説明

医療用粘着剤

【課題】 透湿性と皮膚への密着性のバランスに優れ、剥離時の皮膚刺激性が少ない医療用粘着剤および該粘着剤からなる医療用粘着テープまたはシートを提供する。
【解決手段】 特定のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル(a1)、活性水素原子を含有しないエチレン性不飽和モノマー(a2)および活性水素原子含有エチレン性不飽和モノマー(a3)を構成単位としてなる共重合体(A)からなることを特徴とする医療用粘着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用粘着剤に関する。さらに詳しくは、優れた透湿性を有することから、皮膚のムレやカブレを防止し、皮膚への密着性に優れ、かつ剥離時の皮膚刺激性が少ない医療用粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用粘着剤としては、下記のものが知られている。
(1)ハイドロカルビル(メタ)アクリレート共重合体と該共重合体と相溶する液体成分を含むもの(例えば、特許文献1参照)
(2)ハイドロカルビル(メタ)アクリレート共重合体とポリオキシアルキレングリコールを含むもの(例えば、特許文献2参照)
(3)ハイドロカルビル(メタ)アクリレート共重合体のモノマー成分としてアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを用いたもの(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開平03−220120号公報
【特許文献2】特開平06−256183号公報
【特許文献3】特開平10−158621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のものは下記の問題点を有しており、透湿性と皮膚への密着性をバランス良く満たす粘着剤が切望されている。
(1)は、透湿性が考慮されておらず、皮膚にムレやカブレが発生する問題がある。また、液体成分を過剰に含むため、皮膚に対する密着性が不十分である。
(2)は、十分な透湿性は得られるが、ポリオキシアルキレングリコールの水酸基がハイドロカルビル(メタ)アクリレート共重合体と架橋剤との反応を阻害し、皮膚に対する密着性の調整が困難である。
(3)は、重合性の点で、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートの使用量に制限があり、十分な透湿性が得られない。
上記のように、透湿性と皮膚への密着性をバランス良く満たす粘着剤はない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル(a1)、活性水素原子を含有しないエチレン性不飽和モノマー(a2)および活性水素原子含有エチレン性不飽和モノマー(a3)を構成単位としてなる共重合体(A)からなることを特徴とする医療用粘着剤である。

2C=C(R1)−CH2−O−(AO)n−R2 (1)

(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜30の数を表す。)
【発明の効果】
【0005】
本発明の医療用粘着剤および該粘着剤からなる医療用の粘着テープまたはシートは下記の効果を奏する。
(1)透湿性に優れる。
(2)皮膚への密着性に優れる。
(3)剥離時の皮膚刺激性が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[共重合体(A)]
本発明における(A)は、下記一般式(1)で示されるアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル(a1)、活性水素原子を含有しないエチレン性不飽和モノマー(a2)および活性水素原子含有エチレン性不飽和モノマー(a3)を構成単位としてなる共重合体である。

2C=C(R1)−CH2−O−(AO)n−R2 (1)

式中、R1はHまたはメチル基を表し、好ましいのはHである。
Aは炭素数(以下Cと略記)2〜4のアルキレン基(エチレン、プロピレンおよびブチレン基等)を表し、好ましくはC2〜3、さらに好ましくはC2である。AのCが4を超えると透湿性が悪くなる。
2は炭素数1〜4のアルキル基(メチル、エチル、ブチル基等)を表し、好ましくはC1〜2、さらに好ましくはC1である。R2のCが4を超えると透湿性が悪くなる。
nは1〜30の数を表し、好ましくは7〜25、さらに好ましくは9〜20である。nが30を超えると重合性が悪くなる。
【0007】
(a1)としては、C8以上かつ数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)による。]3,000以下〕、例えばR2がメチル基のもの[メトキシエチレングリコール(メタ)アリルエーテル、メトキシポリ(n=2〜30)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル、メトキシプロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、メトキシポリ(n=2〜30)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル等];R2がエチル基のもの[エトキシエチレングリコール(メタ)アリルエーテル、エトキシポリ(n=2〜30)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル、エトキシプロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、エトキシポリ(n=2〜30)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル等];R2がプロピル基のもの[プロポキシエチレングリコール(メタ)アリルエーテル、プロポキシポリ(n=2〜30)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル、プロポキシプロピレングリコール(メタ)アリルエーテル、プロポキシポリ(n=2〜30)プロピレングリコール(メタ)アリルエーテル等]等が挙げられ、粘着剤の透湿性の観点から好ましいのは、R2がメチル基のもの、さらに好ましいのはメトキシポリエチレングリコール(メタ)アリルエーテルである。
【0008】
(a1)は、アルカリ触媒の存在下、(メタ)アリルアルコールに85〜105℃でアルキレンオキサイド(以下AOと略記)を付加させた後、さらに合成珪酸塩、ハイドロタルサイト類、酸化マグネシウムアルミニウム、活性白土、活性炭、活性アルミナ、合成ゼオライト、イオン交換樹脂等から選ばれる1種以上の吸着剤を使用してアルカリ触媒をろ過除去し、120℃以下で脱水を行い、その後35℃以下まで冷却することにより製造することができる。
AOとしては、C2〜4、例えばエチレンオキシド(以下EOと略記)、プロピレンオキシド(以下POと略記)、1,2−および1,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)が挙げられる。これらのうち透湿性の観点から好ましいのはEOおよび/またはPOである。
【0009】
(a1)を構成するAOのうち、EOの含有量は、(a1)の重量に基づいて、透湿性および重合性の観点から好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、とくに好ましくは70%以上である。
【0010】
活性水素原子を含有しないエチレン性不飽和基モノマー(a2)としては、C2〜150のもの]、例えば下記の(a21)〜(a25)が挙げられる。
(a21)ハイドロカルビル(メタ)アクリレート
ハイドロカルビル基が、脂肪族〔C1〜25(好ましくは4〜18)、例えばアルキル基[メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt−ブチル、n−、i−、sec−、t−およびネオペンチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、セチルおよびステアリル基等]およびアルケニル基[エテニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、デセニルおよびオレイル基等]等〕、脂環式[C4〜18、例えばシクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基]および芳香脂肪族[C7〜18、例えばベンジルおよびフェニルエチル基]カルビル基等;
【0011】
(a22)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレンアルキル(C1〜18)エーテル(メタ)アクリレート
メタノールのエチレンオキシド(以下、EOと略記)10モル付加物の(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキシド(以下、POと略記)10モル付加物の(メタ)アクリレート等;
【0012】
(a23)窒素原子含有エチレン性不飽和モノマー
(1)C3〜20の、3級または4級窒素含有(メタ)アクリルアミド化合物
3級窒素含有(メタ)アクリルアミド化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等];4級窒素含有(メタ)アクリルアミド化合物[上記3級窒素含有ビニル化合物の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等]
【0013】
(2)C6〜16の、3級または4級窒素含有(メタ)アクリレート
3級窒素含有〔ジアルキル(C1〜4)アミノアルキル(C1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、複素環含有(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]等〕;4級窒素含有〔(メタ)アクリレート[上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートの4級化物(前記の4級化剤を用いて4級化したもの)等]等〕
【0014】
(3)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(C7〜14、例えば2−および4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(C5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(C6〜13、例えばN−ビニルピロール)等
(4)ニトリル基含有ビニル化合物
C3〜15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(C1〜4)アクリレート
(5)その他の窒素原子含有エチレン性不飽和モノマー
ニトロ基含有ビニル化合物(C8〜16、例えばニトロスチレン)等
【0015】
(a24)不飽和炭化水素
(1)脂肪族不飽和炭化水素
C2〜18またはそれ以上のオレフィン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレ
ン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等]、C4〜10またはそれ以上のジエン[ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等]等
(2)脂環式不飽和炭化水素
C4〜18またはそれ以上の環状不飽和炭化水素、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン
(3)芳香族不飽和炭化水素
C8〜20またはそれ以上の芳香族不飽和炭化水素、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
【0016】
(a25)ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、不飽和ジカルボン酸ジエステル
(1)ビニルエステル
脂肪族ビニルエステル(C4〜15、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート);芳香族ビニルエステル(C9〜20、例えばジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、アセトキシスチレン)等
【0017】
(2)ビニルエーテル
脂肪族ビニルエーテル〔C3〜15、例えばビニルアルキル(C1〜10)エーテル[ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル等]、ビニルアルコキシ(C1〜6)アルキル(C1〜4)エーテル[ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等]、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(C2〜6)[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]〕;
芳香族ビニルエーテル(C8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)等
【0018】
(3)ビニルケトン
脂肪族ビニルケトン(C4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン);芳香族ビニルケトン(C9〜21 、例えばビニルフェニルケトン)等
(4)不飽和ジカルボン酸ジエステル
C4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジ(シクロ)アルキルフマレート、ジ(シクロ)アルキルマレエート[いずれにおいても2個の(シクロ)アルキル基は、C1〜22の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基を表す。]
【0019】
上記(a2)として例示したもののうち粘着剤の粘着力および凝集力の観点から好ましいのは、(a21)、(a23)、(a24)および(a25)、さらに好ましいのは(a21)、(a23)中の(1)、(2)、(4)、(a14)中の(3)および(a25)、とくに好ましいのはn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレンおよび酢酸ビニルである。
【0020】
活性水素原子含有エチレン性不飽和モノマー(a3)は、後述する架橋剤(B)と反応する活性水素原子を含有する官能基(カルボキシル基、水酸基、アミノ基、メチロール基およびアミド基等)を有するモノマーであり、(a3)としては、C3〜250、例えば下記の(a31)〜(a34)が挙げられる。
【0021】
(a31)α,β−不飽和カルボン酸
一塩基酸[C3〜10、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸およびビニル安息香酸]、
二塩基酸[C4〜8、例えばマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸およびメサコン酸]、
二塩基酸のモノエステル[上記二塩基酸のモノハイドロカルビル(C1〜18)エステル]、
下記の一般式で表される水酸基含有(メタ)アクリレートのコハク酸モノエステル

CH2=C(R3)-COO(AO)p(CO-L-O)q-CO-CH2-CH2-COOH

(式中、R3はHまたはメチル基、AはC2〜4のアルキレン基、LはC3〜19のアルキレン基、pは1〜30の整数、qは0〜5の整数を表す。)
[C8〜130、例えば2−ヒドロキシアルキル(アルキル基のC2〜3)(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、(ポリ)(n=1〜30)オキシアルキレン(C2〜4)モノ(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、2−ヒドロキシアルキル(アルキル基のC2〜3)(メタ)アクリレートのカプロラクトン(1〜5モル)付加体に無水コハク酸を開環付加させた化合物等]、およびこれらの2種以上の混合物等;
【0022】
(a32)水酸基含有化合物
C5〜12の不飽和カルボン酸エステル
(1)ヒドロキシアルキル(C2〜6)(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等]、およびそのラクトン(C4〜20、例えばブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンおよびラウロラクトン)1〜5モル付加体
(2)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)(メタ)アクリレート[ポリ(n=10)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート等]
(3)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)不飽和カルボン酸ジエステル[ポリ(n=10)オキシエチレンマレイン酸ジエステル等]、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)(メタ)アリルエーテル[ポリ(n=10)オキシエチレン(メタ)アリルエーテル等]、
C3〜8の不飽和アルコール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1,4−ジオール等]、
C8〜15のスチレン化合物[ヒドロキシスチレン等]、
C5〜20のエーテル[ヒドロキシアルキル(C2〜6)アルケニル(C3〜6)エーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロぺニルエーテル]、
メチロール基含有化合物〔C4〜10の水酸基含有(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミド等]等〕等;
【0023】
(a33)アミノ基含有化合物
C5〜15の1級、2級アミノ基含有(メタ)アクリレート〔アミノアルキル(C2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]、アルキル(C1〜6)アミノアルキル(C1〜6)(メタ)アクリレート[t−ブチルアミノエチルメタクリレート等]等〕、
C5〜10の1、2級アミノ基含有アクリルアミド[N−アミノアルキル(C2〜6)(メタ)アクリルアミド、例えばN−アミノエチル(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリルアミドアルキル(C2〜6)アルキル(C1〜6)アミン、例えば(メタ)アクリルアミドエチルブチルアミン]、
アルケニルアミン化合物[C3〜15、例えばモノ−およびジ−(メタ)アリルアミン、クロチルアミン]等;
【0024】
(a34)メチロール基含有化合物のエーテル化物
C4〜10の水酸基含有(メタ)アクリルアミドのアルキル(C1〜4)エーテル化物[N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等]等;
(a25)アミド基含有ビニル化合物
C3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えば(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(C1〜6)(メタ)アクリルアミド[N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等]、N,N−ジハイドロカルビル[アルキル(C1〜6)および/またはアラルキル(C7〜15)](メタ)アクリルアミド[N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等]、ジアセトンアクリルアミド、
上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、C4〜20のアミド基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトンアミド、環状アミド(N−ビニルピロリドン等)等。
【0025】
これらの(a3)のうち粘着剤のタックと凝集力のバランスの観点から好ましいのは、(a31)、(a32)および(a34)、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドある。
【0026】
(A)は、(a1)、(a2)および(a3)から構成され、(A)の重量に基づく(a1)の割合は、粘着剤の透湿性、粘着力およびタックの観点から好ましい下限は5%、さらに好ましくは7%、特に好ましくは10%、粘着剤の凝集力の観点から好ましい上限は50%、さらに好ましくは30%、とくに好ましくは20%;(a2)の割合は、粘着剤の粘着力およびタックの観点から好ましい下限は30%、さらに好ましくは55%、特に好ましくは70%、粘着剤の凝集力の観点から好ましい上限は94.9%、さらに好ましくは92.5%、とくに好ましくは89.0%;(a3)の割合は、粘着剤の凝集力の観点から好ましい下限は0.1%、さらに好ましくは0.5%、とくに好ましくは1%、粘着剤の粘着力およびタックの観点から好ましい上限は20%、さらに好ましくは15%、とくに好ましくは10%である。
【0027】
(A)の重量平均分子量[以下、Mwと略記、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)による。]は、粘着剤の凝集力の観点から好ましい下限は50,000、さらに好ましくは100,00、とくに好ましくは200,000、塗工液の粘度の観点から好ましい上限は2,000,000、さらに好ましくは1,800,000、とくに好ましくは1,200,000である。
【0028】
また、(A)のガラス転移温度(以下Tgと略記)は、粘着剤の粘着力の観点から好ましい下限は−100℃、さらに好ましくは−90℃、とくに好ましくは−80℃、粘着剤のタックの観点から好ましい上限は30℃、さらに好ましくは0℃、とくに好ましくは−10℃である。
(A)は、粘着剤と後述の支持体との密着力の観点から、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0029】
(A)は、種々の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等)により製造することができる。
溶液重合において用いられる溶媒としては、エステル(C2〜8、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール(C1〜8、例えばメタノール、エタノール、オクタノール)、炭化水素(C4〜8、例えばn−ブタン、シクロヘキサン、トルエン)、ケトン(C3〜9、例えばメチルエチルケトン)等が挙げられる。
溶媒の使用量は、(A)を構成するモノマーの合計重量に基づいて通常5〜900%、好ましくは10〜400%であり、モノマー濃度(重量%)としては、通常10〜95%、好ましくは20〜90%である。
【0030】
乳化重合および懸濁重合における分散媒としては、水、アルコール(C1〜12、例えばエタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール)、エステル(C4〜10、例えば酢酸エチル、プロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられる。
乳化重合および懸濁重合における分散媒の使用量は、(A)を構成するモノマーの合計重量に基づいて通常10〜900%、好ましくは40〜250%であり、モノマー濃度(重量%)としては、通常10〜90%、好ましくは30〜70%である。
乳化重合における乳化剤としては、アニオン界面活性剤[金属石けん(オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等)、硫酸エステル(ラウリル硫酸ナトリウム等)等]、ノニオン界面活性剤〔アルキレンオキシド(以下AOと略記)(C2〜15、好ましくは2〜4)付加型界面活性剤[ノニルフェノールのEO40モル付加物等]、多価アルコール型界面活性剤(エトキシ化テトラメチルデシンジオール、ラウリン酸モノグリセライド等)等〕、ビニル重合性乳化剤[アニオン化合物(メタクリル酸スルホエチルナトリウム等)、カチオン化合物(メタクリル酸ジメチルアミノメチル等)等]等が挙げられる。
懸濁重合における分散安定剤としては、水溶性高分子[例えば、ポリビニルアルコール(重合度200〜5,000)、ポリビニルピロリドン(Mw2,000〜1,000,000)等]および水に難溶性の無機化合物(例えば、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム等)が挙げられる。
乳化剤の使用量は、(A)を構成するモノマーの合計重量に基づいて通常0.01〜15%、好ましくは0.5〜10%である。
また、分散安定剤の使用量は、(A)を構成するモノマーの合計重量に基づいて通常0.01〜15%、好ましくは0.1〜10%である。
【0031】
上記重合は、種々の重合開始剤〔アゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル等)]、パーオキシド(ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド等)等〕を使用して行なうことができる。
また、重合反応における系内温度は通常−5〜150℃、温度制御の容易さの観点から好ましくは30〜120℃、反応時間は通常0.1〜50時間、生産の容易さの観点から好ましくは2〜24時間である。反応の終点は、モノマー残留率(重量%)が通常5%以下、好ましくは1%以下となることをガスクロマトグラフィ等で測定すること等により確認できる。
【0032】
本発明における(A)の凝集力をさらに向上させるために、(A)中の、活性水素を含有する官能基(カルボキシル基、水酸基、アミノ基、メチロール基およびアミド基等)と反応する反応性官能基(イソシアネート、エポキシ、ヒドラジド、オキサゾリニルおよびアジリジニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基)を1分子中に2〜5個有する架橋剤(B)をさらに加えてもよい。
【0033】
(B)の官能基当たりの分子量は、粘着剤の凝集力の観点から好ましい下限は40、さらに好ましくは60、タックと粘着力の観点から好ましい上限はMn20,000、さらに好ましくは10,000、とくに好ましくは5,000である。
【0034】
(B)には、ポリ(2〜8)イソシアネート(B1)、ポリ(2〜8)エポキシド(B2)、ヒドラジド(B3)、オキサゾリン化合物(B4)およびアジリジン化合物(B5)が含まれる。
【0035】
ポリイソシアネート(以下PIと略記)(B1)としては、C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族PI、C4〜15の脂環式PI、C6〜20の芳香族PI、C8〜15の芳香脂肪族PI、およびこれらのPIの変性物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0036】
脂肪族PIとしては、ジイソシアネート(以下DIと略記)[エチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ドデカメチレンDI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等]、トリイソシアネート(以下TIと略記)[1,6,11−ウンデカンTI、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレンTIおよびリジンエステルTI(リジンとアルカノールアミンとの反応生成物のホスゲン化物)、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等]、および上記DIの、後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、テトラメチレンDIおよびHDIである。
【0037】
脂環式PIとしては、DI[イソホロンDI(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンDI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、ノルボルナンDI等]、TI[ビシクロヘプタンTI等]、および上記DIの、後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、IPDI、水添MDIおよび水添TDIである。
【0038】
芳香族PIとしては、DI〔トリレンDI(TDI)[2,4−および2,6−TDI並びにこれらの混合物]、ジフェニルメタンDI(MDI)[4,4’−および2,4’−MDIおよびこれらの混合物]、ナフチレンDI(NDI)等〕、2官能および3官能以上のPIの混合物[粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)等]、および上記DIの、後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、TDI、MDIおよびNDIである。
【0039】
芳香脂肪族PIとしては、DI[キシリレンDI(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)、ジイソシアナトエチルベンゼン等]、上記DIの後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、XDIおよびTMXDIである。
【0040】
上記PIの変性物としては、上記に例示したPIのNCO基の一部をカルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ウレア、ビュレット、イソシアヌレートおよび/またはウレタン基等に変性した化合物が挙げられる。
【0041】
上記PIの変性物のうち、ウレタン基変性物としては、過剰量の上記に例示したPIと、活性水素化合物とを反応させて得られるNCO末端ウレタンプレポリマー(遊離のPIが含まれる擬プレポリマーを含む)が挙げられる。
該活性水素化合物としては、低分子多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールおよび2〜3価のポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)等が挙げられる。
【0042】
低分子多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールとしては、2〜3価アルコール{脂肪族アルコール〔2価[C2〜20、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれEG、DEG、PG、BD、HG、MPD、NPGと略記)、1,9−ノナンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン]、3価[C3〜8、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン(以下それぞれGR、TMPと略記)]〕;脂環含有アルコール[C4〜20、例えば1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン];芳香環含有アルコール[C8〜15、例えばm−およびp−キシリレングリコール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン]等}および4価またはそれ以上の多価アルコール[C5〜10またはそれ以上、例えばペンタエリスリトール(以下PEと略記)、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、グルコース、フルクトース、ショ糖、ジペンタエリスリトール、ポリグリセリン(重合度2〜20)]が挙げられる。
2〜3価のポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)としては 上記低分子多価アルコールおよび/または多価フェノール(C6〜20、例えばカテコール、レゾルシノール、ビスフェノールA、−Sおよび−F、)にAO(C2〜4)を付加させて得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0043】
上記例示したPIはブロック剤でブロックされていてもよい。ブロック剤としては、例えばフェノール化合物(C6〜24、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、クロロフェノール、ニトロフェノール、チモール、モノ−、ジ−およびトリ−α−フェニルエチルフェノールおよびt−ブチルフェノール);
活性メチレン化合物[C4〜20、例えばアセト酢酸エステル(アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル等)、マロン酸ジエステル(マロン酸ジエチル、マロン酸エチルブチル、マロン酸エチルベンジル等)、アセチルアセトン、ベンズイミダゾールおよび1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン];
ラクタム(C4〜12、例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタム);
オキシム(C3〜12、例えばアセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、マルドオキシム、アセトアルドオキシム、ベンゾフェノンオキシムおよびジエチルグリオキシム);
アルコール(C1〜24、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、ジメチルエチニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、メチルジフェニルカルビノール、トリフェニルカルビノール、1−ニトロ−t−ブチルカルビノール、1−クロロ−t−ブチルカルビノールおよびトリフェニルシリノール);
2級芳香族アミン(C6〜20、例えばジフェニルアミン、o−、m−、p−ジトルイルアミン、N−ナフチルトルイジン、N−ナフチルキシリジン、フェニルα−ナフチルアミン、フェニルβ−ナフチルアミン、カルバゾール、2,2’−ジニトロジフェニルアミンおよび2,2’−ジクロロフェニルアミン);
メルカプト化合物(C1〜18、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ドデシルメルカプタン、エチル2−メルカプトチアゾール、2−メルカプト5−クロロベンゾチアゾール、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、フェニルメルカプタン、トルイルメルカプタン、エチルフェニルメルカプタンおよびエチニルジメチルチオカルビノール);
イミダゾール化合物(C3〜10、例えばイミダゾールおよび2−エチルイミダゾール);
酸アミド(C3〜50、例えばアセトアニリド、アクリルアミドおよびダイマー酸アミド);
酸イミド(C4〜10、例えばコハク酸イミド、フタル酸イミドおよびグルタル酸イミド);および重亜硫酸塩が挙げられる。
【0044】
該NCO末端ウレタンプレポリマーにおいて、PI中のNCO基と活性水素の当量比(NCO/活性水素当量比)は、通常1.1/1〜100/1、好ましくは2/1〜80/1、さらに好ましくは3/1〜60/1である。該ウレタンプレポリマー中のNCO含量は、通常3〜35重量%である。
【0045】
ポリエポキシド(B2)としては、グリシジル型ポリエポキシド(B21)(エポキシ当量80〜2,500)および非グリシジル型ポリエポキシド(B22)(エポキシ当量43〜10,000)が挙げられる。
(B21)としては、グリシジルエーテル〔多価フェノール(前記)のグリシジルエーテル(ビスフェノールAジ−、ビスフェノールFジ−およびピロガロールトリグリシジルエーテル等)、低分子多価アルコール(前記)のグリシジルエーテル(EG−、PG−およびNPGジグリシジルエーテル、TMP−およびGRトリグリシジルエーテル等)、ポリエーテルポリオール(前記)のグリシジルエーテル[ポリエチレングリコール(Mw200〜2,000)、ポリプロピレングリコール(Mw200〜2,000)およびビスフェノールAのAO1〜20モル付加物のジグリシジルエーテル等]〕;グリシジルエステル[ポリカルボン酸(n=2〜4またはそれ以上)のグリシジルエステル(アジピン酸、フタル酸およびダイマー酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等];グリシジルアミン〔1級アミン(前記)またはポリ(n=2〜4またはそれ以上)アミンのグリシジル化物[N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン]等が挙げられる。
【0046】
(B22)としては、脂肪族ポリエポキシド〔C4〜20、例えばエポキシ化(ポリ)アルカジエン[エポキシ化ブタジエン、エポキシ化ポリ(n=2〜4またはそれ以上)ブタジエン、エポキシ化油脂(エポキシ化大豆油等)等]等〕および脂環式ポリエポキシド(リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等)が挙げられる。
【0047】
ヒドラジド(B3)としては、ポリカルボン酸[C2〜15、例えば脂肪族(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸)、芳香族(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等]のジヒドラジド、アルキレン(C2〜6)ジヒドラジド(エチレン−1,2−およびプロピレン−1,3−ジヒドラジド等)等が挙げられる。
【0048】
オキサゾリン化合物(B4)としては、C3〜10、例えば2−オキサゾリン、およびその2−アルキル(C1〜4)置換体、例えば2−メチル−、2−エチル−2−、2−イソプロピル−2−および2−n−プロピル−2−オキサゾリンが挙げられる。
【0049】
アジリジン化合物(B5)としては、C10〜50、例えばポリ(n=2〜4またはそれ以上)アミンの誘導体[1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素等]、低分子多価アルコール(前記)のポリ(2−アジリジニルプロピオネート)[エチレンビス−(2−アジリジニルプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジ
ン等]が挙げられる。
【0050】
架橋剤(B)の使用量は、共重合体(A)中の活性水素原子と、該活性水素原子と反応性の(B)の官能基の当量比で表した場合、粘着剤の凝集力の観点から、好ましくは1/0.01〜1/2、さらに好ましくは1/0.02〜1/1となる量である。
【0051】
本発明の粘着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて粘着付与樹脂(C1)、可塑剤(C2)、紫外線吸収剤(C3)および酸化防止剤(C4)からなる群から選ばれる添加剤(C)の1種または2種以上をさらに加えることができる。
【0052】
粘着付与樹脂(C1)としては、例えばテルペン、テルペンフェノール、フェノール、芳香族炭化水素変性テルペン、ロジン、変性ロジン、合成石油(脂肪族、芳香族および脂環式合成石油樹脂等)、クマロン−インデン、キシレン、スチレン系およびジシクロペンタジエン樹脂、およびこれらの中で不飽和二重結合を有するものの水素添加物、並びにこれらの混合物が挙げられる。
(C1)の使用量は、(A)の重量に基づいて、通常100%以下、粘着剤の粘着力とタックの観点から好ましくは5〜50%である。
【0053】
可塑剤(C2)としては、炭化水素[C6以上かつMw100,000以下、例えばプロセスオイル、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレン、液状ポリイソプレン、流動パラフィン、パラフィンワックス、エチレンとα−オレフィン(C3〜20)の共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)、エチレンを除くα−オレフィン(C4〜20)とプロピレンの共重合(重量比99.9/0.1〜0.1/99.9)オリゴマー(Mw5,000〜100,000)等];塩素化パラフィン[塩素化ノルマルパラフィン(C8〜22)、塩素化分岐パラフィン(C20〜32)等];エステル[C8〜30、例えばフタル酸エステル(ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレート、ジイソノニルフタレート等)、アジピン酸エステル(ジオクチルアジペート等)、セバチン酸エステル(ジオクチルセバケート等)等];動植物油脂(エポキシ化油等);およびこれらの中で不飽和二重結合を有するものの水素添加物;並びにこれらの混合物等が挙げられる。
(C2)の使用量は、(A)の重量に基づいて、通常30%以下、皮膚刺激性および粘着剤の凝集力の観点から好ましくは2〜15%である。
【0054】
酸化防止剤(C3)としては、ヒンダードフェノール化合物〔2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t −ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等〕;硫黄化合物[ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)等];リン化合物[ハロゲンを有していてもよい有機ホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトおよびそれらのハロ置換体];ヒンダードアミン化合物[オクチルジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等];およびこれらの混合物等が挙げられる。
(C3)の使用量は、(A)の重量に基づいて、通常3%以下、添加効果および粘着剤の粘着力の観点から好ましくは0.01〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0055】
紫外線吸収剤(C4)としては、サリチル酸誘導体(サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル、サリチル酸−p−第三ブチルフェニル等);ベンゾフェノン化合物[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等];ベンゾトリアゾール化合物{2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−n−第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−第三アミルフェニル)ベンゾトリアゾ―ル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等};シアノアクリレート化合物(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’
−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等);およびこれらの混合物等が挙げられる。
(C4)の使用量は、(A)の重量に基づいて、通常3%以下、添加効果および粘着剤の粘着力の観点から好ましくは0.01〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0056】
(A)の重量に基づく(C)の合計使用量は、通常100%以下、添加効果および粘着剤の凝集力の観点から好ましくは0.01〜70%、さらに好ましくは0.1〜50%である。
【0057】
本発明の粘着剤は、(A)、および必要により(B)および/または(C)を、それぞれ別々に製造し、通常の混合装置(撹拌機を備えた混合槽、スタティックミキサー等)で均一に混合することにより製造できる。(C)は(A)の製造の段階(製造前の原料、製造途中の反応物または製造後の生成物)において加えてもよい。
【0058】
該粘着剤は、塗工上の観点から溶媒または分散媒を加えた溶液または、エマルションやデイスパージョン等の分散液形態の塗工液として使用されるのが好ましい。
溶媒としては、エステル(C2〜8、例えばギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール(C1〜8、例えばイソプロパノール)、炭化水素(C4〜8、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン)、ケトン(C3〜9、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)等が挙げられる。
溶媒の使用量は、塗工性の観点から、粘着剤固形分の重量に基づいて好ましくは5〜900%、さらに好ましくは10〜400%であり、溶液の固形分濃度としては、好ましくは10〜95%、さらに好ましくは20〜90%である。
溶液の粘度(25℃)は、塗工上の観点から好ましくは100〜50,000mPa・s、さらに好ましくは200〜30,000mPa・sである。
分散媒としては、水、アルコール(C1〜12、例えばエタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール)、エステル(C4〜10、例えば酢酸エチル、プロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられる。
分散媒の使用量、および分散液の粘度(25℃)は、上記溶液の場合と同様である。
【0059】
本発明の医療用の粘着テープまたはシートは、支持体の少なくとも片面の少なくとも一部に上記粘着剤を硬化させてなる粘着材の層を有してなり、該支持体に上記塗工液を塗工し、硬化させて得られる。
【0060】
該支持体としては、粘着材層を支持できるものであれば、支持体の材質は特に限定されない。例えば、不織布や織布(パルプ、マニラ麻、綿、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、スパン繊維、ウレタン繊維およびこれらの混合繊維からなるもの)、非透湿性フィルム(ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、ポリ塩化ビニル等からなるもの)、発泡体やポリウレタン等の透湿性フィルム、さらにこれらを機械的に穿孔処理したものが挙げられる。
ここにおいて、透湿性フィルムとは、皮膚への貼り付け時にムレや白化などを生じることのない、水蒸気透過性を有するフィルムを指す。例えば、ポリウレタン(ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン等)、ポリアミド(ポリエーテルポリアミドブロックポリマー等)、アクリルポリマー(ポリアクリレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体等)、ポリエステル(ポリエーテルポリエステル等)等のポリマーからなる単層フィルム、およびこれらのフィルムを積層した多層フィルム等が挙げられる。これらのうち、水蒸気透過性の観点から好ましいのはポリウレタン、ポリアミドからなる単層および多層フィルムである。
【0061】
塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ、ナイフコータ等が挙げられる。
【0062】
塗工液を支持体に塗工後、熱風(60〜150℃)、(近)赤外線、高周波等のエネルギーにより加熱(通常60〜150℃×90秒)して溶剤あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、該粘着剤中での反応を進行させ、さらに室温で3〜7日間程度または45℃で12〜72時間程度養生を行うことにより、該粘着剤を硬化させてなる粘着材を、支持体の少なくとも片面の少なくとも一部に有する医療用粘着テープまたは粘着シートを製造することができる。
あるいは、本発明の粘着剤を離型フィルム等に上記と同様に塗工した後、乾燥、硬化させて得られる粘着材を上記支持体に(加圧)転写する方法でも、該粘着テープまたは粘着シートを製造することができる。
乾燥・硬化後の粘着材の厚さは、通常5〜250μm、粘着材の粘着力および透湿性の観点から好ましくは10〜100μmである。
【0063】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は特記しない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
【0064】
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を備えた反応容器に、酢酸エチルを仕込み、75℃に昇温した。次いでn−ブチルアクリレート90部、2−エチルヘキシルアクリレート1部、アクリル酸1部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル[商品名「サニコールTG−1300M」、三洋化成工業(株)製]8部、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略記)0.1部を混合し均一混合液を得た。このモノマー混合液を、反応容器内に窒素ガスを通じながら、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合させた。滴下終了後2時間熟成させ、その後AIBN/酢酸エチル(0.3部/16部)溶液16.3部を滴下ロートを用いて、2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合させた。
さらに、沸点(約90℃)で重合を2時間継続させた後、希釈溶剤として酢酸エチル50部を加えて、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−1)の溶液を得た。該(A−1)の溶液の粘度(B型粘度計:25℃、以下同様)は8,530mPa・s、固形分濃度は46.4%、(A−1)のMw[GPC法(ポリスチレン換算)による。以下同じ。]は約85万であった。以下において該(A−1)の溶液はそのまま粘着剤塗工液(以下塗工液と略記)(T−1)とした。
【0065】
実施例2
実施例1において、n−ブチルアクリレート90部、2−エチルヘキシルアクリレート1部、アクリル酸1部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル8部に代えて、n−ブチルアクリレート70部、アクリル酸15部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル15部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−2)の溶液を得た。該(A−2)の溶液の粘度は7,320mPa・s、固形分濃度は45.8%、(A−2)のMwは約80万であった。以下において該(A−2)の溶液はそのまま塗工液(T−2)とした。
【0066】
実施例3
実施例1において、n−ブチルアクリレート90部、2−エチルヘキシルアクリレート1部、アクリル酸1部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル8部に代えて、n−ブチルアクリレート71部、2−エチルヘキシルアクリレート17部、アクリル酸2部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−3)の溶液を得た。該(A−3)の溶液の粘度は1,120mPa・s、固形分濃度は46.3%、(A−3)のMwは約30万であった。該(A−3)の溶液(固形分100部)に、さらに3官能イソシアネート系架橋剤[商品名「コロネートL」(固形分75%)、日本ポリウレタン(株)製]3部(固形分)を加えて塗工液(T−3)を得た。
【0067】
実施例4
実施例3において、2−エチルヘキシルアクリレート17部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、2−エチルヘキシルアクリレート21.5部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル5.5部を用いたこと以外は実施例3と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−4)の溶液を得た。該(A−4)の溶液の粘度は2,240mPa・s、固形分濃度は46.5%、(A−4)のMwは約40万であった。該(A−4)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL3部(固形分)を加えて塗工液(T−4)を得た。
【0068】
実施例5
実施例3において、2−エチルヘキシルアクリレート17部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、2−エチルヘキシルアクリレート7部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル20部を用
いたこと以外は実施例3と同様に行ない、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−5)の溶液を得た。該(A−5)の溶液の粘度は1,030mPa・s、固形分濃度は46.2%、(A−5)のMwは約25万であった。該(A−5)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL5部(固形分)を加えて塗工液(T−5)を得た。
【0069】
実施例6
実施例3において、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、ブトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部を用いたこと以外は実施例3と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−6)の溶液を得た。該(A−6)の溶液の粘度は2,200mPa・s、固形分濃度は46.3%、(A−6)のMwは約40万であった。該(A−6)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL5部(固形分)を加え塗工液(T−6)を得た。
【0070】
実施例7
実施例3において、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、メトキシ(n=13.4)ポリエチレングリコールメタアリルエーテル10部を用いたこと以外は実施例3と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−7)の溶液を得た。該(A−7)の溶液の粘度は1,930mPa・s、固形分濃度は46.7%、(A−7)のMwは約35万であった。該(A−7)の溶液(固形分100部)に、コロネートL5部(固形分)を加えて塗工液(T−7)を得た。
【0071】
実施例8
実施例3において、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、メトキシ(n=13.4)ポリテトラメチレングリコールアリルエーテル10部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−8)の溶液を得た。該(A−8)の溶液の粘度は1,780mPa・s、固形分濃度は47.0%、(A−8)のMwは約30万であった。該(A−8)の溶液(固形分100部)に、コロネートL5部(固形分)を加えて塗工液(T−8)を得た。
【0072】
実施例9
実施例3において、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、メトキシ(n=30)ポリエチレングリコールアリルエーテル10部を用いたこと以外は実施例3と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−9)の溶液を得た。該(A−9)の溶液の粘度は930mPa・s、固形分濃度は45.9%、(A−9)のMwは約20万であった。該(A−9)の溶液(固形分100部)に、コロネートL5部(固形分)を加えて塗工液(T−9)を得た。
【0073】
実施例10
実施例3において、n−ブチルアクリレート71部、2−エチルヘキシルアクリレート17部、アクリル酸2部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部に代えて、n−ブチルアクリレート55部、アクリル酸15部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル30部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、分子側鎖にポリエチレングリコール鎖、カルボキシル基を有する共重合体(A−10)の溶液を得た。該(A−10)の溶液の粘度は2530mPa・s、固形分濃度は46.7%、(A−10)のMwは約30万であった。該(A−10)の溶液(固形分100部)に、コロネートL5部(固形分)を加えて塗工液(T−10)を得た。
【0074】
比較例1
実施例1において、n−ブチルアクリレート90部、2−エチルヘキシルアクリレート1部、アクリル酸1部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル8部に代えて、n−ブチルアクリレート71部、2−エチルヘキシルアクリレート17部、アクリル酸2部を用い、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル10部を用いなかったこと以外は実施例1と同様に行い、比較の共重合体(比A−1)の溶液を得た。(比A−1)の溶液の粘度は4,520mPa・s、固形分濃度は47.1%、(比A−1)のMwは約50万であった。以下において該(比A−1)の溶液はそのまま塗工液(比T−1)とした。
【0075】
比較例2
比較例1において、n−ブチルアクリレート71部、2−エチルヘキシルアクリレート17部、アクリル酸2部に代えて、n−ブチルアクリレート99部、アクリル酸1部を用いたこと以外は比較例1と同様に行い、比較の共重合体(比A−2)の溶液を得た。(比A−2)の溶液の粘度は6,430mPa・s、固形分濃度は47.0%、(比A−2)のMwは約80万であった。以下において該(比A−2)の溶液はそのまま塗工液(比T−2)とした。
【0076】
比較例3
比較例1において、n−ブチルアクリレート71部、2−エチルヘキシルアクリレート17部、アクリル酸2部に代えて、n−ブチルアクリレート70部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、アクリル酸15部を用いたこと以外は比較例1と同様に行い、比較の共重合体(比A−3)の溶液を得た。(比A−3)の溶液の粘度は6,310mPa・s、固形分濃度は45.9%、(比A−3)のMwは約80万であった。以下において該(比A−3)の溶液はそのまま塗工液(比T−3)とした。
【0077】
比較例4
(比A−1)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL3部(固形分)を加えて塗工液(比T−4)を得た。
【0078】
比較例5
(比A−1)の溶液100部にポリエチレングリコール(Mw1,000)10部を混合し、比較の共重合体(比A−5)の溶液を得た。(比A−5)の粘度は3,030mPa・s、固形分濃度は46.5%であった。該(比A−5)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL5部(固形分)を加え、塗工液(比T−5)を得た。
【0079】
比較例6
(比A−1)の溶液100部にミリスチン酸イソプロピル10部を混合し、比較の共重合体(比A−6)の溶液を得た。該(比A−6)の溶液の粘度は3,240mPa・s、固形分濃度は46.7%であった。該(比A−6)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL5部(固形分)を加え、塗工液(比T−6)を得た。
【0080】
比較例7
実施例1において、n−ブチルアクリレート90部、2−エチルヘキシルアクリレート1部、アクリル酸1部、メトキシポリ(n=13.4)エチレングリコールアリルエーテル8部に代えて、n−ブチルアクリレート71部、2−エチルヘキシルアクリレート17部、アクリル酸2部、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマー[商品名「ブレンマーPME1000」、日本油脂(株)製、以下同じ。]10部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、比較の共重合体(比A−7)の溶液を得ようとしたが溶液がゲル化したため、後述の粘着テープの評価ができなかった。
【0081】
比較例8
比較例7において、2−エチルヘキシルアクリレート17部、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマー10部に代えて、2−エチルヘキシルアクリレート25部、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系モノマー2部を用いたこと以外は比較例7と同様に行い、比較の共重合体(比A−8)の溶液を得た。該(比A−8)の溶液の粘度は4,530mPa・s、固形分濃度は46.6%、(比A−8)のMwは約40万であった。該(比A−8)の溶液(固形分100部)に、さらにコロネートL5部(固形分)を加え、塗工液(比T−8)を得た。
【0082】
<粘着テープの作成>
下記の各性能評価方法に従って以下のとおり粘着テープを作製した。
(1)粘着力評価用粘着テープの作成
厚み25μmのポリエステルフィルム[商品名「ルミラー」タイプT、東レ(株)製、以下同じ。]上に、乾燥後の厚みが30μmとなるように上記で得られた塗工液を塗布し、ギアオーブンにて100℃、2分間乾燥した。乾燥後、厚み38μmのポリエステル製セパレーター[商品名「スーパステック」SP−PET38、リンテック(株)製、以下同じ。]にラミネートし、さらに50℃で3日間養生し、粘着テープを得た。
(2)透湿度、対皮膚密着性、対皮膚刺激性−1、対皮膚刺激性−2評価用粘着テープの作成
厚み38μmのポリエステル製セパレーター上に、乾燥後の厚みが30μmとなるように該塗工液を塗布し、ギアオーブンにて100℃、2分間乾燥した。乾燥後、厚み38μmの透湿性ウレタンシート(透湿度1,600g/m2・24h)にラミネートし、さらに50℃で3日間養生し、粘着テープを得た。
【0083】
<性能評価>
得られた各粘着テープについて、対ステンレス板粘着力、糊残り性、透湿度、対皮膚密着性、対皮膚刺激性を以下の方法により評価した。
粘着力測定装置としては引張試験機(オートグラフ)[(株)島津製作所製]を用い、引張速度300mm/分、引張角度180℃で、各3回測定し、平均値を求めた(測定条件:23℃、相対湿度50%RH)。結果を表1に示す。
【0084】
(1)粘着力、糊残り
ステンレス板(SUS304、以下同じ。)に貼り付け面積が幅20mm×長さ80mmとなるように粘着テープを貼り付け[2kg荷重のローラーで1往復、以下同じ]、貼り付け30分後のものについて、JIS−Z−0237に従い常温(23℃)での粘着力(単位:N/25mm)を評価した。また、剥離した際のステンレス板への糊残りの有無も評価した。
【0085】
(2)透湿度
内径60mmのSUS製秤量容器に塩化カルシウム40gを入れ、粘着テープの粘着剤塗布面が下になるように、該粘着テープを該秤量容器のフタとして固定し容器を密封した。これを40℃、相対湿度90%RHの恒温恒湿槽内に24時間静置し、塩化カルシウムを入れた秤量容器の重量増加量から面積1平方メートル、24時間当たりの透過水分量を算出し、粘着テープの透湿度(単位:g/m2・24h)とした。
【0086】
(3)対皮膚密着性
20mm×80mmの粘着テープを被着体(ボランティアの人の前腕前面上腕部、以下同じ。)に貼付し、24時間後の皮膚への貼付状況を以下の基準で評価した。
評価基準
○:はがれない
△:一部はがれる
×:はがれる
【0087】
(4)対皮膚刺激性−1
20mm×80mmの粘着テープを被着体に貼付し、24時間後に粘着テープをはがした際の皮膚刺激性を以下の基準で評価した。
○:痛くない
△:少し痛い
×:極めて痛い
【0088】
(5)対皮膚刺激性−2
上記(4)と同様にして、粘着テープをはがした際の皮膚の状態を以下の基準で評価した。
○:かぶれなし
△:一部かぶれあり
×:全面かぶれあり
【0089】
【表1】

【表2】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の医療用粘着テープまたはシートは、皮膚への密着性に優れ、優れた透湿性により皮膚のムレやカブレを引き起こすことがなく、剥離時の皮膚刺激性も極めて少ないことから、医療用(粘着包帯、絆創膏、サージカルテープ、創傷または外科用包帯、外科用ドレープ等)としてだけでなく、スポーツ用の粘着テープまたはシートとしても幅広く好適に使用することができ、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル(a1)、活性水素原子を含有しないエチレン性不飽和モノマー(a2)および活性水素原子含有エチレン性不飽和モノマー(a3)を構成単位としてなる共重合体(A)からなることを特徴とする医療用粘着剤。

2C=C(R1)−CH2−O−(AO)n−R2 (1)

(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、R1はHまたはメチル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、nは1〜30の数を表す。)
【請求項2】
(A)の重量に基づいて、(a1)が5〜50%、(a2)が30〜94.9%、(a3)が0.1〜20%である請求項1記載の粘着剤。
【請求項3】
さらに、活性水素原子と反応性の官能基を1分子中に2〜5個有する架橋剤(B)を含有させてなる請求項1または2記載の粘着剤。
【請求項4】
さらに、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤および酸化防止剤からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(C)を含有させてなる請求項1〜3のいずれか記載の粘着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の粘着剤を硬化させてなる粘着材。
【請求項6】
支持体の少なくとも片面の少なくとも一部に請求項5記載の粘着材の層を有する医療用の粘着テープまたはシート。

【公開番号】特開2008−246159(P2008−246159A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95131(P2007−95131)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】