説明

医用画像表示装置

【課題】MR画像のボリュームレンダリング(VR)表示を簡便に行うことができる医用画像表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態に記載の医用画像表示装置は、MRI装置により取得されたMR画像と医用画像取得装置により取得された医用画像とを記憶する画像記憶手段を有する。読み出し手段は、画像記憶手段から医用画像及びそれに対応するMR画像を読み出す。第1領域抽出手段は、読み出し手段により読み出された医用画像中の領域を抽出する。第2領域特定手段は、第1領域抽出手段により抽出された領域の位置情報に基づいてMR画像中の部分領域を特定する。設定手段は、第2領域抽出手段で特定された部分領域の画素の値に基づいて不透明度の設定情報を設定する。生成手段は、不透明度の設定情報に基づいてMR画像のボリュームレンダリング画像を生成する。表示手段は、ボリュームレンダリング画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、医用画像取得装置を用いて被検体内の透視画像、断層画像、血流など、被検体内の組織の情報を取得する。そして、その情報に基づいて医用画像を生成し、この医用画像により検査や診断が行われている。医用画像取得装置としては、X線CT(X-ray Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等がある。
【0003】
X線CT装置やMRI装置は、二次元画像データ(xyの二次元平面で定義されるデータ)や三次元画像データ(xyzの三次元空間で定義されるデータ。ボリュームデータともいう)を取得することが可能である。
【0004】
ここで三次元画像データを二次元表示(疑似的な三次元画像表示)する手法としてとしては、表示対象物の内部の状態等の観察が可能なボリュームレンダリング(Volume Rendering。以下「VR」という場合がある)が用いられる。
【0005】
VRでは、ボリュームデータを三次元空間上に仮想的に構築する。この三次元空間は座標軸(x,y,z)を基準とする。当該ボリュームデータにおける各座標値と当該座標におけるスカラー量との組み合わせはボクセルと呼ばれている。つまりボリュームデータは複数のボクセルにより形成されている。
【0006】
また、VRでは、表示対象物に対しての任意の視点が定義されるとともに、当該視点から三次元のボリュームデータを二次元画像(疑似三次元画像)として投影するための投影面が定義される。またその視点から投影面へ向かう視線が定義される。そして視点から投影面へ向かう視線上にあるボクセル値(ボクセルにおける画素値)に基づいて投影面上の画素の階調レベルを定めていく。
【0007】
この投影面上の階調レベルを定める際に、ボクセル値ごとの不透明度(オパシティ)が設定される。VRではこの不透明度に応じて、任意の視点から見た場合の対象物の表示態様が定まる。つまり、定義された視点から投影面を見たときに、定義された視線が、どのように対象物を透過し、また視線がどのように反射するかについて設定される。これによってVR画像(疑似三次元画像)が表現される。
【0008】
VRにおいては上記のように各ボクセル値を基準に不透明度が設定される。ここでVRの画像を表示するための階調レベル設定は、 ウインドウレベル(Window Level)・ウインドウ幅(Window Width)から不透明度の設定情報(以下、「オパシティカーブ」という場合がある)を設定することにより行われる。ウインドウレベル・ウインドウ幅については様々な定義があるが、以下の実施形態において「ウインドウ幅」は不透明度のスケールにおいて表現する画素値(信号強度)の範囲であるとして説明を行う。また「ウインドウレベル」は当該範囲の画素値(信号強度)の中央値であるとして説明を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−148865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、MRI装置によって取得された画像のMR信号強度は撮影条件(スライス厚、撮影時間等)によって変化する。従って、X線CT装置等と異なり、脳や血管等の撮影対象に対する絶対的な値(固定値)が存在しないこととなる。
【0011】
このため、MR画像における所望の領域をVR表示する際には、表示条件(オパシティカーブ等)の設定と画像確認を繰り返してその領域が好適に表示されるMR信号強度を探す必要があった。よってVR画像を作成するまでに手間と時間がかかっていた。
【0012】
そこで実施形態では、MR画像のVR表示を簡便に行うことができる医用画像表示装置について説明を行う。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、実施形態に記載の医用画像表示装置は、MRI装置により取得されたMR画像と、MRI装置とは異なる種類の医用画像取得装置により取得された医用画像とを記憶する画像記憶手段を有する。また読み出し手段は、画像記憶手段から医用画像及びそれに対応するMR画像を読み出す。また第1領域抽出手段は、読み出し手段により読み出された医用画像中の領域を抽出する。また第2領域特定手段は、第1領域抽出手段により抽出された領域の位置情報に基づいてMR画像中の部分領域を特定する。また設定手段は、第2領域抽出手段で特定された部分領域の画素の値に基づいて不透明度の設定情報を設定する。また生成手段は、不透明度の設定情報に基づいてMR画像のボリュームレンダリング画像を生成する。また表示手段は、ボリュームレンダリング画像を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る医用画像表示装置を含むマルチモダリティ装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るGUIを示す図である。
【図3】第1実施形態に係るGUIを示す図である。
【図4】第1実施形態に係る医用画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図5A】第1実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図5B】第1実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図5C】第1実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図5D】第1実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図5E】第1実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図5F】第1実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るオパシティカーブ設定方法を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る医用画像表示装置を含むマルチモダリティ装置の構成を示す図である。
【図8】第2実施形態に係るオパシティカーブ設定方法を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る医用画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図10A】第2実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【図10B】第2実施形態に係る動作により表示される画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1から図6を用いて本実施形態に係る医用画像表示装置について説明を行う。なお、本実施形態における「画像」には「画像データ」も含まれるものとする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る医用画像表示装置3を含むマルチモダリティ装置の構成を示す図である。
【0017】
「マルチモダリティ装置」とは、複数の医用画像取得装置(モダリティ)がシステム的に結合している装置である。例えば、異なる医用画像取得装置(X線CT装置、MRI装置等)による画像を一元管理し、複数種の画像を効率よく管理閲覧できるようにした装置である。なお本実施形態においては医用画像取得装置としてX線CT装置1とMRI装置2を用いた構成について説明を行う。
【0018】
マルチモダリティ装置は、X線CT装置1、MRI装置2、及び医用画像表示装置3を有している。
【0019】
X線CT装置1は、X線を用いて被検体をスキャンしてその断層画像を取得する装置である。取得された断層画像は記憶部31(後述)に送られる。
【0020】
MRI装置2は、磁気共鳴(Magnetic Resonance)を用いて被検体を画像化(Imaging)する装置である。取得された画像は記憶部31(後述)に送られる。
【0021】
医用画像表示装置3は、記憶部31、CPU32、操作部33、及び表示部34(表示手段)を有する。医用画像表示装置3は例えばPCからなる。
【0022】
記憶部31は、X線CT装置1及びMRI装置2により取得された画像を記憶する画像記憶部31a(画像記憶手段)としての機能を有している。本実施形態において記憶部31は、医用画像表示装置3内に設けられ、ある被検体の同一部位(例えば脳)をX線CT装置1及びMRI装置2でそれぞれ撮影した画像が記憶されている。
【0023】
なお、記憶部31は医用画像表示装置3内に設けられている必要はない。例えば医用画像表示装置3の外部装置として配置されていてもよいし、X線CT装置1及びMRI装置2内にそれぞれ設けられていてもよい。
【0024】
本実施形態においてCPU32は、読み出し部321(読み出し手段)、第1領域抽出部322(第1領域抽出手段)、重畳部323(重畳手段)、補正部324(補正手段)、第2領域特定部325(第2領域特定手段)、信号強度取得部326(信号強度取得手段)、設定部327(設定手段)、及び生成部328(生成手段)として機能する。
【0025】
読み出し部321は、操作部33等からの指示に基づいて、所望のX線CT画像、及び当該X線CT画像と同一被検体且つ同一部位に対応するMR画像を読み出す機能を有している。所望のX線CT画像に対応するMR画像は、それぞれの画像における座標値を用いて特定される。なお、被検体の同一性は患者ID等で判別することが可能である。
【0026】
第1領域抽出部322は、読み出し部321により読み出された医用画像中の領域を抽出する機能を有している。本実施形態において当該医用画像は、X線CT装置1により取得された被検体の断層画像である。また本実施形態において当該領域は、例えば心臓や脳の血管等を特定できる領域である。第1領域抽出部322は、例えば操作部33からの入力に基づいて領域の抽出処理を行う(詳細は後述)。また操作部33からの入力は、領域抽出GUI331(後述)を用いて行うことも可能である。
【0027】
領域の抽出処理は自動でも手動でも行うことが可能である。自動で行う場合、操作部33からの入力に基づいて所定の自動抽出アルゴリズムを実行することにより、領域抽出が行われる。自動抽出アルゴリズムとしては公知の手法(例えばリージョン・グローイング法)が使用される。一方、手動で行う場合、表示部34に表示された画像に対して操作者が操作部33(マウス等)でセグメンテーションしながら抽出動作を実行する。
【0028】
重畳部323は、第1領域抽出部322で抽出された領域を、当該X線CT画像に対応するMR画像上に重畳させる機能を有している。このMR画像は、当該X線CT画像と関連付けられて読み出し部321で読み出されたMR画像である。
【0029】
補正部324は、重畳された領域の位置や大きさの補正を行う機能を有している。補正部324による補正は、操作部33からの入力に基づいてアフィン変換等、公知の補正方法によって自動的に行われる(詳細は後述)。或いは操作者が操作部33を介して画像上で手動入力(例えばマウスによるドラッグ&ドロップ)した結果に基づいて、補正部324による補正処理が実行されてもよい。また操作部33からの入力は、補正GUI332(後述)を用いて行うことも可能である。
【0030】
第2領域特定部325は、第1領域抽出部322により抽出された領域の位置情報に基づいて読み出し部321で読み出されたMR画像中の部分領域を特定する機能を有している。より具体的には、第2領域特定部325は、補正部324で補正された領域に対応するMR画像中の部分領域の輪郭における画素を特定する機能を有している。「MR画像中の部分領域」とは、MR画像中の特定の領域(MR画像と同一部位のX線CT画像中の領域(第1領域抽出部322により抽出された領域)に対応する領域)を意味する。また「部分領域の輪郭」とは部分領域とそれ以外の領域を分ける境界部分を意味する。
【0031】
信号強度取得部326は、第2領域特定部325で特定された画素における信号強度を取得する機能を有している。本実施形態において、第2領域特定部325で特定される画素はMR画像の画素であるため、信号強度取得部326は、各画素におけるMR信号強度を取得することとなる。
【0032】
設定部327は、信号強度取得部326で取得された信号強度に基づいてオパシティカーブ(不透明度の設定情報)を設定する機能を有している。オパシティカーブの具体的な設定方法については後述する。
【0033】
生成部328は、設定部327で設定されたオパシティカーブに基づいてMR画像のVR画像を生成する機能を有している。VR画像の生成は公知の手法に基づいて行われるため詳細な説明は省略する。
【0034】
操作部33は、キーボード、マウス等の任意の入力デバイスや操作デバイスを含んで構成される。操作部33からの入力指示により、例えば医用画像表示装置3の動作が実行される。なお操作部33は、図2、3に示すようなGUI(Graphical User Interface)を介して操作入力を実行することが可能である。或いは、専用のコントロールパネルを用いることも可能である。
【0035】
表示部34は、LCDなどの任意の表示デバイスを含んで構成される。表示部34には、生成部328で生成されたVR画像等が表示される。
【0036】
図2は、領域抽出のための領域抽出GUI331の一例である。領域抽出GUI331は例えば表示部34に表示される。領域抽出GUI331からの入力に基づいて、第1領域抽出部322は領域の抽出処理を実行する。
【0037】
領域抽出GUI331は、領域を抽出する動作を手動で行うか自動で行うかを選択するManual/Auto部3311を有する。本実施形態においてManual/Auto部3311はManualアイコン3311aとAutoアイコン3311bを有する。
【0038】
また領域抽出GUI331は、Auto選択時に自動抽出を行う抽出アルゴリズムを選択するためのアルゴリズム選択部3312を有する。本実施形態においてアルゴリズム選択部3312は、脳の自動抽出の際に選択されるBrainアイコン3312a、心臓の自動抽出の際に選択されるHeartアイコン3312b、胸部の自動抽出の際に選択されるThoraxアイコン3312c、及び腹部の自動抽出の際に選択されるAbdomenアイコン3312dを有する。
【0039】
アルゴリズム選択部3312で選択される抽出アルゴリズムは、例えば医用画像表示装置3内に設けられる記憶部31に記憶されている。つまり本実施形態において記憶部31はアルゴリズム記憶部31bとしての機能を有する。なお、アルゴリズム記憶部31bは記憶部31と別体で設けられてもよい。
【0040】
また領域抽出GUI331は、領域を抽出する対象となる医用画像の種別を選択する種別選択部3313を有している。本実施形態において種別選択部3313は、X線CT画像を選択するCTアイコン3313a、MR画像を選択するMRIアイコン3313b、超音波画像を選択するULアイコン3313c、及びその他の画像を選択するOtherアイコン3313dを有する。
【0041】
図3は、領域の補正を行う補正GUI332の一例である。補正GUI332は例えば表示部34に表示される。補正GUI332からの入力に基づいて、補正部324は重畳された領域の位置や大きさの補正処理を実行する。
【0042】
補正GUI332は、第1領域抽出部322により抽出された領域とMR画像中の部分領域とが一致しない場合に当該領域を部分領域に合わせるために、当該領域の位置や大きさを調整する調整部3321を有する。調整部3321は、当該領域を移動させる動作を指定するMoveアイコン3321a、当該領域を拡張する動作を指定するDilateアイコン3321b、及び当該領域を縮小させる動作を指定するErodeアイコン3321cを有する。
【0043】
例えば、ある領域を部分領域に対して移動させたい場合には、操作者は操作部33を介してMoveアイコン3321aを選択する。この選択動作に基づいて当該領域はMR画像上で移動可能となる。よって操作者が操作部33を介して当該領域を移動させることにより補正が可能となる。
【0044】
また補正GUI332は、領域の補正処理を確定させる確定部3322(Decideアイコン)を有している。例えば上述のMove動作が完了したときに、操作者がDecideアイコンを選択することにより補正動作の内容が確定する。
【0045】
次に図4から図6を用いて本実施形態における医用画像表示装置3の動作説明を行う。本実施形態においては脳の画像についてVR表示を行う例について説明を行う。
【0046】
本実施形態の医用画像表示装置3を用いてMR画像をVR表示させる場合、まず操作部33からの入力指示に基づき、読み出し部321は記憶部31に記憶されたX線CT画像とそれに対応するMR画像を読み出す(S1)。X線CT画像に対応するMR画像の読み出しは例えば以下のようにして行う。
【0047】
操作者によりX線CT画像が選択されると、読み出し部321はその被検体のMR画像の中から同一部位且つ同一の座標値を有する画像を「対応するMR画像」として読み出す処理を行う。
【0048】
この読み出し処理によって、本実施形態においては表示部34上に、図5Aに示すようなX線CT画像I1と図5Bに示すようなMR画像I2が並列表示される。
【0049】
次に第1領域抽出部322は、S1で取得されたX線CT画像I1における領域αを抽出する処理を行う(S2)。本実施形態において領域αの抽出は、図2に示す領域抽出GUI331からの指示に基づいて次のように実行される。
【0050】
まず操作者は、CTアイコン3313aにより、領域抽出処理を行う画像としてX線CT画像I1を選択する。さらに操作者は、領域抽出GUI331のManual/Auto部3311により、表示部34に表示されたX線CT画像I1に対して領域αの抽出を自動で行うか手動で行うかの選択をする。
【0051】
ここで操作者が自動抽出を選択した場合(Autoアイコン3311bが選択された場合)、次に操作者はアルゴリズム選択部3312で、表示部24に表示されたX線CT画像I1から領域αを抽出するためのアルゴリズム選択を行う。本実施形態においては脳のX線CT画像I1に対して領域抽出を行うため、Brainアイコン3312aが選択されることとなる。
【0052】
選択されたアルゴリズムに基づいて、第1領域抽出部322はX線CT画像I1上で領域αの抽出を行う。この抽出処理によって、本実施形態においては表示部34上に図5CのようなX線CT画像I1が表示される。ここで、図5Cにおいて破線を輪郭とし、斜線で塗りつぶされた領域が領域αとなる。
【0053】
次に重畳部323は、S2で抽出された領域αをS1で読み出したMR画像I2上に重畳させる処理を行う(S3)。具体的には図5Dに示すように二次元表示されたMR画像I2上にS2で抽出された領域αの画像が重畳表示される。
【0054】
次に補正部324は、S3で重畳された領域αがMR画像I2中の対応位置に重なるように、領域αの位置や大きさを補正する処理を行う(S4)。本実施形態において補正は、図3に示す補正GUI332からの指示に基づいて実行される。
【0055】
S3で重畳された画像は、図5DのようにMR画像I2に対して領域αが位置ズレを起こしている場合がある。このような場合、操作者は操作部33により図3の補正GUI332のMoveアイコン3321aを選択する。Moveアイコン3321aが選択された場合、操作者が操作部33により、MR画像I2上で領域αの位置や向きを動かすことが可能となる。操作者はMR画像I2に対して領域αが重なるように動かした後、補正GUI332の確定部3322を選択することにより、MR画像I2の領域(部分領域)が確定される。この画像は表示部34に、例えば図5Eのように表示される。
【0056】
なお、本実施形態においてS4における補正処理は手動で行う場合について説明を行ったが、公知の補正アルゴリズム(例えばパターンマッチング)を用いて自動で実行させることも可能である。
【0057】
次に第2領域特定部325は、S4で補正された領域αに対応するMR画像I2中の部分領域の輪郭における画素を特定する処理を行う(S5)。具体的には、S4で補正された領域αに対応するMR画像I2中の部分領域のうち、その輪郭部分のみの画素を特定する処理を行う。S5により表示部34には、図5Fのような画像が表示される。ここで図5Fにおいて、破線で示した部分が輪郭部分βとなる。
【0058】
次に信号強度取得部326は、S5で特定された輪郭部分βの画素それぞれについて、MR信号強度を取得する処理を行う(S6)。本実施形態において、取得されたMR信号強度は信号強度取得部326によってヒストグラム化される。
【0059】
次に設定部327は、S6で取得された信号強度(信号強度のヒストグラム)に基づいてオパシティカーブを設定する処理を行う(S7)。
【0060】
ここで図6は、縦軸をオパシティ(不透明度)、横軸をMR信号強度としたグラフである。破線のグラフはMR画像全体の信号強度のヒストグラムである。
【0061】
S6で取得された部分領域輪郭のMR信号強度のヒストグラムによるグラフは図6の実線H1のようになる。設定部327はこのグラフにおけるMR信号強度の最大値と最小値を算出する。そして設定部327は、最大値・最小値に基づいてウインドウレベルとウインドウ幅を求める。ウインドウレベルは最大値と最小値の和を2で除算することにより求められる。ウインドウ幅は最大値と最小値の差分を取ることにより求められる。
【0062】
設定部327により求められたウインドウレベルとウインドウ幅に基づいて、オパシティカーブが設定される。本実施形態においては例えば図6の実線で示すようなオパシティカーブO1が設定される。
【0063】
そして生成部328は、S7で設定されたオパシティカーブO1に基づいてMR画像I2のVR画像を生成する処理を行う(S8)。生成部328により生成されたVR画像は表示部34に表示される(S9)。
【0064】
(第1実施形態の作用効果)
第1実施形態の構成によれば、第1領域抽出部322がX線CT装置1(医用画像取得装置)により取得されたX線CT画像の領域を抽出する。また重畳部323が抽出された領域を、そのX線CT画像に対応するMR画像上に重畳させる。また補正部324が重畳された領域の位置及び/または大きさの補正を行う。また第2領域特定部325がMR画像中の部分領域の輪郭における画素を特定する。また信号強度取得部326が第2領域特定部325で特定された画素の信号強度を取得する。また設定部327は取得された信号強度に基づいてオパシティカーブを設定する。そして生成部328により当該オパシティカーブに基づいてMR画像のVR画像を生成し、表示部34上に表示させる。
【0065】
設定部327で設定されたオパシティカーブによれば、部分領域の輪郭(外周)は不透明に表示され、それ以外の領域は透明に表示されることとなる。従って、当該オパシティカーブに基づいてVR画像を生成した場合には、部分領域の輪郭部分のみを疑似三次元画像として観察することが可能となる。
【0066】
従って、脳や血管等の撮影対象に対する絶対的な値が存在しないMR画像に対しても簡便にVR画像を生成・表示することが可能となる。
【0067】
また第1実施形態の構成によれば、領域抽出するための複数の抽出アルゴリズムを有するアルゴリズム記憶部を有する。更に第1領域抽出部322は、領域抽出GUI331を用いた選択結果に基づいて、アルゴリズム記憶部からその選択に対応する抽出アルゴリズムを読み出し、領域を抽出する処理を実行する。更に第1実施形態の構成によれば、補正部324は、補正GUI332を用いた選択結果に基づいて、MR画像に重畳された領域(X線CT画像から抽出された領域)を補正する処理を実行する。
【0068】
このように様々なGUIを用いることにより医用画像表示装置3の操作性が向上する。従って、MR画像に対しても簡便なVR画像生成・表示が可能となる。
【0069】
(第1実施形態の変形例)
オパシティカーブは、MR画像の部分領域の輪郭におけるMR信号強度を基に設定されるものであれば第1実施形態の方法に限られない。
【0070】
例えば、設定部327は、輪郭におけるMR信号強度の平均値(μ)と標準偏差(δ)を算出する。そして設定部327は、平均値と標準偏差に基づいてウインドウレベルとウインドウ幅を求めることが可能である。
【0071】
また第1実施形態においてオパシティカーブの形状は図6のような矩形に設定してあるが、部分領域の輪郭のみをVR表示できれば矩形に限られない。
【0072】
(第2実施形態)
次に図7から図9を用いて第2実施形態に係る医用画像表示装置について説明を行う。なお、本実施形態における「画像」には「画像データ」も含まれるものとする。また第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0073】
第1実施形態の構成では、図5FのMR画像に基づいてVR画像を生成する。ここで図5FのMR画像においては、部分領域の輪郭の外側にも被検体の画像が存在する。従ってこの領域(部分領域の輪郭の外側の領域)に含まれる画素のMR信号強度が部分領域のMR信号強度の最大値から最小値の間にある場合、図6のオパシティカーブではオパシティが1となる。従って、部分領域以外の領域もVR画像として表示されることとなる。つまり第1実施形態の構成では実際にVR表示させたい領域のみを表示させることができない場合がある。第2実施形態ではこのような場合であっても、部分領域のみのVR表示を行える構成を説明する。
【0074】
図7は、本実施形態に係る医用画像表示装置3を含むマルチモダリティ装置の構成を示す図である。なお本実施形態においては医用画像取得装置としてX線CT装置1とMRI装置2を用いた構成について説明を行う。
【0075】
本実施形態においてCPU32は、読み出し部321(読み出し手段)、第1領域抽出部322(第1領域抽出手段)、重畳部323(重畳手段)、補正部324(補正手段)、第2領域特定部325(第2領域特定手段)、信号強度取得部326(信号強度取得手段)、設定部327(設定手段)、及び生成部328(生成手段)の他、部分領域抽出部329(部分領域抽出手段)として機能する。
【0076】
部分領域抽出部329は、第2領域特定部325で特定された部分領域の輪郭における画素に基づいて、MR画像から部分領域を抽出する機能を有している。この抽出処理は、例えば部分領域の輪郭における画素よりも外側に位置する画素の値を画像処理されない値(例えば、Padding値)に変更する処理が行われる。
【0077】
また本実施形態における設定部327は、部分領域抽出部329により抽出された部分領域に対して所定のオパシティカーブを設定する機能を有している。部分領域抽出部329により、MR画像中には部分領域の画像のみが表示されることとなる。従って、部分領域外の画像がVR画像表示に影響を与えることがないことから、全てのMR信号強度に対してオパシティが1(ボクセルが不透明。図8参照)となるようなオパシティカーブβを設定すればよい。なお、図8における実線H2は部分領域におけるMR信号強度のヒストグラムによるグラフである。また、破線のグラフはMR画像全体の信号強度のヒストグラムである。
【0078】
次に図9、図10を用いて本実施形態における医用画像表示装置3の動作説明を行う。なおS10〜S14の詳細な処理については、第1実施形態のS1〜S5の処理と同様であるため詳細な記載を省略する。
【0079】
本実施形態の医用画像表示装置3を用いてMR画像をVR表示させる場合、操作部33からの入力指示に基づき、読み出し部321は記憶部31に記憶されたX線CT画像I1とそれに対応するMR画像I2を読み出す(S10)。
【0080】
次に第1領域抽出部322は、S10で取得されたX線CT画像I1内で領域αを抽出する処理を行う(S11)。
【0081】
次に重畳部323は、S11で抽出された領域αを、S10で読み出したMR画像I2上に重畳させる処理を行う(S12)。
【0082】
次に補正部324は、S12で重畳された領域αがMR画像I2中の対応位置に重なるように、領域αの位置や大きさを補正する処理を行う(S13)。
【0083】
次に第2領域特定部325は、S13で補正された領域αに対応するMR画像I2中の部分領域の輪郭における画素を特定する処理を行う(S14)。
【0084】
次に部分領域抽出部329は、S14で特定された部分領域をMR画像I2から抽出する処理を行う(S15)。具体的には、図10Aのように部分領域の輪郭部分βが表示されたMR画像I2に対して、操作者が操作部33等を介して部分領域抽出の指示を行う。当該指示に基づいて部分領域抽出部329は、MR画像I2から部分領域のみを抽出する処理を実行する。当該処理が行われた結果、図10BのようなMR画像I3(部分領域のみが表示された画像)が表示部34に表示されることとなる。
【0085】
次に信号強度取得部326は、S14で特定された画素のMR信号強度を取得する処理を行う(S16)。本実施形態において、取得されたMR信号強度は信号強度取得部326によってヒストグラム化される。なお、S15とS16は同時に実行されてもよいし、順番を入れ替えて実行されることでもよい。
【0086】
次に設定部327は、S15で抽出された部分領域に対して用いる所定のオパシティカーブを設定する処理を行う(S17)。上述の通り、本実施形態においてはオパシティが1のオパシティカーブO2(図8参照)を設定する。
【0087】
そして生成部328は、S17で設定されたオパシティカーブO2に基づいてMR画像I3のVR画像を生成する処理を行う(S18)。生成部328により生成されたVR画像は表示部34に表示される(S19)。
【0088】
(第2実施形態の作用効果)
第2実施形態の構成によれば、第1領域抽出部322がX線CT装置1(医用画像取得装置)により取得されたX線CT画像の領域を抽出する。また重畳部323が抽出された領域を、そのX線CT画像に対応するMR画像上に重畳させる。また補正部324が重畳された領域の位置及び/または大きさの補正を行う。また第2領域特定部325がMR画像中の部分領域の輪郭における画素を特定する。また部分領域抽出部329が特定された部分領域をMR画像から抽出する。また信号強度取得部326が第2領域特定部325で特定された画素の信号強度を取得する。また設定部327が所定のオパシティカーブを設定する。そして生成部328により当該オパシティカーブに基づいてMR画像のVR画像を生成し、表示部34上に表示させる。
【0089】
設定部327で設定されたオパシティカーブによれば、部分領域の輪郭(外周)のみが不透明な状態で表示されることとなる。従って、当該オパシティカーブに基づいてVR画像を生成した場合には、部分領域のみを疑似三次元画像として観察することが可能となる。
【0090】
従って、脳や血管等の撮影対象に対する絶対的な値が存在しないMR画像に対しても簡便にVR画像を生成・表示することが可能となる。
【0091】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態では部分領域抽出部329で抽出された部分領域に対してのみ、所定のオパシティ―カーブに基づいてVR表示させている。
【0092】
一方、部分領域抽出部329で抽出されなかったMR画像の領域(部分領域以外の領域)に対して、設定部327において異なるオパシティカーブを設定することにより、部分領域とそれ以外の領域を異なる表示態様でVR表示させることが可能となる。
【0093】
これらの異なるVR画像は並列表示してもよいし、重畳表示させることも可能である。例えば部分領域のオパシティが1(不透明)に対して、それ以外の領域のオパシティが0.2(ほぼ透明)のような重畳表示を行う。
【0094】
またそれ以外の領域のオパシティは任意に調整できるようにしてもよい。例えば部分領域に対して、それ以外の領域がどのようになっているかを確認するとき等、部分領域以外の領域を明確に表示させたい場合がある。このような場合には操作部33からの入力によりオパシティカーブを調整する(オパシティカーブを1に近づける)ことによって部分領域以外の領域を確認することが可能となる。
【0095】
(第1実施形態、及び第2実施形態に共通の変形例)
実施形態においては医用画像取得装置としてX線CT装置1を用いた構成について説明を行ったが、特定の領域を抽出可能な画像を取得できる装置であればこれに限られない。
【0096】
MRI装置においては、通常、T1強調画像とT2強調画像をセットで撮影する。例えばこの時に、T1強調画像では特定の領域が判別でき、T2強調画像では当該特定の領域の判別が困難という場合がある。この時、T1強調画像から当該特定の領域を抽出し、その領域に基づいて、T2強調画像に対して第1実施形態や第2実施形態と同様の処理を行うことにより、MRI画像(T2強調画像)のVR表示が可能となる。つまり医用画像取得装置としてはMRI装置も含めることが可能である。
【0097】
また実施形態は、MRI装置とX線CT装置とは別体で医用画像表示装置を有するマルチモダリティの構成で記載したが、これに限られない。
【0098】
例えば、医用画像表示装置3の機能をMRI装置2自体が有することも可能である。この場合、MRI装置2はX線CT装置1によって撮影された医用画像を記憶し、自装置で撮影したMR画像と当該医用画像を用いた処理を実行することにより実施形態と同様のVR表示が可能となる。
【0099】
また、X線CT画像毎に対応するMR画像について補正処理を行い、その結果から部分領域の輪郭を構成する画素を特定することにより部分領域(輪郭部分)特定の精度を向上させることが可能となる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 X線CT装置
2 MRI装置
3 医用画像表示装置
31 記憶部
31a 画像記憶部
31b アルゴリズム記憶部
32 CPU
33 操作部
34 表示部
321 読み出し部
322 第1領域抽出部
323 重畳部
324 補正部
325 第2領域特定部
326 信号強度取得部
327 設定部
328 生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRI装置により取得されたMR画像と、MRI装置とは異なる種類の医用画像取得装置により取得された医用画像とを記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段から医用画像及びそれに対応するMR画像を読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により読み出された前記医用画像中の領域を抽出する第1領域抽出手段と、
前記第1領域抽出手段により抽出された領域の位置情報に基づいて前記MR画像中の部分領域を特定する第2領域特定手段と、
前記第2領域特定手段で特定された部分領域の画素の値に基づいて不透明度の設定情報を設定する設定手段と、
前記不透明度の設定情報に基づいて前記MR画像のボリュームレンダリング画像を生成する生成手段と、
前記ボリュームレンダリング画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記第1領域抽出手段により抽出された前記領域を、前記領域を抽出した前記医用画像に対応するMR画像上に重畳させる重畳手段と、
前記重畳された領域の位置及び/または大きさの補正を行う補正手段と、
を更に有し、
前記第2領域特定手段は、前記補正手段により補正された前記領域に対応する前記MR画像中の部分領域の輪郭における画素を特定することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記第1領域抽出手段により抽出された前記領域を抽出するための複数の抽出アルゴリズムを有するアルゴリズム記憶手段と、
前記表示手段に表示され、前記複数の抽出アルゴリズムから任意の抽出アルゴリズムを選択するための領域抽出GUIと、を有し、
前記第1領域抽出手段はその領域抽出GUIを用いた選択結果に基づいて、前記アルゴリズム記憶手段からその選択に対応する抽出アルゴリズムを読み出して、前記領域を抽出する処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記表示手段に表示され、補正動作を選択するための補正GUIを有し、
前記補正手段はその補正GUIを用いた選択結果に基づいて、前記重畳された領域を補正する処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
MRI装置により取得されたMR画像と、MRI装置とは異なる種類の医用画像取得装置により取得された医用画像とを記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段から医用画像及びそれに対応するMR画像を読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により読み出された前記医用画像中の領域を抽出する第1領域抽出手段と、
前記第1領域抽出手段により抽出された領域の位置情報に基づいて前記MR画像中の部分領域を特定する第2領域特定手段と、
前記第2領域特定手段で特定された部分領域の輪郭における画素に基づいて、前記MR画像から前記部分領域を抽出する部分領域抽出手段と、
前記部分領域抽出部により抽出された部分領域の画素の値に基づいて不透明度の設定情報を設定する設定手段と、
前記不透明度の設定情報に基づいて前記MR画像のボリュームレンダリング画像を生成する生成手段と、
前記ボリュームレンダリング画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項6】
前記第1領域抽出手段により抽出された前記領域を、前記領域を抽出した前記医用画像に対応するMR画像上に重畳させる重畳手段と、
前記重畳された領域の位置及び/または大きさの補正を行う補正手段と、
を更に有し、
前記第2領域特定手段は、前記補正手段により補正された前記領域に対応する前記MR画像中の部分領域の輪郭における画素を特定することを特徴とする請求項5に記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記医用画像取得装置は、X線CT装置であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の医用画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−100955(P2012−100955A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253356(P2010−253356)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】