医療用容器用中空体、医療用容器用排出ポート、医療用容器用薬剤容器および医療用容器
【課題】閉塞した筒状部と、筒状部に設けられた破断可能部と、第1および第2の延出部を備える医療用容器用中空体であって、第1および第2の延出部お拡がりにより形成された開口が再び閉塞される可能性が極めて少ないものを提供する。
【解決手段】医療用容器用中空体30は、閉塞した筒状部31と、筒状部より先端方向に突出し、軟質バッグ2の一方のシートに固着可能な第1の延出部21と他方のシート2bに固着可能な第2の延出部61と、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより破断し、筒状部を開口する破断可能部36とを備える。第2の延出部は、第1の延出部の一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有し、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより第1の延出部の第2の延出部からの離脱が可能であり、離脱後の第1の延出部の第2の延出部への再収納が不能となっている。
【解決手段】医療用容器用中空体30は、閉塞した筒状部31と、筒状部より先端方向に突出し、軟質バッグ2の一方のシートに固着可能な第1の延出部21と他方のシート2bに固着可能な第2の延出部61と、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより破断し、筒状部を開口する破断可能部36とを備える。第2の延出部は、第1の延出部の一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有し、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより第1の延出部の第2の延出部からの離脱が可能であり、離脱後の第1の延出部の第2の延出部への再収納が不能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部において、輸液などの薬液に薬剤の調製や配合を行うことができる医療用容器および医療用容器用中空体、医療用容器用排出ポートおよび医療用容器用薬剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用容器には、閉塞した先端部を有し、開封可能な筒状体が取り付けられている。この筒状体としては、例えば、薬液の投与時に使用される排出ポート、医療用容器内の薬液に添加される薬剤を収納した薬剤容器がある。
そして、患者に輸液を行うに先だって、輸液剤の入ったバイアル瓶や軟質バッグ等に、予め輸液剤に配合することが困難な薬剤、例えば、ビタミン剤、抗生物質等の薬剤を混合、溶解させ、薬液を調製することが行われている。そして、このような薬液の調製を無菌的に、また、簡単な操作で行うため、薬液が収納された軟質バッグに薬液と混合する薬剤を収納した薬剤容器を取り付け、輸液の際、薬剤容器に設けられた脆弱部を軟質バッグごしに折り曲げ破断することにより薬剤容器と軟質バッグを連通させ薬剤と薬液とを混合するようにした医療用容器が提案されている。
【0003】
本件出願人は、特開2006−87904(特許文献1)を提案している。
特許文献1の薬剤容器もしくは排出ポートは、閉塞した先端部を有し、開封可能な薬剤容器もしくは排出ポートであって、確実に薬剤容器もしくは排出ポート内と医療用容器内とを区分することができ、かつ、必要時には容易かつ確実に薬剤容器もしくは排出ポート内を医療用容器内とを連通できるものである。特許文献1の薬剤容器100は、図32から図37に示すように、硬質もしくは半硬質材料により形成されており、さらに、先端部が閉塞した筒状部7と、筒状部7の少なくとも先端部に設けられた破断可能部58と、筒状部7の破断可能部58を挟むようにそれぞれ設けられるとともに軟質バッグ2の一方の内面に固着している第1の応力付与部59および軟質バッグ2の他方の内面に固着している第2の応力付与部60とを備え、破断可能部58は、第1の応力付与部59および第2の応力付与部60間の拡がりにより破断し破断可能部58より先端側部分が分離して筒状部7を開口するものである。
【0004】
また、特許文献1の排出ポート86は、図38から図42に示すように、硬質もしくは半硬質材料により形成されており、さらに、先端部が閉塞した筒状部88と、筒状部88の少なくとも先端部に設けられた破断可能部91と、筒状部88の破断可能部91を挟むようにそれぞれ設けられるとともに軟質バッグ2の一方の内面に固着している第1の応力付与部89および軟質バッグ2の他方の内面に固着している第2の応力付与部90とを備え、破断可能部91は、第1の応力付与部89および第2の応力付与部90間の拡がりにより破断し破断可能部91より先端側部分が分離して筒状部88を開口するものである。
しかしながら、特許文献1の図29に示すように、薬剤容器100、排出ポート86を備える医療用容器1,85の軟質バッグ2を押圧することにより、薬剤容器100の破断可能部58もしくは排出ポート86の破断可能部91を破断して破断可能部58,91より第1の応力付与部側部分及び第2の応力付与部側部分を分離させたとき、破断により形成された筒状部の開口が、希ではあるが、分離された部材により再び閉塞されることが危惧される。
そこで、本件出願人は、特開2006−280390(特許文献2)を提案している。
特許文献2の医療用容器は、薬剤室を有する軟質バッグ2と、薬液と、筒状体とを備える医療用容器1であって、筒状体は、筒状部と、破断可能部と、破断可能部を挟むように設けられ軟質バッグの内面に固着した第1の応力付与部34及び第2応力付与部36とを備え、破断可能部は、第1、第2の応力付与部34,36の拡がりにより破断し開口する。また、容器1は破断可能部の基端部外面を乗り越えるように先端側に延び、かつ破断後の第1の応力付与部側分離部33の基端部33a、第2の応力付与部側分離部35の基端部35aを軟質バッグ内面との間にて保持する破断後応力付与部保持用延出部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−87904
【特許文献2】特開2006−280390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献2のものでも十分な効果を有するが、破断後の第1の応力付与部側分離部33の基端部33a、第2の応力付与部側分離部35の基端部35aが、破断後応力付与部保持用延出部により保持された後、スタンドに吊下するなどの作業時に、希に、保持状態が解除される場合があった。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するものであり、先端部が閉塞した筒状部と、筒状部より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、筒状部に設けられ、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより破断し、筒状部を開口する破断可能部とを備える医療用容器用中空体であって、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞される可能性が極めて少ない医療用容器用中空体およびそれを用いた医療用容器用薬剤容器、医療用容器用排出ポートおよび医療用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 軟質バッグを備える医療用容器に用いられる医療用容器用中空体であって、
該中空体は、先端部が閉塞した筒状部と、該筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と、前記筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、前記筒状部に設けられ、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより破断し、前記筒状部を開口する破断可能部とを備え、
さらに、前記第2の延出部は、前記第1の延出部の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部を有し、前記医療用容器用中空体は、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより前記筒状部が開口するとともに、前記第2の延出部に一部が収納されていた前記第1の延出部が、前記第2の延出部から離脱し、かつ離脱後の前記第1の延出部の前記第2の延出部への再収納を不能とし、前記筒状部の開口状態を維持する医療用容器用中空体。
【0008】
(2) 前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の側部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである上記(1)に記載の医療用容器用中空体。
(3) 前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の先端部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである上記(1)に記載の医療用容器用中空体。
(4) 前記医療用容器用中空体は、前記第2の延出部より離脱した前記第1の延出部が、前記第2の延出部と当接し、前記第1の延出部の前記第2の延出部への進入を阻害するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【0009】
(5) 前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部を備え、前記第2の延出部は、前記第1の延出部本体部の両側部を被包する向かい合う2つの前記第1の延出部部分収納部と、2つの前記第1の延出部部分収納部間に設けられ、前記第1の延出部本体部の前記膨出部を突出させるための開口部とを備えている上記(1)または(4)に記載の医療用容器用中空体。
(6) 前記第2の延出部は、前記第1の延出部および前記第2の延出部間が拡がったとき、前記第1の延出部により、前記第1の延出部部分収納部が変形し、前記開口部が広がることにより、前記第1の延出部の離脱を可能とし、かつ、前記第1の延出部の離脱後の前記第1の延出部部分収納部の原形状方向への復元による前記開口部の狭小化により、再収納を不能としているものである上記(5)に記載の医療用容器用中空体。
(7) 前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部と、該膨出部より先端方向に延びる延出先端部を備え、前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の前記延出先端部を被包し、かつ、前記膨出部を被包しないものとなっている上記(1)または(4)に記載の医療用容器用中
(8) 前記第2の延出部は、前記第1の延出部部分収納部からの前記第1の延出部の離脱の際に変形する離脱補助用易変形部を備えている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【0010】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ後端部が開口した医療用容器用中空体と、前記中空体の前記後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有する医療用容器用排出ポート。
(10) 前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤が収納されている上記(9)に記載の医療用容器用排出ポート。
(11) 前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤と、前記破断可能部の未破断時における前記中空体内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材とが収納されている上記(10)に記載の医療用容器用排出ポート。
【0011】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(12) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ一端部が開口した医療用容器用中空体と、該中空体の前記一端部を封鎖する封止部材と、前記中空体内に収納された薬剤とを有する医療用容器用薬剤容器。
【0012】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(13) 軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記排出ポートは、上記(9)ないし(11)のいずれかに記載の排出ポートであり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記排出ポート内を前記薬剤室と連通させるものである医療用容器。
【0013】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(14) 軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器と、該軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記薬剤容器は、上記(12)に記載の薬剤容器であり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記薬剤容器内を前記薬剤室と連通させるものである医療用容器。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療用容器用中空体は、軟質バッグを備える医療用容器に用いられる医療用容器用中空体であって、中空体は、先端部が閉塞した筒状部と、筒状部より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、筒状部に設けられ、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより破断し、筒状部を開口する破断可能部とを備える。第2の延出部は、第1の延出部の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部を有し、医療用容器用中空体は、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより筒状部が開口するとともに、第2の延出部に一部が収納されていた第1の延出部が、第2の延出部から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部の第2の延出部への再収納を不能とし、筒状部の開口状態を維持する。
このため、この医療用容器用中空体によれば、第1の延出部および第2の延出部間が拡がり、破断可能部の破断後では、第1の延出部と第2の延出部間が広がった状態が維持されるので、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器用排出ポートは、後端部が開口した上記の医療用容器用中空体を用い、かつ、中空体の後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有するものである。この医療用容器用排出ポートによれば、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器用薬剤容器は、後端部が開口した上記の医療用容器用中空体を用い、かつ、中空体の一端部を封鎖する封止部材と、中空体内に収納された薬剤とを有するものである。この医療用容器用薬剤容器によれば、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器は、軟質バッグと、軟質バッグ内に形成された薬剤室と、薬剤室に充填された薬液と、軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、排出ポートとして上記の排出ポートを用い、かつ、第1の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また第2の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、破断可能部は、薬剤室の押圧時の軟質バッグと固定された第1の延出部および第2の延出部の拡がりにより破断し、排出ポート内を薬剤室と連通させるものである。このため、第1の延出部および第2の延出部間が拡がり、破断可能部の破断後では、第1の延出部と第2の延出部間が広がった状態が維持されるので、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器は、軟質バッグと、軟質バッグ内に形成された薬剤室と、薬剤室に充填された薬液と、軟質バッグに取り付けられ薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器と、軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、薬剤容器として上記の薬剤容器を用い、かつ、第1の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また第2の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、破断可能部は、薬剤室の押圧時の軟質バッグと固定された第1の延出部および第2の延出部の拡がりにより破断し、薬剤容器内を薬剤室と連通させるものである。このため、第1の延出部および第2の延出部間が拡がり、破断可能部の破断後では、第1の延出部と第2の延出部間が広がった状態が維持されるので、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の医療用容器の一実施例の正面図である。
【図2】図2は、本発明の医療用容器用排出ポートの一実施例の正面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2のB−B線拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の医療用容器用中空体の一実施例の正面図である。
【図6】図6は、図5に示した医療用容器用中空体の背面図である。
【図7】図7は、図5に示した医療用容器用中空体の右側面図である。
【図8】図8は、図5に示した医療用容器用中空体の平面図である。
【図9】図9は、図5のC−C線拡大断面図である。
【図10】図10は、図5に示した医療用容器用中空体の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図11】図11は、図5に示した医療用容器用中空体の第2の延出部側から見た斜視図である。
【図12】図12は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図13】図13は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
【図14】図14は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
【図15】図15は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図16】図16は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図17】図17は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
【図18】図18は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
【図19】図19は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
【図20】図20は、図19に示した医療用容器用中空体の右側面図である。
【図21】図21は、図19に示した医療用容器用中空体の拡大平面図である。
【図22】図22は、図19のD−D線断面図である。
【図23】図23は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。
【図24】図24は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。
【図25】図25は、図22に示した医療用容器用中空体の先端部分の拡大断面図である。
【図26】図26は、本発明の医療用容器用排出ポート内に収納された針管侵入阻害部材の一例の正面図である。
【図27】図27は、図26に示した針管侵入阻害部材の拡大平面図である。
【図28】図28は、図26に示した針管侵入阻害部材の拡大底面図である。
【図29】図29は、図26に示した針管侵入阻害部材の斜視図である。
【図30】図30は、本発明の医療用容器に用いられる中空体取付用部材の斜視図である。
【図31】図31は、本発明の医療用容器用中空体およびそれを用いた医療用容器用排出ポートの作用を説明するための説明図である。
【図32】図32は、本発明の医療用容器の作用を説明するための説明図である。
【図33】図33は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【図34】図34は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【図35】図35は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【図36】図36は、本発明の医療用容器用薬剤容器の一実施例の正面図である。
【図37】図37は、図36に示した医療用容器用薬剤容器の背面図である。
【図38】図38は、図36に示した医療用容器用薬剤容器の拡大底面図である。
【図39】図39は、図36のE−E線断面図である。
【図40】図40は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の医療用容器用中空体、医療用容器用薬剤容器、医療用容器用排出ポートおよび医療用容器について、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の医療用容器用中空体30は、軟質バッグ2を備える医療用容器1に用いられる医療用容器用中空体である。中空体30は、先端部が閉塞した筒状部31と、筒状部31より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグ2の一方のシート2aの内面に固着可能な第1の延出部21と軟質バッグの他方のシート2bの内面に固着可能な第2の延出部61と、筒状部31に設けられ、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより破断し、筒状部31を開口する破断可能部36とを備える。そして、第2の延出部61は、第1の延出部21の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有し、医療用容器用中空体は、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより筒状部31が開口するとともに、第2の延出部61に一部が収納されていた第1の延出部21が、第2の延出部61から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部21の第2の延出部61への再収納を不能とし、筒状部31の開口状態を維持する。
また、この実施例の医療用容器用中空体30は、言い換えれば、第2の延出部は、第1の延出部21の一部を離脱可能かつ再収納不能に収納する第1の延出部部分収納部64,65を備えており、第1の延出部21および第2の延出部61間の拡がりによる破断可能部36の破断に続き、第2の延出部61に収納されていた部分の第1の延出部が、第2の延出部61より離脱し、かつ、離脱した部分の第1の延出部21が、第2の延出部61の部分収納部64,65と当接し、第1の延出部21の第2の延出部61の部分収納部64,65内への進入が阻害されるものとなっている。このため、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱状態が維持されるため、筒状部31の開口状態も維持されるものとなっている。
【0017】
また、本発明の医療用容器用排出ポート3は、本発明の医療用容器用中空体でありかつ後端部が開口した中空体30と、中空体30の後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部とを有するものである。
また、本発明の医療用容器用薬剤容器7は、本発明の医療用容器用中空体70と、中空体70の開口部を封鎖する封止部材72と、筒状部内に収納された薬剤73とを有するものである。
また、本発明の医療用容器1は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室(具体的には、薬剤室)11と、薬剤室11に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート3とを備える。そして、排出ポート3として、本発明の医療用容器用中空体を用いた排出ポートを用いるものである。
また、本発明の医療用容器40は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室(具体的には、薬剤室12)と、薬剤室12に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられ薬剤室12内の薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器7と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート10とを備える。そして、薬剤容器7として、本発明の医療用容器用中空体を用いた薬剤容器7を用いるものである。なお、医療用容器40は、軟質バッグ2内に形成された薬剤室(具体的には、第1の薬剤室11と第2の薬剤室12)と、第2の薬剤室12に充填された薬液とを備えており、薬剤容器7は、第2の薬剤室12側に取り付けられており、排出ポート10は、第1の薬剤室11側に取り付けられている。
【0018】
最初に、本発明の医療用容器用中空体を薬剤容器兼排出ポートに応用したものおよびそれを用いた医療用容器の実施例を用いて説明する。
この実施例の医療用容器1は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室11と、薬剤室11に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート3とを備える。そして、排出ポート3は、本発明の医療用容器用中空体を用いた排出ポートであり、かつ、第1の延出部21の外面の一部は軟質バッグ2の薬剤室11を形成する一方のシート2aの内面に固定されており、第2の延出部61の外面の一部は軟質バッグ2の薬剤室11を形成する他方のシート2bの内面に固定されており、破断可能部36は、薬剤室11の押圧時の軟質バッグ2と固定された第1の延出部21および第2の延出部61の拡がりにより破断し、排出ポート3内を薬剤室11と連通させるものである。
この実施例の医療用容器1は、可撓性材料により形成され、内部に薬剤収納部である薬剤室11を有する軟質バッグ2と、軟質バッグ2の薬剤室11に取り付けられた医療用容器用排出ポート3と、薬剤室11に充填された薬液とを備える薬剤入り医療用容器である。
また、図1に示すように、軟質バッグ2の一端側及び他端側には、シール部5,6が設けられている。また、上端側シール部5には、混注ポート8が取り付けられている。混注ポートとしては、公知のものが使用できる。
【0019】
医療用容器1の軟質バッグ2は、軟質合成樹脂により形成されている。軟質バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、軟質バッグ2は、例えば、ブロー成形法、共押出インフレーション法などの種々の方法により製造されたものでもよい。
軟質バッグ2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。このように軟質バッグ2が水蒸気バリヤー性を有することにより、医療用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される薬剤(具体的には、薬液)の減少、濃縮を防止することができる。また、医療用容器1の外部からの水蒸気の侵入も防止することができる。
【0020】
このような軟質バッグ2の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。
本発明においては、軟質バッグ2の形成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。軟質バッグ2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図ることができる点で好ましい。
【0021】
また、軟質バッグは、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、軟質バッグ2の耐衝撃性を向上させたり、耐ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、軟質バッグ2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与したりすることができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、軟質バッグ2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、軟質バッグ2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
軟質バッグ2を構成するシート材の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜360μm程度であるのがより好ましい。
また、医療用容器1の容積は、内部に収納する薬剤の種類等によって異なるが、通常は、薬剤室の容積が、50〜5000ml程度であることが好ましい。
医療用容器用排出ポート3は、軟質バッグ2内に充填された薬剤(薬液)を排出するためのものである。
【0022】
排出ポート3は、軟質バッグ2の薬剤室に固定されている。排出ポート3は、医療用容器用中空体30を備える。
医療用容器用中空体30は、先端部が閉塞した筒状部31と、筒状部31より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグ2の一方のシート2aの内面に固着可能な第1の延出部21と軟質バッグの他方のシート2bの内面に固着可能な第2の延出部61と、筒状部31に設けられ、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより破断し、筒状部31を開口する破断可能部36とを備える。そして、第2の延出部61は、第1の延出部21の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有し、医療用容器用中空体は、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより筒状部31が開口するとともに、第2の延出部61に一部が収納されていた第1の延出部21が、第2の延出部61から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部21の第2の延出部61への再収納を不能とし、筒状部31の開口状態を維持するものとなっている。また、排出ポート3は、筒状部31の他端側を閉塞し、かつ、医療用針管の接続が可能なシール部材52を有する排出口50を備えている。さらに、この実施例の医療用容器1では、排出ポート3内には、医療用容器用中空体30に設けられ破断可能部36の未破断時における医療用容器用中空体30の筒状部31内への医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材4が収納されている。
【0023】
この実施例の排出ポート3は、医療用容器用中空体30と、医療用容器用中空体30の開口部を封止するとともに医療用針の接続(穿刺)が可能な排出口50と、排出ポート3(医療用容器用中空体30)を軟質バッグ2に取り付けるための筒状部材55と、医療用容器用中空体30内に収納された針管侵入阻害部材4と、医療用容器用中空体30内に充填された薬液90とを備えている。
そして、排出口50は、医療用針管の接続(穿刺)が可能なシール部材52と、このシール部材52を医療用容器用中空体30の開口部に固定するためのキャップ部材51とを備えている。そして、キャップ部材51は、医療用容器用中空体30の基端部に設けられた固定部(フランジ部39)に、超音波融着、高周波融着、熱融着等により固定される。医療用容器用中空体30の筒状部31は、内部の薬剤が目視可能に透明に形成されていることが好ましい。また、医療用容器用中空体30の筒状部31は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。このように、薬剤収納部が減圧または真空状態であると、薬剤の変質分解・劣化等の防止効果が向上する。
収納される薬剤90としては、粉末、顆粒状などの固体状、液体状等いかなるものでもよい。薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。
【0024】
排出ポート3は、通常状態では軟質バッグの薬剤室と非連通のポートである。
医療用容器用中空体30は、図3,図5ないし図8に示すように、中空部を有する筒状部31と、筒状部31に設けられた破断可能部36と、筒状部31より先端方向に突出する第1の延出部21および第2の延出部61とを一体に備えている。
そして、この実施例の医療用容器用中空体30では、第2の延出部61は、第1の延出部21の一部を離脱可能かつ再収納不能に収納する第1の延出部部分収納部64,65を備えている。特に、この実施例では、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部64,65は、第1の延出部21の側部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものとなっている。
また、第1の延出部21は、第1の延出部本体部23と、第1の延出部本体部23より膨出し、上面に一方のシート2aの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部24を備える。第2の延出部61は、1の延出部本体部21の両側部25,26を被包する向かい合う2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と、2つの第1の延出部部分収納部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部21の膨出部24を突出させるための開口部67とを備えている。この実施例の医療用容器用中空体30では、第2の延出部61は、第1の延出部21および第2の延出部61間が拡がったとき、第1の延出部21により、2つの第1の延出部部分収納部64,65が変形し、開口部67が広がることにより、第1の延出部21の離脱を可能とし、かつ、第1の延出部21の離脱後の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の原形状方向への復元による開口部67の狭小化により、第1の延出部21の再収納を不能としている。また、第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシート2bの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63を有している。
医療用容器用中空体30は、第1の延出部21を軟質バッグ2の薬剤室11を形成する一方のシートの内面に固定された第1の固定部14(図32参照)と、第2の延出部61を薬剤室11を形成する他方のシートの内面に固定された第2の固定部15(図32参照)を有している。そして、この実施例の医療用容器用中空体30では、筒状部31の基端部に、医療用針管の接続(穿刺)が可能な排出口50を取り付けるための取付部が形成されている。また、筒状部31の基端部は、破断可能部36より基端側に所定長延びるものとなっている。
医療用容器用中空体30の破断可能部36は、薬剤室11の押圧時の軟質バッグ2との第1の固定部14と第2の固定部15間の拡がりにより破断するものとなっている。
【0025】
筒状部31は、図5ないし図7に示すように、先端部が閉塞し、基端部が開口した筒状部分であり、基端部に設けられたフランジ部39と、第1の円筒部と、第1の円筒部と連続し先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部と、テーパー部と連続する小径円筒部32と、小径円筒部32と連続する閉塞部(先端部)とからなる。先端部の形状は、ドーム形状、円錐形状、円錐台形状であることが好ましく、特に、ドーム形状、円錐台形状であることが好ましい。この実施例では、閉塞部は、ドーム形状となっている。
筒状部31の容積は、1〜30mlであることが好ましい。筒状部の長さは、20〜100mmであることが好ましい。また、フランジ部の基端側は、排出口50を形成するキャップ部材51を固定するためのものである。
医療用容器用中空体30の形成材料としては、硬質もしくは半硬質材料を用いることが好ましい。具体的には、医療用容器用中空体30の形成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン[具体的にはZEONEX(登録商標、日本ゼオン株式会社製)のようなCOP(環状オレフィンポリマー)、APEL(登録商標、三井化学株式会社製)のようなCOC(環状オレフィンコポリマー)]、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。
【0026】
そして、この実施例では、第1の延出部21および第2の延出部61は、図2ないし図11に示すように、筒状部31の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端は、自由端となっている。第1の延出部21および第2の延出部61は、両者間を開く力が付与されたときに、その力を破断可能部を破断するための応力に変換する機能を備えている。また、第1の延出部21と第2の延出部61とは向かい合うように形成されていることが好ましい。また、第1の延出部21と第2の延出部61の各本体部23,63は、軸方向に縦長の矩形状に形成されている。
具体的には、この実施例の医療用容器1における医療用容器用中空体30では、第1の延出部21は、図2ないし図11に示すように、第1の延出部本体部23と、縦長の平板状の固着可能部22を上面に有する膨出部24と、固着可能部22より下面側に位置する本体部23の側部25,26を備え、破断可能部36により、第1の延出部21の後端縁が形成されている。よって、第1の延出部21は、破断可能部36の全体が破断することにより、医療用容器用中空体30より、分離するものとなっている。さらに、この実施例では、第1の延出部本体部側部25,26は、端部に下方(第2の延出部61方向)に延びる端部リブ25a,26aを備えている。なお、膨出部24、第1の延出部本体部23およびその側部25,26は、所定長軸方向に延びるものとなっている。そして、膨出部24は、所定幅を有する断面矩形状のものとなっており、上面の平坦面部分が、一方のシート2aとの固着可能部22を構成している。
【0027】
また、第1の延出部21と第2の延出部61は、筒状部31の軸方向に延びるように設けられている。そして、第1の延出部21と第2の延出部61とは、それぞれの延出部本体部が対向するものとなっている。また、第1の延出部本体部23と第2の延出部本体部63は、向かい合いかつ若干離間するように設けられている。そして、第1の延出部本体部23および第2の延出部本体部63の先端(他端)は、自由端となっていることが好ましい。
第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシートの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63と、2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と、2つの第1の延出部部分収納部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部の一部を突出させるための開口部67とを備えている。
また、第1の延出部21および第2の延出部61間の応力が付与され拡がったとき、第2の延出部61の側部被包部64,65は、第1の延出部21の側部25,26部分により押圧されて変形し、開口部67が広がることにより、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱を可能としている。さらに、第1の延出部21の離脱後に、第2の延出部61の側部被包部64,65は、原形状方向への復元し、開口部67が狭小化し、第1の延出部21の再収納、すなわち、第1の延出部21の第2の延出部61の側部被包部64,65内への進入を不能としている。さらに、この実施例では、第2の延出部61は、第1の延出部部分収納部64,65より、第1の延出部21の側部25,26部分が離脱の際に変形する離脱補助用易変形部64b,65bを備えている。
具体的には、第2の延出部61は、第2の延出部本体部63の平板状部分の側部より湾曲して第1の延出部21方向に延び、第1の延出部21の側部25,26を被包する第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65を備えている。そして、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と第2の延出部本体部63の平板状部分間に、上述した離脱補助用易変形部64b,65bが設けられている。第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部側に開口部を有する略U字管状のものとなっている。また、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部には、上方に延びる端部リブ64a,65aが設けられている。そして、この実施例では、第2の延出部本体部63の平板状部分および第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、筒状部31の軸方向に所定長延びるものとなっており、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26の全長にわたり、被包するものとなっている。2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64aと65a間は、離間し、開口部67を有するものとなっており、さらに、この開口部67を第1の延出部21の膨出部24が通過し、その上部が露出するものとなっている。つまり、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26を被包するものの、膨出部24を被包しないものとなっており、また、当接もしないものとなっている。
【0028】
破断可能部36は、第1の延出部21と第2の延出部61により応力が付与されたとき、筒状部31の先端部分を縦にさくことができるような構成であることが好ましい。破断可能部36は、第1の延出部21または第2の延出部61の基端部を取り囲むように形成されている。具体的には、この実施例のものでは、破断可能部36は、図5および図7に示すように、筒状部31の先端部(具体的には小径円筒部32)を第1の延出部21の基端部と筒状部とを区分するように環状のものとなっている。なお、破断可能部36は、筒状部31の先端部(具体的には小径円筒部32)を第2の延出部61の基端部と筒状部とを区分するような環状のものであってもよい。さらに、破断可能部36は、第1の延出部21のみならず第2の延出部61の基端部をも取り囲むように形成されたものであってもよい。この場合、第1の延出部21のみならず第2の延出部61も筒状部31からの破断が可能となる。
そして、この実施例の医療用容器用中空体30では、図8および図9に示すように、第1の延出部21の側部25,26に設けられた端部リブ間の距離は、第2の延出部61の側部被包部64,65に設けられた端部リブ64a,65a間より広いものとなっている。このため、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱後、第1の延出部21が、第2の延出部61側に押圧された時、第1の延出部21と第2の延出部61との当接が確実となるとともに、第1の延出部21の側部25,26に設けられた端部リブ間にて、第2の延出部61の側部被包部64,65に設けられた端部リブ64a,65aを収納することができるものとなっている。これにより、第1の延出部21の第2の延出部61への再収納をより確実に防止する。
【0029】
また、この実施例の医療用容器用中空体30では、図7および図10に示すように、破断可能部36は、第1の延出部21と第2の延出部61との間を通るように設けられた先端側部分と、先端側部分より筒状部31の側面方向に延びる第1の延出部側部分を有している。図31および図32に示すように、薬剤室11を押圧したとき、第1の延出部21の軟質バッグ2への固定部付近が膨らみ、第1の延出部21が、引っ張られることにより、第1の延出部21に第2の延出部61より離間する方向に開く力が付与されることにより、破断可能部36は、破断し、それに続いて、第1の延出部21が引っ張られることにより、第1の延出部21の側部25,26が、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65を押しあげ、側部被包部64,65を変形させることにより、開口部67が広がり、第1の延出部21は、第2の延出部61より離脱(言い換えれば、脱出、離出)する。そして、第1の延出部21の離脱後、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、原形状方向に復元し、第1の延出部21の第2の延出部61内への進入を阻止するものとなっている。これにより、筒状部31の開口状態を維持する。
破断可能部36は、破断可能な脆弱部である。具体的には、破断可能部は、薄肉部であることが好ましい。また、破断可能部36は、筒状部31の外面に溝部を形成することにより作製されていることが好ましい。この実施例では、破断可能部36は、溝部の断面がV字状の溝部を形成することにより作製されている。溝部の角度は、30〜120°、特に、40〜60°、最小肉厚は、0.05〜0.3mm、特に、0.08〜0.2mmであることが好ましい。このような角度に溝形成部を作製することにより、軟質バッグ2を膨らませた場合、破断可能部の中心に応力が集中して確実に破断するものとなる。また、溝部は、破断容易な形状であればいかなる形状のものであってもよく、実施例のようなV字形状に限られず半円形状、半楕円形状等であってもよい。また、本発明の破断可能部は、溝部が形成されることにより薄肉部が形成され破断可能となるものであるが、これに限定されるものではない。破断可能部は、例えば、薬剤収納部の破断可能部を形成する部分をその他の部分より脆弱な材質で形成することにより作製してもよい。具体的に、多色成形によって、破断可能部を形成する部分を破断容易な材料で作製して、その他の部分を破断容易でない材料にて作製することが好ましい。
また、破断可能部36は、第1の延出部21及び第2の延出部61により付与される応力により筒状部31(薬剤収納部)を破断可能なものであればいかなるものであってもよい。
【0030】
また、軟質バッグ2の内面と接合される第1の延出部21及び第2の延出部61の固着可能部22、62は、軟質バッグ2の内面に固着可能な材料により形成されている。具体的には、固着可能部22、62は、軟質バッグ2の形成材料(特に、軟質バッグ2の内面側を形成する形成材料)と相溶性のある樹脂により形成されていることが好ましい。このような構成により、第1の延出部21と第2の延出部61を軟質バッグ2の内面に確実に接合することができる。軟質バッグ2と相溶性のある樹脂としては、上述したものであることが好ましい。相溶性のある樹脂は、軟質バッグの構成材料と同一もしくは近似した材料であることが好ましい。本発明の実施例では、第1の延出部もしくは第2の延出部のすべてが医療用容器の軟質バッグと相溶性のある樹脂により作製されていることが好ましく、第1の延出部もしくは第2の延出部ならびに筒状部31のすべてが医療用容器の軟質バッグと相溶性のある樹脂により作製されていることがさらに好ましい。また、相溶性のある樹脂層は、2色成形により作製されていてもよい。相溶性のある樹脂層は軟質バッグの内面と接合し易いように平坦に作製されていることが好ましい。
【0031】
また、第1の延出部21の本体部23と第2の延出部61の本体部63とは、向かい合うようにかつ若干離間するように配置されている。第1の延出部21の本体部23と第2の延出部61の本体部63間はあまり大きく離間していない。このため、第1の延出部21と第2の延出部61間が、軟質バッグ2への固定時に押圧されても、第1の延出部21および第2の延出部61に許容される変形量は少なく、破断可能部36の予定外の破断を防止している。
そして、医療用容器1には、第1の延出部21の固着可能部22の全体もしくは一部が、軟質バッグ2のシートの内面と接合されることにより第1の固定部14(図32参照)が形成され、同様に、第2の延出部61の固着可能部62の全体もしくは一部が、軟質バッグ2のシートの内面と接合されることにより第2の固定部15(図32参照)が形成される。このため、第1の延出部及び第2の延出部が、薬剤室の押圧時の軟質バッグの第1の延出部および第2の延出部の固定部間の拡がりに追従して拡がり、破断可能部を一方のシート側に開き破断する。
第1の延出部21の固着可能部22および第2の延出部61の固着可能部62と軟質バッグ2の各シートの内面との接合は、超音波融着、高周波融着、熱融着等により行われることが好ましい。具体的には、排出ポート3を図1に示すような位置に配置した後、軟質バッグ2の一方のシート及び他方のシート面の両面側からシール金型により挟持しヒートシールすることにより行われることが好ましい。
【0032】
なお、排出ポート3における第1の延出部及び第2の延出部は、上述した構成のものに限定されず、軟質バッグを構成する一方のシート内面と他方のシート内面と接合可能であり、かつ軟質バッグの膨らみに連動して破断可能部に応力を付与できる構成を有しているものであればいかなる構成であってもよい。例えば、薬剤収納部の軸方向に延びるように形成されず、薬剤収納部に対して斜めに形成されるものであってもよい。
さらに、この実施例の排出ポート3では、医療用容器用中空体30内に、針管侵入阻害部材4が収納されている。この実施例における針管侵入阻害部材4は、図3に示すように、医療用容器用中空体30の筒状部31の先端部内と当接可能な先端部を有する本体部41と、医療用針管の先端が当接可能な基端部43と、先端部41と基端部42を連結する接続部42を有するものである。
そして、医療用容器用中空体30の破断可能部36が未破断の状態(図3の状態)において、シール部材52に医療用針管を穿刺した場合、この針の先端は針管侵入阻害部材4の基端部43に当接し、進入を阻止する。作業者は、医療用針管が穿刺不能状態であることより、医療用容器用中空体30の破断可能部36が未破断であることを認識することができる。
そして、医療用容器用中空体30の破断可能部36が未破断の状態(図3の状態)における医療用針管の排出ポートへの穿刺可能長さは、医療用針管の開口が排出ポート内部と連通しない長さであることが好ましい。
【0033】
この例の針管侵入阻害部材4では、本体部41は、図26ないし図29に示すように、4つの軸方向に延びる板状部41a,41b,41c,41dを有する断面十字状のものとなっている。また、本体部41と基端部43を接続する接続部42は、円盤状の基端部の上面中心より外縁方向に延びかつ外縁より突出する4つのリブ42a,42b,42c,42dにより形成されており、それぞれのリブ42a,42b,42c,42dの上部が対応する板状部41a,41b,41c,41dの下部と連結したものとなっている。
そして、この針管侵入阻害部材4は、医療用容器用中空体30の破断可能部36の破断後、排出ポートより流出可能なものとなっている。しかし、このようなものに限定されるものではない。また、針管侵入阻害部材4としては、医療用容器用中空体30の破断可能部36の未破断の状態における医療用針管の排出ポートへの穿刺を規制するものであれば、上記の針管侵入阻害部材に限定されるものではない。
【0034】
この実施例の医療用容器1では、医療用容器1の薬液室11を押圧することにより薬液室11を膨らませると、この膨らみ(第1の固定部14と第2の固定部15の開き)に連動して、図32に示すように、医療用容器用中空体30の第1の延出部21と第2の延出部61とが一方のシート2a及び他方のシート2b方向に開き、まず、破断可能部36の先端側部分が破断され、次いで、第1の延出部側部分が破断される。そして、第1の延出部側部分が分離し、筒状部31は開封され、薬液室11と連通し、図32に示すように、針管侵入阻害部材4はポート本体より流出し、針管の接続が可能となるとともに、排出ポート内の薬剤は、軟質バッグ2の薬液室11の薬剤と混合される。また、第1の延出部は、第2の延出部61より、離脱し、離脱した第1の延出部21は、第2の延出部61に当接し、第1の延出部による閉塞が防止される。
また、この実施例の排出ポート3では、図2および図3に示すように、排出ポート3(医療用容器用中空体30)を軟質バッグ2に取り付けるための筒状部材55を備えている。筒状部材55は、医療用容器用中空体30の筒状部31の中間部分を被包する筒状体であり、図30に示すように、医療用容器用中空体30の筒状部31に被嵌される本体部56と、筒状部31のフランジ部39を収納する拡径部57を有する筒状体である。なお、筒状部材55は筒状部31と一体として成形されているものであってもよい。また、排出ポートとしては、筒状部材55を備えないものであってもよい。
【0035】
また、医療用容器用中空体としては、図12に示すようなものであってもよい。
図12は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
この実施例の医療用容器用中空体30aの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第2の延出部の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の形態(軸方向長さ)のみである。上述した医療用容器用中空体30では、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の軸方向に延びる側部25,26の全体を被包するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30aでは、第2の延出部61aの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の軸方向に延びる側部25,26の先端側部分を被包せず、基端側部分のみを被包するものとなっている。つまり、医療用容器用中空体30aでは、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第2の延出部本体部63の平板部分の全体に設けられておらず、第2の延出部本体部63の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。そして、医療用容器用中空体30aでは、第1の延出部21の軸方向に延びる側部25,26の先端側部分は、露出している。このような形態とすることにより、第2の延出部61aからの第1の延出部21の離脱が容易となる。
【0036】
また、医療用容器用中空体としては、図13に示すようなものであってもよい。
図13は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
この実施例の医療用容器用中空体30bの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第1の延出部の軸方向に延びる側部25,26の形態(軸方向長さ)のみである。上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部21の先端(言い換えれば、第1の延出部本体部23の先端、膨出部24の先端)まで延びるものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30bでは、第1の延出部21aの側部25,26は、第1の延出部本体部23の平板部分の全体に設けられておらず、第1の延出部本体部23の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21aの離脱が容易となる。
【0037】
また、医療用容器用中空体としては、図14に示すようなものであってもよい。
図14は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
この実施例の医療用容器用中空体30cの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第1の延出部の軸方向に延びる側部25,26の形態のみである。上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、その全体が同じ形態、同じ突出幅を有するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30cでは、第1の延出部21bの側部25,26は、その先端部より基端側に向かって徐々に突出幅が広くなる形態となっている。そして、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、その幅が変化する第1の延出部21bの側部25,26を被包している。なお、図14に示すものでは、側部被包部64,65により被包される側部25,26の基端部は、幅が変化しない部分となっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21bの離脱が容易となり、かつ、離脱後の第1の延出部21bの側部25,26と第2の延出部61の側部被包部64,65との当接も確実なものとなる。
【0038】
また、医療用容器用中空体としては、図15に示すようなものであってもよい。
図15は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
この実施例の医療用容器用中空体30dの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第2の延出部の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の形態(軸方向長さ)と、第1の延出部の軸方向に延びる側部25,26の形態(軸方向長さ)のみである。
上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部21の先端(言い換えれば、第1の延出部本体部23の先端、膨出部24の先端)まで延びるものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30dでは、第1の延出部21cの側部25,26は、第1の延出部本体部23の平板部分の全体に設けられておらず、第1の延出部本体部23の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。そして、この医療用容器用中空体30dでは、上述の第1の延出部21cの側部25,26の長さに対応するように、第2の延出部61aの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第2の延出部本体部63の平板部分の全体に設けられておらず、第2の延出部本体部63の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。つまり、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21cの側部25,26の位置および長さに対応する位置にかつ対応する長さを有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61aからの第1の延出部21cの離脱が容易となる。
また、上述したすべての実施例の医療用容器用中空体において、第1の延出部の一方のシートの内面に固着可能な固着可能部は、図16に示す、第1の延出部21dが有する固着可能部22aのような形態のものであってもよい。
【0039】
図16は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
この実施例の医療用容器用中空体30eでは、広い面積を有する固着可能部22aを有している。このようにすることにより、一方のシートの内面への固着面積が広くなり固着が確実となるとともに、医療用容器用中空体30eからの第1の延出部21dを破断させるための応力付与も確実なものとなる。この医療用容器用中空体30eでは、第1の延出部21dの膨出部24の上面部は、両側部に、側部方向に突出する側部突出が設けられている。これにより、膨出部24の上面部により形成される固着可能部22aは、広い表面積を有するものとなっている。また、側部突出部は、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部リブの上方に位置するものとなっている。このため、第1の延出部21dが押圧された時、両者が当接するため、第1の延出部21dの分離前における変形を防止する。
また、上述したすべての実施例の医療用容器用中空体において、第1の延出部の側部25,26は、図17に示す、第1の延出部21eが有する側部25,26のような形態のものであってもよい。
【0040】
図17は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出し、その底面は、第1の延出部本体部23の底面と連続する平坦面を形成するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30fでは、第1の延出部21eの側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出するとともに、第2の延出部61の第2の延出部本体部63方向に向かって延びる斜めに延びるものとなっている。このため、この医療用容器用中空体30fでは、側部25,26は、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部と向かい合う傾斜面を有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21eの離脱が容易となる。
また、上述したすべての実施例の医療用容器用中空体において、第1の延出部の突出部は、図18に示す、第1の延出部21fが有する突出部25c,25dのような形態のものであってもよい。
【0041】
図18は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出し、その底面は、第1の延出部本体部23の底面と連続する平坦面を形成するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30gでは、第1の延出部21fの側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出する断面が半円状もしくは半楕円状のものとなっている。このため、この医療用容器用中空体30gでは、側部25,26は、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部と向かい合う円弧面を有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21fの離脱が容易となる。
【0042】
また、医療用容器用中空体としては、図19ないし図25に示すようなものであってもよい。
図19は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。図20は、図19に示した医療用容器用中空体の右側面図である。図21は、図19に示した医療用容器用中空体の拡大平面図である。図22は、図19のD−D線断面図である。図23は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。図24は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。図25は、図22に示した医療用容器用中空体の先端部分の拡大断面図である。
この実施例の医療用容器用中空体80では、第1の延出部81は、第1の延出部本体部83と、第1の延出部本体部83より膨出し、上面に一方のシート2aの内面に固着可能な固着可能部82を有する膨出部84と、膨出部84より先端方向に延びる延出先端部85を備えている。また、第2の延出部91は、第1の延出部81の延出先端部85を被包し、かつ、膨出部84を被包しない第1の延出部部分収納部95を備えている。
そして、第2の延出部91の第1の延出部部分収納部95により収納される部分の第1の延出部81(具体的には、延出先端部85)は、下面側かつ第2の延出部方向に突出する突出部86を備えている。
【0043】
この実施例の医療用容器用中空体80では、第1の延出部81は、図19ないし図25に示すように、筒状部31の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端は、自由端となっている。また、第2の延出部91は、筒状部31の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端部は、湾曲して、第1の延出部81の延出先端部85を被包するものとなっている。第1の延出部81および第2の延出部91は、両者間を開く力が付与されたときに、その力を破断可能部を破断するための応力に変換する機能を備えている。また、第1の延出部81と第2の延出部91とは向かい合うように形成されている。また、第1の延出部81と第2の延出部91の各本体部83,93は、軸方向に縦長の矩形状に形成されている。
具体的には、この実施例の医療用容器用中空体80では、第1の延出部81は、図19ないし図25に示すように、軸方向に所定長延びる第1の延出部本体部83と、本体部83の先端側に設けられ、若干横長の平板状の固着可能部82を上面に有する膨出部84と、膨出部84よりさらに、所定長先端側に延びる延出先端部85を備えている。さらに、延出先端部85は、図20,図23ないし図25に示すように、先端より第2の延出部91方向かつ斜めに後方に延びる傾斜リブ86を備えている。そして、この傾斜リブ86は、図19,図21、図23および図24に示すように、両側部方向にも突出するものとなっている。このため、傾斜リブ86は、第1の延出部81の先端部に位置、かつ、両側部に突出する部分を形成している。また、図19、図20、図23および図24に示すように、破断可能部36により、第1の延出部81の後端縁が形成されている。よって、第1の延出部81は、破断可能部36の全体が破断することにより、医療用容器用中空体80より、分離するものとなっている。膨出部84は、所定幅を有する断面矩形状のものとなっており、上面の平坦面部分が、一方のシート2aとの固着可能部82を備えている。
【0044】
また、第1の延出部81と第2の延出部91は、筒状部31の軸方向に延びるように設けられている。そして、第1の延出部81と第2の延出部91とは、それぞれの延出部本体部、膨出部の内面が対向するものとなっている。また、第1の延出部本体部83と第2の延出部本体部93は、向かい合いかつ若干離間するように設けられている。
第2の延出部91は、図19ないし図25に示すように、軸方向に所定長延びる第2の延出部本体部93と、本体部93の先端側に設けられ、若干横長の平板状の固着可能部92を上面に有する膨出部94と、膨出部94よりさらに、所定長先端側に延び、かつ、第1の延出部本体部83の延出先端部85をその先端側より被包する第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95を備えている。また、第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95は、図19ないし図25に示すように、膨出部94より、先端側に延びる始端側平板部95aと、始端側平板部95aより延び、かつ、延出先端部85の先端側を覆うように湾曲するループ部96a,96bと、ループ部96a,96bより後端側に延びる終端側平板部95bと終端側平板部95bの外面より、斜めに前方に延びる傾斜リブ97を備えている。ループ部96a、ループ部96b間は、所定幅を有する切り欠き部となっており、ループ部での変形を容易にしている。
第1の延出部81および第2の延出部91間の応力が付与され拡がったとき、第2の延出部91の延出先端部被包部95は、第1の延出部81の延出先端部85により押圧されて変形し、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱、具体的には、第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95からの延出先端部85の離脱を可能としている。そして、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱後に、延出先端部被包部95は、原形状方向に復元し、第1の延出部81の再収納、すなわち、延出先端部85の延出先端部被包部95内への進入を不能としている。そして、この実施例では、ループ部96a、96bが、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱、具体的には、第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95からの延出先端部85の離脱の際に変形する離脱補助用易変形部となっている。
【0045】
そして、図25に示すように、第1の延出部81の傾斜リブ86と、第2の延出部91の傾斜リブ97は、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱後に、両者が近接した場合に、噛み合う形態となっている。これにより、第1の延出部81の第2の延出部91内への進入を確実に抑制する。また、延出先端部被包部95は、第1の延出部81の膨出部84に到達しないものとなっており、延出先端部被包部95は、延出先端部85を被包するものの、膨出部84を被包しないものとなっており、また、当接もしないものとなっている。
破断可能部36は、第1の延出部81と第2の延出部91により応力が付与されたとき、筒状部31の先端部分を縦にさくことができるような構成であることが好ましい。破断可能部36としては、医療用容器用中空体30において説明した通りである。
【0046】
また、軟質バッグ2の内面と接合される第1の延出部81及び第2の延出部91の固着可能部82、92は、軟質バッグ2の内面に固着可能な材料により形成されている。具体的には、固着可能部82、92は、軟質バッグ2の形成材料(特に、軟質バッグ2の内面側を形成する形成材料)と相溶性のある樹脂により形成されていることが好ましい。このような構成により、第1の延出部81と第2の延出部91を軟質バッグ2の内面に確実に接合することができる。軟質バッグ2と相溶性のある樹脂としては、上述したものであることが好ましい。
また、第1の延出部81の本体部83と第2の延出部91の本体部93とは、向かい合うようにかつ若干離間するように配置されている。第1の延出部81の本体部83と第2の延出部91の本体部93間はあまり大きく離間していない。このため、第1の延出部81と第2の延出部91間が、軟質バッグ2への固定時に押圧されても、第1の延出部81および第2の延出部91に許容される変形量は少なく、破断可能部36の予定外の破断を防止している。
【0047】
また、本発明の医療用容器としては、図33に示すようなものであってもよい。
この実施例の医療用容器20と上述した医療用容器1との相違は、軟質バッグ2の形態の相違のみである。
この医療用容器20は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート3および混注ポート8を備えている。排出ポート3、混注ポート8としては、上述したものが好適に使用される。
軟質バッグ2は、図33に示すように、剥離可能な仕切用弱シール部9により第1の薬剤室(薬液室)11と第2の薬剤室(薬液室)12とに区分されている。
図33に示すように、軟質バッグ2は、剥離可能な仕切用弱シール部9より第1の薬剤室11と第2の薬剤室12に仕切られている。仕切用弱シール部9は、図33に示すように、軟質バッグ2の薬剤室の横方向全体を横切るように設けられている。仕切用弱シール部9は、軟質バッグ2のシート材を帯状に融着することにより形成されている。本発明の実施例において、仕切用弱シール部9の両端部には、実質的に剥離しない強シール部9aが形成されている。実施例の仕切用弱シール部9は、第2の薬剤室12を手指等で強く押圧したとき(絞った時、握った時)に剥離して第1の薬剤室11と第2の薬剤室12とを連通可能なものである。
仕切用弱シール部9の剥離強度としては、輸送中に軟質バッグ2に対して加えられる圧力では剥離せず、軟質バッグ2を手指等で強く押したときに剥離する程度であることが好ましい。仕切用弱シール部9は、軟質バッグ2を融着することにより形成されることが好ましい。融着としては、熱融着、高周波融着等であることが好ましい。
軟質バッグ2は、このように仕切用弱シール部9により仕切られた2つの薬剤室11,12を有しているため、異なる成分の薬剤を無菌的に軟質バッグ2内にて混合することができる。また、図33に示す実施例において仕切用弱シール部9は、軟質バッグ2に対して水平に帯状に形成されているがこれに限定されるものではない。
【0048】
軟質バッグ2の薬剤室11,12には、それぞれ輸液剤(薬液)が収納されている。このような輸液剤としては、例えば、腹膜透析液、経中心静脈輸液剤、経末梢静脈輸液剤、経末梢静脈用注射剤、液状栄養剤などのように2つ以上の液剤を輸液の際に混合する必要のあるものが好ましい。また、輸液剤としては、例えば生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、アミノ酸電解質溶液等が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、薬剤室の一方にブドウ糖電解質液、他方にアミノ酸液を収納し、更に両室にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、パンテノール、ニコチン酸アミドなどの水溶性ビタミンを安定性などを考慮して適宜振り分け収納することができる。この場合、後述する薬剤室に取り付ける薬剤容器にビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど脂溶性ビタミンを主とした液剤を収納することにより、ビタミン配合高カロリー総合輸液剤とすることができる。
また、上端側シール部5には、混注ポート8が取り付けられている。混注ポートとしては、公知のものが使用できる。
【0049】
また、軟質バッグ2は、図34に示す医療用容器20aのように、排出ポート3の薬剤室側先端部の近傍に設けられ、第1の延出部および第2の延出部により固定されたシート間の拡がりを抑制するための剥離可能な拡がり抑制用シート間固定部17を備えている。なお、上述した実施例の医療用容器1にもこの第1の延出部および第2の延出部により固定されたシート間の拡がりを抑制するための剥離可能な拡がり抑制用シート間固定部を設けてもよい。
拡がり抑制用シート間固定部17は、図34に示す実施例では、排出ポート3の第1の延出部および第2の延出部の先端部付近を取り囲むように形成されている。拡がり抑制用シート間固定部は、輸送中等の使用前に軟質バッグ2に対して加えられる圧力では剥離せず、軟質バッグ2を手指で強く押したときに剥離可能なものであることが好ましい。シート間固定部17としては、図示する実施例のように、延出部の先端部付近かつ薬剤室の内側となる位置に連続する円弧状のものであることが好ましい。なお、シート間固定部17は、連続ではなく、複数の点状のものであってもよい。さらに、シート間固定部17は、延出部の先端部付近かつその側面側に1つもしくは延出部21,61を挟むように2つ設けたものであってもよい。そして、拡がり抑制用シート間固定部17としては、図34に示すように、両端部がシール部6に到達せず、薬剤室11と区画された室を形成しないものである。
シート間固定部17は、軟質バッグ2を剥離可能に融着することにより形成することが好ましい。融着としては、熱融着、高周波融着等であることが好ましい。シート間固定部17は、加熱プレスにより行うことが好ましく、金型の温度は、軟質バッグ2の形成材料の溶融温度より10℃以上低い温度で行うことにより形成することができる。拡がり抑制用シート間固定部を有していることにより、輸送中などに軟質バッグ2が膨らみ第1の延出部と第2の延出部とが裂開されるおそれがない。なお、拡がり抑制用シート間固定部の形状としては、輸送中などの使用前に筒状部が破断されることを防止できる形状であればいかなるものであってもよい。
【0050】
また、図35に示す医療用容器20bのように、軟質バッグ2は、排出ポート3の上方を取り囲むように形成された連通阻害用弱シール部18を備えるものであってもよい。連通阻害用弱シール部18により、第1の薬剤室11から隔離された小室19が形成されている。この小室19は、本発明の実施例では空き室となっている。しかし、この小室19には、所定の液体(例えば、生理食塩水)、もしくは微量元素注射液が入れられていてもよい。また、小室19は、乾燥状態でもよいが、湿熱滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害用弱シール部18に若干の水蒸気や薬剤が通る通路を形成し、小室19と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害用弱シール部18は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成することができる。連通阻害用弱シール部18は、図35に示す実施例では、反転したU字形状に形成されている。また、連通阻害用弱シール部18は、短辺が上側となる台形状、排出ポートが頂点となる三角形状、排出ポートが底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。
【0051】
次に、医療用容器用中空体を薬剤容器に応用した実施例について説明する。
この実施例の薬剤容器7は、図36ないし図39に示すように、医療用容器用中空体70と、中空体70の開口部を封止する封止部材72と、中空体70内に充填された薬剤73とからなる。
医療用容器用中空体70は、先端部が閉塞した筒状部71と、筒状部71より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグ2の一方のシート2aの内面に固着可能な第1の延出部21と軟質バッグの他方のシート2bの内面に固着可能な第2の延出部61と、筒状部71に設けられ、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより破断し、筒状部71を開口する破断可能部36とを備える。そして、第2の延出部61は、第1の延出部21の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有する。医療用容器用中空体70は、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより筒状部71が開口するとともに、第2の延出部61に一部が収納されていた第1の延出部21が、第2の延出部61から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部21の第2の延出部61への再収納を不能とし、筒状部31の開口状態を維持するものとなっている。
そして、この実施例の医療用容器用中空体70は、第1の延出部21および第2の延出部61間の拡がりによる破断可能部36の破断に続き、第2の延出部61に収納されていた第1の延出部21の側部25,26部分が、第2の延出部61より離脱し、かつ、離脱した第1の延出部21の側部部分が、第2の延出部61の部分収納部64,65と当接し、第1の延出部21の第2の延出部61の部分収納部64,65内への進入を阻害するものとなっており、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱状態が維持されるため、筒状部71の開口状態も維持されるものとなっている。
そして、第1の延出部21および第2の延出部61は、上述した医療用容器用中空体30にて説明した第1の延出部21および第2の延出部61と同じ構成であることが好ましい。また、破断可能部36等についても、上述した医療用容器用中空体30にて説明した破断可能部36等と同じ構成となっている。
【0052】
そして、この薬剤容器7および医療用容器用中空体70では、図36ないし図39(図2ないし図11を参照)に示すように、第1の延出部21は、一方のシート2aの内面に固着可能な固着可能部22を上面に有する第1の延出部本体部23と、側部25,26とを備えている。また、第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシート2bの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63と、第1の延出部部分収納部64,65を備える。第1の延出部部分収納部は、第1の延出部21の側部25,26を被包する向かい合う2つの側部被包部64,65と、2つの側部被包部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部23の一部を突出させるための開口部67を備えている。
具体的には、医療用容器用中空体70の第1の延出部21および第2の延出部61は、図36ないし図39に示すように、筒状部71の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端は、自由端となっている。第1の延出部21および第2の延出部61は、両者間を開く力が付与されたときに、その力を破断可能部を破断するための応力に変換する機能を備えている。また、第1の延出部21と第2の延出部61とは向かい合うように形成されていることが好ましい。また、第1の延出部21と第2の延出部61の本体部は縦長の矩形状に形成されていることが好ましい。このような構成により、軟質バッグ2を押圧して膨らませた際に、第1の延出部21と第2の延出部61とにより、破断可能部36に確実に破断応力が付与される。
【0053】
具体的には、この実施例の薬剤容器7における医療用容器用中空体70では、第1の延出部21は、図36ないし図39に示すように、縦長の平板状の固着可能部22を上面に有する第1の延出部本体部23と、固着可能部22より第1の延出部本体部23の下面側に位置する側部25,26を備え、破断可能部36により、その後端縁が形成されている。よって、第1の延出部21は、破断可能部36の全体が破断することにより、医療用容器用中空体70より、分離するものとなっている。
また、第1の延出部本体部23は、図36ないし図39に示すように、縦長の平板状の固着可能部22を上面に有する膨出部24を備え、側部25,26は、膨出部の下面側より、側部方向に突出するものとなっている。さらに、この実施例では、側部25,26は、端部にさらに下方に延びる端部リブを備えている。なお、膨出部24、側部25,26は、所定長軸方向に延びるものとなっており、特に、第1の延出部本体部23の先端より、所定長、破断可能部36方向に延びるものとなっている。そして、膨出部24は、所定幅を有する断面矩形状のものとなっており、上面の平坦面部分が、一方のシート2aとの固着可能部22を構成している。
【0054】
また、第1の延出部21と第2の延出部61は、筒状部31の軸方向に延びるように設けられている。そして、第1の延出部21と第2の延出部61とは、それぞれの延出部本体部が対向するものとなっている。また、第1の延出部本体部23と第2の延出部本体部63は、向かい合いかつ若干離間するように設けられている。そして、第1の延出部本体部23および第2の延出部本体部63の先端(他端)は、自由端となっていることが好ましい。
第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシートの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63と第1の延出部部分収納部64,65を備え、第1の延出部部分収納部64,65は、突出部を被包する向かい合う2つの側部被包部と、2つの側部被包部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部の一部を突出させるための開口部67とを備えている。
また、第2の延出部61は、第1の延出部21および第2の延出部61間の拡がったとき、第1の延出部21の側部25,26部分により、側部被包部64,65が変形し、開口部67が広げられることにより、第1の延出部21の離脱を可能とし、かつ、第1の延出部21の離脱後の側部被包部64,65の原形状方向への復元による開口部67の狭小化により、第1の延出部21の再収納を不能としている。さらに、この実施例では、第2の延出部61は、第1の延出部部分収納部64,65からの第1の延出部21の離脱の際に、変形する離脱補助用易変形部64b,65bを備えている。
【0055】
具体的には、第2の延出部61は、第2の延出部本体部63の平板状部分の側部より湾曲して第1の延出部21方向に延び、第1の延出部21の側部25,26を被包する第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65を備えている。そして、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と第2の延出部本体部63の平板状部分間に、上述した離脱補助用易変形部64b,65bが設けられている。第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部側に開口部を有する略U字管状のものとなっている。また、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部には、上方に延びる端部リブ64a,65aが設けられている。そして、この実施例では、第2の延出部本体部63の平板状部分および第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、筒状部71の軸方向に所定長延びるものとなっており、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26の全長にわたり、被包するものとなっている。2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64aと64b間は、離間し、開口部67を有するものとなっており、さらに、この開口部67を第1の延出部21の膨出部24が通過し、その上部が露出するものとなっている。つまり、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26を被包するものの、膨出部24を被包しないものとなっており、また、当接もしないものとなっている。
【0056】
また、医療用容器用中空体70は、第1の延出部21を軟質バッグ2の薬剤室12を形成する一方のシートの内面に固定された第1の固定部14(図40参照)と、第2の延出部61を薬剤室12を形成する他方のシートの内面に固定された第2の固定部(図示せず)を有している。医療用容器用中空体70の破断可能部36は、薬剤室12の押圧時の軟質バッグ2との第1の固定部14と第2の固定部間の拡がりにより破断するものとなっている。
薬剤容器7に収納される薬剤73としては、粉末、顆粒状などの固体状、液体状等いかなるものでもよい。薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。
薬剤容器7の筒状部71の容積は、1〜30mlであることが好ましい。筒状部の長さは、20〜100mmであることが好ましい。
医療用容器用中空体70および封止部材72の形成材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物等、ポリオレフィンを含む混合物)、さらにはこれらの部分架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、軟質塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等が好ましい。
また、薬剤容器7として用いる本発明の医療用容器用中空体としては、図12に示し上述した医療用容器用中空体30a、図13に示し上述した医療用容器用中空体30b、図14に示し上述した医療用容器用中空体30c、図15に示し上述した医療用容器用中空体30d、図16に示し上述した医療用容器用中空体30e、図17に示し上述した医療用容器用中空体30f、図18に示し上述した医療用容器用中空体30gが備える第1の延出部および第2の延出部のような形態のもの、さらには、図19ないし図25に示し上述した第1の延出部が延出先端部を備え、第2の延出部が、第1の延出部の延出先端部を被包する第1の延出部部分収納部を備えタイプのものであってもよい。
【0057】
また、本発明の医療用容器としては、図40に示すようなものであってもよい。
この実施例の医療用容器40は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室11および薬剤12と、薬剤室11に充填された薬液と、薬剤室12に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられ薬剤室12内の薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器7と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート10とを備える。薬剤容器7として、本発明の医療用容器用中空体70を用いた上記の薬剤容器7を用いるものである。
そして、医療用容器用中空体70の第1の延出部21の固着可能部22の一部は軟質バッグ2の薬剤室12側を形成する部分の一方のシート2aの内面に固定されており、第2の延出部61の固着可能部62の一部は軟質バッグ2の薬剤室12側を形成する部分の他方のシート2bの内面に固定されており、破断可能部36は、薬剤室12の押圧時の軟質バッグ2と固定された第1の延出部21および第2の延出部61の拡がりにより破断し、薬剤容器7内と薬剤室12とが連通するものとなっている。
そして、この実施例の薬剤容器7においても、医療用容器用中空体70の破断可能部36は、第1の延出部21と第2の延出部61との間を通るように設けられた先端側部分と、先端側部分より筒状部71の側面方向に延びる第1の延出部側部分を有している。薬剤室12を押圧することにより、第1の延出部21の軟質バッグ2への固定部付近が膨らみ、第1の延出部21が、引っ張られることにより、第1の延出部21に第2の延出部61より離間する方向に開きく力が付与される。これにより、破断可能部36は破断し、第2の延出部61に収納されていた第1の延出部21の側部25,26部分が、第2の延出部61より離脱し、かつ、離脱した第1の延出部21が、第2の延出部61の部分収納部64,65と当接し、第1の延出部21の第2の延出部61の部分収納部内64,65への進入が阻害されるものとなっている。
【0058】
また、この実施例の医療用容器40も上述した医療用容器20aと同様に、軟質バッグ2には、図40に示すように、薬剤容器7の薬剤室側先端部の近傍に設けられ、第1の延出部および第2の延出部により固定されたシート間の拡がりを抑制するための剥離可能な拡がり抑制用シート間固定部17を備えている。拡がり抑制用シート間固定部17としては、上述した拡がり抑制用シート間固定部と同様のものが好適である。また、この実施例の医療用容器40も上述した医療用容器20と同様に、軟質バッグ2は、剥離可能な仕切用弱シール部9より第1の薬剤室11と第2の薬剤室12に仕切られている。仕切用弱シール部9としても上述したものと同様であることが好ましい。
また、この実施例の医療用容器40では、図40に示すように、軟質バッグ2の下端側シール部6に排出ポート10を有する。排出ポート10は、図40に示すような公知のものを使用することが好ましく、例えば、筒状ポート部材とその開口を封止するとともに針管を挿通可能なシール部材を備えるものが好ましい。
さらに、この実施例の医療用容器40では、図40に示すように、軟質バッグ2は、排出ポート10と第1の薬剤室11との連通を阻害する連通阻害用弱シール部18を備えている。
連通阻害用弱シール部18は、排出ポート10の上方を取り囲むように形成されている。この連通阻害用弱シール部18により、第1の薬剤室11から隔離された小室19が形成されている。この小室19は、本発明の実施例では空き室となっている。しかし、この小室19には、所定の液体(例えば、生理食塩水)が入れられていてもよい。また、小室19は、乾燥状態でもよいが、滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害用弱シール部18に若干の水蒸気や薬剤が通る通路を形成し、小室19と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害用弱シール部18は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成することができる。
連通阻害用弱シール部18は、図40に示す実施例では、反転したU字形状に形成されている。また、連通阻害用弱シール部18は、短辺が上側となる台形状、排出ポートが頂点となる三角形状、排出ポートが底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,20,20a,20b,40 医療用容器
2 軟質バッグ
3 排出ポート
7 薬剤容器
21 第1の延出部
30 医療用容器用中空体
36 破断可能部
61 第2の延出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部において、輸液などの薬液に薬剤の調製や配合を行うことができる医療用容器および医療用容器用中空体、医療用容器用排出ポートおよび医療用容器用薬剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用容器には、閉塞した先端部を有し、開封可能な筒状体が取り付けられている。この筒状体としては、例えば、薬液の投与時に使用される排出ポート、医療用容器内の薬液に添加される薬剤を収納した薬剤容器がある。
そして、患者に輸液を行うに先だって、輸液剤の入ったバイアル瓶や軟質バッグ等に、予め輸液剤に配合することが困難な薬剤、例えば、ビタミン剤、抗生物質等の薬剤を混合、溶解させ、薬液を調製することが行われている。そして、このような薬液の調製を無菌的に、また、簡単な操作で行うため、薬液が収納された軟質バッグに薬液と混合する薬剤を収納した薬剤容器を取り付け、輸液の際、薬剤容器に設けられた脆弱部を軟質バッグごしに折り曲げ破断することにより薬剤容器と軟質バッグを連通させ薬剤と薬液とを混合するようにした医療用容器が提案されている。
【0003】
本件出願人は、特開2006−87904(特許文献1)を提案している。
特許文献1の薬剤容器もしくは排出ポートは、閉塞した先端部を有し、開封可能な薬剤容器もしくは排出ポートであって、確実に薬剤容器もしくは排出ポート内と医療用容器内とを区分することができ、かつ、必要時には容易かつ確実に薬剤容器もしくは排出ポート内を医療用容器内とを連通できるものである。特許文献1の薬剤容器100は、図32から図37に示すように、硬質もしくは半硬質材料により形成されており、さらに、先端部が閉塞した筒状部7と、筒状部7の少なくとも先端部に設けられた破断可能部58と、筒状部7の破断可能部58を挟むようにそれぞれ設けられるとともに軟質バッグ2の一方の内面に固着している第1の応力付与部59および軟質バッグ2の他方の内面に固着している第2の応力付与部60とを備え、破断可能部58は、第1の応力付与部59および第2の応力付与部60間の拡がりにより破断し破断可能部58より先端側部分が分離して筒状部7を開口するものである。
【0004】
また、特許文献1の排出ポート86は、図38から図42に示すように、硬質もしくは半硬質材料により形成されており、さらに、先端部が閉塞した筒状部88と、筒状部88の少なくとも先端部に設けられた破断可能部91と、筒状部88の破断可能部91を挟むようにそれぞれ設けられるとともに軟質バッグ2の一方の内面に固着している第1の応力付与部89および軟質バッグ2の他方の内面に固着している第2の応力付与部90とを備え、破断可能部91は、第1の応力付与部89および第2の応力付与部90間の拡がりにより破断し破断可能部91より先端側部分が分離して筒状部88を開口するものである。
しかしながら、特許文献1の図29に示すように、薬剤容器100、排出ポート86を備える医療用容器1,85の軟質バッグ2を押圧することにより、薬剤容器100の破断可能部58もしくは排出ポート86の破断可能部91を破断して破断可能部58,91より第1の応力付与部側部分及び第2の応力付与部側部分を分離させたとき、破断により形成された筒状部の開口が、希ではあるが、分離された部材により再び閉塞されることが危惧される。
そこで、本件出願人は、特開2006−280390(特許文献2)を提案している。
特許文献2の医療用容器は、薬剤室を有する軟質バッグ2と、薬液と、筒状体とを備える医療用容器1であって、筒状体は、筒状部と、破断可能部と、破断可能部を挟むように設けられ軟質バッグの内面に固着した第1の応力付与部34及び第2応力付与部36とを備え、破断可能部は、第1、第2の応力付与部34,36の拡がりにより破断し開口する。また、容器1は破断可能部の基端部外面を乗り越えるように先端側に延び、かつ破断後の第1の応力付与部側分離部33の基端部33a、第2の応力付与部側分離部35の基端部35aを軟質バッグ内面との間にて保持する破断後応力付与部保持用延出部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−87904
【特許文献2】特開2006−280390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献2のものでも十分な効果を有するが、破断後の第1の応力付与部側分離部33の基端部33a、第2の応力付与部側分離部35の基端部35aが、破断後応力付与部保持用延出部により保持された後、スタンドに吊下するなどの作業時に、希に、保持状態が解除される場合があった。
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するものであり、先端部が閉塞した筒状部と、筒状部より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、筒状部に設けられ、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより破断し、筒状部を開口する破断可能部とを備える医療用容器用中空体であって、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞される可能性が極めて少ない医療用容器用中空体およびそれを用いた医療用容器用薬剤容器、医療用容器用排出ポートおよび医療用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 軟質バッグを備える医療用容器に用いられる医療用容器用中空体であって、
該中空体は、先端部が閉塞した筒状部と、該筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と、前記筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、前記筒状部に設けられ、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより破断し、前記筒状部を開口する破断可能部とを備え、
さらに、前記第2の延出部は、前記第1の延出部の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部を有し、前記医療用容器用中空体は、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより前記筒状部が開口するとともに、前記第2の延出部に一部が収納されていた前記第1の延出部が、前記第2の延出部から離脱し、かつ離脱後の前記第1の延出部の前記第2の延出部への再収納を不能とし、前記筒状部の開口状態を維持する医療用容器用中空体。
【0008】
(2) 前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の側部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである上記(1)に記載の医療用容器用中空体。
(3) 前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の先端部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである上記(1)に記載の医療用容器用中空体。
(4) 前記医療用容器用中空体は、前記第2の延出部より離脱した前記第1の延出部が、前記第2の延出部と当接し、前記第1の延出部の前記第2の延出部への進入を阻害するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【0009】
(5) 前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部を備え、前記第2の延出部は、前記第1の延出部本体部の両側部を被包する向かい合う2つの前記第1の延出部部分収納部と、2つの前記第1の延出部部分収納部間に設けられ、前記第1の延出部本体部の前記膨出部を突出させるための開口部とを備えている上記(1)または(4)に記載の医療用容器用中空体。
(6) 前記第2の延出部は、前記第1の延出部および前記第2の延出部間が拡がったとき、前記第1の延出部により、前記第1の延出部部分収納部が変形し、前記開口部が広がることにより、前記第1の延出部の離脱を可能とし、かつ、前記第1の延出部の離脱後の前記第1の延出部部分収納部の原形状方向への復元による前記開口部の狭小化により、再収納を不能としているものである上記(5)に記載の医療用容器用中空体。
(7) 前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部と、該膨出部より先端方向に延びる延出先端部を備え、前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の前記延出先端部を被包し、かつ、前記膨出部を被包しないものとなっている上記(1)または(4)に記載の医療用容器用中
(8) 前記第2の延出部は、前記第1の延出部部分収納部からの前記第1の延出部の離脱の際に変形する離脱補助用易変形部を備えている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【0010】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ後端部が開口した医療用容器用中空体と、前記中空体の前記後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有する医療用容器用排出ポート。
(10) 前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤が収納されている上記(9)に記載の医療用容器用排出ポート。
(11) 前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤と、前記破断可能部の未破断時における前記中空体内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材とが収納されている上記(10)に記載の医療用容器用排出ポート。
【0011】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(12) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ一端部が開口した医療用容器用中空体と、該中空体の前記一端部を封鎖する封止部材と、前記中空体内に収納された薬剤とを有する医療用容器用薬剤容器。
【0012】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(13) 軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記排出ポートは、上記(9)ないし(11)のいずれかに記載の排出ポートであり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記排出ポート内を前記薬剤室と連通させるものである医療用容器。
【0013】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(14) 軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器と、該軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記薬剤容器は、上記(12)に記載の薬剤容器であり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記薬剤容器内を前記薬剤室と連通させるものである医療用容器。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療用容器用中空体は、軟質バッグを備える医療用容器に用いられる医療用容器用中空体であって、中空体は、先端部が閉塞した筒状部と、筒状部より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、筒状部に設けられ、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより破断し、筒状部を開口する破断可能部とを備える。第2の延出部は、第1の延出部の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部を有し、医療用容器用中空体は、第1の延出部と第2の延出部間の拡がりにより筒状部が開口するとともに、第2の延出部に一部が収納されていた第1の延出部が、第2の延出部から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部の第2の延出部への再収納を不能とし、筒状部の開口状態を維持する。
このため、この医療用容器用中空体によれば、第1の延出部および第2の延出部間が拡がり、破断可能部の破断後では、第1の延出部と第2の延出部間が広がった状態が維持されるので、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器用排出ポートは、後端部が開口した上記の医療用容器用中空体を用い、かつ、中空体の後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有するものである。この医療用容器用排出ポートによれば、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器用薬剤容器は、後端部が開口した上記の医療用容器用中空体を用い、かつ、中空体の一端部を封鎖する封止部材と、中空体内に収納された薬剤とを有するものである。この医療用容器用薬剤容器によれば、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器は、軟質バッグと、軟質バッグ内に形成された薬剤室と、薬剤室に充填された薬液と、軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、排出ポートとして上記の排出ポートを用い、かつ、第1の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また第2の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、破断可能部は、薬剤室の押圧時の軟質バッグと固定された第1の延出部および第2の延出部の拡がりにより破断し、排出ポート内を薬剤室と連通させるものである。このため、第1の延出部および第2の延出部間が拡がり、破断可能部の破断後では、第1の延出部と第2の延出部間が広がった状態が維持されるので、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
また、本発明の医療用容器は、軟質バッグと、軟質バッグ内に形成された薬剤室と、薬剤室に充填された薬液と、軟質バッグに取り付けられ薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器と、軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、薬剤容器として上記の薬剤容器を用い、かつ、第1の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また第2の延出部の外面の一部は軟質バッグの薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、破断可能部は、薬剤室の押圧時の軟質バッグと固定された第1の延出部および第2の延出部の拡がりにより破断し、薬剤容器内を薬剤室と連通させるものである。このため、第1の延出部および第2の延出部間が拡がり、破断可能部の破断後では、第1の延出部と第2の延出部間が広がった状態が維持されるので、破断可能部の破断により形成された開口が、第1の延出部および第2の延出部により再び閉塞されることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の医療用容器の一実施例の正面図である。
【図2】図2は、本発明の医療用容器用排出ポートの一実施例の正面図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2のB−B線拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明の医療用容器用中空体の一実施例の正面図である。
【図6】図6は、図5に示した医療用容器用中空体の背面図である。
【図7】図7は、図5に示した医療用容器用中空体の右側面図である。
【図8】図8は、図5に示した医療用容器用中空体の平面図である。
【図9】図9は、図5のC−C線拡大断面図である。
【図10】図10は、図5に示した医療用容器用中空体の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図11】図11は、図5に示した医療用容器用中空体の第2の延出部側から見た斜視図である。
【図12】図12は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図13】図13は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
【図14】図14は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
【図15】図15は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図16】図16は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
【図17】図17は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
【図18】図18は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
【図19】図19は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
【図20】図20は、図19に示した医療用容器用中空体の右側面図である。
【図21】図21は、図19に示した医療用容器用中空体の拡大平面図である。
【図22】図22は、図19のD−D線断面図である。
【図23】図23は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。
【図24】図24は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。
【図25】図25は、図22に示した医療用容器用中空体の先端部分の拡大断面図である。
【図26】図26は、本発明の医療用容器用排出ポート内に収納された針管侵入阻害部材の一例の正面図である。
【図27】図27は、図26に示した針管侵入阻害部材の拡大平面図である。
【図28】図28は、図26に示した針管侵入阻害部材の拡大底面図である。
【図29】図29は、図26に示した針管侵入阻害部材の斜視図である。
【図30】図30は、本発明の医療用容器に用いられる中空体取付用部材の斜視図である。
【図31】図31は、本発明の医療用容器用中空体およびそれを用いた医療用容器用排出ポートの作用を説明するための説明図である。
【図32】図32は、本発明の医療用容器の作用を説明するための説明図である。
【図33】図33は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【図34】図34は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【図35】図35は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【図36】図36は、本発明の医療用容器用薬剤容器の一実施例の正面図である。
【図37】図37は、図36に示した医療用容器用薬剤容器の背面図である。
【図38】図38は、図36に示した医療用容器用薬剤容器の拡大底面図である。
【図39】図39は、図36のE−E線断面図である。
【図40】図40は、本発明の医療用容器の他の実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の医療用容器用中空体、医療用容器用薬剤容器、医療用容器用排出ポートおよび医療用容器について、図面に示した実施例を用いて説明する。
本発明の医療用容器用中空体30は、軟質バッグ2を備える医療用容器1に用いられる医療用容器用中空体である。中空体30は、先端部が閉塞した筒状部31と、筒状部31より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグ2の一方のシート2aの内面に固着可能な第1の延出部21と軟質バッグの他方のシート2bの内面に固着可能な第2の延出部61と、筒状部31に設けられ、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより破断し、筒状部31を開口する破断可能部36とを備える。そして、第2の延出部61は、第1の延出部21の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有し、医療用容器用中空体は、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより筒状部31が開口するとともに、第2の延出部61に一部が収納されていた第1の延出部21が、第2の延出部61から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部21の第2の延出部61への再収納を不能とし、筒状部31の開口状態を維持する。
また、この実施例の医療用容器用中空体30は、言い換えれば、第2の延出部は、第1の延出部21の一部を離脱可能かつ再収納不能に収納する第1の延出部部分収納部64,65を備えており、第1の延出部21および第2の延出部61間の拡がりによる破断可能部36の破断に続き、第2の延出部61に収納されていた部分の第1の延出部が、第2の延出部61より離脱し、かつ、離脱した部分の第1の延出部21が、第2の延出部61の部分収納部64,65と当接し、第1の延出部21の第2の延出部61の部分収納部64,65内への進入が阻害されるものとなっている。このため、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱状態が維持されるため、筒状部31の開口状態も維持されるものとなっている。
【0017】
また、本発明の医療用容器用排出ポート3は、本発明の医療用容器用中空体でありかつ後端部が開口した中空体30と、中空体30の後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部とを有するものである。
また、本発明の医療用容器用薬剤容器7は、本発明の医療用容器用中空体70と、中空体70の開口部を封鎖する封止部材72と、筒状部内に収納された薬剤73とを有するものである。
また、本発明の医療用容器1は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室(具体的には、薬剤室)11と、薬剤室11に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート3とを備える。そして、排出ポート3として、本発明の医療用容器用中空体を用いた排出ポートを用いるものである。
また、本発明の医療用容器40は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室(具体的には、薬剤室12)と、薬剤室12に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられ薬剤室12内の薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器7と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート10とを備える。そして、薬剤容器7として、本発明の医療用容器用中空体を用いた薬剤容器7を用いるものである。なお、医療用容器40は、軟質バッグ2内に形成された薬剤室(具体的には、第1の薬剤室11と第2の薬剤室12)と、第2の薬剤室12に充填された薬液とを備えており、薬剤容器7は、第2の薬剤室12側に取り付けられており、排出ポート10は、第1の薬剤室11側に取り付けられている。
【0018】
最初に、本発明の医療用容器用中空体を薬剤容器兼排出ポートに応用したものおよびそれを用いた医療用容器の実施例を用いて説明する。
この実施例の医療用容器1は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室11と、薬剤室11に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート3とを備える。そして、排出ポート3は、本発明の医療用容器用中空体を用いた排出ポートであり、かつ、第1の延出部21の外面の一部は軟質バッグ2の薬剤室11を形成する一方のシート2aの内面に固定されており、第2の延出部61の外面の一部は軟質バッグ2の薬剤室11を形成する他方のシート2bの内面に固定されており、破断可能部36は、薬剤室11の押圧時の軟質バッグ2と固定された第1の延出部21および第2の延出部61の拡がりにより破断し、排出ポート3内を薬剤室11と連通させるものである。
この実施例の医療用容器1は、可撓性材料により形成され、内部に薬剤収納部である薬剤室11を有する軟質バッグ2と、軟質バッグ2の薬剤室11に取り付けられた医療用容器用排出ポート3と、薬剤室11に充填された薬液とを備える薬剤入り医療用容器である。
また、図1に示すように、軟質バッグ2の一端側及び他端側には、シール部5,6が設けられている。また、上端側シール部5には、混注ポート8が取り付けられている。混注ポートとしては、公知のものが使用できる。
【0019】
医療用容器1の軟質バッグ2は、軟質合成樹脂により形成されている。軟質バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、軟質バッグ2は、例えば、ブロー成形法、共押出インフレーション法などの種々の方法により製造されたものでもよい。
軟質バッグ2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。このように軟質バッグ2が水蒸気バリヤー性を有することにより、医療用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される薬剤(具体的には、薬液)の減少、濃縮を防止することができる。また、医療用容器1の外部からの水蒸気の侵入も防止することができる。
【0020】
このような軟質バッグ2の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。
本発明においては、軟質バッグ2の形成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。軟質バッグ2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図ることができる点で好ましい。
【0021】
また、軟質バッグは、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、軟質バッグ2の耐衝撃性を向上させたり、耐ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、軟質バッグ2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与したりすることができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、軟質バッグ2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、軟質バッグ2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
軟質バッグ2を構成するシート材の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜360μm程度であるのがより好ましい。
また、医療用容器1の容積は、内部に収納する薬剤の種類等によって異なるが、通常は、薬剤室の容積が、50〜5000ml程度であることが好ましい。
医療用容器用排出ポート3は、軟質バッグ2内に充填された薬剤(薬液)を排出するためのものである。
【0022】
排出ポート3は、軟質バッグ2の薬剤室に固定されている。排出ポート3は、医療用容器用中空体30を備える。
医療用容器用中空体30は、先端部が閉塞した筒状部31と、筒状部31より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグ2の一方のシート2aの内面に固着可能な第1の延出部21と軟質バッグの他方のシート2bの内面に固着可能な第2の延出部61と、筒状部31に設けられ、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより破断し、筒状部31を開口する破断可能部36とを備える。そして、第2の延出部61は、第1の延出部21の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有し、医療用容器用中空体は、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより筒状部31が開口するとともに、第2の延出部61に一部が収納されていた第1の延出部21が、第2の延出部61から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部21の第2の延出部61への再収納を不能とし、筒状部31の開口状態を維持するものとなっている。また、排出ポート3は、筒状部31の他端側を閉塞し、かつ、医療用針管の接続が可能なシール部材52を有する排出口50を備えている。さらに、この実施例の医療用容器1では、排出ポート3内には、医療用容器用中空体30に設けられ破断可能部36の未破断時における医療用容器用中空体30の筒状部31内への医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材4が収納されている。
【0023】
この実施例の排出ポート3は、医療用容器用中空体30と、医療用容器用中空体30の開口部を封止するとともに医療用針の接続(穿刺)が可能な排出口50と、排出ポート3(医療用容器用中空体30)を軟質バッグ2に取り付けるための筒状部材55と、医療用容器用中空体30内に収納された針管侵入阻害部材4と、医療用容器用中空体30内に充填された薬液90とを備えている。
そして、排出口50は、医療用針管の接続(穿刺)が可能なシール部材52と、このシール部材52を医療用容器用中空体30の開口部に固定するためのキャップ部材51とを備えている。そして、キャップ部材51は、医療用容器用中空体30の基端部に設けられた固定部(フランジ部39)に、超音波融着、高周波融着、熱融着等により固定される。医療用容器用中空体30の筒状部31は、内部の薬剤が目視可能に透明に形成されていることが好ましい。また、医療用容器用中空体30の筒状部31は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。このように、薬剤収納部が減圧または真空状態であると、薬剤の変質分解・劣化等の防止効果が向上する。
収納される薬剤90としては、粉末、顆粒状などの固体状、液体状等いかなるものでもよい。薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。
【0024】
排出ポート3は、通常状態では軟質バッグの薬剤室と非連通のポートである。
医療用容器用中空体30は、図3,図5ないし図8に示すように、中空部を有する筒状部31と、筒状部31に設けられた破断可能部36と、筒状部31より先端方向に突出する第1の延出部21および第2の延出部61とを一体に備えている。
そして、この実施例の医療用容器用中空体30では、第2の延出部61は、第1の延出部21の一部を離脱可能かつ再収納不能に収納する第1の延出部部分収納部64,65を備えている。特に、この実施例では、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部64,65は、第1の延出部21の側部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものとなっている。
また、第1の延出部21は、第1の延出部本体部23と、第1の延出部本体部23より膨出し、上面に一方のシート2aの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部24を備える。第2の延出部61は、1の延出部本体部21の両側部25,26を被包する向かい合う2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と、2つの第1の延出部部分収納部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部21の膨出部24を突出させるための開口部67とを備えている。この実施例の医療用容器用中空体30では、第2の延出部61は、第1の延出部21および第2の延出部61間が拡がったとき、第1の延出部21により、2つの第1の延出部部分収納部64,65が変形し、開口部67が広がることにより、第1の延出部21の離脱を可能とし、かつ、第1の延出部21の離脱後の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の原形状方向への復元による開口部67の狭小化により、第1の延出部21の再収納を不能としている。また、第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシート2bの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63を有している。
医療用容器用中空体30は、第1の延出部21を軟質バッグ2の薬剤室11を形成する一方のシートの内面に固定された第1の固定部14(図32参照)と、第2の延出部61を薬剤室11を形成する他方のシートの内面に固定された第2の固定部15(図32参照)を有している。そして、この実施例の医療用容器用中空体30では、筒状部31の基端部に、医療用針管の接続(穿刺)が可能な排出口50を取り付けるための取付部が形成されている。また、筒状部31の基端部は、破断可能部36より基端側に所定長延びるものとなっている。
医療用容器用中空体30の破断可能部36は、薬剤室11の押圧時の軟質バッグ2との第1の固定部14と第2の固定部15間の拡がりにより破断するものとなっている。
【0025】
筒状部31は、図5ないし図7に示すように、先端部が閉塞し、基端部が開口した筒状部分であり、基端部に設けられたフランジ部39と、第1の円筒部と、第1の円筒部と連続し先端側に向かってテーパー状に縮径するテーパー部と、テーパー部と連続する小径円筒部32と、小径円筒部32と連続する閉塞部(先端部)とからなる。先端部の形状は、ドーム形状、円錐形状、円錐台形状であることが好ましく、特に、ドーム形状、円錐台形状であることが好ましい。この実施例では、閉塞部は、ドーム形状となっている。
筒状部31の容積は、1〜30mlであることが好ましい。筒状部の長さは、20〜100mmであることが好ましい。また、フランジ部の基端側は、排出口50を形成するキャップ部材51を固定するためのものである。
医療用容器用中空体30の形成材料としては、硬質もしくは半硬質材料を用いることが好ましい。具体的には、医療用容器用中空体30の形成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン[具体的にはZEONEX(登録商標、日本ゼオン株式会社製)のようなCOP(環状オレフィンポリマー)、APEL(登録商標、三井化学株式会社製)のようなCOC(環状オレフィンコポリマー)]、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。
【0026】
そして、この実施例では、第1の延出部21および第2の延出部61は、図2ないし図11に示すように、筒状部31の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端は、自由端となっている。第1の延出部21および第2の延出部61は、両者間を開く力が付与されたときに、その力を破断可能部を破断するための応力に変換する機能を備えている。また、第1の延出部21と第2の延出部61とは向かい合うように形成されていることが好ましい。また、第1の延出部21と第2の延出部61の各本体部23,63は、軸方向に縦長の矩形状に形成されている。
具体的には、この実施例の医療用容器1における医療用容器用中空体30では、第1の延出部21は、図2ないし図11に示すように、第1の延出部本体部23と、縦長の平板状の固着可能部22を上面に有する膨出部24と、固着可能部22より下面側に位置する本体部23の側部25,26を備え、破断可能部36により、第1の延出部21の後端縁が形成されている。よって、第1の延出部21は、破断可能部36の全体が破断することにより、医療用容器用中空体30より、分離するものとなっている。さらに、この実施例では、第1の延出部本体部側部25,26は、端部に下方(第2の延出部61方向)に延びる端部リブ25a,26aを備えている。なお、膨出部24、第1の延出部本体部23およびその側部25,26は、所定長軸方向に延びるものとなっている。そして、膨出部24は、所定幅を有する断面矩形状のものとなっており、上面の平坦面部分が、一方のシート2aとの固着可能部22を構成している。
【0027】
また、第1の延出部21と第2の延出部61は、筒状部31の軸方向に延びるように設けられている。そして、第1の延出部21と第2の延出部61とは、それぞれの延出部本体部が対向するものとなっている。また、第1の延出部本体部23と第2の延出部本体部63は、向かい合いかつ若干離間するように設けられている。そして、第1の延出部本体部23および第2の延出部本体部63の先端(他端)は、自由端となっていることが好ましい。
第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシートの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63と、2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と、2つの第1の延出部部分収納部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部の一部を突出させるための開口部67とを備えている。
また、第1の延出部21および第2の延出部61間の応力が付与され拡がったとき、第2の延出部61の側部被包部64,65は、第1の延出部21の側部25,26部分により押圧されて変形し、開口部67が広がることにより、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱を可能としている。さらに、第1の延出部21の離脱後に、第2の延出部61の側部被包部64,65は、原形状方向への復元し、開口部67が狭小化し、第1の延出部21の再収納、すなわち、第1の延出部21の第2の延出部61の側部被包部64,65内への進入を不能としている。さらに、この実施例では、第2の延出部61は、第1の延出部部分収納部64,65より、第1の延出部21の側部25,26部分が離脱の際に変形する離脱補助用易変形部64b,65bを備えている。
具体的には、第2の延出部61は、第2の延出部本体部63の平板状部分の側部より湾曲して第1の延出部21方向に延び、第1の延出部21の側部25,26を被包する第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65を備えている。そして、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と第2の延出部本体部63の平板状部分間に、上述した離脱補助用易変形部64b,65bが設けられている。第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部側に開口部を有する略U字管状のものとなっている。また、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部には、上方に延びる端部リブ64a,65aが設けられている。そして、この実施例では、第2の延出部本体部63の平板状部分および第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、筒状部31の軸方向に所定長延びるものとなっており、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26の全長にわたり、被包するものとなっている。2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64aと65a間は、離間し、開口部67を有するものとなっており、さらに、この開口部67を第1の延出部21の膨出部24が通過し、その上部が露出するものとなっている。つまり、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26を被包するものの、膨出部24を被包しないものとなっており、また、当接もしないものとなっている。
【0028】
破断可能部36は、第1の延出部21と第2の延出部61により応力が付与されたとき、筒状部31の先端部分を縦にさくことができるような構成であることが好ましい。破断可能部36は、第1の延出部21または第2の延出部61の基端部を取り囲むように形成されている。具体的には、この実施例のものでは、破断可能部36は、図5および図7に示すように、筒状部31の先端部(具体的には小径円筒部32)を第1の延出部21の基端部と筒状部とを区分するように環状のものとなっている。なお、破断可能部36は、筒状部31の先端部(具体的には小径円筒部32)を第2の延出部61の基端部と筒状部とを区分するような環状のものであってもよい。さらに、破断可能部36は、第1の延出部21のみならず第2の延出部61の基端部をも取り囲むように形成されたものであってもよい。この場合、第1の延出部21のみならず第2の延出部61も筒状部31からの破断が可能となる。
そして、この実施例の医療用容器用中空体30では、図8および図9に示すように、第1の延出部21の側部25,26に設けられた端部リブ間の距離は、第2の延出部61の側部被包部64,65に設けられた端部リブ64a,65a間より広いものとなっている。このため、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱後、第1の延出部21が、第2の延出部61側に押圧された時、第1の延出部21と第2の延出部61との当接が確実となるとともに、第1の延出部21の側部25,26に設けられた端部リブ間にて、第2の延出部61の側部被包部64,65に設けられた端部リブ64a,65aを収納することができるものとなっている。これにより、第1の延出部21の第2の延出部61への再収納をより確実に防止する。
【0029】
また、この実施例の医療用容器用中空体30では、図7および図10に示すように、破断可能部36は、第1の延出部21と第2の延出部61との間を通るように設けられた先端側部分と、先端側部分より筒状部31の側面方向に延びる第1の延出部側部分を有している。図31および図32に示すように、薬剤室11を押圧したとき、第1の延出部21の軟質バッグ2への固定部付近が膨らみ、第1の延出部21が、引っ張られることにより、第1の延出部21に第2の延出部61より離間する方向に開く力が付与されることにより、破断可能部36は、破断し、それに続いて、第1の延出部21が引っ張られることにより、第1の延出部21の側部25,26が、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65を押しあげ、側部被包部64,65を変形させることにより、開口部67が広がり、第1の延出部21は、第2の延出部61より離脱(言い換えれば、脱出、離出)する。そして、第1の延出部21の離脱後、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、原形状方向に復元し、第1の延出部21の第2の延出部61内への進入を阻止するものとなっている。これにより、筒状部31の開口状態を維持する。
破断可能部36は、破断可能な脆弱部である。具体的には、破断可能部は、薄肉部であることが好ましい。また、破断可能部36は、筒状部31の外面に溝部を形成することにより作製されていることが好ましい。この実施例では、破断可能部36は、溝部の断面がV字状の溝部を形成することにより作製されている。溝部の角度は、30〜120°、特に、40〜60°、最小肉厚は、0.05〜0.3mm、特に、0.08〜0.2mmであることが好ましい。このような角度に溝形成部を作製することにより、軟質バッグ2を膨らませた場合、破断可能部の中心に応力が集中して確実に破断するものとなる。また、溝部は、破断容易な形状であればいかなる形状のものであってもよく、実施例のようなV字形状に限られず半円形状、半楕円形状等であってもよい。また、本発明の破断可能部は、溝部が形成されることにより薄肉部が形成され破断可能となるものであるが、これに限定されるものではない。破断可能部は、例えば、薬剤収納部の破断可能部を形成する部分をその他の部分より脆弱な材質で形成することにより作製してもよい。具体的に、多色成形によって、破断可能部を形成する部分を破断容易な材料で作製して、その他の部分を破断容易でない材料にて作製することが好ましい。
また、破断可能部36は、第1の延出部21及び第2の延出部61により付与される応力により筒状部31(薬剤収納部)を破断可能なものであればいかなるものであってもよい。
【0030】
また、軟質バッグ2の内面と接合される第1の延出部21及び第2の延出部61の固着可能部22、62は、軟質バッグ2の内面に固着可能な材料により形成されている。具体的には、固着可能部22、62は、軟質バッグ2の形成材料(特に、軟質バッグ2の内面側を形成する形成材料)と相溶性のある樹脂により形成されていることが好ましい。このような構成により、第1の延出部21と第2の延出部61を軟質バッグ2の内面に確実に接合することができる。軟質バッグ2と相溶性のある樹脂としては、上述したものであることが好ましい。相溶性のある樹脂は、軟質バッグの構成材料と同一もしくは近似した材料であることが好ましい。本発明の実施例では、第1の延出部もしくは第2の延出部のすべてが医療用容器の軟質バッグと相溶性のある樹脂により作製されていることが好ましく、第1の延出部もしくは第2の延出部ならびに筒状部31のすべてが医療用容器の軟質バッグと相溶性のある樹脂により作製されていることがさらに好ましい。また、相溶性のある樹脂層は、2色成形により作製されていてもよい。相溶性のある樹脂層は軟質バッグの内面と接合し易いように平坦に作製されていることが好ましい。
【0031】
また、第1の延出部21の本体部23と第2の延出部61の本体部63とは、向かい合うようにかつ若干離間するように配置されている。第1の延出部21の本体部23と第2の延出部61の本体部63間はあまり大きく離間していない。このため、第1の延出部21と第2の延出部61間が、軟質バッグ2への固定時に押圧されても、第1の延出部21および第2の延出部61に許容される変形量は少なく、破断可能部36の予定外の破断を防止している。
そして、医療用容器1には、第1の延出部21の固着可能部22の全体もしくは一部が、軟質バッグ2のシートの内面と接合されることにより第1の固定部14(図32参照)が形成され、同様に、第2の延出部61の固着可能部62の全体もしくは一部が、軟質バッグ2のシートの内面と接合されることにより第2の固定部15(図32参照)が形成される。このため、第1の延出部及び第2の延出部が、薬剤室の押圧時の軟質バッグの第1の延出部および第2の延出部の固定部間の拡がりに追従して拡がり、破断可能部を一方のシート側に開き破断する。
第1の延出部21の固着可能部22および第2の延出部61の固着可能部62と軟質バッグ2の各シートの内面との接合は、超音波融着、高周波融着、熱融着等により行われることが好ましい。具体的には、排出ポート3を図1に示すような位置に配置した後、軟質バッグ2の一方のシート及び他方のシート面の両面側からシール金型により挟持しヒートシールすることにより行われることが好ましい。
【0032】
なお、排出ポート3における第1の延出部及び第2の延出部は、上述した構成のものに限定されず、軟質バッグを構成する一方のシート内面と他方のシート内面と接合可能であり、かつ軟質バッグの膨らみに連動して破断可能部に応力を付与できる構成を有しているものであればいかなる構成であってもよい。例えば、薬剤収納部の軸方向に延びるように形成されず、薬剤収納部に対して斜めに形成されるものであってもよい。
さらに、この実施例の排出ポート3では、医療用容器用中空体30内に、針管侵入阻害部材4が収納されている。この実施例における針管侵入阻害部材4は、図3に示すように、医療用容器用中空体30の筒状部31の先端部内と当接可能な先端部を有する本体部41と、医療用針管の先端が当接可能な基端部43と、先端部41と基端部42を連結する接続部42を有するものである。
そして、医療用容器用中空体30の破断可能部36が未破断の状態(図3の状態)において、シール部材52に医療用針管を穿刺した場合、この針の先端は針管侵入阻害部材4の基端部43に当接し、進入を阻止する。作業者は、医療用針管が穿刺不能状態であることより、医療用容器用中空体30の破断可能部36が未破断であることを認識することができる。
そして、医療用容器用中空体30の破断可能部36が未破断の状態(図3の状態)における医療用針管の排出ポートへの穿刺可能長さは、医療用針管の開口が排出ポート内部と連通しない長さであることが好ましい。
【0033】
この例の針管侵入阻害部材4では、本体部41は、図26ないし図29に示すように、4つの軸方向に延びる板状部41a,41b,41c,41dを有する断面十字状のものとなっている。また、本体部41と基端部43を接続する接続部42は、円盤状の基端部の上面中心より外縁方向に延びかつ外縁より突出する4つのリブ42a,42b,42c,42dにより形成されており、それぞれのリブ42a,42b,42c,42dの上部が対応する板状部41a,41b,41c,41dの下部と連結したものとなっている。
そして、この針管侵入阻害部材4は、医療用容器用中空体30の破断可能部36の破断後、排出ポートより流出可能なものとなっている。しかし、このようなものに限定されるものではない。また、針管侵入阻害部材4としては、医療用容器用中空体30の破断可能部36の未破断の状態における医療用針管の排出ポートへの穿刺を規制するものであれば、上記の針管侵入阻害部材に限定されるものではない。
【0034】
この実施例の医療用容器1では、医療用容器1の薬液室11を押圧することにより薬液室11を膨らませると、この膨らみ(第1の固定部14と第2の固定部15の開き)に連動して、図32に示すように、医療用容器用中空体30の第1の延出部21と第2の延出部61とが一方のシート2a及び他方のシート2b方向に開き、まず、破断可能部36の先端側部分が破断され、次いで、第1の延出部側部分が破断される。そして、第1の延出部側部分が分離し、筒状部31は開封され、薬液室11と連通し、図32に示すように、針管侵入阻害部材4はポート本体より流出し、針管の接続が可能となるとともに、排出ポート内の薬剤は、軟質バッグ2の薬液室11の薬剤と混合される。また、第1の延出部は、第2の延出部61より、離脱し、離脱した第1の延出部21は、第2の延出部61に当接し、第1の延出部による閉塞が防止される。
また、この実施例の排出ポート3では、図2および図3に示すように、排出ポート3(医療用容器用中空体30)を軟質バッグ2に取り付けるための筒状部材55を備えている。筒状部材55は、医療用容器用中空体30の筒状部31の中間部分を被包する筒状体であり、図30に示すように、医療用容器用中空体30の筒状部31に被嵌される本体部56と、筒状部31のフランジ部39を収納する拡径部57を有する筒状体である。なお、筒状部材55は筒状部31と一体として成形されているものであってもよい。また、排出ポートとしては、筒状部材55を備えないものであってもよい。
【0035】
また、医療用容器用中空体としては、図12に示すようなものであってもよい。
図12は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
この実施例の医療用容器用中空体30aの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第2の延出部の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の形態(軸方向長さ)のみである。上述した医療用容器用中空体30では、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の軸方向に延びる側部25,26の全体を被包するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30aでは、第2の延出部61aの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の軸方向に延びる側部25,26の先端側部分を被包せず、基端側部分のみを被包するものとなっている。つまり、医療用容器用中空体30aでは、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第2の延出部本体部63の平板部分の全体に設けられておらず、第2の延出部本体部63の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。そして、医療用容器用中空体30aでは、第1の延出部21の軸方向に延びる側部25,26の先端側部分は、露出している。このような形態とすることにより、第2の延出部61aからの第1の延出部21の離脱が容易となる。
【0036】
また、医療用容器用中空体としては、図13に示すようなものであってもよい。
図13は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
この実施例の医療用容器用中空体30bの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第1の延出部の軸方向に延びる側部25,26の形態(軸方向長さ)のみである。上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部21の先端(言い換えれば、第1の延出部本体部23の先端、膨出部24の先端)まで延びるものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30bでは、第1の延出部21aの側部25,26は、第1の延出部本体部23の平板部分の全体に設けられておらず、第1の延出部本体部23の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21aの離脱が容易となる。
【0037】
また、医療用容器用中空体としては、図14に示すようなものであってもよい。
図14は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。
この実施例の医療用容器用中空体30cの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第1の延出部の軸方向に延びる側部25,26の形態のみである。上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、その全体が同じ形態、同じ突出幅を有するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30cでは、第1の延出部21bの側部25,26は、その先端部より基端側に向かって徐々に突出幅が広くなる形態となっている。そして、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、その幅が変化する第1の延出部21bの側部25,26を被包している。なお、図14に示すものでは、側部被包部64,65により被包される側部25,26の基端部は、幅が変化しない部分となっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21bの離脱が容易となり、かつ、離脱後の第1の延出部21bの側部25,26と第2の延出部61の側部被包部64,65との当接も確実なものとなる。
【0038】
また、医療用容器用中空体としては、図15に示すようなものであってもよい。
図15は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
この実施例の医療用容器用中空体30dの基本構成は、上述した排出ポート3および医療用容器用中空体30と同じであり、両者の相違点は、第2の延出部の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の形態(軸方向長さ)と、第1の延出部の軸方向に延びる側部25,26の形態(軸方向長さ)のみである。
上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部21の先端(言い換えれば、第1の延出部本体部23の先端、膨出部24の先端)まで延びるものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30dでは、第1の延出部21cの側部25,26は、第1の延出部本体部23の平板部分の全体に設けられておらず、第1の延出部本体部23の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。そして、この医療用容器用中空体30dでは、上述の第1の延出部21cの側部25,26の長さに対応するように、第2の延出部61aの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第2の延出部本体部63の平板部分の全体に設けられておらず、第2の延出部本体部63の平板部分の先端より、所定長基端側となる位置に先端を有するものとなっている。つまり、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21cの側部25,26の位置および長さに対応する位置にかつ対応する長さを有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61aからの第1の延出部21cの離脱が容易となる。
また、上述したすべての実施例の医療用容器用中空体において、第1の延出部の一方のシートの内面に固着可能な固着可能部は、図16に示す、第1の延出部21dが有する固着可能部22aのような形態のものであってもよい。
【0039】
図16は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の第1の延出部側から見た斜視図である。
この実施例の医療用容器用中空体30eでは、広い面積を有する固着可能部22aを有している。このようにすることにより、一方のシートの内面への固着面積が広くなり固着が確実となるとともに、医療用容器用中空体30eからの第1の延出部21dを破断させるための応力付与も確実なものとなる。この医療用容器用中空体30eでは、第1の延出部21dの膨出部24の上面部は、両側部に、側部方向に突出する側部突出が設けられている。これにより、膨出部24の上面部により形成される固着可能部22aは、広い表面積を有するものとなっている。また、側部突出部は、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部リブの上方に位置するものとなっている。このため、第1の延出部21dが押圧された時、両者が当接するため、第1の延出部21dの分離前における変形を防止する。
また、上述したすべての実施例の医療用容器用中空体において、第1の延出部の側部25,26は、図17に示す、第1の延出部21eが有する側部25,26のような形態のものであってもよい。
【0040】
図17は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出し、その底面は、第1の延出部本体部23の底面と連続する平坦面を形成するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30fでは、第1の延出部21eの側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出するとともに、第2の延出部61の第2の延出部本体部63方向に向かって延びる斜めに延びるものとなっている。このため、この医療用容器用中空体30fでは、側部25,26は、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部と向かい合う傾斜面を有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21eの離脱が容易となる。
また、上述したすべての実施例の医療用容器用中空体において、第1の延出部の突出部は、図18に示す、第1の延出部21fが有する突出部25c,25dのような形態のものであってもよい。
【0041】
図18は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の平面図である。
上述した医療用容器用中空体30では、第1の延出部21の側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出し、その底面は、第1の延出部本体部23の底面と連続する平坦面を形成するものとなっている。しかし、この実施例の医療用容器用中空体30gでは、第1の延出部21fの側部25,26は、第1の延出部本体部23の側部方向に突出する断面が半円状もしくは半楕円状のものとなっている。このため、この医療用容器用中空体30gでは、側部25,26は、第2の延出部61の第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部と向かい合う円弧面を有するものとなっている。このような形態とすることにより、第2の延出部61からの第1の延出部21fの離脱が容易となる。
【0042】
また、医療用容器用中空体としては、図19ないし図25に示すようなものであってもよい。
図19は、本発明の医療用容器用中空体の他の実施例の正面図である。図20は、図19に示した医療用容器用中空体の右側面図である。図21は、図19に示した医療用容器用中空体の拡大平面図である。図22は、図19のD−D線断面図である。図23は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。図24は、図19に示した医療用容器用中空体の斜視図である。図25は、図22に示した医療用容器用中空体の先端部分の拡大断面図である。
この実施例の医療用容器用中空体80では、第1の延出部81は、第1の延出部本体部83と、第1の延出部本体部83より膨出し、上面に一方のシート2aの内面に固着可能な固着可能部82を有する膨出部84と、膨出部84より先端方向に延びる延出先端部85を備えている。また、第2の延出部91は、第1の延出部81の延出先端部85を被包し、かつ、膨出部84を被包しない第1の延出部部分収納部95を備えている。
そして、第2の延出部91の第1の延出部部分収納部95により収納される部分の第1の延出部81(具体的には、延出先端部85)は、下面側かつ第2の延出部方向に突出する突出部86を備えている。
【0043】
この実施例の医療用容器用中空体80では、第1の延出部81は、図19ないし図25に示すように、筒状部31の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端は、自由端となっている。また、第2の延出部91は、筒状部31の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端部は、湾曲して、第1の延出部81の延出先端部85を被包するものとなっている。第1の延出部81および第2の延出部91は、両者間を開く力が付与されたときに、その力を破断可能部を破断するための応力に変換する機能を備えている。また、第1の延出部81と第2の延出部91とは向かい合うように形成されている。また、第1の延出部81と第2の延出部91の各本体部83,93は、軸方向に縦長の矩形状に形成されている。
具体的には、この実施例の医療用容器用中空体80では、第1の延出部81は、図19ないし図25に示すように、軸方向に所定長延びる第1の延出部本体部83と、本体部83の先端側に設けられ、若干横長の平板状の固着可能部82を上面に有する膨出部84と、膨出部84よりさらに、所定長先端側に延びる延出先端部85を備えている。さらに、延出先端部85は、図20,図23ないし図25に示すように、先端より第2の延出部91方向かつ斜めに後方に延びる傾斜リブ86を備えている。そして、この傾斜リブ86は、図19,図21、図23および図24に示すように、両側部方向にも突出するものとなっている。このため、傾斜リブ86は、第1の延出部81の先端部に位置、かつ、両側部に突出する部分を形成している。また、図19、図20、図23および図24に示すように、破断可能部36により、第1の延出部81の後端縁が形成されている。よって、第1の延出部81は、破断可能部36の全体が破断することにより、医療用容器用中空体80より、分離するものとなっている。膨出部84は、所定幅を有する断面矩形状のものとなっており、上面の平坦面部分が、一方のシート2aとの固着可能部82を備えている。
【0044】
また、第1の延出部81と第2の延出部91は、筒状部31の軸方向に延びるように設けられている。そして、第1の延出部81と第2の延出部91とは、それぞれの延出部本体部、膨出部の内面が対向するものとなっている。また、第1の延出部本体部83と第2の延出部本体部93は、向かい合いかつ若干離間するように設けられている。
第2の延出部91は、図19ないし図25に示すように、軸方向に所定長延びる第2の延出部本体部93と、本体部93の先端側に設けられ、若干横長の平板状の固着可能部92を上面に有する膨出部94と、膨出部94よりさらに、所定長先端側に延び、かつ、第1の延出部本体部83の延出先端部85をその先端側より被包する第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95を備えている。また、第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95は、図19ないし図25に示すように、膨出部94より、先端側に延びる始端側平板部95aと、始端側平板部95aより延び、かつ、延出先端部85の先端側を覆うように湾曲するループ部96a,96bと、ループ部96a,96bより後端側に延びる終端側平板部95bと終端側平板部95bの外面より、斜めに前方に延びる傾斜リブ97を備えている。ループ部96a、ループ部96b間は、所定幅を有する切り欠き部となっており、ループ部での変形を容易にしている。
第1の延出部81および第2の延出部91間の応力が付与され拡がったとき、第2の延出部91の延出先端部被包部95は、第1の延出部81の延出先端部85により押圧されて変形し、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱、具体的には、第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95からの延出先端部85の離脱を可能としている。そして、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱後に、延出先端部被包部95は、原形状方向に復元し、第1の延出部81の再収納、すなわち、延出先端部85の延出先端部被包部95内への進入を不能としている。そして、この実施例では、ループ部96a、96bが、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱、具体的には、第1の延出部部分収納部(延出先端部被包部)95からの延出先端部85の離脱の際に変形する離脱補助用易変形部となっている。
【0045】
そして、図25に示すように、第1の延出部81の傾斜リブ86と、第2の延出部91の傾斜リブ97は、第1の延出部81の第2の延出部91からの離脱後に、両者が近接した場合に、噛み合う形態となっている。これにより、第1の延出部81の第2の延出部91内への進入を確実に抑制する。また、延出先端部被包部95は、第1の延出部81の膨出部84に到達しないものとなっており、延出先端部被包部95は、延出先端部85を被包するものの、膨出部84を被包しないものとなっており、また、当接もしないものとなっている。
破断可能部36は、第1の延出部81と第2の延出部91により応力が付与されたとき、筒状部31の先端部分を縦にさくことができるような構成であることが好ましい。破断可能部36としては、医療用容器用中空体30において説明した通りである。
【0046】
また、軟質バッグ2の内面と接合される第1の延出部81及び第2の延出部91の固着可能部82、92は、軟質バッグ2の内面に固着可能な材料により形成されている。具体的には、固着可能部82、92は、軟質バッグ2の形成材料(特に、軟質バッグ2の内面側を形成する形成材料)と相溶性のある樹脂により形成されていることが好ましい。このような構成により、第1の延出部81と第2の延出部91を軟質バッグ2の内面に確実に接合することができる。軟質バッグ2と相溶性のある樹脂としては、上述したものであることが好ましい。
また、第1の延出部81の本体部83と第2の延出部91の本体部93とは、向かい合うようにかつ若干離間するように配置されている。第1の延出部81の本体部83と第2の延出部91の本体部93間はあまり大きく離間していない。このため、第1の延出部81と第2の延出部91間が、軟質バッグ2への固定時に押圧されても、第1の延出部81および第2の延出部91に許容される変形量は少なく、破断可能部36の予定外の破断を防止している。
【0047】
また、本発明の医療用容器としては、図33に示すようなものであってもよい。
この実施例の医療用容器20と上述した医療用容器1との相違は、軟質バッグ2の形態の相違のみである。
この医療用容器20は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート3および混注ポート8を備えている。排出ポート3、混注ポート8としては、上述したものが好適に使用される。
軟質バッグ2は、図33に示すように、剥離可能な仕切用弱シール部9により第1の薬剤室(薬液室)11と第2の薬剤室(薬液室)12とに区分されている。
図33に示すように、軟質バッグ2は、剥離可能な仕切用弱シール部9より第1の薬剤室11と第2の薬剤室12に仕切られている。仕切用弱シール部9は、図33に示すように、軟質バッグ2の薬剤室の横方向全体を横切るように設けられている。仕切用弱シール部9は、軟質バッグ2のシート材を帯状に融着することにより形成されている。本発明の実施例において、仕切用弱シール部9の両端部には、実質的に剥離しない強シール部9aが形成されている。実施例の仕切用弱シール部9は、第2の薬剤室12を手指等で強く押圧したとき(絞った時、握った時)に剥離して第1の薬剤室11と第2の薬剤室12とを連通可能なものである。
仕切用弱シール部9の剥離強度としては、輸送中に軟質バッグ2に対して加えられる圧力では剥離せず、軟質バッグ2を手指等で強く押したときに剥離する程度であることが好ましい。仕切用弱シール部9は、軟質バッグ2を融着することにより形成されることが好ましい。融着としては、熱融着、高周波融着等であることが好ましい。
軟質バッグ2は、このように仕切用弱シール部9により仕切られた2つの薬剤室11,12を有しているため、異なる成分の薬剤を無菌的に軟質バッグ2内にて混合することができる。また、図33に示す実施例において仕切用弱シール部9は、軟質バッグ2に対して水平に帯状に形成されているがこれに限定されるものではない。
【0048】
軟質バッグ2の薬剤室11,12には、それぞれ輸液剤(薬液)が収納されている。このような輸液剤としては、例えば、腹膜透析液、経中心静脈輸液剤、経末梢静脈輸液剤、経末梢静脈用注射剤、液状栄養剤などのように2つ以上の液剤を輸液の際に混合する必要のあるものが好ましい。また、輸液剤としては、例えば生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、アミノ酸電解質溶液等が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、薬剤室の一方にブドウ糖電解質液、他方にアミノ酸液を収納し、更に両室にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、パンテノール、ニコチン酸アミドなどの水溶性ビタミンを安定性などを考慮して適宜振り分け収納することができる。この場合、後述する薬剤室に取り付ける薬剤容器にビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど脂溶性ビタミンを主とした液剤を収納することにより、ビタミン配合高カロリー総合輸液剤とすることができる。
また、上端側シール部5には、混注ポート8が取り付けられている。混注ポートとしては、公知のものが使用できる。
【0049】
また、軟質バッグ2は、図34に示す医療用容器20aのように、排出ポート3の薬剤室側先端部の近傍に設けられ、第1の延出部および第2の延出部により固定されたシート間の拡がりを抑制するための剥離可能な拡がり抑制用シート間固定部17を備えている。なお、上述した実施例の医療用容器1にもこの第1の延出部および第2の延出部により固定されたシート間の拡がりを抑制するための剥離可能な拡がり抑制用シート間固定部を設けてもよい。
拡がり抑制用シート間固定部17は、図34に示す実施例では、排出ポート3の第1の延出部および第2の延出部の先端部付近を取り囲むように形成されている。拡がり抑制用シート間固定部は、輸送中等の使用前に軟質バッグ2に対して加えられる圧力では剥離せず、軟質バッグ2を手指で強く押したときに剥離可能なものであることが好ましい。シート間固定部17としては、図示する実施例のように、延出部の先端部付近かつ薬剤室の内側となる位置に連続する円弧状のものであることが好ましい。なお、シート間固定部17は、連続ではなく、複数の点状のものであってもよい。さらに、シート間固定部17は、延出部の先端部付近かつその側面側に1つもしくは延出部21,61を挟むように2つ設けたものであってもよい。そして、拡がり抑制用シート間固定部17としては、図34に示すように、両端部がシール部6に到達せず、薬剤室11と区画された室を形成しないものである。
シート間固定部17は、軟質バッグ2を剥離可能に融着することにより形成することが好ましい。融着としては、熱融着、高周波融着等であることが好ましい。シート間固定部17は、加熱プレスにより行うことが好ましく、金型の温度は、軟質バッグ2の形成材料の溶融温度より10℃以上低い温度で行うことにより形成することができる。拡がり抑制用シート間固定部を有していることにより、輸送中などに軟質バッグ2が膨らみ第1の延出部と第2の延出部とが裂開されるおそれがない。なお、拡がり抑制用シート間固定部の形状としては、輸送中などの使用前に筒状部が破断されることを防止できる形状であればいかなるものであってもよい。
【0050】
また、図35に示す医療用容器20bのように、軟質バッグ2は、排出ポート3の上方を取り囲むように形成された連通阻害用弱シール部18を備えるものであってもよい。連通阻害用弱シール部18により、第1の薬剤室11から隔離された小室19が形成されている。この小室19は、本発明の実施例では空き室となっている。しかし、この小室19には、所定の液体(例えば、生理食塩水)、もしくは微量元素注射液が入れられていてもよい。また、小室19は、乾燥状態でもよいが、湿熱滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害用弱シール部18に若干の水蒸気や薬剤が通る通路を形成し、小室19と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害用弱シール部18は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成することができる。連通阻害用弱シール部18は、図35に示す実施例では、反転したU字形状に形成されている。また、連通阻害用弱シール部18は、短辺が上側となる台形状、排出ポートが頂点となる三角形状、排出ポートが底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。
【0051】
次に、医療用容器用中空体を薬剤容器に応用した実施例について説明する。
この実施例の薬剤容器7は、図36ないし図39に示すように、医療用容器用中空体70と、中空体70の開口部を封止する封止部材72と、中空体70内に充填された薬剤73とからなる。
医療用容器用中空体70は、先端部が閉塞した筒状部71と、筒状部71より先端方向に突出し、かつ、軟質バッグ2の一方のシート2aの内面に固着可能な第1の延出部21と軟質バッグの他方のシート2bの内面に固着可能な第2の延出部61と、筒状部71に設けられ、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより破断し、筒状部71を開口する破断可能部36とを備える。そして、第2の延出部61は、第1の延出部21の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部64,65を有する。医療用容器用中空体70は、第1の延出部21と第2の延出部61間の拡がりにより筒状部71が開口するとともに、第2の延出部61に一部が収納されていた第1の延出部21が、第2の延出部61から離脱し、かつ離脱後の第1の延出部21の第2の延出部61への再収納を不能とし、筒状部31の開口状態を維持するものとなっている。
そして、この実施例の医療用容器用中空体70は、第1の延出部21および第2の延出部61間の拡がりによる破断可能部36の破断に続き、第2の延出部61に収納されていた第1の延出部21の側部25,26部分が、第2の延出部61より離脱し、かつ、離脱した第1の延出部21の側部部分が、第2の延出部61の部分収納部64,65と当接し、第1の延出部21の第2の延出部61の部分収納部64,65内への進入を阻害するものとなっており、第1の延出部21の第2の延出部61からの離脱状態が維持されるため、筒状部71の開口状態も維持されるものとなっている。
そして、第1の延出部21および第2の延出部61は、上述した医療用容器用中空体30にて説明した第1の延出部21および第2の延出部61と同じ構成であることが好ましい。また、破断可能部36等についても、上述した医療用容器用中空体30にて説明した破断可能部36等と同じ構成となっている。
【0052】
そして、この薬剤容器7および医療用容器用中空体70では、図36ないし図39(図2ないし図11を参照)に示すように、第1の延出部21は、一方のシート2aの内面に固着可能な固着可能部22を上面に有する第1の延出部本体部23と、側部25,26とを備えている。また、第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシート2bの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63と、第1の延出部部分収納部64,65を備える。第1の延出部部分収納部は、第1の延出部21の側部25,26を被包する向かい合う2つの側部被包部64,65と、2つの側部被包部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部23の一部を突出させるための開口部67を備えている。
具体的には、医療用容器用中空体70の第1の延出部21および第2の延出部61は、図36ないし図39に示すように、筒状部71の破断可能部付近を基端として前方に延出するとともに、先端は、自由端となっている。第1の延出部21および第2の延出部61は、両者間を開く力が付与されたときに、その力を破断可能部を破断するための応力に変換する機能を備えている。また、第1の延出部21と第2の延出部61とは向かい合うように形成されていることが好ましい。また、第1の延出部21と第2の延出部61の本体部は縦長の矩形状に形成されていることが好ましい。このような構成により、軟質バッグ2を押圧して膨らませた際に、第1の延出部21と第2の延出部61とにより、破断可能部36に確実に破断応力が付与される。
【0053】
具体的には、この実施例の薬剤容器7における医療用容器用中空体70では、第1の延出部21は、図36ないし図39に示すように、縦長の平板状の固着可能部22を上面に有する第1の延出部本体部23と、固着可能部22より第1の延出部本体部23の下面側に位置する側部25,26を備え、破断可能部36により、その後端縁が形成されている。よって、第1の延出部21は、破断可能部36の全体が破断することにより、医療用容器用中空体70より、分離するものとなっている。
また、第1の延出部本体部23は、図36ないし図39に示すように、縦長の平板状の固着可能部22を上面に有する膨出部24を備え、側部25,26は、膨出部の下面側より、側部方向に突出するものとなっている。さらに、この実施例では、側部25,26は、端部にさらに下方に延びる端部リブを備えている。なお、膨出部24、側部25,26は、所定長軸方向に延びるものとなっており、特に、第1の延出部本体部23の先端より、所定長、破断可能部36方向に延びるものとなっている。そして、膨出部24は、所定幅を有する断面矩形状のものとなっており、上面の平坦面部分が、一方のシート2aとの固着可能部22を構成している。
【0054】
また、第1の延出部21と第2の延出部61は、筒状部31の軸方向に延びるように設けられている。そして、第1の延出部21と第2の延出部61とは、それぞれの延出部本体部が対向するものとなっている。また、第1の延出部本体部23と第2の延出部本体部63は、向かい合いかつ若干離間するように設けられている。そして、第1の延出部本体部23および第2の延出部本体部63の先端(他端)は、自由端となっていることが好ましい。
第2の延出部61は、所定長延びかつ他方のシートの内面に固着可能な固着可能部62を上面に有する第2の延出部本体部63と第1の延出部部分収納部64,65を備え、第1の延出部部分収納部64,65は、突出部を被包する向かい合う2つの側部被包部と、2つの側部被包部64,65間に設けられ、第1の延出部本体部の一部を突出させるための開口部67とを備えている。
また、第2の延出部61は、第1の延出部21および第2の延出部61間の拡がったとき、第1の延出部21の側部25,26部分により、側部被包部64,65が変形し、開口部67が広げられることにより、第1の延出部21の離脱を可能とし、かつ、第1の延出部21の離脱後の側部被包部64,65の原形状方向への復元による開口部67の狭小化により、第1の延出部21の再収納を不能としている。さらに、この実施例では、第2の延出部61は、第1の延出部部分収納部64,65からの第1の延出部21の離脱の際に、変形する離脱補助用易変形部64b,65bを備えている。
【0055】
具体的には、第2の延出部61は、第2の延出部本体部63の平板状部分の側部より湾曲して第1の延出部21方向に延び、第1の延出部21の側部25,26を被包する第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65を備えている。そして、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65と第2の延出部本体部63の平板状部分間に、上述した離脱補助用易変形部64b,65bが設けられている。第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部側に開口部を有する略U字管状のものとなっている。また、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65の端部には、上方に延びる端部リブ64a,65aが設けられている。そして、この実施例では、第2の延出部本体部63の平板状部分および第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、筒状部71の軸方向に所定長延びるものとなっており、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26の全長にわたり、被包するものとなっている。2つの第1の延出部部分収納部(側部被包部)64aと64b間は、離間し、開口部67を有するものとなっており、さらに、この開口部67を第1の延出部21の膨出部24が通過し、その上部が露出するものとなっている。つまり、第1の延出部部分収納部(側部被包部)64,65は、第1の延出部21の側部25,26を被包するものの、膨出部24を被包しないものとなっており、また、当接もしないものとなっている。
【0056】
また、医療用容器用中空体70は、第1の延出部21を軟質バッグ2の薬剤室12を形成する一方のシートの内面に固定された第1の固定部14(図40参照)と、第2の延出部61を薬剤室12を形成する他方のシートの内面に固定された第2の固定部(図示せず)を有している。医療用容器用中空体70の破断可能部36は、薬剤室12の押圧時の軟質バッグ2との第1の固定部14と第2の固定部間の拡がりにより破断するものとなっている。
薬剤容器7に収納される薬剤73としては、粉末、顆粒状などの固体状、液体状等いかなるものでもよい。薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。
薬剤容器7の筒状部71の容積は、1〜30mlであることが好ましい。筒状部の長さは、20〜100mmであることが好ましい。
医療用容器用中空体70および封止部材72の形成材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物等、ポリオレフィンを含む混合物)、さらにはこれらの部分架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、軟質塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等が好ましい。
また、薬剤容器7として用いる本発明の医療用容器用中空体としては、図12に示し上述した医療用容器用中空体30a、図13に示し上述した医療用容器用中空体30b、図14に示し上述した医療用容器用中空体30c、図15に示し上述した医療用容器用中空体30d、図16に示し上述した医療用容器用中空体30e、図17に示し上述した医療用容器用中空体30f、図18に示し上述した医療用容器用中空体30gが備える第1の延出部および第2の延出部のような形態のもの、さらには、図19ないし図25に示し上述した第1の延出部が延出先端部を備え、第2の延出部が、第1の延出部の延出先端部を被包する第1の延出部部分収納部を備えタイプのものであってもよい。
【0057】
また、本発明の医療用容器としては、図40に示すようなものであってもよい。
この実施例の医療用容器40は、軟質バッグ2と、軟質バッグ2内に形成された薬剤室11および薬剤12と、薬剤室11に充填された薬液と、薬剤室12に充填された薬液と、軟質バッグ2に取り付けられ薬剤室12内の薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器7と、軟質バッグ2に取り付けられた排出ポート10とを備える。薬剤容器7として、本発明の医療用容器用中空体70を用いた上記の薬剤容器7を用いるものである。
そして、医療用容器用中空体70の第1の延出部21の固着可能部22の一部は軟質バッグ2の薬剤室12側を形成する部分の一方のシート2aの内面に固定されており、第2の延出部61の固着可能部62の一部は軟質バッグ2の薬剤室12側を形成する部分の他方のシート2bの内面に固定されており、破断可能部36は、薬剤室12の押圧時の軟質バッグ2と固定された第1の延出部21および第2の延出部61の拡がりにより破断し、薬剤容器7内と薬剤室12とが連通するものとなっている。
そして、この実施例の薬剤容器7においても、医療用容器用中空体70の破断可能部36は、第1の延出部21と第2の延出部61との間を通るように設けられた先端側部分と、先端側部分より筒状部71の側面方向に延びる第1の延出部側部分を有している。薬剤室12を押圧することにより、第1の延出部21の軟質バッグ2への固定部付近が膨らみ、第1の延出部21が、引っ張られることにより、第1の延出部21に第2の延出部61より離間する方向に開きく力が付与される。これにより、破断可能部36は破断し、第2の延出部61に収納されていた第1の延出部21の側部25,26部分が、第2の延出部61より離脱し、かつ、離脱した第1の延出部21が、第2の延出部61の部分収納部64,65と当接し、第1の延出部21の第2の延出部61の部分収納部内64,65への進入が阻害されるものとなっている。
【0058】
また、この実施例の医療用容器40も上述した医療用容器20aと同様に、軟質バッグ2には、図40に示すように、薬剤容器7の薬剤室側先端部の近傍に設けられ、第1の延出部および第2の延出部により固定されたシート間の拡がりを抑制するための剥離可能な拡がり抑制用シート間固定部17を備えている。拡がり抑制用シート間固定部17としては、上述した拡がり抑制用シート間固定部と同様のものが好適である。また、この実施例の医療用容器40も上述した医療用容器20と同様に、軟質バッグ2は、剥離可能な仕切用弱シール部9より第1の薬剤室11と第2の薬剤室12に仕切られている。仕切用弱シール部9としても上述したものと同様であることが好ましい。
また、この実施例の医療用容器40では、図40に示すように、軟質バッグ2の下端側シール部6に排出ポート10を有する。排出ポート10は、図40に示すような公知のものを使用することが好ましく、例えば、筒状ポート部材とその開口を封止するとともに針管を挿通可能なシール部材を備えるものが好ましい。
さらに、この実施例の医療用容器40では、図40に示すように、軟質バッグ2は、排出ポート10と第1の薬剤室11との連通を阻害する連通阻害用弱シール部18を備えている。
連通阻害用弱シール部18は、排出ポート10の上方を取り囲むように形成されている。この連通阻害用弱シール部18により、第1の薬剤室11から隔離された小室19が形成されている。この小室19は、本発明の実施例では空き室となっている。しかし、この小室19には、所定の液体(例えば、生理食塩水)が入れられていてもよい。また、小室19は、乾燥状態でもよいが、滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害用弱シール部18に若干の水蒸気や薬剤が通る通路を形成し、小室19と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害用弱シール部18は、シート材を帯状に熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着等)することにより形成することができる。
連通阻害用弱シール部18は、図40に示す実施例では、反転したU字形状に形成されている。また、連通阻害用弱シール部18は、短辺が上側となる台形状、排出ポートが頂点となる三角形状、排出ポートが底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,20,20a,20b,40 医療用容器
2 軟質バッグ
3 排出ポート
7 薬剤容器
21 第1の延出部
30 医療用容器用中空体
36 破断可能部
61 第2の延出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質バッグを備える医療用容器に用いられる医療用容器用中空体であって、
該中空体は、先端部が閉塞した筒状部と、該筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と、前記筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、前記筒状部に設けられ、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより破断し、前記筒状部を開口する破断可能部とを備え、
さらに、前記第2の延出部は、前記第1の延出部の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部を有し、前記医療用容器用中空体は、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより前記筒状部が開口するとともに、前記第2の延出部に一部が収納されていた前記第1の延出部が、前記第2の延出部から離脱し、かつ離脱後の前記第1の延出部の前記第2の延出部への再収納を不能とし、前記筒状部の開口状態を維持することを特徴とする医療用容器用中空体。
【請求項2】
前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の側部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである請求項1に記載の医療用容器用中空体。
【請求項3】
前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の先端部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである請求項1に記載の医療用容器用中空体。
【請求項4】
前記医療用容器用中空体は、前記第2の延出部より離脱した前記第1の延出部が、前記第2の延出部と当接し、前記第1の延出部の前記第2の延出部への進入を阻害するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【請求項5】
前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部を備え、前記第2の延出部は、前記第1の延出部本体部の両側部を被包する向かい合う2つの前記第1の延出部部分収納部と、2つの前記第1の延出部部分収納部間に設けられ、前記第1の延出部本体部の前記膨出部を突出させるための開口部とを備えている請求項1または4に記載の医療用容器用中空体。
【請求項6】
前記第2の延出部は、前記第1の延出部および前記第2の延出部間が拡がったとき、前記第1の延出部により、前記第1の延出部部分収納部が変形し、前記開口部が広がることにより、前記第1の延出部の離脱を可能とし、かつ、前記第1の延出部の離脱後の前記第1の延出部部分収納部の原形状方向への復元による前記開口部の狭小化により、再収納を不能としているものである請求項5に記載の医療用容器用中空体。
【請求項7】
前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部と、該膨出部より先端方向に延びる延出先端部を備え、前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の前記延出先端部を被包し、かつ、前記膨出部を被包しないものとなっている請求項1または4に記載の医療用容器用中
【請求項8】
前記第2の延出部は、前記第1の延出部部分収納部からの前記第1の延出部の離脱の際に変形する離脱補助用易変形部を備えている請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ後端部が開口した医療用容器用中空体と、前記中空体の前記後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有することを特徴とする医療用容器用排出ポート。
【請求項10】
前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤が収納されている請求項9に記載の医療用容器用排出ポート。
【請求項11】
前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤と、前記破断可能部の未破断時における前記中空体内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材とが収納されている請求項10に記載の医療用容器用排出ポート。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ一端部が開口した医療用容器用中空体と、該中空体の前記一端部を封鎖する封止部材と、前記中空体内に収納された薬剤とを有することを特徴とする医療用容器用薬剤容器。
【請求項13】
軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記排出ポートは、請求項9ないし11のいずれかに記載の排出ポートであり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記排出ポート内を前記薬剤室と連通させるものであることを特徴とする医療用容器。
【請求項14】
軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器と、該軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記薬剤容器は、請求項12に記載の薬剤容器であり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記薬剤容器内を前記薬剤室と連通させるものであることを特徴とする医療用容器。
【請求項1】
軟質バッグを備える医療用容器に用いられる医療用容器用中空体であって、
該中空体は、先端部が閉塞した筒状部と、該筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの一方のシートの内面に固着可能な第1の延出部と、前記筒状部より先端方向に突出し、かつ、前記軟質バッグの他方のシートの内面に固着可能な第2の延出部と、前記筒状部に設けられ、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより破断し、前記筒状部を開口する破断可能部とを備え、
さらに、前記第2の延出部は、前記第1の延出部の少なくとも一部を収納する第1の延出部部分収納部を有し、前記医療用容器用中空体は、前記第1の延出部と前記第2の延出部間の拡がりにより前記筒状部が開口するとともに、前記第2の延出部に一部が収納されていた前記第1の延出部が、前記第2の延出部から離脱し、かつ離脱後の前記第1の延出部の前記第2の延出部への再収納を不能とし、前記筒状部の開口状態を維持することを特徴とする医療用容器用中空体。
【請求項2】
前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の側部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである請求項1に記載の医療用容器用中空体。
【請求項3】
前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の先端部を離脱可能かつ再収納不能に収納するものである請求項1に記載の医療用容器用中空体。
【請求項4】
前記医療用容器用中空体は、前記第2の延出部より離脱した前記第1の延出部が、前記第2の延出部と当接し、前記第1の延出部の前記第2の延出部への進入を阻害するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【請求項5】
前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部を備え、前記第2の延出部は、前記第1の延出部本体部の両側部を被包する向かい合う2つの前記第1の延出部部分収納部と、2つの前記第1の延出部部分収納部間に設けられ、前記第1の延出部本体部の前記膨出部を突出させるための開口部とを備えている請求項1または4に記載の医療用容器用中空体。
【請求項6】
前記第2の延出部は、前記第1の延出部および前記第2の延出部間が拡がったとき、前記第1の延出部により、前記第1の延出部部分収納部が変形し、前記開口部が広がることにより、前記第1の延出部の離脱を可能とし、かつ、前記第1の延出部の離脱後の前記第1の延出部部分収納部の原形状方向への復元による前記開口部の狭小化により、再収納を不能としているものである請求項5に記載の医療用容器用中空体。
【請求項7】
前記第1の延出部は、第1の延出部本体部と、該第1の延出部本体部より膨出し、上面に前記一方のシートの内面に固着可能な固着可能部を有する膨出部と、該膨出部より先端方向に延びる延出先端部を備え、前記第2の延出部の前記第1の延出部部分収納部は、前記第1の延出部の前記延出先端部を被包し、かつ、前記膨出部を被包しないものとなっている請求項1または4に記載の医療用容器用中
【請求項8】
前記第2の延出部は、前記第1の延出部部分収納部からの前記第1の延出部の離脱の際に変形する離脱補助用易変形部を備えている請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用容器用中空体。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ後端部が開口した医療用容器用中空体と、前記中空体の前記後端部を封鎖し、かつ医療用針管の接続が可能な封止部を有することを特徴とする医療用容器用排出ポート。
【請求項10】
前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤が収納されている請求項9に記載の医療用容器用排出ポート。
【請求項11】
前記医療用容器用排出ポートの前記中空体内には、薬剤と、前記破断可能部の未破断時における前記中空体内への前記医療用針管の侵入を阻害する針管侵入阻害部材とが収納されている請求項10に記載の医療用容器用排出ポート。
【請求項12】
請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用容器用中空体であり、かつ一端部が開口した医療用容器用中空体と、該中空体の前記一端部を封鎖する封止部材と、前記中空体内に収納された薬剤とを有することを特徴とする医療用容器用薬剤容器。
【請求項13】
軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記排出ポートは、請求項9ないし11のいずれかに記載の排出ポートであり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記排出ポート内を前記薬剤室と連通させるものであることを特徴とする医療用容器。
【請求項14】
軟質バッグと、該軟質バッグ内に形成された薬剤室と、該薬剤室に充填された薬液と、前記軟質バッグに取り付けられ前記薬液と混合するための薬剤が収納された薬剤容器と、該軟質バッグに取り付けられた排出ポートとを備える医療用容器であって、前記薬剤容器は、請求項12に記載の薬剤容器であり、かつ、前記第1の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する一方のシートの内面に固定されており、また前記第2の延出部の外面の一部は前記軟質バッグの前記薬剤室を形成する他方のシートの内面に固定されており、前記破断可能部は、前記薬剤室の押圧時の前記軟質バッグと固定された前記第1の延出部および前記第2の延出部の拡がりにより破断し、前記薬剤容器内を前記薬剤室と連通させるものであることを特徴とする医療用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2012−135433(P2012−135433A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289672(P2010−289672)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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