説明

医用画像情報システム

【課題】画像サーバに医用画像が保存されていなくとも診断レポートにリンク情報を設定することができる医用画像情報システムを提供すること。
【解決手段】リンク情報を設定するに先立って、リンク情報を設定する医用画像の保存場所を予約するための保存場所予約要求をクライアント2から画像サーバ1に送信する。画像サーバ1は、保存場所予約要求を受けて保存場所の予約を行い、保存場所の情報をクライアント2に送信する。クライアント2は、受信した保存場所の情報に基づいてリンク情報を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像情報システムに関し、特に診断レポートに医用画像を関連付けすることができる機能に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置、MRI装置などの医用画像診断装置で撮影された医用画像を保存する画像サーバ、保存した医用画像を表示する画像ビューア、読影医などが表示画像を読影した結果に基づき診断レポートを作成するためのレポートシステム等を有する医用画像情報システムが既に実用化されている。このような装置においては、医師などは、画像ビューアに表示された医用画像の所見を、診断レポートの所見記入欄に記入し、医用画像の所見に基づく診断結果を診断記入欄に記入し、更に必要に応じて医用画像を診断レポートに貼り付けることによって診断レポートをレポートシステムにより作成している。
【0003】
また、このようなレポートシステムに関して、例えば特許文献1では、診断レポート内で指定された文字列に対して、画像サーバに保存された医用画像のリンク情報をハイパーリンクとして設定可能としている。このようなハイパーリンクを設定することにより、診断レポートと医用画像との関連付けを行い、診断レポートから医用画像を表示するための画像ビューアを起動することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−301453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、診断レポートにおいてハイパーリンクを設定するためには医用画像の保存場所(パス)の情報が必要であるため、基本的には既に画像サーバに保存されている医用画像についてしかハイパーリンクを設定することができない。したがって、読影医等が画像ビューア上で新たに作成した医用画像についてハイパーリンクを設定するためには、該作成した医用画像を一旦画像サーバに保存した後で改めて診断レポートにおいてハイパーリンクを設定する必要があり、結果として、診断の効率が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、画像サーバに医用画像が保存されていなくとも診断レポートにリンク情報を設定することができる医用画像情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1による医用画像情報システムは、画像保存装置に保存された医用画像を参照するためのリンク情報が設定された診断レポートを作成する作成手段を有する医用画像情報システムにおいて、前記画像保存装置に前記保存されていない医用画像を保存するに先立って、前記画像保存装置における前記保存されていない医用画像の保存場所の予約要求を行う予約要求手段と、前記予約要求を受けて前記保存されていない医用画像の保存場所の予約を行う予約手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像サーバに医用画像が保存されていなくとも診断レポートにリンク情報を設定することができる医用画像情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る医用画像情報システムの主要な構成を示す図である。
【図2】ユーザが新たに医用画像を作成し、この新たに作成した医用画像にハイパーリンクを設定する際の画像サーバの動作について示すフローチャートである。
【図3】ユーザが新たに医用画像を作成し、この新たに作成した医用画像にハイパーリンクを設定する際のクライアントの動作について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る医用画像情報システムの主要な構成を示す図である。図1の医用画像情報システムは、画像サーバ1と、クライアント2と、レポートサーバ5とから主に構成されている。ここで、各ブロックは、図1で示すようにしてデータ通信可能に接続されている。
【0012】
予約手段、記憶手段、識別手段、保存手段としての画像サーバ1は、X線CT装置やMRI装置、超音波診断装置等の図示しない医用画像診断装置によって取得された医用画像を保存及び管理する。この画像サーバ1は、医用画像を保存しておくためのストレージと、該保存された医用画像に係る情報(医用画像を特定するためのUID、検査日、患者情報等の、後で医用画像を検索するために必要な情報)を保存しておくためのデータベース(DB)と、画像サーバ1における各種制御を行う制御部とから構成されている。また、本実施形態において、画像サーバ1は、クライアント2からの保存場所予約要求を受けて作成される保存場所と、該保存場所に保存される医用画像とを対応付けするための予約用データベーステーブルを記憶している。
【0013】
予約要求手段、リンク情報設定手段としてのクライアント2は、読影医等のユーザの操作入力を受けて電子的な診断レポートを作成するための端末装置である。このクライアント2には、例えば診断レポート編集画面上で文字入力を行うためのキーボードや各種指定操作を行うためのマウス等の操作部3と、画像サーバ1に保存されている医用画像を呼び出して表示する画像ビューア4とが接続されている。
【0014】
ここで、クライアント2は、電子的な診断レポートを作成するための機能として、例えば所定の診断レポート作成用のアプリケーションソフトウェアがインストールされているコンピューターである。更に、クライアント2は、液晶モニタ等の表示部を有し、この表示部上に診断レポートの作成画面を表示させる。読影医等は、該診断レポート作成画面上において画像ビューア4に表示された医用画像を見ながら診断レポートを作成することが可能である。更に、本一実施形態においては、診断レポート内の文字列に画像サーバ1内の医用画像データを関連付けるためのリンク情報をハイパーリンクとして設定することが可能である。
【0015】
また、画像ビューア4は、画像サーバ1から呼び出した医用画像をそのまま表示するだけでなく、読影医等による操作部3の操作に従って、画像サーバ1から呼び出した医用画像から、該医用画像を別の断面から見た画像を作成して表示するMPRビューアとしての機能も有している。なお、この画像ビューア4は、クライアント2に画像ビューア4用のアプリケーションソフトウェアをインストールして構成しても良い。
【0016】
レポートサーバ5は、クライアント2において作成された診断レポートを該診断レポートに係る情報(診断レポートを特定するためのUID等)と関連付けて保存する。
【0017】
以下、本実施形態の作用について説明する。図2は、ユーザが新たに医用画像(例えばMPR画像)を作成し、この新たに作成した医用画像にハイパーリンクを設定する際の画像サーバ1の動作について示すフローチャートである。また、図3は、ユーザが新たに医用画像を作成し、この新たに作成した医用画像にハイパーリンクを設定する際のクライアント2の動作について示すフローチャートである。
【0018】
まず、読影医等のユーザによる操作部3の操作によってハイパーリンクを設定する旨の指示が行われると(ステップS11)、クライアント2は、ハイパーリンクを設定する医用画像を保存するための保存場所を予約するための保存場所予約要求を画像サーバ1に送信する(ステップS12)。ここで送信される保存場所予約要求には、後で作成される医用画像を特定するための画像特定情報(画像UID等)が含まれている。
【0019】
画像サーバ1は、クライアント2から保存場所予約要求を受信すると(ステップS1)、保存場所の発行及び予約を行う(ステップS2)。また、画像サーバ1は、保存場所予約要求に含まれて送信される画像特定情報と保存場所情報とを対応付けて、予約用データベーステーブルに登録する。このようにして保存場所の予約が完了すると、画像サーバ1は、予約した保存場所の情報をクライアント2に通知する(ステップS3)。
【0020】
クライアント2は、画像サーバ1から保存場所の情報を受信すると(ステップS13)、この受信した保存場所に対してハイパーリンクを設定する(ステップS14)。ここで、ハイパーリンクとして設定する情報には、医用画像の保存場所の情報の他に、医用画像を作成するのに使用する画像(元画像)を特定するための情報や、診断レポートにおいてハイパーリンクが設定された文字列が指定された場合の対応する医用画像の表示条件の情報等を併せて設定するようにしても良い。
【0021】
その後、ユーザにより画像サーバ1に新たに保存する医用画像(例えば、MPR画像)が作成されると(ステップS15)、クライアント2は、作成された医用画像を、医用画像保存要求と共に画像サーバ1に送信し(ステップS16)、クライアント2側の処理が終了する。ここで、医用画像保存要求にはステップS12において発行された画像特定情報が含まれるものである。また、クライアント2において診断レポートが作成された後は、作成された診断レポートがレポートサーバ5に保存される。
【0022】
画像サーバ1は、クライアント2から医用画像と医用画像保存要求とを受信すると(ステップS4)、医用画像保存要求に含まれて送信された画像特定情報から、受信した医用画像が保存場所の予約がなされた画像であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において、受信した画像特定情報が予約用データベーステーブルに登録されていない場合、即ち受信した医用画像が保存場所の予約がなされた画像でない場合には、画像サーバ1は、通常の保存ルーチンで受信した医用画像を保存する(ステップS6)。即ち、画像サーバ1は、現在の医用画像の保存状況を調べ、空いている保存場所に受信した医用画像を保存する。一方、ステップS5の判定において、受信した画像特定情報が予約用データベーステーブルに登録されている場合、即ち受信した医用画像が保存場所の予約がなされた画像である場合には、画像サーバ1は、受信した医用画像を予約されている保存場所に保存する(ステップS7)。そして、医用画像の保存が完了した後、画像サーバ1は、該保存した医用画像に係る情報(画像UID、検査日、患者情報等の後で医用画像を検索するために必要な情報)をDBに保存する(ステップS8)。これにより、画像サーバ1側の処理が終了する。
【0023】
以上説明したように、本実施形態によれば、実際にハイパーリンクを設定するに先立って、クライアント2から画像サーバ1に保存場所の予約要求が行われ、この予約要求に従って保存場所が予約される。そして、この予約された保存場所に対してハイパーリンクが設定される、その後に画像サーバ1に送信される医用画像は予約された保存場所に保存されるので、画像サーバ1に医用画像が保存されていなくともハイパーリンクを設定することが可能である。
【0024】
ここで、本実施形態においては、ハイパーリンクの設定を行ってから医用画像を作成するようになっているが、医用画像を作成した後でハイパーリンクの設定を行うようにしても良い。この場合には、実際に医用画像が作成されているので、画像UID以外に、例えば画像サイズ等の情報も保存場所予約要求に含めて送信するようにしても良い。
【0025】
また、本実施形態においては、画像UID等の画像特定情報はクライアント2が発行するようになっているが、クライアント2は保存場所の予約要求のみを行い、画像特定情報の発行を画像サーバ1で行うようにしても良い。
【0026】
また、本実施形態においては、画像サーバ1に保存する医用画像は、保存場所予約要求がなされた医用画像だけでなく、保存場所予約要求がなされた医用画像の他に、画像ビューア4において作成後、表示されている全ての医用画像を保存するようにしても良いし、保存場所予約要求がなされた医用画像に関連する医用画像、例えばCT画像であれば、前後のスライス位置の画像から設定された範囲において設定されたスライスピッチ又は枚数に基づいてバッチ処理的に作成されたMPR画像を保存するようにしても良い。
【0027】
また、画像サーバ1は保存場所の予約を行った場合に、予約場所にダミーの画像を保存するようにしても良い。このダミー画像は、例えば保管場所の予約がなされていることをユーザに通知するための画像である。このようなダミー画像を保存しておくことにより、医用画像の保存が実際になされていなくとも、ハイパーリンクの設定がなされた文字列を指定した場合にはダミー画像が表示されることになるので、医用画像の保管が終了する前にハイパーリンクの設定が正しくなされているか否かをユーザが確認することができる。
【0028】
また、画像サーバ1は保存場所予約要求がなされた医用画像の保存要求を受けた際に、他の画像(保存予約がされていない医用画像)より優先的に保存するようにしても良い。この優先度は、画像サーバ1が判断しても良いし、クライアント2が指定しても良い。このように保存場所が予約された医用画像の保存を優先的に行うことで、大量の画像の登録などで画像サーバ1の負荷が高い状態であっても、ハイパーリンクの設定をスムーズに行うことができる。
【0029】
更に、本実施形態では、ハイパーリンクを設定する医用画像の例として、MPR画像を挙げているが、これに限るものではない。例えば、複数の医用画像の差分画像等や、元の医用画像に諧調処理を施した画像等にハイパーリンクを設定する場合にも、上述した本実施形態の手法を適用できる。
【0030】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0031】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0032】
1…画像サーバ、2…クライアント、3…操作部、4…画像ビューア、5…レポートサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像保存装置に保存された医用画像を参照するためのリンク情報が設定された診断レポートを作成する作成手段を有する医用画像情報システムにおいて、
前記画像保存装置に前記保存されていない医用画像を保存するに先立って、前記画像保存装置における前記保存されていない医用画像の保存場所の予約要求を行う予約要求手段と、
前記予約要求を受けて前記保存されていない医用画像の保存場所の予約を行う予約手段と、
を備えることを特徴とする医用画像情報システム。
【請求項2】
前記保存場所の予約要求がなされた医用画像を識別するための識別情報と、前記予約された保存場所の情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、
前記識別情報に基づいて、保存要求のあった医用画像が前記保存場所の予約要求がなされた医用画像であるか否かを識別する識別手段と、
前記識別の結果、前記保存要求のあった医用画像が前記保存場所の予約された医用画像である場合に、予約された保存場所に前記保存要求のあった医用画像を保存する保存手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の医用画像情報システム。
【請求項3】
前記リンク情報設定手段は、前記保存されていない医用画像を表示するための表示条件又は前記保存されていない医用画像を作成するために使用された元の医用画像を特定するための情報を前記リンク情報に更に設定することを特徴とする請求項1に記載の医用画像情報システム。
【請求項4】
前記予約要求手段は、複数の前記保存されていない医用画像の保存場所の予約要求を行うことを特徴とする請求項1に記載の医用画像情報システム。
【請求項5】
前記予約手段は、前記保存場所の予約を行った際に、前記画像保存装置の該保存場所にダミー画像を一時保存させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像情報システム。
【請求項6】
前記保存手段は、保存要求を受けた医用画像のうち、保存場所が予約された医用画像を保存場所が予約されていない医用画像に対して優先して保存することを特徴とする請求項2に記載の医用画像情報システム。
【請求項7】
前記予約された保存場所に対してリンク情報を設定するリンク情報設定手段と、
を有し、
前記予約手段は、前記保存場所の予約を行った際に、前記画像保存装置の該保存場所にダミー画像を一時保存させることを特徴とする請求項1に記載の医用画像情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−238320(P2012−238320A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158825(P2012−158825)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2006−275255(P2006−275255)の分割
【原出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】