説明

医薬品のホスフェート誘導体

本発明に従って、(a)フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有する1以上のオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の1以上のホスフェート誘導体;と(b)両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸を多く含むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤との反応生成物を含むオピオイド、ホルモン、麻酔薬、及び化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品の複合体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド鎮痛剤、化学療法薬、麻酔薬、及びホルモンのホスフェート誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中では、文献、文書、又は知識が参照又は考察される場合、該参照又は考察は、該文献、文書、又は知識、或いはそれらの組み合わせが、優先日において一般的な常識であったということ、又は本明細書に係る問題を解決する試みに関与すると知られていることを認めるものではない。
【0003】
本発明は、アヘン、モルヒネ、テストステロン、チロキシン、又はアルファキサロンなどの特定の化合物に関して記載されるが、本発明がそのように制限されると理解すべきではなく、より一般的にフェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド鎮痛剤、化学療法薬、及びホルモンに適用されると理解すべきである。
【0004】
オピオイド鎮痛剤
アヘンは、花の花弁が落ちた後に、種子さやに切れ込みを入れることにより、ケシ、パパヴェール・ソムニフェルム(Papaver somniferum)から得られる。この原材料は、モルヒネ、コデイン、テバイン、及びパパベリンを含む約20のアルカロイドを含有する。これらの化合物は通常オピオイドと呼ばれる。「オピオイド」という用語は、モルヒネ用の薬理作用を有する天然又は合成の薬剤を指し、そして「麻酔性鎮痛薬」と同義に使用される。
【0005】
オピオイドは、オピオイド様の性質を有すると知られているペプチドを含む脳の領域で作用することにより、中枢神経系の鎮痛をもたらす。これらの麻酔化合物は、「内在性オピオイド・ペプチド」として知られており、そして以前は「エンドロフィン」と呼ばれていた。オピオイドアゴニストは、痛みの調節及び伝達に関与する脊髄及び脳における特定のオピオイド受容体に結合する。当該作用は、アゴニストを脊髄中に直接デリバリーすることにより臨床的に利用されてきた。このことは、局所的な無痛効果をもたらすばかりでなく、全身へのデリバリーにより生じうる呼吸抑制、吐き気、嘔吐、及び鎮静などの不所望の副作用を低減した。オピオイドは、おそらく炎症組織の末梢オピオイド受容体への結合を通して局所的に作用すると報告されたが、実際のメカニズムは知られていない。
【0006】
オピオイド誘導体
モルヒネは、以下の構造を有する。
【化1】

オピオイド化合物の化学構造は、薬剤の作用を決定する。重要なことに、モルヒネのC及びC水酸基の置換は、その薬物動態を有意に変化させる(以下の表を参照のこと)。C残基でのフェノール性水酸基のメチル化は、グルクロン酸抱合による初回通過代謝を低減する。この方式でメチル化された薬剤、例えばコデイン、及びオキシコドンはまた、水酸基をメチル基により保護するため、非経口効力よりも高い経口効力を有する。両方の水酸基のアセチル化は、ヘロインを作り出し、そして血液脳関門の通過を劇的に改良し、多幸性をもたらすが、高い中毒効果ももたらす。鎮痛活性は、以下の降順で、水酸基と結合することにより改良されることが報告される:
サルフェート>グルクロニド=アセテート>ホスフェート>モルヒネ
【0007】
【表1】

【0008】
投与経路
多くのオピオイドは、皮下組織、筋肉内部位、及び鼻及び口の粘膜面から良く吸収されるが、経皮投与は多くのオピオイドについて好ましい経路ではない。
【0009】
胃腸管を通したオピオイドの吸収もまた早いと考えられるが、該オピオイド薬剤が初回通過代謝をうける場合、かなり変動がある。該変動性は、個人間におけるグルクロニダーゼ活性の幅広いバリエーションが原因であると考えられている。それゆえ、幾つかの場合、治療効果を誘発することを必要とする経口投与量は、非経口投与量よりも高いであろう。
【0010】
種々の投与経路からのオピオイドの吸収を増大し、そしてオピオイド薬の効力を良くする必要性が存在する。
【0011】
ステロイド・ホルモン
以下の記載はテストステロンに関するが、改良されたデリバリーが所望される場合、本発明は、他のステロイドホルモンへ適用されることが理解されるであろう。
【0012】
テストステロン及び他の活性ステロイドホルモンを純粋な形態で単離することができるが、その効果は、いまだに生物アッセイで計測されている。それゆえ、特定の生物活性形態は同定されていない。ステロイド・ホスフェートは、生体系の潜在的なメンバーであると考えられてきたが、動物組織又は体液から単離されていなかった。エストロゲン・ホスフェートのin vitro生合成がラット肝臓において報告され、そして種々の動物組織から抽出されたアルカリ及び酸ホスファターゼの基質であると知られている。このことは、リン酸化ステロイドホルモンが、中間体化合物及び天然貯蔵形態でありうるということを指す。
【0013】
医薬文献によると、ステロイド・ホスフェートなどの経口デリバリーされる荷電化合物は、以下の理由:
(a) 高イオン化化学種は、細胞膜を通した受動拡散を容易に受けず、そして
(b) ホスフェート、特に第一級アルコール及びフェノールのホスフェートは、体内に存在する多くのホスホリラーゼの基質であることが知られており、該ホスホリラーゼは容易に薬剤のホスフェート基を容易に分解して、作用期間を短くするため、生物利用されず、そして価値がほとんどない。
【0014】
ヒトにおいて、最も重要なアンドロゲンは、テストステロンである。なぜならテストステロンは、思春期の通常の男性において生じる多くの変化に関与するためである。経口投与されると、テストステロンは急速に吸収されるが、多くは不活性代謝産物へと変換され、投与量の6分の1未満の量が活性形態で利用される。テストステロンのデリバリーを改良するために、誘導体化されたテストステロン・アナログが製造されてきた。
【0015】
エステル化形態、例えばプロピオン酸エステル、エナント酸エステル、ウンデカン酸エステル、又はシピオン酸エステルは、延長された吸収時間を有し、そしてより優れた活性を有する。植物油溶媒中に混合されたテストステロン・エステルは、筋肉内注射用に使用される。該製剤は、デポー製剤として作用する。一度デポーから放出されると、該テストステロン・エステルは、注射部位で即座に加水分解される。これらの製剤の薬物動態は、エステルの側鎖長及び疎水性に左右され、これらは油溶媒からの放出の動力学を決定する。
【0016】
未改変テストステロンはまた、多くの製剤において使用される。結晶テストステロンの融合ペレットは、安定な生理的血液レベルをもたらすが、植込み法及びその合併症はその有用性を制限する。経皮パッチはまた、生理的レベルを維持できるが、肌を荒れさせる可能性のある吸収亢進剤の添加を必要とする。陰嚢パッチは、薄く、そして血管の多い陰嚢の皮膚をうまく利用するが、吸収のための広い表面積を必要とする。それゆえ、皮膚投与は最適なものとはならない。
【0017】
ウンデカン酸テストステロンは、オレイン酸懸濁液中で経口投与される。該製剤は、カイロミクロン吸収を高めるが、低くかつ一貫しない生物学的利用能を有する。舌下テストステロンは、短い時間血中レベルを増加させるので、一日あたり何回も投与することが必要であり、長期間の代替には適さない。微粉末化テストステロンは、低い経口生物利用能を有し、そして高い投与量が、生理的レベルを維持するために必要とされる。これらの高い投与量は、著しい肝臓酵素の誘導を引き起こし、そしてそれゆえ好ましくない。経口、経皮、及び他の投与経路によるテストステロンのデリバリーは、それゆえ現在最適なものとはならない。
【0018】
チロイド・ホルモン
チロイド・ホルモンは、体の代謝速度を決定し、そして成長及び発育に不可欠である。チロイド・ホルモンは、全身に幅広い効果を有し、そして神経組織、骨格組織、及び生殖組織の発育にきわめて重要である。しかしながら、チロイド・ホルモンの効果は、成長ホルモンのタンパク質合成、分泌及び作用の増強作用に左右される。チロイド・ホルモンは、タンパク質に結合し、そして拡散により及び/又はおそらく活性輸送過程により細胞に入る。
【0019】
通常の甲状腺は、通常の成長及び発達、通常の体温及びエネルギーレベルを維持するために十分な量のチロイド・ホルモンを産生する。なんらかの理由で産生が低減すると、その影響は、甲状腺機能低下症として知られている。発育中の子供における甲状腺機能低下症は、クレチン症としても知られている甲状腺機能低下症候群及び精神衰弱になりうる。チロイド・ホルモンは現在、L-チロキシン、ホスフェート(6CI)(CAS108851-05-4)である。
【0020】
置換に利用できるチロイドホルモンの4種の形態-チロキシン(T4)、トリイオチロニン(triiothyronine)(T3)、チログロブリン、及び乾燥チロイドが存在する。チロキシン及びトリイオチロニンは、65%及び59%のヨウ素を分子の主要部分として含む。チロキシンは、最も一般的に処方される治療方法である。トリイオチロニンは、甲状腺機能低下症の管理において限られた場合及び稀な状況で使用されうるが、サイログロブリン及び乾燥チロイドはもはや使用されない。
【0021】
チロキシンは、十二指腸及び回腸において消化管から即座に吸収される。しかしながら、吸収は、50〜80%の生物的利用能で変わり、そして食事、薬剤(アルミニウム含有酸中和剤、スクラルフェート、及び鉄)、及び腸内フローラなどの腔内因子によって変えられる。チロキシンの異なるジェネリック製剤は、吸収の多様性のため、相互交換可能であると考えられていない。
【0022】
チロイド・ホルモンは、容易に胎盤を通ることができず、また母乳中にもほとんど分泌されない。このことは、母親が胎児のホルモン産生の欠如を適切に補うことができないということを意味する。チロイドホルモンの種々の製剤は、胎盤を通過する形態を発見しようとするために研究されてきたが、限られた成功しかもたらさなかった。
【0023】
パクリタキセル
パクリタキセルは、西洋イチイ(タクサス・ブレビフォリア(Taxus Brevifolia &baccata)の木から得られ、そして臨床的な抗腫瘍効力を示す毒性の高い化合物である。パクリタキセルは、チューブリン重合と呼ばれる紡錘体の集合及び解離に必要な中心タンパク質の安定化に関与する珍しいメカニズムを有する。チューブリン重合の安定化は、転移へと導く未制御の腫瘍幹細胞分裂を効率的に抑制する。
【0024】
パクリタキセルはかなり脂溶性であり、そして剤形することが難しく、副作用を引き起こすと考えられている脂質共溶媒の使用を必要とする。これにより、パクリタキセルを静脈内抗癌剤として使用する際、主要な臨床問題をもたらされる。ホスフェート成分をC-2’及びC-7位で有するパクリタキセルの誘導体が報告されたが、どちらの化合物も、in vitroチューブリン活性又はin vivo抗癌効力を有さなかった。対照的に、C-2'及びC-7ホスホノキシフェニルプロピオネート・パクリタキセル誘導体は、両方ともアルカリホスファターゼでの処理後にパクリタキセルを生成するが、該C−7アナログのみが、M109マウス肺ガンモデルにおいてパクリタキセルに匹敵する抗腫瘍効力を有した。
【0025】
パクリタキセルの重大な不都合な点は、その脂溶性から生じる。それゆえ、該化合物はその溶解性を改良する可溶性より高い他の脂質担体中にデリバリーされる必要がある。パクリタキセルを、中鎖トリグリセリド(クレモフォア(Cremophor))、水中油型乳濁液(イントラリピド(Intralipid))、ポリオキシル35カストル油(水素付加カストル油)又は他の脂性乳濁システム中に溶解する。
【0026】
これらのデリバリー・システムを使用した場合に、過敏性反応、例えば低血圧症、紅潮、及び気管支痙攣が報告されたが、多くは脂質溶媒クレモフォアのためであると考えられる。イントラリピド乳濁液を使用する際の副作用は低いと報告されるが、改良されたデリバリー戦略を開発する必要性がある。
【0027】
ホスホノキシフェニルプロピオネート誘導体が、本化合物より水溶性が高いことがある一方で、脂質性共溶媒で投与することを必要とするようであり、そして限られた利益を有する。親化合物へと迅速に解離し、そして水溶性である複合体が好ましい。
【0028】
麻酔薬-アルファキサロン
理想的な麻酔薬は、麻酔状態をスムーズにかつ迅速に誘導し、次に中止した際に早い回復を可能にする。該理想的な麻酔薬は使用に安全であり、そして副作用を持たないが、単一の薬剤がこれら全ての特性を有しないので、現在では薬剤の組み合わせが使用されることが多い。
【0029】
本願中に考慮される麻酔薬は、主要な獣医製品であるアルファキサロンである。静脈内投与される当該化合物の臨床的な有用性は、溶解性が低いことにより損なわれる。このことは、薬剤の剤形を複雑にする。ホスフェート誘導体は、アルファキサロン(CAS2428-88-8)について知られている。これらの化合物のホスフェート・プロドラッグは水溶性であるが、静脈内投与の後で、アルファキサロン・ホスフェートの親薬剤への急速な変換は、in vivoで達成されない。これらは、低血圧、紅潮、及び気管支攣縮を含む。イントラリピド乳濁液を使用する副作用は低減されたと報告されたが、改良されたデリバリー・ストラテジーを開発する必要がある。
【発明の開示】
【0030】
発明の要約
本発明の第一態様に従って、オピオイド、ホルモン、麻酔薬、及び化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品の複合体が与えられ、該誘導体は、以下の:
(c) フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有する1以上のオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の1以上のホスフェート誘導体と
(d) 両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸を多く含むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤
との反応生成物を含む。
好ましくは、該複合体の投与の際、炎症が引き起こされる場合、以下の:
(a) トコフェロールの1以上のホスフェート誘導体;と
(b) 両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸を多く含むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤
との反応生成物を含む。
【0031】
本発明の第二態様に従って、フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬から選ばれる医薬品のホスフファチジル誘導体が提供される。
【0032】
本発明の第三態様に従って、フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬から選ばれる医薬品のホスフェート誘導体の製造方法であって、脂肪酸のナトリウム塩の存在下でP410で医薬品を反応するステップを含む方法が提供される。
【0033】
好ましくは、当該方法は、P410反応から得られる生成物をジ又はモノ・アシル・グリセリドと反応して、ホスファチドを形成するステップをさらに含む。
【0034】
本発明の更なる態様に従って、フェノール性、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品のホスフェート誘導体の使用が提供される。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「ホスフェート誘導体」という用語は、ホスフェート基のリン原子に結合された酸素を用いて共有結合された化合物を指す。ホスフェート誘導体は、遊離リン酸、その塩、ジホスフェート・エステル、例えばフェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基分子を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬のうちの1以上、混合エステル、例えばフェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬から選ばれる2の異なる化合物、並びに遊離ホスフェートの酸素がアルキル又は置換アルキル基との結合を形成するホスファチジル化合物の形態で存在してもよい。
【0036】
本発明において使用される適切な複合体形成剤は、アルキル・アミノ/アミド・ベタイン、スルタイン(sultaines)、ホスホベタイン、ホスフィタイン(phosphitaines)、イミダゾリマム(imidazolimum)、および直鎖モノ及びジカルボキシ両性電解質、四級アンモニウム塩、及びカチオン性アルキル化モノ及びジ-脂質アミン;並びに窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸を多く含むタンパク質を含むクラスから選ばれる界面活性剤から選ばれてもよい。
【0037】
本発明において使用する窒素官能基を有する適切なアミノ酸は、グリシン、アルギニン、リジン、及びヒスチジンを含む。当該アミノ酸を多く含むタンパク質は、複合体形成剤として使用されても良い。例えばカゼインである。これらの複合体形成剤は、組成物が経口摂取可能である必要がある場合に使用される。
【0038】
両性界面活性剤は、特定のpH範囲で顕著な等電点を示す両性界面活性剤;或いは全pH範囲でカチオン性であり、そして顕著な等電点を通常示さない双性イオン性界面活性剤であってもよい。これらの両性界面活性剤は、三置換アミンであり、例えば以下の式:
NR123
[式中、
1は、C6〜C22の直鎖又は分枝鎖混合アルキル・ラジカル及びそのカルボニル誘導体を含む群から選ばれ、
2及びR3は、H、CH2COOX、CH2CHOHCH2SO3X、CH2CHOHCH2OPO3X、CH2CH2COOX、CH2COOX、CH2CH2CHOHCH2SO3X、又はCH2CH2CHOHCH2OPO3Xを含む群から独立して選ばれ、そしてXは、H、Na、K、又はアルカノールアミンである。但し、R2とR3の両方がHであることはなく、
さらに、R1がRCOである場合、R2はCH3であり、かつR3は(CH2CH2)N(C24OH)−H2CHOPO3であってもよいか、或いはR2とR3は、一緒になってN(CH22N(C24OH)CH2COO−であってもよい。]
で表されるアミンである。
【0039】
市販されるものの例は、Henkel/Cognisにより販売されるDERIPHAT、Henkel/Cognisにより販売されるDEHYTON、Goldschmidtにより販売されるTEGOBETAINE、及びRhone Poulencにより販売されるMIRANOLである。
【0040】
カチオン性界面活性剤、例えば四級アンモニウム化合物は、ヒドロキシ化合物薬剤のリン酸化誘導体との複合体、例えばトコフェリル・ホスフェートを形成するであろう。カチオン性界面活性剤の例は、以下:
(a)RN+(CH33Cl-
(b)[R2+CH32SO42-
(c)[RCON(CH3)CH2CH2CH2+(CH3224OH]2SO42-
(d)エトミーン(Ethomeens):RN[(CH2CH2O)xCH2OH][(CH2CH2O)yCH2OH]、[式中、x及びyは1〜50の整数である。]
を含む。ここでRはC8〜C22の直鎖又は分枝鎖アルキル基又は混合アルキル基である。
【0041】
親水性及び疎水性官能基を含むシリコーン界面活性剤もまた使用されてもよい。例えば、ジメチコーンPGベタイン、アモジメチコーン、又はトリメチルシリルアモジメチコーンである。例えば、Goldschmidt Chemical Co.のABILE9950である。疎水性部分は、C6〜C22の直線又は分岐アルキル又は混合アルキル、例えばフルオロアルキル、フルオロシリコーン、及び/又はその混合体でありうる。親水性部分は、カルボキシアルキル基又はスルホキシ・アルキル基のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルカノールアミン塩でありうる。つまり、スルタイン、ホスファタイン、若しくはホスホベタイン、又はその混合体である。
【0042】
典型的に、本発明の反応生成物は、(1)フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の遊離リン酸エステルを、複合体形成剤で直接中和するか、又は(2)フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の混合ナトリウム塩を、複合体形成剤とin situ混合することにより作られる。
【0043】
本明細書中に使用されうる化合物の例は、モルヒネ(CAS57-27-2)、ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、コデイン、オキシコドン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、ナロルフィン(CAS62-67-9)、ナロキソン、ナルトレキソン、レバロルファン、レボチロキシン(CAS51-48-9)、パクリタキセル(CAS33069-62-4)、アルファキサロン(CAS23930-19-0)、エストラジオール(CAS50-28-2)、エストロン(CAS53-16-7)、エストリオール(CAS50-27-1)、エチニル・エストラジオール、プロゲスチン、メチルテストステロン、テストステロン(CAS58-22-0)、ナンドロロン(CAS434-22-0)、及びダナゾールを含む。
【0044】
オピオイド誘導体は以下の:
・モルヒネ(CAS57−27−2)、
・ヘロイン(ジエステル)、
・モルフィナン−3,6−ジオール,7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチル−(5.α.,6.α.)−,6−(二水素ホスフェート)(9CI)(慣用名、モルヒネ6−ホスフェート)(CAS51025−95−7)、
・ヒドロモルフォン、
・モルフィナン−3,6−ジオール,7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチル−(5.α.,6.α.)−,3−(二水素ホスフェート)(9CI)(慣用名、モルヒネ3−ホスフェート)(CAS51065−90−8)、
・オキシモルフォン,
・モルフィナン−6−オン,17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩,(5.α.)−(9CI)(CAS138618−00−5)
・レボルファノール、
・塩酸モルヒネ、
【0045】
・コデイン、
・硫酸モルヒネ、
・オキシコドン
・モルフィナン−6−オン,17−(シクロプロピルメチル)−4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−(ホスホノオキシ)−,(5.α.)−(9CI)(CAS156047−16−4)
・ナルブフィン
・モルフィナン−6−オン,4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−[(ヒドロキシメトキシホスフィニル)オキシ]−17−(2−プロペニル)−,(5.α.)−(9CI)(CAS156047−24−4)
・ペンタゾシン
・モルフィナン−6−オン,4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−(ホスホノオキシ)−17−(2−プロペニル)−,(5.α.)−(9CI)(CAS141843−94−9)
・ブトルファノール、
・モルフィナン−6−オン,4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−(ホスホノオキシ)−17−(2−プロペニル)−,二ナトリウム塩,(5.α.)−(9CI)(CAS138617−99−9)
・ブプレノルヒネ、
・モルフィナン−6−オン,4,5−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−[(ヒドロキシメトキシホスフィニル)オキシ]−17−(2−プロペニル)−,モノナトリウム塩,(5.α.)−(9CI)(CAS138617−97−7)
・モルヒネ・グルクロニドである。
【0046】
ステロイド・ホルモンは以下の:
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,17−(二水素ホスフェート),水和物(9CI)(CAS212623−59−1)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール,17−(二水素ホスフェート),二ナトリウム塩,(17α)−(9CI)(CAS182624−58−4)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,3−(二水素ホスフェート),二ナトリウム塩(9CI)(CAS136790−41−5)
【0047】
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,3−(二水素ホスフェート),ナトリウム塩(9CI)(CAS66856−98−2)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,17−(二水素ホスフェート),ナトリウム塩(9CI)(CAS66856−97−1)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,17−(二水素ホスフェート),ホモポリマー(9CI)(CAS34828−67−6)
・エストラジオール,モノ(二水素ホスフェート)(8CI)(CAS27177−83−9)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,3−(二水素ホスフェート)(9CI)(CAS13425−82−6)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,17−(二水素ホスフェート),二ナトリウム塩(9CI)(CAS6345−23−9)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール(17β)−,17−(二水素ホスフェート)(9CI)(CAS4995−43−1)
・エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール,3−(二水素ホスフェート)(8CI,9CI)(CAS1098−52−8)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17a)−(9CI)
・アンドロスト−5-エン-17−オン,3β−ヒドロキシ−,ホスフェート,二カリウム塩(7CI)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17α)−(9CI)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩(9CI)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩,(17β)−(9CI)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17β)−,とN,N−ジエチルエタンアミンとの化合物(9CI)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17β)−(9CI)である。
【0048】
天然及び合成エストロゲン、プロゲスチン、アンドロゲン、並びにアンタゴニスト及び阻害剤は、以下:
・ダナゾール
・エストロ−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩,(8α,9β,10α,13α,14β,17α)−(9CI)(CAS60700−27−8)
・エストロ−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩,(17β)−(9CI)(CAS60672−81−3)
・エストロ-4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(8α,9β,10α,13α,14β,17α)−(9CI)(CAS29346−91−6)
・エストロ−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17β)−(9CI)又は
・エストロ-−4-エン-3−オン,17(3−ヒドロキシ−,二水素ホスフェート(7CI,8CI)(CAS1098−15−3)、(+)−19−のノルテストステロン17−ホスフェート
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩(9CI)(CAS318481−34−4)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17β)−、N,N−ジエチルエタンアミン(9CI)(194534−52−6)
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17α)−(9CI)(142546−96−1)慣用名、17−エピ−テストステロン・ホスフェート
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,二ナトリウム塩,(17β)−(9CI)***(CAS67494−61−5)慣用名:リン酸ナトリウム・テストステロン
・アンドロスト−4-エン-3−オン,17−(ホスホノオキシ)−,(17β)−(9CI)(CAS1242−14−4)慣用名:テストステロン・ホスフェート(6CI)又はテストステロン,二水素ホスフェート(7CI,8CI)である。
【0049】
・パクリタキセル形態は以下の:
ベンゼンプロパン酸,β−(ベンゾイルアミノ)−α−ヒドロキシ−,6,12b−ビス(アセチルオキシ)−12−(ベンゾイルオキシ)−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−11−ヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−5−オキソ−4−(ホスホノオキシ)−7,11−メタノ−1H−シクロデカ[3,4]ベンズ[1,2−b]オキシエト(oxet)−9−イル・エステル,[2aR−[2aα,4β,4aβ,6β,9α(aR*,βS*),11α,12α,12aα,12bα]]−(9CI)(CAS151765−63−8)
・ベンゼンプロパン酸,β−(ベンゾイルアミノ)−α−(ホスホノオキシ)−,6,12b−ビス(アセチルオキシ)−12−(ベンゾイルオキシ)−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−4,11−ジヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−5−オキソ−7,11−メタノ−1H−シクロデカ[3,4]ベンズ[1,2−b]オキシエト−9−イル・エステル,[2aR−[2aα,4β,4aβ,6β,9.a(αR*,βS*),11α,12α,12aα,12bα]]−(9CI)(CAS151765−61−6)
【0050】
・ベンゼンプロパン酸,β−(ベンゾイルアミノ)−a−ヒドロキシ−,6,12b−ビス(アセチルオキシ)−12−(ベンゾイルオキシ)−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−11−ヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−5−オキソ−4−(ホスホノオキシ)−7,11−メタノ−1H−シクロデカ[3,4]ベンズ[1,2−b]オキシエト−9−イル・エステル,二ナトリウム塩,[2aR−2aα,4β,4aβ,6β,9α(aR*,αS*),11α,12α,12aα,12bα]]−(9CI)(CAS151695−91−9)
・ベンゼンプロパン酸,.β−(ベンゾイルアミノ)−α−(ホスホノオキシ)−,6,12b−ビス(アセチルオキシ)−12−(ベンゾイルオキシ)−2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b−ドデカヒドロ−4,11−ジヒドロキシ−4a,8,13,13−テトラメチル−5−オキソ−7,11−メタノ−1H−シクロデカ[3,4]ベンズ[1,2−b]オキシエト−9−イル・エステル,二ナトリウム塩,[2aR−[2aα,4β,4aβ,6β,9α(αR*,βS*),11α,12α,12aα,12bα]]−(9CI)(CAS151695−90−8)である。
【0051】
アルファキサロン形態は以下の:
・5α−プレグナン−11,20−ジオン,3β−ヒドロキシ−,二水素ホスフェート,二ナトリウム塩(7CI,8CI)(CAS2428−88−8)
・(3α,5α)−3−ヒドロキシプレグナン−11,20−ジオン(CAS23930−19−0)(アルファキサロン)である。
【0052】
本発明に記載される誘導体は、投与のいずれかの経路(経口、経粘膜、経鼻、経皮、静脈内)で使用される時、生物学的利用能の増加、長期間のデリバリー・システムとしての使用見込み、感染細胞への薬剤デリバリーの増加、ウイルス感染細胞中への膜輸送の改善、及びリンパへの薬剤デリバリーの改善を提供しうる。
【0053】
局所製剤中の本発明に記載される誘導体は、皮膚及び経粘膜浸透の改善、皮膚デリバリー後の全身性生体利用度の増加、症状の緩和、及び最適化局所製剤での処置の間ウイルスの出芽の低減を提供しうる。
【0054】
経口製剤中の本発明に記載の誘導体は、リンパ管によるデリバリーの改善、脳へのデリバリーの改善、治療に必要とされる投与量の低減、便秘、胆石疝痛、及び腎機能低下などの副作用の発生の低下、並びに患者間の変動の低減を提供しうる。
【0055】
フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の生物学的利用能は、経口で提供される際、腸溶コート又は輸送タンパク質、或いは活性ドメインの結合からさらに利益を得うる。
【0056】
誘導体は、皮膚浸透の改善及び他のデリバリー経路の山と谷を避けるよりスムーズなデリバリーのため、慢性デリバリーシステムとして使用されても良い。
【0057】
本発明に記載される誘導体は、脂質アジュバント中への溶解を必要とせず、そして投与されると親化合物に即座に戻る。
【0058】
チロイド・ホルモンが本発明の誘導体を使用して投与されるとき、胎盤を通過する能力を有しうるし、そして母乳中に出されることもある。
【実施例】
【0059】
本発明は、以下の非限定的な例を参照することによりさらに説明及び例示されるであろう。
【0060】
実施例1-モルヒネのホスファチジル誘導体の製造
塩酸モルヒネ32g(0.1M)と37.2gの吉草酸ナトリウム(0.3M)を100mlトルエン中に溶解した。12.6g(0.05M)のP410を加え、そして高剪断混合で1時間攪拌して温度をゆっくり80℃に上げた。1,2-ジステアリン酸・グリセロール30gを加え、そして高剪断混合をさらに60℃で1時間続けた。0.5M水酸化ナトリウム水溶液100mlを加え、そして混合液をゆっくり攪拌し、次に遠心し、そしてこの過程を繰り返した。トルエン層を回収し、そして100mlの0.1M塩酸で洗浄した。トルエン層を回収し、そしてトルエン及び吉草酸を減圧下で取り除いて、1,2-ジステアリン酸ホスファチジル・モルヒネを与えた。
モルヒネ・ホスフェートを水層から回収した。
【0061】
実施例2-モルヒネのホスフェート誘導体の複合体製造
12g(0.03g/mol)のジナトリウム-N-ラウリル・ベータ・イミノ・ジプロピオネートを88gの蒸留水中に溶解して、12%wt/wtの透明溶液をpH12で与えた。11.43g(0.03g/mol)のモルヒネ-3-リン酸エステルをゆっくり加え、そして混合液を均一になるまで混合した。得られた生成物は、21.03%wt/wt水分散液としてのN−ラウリル・ベータ・イミノ・ジプロピオネート-モルヒネ(3)ホスフェートからなる複合体であった。該複合体生成物を、ゲル化剤を伴う水保存緩衝液で希釈することにより剤形し、そして皮膚に適用して、経皮薬剤デリバリーをもたらした。
必要に応じて、ジナトリウム-N-ラウリル・ベータ・イミノジプロピオネートのモル比を増加又は低減することにより該複合体生成物を改変した。
【0062】
実施例3-パクリタキセルのホスフェート誘導体の複合体の製造
951g(1g/mol)のパクリタキセル(C4753NPO18)を202gのラウリル-イミノ-ジプロピオネート(0.5g/mol)を含む1200gの脱イオン水と複合体形成して、49%wt/wtのスラリー、pH7.5〜8.5を産生した。ラウリル-イミノ-ジプロピオネートを追加することにより終pHを調節した。
【0063】
実施例4-パクリタキセルのホスフェート誘導体の複合体の製造
174g(1g/mol)のアルギニンを、1000gの脱イオン水に加えて、透明な溶液を形成した。238g(0.25g/mol)のパクリタキセルのリン酸エステルをゆっくり加えて、pH5〜6で活性である29〜30%wt/wtである複合体をゆっくり形成した。アルギニン又はパクリタキセルのリン酸エステルを追加することを介して、所望のpHに調節した。
【0064】
実施例5-アルファキサロンのホスフェート誘導体の複合体の製造
860g(2g/mol)の、アルファキサロンのリン酸エステル(C2134PO7)を、242.4g(0.6g/mol)の二ナトリウム・ラウリル-イミノ-ジプロピオネートを含む2000mlの脱イオン水に加え、そして均一になるまで混合した。得られた組成物は35〜36%の固体であり、そして4.5〜5.5のpHを有した。
【0065】
実施例6-アルファキサロンのホスフェート誘導体の複合体の製造
174g(1g/mol)のアルギニンを1000mlの脱イオン水中に溶解し、そして均一になるまで混合した。430g(1g/mol)のアルファキサロンのリン酸エステルをゆっくり加えて混合し、次に500mlの脱イオン水を加えることにより、28〜29%活性複合体、pH6.5〜7.5を産生した。
【0066】
本明細書及び特許請求の範囲中で使用される「含む」という単語、及び「含む」という単語の形は、特許請求される本発明がバリアント又は添加物を排除することを限定するものではない。
【0067】
本発明を改変及び改良することは、当業者にとって明らかであろう。そうした改変及び改良は、本発明の範囲内に入るものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
(a)フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有する1以上のオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の1以上のホスフェート誘導体と、
(b)両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸に富むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤との
反応生成物を含むオピオイド、ホルモン、麻酔薬、及び化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品複合体。
【請求項2】
前記ホスフェート誘導体がホスファチドであるである、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
医薬として許容される担体及び以下の:
(a)フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有する1以上のオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬の1以上のホスフェート誘導体と
(b)窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸に富むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤との
反応生成物を含む経口製剤。
【請求項4】
上記ホスフェート誘導体がホスファチドである、請求項3に記載の経口製剤。
【請求項5】
上記複合体形成剤が、グリシン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、カゼイン、及びそれらの混合体からなる群から選ばれる、請求項3に記載の経口製剤。
【請求項6】
以下の:
(a) トコフェロールの1以上のホスフェート誘導体と
(b) 窒素官能基を有するアミノ酸及び当該アミノ酸に富むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤との
反応生成物の有効量をさらに含む、請求項3に記載の経口製剤。
【請求項7】
腸溶コートをさらに含む、請求項3に記載の経口製剤。
【請求項8】
輸送タンパク質又は活性ドメインの結合をさらに含む請求項3に記載の経口製剤。
【請求項9】
フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイドホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬からなる群から選ばれる、医薬品のホスファチジル誘導体。
【請求項10】
前記ホスファチジル基が、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素官能基を有するアミノ酸、及び当該アミノ酸に富むタンパク質を含む群から選ばれる複合体形成剤で複合体形成される、請求項9に記載の医薬品のホスファチジル誘導体。
【請求項11】
フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイドホルモン、チロイドホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品のホスフェート誘導体の製造方法であって、脂肪酸ナトリウム塩の存在下で、医薬品をP410と反応するステップを含む、前記方法。
【請求項12】
前記P410反応から得た生成物を、ジ又はモノ・アシル・グリセリドと反応して、ホスファチドを形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬品が、モルヒネ(CAS 57-27-2), ヒドロモルフォン、オキシモルフォン、レボルファノール、コデイン、オキシコドン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ペンタゾシン、ナロルフィン(CAS62-67-9)、ナロキソン、ナルトレキソン、レバロルファン、レボチロキシン(CAS51-48-9)、パクリタキセル(CAS33069-62-4)、アルファキサロン(CAS23930-19-0)、エストラジオール(CAS50-28-2)、エストロン(CAS53-16-7)、エストリオール(CAS50-27-1)、エチニル・エストラジオール、プロゲスチン、メチルテストステロン、テストステロン(CAS58-22-0)、ナンドロロン(CAS434-22-0)、及びダナゾールからなる群から選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品のホスフェート誘導体。
【請求項15】
前記ホスフェート誘導体がホスファチジル誘導体である、請求項14に記載のホスフェート誘導体。
【請求項16】
ヒト治療において使用する医薬の製造のための、フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品のホスフェート誘導体の使用。
【請求項17】
動物治療において使用する医薬の製造のための、フェノール、第一級アルコール、第二級アルコール、又は第三級アルコールの水酸基を有するオピオイド、ステロイド・ホルモン、チロイド・ホルモン、麻酔薬、又は化学療法薬からなる群から選ばれる医薬品のホスフェート誘導体の使用。

【公表番号】特表2006−523623(P2006−523623A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504009(P2006−504009)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000492
【国際公開番号】WO2004/091636
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503129590)バイタル ヘルス サイエンシズ プロプライアタリー リミティド (11)
【Fターム(参考)】