説明

化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板

【課題】表面保護層に干渉防止形状を設ける等の特別な工夫を設けるなどしなくとも優れた鏡面性を有する化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板を提供すること。
【解決手段】基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する化粧シートであって、該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、該基材の厚さが40μm以上である、化粧シート、及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧シート及び化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
家具や台所製品のキャビネット、床タイルや壁パネル、又は台所のシンク周り等に用いられる化粧板としては、基板に木目調柄等を印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせたものが一般的に用いられている。このような化粧シートには、柔軟性、切削性、耐破断性等の加工適性や、耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性といった種々の特性が要求される。また、近年の消費者の高級品指向により、高級感を有する化粧板が望まれており、高級感を与える鏡面性等の意匠性も化粧シートにとって重要となっている。
【0003】
鏡面性を有する化粧シートとしては、基材層上に、着色層、接着層、透明樹脂層、及び表面保護層(電離放射線硬化物層)を順次積層した構成を有したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−247012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような化粧シートは、基材上に各層を順次積層することにより製造している。したがって、最表面の表面保護層は、その下に存在する層の凹凸の影響を受けやすく、化粧シートに鏡面性を付与するためには、表面保護層に干渉防止形状を設ける等の工夫を要する。
本発明は、表面保護層に干渉防止形状を設ける等の特別な工夫を設けなくとも優れた鏡面性を有する化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、転写用フィルムと表面保護層(電離放射線硬化物層)とを含む転写シートと、基材と着色層とを含む被転写シートを別々に作製した後、転写シートと被転写シートとを張り合わせてなる化粧シートにおいて、その転写用フィルムの表面粗さ(表面保護層側の表面粗さ)と、基材の表面粗さ(着色層側の表面粗さ)を制御することにより、非常に優れた鏡面性を有する化粧シートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の化粧シート及びその製造方法、並びにそれを用いた化粧板を提供するものである。
【0007】
<1>
基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する化粧シートであって、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧シート。
<2>
基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、該基材の厚さが40μm以上である化粧シートを製造する方法であって、
該製造方法が
(A)基材と着色層とを有する被転写シートを作製する工程、
(B)電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを有する転写シートを作製する工程、
(C)該被転写シートと該転写シートとを接着剤を用いて接合する工程、
を含む、化粧シートの製造方法。
<3>
基板と、化粧シートと、該基板と該化粧シートを接着する基板用接着剤層とを有する化粧板であって、
該化粧シートが、基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた鏡面性を有する化粧シート及び化粧板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の化粧シートの一例の断面を示す模式図である。
【図2】本発明の化粧板の一例の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《化粧シート》
本発明の化粧シートは、基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する。ここで、前記転写用フィルムの前記電離放射線硬化物層の側における表面粗さRa1は20μm以下であり、前記基材の前記着色層側における表面粗さRa2は2μm以下であり、Ra1とRa2の乗数は1μm2以下であり、前記基材の厚さは40μm以上である。このような構成を採用することにより、本発明の化粧シートは優れた鏡面性を発現することができる。
本発明の化粧シートは、上述した以外の層を、必要に応じて、さらに有してもよい。そのような層としては、裏面プライマー層等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0011】
以下、本発明の化粧シートを、図1を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の化粧シートの一例の断面を示す模式図である。化粧シート10は、裏面プライマー層1、基材2と、隠蔽層3a及び絵柄層3bからなる着色層3と、接着剤層4と、電離放射線硬化物層5と、転写用フィルム6とをこの順に有する。
化粧シート10の厚さは特に限定されないが、60〜650μmであることが好ましく、120〜500μmであることがより好ましく、180〜250μmであることが更に好ましい。
また、本発明において、基材と着色層とを少なくとも含むシートを被転写シート、電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを少なくとも含むシートを転写シートと呼ぶ。図1の様態においては、被転写シート7は、裏面プライマー層1、基材2と、隠蔽層3a及び絵柄層3bからなる着色層3と有しており、転写シート8は、電離放射線硬化物層5と転写用フィルム6とを有している。
なお、化粧シート10は、本発明の化粧シートの一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
[転写用フィルム6]
本発明の特徴の一つとして、転写用フィルム6の、電離放射線硬化物層5の側における、表面粗さRa1は20μm以下であることを要する。本発明の化粧シートの製造方法においては、Ra1は電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性に大きく影響するものであり、Ra1を20μm以下に抑えることにより、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面に良好な平滑性を付与することができる。
転写用フィルム6は、最終的には(化粧シート10を用いた化粧板が施工されて実際に使用される段階までには)剥離されることを想定して設けるものである。転写用フィルム6が剥離された後の化粧シートにおいては、電離放射線硬化物層5が最表面層となる。したがって、剥離後の化粧シートの鏡面性は、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性に大きく影響されるものである。即ち、Ra1は化粧シートの鏡面性に影響を与えるものであって、Ra1が20μmを超えると、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性が不十分となり、剥離後の化粧シートが十分な鏡面性を得られなくなる。
Ra1は小さければ小さいほど、電離放射線硬化物層5の転写用フィルム6側表面の平滑性が向上するため好ましく、具体的には10μm以下であることがより好ましい。Ra1の下限について特に制限はないものの、本発明においてはRa1が0.1μm以上であっても、後述するRa2を調整することにより、十分な鏡面性を得ることが可能である。Ra1が0.1μm以上であれば、製造容易性の点(コストの点)で有利である。
【0013】
上述のRa1は、算術平均表面粗さであり、具体的には、以下のように測定し、決定される。
(算術平均表面粗さの測定方法)
JIS B 0601:2001に準じ、(株)小坂研究所製の高精度表面粗さ計SE‐3FATを使用して、針の半径2μm、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ0.08mmの条件下にチャートを描かせ、表面粗さ曲線からその中心線方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向とY軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表わした時、次の式で与えられた値をμm単位で表わす。また、この測定は、基準長を1.25mmとして4個測定し、平均値で表わす。
【数1】

【0014】
転写用フィルム6の厚さは、特に制限は無いが、15〜200μmであることが好ましく、20〜200μmであることが好ましく、20〜100μmがより好ましく、25〜100μmがより好ましく、25〜50μmが更に好ましい。厚さが15μm以上であれば、転写用フィルム6がカールしにくく、剥離後の鏡面性も良好である。一方、転写用フィルム6の厚さが200μm以下であれば、施工時の剥離性、加工適性、コスト、環境配慮の点で好ましい。
【0015】
転写用フィルム6としては、上述のRa1を有するものであれば特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。具体的には、ポリエチレン(PE)系フィルム、ポリプロピレン(PP)系フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)系フィルム、ポリカーボネート(PC)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)系フィルム等を挙げることができる。これらの中では、鏡面性の観点から、ポリエステル系フィルム、ポリプロピレン系フィルムが好ましく、中でも延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
転写用フィルムは、用途に応じて適宜選択できる。化粧板の切削性や鏡面性に対しては、延伸ポリエステル系フィルムが好ましく、切削性やラッピング適性に対しては2軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
転写用フィルムに対しては、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、必要に応じて一方の面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
前記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられる。
前記凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、転写用フィルムの種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
【0016】
上述したように、転写用フィルム6は最終的には剥離されることを想定しているが、その剥離のタイミングは特に限定されない。例えば、(ア)被転写シート7と転写シート8とを貼り合わせた直後に剥離してもよく、(イ)化粧シート10を基板に貼り合わせて化粧板を作製した直後に剥離してもよく、また、(ウ)化粧板の施工後に剥離してもよい。ただし、化粧板の製造時又は化粧板の施工時などには、表面に傷がついて鏡面性を損なう懸念があり、転写用フィルム6にはそのような危険から守る保護フィルム(マスキングフィルム)としての機能も有するものである。そのような機能を利用する観点からは、(ア)よりも(イ)が好ましく、(イ)よりも(ウ)の方が好ましい。
【0017】
[電離放射線硬化物層5]
電離放射線硬化物層5は、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物である。上述したように、電離放射線硬化物層5は、転写用フィルム6が剥離された後の化粧シートの最表面層である。即ち、電離放射線硬化物層5は、実質的には、表面保護層として機能するものであり、化粧シート10に耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性を用途に応じて付与するものである。
【0018】
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物をいう。電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
【0019】
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
電離放射線硬化性樹脂組成物としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良い。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。
具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明においては、前記多官能(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、又は、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0022】
更に、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、又はノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
【0023】
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。また、光増感剤として、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は溶剤の使用量を低減することが可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
【0024】
また本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる電離放射線硬化物層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、皮膜補強剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
【0025】
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらのなかでも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
皮膜補強剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂(昭和インク工業(株)製「皮膜補強剤」)が用いられる。
【0026】
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、鏡面性や光沢感の向上を目的として、シリコーン(メタ)アクリレートを含有していてもよい。
シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。変性シリコーンオイルの構造は、置換される(メタ)アクリル基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、(メタ)アクリル基の結合位置には、特に制限はない。また、(メタ)アクリル基の置換数にも、特に制限はないが、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。
このようなシリコーンメタクリレートとしては、鏡面性や光沢感を向上させる観点から、メタクリル基を1又は2つ有する1又は2官能シリコーンメタクリレートが好ましく、分子量1000〜6000、より好ましくは3000〜6000、官能基当量(分子量/官能基数)500〜3000、より好ましくは1500〜3000のものが挙げられる。また、シリコーンアクリレートとしては、アクリル基を複数、好ましくは4つ以上を、更に好ましくは4〜6つ有する多官能シリコーンアクリレートが好ましく、分子量3000〜100000、より好ましくは10000〜30000、官能基当量(分子量/官能基数)750〜25000、より好ましくは3000〜6000の条件を有するものが挙げられる。
上記1又は2官能シリコーンメタクリレートの含有量は、鏡面性、光沢感を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.5〜20質量部、より好ましくは2〜4質量部である。また、上記多官能シリコーンアクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
また、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとの含有量の比は、1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3(いずれも質量比)である。
【0027】
(電離放射線硬化物層の形成)
本発明においては、前記の電離放射線硬化性成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗布液を調製する。この塗布液の粘度は、後述の塗布方式により、塗布面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗布液を、硬化後の厚さが所望の厚さになるように塗布量を調節して塗布する。塗布は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
【0028】
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、転写用フィルム6として電子線により劣化する材料を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、転写用フィルム6への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による転写用フィルム6の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
電離放射線硬化物層の厚さは、使用適性及び意匠性の観点から、2〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。
【0029】
[基材2]
本発明の特徴の一つとして、基材2の、着色層3の側における、表面粗さRa2は2μm以下であることを要する。本発明においては、化粧シート10に鏡面性を付与するにあたり、転写用フィルム6の平滑性だけでなく、基材2の平滑性も制御するものである。
着色層3は、光を反射する層であるが、本発明の化粧シート10の製造方法においては、Ra2は光の反射に影響を与える。Ra2を2μm以下に抑えることにより、着色層3中の顔料が均一になるため、光は正反射し、像が鮮明となる。しかし、Ra2を2μm超となると、着色層3中の顔料が不均一となるため、光が乱反射し、像が不鮮明となり、結果的に化粧シート10は十分な鏡面性が得られなくなる。
Ra2は小さければ小さいほど好ましく、具体的には1.5μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。Ra2の下限について特に制限はないが、0.05μm以上であれば、製造容易性の点(コストの点)で有利である。
なお、上述のRa2は、算術平均表面粗さであり、その測定方法はRa1と同様である。
【0030】
本発明においては、Ra1とRa2の両方が、化粧シート10の鏡面性に影響するものであり、両者の乗数が1μm2以下であれば、十分な鏡面性を与えることを新たに見出したものである。したがって、Ra1の値をそれほど小さく抑えなくても、Ra1とRa2の乗数が1μm2以下になるのに十分なほどにRa2の値を小さく抑えることができれば、優れた鏡面性を得ることができる(ただし、上述したように、Ra1、Ra2は、それぞれ独立に20μm、2μmという上限値を有する)。例えば、Ra1が0.1μm未満といった極めて高平滑な転写用フィルムを用いずとも、基材2のRa2を小さくすることで、鏡面性の高い化粧シート10を得ることができる。
【0031】
また、基材2の厚さは40μm以上である。基材2の厚さは40μm未満であると、化粧シート10を基板に接合して化粧板を作製する際に、基板の凹凸を拾いやすくなるため表面の平滑性が低下し、化粧板としては十分な鏡面性が得られなくなってしまう。基材2の厚さとしては、70μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。基材2の厚さの上限については、特に制限は無いが、350μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましい。厚さが350μm以下であれば、化粧シートのロール化や、製造時の加工適正も良好である。
【0032】
基材2の材質は、上述の条件を満たすものであれば、どのようなものであってもよく、各種のプラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。これらの材料の中では、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、PVC系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなるプラスチックフィルム及びプラスチックシートが好ましく、製造コスト、及び製造時の環境への影響の観点からオレフィン系樹脂が好ましい。
その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことが好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましい。
また基材2には、基材2と各層との層間密着性の強化等のためのプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
【0033】
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0034】
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
【0035】
[着色層3]
着色層3は、本発明の化粧シートに意匠を与えるものであり、隠蔽層3a及び絵柄層3bの少なくとも一方からなる。隠蔽層3aは、基材2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状に着色する層として形成される。隠蔽層3aは、基材2が着色していたり色ムラがある場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。隠蔽層3aは、通常基材や下地を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材2が持っている模様を活かすこともできる。
一方、絵柄層3bは、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、天然皮革の表面柄、幾何学図形、抽象柄等からなる模様ないし色彩を有し、隠蔽層3a上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。なお、絵柄層3bが隠蔽層3aの作用を兼ねる場合もあり、隠蔽層3aのみ、または絵柄層3bのみから着色層3が構成されることもある。
【0036】
隠蔽層3a及び絵柄層3bの形成に用いられるインキ組成物としては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等の中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。中でも、本発明の効果の点から、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種単独で又は2種以上を混合して用いるのが好ましい。
着色剤としては、特に制限なく、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
【0037】
隠蔽層3a及び絵柄層3bは、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等、周知の印刷方法により形成することができる。絵柄層3bの模様は、通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
隠蔽層3a及び絵柄層3bの厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
【0038】
[接着剤層4]
接着剤層4は被転写シート7と転写シート8とを接合するために設けられ層である。接着剤層4に用いられる接着剤としては、特に制限はないが、製造上の観点から、熱硬化型接着剤、又は感熱接着剤が好ましい。
前記熱硬化型接着剤としては、熱によって化学反応が生じて架橋する性質を有する組成物を含むものが好ましく、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ−テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を挙げることができ、これらの中では2液硬化型ウレタン系接着剤が好適である。2液硬化型ウレタン系接着剤を用いることにより、より強力な接着強度が得られ、可撓性に優れた化粧シートが提供できる。ここで、2液硬化型ウレタン系接着剤を構成するウレタン系樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
【0039】
前記ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基を有するものである。ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
前記イソシアネートは、ポリウレタンの製造に通常用いられるものを本発明においても用いることができる。イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族ポリイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2,2,1)ヘプタン等の脂環族ポリイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネートの誘導体等が用いられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリイソシアネートのうち、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート誘導体等が好ましく用いられる。これらのポリイソシアネートは、安全性、衛生性及び耐候性に優れたものである。
【0040】
前記熱硬化型接着剤を用いる場合において、塗布剤として用いられる溶媒は特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤、水、又はこれらの混合溶剤等が挙げられる。なお、塗布剤として、溶媒を用いない無溶剤タイプの塗布剤を用いることも可能である。無溶剤タイプの塗布剤は、環境問題が配慮されたものであり、好ましく用いられる。
溶媒を用いる場合には、樹脂組成物と、必要に応じてその他の添加剤を溶媒に含有させて、公知の方法により溶解、分散、混合させて調製される。
【0041】
熱硬化型接着剤により接着層4を形成する場合、例えば、上述した塗布剤(接着剤)を転写シート8の表面(電離放射線硬化物層5側)に塗布した後、被転写シート7と貼り合せる(接着剤が被転写シート7の着色層3側の表面と接するようにする)。次いで、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させることで接着剤層4を形成することができる。
【0042】
前記感熱接着剤は、一般に常温では固体であり、加熱により溶融又は軟化して接着性を発現し、冷却すると固化して強固に接着する性質を有する熱可塑性樹脂を主要成分とする接着剤のことをいう。これを適当な溶剤に溶解、又は加温により溶融させて、転写シート8の表面(電離放射線硬化物層5側)及び被転写シート7(着色層3側の表面)の一方又は両方の面に塗布し、これを加熱して両者を重ね合わせた後、冷却することにより接着させるものである。
【0043】
感熱接着剤としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル系、ポリアミド樹脂系、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン共重合体樹脂、塩化酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン−αオレフィン共重合体樹脂等の易接着樹脂単体、及びオレフィン樹脂や発泡樹脂組成物の主成分となる熱可塑性樹脂、フィルム層の主成分となる熱可塑性樹脂とのブレンド品が挙げられる。
【0044】
いずれの接着剤の場合においても、塗布方法としては、公知の各種方法、例えば、ロールコート、グラビアコート、エアナイフコート、コンマコート等が用いられ、生産性の面から、グラビアコート、コンマコートが好ましく用いられる。
接着層は、塗布量が0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2程度になるように塗布することが好ましい。
【0045】
[裏面プライマー層1]
基材2には、各種の被着材との接着性を向上させる目的で裏面にプライマー層1を設けてもよい。裏面プライマー層1の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。なお、裏面プライマー層1に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
【0046】
《化粧シートの製造方法》
上述した本発明の化粧シートを製造する方法として、代表的な方法を以下に記載する。
本発明の化粧シート製造方法は、
(A)基材と着色層とを有する被転写シートを作製する工程、
(B)電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを有する転写シートを作製する工程、
(C)該被転写シートと該転写シートとを接着剤を用いて接合する工程、
を含む。
【0047】
[被転写シートの作製工程(A)]
被転写シートは、基材と着色層とを少なくとも有するものであるが、その他にも、上述した裏面プライマー層などの層も任意に有するものである。したがって、被転写シートの作製工程(A)は、基材に着色層用インキを塗布し、乾燥することによって、基材上に着色層を設ける工程を少なくとも含むが、それら以外の層を設ける工程も含みえる。各層の形成方法は上述したとおりである。
【0048】
[転写シートの作製工程(B)]
転写シートの作製工程(B)は、転写用フィルムに上述した電離放射線硬化樹脂組成物を塗布し、電離放射線を照射することによって、転写用フィルム状に電離放射線硬化物層を設ける工程を含む。転写シート中に他の層も含みたい場合には、当該層を設ける工程を含んでもよい。
本発明においては、このようにして電離放射線硬化物層を形成することで、転写用フィルムのRa1を制御することによって、電離放射線硬化樹脂層の表面(転写用フィルム側)に所望の平滑性を得ることを可能にするものである。
【0049】
[被転写シートと転写シートの接合工程(C)]
被転写シートと転写シートとを接着剤を用いて接合する。これによって被転写シートと転写シートとが、接着層を介して接合する。用いられる接着剤は、上述した通りである。
【0050】
[化粧板]
本発明の化粧板について説明する。
本発明の化粧板は、基板と、本発明の化粧シートと、該基板と該化粧シートを接着する基板用接着剤層とを有する。このような構成を採用することにより、本発明の化粧板は優れた鏡面性を発現することができる。
本発明の化粧基板には、基板、基板用接着剤層、化粧シート以外の層が、必要に応じて、さらに設けられてもよい。
【0051】
以下、本発明の化粧板を、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図2は、本発明の化粧板の一例の断面を示す模式図である。化粧板100は、基板30と、化粧シート10と、基板30と化粧シート10を接着する基板用接着剤層20とを有する。
化粧板100は、本発明の化粧板の一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
基板30としては、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁器、せっ器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗布鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。また、化粧板用の基材としては、上記各種基材の2種以上を接着剤、熱融着等の公知の手段により積層した複合基材を用いてもよい。
【0053】
また、基板30はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。被着体となる基板30としては各種素材の平板、曲面板等の板材、又は上記素材が単体又は複合された立体形状物品(成形品)が対象となる。
【0054】
化粧シート10に、和紙、洋紙、合成紙、不織布、織布、寒冷紗、含浸紙、合成樹脂シート等の裏打ち材を貼着して用いてもよい。裏打ち材を貼着することにより、化粧シート10自体の補強、化粧シート10の割れや破け防止、接着剤の化粧シート10表面への染み出し防止等の作用がなされ、不良品の発生が防止されると共に、取り扱いが容易となることとなり、生産性を向上することができる。
【0055】
このようにして接着剤を介して毎葉ごとに又は連続して化粧シート10が載置された基板30を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機,真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シート10を基板30表面に接着し、化粧板100とする。
【0056】
基板用接着層20を構成する接着剤は、スプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系、及びウレタン樹脂系等の接着剤を、単独で又は任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜100質量%とし、塗布量20〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に基板用接着層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
【0057】
以上のようにして製造される化粧板は、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装又は外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、台所周辺製品、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
【実施例】
【0058】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によってなんら限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
(A)実施例1の化粧シートは下記(1)〜(3)の工程に従って作製した。
(1)基材としてポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)を用い、当該シート上にウレタン樹脂を主体とし、着色顔料として酸化チタンを含有するインキをグラビア印刷することにより乾燥後の塗布量が2g/m3となるように、隠蔽層を形成し、被転写シートを作製した。
また、隠蔽層の光沢度をグロスチェッカー(光沢計:ガードナー社製、商品名「マイクロ-グロス」)を用いて、JIS K5600に準拠して、入射角20度及び60度の条件で測定した。
(2)転写用フィルムであるPETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)上に、電離放射線硬化性樹脂組成物(2官能オリゴマーを含有)を乾燥後の厚さが5μmとなるように塗布し、165KV、5Mradにて電子線照射して硬化させ、電離放射線硬化物層を形成し、転写シートを作製した。
また、電離放射線硬化物層の光沢度をグロスチェッカー(光沢計:ガードナー社製、商品名「マイクロ-グロス」)を用いて、JIS K5600に準拠して、入射角20度及び60度の条件で測定した。(3)転写シートの電離放射線硬化物層に対してコロナ処理を行った後、当該コロナ処理面に対し、2液硬化型接着剤(大日精化製「E295NT」)を塗布し、当該接着剤が被転写シートの絵柄層に接するようにラミネートして、化粧シートを作成した。
【0060】
(B)実施例1の化粧板は以下の手順に従って作製した。
基板(中密度繊維板(MDF)(厚さ3mm)、JIS A 5905に準じたもの)に対して、中央理化株式会社製の水性エマルジョンであるエチレン−酢酸ビニル系接着剤「BA−20」を塗布量が60g/m2(wet)となるよう塗布して基板用接着層を形成し、これを介して前記化粧シートの基材と接着することにより化粧板を作製した。
【0061】
<実施例2〜7、比較例1〜4>
基材及び転写用フィルムとして以下に示したものを用いた以外は、実施例1と同様の手順にて化粧シート及び化粧板を作製した。
実施例2
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東レ製「S10」、Ra1=1μm)
実施例3
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「E5100」、Ra1=10μm)
実施例4
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
実施例5
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東レ製「S10」、Ra1=1μm)
実施例6
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=50μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
実施例7
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:OPPフィルム(三井化学東セロ(株)製「U−1」、Ra1=10μm)
比較例1
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(Ra1=30μm)
比較例2
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「E5100」、Ra1=10μm)
比較例3
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=150μm、Ra2=3μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
比較例4
基材:ポリオレフィン系樹脂シート(厚み=25μm、Ra2=0.1μm)
転写用フィルム:PETフィルム(東洋紡製「A4100」、Ra1=0.5μm)
【0062】
<意匠性(鏡面性)>
得られた化粧シート及び化粧板を3波長域発光型蛍光灯(パナソニック製:商品名「FPL27EX−N」)の下に置き、目視により表面の写り込み像を以下の基準で評価した。
◎ :明確に像が映り込んでいる
○ :明確ではないが像が映り込んでいる
○△:写り込んだ像が多少荒れているが、実用上問題ない程度である
× :写り込んだ像の荒れが著しい
【0063】
<加工性>
溶融装置(ノードソン(株)製「MC−12」)を用いて、115℃の温度で溶融したポリウレタン系ホットメルト接着剤(日立化成ポリマー(株)製「ハイボン4836」)が80μm厚となるように3R形状のMDF(厚さ3mm、JIS A 5905に準じたもの)に塗布し、基板接着層を形成した。次いで、プロフィールラミネーターPL−300−PUR(株式会社丸仲鐵工所製PURラッピング機)で供給した前記化粧シートの基材とMDFとを前記基板接着層を介して接着し、ラッピング加工を行い表面の状態を以下の基準で評価した。
○ :ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが全くない。
○△:ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが多少あるが、実使用上
問題ない。
× :ベース基材、表面保護層の割れ、転写用フィルムの浮きが発生した。
【0064】
<切削性>
得られた化粧板を積層面側からルーター切削加工を行い、バリの評価を以下の基準で行った。
◎ :バリの発生が全くない。
○ :バリが僅かにあるが、実使用上問題ない。
△ :バリが一部あるが、実使用上問題ない。
× :バリが多く発生している。
【0065】
【表1】

【0066】
表1より明らかなように、転写用フィルムの表面粗さRa1、基材の表面粗さRa2,基材の厚さが本発明の規定を満たす実施例1〜7は、化粧シート及び化粧板として、高い鏡面性を兼ね備えていることがわかる。
【符号の説明】
【0067】
1 裏面プライマー層
2 基材
3 着色層
3a 隠蔽層
3b 絵柄層
4 接着層
5 電離放射線硬化物層
6 転写フィルム
7 被転写シート
8 転写用シート
10 化粧シート
20 基板接着層
30 基板
100 化粧板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有する化粧シートであって、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧シート。
【請求項2】
Ra1が10μm以下である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
Ra1が0.1μm以上である、請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項4】
Ra2が1μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項5】
前記基材の厚さが70μm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項6】
基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、該基材の厚さが40μm以上である化粧シートを製造する方法であって、
該製造方法が
(A)基材と着色層とを有する被転写シートを作製する工程、
(B)電離放射線硬化物層と転写用フィルムとを有する転写シートを作製する工程、
(C)該被転写シートと該転写シートとを接着剤を用いて接合する工程、
を含む、化粧シートの製造方法。
【請求項7】
基板と、化粧シートと、該基板と該化粧シートを接着する基板用接着剤層とを有する化粧板であって、
該化粧シートが、基材と、着色層と、接着剤層と、電離放射線硬化物層と、転写用フィルムと、をこの順に有し、
該転写用フィルムの、該電離放射線硬化物層の側における、表面粗さRa1が20μm以下であり、
該基材の、該着色層側における、表面粗さRa2が2μm以下であり、
Ra1とRa2の乗数が1μm2以下であり、
該基材の厚さが40μm以上である、化粧板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−78942(P2013−78942A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205952(P2012−205952)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】