説明

医用画像診断装置

【課題】 心電計等の外部装置と組み合わせて好適に画像診断を行うことが可能な医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】 被検体に関する情報や手術具の位置に関する情報をリアルタイムで収集する外部装置と組み合わせて使われ、前記情報を表示する表示手段と、前記情報を利用して前記被検体の医用診断画像を撮影する撮影手段を備えた医用画像診断装置において、前記撮影のために行う前記情報の前処理と、前記前処理の結果を利用して行う前記撮影のための制御を、別々の中央制御装置で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という。)等の医用画像診断装置に係り、特に心電計等の外部装置と組み合わせて好適に画像診断を行うことが可能な医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置の一つにMRI装置がある。MRI装置は、均一な静磁場内に置かれた被検体に電磁波を照射したときに、被検体を構成する原子の原子核に生じる核磁気共鳴現象を利用し、被検体からの核磁気共鳴信号(以下、NMR信号という。)を検出し、このNMR信号を使って画像を再構成することにより、被検体の物理的性質をあらわす磁気共鳴画像(以下、NMR画像という。)を得るものである。
【0003】
MRI装置によって近年行われている撮像方法の一つに、心電同期撮影がある。これは、心電図を被検体より計測して、得られた心電図よりR波を検出して、R波のタイミングを基準のトリガとしてMRI撮像を行う撮像方法である。本方法は、心拍動によって生じる信号強度変化やアーチファクトを防止できる効果がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−234695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見い出した。
すなわち、特許文献1記載の従来技術では、心電図を検出した後、それを基にその波形(心電データ)をMRI装置のディスプレイへ表示するためのA/D変換をする処理と、その波形(心電データ)の中に不静脈に係る情報が含まれているか識別するための処理と、その波形を基に適切なタイミングで高周波磁場を被検体へ照射してMRIの撮像を行うための制御を行う処理を1つの中央制御装置(以下、CPUという。)で行った場合、1つのCPUの処理速度に限界があるために、心電データのディスプレイ表示にタイムラグが生じたりする不都合があるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、心電計等の外部装置と組み合わせて好適に画像診断を行うことが可能な医用画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、被検体に関する情報や手術具の位置に関する情報をリアルタイムで収集する外部装置と組み合わせて使われ、前記情報を表示する表示手段と、前記情報を利用して前記被検体の医用診断画像を撮影する撮影手段を備えた医用画像診断装置において、前記撮影のために行う前記情報の前処理と、前記前処理の結果を利用して行う前記撮影のための制御を、別々の中央制御装置で行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、心電計等の外部装置と組み合わせて好適に画像診断を行うことが可能な医用画像診断装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る医用画像診断装置のシステム構成例を、医用画像診断装置がMRI装置である場合に例をとって、図1により詳細に説明する。MRI装置は大別して、中央処理装置(以下、CPUと略称する)1と、シーケンサ2と、送信系3と、静磁場発生用磁石4と、受信系5と、傾斜磁場発生系21と、信号処理系6とから構成されている。
【0009】
CPU1は、予め定められたプログラムに従って、シーケンサ2、送信系3、受信系5、信号処理系6を制御するようになっている。シーケンサ2は、CPU1からの制御指令に基いて動作し、被検体7の断層面の画像データ収集に必要な種々の命令を送信系3、傾斜磁場発生系21、受信系5に送るようになっている。
【0010】
送信系3は、高周波発振器8と、変調器9と、照射コイル11とを備え、シーケンサ2の指令により高周波発振器8からの基準高周波パルスを変調器9で振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器10を介して増幅して照射コイル11に供給することにより、所定のパルス状の電磁波を被検体7に照射するようになっている。
【0011】
静磁場発生用磁石4は、被検体7の周りの所定の方向に均一な静磁場を発生させるためのものである。この静磁場発生用磁石4の内部には、照射コイル11と、傾斜磁場コイル13と、受信コイル14とが配置されている。傾斜磁場コイル13は傾斜磁場発生系21に含まれ、傾斜磁場電源12より電流の供給を受け、シーケンサ2の制御のもとに傾斜磁場を発生させる。
【0012】
受信系5は、被検体の生体組織の原子核の核磁気共鳴により放出される高周波信号(NMR信号)を検出するもので、受信コイル14と増幅器15と直交位相検波器16とA/D変換器17とを有しており、上記照射コイル14から照射された電磁波による被検体の応答の高周波信号(NMR信号)は被検体に近接して配置された受信コイル14で検出され、増幅器15及び直交位相検波器16を介してA/D変換器17に入力され、ディジタル量に変換され、その信号がCPU1に送られるようになっている。
【0013】
信号処理系6は、磁気ディスク20、光ディスク19などの外部記憶装置と、CRTなどからなるディスプレイ18とを備え、受信系5からのデータがCPU1に入力されると、CPU1が信号処理、画像再構成などの処理を実行し、その結果である被検体7の所望の断層面の画像をディスプレイ18で表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク20などに記憶するようになっている。
【実施例1】
【0014】
図2は、本発明の実施例1に係るMRI装置の構成を示すブロック図である。図1において、101はキーボード、102はマウス、103はディスプレイ、104はユーザインタフェース部、105は外部装置制御部、106は計測制御部、107は再構成制御部、108はガントリ部、109は心電計、110は超音波探触子や内視鏡や穿刺等のデバイスである。超音波探触子や内視鏡や穿刺等のデバイス110には一部にミラー等が設けられていて、赤外線でリアルタイムに3次元な位置を検出することにより、デバイスのある位置の近傍のMRI画像を撮像できるようになっている。このようなデバイスはI-MRI手技を行う際に好適である。(I-MRI手技に関する従来技術として、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】国際公開WO03/026505A1号公報
【0015】
本実施例では、ユーザインタフェース部104、外部装置制御部105、計測制御部106、再構成制御部107を作動させるために、それぞれに独立した中央制御装置(CPU104A〜107A)が設けられている。また、外部装置制御部105には、RS−232Cインタフェースが複数ポート具備されていて、それにより心電計109、デバイス装置110等とはRS−232Cを用いて接続されている。また、外部装置制御部105には、バスインタフェースも具備されていて、ユーザインタフェース部104とはそれを介して接続されている。また、外部装置制御部105には、予め定められた規格のインタフェースも具備されていて、計測制御部106と接続されている。
【0016】
次に、本発明の実施例1における心電データの流れを矢印112〜116とともに次に説明する。先ず、外部装置制御部105は心電計109より心電データを読み込み(112)、ディスプレイ103で心電データを表示するための計算処理をCPU105Aにより行う。具体的には、心電データをA/D変換する。そして、得られたデジタルデータをユーザインタフェース部104へ送信する(113)。そして、ユーザインタフェイス部104はCPU104Aにより、外部装置制御部105より送られてきたデジタルデータをグラフ化してディスプレイ103に表示する(114)。 一方、外部装置制御部105は心電データに基いて、MRI装置による撮影を行うための計算処理をCPU105Aにより行う。具体的には、心電データの中に不静脈が含まれていないか等を識別したりする。その後、デジタル化された心電データと不静脈が含まれていないかに関する情報等が、計測制御部106へ送られる(115)。計測制御部106では、外部装置制御部105より送られてきたデジタル化された心電データ等より、MRI装置のガントリ部108等において、どのようなタイミングで高周波パルスや傾斜磁場を印加してMRIの撮影を行えば良いかをCPU106Aにより決定し、そのようにCPU106Aにより制御してMRIの撮影を行う(116)。
【0017】
上記実施例1によれば、心電データのA/D変換、MRI装置による撮影を行うための心電データの計算処理、MRI装置による撮影のための制御を、外部装置制御部105及び計測制御部106に設けられたそれぞれのCPU105A及びCPU106Aで分担して実行するので、すべての作業を1つのCPUで行う場合より、CPUそれぞれの負担が少なくなり、心電データをディスプレイ103に表示する際にタイムラグが生じたりする不都合を解決できる。また、本実施例では、外部装置制御部105に心電計109ではなく、内視鏡や穿刺等のデバイス110を接続することができる。その場合には、内視鏡や穿刺等のデバイスの位置に関する信号より内視鏡や穿刺等のデバイスの位置情報を計算する処理と、該計算により求めたデバイスの位置をディスプレイ103での表示のためにユーザインタフェイス部104へ送信する処理を外部装置制御部105内のCPU105Aで行い、計算したデバイスの位置をもとに行うMRIの撮影のための制御を計測制御部106内のCPU106Aで行えば、好適に各処理が分担でき、ディスプレイ103にデバイスの位置情報を表示する際にタイムラグが生じたりする不都合を解決できる。
【0018】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施できる。例えば、上記実施例では医用画像診断装置としてMRI装置を例示したが、その他の医用画像診断装置、例えばX線CT装置や超音波診断装置へも本発明を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】医用画像診断装置のシステム構成例(医用画像診断装置がMRI装置である場合)。
【図2】本発明の実施例1に係るMRI装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0020】
101 キーボード
102 マウス
103 ディスプレイ
104 ユーザインタフェイス部
105 外部装置制御部
106 計測制御部
107 再構成制御部
108 ガントリ部
109 心電計
110 内視鏡や穿刺等のデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に関する情報や手術具の位置に関する情報をリアルタイムで収集する外部装置と組み合わせて使われ、前記情報を表示する表示手段と、前記情報を利用して前記被検体の医用診断画像を撮影する撮影手段を備えた医用画像診断装置において、前記撮影のために行う前記情報の前処理と、前記前処理の結果を利用して行う前記撮影のための制御を、別々の中央制御装置で行うことを特徴とする医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−288848(P2006−288848A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115257(P2005−115257)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】