説明

医薬品と水とのセット包装体

【課題】小容量の医薬品を服用する時に必要な量の水を得ることができるような、小容量の医薬品と服用するための水とを一体としたセット包装体として販売し、消費者に利便性をもたらすことができる医薬品と水とのセット包装体を提供する。
【解決手段】本発明は、1〜3回服用する量の医薬品を収納した医薬品包装体と、前記医薬品を服用するに足る量の水を収納し蓋材で密封したカップ容器と、前記蓋材の上に置いた前記医薬品包装体を覆っているキャップとを一体としてなることを特徴とする医薬品と水とのセット包装体であり、カップ容器の上縁にキャップを嵌合して一体とした形状、あるいは、カップ容器とキャップをシュリンク包装して一体とした形状とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品と水とのセット包装体であり、さらに詳しくは、医薬品を収納した医薬品包装体と水を収納したカップ容器とキャップとを一体とした形状の医薬品と水とのセット包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、錠剤、粉末剤、カプセル剤等の経口投与される医薬品は、水等の液体と一緒に服用されている。特に、粉末剤においては、水等の液体がないと服用することが極めて困難なだけでなく、食道に薬がくっついたりすることでその場で溶けて食道に炎症を起こすこともある。最近では、水道水ではなく容器に入った飲料用の水を購入する生活習慣も一般化しており、医薬品を購入した場合、服用するための水を、別途購入している。
【0003】
また、従来、コンビニエンスストア等の一般小売店では医薬品は販売できなかったが、改正薬事法の2006年度改正(医薬品販売制度の改正)により、医薬品の販売が解禁されることになり、風邪薬、解熱鎮痛剤等の販売が一般小売店でも始まることが予想されている。特に、コンビニエンスストアでは、緊急対応の場合、外出先で必要な場合などに対応した1回分〜数回分の小容量の医薬品がメインに販売される可能性がある。カップの上にトレー容器を重ねた複合容器の形状は提案されている(例えば引用文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3241474号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように小容量の医薬品、例えば1回分の医薬品を購入する場合に、わずかな分量で済むところを従来から販売されている水の容量は500ml以上であり、500mlのボトル入りの水を購入することは、消費者にとってのコスト負担も大きく、服用後の残量も多くなり無駄になることが多い。また、医薬品と水とを別々に購入することも不便であった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、小容量の医薬品を服用する時に必要な量の水を得ることができるような、小容量の医薬品と服用するための水とを一体としたセット包装体として販売し、消費者に利便性をもたらすことができる医薬品と水とのセット包装体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、請求項1記の発明は、1〜3回服用する量の医薬品を収納した医薬品包装体と、前記医薬品を服用するに足る量の水を収納し蓋材で密封したカップ容器と、前記蓋材の上に置いた前記医薬品包装体を覆っているキャップとを一体としてなることを特徴とする医薬品と水とのセット包装体である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、カップ容器の上縁にキャップを嵌合して一体としたことを特徴とする医薬品と水とのセット包装体である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、カップ容器とキャップをシュリンク包装して一体としたことを特徴とする医薬品と水とのセット包装体である。
【発明の効果】
【0010】
上述のように、本発明は、小容量の医薬品と服用するための水とを一体としたセット包装体とすることによって、小容量の医薬品を服用する時に必要な量の水を得ることができるような、小容量の医薬品と服用するための水とを一体としたセット包装体として販売し、消費者に利便性をもたらすことができる。
【0011】
また、カップ容器とすることによって、そのまま水を飲むことが容易であるという効果を有している。
【0012】
さらに、カップ容器を紙カップにすることによって、使用後に、容易に廃棄することができるという効果を有している。
【0013】
特に、コンビニエンスストア等の一般小売店では医薬品は販売できなかったが、改正薬事法の2006年度改正(医薬品販売制度の改正)により、医薬品の販売が解禁されることになり、風邪薬、解熱鎮痛剤等の販売が一般小売店でも始まることが予想され、コンビニエンスストアで、販売されると、消費者にとって、夜間などの緊急対応の場合、あるいは、外出先で必要な場合などに、小容量(1回分〜数回分)の医薬品を購入することができると共に医薬品を服用するのに必要な水を必要量だけ同時に購入することができ、利便性が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
【0015】
本発明のセット包装体1は、1〜3回服用する量の医薬品を収納した医薬品包装体10と、医薬品を服用するに足る量の水を収納したカップ容器20と、該カップ容器の蓋材の上に載置した医薬品包装体を覆っているキャップ30とからなり、図1に示すように、医薬品包装体10とカップ容器20とキャップ30を一体とした商品としていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明のセット包装体1における医薬品包装体10は、1〜3回服用する小容量の医薬品を収納したものであり、例えば、図2−a、bに示すような1回分の医薬品が分包された小袋10a、10bの形状、図2−cに示すようなPTP包装体10c等とすることができる。さらに、図2−dに示すような分包された小袋あるいはPTP包装体をさらに包装した箱10d等の形状とすることができる。
【0017】
また、図2−aに示すような小袋の場合、軟包装材による包装袋状であり、3方シール包装袋、4方シール包装袋であってもよい。
【0018】
そして、小袋に使用する素材は、通常軟包装材料に使用されている内面にヒートシーラント層を有するものであればどのような積層構成を有するものでもよい。その積層構成の一例を挙げれば、例えば、表面から順に次の如き構成を有するものである。
2軸延伸ポリプロピレン樹脂20mμ/印刷層/接着層(ドライラミネート用)/蒸着層/無延伸ポリプロピレン樹脂25mμ
なお、印刷は公知のいかなる方法によってもよいが、軟包装材の場合には、グラビア印刷法がもっとも効果的に使用できる。
【0019】
また、図2−dに示すように、医薬品包装体10の材料として板紙を使用した箱10dとし、この箱10dの中に医薬品を収納した小袋10a、10bあるいはPTP包装体10cを収納することができる。
【0020】
本発明のセット包装体1におけるカップ容器20は、小容量の医薬品を服用するのに必要な量の水を収納したカップ形状の容器であり、図3−aに示すような開口部にトップカール部22を有する紙カップあるいは図3−bに示すような開口部にフランジ部23を有するプラスチックカップである。通常、内容物は医薬品を服用するための水であるが、水以外にも、薬品によっては、茶類、ジュース、牛乳、コーヒー等とすることもできる。容量としては、一体としている医薬品を服用するのに十分な量とする。具体的には、1回分の場合、150〜200ccの範囲である。カップ容器20に水等の内容物を充填した後は、開口部を蓋材21で密封する。
【0021】
本発明のセット包装体1におけるキャップ30は、水等を充填したカップ容器20の開口部を密封した蓋材21の上に載置した医薬品を収納した医薬品包装体10を覆い、かつ、カップ容器20と一体することができる形態であり、キャップ30の形状は、カップ形状、半球形状等とすることができる。中でも、カップ形状とすることが、形が安定していること、製造上簡便である等の点から好ましい。従って、カップ容器20と同様に、図4−aに示すような紙カップ形状あるいは図4−bに示すようなプラスチックカップ形状とすることができる。プラスチックカップ形状の場合、透明な材料を使うことによって、中の医薬品包装体10を外側から見ることができるキャップ30とすることができる。
【0022】
本発明のセット包装体1において、医薬品包装体10とカップ容器20とキャップ30を一体とする方法は、内容物である水Wを充填したカップ容器20の密封した蓋材21の上に、医薬品包装体10を載置して、その医薬品包装体10を覆うようにキャップ30をカップ容器20の上に置く。医薬品包装体10とカップ容器20とを一体とする具体的な方法は、一つには、図5−aに示すように、カップ容器20にキャップ30を被せて嵌合する方法であり、もう一つには、図5−bに示すように、カップ容器20とキャップ30とをシュリンク包装する方法である。前者のカップ容器20にキャップ30を被せて嵌合する方法では、紙カップであればトップカール部22、プラスチックカップであればフランジ部23で係止するように嵌合する方法であり、カップ容器20とキャップ30を繋いでシール24を貼った形状とすることもできる。後者のカップ容器20とキャップ30とをシュリンクフィルム25を使用してシュリンク包装する方法では、カップ容器20の上部とキャップ30とをシュリンク包装する方法が好ましい。
【0023】
いずれの形態においても、店頭等で簡単に容器から医薬品を収納した医薬品包装体10だけを取り外すことが難しい形状とすることが好ましい。
【実施例】
【0024】
つぎに、本発明のセット包装体について実施例を挙げて、さらに具体的に説明する。
【0025】
<実施例1>
本実施例のセット包装体1Aは、1回服用する量の医薬品を収納した医薬品包装体10Aと、医薬品を服用するに足る量の水Wを収納したカップ容器20Aと、該カップ容器の蓋材の上に載置した医薬品包装体を覆っているキャップ30Aとからなり、図6に示すように、医薬品包装体10Aとカップ容器20Aとキャップ30Aを一体とした商品としている。
【0026】
医薬品包装体10Aは、1回服用する量の医薬品を収納した4方シール包装袋とした。
【0027】
カップ容器20Aは、上縁にトップカール部22を有し、高さ110mm、開口部の直径70.5mmの紙カップとした。このカップ容器20Aに200ccの水Wを充填し、蓋材21を開口部のトップカール部22で熱シールした。つぎに、シールした蓋材21の上に医薬品を収納した4方シールした小袋形状の医薬品包装体10Aを載置した。さらに、その医薬品包装体10Aを覆いカップ容器20Aの上縁のトップカール部22で係止するようにキャップ30Aを上から被せた。この時、キャップ30を被せることにより、医薬品包装体10Aをカップ容器20Aの蓋材21の上に固定し保持できる形状とし、セット包装体1Aの中で医薬品包装体10Aが移動しないようにした。さらにまた、カップ容器20Aとキャップ30Aとをシール24で封をして、医薬品包装体10Aとカップ容器20Aとキャップ30Aを一体としたセット包装体1Aとした。
【0028】
<実施例2>
本実施例のセット包装体1Bは、1回服用する量の医薬品を収納した医薬品包装体10Bと、医薬品を服用するに足る量の水を収納したカップ容器20Bと、該カップ容器の蓋材の上に載置した医薬品包装体を覆っているキャップ30Bとからなり、図7に示すように、医薬品包装体10Bとカップ容器20Bとキャップ30Bを一体とした商品としている。
【0029】
医薬品包装体10Bは、1回服用する量の医薬品を収納したPTP包装体とした。
【0030】
カップ容器20Bは、上縁にフランジ部23を有し、高さ110mm、開口部の直径70.5mmのプラスチックカップとした。このカップ容器20Bに200ccの水を充填し、蓋材21を開口部のフランジ部23で熱シールした。つぎに、シールした蓋材21の上に医薬品を収納したPTP包装体の医薬品包装体10Bを載置した。さらに、その医薬品包装体10Bを覆いカップ容器20Bの上にキャップ30Aを上から置いた。ついで、カップ容器20Bの上部とキャップ30Bとをシュリンク包装することにより、医薬品包装体10Bとカップ容器20Bとキャップ30Bを一体としたセット包装体1Bとした。
【産業上の利用可能性】
【0031】
コンビニエンスストア等の一般小売店では医薬品は販売ができなかったが、改正薬事法の2006年度改正(医薬品販売制度の改正)により、医薬品の販売が解禁されることになり、風邪薬、解熱鎮痛剤等の販売が一般小売店でも始まることが予想され、特に、コンビニエンスストアで、販売される可能性があり、小容量(1回分〜数回分)の医薬品を販売すると共に医薬品を服用するのに必要な水も同時に販売する場合の医薬品と水とのセット包装体として、広く利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるセット包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のセット包装体の医薬品包装体の例を示す平面図である。
【図3】図1のセット包装体のカップ容器の例を示す斜視図である。
【図4】図1のセット包装体のキャップの例を示す斜視図である。
【図5】本発明のセット包装体における医薬品包装体とカップ容器とキャップと一体とする方法を示す断面図である。
【図6】本発明によるセット包装体の一実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明によるセット包装体の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 セット包装体
1A セット包装体
1B セット包装体
10 医薬品包装体(セット包装体1の)
10A 医薬品包装体(セット包装体1Aの)
10B 医薬品包装体(セット包装体1Bの)
20 カップ容器
21 蓋材
22 トップカール部
23 フランジ部
24 シール
25 シュリンクフィルム
30 キャップ
W 水


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜3回服用する量の医薬品を収納した医薬品包装体と、前記医薬品を服用するに足る量の水を収納し蓋材で密封したカップ容器と、前記蓋材の上に置いた前記医薬品包装体を覆っているキャップとを一体としてなることを特徴とする医薬品と水とのセット包装体。
【請求項2】
前記カップ容器の上縁に前記キャップを嵌合して一体としたことを特徴とする請求項1に記載の医薬品と水とのセット包装体。
【請求項3】
前記カップ容器と前記キャップをシュリンク包装して一体としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の医薬品と水とのセット包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−273606(P2008−273606A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121820(P2007−121820)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】