説明

化粧シート

【課題】ガラス等の透明な基材に貼りあわせ可能であり、基材の表裏両面から見ていずれからでも、内部に凹凸感のある鏡面性と深み、照り感のある意匠を表現することが可能な化粧シートを提供すること。
【解決手段】表面に凹凸を設けるとともに裏面に該凹凸に追従した凹凸が設けられるようにした着色熱可塑性樹脂シートの表裏面に、透明又は半透明の樹脂層を設けてなること、表面に透明又は半透明表面保護層を設けてなること、裏面に透明又は半透明の粘着剤層を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は店舗などの建築材等の分野で使用され、ガラス窓などに貼り付けて窓の内側、窓の外側の両方から、趣のある意匠表現を得られる化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス窓などの表面に透明又は半透明の化粧シートを貼り合わせて、内側と外側の両方から絵柄模様が見えるようにすることはあった。しかしながら絵柄模様は両方から見えるものの、表面の凹凸は一方にしか設けられず、凹凸感は内側が外側か、貼り合せた側の方からしか得られず、意匠感に劣るものとなっていた。
【0003】
一方、表面が透明の化粧シートの下側に表面に凹凸を設けて内部に凹凸感を有する化粧シートが知られている。しかしながら、裏面側は着色平面であって、前記両面からの意匠は考慮されているものではなかった。
【特許文献1】特開平06−278261
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のこのような問題点を解決するためになされたものであり、すなわちその課題とするところは、ガラス等の透明な基材に貼りあわせ可能であり、基材の表裏両面から見ていずれからでも、内部に凹凸感のある鏡面性と深み、照り感のある意匠を表現することが可能な化粧シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、表面に凹凸を設けるとともに裏面に該凹凸に追従した凹凸が設けられるようにした着色熱可塑性樹脂シートの表裏面に、透明又は半透明の樹脂層を設けてなることを特徴とする化粧シートである。
【0006】
またその請求項2記載の発明は、前記化粧シートの表面に透明又は半透明表面保護層を設けてなることを特徴とする請求項1記載の化粧シートである。
【0007】
またその請求項3記載の発明は、前記化粧シートの裏面に透明又は半透明の粘着剤層を設けたことを特徴とする請求項1記載の化粧シートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明により、表裏両面いずれから見ても 内部に凹凸感のある鏡面性と深み、照り感のある化粧シートを得ることができるという作用効果を奏する。
【0009】
またその請求項2記載の発明により、窓ガラス等の屋外側に本発明の化粧シートを設けた場合であっても、透明性を維持したまま各種耐性を有するものになるという作用効果を奏する。
【0010】
本発明の請求項3記載の発明により、透明性を維持したまま窓ガラスやショーウインドに貼り合わせることが可能となるという作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。
着色熱可塑性樹脂シート1の表面側と裏面側に透明又は半透明の樹脂層2、2‘を有するものであり、適宜表面保護層3、粘着剤層4を設けてなり、透明または半透明のガラス基材5に貼り合わせてなる。
【0012】
本発明における着色熱可塑性樹脂シート1としては、顔料を分散するなどして着色したものであり、凹凸付与成形が可能な熱可塑性を有しているものであれば良い。塩化ビニル樹脂が使用可能であるが、近年の環境問題の観点から塩化ビニル樹脂以外の樹脂が要求されており、オレフィン系熱可塑性樹脂、具体的にはポリプロピレンが好適に用いられる。ポリプロピレンとしては、ホモ又はランダム共重合などがあるが、用途に応じて選択すればよい。ホモ系ではアタクチック成分の高い非晶質性のタイプであれば柔軟なフィルムを形成することができる。
【0013】
透明又は半透明の熱可塑性樹脂層2、2‘としては、前記着色熱可塑性樹脂シート1と同様のオレフィン系熱可塑性樹脂が好適であり、ホモ又はランダム共重合のポリプロピレンを用途に応じて選択すればよい。ホモ系ではアタクチック成分の高い非晶質性のタイプであれば柔軟なフィルムを形成することができる。
【0014】
また、前記透明又は半透明の熱可塑性樹脂層2、2‘には、耐候性の処方を行うため、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤を適宜添加するのが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などを処方して添加する。添加量は所望の耐候性に応じて添加すればよいが、樹脂固形分に対して0.1%〜10%、好ましくは1%〜5%である。光安定剤としては、ヒンダードアミン系が好適であり、添加量は所望の耐候性に応じて添加すればよいが、樹脂固形分に対して0.1〜10重量%、好ましくは1%〜5%である。
【0015】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール,2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α, α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール,2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール,2−(2'−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
【0016】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール,2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン,2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン,2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−イソ−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジンなどやこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体が挙げられる。
【0017】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、オクタベンゾンや変性物,重合物、誘導体が挙げられる。
【0018】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ポペリジニル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等やこれらの混合物、変性物、重合物、誘導体などが挙げられる。
【0019】
これらの配合を適宜行い、押出成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法などでフィルム状に成形して得ることができる。フィルムの総厚は粘着貼り合わせ加工のしやすさや、耐候性、透明性などを考慮すると30〜120μm程度が適切である。
【0020】
本発明における表面保護層3としては、アクリルウレタン樹脂の側鎖にオルガノポリシロキシ基が導入されたシリコーン変性アクリルウレタン樹脂からなるものが使える。特に、前記シリコーン変性アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオール化合物と、末端に水酸基を有するオルガノポリシロキサンアルキロール化合物と、ポリイソシアネート化合物との反応生成物であることを特徴とするものである。乾燥後の塗布量は2から20g/m2程度が望ましい。また、電離放射線硬化型樹脂(電子線、紫外線硬化樹脂)を使っても良い。
【0021】
本発明における粘着剤層4としては、アクリル系粘着剤がもっとも一般的であるが、他にスチレン−ブタジエンゴム系粘着剤、クロロプレンゴム系粘着剤、オレフィンゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを使用することができる。耐候性の面ではアクリル系粘着剤が優位である。粘着層にも紫外線吸収剤、光安定剤などを添加しても良い。粘着剤層4の層厚は5〜50μm程度が一般的である。塗工は、ライン状、点状等で全面積の8%から12%前後が粘着力保持や通気性保持の見地から望ましい。
【0022】
本発明の着色熱可塑性樹脂層に設ける凹凸の深さとしは、充分な凹凸感が得られれば特に規定するものではなく、シート厚みとの兼ね合いにもよるが、20〜150μm程度が好適である。凹凸を設ける方法としては、裏面にも追従する凹凸を有するように設けることが可能であれば特に限定しないが、単層のシートを凹凸ロールなどに加圧しつつ設けるのが好適である。
【実施例1】
【0023】
着色熱可塑性樹脂シートとして銀色ポリプロピレン製樹脂シート(リケンテクノス(株)製「OSH20159」層厚120μm)を用い、これをシート温度120℃でエンボス加工を施した。エンボス版側の凹部の最深部は40μmとなり、エンボス版とは裏面に、前記凹部に追従する凸部が設けられ、凸部の高さは最大で25μmとなった。
【0024】
このようにして得た着色熱可塑性樹脂シートの裏面に溶融押出した透明ホモポリプロピレン樹脂を80μmの層厚となるようにして設け、冷却ロールにて固化した後、表面にも同様にして透明ホモポリプロピレン樹脂を80μmの層厚となるようにして設けた。
【0025】
その後、表面側に表面保護層として、シリコーン変成アクリルウレタン樹脂100重量部に、ポリジメチルシロキサンプロピロール50重量部と、ヘキサメチレンジイソイソシアネート系硬化剤50重量部とを混合してなる塗料を用い、乾燥後の塗布量が8g/m2となるように塗工して、乾燥させた。
【0026】
その後、裏面側に粘着剤層として、ウレタン樹脂系粘着剤(東洋インキ製造(株)製「サイアバインSH101」)を用い、これを、乾燥後の塗布量が30g/m2となるように塗工して、乾燥させ、本発明の化粧シートを作製した。
【0027】
得られた化粧シートを所定の大きさに切り、ガラス板に貼り合せたところ、表裏両面から見ていずれからでも、内部に凹凸感のある鏡面性と深み、照り感のある意匠感を有するものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の化粧シートは、ガラス窓などに貼り付けて、窓の内側、窓の外側の両方から、趣のある意匠表現を提供するものとして、店舗出入口やその付近の窓部、ショーウインドなどに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の化粧シートの構成を示す断面の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1…着色熱可塑性樹脂層
2、2‘…透明又は半透明の熱可塑性樹脂層
3…表面保護層
4…粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸を設けるとともに裏面に該凹凸に追従した凹凸が設けられるようにした着色熱可塑性樹脂シートの表裏面に、透明又は半透明の樹脂層を設けてなることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記化粧シートの表面に透明又は半透明の表面保護層を設けてなることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
【請求項3】
前記化粧シートの裏面に透明又は半透明の粘着剤層を設けたことを特徴とする請求項1記載の化粧シート。

【図1】
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【公開番号】特開2008−279607(P2008−279607A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123242(P2007−123242)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】