説明

医療系プラスチック廃棄物等の処理方法及び処理装置

【課題】様々な形態で供給されるプラスチック廃棄物、特に使用済のフィルム状や容器状等の嵩高物を多く含む医療系プラスチック廃棄物を、ほぼ確実に連続的に減容化して効率良く燃料油として回収すること。
【解決手段】プラスチック廃棄物からなる被処理物を減容装置の処理槽内に収容して過熱蒸気を接触させて溶融し、溶融した被処理物をスクリューフィーダにより収容槽外部へと取り出し、取り出された被処理物を熱分解装置に供給して熱分解し、得られた熱分解ガスをコンデンサに供給して液化して油を回収するプラスチック廃棄物の処理方法であって、過熱蒸気を、スクリューフィーダの下方から収容槽内に供給するとともに、更にスクリューフィーダの出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて供給し、シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチック廃棄物の処理方法及び処理装置に関し、特に嵩高な容器類を多く含む医療系プラスチック廃棄物から燃料油を高品質で回収することができる処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みプラスチック廃棄物は、そのまま埋め立て処分されるか焼却処分されていた。埋め立て処分する場合は、容器状廃棄物は嵩高であるため、大量に排出されるこれらの廃棄物を処分するには広大な埋め立て処分地を必要とする。しかしながら、埋め立て処分地の確保は年々困難となっており、埋め立て処分を将来に亘ってこのまま続けていくことは事実上不可能である。
一方、焼却処分の場合、約10,000kcal/kgの高カロリーを有するプラスチックの燃焼には1kg当たり約12mの理論空気量が必要とされ、しかも実際の焼却処理においては20m以上の空気が使用されていることから、周囲環境を大きく汚染してしまうという問題があった。また、余熱もほとんど利用されていないのが現状であり、エネルギー効率の面でも好ましくなかった。
また、小型の焼却炉は設置許可がおりにくいため、広く分散して発生するプラスチック廃棄物の処理には不向きであり、しかもダイオキシン発生の危険性が常に付きまとうという大きな問題を抱えていた。
【0003】
このような問題点に鑑みて、プラスチック廃棄物を熱分解油化して燃料油を回収する技術が多く提案されている。
従来提案されている技術の多くは、融解したプラスチックを処理槽内に導入して、該処理槽を外部から加熱するという方法を採用している。(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような方法では、処理槽内にカーボンが堆積して熱伝導を阻害する等の問題があり、長時間の運転が難しいのが現状であった。
しかも、外熱の加熱方式では、40〜60%の放熱があるため、熱効率が非常に悪く経済的にも良好な方法とはいえなかった。
【0005】
このような問題点に鑑みて創出された技術としては、下記特許文献2の開示技術が存在している。
特許文献2は、プラスチック廃棄物からなる被処理物に対して過熱蒸気を噴霧して減容化させる減容装置と、過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生手段と、前記減容装置にて減容された被処理物を内部に収容すると共に前記過熱蒸気発生手段にて発生した過熱蒸気に接触させることにより熱分解する熱分解装置とを備えたプラスチック廃棄物の処理装置を開示している。
【0006】
この開示技術は、過熱水蒸気を処理装置内に導入して、該処理装置を内部から加熱する方法であるため、上述した外部加熱方式の問題点の多くを解決できる点において優れたものであった。
【0007】
しかしながら、この特許文献2の開示技術では、減容装置内に供給されるプラスチック廃棄物は、過熱蒸気発生装置より供給される過熱蒸気により溶融されるものの、スクリューフィーダを通って移送される際に先端部において温度が下がり、その結果、流動性が低下して円滑な移送が困難となり、処理を一時的に停止しなくてはならない事態が生じていた。
そのため、特許文献2に開示された処理装置では、様々な形態で供給される多様なプラスチック廃棄物を連続的に処理することは困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開平6−41546号公報
【特許文献2】特開2004−359897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、様々な形態で供給されるプラスチック廃棄物、特に使用済みのフィルム状や容器状等の嵩高物を多く含む医療系プラスチック廃棄物を、ほぼ確実に連続的に減容化して燃料油として回収することができるプラスチック廃棄物の処理方法及び処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、プラスチック廃棄物からなる被処理物を減容装置の処理槽内に収容して過熱蒸気を接触させて溶融し、該溶融した被処理物をスクリューフィーダにより収容槽外部へと取り出し、該取り出された被処理物を熱分解装置に供給して加熱して熱分解し、得られた熱分解ガスをコンデンサに供給して液化して油を回収するプラスチック廃棄物の処理方法であって、前記過熱蒸気を、スクリューフィーダの下方から収容槽内に供給するとともに、更にスクリューフィーダの出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させることを特徴とするプラスチック廃棄物の処理方法に関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記スクリューフィーダの出口先端部から供給する過熱蒸気を、前記スクリューフィーダの下方から収容槽内に供給する過熱蒸気よりも高圧とすることを特徴とする請求項1記載のプラスチック廃棄物の処理方法に関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記熱分解装置の内部に過熱蒸気を供給して熱分解を行わせるとともに、該熱分解により生じた熱分解残渣を外部に取り出すためのスクリューフィーダの出口先端部から、過熱蒸気をシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック廃棄物の処理方法に関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記コンデンサから排出された被凝縮熱分解ガスを脱臭装置の内部に取り入れてバーナーにより燃焼し、該脱臭装置の内部で発生する高温ガスを熱交換器に導いて水を蒸気に変化させ、該熱交換器により発生した蒸気を過熱して前記減容装置内に供給する過熱蒸気として利用することを特徴とする請求項3記載のプラスチック廃棄物の処理方法に関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、プラスチック廃棄物からなる被処理物を収容する収容槽と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダとからなる減容装置を具備してなり、前記過熱蒸気供給装置が、前記スクリューフィーダの下方から収容槽内に過熱蒸気を供給する第一の過熱蒸気供給装置と、前記スクリューフィーダの出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる第二の過熱蒸気供給装置からなることを特徴とするプラスチック廃棄物の処理装置に関する。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記第二の過熱蒸気供給装置が、前記第一の過熱蒸気供給装置よりも高圧で過熱蒸気を供給することを特徴とする請求項5記載のプラスチック廃棄物の処理装置に関する。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記スクリューフィーダにより収容槽から取り出された被処理物を内部に取り入れて熱分解するための収容槽を有する熱分解装置と、該熱分解装置から取り出された熱分解ガスを内部に取り入れてガス中に含まれるハロゲン成分を除去する金属触媒を内蔵した脱ハロゲン装置と、該脱ハロゲン装置を通過したガスを内部に取り入れて液化するコンデンサとを具備してなり、前記熱分解装置は、熱分解残渣を外部に取り出すためのスクリューフィーダと、該スクリューフィーダの出口先端部のシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる過熱蒸気供給装置を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載のプラスチック廃棄物の処理装置に関する。
【0017】
請求項8に係る発明は、前記コンデンサから排出された被凝縮熱分解ガスを内部に取り入れてバーナーにより燃焼する脱臭装置と、該脱臭装置の内部で発生する高温ガスを利用して水を蒸気に変える熱交換器と、該熱交換器により発生した蒸気を過熱蒸気とするために前記第二の過熱蒸気供給装置へと供給する蒸気供給路とを備えていることを特徴とする請求項7記載のプラスチック廃棄物の処理装置に関する。
【0018】
請求項9に係る発明は、前記減容装置及び熱分解装置の収容槽が金属製であって、その内部にセラミックスが溶着されていることを特徴とする請求項5乃至8いずれかに記載のプラスチック廃棄物の処理装置に関する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1及び5に係る発明によれば、減容装置内において過熱蒸気により溶融された被処理物を移送するスクリューフィーダに、出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させることにより、スクリューフィーダの先端部において被処理物の温度が下がって流動性が低下することが防止される。そのため、様々な形態で供給される多様なプラスチック廃棄物、特に嵩高なフィルム類や容器類を多く含む医療系プラスチック廃棄物を連続的に処理することが可能となる。
【0020】
請求項2及び6に係る発明によれば、スクリューフィーダの出口先端部から供給する過熱蒸気が、前記スクリューフィーダの下方から収容槽内に供給する過熱蒸気よりも高圧とされることにより、スクリューフィーダ内における被処理物に対して確実に過熱蒸気を接触させることができ、溶融樹脂を非常に円滑に移送することが可能となる。
【0021】
請求項3及び7に係る発明によれば、熱分解により生じた熱分解残渣を外部に取り出すためのスクリューフィーダの内部に過熱蒸気が供給されることにより、熱分解装置下部のスクリューフィーダ内部の温度低下が防がれ、熱分解残渣を連続的に外部に取り出して処理することが可能となる。
【0022】
請求項4及び8に係る発明によれば、減容装置のスクリューフィーダ内に供給する過熱蒸気の生成のために、脱臭装置の内部で発生する高温ガスを利用することが可能となるため、熱エネルギーを有効利用することができる。
【0023】
請求項9に係る発明によれば、減容装置及び熱分解装置の収容槽の熱及び腐食による損傷を防ぐことができ、長期間に亘って運転を継続することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る医療系プラスチック廃棄物の処理方法及び処理装置の好適な実施形態について、適宜図を参照しつつ説明する。
本発明に係る処理方法において、処理対象となるプラスチック廃棄物は、熱可塑性樹脂からなる容器状又はフィルム状の廃棄物であり、具体的には医療系廃棄物(例えば、点滴用容器、薬品容器、注射器シリンダ、薬品用袋等)が好適な処理対象となる。
【0025】
図1は本発明に係る処理方法を実施するために用いられる処理装置の一例を示す概略図であり、図2は図1中に示されたスクリューフィーダの拡大図である。
本発明に係る処理方法では、熱可塑性樹脂からなる医療系廃棄物等のプラスチック廃棄物(以下、被処理物と称す)を、搬入用容器(1)に入れてリフト(例えば図1に示すような昇降式設備)で吊り上げて上方開口部から減容装置(2)内に供給する。
【0026】
減容装置(2)は、被処理物を収容する処理槽(3)と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダ(5)とから構成されている。
【0027】
過熱蒸気供給装置は、スクリューフィーダ(5)の下方から収容槽(3)内に過熱蒸気を供給する第一の過熱蒸気供給装置(4a)と、スクリューフィーダ(5)の出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる第二の過熱蒸気供給装置(4b)からなる。
【0028】
スクリューフィーダ(5)は、シャフト(51)の先端部に過熱蒸気入口(52)を備えており、過熱蒸気は、この過熱蒸気入口(52)よりシャフト内部に取り入れられてシャフトの基端方向へと導かれる。
シャフト内部に取り入られた過熱蒸気は、シャフト(5)に設けられた過熱蒸気吹出口(53)からシャフト外部のスクリューフィーダ内部に向けて射出される。
これにより、スクリューフィーダ先端部付近において内部に充填されている被処理物が過熱蒸気によって加熱されるため、高温の溶融状態が出口まで確実に維持され、連続的に円滑な移送を行うことが可能となる。
【0029】
第一の過熱蒸気供給装置(4a)から収容槽(3)内に供給された過熱蒸気は、処理槽(3)に供給された被処理物に接触することによって被処理物を溶解して減容化する役割を果たし、溶解された被処理物はスクリューフィーダ(5)により外部に取り出されて、熱分解装置(8)へと供給される。
【0030】
第一の過熱蒸気供給装置(4a)から収容槽(3)内に供給される過熱蒸気及び第二の過熱蒸気供給装置(4b)からスクリューフィーダ(5)内に供給される過熱蒸気の温度は500〜550℃程度とされる。
また、第二の過熱蒸気供給装置(4b)は、第一の過熱蒸気供給装置(4a)よりも高圧で過熱蒸気を供給するように構成されている。
【0031】
熱分解装置(8)は、スクリューフィーダ(5)により供給されてきた被処理物を内部に取り入れて熱分解するための収容槽(10)と、熱分解残渣(医療系の注射針・ガラス・金属類及び分解残渣類)を外部に取り出すためのスクリューフィーダ(9)と、該スクリューフィーダ(9)の出口先端部のシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる過熱蒸気供給装置を備えている。
過熱蒸気供給装置としては、前述した第二の過熱蒸気供給装置(4b)を利用することができるが、第三の過熱蒸気供給装置を別途設けてこれを利用してもよい。
【0032】
スクリューフィーダ(9)は、シャフト(91)の先端部に過熱蒸気入口(92)を備えており、過熱蒸気は、この過熱蒸気入口(92)よりシャフト内部に取り入れられてシャフト基端方向へと導かれる。
シャフト内部に取り入られた過熱蒸気は、シャフトに設けられた過熱蒸気吹出口(93)からシャフト外部のスクリューフィーダ内部に向けて射出される。
これにより、スクリューフィーダ先端部付近において内部に充填されている被処理物(熱分解残渣)は、過熱蒸気によって加熱されることで円滑に移送され、スクリューフィーダ(9)の動力側(基端側)出口に設けられたロータリバルブ(11)から残渣受器(39)に連続的に排出される。
【0033】
スクリューフィーダ(9)のシャフト内部に取り入られた過熱蒸気は、スクリューフィーダのケーシングの上方開口部分から収容槽(10)の内部にも供給され、収容槽(10)の内部に供給された被処理物を熱分解する。
【0034】
熱分解装置(8)の処理槽の上方には、熱分解ガス化した被処理物を脱ハロゲン化するとともに回収される燃料油の分解性状を改質させるための金属触媒(酸化鉄等)を内蔵した金属触媒装置(7)と、この金属触媒装置(7)の取出取入口を兼務した防爆弁(13)が備えられている。
【0035】
上記した減容装置(2)及び熱分解装置(8)の収容槽は金属製であって、その内部には耐熱性及び耐食性のセラミックスが溶着されている。
これにより、減容装置及び熱分解装置の収容槽が、熱及び腐食によって損傷することが防がれ、長期間に亘って運転を継続することが可能となる。
【0036】
熱分解装置(8)から金属触媒装置(7)を通過して取り出された熱分解ガスは、コンデンサ(14)に供給されることによって液化される。
コンデンサ(14)は、上部に、オフガス温度センサー(17)の温度をキャッチして自動的にコントロールする温度調整装置(15)と、水を微細な霧状で噴霧するノズル(12)とを備えている。また、下部には、液化した再生燃料油を回収するための回収タンク(18)を備えており、回収タンク(18)には液面計(16)が備えられている。
【0037】
回収タンク(18)は、該液面計(16)により検知された液面が一定高さ以上になると作動する燃料油回収ポンプ(25)と接続されており、燃料油回収ポンプ(25)により移送された油は、3相分離型の遠心分離機(23)へと送られる。
遠心分離機(23)により分離された油は燃料タンク(24)へと送油され、分離水は脱臭装置(19)内のバーナー(22)付近に供給されて強制的に気化処理され、分離汚泥は汚泥受槽(37)へと送られる。
【0038】
脱臭装置(19)は、コンデンサ(14)において燃料油が回収された後の被凝縮ガスを内部に取り入れて、内部下方に設置されたバーナー(22)により燃焼することができる。
また、脱臭装置(19)の内部には、バーナー(22)による加熱によって脱臭装置(19)内部で発生する高温ガスを利用して水を蒸気に変える熱交換器(20)と、バーナー(22)による燃焼を補助するために二次高温完全燃焼を行うための金属製の燃焼補助器(21)とを備えている。
【0039】
熱交換器(20)は、水入口(40)より供給された水を1kg/cm以内の圧力の蒸気とし、この蒸気は蒸気供給路(43)を介して第二の過熱蒸気供給装置(4b)へと供給される。
【0040】
第二の過熱蒸気供給装置(4b)に供給された蒸気は、内部に備えられた炉内コイル型の熱交換器(27)内を流通する際にバーナー(28)により加熱されて高温の過熱蒸気(500℃〜550℃)となり、過熱蒸気出口(29)より過熱蒸気経路(30)(31)を経由して、各スクリューフィーダ(5)(9)に供給される。
【0041】
第二の過熱蒸気発生装置(4b)内におけるバーナー(28)による燃焼オフガスは、燃焼オフガス経路(33)を経由して熱分解装置(8)下部の燃焼ガス入口(34)へ導入され、熱分解装置(8)を底部より加熱することにより熱エネルギーを有効利用し、その排ガスは脱臭炉内(19)で処理される。一方、燃焼オフガスの一部は、分岐されて減容装置(3)下部の燃焼ガス入口(35)より内部に導入され熱源として利用される。
【0042】
減容装置(3)内には、被処理物溶融時の悪臭が充満することがあるため、ブロアー(36)によりこれを外部に取り出して脱臭装置(19)内へと導き、脱臭装置(19)において高温処理し、処理した後の排ガスは排気筒(38)より排出する。
【0043】
本発明の処理装置では、被処理物中に特別産業廃棄物となりうる医療系感染性廃棄物が混入した場合でも、熱分解装置(8)内の下部スクリューフィーダ(9)の過熱蒸気吹出口(93)より噴出した高温加熱蒸気(500℃以上)により完全に殺菌処理されるため、特別産業廃棄物ではなくなる。
殺菌処置された被処理物は、産業廃棄物として排出され分解残渣受器(39)にて回収されるが、その中に含まれる金属類やガラス類は分別して有効に再利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、嵩高な容器類やフィルム類を多く含む医療系プラスチック廃棄物から燃料油を高品質で回収するために好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る処理方法を実施するために用いられる処理装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1中に示されたスクリューフィーダの拡大図である。
【符号の説明】
【0046】
2 減容装置
3 処理槽
4a 第一の過熱蒸気供給装置
4b 第二の過熱蒸気供給装置
5 スクリューフィーダ
7 脱ハロゲン装置
8 熱分解装置
9 スクリューフィーダ
10 収容槽
14 コンデンサ
19 脱臭装置
20 熱交換器
43 蒸気供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック廃棄物からなる被処理物を減容装置の処理槽内に収容して過熱蒸気を接触させて溶融し、該溶融した被処理物をスクリューフィーダにより収容槽外部へと取り出し、該取り出された被処理物を熱分解装置に供給して加熱して熱分解し、得られた熱分解ガスをコンデンサに供給して液化して油を回収するプラスチック廃棄物の処理方法であって、前記過熱蒸気を、スクリューフィーダの下方から収容槽内に供給するとともに、更にスクリューフィーダの出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させることを特徴とするプラスチック廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記スクリューフィーダの出口先端部から供給する過熱蒸気を、前記スクリューフィーダの下方から収容槽内に供給する過熱蒸気よりも高圧とすることを特徴とする請求項1記載のプラスチック廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記熱分解装置の内部に過熱蒸気を供給して熱分解を行わせるとともに、該熱分解により生じた熱分解残渣を外部に取り出すためのスクリューフィーダの出口先端部から、過熱蒸気をシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させることを特徴とする請求項1又は2記載のプラスチック廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記コンデンサから排出された被凝縮熱分解ガスを脱臭装置の内部に取り入れてバーナーにより燃焼し、該脱臭装置の内部で発生する高温ガスを熱交換器に導いて水を蒸気に変化させ、該熱交換器により発生した蒸気を過熱して前記減容装置内に供給する過熱蒸気として利用することを特徴とする請求項3記載のプラスチック廃棄物の処理方法。
【請求項5】
プラスチック廃棄物からなる被処理物を収容する収容槽と、該収容槽内部に収容された被処理物に対して過熱蒸気を供給する過熱蒸気供給装置と、該過熱蒸気供給装置から供給される過熱蒸気との接触によって溶融した被処理物を収容槽外部へと取り出すスクリューフィーダとからなる減容装置を具備してなり、前記過熱蒸気供給装置が、前記スクリューフィーダの下方から収容槽内に過熱蒸気を供給する第一の過熱蒸気供給装置と、前記スクリューフィーダの出口先端部からシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる第二の過熱蒸気供給装置からなることを特徴とするプラスチック廃棄物の処理装置。
【請求項6】
前記第二の過熱蒸気供給装置が、前記第一の過熱蒸気供給装置よりも高圧で過熱蒸気を供給することを特徴とする請求項5記載のプラスチック廃棄物の処理装置。
【請求項7】
前記スクリューフィーダにより収容槽から取り出された被処理物を内部に取り入れて熱分解するための収容槽を有する熱分解装置と、該熱分解装置から取り出された熱分解ガスを内部に取り入れてガス中に含まれるハロゲン成分を除去する金属触媒を内蔵した脱ハロゲン装置と、該脱ハロゲン装置を通過したガスを内部に取り入れて液化するコンデンサとを具備してなり、前記熱分解装置は、熱分解残渣を外部に取り出すためのスクリューフィーダと、該スクリューフィーダの出口先端部のシャフト内部を通してスクリューフィーダ中心部に向けて過熱蒸気を供給し、該シャフト内部より被処理物が充満しているシャフト外部に向けて射出させる過熱蒸気供給装置を備えていることを特徴とする請求項5又は6記載のプラスチック廃棄物の処理装置。
【請求項8】
前記コンデンサから排出された被凝縮熱分解ガスを内部に取り入れてバーナーにより燃焼する脱臭装置と、該脱臭装置の内部で発生する高温ガスを利用して水を蒸気に変える熱交換器と、該熱交換器により発生した蒸気を過熱蒸気とするために前記第二の過熱蒸気供給装置へと供給する蒸気供給路とを備えていることを特徴とする請求項7記載のプラスチック廃棄物の処理装置。
【請求項9】
前記減容装置及び熱分解装置の収容槽が金属製であって、その内部にセラミックスが溶着されていることを特徴とする請求項5乃至8いずれかに記載のプラスチック廃棄物の処理装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−51867(P2009−51867A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358286(P2005−358286)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(505202659)有限会社東城ケミックス (1)
【Fターム(参考)】