説明

区別されたユーザコントロールを備えるシステム、および個別のユーザコントロールでシステムを動作させるための方法

【課題】各コントロールに極めて近接して導電性表面を配置することにより、システムがユーザコントロールを区別する。
【解決手段】送信機が導電性表面に接続される。送信機は、各導電性表面に対して固有の信号を送出する。コントロールのユーザに極めて近接して電極が配置され、受信機が対応する各電極に接続される。特定のユーザが電極、受信機および送信機を経由して特定の導電性表面に容量性結合されるとき、その特定のユーザが特定のコントロールに関連付けられる。表示装置を使用しているユーザに対して画像が表示される。表示装置は、複数の画像を複数のユーザに対して同時に提示する。コントロールは、画像を表示しているタッチセンシティブ面上にアイコンとして表示される仮想コントロールを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはユーザコントロールに関し、より詳細には、コントロールに触れる特定のユーザを区別するユーザコントロールに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント制御室、航空機操縦室および車両ダッシュボードは、典型的には、システムを動作させるために複数のユーザが同時に用いることができる複数の物理的なユーザコントロール、たとえば、コントロールスイッチ、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどを備える。従来のシステムは、特定のコントロールを、どの特定のユーザが起動したかを容易に区別することはできない。したがって、各ユーザに対し、全てのコントロールは、同一に動作する。さらに、どのユーザがどのコントロールを操作したかに関する履歴を記録することもできない。
【0003】
そこで、ユーザを特定し、システムを動作させようとするシングルユーザシステムがある。コンピュータシステムにログオンすることが、その一般的な例である。しかしながら、この場合には、ログオンした後に、1人のユーザだけが、そのシステム、たとえば、ワークステーションの物理的なユーザインターフェースを操作するものと思われる。そのシステムは、複数のユーザがそのインターフェースと対話しているか否かを知る術はない。
【0004】
パーソナルエリアネットワーク(PAN)は、触れることによってデータを転送するためのシステムである(Thomas Zimmerman著「Personal Area Networks: Near-field intrabody communication」(Vo1. 35, No. 3&4, MIT Media Lab, 1996)参照)。PANは、ユーザを通して伝導される低周波数の電界を用いる。転送されるデータは、ユーザ識別情報を含むことができるので、相応に能力を付与されたドアノブをプログラミングして、特定のユーザだけに応答することができる。残念ながら、そのシステムは、コントロールパネルのようなユーザインターフェースアプリケーション向きではない。PANタイプのインターフェースを数多くのコントロールに追加するには、法外な費用がかかる。また、複数のコントロールが1人のユーザによって同時に動作されるときに、かなりの量のデータが衝突するという解決すべき問題がある。
【0005】
指紋ユーザインターフェースは、特定のユーザの指紋に基づいて装置を動作させるためのシステムである(Sugiura Atsushi、Koseki Yoshiyuki著「A User Interface using Fingerprint Recognition: Holding Commands and Data Objects on Fingers」(Mynatt Elizabeth D., Jacob Robert J. K. (編), Proceedings of the 11th annual ACM symposium on User interface software and technology, p. 71-79, November, 1998)参照)。そのインターフェースによれば、ユーザ間だけでなく、同じユーザの異なる指の間でも機能を変更できるようになる。しかしながら、そのシステムは、全ての装置内に指紋センサを必要とし、スイッチのような小さなコントロール、および複数のコントロールを含むユーザインターフェースアプリケーションには適していない。さらに、全ての装置に指紋センサを組み込むコストは法外である。
【0006】
ダイヤモンドタッチシステムは、マルチユーザインターフェース装置の一例である(Dietz等著「DiamondTouch: A multi-user touch technology」(Proc. User Interface Software and Technology (UIST) 2001, pp. 219-226, 2001)および2002年12月24日にDietz等に対して発行され、参照により本明細書に援用される、米国特許第6,498,590号「Multi-user touch surface」を参照されたい)。ダイヤモンドタッチシステムは、数多くの望ましい特性を有する。ダイヤモンドタッチシステムは、接触面内に埋め込まれたアンテナのアレイを備える。各アンテナは、固有に特定可能な信号を送信する。これらの信号がユーザを通して如何に結合されるかを検出することにより、そのシステムは、ユーザが表面に触れている場所を判定する。各ユーザを個別の受信機に接続することにより、そのシステムは、各ユーザによって触れられた場所を固有に特定できるようになる。しかしながら、ダイヤモンドタッチシステムは、アンテナのパターンを埋め込まれた専用の接触面に限定される。
【0007】
いくつかの表示システムは、1つのディスプレイスクリーンまたはモニタを有する1つの装置からの複数の画像を同時に表示することができる。ディスプレイスクリーンは、CRT、LCDまたは類似の表示面であり得る。別法では、前面投影または背面投影を使用して画像を1つのスクリーン上に投影することができる。本明細書において、これらの表示システムを概してマルチビューディスプレイと呼ぶ。マルチビューディスプレイによって、異なるユーザが異なる画像を同時に知覚する。
【0008】
マルチビュー表示システムの一例は、Montgomery他によって、参照により援用される米国特許出願第10/875,870号「Multiple view display」に記載されている。そこでは、視差バリアが使用されて、別個の観察領域が形成される。各観察領域は、その領域内の観察者に異なる画像を提供する。
【0009】
マルチビュー表示装置の別の例は、2003年11月18日に登録された、参照により援用される、Yerazunis他による米国特許第6,650,306号「Security-enhanced display device」において提供される。そのシステムでは、表示装置は、異なる偏光を有する画像を生成した。普通にディスプレイを観察するユーザは、ある画像を知覚したが、光シャッター装置を通じてディスプレイを観察するユーザは、異なる画像を知覚した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
システムが複数のユーザの場合に、別々に動作できるようにするユーザインターフェースを提供することが望ましい。さらに、そのようなシステムは、各ユーザの使用履歴を記録できることが望ましい。
【0011】
また、複数の画像を複数のユーザに対して同時に表示する手段を備えるマルチユーザコントロールシステムを提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、システムのコントロールを操作している複数のユーザ間で区別すること、およびマルチビュー表示装置を使用して複数の画像を複数のユーザに対して表示することが可能であるコントロールシステムおよび方法を提供する。
【0013】
本発明の1つの実施の形態では、システムのコントロールは、表示される画像から物理的に分離される。特定のユーザに対して表示される画像は、特定のコントロールを作動させている特定のユーザによって決まる。システムの他のユーザによって知覚される画像は、コントロールを作動させている特定のユーザとは無関係のものであることができる。
【0014】
本発明の別の実施の形態では、複数の画像がタッチセンシティブ表示面上に表示される。システムのコントロールのいくつかまたは全ては、仮想であり、アイコンとしてタッチセンシティブ面上に表示される。システムのユーザに対して表示されるコントロールの組は、ユーザ毎に同じであるか、または異なることができる。特定のユーザに対して表示される画像は、特定のコントロールを作動させている特定のユーザによって決まる。システムの他のユーザによって知覚される画像は、コントロールを作動させている特定のユーザとは無関係のものであることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
システム概要
本発明は、種々のユーザに応じて、システムのコントロールの動作および挙動を区別する。本発明は、わずかな例を挙げると、典型的には制御室、航空機および車両に収容されるシステムに関する。特定のユーザがコントロールを起動するのに応じて、システムを動作させることが望ましい。システムの機能および挙動はいずれも、種々のユーザに応じて変更することができる。挙動は、コントロールの「ルックアンドフィール」を指している。たとえば、挙動は、触覚フィードバック手段によって変更されてもよい。
【0016】
コントロール
本発明の好ましい実施の形態では、システムのコントロールは、対応する導電性表面に関連付けられる。各導電性表面は、そのコントロールに関連付けられる固有に特定可能な信号を送出する送信機に接続される。その導電性表面は、ユーザが、その対応するコントロールを操作するために、導電性表面に物理的に極めて近接して存在するように配置される。
【0017】
さらに、その導電性表面は、ユーザが対応するコントロールの近くにいないときには、容量性結合が実質的に生じないように配置される。さらに、種々のコントロールの導電性表面は、互いに電気的に絶縁される。複数のコントロールが同時に使用されるのを検出できるようにするために、1つのコントロールに強く触れることによって、別のコントロールに軽く触れることがかき消されないように、結合を制限することが有用である。それゆえ、誘電体絶縁層を利用して、導電性表面との直接的な抵抗性接触を防ぐことにより、結合を制限し、受信機に要求されるダイナミックレンジを小さくする。
【0018】
受信機
システムの各ユーザに受信機が結合される。その受信機は、ユーザが対応するコントロールを選択し、触れるときに、導電性表面によって送出される信号を受信するように構成される。これを実施するのに都合の良い方法は、ユーザによって使用される椅子の座席および/または背もたれの表面内に導電性シートを埋め込むことである。別法では、各ユーザが、使用中に携帯するポータブル受信機を装着することができる。
【0019】
送信機
典型的なシステムは、数十または数百のコントロールを有することができるので、コントロール毎に固有の信号を生成する効率的な方法は、導電性表面に結合される送信機内の線形帰還シフトレジスタによって生成される1つのバイナリシーケンスの時間シフトされたものを用いることである。この同じバイナリシーケンスが、ユーザに結合される受信機において用いられる。相互相関によって、シフト毎の受信信号の量が判定される。このタイプのシグナリングは、符号分割多元接続(CDMA)として知られている。しかしながら、時間分割多元接続(TDMA)および周波数分割技術を含む、固有の信号を生成するための他の方法も実現可能である。他の実現可能なシグナリングの実施態様については、参照により本明細書に援用される米国特許第6,498,590号を参照されたい。
【0020】
いくつかの設置形態では、各コントロールに固有の送信機信号を個別に接続することは不都合な場合もある。別の方法は、いくつかまたは全ての信号をローカルに生成することである。これは、コントロールが通信バスに既に接続されており、固有の接続のための準備がなされていないときに、特に有用である。この場合には、バスを用いて、信号を同期させることができる。
【0021】
タッチセンシティブコントロール
特に重要な1つのコントロール装置は、タッチセンシティブディスプレイスクリーンである。装置を変更することなく、従来の抵抗性タッチセンシティブスクリーンの導電性表面を用いることができる。これらのタイプの装置は、既に導電性表面を備えているので、この表面を直に変調することができる。この実施の形態では、接触面は、従来の抵抗性接触面および変調された導電性表面として選択的に動作する。触れられた場所を従来どおりに測定している場合であっても、この導電性表面を絶えず変調することができる。
【0022】
システム構造および動作
図1は、本発明による例示的なマルチユーザコントロールシステム100を示す。マルチチャネル送信機101が、コントロール102〜104に物理的に近接している導電性表面115に、固有に特定可能な信号を与える。複数のユーザ105、106がコントロールを起動することができる。ユーザは、対応する受信用電極107および108に近接している。この例では、電極は、ユーザによって使用される椅子109および110の座席内に配置される。
【0023】
ユーザが着座するとき、ユーザは、椅子内の受信用電極に容量性結合される。ユーザが特定のコントロールに触れるとき、ユーザは、そのコントロールのための導電性表面115にも容量性結合される。こうして、コントロールの近くにある導電性表面と、ユーザの近くにある受信用電極との間に電気経路が形成される。受信用電極は、対応する受信機111、112に接続される。それらの受信機は、ユーザを通して容量性結合されるときに、導電性表面からの固有に特定可能な信号を検出することができる。
【0024】
コントロール102〜104、受信機111および112並びに送信機101は、コントローラ200に接続される。コントローラは、送信機および受信機に同期情報を提供し、作動時に結合するユーザによって決定されるような、ユーザによって起動されるコントロールの設定に基づいて、適当な動作を行う。別の実施の形態では、ユーザは、固有の信号送信機に結合され、信号が各コントロールから個別に受信されることができる。
【0025】
図2は、5ワイヤ抵抗性タッチセンシティブスクリーンを用いる本発明の実施の形態を示しており、ワイヤは、当該技術分野において知られているような接触面に接続される。スクリーン220は、変更されていないが、本発明によるコントローラ200を用いることができる。別法では、コントローラは、触れられた場所を指示する電圧を測定し(222)、特定のユーザを指示する、固有に送信された信号101を復号化する。
【0026】
図3は、この実施の形態の動作を示す。導電性表面が変調される(310)。その後、ユーザが触れたかを検査する(320)。触れられていない場合には、変調を繰り返す。触れられた場合には、対角線に沿って電圧を測定し(330および340)、触れられた場所を判定し、そして繰り返す。
【0027】
この基本構成に関する変形の形態も実現可能である。たとえば、同じ技術を、従来の4ワイヤ抵抗性タッチスクリーンに、または他のタイプのタッチスクリーンに適用することができる。変調された固有信号の周波数が十分に高く、その信号の平均が0である場合には、場所の測定に影響を及ぼすことなく、複数の信号を絶えず加えることができる。
【0028】
ユーザ識別
図1の実施の形態は、受信用電極に近いことに基づいてユーザを特定する。状況によっては、ユーザの正確な識別情報を知ることが好都合な場合もある。ユーザは、「ログオン」手順を用いて特定することができる。このログオン手順は、パスワードを与えること、セキュリティカードまたはRFIDタグを読み取ること、キーを挿入すること、指紋を走査すること、および眼球走査のような、よく知られている識別技術のうちの任意の技術を用いることができる。ログオンが要求されるタイミングを判定するために、受信用電極の静電容量を単にモニタすることにより、そのシステムは、ユーザが電極に近接したエリアに入ったか、そのエリアから出たかを判定することができる。この目的を果たすために、体重を検出するなどの他の手段を用いることもできる。この実施の形態では、そのシステムは、ユーザが正確に特定されるまで、新たに着座したユーザからのコントロール入力を受け付けない。
【0029】
他の状況では、ユーザの種類を知ることで十分であるかもしれない。たとえば、ユーザが子供である場合には、特定のコントロールの機能を停止することが望ましい場合がある。この場合、分類システムを用いて、たとえば、体重検出装置または任意の物体分類技術を用いることによって、ユーザの種類を判定することができる。分類が要求されるタイミングを判定するために、そのシステムは、上記の方法のうちの任意の方法を用いて、ユーザが電極に近接したエリアに入ったか、そのエリアから出たかを判定することができる。
【0030】
他の状況では、システムおよび他のユーザとのやりとりにおいて、ユーザが果たしている役割を知ることが望ましい場合もある。たとえば、自動車内では、運転者の役割は、乗客の役割とは著しく異なる。同様に、操縦室または制御室の状況では、教師または指導者の役割は、生徒の役割とは異なる。特定の役割を特定の受信機に関連付けることができる。車両の場合には、役割は、しばしば、着座位置、たとえば運転者、乗客、操縦士、副操縦士などに関連付けられる。制御室では、1組の役割のために特定のポータブル受信機が指定されるかもしれない。
【0031】
ユーザの役割、種類または識別情報がわかったとき、そのシステムは、異なるユーザの場合に異なる態様で動作することができる。その動作では、低い機能または高い機能を提供するという点で、すなわち、コントロールの操作に応答してシステムが行うことが異なる可能性があり、かつ/または異なる挙動を提供するという点で、コントロールそのものの応答が異なる可能性がある。コントロールからの触覚フィードバックが、ユーザ毎に異なる可能性がある挙動の一例である。明らかに、挙動の範囲と機能の範囲との間にある事例があり、たとえば、いくつかのユーザの役割の場合に異なる出力形態を用いること、たとえば、運転者のための音声を、乗客のための映像を用いることは、挙動または機能のいずれかである。
【0032】
この実施の形態では、システムの挙動および機能は、いずれも、操作するユーザ(複数可)に基づいて異なる可能性がある。
【0033】
触覚フィードバック
コントロールの触感を変更することにより、ユーザは、直覚的に認識され、コントロールに触れていない他のユーザの気を散らすことのない個別のフィードバックを有する(2004年5月6日にDietz等によって出願され、参照により本明細書に援用される「Hand-Held Haptic Stylus」という発明の名称の米国特許出願第10/840,748号を参照されたい)。コントロールの機能がユーザに依存するとき、触覚フィードバックは、特に有用である。たとえば、ある特定のユーザの場合に機能できるようになる触覚ペンは、押下されるときに物理的に「クリック」することができるが、他のユーザに対しては応答しない。当該技術分野において、種々のプログラム可能な感覚を提供する数多くの触覚装置が知られている。本発明による固有信号で駆動される導電性表面を追加する場合、触覚応答は、特定のユーザによることができ、そして他の従来からの要因によることができる。
【0034】
視覚出力
コントローラに接続される1つまたは複数の視覚表示装置を組み込むことによって、視覚フィードバックをコントロールシステムのユーザに与えることができる。視覚表示装置は、一度に1つの画像を、たとえば、コンピュータモニタ、プロジェクタ若しくはテレビ画面等で提示するように構成することができるか、または、たとえば、視差バリア表示装置若しくは偏光回転表示装置のようなマルチビュー表示装置等で同時に複数の画像を提示するように構成することができる。シングルイメージ表示装置とマルチイメージ表示装置とのあらゆる組み合わせを本発明に使用することができる。ユーザに対して提示される画像は、静止画像または映像であることができる。
【0035】
ユーザに対して提示される画像は、コントローラからの入力信号に応じて変更される。コントローラは、どのユーザが特定のコントロールを起動しているかを判定し、信号を表示装置に送信して、ユーザおよびコントロールに応じて1つまたは複数の画像を更新する。
【0036】
図4は、画像401をユーザ105および106に対して表示するための表示装置400を使用する本発明の1つの実施の形態を示す。画像401は、コントローラ200によって送信される信号に応答して、表示装置400によって変更される。コントローラ200によって生成される信号は、たとえば、システム状態の変化、並びに入力コントロールに対するユーザの近接性および入力コントロールの操作を示すことができる。システムは、現在のシステムの状態の視覚フィードバックを各ユーザに提供する。
【0037】
図5は、異なる画像501および502をユーザ105および106に対して、大まかに点描で示されている異なる観察領域503および504内に同時に表示するためのマルチビュー表示装置500を使用する本発明の1つの実施の形態を示す。画像501および502は、コントローラ200によって送信される信号に応答して、マルチビュー表示装置500によって変更される。コントローラ200によって生成される信号は、たとえば、システムの状態、並びに入力コントロールに対するユーザの近接性および入力コントロールの操作における変化を示すことができる。システムは、現在のシステムの状態の別個の視覚フィードバックを各ユーザに同時に提供する。
【0038】
図6における実施の形態は、タッチセンシティブ面600を、マルチビュー表示装置500と組み合わせて使用する。これによって、ユーザは、表示される画像501および502と直接対話することができる。ユーザ105および106は、異なるそれぞれの観察領域503および504内の異なる画像を知覚するため、また本発明のタッチセンシティブ面600は、いずれのユーザがタッチセンシティブ面に近接しているかを検出することができるため、システムは、視覚コントロール601および602の、同一の場所に配置されるセットを提示することができる。このセットは、異なる外観および機能を有してもよく、ボタン、スイッチ、メニュー、アイコン等を含む異なる仮想コントロールを含んでもよい。
【0039】
ユーザの受信機が特定の椅子のような特定の物理的な位置に接続される場合、1つの受信機当たり1つの観察領域を用いるマルチビュー表示システムが好ましい。
【0040】
応用形態
本発明は、車両コントロールを改良する。座席またはシートベルト内に電極を配置することにより、そのシステムは、運転者または乗客によって操作されるコントロールを区別することができ、それに応じて、おそらくユーザの役割およびあらかじめ設定されるユーザプリファレンスに従って、コントロールの動作を変更することができる。
【0041】
いくつかのナビゲーションシステムは、運転者の気が散るのを最小限に抑えるために、車両が移動中に機能を停止する。本発明を用いる場合、車両が移動中でも乗客がナビゲーション機能を操作できるようになり、一方、運転者に対しては、同じ機能を停止することができる。同様に、車両の乗客がコントロールに触れたのに応じて、聴覚的または視覚的な形態でフィードバックを与えることができる。
【0042】
ドア、ウィンドウ、エンターテイメント、座席および環境コントロールのようないくつかのコントロールが、車両においても用いられる。これは、コストがかかる。本発明によれば、車両内の着座場所および/またはあらかじめ設定されたユーザプリファレンスによって判定されるようなユーザの役割に応じて、1組のコントロールが、異なるユーザの場合に異なる態様で動作できるようになる。
【0043】
さらに、無線トランシーバの「プッシュトーク」(PTT)コントロールを座席間に配置することができる。その際、本発明を用いて、マイクロフォンアレイを、PTTコントロールに触れている特定のユーザに音響的に「向ける」ことができる。こうして、1つのコントロールに基づくマルチユーザ音声インターフェースが作動することができる。
【0044】
航空機操縦室および制御室は、しばしば、操縦士およびオペレータによって行われた全ての動作を記録する。これは、訓練のために、そして操作および事故解析の場合に有用である。現在、特定のコントロールを操縦士が作動させたか、副操縦士が作動させたかを容易に知ることはできない。本発明による個別のコントロールは、実行記録を提供するためにコントロールデータがタイムスタンプを押されるときに、特に、この問題を解決する。
【0045】
本発明は、常時、全てのユーザが近くにいるかを検出するので、安全上の理由から、複数のユーザがある特定のコントロールを同時に作動させることを要求することができる。たとえば、両方の操縦士が離陸および着陸中にスロットルレバーに手をかけることが共通の慣行である。本発明を用いる場合、この慣行を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるマルチユーザコントロールシステムの概略図である。
【図2】抵抗性タッチセンシティブスクリーンを用いるマルチユーザコントロールシステムの概略図である。
【図3】図2のコントロールシステムを動作させるための方法の流れ図である。
【図4】シングルビュー表示装置を用いるマルチユーザコントロールシステムの概略図である。
【図5】マルチビュー表示装置を用いるマルチユーザコントロールシステムの概略図である。
【図6】マルチビュー表示装置およびタッチセンシティブ面を用いるマルチユーザコントロールシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
区別されたユーザコントロールを備えるシステムであって、
複数のコントロールと、
各コントロールに極めて近接して配置される導電性表面と、
前記導電性表面に接続され、各導電性表面に対して固有の信号を送出する送信機と、
それぞれが前記コントロールの複数のユーザのうちの特定のユーザに極めて近接して配置される複数の電極と、
対応する各電極に接続される受信機と、
前記特定のユーザが、前記電極、前記受信機および前記送信機を経由して特定の導電性表面に容量性結合するときに、該特定のユーザを特定のコントロールに関連付けるための手段と、
複数の画像を前記複数のユーザに対して同時に表示するように構成される表示装置と
を備え、
各ユーザは、前記特定のコントロールおよび前記特定のユーザに関連付けられる前記特定の導電性表面のための前記固有の信号に応じて特定の画像を知覚する、区別されたユーザコントロールを備えるシステム。
【請求項2】
前記表示装置は、視差バリアを使用して異なる画像を異なるユーザに関連付けられる異なる観察領域内に提示する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記複数のユーザが光シャッター装置を通じて前記画像を観察する場合に、偏光回転子を使用して異なる画像を前記複数のユーザに対して提示する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記画像は、静止画像である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像は、映像である請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
タッチセンシティブ面をさらに備え、
前記導電性表面は、該タッチセンシティブ面上に配置される
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記表示装置は、前記複数の画像が前記タッチセンシティブ面上で知覚されるように、前記複数の画像を表示する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のコントロールは、前記タッチセンシティブ面上に表示されるアイコンである請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の画像の組み合わせを含む1つの画像を表示するように構成される表示装置をさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数のコントロールは、車両内に配置される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のコントロールは、航空機内に配置される請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のコントロールは、制御室内に配置される請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の画像は、投影される請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
個別のユーザコントロールでシステムを動作させるための方法であって、
複数のコントロールのうちのそれぞれ対応するコントロールに極めて近接して配置される複数の導電性表面のそれぞれに固有の信号を送信することと、
特定のコントロールに触れる複数のユーザのうちの特定のユーザに極めて近接して配置される電極に接続される受信機において、前記固有の信号のうちの特定の固有の信号を受信することと、
前記特定の固有の信号に基づいて前記システムを動作させることと、
複数の画像を前記複数のユーザに対して同時に表示することと
を含み、
各ユーザは、前記特定のコントロールおよび前記特定のユーザに関連付けられる特定の表面のための前記固有の信号に応じて特定の画像を知覚する、個別のユーザコントロールでシステムを動作させるための方法。
【請求項15】
個別のユーザコントロールでシステムを動作させるための方法であって、
複数のコントロールのうちのそれぞれ対応するコントロールに極めて近接して配置される複数の導電性表面のそれぞれに固有の信号を送信することと、
特定のコントロールに触れる複数のユーザのうちの特定のユーザに極めて近接して配置される電極に接続される受信機において、前記固有の信号のうちの特定の固有の信号を受信することと、
複数の画像を前記複数のユーザに対して同時に表示することと
を含み、
各ユーザは、前記特定のコントロールおよび前記特定のユーザに関連付けられる特定の表面のための前記固有の信号に応じて特定の画像を知覚する、個別のユーザコントロールでシステムを動作させるための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−130081(P2008−130081A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−199057(P2007−199057)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】