説明

医療用粘着テープ

【課題】金属微粒子を含有した粘着剤層を通気性基材上に筋状に設けた医療用粘着テープにおいて、長時間に亘り皮膚に貼着してもかぶれが生じることを抑えることが可能な医療用粘着テープを提供する。
【解決手段】金属微粒子を含有した粘着剤を、通気性を備えた基材上に、所定の間隔をおいて筋状に配置した積層体とし、前記積層体の外周縁に沿って、少なくとも前記外周縁から前記粘着剤層に至る切り込みを複数本設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用途の粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
肩こり等を解消するために、炭化チタン等の金属微粒子を含有する粘着剤層を備えた医療用粘着テープが、特許文献1に開示されている。この医療用粘着テープ(同文献では、シール。)は、台紙から剥がして皮膚に貼着すると、貼着後、数時間では問題とはならないが、10数時間〜20時間程度経過すると、粘着テープの外周縁が皮膚に接触しつづけるために、かぶれが顕著に生じるという問題があった。これは、粘着テープの外周縁において、金属微粒子が含まれる粘着剤層と皮膚との間に微小電流が流れ続けること等が要因と考えられる。
このようなかぶれの問題に対して、特許文献2〜4には、医療用粘着テープに透湿性や通気性を付与したり、粘着剤の塗布パターンを工夫することが提案されている。
しかしながら、上記提案された方法であっても、金属微粒子が粘着剤層に含まれる場合には、粘着剤層が皮膚に追従してしまうために、上記粘着テープの外周縁におけるかぶれを解消することができなかった。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3023012号公報
【特許文献2】特表2003−509121号公報
【特許文献3】特開平10−328231号公報
【特許文献4】特開2006−87488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、金属微粒子を含有した粘着剤層を通気性基材上に筋状に設けた医療用粘着テープにおいて、長時間に亘り皮膚に貼着してもかぶれが生じることを抑えることが可能な医療用粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者は、医療用粘着テープの外周縁に沿って、少なくとも、外周縁から金属を含む粘着剤層に及ぶ切り込みを、複数設けるようにすれば、外周縁において、粘着剤層が被着部位(皮膚)に追従することがないので、テープの外周縁におけるかぶれを防ぐことができるという知見に基づき、下記の解決手段を見出した。
即ち、本願の医療用粘着テープは、請求項1に記載の通り、金属を含有した粘着剤を、通気性を備えた基材上に、所定の間隔をおいて筋状に配置した積層体とし、前記積層体の外周縁に沿って、少なくとも前記外周縁から前記粘着剤層に至る切り込みを複数本設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の医療用粘着テープにおいて、前記粘着剤の筋が延びている方向に、前記積層体を貫通する開口部を、所定の間隔で複数設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、金属を含有した粘着剤層を備えた医療用粘着テープの外周縁において、皮膚がかぶれを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における金属としては、皮膚との間で微小電流を生じさせるものであれば特に制限するものではなく、例えば、チタン、金、銀及びアルミニウム、これらの合金並びに化合物を使用することができる。また、粘着剤に対する配合量としても特に制限するものではないが、例えば、チタン系の金属の場合には、粘着剤に対する配合量を5〜95%とすることができる。また、粘着剤に配合させる際の金属の形態についても特に制限はなく、例えば、金属粉(微粒子)とすることができる。
【0008】
本発明で用いられる粘着剤は、医療用粘着剤の分野で公知の粘着剤を用いることができ、一般的には医療用のホットメルト塗布可能なアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤を用いることができる。ホットメルトゴム系粘着剤としては、特に制限はなく、一般的に用いられているスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ゴムのような合成ゴムとロジン系粘着付与剤のような粘着付与剤との混合物を用いることができる。合成ゴムとしては、例えば、クレイトンポリマー社製Kraton 1107及びKraton 1112が挙げられ、粘着付与剤としてはHercules Inc., Wilmington DE製FORAL 85が挙げられる。他の合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブチルゴム(NBR)、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
また、粘着剤には、その他の添加剤を含めるか、或いは、これらの2成分の混合物の配合時又は塗布時に加えてもよい。このような添加剤としては、可塑剤、粘着付与剤、顔料、補強剤、強化剤、難燃剤、酸化防止剤及び安定剤等が挙げられる。
【0009】
上記金属は、予め、或いは、基材に塗布(積層)する際に粘着剤と混合され、粘着剤層として基材上に積層される。この時、粘着剤層は、基材上に所定の間隔で複数本が筋状に配置される。隣接する粘着剤層間の間隔は特に制限するものではないが、例えば、0.5mm〜3mm程度とすることができる。また、粘着剤層の厚さについても特に制限するものではないが、例えば、10μm〜60μm程度とすることができる。
【0010】
本発明で用いる基材は、医療用粘着テープに用いられる公知の通気性を備える基材であれば特に制限するものではない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン類、あるいはポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどのその他のプラスチック類などの有機高分子からなる穿孔フィルム、連続気泡を有する発泡シート、フォームおよびそれらのラミネートなどが挙げられる。また、織物、不織布、メルトブローンウェブ、フォーム、スパンボンドウェッブ、サーマルボンドウェッブ、スパンレースウェブ、紙、および熱エンボス加工した不織布等も使用することができる。更に、基材は、伸縮性もしくは非伸縮性であってもよい。通気性もしくは透湿性に優れ、且つ、伸縮性が良好な基材が好ましく適用できる。特に伸縮性の綿布(織布)や不織布などが好適に用いられる。更に、防水性のある基材も使用できる。また、基材の厚さについても特に制限するものではないが、一般的には15〜2000μm程度のものを使用することができる。
【0011】
上記材料を使用して、本発明の医療用粘着テープは、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、図1(b)に示すように、表面が離型処理された離型フィルム1上に、金属微粒子を予め含有させた粘着剤2を筋状に所定の間隔で複数本塗布することにより設け、更に、その上に、基材3を積層する。
得られた積層体は、図1(a)に示すように、積層体の外周縁に沿って、少なくとも積層体の外周縁から粘着剤層2に至るまで、カッター等により切り込み4を複数本設ける。
そして、同図に示すように、粘着剤2の筋が延びている方向に、積層体を貫通する開口部(ここでは、切り込み5)を所定の間隔で複数本設ける。
以上のようにして得られた医療用粘着テープは、外周縁から粘着剤層3に及ぶまでに切り込み4が複数本入っているために、外周縁と皮膚とが長時間接触し続けることがないので、外周縁におけるかぶれの発生を抑えることが可能となる。
また、更に、積層体を貫通する開口部5を設けているので、医療用粘着テープ自体の被着部位への追従性を高めることが可能となる。
【0012】
上記外周縁の切り込み4は、積層体の基材3及び粘着剤2を貫通する切り込みであって、外周縁から粘着剤層2に及ぶ長さを有しているものであれば、外周縁において粘着剤層2が被着部位に接触し続けることを防ぐことができるので、その幅や長さ、或いは、その本数については特に制限するものではないが、好ましくは、基材3の一辺の長さに対して、尚、製造上ほとんどの場合に、粘着剤層がテープの外周縁に配置されることになるが、粘着剤層がテープの外周縁に位置しない場合には、切り込み4は、外周縁から粘着剤層2がない基材3を含めて粘着剤層2のある部位まで設けるようにする必要がある。
【0013】
また、上記説明において、開口部は、切り込み5としたが、図2(A)〜(C)に示すように、平行四辺形又は菱形(同図(A))の開口部6、三角形(同図(B))の開口部7、或いは、円乃至は楕円形(同図(C))の開口部とすることができる。
尚、上記開口部の寸法に関しては、特に制限するものではないが、例えば、基材3の寸法が幅50mm、長さ80mmの場合には、同図(A)の菱形の開口部6の場合、短い方の対角線の長さを2mm程度とし、長い方の対角線の長さを5mm程度とすることができ、同図(B)の三角形の開口部7の場合には、底辺の長さを2mm程度とし、その高さを5mm程度とすることができ、同図(C)の楕円形の開口部8の場合には、長径を5mm程度とし、短径を2mm程度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の医療用粘着テープの一実施の形態の説明図
【図2】図1の開口部の変形例の説明図
【符号の説明】
【0015】
1 離型フィルム
2 粘着剤層
3 基材
4 切り込み
5 開口部(切り込み)
6〜8 開口部
10 医療用粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含有した粘着剤を、通気性を備えた基材上に、所定の間隔をおいて筋状に配置した積層体とし、前記積層体の外周縁に沿って、少なくとも前記外周縁から前記粘着剤層に至る切り込みを複数本設けたことを特徴とする医療用粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着剤の筋が延びている方向に、前記積層体を貫通する開口部を、所定の間隔で複数設けたことを特徴とする請求項1に記載の医療用粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−75437(P2010−75437A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247022(P2008−247022)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(508289453)
【Fターム(参考)】