説明

医療行為において使用される要素のための格納庫

本発明は、医療行為において使用される要素(2)の格納庫(3)に関する。それは、所定の医療行為に割り当てられる、特定のタイプの要素(2)をそれぞれが専用に受ける、複数のパーティション(4)と、複数の医療行為から好ましい医療行為を選択するためのユーザインタフェース(6)とを有し、各パーティション(4)は、その選択された医療行為に応じて、その選択された行為に使用される正確な要素(2)を示す合図を与える合図手段(5)を有する。こうして、医療スタッフは、医療アクセサリ及び医療空間の「インテリジェントな」管理を提供されることになり、それは、効率的で時間節約型の態様でスタッフが要素を編成することに役立つ。加えて、より柔軟な職場環境が、臨床スタッフの医療行為時における気持ちをより余裕のあるものにすることに貢献する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療行為において使用される要素(element)のための格納庫(storage space)に関する。
【0002】
本発明は、更に、医療行為において使用される要素のための格納庫と共に使用される要素、並びに種々の検査手続のため種々のタイプの磁気コイルを用いるMRI検査デバイス及びMRIデバイスと共に使用される要素に関する。
【0003】
その上本発明は、医療行為において使用される要素の格納方法に関する。
【背景技術】
【0004】
手術といった医療治癒行為(medical care activity)に関する待ちリストの数が増大することを考慮すると、病院におけるワークフローの効率性を高めることに対する切迫した必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ワークフローのこの効率性を改善し、一方で、医療スタッフに対する快適な職場環境を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的を達成するため、本発明による、医療行為(medical activity)において使用される要素のための格納庫は、所定の医療行為に割り当てられる特定のタイプの要素を、それぞれが専用に受ける複数のパーティションと、複数の医療行為から所定の医療行為を選択するためのユーザインタフェースとを有し、各パーティションは、その選択された医療行為に基づき、その選択された行為において使用される正確な要素を示す合図(signal)を与える合図手段を有する。
【0007】
更に、本目的を達成するため、本発明による、医療行為において使用される要素を格納する方法は、所定の医療行為に割り当てられる特定のタイプの要素を、それぞれが専用に受ける複数のパーティションを与えるステップと、複数の医療行為から好ましい医療行為を選択するためのユーザインタフェースを与えるステップと、複数の医療行為から好ましい医療行為を選択した後、その選択された医療行為に基づき、その選択された行為において使用される正確な要素を示す合図を、パーティションの合図手段を介して与えるステップとを有する。
【0008】
こうして、医療アクセサリ及び医療空間(medical space)の「インテリジェントな」管理が医療スタッフに提供されることになり、それは、効率的で時間節約型の態様でスタッフが要素を編成する(organize)ことに役立つ。加えて、より柔軟な職場環境が、臨床スタッフの医療行為時(at work)における気持ちをより余裕のあるもの(free)にすることに貢献する。本発明は、従属項により更に規定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本書において以下、図面を参照して、本発明が一層詳細に説明されることになる。
【0010】
図1は、本発明による、医療行為において使用される要素の格納庫に関する第1の実施形態を示す。示される実施形態において、要素は、磁気コイルを有し、その医療行為は、磁気共鳴イメージング法(MRI)を有する。しかしながら、本発明は、MRIコイル及びMRI検査に限定されるものではなく、本発明は、有利には、他の医療行為において使用される他のタイプの要素の格納庫に適用されることもできることに留意されたい。
【0011】
検査室1において、磁気共鳴イメージング法に使用される磁気コイル2が、例えばキャビネットのような格納庫3に格納される。各コイル2は、実施されるMRI検査のタイプに応じて、特定の大きさと形状とを持つ。各コイルは、それ自身の格納パーティション4を持ち、各パーティション4は、合図手段5を有する。更に、ユーザインタフェース6が、複数の医療行為から好ましい医療行為を選択するために提供される。ユーザインタフェース6は、複数の医療行為から医療行為を選択する手段を有し、その手段は、ボイスコントロール、タッチスクリーン、ボタン、コンピュータキーボードを含むグループから選ばれる。このユーザインタフェース6は、格納庫3自身に含まれることができるが、格納庫3に接続されている限り、例えば、検査室の壁面内、又は検査室の外のコントロール室内に含まれることさえできることに留意されたい。
【0012】
MRI検査手続が開始する前、医療スタッフのメンバは、複数の様々なタイプのMRI検査から好ましいMRI検査を選択する。例えば、患者の頭部のMRIという具合である。制御ユニットは、ユーザインタフェース6を介して、選択されたタイプの検査に関する情報を受信し、それに応じて、正確なMRIコイルを含むパーティションの合図手段5を動作させる(activate)。それから、選択されたMRI検査に基づき、正確なMRIコイルを含むパーティションに含まれる合図手段5は、選択された行為に使用される正確な要素をスタッフメンバに示すための合図を与える。この場合、頭部のMRI用の特定のコイルである。その特定の検査において1つ以上のコイルが必要とされる場合には、選択されたMRI手続に基づき、1つ以上のパーティションに含まれる合図手段が動作されることもできることに留意されたい。本実施形態において、与えられた合図は、ドア7が開状態になることを示し、それは使用されるコイルがコイル2であることを明らかにする。
【0013】
それから医療スタッフメンバは、正確なコイルを取り出すことになり、それをMRI検査デバイスに配置し、検査を実施する。こうして、正確なコイルを選択することに関し、非常に高い効率性が得られる。なぜなら、医療スタッフメンバは、単に好ましい手続を指示するだけで済み、どのコイルが使用されるべきか覚えておく必要も、探す必要もないからである。こうして、医療スタッフのワークフローの効率性が改善され、その一方で、医療スタッフに対する快適な職場環境が提供される。更に、これは、特定のMRI検査に対して誤ったタイプのコイルを選択するというリスクを減らす。
【0014】
図1の実施形態において、動くドアが合図手段の実施形態として示される。適切なコイルを覆うドアは、特定の手続の選択に応じて開状態になる。しかしながら、図2に示されるように、他のタイプの視覚的な合図が適用されることもできる。
【0015】
図2は、本発明による医療行為において使用される要素の格納庫3’に関する第2の実施形態を示す。示される実施形態において、各パーティション4’は、合図手段としての発光(lighting)デバイス8と共に与えられる。その発光デバイスは、ユーザによる医療行為の選択を介して、動作可能になる。視覚的な合図の他に、合図手段は、音声合図(audio signal)も提供するよう配置されることもできる。音声合図は、検査に必要なコイルのタイプに応じて異なっていてよい。
【0016】
格納庫3と共に使用する要素2が、格納パーティション位置に関連するデータAを伴う識別子(identifier:識別票)を有する場合、更に有利なものとなる。要素を格納する正確な位置4を、合図手段5を介して特定するため、そのデータは、格納庫3の中に与えられる読み出し手段21により読み出し可能である。検査手続を終えた後、使用されたコイルの識別子に含まれるデータは、そのコイルが格納庫の近傍に持ち込まれるとき、格納庫における読み出し手段により読み出される。そして、正確なパーティション4に含まれる合図手段5が、制御ユニットにより動作され、適切なパーティションが例えば、動作された発光手段によりライトアップされる。こうして、そのコイルは、使用後その正確なパーティションに容易に格納されることができる。これは、ワークフローの効率性を更に高める。こうして、特別に訓練された医療スタッフでない他の人間によっても、そのコイルが、元の格納庫に戻されることを可能にすることができる。このことは、医療スタッフに別の仕事をするゆとりの時間、例えば、次の検査の準備をするための時間を与えることになる。
【0017】
図3は、本発明による、医療行為において使用される要素の格納庫3’’に関する追加的な実施形態を示す。示される実施形態において、各パーティション4’’は、ガラスカバーと共に与えられる。そのガラスカバーは、透明と不透明との間で切替可能である(interchangeable)。格納庫3’’の残りの位置において、すべてのガラスカバーは不透明である。医療スタッフメンバによる特定の検査手続の選択に応じて、正確なコイル2’’を備えるパーティション4’’は、透明になり、使用されるべきコイルを明らかにする。
【0018】
図4は、更に、種々の検査手続に関する種々のタイプの磁気コイルを用いるMRI検査デバイス11を概略的に示す。そこでは、デバイス11は、各コイル2に含まれる識別子10の中のデータBを読み出す読み出し手段12と、その識別子に含まれるデータBに基づき、特定の検査手続に対するデバイス11に対してそのコイル2の正確な位置を示す手段13とを有する。
【0019】
識別子10は、前述されたように、更に、そのデバイス11に対する要素位置に関するデータBを有する。識別子10に含まれるデータに基づき、その特定の検査手続のためのデバイス11に対して要素2の正確な位置を特定するため、そのデータは、指示手段13を介して、検査デバイス11に与えられる読み出し手段12により読み出し可能である。こうして、そのデバイスに対するそのコイルの位置が医療スタッフメンバの目だけに頼る必要がないことから、これは有利である。
【0020】
識別子10は、それ自身の中に、そのデバイスに対する要素の位置に関するデータBだけを有することができる、つまり、それが、格納パーティション位置に関するデータAを含まないことに留意されたい。その識別子が、無線周波数トランスポンダ(radio frequency tranponder:RFタグ)とバーコードとからなるグループから選択された識別子を有し、かつ、リーダ(reader)が無線周波数リーダとバーコードリーダとからなるグループから選択されたリーダを有する場合には有利である。しかしながら、他の知られたタイプの識別子技術が有利に適用されることができることにも留意されたい。
【0021】
検査室において、MRコイルは、各コイルが、はっきりと視覚により確認できる態様(with clear visual indication)でそれ自身の場所を持つように、キャビネットに格納される。特定の手続の選択の後、必要なコイルが示される(例えば、このコイルを、又はこのコイルが格納されるキャビネットパーティションをライトアップすることにより)。ある実施形態においては、そのキャビネットにリンクされるシステムが、正しい位置に置かれているかどうかを認識するように、コイルが無線周波数識別子(radio frequency identifier: RFID)を伴い与えられる。MR磁気においては、RFIDを用いる位置認識を介して、コイルが位置決めされることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による、医療行為において使用される要素の格納庫に関する第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明による、医療行為において使用される要素の格納庫に関する第2の実施形態を示す図である。
【図3】本発明による、医療行為において使用される要素の格納庫に関する第3の実施形態を示す図である。
【図4】本発明による、種々の検査手続に関する種々のタイプの磁気コイルを用いるMRI検査デバイスの実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療行為において使用される要素のための格納庫であって、
所定の医療行為に割り当てられる特定のタイプの要素を、それぞれが専用に受ける複数のパーティションと、
複数の医療行為から好ましい医療行為を選択するためのユーザインタフェースとを有し、
各パーティションが、前記選択された医療行為に応じて、前記選択された行為に使用される正確な前記要素を示す合図を与える合図手段を有する、格納庫。
【請求項2】
前記要素が、磁気コイルを有し、前記医療行為は、磁気共鳴イメージング法MRIを有する、請求項1に記載の格納庫。
【請求項3】
前記合図手段が、視覚的な合図を与えるようにされる、請求項1又は2に記載の格納庫。
【請求項4】
各パーティションが、発光デバイスと共に与えられ、該発光デバイスは、ユーザによる前記医療行為の前記選択を介して動作可能となる、請求項3に記載の格納庫。
【請求項5】
前記合図手段が、音声合図を与えるようにされる、請求項1乃至4のいずれかに記載の格納庫。
【請求項6】
前記ユーザインタフェースが、複数の医療行為から医療行為を選択する手段を有し、該手段は、ボイスコントロール、タッチスクリーン、ボタン、コンピュータキーボードを含むグループから選択される、請求項1に記載の格納庫。
【請求項7】
前記格納庫が、該格納庫に格納されるべき各要素に含まれる識別子内に与えられるデータを読み出す読み出し手段と、前記識別子内の前記データに基づき、前記要素を格納する正確なパーティションを示す前記合図手段を制御する制御手段とを有する、請求項1に記載の格納庫。
【請求項8】
前記要素が、格納パーティション位置に関するデータを伴う識別子を有し、前記データは、前記合図手段を介して、前記要素を格納する正確な位置を特定するため、前記格納庫に与えられる読み出し手段により読み出し可能である、請求項7に記載の格納庫と共に使用する要素。
【請求項9】
種々の検査手続に関して種々のタイプの磁気コイルを用いるMRIデバイスであって、前記デバイスが、各コイルに含まれる識別子内のデータを読み出す読み出し手段と、前記識別子に含まれるデータに基づき、特定の検査手続に関するデバイスに対して前記コイルの正確な位置を指示する手段とを有する、MRIデバイス。
【請求項10】
前記要素が、前記デバイスに対する要素の位置に関するデータを伴う識別子を有し、前記データは、特定の検査手続のためのデバイスに対して前記要素の正確な位置を特定するため、前記識別子に含まれるデータに基づき、前記指示手段を介して、検査デバイスに与えられる読み出し手段により読み出し可能である、請求項9に記載のMRIデバイスと共に使用する要素。
【請求項11】
医療行為において使用される要素を格納する方法において、
所定の医療行為に割り当てられる特定のタイプの要素を、それぞれが専用に受ける複数のパーティションを与えるステップと、
複数の医療行為から好ましい医療行為を選択するためのユーザインタフェースを与えるステップと、
複数の医療行為から好ましい医療行為を選択するとき、前記選択された医療行為に応じて、前記選択された行為に使用される正確な前記要素を示す合図を、パーティションの合図手段を介して与えるステップとを有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−512069(P2007−512069A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540700(P2006−540700)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052384
【国際公開番号】WO2005/052618
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】