説明

化粧液

【課題】化粧水は皮膚に水分や保湿成分を補給し、皮膚をみずみずしく保つもので、通常透明か半透明の液状である。この化粧水は、ほとんどが水であるため、保湿性に優れ、さっぱり感が得られるが、エモリエント効果に乏しい。また、水溶性の生理活性剤は混合できるが、油溶性のものは混合できない。また、2層式のいわゆるカーマインローションとよばれるものもある。これは皮脂を吸収する粉体を配合したもので、粉体が沈んで2層になっている。そこで、保水性に優れ、かつエモリエント感も得られ、さらに見た目も美しい化粧液を提供する。
【解決手段】上層が油相成分、中間層が界面活性剤、下層が水相成分である3層構造のものであって、各隣り合う層の色が異なり、該上層にはその成分に溶解する生理活性成分を混合し、該下層にはその成分に溶解する生理活性成分を混合したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここでいう化粧液とは、化粧水、美容液、頭髪用美容液、頭皮用美容液を含む概念として使用する。
例えば、化粧水は皮膚に水分や保湿成分を補給し、皮膚をみずみずしく保つもので、通常透明か半透明の液状である。この化粧水は、ほとんどが水であるため、保湿性に優れ、さっぱり感が得られるが、エモリエント効果に乏しい。また、水溶性の生理活性剤は混合できるが、油溶性のものは混合できない。
【0003】
また、2層式のいわゆるカーマインローションとよばれるものもある。これは皮脂を吸収する粉体を配合したもので、粉体が沈んで2層になっている。これも前記要望を満たすものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、保水性に優れ、かつエモリエント感も得られ、さらに見た目も美しい化粧液を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明化粧液を完成したものであり、その特徴とするところは、上層が油相成分、中間層が界面活性剤、下層が水相成分である3層構造のものであって、各隣り合う層の色が異なり、該上層にはその成分に溶解する生理活性成分を混合し、該下層にはその成分に溶解する生理活性成分を混合した点にある。
【0006】
ここで、油相成分とは、オイルの部分であり通常の化粧料に使用されるオイルであればよい。例えば、流動パラフィン、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、ホホバ油、スクワラン等であるがこれに限定するものではない。また、2種以上のオイルを混合してもよい。
【0007】
界面活性剤としては、非イオン系のものが好ましく、HLB価としては、10〜20程度がよい。このような例としては、ポリオキシエチレンソルビタン(ソルビトール)脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンジイソステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、トリ脂肪酸グリセリン(例えば、トリカプリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸リン酸グリセリン)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール)等がある。
【0008】
水相成分とは、アルコール又はアルコールの水溶液であり、基本的には水によく溶けるものである。例えば、グリセリン水溶液(50〜90重量%が好適)、エチレングリコール水溶液、ソルビトール、マルチトール等である。
【0009】
通常は、オイルと水と界面活性剤を混合して攪拌すれば乳化して全体として1層になるか、界面活性剤が水かオイルの相に溶けて1層になり全体として2層になるかである。攪拌しても一定時間後再度3層に分離することはない。本発明では、この再度3層になる点がポイントであり、そのため界面活性剤としては、非イオン系で、HLBは10〜20であり、上記した例が好適なのである。
【0010】
次にこの3つの層の割合であるが、体積的にほぼ同じ程度が好ましい。特に厳密にその量や比は問題ではないが、混合して使用し、且つ見た目も美しいためである。
【0011】
この3つの層の各隣り合う層の色(無色でも可)が異なる点が本発明の大きな特徴である。
色が異なるようにするには、それぞれの層自体が異なるものを選択してもよいし、着色剤で着色してもよい。通常は無色やわずかな色しかないものが多いため、着色剤で着色する。着色剤としては、従来の物でよく特別なものである必要はない。
【0012】
着色剤は、それぞれの層に溶解、乳濁、懸濁するものを選択して混合すればよい。例えば、油相成分に混合するものとして、油性ビタミンであるビタミンA、ビタミンE、ビタミンB(黄色)、油溶性染料、油性有機顔料、天然色素等である。
また、界面活性剤層には、油相成分にも水相成分にも溶解しないものが好ましい。例えば、炭の粉や無機顔料等である。勿論、限定するものではない。
水相成分には、水溶性のものが好適である。例えば、食品着色剤として認められているものが安全性の面からも好ましい。例えば、青色1号、黄色4号、赤色227号等である。その他水溶性染料、色素が使用できる。
どの場合にも、1層にのみ存在できるものが好ましい。これは、色が徐々に混ざらないためである。
【0013】
色は少なくとも各隣り合う層の色が異なればよい。よって、上下は同じ色でもよい。しかし、3層とも異なる色にして見た目を美しくした方がよい。
【0014】
更に、本発明は化粧液であるため、生理活性成分が必須であるが、これは3つの層の中の少なくとも上下2層に混合することが特徴である。ここでいう生理活性成分とは、肌、頭髪、その他身体に何らかの有用性を有する成分である。例えば、美白成分、抗菌成分、保湿剤その他である。
【0015】
この上下2層の両方に生理活性成分を混合することで、水溶性と油溶性の両方の成分を混合することができ、水性と油性の両方の効果が得られる。
油相成分に混合する生理活性成分の例としては、前記着色剤で説明した油溶性ビタミン類、油溶性アズレン、甘草フラボノイド、ローズ油、ラベンダー油、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、メントール等である。
これらの混合量は、通常の油性の基剤に混合する割合でよく、特別な値にする必要はない。例えば、限定はしないが、油相成分全体の数ppm〜数重量%程度である。
【0016】
また、水相成分に混合する生理活性成分の例としては、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、トレハロース、植物抽出エキス(カミツレエキス、カンゾウエキス、ソウハクヒエキス、ユキノシタエキス、オウゴンエキス等)、水溶性コラーゲン、銅クロロフィリンナトリウム、メントール等である。これらの混合量も上記油相成分の場合と同様であり、通常の値でよい。
【0017】
また、中間の界面活性剤層にも、この層にのみ溶解又は懸濁するものを混合してもよい。
【0018】
これ以外にも各層には、香料その他本発明の趣旨を逸脱しないものを混合してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明化粧液には次のような利点がある。
(1) 少なくとも水溶性の生理活性剤と油溶性の生理活性剤の両方が含まれているため、両方の効果が得られる。
(2) 3層に分かれて色が異なるため、見た目に綺麗である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1
油相 :流動パラフィン(27.55重量%)
生理活性剤としてビタミンB群(0.05重量%)
着色剤(青)として油溶性アズレン(0.01重量%)
界面活性剤:POE(20)ソルビタンモノオレエート(33重量%)
水相成分 :グリセンリン(35重量%)
水(4.37重量%)
生理活性剤としてのグリチルリチン酸ジカリウム(0.01重量%)
着色剤:赤色227号(0.01重量%)
【0022】
以上の成分を混合して透明の容器に入れると、3つの層に分かれた。各層の色は(上層/中層/下層)、青色/黄色/赤色であった。
【0023】
この例では、油性のビタミンBと、水溶性のグリチルリチン酸ジカリウムとが両方含まれている。勿論、エモリエント感等は3層あるため問題はない。
【0024】
図1は、この例をプッシュ式押出し容器1に充填したところである。
上層が油相成分2、中間層が界面活性剤3、下層が水相成分4である。使用時には、容器をよく振って、3層を懸濁させ、分離する前に頂部を押して混ざったものを押出す。顔に塗る場合2回程度で十分である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明化粧液を充填した容器を示す側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 容器
2 油相成分
3 界面活性剤
4 水相成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層が油相成分、中間層が界面活性剤、下層が水相成分である3層構造のものであって、各隣り合う層の色が異なり、該上層にはその成分に溶解する生理活性成分を混合し、該下層にはその成分に溶解する生理活性成分を混合したことを特徴とする化粧液。
【請求項2】
該中間層にもその層に溶解又は懸濁する物質を混入したものである請求項1記載の化粧液。
【請求項3】
上層、中間層、下層の3層がすべて異なる色である請求項1又は2記載の化粧液。

【図1】
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【公開番号】特開2008−290960(P2008−290960A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136751(P2007−136751)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(391027929)三粧化研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】