医療用複室容器
【課題】確実に各収納部に収納されている薬剤を混合した後に患者に投与することを保証し、誤って薬剤を混合しないで患者に投与する事故を確実に防止し得る医療用複室容器を提供する。
【解決手段】第1及び第2収納部10,11と、両収納部10,11を仕切る仕切り用弱シール部20と、第2収納部11に接続された薬剤排出口32と、第2収納部と薬剤排出口32との間を仕切る排出用弱シール部21とを備え、両収納部10,11の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21は両収納部10,11内の圧力を高めることにより開封するとともに、排出用弱シール部21を開封するために必要な圧力が、仕切り用弱シール部20を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器1。
【解決手段】第1及び第2収納部10,11と、両収納部10,11を仕切る仕切り用弱シール部20と、第2収納部11に接続された薬剤排出口32と、第2収納部と薬剤排出口32との間を仕切る排出用弱シール部21とを備え、両収納部10,11の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21は両収納部10,11内の圧力を高めることにより開封するとともに、排出用弱シール部21を開封するために必要な圧力が、仕切り用弱シール部20を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用複室容器、詳しくは同時に配合すると経時変化を起こすような不安定な各種薬剤(液剤、粉末若しくは固形剤)を個別に収納する複数の室を備え、各室間を仕切っている弱シール部を剥離開封することにより、各室内に収納されている薬剤を無菌状態で且つ異物を発生させることなしに混合できる医療用複室容器に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈注射により患者に投与される薬剤の中には、予め配合すると望ましくない経時的変化を起こすような不安定な薬剤がある。例えばアミノ酸輸液とブドウ糖輸液を配合して保存しておくと、いわゆるメイラード反応によって混合液が褐変する。また、脂肪乳剤と電解質溶液とを配合して保存しておくと、脂肪分が凝集を生じたり、リン酸含有液とカルシウム含有液を配合しておくと、リン酸カルシウムの沈殿を生じ、望ましくない変化を起こす等である。
【0003】
このような薬剤には、混合前の成分を個別に収納する医療用複室容器が用いられることが多い。この医療用複室容器は、個別に収納する複数の収納部と、収納部を仕切っていて、外部から圧力を加えることにより剥離し得る仕切り用弱シール部とを備えたものである。
【0004】
図12はそのような従来の医療用複室容器の一例を示す平面図であり、図13は図12のX―X線断面図である。
【0005】
医療用複室容器の各収納部10,11には、予め混合或いは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bがそれぞれ収納され、これらの薬剤a,bは仕切り用弱シール部20により隔離された状態で使用時まで安全且つ確実に保存される。使用時には収納部10又は11を押圧すると仕切り用弱シール部20が剥離し、両収納部10,11内は連通状態となり、両薬剤a,bを速やかに混合或いは溶解できる。
【0006】
更に医療用複室容器は、一端に掛吊孔30を備え、他端にゴム栓を有する薬液排出口32を備える。患者に混合された薬剤を投与する際には、容器を掛吊孔30で支柱等に吊り下げた後、容器の一端に設けられたゴム栓に刺栓針を刺入しカテーテルの先端の注射針から患者に投与する。
【0007】
しかしながら、このような医療用複室容器は、薬液排出口32側の収納部11に液剤を収納している場合が多く、仕切り用弱シール部20を剥離せずに、ゴム栓に刺栓針を刺入し、薬液排出口32から液剤を取り出すという可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点を解消すべく、確実に各収納部に収納されている薬剤を混合した後に患者に投与することを保証し、薬剤を誤って混合しないで患者に投与する事故を確実に防止し得る医療用複室容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記課題は、複数の収納部と、該収納部を仕切る仕切り用弱シール部と、前記収納部に接続された薬剤排出口と、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部とを備え、前記複数の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器により達成される(第1発明)。
【0010】
容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料で形成され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱融着することにより形成され、前記排出用弱シール部の融着強度が、前記容器本体の周縁部の融着強度より小さく、且つ前記仕切り用弱シール部の融着強度より大きいことも可能である。
【0011】
或いは、本願発明の前記課題は、複数の収納部と、該収納部を仕切る仕切り用弱シール部と、前記収納部に接続された薬剤排出口と、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部とを備え、前記複数の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力と同等であることを特徴とする医療用複室容器によっても達成される(第2発明)。
【0012】
前記仕切り用弱シール部は、前記収納部に突出する少なくとも1つの突出部を備えるように形成されることも可能である。
【0013】
前記排出用弱シール部は、前記排出用弱シール部が前記薬剤排出口をその近傍で囲むように弧状に形成されるとともに、前記仕切り用弱シール部が、前記排出用弱シール部から収納部形成に必要な間隔をおいて該排出用シール部を囲むように弧状に形成されるようにすることも可能である。
【0014】
また、本発明の前記課題は、薬剤が収納され封止用弱シール部により封止された少なくとも1つの内容器と、前記内容器を収納するとともに該内容器の外側に薬剤を収納した外容器と、前記外容器に接続された薬剤排出口と、前記外容器における薬剤収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部とを備え、前記薬剤収納部及び内容器の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記封止用弱シール部及び排出用弱シール部は、それぞれ、前記内容器及び薬剤収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記封止用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器によっても達成される(第3発明)。
【0015】
さらに、本発明の前記課題は、薬剤が収納され封止用弱シール部により封止された複数の内容器と、前記複数の内容器を収納する外容器と、前記外容器に接続された薬剤排出口とを備え、前記複数の内容器の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記封止用弱シール部は、前記内容器内の圧力を高めることにより開封することを特徴とする医療用複室容器によっても達成される(第4発明)。
【発明の効果】
【0016】
以上から明らかなように、本発明(第1発明)の医療用複室容器によれば、仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部が収納部内の圧力を高めることにより開封する構造において、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きい構成とすることにより、仕切り用弱シール部が開封した後に、排出用弱シール部が開封し、混合後の薬剤を薬剤排出口より排出することが確実となる。
【0017】
容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料で形成され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱融着することにより形成され、両シール部の融着の際の加熱温度、圧力等の差を設け、排出用弱シール部の融着強度が、容器本体の周縁部の融着強度より小さく、且つ前記仕切り用弱シール部の融着強度より大きい構成とすることにより、混合後の薬剤を薬剤排出口より排出することが確実となる。
【0018】
また、本発明(第2発明)の医療用複室容器によれば、排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力と同等である構成とすることにより、仕切り用弱シール部と排出用弱シール部とを同一条件にて融着して形成することができるとともに、仕切り用弱シール部が開封する前に排出用弱シール部のみが開封されることを防止できる。
【0019】
また、本発明(第3発明)の医療用複室容器によれば、外容器の薬剤収納部に一の薬剤を収納した内容器を備えるとともに、排出用弱シール部によって薬剤収納部と薬剤排出口とが仕切られているため、例えば薬剤を混合する前に薬剤排出口に刺栓針を刺入し、薬剤を取り出そうとした場合であっても、混合前の薬剤が流れ出すのを防止することができる。また、排出用弱シール部の剥離に必要な圧力の強度が、内容器の封止用弱シール部よりも高くされているため、この複室容器内の圧力を高めたときに、排出用弱シール部に先立って、封止用弱シール部を剥離させることができる。その結果、混合後の薬剤のみを薬剤排出口から排出することができる。
【0020】
また、本発明(第4発明)の医療用複室容器によれば、混合する薬剤を内容器にそれぞれ収納し、これら内容器を外容器内に収納しているため、薬剤を混合する前に、誤って薬剤排出口が開口された場合であっても、混合前の薬剤が排出されるのを防止することができる。また、この複室容器では、予め薬剤が収納された内容器を準備し、これらを外容器内に収納することにより製造されるため、製造工程を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る医療用複室容器の第1実施形態の斜視図である。
【図2】図1の医療用複室容器の平面図である。
【図3】第1実施形態の医療用複室容器の他の例を示す平面図である。
【図4】第1実施形態の医療用複室容器の異なる例を示す平面図である。
【図5】第1実施形態の医療用複室容器のさらに他の例を示す平面図である。
【図6】第1実施形態の医療用複室容器のさらに異なる他の例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る医療用複室容器の第2実施形態を示す平面図である。
【図8】第2実施形態の仕切り用弱シール部における突出部の作用を説明する図である。
【図9】第2実施形態の医療用複室容器の他の例を示す平面図である。
【図10】本発明に係る医療用複室容器の第3実施形態を示す平面図である。
【図11】本発明に係る医療用複室容器の第4実施形態を示す平面図である。
【図12】従来の医療用複室容器の一例を示す平面図である。
【図13】図12のX―X線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る医療用複室容器の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、複数の実施形態を通じて、同一又は同種の部分に同一の符号を付す。
【0023】
(第1実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第1実施形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る医療用複室容器の第1実施形態の斜視図であり、図2は図1の医療用複室容器の平面図である。
【0024】
図1に示すように、医療用複室容器1は、周縁部2が融着され矩形状に形成された容器本体3と、この容器本体3の長手方向に並べて配置された第1収納部10及び第2収納部11と、2つの収納部10,11を仕切る剥離可能な仕切り用弱シール部20と、第2収納部11に接続されゴム栓31を有する薬剤排出口32と、第2収納部11と薬剤排出口32との間を仕切る剥離可能な排出用弱シール部21とを備える。また、各収納部10,11には、予め混合或いは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bがそれぞれ収納されている。
【0025】
医療用複室容器1は、2枚の平層又は複層のフィルムの周縁部を熱融着又は接着することにより形成される袋状の容器とすることができる。フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂等、種々の樹脂を採用することができる。
【0026】
仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21は、種々の態様により開封可能に形成される。例えば、医療用複室容器1を形成するフィルムの両側を熱融着によって接着し、仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21を形成することができる。排出用弱シール部21は、図1に示すように仕切り用弱シール部20と平行に形成されることも可能であるし、例えば図3に示すように薬剤排出口32の周囲に円弧状に形成されることも可能である。
【0027】
排出用弱シール部21を開封するために必要な圧力は、仕切り用弱シール部20を開封するために必要な圧力より大きいものとされる。これにより、各収納部を押圧して薬剤a,bを混合する際、仕切り用弱シール部20が排出用弱シール部21より先に開封するので、排出用弱シール部21のみが開封することを防止することができる。さらに、誤って薬剤を混合しないで患者に投与する事故を確実に防止し得る。好ましくは、排出用弱シール部21と仕切り用弱シール部20を剥離するために必要な開封強度差(医療用複室容器を押圧したときの重量)は、約5kg〜約10kgとされる。
【0028】
以上のように本実施形態によれば、排出用弱シール部21と仕切り用弱シール部20とを剥離するために必要な圧力を調整することにより、各収納部10,11に収納された薬剤a,bを混合する際には、仕切り用弱シール部20が剥離した後に、排出用弱シール部21が剥離させることが可能となる。
【0029】
即ち、排出用弱シール部21が剥離して患者への薬剤の投与が可能となる前に、各収納部内に収納された薬剤a,bの混合乃至溶解は終了している。よって、確実に混合された薬剤を薬剤排出口32より排出することが可能となる。
【0030】
排出用弱シール部21と仕切り用弱シール部20とを剥離するために必要な圧力を調整するために、種々の方法を用いることができる。例えば、容器本体をポリエチレン(PE)で形成することにより、排出用弱シール部21の融着強度が、容器本体の周縁部2の融着強度より小さく、且つ仕切り用弱シール部21の融着強度より大きいものとすることができる。
【0031】
このような融着強度の差を設けるには、例えば、排出用弱シール部21の加熱融着時間を、容器本体の周縁部2の加熱融着時間より短く、仕切り用弱シール部の加熱融着時間より長いものとする。或いは、排出用弱シール部の融着圧力を、容器本体の周縁部2の融着圧力より低く、仕切り用弱シール部の融着圧力より高い圧力で行うことにより、融着強度を調整することが可能である。
【0032】
このように複室容器の各部分における融着強度を調整することにより、排出用シール部21のみが先に開封されることを防止することができる。これにより、混合後の薬剤を薬剤排出口32より排出することが確実となる。この他、後述するように、各シール部20,21の幅を調整することによっても仕切り用弱シール部20を先に開封することができる。
【0033】
容器本体3の周縁部2は排出用弱シール部21より融着強度が高いものとされているので、排出用弱シール部21が開封した後においても容器本体3の周縁部2が開封することが防止され、収納部10,11より薬液が漏出することが防止される。
【0034】
或いは、排出用弱シール部21を剥離するために必要な圧力が、仕切り用弱シール部20を剥離するために必要な圧力と同等とされる構成でもよい。これにより、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21がほぼ同時に開封し、排出用弱シール部21のみが開封されることがないので、患者に投与前に各収納部の薬剤を確実に混合させることができる。
【0035】
また、このように仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21を開封するために必要な圧力をほぼ同等のものとすることにより、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21とを同一条件にて融着して形成することができるので、複室容器1の製造が容易である。特に、薬剤排出口32側の第2収納部11に粉末剤を収納し、第1収納部10に薬液を収納する複室容器においては、薬液排出口32から遠い側にある第1収納部10を押圧することになるので、仕切り用弱シール部20が開封して薬液と粉末剤とが必ず混合し、仕切り用弱シール部20が開封する前に排出用弱シール部21のみが開封することを未然に防ぐことができる。
【0036】
また、仕切り用弱シール部の形状は上記した直線状のもの以外に例えば曲線状にすることもできる。図4に示すように、この例では、排出用弱シール部21が薬剤排出口32を囲むように円弧状に形成されるとともに、その外側に仕切り用弱シール部20が排出用弱シール部21とほぼ同心の円弧状に形成されており、容器本体3内の上部に第1収納部10、下部に第2収納部21を形成している。各シール部20,21をこのように構成することでも上記と同様の効果を得ることができる。
【0037】
本実施形態では、2つの収納部10,11を容器本体3の長手方向に並べて配置しているが、例えば図5に示すように、長手方向を横切る方向に並べて配置してもよい。同図に示すように、この医療用複室容器1では、薬剤排出口32を囲むように逆V字形の排出用弱シール部21が設けられている。そして、この排出用弱シール部21の頂部から対向する周縁部2まで、排出用弱シール部21よりも狭い幅に形成された仕切り用弱シール部20が容器本体3の長手方向に延び、容器本体3の左側に第1収納部10、右側に第2収納部11を形成している。また、同図に示すように、排出用弱シール部21の頂部から容器本体3の側方の周縁部2に向けて排出用弱シール部21より幅広の案内用シール部22を形成するのが望ましい。このような案内用シール部22を設けると、仕切り用弱シール部20が剥離したときに、第1収納部10に収納された薬剤をすべて第2収納部11に流れ込むようにすることができる。
【0038】
この医療用複室容器1では、排出用弱シール部21の幅を、仕切り用弱シール部20の幅よりも広くすることにより、排出用弱シール部21の剥離強度を高め、仕切り用弱シール部20が排出用弱シール部21よりも先に剥離するようになっている。したがって、両弱シール部20,21における融着時間或いは融着圧力を同一にしたままで、両弱シール部20,21の剥離強度に差を設けることができるため、容器1の製造時間の短縮や製造コストの低減が可能になる。また、このようなシール部の剥離強度の強弱を設けるためには、シール部の幅を調整するだけでなく、上記した融着時間の調整等種々の方法をとることもできる。
【0039】
なお、案内用シール部22の幅は、上記したように排出用弱シール部21の幅よりも広くして容易に剥離しないようにしているが、案内用シール部22の剥離を確実に防止するため、例えば図6に示すように、案内用シール部22と周縁部2とで囲まれる部分を融着し、案内用シール部22を周縁部2と一体化させるようにしてもよい。
【0040】
(第2実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第2実施形態について図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は第2実施形態に係る医療用複室容器の平面図であり、図8の(a)は突出部の作用を説明する平面図、図8の(b)は図8(a)のA−A線断面図である。
【0041】
この第2実施形態が先に説明した第1実施形態と相違する主な点は、仕切り用弱シール部の剥離に必要な圧力を相対的に低くするための突出部が設けられている点である。
【0042】
図7に示すように、この医療用複室容器1では、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21とが同一の幅で形成されるとともに、同一の融着時間及び融着圧力で融着されている。また、仕切り用弱シール部20は、その中間にV字形に形成された突出部20aを備えており、以下に示すように、この突出部20aによって仕切り用弱シール部20を排出用弱シール部21より先に開封させることができる。
【0043】
図8(a)に示すように、収納部10,11内の圧力が高くなると、仕切り用弱シール部20には図中の矢印の方向に圧力が作用する。このとき、圧力はシール部20に対して垂直に且つ等しく作用するため、突出部20aの頂部B付近の領域に作用する総圧力は、シール部20の他の領域に比べて高くなる。こうして、図8(b)に示すように、この圧力は容器本体3を構成するフィルムを離間させる方向に作用し、収納部10,11内の圧力が高くなると、仕切り用弱シール部20は、突出部20aの頂部Bから剥離を開始する。これにより、圧力の作用下に剥離が急速に進行し、第1収納部10と第2収納部11とが連通して薬剤a,bが混合される。これに続いて、容器本体3をさらに押圧すると、排出用弱シール部21が剥離し薬剤排出口32から混合された薬剤が排出可能となる。
【0044】
以上のように、本実施形態では、排出用弱シール部20にV字形の突出部20aを設けているため、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21とが同一の幅で形成され、同一の融着温度及び融着圧力で融着されている場合であっても、収納部10,11に圧力を加えたときに突出部20aが最も早く剥離を開始し、排出用弱シール部21に先立って仕切り用弱シール部20を開封させることができる。その結果、両収納部10,11に収納された薬剤a,bの混合が確実に行われた後に、排出用弱シール部21を開封させることができ、混合した薬剤を薬剤排出口32から排出させることができる。
【0045】
また、この実施形態では、仕切り用弱シール部20の形状のみを変化させただけで、弱シール部20,21の剥離に必要な圧力を調整することができるため、両弱シール部20,21の融着時間等を調整する必要がなく、同一の条件で両弱シール部20,21を融着することができる。その結果、容器1の製造時間の短縮や製造コストの低減が可能になる。特に、仕切り用弱シール部10と排出用弱シール部11とが同一の幅で形成されているため、融着のムラをなくすることができ、両弱シール部10,11全体を均一に融着することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、収納部10,11を容器本体3の長手方向に並べた医療用複室容器1に突出部20aを形成しているが、この突出部20aは、例えば図9に示すように、収納部10,11を容器本体3の長手方向を横切る方向に並べた場合であっても適用できることは言うまでもない。また、突出部20aの数は、1つに限定されるものではなく、同図に示すように、複数設けたり、或いはV字形の頂部の向く方向を変更してもよい。
【0047】
また、突出部の形状はV字形に限定されるものではなく、圧力が集中しやすい突部を備えた形状であればよい。
【0048】
(第3実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第3実施形態について図10を参照しつつ説明する。図10は第3実施形態に係る医療用複室容器の平面図である。
【0049】
本実施形態に係る医療用複室容器は、仕切り用弱シール部を設けず、混合する薬剤のうち少なくとも1つが収納された袋状の内容器を容器本体内に備えている点が、第1実施形態と相違している。
【0050】
図10に示すように、この医療用複室容器1は、薬剤排出口32を囲む円弧状の排出用弱シール部21が設けられ、このシール部21により外容器としての容器本体4の周縁部2によって囲まれる薬剤収納部12と、薬剤排出口32とが仕切られている。薬剤収納部12には、混合する2種類の薬剤のうち一方の薬剤aが直接収納されるとともに、袋状に形成された内容器13が収納されている。内容器13は、2枚のフィルムを重ねてその周縁部を融着してなる封止用弱シール部23を備え、その内部にもう一方の薬剤bが収納されている。封止用弱シール部23は、排出用弱シール部21より低い融着強度で融着されており、低い圧力で剥離するように構成されている。
【0051】
そして、薬剤を混合する際に、容器本体4を押圧すると、その内部に収納されている内容器13にも圧力が作用し、内容器13内の圧力が高まる。これにより封止用弱シール部23が排出用弱シール部21より先に剥離して、内容器13に収納されていた薬剤bが容器本体4の薬剤収納部12に拡散し、この中で薬剤aと混合される。その後、薬剤排出口32に刺栓針を刺入すると、混合された薬剤を排出することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、排出用弱シール部21によって薬剤収納部12と薬剤排出口32とが仕切られているため、薬剤を混合する前に誤って薬剤排出口32を開口した場合であっても、混合前の薬剤が流れ出すのを防止することができる。また、排出用弱シール部21の剥離に必要な圧力が、封止用弱シール部23よりも高くされているため、容器本体4を押圧したとき、排出用弱シール部21に先立って、封止用弱シール部23を剥離させることができる。その結果、排出用弱シール部21が剥離したときには、封止用弱シール部23は既に剥離して薬剤が混合された状態になっているため、混合された薬剤のみを薬剤排出口32から排出することができる。さらに、上記した第1または第2実施形態のように、仕切り用弱シール部20を設ける必要がないため、製造工程を簡素化することができる。
【0053】
本実施形態では、内容器13の周縁部を封止用弱シール部23としているが、これに限定されるものではなく、例えば内容器13の一部のみに開口部を設け、この開口部を封止するように封止用弱シール部を設けてもよい。
【0054】
(第4実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第4実施形態について図11を参照しつつ説明する。図11は第4実施形態に係る医療用複室容器の平面図である。
【0055】
本実施形態に係る医療用複室容器では、排出用弱シール部及び仕切り用弱シール部を設けず、混合する薬剤が収納された内容器を容器本体内に備えている点が、第1実施形態と相違している。
【0056】
図11に示すように、この医療用複室容器1は、外容器としての容器本体4の周縁部2によって囲まれる収納部14に、混合する薬剤a,bをそれぞれ収納した袋状の2つの内容器15,16が収納されている。この内容器15,16は、2枚のフィルムを重ねてその周縁部を融着してなる封止用弱シール部23をそれぞれ備え、その内部に薬剤a,bを収納している。各内容器15,16は矩形状に形成され、各内容器15,16の封止用弱シール部23は、ほぼ同一の強度で融着されている。
【0057】
そして、薬剤を混合する際に、容器本体4を押圧すると、その内部に収納されている内容器15,16にも押圧力が作用し、各内容器15,16内の圧力が高まる。このようにして容器本体4を押圧すると、各封止用弱シール部23がほぼ同時に剥離して、各内容器15,16に収納されていた薬剤a,bが容器本体4の収納部14に拡散し、2つの薬剤a,bが混合される。これに続いて、薬剤排出口32に刺栓針を刺入すると、混合された薬剤を排出することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、混合する各薬剤a,bを内容器15,16にそれぞれ収納し、これら内容器15,16を容器本体4内に収納しているため、容器本体4を押圧する前に、誤って薬剤排出口32を開口した場合であっても、薬剤が排出されるのを防止することができる。また、この容器1は、予め薬剤が収納された内容器15,16を準備し、これらを容器本体4に収納することにより製造されるため、上記した第1ないし第3実施形態のように、仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21を設ける必要がなく、製造工程を簡素化することができる。
【0059】
なお、封止用弱シール部23は、上記第3実施形態と同様に、内容器15,16の一部のみに開口部を設け、この開口部を封止するように設けてもよい。
【0060】
上記各実施形態の医療用複室容器では、2種類の薬剤を混合可能に構成されているが、これに限定されるものではなく、2以上の収納部、或いは、2以上の内容器を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 医療用複室容器
2 周縁部
3 容器本体
4 容器本体(外容器)
10,11 収納部
12 薬剤収納部
13,15,16 内容器
20 仕切り用弱シール部
20a 突出部
21 排出用弱シール部
23 封止用弱シール部
32 薬剤排出口
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用複室容器、詳しくは同時に配合すると経時変化を起こすような不安定な各種薬剤(液剤、粉末若しくは固形剤)を個別に収納する複数の室を備え、各室間を仕切っている弱シール部を剥離開封することにより、各室内に収納されている薬剤を無菌状態で且つ異物を発生させることなしに混合できる医療用複室容器に関する。
【背景技術】
【0002】
静脈注射により患者に投与される薬剤の中には、予め配合すると望ましくない経時的変化を起こすような不安定な薬剤がある。例えばアミノ酸輸液とブドウ糖輸液を配合して保存しておくと、いわゆるメイラード反応によって混合液が褐変する。また、脂肪乳剤と電解質溶液とを配合して保存しておくと、脂肪分が凝集を生じたり、リン酸含有液とカルシウム含有液を配合しておくと、リン酸カルシウムの沈殿を生じ、望ましくない変化を起こす等である。
【0003】
このような薬剤には、混合前の成分を個別に収納する医療用複室容器が用いられることが多い。この医療用複室容器は、個別に収納する複数の収納部と、収納部を仕切っていて、外部から圧力を加えることにより剥離し得る仕切り用弱シール部とを備えたものである。
【0004】
図12はそのような従来の医療用複室容器の一例を示す平面図であり、図13は図12のX―X線断面図である。
【0005】
医療用複室容器の各収納部10,11には、予め混合或いは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bがそれぞれ収納され、これらの薬剤a,bは仕切り用弱シール部20により隔離された状態で使用時まで安全且つ確実に保存される。使用時には収納部10又は11を押圧すると仕切り用弱シール部20が剥離し、両収納部10,11内は連通状態となり、両薬剤a,bを速やかに混合或いは溶解できる。
【0006】
更に医療用複室容器は、一端に掛吊孔30を備え、他端にゴム栓を有する薬液排出口32を備える。患者に混合された薬剤を投与する際には、容器を掛吊孔30で支柱等に吊り下げた後、容器の一端に設けられたゴム栓に刺栓針を刺入しカテーテルの先端の注射針から患者に投与する。
【0007】
しかしながら、このような医療用複室容器は、薬液排出口32側の収納部11に液剤を収納している場合が多く、仕切り用弱シール部20を剥離せずに、ゴム栓に刺栓針を刺入し、薬液排出口32から液剤を取り出すという可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点を解消すべく、確実に各収納部に収納されている薬剤を混合した後に患者に投与することを保証し、薬剤を誤って混合しないで患者に投与する事故を確実に防止し得る医療用複室容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記課題は、複数の収納部と、該収納部を仕切る仕切り用弱シール部と、前記収納部に接続された薬剤排出口と、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部とを備え、前記複数の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器により達成される(第1発明)。
【0010】
容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料で形成され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱融着することにより形成され、前記排出用弱シール部の融着強度が、前記容器本体の周縁部の融着強度より小さく、且つ前記仕切り用弱シール部の融着強度より大きいことも可能である。
【0011】
或いは、本願発明の前記課題は、複数の収納部と、該収納部を仕切る仕切り用弱シール部と、前記収納部に接続された薬剤排出口と、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部とを備え、前記複数の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力と同等であることを特徴とする医療用複室容器によっても達成される(第2発明)。
【0012】
前記仕切り用弱シール部は、前記収納部に突出する少なくとも1つの突出部を備えるように形成されることも可能である。
【0013】
前記排出用弱シール部は、前記排出用弱シール部が前記薬剤排出口をその近傍で囲むように弧状に形成されるとともに、前記仕切り用弱シール部が、前記排出用弱シール部から収納部形成に必要な間隔をおいて該排出用シール部を囲むように弧状に形成されるようにすることも可能である。
【0014】
また、本発明の前記課題は、薬剤が収納され封止用弱シール部により封止された少なくとも1つの内容器と、前記内容器を収納するとともに該内容器の外側に薬剤を収納した外容器と、前記外容器に接続された薬剤排出口と、前記外容器における薬剤収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部とを備え、前記薬剤収納部及び内容器の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記封止用弱シール部及び排出用弱シール部は、それぞれ、前記内容器及び薬剤収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記封止用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器によっても達成される(第3発明)。
【0015】
さらに、本発明の前記課題は、薬剤が収納され封止用弱シール部により封止された複数の内容器と、前記複数の内容器を収納する外容器と、前記外容器に接続された薬剤排出口とを備え、前記複数の内容器の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記封止用弱シール部は、前記内容器内の圧力を高めることにより開封することを特徴とする医療用複室容器によっても達成される(第4発明)。
【発明の効果】
【0016】
以上から明らかなように、本発明(第1発明)の医療用複室容器によれば、仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部が収納部内の圧力を高めることにより開封する構造において、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きい構成とすることにより、仕切り用弱シール部が開封した後に、排出用弱シール部が開封し、混合後の薬剤を薬剤排出口より排出することが確実となる。
【0017】
容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料で形成され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱融着することにより形成され、両シール部の融着の際の加熱温度、圧力等の差を設け、排出用弱シール部の融着強度が、容器本体の周縁部の融着強度より小さく、且つ前記仕切り用弱シール部の融着強度より大きい構成とすることにより、混合後の薬剤を薬剤排出口より排出することが確実となる。
【0018】
また、本発明(第2発明)の医療用複室容器によれば、排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力と同等である構成とすることにより、仕切り用弱シール部と排出用弱シール部とを同一条件にて融着して形成することができるとともに、仕切り用弱シール部が開封する前に排出用弱シール部のみが開封されることを防止できる。
【0019】
また、本発明(第3発明)の医療用複室容器によれば、外容器の薬剤収納部に一の薬剤を収納した内容器を備えるとともに、排出用弱シール部によって薬剤収納部と薬剤排出口とが仕切られているため、例えば薬剤を混合する前に薬剤排出口に刺栓針を刺入し、薬剤を取り出そうとした場合であっても、混合前の薬剤が流れ出すのを防止することができる。また、排出用弱シール部の剥離に必要な圧力の強度が、内容器の封止用弱シール部よりも高くされているため、この複室容器内の圧力を高めたときに、排出用弱シール部に先立って、封止用弱シール部を剥離させることができる。その結果、混合後の薬剤のみを薬剤排出口から排出することができる。
【0020】
また、本発明(第4発明)の医療用複室容器によれば、混合する薬剤を内容器にそれぞれ収納し、これら内容器を外容器内に収納しているため、薬剤を混合する前に、誤って薬剤排出口が開口された場合であっても、混合前の薬剤が排出されるのを防止することができる。また、この複室容器では、予め薬剤が収納された内容器を準備し、これらを外容器内に収納することにより製造されるため、製造工程を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る医療用複室容器の第1実施形態の斜視図である。
【図2】図1の医療用複室容器の平面図である。
【図3】第1実施形態の医療用複室容器の他の例を示す平面図である。
【図4】第1実施形態の医療用複室容器の異なる例を示す平面図である。
【図5】第1実施形態の医療用複室容器のさらに他の例を示す平面図である。
【図6】第1実施形態の医療用複室容器のさらに異なる他の例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る医療用複室容器の第2実施形態を示す平面図である。
【図8】第2実施形態の仕切り用弱シール部における突出部の作用を説明する図である。
【図9】第2実施形態の医療用複室容器の他の例を示す平面図である。
【図10】本発明に係る医療用複室容器の第3実施形態を示す平面図である。
【図11】本発明に係る医療用複室容器の第4実施形態を示す平面図である。
【図12】従来の医療用複室容器の一例を示す平面図である。
【図13】図12のX―X線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る医療用複室容器の実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、複数の実施形態を通じて、同一又は同種の部分に同一の符号を付す。
【0023】
(第1実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第1実施形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る医療用複室容器の第1実施形態の斜視図であり、図2は図1の医療用複室容器の平面図である。
【0024】
図1に示すように、医療用複室容器1は、周縁部2が融着され矩形状に形成された容器本体3と、この容器本体3の長手方向に並べて配置された第1収納部10及び第2収納部11と、2つの収納部10,11を仕切る剥離可能な仕切り用弱シール部20と、第2収納部11に接続されゴム栓31を有する薬剤排出口32と、第2収納部11と薬剤排出口32との間を仕切る剥離可能な排出用弱シール部21とを備える。また、各収納部10,11には、予め混合或いは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bがそれぞれ収納されている。
【0025】
医療用複室容器1は、2枚の平層又は複層のフィルムの周縁部を熱融着又は接着することにより形成される袋状の容器とすることができる。フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂等、種々の樹脂を採用することができる。
【0026】
仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21は、種々の態様により開封可能に形成される。例えば、医療用複室容器1を形成するフィルムの両側を熱融着によって接着し、仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21を形成することができる。排出用弱シール部21は、図1に示すように仕切り用弱シール部20と平行に形成されることも可能であるし、例えば図3に示すように薬剤排出口32の周囲に円弧状に形成されることも可能である。
【0027】
排出用弱シール部21を開封するために必要な圧力は、仕切り用弱シール部20を開封するために必要な圧力より大きいものとされる。これにより、各収納部を押圧して薬剤a,bを混合する際、仕切り用弱シール部20が排出用弱シール部21より先に開封するので、排出用弱シール部21のみが開封することを防止することができる。さらに、誤って薬剤を混合しないで患者に投与する事故を確実に防止し得る。好ましくは、排出用弱シール部21と仕切り用弱シール部20を剥離するために必要な開封強度差(医療用複室容器を押圧したときの重量)は、約5kg〜約10kgとされる。
【0028】
以上のように本実施形態によれば、排出用弱シール部21と仕切り用弱シール部20とを剥離するために必要な圧力を調整することにより、各収納部10,11に収納された薬剤a,bを混合する際には、仕切り用弱シール部20が剥離した後に、排出用弱シール部21が剥離させることが可能となる。
【0029】
即ち、排出用弱シール部21が剥離して患者への薬剤の投与が可能となる前に、各収納部内に収納された薬剤a,bの混合乃至溶解は終了している。よって、確実に混合された薬剤を薬剤排出口32より排出することが可能となる。
【0030】
排出用弱シール部21と仕切り用弱シール部20とを剥離するために必要な圧力を調整するために、種々の方法を用いることができる。例えば、容器本体をポリエチレン(PE)で形成することにより、排出用弱シール部21の融着強度が、容器本体の周縁部2の融着強度より小さく、且つ仕切り用弱シール部21の融着強度より大きいものとすることができる。
【0031】
このような融着強度の差を設けるには、例えば、排出用弱シール部21の加熱融着時間を、容器本体の周縁部2の加熱融着時間より短く、仕切り用弱シール部の加熱融着時間より長いものとする。或いは、排出用弱シール部の融着圧力を、容器本体の周縁部2の融着圧力より低く、仕切り用弱シール部の融着圧力より高い圧力で行うことにより、融着強度を調整することが可能である。
【0032】
このように複室容器の各部分における融着強度を調整することにより、排出用シール部21のみが先に開封されることを防止することができる。これにより、混合後の薬剤を薬剤排出口32より排出することが確実となる。この他、後述するように、各シール部20,21の幅を調整することによっても仕切り用弱シール部20を先に開封することができる。
【0033】
容器本体3の周縁部2は排出用弱シール部21より融着強度が高いものとされているので、排出用弱シール部21が開封した後においても容器本体3の周縁部2が開封することが防止され、収納部10,11より薬液が漏出することが防止される。
【0034】
或いは、排出用弱シール部21を剥離するために必要な圧力が、仕切り用弱シール部20を剥離するために必要な圧力と同等とされる構成でもよい。これにより、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21がほぼ同時に開封し、排出用弱シール部21のみが開封されることがないので、患者に投与前に各収納部の薬剤を確実に混合させることができる。
【0035】
また、このように仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21を開封するために必要な圧力をほぼ同等のものとすることにより、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21とを同一条件にて融着して形成することができるので、複室容器1の製造が容易である。特に、薬剤排出口32側の第2収納部11に粉末剤を収納し、第1収納部10に薬液を収納する複室容器においては、薬液排出口32から遠い側にある第1収納部10を押圧することになるので、仕切り用弱シール部20が開封して薬液と粉末剤とが必ず混合し、仕切り用弱シール部20が開封する前に排出用弱シール部21のみが開封することを未然に防ぐことができる。
【0036】
また、仕切り用弱シール部の形状は上記した直線状のもの以外に例えば曲線状にすることもできる。図4に示すように、この例では、排出用弱シール部21が薬剤排出口32を囲むように円弧状に形成されるとともに、その外側に仕切り用弱シール部20が排出用弱シール部21とほぼ同心の円弧状に形成されており、容器本体3内の上部に第1収納部10、下部に第2収納部21を形成している。各シール部20,21をこのように構成することでも上記と同様の効果を得ることができる。
【0037】
本実施形態では、2つの収納部10,11を容器本体3の長手方向に並べて配置しているが、例えば図5に示すように、長手方向を横切る方向に並べて配置してもよい。同図に示すように、この医療用複室容器1では、薬剤排出口32を囲むように逆V字形の排出用弱シール部21が設けられている。そして、この排出用弱シール部21の頂部から対向する周縁部2まで、排出用弱シール部21よりも狭い幅に形成された仕切り用弱シール部20が容器本体3の長手方向に延び、容器本体3の左側に第1収納部10、右側に第2収納部11を形成している。また、同図に示すように、排出用弱シール部21の頂部から容器本体3の側方の周縁部2に向けて排出用弱シール部21より幅広の案内用シール部22を形成するのが望ましい。このような案内用シール部22を設けると、仕切り用弱シール部20が剥離したときに、第1収納部10に収納された薬剤をすべて第2収納部11に流れ込むようにすることができる。
【0038】
この医療用複室容器1では、排出用弱シール部21の幅を、仕切り用弱シール部20の幅よりも広くすることにより、排出用弱シール部21の剥離強度を高め、仕切り用弱シール部20が排出用弱シール部21よりも先に剥離するようになっている。したがって、両弱シール部20,21における融着時間或いは融着圧力を同一にしたままで、両弱シール部20,21の剥離強度に差を設けることができるため、容器1の製造時間の短縮や製造コストの低減が可能になる。また、このようなシール部の剥離強度の強弱を設けるためには、シール部の幅を調整するだけでなく、上記した融着時間の調整等種々の方法をとることもできる。
【0039】
なお、案内用シール部22の幅は、上記したように排出用弱シール部21の幅よりも広くして容易に剥離しないようにしているが、案内用シール部22の剥離を確実に防止するため、例えば図6に示すように、案内用シール部22と周縁部2とで囲まれる部分を融着し、案内用シール部22を周縁部2と一体化させるようにしてもよい。
【0040】
(第2実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第2実施形態について図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は第2実施形態に係る医療用複室容器の平面図であり、図8の(a)は突出部の作用を説明する平面図、図8の(b)は図8(a)のA−A線断面図である。
【0041】
この第2実施形態が先に説明した第1実施形態と相違する主な点は、仕切り用弱シール部の剥離に必要な圧力を相対的に低くするための突出部が設けられている点である。
【0042】
図7に示すように、この医療用複室容器1では、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21とが同一の幅で形成されるとともに、同一の融着時間及び融着圧力で融着されている。また、仕切り用弱シール部20は、その中間にV字形に形成された突出部20aを備えており、以下に示すように、この突出部20aによって仕切り用弱シール部20を排出用弱シール部21より先に開封させることができる。
【0043】
図8(a)に示すように、収納部10,11内の圧力が高くなると、仕切り用弱シール部20には図中の矢印の方向に圧力が作用する。このとき、圧力はシール部20に対して垂直に且つ等しく作用するため、突出部20aの頂部B付近の領域に作用する総圧力は、シール部20の他の領域に比べて高くなる。こうして、図8(b)に示すように、この圧力は容器本体3を構成するフィルムを離間させる方向に作用し、収納部10,11内の圧力が高くなると、仕切り用弱シール部20は、突出部20aの頂部Bから剥離を開始する。これにより、圧力の作用下に剥離が急速に進行し、第1収納部10と第2収納部11とが連通して薬剤a,bが混合される。これに続いて、容器本体3をさらに押圧すると、排出用弱シール部21が剥離し薬剤排出口32から混合された薬剤が排出可能となる。
【0044】
以上のように、本実施形態では、排出用弱シール部20にV字形の突出部20aを設けているため、仕切り用弱シール部20と排出用弱シール部21とが同一の幅で形成され、同一の融着温度及び融着圧力で融着されている場合であっても、収納部10,11に圧力を加えたときに突出部20aが最も早く剥離を開始し、排出用弱シール部21に先立って仕切り用弱シール部20を開封させることができる。その結果、両収納部10,11に収納された薬剤a,bの混合が確実に行われた後に、排出用弱シール部21を開封させることができ、混合した薬剤を薬剤排出口32から排出させることができる。
【0045】
また、この実施形態では、仕切り用弱シール部20の形状のみを変化させただけで、弱シール部20,21の剥離に必要な圧力を調整することができるため、両弱シール部20,21の融着時間等を調整する必要がなく、同一の条件で両弱シール部20,21を融着することができる。その結果、容器1の製造時間の短縮や製造コストの低減が可能になる。特に、仕切り用弱シール部10と排出用弱シール部11とが同一の幅で形成されているため、融着のムラをなくすることができ、両弱シール部10,11全体を均一に融着することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、収納部10,11を容器本体3の長手方向に並べた医療用複室容器1に突出部20aを形成しているが、この突出部20aは、例えば図9に示すように、収納部10,11を容器本体3の長手方向を横切る方向に並べた場合であっても適用できることは言うまでもない。また、突出部20aの数は、1つに限定されるものではなく、同図に示すように、複数設けたり、或いはV字形の頂部の向く方向を変更してもよい。
【0047】
また、突出部の形状はV字形に限定されるものではなく、圧力が集中しやすい突部を備えた形状であればよい。
【0048】
(第3実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第3実施形態について図10を参照しつつ説明する。図10は第3実施形態に係る医療用複室容器の平面図である。
【0049】
本実施形態に係る医療用複室容器は、仕切り用弱シール部を設けず、混合する薬剤のうち少なくとも1つが収納された袋状の内容器を容器本体内に備えている点が、第1実施形態と相違している。
【0050】
図10に示すように、この医療用複室容器1は、薬剤排出口32を囲む円弧状の排出用弱シール部21が設けられ、このシール部21により外容器としての容器本体4の周縁部2によって囲まれる薬剤収納部12と、薬剤排出口32とが仕切られている。薬剤収納部12には、混合する2種類の薬剤のうち一方の薬剤aが直接収納されるとともに、袋状に形成された内容器13が収納されている。内容器13は、2枚のフィルムを重ねてその周縁部を融着してなる封止用弱シール部23を備え、その内部にもう一方の薬剤bが収納されている。封止用弱シール部23は、排出用弱シール部21より低い融着強度で融着されており、低い圧力で剥離するように構成されている。
【0051】
そして、薬剤を混合する際に、容器本体4を押圧すると、その内部に収納されている内容器13にも圧力が作用し、内容器13内の圧力が高まる。これにより封止用弱シール部23が排出用弱シール部21より先に剥離して、内容器13に収納されていた薬剤bが容器本体4の薬剤収納部12に拡散し、この中で薬剤aと混合される。その後、薬剤排出口32に刺栓針を刺入すると、混合された薬剤を排出することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、排出用弱シール部21によって薬剤収納部12と薬剤排出口32とが仕切られているため、薬剤を混合する前に誤って薬剤排出口32を開口した場合であっても、混合前の薬剤が流れ出すのを防止することができる。また、排出用弱シール部21の剥離に必要な圧力が、封止用弱シール部23よりも高くされているため、容器本体4を押圧したとき、排出用弱シール部21に先立って、封止用弱シール部23を剥離させることができる。その結果、排出用弱シール部21が剥離したときには、封止用弱シール部23は既に剥離して薬剤が混合された状態になっているため、混合された薬剤のみを薬剤排出口32から排出することができる。さらに、上記した第1または第2実施形態のように、仕切り用弱シール部20を設ける必要がないため、製造工程を簡素化することができる。
【0053】
本実施形態では、内容器13の周縁部を封止用弱シール部23としているが、これに限定されるものではなく、例えば内容器13の一部のみに開口部を設け、この開口部を封止するように封止用弱シール部を設けてもよい。
【0054】
(第4実施形態)本発明に係る医療用複室容器の第4実施形態について図11を参照しつつ説明する。図11は第4実施形態に係る医療用複室容器の平面図である。
【0055】
本実施形態に係る医療用複室容器では、排出用弱シール部及び仕切り用弱シール部を設けず、混合する薬剤が収納された内容器を容器本体内に備えている点が、第1実施形態と相違している。
【0056】
図11に示すように、この医療用複室容器1は、外容器としての容器本体4の周縁部2によって囲まれる収納部14に、混合する薬剤a,bをそれぞれ収納した袋状の2つの内容器15,16が収納されている。この内容器15,16は、2枚のフィルムを重ねてその周縁部を融着してなる封止用弱シール部23をそれぞれ備え、その内部に薬剤a,bを収納している。各内容器15,16は矩形状に形成され、各内容器15,16の封止用弱シール部23は、ほぼ同一の強度で融着されている。
【0057】
そして、薬剤を混合する際に、容器本体4を押圧すると、その内部に収納されている内容器15,16にも押圧力が作用し、各内容器15,16内の圧力が高まる。このようにして容器本体4を押圧すると、各封止用弱シール部23がほぼ同時に剥離して、各内容器15,16に収納されていた薬剤a,bが容器本体4の収納部14に拡散し、2つの薬剤a,bが混合される。これに続いて、薬剤排出口32に刺栓針を刺入すると、混合された薬剤を排出することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、混合する各薬剤a,bを内容器15,16にそれぞれ収納し、これら内容器15,16を容器本体4内に収納しているため、容器本体4を押圧する前に、誤って薬剤排出口32を開口した場合であっても、薬剤が排出されるのを防止することができる。また、この容器1は、予め薬剤が収納された内容器15,16を準備し、これらを容器本体4に収納することにより製造されるため、上記した第1ないし第3実施形態のように、仕切り用弱シール部20及び排出用弱シール部21を設ける必要がなく、製造工程を簡素化することができる。
【0059】
なお、封止用弱シール部23は、上記第3実施形態と同様に、内容器15,16の一部のみに開口部を設け、この開口部を封止するように設けてもよい。
【0060】
上記各実施形態の医療用複室容器では、2種類の薬剤を混合可能に構成されているが、これに限定されるものではなく、2以上の収納部、或いは、2以上の内容器を備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 医療用複室容器
2 周縁部
3 容器本体
4 容器本体(外容器)
10,11 収納部
12 薬剤収納部
13,15,16 内容器
20 仕切り用弱シール部
20a 突出部
21 排出用弱シール部
23 封止用弱シール部
32 薬剤排出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状に形成された容器本体と、
前記容器本体の長手方向の一端部に接続され、前記収納部から薬剤を排出する薬剤排出口と、
前記容器本体の長手方向に延び、前記容器本体を第1収納部と第2収納部とに仕切る仕切り用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部と連結され、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部が剥離したときに、前記第1収納部に収納された薬剤を前記第2収納部に流れ込むようにするための案内用シール部と、を備え、
前記第1及び第2の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器。
【請求項2】
容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料で形成され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱融着することにより形成され、前記排出用弱シール部の融着強度が、前記容器本体の周縁部の融着強度より小さく、且つ前記仕切り用弱シール部の融着強度より大きいことを特徴とする請求項1に記載の医療用複室容器。
【請求項3】
矩形状に形成された容器本体と、
前記容器本体の長手方向の一端部に接続され、前記収納部から薬剤を排出する薬剤排出口と、
前記容器本体の長手方向に延び、前記容器本体を第1収納部と第2収納部とに仕切る仕切り用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部と連結され、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部が剥離したときに、前記第1収納部に収納された薬剤を前記第2収納部に流れ込むようにするための案内用シール部と、を備え、
前記第1及び第2の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力と同等であることを特徴とする医療用複室容器。
【請求項4】
前記仕切り用弱シール部が、前記収納部に突出する少なくとも1つの突出部を備えるように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の医療用複室容器。
【請求項1】
矩形状に形成された容器本体と、
前記容器本体の長手方向の一端部に接続され、前記収納部から薬剤を排出する薬剤排出口と、
前記容器本体の長手方向に延び、前記容器本体を第1収納部と第2収納部とに仕切る仕切り用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部と連結され、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部が剥離したときに、前記第1収納部に収納された薬剤を前記第2収納部に流れ込むようにするための案内用シール部と、を備え、
前記第1及び第2の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力より大きいことを特徴とする医療用複室容器。
【請求項2】
容器本体がポリエチレンとポリプロピレンとの混合材料で形成され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は、前記容器本体の両側のフィルム面を熱融着することにより形成され、前記排出用弱シール部の融着強度が、前記容器本体の周縁部の融着強度より小さく、且つ前記仕切り用弱シール部の融着強度より大きいことを特徴とする請求項1に記載の医療用複室容器。
【請求項3】
矩形状に形成された容器本体と、
前記容器本体の長手方向の一端部に接続され、前記収納部から薬剤を排出する薬剤排出口と、
前記容器本体の長手方向に延び、前記容器本体を第1収納部と第2収納部とに仕切る仕切り用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部と連結され、少なくとも1つの前記収納部と前記薬剤排出口との間を仕切る排出用弱シール部と、
前記仕切り用弱シール部が剥離したときに、前記第1収納部に収納された薬剤を前記第2収納部に流れ込むようにするための案内用シール部と、を備え、
前記第1及び第2の収納部の少なくとも1つに液状薬剤が収納され、前記仕切り用弱シール部及び排出用弱シール部は前記収納部内の圧力を高めることにより開封するとともに、前記排出用弱シール部を開封するために必要な圧力が、前記仕切り用弱シール部を開封するために必要な圧力と同等であることを特徴とする医療用複室容器。
【請求項4】
前記仕切り用弱シール部が、前記収納部に突出する少なくとも1つの突出部を備えるように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の医療用複室容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−84344(P2011−84344A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7793(P2011−7793)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2001−168612(P2001−168612)の分割
【原出願日】平成13年6月4日(2001.6.4)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【分割の表示】特願2001−168612(P2001−168612)の分割
【原出願日】平成13年6月4日(2001.6.4)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】
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