医療用容器の製造方法および医療用容器
【課題】ポート固定部の薬剤室側におけるピンホールの発生防止を防止することができる医療用容器の製造方法および医療用容器を提供する。
【解決手段】医療用容器の製造方法は、ポート取付部7を有する軟質容器本体2を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポート12を準備する工程と、ポート12の一端側を容器本体2のポート取付部7に挿入するポート挿入工程と、挿入されたポート12の端部を容器本体2に弱シールする弱シール工程と、ポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を強シールする強シール工程とを備える。また、医療用容器1は、ポート12を容器本体2に固定する固定部16を有し、固定部16は、薬剤室側に設けられた弱シール部18と、弱シール部18に近接する強シール部19を備える。
【解決手段】医療用容器の製造方法は、ポート取付部7を有する軟質容器本体2を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポート12を準備する工程と、ポート12の一端側を容器本体2のポート取付部7に挿入するポート挿入工程と、挿入されたポート12の端部を容器本体2に弱シールする弱シール工程と、ポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を強シールする強シール工程とを備える。また、医療用容器1は、ポート12を容器本体2に固定する固定部16を有し、固定部16は、薬剤室側に設けられた弱シール部18と、弱シール部18に近接する強シール部19を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器の製造方法および医療用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用容器には、例えば、点滴用の薬液を収納する輸液用容器、中心静脈に直接投与するために栄養分を収納するIVHバッグ、経腸栄養剤を収納するバッグ、骨髄やリンパ球などの生体細胞を収納する細胞培養用バッグ、尿を収納する採尿バッグ、各種薬液を収納するバッグなど各種のバッグがある。これら医療用容器は、古くは硬質容器であったが、現在では、殆どが軟質容器となっている。
軟質容器は、軟質樹脂製シートにより構成された軟質バッグ(容器本体)に、排出ポート、混注ポート等を取り付けることにより作製されている。そして、軟質バッグへのポート等の取付けは、軟質樹脂製シート間にポート等を配置し、ポート等の外周面付近をシール用金型によりヒートシールすることにより行われている。
しかしながら、軟質バッグに形成されたポート等の固定対象部材取付部にポート等を配置した際、ポート等には厚みがあるので固定対象部材取付部を構成するシートにはある程度テンションがかかっている。このため、シート用金型を用いてヒートシールする際に、ポート等の外周面付近に位置するシート部分が金型の押圧に反発した状態でヒートシールされる。このため、ポート等の外周面上もしくは両側に位置するシートが肉薄になり易く、また穴あき等が発生する場合がある。そして、薬剤室収納側における穴あき(ピンホール)は、バッグ内の輸液の漏れや変質の原因となる。
そこで、本発明者は、特開2006−204610(特許文献1)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、薬剤室を有する軟質バッグ2と固定対象部材12,17とを有する医療用容器1の製造方法であり、固定対象部材取付部7,8を有する軟質樹脂製シート2a,2bにより構成された軟質バッグ2と部材12,17とを準備する工程と、部材12,17を取付部7,8に配置する配置工程と、配置された部材12,17の外周面付近18を圧迫して取付部7,8を構成するシート同士を近接もしくは接触させる圧迫工程と、圧迫工程による圧迫を維持した状態で圧迫された部分18よりも軟質バッグ周縁側の取付部付近19にて部材12,17を軟質バッグ2にヒートシールする工程を備える。
上記のものでも十分な効果を有するが、薬剤室収納側における穴あき(ピンホール)の発生防止をより確実に防止できるものが求められていた。
そこで、本発明は、ポート固定部の薬剤室側における穴あき(ピンホール)の発生防止をより確実に防止することができる医療用容器の製造方法および医療用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器の製造方法であって、該医療用容器の製造方法は、ポート取付部を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体を準備する工程と、前記熱可塑性樹脂製ポートを準備する工程と、前記ポートの一端側を前記容器本体のポート取付部に挿入するポート挿入工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの端部を前記容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの前記弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ前記容器本体の外縁側となる部分を前記弱シールより高い温度にて前記容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える医療用容器の製造方法。
【0006】
(2) 前記医療用容器の製造方法は、前記ポート挿入工程の後、該ポートより前記容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものである上記(1)に記載の医療用容器の製造方法。
(3) 前記吸引工程は、少なくとも前記弱シール工程開始時まで行うものである上記(2)に記載の医療用容器の製造方法。
(4) 前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(5) 前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(6) 前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備え、前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程継続中に開始しかつ前記弱シール工程終了前に終了するものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(7) 前記弱シール工程は、前記ポートの弱シールされる外周面部分を前記容器本体の両面側から圧迫して行うものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程における前記圧迫を保持した状態で行われるものである上記(6)に記載の医療用容器の製造方法。
(8) 前記吸引工程は、前記弱シール工程終了時まで行うものである上記(2)ないし(7)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(9) 前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0007】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(10) 前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の製造方法により製造される医療用容器。
さらに、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器であって、前記容器本体は、ポート取付部を備え、前記ポートは、一端側が前記ポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により前記容器本体に固定されており、かつ、前記固定部は、前記薬剤室側に設けられた弱シール部と、前記弱シール部に近接しかつ前記容器本体の外縁側に位置し、かつ前記弱シール部よりシール強度が高い強シール部とを備える医療用容器。
【0008】
(12) 前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである上記(10)または(11)に記載の医療用容器。
(13) 前記ポートは、排出ポートであり、医療用容器は、前記薬剤室内に充填された薬液を有し、前記弱シール部は、前記医療用容器の吊り下げ時における前記薬液による加重では剥離しないものとなっている上記(10)または(11)に記載の医療用容器。
(14) 前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の薬剤室の内縁方向に延び、かつ前記容器本体の薬剤室の内縁に到達する側部弱シール部とを備えている上記(10)ないし(13)のいずれかに記載の医療用容器。
(15) 前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部とを備えている上記(10)ないし(14)のいずれかに記載の医療用容器。
(16) 前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部と、該傾斜側部弱シール部の端部より、前記容器本体の側部方向に延びる側部弱シール部端部とを備えている上記(10)ないし(15)のいずれかに記載の医療用容器。
(17) 前記強シール部は、前記ポートを前記容器本体に強シールする中央強シール部と、該中央強シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部強シール部を備えている上記(10)ないし(16)のいずれかに記載の医療用容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医療用容器の製造方法は、ポート取付部を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポートを準備する工程と、ポートの一端側を容器本体のポート取付部に挿入する挿入工程と、挿入工程により挿入されたポートの端部を容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備えている。
このため、本発明の医療用容器の製造方法によれば、ポート取付部へのポート固定時における当該固定部での容器本体の薄肉化を確実に防止し、薄肉化に起因するピンホールの発生を防止する。
また、本発明の医療用容器は、上記製造方法により製造される医療用容器である。このため、本発明の医療用容器は、ポート取付部へのポート固定時における当該固定部での容器本体の薄肉化が極めて少なく、薄肉化に起因するピンホールの発生が極めて少ない。
また、本発明の医療用容器は、熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、容器本体の薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備えるものであり、かつ、容器本体は、ポート取付部を備え、ポートは、一端側が前記ポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により容器本体に固定されており、かつ、固定部は、薬剤室側に設けられた弱シール部と、弱シール部に近接しかつ容器本体の外縁側に位置し、かつ弱シール部よりシール強度が高い強シール部とを備えている。
このため、本発明の医療用容器は、ポート取付部へのポート固定部の端部が弱シール部となっているため、当該部分でのピンホールの発生が極めて少ない。また、ポート端部をヒートシールすると、シートのしわが大きいので、特にピンホールが生じやすいが、ポート端部を弱シールとしたので、ピンホールが生じることなくポート端部をシールでき、薬液充填後も弱シールが維持されている場合は、バッグ内部へのポートの突出が押えられ、投与時の残液量をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施例である医療用容器の正面図である。
【図2】図2は、図1に示した医療用容器のA−A線断面拡大図である。
【図3】図3は、図1に示した医療用容器の排出ポート付近の拡大図である。
【図4】図4は、図1に示す医療用容器に用いられる容器本体の正面図である。
【図5】図5は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の医療用容器の製造方法に用いられるヒートシール装置の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(ポート挿入工程)。
【図8】図8は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(吸引工程)。
【図9】図9は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(弱シール工程)。
【図10】図10は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(強シール工程)。
【図11】図11は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(冷却工程)。
【図12】図12は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である。
【図13】図13は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例の弱シール工程を説明するための説明図(弱シールされる部分における断面図)である。
【図14】図14は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例の弱シール工程を説明するための説明図である(弱シールされる部分における断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例である医療用容器の製造方法および医療用容器について添付図面を用いて説明する。
本発明の医療用容器の製造方法は、熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室3を有する容器本体と、容器本体の薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製排出ポートとを備える医療用容器の製造方法である。
本発明の医療用容器の製造方法は、ポート取付部7を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体2を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポート12を準備する工程と、ポート12の一端側を容器本体2のポート取付部7に挿入するポート挿入工程と、ポート挿入工程により挿入されたポート12の端部を容器本体2にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、ポート挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える。
そして、本発明の医療用容器は、本発明の医療用容器の製造方法により製造される医療用容器である。
また、本発明の医療用容器1は、熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体2と、容器本体2の薬剤室3と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポート12とを備える医療用容器である。そして、容器本体2は、ポート取付部7を備え、ポート12は、一端側がポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により容器本体に固定されており、かつ、固定部16は、薬剤室側に設けられた弱シール部18と、弱シール部18に近接しかつ容器本体2の外縁側に位置し、かつ弱シール部18よりシール強度が高い強シール部19とを備えている。
【0012】
最初に、本発明の医療用容器1について、図1、図2および図3を用いて説明する。
本発明の医療用容器1は、図1に示すように、容器本体2と排出ポート12とを備えている。
容器本体としては、例えば、図4に示すようなものが使用される。この容器本体2は、熱可塑性軟質樹脂製シート2a,2bにより構成された軟質容器であり、図1,図4に示す実施例では、内部に薬液を収納可能な内部空間(薬剤室)3,4を有し、一端部及び他端部がシールされている。容器本体2の一端部には一端側シール部5が設けられ、他端部には他端側シール部6が設けられている。一端側シール部5と他端側シール部6は、幅広シール部である。また、容器本体2は、チューブ状の成形体を扁平にして得られた対向する軟質樹脂製シート2a,2bにより構成されている。
また、図4に示すように、容器本体2の一端側シール部5には、ポート取付部である排出ポート取付部7が設けられている。排出ポート取付部7は、一端側シール部5の一部をシールしないことにより容器本体2の内部空間(本発明の実施例では、第1の薬剤室3)と外部とが連通するように設けられている。排出ポート取付部7は、排出ポート12が取り付け(配置、挿入)しやすいように、それぞれ容器本体2の内部空間3側から容器本体2の外縁に向かって拡径している。
また、この実施例では、容器本体2の内部空間は、図1,図4に示すように、剥離可能な仕切用弱シール部10により第1の薬剤室3と第2の薬剤室4に区分されている。なお、容器本体2の内部空間は、仕切用弱シール部により仕切られない単室のものであってもよい。
【0013】
容器本体2は、熱可塑性軟質合成樹脂により作製されている。容器本体2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、容器本体2は、例えば、Tダイ法、ブロー成形法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ホットプレス法等の種々の方法により製造されたものでもよい。そして、容器本体2は、製造過程において扁平に折り曲げられることにより2つの側辺が形成される。また、必要により軽くプレスすることにより、折り曲げられた側辺を形成してもよい。
また、容器本体2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。
このように容器本体2が水蒸気バリヤー性を有することにより、医療用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される液体の減少、濃縮を防止することができる。このような容器本体2の形成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高い透明性、適度な柔軟性、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。容器本体2としては、ヒートシールされる部分の内面が熱可塑性合成樹脂により作製されたものが用いられる。特に、容器本体2としては、内面全体もしくはバッグ全体が熱可塑性合成樹脂で作製されたものが好ましい。
【0014】
また、容器本体2の形成材料として、ポリオレフィンが含有されるとき、本発明の有用性が大きいものとなる。したがって、本発明においては、容器本体2の形成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。容器本体2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、また、軟質バッグは、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、容器本体2の耐衝撃性を向上させたり、対ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、容器本体2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与することができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、シート状筒状体2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、容器本体2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
【0015】
容器本体2を構成するシート(単層または多層積層体)2a,2bの厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜300μm程度であるのがより好ましい。
また、医療用容器1の容積は、内部に収納する液体の種類等によって異なるが、通常は、50〜5000ml程度であるのが好ましく、100〜3000ml程度であるのがより好ましい。
容器本体2の一端側シール部5及び他端側シール部6は、熱融着(ヒートシール)、高周波融着等により形成されることが好ましく、特に、熱融着により行うことが好ましい。
【0016】
仕切用弱シール部10は、図1,図4に示すように、容器本体2の中央付近に形成された帯状のシール部である。仕切用弱シール部10は、第1の薬剤室3と第2の薬剤室4に液体が充填された状態の医療用容器1のいずれか一方の室を掌等で押圧したり絞るように握ったりすること等により、剥離可能な程度のシール強度を備える。また、仕切用弱シール部の両端部には、実質的に剥離しない強シール部10aが形成されている。このように仕切用弱シール部10により容器本体2内を区分することにより、反応等による変質、劣化を生じる物質を含有する液体を使用するまでは別々に保存でき、使用に際し、両液を混合することが好ましいとき等に適用することができる。このような液体としては、例えば、アミノ酸電解質液とブドウ糖液、ブドウ糖液と重曹液等の組み合わせが挙げられる。また、上記のような仕切用弱シール部を備えない場合には、どのような液体を充填してもよく、例えば、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、腹膜透析液、経口(腸)栄養剤等が挙げられる。なお、容器本体2(医療用容器1)は、仕切用弱シール部を備えるものに限定されずに、単室構造のものであってもよい。
【0017】
また、容器本体2の他端側シール部6には、ハンガー等に吊り下げるための孔(吊り下げ部)9が設けられていることが好ましい。
容器本体2に取り付けられるポートとしては、排出ポート及び/若しくは混注ポートであることが好ましい。本発明の実施例では容器本体2の下端部に排出ポート12が取り付けられている。また、上端部に混注ポート(図示せず)を取り付けてもよい。
また、本発明で使用される排出ポート12としては公知のものを使用することが好ましく、例えば、筒状ポート部材とその開口を封止するとともに針管を挿通可能なシール部材を備えるものが好ましい。具体的に、排出ポート12としては、両端側が開口した筒状ポート部材13と、筒状ポート部材13の容器本体2内に侵入していない端部の開口部を封止するシール部材15を有する蓋部材14とからなるものであることが好ましい。
【0018】
また、シール部材15は、自己閉塞性を有し、針管を弾性体から抜き取った後は、その穿刺孔が閉塞し、薬液の漏れを防止するものであることが好ましい。シール材の構成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料等の弾性材料、あるいはこれらのうちの任意の2以上を組み合わせたものが挙げられ、シール性、再シール性の点からは弾性材料を含有しているものが好ましい。また、ポートとしては、円筒状、楕円筒状あるいは多角柱状の成形品であることが好ましい。
【0019】
混注ポートとしては、公知のものを使用することが好ましく、例えば、筒状ポート部材とその開口を封止するとともに針管を挿通可能なシール部材を備えるものが好ましい。混注ポートにおけるシール部材の構成材料は排出ポートのシール部材と同様のものが用いられる。また、混注ポート取付部も容器本体2の一端側シール部もしくは他端側シール部の一部をシールしないことにより形成することが好ましい。
排出ポート12、混注ポートの構成材料としては、容器本体2と相溶性を有する樹脂であることが好ましい。また、排出用、混注用穿刺針の刺通操作を良好にするため、硬質材料であることが好ましい。例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン(具体的には、ZEONEX(登録商標、日本ゼオン株式会社)、APEL(登録商標、三井化学株式会社製))、ポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に混合あるいは積層して組み合わせたものが挙げられる。
【0020】
そして、図1ないし図3に説明するように、熱可塑性樹脂製ポート12(具体的には、排出ポート12の筒状ポート部材13)は、一端側が容器本体2のポート取付部7内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部16により容器本体2に固定されている。
そして、ポートを容器本体に固定する固定部16は、薬剤室側に設けられた弱シール部18と、弱シール部18に近接しかつ容器本体2の外縁側に位置し、かつ弱シール部18よりシール強度が高い強シール部19とを備えている。
本発明では、ポートを容器本体に固定する固定部16は、容器本体2の外縁部に位置する強シール部のみならず、ポートの容器本体内に侵入した端部側を弱シールする弱シール部を備えている。
弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、1〜25N/10mm、特に、2〜20N/10mmであることが好ましい。また、上記のように固定部が排出ポートを固定するものである場合、弱シール部18は、医療用容器の吊り下げ時における薬剤室内の薬液による加重では剥離しないものであることが好ましい。このようにすることにより、ポート端部における薬剤の残液を防止できる。
また、強シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、10〜50N/10mm、特に、20〜40N/10mmであることが好ましい。また、弱シール部18と高い強シール部19とのシール強度差(初期の剥離強度差)は、強シール部が、弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、5〜30N/10mm、特に、10〜25N/10mm大きいものであることが好ましい。
【0021】
そして、この実施例の医療用容器1では、図1および図3に示すように、弱シール部18は、ポートの端部(具体的には、筒状ポート部材13の端部)を容器本体2に弱シールする中央弱シール部18aと、中央弱シール部18aの両端より、容器本体2の薬剤室の内縁方向に延び、かつ前記容器本体の薬剤室の内縁に到達する側部弱シール部とを備えている。特に、この実施例の医療用容器1では、側部弱シール部は、中央弱シール部18aの両端より、容器本体2の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部18bとなっている。さらに、この実施例の医療用容器2では、傾斜側部弱シール部18bの端部より、容器本体の側部方向に延びる側部弱シール部端部18cを備えている。このように、中央部が窪んだ形状とすることにより、ポートの端部付近に確実に弱シール部を形成可能であるとともに、その状態の保持も可能となる。また、この実施例の医療用容器では、中央弱シール部18aと側部弱シール部端部18cは、ほぼ平行で所定長延びるものとなっており、傾斜側部弱シール部18bがそれらを接続する状態となっている。弱シール部の太さ(幅)、具体的には、中央弱シール部18a、傾斜側部弱シール部18bおよび側部弱シール部端部18cの太さ(幅)は、
3〜20mm程度が好ましい。
そして、この実施例の医療用容器1では、図1および図3に示すように、強シール部19は、ポート(具体的には、筒状ポート部材13)を容器本体に強シールする中央強シール部19aと、中央強シール部19aの両端より、容器本体2の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部強シール部19bを備えている。さらに、この実施例の医療用容器1では、傾斜側部強シール部19bの端部より、容器本体の側部方向に延びる側部強シール部端部19cを備えている。強シール部19の形状をこのようにすることにより、ポート(具体的には、筒状ポート部材13)を容器本体に確実に固着できる。
【0022】
次に、本発明の実施例である医療用容器の製造方法について添付図面を用いて説明する。
本発明の医療用容器の製造方法は、図13に示すように、ポート取付部7を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体2を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポート12を準備する工程と、ポート12の一端側を容器本体2のポート取付部7に挿入するポート挿入工程と、ポート挿入工程により挿入されたポート12の端部を容器本体2にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、ポート挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える。そして、本発明の医療用容器の製造方法は、図5に示すように、ポート挿入工程の後、ポートより前記容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものであることが好ましい。
【0023】
最初に、軟質容器本体の準備工程および熱可塑性樹脂製ポートの準備工程について説明する。
軟質容器本体としては、上述したものが準備される。また、ポートとしても上述したものが準備される。
また、準備される容器本体2としては、一端側シール部5に、第1の薬剤室3に収納される薬液を注入するための注入孔(図示せず)を有するものであってもよい。注入孔は、容器本体2の一端側シール部5の一部分をシールしないことにより容器本体2の内部空間と外部とが連通するように形成されることが好ましい。また、容器本体2の他端側シール部6には、第2の薬剤室4に収納される薬液を注入するための注入孔(図示せず)が形成されていてもよい。注入孔は、容器本体2の他端側シール部6の一部分をシールしないことにより内部空間(第2の薬剤室4)と外部とが連通するように形成されることが好ましい。注入孔は、第1の薬剤室3もしくは第2の薬剤室4に薬液を注入後シールされる。また、薬液の注入は、ポート12を構成する筒状ポート部材13を介して注入してもよい。
容器本体2の一端側シール部5及び他端側シール部6は、熱融着(ヒートシール)、高周波融着等により形成されることが好ましく、特に、熱融着により行うことが好ましい。
【0024】
次に、ポートの一端側を容器本体のポート取付部に挿入するポート挿入工程について図5、図7、図13を用いて説明する。
ポート挿入工程は、図7、図13に示すように、排出ポートの主構成物である筒状ポート部材13を容器本体2の一端側シール部5に設けられた排出ポート取付部7に挿入することにより行われる。
図7に示すように、排出ポートの筒状ポート部材13を配置しただけの状態では、ポート取付部7を構成する上端側のシート2aと下端側のシート2bのうち筒状ポート部材13と近接する部分は離間している。また、この状態において筒状ポート部材とポート取付部でのシート2a、2bとの間はシール時にシートのたるみによるしわが生じないように、また、後述する吸引工程が良好に行なえるように、ポート取付部7を構成するシートの筒状ポート部材13と近接する部分には、ある程度テンションがかかっている。この状態で、シール用金型を用いてヒートシールすると、シール用金型の押圧に対するシート2aとシート2bの反発により、ポート取付部7を構成するシート2a,2bのうち、筒状ポート部材13の外周面上もしくは両側に位置する部分の一部が極端にが肉薄になり易くなる。
なお、本発明の実施例では、組み立てられた排出ポート12を固定するものではなく、主構成物である筒状ポート部材13を排出ポート取付部7に挿入している。そして、ヒートシール工程により、筒状ポート部材13を容器本体2に固定した後、蓋部材14を筒状ポート部材13に取り付けることにより、排出ポートを組み立てるものとしている。このようにすることにより、蓋部材14を取り付ける前のポート12を構成する筒状ポート部材13を用いて、容器本体2内に薬液を注入および後述する容器本体内の吸引を可能としている。
【0025】
そして、この実施例の医療用容器の製造方法では、図5および図8に示すように、ポート挿入工程の後、ポートより容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものとなっている。
吸引工程は、図8に示すように、ポート挿入工程により配置されたポートの筒状ポート部材13に吸引手段31(装置は図示せず)を接続し、吸引手段31を作動させることにより行われる。吸引手段としては、真空ポンプを用いるものなどの公知のものが使用できる。吸引工程により、容器本体内の空気が吸引され、容器本体内が減圧状態となる。これにより、容器本体2は、図7に示す状態から図8に示す状態となり、ポート取付部7を構成する上端側のシート2aと下端側のシート2bのうち筒状ポート部材13と近接する部分はかなり密着した状態となる。
【0026】
次に、ポート挿入工程により挿入されたポートの端部を容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程を行う。弱シール工程を図6、図9、図14を用いて説明する。
この工程は、上述した吸引工程における吸引を維持した状態にて行うことが好ましい。
そして、この弱シール工程は、ポート挿入工程により配置されたポート(筒状ポート部材13)の端部の外周面付近をシート外面より圧迫してポート取付部7を構成するシート2a,2b同士を筒状ポート部材に隙間なく確実に接触させた状態で、当該部位を弱シールするものである。
本発明の製造方法における弱シール工程およびヒートシール工程にて使用されるヒートシール装置20としては、図6に示すようなものが用いられる。
この実施例のヒートシール装置20は、図6に示すように、弱シール金型部22と強シール金型部26とを備える。具体的には、ヒートシール装置20は、筒状ポート部材13をその一端が薬剤室3に露出するように、容器本体2に形成されたポート取付部7に挿入した状態において、筒状ポート部材13の端部の外周面付近を容器本体2の両面側から圧迫(言い換えると、狭圧、以下同様)して筒状ポート部材13にシート2a,2b同士を圧接可能かつ加熱可能な弱シール金型部22と、弱シール金型部22よりも容器本体の外縁側の取付部にて筒状ポート部材13を容器本体2にヒートシールにより固着するための強シール金型部26とを備える。
【0027】
この実施例のヒートシール装置20の弱シール金型部22は、容器本体2の一方の面側及び他方の面側からポート12(筒状ポート部材13)の外周面付近の薬剤室側に位置する部分(端部)を押圧し、ポート12(筒状ポート部材13)を構成するシート2a,2b同士を圧接させた状態にて弱シールさせるためのものである。本発明の実施例においては、弱シール金型部22は、ポート12(筒状ポート部材13)の外周面部分及びポート12(筒状ポート部材13)の両側部分を圧迫するものとなっている。
また、弱シール金型部22は、第1の弱シール金型部(上部側弱シール金型部)23と第2の弱シール金型部(下部側弱シール金型部)24とにより構成されている。
上部側弱シール金型部23は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央弱シール部形成部23aと、中央弱シール部形成部23aの両側に平面状に形成された側部弱シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部弱シール部形成部は、傾斜側部弱シール形成部23bと、傾斜側部弱シール形成部23bの端部より、側部方向に延びる側部弱シール端部形成部23cとを備えるものとなっている。
同様に、下部側弱シール金型部24は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央弱シール部形成部24aと、中央弱シール部形成部24aの両側に平面状に形成された側部弱シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部弱シール部形成部は、傾斜側部弱シール形成部24bと、傾斜側部弱シール形成部24bの端部より、側部方向に延びる側部弱シール端部形成部24cとを備えるものとなっている。
【0028】
上述したヒートシール装置20の弱シール金型部22を用いて弱シールすることにより、 図14に示すように、排出ポート12(筒状ポート部材13)が容器本体2のポート取付部7に固定される。上述した弱シール金型部22によるヒートシールにより、図3に示す上述した形態の弱シール部18が形成される。
そして、図9に示すように、上記のヒートシール装置20の弱シール金型部22を用いて、ポート12(筒状ポート部材13)の端部を容器本体2に弱シールする。弱シールする際の弱シール金型部22の温度は、容器本体2の形成材料の溶融温度より0〜20℃高いものとして行うことが好ましく、特に、5〜15℃高いものとすることが好ましい。また、容器本体2が積層体により形成されている場合には、内側層を形成する形成材料の溶融温度より0〜20℃高いものとして行うことが好ましく、特に、5〜15℃高いものとすることが好ましい。また、弱シール工程におけるシール圧は、容器本体2の形成材料等によっても相違するが、2〜20kg/cm2であるのが好ましく、5〜15kg/cm2であることがより好ましい。
また、上述した吸引工程は、少なくとも弱シール工程開始時まで行うものであることが好ましい。特に、図5に示すように、吸引工程は、弱シール工程開始時まで継続していることが好ましい。
【0029】
更に本発明の医療用容器の製造方法は、ポート挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える。
この実施例の製造方法では、図5に示すように、弱シール工程継続中(弱シール作業継続中)に行うことが好ましい。この実施例の製造方法では、強シール工程は、弱シール工程の開始後に開始され、かつ弱シール工程終了前に終了するものとなっている。また、上述した吸引工程は、少なくとも強シール工程開始時まで行うものであることが好ましい。特に、図5に示すように、吸引工程は、強シール工程終了時まで継続していることが好ましい。
【0030】
強シール工程は、上述したヒートシール装置20の強シール金型部26を用いて行われる。
強シール金型部26は、図6に示すように、第1の強シール金型部(上部側強シール金型部)28と第2の強シール金型部(下部側強シール金型部)29とにより構成されている。
上部側強シール金型部28は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央強シール部形成部28aと、中央強シール部形成部28aの両側に平面状に形成された側部強シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部強シール部形成部は、傾斜側部強シール形成部28bと、傾斜側部強シール形成部28bの端部より、側部方向に延びる側部強シール端部形成部28cとを備えるものとなっている。
同様に、下部側強シール金型部29は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央強シール部形成部29aと、中央強シール部形成部29aの両側に平面状に形成された側部強シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部強シール部形成部は、傾斜側部強シール形成部29bと、傾斜側部強シール形成部29bの端部より、側部方向に延びる側部強シール端部形成部29cとを備えるものとなっている。
特に、この実施例の製造方法では、図5に示すように、弱シール工程を継続中、言い換えれば、弱シール金型部22により、ポート取付部7を構成するシート2a,2bを圧迫(狭圧)した状態において、行われるものとなっている。また、この実施例の強シール工程は、図1、図3ないし図10に示すように、弱シールされる部分より容器本体2の周縁側に強シール部19を形成させるものである。
【0031】
上述したヒートシール装置20の強シール金型部26を用いて強シールすることにより、排出ポート12(筒状ポート部材13)が容器本体2のポート取付部7に液密に取り付けられる。上述した強シール金型部26によるヒートシールにより、排出ポート12の外周面及びその両側部分には帯状かつ両端が幅が広くなった強シール部19が形成される。
強シールする際の強シール金型部26の温度は、容器本体2の形成材料の溶融温度より20℃以上高いものとして行うことが好ましく、特に、20〜50℃高いものとすることが好ましい。また、容器本体2が積層体により形成されている場合には、内側層を形成する形成材料の溶融温度より20℃以上高いものとすることが好ましく、特に、20〜50℃高いものとすることが好ましい。また、強シール工程におけるシール圧は、容器本体2の形成材料等によっても相違するが、5〜50kg/cm2であるのが好ましく、10〜30kg/cm2であることがより好ましい。
【0032】
そして、この実施例の医療用容器の製造方法では、図5および図11に示すように、強シール工程の後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を行うものとなっている。
冷却工程は、図11に示すように、強シール金型部26を移動させて、強シールされた部分を開放し、当該部分に冷風をあてることにより行うものであることが好ましい。また、この実施例の製造方法では、図5に示すように、冷却工程は、弱シール工程継続中(弱シール作業継続中)に行うことが好ましい。具体的には、図11に示すように、強シール金型部26を移動され、かつ、弱シール金型部により狭圧を維持した状態で冷却工程が行われる。言い換えれば、弱シール工程は、ポート(筒状ポート部材)の弱シールされる外周面部分を容器本体の両面側から圧迫して行うものであり、冷却工程は、弱シール工程における圧迫を保持した状態で行われるものである。この実施例の製造方法では、冷却工程は、弱シール工程の開始後に開始され、かつ弱シール工程終了前に終了するものとなっている。
この実施例の医療用容器の製造方法では、強シール工程は、弱シール工程の開始後に開始され、かつ弱シール工程終了前に終了するものであり、冷却工程は、弱シール工程継続中に開始しかつ弱シール工程終了前に終了するものとなっている。
また、上述した吸引工程は、少なくとも冷却工程開始時まで行うものであることが好ましい。特に、図5に示すように、吸引工程は、冷却工程終了時まで継続していることが好ましい。
そして、冷却工程後、図5に示すように、弱シール工程(弱シール作業)を終了させ、その後、吸引工程(吸引作業)を終了することにより、ポート(筒状ポート部材)の容器本体への固定作業が完了する。
そして、筒状ポート部材13に接続されていた吸引手段を取り外し、筒状ポート部材13を用いて、容器本体2の薬剤室3内に薬剤を注入した後、筒状ポート部材13に蓋部材14を固定することにより、本発明の医療用容器が製造される。
【符号の説明】
【0033】
1 医療用容器
2 容器本体
3 薬剤室
7 ポート取付部
12 ポート
13 筒状ポート部材
16 固定部
18 弱シール部
19 強シール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器の製造方法および医療用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用容器には、例えば、点滴用の薬液を収納する輸液用容器、中心静脈に直接投与するために栄養分を収納するIVHバッグ、経腸栄養剤を収納するバッグ、骨髄やリンパ球などの生体細胞を収納する細胞培養用バッグ、尿を収納する採尿バッグ、各種薬液を収納するバッグなど各種のバッグがある。これら医療用容器は、古くは硬質容器であったが、現在では、殆どが軟質容器となっている。
軟質容器は、軟質樹脂製シートにより構成された軟質バッグ(容器本体)に、排出ポート、混注ポート等を取り付けることにより作製されている。そして、軟質バッグへのポート等の取付けは、軟質樹脂製シート間にポート等を配置し、ポート等の外周面付近をシール用金型によりヒートシールすることにより行われている。
しかしながら、軟質バッグに形成されたポート等の固定対象部材取付部にポート等を配置した際、ポート等には厚みがあるので固定対象部材取付部を構成するシートにはある程度テンションがかかっている。このため、シート用金型を用いてヒートシールする際に、ポート等の外周面付近に位置するシート部分が金型の押圧に反発した状態でヒートシールされる。このため、ポート等の外周面上もしくは両側に位置するシートが肉薄になり易く、また穴あき等が発生する場合がある。そして、薬剤室収納側における穴あき(ピンホール)は、バッグ内の輸液の漏れや変質の原因となる。
そこで、本発明者は、特開2006−204610(特許文献1)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、薬剤室を有する軟質バッグ2と固定対象部材12,17とを有する医療用容器1の製造方法であり、固定対象部材取付部7,8を有する軟質樹脂製シート2a,2bにより構成された軟質バッグ2と部材12,17とを準備する工程と、部材12,17を取付部7,8に配置する配置工程と、配置された部材12,17の外周面付近18を圧迫して取付部7,8を構成するシート同士を近接もしくは接触させる圧迫工程と、圧迫工程による圧迫を維持した状態で圧迫された部分18よりも軟質バッグ周縁側の取付部付近19にて部材12,17を軟質バッグ2にヒートシールする工程を備える。
上記のものでも十分な効果を有するが、薬剤室収納側における穴あき(ピンホール)の発生防止をより確実に防止できるものが求められていた。
そこで、本発明は、ポート固定部の薬剤室側における穴あき(ピンホール)の発生防止をより確実に防止することができる医療用容器の製造方法および医療用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器の製造方法であって、該医療用容器の製造方法は、ポート取付部を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体を準備する工程と、前記熱可塑性樹脂製ポートを準備する工程と、前記ポートの一端側を前記容器本体のポート取付部に挿入するポート挿入工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの端部を前記容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの前記弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ前記容器本体の外縁側となる部分を前記弱シールより高い温度にて前記容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える医療用容器の製造方法。
【0006】
(2) 前記医療用容器の製造方法は、前記ポート挿入工程の後、該ポートより前記容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものである上記(1)に記載の医療用容器の製造方法。
(3) 前記吸引工程は、少なくとも前記弱シール工程開始時まで行うものである上記(2)に記載の医療用容器の製造方法。
(4) 前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(5) 前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(6) 前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備え、前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程継続中に開始しかつ前記弱シール工程終了前に終了するものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(7) 前記弱シール工程は、前記ポートの弱シールされる外周面部分を前記容器本体の両面側から圧迫して行うものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程における前記圧迫を保持した状態で行われるものである上記(6)に記載の医療用容器の製造方法。
(8) 前記吸引工程は、前記弱シール工程終了時まで行うものである上記(2)ないし(7)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
(9) 前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0007】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(10) 前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の製造方法により製造される医療用容器。
さらに、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11) 熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器であって、前記容器本体は、ポート取付部を備え、前記ポートは、一端側が前記ポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により前記容器本体に固定されており、かつ、前記固定部は、前記薬剤室側に設けられた弱シール部と、前記弱シール部に近接しかつ前記容器本体の外縁側に位置し、かつ前記弱シール部よりシール強度が高い強シール部とを備える医療用容器。
【0008】
(12) 前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである上記(10)または(11)に記載の医療用容器。
(13) 前記ポートは、排出ポートであり、医療用容器は、前記薬剤室内に充填された薬液を有し、前記弱シール部は、前記医療用容器の吊り下げ時における前記薬液による加重では剥離しないものとなっている上記(10)または(11)に記載の医療用容器。
(14) 前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の薬剤室の内縁方向に延び、かつ前記容器本体の薬剤室の内縁に到達する側部弱シール部とを備えている上記(10)ないし(13)のいずれかに記載の医療用容器。
(15) 前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部とを備えている上記(10)ないし(14)のいずれかに記載の医療用容器。
(16) 前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部と、該傾斜側部弱シール部の端部より、前記容器本体の側部方向に延びる側部弱シール部端部とを備えている上記(10)ないし(15)のいずれかに記載の医療用容器。
(17) 前記強シール部は、前記ポートを前記容器本体に強シールする中央強シール部と、該中央強シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部強シール部を備えている上記(10)ないし(16)のいずれかに記載の医療用容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医療用容器の製造方法は、ポート取付部を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポートを準備する工程と、ポートの一端側を容器本体のポート取付部に挿入する挿入工程と、挿入工程により挿入されたポートの端部を容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備えている。
このため、本発明の医療用容器の製造方法によれば、ポート取付部へのポート固定時における当該固定部での容器本体の薄肉化を確実に防止し、薄肉化に起因するピンホールの発生を防止する。
また、本発明の医療用容器は、上記製造方法により製造される医療用容器である。このため、本発明の医療用容器は、ポート取付部へのポート固定時における当該固定部での容器本体の薄肉化が極めて少なく、薄肉化に起因するピンホールの発生が極めて少ない。
また、本発明の医療用容器は、熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、容器本体の薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備えるものであり、かつ、容器本体は、ポート取付部を備え、ポートは、一端側が前記ポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により容器本体に固定されており、かつ、固定部は、薬剤室側に設けられた弱シール部と、弱シール部に近接しかつ容器本体の外縁側に位置し、かつ弱シール部よりシール強度が高い強シール部とを備えている。
このため、本発明の医療用容器は、ポート取付部へのポート固定部の端部が弱シール部となっているため、当該部分でのピンホールの発生が極めて少ない。また、ポート端部をヒートシールすると、シートのしわが大きいので、特にピンホールが生じやすいが、ポート端部を弱シールとしたので、ピンホールが生じることなくポート端部をシールでき、薬液充填後も弱シールが維持されている場合は、バッグ内部へのポートの突出が押えられ、投与時の残液量をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施例である医療用容器の正面図である。
【図2】図2は、図1に示した医療用容器のA−A線断面拡大図である。
【図3】図3は、図1に示した医療用容器の排出ポート付近の拡大図である。
【図4】図4は、図1に示す医療用容器に用いられる容器本体の正面図である。
【図5】図5は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の医療用容器の製造方法に用いられるヒートシール装置の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(ポート挿入工程)。
【図8】図8は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(吸引工程)。
【図9】図9は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(弱シール工程)。
【図10】図10は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(強シール工程)。
【図11】図11は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である(冷却工程)。
【図12】図12は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例を説明するための説明図である。
【図13】図13は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例の弱シール工程を説明するための説明図(弱シールされる部分における断面図)である。
【図14】図14は、本発明の医療用容器の製造方法の実施例の弱シール工程を説明するための説明図である(弱シールされる部分における断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例である医療用容器の製造方法および医療用容器について添付図面を用いて説明する。
本発明の医療用容器の製造方法は、熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室3を有する容器本体と、容器本体の薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製排出ポートとを備える医療用容器の製造方法である。
本発明の医療用容器の製造方法は、ポート取付部7を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体2を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポート12を準備する工程と、ポート12の一端側を容器本体2のポート取付部7に挿入するポート挿入工程と、ポート挿入工程により挿入されたポート12の端部を容器本体2にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、ポート挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える。
そして、本発明の医療用容器は、本発明の医療用容器の製造方法により製造される医療用容器である。
また、本発明の医療用容器1は、熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体2と、容器本体2の薬剤室3と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポート12とを備える医療用容器である。そして、容器本体2は、ポート取付部7を備え、ポート12は、一端側がポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により容器本体に固定されており、かつ、固定部16は、薬剤室側に設けられた弱シール部18と、弱シール部18に近接しかつ容器本体2の外縁側に位置し、かつ弱シール部18よりシール強度が高い強シール部19とを備えている。
【0012】
最初に、本発明の医療用容器1について、図1、図2および図3を用いて説明する。
本発明の医療用容器1は、図1に示すように、容器本体2と排出ポート12とを備えている。
容器本体としては、例えば、図4に示すようなものが使用される。この容器本体2は、熱可塑性軟質樹脂製シート2a,2bにより構成された軟質容器であり、図1,図4に示す実施例では、内部に薬液を収納可能な内部空間(薬剤室)3,4を有し、一端部及び他端部がシールされている。容器本体2の一端部には一端側シール部5が設けられ、他端部には他端側シール部6が設けられている。一端側シール部5と他端側シール部6は、幅広シール部である。また、容器本体2は、チューブ状の成形体を扁平にして得られた対向する軟質樹脂製シート2a,2bにより構成されている。
また、図4に示すように、容器本体2の一端側シール部5には、ポート取付部である排出ポート取付部7が設けられている。排出ポート取付部7は、一端側シール部5の一部をシールしないことにより容器本体2の内部空間(本発明の実施例では、第1の薬剤室3)と外部とが連通するように設けられている。排出ポート取付部7は、排出ポート12が取り付け(配置、挿入)しやすいように、それぞれ容器本体2の内部空間3側から容器本体2の外縁に向かって拡径している。
また、この実施例では、容器本体2の内部空間は、図1,図4に示すように、剥離可能な仕切用弱シール部10により第1の薬剤室3と第2の薬剤室4に区分されている。なお、容器本体2の内部空間は、仕切用弱シール部により仕切られない単室のものであってもよい。
【0013】
容器本体2は、熱可塑性軟質合成樹脂により作製されている。容器本体2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、容器本体2は、例えば、Tダイ法、ブロー成形法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ホットプレス法等の種々の方法により製造されたものでもよい。そして、容器本体2は、製造過程において扁平に折り曲げられることにより2つの側辺が形成される。また、必要により軽くプレスすることにより、折り曲げられた側辺を形成してもよい。
また、容器本体2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。
このように容器本体2が水蒸気バリヤー性を有することにより、医療用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される液体の減少、濃縮を防止することができる。このような容器本体2の形成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高い透明性、適度な柔軟性、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。容器本体2としては、ヒートシールされる部分の内面が熱可塑性合成樹脂により作製されたものが用いられる。特に、容器本体2としては、内面全体もしくはバッグ全体が熱可塑性合成樹脂で作製されたものが好ましい。
【0014】
また、容器本体2の形成材料として、ポリオレフィンが含有されるとき、本発明の有用性が大きいものとなる。したがって、本発明においては、容器本体2の形成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。容器本体2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、また、軟質バッグは、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、容器本体2の耐衝撃性を向上させたり、対ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、容器本体2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与することができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、シート状筒状体2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、容器本体2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
【0015】
容器本体2を構成するシート(単層または多層積層体)2a,2bの厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜300μm程度であるのがより好ましい。
また、医療用容器1の容積は、内部に収納する液体の種類等によって異なるが、通常は、50〜5000ml程度であるのが好ましく、100〜3000ml程度であるのがより好ましい。
容器本体2の一端側シール部5及び他端側シール部6は、熱融着(ヒートシール)、高周波融着等により形成されることが好ましく、特に、熱融着により行うことが好ましい。
【0016】
仕切用弱シール部10は、図1,図4に示すように、容器本体2の中央付近に形成された帯状のシール部である。仕切用弱シール部10は、第1の薬剤室3と第2の薬剤室4に液体が充填された状態の医療用容器1のいずれか一方の室を掌等で押圧したり絞るように握ったりすること等により、剥離可能な程度のシール強度を備える。また、仕切用弱シール部の両端部には、実質的に剥離しない強シール部10aが形成されている。このように仕切用弱シール部10により容器本体2内を区分することにより、反応等による変質、劣化を生じる物質を含有する液体を使用するまでは別々に保存でき、使用に際し、両液を混合することが好ましいとき等に適用することができる。このような液体としては、例えば、アミノ酸電解質液とブドウ糖液、ブドウ糖液と重曹液等の組み合わせが挙げられる。また、上記のような仕切用弱シール部を備えない場合には、どのような液体を充填してもよく、例えば、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、腹膜透析液、経口(腸)栄養剤等が挙げられる。なお、容器本体2(医療用容器1)は、仕切用弱シール部を備えるものに限定されずに、単室構造のものであってもよい。
【0017】
また、容器本体2の他端側シール部6には、ハンガー等に吊り下げるための孔(吊り下げ部)9が設けられていることが好ましい。
容器本体2に取り付けられるポートとしては、排出ポート及び/若しくは混注ポートであることが好ましい。本発明の実施例では容器本体2の下端部に排出ポート12が取り付けられている。また、上端部に混注ポート(図示せず)を取り付けてもよい。
また、本発明で使用される排出ポート12としては公知のものを使用することが好ましく、例えば、筒状ポート部材とその開口を封止するとともに針管を挿通可能なシール部材を備えるものが好ましい。具体的に、排出ポート12としては、両端側が開口した筒状ポート部材13と、筒状ポート部材13の容器本体2内に侵入していない端部の開口部を封止するシール部材15を有する蓋部材14とからなるものであることが好ましい。
【0018】
また、シール部材15は、自己閉塞性を有し、針管を弾性体から抜き取った後は、その穿刺孔が閉塞し、薬液の漏れを防止するものであることが好ましい。シール材の構成材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料等の弾性材料、あるいはこれらのうちの任意の2以上を組み合わせたものが挙げられ、シール性、再シール性の点からは弾性材料を含有しているものが好ましい。また、ポートとしては、円筒状、楕円筒状あるいは多角柱状の成形品であることが好ましい。
【0019】
混注ポートとしては、公知のものを使用することが好ましく、例えば、筒状ポート部材とその開口を封止するとともに針管を挿通可能なシール部材を備えるものが好ましい。混注ポートにおけるシール部材の構成材料は排出ポートのシール部材と同様のものが用いられる。また、混注ポート取付部も容器本体2の一端側シール部もしくは他端側シール部の一部をシールしないことにより形成することが好ましい。
排出ポート12、混注ポートの構成材料としては、容器本体2と相溶性を有する樹脂であることが好ましい。また、排出用、混注用穿刺針の刺通操作を良好にするため、硬質材料であることが好ましい。例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン(具体的には、ZEONEX(登録商標、日本ゼオン株式会社)、APEL(登録商標、三井化学株式会社製))、ポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に混合あるいは積層して組み合わせたものが挙げられる。
【0020】
そして、図1ないし図3に説明するように、熱可塑性樹脂製ポート12(具体的には、排出ポート12の筒状ポート部材13)は、一端側が容器本体2のポート取付部7内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部16により容器本体2に固定されている。
そして、ポートを容器本体に固定する固定部16は、薬剤室側に設けられた弱シール部18と、弱シール部18に近接しかつ容器本体2の外縁側に位置し、かつ弱シール部18よりシール強度が高い強シール部19とを備えている。
本発明では、ポートを容器本体に固定する固定部16は、容器本体2の外縁部に位置する強シール部のみならず、ポートの容器本体内に侵入した端部側を弱シールする弱シール部を備えている。
弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、1〜25N/10mm、特に、2〜20N/10mmであることが好ましい。また、上記のように固定部が排出ポートを固定するものである場合、弱シール部18は、医療用容器の吊り下げ時における薬剤室内の薬液による加重では剥離しないものであることが好ましい。このようにすることにより、ポート端部における薬剤の残液を防止できる。
また、強シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、10〜50N/10mm、特に、20〜40N/10mmであることが好ましい。また、弱シール部18と高い強シール部19とのシール強度差(初期の剥離強度差)は、強シール部が、弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、5〜30N/10mm、特に、10〜25N/10mm大きいものであることが好ましい。
【0021】
そして、この実施例の医療用容器1では、図1および図3に示すように、弱シール部18は、ポートの端部(具体的には、筒状ポート部材13の端部)を容器本体2に弱シールする中央弱シール部18aと、中央弱シール部18aの両端より、容器本体2の薬剤室の内縁方向に延び、かつ前記容器本体の薬剤室の内縁に到達する側部弱シール部とを備えている。特に、この実施例の医療用容器1では、側部弱シール部は、中央弱シール部18aの両端より、容器本体2の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部18bとなっている。さらに、この実施例の医療用容器2では、傾斜側部弱シール部18bの端部より、容器本体の側部方向に延びる側部弱シール部端部18cを備えている。このように、中央部が窪んだ形状とすることにより、ポートの端部付近に確実に弱シール部を形成可能であるとともに、その状態の保持も可能となる。また、この実施例の医療用容器では、中央弱シール部18aと側部弱シール部端部18cは、ほぼ平行で所定長延びるものとなっており、傾斜側部弱シール部18bがそれらを接続する状態となっている。弱シール部の太さ(幅)、具体的には、中央弱シール部18a、傾斜側部弱シール部18bおよび側部弱シール部端部18cの太さ(幅)は、
3〜20mm程度が好ましい。
そして、この実施例の医療用容器1では、図1および図3に示すように、強シール部19は、ポート(具体的には、筒状ポート部材13)を容器本体に強シールする中央強シール部19aと、中央強シール部19aの両端より、容器本体2の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部強シール部19bを備えている。さらに、この実施例の医療用容器1では、傾斜側部強シール部19bの端部より、容器本体の側部方向に延びる側部強シール部端部19cを備えている。強シール部19の形状をこのようにすることにより、ポート(具体的には、筒状ポート部材13)を容器本体に確実に固着できる。
【0022】
次に、本発明の実施例である医療用容器の製造方法について添付図面を用いて説明する。
本発明の医療用容器の製造方法は、図13に示すように、ポート取付部7を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体2を準備する工程と、熱可塑性樹脂製ポート12を準備する工程と、ポート12の一端側を容器本体2のポート取付部7に挿入するポート挿入工程と、ポート挿入工程により挿入されたポート12の端部を容器本体2にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、ポート挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える。そして、本発明の医療用容器の製造方法は、図5に示すように、ポート挿入工程の後、ポートより前記容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものであることが好ましい。
【0023】
最初に、軟質容器本体の準備工程および熱可塑性樹脂製ポートの準備工程について説明する。
軟質容器本体としては、上述したものが準備される。また、ポートとしても上述したものが準備される。
また、準備される容器本体2としては、一端側シール部5に、第1の薬剤室3に収納される薬液を注入するための注入孔(図示せず)を有するものであってもよい。注入孔は、容器本体2の一端側シール部5の一部分をシールしないことにより容器本体2の内部空間と外部とが連通するように形成されることが好ましい。また、容器本体2の他端側シール部6には、第2の薬剤室4に収納される薬液を注入するための注入孔(図示せず)が形成されていてもよい。注入孔は、容器本体2の他端側シール部6の一部分をシールしないことにより内部空間(第2の薬剤室4)と外部とが連通するように形成されることが好ましい。注入孔は、第1の薬剤室3もしくは第2の薬剤室4に薬液を注入後シールされる。また、薬液の注入は、ポート12を構成する筒状ポート部材13を介して注入してもよい。
容器本体2の一端側シール部5及び他端側シール部6は、熱融着(ヒートシール)、高周波融着等により形成されることが好ましく、特に、熱融着により行うことが好ましい。
【0024】
次に、ポートの一端側を容器本体のポート取付部に挿入するポート挿入工程について図5、図7、図13を用いて説明する。
ポート挿入工程は、図7、図13に示すように、排出ポートの主構成物である筒状ポート部材13を容器本体2の一端側シール部5に設けられた排出ポート取付部7に挿入することにより行われる。
図7に示すように、排出ポートの筒状ポート部材13を配置しただけの状態では、ポート取付部7を構成する上端側のシート2aと下端側のシート2bのうち筒状ポート部材13と近接する部分は離間している。また、この状態において筒状ポート部材とポート取付部でのシート2a、2bとの間はシール時にシートのたるみによるしわが生じないように、また、後述する吸引工程が良好に行なえるように、ポート取付部7を構成するシートの筒状ポート部材13と近接する部分には、ある程度テンションがかかっている。この状態で、シール用金型を用いてヒートシールすると、シール用金型の押圧に対するシート2aとシート2bの反発により、ポート取付部7を構成するシート2a,2bのうち、筒状ポート部材13の外周面上もしくは両側に位置する部分の一部が極端にが肉薄になり易くなる。
なお、本発明の実施例では、組み立てられた排出ポート12を固定するものではなく、主構成物である筒状ポート部材13を排出ポート取付部7に挿入している。そして、ヒートシール工程により、筒状ポート部材13を容器本体2に固定した後、蓋部材14を筒状ポート部材13に取り付けることにより、排出ポートを組み立てるものとしている。このようにすることにより、蓋部材14を取り付ける前のポート12を構成する筒状ポート部材13を用いて、容器本体2内に薬液を注入および後述する容器本体内の吸引を可能としている。
【0025】
そして、この実施例の医療用容器の製造方法では、図5および図8に示すように、ポート挿入工程の後、ポートより容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものとなっている。
吸引工程は、図8に示すように、ポート挿入工程により配置されたポートの筒状ポート部材13に吸引手段31(装置は図示せず)を接続し、吸引手段31を作動させることにより行われる。吸引手段としては、真空ポンプを用いるものなどの公知のものが使用できる。吸引工程により、容器本体内の空気が吸引され、容器本体内が減圧状態となる。これにより、容器本体2は、図7に示す状態から図8に示す状態となり、ポート取付部7を構成する上端側のシート2aと下端側のシート2bのうち筒状ポート部材13と近接する部分はかなり密着した状態となる。
【0026】
次に、ポート挿入工程により挿入されたポートの端部を容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程を行う。弱シール工程を図6、図9、図14を用いて説明する。
この工程は、上述した吸引工程における吸引を維持した状態にて行うことが好ましい。
そして、この弱シール工程は、ポート挿入工程により配置されたポート(筒状ポート部材13)の端部の外周面付近をシート外面より圧迫してポート取付部7を構成するシート2a,2b同士を筒状ポート部材に隙間なく確実に接触させた状態で、当該部位を弱シールするものである。
本発明の製造方法における弱シール工程およびヒートシール工程にて使用されるヒートシール装置20としては、図6に示すようなものが用いられる。
この実施例のヒートシール装置20は、図6に示すように、弱シール金型部22と強シール金型部26とを備える。具体的には、ヒートシール装置20は、筒状ポート部材13をその一端が薬剤室3に露出するように、容器本体2に形成されたポート取付部7に挿入した状態において、筒状ポート部材13の端部の外周面付近を容器本体2の両面側から圧迫(言い換えると、狭圧、以下同様)して筒状ポート部材13にシート2a,2b同士を圧接可能かつ加熱可能な弱シール金型部22と、弱シール金型部22よりも容器本体の外縁側の取付部にて筒状ポート部材13を容器本体2にヒートシールにより固着するための強シール金型部26とを備える。
【0027】
この実施例のヒートシール装置20の弱シール金型部22は、容器本体2の一方の面側及び他方の面側からポート12(筒状ポート部材13)の外周面付近の薬剤室側に位置する部分(端部)を押圧し、ポート12(筒状ポート部材13)を構成するシート2a,2b同士を圧接させた状態にて弱シールさせるためのものである。本発明の実施例においては、弱シール金型部22は、ポート12(筒状ポート部材13)の外周面部分及びポート12(筒状ポート部材13)の両側部分を圧迫するものとなっている。
また、弱シール金型部22は、第1の弱シール金型部(上部側弱シール金型部)23と第2の弱シール金型部(下部側弱シール金型部)24とにより構成されている。
上部側弱シール金型部23は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央弱シール部形成部23aと、中央弱シール部形成部23aの両側に平面状に形成された側部弱シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部弱シール部形成部は、傾斜側部弱シール形成部23bと、傾斜側部弱シール形成部23bの端部より、側部方向に延びる側部弱シール端部形成部23cとを備えるものとなっている。
同様に、下部側弱シール金型部24は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央弱シール部形成部24aと、中央弱シール部形成部24aの両側に平面状に形成された側部弱シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部弱シール部形成部は、傾斜側部弱シール形成部24bと、傾斜側部弱シール形成部24bの端部より、側部方向に延びる側部弱シール端部形成部24cとを備えるものとなっている。
【0028】
上述したヒートシール装置20の弱シール金型部22を用いて弱シールすることにより、 図14に示すように、排出ポート12(筒状ポート部材13)が容器本体2のポート取付部7に固定される。上述した弱シール金型部22によるヒートシールにより、図3に示す上述した形態の弱シール部18が形成される。
そして、図9に示すように、上記のヒートシール装置20の弱シール金型部22を用いて、ポート12(筒状ポート部材13)の端部を容器本体2に弱シールする。弱シールする際の弱シール金型部22の温度は、容器本体2の形成材料の溶融温度より0〜20℃高いものとして行うことが好ましく、特に、5〜15℃高いものとすることが好ましい。また、容器本体2が積層体により形成されている場合には、内側層を形成する形成材料の溶融温度より0〜20℃高いものとして行うことが好ましく、特に、5〜15℃高いものとすることが好ましい。また、弱シール工程におけるシール圧は、容器本体2の形成材料等によっても相違するが、2〜20kg/cm2であるのが好ましく、5〜15kg/cm2であることがより好ましい。
また、上述した吸引工程は、少なくとも弱シール工程開始時まで行うものであることが好ましい。特に、図5に示すように、吸引工程は、弱シール工程開始時まで継続していることが好ましい。
【0029】
更に本発明の医療用容器の製造方法は、ポート挿入工程により挿入されたポートの弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ容器本体の外縁側となる部分を弱シールより高い温度にて容器本体にヒートシールする強シール工程とを備える。
この実施例の製造方法では、図5に示すように、弱シール工程継続中(弱シール作業継続中)に行うことが好ましい。この実施例の製造方法では、強シール工程は、弱シール工程の開始後に開始され、かつ弱シール工程終了前に終了するものとなっている。また、上述した吸引工程は、少なくとも強シール工程開始時まで行うものであることが好ましい。特に、図5に示すように、吸引工程は、強シール工程終了時まで継続していることが好ましい。
【0030】
強シール工程は、上述したヒートシール装置20の強シール金型部26を用いて行われる。
強シール金型部26は、図6に示すように、第1の強シール金型部(上部側強シール金型部)28と第2の強シール金型部(下部側強シール金型部)29とにより構成されている。
上部側強シール金型部28は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央強シール部形成部28aと、中央強シール部形成部28aの両側に平面状に形成された側部強シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部強シール部形成部は、傾斜側部強シール形成部28bと、傾斜側部強シール形成部28bの端部より、側部方向に延びる側部強シール端部形成部28cとを備えるものとなっている。
同様に、下部側強シール金型部29は、図6に示すように、ポート12(筒状ポート部材13)の外面形状に対応した表面形状を備える中央強シール部形成部29aと、中央強シール部形成部29aの両側に平面状に形成された側部強シール部形成部とを有する。また、この実施例の金型では、側部強シール部形成部は、傾斜側部強シール形成部29bと、傾斜側部強シール形成部29bの端部より、側部方向に延びる側部強シール端部形成部29cとを備えるものとなっている。
特に、この実施例の製造方法では、図5に示すように、弱シール工程を継続中、言い換えれば、弱シール金型部22により、ポート取付部7を構成するシート2a,2bを圧迫(狭圧)した状態において、行われるものとなっている。また、この実施例の強シール工程は、図1、図3ないし図10に示すように、弱シールされる部分より容器本体2の周縁側に強シール部19を形成させるものである。
【0031】
上述したヒートシール装置20の強シール金型部26を用いて強シールすることにより、排出ポート12(筒状ポート部材13)が容器本体2のポート取付部7に液密に取り付けられる。上述した強シール金型部26によるヒートシールにより、排出ポート12の外周面及びその両側部分には帯状かつ両端が幅が広くなった強シール部19が形成される。
強シールする際の強シール金型部26の温度は、容器本体2の形成材料の溶融温度より20℃以上高いものとして行うことが好ましく、特に、20〜50℃高いものとすることが好ましい。また、容器本体2が積層体により形成されている場合には、内側層を形成する形成材料の溶融温度より20℃以上高いものとすることが好ましく、特に、20〜50℃高いものとすることが好ましい。また、強シール工程におけるシール圧は、容器本体2の形成材料等によっても相違するが、5〜50kg/cm2であるのが好ましく、10〜30kg/cm2であることがより好ましい。
【0032】
そして、この実施例の医療用容器の製造方法では、図5および図11に示すように、強シール工程の後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を行うものとなっている。
冷却工程は、図11に示すように、強シール金型部26を移動させて、強シールされた部分を開放し、当該部分に冷風をあてることにより行うものであることが好ましい。また、この実施例の製造方法では、図5に示すように、冷却工程は、弱シール工程継続中(弱シール作業継続中)に行うことが好ましい。具体的には、図11に示すように、強シール金型部26を移動され、かつ、弱シール金型部により狭圧を維持した状態で冷却工程が行われる。言い換えれば、弱シール工程は、ポート(筒状ポート部材)の弱シールされる外周面部分を容器本体の両面側から圧迫して行うものであり、冷却工程は、弱シール工程における圧迫を保持した状態で行われるものである。この実施例の製造方法では、冷却工程は、弱シール工程の開始後に開始され、かつ弱シール工程終了前に終了するものとなっている。
この実施例の医療用容器の製造方法では、強シール工程は、弱シール工程の開始後に開始され、かつ弱シール工程終了前に終了するものであり、冷却工程は、弱シール工程継続中に開始しかつ弱シール工程終了前に終了するものとなっている。
また、上述した吸引工程は、少なくとも冷却工程開始時まで行うものであることが好ましい。特に、図5に示すように、吸引工程は、冷却工程終了時まで継続していることが好ましい。
そして、冷却工程後、図5に示すように、弱シール工程(弱シール作業)を終了させ、その後、吸引工程(吸引作業)を終了することにより、ポート(筒状ポート部材)の容器本体への固定作業が完了する。
そして、筒状ポート部材13に接続されていた吸引手段を取り外し、筒状ポート部材13を用いて、容器本体2の薬剤室3内に薬剤を注入した後、筒状ポート部材13に蓋部材14を固定することにより、本発明の医療用容器が製造される。
【符号の説明】
【0033】
1 医療用容器
2 容器本体
3 薬剤室
7 ポート取付部
12 ポート
13 筒状ポート部材
16 固定部
18 弱シール部
19 強シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器の製造方法であって、該医療用容器の製造方法は、ポート取付部を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体を準備する工程と、前記熱可塑性樹脂製ポートを準備する工程と、前記ポートの一端側を前記容器本体のポート取付部に挿入するポート挿入工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの端部を前記容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの前記弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ前記容器本体の外縁側となる部分を前記弱シールより高い温度にて前記容器本体にヒートシールする強シール工程とを備えることを特徴とする医療用容器の製造方法。
【請求項2】
前記医療用容器の製造方法は、前記ポート挿入工程の後、該ポートより前記容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものである請求項1に記載の医療用容器の製造方法。
【請求項3】
前記吸引工程は、少なくとも前記弱シール工程開始時まで行うものである請求項2に記載の医療用容器の製造方法。
【請求項4】
前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項5】
前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項6】
前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備え、前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程継続中に開始しかつ前記弱シール工程終了前に終了するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項7】
前記弱シール工程は、前記ポートの弱シールされる外周面部分を前記容器本体の両面側から圧迫して行うものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程における前記圧迫を保持した状態で行われるものである請求項6に記載の医療用容器の製造方法。
【請求項8】
前記吸引工程は、前記弱シール工程終了時まで行うものである請求項2ないし7のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項9】
前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項10】
前記請求項1ないし9のいずれかに記載の製造方法により製造されることを特徴とする医療用容器。
【請求項11】
熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器であって、前記容器本体は、ポート取付部を備え、前記ポートは、一端側が前記ポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により前記容器本体に固定されており、かつ、前記固定部は、前記薬剤室側に設けられた弱シール部と、前記弱シール部に近接しかつ前記容器本体の外縁側に位置し、かつ前記弱シール部よりシール強度が高い強シール部とを備えることを特徴とする医療用容器。
【請求項12】
前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである請求項10または11に記載の医療用容器。
【請求項13】
前記ポートは、排出ポートであり、医療用容器は、前記薬剤室内に充填された薬液を有し、前記弱シール部は、前記医療用容器の吊り下げ時における前記薬液による加重では剥離しないものとなっている請求項10または11に記載の医療用容器。
【請求項14】
前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の薬剤室の内縁方向に延び、かつ前記容器本体の薬剤室の内縁に到達する側部弱シール部とを備えている請求項10ないし13のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項15】
前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部とを備えている請求項10ないし14のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項16】
前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部と、該傾斜側部弱シール部の端部より、前記容器本体の側部方向に延びる側部弱シール部端部とを備えている請求項10ないし15のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項17】
前記強シール部は、前記ポートを前記容器本体に強シールする中央強シール部と、該中央強シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部強シール部を備えている請求項10ないし16のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項1】
熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器の製造方法であって、該医療用容器の製造方法は、ポート取付部を有する熱可塑性樹脂製材料により構成された軟質容器本体を準備する工程と、前記熱可塑性樹脂製ポートを準備する工程と、前記ポートの一端側を前記容器本体のポート取付部に挿入するポート挿入工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの端部を前記容器本体にヒートシールにより弱シールする弱シール工程と、前記挿入工程により挿入された前記ポートの前記弱シール工程による弱シールされる部分に近接しかつ前記容器本体の外縁側となる部分を前記弱シールより高い温度にて前記容器本体にヒートシールする強シール工程とを備えることを特徴とする医療用容器の製造方法。
【請求項2】
前記医療用容器の製造方法は、前記ポート挿入工程の後、該ポートより前記容器本体内の空気を吸引する吸引工程を行うものである請求項1に記載の医療用容器の製造方法。
【請求項3】
前記吸引工程は、少なくとも前記弱シール工程開始時まで行うものである請求項2に記載の医療用容器の製造方法。
【請求項4】
前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項5】
前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項6】
前記医療用容器の製造方法は、前記強シール工程後、強シールされた部分を冷却する冷却工程を備え、前記強シール工程は、前記弱シール工程の開始後に開始され、かつ前記弱シール工程終了前に終了するものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程継続中に開始しかつ前記弱シール工程終了前に終了するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項7】
前記弱シール工程は、前記ポートの弱シールされる外周面部分を前記容器本体の両面側から圧迫して行うものであり、前記冷却工程は、前記弱シール工程における前記圧迫を保持した状態で行われるものである請求項6に記載の医療用容器の製造方法。
【請求項8】
前記吸引工程は、前記弱シール工程終了時まで行うものである請求項2ないし7のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項9】
前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【請求項10】
前記請求項1ないし9のいずれかに記載の製造方法により製造されることを特徴とする医療用容器。
【請求項11】
熱可塑性樹脂製材料により作製され、内部に薬剤室を有する容器本体と、前記容器本体の前記薬剤室と連通するように設けられた熱可塑性樹脂製ポートとを備える医療用容器であって、前記容器本体は、ポート取付部を備え、前記ポートは、一端側が前記ポート取付部内に挿入された状態にて、ヒートシールにより形成された固定部により前記容器本体に固定されており、かつ、前記固定部は、前記薬剤室側に設けられた弱シール部と、前記弱シール部に近接しかつ前記容器本体の外縁側に位置し、かつ前記弱シール部よりシール強度が高い強シール部とを備えることを特徴とする医療用容器。
【請求項12】
前記ポートは、排出ポートもしくは混注ポートである請求項10または11に記載の医療用容器。
【請求項13】
前記ポートは、排出ポートであり、医療用容器は、前記薬剤室内に充填された薬液を有し、前記弱シール部は、前記医療用容器の吊り下げ時における前記薬液による加重では剥離しないものとなっている請求項10または11に記載の医療用容器。
【請求項14】
前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の薬剤室の内縁方向に延び、かつ前記容器本体の薬剤室の内縁に到達する側部弱シール部とを備えている請求項10ないし13のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項15】
前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部とを備えている請求項10ないし14のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項16】
前記弱シール部は、前記ポートの端部を前記容器本体に弱シールする中央弱シール部と、該中央弱シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部弱シール部と、該傾斜側部弱シール部の端部より、前記容器本体の側部方向に延びる側部弱シール部端部とを備えている請求項10ないし15のいずれかに記載の医療用容器。
【請求項17】
前記強シール部は、前記ポートを前記容器本体に強シールする中央強シール部と、該中央強シール部の両端より、前記容器本体の上端方向かつ側部方向に延びる傾斜側部強シール部を備えている請求項10ないし16のいずれかに記載の医療用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−50559(P2011−50559A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202106(P2009−202106)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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