説明

医療装置及びこの医療装置を備えた医療システム

【課題】検査機器の識別結果に基づいて、予め記憶された設定情報から検査機器による検査処理に適用される設定を選択して設定することで、最適なDICOM規格対応の画像データを出力する。
【解決手段】本発明に係る内視鏡装置2は、内視鏡スコープ3のスコープID情報に基づき種別を識別する識別手段(6、9、13)と、内視鏡スコープ3の種別に応じて実行される処理に関する情報(SOP31)を記憶する記憶部11と、前記識別手段による識別結果に基づいて、前記記憶部11に記憶されている前記SOP31から前記種別に対応するSOP(32〜36)を読み出して設定すると共に、前記種別に対応する情報がない場合には前記記憶部11に記憶されているSOP31から所定の情報(SOP33)を読み出して設定するように切り換える制御部13とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの通信に伴う各種設定を効果的に行うことのできる医療用装置及びこの医療装置を備えた医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院内外で、異なった製造業者(マルチベンダ)の、異なった種類(マルチモダリティ)のディジタル画像機器を、ネットワークで、或いは、画像保存媒体で、相互に接続して、患者の画像検査情報のやり取りや画像データの伝送を可能とする医用画像と通信の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格が注目されている。
【0003】
このDICOM規格では、マルチベンダ、マルチモダリティ間での検査や、治療を実施する前の予約データの管理、撮影した画像データの転送、医療用サーバへの保存、端末からの画像データの検索、保存媒体への保管、プリンターへの出力等、多岐に亘って定められている。
【0004】
前記ディジタル画像機器としては、画像の発生装置(例えば、内視鏡装置等の医療装置、CT、MRI、超音波画像装置、核医学画像装置、CR、フィルムディジタイザ、その他)、画像の保管装置(医療用サーバ等)、画像の表示・処理・診断装置(CRT、ワークステーション等)、画像の印刷装置(レーザイメージャ等)がある。また、これらの機器を有して医療システムが構築されている。
【0005】
前記DICOM規格は、これらの画像機器間を、診療の目的に従って、意味のある相互接続を実現することにより、これまでのフィルムを中心とする画像診療システムの問題点(保管場所不足、フィルムの紛失、遅い配送等)の克服と、新しい画像診療の付加価値(ディジタル画像処理、コンピュータ支援診断、総合画像診断等)が得られることが期待されている。
【0006】
また、前記DICOM規格では、通信における様々な機能のことをサービスと称している。このサービスは、「画像検索」、「検査情報検索」、「画像印刷」など、分野ごとに分けられ、サービスクラスとして定義されている。このサービスクラスの一例としては、ネットワーク相互接続のための「Verification サービス」、画像情報を保存するための「Storage サービス」、サーバから検査画像の検索、取得を行うための「Query/Retrieve サービス」等がある。
【0007】
サービスクラスは、いくつかのSOP(Service Object Pair)からなり、さらに、SOPは、1つのIOD(Information Object Definition)と、1つ以上のDIMSE(DICOM Message Service Element)の組により定義されている。
【0008】
このようなDICOM規格対応のデジタル画像機器を有するシステムにおいて、DICOM通信を行う場合には、サービス要求等を行うDICOMアプリケーションを有する機器(クライアントサーバシステムにおけるクライアントに相当)側のSCU(Service Class Usar)と、このSCUにより要求された操作を行うDICOMアプリケーションを有する機器(医療用サーバーに相当)側のSCP(Service Class Provider)とが存在する必要があり、また、必ずどちらかがSCUとなり、他方がSCPとなる1対1の通信が行われることになる。
【0009】
DICOM規格対応の機器に関連する従来技術としては、例えば、特許文献1に記載の画像診断装置がある。
【0010】
この特許文献1には、画像データ生成手段、医用画像データ及び医用情報を表示するための表示用ソフトウエアを保存する表示ソフトウエア記憶手段、DICOMファイルを生成するDICOMファイル生成手段、及び生成されたDICOMファイルをネットワークを介して医用用ビューワに供給するDICOMファイル供給手段を設けることで、通常のDICOM規格では対応してない医用情報を画像データと共にDICOMファイルとして医用ビューワに供給し、その表示も行えるようにした画像診断装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−81083号公報、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記DICOM規格対応のデジタル画像機器には、例えば内視鏡装置等の医療装置がある。このような医療装置は、通常の可視光検査の他に、特殊光検査や超音波検査も可能であり、このような各種検査を行うために、それぞれの検査に応じた検査機器である内視鏡スコープが着脱自在である。
【0012】
しかしながら、前記したようにDICOM規格では、SCUとSCPとの間で1対1の通信が行われるため、例えば医療装置がSCUに、また医療用サーバがSCPとなる医療システムである場合に、前記医療装置は予め設定されたSOPに基づいて画像データの出力が行われる。
【0013】
そのため、従来のDICOM規格対応の医療装置では、検査画像を全て予め設定されたSOPに基づく可視光検査画像として対応せざるお得ず、すなわち、特殊光検査用内視鏡スコープ又は超音波検査用内視鏡スコープが着脱された場合には、これらの検査に応じたSOPに切り換えて設定することはできないといった問題点があった。
【0014】
前記特許文献1に記載の画像診断装置には、表示ソフトウエア記憶手段、DICOMファイルを生成するDICOMファイル生成手段、及びDICOMファイル供給手段を設けてDICOM規格では対応してない医用情報を画像データと共にDICOMファイルとして医用ビューワに供給することについて開示されているが、DICOM規格対応の医療装置において、モダリティである特殊光検査用内視鏡スコープ又は超音波検査用内視鏡スコープが着脱された場合には、これらの検査に応じたSOPに切り換えて設定することについては何等開示も示唆もされていない。
【0015】
そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、検査機器の識別結果に基づいて、予め記憶された設定情報から検査機器による検査処理に適用される設定を選択して設定することで、最適なDICOM規格対応の画像データを出力することのできる医療装置及びこの医療装置を有する医療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の医療装置は、医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、前記識別手段により得られた前記医療用検査機器の種別に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記情報から前記種別に対応する情報を読み出して設定すると共に、前記種別に対応する情報がない場合には前記記憶手段に記憶されている前記情報から所定の情報を読み出して設定するように切り換える制御手段と、を具備している。
【0017】
また、本発明の医療システムは、医療用検査機器と、医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、前記識別手段により得られた前記医療用検査機器の種別に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記情報から前記種別に対応する情報を読み出して設定すると共に、前記種別に対応する情報がない場合には前記記憶手段に記憶されている前記情報から所定の情報を読み出して設定するように切り換える制御手段とを具備した医療装置と、前記医療装置とネットワークを介して接続して前記医療装置からの画像データの送受が可能な医療用サーバと、を具備している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検査機器の識別結果に基づいて、予め記憶された設定情報から検査機器による検査処理に適用される設定を選択して設定することで、最適なDICOM規格対応の画像データを出力することのできる医療装置及びこの医療装置を有する医療システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1から図4は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は医療装置を備えた医療システムの全体構成を示すブロック図、図2は図1の医療装置の記憶部に記憶されたDICOM規格に基づく複数のSOPを説明するための説明図、図3は図1の医療装置及び光源装置に着脱自在な複数種の内視鏡スコープを示す説明図、図4は図1の医療装置の作用を説明するための制御部の制御例を示すフローチャートである。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の医療システム1は、医療装置を構成するDICOM規格対応の内視鏡装置2と、この内視鏡装置2及び光源装置4に着脱自在に接続可能な検査機器を構成する内視鏡スコープ3と、前記内視鏡装置2及び前記内視鏡スコープ3に接続され、内視鏡スコープ3による検査を行う場合に必要な照明光を発生させる光源装置4と、前記内視鏡装置2とネットワークを介して接続される医療用サーバである画像サーバ5とを有して構成されている。尚、前記内視鏡装置2及び前記光源装置4は、前記検査機器を構成している。
【0022】
前記内視鏡スコープ3は、例えば挿入部先端側内部に設けられ、被検体を撮像するための固体撮像素子(CCD)3aと、この内視鏡スコープ3の種類を示すスコープID等の識別情報が予め格納されたEPROM等の記憶部3bとを有している。
【0023】
前記内視鏡スコープ3としては、例えば図3に示すように、通常の可視光検査を行う可視光検査用内視鏡スコープ3Aと、超音波を用いて超音波検査を行う超音波検査用内視鏡スコープ3Bと、特殊光を用いて特殊光検査を行う特殊光検査用内視鏡スコープ3Cとがある。
【0024】
このような内視鏡スコープ3A〜3Cは、周知のように体腔内に挿入される細長形状の挿入部3xと、この挿入部3xの基端側に設けられた把持部3yと、ユニバーサルコードの基端側に設けられ前記内視鏡装置2に着脱自在に装着可能なコネクタ部3zとをそれぞれ有して構成されている。尚、このような内視鏡スコープ3A〜3Cは、周知の技術であり、また発明の主要部ではないので具体的な構成については説明を省略する。
【0025】
そして、このような内視鏡スコープ3A〜3Cの内の何れかの内視鏡スコープ3が検査内容に応じて選択される。そして選択された内視鏡スコープ3のコネクタ部3zは、図3に示すように光源装置4のコネクタ部2Aに差し込むことでこの内視鏡スコープ3が光源装置4に接続され、またこの内視鏡スコープ3は図示しないスコープケーブルを介して内視鏡装置2に接続される。
【0026】
このとき、前記内視鏡スコープ3が光源装置4及び内視鏡装置2に接続された場合には、前記内視鏡スコープ3の記憶部3bに格納されているスコープID等の識別情報が前記スコープケーブル(図示せず)を介して前記内視鏡装置2内の後述するスコープインターフェース部6によって取り込まれるようになっている。
【0027】
また、前記光源装置4と前記内視鏡スコープ3とを接続する前記スコープケーブル内には、照明光を伝送するライトガイドケーブルが設けられており、前記光源装置4は、この光源装置4の照明光を前記内視鏡スコープ3のライトガイドに供給し、前記内視鏡スコープ3の挿入部3xが剌入された患者の体腔内の患部等を照明する。
【0028】
そして、内視鏡スコープ3は、挿入部3x先端部内に設けられた図示しない観察光学系による患部等の光学像を、前記挿入部3x先端部内に設けられたCCD3aにより撮像し、撮像した撮像信号をユニバーサルコードを介して内視鏡装置2へと伝送する。
【0029】
次に、前記内視鏡スコープ3に照明光を供給する光源装置4の構成について説明する。図1に示すように、前記光源装置4は、前記内視鏡装置2と通信を行うためのCCU通信インターフェース部14と、照明光を発生するための光源であるランプ15と、このランプ15の光量を調整する光量調節部16と、前記特殊光検査用内視鏡スコープ3Cが接続された場合に特殊光を生成するための特殊光フィルタの駆動を制御する特殊光フィルター制御部17と、このようなブロックを含み光源装置4全体を制御する制御部18とを有して構成されている
前記CCU通信インターフェース部14は、前記内視鏡装置2の後述する光源通信インターフェース部9に電気的に接続して通信を行うためのインターフェースであり、例えば光源フィルタの選択操作が行われた場合には、選択された光源フィルタの種別等の識別情報を前記内視鏡装置2の光源通信インターフェース部9に送信するようになっている。
【0030】
次に、本発明の医療装置を構成する内視鏡装置2、及び画像サーバ5の具体的な構成について説明する。
図1に示すように、前記内視鏡装置2は、DICOM規格に対応したデジタル画像機器であって、スコープインターフェース部6と、画像生成部7と、メモリ8と、画像処理部10と、記憶部11と、ネットワークインターフェース部12と、制御部13とを有して構成されている。尚、前記内視鏡スコープ3の記憶部3b、前記内視鏡装置2の前記スコープインターフェース部6、光源通信インターフェース部9及び前記制御部13、前記光源装置4のCCU通信インターフェース部14は、前記識別手段を構成している。
【0031】
前記スコープインターフェース部6は、前記内視鏡スコープ3が着脱自在で且つ電気的に接続するためのインターフェースであり、前記内視鏡スコープ3が内視鏡装置2に接続された場合には、前記内視鏡スコープ3の記憶部3bに格納されているスコープID等の識別情報を取り込み、スコープID処理部6aによって処理した後に制御部13に出力する。
【0032】
前記画像生成部7は、前記内視鏡スコープ3のCCD3aにより撮像された撮像信号を取り込み、信号処理して制御部13を介して画像処理部10に出力する。メモリ8は、前記内視鏡スコープ3により得られた内視鏡画像等のデータを記憶する。
【0033】
前記光源通信インターフェース部9は、前記光源装置4のCCU通信インターフェース部14に電気的に接続して通信を行うためのインターフェースであり、例えば光源装置4の光源フィルタの選択操作が行われた場合には、選択された光源フィルタの種別等の識別情報が前記光源装置4から送信され、この送信された前記識別情報を受信して取り込み、前記制御部18に出力する。
【0034】
前記画像処理部10は、前記画像生成部7を介して供給された画像データに対し、接続された図示しない表示装置、及びネットワークインターフェース部12を介して接続された前記画像サーバ5に出力するために必要な処理を施す。
【0035】
例えば、前記画像処理部10は、ネットワークインターフェース部12を介して画像サーバ5に画像データを出力する場合には、制御部13の制御によりDICOM規格対応の画像データとなるように前記画像データに対し所定の処理を施す。
【0036】
前記ネットワークインターフェース部12は、ネットワークを介して画像サーバ5と電気的に接続するためのインターフェースであり、前記画像処理部10より処理された内視鏡画像等のDICOM規格対応の画像データをネットワークを介して前記画像サーバ5に出力する。
【0037】
本実施の形態では、内視鏡装置3内の前記記憶部11には、前記医療用検査機器を構成する内視鏡スコープ3及び光源装置4の光源フィルタの種別に応じて実行される処理に関する情報が記憶されている。
【0038】
すなわち、前記情報は、DICOM規格で規定されている複数のSOPに対応した情報である。
【0039】
具体的には、前記記憶部11は、例えば出力するDICOM規格の画像データを表示するのに必要なOS等のプログラム情報を記憶したOS部11aと、DICOM規格で規定されている複数のSOPに対応する情報を記憶したアプリケーション部11bとを有している。
【0040】
このアプリケーション部11bに記憶されている情報は、図2に示すように、例えばDICOM規格のサービスクラス(SERVICE CLASS)30を含む情報であり、このサービスクラス30は、複数のSOP31を有して構成されている。
【0041】
この場合、複数のSOP31としては、図2に示すように、SOP32からSOP35を有している。詳しく説明すると、図2に示すように、例えば、SOP32は、(Ultrsoud Multl-frame Image Storage )に関するSOPであり、超音波検査用内視鏡スコープ3Bによる超音波観察の画像データ処理に伴う情報である。
【0042】
SOP33は、(Secondary Capture Image Storage )に関するSOPであり、あらゆるデジタル画像機器の画像データに対応可能な汎用性を重視した処理に基づく情報である。
【0043】
SOP34は、(VL Endoscopic Image Storage )に関するSOPであり、光学的な内視鏡スコープ、具体的には可視光検査用内視鏡スコープ3Aにより得られる静止画の画像データの処理に伴う情報である。
【0044】
SOP35は、(Video Endoscopic Image Storage )に関するSOPであり、光学的な内視鏡スコープ、具体的には可視光検査用内視鏡スコープ3Aにより得られる動画の画像データの処理に伴う情報である。
【0045】
また、SOP36は、(Special Light Endoscopic Image Storage )に関するSOPであり、前記SOP32からSOP35以外の内視鏡画像データ、例えば特殊光検査用内視鏡スコープ3Cにより得られる画像データ等の画像データ処理に伴う情報である。
【0046】
尚、前記サービスクラス30の前記SOP31は、前記したようなSOP32〜36に限定されるものではなく、接続される医療用検査機器に対応するようなDICOM規格に基づくSOPであれば増やしても良い。また、汎用性を重視した前記SOP33は、前記特定の情報を構成している。さらに、前記SOP36は、前記情報に限定されるものではなく、これ以外でも予め設定された情報を用いても良い。
【0047】
前記制御部13は、前記医療システム1全体及び内視鏡装置3全体を制御するものである。
【0048】
本実施の形態では、前記制御部13は、前記スコープID処理部6aからのスコープID情報に基づき、接続された内視鏡スコープ3の種別(具体的には可視光検査用内視鏡スコープ3A、超音波検査用内視鏡スコープ3B、特殊光検査用内視鏡スコープ3C)を識別し、この識別結果による種別に基づき、記憶部11のアプリケーション部11bに記憶されている前記SOP31から前記種別に対応するSOPを読み出して設定すると共に、前記種別に対応するSOPがない場合には前記アプリケーション部11bに記憶されている前記SOP31から所定の情報である前記SOP22を読み出して設定するように切り換え制御する。
【0049】
このような制御例の一例を示すフローチャートが図4に示されている。
【0050】
次に、本実施の形態の医療システム1の制御動作を図4を参照しながら説明する。
【0051】
本実例の医療システム1においては、電源を投入すると、内視鏡装置2の制御部13は、図示しない内部のメモリに記憶された図4に示す検査機器識別のためのプログラムを読み出して起動する。
【0052】
図4に示すように、制御部13は、ステップS1の処理により、図3に示す内視鏡スコープ3A〜3Cの内の何れかの内視鏡スコープ3が検査内容に応じて選択され、選択された内視鏡スコープ3のコネクタ部3zが光源装置4のコネクタ部2Aに差し込まれると同時にこの内視鏡スコープ3が図示しないスコープを用いて内視鏡装置3に接続されると、この接続された内視鏡スコープ3の記憶部3bに格納されているスコープID等の識別情報を、スコープケーブル、スコープインターフェース部6及びスコープID処理部6aを介して取り込む。
【0053】
そして、制御部13は、ステップS2の判断処理により、前記スコープID処理部6aからのスコープID情報が通常光スコープである可視光検査用内視鏡スコープ3Aであるか否かを識別し、そうである場合にはステップS3に処理を移行し、そうでない場合にステップS4に処理を移行する。
【0054】
スコープID情報が可視光検査用内視鏡スコープ3Aであると識別した場合、前記制御部13は、ステップS3の処理にて、(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33と、(VL Endoscopic Image Storage )に関するSOP34と、(Video Endoscopic Image Storage )に関するSOP35とを記憶部11のアプリケーション部11bから読み出して、これらSOP33〜35を、デフォルトとして採用するSOPクラスとして設定し、この検査機器識別プログラムを終了させる。
【0055】
尚、この場合、前記SOP33〜35の間で優先順位を設け、例えば(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33が優先順位が最下位になるように設定しても良い。
【0056】
一方、スコープID情報が可視光検査用内視鏡スコープ3Aでないと識別した場合、前記制御部13は、ステップS4の判断処理にて、スコープID情報が超音波検査用内視鏡スコープ3Bであるか否かを識別し、そうである場合にはステップS5に処理を移行し、そうでない場合にステップS6に処理を移行する。
【0057】
スコープID情報が超音波検査用内視鏡スコープ3Bであると識別した場合、前記制御部13は、ステップS5の処理にて、(Ultrsoud Multl-frame Image Storage )に関するSOP32及び(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33を記憶部11のアプリケーション部11bから読み出して、これらSOP32、33を採用するSOPクラスとして設定し、この検査機器識別プログラムを終了させる。
【0058】
尚、この場合、前記SOP32、33の間で優先順位を設け、例えば(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33が優先順位が最下位になるように設定しても良い。
【0059】
一方、スコープID情報が超音波検査用内視鏡スコープ3Bでないと識別した場合、前記制御部13は、ステップS6の判断処理にて、スコープID情報が特殊光検査用内視鏡スコープ3Cであるか否かを識別し、そうである場合にはステップS7に処理を移行し、そうでない場合にこの検査機器識別プログラムを終了させる。
【0060】
スコープID情報が特殊光検査用内視鏡スコープ3Cであると識別した場合、前記制御部13は、ステップS6の処理にて、(Special Light Endoscopic Image Storage )に関するSOP36及び(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33を記憶部11のアプリケーション部11bから読み出して、これらSOP36、33を採用するSOPクラスとして設定し、この検査機器識別プログラムを終了させる。
【0061】
尚、この場合、前記SOP36、33の間で優先順位を設け、例えば(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33が優先順位が最下位になるように設定しても良い。
【0062】
このように検査機器識別プログラムが実行されることで、内視鏡装置2に接続された内視鏡スコープ3の種別に応じて最適な処理を行うためのSOPが自動的に設定されることになる。
【0063】
また、前記制御部13は、内視鏡スコープ3の種別結果がいずれの内視鏡スコープ3でない場合には、記憶部11のアプリケーション部11bに記憶されている汎用性のある(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33を設定するようになっている。
【0064】
その後、前記制御部13は、前記画像処理部10を用いて、供給される画像データに対し、設定されたSOP31に基づきDICOM規格対応の画像データとなるように所定の処理を施す。そして、前記制御部13は、この画像処理部10にて生成したDICOM規格適用の画像データをネットワークインターフェース部12に供給して、ネットワークを介して前記画像サーバ5に出力する。
【0065】
従って、第1の実施の形態によれば、検査機器である内視鏡スコープ3の識別結果に基づいて、予め記憶された設定情報から識別結果に基づき内視鏡スコープ3による検査処理に適用されるSOPを選択して設定することで、最適なDICOM規格対応の画像データを画像サーバ5に出力することができる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図5及び図6は本発明の第2の実施の形態に係り、図5は光源装置の光源フィルタが選択された場合にその光源フィルタの識別情報が内視鏡装置に供給される状態を示す説明図、図6は第2の実施の形態の医療装置の作用を説明するための制御部の制御例を示すフローチャートである。
【0067】
第2の実施の形態では、医療用検査機器が光源フィルターに関する情報を有する光源装置4であり、前記制御部13は、光源装置4の光源フィルターに関する情報に基づいて前記光源フィルタの種別を識別し、最適なSOPを設定するように制御する。
【0068】
尚、第2の実施の形態の医療システム1の全体構成は、前記第1の実施の形態と略同様であり、内視鏡装置2の制御部13により制御例が異なる。
【0069】
すなわち、第2の実施の形態では、前記制御部13は、前記光源装置4のCCU通信インターフェース部14との通信により得られる光源フィルタの種別等の識別情報に基づき、選択された光源装置4の光源フィルタの種別(具体的には通常光が選択された場合には、光源フィルタを使用しないこと、また、通常光ではなく特殊光が選択された場合には特殊光用光源フィルタを使用すること等、図5参照)を識別し、この識別結果による種別に基づき、記憶部11のアプリケーション部11bに記憶されている前記SOP31から前記種別に対応するSOPを読み出して設定すると共に、前記種別に対応するSOPがない場合には前記アプリケーション部11bに記憶されている前記SOP31から所定の情報である前記SOP22を読み出して設定するように切り換え制御する。
【0070】
このような制御例の一例を示すフローチャートが図6に示されている。
【0071】
次に、本実施の形態の医療システムの制御動作を図6を参照しながら説明する。
【0072】
本実例の医療システム1においては、電源を投入すると、内視鏡装置2の制御部13は、図示しない内部のメモリに記憶された図6に示す検査機器識別のためのプログラムを読み出して起動する。
【0073】
図6に示すように、制御部13は、ステップS10の処理により、図5に示す光源装置4の光源フィルタが検査内容に応じて選択されると、この選択された光源フィルタの種別等の識別情報を光源装置4のCCU通信インターフェース部14との通信により光源通信インターフェース部9を介して取り込む。
【0074】
そして、制御部13は、取り込んだ前記識別情報が、通常光が選択され光源フィルタを使用しないものであるか否かを識別し、そうである場合にはステップS3に処理を移行し、そうでない場合にステップS11に処理を移行する。
【0075】
識別情報が通常光が選択されて光源フィルタを使用しないものであると識別した場合、前記制御部13は、ステップS3の処理にて、(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33と、(VL Endoscopic Image Storage )に関するSOP34と、(Video Endoscopic Image Storage )に関するSOP35とを記憶部11のアプリケーション部11bから読み出して、これらSOP33〜35を、デフォルトとして採用するSOPクラスとして設定し、この検査機器識別プログラムを終了させる。
【0076】
尚、この場合、前記SOP33〜35の間で優先順位を設け、例えば(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33が優先順位が最下位になるように設定しても良い。
【0077】
一方、識別情報が通常光が選択され光源フィルタを使用しないものでないと識別した場合、前記制御部13は、ステップS11の判断処理にて、識別情報が、特殊光が選択された場合に用いられる特殊光の光源フィルタであるか否かを識別し、そうである場合にはステップS12に処理を移行し、そうでない場合にステップ13に処理を移行する。
【0078】
識別情報が特殊光の光源フィルタであると識別した場合、前記制御部13は、ステップS12の処理にて、(Special Light Endoscopic Image Storage )に関するSOP36及び(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33を記憶部11のアプリケーション部11bから読み出して、これらSOP36、33を採用するSOPクラスとして設定し、この検査機器識別プログラムを終了させる。
【0079】
尚、この場合、前記SOP36、33の間で優先順位を設け、例えば(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33が優先順位が最下位になるように設定しても良い。
【0080】
一方、識別情報が特殊光の光源フィルタでないと識別した場合、前記制御部13は、ステップS13の判断処理にて、光源装置4の電源がOFFであるか否かを判定し、OFFである場合にはステップS14に処理を移行し、OFFでない場合にこの検査機器識別プログラムを終了させる。
【0081】
光源装置4の電源がOFFであると判別した場合、前記制御部13は、ステップS14の処理にて、(Ultrsoud Multl-frame Image Storage )に関するSOP32及び(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33を記憶部11のアプリケーション部11bから読み出して、これらSOP32、33を採用するSOPクラスとして設定し、この検査機器識別プログラムを終了させる。
【0082】
尚、この場合、前記SOP32、33の間で優先順位を設け、例えば(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33が優先順位が最下位になるように設定しても良い。
【0083】
このように検査機器識別プログラムが実行されることで、内視鏡装置2に接続された光源装置4の光源フィルタの種別に応じて最適な処理を行うためのSOPが自動的に設定されることになる。
【0084】
また、前記制御部13は、光源装置4の光源フィルタの種別結果がいずれの光源フィルタでない場合には、記憶部11のアプリケーション部11bに記憶されている汎用性のある(Secondary Capture Image Storage )に関するSOP33を設定するようになっている。
【0085】
その後、前記制御部13は、前記第1の実施の形態と同様に、前記画像処理部10を用いて、供給される画像データに対し、設定されたSOP31に基づきDICOM規格対応の画像データとなるように所定の処理を施す。そして、前記制御部13は、この画像処理部10にて生成したDICOM規格適用の画像データをネットワークインターフェース部12に供給して、ネットワークを介して前記画像サーバ5に出力する。
【0086】
従って、第2の実施の形態によれば、検査機器である光源装置4の光源フィルタの識別結果に基づいて、予め記憶された設定情報から識別結果に基づき光源装置4の光源フィルタによる検査処理に適用されるSOPを選択して設定することで、最適なDICOM規格対応の画像データを画像サーバ5に出力することができる。その他の効果は前記第1の実施の形態と同様である。
【0087】
尚、前記第1及び前記第2の実施の形態では、医療用検査機器として内視鏡スコープ3及び光源装置4の光源フィルタを用いた場合について説明したが、これ以外の医療用検査機器を用いた場合も同様の作用、効果が得られる。
【0088】
本発明は、以上述べた実施例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0089】
[付記]
(付記項1)
医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、
前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された第1の情報を設定する設定手段と、
前記識別手段により得られた前記医療用検査機器の種別に対応する第2の情報が存在する場合に、前記第1の情報をに切り換えてこの第2の情報を設定する制御手段と、
を具備したことを特徴とする医療装置。
【0090】
(付記項2)
医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、
前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記医療用検査機器に対応する所定の処理を設定する設定手段と、
前記識別手段による識別結果に基づき、前記所定の処理よりも前記医療用検出機器に対して適した処理が存在する場合に、前記所定の処理の代替処理を設定すると共に前記代替処理とは別に前記医療用検査機器に適した処理を設定するように切り換える制御手段と、
を具備したことを特徴とする医療装置。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係り医療装置を備えた医療システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】図1の医療装置の記憶部に記憶されたDICOM規格に基づく複数のSOPを説明するための説明図。
【図3】図1の医療装置及び光源装置に着脱自在な複数種の内視鏡スコープを示す説明図。
【図4】図1の医療装置の作用を説明するための制御部の制御例を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係り、光源装置の光源フィルタが選択された場合にその光源フィルタの識別情報が内視鏡装置に供給される状態を示す説明図。
【図6】第2の実施の形態の医療装置の作用を説明するための制御部の制御例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0092】
1…医療システム、
2…内視鏡装置、
2A…コネクタ部、
3…内視鏡スコープ、
3A…可視光検査用内視鏡スコープ、
3B…超音波検査用内視鏡スコープ、
3C…特殊光検査用内視鏡スコープ、
3a…CCD、
3b…記憶部、
3x…挿入部、
3z…コネクタ部、
3y…把持部、
4…光源装置、
5…画像サーバ、
6…スコープインターフェース部、
6a…スコープID処理部、
7…画像生成部、
8…メモリ、
9…光源通信インターフェース部、
10…画像処理部、
11…記憶部、
11b…アプリケーション部、
12…ネットワークインターフェース部、
13…制御部、
14…CCU通信インターフェース部、
15…ランプ、
16…光量調節部、
17…特殊光フィルター制御部、
18…制御部、
30…サービスクラス、
31〜36…SOP。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、
前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記識別手段により得られた前記医療用検査機器の種別に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記情報から前記種別に対応する情報を読み出して設定すると共に、前記種別に対応する情報がない場合には前記記憶手段に記憶されている前記情報から所定の情報を読み出して設定するように切り換える制御手段と、
を具備したことを特徴とする医療装置。
【請求項2】
前記医療用検査機器は着脱自在で且つ種別のためのスコープID情報を有する内視鏡であり、前記識別手段は前記内視鏡のスコープID情報に基づいて前記医療用検査機器の種別を識別することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記医療用検査機器は光源フィルターに関する情報を有する光源装置であり、前記識別手段は前記光源装置の前記光源フィルターに関する情報に基づいて前記医療用検査機器の種別を識別することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記記憶手段に記憶する情報は、DICOM規格で規定されている複数のSOPに対応した情報であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項5】
医療用検査機器と、
医療用検査機器の種別を識別する識別手段と、前記医療用検査機器の種別に応じて実行される処理に関する情報を記憶する記憶手段と、前記識別手段により得られた前記医療用検査機器の種別に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記情報から前記種別に対応する情報を読み出して設定すると共に、前記種別に対応する情報がない場合には前記記憶手段に記憶されている前記情報から所定の情報を読み出して設定するように切り換える制御手段とを具備した医療装置と、
前記医療装置とネットワークを介して接続して前記医療装置からの画像データの送受が可能な医療用サーバと、
を具備したことを特徴とする医療システム
【請求項6】
前記医療用検査機器は着脱自在で且つ種別のためのスコープID情報を有する内視鏡であり、前記医療装置の前記識別手段は前記内視鏡のスコープID情報に基づいて前記医療用検査機器の種別を識別することを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項7】
前記医療用検査機器は光源フィルターに関する情報を有する光源装置であり、前記医療装置の前記識別手段は前記光源装置の前記光源フィルターに関する情報に基づいて前記医療用検査機器の種別を識別することを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項8】
前記医療装置の前記記憶手段に記憶する情報は、DICOM規格で規定されている複数のSOPに対応した情報であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の医療システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−39431(P2009−39431A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210002(P2007−210002)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】