説明

化粧材の施工方法

【課題】 接着剤を用いて住宅の壁体の被装飾面に接着された化粧材施工後の壁面に後付けで器具を取り付ける場合に、化粧材の破損を防止することを可能とする。
【解決手段】 本発明では、住宅の壁体の被装飾面に接着剤により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工方法であって、硬化前の粘度が100Pa・s未満である接着剤を介して前記化粧材と前記住宅の壁体の被装飾面を接着することを特徴とする化粧材の施工方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の壁体の被装飾面に接着により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧材の施工方法としては、化粧材の裏面に接着剤を塗布して、壁面に接着する方法がある。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2005−220529号公報
【0003】
しかしながら、従来の施工方法における接着剤は、その物性についてはほとんど考慮されていない。そのため、化粧材を施工後に壁面に後付けで器具を取り付ける場合に、化粧材が破損するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明における化粧材の施工方法は、化粧材施工後の壁面に後付けで器具を取り付ける場合に、化粧材の破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、住宅の壁体の被装飾面に接着剤により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工方法であって、硬化前の粘度が100Pa・s未満である接着剤を介して前記化粧材と前記住宅の壁体の被装飾面を接着することを特徴とする。ただし、粘度は23℃においてBH型粘度計6号ローターにより測定される10rpm時の値である。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、接着剤の不揮発分が44%より大きいものであることを特徴とする。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、化粧材の施工方法が、前記接着剤と両面テープとを併用することを特徴とする。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、化粧材が、珪藻土を含む珪酸カルシウム板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、化粧材施工後の壁面に後付けで器具を取り付ける場合に、化粧材の破損を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明における化粧材の施工方法について、図面に従って説明する。図1は本発明に係る化粧材の施工方法における化粧板裏面の両面テープと接着剤の塗布位置を示す平面図、図2は本発明に係る化粧材の施工方法における両面テープと接着剤の塗布位置を示す断面図である。しかしながら、これらは一実施形態であり、特に限定されるものではない。
【0011】
両面テープ1は化粧材3の裏面四周及び長辺に平行に複数本が貼り付けられている。さらに、各両面テープ間には接着剤2が塗布されている。
【0012】
接着剤2は、粘度が100Pa・s未満のものを用いる。粘度が100Pa・s以上であると、接着剤を化粧材に塗布して住宅の壁体の被装飾面に接着させた際に、最初に塗布した接着剤の厚みが薄くなりにくく、住宅の壁体の被装飾面と化粧材との間隔が大きくなってしまう。また、住宅の壁体の被装飾面と化粧材との間に接着剤が介在しない部分ができてしまうこともある。住宅の壁体の被装飾面と化粧材との間隔が大きい状態、あるいは接着剤が介在しない部分で、手すりなどの器具を取り付けようとした時に化粧材が割れる可能性がある。また、粘度が高い接着剤を薄く塗布しようとした場合には、接着剤の塗布に手間が掛かるという問題がある。
【0013】
さらに接着剤2は、不揮発分が44%より大きいものであることが好ましい。不揮発分を44%より大きいものとすることで、住宅の壁体と化粧材との肌分かれを防止することができる。
【0014】
接着剤の主成分は特に限定されないが、比較的引張応力の小さい酢酸ビニル樹脂やビニル共重合樹脂などを好適に用いることができる。
【0015】
さらに、両面テープと接着剤を併用することで、施工後の化粧材の浮きや剥がれをより効果的に防止することができる。両面テープを隙間なく四周にまわすことで、施工時に端部から浮きや剥がれが生じることを防止できる。特に表面塗装が施された化粧材では、化粧材自体が凹反りする傾向があるため、四周に両面テープをまわすことによる端部の浮きや剥がれの防止の効果が大きい。
【0016】
ここで使用する両面テープとしては特に限定はされないが、例えばアクリル系の粘着剤をポリエチレンラミクロス基材に塗布したものが好適に用いられる。また、両面テープの厚みとしては0.1〜0.5mmのものが好適に用いられる。テープの厚みを0.1〜0.5mmとすることで、化粧材と壁面との距離を小さくすることができ、化粧材の上から手すりなどの器具を取り付けようとした時に化粧材の破損を防止することができる。
【0017】
また化粧材3は、図2に示すように、基材4と化粧層5とで構成することができる。しかしながら、これらは一実施形態であり、特に限定されるものではない。
【0018】
基材としては、例えば石膏ボードやスレート板、珪酸カルシウム板などが好適に用いられる。特に、珪藻土含む珪酸カルシウム板は調湿機能を備え、軽量であるため、内装用化粧板の基材として好適に用いられる。
【0019】
化粧層としては、例えば、アクリル樹脂系塗料やシリコン樹脂系塗料などが好適に用いられる。また化粧層表面に光触媒を塗布することもできる。
【実施例】
【0020】
以下に実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)化粧板には、幅910mm、高さ1820mm、厚さ6mmの珪藻土を主成分とする珪酸カルシウム板の表面にアクリル樹脂系塗料を塗布したものを用いた。施工用の接着剤には、ビニル共重合樹脂を主成分とするエマルジョン型接着剤を用いた。接着剤の粘度は45Pa・s(23℃・BH型粘度計6号ローター・10rpm)、不揮発分は51%であった。施工用の両面テープには、PEラミクロス支持体で幅25mm、厚さ0.25mmの両面テープを用いた。図1に示すように、化粧材裏面の四周に両面テープを貼り付け、さらに150mmピッチで化粧板長辺に平行に両面テープを貼り付けた。次に、両面テープ間に接着剤をビード径5mmで3本ずつ塗布した状態で、木質の壁面に化粧材を施工した。施工16時間後、化粧材は壁面に確実に貼り付いていた。また、化粧材施工後の壁面に市販の手すりをビス止めにより固定したところ、特に問題はなかった。
【0022】
(実施例2)化粧板には、幅910mm、高さ1820mm、厚さ6mmの珪藻土を主成分とする珪酸カルシウム板の表面にアクリル樹脂系塗料を塗布したものを用いた。施工用の接着剤には、酢酸ビニル樹脂を主成分とするエマルジョン型接着剤を用いた。接着剤の粘度は50Pa・s(23℃・BH型粘度計6号ローター・10rpm)、不揮発分は42%であった。施工用の両面テープには、PEラミクロス支持体で幅25mm、厚さ0.25mmの両面テープを用いた。図1に示すように、化粧材裏面の四周に両面テープを貼り付け、さらに150mmピッチで化粧板長辺に平行に両面テープを貼り付けた。次に、両面テープ間に接着剤をビード径5mmで3本ずつ塗布した状態で、木質の壁面に化粧材を施工した。施工16時間後、化粧材の一部が壁面と肌分かれを起こしていた。また、化粧材施工後の壁面に市販の手すりをビス止めにより固定したところ、特に問題はなかった。
【0023】
(比較例1)化粧板には、幅910mm、高さ1820mm、厚さ6mmの珪藻土を主成分とする珪酸カルシウム板の表面にアクリル樹脂系塗料を塗布したものを用いた。施工用の接着剤には、変性シリコーン樹脂を主成分とする無溶剤型接着剤を用いた。接着剤の粘度は12000Pa・s(20℃・BS型粘度計・2rpm)、不揮発分は97%であった。施工用の両面テープには、PEラミクロス支持体で幅25mm、厚さ1.0mmの両面テープを用いた。図1に示すように、化粧材裏面の四周に両面テープを貼り付け、さらに150mmピッチで化粧板長辺に平行に両面テープを貼り付けた。次に、両面テープ間に接着剤をビード径5mmで3本ずつ塗布した状態で、木質の壁面に化粧材を施工した。施工16時間後、化粧材は壁面に確実に貼り付いていた。また、化粧材施工後の壁面に市販の手すりをビス止めにより固定したところ、化粧材にワレが生じた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る化粧材の施工方法における化粧板裏面の両面テープと接着剤の塗布位置を示す平面図である。
【図2】本発明に係る化粧材の施工方法における両面テープと接着剤の塗布位置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…両面テープ
2…接着剤
3…化粧材
4…基材
5…化粧層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の壁体の被装飾面に接着剤により取り付けられて壁体を化粧する化粧材の施工方法であって、硬化前の粘度が100Pa・s未満である接着剤を介して前記化粧材と前記住宅の壁体の被装飾面を接着することを特徴とする化粧材の施工方法。
ただし、粘度は23℃においてBH型粘度計6号ローターにより測定される10rpm時の値である。
【請求項2】
前記接着剤の不揮発分が44%より大きいものであることを特徴とする請求項1に記載の化粧材の施工方法。
【請求項3】
前記化粧材の施工方法が、前記接着剤と両面テープとを併用することを特徴とする請求項1または2に記載の化粧材の施工方法。
【請求項4】
前記化粧材が、珪藻土を含む珪酸カルシウム板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧材の施工方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−38528(P2008−38528A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216566(P2006−216566)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】