説明

医療材料管理システム

【課題】医療材料の管理を正確に行い、該医療材料が特定保険医療材料の場合には保険の請求を確実に行うことができる医療材料管理システムを提供する。
【解決手段】医療材料に、剥離カードを着脱自在に貼着した医療材料管理カードを付設すると共に、各前記カードには、医療材料バーコード及び院内バーコードをそれぞれ表記し、しかも、前記医療材料管理カードは医療材料取扱業者に、前記剥離カードは病院内の院内管理部にそれぞれ引渡されるべく構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院内で使用する注射器や薬液やカテーテル等の医療材料を院内での使用に応じて管理し、保険請求の正確な管理を行うことのできる医療材料管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院内では、注射器や薬液等の医療材料を使用した際には、その医療材料の在庫や使用状態を管理するために、医療材料に付設したバーコード付きの医療材料管理カードを利用しており、同等にかかるカードを利用しながら病院で使用した医療材料の数量等に応じて、医療保険の請求を行うようにしている。
【0003】
このような病院内での医療材料の管理は、通常次のように行われている。例えば、特許文献1に示すように、医療材料の管理には、二枚のカードが利用されており、一枚のカードが着脱自在に貼着されている。この一枚のカードを医療材料管理カードとし、他のカードを剥離カードとしている。
【0004】
これらの各カードには、それぞれの管理の目的に応じて、各種機能を果たすためのバーコードがそれぞれ表記されている。すなわち、医療材料管理カードには医療材料バーコードが、また、剥離カードには、院内バーコードが表記されている。
【0005】
かかる院内バーコード付の剥離カードは、医療材料の納品業者やメーカ等の管理とも後述のように別の医療材料管理バーコードも付設されている。
【0006】
従って、病院内で医療材料を処方した場合には、本来の医療材料管理カードを、これ専用の収納箱(以下、「医療材料管理カード保管箱」という)に保管しておき、病院外の医療材料取扱業者やメーカが引取り、自己の管理のために医療材料管理カードに表記された医療材料バーコードを用いる。
【0007】
他方、病院内の管理部では、現場で医療材料管理カードから剥離カードを剥離し、この院内バーコード付の剥離カードにより、前述した在庫や保険請求明細、その他の各種管理を行う。
【0008】
このように、医療材料に付された医療材料管理カードには、二種類のバーコードが存在し、一方のバーコードは病院外の医療材料取扱業者やメーカ等が独自に個別で管理を行うために使用するものであり、他方のバーコードは病院内で必要な管理、特に、医療材料を用いた処方による保険請求等の管理を病院内の院内管理部で行うことに用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−190144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、治療現場で、医療材料管理カードや剥離カードを処置する場合、間違いなく収納箱に収納することができない場合があり、特に患者に接しながら医療材料の処置をしていると、剥離カードを分離して、それ専用の収納箱へ収納する事等を忘れ、剥離カードを医療材料管理カードに付したまま、医療材料管理カードの収納箱に収納してしまい、病院内の保険請求管理などに用いる剥離カードの院内バーコードが紛失した状態となり、重要な病院内のデータ処理が行われずに、病院経営に多大な損害を与えるおそれがあった。
【0011】
これは、必ずしも、剥離カードの剥離忘れによる管理不備だけの問題ではなく、剥離カード自体が紛失した場合には更に深刻な問題となる。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、医療材料の管理を正確に行い、該医療材料が特定保険医療材料の場合には保険の請求を確実に行うことができる医療材料管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医療材料管理システムにおいて、医療材料に、剥離カードを着脱自在に貼着した医療材料管理カードを付設すると共に、各前記カードには、医療材料バーコード及び院内バーコードをそれぞれ表記し、しかも、前記医療材料管理カードは医療材料取扱業者に、前記剥離カードは病院内の院内管理部にそれぞれ引渡されるべく構成し、前記医療材料取扱業者は、前記医療材料管理カードに表記された前記医療材料バーコードによるデータ処理を行うことにより、前記医療材料に円返する取扱作業管理を送付すると共に、前記院内管理部は、前記剥離カードに表記された前記院内バーコードによるデータ処理を行うことにより、前記医療材料の使用による院内医療作業に関する各種医療処理管理を行うべく構成し、更には、前記医療材料バーコードと前記院内バーコードとの間で各前記バーコードのデータ補完が可能となるように、前記医療材料取扱業者と前記院内管理部との間に相互通信手段を介設した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、医療材料管理システムにおいて、医療材料に、剥離カードを着脱自在に貼着した医療材料管理カードを付設すると共に、各前記カードには、医療材料バーコード及び院内バーコードをそれぞれ表記し、しかも、前記医療材料管理カードは医療材料取扱業者に、前記剥離カードは病院内の院内管理部にそれぞれ引渡されるべく構成し、前記医療材料取扱業者は、前記医療材料管理カードに表記された前記医療材料バーコードによるデータ処理を行うことにより、前記医療材料に円返する取扱作業管理を送付すると共に、前記院内管理部は、前記剥離カードに表記された前記院内バーコードによるデータ処理を行うことにより、前記医療材料の使用による院内医療作業に関する各種医療処理管理を行うべく構成し、更には、前記医療材料バーコードと前記院内バーコードとの間で各前記バーコードのデータ補完が可能となるように、前記医療材料取扱業者と前記院内管理部との間に相互通信手段を介設したので、医療材料の管理を正確に行い、該医療材料が特定保険医療材料の場合には保険の請求を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る医療材料管理システムの構成を示す図である。
【図2】医療材料の一例を示す図である。
【図3】管理カードの一例を示す図である。
【図4】院内用端末装置を示すブロック図である。
【図5】業者用端末装置を示すブロック図である。
【図6】剥離カード集計情報の一例を示す図である。
【図7】管理カード集計情報の一例を示す図である。
【図8】照合判定情報の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る医療材料管理システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る医療材料管理システムについて、図面を参照して説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0017】
(医療材料管理システムの概要)
本実施形態に係る医療材料管理システムは、病院の治療現場で使用する医療材料を、医療材料取扱業者(以下、「取扱業者」という)が供給するシステムであり、治療現場で使用した医療材料を取扱業者により供給して、治療現場では常時一定数量の医療材料を確保している。
【0018】
また、医療材料管理システムでは、使用する医療材料が、保険適用を受けられる特定保険医療材料である場合には、病院内の院内管理部において保険の請求も行う。
【0019】
また、医療材料管理システムでは、特徴的な処理として、取扱業者において、保険の請求漏れをチェックして、請求漏れがある場合には、その旨を院内管理部に通知する。
【0020】
この医療材料管理システムは、病院と、病院の治療現場に医療材料を供給する取扱業者により構成されている。この医療材料管理システムで取扱われる医療材料には、該医療材料の在庫管理を行うための医療材料管理カードが付設されており、特に医療材料が特定保険医療材料の場合には医療材料管理カードに保険請求のための剥離カードが付されている。
【0021】
また、治療現場には、医療材料管理カードを保管する医療材料管理カード保管箱と、剥離カードを保管する剥離カード保管箱が設置されており、取扱業者により医療材料管理カードが回収されるとともに、院内管理部により剥離カードが回収されるようになっている。
【0022】
医療材料の供給は、具体的には、以下のように行われる。すなわち、医療材料には、予め該医療材料の在庫管理等を行うための医療材料管理カードを付設するとともに、治療現場に該医療材料管理カードを保管するための医療材料管理カード保管箱を設置する。治療現場において医療材料を使用する際には、看護士等の医療材料を使用する人は、医療材料管理カードを医療材料から取り外して、該医療材料管理カードを医療材料管理カード保管箱に収納する。該医療材料管理カード保管箱に収納された医療材料管理カードを取扱業者が定期的に(例えば、1日1回)回収し、該医療材料管理カードに基づいて使用された医療材料の種類と数量を集計し、使用した医療材料と同等の種類、数量の医療材料を治療現場に供給する。これにより、治療現場では、常時一定数量の医療材料が確保されることになる。
【0023】
また、保険の請求漏れのチェックは、具体的には、以下のように行われる。すなわち、取扱業者は、医療材料管理カードを回収し、該医療材料管理カードに剥離カードが貼着されている場合には、剥離カードを剥し忘れている旨の通知を行うことにより、保険の請求漏れをチェックする。
【0024】
このように、医療材料管理システムでは、取扱業者が剥離カードの剥離漏れをチェックし、剥離漏れがある場合には院内管理部に剥離漏れがあることを通知するため、院内管理部における保険の請求漏れを防止することができ、保険請求に関する損害の発生を防止することができる。
【0025】
(医療材料管理システムの具体的な構成)
以下、本実施形態に係る医療材料管理システムの一具体例について、図面を参照して説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付してある。なお、説明は以下の順序で行う。
【0026】
本実施形態に係る医療材料管理システムは、病院で使用される注茶器や薬剤等の医療材料を一定数量安定して供給するシステム(SPD:Supply Processing Distribution)である。また、この医療材料管理システムは、医療材料の中でも、診療報酬体系の中で償還価格が別に定められる特定保険医療材料を使用する場合には、該特定保険医療材料に係る保険の請求や、保険の請求漏れのチェックも行うシステムである。
【0027】
図1に示すように、医療材料管理システム1は、病院10と、この病院10に医療材料100を提供する取扱業者40により構成されている。このシステム1では、図2に示すように、各医療材料100には、医療材料管理カード(以下、「管理カード」という)200が付設されている。すなわち、1つの医療材料に対して1つの管理カード200が付設されている。この管理カード200は、医療材料100を使用する際に、医療材料100から取外され、保管された後、取扱業者40により定期的に回収されるようになっている。取扱業者40は、回収した管理カード200を用いて、使用した医療材料100の種類や数量等を集計したのち、病院10に供給している。
【0028】
(管理カード200等の構成)
管理カード200は、図3に示すように構成されている。なお、図3(a)は、剥離カード300を貼着した状態を示し、図3(b)は、剥離カード300を剥した状態を示している。図3(a)に示すように、管理カード200の表面には、後述する病院データ情報を取得するための医療材料バーコードが表記されている。また、管理カード200の他の表面には、後述する物品データ、カード番号、保険分類、カード作成日、配置部門及び償還価格等が視認可能な態様で表記されている。
【0029】
病院データ情報とは、医療材料の納入業者名、医療材料の品名・規格、医療材料の数量・単位、医療材料を供給する配置部門及び医療材料の納入金額等の情報である。
【0030】
また、物品データとは、医療材料の品名・規格、医療材料の数量・単位、医療材料を製造したメーカ及び、医療材料の商品定価等のデータである。
【0031】
また、カード番号とは、各医療材料を区別するための番号であり、品質管理を充実させる為同じ物品でも番号が一つ一つ異なるように付されている。
【0032】
保険分類とは、厚生労働省が定めるものであり、「特定保険医療材料」、「告示価格」、「点数加算」、「条件加算」及び「一般消耗材料」のいずれか1つが表記されるようになっている。
【0033】
カード作成日とは、管理カード200を作成した日である。また、配置部門とは、医療材料100を供給する病棟を示すものである。
【0034】
償還価格とは、医療材料の品名ごとに定められた公定価格を示すものである。
【0035】
また、図3(b)に示すように、管理カード200表面の他の一部には、剥離カード300が着脱可能に貼着されている。剥離カード300を貼着する貼着面220には、剥離済バーコード230が表記されており、剥離済バーコード230を読み込むことで、該管理カード200は特定保険医療材料であり、かつ、剥離カード300は剥離された状態であると認識可能に形成されている。このように、管理カード200と剥離カード300を一体的に形成することで、管理カード200と剥離カード300を同時に管理することができる。
【0036】
剥離カード300は、特定保険医療材料に関する保険の請求を行うためのカードであり、剥離カード300の表面には、製品情報、医事コード及び告示価格等の情報が視認可能な態様で表記されている。また、剥離カード300の他の表面には、医療材料を特定する院内バーコード310も表記されている。
【0037】
物品情報とは、医療材料が供給される配置部門、医療材料の品名・規格、医療材料を製造したメーカ等の情報である。
【0038】
トレース情報とは、医療材料のロットや使用期限等を記録した情報であり、QRコード等の識別コードにより表記されている。このように、トレース情報をQRコードにより表記することで、様々な医療材料の情報を文字情報として載せることが可能となるため、QRコード(物流マスタ)から医事マスタ作成可能となる。これにより、医事マスタと物流マスタの整合を減らすことができる。
【0039】
剥離カード300は、二重シール構造となっており、各種伝票への貼り付けを容易にすることができるようになっている。
【0040】
本実施形態では、上述した構成を有する医療材料管理カード200を用いるようにしたので、以下の効果を奏することができる。すなわち、
(1)医療材料管理カード200と剥離カード300とを一枚で管理することができる。
(2)算定漏れ二重防止機能を有することができる。
(3)管理カードと剥離カードのセットミス防止機能を有することができる。
(4)診察現場負荷を軽減することができる。
【0041】
(病院10の構成)
次に、病院の構成について説明する。病院10には、実際に患者を治療する治療現場20と、病院経営に関する処理を行う院内管理部30とがある。
【0042】
治療現場20には、患者の治療に用いる医療材料100を保管する医療材料保管箱21と、医療材料100に付設され、医療材料100を使用する際に該医療材料100から取外される管理カード200を保管する医療材料管理カード保管箱(以下、「管理カード保管箱」という)22と、管理カード200に付され、医療材料100を使用する際に管理カード200から剥される剥離カード300を保管する剥離カード保管箱23とが設置されている。
【0043】
また、院内管理部30には、院内管理部用端末装置(以下、「院内装置」という)31が設置されている。この院内装置31は、図4に示すように、制御部32、第2記憶部35、通信部36及びバーコードリーダ37により構成されており、各構成要素はシステムバス38により接続されている。
【0044】
制御部32は、CPU33及び第1記憶部34により構成されており、CPU33が第1記憶部34に記憶されているメインプログラムを読み込むことにより制御部32として機能するようになっている。また、CPU33は、その他の各種プログラムを読み込むことにより、制御部32が各種手段として機能するようになっている。
【0045】
第1記憶部34には、例えば、メインプログラム、剥離カード集計プログラム、通信プログラム、照合プログラム、判定プログラム、修正プログラム及び保険請求プログラムが記憶されている。
【0046】
例えば、CPU33が剥離カード集計プログラムを読み込むことで、制御部32が剥離カード集計手段として機能する。また、CPU33が通信プログラムを読み込むことで、制御部32が通信手段として機能する。また、CPU33が照合プログラムを読み込むことで、制御部32が照合手段として機能する。また、CPU33が判定プログラムを読み込むことで、制御部32が判定手段として機能する。また、CPU33が修正プログラムを読み込むことで、制御部32が修正手段として機能する。また、CPU33が保険請求プログラムを読み込むことで、制御部32が保険請求手段として機能する。
【0047】
剥離カード集計手段は、剥離カード300に表記された院内バーコード310をバーコードリーダ37に読み取らせ、院内バーコード310から剥離カード集計情報を取得し、剥離カード集計情報を第2記憶部35に記憶する。
【0048】
通信手段は、判定手段において、「管理カードの回収漏れ」と判定された「医療材料名」と「シリアルナンバ」を医療材料取扱業者用端末装置(以下、「業者用装置」という)42に通知する。
【0049】
照合手段は、剥離カード集計情報と、後述する医療材料管理カード集計情報(図7参照)とに基づいて、各カードの回収状態(例えば、「問題なし」、「剥離カードの剥離漏れ」、「剥離カードの紛失」又は「管理カードの回収漏れ」)を判定するための照合判定情報を生成する。
【0050】
判定手段は、照合判定情報に基づいて各カードの回収状態を判定する。また、保険請求手段は、剥離カード集計情報に基づいて外部の保険機関に特定保険医療材料に関する保険金の請求を行う。
【0051】
第2記憶部35は、使用した医療材料100を管理するための情報を記憶するものであり、剥離カード集計情報、医療材料管理カード集計情報、照合結果情報、保険請求情報及び通知情報が記憶されている。
【0052】
通信部36は、後述する業者用装置42の通信部47から医療材料管理カード集計情報を受信し、また、判定手段において「管理カードの回収漏れ」と判定された医療材料がある場合には、通知情報を通信部47に送信するものである。この通信部36は、通信部47とともに相互通信手段を構成する。
【0053】
(取扱業者40の構成)
また、取扱業者40には、治療現場20の医療材料保管箱21に供給するための医療材料100を保管する医療材料保管箱41と、業者用装置42とが設置されている。
【0054】
業者用装置42は、図5に示すように、制御部43、第2記憶部46、通信部47及びバーコードリーダ48により構成されており、各構成要素はシステムバス49により接続されている。
【0055】
制御部43は、CPU44及び第1記憶部45により構成されており、CPU44が第1記憶部45に記憶されている各種プログラムを読み込むことにより、各種手段として機能するようになっている。
【0056】
第1記憶部45には、例えば、メインプログラム及び医療材料管理カード集計プログラムが記憶されている。CPU44が医療材料管理カード集計プログラムを読み込むことで、制御部43が医療材料管理カード集計手段となる。
【0057】
医療材料管理カード集計手段は、管理カード200に表記された医療材料バーコード210をバーコードリーダ48に読み取らせ、医療材料バーコード210から医療材料管理カード集計情報(以下、「管理カード集計情報」という)を取得し、管理カード集計情報を第2記憶部46に記憶する。
【0058】
第2記憶部46は、「医療材料管理カード集計情報」、「剥離カード集計情報」及び「集計結果通知情報」が記憶されている。
【0059】
通信部47は、院内装置31の通信部36に医療材料管理カード集計情報を送信し、また、院内装置31の判定手段において「管理カードの回収漏れ」と判定された医療材料がある場合には、通信部36から送信された通知情報を受信するものである。
【0060】
(各種情報について)
以下、院内装置31において用いられる情報について説明する。この情報の説明は、剥離カード集計情報、管理カード集計情報、照合判定情報の順で説明する。
【0061】
(剥離カード集計情報)
剥離カード集計情報は、図6に示すような構成となっている。すなわち、「医療材料名」、「種類」、「製造年月日」、「製造者」、「シリアルナンバ」、「回収日時」、「集計日時」、「使用病棟」、「剥離カードの回収状態」に関する情報等が含まれている。なお、図6では、シリアルナンバの順に整列した状態を表示しているが、他の項目順に整列して表示することもできる。また、剥離カード集計情報に含まれる情報は上記した情報に限定されない。
【0062】
「医療材料名」は、回収した剥離カード300に対応する医療材料名を表記する項目であり、本実施形態では「ABXX402」に対応する剥離カード300を3枚回収した例を示している。また、「種類」は、回収した剥離カード300に対応する医療材料の種類を表記する項目であり、医療材料名「ABXX402」の医療材料が「注射器」である例を示している。なお、本実施形態では、説明を容易にするために、医療材料名を「ABXX402」に、種類を「注射器」に統一するようにしたが、多種多様な組み合わせとすることができる。
【0063】
「製造年月日」は、回収した剥離カード300に対応する医療材料の生年月日を表記する項目であり、本実施形態では「△年△月△日」とした例を示している。また、「製造者」は医療材料の製造者を表記する項目であり、本実施形態では「H製薬」とした例を示している。
【0064】
「シリアルナンバ」は、医療材料100に付されたシリアルナンバを表記する項目であり、2行目に記載された医療材料に「11112」、3行目に記載された医療材料に「11113」、5行目に記載された医療材料に「11115」が付された例を示している。
【0065】
「回収日時」は、剥離カードを回収した日時を表記する項目であり、本実施形態では「□月△日」とした例を示している。また、集計日時は、使用した医療材料の数量等を集計した日時であり、本実施形態では「□月△日」とした例を示している。
【0066】
「使用病棟」は、医療材料を使用した病棟を表記する項目であり、本実施形態では「3B」で使用された例を示している。
【0067】
「剥離カードの回収状態」は、剥離カード300が管理カード200に付された状態であるか否かを表記する項目であり、剥離カード300が管理カード200に付された状態であることを示す「○」又は、剥離カード300が管理カード200に付された状態でないことを示す「×」が表記されるようになっている。本実施形態では、2,3行目に記載された剥離カード300が管理カード200に付された状態でなく、5行目に記載された剥離カード300が管理カード200に付された状態である例を示している。
【0068】
(管理カード集計情報)
管理カード集計情報は、図7に示すような構成となっている。すなわち、「医療材料名」、「種類」、「製造年月日」、「製造者」、「シリアルナンバ」、「回収日時」、「集計日時」、「使用病棟」、「管理カードの回収状態」及び「特定保険」に関する情報等が含まれている。なお、図7では、シリアルナンバの順に整列した状態を表示しているが、他の項目順に整列して表示することもできる。また、管理カード集計情報に含まれる情報は上記した情報に限定されない。
【0069】
「管理カードの回収状態」は、剥離カード300が管理カード200に付された状態で管理カード保管箱22に保管されていたか否かを表記する項目であり、剥離カード300が管理カード200に付された状態であることを示す「○」又は、剥離カード300が管理カード200に付された状態でないことを示す「×」が表記されるようになっている。本実施形態では、2,4行目に記載された剥離カード300が管理カード200に付された状態でなく、3行目に記載された剥離カード300が管理カード200に付された状態である例を示している。
【0070】
「特定保険」は、使用した医療材料が通常の医療材料か特定保険医療材料のどちらであるかを表記する項目であり、通常の医療材料である場合には「通常」と表記され、特定保険医療材料の場合には「特定」と表記されるようになっている。本実施形態では、1行目に記載された管理カードに対応する医療材料が通常の医療材料であり、2〜4行目に記載された管理カードに対応する医療材料が特定保険医療材料である例を示している。
【0071】
なお、「医療材料名」、「種類」、「製造年月日」、「製造者」、「シリアルナンバ」、「回収日時」、「集計日時」及び「使用病棟」については、図6に示す剥離カード集計情報に記載された事項と同様であるため説明を省略する。
【0072】
(照合判定情報)
照合判定情報は、図8に示すように、剥離カード集計情報又は医療材料管理カード集計情報から、「医療材料名」、「シリアルナンバ」、「管理カードの回収状態」、「特定保険」及び「剥離カード回収日時」を抜き出したものであり、「使用病棟」及び「回収日時」毎にまとめられている。
【0073】
判定手段は、照合判定情報を用いて医療材料の状態を判定する。この判定手段は、例えば、管理カードの回収状態が「×」かつ、剥離カードの回収状態が「×」のとき「問題なし」と判定する。また、管理カードの回収状態が「○」かつ、剥離カードの回収状態が「×」のとき「剥離カードの剥離漏れ」と判定する。また、管理カードの回収状態が「×」かつ、剥離カードの回収状態が「/」のとき「剥離カードの紛失」と判定する。また、管理カードの回収状態が「○」かつ、剥離カードの回収状態が「○」のとき「管理カードの回収漏れ」と判定する。
【0074】
(システムの処理)
次に、本実施形態に係る医療材料管理システム1における処理について、図9を参照して説明する。なお、以下において、治療現場20において医療材料100が使用され、複数の管理カード200又は剥離カード300が収納された後、院内管理部30又は取扱業者40により各カードが回収された状態から説明を行うこととする。
【0075】
図9に示すように、院内管理部30では剥離カード300を回収すると、院内管理部用端末装置31の制御部32は剥離カード集計手段として、剥離カード300に表記された院内バーコード310をバーコードリーダに読み取らせ、各院内バーコード310の情報を集計する(ステップS11)。そして、剥離カード集計手段は、集計した各院内バーコード310の情報に基づいて、剥離カード集計情報を生成し、この剥離カード集計情報を第2記憶部35に記憶する。なお、この剥離カード集計情報は、回収日時毎に整理された状態で第2記憶部35されている。この処理が終了すると、院内管理部用端末装置31は、業者用装置から管理カード集計情報が送信されてくるまで待機する。
【0076】
一方、取扱業者40では管理カード200を回収すると、制御部43は管理カード集計手段として、管理カード200に表記された医療材料バーコード210をバーコードリーダに読み取らせ、各医療材料バーコード210の情報を集計する(ステップS21)。そして、管理カード集計手段は、集計した各医療材料バーコード210の情報の情報に基づいて、管理カード集計情報を生成し、この管理カード集計情報を第2記憶部46に記憶する。なお、この剥離カード集計情報は、回収日時毎に整理された状態で第2記憶部46に記憶される。
【0077】
次に、取扱業者40では、制御部43が通信手段として、第2記憶部46に記憶された管理カード集計情報を、院内管理部用端末装置31に送信する(ステップS22)。なお、院内管理部用端末装置31から照合判定情報が送信されてくるまで待機する。
【0078】
次に、院内管理部30では、管理カード集計情報が送信されてくると、院内装置31の制御部32は通信手段として、管理カード集計情報を受信し(ステップS12)、この受信した管理カード集計情報を第2記憶部35に記憶する。なお、この管理カード集計情報は、回収日時毎に整理された状態で第2記憶部35に記憶されている。
【0079】
次に、院内管理部30では、院内装置31の制御部32が照合手段として、第2記憶部35に記憶された剥離カード集計情報及び管理カード集計情報を用いて、照合判定情報を生成し、この生成した照合判定情報を第2記憶部35に記憶する(ステップS13)。このとき、回収日時が対応する剥離カード集計情報及び管理カード集計情報毎に照合判定情報が生成される。
【0080】
次に、院内管理部30では、院内装置31の制御部32が通信手段として、第2記憶部35に記憶された照合判定情報を医療材料取扱業者用端末装置42に送信する(ステップS14)。
【0081】
そして、院内管理部30では、制御部32は判定手段として、第2記憶部35に記憶された照合判定情報を用いて、各カードの回収状態の判定を行う(ステップS15)。この各カードの回収状態の判定は、上述した方法により行われる。そして、判定手段が「問題あり」と判定すると(ステップS16:Yes)、制御部32が剥離カード集計情報修正手段として、第2記憶部35に記憶された剥離カード集計情報を照合判定情報に基づいて修正した修正カード集計情報を生成し、この修正剥離カード集計情報を第2記憶部35に記憶する(ステップS17)。続いて、制御部32は保険請求手段として、第2記憶部35に記憶された修正剥離カード集計情報に基づいて保険の請求を行う(ステップS18)。
【0082】
一方、判定手段が「問題なし」と判定すると(ステップS16:No)、制御部32は保険請求手段として、第2記憶部35に記憶された剥離カード集計情報に基づいて保険の請求を行う(ステップS18)。
【0083】
院内管理部30では、ステップS18の処理が終了すると、ステップS11に処理を移し上記ステップS11〜S18の処理を繰り返す。
【0084】
次に、取扱業者40では、照合判定情報が送信されてくると、制御部43が通信手段として、照合判定情報を受信し(ステップS23)、この受信した照合判定情報を第2記憶部46に記憶する。なお、この照合判定情報は、回収日時毎に整理された状態で第2記憶部46されている。
【0085】
次に、取扱業者40では、制御部43が判定手段として、第2記憶部46に記憶された照合判定情報を用いて、各カードの回収状態の判定を行う(ステップS24)。この各カードの回収状態の判定は、上述した方法により行われる。
【0086】
そして、判定手段が「問題あり」と判定すると(ステップS25:Yes)、制御部43は管理カード集計情報修正手段として、第2記憶部46に記憶された管理カード集計情報を照合判定情報に基づいて修正した修正管理カード集計情報を生成し、この修正管理カード集計情報を第2記憶部35に記憶する(ステップS26)。続いて、制御部43は医療材料供給手段として、第2記憶部46に記憶された管理カード集計情報に基づいて医療材料の供給を行う(ステップS27)。
【0087】
一方、判定手段が「問題なし」と判定すると(ステップS25:No)、制御部43は医療材料供給手段として、第2記憶部46に記憶された管理カード集計情報に基づいて医療材料の供給を行う(ステップS27)。
【0088】
取扱業者40では、ステップS27の処理が終了すると、ステップS21に処理を移し上記ステップS21〜S27の処理を繰り返す。
【0089】
以上、本実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、照合手段を業者用装置42に設けてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、剥離カードの剥離漏れを判定する際は、医療材料管理カード集計情報を業者用装置42から院内装置31に送信し、院内装置31において、医療材料管理カード集計情報と剥離カードとを照合することで判定していたが、これには限定されない。例えば、業者用装置42において、医療材料管理カード集計情報を用いて剥離カードの剥離漏れを判定した後、この判定結果を院内装置31に通知するようにしてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、「問題1」の判定を医療材料取扱業者用端末装置42で行い、「問題2」,「問題3」の判定を院内管理部用端末装置31で行うようにしたが、これには限定されず、例えば、問題1〜3の全ての判定をいずれか一方で行ってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 医療材料管理システム
10 病院(病棟)
20 治療現場
21 医療材料保管箱
22 医療材料管理カード保管箱
23 剥離カード保管箱
30 院内管理部
31 院内管理部用端末装置
32 制御部
33 CPU
34 第1記憶部
35 第2記憶部
36 通信部
37 バーコードリーダ
38 システムバス
40 医療材料取扱業者
41 医療材料保管箱
42 医療材料取扱業者用端末装置
43 制御部
44 CPU
45 第1記憶部
46 第2記憶部
47 通信部
48 バーコードリーダ
38 システムバス
100 医療材料
200 医療材料管理カード
210 医療材料バーコード
220 貼着面
230 剥離済バーコード
300 剥離カード
310 院内バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療材料に、剥離カードを着脱自在に貼着した医療材料管理カードを付設すると共に、各前記カードには、医療材料バーコード及び院内バーコードをそれぞれ表記し、
しかも、前記医療材料管理カードは医療材料取扱業者に、前記剥離カードは病院内の院内管理部にそれぞれ引渡されるべく構成し、
前記医療材料取扱業者は、前記医療材料管理カードに表記された前記医療材料バーコードによるデータ処理を行うことにより、前記医療材料に円返する取扱作業管理を送付すると共に、
前記院内管理部は、前記剥離カードに表記された前記院内バーコードによるデータ処理を行うことにより、前記医療材料の使用による院内医療作業に関する各種医療処理管理を行うべく構成し、
更には、前記医療材料バーコードと前記院内バーコードとの間で各前記バーコードのデータ補完が可能となるように、前記医療材料取扱業者と前記院内管理部との間に相互通信手段を介設したことを特徴とする医療材料管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−227750(P2011−227750A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97652(P2010−97652)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(503464907)山下医科器械株式会社 (4)
【Fターム(参考)】