説明

医用情報端末、及び医用診断システム

【課題】 計測値の承認情報をより簡便に確認することを目的とする。
【解決手段】 複数の計測モードを切り替えて、前記計測モードごとに対応した計測値を計測する計測手段を備えた医用情報端末であって、前記計測した計測値を前記医用情報端末に接続された通信回線へ送信する送信手段と、前記通信回線を通じて、前記計測手段が計測した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに付された前記計測値に関する承認情報を取得する承認情報取得手段と、前記取得した承認情報と、前記承認情報に対応する計測値あるいは前記計測モードと、を対応づけて表示する表示手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断結果を確認することが可能な医用情報端末、及び医用診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用診断システムは、超音波診断装置やCT(Computed Tomography)スキャン装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの撮像端末が撮影した医用画像や、医用画像に付帯されるレポートをネットワーク内で共有するシステムである。医用診断システムを使用する診療施設においては、撮像端末、PACS(画像保存通信システム:Picture Archiving and Communication System)サーバ、及びビューワー端末などの種々の医用情報端末がネットワーク接続される。
【0003】
このような医用診断システムにおいては、ネットワーク内でレポートを共有することにより診断の効率化が行われている(例えば、特許文献1を参照。)。すなわち、検査技師が撮像端末を用いて被検体の撮像を行って、医用画像と被検体に関する生体情報の計測値を取得する。検査技師は取得した計測値をレポートとして医用画像と共にPACSサーバへと出力する。医師はこのレポートをPACSサーバから読みだして確認することで、撮像端末から離れた診断室から被検体の診断を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−143766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先述した医用診断システムを用いて医師が被検体の診断を行う場合には、医師はPACSサーバのレポート内に保存された計測値を基にして、被検体に異常がないかの確認を行う。ここで、例えば検査技師の操作ミスなどで計測作業が正しく行えなかった場合や、撮像端末の不具合が発生した場合などで、計測値が異常値を示すことがある。計測値が異常値である場合には、検査技師は再計測を行って、計測値を取得しなおす必要がある。
【0006】
しかし従来の医用診断システムにおいては、レポート中に含まれる多数の計測値のうち、どの計測値が異常値を示しているのか、あるいはどの計測値について再計測を行うべきかを指示するために、医師が直接検査技師に口頭で伝えるか、あるいは紙文書を作成し検査技師に送付する必要があった。このため、異常値の指摘や再計測の指示が迅速に行えず、また口頭や紙文書の作成にともなって伝達ミスが発生する虞があった。
【0007】
そこで本開示においては、計測値の承認情報をより簡便に確認することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため実施形態の医用情報端末においては、複数の計測モードを切り替えて、前記計測モードごとに対応した計測値を計測する計測手段を備えた医用情報端末であって、前記計測した計測値を前記医用情報端末に接続された通信回線へ送信する送信手段と、前記通信回線を通じて、前記計測手段が計測した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに付された前記計測値に関する承認情報を取得する承認情報取得手段と、前記取得した承認情報と、前記承認情報に対応する計測値あるいは前記計測モードと、を対応づけて表示する表示手段とを具備する。
【0009】
また、上記課題を解決するため実施形態の医用情報端末においては、通信回線を通じて、複数の計測モードごとに対応した計測値を取得する計測値取得手段と、前記取得した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに、前記計測値が承認されたことを示す承認済み情報と、前記計測値が承認されていないことを示す未承認情報とを少なくとも含む承認情報を付与する承認情報付与手段と、前記通信回線を通じて、前記付与した承認情報を送信する送信手段とを具備する。
【0010】
また、上記課題を解決するため実施形態の医用診断システムにおいては、計測端末とビューワー端末からなる医用診断システムであって、前記計測端末は、複数の計測モードを切り替えて、前記計測モードごとに対応した計測値を計測する計測手段と、前記ビューワー端末によって付与された、前記計測手段が計測した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに付された前記計測値に関する承認情報を取得する承認情報手段と、前記取得した承認情報と、前記承認情報に対応する計測値あるいは前記計測モードと、を対応づけて表示する表示手段とを備え、前記ビューワー端末は、前記計測端末が計測した前記計測値を取得する計測値取得手段と、前記取得した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに承認情報を付与する承認情報付与手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る医用診断システムの構成を示す図。
【図2】実施形態に係るレポートの階層構造を示す図。
【図3】実施形態に係る計測値承認情報を用いた診断の流れを示すフローチャート。
【図4】実施形態に係る承認情報を付与する際の、ビューワー端末における画面表示例を示す図。
【図5】実施形態に係る承認情報を参照する際の、撮像端末における画面表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(医用診断システムのネットワーク構成)
図1は、実施形態にかかる医用診断システム10のネットワーク構成を示すブロック図である。実施形態における医用診断システム10は、後述する撮像端末1、ビューワー端末2、及びPACSサーバ3などの種々の医用情報端末を有線通信回線や無線通信回線を通じて接続したネットワークである。医用診断システム10を構成する各医用情報端末は、公知の通信技術を用いて互いに情報の送受信が可能なように構成される。なお、本実施形態においては、撮像端末1、ビューワー端末2、及びPACSサーバー3を総称して医用情報端末と記載する。
【0014】
なお、実施形態における医用診断システム10の構成はこれに限られるものではない。例えば撮像端末1、ビューワー端末2、及びPACSサーバ3などの医用情報端末が医用診断システム10内に複数存在しても構わないし、あるいは各医用情報端末のうちいずれかを省略して、その省略された医用情報端末の機能を他の医用情報端末が担う構成としても構わない。例えば、図1に示す構成からPACSサーバ3を省略して、ビューワー端末2がPACSサーバ3の機能を兼ね備えるように医用診断システム10を構成しても構わない。
【0015】
撮像端末1は、超音波診断装置、CTスキャン装置、MRI装置、X線画像診断装置、内視鏡画像撮影装置、あるいは核医学診断装置といった、被検体の医用画像を撮影するための装置である。
【0016】
また、撮像端末1は撮影した医用画像を用いて計測値を取得する機能を持つ。例えば撮像端末1が超音波診断装置によって構成される場合には、以下のような計測値を取得することができる。例えば、撮像端末1が撮影した超音波画像上の臨床的な特徴点(例えば、大動脈の血管壁)に計測用のマーカを複数配置して、大動脈の径を計測し計測値として取得する。また例えば撮像端末1が取得したドプラ波形(実施形態においてはドプラ波形も医用画像の一種として記載する)を用いて、心室拡張初期の時相における血流速度を計測し計測値として取得する。なお、撮像端末1が計測値を取得する場合に替えて、撮像端末1に接続された計測値取得用のワークステーションが計測値を取得するものであっても構わない。
【0017】
また、撮像端末1は撮影した医用画像に関連する種々の情報を示す付帯情報(以下、付帯情報を単にレポートと記載する)を生成する機能を持つ。例えばレポートには、医用画像を撮影した患者に関する情報や、撮像端末1が計測した計測値の情報、あるいは計測値を取得した計測手法に関連する情報が含まれる。またレポートには、本実施形態において特徴的な構成である、計測値承認情報が含まれる。計測値承認情報は、計測値を用いて被検体を診断する医師が、後述するビューワー端末2を用いて編集する情報である。計測値承認情報は、ビューワー端末2で確認されたレポート中の各計測値について、計測値を正しいものとみなして承認したか、あるいは未だ承認していないか、あるいは再度の計測を指示しているかを示す情報である。レポートを構成する各情報の構成については、後に詳しく述べる。なお、撮像端末1がレポートを構成する各情報を生成する場合に替えて、撮像端末1やPACSサーバ3に接続された患者情報データベースや情報入力端末がレポートを構成する情報のうち、幾つかを生成するものであっても構わない。
【0018】
また、撮像端末1は撮影した医用画像と、医用画像に関するレポートとをPACSサーバ3に出力する機能を持つ。
【0019】
また、撮像端末1はPACSサーバ3から医用画像と、医用画像に関するレポートを読みだして、撮像端末1に設けられたディスプレイに表示する機能を持つ。
【0020】
ビューワー端末2は、例えば医師が医用画像とレポートを用いて被検体の診断を行う際に使用する情報端末である。ビューワー端末2はPACSサーバ3から医用画像と、医用画像に関するレポートを読みだして、ビューワー端末2に設けられたディスプレイに表示する機能を持つ。ビューワー端末2を使用する医師はディスプレイに医用画像とレポートとを表示させて、医用画像中に臨床的な異常がないか、あるいはレポート中の計測値に臨床的な異常がないかを確認することによって診断を行う。
【0021】
また、ビューワー端末2はレポート中の各計測値に対して計測値承認情報を付与する機能を持つ。例えば計測値承認情報の付与は、ビューワー端末2に設けられたキーボードなどの入力部を用いて、レポート中の各計測値に対して承認したことを示すマークや、再計測を指示するマークを付すことにより行われる。ビューワー端末2は計測値承認情報を付与したレポートをPACSサーバ3に出力する機能を持つ。
【0022】
また、ビューワー端末2は計測値承認情報を付与したレポート及び医用画像について確認するよう指示する信号を撮像端末1に出力する機能を持つ。
【0023】
PACSサーバ3は、先述した医用画像及びレポートを格納するデータベースサーバである。PACSサーバ3中には、医用画像を格納する画像データベース31、レポートを格納するレポートデータベース32がそれぞれ設けられている。PACSサーバ3は画像データベース31中の医用画像とレポートデータベース32中のレポートとをそれぞれ対応付けて格納し、あるレポートが特定された場合に関連付けられた医用画像を特定する機能を持つ。
【0024】
また、PACSサーバ3は撮像端末1あるいはビューワー端末2から出力されたレポート出力指示あるいは医用画像出力指示に応じて、レポートあるいは医用画像を出力する機能を持つ。また、PACSサーバ3は撮像端末1から出力された医用画像及びレポート、もしくはビューワー端末2から出力されたレポートを受けて、画像データベース31あるいはレポートデータベース32にそれぞれ格納する機能を持つ。
【0025】
(レポートの情報構成)
図2は、PACSサーバ3のレポートデータベース32に格納されるレポートの情報構成を示した図である。例えばレポートは、医用画像を扱う情報端末間での通信規格であるDICOMSR(Digital Imaging and Communication in Medicine Structured Report)に則って構成することができる。DICOMSR規格に則ってレポートを構成する場合、レポートを構成する各情報は図2に示すように階層化して整理される。
【0026】
例えばレポート最上位の階層である階層1には、「レポート名」としてレポート全体に対する情報であるレポートに対する名称の情報が格納される。
【0027】
例えば階層1の下位にある階層2には、「レポート言語」としてレポートを記述する言語が何であるかを示す情報(日本語や英語など)、「参照ステータス」としてレポート全体がビューワー端末2によって確認されたか否かを示す情報(確認済み、や未確認など)、「患者情報」としてレポートがどの被検体に関するものであるかを示す情報(東芝 太郎など)、「画像識別子」としてレポートが付帯している医用画像の画像識別子が何であるかを示す情報(DCFやJPEGなど)、「計測手法」として医用画像が被検体の何の計測を目的としているかを示す情報(僧帽弁機能計測など)が格納される。
【0028】
例えば階層2の下位にある階層3の情報のうち、「計測手法」の下位にある情報としては、「計測箇所」として計測が被検体のどの部位に対して行われたかを示す情報(心房左室や大動脈など)、「計測原理」として計測に用いた計測原理が何であるかを示す情報(Teichholz法など)が格納される。
【0029】
例えば階層3の下位にある階層4の情報のうち、「計測原理」の下位にある情報としては、「画像モード」として撮像された医用画像の画像モードが何であるかを示す情報(2DBモード画像やドプラ画像など)、「計測値」として計測によって得られた計測値を示す情報(AOD(大動脈径)=45mmなど)が格納される。
【0030】
例えば階層4の下位にある階層5の情報のうち、「計測値」の下位にある情報としては、「ビューモード」として医用画像が何のビューで表示されているときに計測値が取得されたかを示す情報(4チャンバービューなど)、「心拍状態」として計測値が取得された心時相を示す情報(拡張末期など)、そして実施形態に特徴的な情報である、「計測値承認情報」として医師の計測値に対する承認ステータスを示す情報(承認済み、未承認、要再計測など)が格納される。
【0031】
以上の階層化して整理されたレポートの各情報に対して、撮像端末1あるいはビューワー端末2は情報を付与し、あるいは情報を読みだしてディスプレイに表示することができる。
【0032】
なお、実施例におけるレポートの情報構成はこれに限られるものではない。例えばレポートを階層化しない一般的なDICOM規格に則って構成しても構わないし、DICOM規格と異なるHL7(Health Level 7)などの任意の規格に則ってレポートを構成しても構わない。あるいは単に計測値と計測値承認情報のみからレポートを構成しても構わない。
【0033】
(計測値承認情報を用いた診断の流れ)
図3は、測値承認情報を用いた診断の流れを示したフローチャートである。以下、図3を参照しながら医用診断システム10の処理の流れについて述べる。
【0034】
まず、撮像端末1は被検体に対する医用画像の撮影処理を行って医用画像を生成し、また医用画像を用いた計測を行って計測値を取得する。撮像端末1は、取得した計測値と医用画像に関する情報とに基づいてレポートを生成する(ステップ101)。このレポートには、少なくとも取得した計測値と、計測値に対応する計測値承認情報とが少なくとも含まれる。
【0035】
撮像端末1が医用画像及びレポートを生成すると、撮像端末1は医用画像とレポートをPACSサーバ3へと出力する(ステップ102)。PACSサーバ3は、画像データベース31に医用画像を、レポートデータベース32にレポートをそれぞれ記憶する。なお、このときPACSサーバ3は医用画像とレポートとをそれぞれ対応づけて記憶する。
【0036】
次に、ビューワー端末2が医用画像とレポートの読み出し指示をPACSサーバ3へと送信する(ステップ103)。ビューワー端末2による読み出し指示は、例えば患者情報や撮影日時などの情報を用いてレポートデータベース32に格納された任意のレポートを指定することで行っても構わないし、あるいは医用画像やレポートを一意に識別するID番号などを指定することで行っても構わない。PACSサーバ3は読み出し指示を受けると、読み出し指示によって指定された医用画像を画像データベース31から、レポートをレポートデータベース32から読み出して、ビューワー端末2へと出力する(ステップ104)。
【0037】
ビューワー端末2が医用画像及びレポートをPACSサーバ3から受信すると、ビューワー端末2は医用画像及びレポートに記録された計測値をビューワー端末2の表示部へと表示する。ビューワー端末2の使用者は、表示された医用画像及び計測値を用いて被検体の診断を行う。そして、ビューワー端末2の使用者は、ビューワー端末2の入力部を用いてレポート内の計測値承認情報を編集する(ステップ105)。
【0038】
図4は、計測値承認情報を編集する際のビューワー端末2における画面表示例を示した図である。ビューワー端末2の表示部には、例えば計測値のタイトルと、レポートに記録された計測値、そして計測値承認情報を入力する入力欄とが並べて表示される。図4の画面表示例においては、例として超音波検査における計測値を示している。計測値のタイトルであるAODは大動脈経を、LADは左房経を、IVSTは心室中隔壁厚を、E波は拡張早期波の流速を、A波は心房収縮期波の流速をそれぞれ示している。ビューワー端末2の使用者は、入力部を操作することで入力欄の表示を変化させて、計測値承認情報の入力を行う。計測値承認情報の入力をまだ行っていない初期状態においては、各計測値承認情報は「未承認」の状態になっている。ビューワー端末2の表示部では、計測値に対応する入力欄が空白の四角で表示されることで、計測値が「未承認」であることを示している。
【0039】
ビューワー端末2の使用者は、計測値が正しいものであるとして承認する場合は、入力欄の表示をチェックマークに変化させることによって、計測値承認情報を「承認」に変化させる。また計測値が正しいものではないとして撮像端末1による計測値の再取得を要求する場合には、入力欄の表示をクエスチョンマークに変化させることによって、計測値承認情報を「要再計測」に変化させる。
【0040】
ビューワー端末2は以上に述べた計測値承認情報の編集処理を終えると、計測値承認情報が編集されたレポートをPACSサーバ3へと出力する(ステップ106)。PACSサーバ3は、レポートデータベース32に記録されているレポートを、ビューワー端末2から送信されたレポートへと更新して記録する。
【0041】
更に、ビューワー端末2は編集した計測値承認情報の中に「未承認」あるいは「要再計測」が含まれているか否かを判断する(ステップ107)。ビューワー端末2が、「未承認」あるいは「要再計測」の情報が含まれず、全て「承認」の状態になっていると判断した場合は(ステップ107のNo)、処理を終了する。一方ビューワー端末2が、「未承認」あるいは「要再計測」の情報が含まれていると判断した場合は(ステップ107のYes)、ビューワー端末2は撮像端末1へ医用画像及びレポートの読み出し指示を送信する(ステップ108)。
【0042】
撮像端末1はビューワー端末2から送信された読み出し指示を受けると、読み出し指示によって指示された医用画像及びレポートの読み出し指示をPACSサーバ3へと送信する(ステップ109)。
【0043】
PACSサーバ3は撮像端末1から送信された読み出し指示を受けると、読み出し指示によって指定された医用画像を画像データベース31から、レポートをレポートデータベース32から読み出して、ビューワー端末2へと出力する(ステップ110)。
【0044】
撮像端末1はPACSサーバ3から出力された医用画像とレポートとを、撮像端末1の表示部へと表示する。図5は、レポートに含まれる計測値と計測値承認情報とを表示する際の、撮像端末1における画面表示例を示した図である。撮像端末1の表示部には、例えばビューワー端末2における計測値承認情報の編集画面と同じレイアウトの画面が表示される。つまり、計測値のタイトルと、レポートに記録された計測値、そして計測値承認情報を入力する入力欄とが並べて表示される。ここで、計測値承認情報はビューワー端末2による編集が反映された状態で表示される。よって、ビューワー端末2で編集された「承認」「未承認」及び「要再計測」の状態が撮像端末1の表示部にも表示されることとなる。撮像端末1の使用者はこの計測値承認情報を確認して、どの計測値が承認されたか、未承認であるか、あるいは再計測の必要があるかを判断する。
【0045】
なお、撮像端末1はPACSサーバ3から受信したレポート中に「要再計測」の計測値承認情報が含まれる場合、対応する計測値のタイトルを表示し、再計測を促すためのメッセージを表示しても構わない。このメッセージには計測モードへと移行するための入力ボタンが併せて表示される。撮像端末1の入力部を用いて入力ボタンを選択すると、撮像端末1は「要再計測」とされた計測値を計測するための計測モードへと移行する。すなわち、「要再計測」とされた計測値がAODやLADなど、医用画像中の距離計測に関するものである場合には、撮像端末1は医用画像を表示すると共に、距離計測を行うためのキャリパー(マーカ)を操作する計測モードへと移行する。一方「要再計測」とされた計測値がE波やA波など、医用画像の中でもドプラ波形における流速計測に関するものである場合には、撮像端末は医用画像のうちドプラ波形を表示すると共に、流速計測を行うためのマーカを操作する計測モードへと移行する。
【0046】
なお、撮像端末1が再計測を促すメッセージを表示するのは「要再計測」とされた計測値に限られるものではない。例えば「未承認」の状態にある計測値についても同様に、メッセージの表示および計測モードへの移行処理を行っても構わない。
【0047】
以上の処理により、医用診断システム10は計測値承認情報を撮像端末1とビューワー端末2とで共有して診断を行う。これにより、ビューワー端末2の使用者による異常値の指摘や再計測の指示をより簡便に行うことができる。
【0048】
また以上の処理により、撮像端末1はビューワー端末2で編集された計測値承認情報を計測値と対応づけて表示することができる。これにより、撮像端末1の使用者はいずれの計測値が承認されているか、未承認であるか、あるいは再計測が指示されているかを簡便に確認することができる。
【0049】
また以上の処理により、撮像端末1は、計測値承認情報を利用して、「要再計測」とされた計測値に対応する計測モードへと自動的に移行することができる。これにより、「要再計測」とされた計測値を簡単に再計測することができる。
【0050】
また以上の処理により、ビューワー端末2は撮像端末1で生成された各計測値について、承認状態を示し、また再計測を指示する計測値承認情報を編集することができる。これにより、いずれの計測値が異常値にあるか、また再計測の必要があるかを簡便に区別して記録することができる。
【0051】
本実施形態の構成はここに述べたものに限定されず、また上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宣な組み合わせにより、種々の実施形態を形成できる。
【0052】
例えば、図3におけるフローチャートのステップ101にて、撮像端末1は初期状態において「未承認」の状態にある計測値承認情報をレポートに付与するものとして述べたが、実施形態の構成はこれに限られない。例えばステップ101の時点では撮像端末1は計測値承認情報を生成せず、ステップ105においてビューワー端末2が計測値承認情報を生成するものであっても構わない。
【0053】
また例えば、図3における各ステップにて、撮像端末1やPACSサーバ3は医用画像及びレポートを送受信するものとして述べたが、医用画像の送受信を省略してレポートのみを送受信するものであっても構わない。
【0054】
また例えば、ステップ110にて撮像端末1がPACSサーバ3から計測値承認情報の編集されたレポートを読み出して再計測を行う場合、撮像端末1はレポートの各情報のうち、再計測を行った計測値のみを更新して再度PACSサーバ3へ送信する構成を取っても構わない。
【0055】
また例えば、計測値承認情報が取りうる情報として「承認」「未承認」「要再計測」の3つを例として挙げたが、この他に「異常値」や「1次承認」「2次承認」などの様々な情報を取るものであっても構わない。また例えば、ビューワー端末2が任意のテキスト情報や音声情報などを計測値承認情報として入力するものであっても構わない。
【0056】
以上に本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 撮像端末
2 ビューワー端末
3 PACSサーバ
10 医用診断システム
31 画像データベース
32 レポートデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の計測モードを切り替えて、前記計測モードごとに対応した計測値を計測する計測手段を備えた医用情報端末であって、
前記計測した計測値を前記医用情報端末に接続された通信回線へ送信する送信手段と、
前記通信回線を通じて、前記計測手段が計測した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに付された前記計測値に関する承認情報を取得する承認情報取得手段と、
前記取得した承認情報と、前記承認情報に対応する計測値あるいは前記計測モードと、を対応づけて表示する表示手段と
を具備する医用情報端末。
【請求項2】
前記承認情報は、前記計測値が承認されたことを示す承認済み情報と、前記計測値が承認されていないことを示す未承認情報と、を少なくとも含む
請求項1に記載の医用情報端末。
【請求項3】
前記承認情報は再計測指示情報を少なくとも含み、
前記計測手段は、前記承認情報取得手段が取得した承認情報に含まれる、前記再計測指示情報に対応した前記計測モードへと前記計測モードを切り替える
請求項1または2に記載の医用情報端末。
【請求項4】
通信回線を通じて、複数の計測モードごとに対応した計測値を取得する計測値取得手段と、
前記取得した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに、前記計測値が承認されたことを示す承認済み情報と、前記計測値が承認されていないことを示す未承認情報とを少なくとも含む承認情報を付与する承認情報付与手段と、
前記通信回線を通じて、前記付与した承認情報を送信する送信手段と
を具備する医用情報端末。
【請求項5】
計測端末とビューワー端末からなる医用診断システムであって、
前記計測端末は、
複数の計測モードを切り替えて、前記計測モードごとに対応した計測値を計測する計測手段と、
前記ビューワー端末によって付与された、前記計測手段が計測した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに付された前記計測値に関する承認情報を取得する承認情報手段と、
前記取得した承認情報と、前記承認情報に対応する計測値あるいは前記計測モードと、を対応づけて表示する表示手段とを備え、
前記ビューワー端末は、
前記計測端末が計測した前記計測値を取得する計測値取得手段と、
前記取得した計測値ごと、あるいは前記計測モードごとに承認情報を付与する承認情報付与手段と
を具備する医用診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−179101(P2012−179101A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42471(P2011−42471)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】