説明

医療廃棄物およびその他の廃棄物を追跡する方法およびシステム

未処理の医療廃棄物を保持するように適合された第1のコンテナを含む医療または毒性廃棄物を追跡するためのシステムおよび方法であって、このコンテナは、それに取り付けられたワイヤレス追跡デバイスを有している。このシステムはまた、このワイヤレス追跡デバイスを追跡することにより医療廃棄物の移動を監視し得る追跡ステーションを含む。この方法は、上記廃棄物処理施設から上記廃棄物発生施設までの上記第1のコンテナの戻りを上記ワイヤレス追跡デバイスで監視する工程をさらに包含し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、廃棄物、そして詳細には、医療およびその他の毒性または危険廃棄物の追跡に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
産業および医療廃棄物の発生および破壊は、生じる廃棄物の容量が増加し続けるにつれて、毎年増加してより重要になっている深刻な問題である。これは医療廃棄物について特に真実である。なぜなら、それは、代表的には、毒性および/または感染性物質を含むからである。
【0003】
産業および医療廃棄物の実際の破壊を支配する多くの規制があるけれども、歴史的に、この廃棄物の追跡を支配する規制はほとんどなかった。この規制の欠如は、この廃棄物が、破壊されるよりはむしろ、不適正に、そして/または不法に投機され得るので、しばしば、乱用をもたらしている。実際、広範囲の誤った管理のため、医療廃棄物は、1988年の夏の間に、大西洋沿岸に沿って海岸を洗い始めた。
【0004】
1988年の医療廃棄物災害に対し、米国議会は、医療廃棄物追跡法を通過させた。この法律は、一月に50ポンドを超える医療廃棄物を発生するすべての施設、および50ポンドを超えるすべての積荷について追跡の使用を要求する。形式については、発生者は、施設名および住所、輸送者の身元、目的の施設および廃棄物のカテゴリーを記載しなければならない。さらに、この法律は、医療廃棄物発生者が、発生の時点で廃棄物を分別し、廃棄物取扱者および公衆が晒されることから保護するコンテナに廃棄物を配置し、そしてこの廃棄物コンテナを適切に標識することを要求する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この追跡する方法に準拠するコストは、比較的高額であり、そして広範囲に亘る不服従を生じた。不服従の広がり、および励行のための財源の不足のため、EPAは、典型的には、この問題を無視している。これは、この法律を無視する他者を勇気付けたに過ぎず、この問題をさらに増加している。従って、監視および励行することがより容易である医療および産業廃棄物を追跡するためのより安価な方法を有することは有利であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、医療廃棄物を追跡する方法を提供し、取り付けられたワイヤレス追跡デバイスを有する第1のコンテナの廃棄物発生施設から廃棄物処理施設への移動を、このワイヤレス追跡デバイスを用いて監視する工程を包含する。
【0007】
本発明はまた、医療廃棄物を追跡するためのシステムを含み、未処理医療廃棄物を保持するように適合された第1のコンテナを備え、このコンテナは、それに取り付けられたワイヤレス追跡デバイス、およびこのワイヤレス追跡デバイスを追跡することによって、上記医療廃棄物の移動を監視し得る追跡ステーションを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の前述の、およびその他の特徴、局面ならびに利点は、以下の説明、添付の請求項、および以下に簡単に説明される図面に示される例示の実施形態から明らかになる。その他であることが特定されなければ、同様の要素は、同じ参照番号を有することに注意すべきである。
【0009】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明者らは、ワイヤレス追跡システムを用いることにより、コスト的に有効であり、そして励行することが容易である両方の医療および産業廃棄物を追跡する方法が履行され得ることを決定した。簡潔には、廃棄物発生者に、取り付けられたワイヤレス追跡デバイスを有するコンテナを提供することにより、処理施設への未処理廃棄物の移動を動的に追跡することが可能である。本発明の1つの好ましい実施形態では、ハンドヘルド読み取り器をもつ個体が、廃棄ルートに沿った種々の点でこの追跡デバイスを走査する。この情報は、次いで、このハンドヘルド読み取り器から中央監視ステーションにアップロードされ得る。別の好ましい実施形態では、この追跡は、GPS技術の使用によって達成される。廃棄物が破壊されるとき、廃棄物処理施設のオペレーターは、監視者に信号を送り得、破壊を示す。必要に応じて、請求書が発行され、そして消費者に請求される。さらに、処理された廃棄物は、ワイヤレス追跡デバイスを有する第2のコンテナ中の配置され得、そして、この処理された廃棄物の移動は、その最終廃棄まで追跡される。
【0010】
本開示の目的のために、医療廃棄物は、制限されないで以下を含む:
(1)医療および病理学実験室からの培養物、研究および産業実験室からの病原菌の培養物およびストック、生物学的製剤の生産からの廃棄物、棄てられた生存および弱毒化ワクチン、および培養物を移植、接種、および混合するために用いられた培養デッシュおよびデバイスを含む、病原菌および関連する生物学的製剤の培養物およびストック;
(2)手術または検死の間に取り出された組織、器官、および身体部分を含む病理学的廃棄物;
(3)血清、血漿、およびその他の血液成分を含む、廃棄ヒト血液および血液の製品;
(4)皮下針、シリンジ、パスツールピペット、割れたガラス、および外科用メスを含む、患者管理において、または医療、研究、または産業実験室において用いられた鋭利物;
(5)研究、生物学的製剤の生産、または製剤の試験の間に病原菌に曝された、汚染した動物死体、身体部分、および床敷き;
(6)汚染衣類、スポンジ、布、洗浄チューブ、排液セット、アンダーパッド、および外科用手袋を含む、病原菌と接触した手術または検死からの廃棄物;
(7)スライドおよびカバーグラス、使い捨て手袋、実験着、およびエプロンを含む病原菌と接触した、医療、病理、製薬、またはその他の商業もしくは産業実験室からの実験室廃棄物;
(8)管材、継手、使い捨てシート、タオル、手袋、エプロン、および実験着のような汚染した使い捨て装備を含む、血液透析を受ける患者の血液で汚染された透析廃棄物;
(9)病原菌と接触した廃棄医療装備および部分;
(10)伝染病から他を保護するために隔離されるヒトまたは動物からの、血液、排泄物、流出物(excudate)または分泌物で汚染された生物学的廃棄物および廃棄材料;
(11)産業上および医療手順で用いられた放射活性廃棄物、ならびに実験室および医療施設で用いられた試薬の生産で用いられた化学的廃棄物;および
(12)健康管理提供者によって患者への医療ケアの管理から生じ、そしてこの管理者によってヒト健康または環境に脅威を課すると見出される、このようなその他の廃棄物材料。
【0011】
本発明によるワイヤレス廃棄物追跡システム100の1つの実施形態を図1および図2に示す。本発明のこの実施形態は、ワイヤレス追跡デバイス170を有する廃棄物処分コンテナ160(図2)を含む。この追跡デバイス170は、溶接または接着剤で付けるような比較的耐久性の方法によってこのコンテナ160に固定され得る。しかし、この追跡デバイス170は、例えば、スナップばめによって、置換可能に取り付けられ得る。実際、この追跡デバイスはまた、その最終の届先、例えば、埋立地において、廃棄物とともに最終的に堆積される構成要素として廃棄物に単に追加され得る。
【0012】
このワイヤレス追跡デバイス170はまた、追跡ステーション130を含む。この追跡ステーション130には、この廃棄物処分コンテナ160が、廃棄物発生者110から廃棄物処理施設140に出荷されるとき、追跡情報を記憶するコンピューターシステム(図示せず)が装備される。この実施形態では、オペレーターは、ハンドヘルド読み取り器(図示せず)を用いて追跡デバイスから追跡情報を読み取り、そしてこの情報を監視ステーション130でコンピューターにダウンロードする。ダウンロードすることは、電話線またはワイヤレス通信ネットワーク上でなされ得る。さらに、この廃棄物処分コンテナ160の移動はまた、その廃棄物処理施設140から廃棄物の最終の届先150まで出荷されるとき、監視され得る。ハンドヘルド読み取り器を用いた読み取りは、このプロセスにおける各ステップで行われ得、そしてコンピューターの記録は、廃棄物発生者110における初期ピックアップから最終届先150までの送達の全体でアップデートされる。
【0013】
代表的には、この廃棄物発生者110は、病院、救急医療センター、または医療診療所である。しかし、この廃棄物発生者110はまた、疾患動物のいる牧場、病気にかかった果物のある農場もまたは果樹園、禁制品のある税関検査センター、毒性廃棄物のある工場または適正な処分を確実にするために追跡されるべき廃棄物の任意のその他の生産者を含み得る。この廃棄物処理施設140は、化学処理プラント、産業焼却炉、または医療もしくは毒性廃棄物を破壊もしくは変性するために適切な任意のその他の施設であり得る。代表的には、上記最終の届先150は、都市ごみ捨て場、埋立地またはリサイクルプラントである。しかし、この最終の届先150は、処理された廃棄物を処理または保持するために適切な任意の施設または領域であり得る。
【0014】
図3は、本発明の別の実施形態を示す。このワイヤレス追跡システム200もまた、追跡ステーション130を含む。この追跡ステーション130は、廃棄物処理コンテナ160の移動を、それらが、廃棄物発生者110から廃棄物処理施設140に出荷されるとき、連続的に監視するために装備される。さらに、この追跡ステーション130は、廃棄物処理コンテナ160の移動を、それらが、廃棄物処理施設140から廃棄物のための最終の届先150に出荷されるとき、連続的に監視するために装備される。
【0015】
この実施形態では、ワイヤレス追跡システム200は、代表的には、通信発送デバイス120を含む。この通信発送デバイス120は、ワイヤレス追跡デバイス170からの信号を監視および発送し得る任意のタイプのデバイスであり得る。この通信発送デバイス120は、例えば、サテライトまたはセルラー受信ステーションであり得る。本発明の好ましい実施形態では、この追跡デバイス170および通信発送デバイス120は、無線周波で作動し、そしてGPSシステムに組み込まれ得る。しかし、この追跡デバイスおよび通信発送デバイス120は、任意の部分の電磁スペクトル、例えば、マイクロ波周波数で作動し得る。
【0016】
本発明による方法をここで論議する。本発明の第1の実施形態では、上記廃棄物発生者110は、未処理廃棄物(図示せず)を、追跡デバイス170を有する廃棄物処理コンテナ160(図2)中に置く。この廃棄物処理コンテナ160が一杯、またはこの廃棄物を処理することの決定がなされるとき、廃棄物発生者110は、この廃棄物を廃棄物処理施設140に出荷するよう手配する。第1のシステムが用いられるとき、廃棄物発生者110のオペレーター、または廃棄物輸送者に関係するオペレーターのいずれかが、ハンドヘルド読み取り器で初期読み取りを行い得る。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、廃棄物処理施設140は、廃棄物を廃棄物処理コンテナ160から移動することなくその重量を決定し得る秤量装置145を含む。別の好ましい実施形態では、この廃棄物処理施設140はまた、請求書発送ソフトウェアを備えたコンピューター(図示せず)を含む。廃棄物が破壊されるとき、このコンピューターは、破壊された廃棄物の重量およびタイプに基づく顧客借入金がいくらであるかを算出する。破壊される廃棄物のタイプは、追跡デバイスから読み取られるか、または廃棄物処理施設140のオペレーターによって入力されるかのいずれかであり得る。好ましくは、このコンピューターはまた、電子請求書/勘定書を発行し、廃棄物の破壊、破壊された廃棄物の量、および顧客によって借入れられる額を確実にする。
【0018】
本発明のなお別の実施形態では、処理された廃棄物は、追跡デバイス170を有する第2の廃棄物処理コンテナ160中に配置され、そして最終の届先150に出荷される。代表的には、この最終の届先は、都市ごみ捨て場である。しかし、廃棄物のタイプに依存して、この最終の届先150は、リサイクルセンターであり得る。好ましくは、この最終の届先150は、処理された廃棄物の受け取りを確実にする請求書を発行するためのデバイス(図示せず)を含む。この請求書はまた、さらなる支払いが必要であるか、または顧客にクレジットで支払うべきであるか否かを示す情報を含み得る。
【0019】
先行する本発明の記載は、例示および説明の目的のために提示されている。排他的であること、または開示される正確な形態に本発明を制限することは意図されず、そして改変または変形が、上記の教示を考慮して可能であるか、または本発明の実施から獲得され得る。図面および説明は、本発明の原理を説明するために選択された。本発明の範囲は、本明細書に添付された請求項、およびそれらの等価物によって規定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態によるワイヤレス追跡システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態による方法で用いられるワイヤレス追跡デバイスを有するコンテナの概略図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療または毒性廃棄物を追跡するための方法であって:
第1のコンテナであって、それに取り付けられたワイヤレス追跡デバイスを有する第1のコンテナの、廃棄物発生施設から廃棄物処理システムへの移動を、ワイヤレス追跡デバイスを用いて監視する工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記廃棄物処理施設から前記廃棄物発生施設までの前記第1のコンテナの戻りを前記ワイヤレス追跡デバイスで監視する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記監視する工程が、前記ワイヤレス追跡デバイスをハンドヘルド読み取り器で走査することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
監視ステーションに追跡データをアップロードする工程をさらに包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記医療廃棄物が、前記医療廃棄物コンテナに置かれる前に、タイプに従って分別される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記廃棄物を処理する前に、前記第1のコンテナを廃棄物とともに秤量する工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテナ中の廃棄物の量を決定する工程をさらに包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
廃棄物のタイプおよび該廃棄物の重量を基に、顧客に課す料金の額を算出する工程をさらに包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記顧客に電子的に請求書を発行する工程をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記顧客に請求書を提供する工程をさらに包含し、該請求書が、前記廃棄物の破壊および破壊された廃棄物の量の確認を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ワイヤレス追跡デバイスを有する第2のコンテナを供給する工程をさらに包含し、該第2のコンテナが、処理された医療廃棄物を保持するように適合される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のコンテナを、埋立地またはリサイクルセンターまで追跡する工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記顧客に請求書を提供する工程をさらに包含し、該請求書が、前記廃棄物の前記埋立地またはリサイクルセンターへの送達の確認を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ワイヤレス追跡デバイスが無線周波で作動する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
医療または毒性廃棄物を追跡するためのシステムであって:
未処理医療廃棄物を保持するように適合された第1のコンテナであって、それに取り付けられたワイヤレス追跡デバイスを有する第1のコンテナ;および
該ワイヤレス追跡デバイスによって該医療廃棄物の移動を監視し得る追跡ステーション、を備える、システム。
【請求項16】
少なくとも1つのハンドヘルド読み取り器をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
サテライトまたはセルラーステーションをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンテナを追跡するためのコンピューターをさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のコンテナおよび未処理医療廃棄物を秤量するための装置をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
廃棄物のタイプおよび該廃棄物の重量に基づき、顧客に課す料金の額を算出し、そして該顧客に請求書を提供するための装置をさらに備え、該請求書が、該廃棄物の破壊および破壊された廃棄物の量の確認を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
ワイヤレス追跡デバイスを有する第2のコンテナをさらに備え、該第2のコンテナが未処理医療廃棄物を保持するように適合されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記ワイヤレス追跡デバイスが、無線周波で作動する、請求項21に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−502956(P2008−502956A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508348(P2007−508348)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/008101
【国際公開番号】WO2005/103990
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506343494)サニテック インダストリーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】