説明

医用画像診断装置及び医用診断支援方法

【課題】カテーテル、ガイドワイヤ、コイル等のデバイスの視認性を向上させる医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】X線発生部とX線検出部を含む撮影部によって撮影した画像を処理して、撮影時間の異なる複数のマスク画像を生成するマスク画像生成部と、複数のマスク画像の差分をとり、血管に留置された閉塞物質の画像を抽出する第1の画像生成部と、挿入デバイスを血管に挿入した状態のリアルタイム透視画像を生成し、マスク画像との差分をとり、挿入デバイスの画像を生成する第2の画像生成部と、第1の画像生成部で生成した画像と第2の画像生成部で生成した画像を合成する画像合成部と、画像合成部で生成した画像を表示する表示手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、透視マスク画像とリアルタイムに撮影した透視画像を処理することにより、術者がカテーテル等のデバイスを操作する際の参照像を提供する医用画像診断装置及び医用診断支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤の治療法の1つであるインターベンション治療(血管内治療)や血管造影検査においては、カテーテルを例えば足の付け根から血管に挿入し、カテーテルを血管内に進めて目的の部位まで持っていくようにしている。カテーテル(又はカテーテルをガイドするガイドワイヤ)を目的の位置まで進める際に、従来では、3D(3次元)血管画像にX線透視画像を重ね合わせて表示するロードマップ機能がある。術者は、表示されたロードマップを見ながらカテーテル又はガイドワイヤを患部まで導くことができ、検査時間の短縮と造影剤量の低減に効果があると期待されている。
【0003】
また脳動脈瘤の治療法の1つとして、カテーテルの先端からコイルのような閉塞物質を動脈瘤の中に留置し、瘤内で血液を凝固させて血流を阻害し瘤の破裂を防ぐ方法がある。この治療法は一般的にコイリングと呼ばれている。コイリング操作では、予め再構成した3D血管像をマップとした3Dロードマップ表示が有効である。ところで、コイリングにおいては、最初にサイズの大きいコイルを留置し、そのあとでサイズの小さいコイルを留置していき徐々に隙間を埋めるようにしている。
【0004】
しかしながら、従来の3Dロードマップ表示では、既に切り離されたコイルと新たに留置しようとするコイルの識別が難しく、既に留置したコイルの状況を把握しにくいという不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−229473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の3Dロードマップ表示では、既に切り離されたコイルと新たに留置しようとするコイルの識別が難しく、既に留置したコイルの状況を把握しにくいという不具合がある。
【0007】
本発明の実施形態は、上記事情に鑑みてなされたもので、カテーテル、ガイドワイヤ、コイル等のデバイスの視認性を向上させる医用画像診断装置及び医用診断支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の医用画像診断装置は、X線発生部とX線検出部を含む撮影部と、前記撮影部によって撮影した画像を処理して、撮影時間の異なる複数のマスク画像を生成するマスク画像生成部と、前記複数のマスク画像の差分をとり、血管に留置された閉塞物質の画像を抽出する第1の画像生成部と、挿入デバイスを血管に挿入した状態のリアルタイム透視画像を生成し、前記マスク画像との差分をとり、前記挿入デバイスの画像を生成する第2の画像生成部と、前記第1の画像生成部で生成した画像と前記第2の画像生成部で生成した画像を合成する画像合成部と、前記画像合成部で生成した画像を表示する表示手段と、を具備して成ることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係る医用画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】ロードマップ画像の生成過程を示す説明図。
【図3】コイル画像の生成過程を示すフローチャート。
【図4】コイルの留置の順序を説明する説明図。
【図5】第2の実施形態におけるロードマップ画像の生成過程を示す説明図。
【図6】デバイス画像の生成過程を示すフローチャート。
【図7】透視マスク画像の選択の仕方の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る医用画像診断装置について図面を参照して詳細に説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
図1は、一実施形態に係る医用画像診断装置の構成を示すブロック図である。図1の医用画像診断装置は、例えばアンギオ装置と呼ばれるX線画像診断装置100であり、被検体Pに対してX線を発生するX線発生部10と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するとともに、検出結果に基づいてX線投影データを生成するX線検出部20を備えている。
【0012】
X線発生部10は、X線管11とX線絞り器12を有するX線照射部と、高電圧制御部13と高電圧発生器14を備えている。X線管11は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧により加速してタングステン陽極に衝突させX線を発生する。高電圧制御部13は、制御部32(後述)からの指示信号に従って高電圧発生器14を制御し、X線管11の管電流、管電圧、X線パルス幅、照射周期、撮影区間、照射時間等からなるX線照射条件の制御を行なう。
【0013】
X線検出部20は、平面検出器(Flat Panel Detector)21と、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器22を含み、電荷・電圧変換器22の出力をA/D変換器31(後述)に供給する。X線発生部10と、X線検出部20はアーム(Cアーム)23に支持されている。
【0014】
Cアーム23は、寝台の天板24に載置した被検体Pの体軸方向に移動可能であり、また被検体Pの体軸周りに回転可能である。尚、X線発生部10とX線検出部20は撮影部25を構成し、Cアーム23を回転することで、撮影部25は被検体Pの周囲を回転し、異なる角度方向から被検体Pを撮影することができる。
【0015】
尚、X線検出部20として、イメージインテンシファイアとTVカメラを組み合わせたものを使用することもできる。
【0016】
X線検出部20は、画像処理装置30に接続している。画像処理装置30は、A/D(アナログディジタル)変換器31、制御部32、入力部33、2次元画像メモリ34、3次元画像メモリ35、フィルタリング部36、アフィン変換部37、LUT(ルックアップテーブル)38、再構成部39、画像合成部40を含む。
【0017】
画像処理装置30は、さらに3次元血管表示画像生成部41、差分画像生成部42、マスク画像生成部43、コイル画像生成部44、3次元画像取得部45、D/A(ディジタルアナログ)変換器46及び表示手段(ディスプレイ47)を含む。
【0018】
A/D変換器31は、電荷・電圧変換器22のアナログ出力をディジタル信号に変換する。制御部32は、CPUと記憶回路(図示せず)を備え、入力部33からの入力情報、設定情報及び選択情報に基づいてバスライン48を介してX線画像診断装置100の各ユニットを統括的に制御する。
【0019】
入力部33は、医師等のユーザが各種コマンド等の入力を行なうもので、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック等の入力デバイスや、表示パネルあるいは各種スイッチ等を備えたインタラクティブなインターフェースを有する。また入力部33は、天板24の移動方向や移動速度の設定、撮影部の回動/移動方向及び回動/移動速度の設定、管電圧や管電流を含むX線照射条件の設定等を行なう。また入力部33は、ロードマップスイッチや、透視画像収集ボタンを有する。
【0020】
2次元画像メモリ34は、2次元のX線画像データ等を格納するもので、撮影部25で得た2次元のX線画像データをフィルタリング部36でフィルタリングした2次元のX線画像データや、アフィン変換部37で画像拡大・移動等のアフィン変換を受けた2次元のX線画像データ等を格納する。
【0021】
3次元画像メモリ35は、撮影部25で得た2次元のX線画像データを再構成部39によって再構成した3次元画像を格納する。また、外部のCTA(Computed Tomography Angiography)やMRA(Magnetic Resonance Angiography)等から入手した3次元画像を格納する。
【0022】
3次元血管表示画像生成部41は、3次元画像メモリ35に格納されている3次元画像を読み出し、読み出した3次元画像から3次元血管表示画像(3Dボリュームレンダリング画像)を生成する。例えば、観察角度、観察視野、観察拡大率、観察位置などの情報によって示される状況と一致するようにボリュームレンダリング等の処理を実施して3次元血管表示画像(3Dボリュームレンダリング画像)を生成する。
【0023】
差分画像生成部42は、リアルタイムに撮影した透視画像(リアルタイム透視画像)と、マスク画像生成部43からの透視マスク画像との差分をとり、ガイドワイヤやカテーテル等のデバイスの画像を生成する。
【0024】
マスク画像生成部43は、2次元画像メモリ30に格納された画像データをもとにデバイスが挿入される前の透視マスク画像を生成する。尚、コイル(閉塞物質)が留置された場合は、コイルを含む透視マスク画像が得られる。デバイスは、常に医師等の操作により動いているので、差分画像生成部42によって差分をとったときに差分画像が消失することはない。したがって、ガイドワイヤやカテーテル等のデバイス画像を抽出することができる。また差分画像生成部42の出力は、ノイズ抑制や高調波強調によりガイドワイヤ等を強調することができ、デバイス画像をリアルタイム透視画像や3次元血管画像と異なる色で表示することもできる。
【0025】
コイル画像生成部44は、マスク画像生成部43で生成した過去の透視マスク画像と最新のマスク像とをサブトラクションすることにより、留置したコイル画像を生成する。
【0026】
3次元画像取得部45は、外部から3次元画像(例えば3次元血管画像)を取得する。外部からの3次元画像に血管情報以外の人体情報が含まれる場合、血管情報抽出部によって閾値処理や画素値の範囲指定、リージョングローイング等の方法(或いはこれらの方法の組み合せ)によって血管情報を抽出する。
【0027】
画像合成部40は、デバイス画像と、3次元血管表示画像とリアルタイム画像、及びコイル画像とを累積的に合成する。各画像の透明度は、医師等デバイス操作者の目的に応じ、適宜変更することができる。例えばガイドワイヤ等の動きを把握するため、透視開始時にはガイドワイヤ画像のレイヤーを不透明としてガイドワイヤの視認性を高め、他の血管画像等のレイヤーを透明とすることができる。
【0028】
また、各画像のレイヤーの透明度を時系列に沿って変化させることもでき、デバイスの挿入に連れてリアルタイム画像を不透明として視認性を向上させることもできる。ルックアップテーブル38は、合成画像のロードマップ部分に特異な色を割り当てる。
【0029】
D/A変換器46は、合成画像(表示データ)をD/A(ディジタル/アナログ)変換して映像信号を生成し、この映像信号を液晶等のディスプレイ47に表示する。
【0030】
以下、第1の実施形態の医用画像診断装置の動作を説明する。図2は、ディスプレイ46に表示されるロードマップ画像の生成過程を示す動作説明図である。例えば、脳動脈瘤の治療では、サイズの異なるコイル(閉塞物質)を動脈瘤の中に留置するが、コイリング操作では、予め再構成した3D血管像をマップとした3Dロードマップ表示を行う。
【0031】
先ずコイルを留置した後、その都度、透視マスク画像を再作成する。例えば過去の透視マスク画像A1と最新の透視マスク画像A2との間でサブトラクションすることにより、一定時間内に留置したコイルを抽出した画像(コイル画像D1)を得ることができる。つまり、透視マスク画像A1を作成した時間t0と最新の透視マスク画像A2を作成した時間t1はそれぞれ異なるため、サブトラクションすることにより一定時間内に留置したコイル(閉塞物質)が抽出され、コイル画像D1を得ることができる。
【0032】
また、最新の透視マスク画像A1とリアルタイムの透視画像B1の間でサブトラクションすることにより、これから留置するコイルを含むデバイスの画像を得ることができる。つまりリアルタイムの透視画像B1は、デバイス(コイルを備えたカテーテル、ガイドワイヤ)が挿入された状態の画像であるため、最新の透視マスク画像A1との間でサブトラクションすることにより、これから留置するコイルを含むデバイスの画像(デバイス画像)が得られる。
【0033】
図2ではデバイス画像として、ガイドワイヤ強調画像E1を示している。つまり、最新の透視マスク画像A1とリアルタイム透視画像B1とのサブトラクション画像に対してノイズ抑制とガイドワイヤ強調処理を行い、ガイドワイヤを強調した画像E1を得るようにしている。
【0034】
またリアルタイム透視画像B1と3Dボリュームレンダリング画像C1をマスク処理して所定の比率kで合成し、さらにコイル画像D1とガイドワイヤ強調画像E1を合成することにより、3Dロードマップ画像F1を得ることができる。3Dロードマップ画像F1では、ガイドワイヤ等の動きを把握することができ、かつ留置済みコイルと留置中のコイルを区別して表示することが可能になり、視認性が高まる。また合成表示する際に、色や透明度を区別して色調を変えて表示したり、設定によりいずれかの画像を表示/非表示に選択することができる。
【0035】
透視マスク画像A1,A2はマスク画像生成部43によって生成し、3Dボリュームレンダリング画像C1は3次元血管表示画像生成部41によって生成する。透視マスク画像A1とA2とのサブトラクションはコイル画像生成部44によって行い、透視マスク画像A2とリアルタイム透視画像B1とのサブトラクションは差分画像生成部42によって行い、各画像の合成は画像合成部40によって行う。
【0036】
尚、コイル画像D1に対して、患者の体動等によりアーチファクトが発生し、コイル以外の画像を誤抽出することがある。したがって過去のマスク画像A1と最新のマスク画像A2からコイル画像を抽出するときは、患者の体動の影響を抑えるため、自動ピクセルシフトによる位置合わせを行った後に、サブトラクションするとよい。また3D画像から治療対象となる動脈瘤を指定している場合は、コイル画像D1から、動脈瘤周辺部の画像のみを抽出してもよい。
【0037】
図3は、コイル画像D1の生成過程を示すフローチャートである。ステップS1はスタートステップであり、ステップS2では、透視画像収集ボタンが押されたか否かを判断する。透視画像収集ボタンは入力部33に設けられており、医師の操作によってボタンが押されると、ステップS3において透視マスク画像が収集される。コイルを何回かに分けて留置する場合は、コイルを留置したあとで都度、透視画像収集ボタンを押し、時系列的に複数の透視マスク画像を収集する。
【0038】
ステップS4は透視マスク画像の抽出ステップであり、時系列的に収集した複数の透視マスク画像から一定の時間内に収集した透視マスク画像(例えばA1とA2)を抽出して、次のステップS5でサブトラクションを行い、DSA(Digital Subtraction Angiography)画像(コイル画像D1)を生成し、ステップS5でコイル画像D1の生成を終了する。
【0039】
図4はコイルの挿入を示す説明図であり、サイズ・形状の異なるコイルが順次に留置されていく。例えば10個のコイルが挿入されるものとすると、透視マスク画像A1とA2(或いはA2とA3、A3とA4、…)とのサブトラクションにより、コイル画像D1を得ることができる。コイル画像D1は、既に留置されたコイルの画像であるため、カイドワイヤ強調画像E1と合成することで、既に留置されたコイルとこれから新たに留置しようとするコイルを識別可能に表示することができる。
【0040】
このように第1の実施形態では、既に留置済みのコイルとの位置関係を考慮して新たなコイルを正確に留置することができる。また3D血管表示画像に表示されたロードマップを見ながらカテーテル又はガイドワイヤを患部まで導くことができ、診断の支援を図ることができる。
【実施例2】
【0041】
次に、第2の実施形態の医用画像診断装置について説明する。図5は、第2の実施形態においてディスプレイ46に表示される3Dロードマップ画像の生成過程を示す動作説明図である。
【0042】
先ず、コイルを留置した後、それぞれ透視マスク画像を再作成し、時系列的に複数の透視マスク画像A1,A2…Anを収集し、2次元画像メモリ34(マスク画像記憶部)に保存し管理する。そして過去の透視マスク画像A1〜Anの中から選択した透視マスク画像とリアルタイム透視画像B1とをサブトラクションすることにより、ガイドワイヤとコイル画像E2を得る。
【0043】
リアルタイムの透視画像B1は、デバイス(カテーテル、ガイドワイヤ)が挿入された状態の画像であるため、最新の透視マスク画像Anとの間でサブトラクションすることにより、これから留置するコイルとデバイスを含む画像が得られる。サブトラクション画像に対してノイズ抑制とワイヤ強調処理を行うことでガイドワイヤ強調画像とコイル画像E2を得ることができる。
【0044】
またリアルタイム透視画像B1と3Dボリュームレンダリング画像C1をマスク処理して所定の比率kで合成し、さらにガイドワイヤ強調画像とコイル画像E2を合成することにより、3Dロードマップ画像F1を得ることができる。合成画像F1では、ガイドワイヤ等の動きを把握することができ、かつ留置済みコイルと留置中コイルを区別して表示することが可能になり、視認性が高まる。
【0045】
透視マスク画像A1〜Anはマスク画像生成部43によって生成し、3Dボリュームレンダリング画像C1は3次元血管表示画像生成部41によって生成する。選択した透視マスク画像(A1〜Anのいずれか)とリアルタイム透視画像B1とのサブトラクションは差分画像生成部42によって行い、各画像の合成は画像合成部40によって行う。第2の実施形態では、図2のコイル画像生成部44は割愛できる。
【0046】
図6は、ガイドワイヤ強調画像とコイル画像E2の生成過程を示すフローチャートである。ステップS11はスタートステップであり、ステップS12では、透視画像収集ボタンが押されたか否かを判断する。透視画像収集ボタンは入力部33に設けられており、医師の操作によってボタンが押されると、ステップS13において透視マスク画像が収集される。
【0047】
コイルを何回かに分けて留置する場合は、コイルを留置したあとで都度、透視画像収集ボタンを押し、時系列的に複数の透視マスク画像A1〜Anを収集する。ステップS14は、透視マスク画像の表示・選択ステップであり、時系列的に収集した複数の透視マスク画像A1〜Anから任意の透視マスク画像を選択する。
【0048】
例えば図7に示すように、時系列的に収集した複数の透視マスク画像A1〜Anをサムネイル化し、収集した順(時間軸上)にサムネイル画像を並べてディスプレイ47に表示する。そして、入力部33のマウス操作によっていずれかの画像を選択し、確定ボタンで確定する。したがって、入力部33は選択手段の機能も有する。
【0049】
次のステップS15では選択した透視マスク画像とリアルタイム透視画像とをサブトラクションして、DSA画像(ガイドワイヤ強調画像とコイル画像E2)を生成し、ステップS16で処理を終了する。ガイドワイヤ強調画像とコイル画像E2は、既に留置されたコイルの画像を含むため、既に留置されたコイルとこれから新たに留置しようとするコイルを識別可能に表示することができる。
【0050】
このように第2の実施形態では、複数の透視マスク画像から任意の画像を選択してリアルタイム透視画像とのサブトラクションを行うことにより、既に留置されたコイルの内、任意のタイミングでのコイルの状態を確認することができ、さらに新たに留置しようとするコイルを識別可能に表示することができる。また3D血管表示画像に表示されたロードマップを見ながらカテーテル又はガイドワイヤを患部まで導くことができ、診断の支援を図ることができる。
【0051】
以上述べた実施形態によれば、血管内治療において医師等のデバイス操作者が、ガイドワイヤ、カテーテル、コイル等を視認して、効率的に医療行為を行うことができる。尚、以上の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
100…医用画像診断装置(X線画像診断装置)
10…X線発生部
20…X線検出部
25…撮影部
30…画像処理装置
31…A/D変換器
32…制御部
33…入力部
34…2次元画像メモリ
35…3次元画像メモリ
36…フィルタリング部
37…アフィン変換部
38…LUT(ルックアップテーブル)
39…再構成処理部
40…画像合成部
41…3次元血管表示画像生成部
42…差分画像生成部
43…マスク画像生成部
44…コイル画像生成部
45…3次元画像取得部
46…D/A変換器
47…ディスプレイ
48…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線発生部とX線検出部を含む撮影部と、
前記撮影部によって撮影した画像を処理して、撮影時間の異なる複数のマスク画像を生成するマスク画像生成部と、
前記複数のマスク画像の差分をとり、血管に留置された閉塞物質の画像を抽出する第1の画像生成部と、
挿入デバイスを血管に挿入した状態のリアルタイム透視画像を生成し、前記マスク画像との差分をとり、前記挿入デバイスの画像を生成する第2の画像生成部と、
前記第1の画像生成部で生成した画像と前記第2の画像生成部で生成した画像を合成する画像合成部と、
前記画像合成部で生成した画像を表示する表示手段と、
を具備して成る医用画像診断装置。
【請求項2】
前記画像合成部は、前記第1、第2の画像生成部で生成した画像に、さらに3次元血管表示画像を合成して出力することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記第1の画像生成部は、前記複数のマスク画像の内、少なくとも最新のマスク画像と他のマスク画像との差分をとることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記画像合成部は、前記閉塞物質と前記閉塞物質以外のデバイスを異なる色調で表示させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
X線発生部とX線検出部を含む撮影部と、
前記撮影部によって撮影した画像を処理して、撮影時間の異なる複数のマスク画像を記憶するマスク画像記憶部と、
前記マスク画像記憶部に記憶されたマスク画像の中から使用するマスク画像を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択されたマスク画像と、リアルタイム透視画像との差分をとり、血管に留置した閉塞物質を含む挿入デバイスの画像を生成する第3の画像生成部と、
前記第3の画像生成部で生成した画像を表示する表示手段と、
を具備して成る医用画像診断装置。
【請求項6】
前記第3の画像生成部で生成した画像に、3次元血管表示画像を合成して表示する画像合成部を具備したことを特徴とする請求項5記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記選択手段は、前記複数のマスク画像を処理して時系列的に並べたサムネイル画像を表示し、前記サムネイル画像を用いて前記マスク画像を選択することを特徴とする請求項5記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記第3の画像生成部は、前記閉塞物質と前記閉塞物質以外の挿入デバイスを異なる色調で表示させることを特徴とする請求項5記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
X線発生部とX線検出部を含む撮影部によって撮影した画像を処理して、撮影時間の異なる複数のマスク画像を生成し、
前記複数のマスク画像の差分をとり、血管に留置された閉塞物質の画像を抽出し、
挿入デバイスを血管に挿入した状態のリアルタイム透視画像を生成し、前記マスク画像との差分をとって前記挿入デバイスの画像を生成し、
前記閉塞物質の画像と前記挿入デバイスの画像を合成して表示手段に表示することを特徴とする医用診断支援方法。
【請求項10】
X線発生部とX線検出部を含む撮影部によって撮影した画像を処理して、撮影時間の異なる複数のマスク画像を記憶部に記憶し、
前記記憶部に記憶されたマスク画像の中から使用するマスク画像を選択し、
前記選択されたマスク画像と、リアルタイム透視画像との差分をとり、血管に留置した閉塞物質を含む挿入デバイスの画像を生成し、
前記生成した挿入デバイスの画像を表示することを特徴とする医用診断支援方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−81179(P2012−81179A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231534(P2010−231534)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】