説明

医療機器用包装袋

【課題】鮮明な印刷をすることができるとともに、搬送時に印字がはがれるおそれのない医療機器用包装袋を提供する。
【解決手段】包装袋1は、袋状に形成された合成樹脂製のフィルム2と、ヒートシール部3に熱溶着された滅菌紙4と、ヒートシール部3及びその近傍の表面に露出しない箇所に設けられた印刷部5とを備えている。この包装袋1の内部には医療機器6が収納されている。印刷部5は、ロール状態のフィルム2から熱転写プリンタ11で印刷される。当該印刷部5は、熱転写プリンタ11により印刷されるため、細かい印刷を行ってもインクジェットプリンタのようににじむことがなく、また、フィルム2の材質やコーティングの材質等に左右されずに鮮明に印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方活栓や輸液セット等の医療機器を包装する袋に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器を包装する袋は、多くは透明の合成樹脂製のフィルムを用いて袋状にして、端部近傍をヒートシールすることにより形成されている。また、ヒートシール部の一部は、滅菌処理を行うために通気性を有する滅菌紙を挟み込んでヒートシールを行っている。
【0003】
このような医療機器用包装袋は、予めフィルムに印刷しておくことができる既定印刷部と、製造年月日や使用期限等、包装時に印刷しなければならない特定印刷部とを有している。
【0004】
従来は、この特定印刷部は、医療機器を包装した後、インクジェットプリンタ等を用いて包装袋表面に印刷していた。
【0005】
しかしながら、医療機器は三方活栓等に代表されるように凹凸が多くあり、包装袋を搬送する際に、特定印刷部表面がこすれて印字がはがれたり見にくくなったりすることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−324347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方で、包装袋のヒートシール部にインクジェットプリンタを用いて印字を行うことが上記特許文献1で提案されている。
【0008】
このように、ヒートシール部に印刷ができれば、印字部分がフィルムによって覆われるため、搬送時の印字のこすれ等を防ぐことができる。
【0009】
しかしながら、インクジェットプリンタを用いてヒートシール部に印字を行う場合、プリンタでの印刷後にヒートシールを行うことになるが、インクが乾かないとヒートシール時に印字がこすれたりすることで不鮮明になるおそれがある。
【0010】
従って、上記印刷方法では、プリンタでの印刷後にインクを乾かす必要があり、製造時に時間を要するという不都合がある。
【0011】
また、特許文献1では、インク層のバインダをヒートシール層と同種の材料とすることで、インク層をヒートシールすることによる強度の低下を防止しているため、インクの選択の幅が限定される。
【0012】
また、インクジェットプリンタで滅菌紙に印字をする場合は、滅菌紙の表面が通気性をよくするため粗くなっているため、鮮明な印刷ができないという不都合もある。
【0013】
本発明は、医療機器の包装袋の改良を目的とし、さらに詳細には、鮮明な印刷をすることができるとともに、搬送時に印字がはがれるおそれのない包装袋を提供することを目的とする。また、幅広くインクの選択を行うことができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明の医療機器用包装袋は、包装用合成樹脂製フィルムの一部をヒートシールしてなる医療機器用包装袋において、ヒートシール部又はその隣接位置に熱転写プリンタにて印刷された印刷層を備えていることを特徴とする。
【0015】
当該構成によれば、前記印刷層は包装袋のフィルムに保護されるため、凹凸の多い医療機器を包装する袋であっても、搬送時に印刷層がはがれたりこすれて不鮮明になることがない。
【0016】
また、前記印刷層は、熱転写プリンタにより印刷されているため、印刷後すぐにヒートシール処理を行っても印刷層がこすれて不鮮明になることがない。さらに、前記印刷層が熱転写プリンタにより印刷されているため、ヒートシール処理を行っても変色する等の不都合がない。
【0017】
また、本発明の医療機器用包装袋は、前記合成樹脂製フィルムと滅菌紙とがヒートシールされる包装袋であって、前記滅菌紙に対面する合成樹脂製フィルムの表面に印刷層が形成されていることが好ましい。
【0018】
当該構成によれば、滅菌紙に印刷をすることなく合成樹脂製フィルムの表面に印刷を行うため、鮮明な印刷が可能であり、細かい印刷も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す医療機器用包装袋の説明図。
【図2】図1の包装袋を製造する工程を示す説明図。
【図3】(a)及び(b)はヒートシール部及び印刷部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1に示すように、本実施形態の包装袋1は、袋状に形成された合成樹脂製のフィルム2と、ヒートシール部3に熱溶着された滅菌紙4と、ヒートシール部3及びその近傍の表面に露出しない箇所に設けられた印刷部5とを備えている。この包装袋1の内部には医療機器6(本実施形態では輸液セット)が収納されている。
【0021】
図2を参照して、包装袋1は、フィルム2を袋状に形成し、供給機13から供給された医療機器6を包装してヒートシールを行う包装機12により形成される。
【0022】
また、図2に示すように、印刷部5は、ロール状態のフィルム2から熱転写プリンタ11で印刷される。当該印刷部5は、熱転写プリンタ11により印刷されるため、細かい印刷を行ってもインクジェットプリンタのようににじむことがなく、また、フィルム2の材質やコーティングの材質等に左右されずに鮮明に印刷することができる。
【0023】
従って、図1に示すように、バーコードを印刷してもよく、内部に収納されている機器がイラストにより描かれているアイコンを印刷してもよい。また、細かい字で注意書き等を記載しても読みやすい印刷を行うことができる。
【0024】
包装袋1は、図1に示すように、印刷部5をヒートシール部3のヒートシール面に印刷してもよく、ヒートシール部3に囲まれる箇所に印刷してもよい。
【0025】
また、図3に示すように、ヒートシール部3の近傍であって、フィルム同士が重なりあっている部分の内面に印刷を行ってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…包装袋、2…フィルム、3…ヒートシール部、4…滅菌紙、5…印刷部、11…熱転写プリンタ、12…包装機、13…供給機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用合成樹脂製フィルムの一部をヒートシールしてなる医療機器用包装袋において、
ヒートシール部又はその隣接位置に熱転写プリンタにて印刷された印刷層を備えていることを特徴とする医療機器用包装袋。
【請求項2】
前記合成樹脂製フィルムと滅菌紙とがヒートシールされる包装袋であって、前記滅菌紙に対面する合成樹脂製フィルムの表面に印刷層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−217975(P2011−217975A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90979(P2010−90979)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(390029676)株式会社トップ (106)
【Fターム(参考)】