開口縁部から前記棒材の内側に入り込む2つの平行面部と、この平行面部から延びる曲面部を有し、
前記化粧シートの両側端部を前記曲面部の最深部に達しないように前記平行面部と前記曲面部にそれぞれ貼着したことを特徴とする化粧シート付棒材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36210(P2013−36210A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172361(P2011−172361)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(594155872)株式会社オリエント (7)
【Fターム(参考)】