説明

医療流体容器

医療流体用の、可撓性をもつ非PVC、非DEHPのポリオレフィン容器又はバッグは、ポリオレフィンフィルムで形成された細長い容器本体を有する。容器は、ポリオレフィン注入チューブ及びポート閉鎖アッセンブリを備えた1つ又は複数のポートを有する。容器は、その長手方向側部の少なくとも1つに凹状のシームを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者への投与のための医療流体を保持するための容器の分野に関する。ここに用いられるように、用語「医療流体」は、医療上の、生理学上の、また、獣医学上の流体を含む。そのため、「患者」は、人間、魚、哺乳動物、は虫類、両生類、鳥類等であり得る。より詳しくは、本発明は、可撓性のあるオートクレーバブル(autoclavable)点滴(IV)流体容器又はバッグ及びそれらの構成のための非塩化ビニル(non−PVC)ポリオレフィンフィルムに関する。本発明は、低い水蒸気透過率を有し最終的に高温処理を用いて殺菌される、すなわち、容器内部の微生物を無力化するために注入後に殺菌される(例えばオートクレービング(autoclaving))、長い保管寿命の可撓性のあるIV流体容器を提供する。
【背景技術】
【0002】
30年以上前、可撓性のあるIV容器の導入が、水分損失及びポート閉鎖システム整合性テストの問題を引き起こした。可撓性のある容器材料システム及び適切なポート閉鎖が設計されることが必要であった。選択された最も一般的な設計は、非常に低コストの閉鎖システムを備えたある種のPVC単層フィルム容器であった。注入された容器の周囲のオーバラップ(overwrap)としてより高いバリア特性を備えた別の材料を配置することにより、保管寿命の間の水分損失の問題は解決された。完全なシステムは、その後、蒸気滅菌され、使用のために顧客に配達されることとなった。
【0003】
ポリ塩化ビニル(PVC)は、しばしばミニバッグ(mini−bags)と呼ばれる小容量の非経口(SVP)、及び、大容量の非経口(LVP)、様々な腸内栄養及び液体製剤の投与のための可撓性のある容器(バッグ及びパウチ)を製造するために用いられる標準的な、広く使用されるプラスチック包装材料である。これらの容器は、しばしば、患者の水分補給(patient hydration)用に、及び/又は、医薬品(pharmaceutical preparations)、薬剤、ビタミン、栄養剤(nutritionals)及びその同様のものを供給するために採用される。これまで、PVCは、容器が高温処理を用いて最終的に滅菌されることを可能とするその熱耐性のため、有利であることが証明された。
【0004】
しかしながら、PVCはまたその短所を備える。IV流体容器のために満足のいくように可撓性を有することが必要とされる厚さ範囲におけるPVCフィルムは、高い水蒸気バリア(MVB)を提供しない。可撓性のあるPVC容器の水蒸気透過率(MVTR)は高く、PVC単独のMVB特性と比較して改良された水蒸気バリア(MVB)特性を提供することにより、オーバラップが、その内部に含まれる流体の保管寿命を長くすることを必要とされるほどである。他の場合には、オーバラップが、いかなる漏れをも含み、また、オートクレービング(すなわち高温処理)又は輸送(shipping)及びダメージ処理を乗り切るべく、可撓性のある容器のポートシステム(port system)を助けるために用いられる。ある場合、特に、SVPパッケージ(又はバッグ)に関しては、複数のSVPパッケージが1つのオーバラップパッケージ内に配置される。不都合なことに、一旦1つのオーバラップパッケージが開かれれば、PVCの乏しいMVB特性のせいで、そこに含まれる個々のSVPパッケージの保管寿命が、約30日に制限される。そのため、もし施術者(practitioner)がSVPを含むオーバラップを開いたが、全てのSVPを直ちに使用しない場合、SVPパッケージは、オーバラップが開かれた後に、約30日で廃棄される必要がある。同様の保管寿命の問題が、典型的には各容器上に個々のオーバラップを備えて製造される大容量のPVC容器(LVP)用の容器について存在する。いずれにしても、オーバラップは、追加された包装コスト及び重量に相当し、環境廃棄物の一因となり、また、石油及び他の資源を枯渇させる。
【0005】
時間が経過し、新たな材料及び技術が製薬産業に提供されるにつれ、典型的には3つ又はそれ以上の層を含むラミネート加工された又は多層の材料が、IVの可撓性をもつ容器における使用に関して、その最前線にまでなった。これらのラミネート加工された材料は、分離したオーバラップシステムと同様の水蒸気保護を、可撓性をもつIV容器に付与するために、一体化されたオーバラップタイプのフィルム層を組み込む。
【0006】
良好に実行するために、点滴の医療流体容器は、1)好ましくは読みとりできる落下メニスカス(meniscus)を伴い、均一に流出し、2)患者の空気塞栓症が問題でないように、最小限の空気量を有し、3)患者が規定量の薬物又は流体を正確に受けるように、流出時に最小限の残量を残す必要がある。容器が可撓性をもつ場合に限り、これらの目的の全てが同時に満たされ得る。可撓性をもつ容器とは、本明細書にてその用語が使用されるように、例えばバッグなどの、流出時につぶれる容器を意味する。当然ながら、剛体の容器は、実質的に流出時に形状が変化しない。半剛体の容器は、注入状態及び流出状態で実質的に同じ形状を有する。すなわち、それらは、流出の間にいくらか変形し得るが、流出時に外力を加えることなしには永久につぶれない。半剛体の容器又はプラスチックボトルもまた、適切に流出するためには、相当量の含まれた空気つまり通気(venting)を要する。半剛体のプラスチック容器からのミルク又は半剛体の缶(can)からの油を注いでいるいかなる人も、半剛体の容器が、適切に通気されない限り、散発的に及びしばしば予想外に流出する傾向にあると評価するであろう。流出と吸引の望ましくない入れ替えが半剛体の容器では起こり得る。これまで、バッグ又は容器の材料又はフィルムを非常に薄く(すなわち数ミル単位に)すること、非常に小さな弾性係数を備えた材料を用いること、又は、その両方により、可撓性が、従来の点滴流体容器において追求されてきた。しかし、低い係数の材料又は薄いフィルムは、典型的な米国又は欧州のオートクレーブ温度の必要条件よりも低い温度で融解する傾向があり、また、各容器につきオーバラップが必要とされるほど、望ましくなく高い水蒸気透過率を有する。
【0007】
ポリオレフィン(例えばポリエチレン又はポリプロピレン)、ナイロン又は
複合材料、(単層及び多層の構成を含む)ラミネート加工された又は共押し出しされた構成のいずれか、及び、その同様のもの等のPVC以外の材料が、SVP及び/又はLVP用に提案されている。1つの利点は、環境への懸念のため、PVCの使用を削減する又はなくすることである。ポリプロピレン又はポリエチレンなどの材料の他の利点は、それらがPVCより良いMVB特性を有することである。しかしながら、製造及び規制機関(regulatory agencies)が、無菌、及び、ポリオレフィン製の可撓性をもつ医療流体容器のポート閉鎖システムへのダメージ、及び/又は、当該ポート閉鎖システムからの漏れの可能性のある処理に関する懸念のせいで、オーバラップを除くことを躊躇してきた。信頼性があり経済的でより長い保管寿命の、より低い水蒸気透過率の可撓性をもつ医療流体容器が、なお、ポートの閉鎖欠陥(port closure deficiencies)、選択される及び/又は混合されるべき材料の数の多さが原因で、満たされなければならない多くのしばしば相反する設計上の制約と共に、実現される必要がある。これらの制約とは、「落下試験」に関する低温衝撃強度、米国及び欧州にて必要とされる高熱のオートクレーブサイクルに耐える能力、USP条件、薬物濃度及び分析条件、許可された注入容積、注入装置及び製造プロセス許容差、審美的な外観(透明度、光沢、かすみ、皺)、プリント適性、流出適性、及び、許容された抽出物のタイプ及びレベルといったものである。
【0008】
PVCをポリプロピレン又はポリエチレン等の材料と置き換える他の利点は、PVC包装用材料からの副産物が、純脱イオン(注入のためのU.S.P)水内に滲み出てそれを汚染するため、純脱イオン水等の製品が、PVC内に効果的に包装されることができないが、一方、ポリオレフィン等の材料は、純脱イオン水内に滲み出た副産物を最小限に抑制するために定式化され得るということである。
【0009】
アクセスポートが、輸液容器にて、患者に液剤を投与するために、又は、投与前に容器へ薬剤又は他の液剤を加えるために一般的に使用される。現在の液剤容器は、典型的には、容器への希釈剤又は他の構成要素を追加するために、患者及び専用の入口ポートへの液剤投与のための専用の出口ポートを含んでいてもよい。
【0010】
出口ポートは、管理セット(administrative set)に連結されるものとされ、また、それ故に、一般に管理ポート(administrative port)と呼ばれるが、一方、入口ポートは、部分的に注入された容器内への治療薬及び栄養物の注入を可能とすべく設計され、時折、付加的なポートとして識別される。かかる容器は、注入された添加物のための希釈剤として作用するために、生理食塩水(saline)又はブドウ糖(dextrose)等の無菌の液剤の部分的な注入を含み得る。代替的には、容器が薬物を収容してもよく、また、希釈剤が、付加的なポートを通じた容器内への注入により加えられ得る。希釈された薬物又は栄養物は、その後、患者に直接に又は間接的に(すなわち他の液剤セットを通じて)つながれ得る管理ポート及び管理セットによって、患者に投与される。厳密な規制又は許容値が、しばしば、供給されるべき薬物の分析結果又は濃度に課せられる。特に注入された容器が延長期間保管された場合に、これらの規制を満たすことは、もし容器の防湿バリアが高すぎれば難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
可撓性をもつ容器の組立てにおける他の課題が存在する。従来の可撓性をもつ容器又はIVバッグは、実質的に直線状の長手方向の側部を有する。容器は、容器壁部の前部及び後部を結合する外周シーム(seam)又は溶接部(weld)を有する。シームは、容器の実質的に直線状の長手方向の側部に沿って直線状に延び、バッグの角部にて凸状に湾曲する。更に、角部における容器の外側の周囲のシームの通路の変化は、角部で又は角部の近くで、容器の内部における材料の皺及び所望でないタッキング(tacking)又はブロッキング(blocking)を共に引き起こし得る。
【0012】
そのため、本発明の目的は、改良された医療流体容器を提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、流体が除かれた又は導入された場合の処理の安全及び容易さを改良するポート閉鎖アッセンブリ(port closure assemblies)を備えた容器を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、製造の容易さ及び効率と共に、容器の密閉信頼性を向上させるポート注入チューブ構造を提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、最終的に滅菌されたIV容器について求められる条件を満たすべく、選択された多層のポリオレフィン材料で形成された容器壁部を備えた容器を提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、目的に対応するためにより人間工学的であり、また、皺及び所望でない材料のタッキング又はブロッキングを軽減する長手方向の側部シーム構造を備えた、可撓性をもつ容器を提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、医療流体容器を組み立て注入する改良された方法を提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、医療流体容器を包装し、保管する改良された方法を提供することである。
【0019】
本発明の更なる目的は、PVCよりも軽量であるが、より良い水蒸気透過率を示す容器を提供することである。
【0020】
これら及び他の目的は、当業者に明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
医療流体用の容器が、多層ポリオレフィンフィルムで作られた容器本体を有し、そこに1つ又は複数の流体ポートを備える。ポートは、注入チューブと閉ざされたポートを密閉すべく注入チューブと連結するためのポート閉鎖システムとを有し得る。容器本体、注入チューブ、及び、ポート閉鎖システムは、PVC及びDEHPを含まない。
【0022】
流体ポートを有する流体容器と共に使用されるポート閉鎖システムは、管理ポート閉鎖アッセンブリ(administrative port closure assembly)及び付加的なポート閉鎖アッセンブリ(additive port closure assembly)を有してもよい。管理ポート閉鎖アッセンブリは、穴開けピン(piercing pin)を受け、閉ざされた1つの流体ポートを密閉する管理ハウジングを含む。スリーブが、内部表面から、管理ハウジングにおけるベース面を越えて延びる。スリーブは、異なる直径の上部及び下部を有する。キャップアッセンブリが、管理ハウジングと結合し、それにより、管理ハウジングの内部表面が密閉される。取り外し可能なキャップが、内部表面へのアクセスを提供する。
【0023】
付加的なポート閉鎖アッセンブリは、針を受け、閉ざされた別の流体ポートを密閉する再密閉(reseal)ハウジングを含む。キャップアッセンブリが、再密閉ハウジングと結合し、それにより、再密閉ハウジングの内部表面が密閉される。管理ポート閉鎖システムと同様に、取り外し可能なキャップが、内部表面へのアクセスを提供する。再密閉要素が、再密閉ハウジングとキャップアッセンブリとの間に機械的に保持され、固定され又はとらえられる。
【0024】
ポートハウジング及び注入チューブは、信頼性のある容器の組立て及び使用を促進する種々の特性(feature)を含む。
【0025】
多層ポリオレフィンフィルムが、とりわけ、その衝撃強度、低水蒸気透過率、そのオートクレービング及び熱密閉を乗り切るための能力、及び、注入チューブ及びポート閉鎖アッセンブリの材料とのその優れた適合性に関して選択される。
【0026】
本発明の他の態様では、流体貯留器(fluid reservoir)が内部に形成され、前部及び後部並びに1つ又は複数の長手方向側縁部を有する容器壁部により取り囲まれた、可撓性をもつ細長い容器本体を、流体容器が含む。前部及び後部は、流体貯留器を定めるべく、長手方向側縁部の少なくとも1つに隣接する外周シーム(outer peripheral seam)に沿って互いに密閉されている。外周シームは、容器の長手軸に対して凹状の通路をたどり、また、1つ又は複数の側縁部に対して内方に湾曲することも可能である。側縁部は、直線状であり得るか、又は、容器の中心軸に向かって内方に湾曲することも可能である。凹状に湾曲した側部シームを備えた容器は、掴み易くかつ取り扱い易く、内部及び外部の皺に対して耐久性があり、また、角部付近の容器内部のフィルムのタッキング又はブロッキングに対して耐久性がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】流体容器と共に使用される本発明のポート閉鎖システムの部分的な分解斜視図である。
【図2】流体容器、針及び穴開けピンセットと共に使用される本発明のポート閉鎖システムの部分的な斜視図である。
【図3A】流体容器と共に使用される本発明のポート閉鎖システムの部分断面分解図である。
【図3B】流体容器と共に使用される本発明のポート閉鎖システムの部分断面組立図である。
【図4】本発明の付加的なポート閉鎖アッセンブリの断面図である。
【図5】針と共に使用される本発明の付加的なポート閉鎖アッセンブリの断面図である。
【図6A】本発明のキャップアッセンブリの側面図である。
【図6B】本発明のキャップアッセンブリの斜視図である。
【図6C】図6B中の線6C−6Cに沿ったキャップアッセンブリの切り込まれた部分の拡大部分断面図である。
【図7】本発明の再密閉要素の断面図である。
【図8】本発明の再密閉要素の斜視図である。
【図9】穴開けピンセットと共に使用される本発明の管理ポート閉鎖アッセンブリの断面図である。
【図10】本発明の管理ポート閉鎖アッセンブリの一実施形態の横断面図である。
【図11】付加的な管理ポート閉鎖アッセンブリの実施形態の横断面図である。
【図12】付加的な管理ポート閉鎖アッセンブリの実施形態の横断面図である。
【図13】付加的な管理ポート閉鎖アッセンブリの実施形態の横断面図である。
【図14】付加的な管理ポート閉鎖アッセンブリの実施形態の横断面図である。
【図15】付加的な管理ポート閉鎖アッセンブリの実施形態の横断面図である。
【図16】付加的なポート閉鎖システムの実施形態の斜視図である。
【図17】付加的なポート閉鎖システムの実施形態の斜視図である。
【図18】付加的なポート閉鎖アッセンブリの代替的な実施形態の、図4に類似した横断面図である。
【図19】キャップアッセンブリが再密閉ハウジングに結合される前の、図18からの付加的なポート閉鎖アッセンブリの一部の拡大部分横断面図である。
【図20】付加的なポート閉鎖アッセンブリの拡大部分横断面図であり、図18中の線20−20により取り囲まれた領域を示す図である。図20は、図19に類似するが、キャップアッセンブリが再密閉ハウジングに結合された後の同じ領域を示している。
【図21】本発明の一実施形態による注入チューブポートの正面図である。
【図22】図21中の線22−22に沿った注入チューブの断面図であり、注入チューブの下部の非円形の横断面を示す図である。
【図23】図21の注入チューブの側面図である。
【図24】図21中の線22−22に沿った注入チューブの縦断面図である。
【図25A】本発明の一実施形態による容器の平面図である。
【図25B】本発明の他の実施形態による容器の平面図である。
【図25C】本発明の他の実施形態による容器の平面図である。
【図26A】本発明による容器の本体への取付け前及び取付け中の、金型、フィルム及び図21の注入チューブの下部を示す一連の断面図である。
【図26B】本発明による容器の本体への取付け前及び取付け中の、金型、フィルム及び図21の注入チューブの下部を示す一連の断面図である。
【図26C】本発明による容器の本体への取付け前及び取付け中の、金型、フィルム及び図21の注入チューブの下部を示す一連の断面図である。
【図27】図25A中の線27−27に沿った本発明の容器の拡大断面図である。
【図28】容器壁部の前部及び後部を形成するのに使用され得る多層ポリオレフィンフィルムの一実施形態の構成を示す簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図3B、図25A及び図27を参照すれば、可撓性のある長い保管寿命のオートクレーバブルな流体容器12が、そこに形成され可撓性のある容器壁部3に取り囲まれた流体貯留器2を備えた容器本体1を有している。容器壁部3は、前部3A及び後部3Bを有する。容器本体は、そこに形成された少なくとも1つのポート14、16を有する。一実施形態では、図1〜図3Bに示されるように、細長い容器本体1を有する容器12の同じ端部に配置される2つのポート14、16が存在する。
【0029】
図1〜図3B及び図25Aを参照すれば、ポート閉鎖システム10が、少なくとも1つのポート14、16をそこに備えた可撓性のある容器本体1を有する流体容器12との使用に関して示される。ポートの一対(すなわち2つのポート)は、それぞれ注射針18及び穴開けピンセット20とアクセス可能な第1及び第2の流体ポート14及び16として提供されることが可能である。流体ポート14、16は、それぞれ、一実施形態では細長い注入チューブ13、15を含む。
【0030】
図21〜図24を参照すれば、注入チューブ13、15は、一実施形態において実質的に同一であり、それぞれ、遠位端部17、近位端部19、及び、近位端部19から遠位端部17まで延びる流体通路21を有している。注入チューブ13、15は、注入チューブ13、15の流体通路21が容器本体1の内部における流体貯留器2と流体連通するように、後述されるように容器本体1に取り付けられる。注入チューブ13、15は、遠位端部17に隣接する略円筒形の上部23と、近位端部19に隣接する下部25とを有する。注入チューブ13、15の上部23は、本明細書にてより詳細に説明されるポート閉鎖アッセンブリの1つを受けるためにそこに形成された略円筒形のキャビティ27を有する。注入チューブ13、15の上部23は、また、径方向外方に延びる環状フランジ29を含む。フランジ29は、ポート14、16へのアクセス時に、針、カニューレ又はスパイクとの故意でない接触からのユーザの指の保護を助ける。注入チューブ13、15の上部23は、フランジ29の下方に、外表面31を有する。
【0031】
外表面31は、その上に形成された少なくとも1つの切り欠き部(notch)33を有する。一実施形態において、外表面31は、その上に形成され、周方向に間隔を置かれた複数の切り欠き部33を有する。他の実施形態では、等間隔で両側にある一対の切り欠き部33が設けられる。切り欠き部33は、容器本体1の取付けに関して、注入チューブ13、15を方向付けるために用いられ得る。切り欠き部33は、多くの可能な構成及び形状を採用し得る。一実施形態において、切り欠き部33は、平底を有し、注入チューブ13、15の外表面31に沿って長手方向に延び、注入チューブ13、15を掴みまた取り扱うために、ユーザにとって有用な場所を提供する。
【0032】
図21〜図24に最も良く見られるように、細長い注入チューブ13、15の下部25は、その長さの実質的な一部に関して、非円形の横断面を有する。一実施形態では、非円形の断面は、菱形又は半菱形である。別の実施形態では、非円形の断面が、長円形、半長円形、楕円形、半楕円形、菱形及び半菱形から成る形状の群から選択される。非円形の断面は、第1の軸及び第1の軸を横切る第2の軸により定められる。第1の軸は、注入チューブ13、15の下部25の幅を定める両端で末端をなす。第2の軸は、注入チューブ13、15の下部25の深さを定める両端で末端をなす。一実施形態では、注入チューブの下部25の幅は深さより大きく、そのため、第1の軸が注入チューブ13、15の下部25の横断面の長軸であると共に、第2の軸が短軸である。注入チューブ13、15の上部23における1つ又は複数の切り欠き部33は、後述されるように、容器本体1への適切な取付けのために、自動化された装置が注入チューブ13、15を簡単に方向付けることができるように、下部25の第1のつまり長軸に垂直であり得る。
【0033】
注入チューブ13、15の下部25は、横断面の長軸の両端にて形成される外側半径R1を有する。一実施形態では、半径R1は、約0.005−0.015インチである。他の実施形態では、半径R1は、約0.005−0.010インチである。また別の実施形態では、半径R1は、約0.008インチである。半径R1は、注入チューブ/容器本体の接合部分又は熱密閉溶接部の強度及び信頼性に寄与するものと認められている。容器後部、容器前部及び注入チューブの臨界接合部(critical junction)Yでの改良された材料の流れ及び融合(fusion)が、改良された注入チューブの設計で観察されている。
【0034】
注入チューブ13、15の下部25は、横断面の短軸の両端の少なくとも一方において形成される外側半径R2を有し得る。図22に示される実施形態では、約1/8−1/4インチの外側半径R2は、短軸の両端の両方に形成される。他の実施形態では、半径R2は約0.150−0.200インチである。別の実施形態では、半径R2は約0.178インチである。半径R2は、容器本体のフィルム材料を過度に引き延ばす又は過度に薄くすることなしに、熱密閉、接着又は他の取付け手段、及び、注入チューブ13、15の下部25上における容器本体フィルムの軽度の均一な皺のない引延しのための、大きく滑らかな領域を提供する。
【0035】
約1/2インチの幅及び約1/4インチの深さを備えた下部25を有する注入チューブ13、15は、許容可能な注入(filling)及び流出(draining)特性を示すものと認められている。一実施形態では、注入チューブ13、15は、約0.75−2.0インチ長である。他の実施形態では、注入チューブ13、15の長さは、約1.4−1.8インチである。別の実施形態では、注入チューブ13、15は、約1.5インチ長である。相対的に長い注入チューブの長さは、標準1インチ又は1と1/2インチの長い針、スパイク又はカニューレが、注入チューブ13、15の通路21を通じて、容器12又はIVバッグの容器壁部3を誤って貫通することを防止するのに有用である。
【0036】
注入チューブ13、15は、注入チューブ壁部35を有し、その注入チューブ壁部35は、18ゲージ針(18 gauge needle)が、3−6ポンドの力を加えられた場合に、壁部35に垂直な通路Pにおいて壁部35を通じて押されることを防止するために、十分な厚さ及び剛性を有する。一実施形態では、注入チューブ壁部35は、約0.9及び1.5mm間の実質的に均一な厚さを有する。他の実施形態では、壁部35は、約1.2mmである。壁部35の剛性は、以下でより詳細に説明されるその材料から得られる。下の表1は、本発明、市販のIVバッグ又は可撓性のある容器に関して、表面に垂直な18ゲージ針で注入チューブ壁部に穴を開けるのに必要とされる力の比較である。
【表1】

【0037】
図1〜図3Bを参照すれば、ポート14、16は、横方向に延び、互いに及び注入チューブ13、15に熱溶接又は他の手段により密閉された多層フィルムの上面シート及び底面シートの可撓性のあるウェブを含む本体部124により接続される。可撓性のあるウェブ124を用いれば、ポート14、16の注入チューブ13、15が、個々に移動させられる又は取り扱われる。各注入チューブ13、15の下部25は、容器本体1に取り付けられ、また、注入チューブ13、15は、ユーザが、少なくとも1本の指をその間に(ここで用いられるような「指」は親指を含み得る)を差し込むために、十分に間隔を隔てられている。注入チューブ13、15の下部25に関して約1/2インチの幅の場合、ポート14、16のチューブ13、15の中央線を約1.5インチ離れて配置することにより、約1インチの広がりSが実現され得る。容器本体1からの注入チューブ13、15の突出、フランジ29の位置、又は、注入チューブ13、15の上部23の長さは、また、ユーザの指の1本用に適切なスペースを提供するよう選択され得る。
【0038】
図2〜図5を参照すれば、ポート閉鎖システム10が、2つのポート閉鎖アッセンブリを有する。第1のポートアッセンブリは、第1の流体ポート14への針18の無菌アクセスを提供するよう構成された付加的なポート閉鎖アッセンブリ22である。付加的なポート閉鎖アッセンブリ22は、流体容器12との連結及び使用の前に、サブアッセンブリとして、組み立てられまた滅菌されるよう構成されている。
【0039】
付加的なポート閉鎖アッセンブリ22は、注入チューブ13への取付けにより、第1の流体ポート14を密閉するように構成されるポートハウジング24(以下「再密閉ハウジング24」)を含む。再密閉ハウジング24は、第1の流体ポート14又は注入チューブ13と連結されるように構成されたベース面26と、第1の流体ポート14から外方に面するように構成された内面28とを有する。開シリンダ(open cylinder)30が、内面26からベース面28まで延び、上側リム32を有する。再密閉ダイアフラム34が、容器12からの流体流に対して閉ざされた開シリンダ30を密閉するために、開シリンダ30に接続されている。再密閉ダイアフラム34は、一旦針18により穴が開かれれば、流体流に対して開かれる。再密閉フランジ36は、開シリンダ30から略径方向に延びる。再密閉フランジ36は、付加的なポート閉鎖アッセンブリ22に針18を加える場合に、不測に刺すことからユーザを保護する。
【0040】
再密閉フランジ36及び開シリンダ30はまた、再密閉ハウジング24と一体化される市販の無針のアクセスシステム(図示せず)を収容するように方向付けられ、配置される。米国特許第5924584号明細書は、本発明に適した無針のアクセスシステムの一実施形態を記述するもので、その記述は、本明細書にその全体が明確に組み込まれる。
【0041】
図3A〜図6Cを参照すれば、付加的なポート閉鎖アッセンブリ22のキャップアッセンブリ38が、再密閉ハウジング24に接続される。一般に、キャップアッセンブリ38は、再密閉ハウジング24の内面28とかみ合うように形状付けられた下側シェル40を有する。一旦かみ合せられれば、キャップアッセンブリ38は、汚染可能性から内面28を密閉する。密閉された開口42が、キャップアッセンブリ38に設けられ、取り外し可能なキャップ44が、密閉された開口42及び内面28に対するアクセスをもたらす。一旦取り外し可能なキャップ44が取り外されれば、キャップアッセンブリ38が、汚染可能性から内面28を保護すべく滅菌バリアとして作用するので、付加的なポート閉鎖アッセンブリ22が、再度滅菌される必要がない。取り外し可能なキャップ44は、それが一旦取り外されれば再度接続されることが不可能であるので、不正開封されたことがすぐ分かるようになっている。更に、もしキャップ44が定位置にある状態で穴を開けられれば、それは、キャップに穴が作られたこと(すなわち不正開封がなされたこと)をはっきりと示す。
【0042】
キャップアッセンブリ38が、単一の構造物からなり、環状のフランジブル領域(flangible area)48により取り外し可能なキャップ44に接続される冠状部(crown)46を含む。本明細書に用いられるような用語「フランジブル領域」は、いかなる脆弱な領域又はある脆弱なシールの形式を備えたいかなる領域をも表す。
【0043】
キャップアッセンブリ38の冠状部46は、外側シェル50を有する。密閉された開口42が、外側シェル50と下側シェル40との間に延び、取り外し可能なキャップ44が取り外された場合に、内面28へのアクセスをもたらす。保持リム(retaining rim)54が下側シェル40から、また、密閉された開口42のまわりに延びる。冠状フランジ56が密閉された開口42から略径方向に延びる。冠状フランジ56は、付加的なポート閉鎖アッセンブリ22に針18を加える場合に不測に刺すことからユーザを保護する。
【0044】
切り欠き領域58がキャップアッセンブリ38上に形成され、切り欠き領域58付近でフランジブル領域48を弱めるために、動作可能なようにフランジブル領域48と連結される。当業者は、図6Cに示されるように、切り欠き領域58が取り外し可能なキャップ44上に、又は、本発明から逸脱することなく冠状部46上にあり得ることを理解するであろう。切り欠き領域58は、これらに限定されることはないが、部分的なピラミッド形状、V字形状、又は、部分的な円錐形状を含む、様々な力が集束する形状で形成され得る。
【0045】
取り外し可能なキャップ44のカバー60が、フランジブル領域48により、密閉された開口42にわたり密閉される。カバー60は、針18又は穴開けピン20による手作業の穴開けに耐えるのに十分な厚さを有する。129−144℃にあるカバー60の材料の溶融温度及び一旦組み立てられた後のカバーの下のエアチャンバの存在によって、カバー60は熱滅菌の間の変化を形状付けるように構成される。これにより、ユーザは、カバー60の形状によって、付加的なポート閉鎖アッセンブリ22の滅菌済み状態を見分けることが可能になる。
【0046】
取り外し可能なキャップ44の引張り要素(pull element)62が、カバー60に接続される。それにより、ユーザは、フランジブル領域48を切断し、冠状部46からカバー60を分離するために、手で引張り要素62を引っ張ることが可能となる。引張り要素62は、カバーの一側部に接続され、冠状部46に隣接するレバー64を含む。レバー64は、切り欠き領域58に隣接して配置され、ユーザの引張り力を切り欠き領域58における引張り要素62に集束させる。レバー64は、引張り力集中部を定める狭くなった断面の領域を含む。引張り力集中部は、フランジブル領域48に隣接し、切り欠き領域58付近にある。その構造がユーザの引張り力を切り欠き領域58における引張り要素に集束させる又は集中させる限り、他の形状、向き及び位置は本発明から逸脱しないであろうが、好ましくは、引張り力集束部は、レバー64の上部における丸みを帯びた側壁部を有する横方向の溝部(transverse groove)65により定められる。
【0047】
引張りタブ66が、引張りリング68によってレバー64に接続され、引張りリング68においてレバー64の反対側に配置される。引張りタブ66は、ユーザが、引張り要素62を手で掴み引っ張るための領域をもたらす。
【0048】
少なくとも1つのピボット要素70が、フランジブル領域48から径方向に間隔を置かれ、引張りリング68におけるレバー64から周方向に間隔を置かれている。より好ましくは、一対のピボット要素が、各ピボットがレバー64から約90°離れて等間隔に置かれるように配置される。ピボット要素70は、冠状部46に接触し、フランジブル領域48への故意でないダメージを防止すべく、引張り要素62におけるいかなる衝撃力をも吸収するために旋回する。付加的なピボット要素が必要に応じて採用されてもよい。
【0049】
図3A、図4、図5及び図7を参照すれば、取り外し可能なキャップ44の再密閉要素72が、冠状部46の下側シェル40と再密閉ハウジング24の内面28との間に配置される。再密閉要素72は、中央コア76から径方向に延びる環状肩部74を有する。環状肩部74は、中央コア76を、隆起面80を有する上側コア78及び下側コア82とに分割する。
【0050】
隆起面80は、取り外し可能なキャップ44が取り外された場合に、キャップアッセンブリ38における密閉された開口42を越えて延びる。露出した隆起面80は、次の使用の間に滅菌すべく、便利な綿棒で消毒可能な(swabbable)領域を提供する。
【0051】
下側コア82は、再密閉ハウジング24の開シリンダ30内に受けられる。下側コア82の直径は、開シリンダ30の直径に関係して選択され、それにより、開シリンダ30が、それらの間の密閉をもたらすために、また、穴開け時に再密閉要素72自体を再度密閉するために、下側コア82を径方向内方に圧迫する。言い換えれば、下側コア82は、再密閉ハウジング24の開シリンダ30内に摩擦で嵌め込まれる又は強制的に押し込まれる。この摩擦嵌め(frictional fit)は、次のアッセンブリの操作のために、再密閉ハウジング24内に再密閉要素72を固定する又は保持する1つの手段を提供する。
【0052】
環状のリップ要素(annular lip element)84が、環状肩部74の外側リム86に接続されている。リム86及びリップ要素84の接合は、フィレット(fillet)又は内側半径範囲85を有する。リップ要素84は、環状肩部74を横切って2方向に延びる。リップ要素84の上側及び下側の内側縁部は、成形に際して補助し環状肩部74に向かって保持リム54又はリム32を誘導するために、面取りされた内側半径範囲又はフィレット87をその上に有する。環状のリップ要素84は、保持リム54の外径よりも大きい内径、及び、冠状フランジ56の外径よりも小さい外径を有する。再密閉要素72は、機械的に維持され、保持され、固定され、又は、より具体的には、冠状部46の保持リム54及び開シリンダ30の上側リム32により所定位置にクランプ締めされる。保持リム54及び上側リム32は、キャップアッセンブリ38及び再密閉ハウジング24が互いに接続される際に、環状肩部74を保持するために、中央コア76とリップ要素84との間に受けられる。環状肩部74の圧縮されない高さが、キャップ44及び再密閉ハウジング24が接合された場合に、保持リム54とリム32との間の間隔に等しく、又は、より好ましくは、その間隔より大きくなるように選択され得る。有効な間隔より大きい圧縮されない高さを選択することにより、望ましいクランプ締付け力又は密閉が、肩部74における再密閉要素72の弾性材料上にもたらされる。代替的に、保持リム54と肩部74の上側面との間に小さな間隙が最初に設けられてもよい。その間隙は、そのまま残ってよいし、又は、アッセンブリ22の熱滅菌に際しキャップ44が変形した場合に除去されてよい。後者の場合には、リム32、54が、環状肩部74の下側面及び上側面にそれぞれ隣接する又は接触する。その結果、冠状部46及び再密閉ハウジング24は、環状肩部74及び再密閉要素のリップ84と共に、再密閉要素72を固定する実質的に永久の機械的な第2の手段をもたらすべく協働する。その手段は、再密閉要素72と開シリンダ30との間の適合と無関係であり得るもので、別々の締結手段、溶剤結合、又は、再密閉要素72を所定位置にスエージングする必要を除去する。再密閉要素72を所定位置に確実に保持することに加えて、キャップアッセンブリ38は、使用まで汚染から再密閉要素72を密閉する取り外し可能なキャップ44をもたらす。再密閉要素72が溶剤結合されるでもなく所定位置にスエージングされるでもないという事実にかかわらず、その固定は、構成要素のサイズ、針の規格、針18における挿入力、又は、キャップ44の取り外しにより影響を受けない。再密閉要素72は、自動的に機械的に所定位置に保持され、第1に冠状部46及び再密閉ハウジング24の接続により、軸方向及び径方向の両方における動作に対して制約される。
【0053】
図1〜図3B、図9及び図10を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88が、ポート閉鎖システム10の第2のポート閉鎖アッセンブリとして示されている。管理ポート閉鎖アッセンブリ88は、第2の流体ポート16に対する穴開けピンセット20の無菌のアクセスを提供するように構成される。管理ポート閉鎖アッセンブリ88は、また、流体容器12との連結及び使用の前に、サブアッセンブリとして組み立てられ、滅菌されるように構成される。
【0054】
図1、図9及び図10を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88は、注入チューブ15への取付けにより第2の流体ポート16を密閉するように構成された第2のポートハウジング90(以下「管理ハウジング90」)を含む。ベース面92が、第2の流体ポート16又は注入チューブ15と連結されるように構成され、また、内部表面94が、第2の流体ポート16から外方に面するように構成される。
【0055】
密閉リング95が、ベース面92から延び、第2の流体ポート16内に密閉式に受けられるように構成される。密閉リング95は、管理ポート閉鎖アッセンブリ88の改良されたユーザ取扱いをもたらすべく、硬い構造及び約5/8インチの大きな直径を有する。任意の硬化用張り骨又はリブ97、より好ましくは間隔を隔てられた一対のリブ97は、密閉リングを硬化させ、ポート16に対する熱密閉及びその後のオートクレーブ熱滅菌の間の変形に耐えるべく、密閉リング95にて径方向内方に延びる。
【0056】
スリーブ96は、内側表面94からベース面92を越えて、密閉リング95内に延びる。スリーブ96は、管理ハウジング90に接続される第2のキャップアッセンブリ38の密閉された開口42の下方に奥まって置かれている。この奥まった場所(recess)は、管理ポート閉鎖アッセンブリ88が開かれた場合の、内側表面94の不測の汚染からスリーブを保護する。スリーブ96は、上部98及び下部100を有する。上部98は、内側表面94に隣接し、下部100よりも小さい直径を備えた開口104を有する。上部98と下部100との間の直径の差により、スリーブ96が、異なるようにサイズ設定された穴開けピンセット20を受け、密閉式に連結すること、また、様々な穴開けピンセット20の間の直径の変化に適応することが可能となる。
【0057】
図10に開示される実施形態において、上部98は、実質的に均一の壁厚を有し、外側表面が凸状であると共に内側表面が凹状であるバレットノーズ(bullet nose)構造へ内方にテーパ加工されている。テーパは、これに限定されないが、切削、(熱を伴う又は伴わない)圧延及びスエージング(swaging)を含む、良く知られたあらゆる製造技術により形成され得る。上部98のテーパは、好ましくは曲線をなすものであるが、直線状のテーパもまた用いられ得る。使用中に、ユーザの指がスリーブ96の1/4インチ内にあれば、それにより、ユーザが、穴開けピンセット20に対してスリーブ96の位置を簡単に制御することが可能となる。
【0058】
スリーブ96及び密閉リング95が、単体の本体を構成するために、スリーブ用のベース114における可撓性をもつ環状接合部102にて接続される。可撓性をもつ接合部102は、使用中に、堅固な密閉リング95に対してスリーブ96のいくらかの小さな変位を可能とする。
【0059】
空気注入された堀部(moat)106が、ベース面92上で、密閉リング95とスリーブ96との間に配置される。堀部106は、密閉リング95が、熱滅菌サイクル中の容器12の内部圧力に基づき、必要に応じて収縮及び膨張することを可能とする。その結果、堀部106は、漏れ又は許容できない挿入又は引出し力の条件を招来し得る相当な永久変形からスリーブ96を保護する。密閉リング95とスリーブ96との間の接続は、ピン挿入及び引出し中に、穴開けピンセット20(図示せず)に、クランプ締付け力又は密閉力をもたらす。ベース114の箇所を除いて、物理的に密閉リング95から分離されているのに加えて、スリーブ96は、堀部106がオートクレービング(autoclaving)中のスリーブ96に対する外側圧力を軽減するため、密閉リング95及び堀部106により、オートクレービング中の可能性のある歪みから保護される。
【0060】
管理ダイアフラム110は、流体流に対して閉ざされたスリーブ96を密閉するためにスリーブ96に接続される。管理ダイアフラム110は、一旦穴開けピンセット20により穴が開けられると、流体流に対して開かれる。
【0061】
管理フランジ112は、密閉リング95から、ひいては、スリーブ96から略径方向に延びる。スリーブ96まわりの管理フランジ112は、ユーザが、穴開けピンセット20を加えるべき、効果的な目標領域をもたらし、また、不測に刺すことからユーザを保護する。
【0062】
第2のキャップアッセンブリ38は、管理ポート閉鎖アッセンブリ88を形成するために、管理ハウジング90に接続される。下側シェル40は、管理ハウジング90の内側表面94とかみ合うように形状付けられている。一旦かみ合せられると、キャップアッセンブリ38は、汚染可能性から内側表面94を密閉する。取り外し可能なキャップ44は、密閉された開口42、ひいては、内側表面94へのアクセスをもたらす。取り外し可能なキャップ44が一旦切り離されれば、キャップアッセンブリ38が汚染可能性から内側表面94を保護するための滅菌バリアとして作用するため、管理ポート閉鎖アッセンブリ88は再度滅菌される必要がない。
【0063】
図1を参照すれば、ポートシステム10の製造の間に、ポートハウジング24/90、キャップアッセンブリ38及び再密閉要素72がモールド成形される。付加的なポート閉鎖アッセンブリ22は、キャップアッセンブリ38とポートハウジング24との間に再密閉要素72を配置し、ポートハウジング24にキャップアッセンブリ38を永続的に接続することにより形成される。管理ポート閉鎖アッセンブリ88は、キャップアッセンブリ38をポートハウジング90に接続することにより形成される。ポート閉鎖アッセンブリ22/88は、キャップアッセンブリ38をポートハウジング24/90に超音波溶接又は放射熱溶融溶接(radiant thermofusion welding)することにより互いに接続される。ポート閉鎖アッセンブリ22/88は、照射殺菌される。照射により予め殺菌されたポート閉鎖アッセンブリ22/88は、流体容器12に連結された又は取り付けられたサブアッセンブリを形成する。流体容器12は、それに限定されることはないが、超音波溶接、放射熱溶融溶接又はホットトング熱密閉(hot tongue heat sealing)を含む従来の手段により照射を受けたポート閉鎖アッセンブリ22/88に密閉される。連結されたポート閉鎖アッセンブリ22/88及び流体容器12は、その後、注入後のオートクレービングにより最終的に熱殺菌される。
【0064】
ポート閉鎖アッセンブリ22/88は、照射、滅菌、照射熱溶融及び超音波溶接の間に劣化しないポリマーブレンド(polymer blend)で形成される。本明細書に用いられるような用語「劣化」は、材料がその意図された目的にはもはや適切でない程度までの劣化をさす。ポリマーブレンドは、また、超音波密閉適性、照射熱溶融適性を示し、ポリマーが穴開けされた場合のコアリングを防止する。本明細書に用いられるような用語「コアリング」は、穴開けに際してポリマーが砕け、ルーズなポリマー粒子状物質の形成に至る過程をさす。超音波接合及び/又は照射熱溶融により密閉されるべきポリマーブレンドの能力により、あらゆる溶剤又はスエージング結合の必要がなくなり、また、ポート閉鎖システム10を互いに保持するために、付加的な摩擦力適合要素を用意する必要がなくなる。加えて、ポリマーブレンドは、ユーザによる改良された取扱いのために、挿入力と引出し力との間における平衡をもたらす。
【0065】
かかるポリマーブレンドの一例は、それに限定されることはないが、70%の市販のアトフィーナZ9470(Atofina Z9470)及び30%の市販のベイセルKS359P(Basell KS359P)の混合物を含む。他の適切なポリプロピレン共重合体及びポリエチレン共重合体の混合物もまた、本発明から逸脱することなく、用いられ得る。
【0066】
IV流体容器12、注入チューブ13、15、ポートハウジング24、90及びキャップアッセンブリ38用の材料が、それらの設計と共に、必要とされる容器及びポートシステムの機能性をもたらすべく選択される。これら部品間の機能における差が、種々の材料により供給され得る異なる物理的特性を要する一方、材料は、接着剤なしに互いに接合され得るべく、分子レベルで相溶性を有する必要がある。
【0067】
注入チューブ13、15は、IV流体容器12及びポートハウジング24、90の内側密閉面に対して密閉可能である材料で形成される。それは、容器12とポート14、16との間の溝部(channel)を提供するその外観又は機能に重大に影響する変形なしにオートクレーブされることが可能である必要がある。ポリプロピレンホモ重合体、ポリプロピレン共重合体、又は、弾性特性を示す材料とのポリプロピレン共重合体の混合物などのポリオレフィンを含む容器12の密閉面及びポートハウジング24、90のために、注入チューブ13、15は、好ましくは、ポリプロピレンホモ重合体又は共重合体を含む。共重合体が、共重合体の密閉面を有するIV容器12とのより良好な相溶性(compatibility)を示す一方、ホモ重合体は、オートクレービングを通じてより良好な寸法安定性を示す。ランダムなポリプロピレン共重合体、又は、弾性特性を示す材料とのランダムなポリプロピレン共重合体の混合物を含む容器密閉面及びポートハウジングのために、注入チューブ13、15は、好ましくは、約2%から約6%までのエチレン含有量、及び、約129℃から約145℃までの溶融点を備えたランダムなポリプロピレン共重合体を含む。125℃におけるオートクレービングでの変形を軽減するために、ランダムなポリプロピレン共重合体は、より好ましくは、約2.4−3.5%のエチレン含有量、及び、約145℃の溶融点を有する。特に、ランダムなポリプロピレン共重合体、トータルペトロケミカルズ7825(Total Petrochemicals 7825)が、ポリプロピレン共重合体の混合物を含むポリプロピレン共重合体密閉層及びポートハウジング24、90を備えた容器12と共に、約125℃までのオートクレーブ温度での最良の結果をもたらすことが分かっている。
【0068】
管理ポートハウジング90は、18−45kGyの、又は、少なくとも18−32kGyのガンマ放射に対して安定していると共に、注入チューブ13及びキャップアッセンブリ38の両方に対して熱的に安定している必要がある。管理ポートハウジング90は、許容可能な力で穴開けピン20を受け保持し得るその機能に大きく影響する変形なしに、約125℃までオートクレーバブルである必要がある。好ましくは、管理ポートハウジング90用に選択された材料が、高溶融温度及び良好な弾性特性を有する。材料混合物は、個々の材料から取得不可能である特性を提供するのに好適である。ポリプロピレンベースの材料は、第1に、ポリプロピレン注入チューブ13とのその化学的相溶性に関して好適である。更なる材料の選択は、放射安定性、オートクレーブ温度、及び、用いられる穴開けピンの直径範囲に依存する。一般に、低いエチレン含有量を備えたホモ重合体又は共重合体、例えば、約2.4−3.5%のエチレン含有量を有するトータルペトロケミカルズ7825等の、より高い溶融点を備えたポリプロピレンは、より小さい変形を伴うオートクレービングに耐える。しかしながら、それらは、穴開けピンの挿入力を増大させると共に、使用され得る穴開けピンの直径範囲を制限する比較的高い係数を有する。それらは、また、接着剤で意図的に安定化されない場合、ガンマ放射に対してあまり安定しない。低係数の放射安定性のあるポリオレフィンと共にそれらを混合することにより、それらの性能が改良され得る一方、ベース材料として、高エチレン含有量の(約6%又はそれ以上の)ランダムな共重合体を用いることが好ましい。高エチレン含有量は、オートクレーブ変形に対する許容可能な耐性を維持しつつ、放射安定性を向上させると共に係数を低下させる。それは、また、必要とされる柔軟化材料の濃度を抑制する。かかる柔軟化材料は、しばしば、より低い溶融点を有し、粘着性を備え、射出成形するのが難しい。好ましくは、トータルペトロケミカルズZ9470等の高エチレン含有量のランダムなポリプロピレン共重合体が、ベース材料用に用いられる。
【0069】
修正されていない高エチレン含有量のランダムなポリプロピレン共重合体が、単一の穴開けピン直径での許容可能な性能をもたらし得る一方、許容可能な穴開けピンの直径範囲を広げると共に放射安定性を向上させるために、熱可塑性のポリポリオレフィン(polypolyolefin)エラストマ(TPE)又はプラストマ(plastomers)等のポリポリオレフィン共重合体を備えた材料を軟化させることが好ましい。許容可能な性能は、また、低エチレン含有量のポリプロピレンのランダムな共重合体ベース材料により、TPE/プラストマ及び混合物の割合の適切な選択で取得され得る。ポリプロピレン共重合体と同様に、より柔軟なTPE及びプラストマは、一般に、より低い溶融点を有する。エチレン−ヘキセン及びエチレン−オクテン共重合体のフレクソマ(flexomers)又はプラストマは、実質的に125℃のオートクレーブ温度以下の非常に低い係数及び溶融点(それぞれ72℃及び55℃)を有する。しかしながら、70%のポリプロピレン共重合体及び30%のフレクソマ又はプラストマの割合における低エチレン含有量のランダムな共重合体と混合された場合に、それらは、適切な軟化及びオートクレーブ寸法安定性を示す。ダウアフィニティEG8100(Dow Affinity EG8100)等のエチレン−オクテンフレクソマ又はプラストマが、穴開けピンの挿入力を抑制するために使用され得る。ベイセル(Basell)のアドフレックス材料(Adflex materials)等の、共重合体マトリックスにて共重合されたエチレン−プロピレンラバーを備えたポリプロピレンのランダム共重合体が、フラクソマ又はプラストマより小さい軟化をもたらすものの、より高い溶融温度(約144℃)を有する。それらは、オートクレーブ寸法安定性を抑制することなしに剛性を軽減するために、トータルペトロケミカルズZ9470(Total Petrochemicals Z9470)等の高エチレン含有量のランダムポリプロピレン共重合体ベース材料を軟化させるのに極めて適切である。ベイセルアドフレックスKS359P(Basell Adflex KS359P)が、効果的な軟化及び放射安定性をもたらすと認められている1つの材料である。40%のZ9470/60%のKS359Pから70%のZ9470/30%のKS359Pまでのものから作られた混合物が用いられ得るが、約70%のZ9470/30%のKS359Pの混合物がより好適である。
【0070】
ポートキャップアッセンブリ38は、管理ポートハウジング90及び付加的なポートハウジング24の両方に対して密閉可能であり、また、18−45kGy又は少なくとも18−32kGyのガンマ放射に対して安定している必要がある。それは、滅菌を維持すると共に許容可能な引張り力で開かれるその機能に著しく影響する変形なしに、約125℃までオートクレーバブルである必要がある。許容可能な開口性能に対する手掛かりは、材料剛性及びティアディテール厚(tear detail thickness)の適切な組合せを作り上げることである。引張りリング68又は引張り要素62は、過度に硬い材料又は厚いティアディテール(tear detail)を用いてキャップ44を開く前に弾ける音を立てて外れ得る(snap off)。引張りリング68は、キャップ44を開くことなしに伸び得る、又は、キャップ44は、柔らかすぎる材料を伴うオートクレービングの間に変形し得る。必要とされる特性を最小限にもたらす材料は、トータルペトロケミカルズZ9470等の高エチレン含有量のポリプロピレン共重合体、及び、ボリアリスボスルソフトSD233CF(Borealis Bosrsoft SD233CF)等のランダム複相(heterophasic)ポリプロピレンである。しかしながら、TPE重合調整剤(modifier)を用いることにより開口力を低下させることが好適である。管理ポートハウジング90に対する密閉適性を最大化するために、同じ材料が、ポートハウジング90において用いられるのと同じ又は類似した割合で用いられることも好適である。ベイセルアドフレックスKS359Pが、再度、それが、オートクレーブ寸法安定性の損失なしに軟化をもたらすという点で非常に適切である。100%のZ9470/0%のKS359Pから70%のZ9470/30%のKS359Pの範囲が許容可能であるが、70%のZ9470/30%のKS359Pがより好適である。
【0071】
管理ポートハウジング90と同様に、付加的なポートハウジング24は、注入チューブ13及びキャップアッセンブリ38の両方に対して密閉可能であり、また、18−45kGy又は少なくとも18−32kGyのガンマ放射に対して安定している必要がある。それは、コアリング(coring)なしに針18により穴開けされ得るその機能に著しく影響する変形なしに、約125℃までオートクレーバブルである必要がある。コアリングに耐えるために、選択された材料が弾性特性を有することが好適である。ベイセルアドフレックス材料(Basell Adflex materials)等の、共重合体マトリックスにて共重合されたエチレン−プロピレンラバー共重合体を備えたポリプロピレンのランダム共重合体はエラストマ的であり、70%のZ9470/30%のKS359Pのポートキャップに対して密閉可能である。アドフレックスKS359Pは、それが現在のアドフレックス製品ラインにおいて最もエラストマ的であるため、コアリング性能に関して、アドフレックス材料の中で好適である。化学的相溶性を最大化することにより、密閉強度を向上させるために、また、射出成形の間の射出を向上させるために、キャップアッセンブリ38として同じ70%/30%混合比における同じ材料を用いることが好適である。対象のポートダイアフラム34の18ミルの厚さにおけるコアリング性能を最大化するために、40%のZ9470/60%のKS359Pから0%のZ9470/100%のKS359Pの範囲が好適である。射出成形、密閉及びコアリング性能を最適化するために、40%のZ9470/60%のKS359Pの混合物がより好適である。その範囲は、ダイアフラム厚に依存して調整され、ダイアフラムが厚いほど、全体としてより高いエラストマ濃度が必要とされる。音波又は熱で溶接されるべき種々の部分に用いられる樹脂の混合物は、適切な密閉安全性又は信頼性を妨げる類似していない溶融点ではない溶融点を示す必要がある。
【0072】
図11を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88の更に別の実施形態が、図10の実施形態と多くの同じ特徴を有するが、テーパ状のスリーブ端部の代わりに、穴開けピンセット20(図示せず)に対して密閉するために、スリーブ96の開口104に隣接する小さなワイパ116を更に有する。穴開けピンセット20(図示せず)に対するワイパ116の密閉は、活性化の間に流体の漏れ出る可能性を軽減する。それに限定されないが、開口104におけるスエージング(swaging)を含む種々の方法が、ワイパ116を形成すべく用いられ得ることが当業者に理解されるであろう。ワイパ116はまた図10のテーパ状スリーブ端部と組み合わせられ得る。
【0073】
図12を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88の更に別の実施形態が、図9〜図11の実施形態の特徴のいくつかを含むが、保持リム54と肩部102から延びる管理リム120との間で所定位置に維持され、固定され、保持され、又は、より具体的には、(特に一旦熱滅菌されれば)クランプ締めされるワイピング直径(wiping diameter)119を有する予め穴開けされた管理密閉ワッシャ(washer)118を更に有する。管理密閉ワッシャ118は、穴開けピンセット20(図示せず)に対して密閉する。ピンセット20を挿入するまた引き出すのに必要とされる力を抑えたりその平衡を保たせたりするために、ワイピング直径119は中央に配置されることが可能であり、また、予め穴開けされた直径が、ワイピング直径からの間隔が大きくなるにつれ、次第に増大させられることが可能である。
【0074】
図13を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88の更に別の実施形態が、図12の実施形態の特徴のいくつかを含むが、保持リム54と肩部102から延びる管理リム120との間で所定位置に維持され、固定され、保持され、又は、より具体的には、クランプ締めされる付加的なポート閉鎖アッセンブリ22の再密閉要素72に類似した管理再密閉部118Aを有する。付加的なポート閉鎖アッセンブリ22における再密閉要素と同様に、特に一旦アッセンブリ88が熱滅菌されれば、管理再密閉部118Aは、リム54及び120によりクランプ締めされる。管理再密閉部118Aは、穴開けピンセット20(図示せず)に対して密閉する。管理再密閉部118Aがスリーブ96の開口104を完全に密閉するため、ダイアフラム110は、この実施形態において、任意に排除可能である。再密閉部118Aの中央ダイアフラム121は、図13の実施形態において、比較的厚い(0.050インチつまり1.27mmより大きい)。更に別の実施形態は、再密閉要素118Aが、図13に示される少なくとも0.050インチ又は1.27mmの予め穴開けされた開口又はワイピング直径119又は厚い中央ダイアフラム121よりも薄い(0.010−0.050インチつまり0.254−1.27mm)中央ダイアフラム121を含むように、図12及び図13の特徴を組み合わせることができる。この薄いダイアフラムの構成は、再密閉要素の成形をより簡単にし、また、所望でない領域にはみ出し(flash)を残さないという点で有利である。
【0075】
図14を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88の更に別の実施形態は、図10の実施形態の同じ特徴のいくつかを含むが、穴開けピンセット20(図示せず)に対して密閉する内側直径119Aを備えた射出成形された又は押出成形された管理密閉ワッシャ118Bを更に含む。密閉ワッシャ118Bは、保持リム54とスリーブ96との間で所定位置に維持され、固定され、保持され、又は、より具体的には(特に一旦アッセンブリが熱滅菌されれば)、クランプ締めされる。
【0076】
図15を参照すれば、管理ポート閉鎖アッセンブリ88の更に別の実施形態は、図11の実施形態と同様の小さなワイパ116を含むが、そのワイパ116及びスリーブ96は、小さなワイパ116がスリーブ96とは異なるポリマー含有量を有するように同時射出成形(co−injection molding)によって成形される単一の本体を形成する。ワイパ116は、イソプレンで形成され、穴開けピンセット20(図示せず)を用いた活性化の間に保持力を生じることになる。
【0077】
図16を参照すれば、ポート閉鎖システム10の別の実施形態が、キャップアッセンブリ38を、カバー箔122と置き換える。カバー箔122は、ピーラブルなフィルム金属材料(pealable film stock)で作られる。この実施形態では、再密閉要素72が所定位置にスエージ加工される。本体部124は、管理ポートアッセンブリ88及び付加的なポートアッセンブリ22をつなぎ合わせる。
【0078】
図17を参照すれば、ポート閉鎖システム10の他の実施形態が、図16の実施形態と同じ特徴を含み、更に、ポートアッセンブリ22、88をつなぎ合わせるハンドル要素126を、ユーザがハンドル部126のまわりで指をループ(loop)させることができるように、ハンドル部126と流体容器12との間のスペース127を定めるべく含む。加えて、付加的なポートアッセンブリ22が、管理ポートアッセンブリ88よりも小さく寸法設定され、また、付加的なポートアッセンブリ22を管理ポートアッセンブリ88から更に区別するために、付加的なポートアッセンブリ22は管理ポートアッセンブリ88に対してより低く配置される。
【0079】
図18〜図20を参照すれば、付加的なポート閉鎖アッセンブリ22の別の実施形態が、前述したように、再密閉ハウジング24及び再密閉要素72を含む。しかしながら、キャップアッセンブリ38の下側シェル40Aは、前述された下側シェル40とはいくつかの点で異なる。冠状部46の下側シェル40Aは、再密閉要素72のリップ84をかみ合せる少なくとも1つの密閉要素150を含む。好ましくは、密閉要素150は、リップ84の上面89をかみ合せる。
【0080】
当業者は、この開示から、示される実施形態において、密閉要素150が種々の形式及び形状を取り得ることを理解するであろうが、密閉要素150は、下側シェル40Aから下方に延びそのいずれかの側に154、156の溝(troughs)を定める少なくとも1つの突起部152を含む。突起部152は、断面にて略V字に形状付けられることが可能であり、尖っていない丸みを帯びた先端部162を形成すべく収束する角度のついた側部158、160を有する。好ましくは、突起部152は、円形パターンで、下側シェル40Aのまわりに延びる。円形パターンは、周方向に間隔を置かれた突起部を形成すべく壊れ得る、又は、連続した環状の突起部を形成すべく壊れずにいることも可能である。代替的には、密閉要素150は、複数の同軸に配置された突起部152を含み得る。
【0081】
図20に最も良く見られるように、密閉要素150は、前述されたように、冠状部46の下側シェル40Aが、再密閉ハウジング24の内面28に接続され、取り付けられ、又は、つなぎ合わせられる場合に、下側シェル40Aと内側又は内部の面28との間にリップ84をかみ合せる。突起部152又は密閉要素150の先端部162及び角度のついた側部158、160は、リップ84の上面89に接触し密閉式にかみ合う。再密閉要素72は、突起部152のまわりに弾性的に変形する。突起部152の弾性再密閉要素72とのかみ合いは、リップ84においてクランプ締め力をもたらし、これにより、それが下側シェル40Aにおける突起部152と再密閉ハウジング24の内面28との間にクランプ締めされる。密閉要素150が、十分に閉ざされた環状パターンで構成された1つ又は複数の突起部152を含む場合、この構成は、さもなければ再密閉要素72のまわりに通過し得る液体、蒸気及び気体に対する効果的な密閉をもたらす。本発明は、ユーザが取り外し可能なキャップ44を取り外す場合に、汚染物が内面28に到達することを防止する助けをする。所望でない液体、蒸気又は気体の進入又は退出は、ポート閉鎖アッセンブリ22、又は、ポート閉鎖アッセンブリが取り付けられる流体容器12の滅菌の間に防止される。本発明のこの実施形態は、さもなければ針18又は同様の穴開け部材の挿入又は引出しの間に生じ得る動作に対して再密閉要素72を更に制止する付加的な利点をもたらす。
【0082】
当業者は、図18〜図20の原理が、単独で又は本明細書に開示される他の特徴との組合せで適用され得ることを理解するであろう。限定でなく例示の目的で、それらの原理は、図13の実施形態など、再密閉要素を採用する管理ポート閉鎖アッセンブリに適用可能である。
【0083】
図4及び図10を参照すれば、注入チューブ13、15のフランジ29への取付けにより、一実施形態において、キャップアッセンブリ38に密閉式に取り付けられると共にポート14、16をそれぞれ流体密閉するポートハウジング24、90は、それぞれ、付加的な有益な特徴を有することが可能である。ポートハウジング24、90は、それぞれベース面26又はベース表面92の環状部分において形成される切り下げ(undercut)又は環状凹部91を有する。ベース面26又はベース表面92の環状部分は、また、面取りされた外側縁部93、及び、環状凹部91と面取りされた外側縁部93との間に配置される接触リング99を有する。一実施形態において、接触リング99は滑らかであり、平面的であり、また、実質的に水平である。凹みを有し面取りされた環状の構成は、超音波溶接によりキャップアッセンブリ38へポートハウジング24、90を取り付けるために、また、その後に、ホットトング溶接(tongue welding)又は他の手段によりフランジ29における注入チューブ13、15へポート閉鎖システム又はアッセンブリ22、88を取り付けるために、リング99における良好な接触面を提供する。環状凹部91及び面取りされた外側縁部93は、また、ポートハウジング24、90の成形又はホットトング溶接からのいかなるはみ出し(flash)も除去する又は安全な領域内に向け直す助けをする。
【0084】
本発明の可撓性のある容器12又はバッグの構成及び組立てについてより詳細に記載する。初期に記述されるように、容器12は、容器本体1を含む。図27を見て最も良く分かるように、一実施形態において、容器本体1は、外周シーム5に沿った熱密閉又は他の手段により互いに密閉される可撓性のある多層ポリオレフィンフィルムの別個の二重の巻き付けられたシート(separate double wound sheets)であり得る前部及び後部3A、3Bを有する。他の実施形態では、前部及び後部3A、3Bは、単一シートのフィルムをそれ自体に折り重ねることにより形成され得る。
【0085】
一実施形態では、CRYOVAC M312の販売名でシールドエアコーポレーション(Sealed Air Corporation)から市販される従来の非PVCポリポリオレフィンフィルムが、本発明のポート閉鎖システムと共に、容器12において用いられる。この材料は、注入チューブ13、15及びポート閉鎖システムに好適な非PVC材料との優れた相溶性を示すと認められている。図28にて最も良く見られるように、前部3A及び後部3Bを定めるCRYOVAC M312材料の各シートは、5つの層を有する。本明細書において密閉層又は内側層とも呼ばれる第1の層L1は、それに限定されることはないが、熱溶接を含む従来の取付け技術を用いて、熱密閉される、溶接される、又は、それ自体に融合させられるように構成されたポリプロピレン層である。ベース外側又はリリース層とも呼ばれる第2の層L2は、熱密閉ツールに接触しまたその熱密閉ツールから解放されるように構成されたポリエステル層である。ポリエチレン中間バリア層L3が、内側層L1と外側層L2との間に配置される。内側結合層(inner tying layer)L4が、中間層L3と内側層L1との間に配置される。外側結合層(outer tying layer)L5が、中間層L3と外側層L2との間に配置される。結合層L4、L5は、第1の層L1及び第2の層L2をそれぞれ第3つまり中間層L3に取り付ける。
【0086】
本明細書に記載されるポート閉鎖システム10及び約8ミル(mils)の全体厚を有するCRYOVAC M312フィルムの容器壁部3を備えた、約500ミリリットル又は1000ミリリットルの医療流体で注入される容器12が、24カ月までの又はそれ以上の保管寿命、及び、1日当たり約0.060グラム/100平方インチより低い水蒸気透過率をもたらすことが示されている。現行のテストは、許容可能な注入容量及び製品に関する分析値次第で、保管寿命が36カ月まで延長可能であり得ることを示す。このフィルム及びここで開示されるポート閉鎖システムで作られた500ミリリットル又はそれより大きい容器12は、これらの結果を実現するために、個々の容器における補足の水分バリア又はオーバラップを必要としない。下記の表2に示されるように、これらの容器12は、単層PVCフィルムで構成される従来の容器と比べMVTRに関して引けを取らない。
【表2】

【0087】
ポリオレフィン容器12は、インフレーションフィルム(blown film)又はキャストフィルム(cast film)プロセスのいずれかから二重の巻きフィルム(double wound film)を取得し、それを連続したウェブとしてバッグ加工機(bag fabricator)内に送ることにより加工され得る。容器12又はバッグは、通常、ウェブの一縁部から突出する注入ポート13、15を備えつつ、フィルムのウェブにおいて並列して作られる。
【0088】
フィルムは、まず、1つ又は複数の従来工程によって、それに加えられたラベルコピーを有する。ホットスタンプ(hot stamping)、リソグラフィ(lithography)、熱転写プリント又はそれらの組合せが、あらゆる必要なラベル情報を容器上に配置するために採用され得る。
【0089】
その後、フィルムが開かれ、注入チューブ13、15が、図26Aに示されるように、2つのフィルムシート、つまり前部3Aと後部3Bとの間に配置される。注入チューブ13、15は、その後、ツールTにより、フィルムの2枚のシートつまり前部3A及び後部3Bへ熱融着させられる。
【0090】
フィルムは、その後、シート3A、3B間に注入チューブ13、15を更に密閉し、周囲又は外周シール5を作成し、そして、容器を切り離す周囲密閉プレス機を通過させられる。
【0091】
その後、個々のバッグが、注入チューブ13、15が垂直に延びるように回転させられる。次に、容器本体1の流体貯留器2が、1つ又は複数の注入チューブ13、15を通じて所定量の医療溶液を注入される。当然ながら、使用目的によっては、ただ1つの注入チューブで十分足り得る。
【0092】
その後、注入チューブフランジ29の上部が、ポートアッセンブリ22、88を受けるために放射加熱される。同時に、ポートハウジング24、90のベース面又はベース表面26、92が放射加熱される。続いて、熱源が取り除かれ、ポートアッセンブリ22、88及び注入チューブ13、15が、制御された圧力及び時間条件の下で互いにプレスされる。
【0093】
ポートアッセンブリ22、88を注入チューブ13、15に接合する他の方法は、超音波溶接によるものである。この工程では、ポートアッセンブリ22、88及び注入チューブ13、15が、超音波エネルギーがそれらを通過させられる間に互いにプレスされる。一旦超音波エネルギーが加えられれば、部品は、材料が再度結合させられる(resolidified)まで、しっかりとまとめられたままでいる。
【0094】
注入済みの容器12は、最終製品が無菌状態にあることを保証するために、蒸気熱殺菌用のオートクレーブ内に配置される。容器の内容物は、最も冷たい容器に関して15分のピークの存在(peak dwell)を伴う121+4/−0℃のサイクルを用いて蒸気殺菌される。
【0095】
その後、複数の個々の注入済みの容器12が発送用の段ボール内に配置され、保管され、最終的にはユーザに向けて発送される。
【0096】
図25Aの可撓性のある容器又はIVバッグ12は、実質的に直線状の長手方向の側部を有する。容器は、容器壁部3の前部3A及び後部3Bを結合する外周シーム5を有する。シーム5は、それに限定されないが、熱溶接、超音波溶接等を含む良く知られた従来のプロセスで形成され得る。シーム5又は溶接部は、容器本体1の実質的に直線状の長手方向側部に沿ってまっすぐ延び、バッグ12の角部で凸状に曲がる。しかしながら、角部付近の容器12の外周シーム5の経路の変化が、バッグ12が注入された場合に、角部付近の容器の内部における材料のよじれ、皺及び所望でないタッキングをもたらし得ることが発見されている。タッキングは、オートクレービング後に特に明らかであり、それは、フィルムの透明度を損ない、排液に悪影響し、バッグ12又はその内容物の欠陥としてユーザに把握される可能性がある。
【0097】
本発明は、図25B、図25C及び図27に例示されるように、可撓性のある流体容器又はバッグ12を提供することにより、これらの問題に対する解決策をもたらす。容器又はバッグ12は、可撓性のある細長い容器本体1を有する。図27に見られるように、本体1は、その内部に形成される流体貯留器2を有する。流体貯留器2は、前部3A及び後部3Bを備える容器壁部3により取り囲まれる。
【0098】
容器本体1は、全体として両側にある一対の長手方向側縁部37、39を有する。多くの対称的なまた非対称的な形状が、本発明を逸脱することなく可能であるが、対称的な形状が例示され、そのため、容器本体1が中央長手軸41を有している。容器本体1は、上縁部43及びその上縁部43の反対側にある底縁部45を含む。上縁部43及び底縁部45は、容器本体1の中央軸41を横切って延びる。容器本体1は、容器12を吊るすための上縁部43に隣接して形成される穴部47を有する。容器本体1はまた、他のポート構造及び構成が本発明のこの態様を損なわないだろうが、底縁部45にて、例えば前述されたように、一対の密閉されたポートを有する。容器壁部3の前部3A及び後部3Bは、熱密閉、接着、接合、溶接又は他の従来の接合手段により、外周シーム5に沿って、そこに流体を含むべく貯留器2を形成するために互いに密閉される。外周シーム5は、両側の長手方向側縁部37、39の少なくとも一方に隣接して延びる。
【0099】
一実施形態では、シーム5が、それが隣接する長手方向側縁部37、39の経路を問わずに、中央長手軸41等の容器本体1の長手軸に対して、凹状の経路をたどる。別の実施形態では、シーム5が、中央長手軸41及びそれが隣接する側縁部37、39の少なくとも一方の両方に対して、凹状の経路をたどる。言い換えれば、長手方向側縁部37、39の少なくとも一方は実質的に直線状であり、外周シーム5はその側縁部37又は39に対して内方に曲がっている。容器及びシーム5の長手方向側縁部37、39間の間隔は、シームが容器の中間に近づくにつれ、全体として大きくなり、また、シーム5が容器の上端部及び底端部に近づくにつれ小さくなる。他の実施形態では、図25Bに示されるように、両側の長手方向縁部37、39の両方が直線状であり、シーム5が両側の長手方向縁部37、39の両方に対して内方に曲がっている。図25Cに示される更に別の実施形態では、長手方向側縁部37、39がまた内方に曲がっている。側縁部37、39は、曲がったシーム5からの距離にて変化し得る、又は、シーム5に平行であり得る。シーム5に平行である実施形態は、溶接されたシーム5の一体性及び信頼性を危うくすることなく、仕上げられた容器1に存在する材料の量を抑制する助けになり得る。
【0100】
曲がった外周シーム5についての他の経路が考えられるが、図25B及び図25Cに示されるようなシーム5のほぼ完全な内側縁部に沿って広がる十分な(全部又はほぼ全部の)半径範囲(radius)が良好な結果をもたらす。約9.25インチ長さ及び4.0インチ幅のバッグ12において、約53のバッグ長にわたる凹面の凹面比(実際の又は仮想の直線状のシーム又はバッグの外側縁部に対するシームの内側縁部の内方への最大オフセット)が良好な結果をもたらした。他方、7.25インチバッグにおける約29の凹面比は、皺及びフィルムのブロッキング(blocking)を抑制し損なった。これに基づき、少なくとも約35の凹面比が望ましいこと、及び、約40−70の範囲の凹面比が、さもなければ容器12のオートクレービングに際して生じ得る皺及びフィルムのブロッキングを相当に抑制することになることが確信される。
【0101】
前部3A及び後部3Bは、種々の方法でまた種々の材料から形成され得る。それに限定されることはないが、本発明のこの態様の範囲から逸脱することなく、フィルムが、この出願で先に述べられた低MVTRポリオレフィンのDEHPを含まずまたPVCを含まない多層フィルムであり得る場合を含む。一実施形態において、前部3A及び後部3Bが、それぞれ、別個の可撓性のあるフィルムのシートで形成され得る。前部3Aのフィルムは、後部3Bのフィルムに対する材料の観点から同一であり得る、又は、異なるフィルム及び/又は材料が用いられ得る。他の実施形態では、前部3A及び後部3Bが、前部3A及び後部3Bを形成するために、上部、底部又は側部に沿って折り曲げられる単一のフィルムシートから形成される。これは、前部3Aの内側層を、後部3Bの内側層に対向する又は重ね合わせられる関係で配置する。
【0102】
前部3Aの形状は、また後部3Bの形状と異なる。前部3A及び後部3Bの形状は、多面的であり得る。限定でなくただ例示の目的のために、前部3A及び後部3Bを作り上げるフィルムのシートが、実質的に矩形状であり得る。
【0103】
曲がった側部シームを備えた本発明の容器は、掴むこと及び取り扱うことが簡単であり、内外に皺をできにくくし、また、角部付近の容器の内部におけるフィルムのタッキング又はブロッキングに耐性を有する。
【0104】
当業者は、本発明が、その上、経腸栄養又は他の医療流体用の可撓性のある容器に適用され得ることを理解するであろう。
【0105】
前述から、本発明が、少なくとも前述した目的の全てを達成することが理解され得る。本発明は、保管及び使用の間の汚染可能性を抑制し、流体が引き出される又は導入される場合の取扱いの容易さを向上させ、また、製造の容易さ及び効率を向上させるポート閉鎖システムを提供する。本発明は、PVC及びDEHPを含まない容器を提供する。容器は目標注入容量付近のより大きな製造上の公差を可能とする低MVTRを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体貯留器が内部に形成され容器壁部に取り囲まれた、可撓性のある容器本体であって、その内部に少なくとも1つのポートを含む容器本体と、
少なくとも1つのポートを密閉するためのポート閉鎖システムとを備える、可撓性のある流体容器。
【請求項2】
少なくとも1つのポートが、近位端部、遠位端部、及び、近位端部から遠位端部まで延びる流体通路を含む細長い注入チューブを備えており、遠位端部が容器本体から延びると共に、近位端部が、流体通路が流体貯留器と連通するように容器本体に取り付けられ、注入チューブが、遠位端部に隣接する上部と、近位端部に隣接する下部とを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
注入チューブの上部が、略円筒形であり、その上に径方向外方に延びる環状フランジと、該フランジの下方に配置される外側表面とを含み、外側表面が上に両側の一対の切り欠き部を含む、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
注入チューブの下部が、非円形の横断面を有する、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
非円形の横断面が、長円形、半長円形、楕円形、半楕円形、菱形及び半菱形を含む形状の群から選択され、第1の軸及び第1の軸を横切る第2の軸を有する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
注入チューブの上部における切り欠き部が、注入チューブの下部の第1の軸に垂直である、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
第1の軸が、注入チューブの下部の幅を定める両端で末端をなすと共に、第2の軸が、注入チューブの下部の深さを定める両端で末端をなし、第1の軸が注入チューブの下部の長軸であると共に第2の軸が短軸であるように、注入チューブの下部の幅が注入チューブの下部の深さより大きい、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
注入チューブの下部が、非円形の横断面を有する、請求項2に記載の容器。
【請求項9】
非円形の断面が、長円形、半長円形、楕円形、半楕円形、菱形及び半菱形のうちの1つであり、第1の軸及び第1の軸を横切る第2の軸を有する、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
第1の軸が、注入チューブの下部の幅を定める両端で末端をなすと共に、第2の軸が、注入チューブの下部の深さを定める両端で末端をなし、第1の軸が注入チューブの下部の長軸であると共に第2の軸が短軸であるように、注入チューブの下部の幅が注入チューブの下部の深さより大きい、請求項9に記載の容器。
【請求項11】
注入チューブの下部が、長軸の両端に形成される外側半径を有する、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
長軸の両端に形成される外側半径が、0.005−0.015インチ半径である、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
注入チューブの下部が、長軸の両端の少なくとも一方に形成される外側半径を有する、請求項10に記載の容器。
【請求項14】
短軸の両端の少なくとも一方に形成される外側半径が、0.125−0.250インチ半径である、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
注入チューブが、約1−2インチ長である、請求項2に記載の容器。
【請求項16】
注入チューブが、約1.4−1.8インチ長である、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
注入チューブが、注入チューブ壁部により定められ、18ゲージ針が、6ポンドまでの力を加えられた場合に、注入チューブ壁部に垂直な方向において注入チューブ壁部を通じて押されることを防止するように、該注入チューブ壁部が十分な厚さ及び剛性を有する、請求項2に記載の容器。
【請求項18】
注入チューブが、約2%から約6%までのエチレン含有量、及び、約129℃から約145℃までの溶融点を備えたランダムなポリプロピレン共重合体を備える、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
注入チューブ壁部が、約0.9と1.5mmとの間の実質的に均一な厚さを有する、請求項18に記載の容器。
【請求項20】
容器壁部が、後部と、流体貯留器を定めるために接触面にて後部上に重ね合わせられ外周シームに沿って密閉式に後部に接合される前部とを有しており、注入チューブの下部の長軸が接触面に存在し、容器壁部の前部及び後部が注入チューブの下部に密閉式に接合されるように、注入チューブの下部が容器壁部の前部と後部との間に差し込まれる、請求項10に記載の容器。
【請求項21】
後部及び前部が、それぞれ、容器が1日当たり約0.060グラム/100平方インチより低い水蒸気透過率を有するように選択された多層の可撓性をもつポリオレフィンフィルムのシートである、請求項20に記載の容器。
【請求項22】
少なくとも1つのポートが、それぞれ注入チューブ及びポート閉鎖システムを備えた一対のポートを備え、注入チューブが、独立して可動であり、ユーザが少なくとも1本の指を注入チューブの間に差し込むために注入チューブが十分に間隔を置かれるように、各注入チューブの下部が容器本体に取り付けられる、請求項21に記載の容器。
【請求項23】
多層の可撓性をもつポリオレフィンフィルムが、内側層と外側層との間に配置されたバリア層を含み、内側結合層が、バリア層と内側層との間に配置され、外側結合層が、バリア層と外側層との間に配置され、バリア層が、内側結合層により内側層に取り付けられる一方の側部と、外側結合層により外側層に取り付けられる反対側の側部とを含む、請求項21に記載の容器。
【請求項24】
多層の可撓性をもつポリオレフィンフィルムが、CRYOVAC M312フィルムである、請求項23に記載の容器。
【請求項25】
容器本体、注入チューブ及びポート閉鎖システムが、PVC及びDEHPを含まない、請求項2に記載の容器。
【請求項26】
内部に少なくとも1つのポートを有する多層のポリオレフィンバッグを備える容器を用意するステップと、
少なくとも1つのポートに注入チューブを取り付けるステップと、
容器に所定量の医療流体を注入するステップと、
注入チューブをポート閉鎖システムで密閉するステップと、
容器をオーバラップ内に閉じ込めることなしに、容器をオートクレービングするステップと、を有する、医療流体をパッケージし保管するための方法。
【請求項27】
容器を発送用段ボール内に配置し、注入済みの容器が36カ月までの期間外気にさらされることを可能にするステップを更に備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
注入済みの容器が、24カ月までの期間外気にさらされることを可能とされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
流体貯留器が内部に形成され容器壁部に取り囲まれた、可撓性のある容器本体であって、その内部に少なくとも1つのポートを含む容器本体と、
少なくとも1つのポートに密閉式に取り付けられる注入チューブであって、容器本体に取り付けられる近位端部、容器本体から延びる遠位端部、及び、遠位端部から近位端部まで延び、流体貯留器と連通する流体通路を有し、注入チューブの遠位端部がその上に径方向外方に延びるフランジを有する、注入チューブと、
少なくとも1つのポートを密閉するためのポート閉鎖システムであって、注入チューブの遠位端部を流体密閉するように構成されたポートハウジングを含む、ポート閉鎖システムとを備える、可撓性のある流体容器。
【請求項30】
ポートハウジングが、注入チューブに取り付けられた環状部を含むベース面を有し、該ベース面が、環状部の内側縁部における環状凹部と、環状部の外側縁部における面取り部と、注入チューブに接触するために凹部と面取り部との間に配置される接触リングとを有する、請求項29に記載の容器。
【請求項31】
接触リングが、実質的に水平の平面である、請求項30に記載の容器。
【請求項32】
接触リングが、注入チューブの遠位端部におけるフランジに取り付けられる、請求項30に記載の容器。
【請求項33】
流体貯留器が内部に形成され容器壁部に取り囲まれた、可撓性のある容器本体であって、その内部に少なくとも1つの流体ポートを含む容器本体と、
流体ポートを閉じた状態で密閉するように構成されたポートハウジングと、
ポートハウジングに接続されるキャップアッセンブリであって、一体構造であり、また、フランジブル領域により取り外し可能なキャップに接続される冠状部を有する、キャップアッセンブリと、
外側シェルと、ポートハウジングとかみ合い可能に接続される下側シェルと、外側シェルと下側シェルとの間に延びる密閉された開口とを有する冠状部と、
フランジブル領域により密閉された開口にわたり密閉されるカバーと、ユーザが、フランジブル領域を切断し、冠状部からカバーを分離するために、引張り要素を手で引っ張ることを可能とするべく、カバーに接続される引張り要素とを含む取り外し可能なキャップとを備える、可撓性のある容器。
【請求項34】
少なくとも1つの注入ポートに密閉式に取り付けられた注入チューブであって、容器本体に取り付けられる近位端部、容器本体から延びる遠位端部、及び、遠位端部から近位端部まで延び、流体貯留器と連通する流体通路を有し、注入チューブの遠位端部がその上に径方向外方に延びるフランジを有する注入チューブを更に備える、請求項33に記載の容器。
【請求項35】
ポートハウジングが、注入チューブに取り付けられた環状部を含むベース面を有し、該ベース面が、環状部の内側縁部における環状凹部と、環状部の外側縁部における面取り部と、注入チューブに接触するために凹部と面取り部との間に配置される接触リングとを有する、請求項34に記載の容器。
【請求項36】
接触リングが、実質的に水平な平面を備える、請求項35に記載の容器。
【請求項37】
接触リングが、注入チューブの遠位端部におけるフランジに取り付けられる、請求項35に記載の容器。
【請求項38】
容器本体が、内部に2つの流体ポートを有し、該2つの流体ポートの各々が注入チューブを有し、ポート閉鎖システムを装備している、請求項37に記載の容器。
【請求項39】
注入チューブが、遠位端部に隣接する上部と、近位端部に隣接する下部とを有し、ユーザが少なくとも1本の指を注入チューブの間に差し込むために注入チューブが十分に間隔を置かれるように、注入チューブの下部が容器本体に取り付けられる、請求項38に記載の容器。
【請求項40】
容器壁部が、多層の可撓性をもつポリオレフィンフィルムを含み、また、容器本体、注入チューブ、及び、ポート閉鎖システムが、PVC及びDEHPを含まない、請求項34に記載の容器。
【請求項41】
多層の可撓性をもつポリオレフィンフィルムが、内側層及び外側層を有する、請求項40に記載の容器。
【請求項42】
流体貯留器が内部に形成され、前部及び後部並びに少なくとも1つの長手方向側縁部を含む容器壁部に取り囲まれた、可撓性のある細長い容器本体と、
流体貯留器を定めるために、少なくとも1つの長手方向側縁部に隣接する外周シームに沿って互いに密閉される前部及び後部とを備えており、
外周シームが、容器の長手軸に対して凹状の経路をたどる、可撓性のある流体容器。
【請求項43】
少なくとも1つの長手方向側縁部が直線状であり、外周シームが少なくとも1つの長手方向側縁部に対して内方に曲がっている、請求項42に記載の容器。
【請求項44】
少なくとも1つの長手方向側縁部が、一対の両側の長手方向側縁部を備え、外周シームが、該両側の長手方向側縁部の各々に隣接する凹状の経路に沿って延びる、請求項42に記載の容器。
【請求項45】
両側の長手方向側縁部の両方が直線状であり、外周シームが両側の長手方向側縁部の両方に対して内方に曲がっている、請求項44に記載の容器。
【請求項46】
前部及び後部が、それぞれ、可撓性のあるフィルムのシートで形成される、請求項42に記載の容器。
【請求項47】
前部及び後部が、それぞれ、別個のフィルムのシートで形成される、請求項46に記載の容器。
【請求項48】
前部のフィルムが、後部のフィルムと同一である、請求項46に記載の容器。
【請求項49】
前部及び後部が、該前部及び後部を形成するために折り重ねられる単一のフィルムのシートから形成される、請求項48に記載の容器。
【請求項50】
前部が、多層フィルムの第1のシートから形成されると共に、後部が、該多層フィルムの第2のシートから形成される、請求項48に記載の容器。
【請求項51】
第1のシート及び第2のシートが、それぞれ、多層フィルムの個々の多面的なシートである、請求項50に記載の容器。
【請求項52】
多面的なシートが矩形である、請求項51に記載の容器。
【請求項53】
可撓性のあるフィルムが、ポリオレフィンを含み、また、DEHP及びPVCを含まない、請求項46に記載の容器。
【請求項54】
フィルムが、1日当たり約0.060グラム/100平方インチより低い水蒸気透過率を示す多層ポリオレフィンフィルムである、請求項53に記載の容器。
【請求項55】
外周シームによりたどられる凹状の経路が、少なくとも約35の凹面比を有する、請求項42に記載の容器。
【請求項56】
外周シームによりたどられる凹状の経路が、約40−70の範囲の凹面比を有する、請求項55に記載の容器。
【請求項57】
流体貯留器が内部に形成され、前部及び後部並びに一対の両側の長手方向側縁部を有する容器壁部に取り囲まれた、可撓性のある細長い容器本体と、
流体貯留器を定めるために、長手方向側縁部の一方に隣接する外周シームに沿って互いに密閉される前部及び後部とを備えており、
外周シームが、容器の長手軸に対して凹状の経路をたどり、一長手方向側縁部に対して内方へ曲がっている、可撓性のある流体容器。
【請求項58】
一長手方向側縁部が直線状である、請求項57に記載の可撓性のある流体容器。
【請求項59】
流体貯留器が内部に形成され、前部及び後部並びに長手方向に延びる一対の両側の直線状側縁部を有する容器壁部に取り囲まれた、可撓性のある細長い容器本体と、
流体貯留器を定めるために、両側の直線状側縁部に隣接して延びる外周シームに沿って密閉される前部及び後部とを備えており、
両側の直線状側縁部に隣接する外周シームが、容器本体の中央長手軸に対して凹状の経路をたどり、両側の直線状側縁部の各々に対して内方へ曲がっている、可撓性のある流体容器。
【請求項60】
上縁部及び該上縁部の反対側にある底縁部を更に備え、上縁部及び底縁部が、容器本体の中央軸を横切って延び、容器本体が、容器を吊るすための、上縁部に隣接して上縁部を通って形成された穴部と底縁部における一対の密閉されたポートとを有する、請求項59に記載の容器。
【請求項61】
前部及び後部が、PVC及びDEHPを含まない多層のポリオレフィンフィルムの単一シートで形成され、また、密閉されたポートがPVC及びDEHPを含まない、請求項58に記載の容器。
【請求項62】
容器が、1日当たり約0.060グラム/100平方インチより低い水蒸気透過率を有する、請求項59に記載の容器。
【請求項63】
外周シームによりたどられる凹状の経路が、少なくとも約35の凹面比を有する、請求項59に記載の容器。
【請求項64】
外周シームによりたどられる凹状の経路が、約40から70の範囲の凹面比を有する、請求項63に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2009−542367(P2009−542367A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518556(P2009−518556)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/072361
【国際公開番号】WO2008/003045
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(504308442)ホスピラ・インコーポレイテツド (50)
【Fターム(参考)】