説明

医用画像選択システム及び該システムを具備した医用画像診断装置

【課題】大量に保存されている検査画像をその保存構造を変えずに操作者が意図する単位で検査画像が含まれるシリーズを組み直してまとめて表示させることで、表示されるリストの数を減らして操作者が必要とする検査画像を容易に選択することができる医用画像選択システム及び該システムを具備した医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】被検体に対する検査、検査ごとに記憶されているシリーズ及びシリーズに含まれる医用画像を、それらが記憶されている記憶手段1iから入手してそれぞれリスト化するリスト生成手段12と、シリーズをどのように表示させるかを示す表示レベルの情報に基づいて、シリーズを新たなシリーズに組み直しリスト化するシリーズリスト情報処理手段13と、リスト生成手段12及びシリーズリスト情報処理手段13によって生成されたリストを予め定められる項目に合わせてその表示態様を整える表示態様処理手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の選択を行うシステム及び該システムを具備した医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体内部の情報を収集し、この収集された情報に基づいて被検体内部を画像化して医用画像を生成する医用画像診断装置が用いられるようになっている。この医用画像診断装置としては、例えば、X線診断装置やCT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET(positron-emission tomography:ポジトロン放出断層撮影)、及び診断用ワークステーション等が該当する。生成された医用画像はこれらの医用画像診断装置上に表示され、読影者はこれらの医用画像を基に診断を行ったりレポートを作成したりする。
【0003】
また、例えばX線診断装置においては、X線検出器の検出ピッチの微小化や撮影された医用画像の再構成技術の進展によって撮影される被検体内部の情報は膨大な量になり、生成される医用画像の枚数も多くなる。例えば、CT装置においては、1回の検査で通常数百枚、場合によっては千枚を超えることも少なくない。そのため、これら大量の医用画像の中から読影に必要な医用画像を検索、抽出することは大変である。そこで、この弊害を少しでも軽減すべく、以下の特許文献1では次のような発明の構成が開示されている。
【0004】
すなわち、画像表示装置として、被検体から医用モダリティにより収集された検査毎の画像データ及びその付帯情報を保存する画像データ保存手段と、この検査の一覧情報を付帯情報に基づいてモニタ上に表示する一覧情報表示手段と、モニタに表示された一覧情報から任意の検査を、指定された情報に応じて選択する検査選択手段と、この選択された検査に該当し且つ画像データに含まれるボリュームデータを、当該ボリュームデータの存在をまとめて示す情報として提示するボリュームデータ提示手段とを備える。
【0005】
この構成によれば、検査で収集されたボリュームデータは、このボリュームデータの存在をまとめて示す情報(例えば、1行のリストや代表スライスのサムネール)として表示される。そのため、ボリュームデータを成す全スライスの情報を表示することなく、そのまとめて示す情報の表示により、指定された検査にボリュームデータが付随しているということをモニタ画面で簡単に且つ的確に示すことができるため、ボリュームデータの扱いを容易にすることができる、とされる。
【特許文献1】特開2006−110185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている発明では、以下に指摘する点について考慮されていない。
【0007】
すなわち、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)と呼ばれる「医用デジタル画像と通信」に関する標準規格に従うと、撮影された検査画像は、「検査(患者)」、「シリーズ」、「画像」からなる3層の階層構造からなる記憶手段や画像サーバに保存される。このような階層構造を採用する中で膨大な検査画像を保存すると、たとえ上述した特許文献1に開示された例えば、1行のリストであっても結局シリーズごとにモニタ(表示手段)に表示されることになるため、表示されるリストは膨大な数に上る。そして画像が増えればそれだけシリーズの数も増えることになるため、それらシリーズの中から例えば、読影作業に必要なシリーズを検索することや、或いは関連ある複数のシリーズを検索して選択することは容易ではない。
【0008】
一方で、検索、選択の容易さを図るためシリーズを大まかにまとめて、保存されるシリーズの数を減少させるようにすると、1つのシリーズ内に含まれる画像の量が多くなるため、この場合であっても読影をするにあたって適切な画像を選択することが困難になる。また、医用画像診断装置に対しても、余分な画像の処理に時間がかかり画像処理に必要な資源を多く使用することになるため、医用画像診断装置のシステム全体に与える負担が大きくなる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、大量に保存されている検査画像をその保存構造を変えずに操作者が意図する単位で検査画像が含まれるシリーズを組み直してまとめて表示させることによって、表示されるリストの数を減らして操作者が必要とする検査画像を容易に選択することができる医用画像選択システム及び該システムを具備した医用画像診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、医用画像選択システムにおいて、被検体に対する検査、検査ごとに記憶されているシリーズ及びシリーズに含まれる医用画像を、それらが記憶されている記憶手段から入手してそれぞれリスト化するリスト生成手段と、リスト生成手段に入力されたシリーズをどのように表示させるかを示す表示レベルの情報に基づいて、シリーズを新たなシリーズに組み直しリスト化するシリーズリスト情報処理手段と、リスト生成手段及びシリーズリスト情報処理手段によって生成されたリストを予め定められる項目に合わせてその表示態様を整える表示態様処理手段とを備える。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、医用画像診断装置において、被検体に対する検査、検査ごとに記憶されているシリーズ及びシリーズに含まれる医用画像を、それらが記憶されている記憶手段から入手してそれぞれリスト化するリスト生成手段と、リスト生成手段に入力されたシリーズをどのように表示させるかを示す表示レベルの情報に基づいて、シリーズを新たなシリーズに組み直しリスト化するシリーズリスト情報処理手段と、リスト生成手段及びシリーズリスト情報処理手段によって生成されたリストを予め定められる項目に合わせてその表示態様を整える表示態様処理手段と、リスト生成手段またはシリーズリスト情報処理手段によって生成されたリストを表示する表示手段と、表示レベル情報を入力するとともに、表示手段に表示されたリストまたはシリーズリストを選択するための入力手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大量に保存されている検査画像をその保存構造を変えずに操作者が意図する単位で検査画像が含まれるシリーズを組み直してまとめて表示させることによって、表示されるリストの数を減らして操作者が必要とする検査画像を容易に選択することができる医用画像選択システム及び該システムを具備した医用画像診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、上述したような被検体内部の情報を収集し、この収集された情報に基づいて被検体内部を画像化して医用画像を生成する医用画像診断装置の内部構成を示すブロック図である。図1に示す医用画像診断装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力手段1fと、表示手段1gと、通信制御手段1hと、記憶手段1iと、リムーバブルディスク1jと、駆動部制御手段1kとが接続されており、駆動部制御手段1kによって医用画像診断装置1の各駆動部1lが制御される。
【0015】
CPU1aは、入力手段1fからの入力信号に基づいてROM1bから医用画像診断装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。さらにCPU1aは、入力手段1fや入出力インターフェイス1dを介しての図1においては図示していない外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行ったり、RAM1cや記憶手段1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工、撮影された被検体の生データから検査画像として再構成する等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0016】
入力手段1fは、医用画像診断装置1の利用者が各種の操作を入力するキーボード、マウス等の入力デバイスにより構成されており、利用者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、医用画像診断装置1には、キーボード等だけでなく専用の操作パネルが設けられていても良く、その操作パネル上の入力デバイスを介して操作画面に対する操作を行うこともできる。表示手段1gは、例えば液晶ディスプレイであり、例えばCPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、CPU1aの処理結果や検査のリスト、再構成された検査画像等を表示する手段である。
【0017】
通信制御手段1hは、LANカードやモデム等の手段であり、医用画像診断装置1をインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続する手段である。通信制御手段1hを介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信する。例えば、読影者が読影作業を行う際に、撮影された検査画像の情報が医用画像診断装置1と同じ通信ネットワーク上に存在する画像サーバに保存されている場合に、この画像サーバから通信制御手段1hを介して必要な検査画像の情報を入手することができる。
【0018】
記憶手段1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータ、被検体を撮影した検査画像の情報が記憶されている。リムーバブルディスク1jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0019】
本発明の実施の形態における医用画像診断装置1の記憶手段1iには、さらに医用画像選択プログラムが記憶される。また、医用画像選択プログラムが医用画像診断装置1のCPU1aに読み込まれ実行されることにより、医用画像選択手段10が医用画像診断装置1に実装される。
【0020】
なお、以下においては、医用画像選択プログラムが記憶手段1iに記憶されている場合を例にとって説明するが、この医用画像選択プログラムはリムーバブルディスク1jに格納されていても良い。また、被検体を撮影した検査画像の情報も同じく記憶手段1iに記憶されている場合を例にとって説明するが、この検査画像情報は、例えば、上述したように通信ネットワーク上に存在する画像サーバ内に記憶されていても良い。
【0021】
医用画像選択手段10は、図2に示すように、受信手段11と、リスト生成手段12と、シリーズリスト情報処理手段13と、表示態様処理手段14と、送信手段15とから構成される。
【0022】
リスト生成手段12は、操作者の選択が行われた検査、この検査ごとに記憶されているシリーズ及びシリーズに含まれる医用画像を、それらが記憶されている記憶手段1iから入手してそれぞれリスト化する。シリーズリスト情報処理手段13は、表示手段1g上に表示される複数のシリーズをどのような単位で表示させるかを示す表示レベルの情報に基づいて、リスト生成手段12よってリスト化されたシリーズを新たなシリーズに組み直し、リスト化する。表示態様処理手段14は、リスト生成手段12やシリーズリスト情報処理手段13によって生成されたリストを予め定められる項目に合わせて表示するようその表示態様を整える。
【0023】
次に、読影者が読影作業を行うために適切な検査画像を選択する流れを、その流れを示すフローチャート図3及び図4を基に、適宜リストが表示される表示手段1gの画面例等も参照しつつ以下、説明する。
【0024】
まず、医用画像診断装置1を使用して被検体のスキャンを行い(撮影し)、被検体内部の情報を収集する(ST1)。この撮影によって、撮影したままの内部情報であるいわゆる生データを取得する(ST2)。近年の医用画像診断装置1は、画像再構成の能力が飛躍的に高まったため、アキシャル像だけではなく、例えば、サジタル像やコロナル像もわずかな時間で再構成することが可能となっている。そのため、取得した生データを基に画像再構成を行うとともに(ST3)、この再構成された画像と生データとを記憶手段1iに記憶する(ST4)。
【0025】
これら生データ及び再構成画像は、上述したように、検査、シリーズ、画像の3階層に分けて記憶される。このうち、「検査」には、例えば、被検体の患者IDや検査(撮影)の年月日、撮影条件等が記憶される。また、「シリーズ」は、同一の被検体に対して同一の条件(例えば、造影剤を使用したか否か、画像再構成時に使用するフィルタ(再構成関数(以下、適宜「ボリューム」という。)が同一である、等)で撮影した検査画像群のグループであり、「シリーズ」が異なると、同一の被検体に対する同一の検査であっても撮影を行う条件、画像を再構成する条件が異なる。「画像」は、再構成された画像のことであり、読影者はこの画像を基に診察等、ファイル処理を行う。
【0026】
従って、「シリーズ」は検査ごとに単数または複数設けられ、シリーズ内に記憶される画像群は、例えば、「生データ1」を基に「ボリューム1」を用いて再構成された「アキシャル像」として記憶されることになる。これが、例えば「生データ」が「1」ではなく「2」である場合や、画像再構成に使用する「ボリューム」が異なる場合、画像再構成によって再構成された画像が、例えば「サジタル像」である場合にはいずれも別の「シリーズ」として記憶手段1i内に記憶されることになる。そして、読影者が読影作業を行う際には、この記憶手段1iから読影作業に必要な検査画像を入手する。
【0027】
次に、読影者によって必要な画像の選択が行われることになるが(ST5)、上述したように、膨大な量のシリーズのどこに必要な検査画像が含まれているかを検索、選択することは困難である。そこで、図4に示すフローチャートのような流れで必要な検査画像を入手する。
【0028】
読影者がまず対象となる被検体の情報を入力手段1fを利用して入力する。入力される項目は、例えば、患者IDや検査の年月日等である。この入力された情報(以下、このような情報を便宜的に「患者情報」という。)を受信した受信手段11は、リスト生成手段12に送信し、リスト生成手段12では受信した情報の内容から、検査についてのリストを作成するものと判断する。この判断に基づいて、リスト生成手段12は、記憶手段1iにアクセスして患者情報に合致する検査の情報(以下、このような情報を便宜的に「検査情報」という。)を入手する。そして、この入手した情報に基づいて検査リストを生成し(ST51)、この生成されたリストを表示態様処理手段14が表示手段1gの該当個所に表示する(ST52)。
【0029】
なお、検査リストを生成する際、記憶手段1iから入手する検査情報をシリーズ及び画像を含まない情報として入手することも可能であるし、或いは、該当する検査に付随する全ての情報(シリーズ及び画像を含む)を一括して入手するようにしてもよい。ここでは、入手したシリーズ及び画像を記憶しておくための容量との関係から、検査リスト生成の際に記憶手段1iから入手する検査情報は、シリーズ及び画像の情報を含まない情報であるとする。
【0030】
図5は、表示手段1gに表示される画面の一例を示す説明図である。この画面例では、左右に大きく不均等に分かれ、画面右側は、さらに上段、中段、下段の3つの領域に別れている。これは、上述した検査画像の保存方法としての3階層「検査」、「シリーズ」、「画像」に各々対応するものであり、それぞれ上段が「検査」を示す領域St、中段が「シリーズ」を示す領域Se、下段が「画像」を示す領域Imとされている。また、「検査」を示す領域Stのさらに上の領域には、この画面に表示させている検査、シリーズ及び画像の対象となっている被検体に関する各種情報が表示される。一方、画面左側には、画面右側の「画像」を示す領域Imにおいて選択された検査画像を表示させる領域及び表示された検査画像を調整する各種ボタン等が配置されている。
【0031】
なお、図5では、「シリーズ」を示す領域Seの領域が大きく取られているが、各段の領域の大きさは任意に変更することができる。また、図5及び後述する図7に示す画面例のレイアウト、表示項目等はいずれも任意に設定することが可能であり、図5及び後述する図7に示す画面例はあくまでも一例に過ぎない。
【0032】
画面右側に表示されている「検査」、「シリーズ」、「画像」については、それぞれリスト表示ができるようにされるとともに、そのリストの左側にファイルのアイコンが設けられており、そのファイルが開いているか否かによってどの領域において読影者による選択作業がなされているか一目でわかるようにされている。この図5及び後述する図7においては、シリーズを示す領域Seのファイルが開いているので、この領域において作業がなされていることがわかる。また、シリーズを示す領域Seのファイルのアイコンの下には、さらに後述する図6に示す「表示レベル」のアイコンが設けられている。
【0033】
リスト生成手段12によって生成された検査リストは、検査を示す領域Stに表示される。図5に示す画面例では、とある被検体に関する3つの検査がリストとなって表示されている。
【0034】
読影者は、検査を示す領域Stに表示された検査リストの中から読影の対象とする検査を選択する(ST53)。対象検査が選択されると、リスト生成手段12は選択された対象検査に関するシリーズの情報及び画像を記憶手段1iから入手する。入手した情報を基にリスト生成手段12はシリーズについてのリスト(以下、このようなリストを便宜的に「シリーズリスト」という。)を生成し(ST54)、表示態様処理手段14がシリーズを示す領域Seに表示する(ST55)。
【0035】
図5に示す画面例では、このシリーズリストがシリーズを示す領域Seに表示された状態を示している。この状態では、選択された検査に含まれる全てのシリーズに関する情報(以下、このような情報を便宜的に「シリーズ情報」という。)が表示されることになる。これは、上述したように記憶手段1iには、このように再構成された画像までをも含むシリーズ単位ごとに記憶されるからである。
【0036】
このように選択された検査に含まれる全てのシリーズを示すリストが表示された状態で、読影者は、シリーズを示す領域Se左側に表示されるファイルのアイコンの下に設けられる表示レベルのアイコンを使用してこのシリーズを示す領域Seに表示されるシリーズリストを組み直してまとめることができる。
【0037】
図6は、表示レベルのアイコンを拡大して示す説明図である。上述したように、対象となる検査を選択してまずシリーズを示す領域Seに表示されるのは、その検査に含まれる全てのシリーズである。この表示された全てのシリーズから必要とされる検査画像が含まれるシリーズを選択するのは、シリーズリストとして表示されるシリーズの数が多ければ多いほど困難となり、ひいては読影作業の効率も低下させることになってしまう。そこで、表示されたシリーズを何らかの単位で組み直しまとめて表示させることによって、読影者の選択の効率を向上させることが可能となる。この表示レベルのアイコンはシリーズを組み直す際の単位を示すものであると言える。
【0038】
図6に示すように、一番上には「全て」とあることから、この部分を選択すると、或いは表示レベルを何も選択しないと、選択された検査に含まれる全てのシリーズが表示される。次に示されている「粒度」、「撮影」とは、表示レベルの第1段目における種類を表わすものである。「粒度」とは、シリーズを組み直してまとめる単位の大きさを示すものである。粒度の下層には、表示レベルの第2段目にあたる「生データ」、「ボリューム」、「画像種」が設けられている。そして「生データ」、「ボリューム」、「画像種」はこの順に粒度が小さくなるように設定されている。
【0039】
ここで、「生データ」とは、被検体を撮影して得られる画像情報であり、この画像情報を基に検査画像が再構成される。「ボリューム」は画像を再構成する際に使用する再構成関数のことであり、「画像種」とは、例えば、「アキシャル像」、「サジタル像」、「コロナル像」といった再構成された画像の種類を示す。
【0040】
例えば、「画像種」を選択すると、シリーズリストに表示されている複数のリストの中から同一の画像種を使用しているシリーズが集められてまとめられる。すなわち、上述したように画像種として「アキシャル像」、「サジタル像」、「コロナル像」の3つがある場合、全てのシリーズが「アキシャル像」ごと、「サジタル像」ごと、「コロナル像」ごとにまとめられ、新たに3つのシリーズがシリーズを示す領域Seに表示されることになる。
【0041】
但し、このようにまとめられて表示されることになるシリーズは、記憶手段1iに記憶されているシリーズまでをもまとめてしまうということではない。上述したように、シリーズをある単位でまとめた状態で記憶手段1iに記憶させておくと、読影者にとって却って使いにくい情報となってしまうからである。なお、本発明の実施の形態においては、このようにまとめられたシリーズを改めて記憶手段1iに記憶させることもしていない。これは記憶手段1iの容量との兼ね合い、及び、読影者ごとにまとめられたシリーズが数多く記憶されることにより、却ってシリーズの数が増えてしまうことによる使い勝手の低下を避けるためである。
【0042】
図6に示す表示レベルのアイコンには、さらに「撮影」というレベル(項目)も設けられている。これは、撮影条件によってシリーズをまとめるものである。例えば、「部位」は撮影部位ごとに、また、「造影剤」は撮影を行うに当たって造影剤を使用したか否かを基準としてシリーズをまとめる。その下に設けられている「プリセット1」ないし「プリセット3」は、読影者が任意にシリーズをまとめる単位を定めることのできる項目である。
【0043】
なお、表示レベルは入力手段1f、例えばマウス等によって自由に変更することができその都度該当する表示レベルに合ったシリーズがシリーズを示す領域Seに表示される。
【0044】
このように読影者によって表示レベルの入力があった場合には(ST56のYES)、受信手段11からシリーズリスト情報処理手段13に読影者が選択した表示レベルの情報が送られ、選択された表示レベルに合わせてシリーズの組み直しが行われる(ST57)。シリーズリスト情報処理手段13は、リスト生成手段12によって生成されたシリーズリストを基にシリーズの組み直しを行い、まとめられると改めてリストを生成して(ST58)、表示態様処理手段14に送る。そして該当する表示レベルに合わせたシリーズがシリーズを示す領域Seに表示されることができる(ST59)。
【0045】
図7は、表示レベルを「部位」で組み直してまとめた状態を示す画面例である。図7は、図5のシリーズを示す領域Seに表示されていたシリーズを各々「HEAD(頭部)」、「CHEST(胸部)」、「ABDOMEN(腹部)」、「PELVIS(骨盤)」でまとめた状態を示す。
【0046】
ここで、シリーズリスト情報処理手段13によるシリーズリストの組み直し、まとめについて図8ないし図10に示すシリーズリストを示す表示例を例に挙げて説明する。例えば、図8に示すシリーズリストでは、「検査1」が選択され、この検査1内には「シリーズ1」から「シリーズ22」まで22個のシリーズが含まれている様子が示されている。また、これら各シリーズリスト内にはそれぞれ再構成された画像群が記憶されている。例えば、「シリーズ5」の場合は、「生データ」の「1」を基に「ボリューム1」を用いて再構成画像として「コロナル像」を生成し、保存していることを示している。
【0047】
図8に示すシリーズリストは、図5に示す画面例の場面、すなわち、検査を示す領域Stに表示された検査リストの中から読影者によって読影の対象とされる検査が選択された状態でシリーズリストを示す領域Seに表示されるリストである。この状態では選択された検査(「検査1」)の中に含まれるシリーズの全てが表示される。この状態で読影者は表示レベルをマウス等の入力手段1fを使用して動かし、どの単位でシリーズをまとめるか選択する。ここでは、例えば、「生データ」を選択して同じ生データを使用して画像を再構成したシリーズをまとめるようにした例を挙げる。
【0048】
図9は、検査1内に含まれる全てのシリーズを示した図8から最終的にシリーズの組み直しが行われてまとめられるまで(図10参照)の経過を示すリストである。なお、この図9に示すリストは実際には表示手段1gには表示されず、説明のために便宜上表わしたものである。
【0049】
図8に示すように、検査1では、3つの生データを基にそれぞれ2種類のボリュームを使用して各々「アキシャル像」、「サジタル像」、「コロナル像」の3種類の画像を再構成していた。従って、このリストからすれば最終的には生データごとに少なくとも3つのシリーズにまとまることが予想できる。
【0050】
図9に示すシリーズリストでは、まず2種類使用されていた「ボリューム」を画像種ごとにまとめている。すなわち、「生データ1」を基にそれぞれ使用していた2種類のボリューム「Vol1」と「Vol2」を画像種ごとに「Vol1−2」にまとめている。これによって、図8ではシリーズ3ないしシリーズ20まで18種類が表示されていたシリーズが、画像種ごとに3つの生データ、すなわち9種類のシリーズに組み直されてまとめられている。なお、シリーズ21及びシリーズ22については、「その他1」、「その他2」とその他のシリーズとはその単位が異なるため、組み直すことができずシリーズリスト上そのまま残されている。
【0051】
さらに、組み直されると図10に示すようなシリーズリストにまとめられる。図9に示すシリーズリストに表わされているように画像種ごとに「ボリューム」をまとめた後、さらに「生データ」ごとに組み直されてまとめられている。そのため、例えば「シリーズ2」は、「生データ1を基にボリューム1、2を使用してアキシャル像、サジタル像、コロナル像の3種類の画像を再構成した」シリーズであることを示す。また、シリーズには各々新たな番号が付与され、結局18種類のシリーズは9種類、そして3種類のシリーズに組み直されてまとめられたことになる。そして、この状態でシリーズを示す領域Seに表示される。
【0052】
なお、検査を選択したところ、シリーズを示す領域Seに表示されたシリーズが1種類しかない場合には、改めてまとめる必要はないので、その場合には表示レベルの入力はなく(ST56のNO)、該当するシリーズがそのまま表示される。
【0053】
読影者によってシリーズを示す領域Seに表示されたまとめられたシリーズの中から必要な画像を含むシリーズが選択され(ST60)、選択されたシリーズに含まれる画像のリストがリスト生成手段12によって生成される(ST61)。生成された画像リストは、表示態様処理手段14によって画像を示す領域Imに表示される(ST62)。この表示された画像リストの中から必要な画像を選択すると(ST63)、表示手段1gの画面左側にイメージとして大きく表示され、その画像を基に診察等のファイル操作が行われる(ST6)。
【0054】
このように表示レベルを利用してシリーズを示す領域Seに表示された大量に保存されているシリーズをその保存構造を変えずに操作者が意図する単位で検査画像が含まれるシリーズを組み直してまとめて表示させることによって、表示されるリストの数を減らして操作者が必要とする検査画像を容易に選択することができる医用画像選択システム及び該システムを具備した医用画像診断装置を提供することができる。
【0055】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上述した実施の形態においては医用画像選択システムを医用診断装置に搭載した場合を例に挙げて説明したが、その他に、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムと組み合わせて用いても良い。
【0056】
また、上述した実施の形態においては表示レベルを用いて操作者が意図する単位でシリーズを組み直してまとめているが、例えば、読影作業の際用いるアプリケーションに予め組み直しの方法を規定しておくことで、そのアプリケーションの下でシリーズを選択した場合には、読影者の指示がなくとも自動的に決まった単位でシリーズを組み直してまとめた状態でシリーズを示す領域Seに表示させるようにしても良い。
【0057】
上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態にかかる医用画像診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる医用画像選択システムの内部構成を示すブロック図である。
【図3】読影者が読影作業を行うために適切な検査画像を選択する流れを示すフローチャートである。
【図4】読影者が読影作業を行うために適切な検査画像を選択する流れを詳細に示すフローチャートである。
【図5】表示手段に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図6】表示レベルのアイコンを拡大して示す説明図である。
【図7】表示手段に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図8】シリーズリストに表示されたシリーズを組み直してまとめる経過を説明するための説明図である。
【図9】シリーズリストに表示されたシリーズを組み直してまとめる経過を説明するための説明図である。
【図10】シリーズリストに表示されたシリーズを組み直してまとめる経過を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 医用画像診断装置
1f 入力手段
1g 表示手段
10 医用画像選択システム
11 受信手段
12 リスト生成手段
13 シリーズリスト情報処理手段
14 表示態様処理手段
15 送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対する検査、前記検査ごとに記憶されているシリーズ及び前記シリーズに含まれる医用画像を、それらが記憶されている記憶手段から入手してそれぞれリスト化するリスト生成手段と、
前記リスト生成手段に入力された前記シリーズをどのように表示させるかを示す表示レベルの情報に基づいて、前記シリーズを新たなシリーズに組み直しリスト化するシリーズリスト情報処理手段と、
前記リスト生成手段及び前記シリーズリスト情報処理手段によって生成されたリストを予め定められる項目に合わせてその表示態様を整える表示態様処理手段と、
を備えることを特徴とする医用画像選択システム。
【請求項2】
前記シリーズは前記記憶手段内に画像種ごとに記憶されており、前記表示レベル情報は、前記シリーズを前記画像種ごと、前記画像種を再構成した再構成関数ごと、或いは、前記画像再構成の基となった前記検査において取得された生データごとにまとめて表示させることを選択可能とする情報であることを特徴とする請求項1に記載の医用画像選択システム。
【請求項3】
前記表示レベル情報は、前記被検体に対する撮影方法ごとにまとめて前記シリーズを表示させることを選択可能とする情報であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用画像選択システム。
【請求項4】
前記表示レベル情報は、前記医用画像を観察する観察者が任意に定める内容に基づいて前記シリーズをまとめて表示させることを可能とする情報であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の医用画像選択システム。
【請求項5】
被検体に対する検査、前記検査ごとに記憶されているシリーズ及び前記シリーズに含まれる医用画像を、それらが記憶されている記憶手段から入手してそれぞれリスト化するリスト生成手段と、
前記リスト生成手段に入力された前記シリーズをどのように表示させるかを示す表示レベルの情報に基づいて、前記シリーズを新たなシリーズに組み直しリスト化するシリーズリスト情報処理手段と、
前記リスト生成手段及び前記シリーズリスト情報処理手段によって生成されたリストを予め定められる項目に合わせてその表示態様を整える表示態様処理手段と、
前記リスト生成手段または前記シリーズリスト情報処理手段によって生成されたリストを表示する表示手段と、
前記表示レベル情報を入力するとともに、前記表示手段に表示された前記リストまたは前記シリーズリストを選択するための入力手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−106503(P2009−106503A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281729(P2007−281729)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】