医療用電極
【課題】高エネルギーの刺激、例えば細動除去のために意図された使い捨ての医療用電極を提供する。
【解決手段】上面および底面を有する電極部材１０と、該電極部材の該上面と電気的に接触している導電性の材料の分離された領域５０と、該電極部材の該底面の少なくとも一部分の上に配置された患者と接触する層３０と、導電性の材料の該分離された領域と電気的に接触している電気コネクタとを備えている、使い捨ての細動除去電極である医療用電極。高エネルギーの適用（特に、高レベルの繰り返しの細動除去または心臓ペーシングパルスの適用の後の細動除去電極）に関して、電極周囲の高い電流密度および不均一な電流分布による患者の皮膚の炎症および火傷を解消する。
【解決手段】上面および底面を有する電極部材１０と、該電極部材の該上面と電気的に接触している導電性の材料の分離された領域５０と、該電極部材の該底面の少なくとも一部分の上に配置された患者と接触する層３０と、導電性の材料の該分離された領域と電気的に接触している電気コネクタとを備えている、使い捨ての細動除去電極である医療用電極。高エネルギーの適用（特に、高レベルの繰り返しの細動除去または心臓ペーシングパルスの適用の後の細動除去電極）に関して、電極周囲の高い電流密度および不均一な電流分布による患者の皮膚の炎症および火傷を解消する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、概ね、医療用電極に関し、さらに詳細には、高エネルギーの刺激、例えば細動除去のために意図された使い捨ての医療用電極に関する。
【背景技術】
【０００２】
医療用電極は、患者とモニタリング装置（例えば、心電計デバイス）との間、または患者と刺激装置（例えば、干渉およびイオン導入のデバイス）との間に電気的インターフェイスを提供する。患者と細動除去デバイスとの間に電気的インターフェイスを提供するために使用される特定のタイプの刺激電極は、経皮的な細動除去に必要とされる高レベルのエネルギーを伝導することが可能でなければならない。
【０００３】
「細動」と呼ばれる病気において、筋肉の正常な収縮が、素早い、不規則的な筋肉繊維（小繊維）のけいれんに取って代わる。細動は、一般的には、心房または心室の心筋において生じ、正常でリズミカルな心臓の収縮が、素早い、不規則的な心臓壁の筋肉のけいれんに取って代わられる。細動に対する療法は、「細動除去」と呼ばれ、（心房または心室の）心筋の細動をとらえ、正常な心臓のリズムに戻すように、電気ショックを加える処置である。
【０００４】
細動除去電極は、細動除去に必要とされる最大で３６０ジュール以上の高レベルのエネルギーを伝える。細動除去電極はまた、心房または心室内で適切な電流密度の分配を達成するように、患者の表皮の比較的に広いエリアにわたりエネルギーを分配する。細動除去電極に対する明確な工業規格が存在する。特に、細動除去電極に対する米国規格協会（ＡＮＳＩ）規格が、医療器具推進協会（ＡＡＭＩ）によって公開されている。例えば、細動除去電極のサイズに対するＡＮＳＩ規格は、成人の細動除去およびペーシングに対して使用される個々の自動接着性の電極の最小活性エリアが、少なくとも５０ｃｍ２となり、２つの電極の全エリアが、少なくとも１５０ｃｍ２となるべきであるということが推奨されている。
【０００５】
細動除去電流による繰り返しの電気ショックに続く、電極の特定の時間関連の電気的散逸特質を記述する細動除去回復特性に対する仕様は、多くの電極にとって適合することは困難である。規格に適合しない電極の使用は、細動除去の後の生死に関わる遅延をもたらし得る。この規制が救急救命環境におけるそのような電極の有益性を限定する。従って、これらの製品のうちの多くは、細動除去が可能である場合には、それらが使用されるべきではないという注意書きを帯びている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【０００６】
電極周囲の高い電流密度および不均一な電流分布による、患者の皮膚の炎症および火傷は、特に、高レベルの繰り返しの細動除去または心臓ペーシングパルスの適用の後の細動除去電極に関する共通の課題となる。特に、高エネルギーの適用に対して有益である新たな使い捨ての医療用電極が、本明細書において開示される。本発明は、電流の分配の制御を特徴とする電極を提供する。さらに、電極は、細動除去に対して充分なエネルギーを提供し、かつ、電極と患者の皮膚の表面との間での電流の分配が改善され、患者の皮膚を火傷させることなくエネルギーを伝える。
【０００７】
一実施形態において、電極は、上面および底面を有する導電性の電極部材を備えている。導電性の材料の分離された領域のパターンは、電極部材の上面の少なくとも一部分に配置される。電気コネクタは、不連続なパターンに接触し、エネルギーを電極に伝え、エネルギーを電極から送る。患者と接触する層は、電極部材の底面の少なくとも主要な部分上に配置される。導電性のコーティングは、電極部材とヒドロゲルとの間で、電極部材の底面の少なくとも一部分を覆い得る。
【０００８】
上記の概略的な記述および以下の詳細な記述の両方は、本発明の例示であり、限定するものではない。
【０００９】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
・（項目１）
上面および底面を有する電極部材と、
該電極部材の該上面と電気的に接触する導電性の材料の分離された領域と、
該電極部材の該底面の少なくとも一部分上に配置された患者と接触する層と、
導電性の材料の該分離された領域と電気的に接触する電気コネクタと
を備えている、医療用電極。
・（項目２）
上記患者と接触する層は、導電性のゲル層、導電性のゲルを含むゲルパッド、および導電性の接着剤のうちの１つ以上を備えている、項目１に記載の電極。
・（項目３）
上記導電性のゲル層または接着剤は、皮膚適合性のヒドロゲルを備えている、項目２に記載の電極。
・（項目４）
上記電極部材の上記底面の少なくとも一部分と接触する導電性のコーティングをさらに備えている、項目１に記載の電極。
・（項目５）
接着剤を用いて、上記電極部材、上記分離された領域、および上記電気コネクタに接着されたカバーシートをさらに備えている、項目１に記載の電極。
・（項目６）
上記分離された領域は、ストライプ、輪郭の多角形、中塗りの多角形、輪郭の閉曲線、中塗りの閉曲線、同心状の閉曲線、文字、ロゴ、およびそれらの任意の組み合わせのうちの１つ以上を含む、項目１に記載の電極。
・（項目７）
上記中塗りの多角形は十字の形状を有する、項目６に記載の電極。
・（項目８）
上記電極部材および導電性の材料の上記分離された領域は、実質的に同一平面にある、項目１に記載の電極。
・（項目９）
上記電極部材は、上記電気コネクタを少なくとも部分的に覆うように折り畳まれる、項目１に記載の電極。
・（項目１０）
上記導電性の材料は、導電性のインクである、項目１に記載の電極。
・（項目１１）
上記導電性のインクは、銀のインクである、項目１０に記載の電極。
・（項目１２）
上記電極部材は、導電性のポリマを備えている、項目１に記載の電極。
・（項目１３）
上記導電性のポリマは、塩化ポリビニルおよび１つ以上の形式のカーボンブラックを備えている、項目１２に記載の電極。
・（項目１４）
上記導電性のコーティングの電気的インピーダンスは、電極の中央から縁に向けた方向で増加する、項目４に記載の電極。
・（項目１５）
上記導電性のコーティングは、金属または塩化金属を備えている、項目４に記載の電極。
・（項目１６）
上記金属は銀であり、上記塩化金属は塩化銀である、項目１５に記載の電極。
・（項目１７）
上記電気コネクタは、扇形のコネクタを備えている、項目１に記載の電極。
・（項目１８）
上記扇形のコネクタは、金属のワイヤ、導電性の金属コーティングされたファイバ、またはその両方を備えている、項目１７に記載の電極。
・（項目１９）
上記電極コネクタは、留め金、鋲、または金属のホイルを備えている、項目１に記載の電極。
・（項目２０）
上記患者と接触する層を覆い、患者に対して上記電極を使用するために該電極から取り除かれるように適合された取り外し可能なリリースキャリアシートをさらに備えている、項目１に記載の電極。
・（項目２１）
上記電極が構成される全てのコンポーネントは、該電極が全体的に、Ｘ線に対して伝達性があるようなものである、項目１に記載の電極。
・（項目２２）
高エネルギーの適用のために構成された使い捨ての医療用電極を製造する方法であって、該方法は、
上面と底面とを有する電極部材を取得するステップと、
該電極部材の該上面に導電性の材料の分離された領域を形成するステップと、
患者と接触する層を該電極部材に接着するステップと、
導電性の材料の該分離された領域と接触する電気コネクタを固定するステップと
を包含する、方法。
・（項目２３）
導電性の材料の分離された領域を形成する上記ステップは、不連続なパターンで該導電性の材料をプリントすることを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２４）
導電性の材料の分離された領域を形成する上記ステップは、
該導電性の材料を備えているシートを形成するステップと、
該シート上に非導電性の材料のパターンをプリントするステップと
を包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２５）
上記電極部材の上記上面に上記シートを積層するステップをさらに包含する、項目２４に記載の方法。
・（項目２６）
上記導電性の材料のシートを形成するステップは、上記電極部材の上記上面を導電性の流体でフラッドコーティングすることをさらに包含する、項目２４に記載の方法。
・（項目２７）
上記電極部材の上記底面に導電性の層を形成する上記ステップをさらに包含し、患者と接触する層を上記電極部材に接着するステップは、該患者と接触する層を該導電性の層に接着することを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２８）
導電性の材料の上記分離された領域と接触する電気コネクタを固定する上記ステップは、上記電極部材の上記上面および該電気コネクタにカバーシートを接着することを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２９）
カバーシートを接着する上記ステップは、粘着剤の使用を包含する、項目２８に記載の方法。
・（項目３０）
導電性の材料の上記分離された領域と接触する電気コネクタを固定する上記ステップは、該電気コネクタを上記電極部材によって覆うように折り畳むことを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目３１）
導電性の材料の分離された領域を形成する上記ステップは、ストライプ、輪郭の多角形、中塗りの多角形、輪郭の閉曲線、中塗りの閉曲線、同心状の閉曲線、文字、またはそれらの任意の組み合わせのロゴの形状に該領域をプリントすることを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目３２）
上記中塗りの多角形は十字の形状にプリントされる、項目３１に記載の方法。
・（項目３３）
導電性の材料の上記分離された領域は、導電性のインクを使用してプリントされる、項目２２に記載の方法。
・（項目３４）
導電性の材料の上記分離された領域と接触する電気コネクタを固定する上記ステップは、コネクタのストランドを扇状に広げ、導電性の材料の該分離された領域の少なくとも一部分にわたりストランドを広げるステップをさらに包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目３５）
上記電極は、使い捨てである項目１に記載の電極。
・（項目３６）
上記電極は、細動除去電極である、項目１に記載の電極。
【００１０】
（摘要）
医療用電極および医療用電極を作る方法。電極は上面および底面を有する電極部材；電極部材の上面と接触する導電性の材料の分離された領域、患者と接触する層、および分離された領域と電気的に接触する電気コネクタを備える。分離された領域は、患者の皮膚の炎症および火傷を低減し、電極のインピーダンスを最適化する。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】図１は、第１の実施形態に従った、医療用電極のコンポーネントを図示している分解斜視図である。
【図２】図２は、インピーダンスの勾配を有する第２の実施形態に従った、医療用電極のコンポーネントを図示している分解斜視図である。
【図３】図３は、分離された領域のパターンの８つの例の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
本発明は、添付の図面と関連付けて読んだ場合に、以下の詳細な記述から最も理解される。一般的な事例に従って、図面の様々な特徴は、サイズを合わされてはいないことを強調しておく。逆に、様々な特徴の寸法は、明確さの目的で任意に拡大または縮小される。図面には以下の図が含まれる。
【００１３】
ここで図面を参照すると、全体を通して同じ参照番号は同じ要素を指し、本発明の様々な実施形態が詳細に述べられる。
【００１４】
図１に図示されているように、電極はリリースキャリアシート４０を有する。リリースキャリアシート４０は、患者と接触する層３０を覆いかつ保護し、該層３０は、導電性のゲル層、導電性のゲルを含むゲルパッド、または導電性の接着剤を備える。リリースキャリアシート４０は、例えば、シリコンでコーティングされたポリエチレンテレフタル酸塩（ＰＥＴ）で作られ得る。必要とされるわけではないが、長方形の形状がリリースキャリアシート４０に適している。図示されているように長方形である場合に、約１４０ｍｍの長さ、および約８２ｍｍの幅のような寸法が適している。
【００１５】
一実施形態において、患者と接触する層３０は、電極の使用に先立ち、リリースキャリアシート４０と接触する導電性のゲルのパッドを備える。ゲルパッドは、約６５ｍｍの幅であり、１２２ｍｍの長さであり得る。ゲルパッドは、湿気の含有量および接着性の粘性を保つ充分な能力を有する、皮膚適合性の導電性のヒドロゲルまたは接着剤を備え得る。適切なヒドロゲルの例は、Ｋｅｎｄａｌｌ−ＬＴＰ ｄｉｖｉｓｉｏｎ ｏｆ Ｔｙｃｏ
Ｈｅａｌｔｈｃａｒｅ Ｇｒｏｕｐ ＬＤ、Ｍａｎｓｆｉｅｌｄ、Ｍａｓｓａｃｈｕｓｅｔｔｓから市販されているＲＧ−６３Ｂ導電性のヒドロゲルのような、導電性のヒドロゲルを含む。
【００１６】
患者と接触する層３０は、電極部材１０と電気的に接触する。図２に示されている第２の実施形態において、医療用電極は、電極部材１０の底面の少なくとも一部分と接触する導電性のコーティング２０をさらに備え得る。導電性のコーティング２０の特定の一例は、銀／塩化銀インクのコーティングである。導電性のコーティングは、皮膚の炎症または火傷をもたらし得る電流の密度をさらに低減するように、中央から縁に向けて、適用範囲において−従って、インピーダンスにおいて−変動または勾配を有し得る。米国特許第６，６００，９５７号において詳細に開示され、かつ、図２に示されるような一例として、インクの適用範囲は、コーティング２０の中央から内側の縁２４までのエリアにおいて１００％である。内側の縁２４と外側の縁２６との間のエリアにおいて、割合は直線状に減少し、外側の縁２６においてゼロに到達する。
【００１７】
インピーダンスの勾配はまた、２つの層の導電性のコーティングを用いて形成され得る。導電性のコーティング、例えば銀／塩化銀は、電極部材１０の底面に塗布され得、該底面は、電極部材１０の周囲からより内側に位置するコーティングの外周を有する。コーティングは２つの層において形成され得、それぞれ厚さ数ミクロンであり、第１の層は、電極部材１０の周囲の内側位置する外周を有し、第２の層は、第１の層の周囲から内側に位置する外周を有する。２つの層は、第２の層を塗布する前に第１の層が乾燥することを可能にするように、電極部材１０上に続けて塗布され得る。第２の層は、まず、第２の層の下にある第１の層について塗布され得る。二重の層は、層が重なるエリアにおいてより高い導電性を提供し、単一の層に負い導電性をステップダウンさせ、コーティングより外側のエリアにおいて、電極部材１０の炭素で調合されたポリマの導電性にまで導電性を減少させる。層が重なるエリアは、第１の層のエリアに対応し、ＡＮＳＩ／ＡＡＭＩによって規定された最小活性電極エリアと実質的に等しく作られ得る。例えば、２つの層は、約３〜５ミクロンの厚さをそれぞれ有し得、重なるエリアの合わせた厚さは、約６〜１０ミクロンである。さらに、２つの層の外側の周囲は、有利にも、鋸歯状または波形状である。この配置は、電極部材の有効な周囲を増加させることによって電流の密度をさらに減少させ、分離された導電性の領域５０の使用と組み合わせて、皮膚の火傷または炎症の可能性を最小化する。
【００１８】
電極部材１０は、薄い、屈曲性のシートの導電性のポリマフィルム、例えばグラファイトで満たされた塩化ポリビニルフィルムで作られ得る。フィルムはまた、カーボンブラック、アセチレンブラック、または他の形式の炭素を含み得る。使用され得る炭素で調合されたポリマの例は、市販の炭素で調合された薄い塩化ポリビニル（ＰＶＣ）である。
【００１９】
導電性の材料５０の分離された領域のパターンは、電極部材１０の上面と接触する。パターンは、導電性の材料５０の分離され、分離された領域、例えば、導電性のインクを備え得る。領域５０は、ストライプ、中塗りの多角形、輪郭の多角形、中塗りの閉曲線、同心状の閉曲線、輪郭の閉曲線、文字、ロゴ、およびそれらの任意の組み合わせの形状を有し得る。分離された領域５０のそのようなパターンの例は、図３に示されている。図１に示されている実施形態において、パターンは、文字「ｘ」と似た十字または交差線の形状で、導電性の材料５０の領域で作り上げられている。図１に示される実施形態のように、パターンは電極部材１０の上面全体を実質的に覆い得る。
【００２０】
導電性の材料の分離された領域は、導電性の材料を不連続なパターンでプリントすることによって形成され得る。代替的に、領域は、導電性の材料を備えたシートを形成し、該シート上に非導電性の材料のパターンをプリントすることによって形成され得る。非導電性の材料によって覆われていない領域は、導電性の材料の分離された領域を形成する。次に、シートは、電極部材の上面に積層され得、領域５０の形成が完了する。特定の例として、導電性の材料を形成することは、電極部材１０の上面を導電性の流体、例えば銀／塩化銀のインクでフラッドコーティングし、流体が乾燥または凝固させることを包含する。
【００２１】
電気コネクタ８８は、導電性の材料５０の分離されたパターンと直接的に接触して位置付けされている。電気コネクタ８８はコンダクタに接続され、該コンダクタは、電極と、細動除去器または心電計のような器具（示されていない）との間で電気信号を伝えるように共に機能する。図１に示されている実施形態において、コネクタ８８は、扇形のワイヤである。別の適切なコネクタは、図１のコネクタ８８のワイヤと同様な方法で扇形に広げられた金属ホイルであり得る。他の適切なコネクタは、当該分野において公知である留め金、鋲、または金属ホイルを含む。
【００２２】
コネクタ８８は、コネクタをカバーシート７０で挟むことによって、分離された導電性の領域５０と、従って、電極部材１０と物理的にかつ電気的に接触して保持され、該カバーシートは、接着層３４を用いて電極部材１０の上面に接着される。接着層３４は粘着剤であり得る。カバーシート７０は、開口のない、厚さが約１ｍｍの連続性のフォームバッキングシートであり得る。図１に示されている実施形態において、カバーシート７０はゲルパッド３０の寸法の外側まで広がる。従って、いったん、リリースキャリアシート４０が取り除かれると、カバーシート７０およびゲルバッド３０は、電極に対する単一の周囲縁を形成する。代替的な実施形態において、接着剤３４は、電極１０に対してコネクタ８８をさらに固定するために使用され得る。接着剤３４は、導電性または非導電性の材料であり得る。例として、接着剤３４は、図１に示されているような扇形のワイヤ全体に細長く塗布され得る。適切な導電性の接着剤は、ヒドロゲルおよびエポキシ樹脂を含む。適切な非導電性の接着剤は、粘着剤を含む。
【００２３】
図１に示されている実施形態において、電極部材１０および分離された導電性の領域５０は、実質的に同じ面にあり、コネクタ８８は、カバーシート７０によって、分離された導電性の材料５０と接触して維持される。代替的な実施形態において、分離された導電性の領域５０と共に電極１０は、コネクタ８８を覆うように折りたたまれ、その結果、コネクタ８８を囲い、導電性の領域５０との接触を維持する。
【００２４】
分離された領域５０のパターン内で、領域および領域間の空間の形状およびサイズは、電極内の電流の分配を達成するように選択され得、該分配は、所与の用途に対する電極のインピーダンスを最適化し、一方で、患者の皮膚の炎症および火傷をもたらし得る、電極の一部の領域での高い電流の集中の影響を最小化する。例として、分離された領域５０のそれぞれのサイズが、あまりにも小さいか、またはそれらの密度（単位エリア毎の領域の数）があまりにも小さい場合には、電極の電気的インピーダンスは、コネクタ８８と分離された導電性の領域５０との間の金属間接触が不充分であるために、受け入れられないほどに高くなり得る。逆に、領域５０があまりにも大きいか、またはあまりにも高密度である場合には、電極の電気的インピーダンスは、患者の皮膚の火傷または炎症をもたらし得る。従って、インピーダンス全体の最適な値を達成し、患者の皮膚の炎症および火傷を最小化する所望のパターンの範囲（領域のサイズおよび密度）がある。
【００２５】
一部の用途において、コネクタ８８がＸ線伝達性であるということが望まれる。Ｘ線伝達性のコンダクタは、Ｘ線透過性の材料で形成された絶縁シースを有する、金属被膜されたカーボンファイバのトウで形成され得る。カーボンファイバのトウは、３，０００〜１２，０００のファイバを有するサイズであり得、金属メッキされたカーボンファイバのトウの重さに対して約２０％〜５０％である金属コーティングを用いて金属メッキされ得る。より大きいサイズのトウに対するより重いメッキは、繰り返しの細動除去パルスに対し、改善された通電容量を提供する。ファイバのトウは、ポリアクリロニトリル前駆体から作られ得、パンベースのカーボンファイバとして呼ばれ、Ａｍｏｃｏ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｐｒｏｄｕｃｔｓ、 Ｉｎｃ．、Ａｔｌａｎｔａ、Ｇａから市販されている。カーボンファイバのファイバのトウの密度が、金属コーティングの密度と比較して非常に低いので、金属メッキされたカーボンファイバのトウの重さに対して３０％〜４０％である金属コーティングは、非常に薄く、Ｘ線透過性がある。金属コーティングは、充分な導電性および腐食抵抗性を適度なコストで提供するニッケルであり得るが、他の金属、例えば銅または銀または金が、単独で、またはニッケルコーティングと組み合わせて使用され得る。
【００２６】
コンダクタ８８のＸ線透過性が必要とされない電極適用において、コネクタ８８は、金属、例えば銅、スズ、銀、または金で形成され得る。例えば、図２に示されるような扇形のワイヤは、マルチストランドコンダクタで形成され得、該コンダクタは、コンダクタ８８と分離された領域５０との間の接触エリアを増加させるように広げられ得る。扇形の金属のワイヤが使用されるときには、扇形の金属のワイヤだけがＸ線で見ることができ、残りの電極は、Ｘ線伝達性のままである。
【００２７】
本発明は、本明細書において、特定の実施形態を参照して図示されかつ記述されてきたが、本発明は、示された詳細に限定されることを意図されていない。むしろ、様々な改変が、詳細に対して、特許請求の範囲の均等物の範囲および領域内で、本発明から逸脱することなく行われ得る。
【符号の説明】
【００２８】
１０ 電極部材
２０ 導電性のコーティング
３０ 患者と接触する層
４０ リリースキャリアシート
５０ 分離された導電性の領域
【技術分野】
【０００１】
本発明は、概ね、医療用電極に関し、さらに詳細には、高エネルギーの刺激、例えば細動除去のために意図された使い捨ての医療用電極に関する。
【背景技術】
【０００２】
医療用電極は、患者とモニタリング装置（例えば、心電計デバイス）との間、または患者と刺激装置（例えば、干渉およびイオン導入のデバイス）との間に電気的インターフェイスを提供する。患者と細動除去デバイスとの間に電気的インターフェイスを提供するために使用される特定のタイプの刺激電極は、経皮的な細動除去に必要とされる高レベルのエネルギーを伝導することが可能でなければならない。
【０００３】
「細動」と呼ばれる病気において、筋肉の正常な収縮が、素早い、不規則的な筋肉繊維（小繊維）のけいれんに取って代わる。細動は、一般的には、心房または心室の心筋において生じ、正常でリズミカルな心臓の収縮が、素早い、不規則的な心臓壁の筋肉のけいれんに取って代わられる。細動に対する療法は、「細動除去」と呼ばれ、（心房または心室の）心筋の細動をとらえ、正常な心臓のリズムに戻すように、電気ショックを加える処置である。
【０００４】
細動除去電極は、細動除去に必要とされる最大で３６０ジュール以上の高レベルのエネルギーを伝える。細動除去電極はまた、心房または心室内で適切な電流密度の分配を達成するように、患者の表皮の比較的に広いエリアにわたりエネルギーを分配する。細動除去電極に対する明確な工業規格が存在する。特に、細動除去電極に対する米国規格協会（ＡＮＳＩ）規格が、医療器具推進協会（ＡＡＭＩ）によって公開されている。例えば、細動除去電極のサイズに対するＡＮＳＩ規格は、成人の細動除去およびペーシングに対して使用される個々の自動接着性の電極の最小活性エリアが、少なくとも５０ｃｍ２となり、２つの電極の全エリアが、少なくとも１５０ｃｍ２となるべきであるということが推奨されている。
【０００５】
細動除去電流による繰り返しの電気ショックに続く、電極の特定の時間関連の電気的散逸特質を記述する細動除去回復特性に対する仕様は、多くの電極にとって適合することは困難である。規格に適合しない電極の使用は、細動除去の後の生死に関わる遅延をもたらし得る。この規制が救急救命環境におけるそのような電極の有益性を限定する。従って、これらの製品のうちの多くは、細動除去が可能である場合には、それらが使用されるべきではないという注意書きを帯びている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【０００６】
電極周囲の高い電流密度および不均一な電流分布による、患者の皮膚の炎症および火傷は、特に、高レベルの繰り返しの細動除去または心臓ペーシングパルスの適用の後の細動除去電極に関する共通の課題となる。特に、高エネルギーの適用に対して有益である新たな使い捨ての医療用電極が、本明細書において開示される。本発明は、電流の分配の制御を特徴とする電極を提供する。さらに、電極は、細動除去に対して充分なエネルギーを提供し、かつ、電極と患者の皮膚の表面との間での電流の分配が改善され、患者の皮膚を火傷させることなくエネルギーを伝える。
【０００７】
一実施形態において、電極は、上面および底面を有する導電性の電極部材を備えている。導電性の材料の分離された領域のパターンは、電極部材の上面の少なくとも一部分に配置される。電気コネクタは、不連続なパターンに接触し、エネルギーを電極に伝え、エネルギーを電極から送る。患者と接触する層は、電極部材の底面の少なくとも主要な部分上に配置される。導電性のコーティングは、電極部材とヒドロゲルとの間で、電極部材の底面の少なくとも一部分を覆い得る。
【０００８】
上記の概略的な記述および以下の詳細な記述の両方は、本発明の例示であり、限定するものではない。
【０００９】
本発明は、さらに、以下の手段を提供する。
・（項目１）
上面および底面を有する電極部材と、
該電極部材の該上面と電気的に接触する導電性の材料の分離された領域と、
該電極部材の該底面の少なくとも一部分上に配置された患者と接触する層と、
導電性の材料の該分離された領域と電気的に接触する電気コネクタと
を備えている、医療用電極。
・（項目２）
上記患者と接触する層は、導電性のゲル層、導電性のゲルを含むゲルパッド、および導電性の接着剤のうちの１つ以上を備えている、項目１に記載の電極。
・（項目３）
上記導電性のゲル層または接着剤は、皮膚適合性のヒドロゲルを備えている、項目２に記載の電極。
・（項目４）
上記電極部材の上記底面の少なくとも一部分と接触する導電性のコーティングをさらに備えている、項目１に記載の電極。
・（項目５）
接着剤を用いて、上記電極部材、上記分離された領域、および上記電気コネクタに接着されたカバーシートをさらに備えている、項目１に記載の電極。
・（項目６）
上記分離された領域は、ストライプ、輪郭の多角形、中塗りの多角形、輪郭の閉曲線、中塗りの閉曲線、同心状の閉曲線、文字、ロゴ、およびそれらの任意の組み合わせのうちの１つ以上を含む、項目１に記載の電極。
・（項目７）
上記中塗りの多角形は十字の形状を有する、項目６に記載の電極。
・（項目８）
上記電極部材および導電性の材料の上記分離された領域は、実質的に同一平面にある、項目１に記載の電極。
・（項目９）
上記電極部材は、上記電気コネクタを少なくとも部分的に覆うように折り畳まれる、項目１に記載の電極。
・（項目１０）
上記導電性の材料は、導電性のインクである、項目１に記載の電極。
・（項目１１）
上記導電性のインクは、銀のインクである、項目１０に記載の電極。
・（項目１２）
上記電極部材は、導電性のポリマを備えている、項目１に記載の電極。
・（項目１３）
上記導電性のポリマは、塩化ポリビニルおよび１つ以上の形式のカーボンブラックを備えている、項目１２に記載の電極。
・（項目１４）
上記導電性のコーティングの電気的インピーダンスは、電極の中央から縁に向けた方向で増加する、項目４に記載の電極。
・（項目１５）
上記導電性のコーティングは、金属または塩化金属を備えている、項目４に記載の電極。
・（項目１６）
上記金属は銀であり、上記塩化金属は塩化銀である、項目１５に記載の電極。
・（項目１７）
上記電気コネクタは、扇形のコネクタを備えている、項目１に記載の電極。
・（項目１８）
上記扇形のコネクタは、金属のワイヤ、導電性の金属コーティングされたファイバ、またはその両方を備えている、項目１７に記載の電極。
・（項目１９）
上記電極コネクタは、留め金、鋲、または金属のホイルを備えている、項目１に記載の電極。
・（項目２０）
上記患者と接触する層を覆い、患者に対して上記電極を使用するために該電極から取り除かれるように適合された取り外し可能なリリースキャリアシートをさらに備えている、項目１に記載の電極。
・（項目２１）
上記電極が構成される全てのコンポーネントは、該電極が全体的に、Ｘ線に対して伝達性があるようなものである、項目１に記載の電極。
・（項目２２）
高エネルギーの適用のために構成された使い捨ての医療用電極を製造する方法であって、該方法は、
上面と底面とを有する電極部材を取得するステップと、
該電極部材の該上面に導電性の材料の分離された領域を形成するステップと、
患者と接触する層を該電極部材に接着するステップと、
導電性の材料の該分離された領域と接触する電気コネクタを固定するステップと
を包含する、方法。
・（項目２３）
導電性の材料の分離された領域を形成する上記ステップは、不連続なパターンで該導電性の材料をプリントすることを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２４）
導電性の材料の分離された領域を形成する上記ステップは、
該導電性の材料を備えているシートを形成するステップと、
該シート上に非導電性の材料のパターンをプリントするステップと
を包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２５）
上記電極部材の上記上面に上記シートを積層するステップをさらに包含する、項目２４に記載の方法。
・（項目２６）
上記導電性の材料のシートを形成するステップは、上記電極部材の上記上面を導電性の流体でフラッドコーティングすることをさらに包含する、項目２４に記載の方法。
・（項目２７）
上記電極部材の上記底面に導電性の層を形成する上記ステップをさらに包含し、患者と接触する層を上記電極部材に接着するステップは、該患者と接触する層を該導電性の層に接着することを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２８）
導電性の材料の上記分離された領域と接触する電気コネクタを固定する上記ステップは、上記電極部材の上記上面および該電気コネクタにカバーシートを接着することを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目２９）
カバーシートを接着する上記ステップは、粘着剤の使用を包含する、項目２８に記載の方法。
・（項目３０）
導電性の材料の上記分離された領域と接触する電気コネクタを固定する上記ステップは、該電気コネクタを上記電極部材によって覆うように折り畳むことを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目３１）
導電性の材料の分離された領域を形成する上記ステップは、ストライプ、輪郭の多角形、中塗りの多角形、輪郭の閉曲線、中塗りの閉曲線、同心状の閉曲線、文字、またはそれらの任意の組み合わせのロゴの形状に該領域をプリントすることを包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目３２）
上記中塗りの多角形は十字の形状にプリントされる、項目３１に記載の方法。
・（項目３３）
導電性の材料の上記分離された領域は、導電性のインクを使用してプリントされる、項目２２に記載の方法。
・（項目３４）
導電性の材料の上記分離された領域と接触する電気コネクタを固定する上記ステップは、コネクタのストランドを扇状に広げ、導電性の材料の該分離された領域の少なくとも一部分にわたりストランドを広げるステップをさらに包含する、項目２２に記載の方法。
・（項目３５）
上記電極は、使い捨てである項目１に記載の電極。
・（項目３６）
上記電極は、細動除去電極である、項目１に記載の電極。
【００１０】
（摘要）
医療用電極および医療用電極を作る方法。電極は上面および底面を有する電極部材；電極部材の上面と接触する導電性の材料の分離された領域、患者と接触する層、および分離された領域と電気的に接触する電気コネクタを備える。分離された領域は、患者の皮膚の炎症および火傷を低減し、電極のインピーダンスを最適化する。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】図１は、第１の実施形態に従った、医療用電極のコンポーネントを図示している分解斜視図である。
【図２】図２は、インピーダンスの勾配を有する第２の実施形態に従った、医療用電極のコンポーネントを図示している分解斜視図である。
【図３】図３は、分離された領域のパターンの８つの例の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
本発明は、添付の図面と関連付けて読んだ場合に、以下の詳細な記述から最も理解される。一般的な事例に従って、図面の様々な特徴は、サイズを合わされてはいないことを強調しておく。逆に、様々な特徴の寸法は、明確さの目的で任意に拡大または縮小される。図面には以下の図が含まれる。
【００１３】
ここで図面を参照すると、全体を通して同じ参照番号は同じ要素を指し、本発明の様々な実施形態が詳細に述べられる。
【００１４】
図１に図示されているように、電極はリリースキャリアシート４０を有する。リリースキャリアシート４０は、患者と接触する層３０を覆いかつ保護し、該層３０は、導電性のゲル層、導電性のゲルを含むゲルパッド、または導電性の接着剤を備える。リリースキャリアシート４０は、例えば、シリコンでコーティングされたポリエチレンテレフタル酸塩（ＰＥＴ）で作られ得る。必要とされるわけではないが、長方形の形状がリリースキャリアシート４０に適している。図示されているように長方形である場合に、約１４０ｍｍの長さ、および約８２ｍｍの幅のような寸法が適している。
【００１５】
一実施形態において、患者と接触する層３０は、電極の使用に先立ち、リリースキャリアシート４０と接触する導電性のゲルのパッドを備える。ゲルパッドは、約６５ｍｍの幅であり、１２２ｍｍの長さであり得る。ゲルパッドは、湿気の含有量および接着性の粘性を保つ充分な能力を有する、皮膚適合性の導電性のヒドロゲルまたは接着剤を備え得る。適切なヒドロゲルの例は、Ｋｅｎｄａｌｌ−ＬＴＰ ｄｉｖｉｓｉｏｎ ｏｆ Ｔｙｃｏ
Ｈｅａｌｔｈｃａｒｅ Ｇｒｏｕｐ ＬＤ、Ｍａｎｓｆｉｅｌｄ、Ｍａｓｓａｃｈｕｓｅｔｔｓから市販されているＲＧ−６３Ｂ導電性のヒドロゲルのような、導電性のヒドロゲルを含む。
【００１６】
患者と接触する層３０は、電極部材１０と電気的に接触する。図２に示されている第２の実施形態において、医療用電極は、電極部材１０の底面の少なくとも一部分と接触する導電性のコーティング２０をさらに備え得る。導電性のコーティング２０の特定の一例は、銀／塩化銀インクのコーティングである。導電性のコーティングは、皮膚の炎症または火傷をもたらし得る電流の密度をさらに低減するように、中央から縁に向けて、適用範囲において−従って、インピーダンスにおいて−変動または勾配を有し得る。米国特許第６，６００，９５７号において詳細に開示され、かつ、図２に示されるような一例として、インクの適用範囲は、コーティング２０の中央から内側の縁２４までのエリアにおいて１００％である。内側の縁２４と外側の縁２６との間のエリアにおいて、割合は直線状に減少し、外側の縁２６においてゼロに到達する。
【００１７】
インピーダンスの勾配はまた、２つの層の導電性のコーティングを用いて形成され得る。導電性のコーティング、例えば銀／塩化銀は、電極部材１０の底面に塗布され得、該底面は、電極部材１０の周囲からより内側に位置するコーティングの外周を有する。コーティングは２つの層において形成され得、それぞれ厚さ数ミクロンであり、第１の層は、電極部材１０の周囲の内側位置する外周を有し、第２の層は、第１の層の周囲から内側に位置する外周を有する。２つの層は、第２の層を塗布する前に第１の層が乾燥することを可能にするように、電極部材１０上に続けて塗布され得る。第２の層は、まず、第２の層の下にある第１の層について塗布され得る。二重の層は、層が重なるエリアにおいてより高い導電性を提供し、単一の層に負い導電性をステップダウンさせ、コーティングより外側のエリアにおいて、電極部材１０の炭素で調合されたポリマの導電性にまで導電性を減少させる。層が重なるエリアは、第１の層のエリアに対応し、ＡＮＳＩ／ＡＡＭＩによって規定された最小活性電極エリアと実質的に等しく作られ得る。例えば、２つの層は、約３〜５ミクロンの厚さをそれぞれ有し得、重なるエリアの合わせた厚さは、約６〜１０ミクロンである。さらに、２つの層の外側の周囲は、有利にも、鋸歯状または波形状である。この配置は、電極部材の有効な周囲を増加させることによって電流の密度をさらに減少させ、分離された導電性の領域５０の使用と組み合わせて、皮膚の火傷または炎症の可能性を最小化する。
【００１８】
電極部材１０は、薄い、屈曲性のシートの導電性のポリマフィルム、例えばグラファイトで満たされた塩化ポリビニルフィルムで作られ得る。フィルムはまた、カーボンブラック、アセチレンブラック、または他の形式の炭素を含み得る。使用され得る炭素で調合されたポリマの例は、市販の炭素で調合された薄い塩化ポリビニル（ＰＶＣ）である。
【００１９】
導電性の材料５０の分離された領域のパターンは、電極部材１０の上面と接触する。パターンは、導電性の材料５０の分離され、分離された領域、例えば、導電性のインクを備え得る。領域５０は、ストライプ、中塗りの多角形、輪郭の多角形、中塗りの閉曲線、同心状の閉曲線、輪郭の閉曲線、文字、ロゴ、およびそれらの任意の組み合わせの形状を有し得る。分離された領域５０のそのようなパターンの例は、図３に示されている。図１に示されている実施形態において、パターンは、文字「ｘ」と似た十字または交差線の形状で、導電性の材料５０の領域で作り上げられている。図１に示される実施形態のように、パターンは電極部材１０の上面全体を実質的に覆い得る。
【００２０】
導電性の材料の分離された領域は、導電性の材料を不連続なパターンでプリントすることによって形成され得る。代替的に、領域は、導電性の材料を備えたシートを形成し、該シート上に非導電性の材料のパターンをプリントすることによって形成され得る。非導電性の材料によって覆われていない領域は、導電性の材料の分離された領域を形成する。次に、シートは、電極部材の上面に積層され得、領域５０の形成が完了する。特定の例として、導電性の材料を形成することは、電極部材１０の上面を導電性の流体、例えば銀／塩化銀のインクでフラッドコーティングし、流体が乾燥または凝固させることを包含する。
【００２１】
電気コネクタ８８は、導電性の材料５０の分離されたパターンと直接的に接触して位置付けされている。電気コネクタ８８はコンダクタに接続され、該コンダクタは、電極と、細動除去器または心電計のような器具（示されていない）との間で電気信号を伝えるように共に機能する。図１に示されている実施形態において、コネクタ８８は、扇形のワイヤである。別の適切なコネクタは、図１のコネクタ８８のワイヤと同様な方法で扇形に広げられた金属ホイルであり得る。他の適切なコネクタは、当該分野において公知である留め金、鋲、または金属ホイルを含む。
【００２２】
コネクタ８８は、コネクタをカバーシート７０で挟むことによって、分離された導電性の領域５０と、従って、電極部材１０と物理的にかつ電気的に接触して保持され、該カバーシートは、接着層３４を用いて電極部材１０の上面に接着される。接着層３４は粘着剤であり得る。カバーシート７０は、開口のない、厚さが約１ｍｍの連続性のフォームバッキングシートであり得る。図１に示されている実施形態において、カバーシート７０はゲルパッド３０の寸法の外側まで広がる。従って、いったん、リリースキャリアシート４０が取り除かれると、カバーシート７０およびゲルバッド３０は、電極に対する単一の周囲縁を形成する。代替的な実施形態において、接着剤３４は、電極１０に対してコネクタ８８をさらに固定するために使用され得る。接着剤３４は、導電性または非導電性の材料であり得る。例として、接着剤３４は、図１に示されているような扇形のワイヤ全体に細長く塗布され得る。適切な導電性の接着剤は、ヒドロゲルおよびエポキシ樹脂を含む。適切な非導電性の接着剤は、粘着剤を含む。
【００２３】
図１に示されている実施形態において、電極部材１０および分離された導電性の領域５０は、実質的に同じ面にあり、コネクタ８８は、カバーシート７０によって、分離された導電性の材料５０と接触して維持される。代替的な実施形態において、分離された導電性の領域５０と共に電極１０は、コネクタ８８を覆うように折りたたまれ、その結果、コネクタ８８を囲い、導電性の領域５０との接触を維持する。
【００２４】
分離された領域５０のパターン内で、領域および領域間の空間の形状およびサイズは、電極内の電流の分配を達成するように選択され得、該分配は、所与の用途に対する電極のインピーダンスを最適化し、一方で、患者の皮膚の炎症および火傷をもたらし得る、電極の一部の領域での高い電流の集中の影響を最小化する。例として、分離された領域５０のそれぞれのサイズが、あまりにも小さいか、またはそれらの密度（単位エリア毎の領域の数）があまりにも小さい場合には、電極の電気的インピーダンスは、コネクタ８８と分離された導電性の領域５０との間の金属間接触が不充分であるために、受け入れられないほどに高くなり得る。逆に、領域５０があまりにも大きいか、またはあまりにも高密度である場合には、電極の電気的インピーダンスは、患者の皮膚の火傷または炎症をもたらし得る。従って、インピーダンス全体の最適な値を達成し、患者の皮膚の炎症および火傷を最小化する所望のパターンの範囲（領域のサイズおよび密度）がある。
【００２５】
一部の用途において、コネクタ８８がＸ線伝達性であるということが望まれる。Ｘ線伝達性のコンダクタは、Ｘ線透過性の材料で形成された絶縁シースを有する、金属被膜されたカーボンファイバのトウで形成され得る。カーボンファイバのトウは、３，０００〜１２，０００のファイバを有するサイズであり得、金属メッキされたカーボンファイバのトウの重さに対して約２０％〜５０％である金属コーティングを用いて金属メッキされ得る。より大きいサイズのトウに対するより重いメッキは、繰り返しの細動除去パルスに対し、改善された通電容量を提供する。ファイバのトウは、ポリアクリロニトリル前駆体から作られ得、パンベースのカーボンファイバとして呼ばれ、Ａｍｏｃｏ Ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ Ｐｒｏｄｕｃｔｓ、 Ｉｎｃ．、Ａｔｌａｎｔａ、Ｇａから市販されている。カーボンファイバのファイバのトウの密度が、金属コーティングの密度と比較して非常に低いので、金属メッキされたカーボンファイバのトウの重さに対して３０％〜４０％である金属コーティングは、非常に薄く、Ｘ線透過性がある。金属コーティングは、充分な導電性および腐食抵抗性を適度なコストで提供するニッケルであり得るが、他の金属、例えば銅または銀または金が、単独で、またはニッケルコーティングと組み合わせて使用され得る。
【００２６】
コンダクタ８８のＸ線透過性が必要とされない電極適用において、コネクタ８８は、金属、例えば銅、スズ、銀、または金で形成され得る。例えば、図２に示されるような扇形のワイヤは、マルチストランドコンダクタで形成され得、該コンダクタは、コンダクタ８８と分離された領域５０との間の接触エリアを増加させるように広げられ得る。扇形の金属のワイヤが使用されるときには、扇形の金属のワイヤだけがＸ線で見ることができ、残りの電極は、Ｘ線伝達性のままである。
【００２７】
本発明は、本明細書において、特定の実施形態を参照して図示されかつ記述されてきたが、本発明は、示された詳細に限定されることを意図されていない。むしろ、様々な改変が、詳細に対して、特許請求の範囲の均等物の範囲および領域内で、本発明から逸脱することなく行われ得る。
【符号の説明】
【００２８】
１０ 電極部材
２０ 導電性のコーティング
３０ 患者と接触する層
４０ リリースキャリアシート
５０ 分離された導電性の領域
【特許請求の範囲】
【請求項１】
本願明細書に記載された発明。
【請求項１】
本願明細書に記載された発明。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１３−５６１９９（Ｐ２０１３−５６１９９Ａ）
【公開日】平成２５年３月２８日（２０１３．３．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１２−２５６１０７（Ｐ２０１２−２５６１０７）
【出願日】平成２４年１１月２２日（２０１２．１１．２２）
【分割の表示】特願２００７−２５２４８１（Ｐ２００７−２５２４８１）の分割
【原出願日】平成１９年９月２７日（２００７．９．２７）
【出願人】（５０５４７１９１２）タイコ ヘルスケアー グループ リミテッド パートナーシップ (26)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年３月２８日（２０１３．３．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２４年１１月２２日（２０１２．１１．２２）
【分割の表示】特願２００７−２５２４８１（Ｐ２００７−２５２４８１）の分割
【原出願日】平成１９年９月２７日（２００７．９．２７）
【出願人】（５０５４７１９１２）タイコ ヘルスケアー グループ リミテッド パートナーシップ (26)
【Ｆターム（参考）】
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