医薬組成物
【解決手段】 発明は、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌、軟組織癌、腎臓癌、骨肉種、中皮種、多発性骨髄腫、膀胱癌及び食道癌などの癌の転移抑制及び治療医薬組成物、及び前記転移およびがんの治療に対するこれらの医薬組成物の使用方法に関する。本発明の別の観点は、ヒトインターロイキン10の形成とそれらの合成を抑制する新たなアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本発明の更なる観点は、医薬組成物の調整、及びがん及び転移の治療に対するIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は癌治療における効果的な薬物に関連する。癌の形成は、望ましくない組織成長を併発する一方で、他方では転移形成を併発する。この分野における研究は多くのメカニズムを開示しているが、依然として、前立腺癌、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、黒色腫、白血病、リンパ腫、非小細胞肺癌(NSCLC)又は卵巣癌などの固形癌それぞれの転移を抑制する又は腫瘍進行を抑制する深刻な副作用のない治療法が存在しない。さらに、この分野における癌は、中皮腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、腎臓癌、食道癌、又は軟組織癌である。腫瘍由来の形質転換成長因子β(TGF−β)は、転移、血管形成、及び腫瘍細胞の増殖を誘導することにより悪性進行に極めて重要な役割を果たすために議論されている。さらに、腫瘍細胞における免疫機構からの回避機構において中心的役割を果たしていると見られている。しかし、前記文献におけるTGF−β役割は、さまざまに議論されている。TGF−βによる腫瘍成長の抑制を示唆する実験の一方で、他方では、TGF−βによる細胞増殖の誘導を指摘する実験があり、これらが腫瘍の治療法におけるTGF−βの役割を曖昧にしている。
【0002】
さらに重要なことは、TGF−βはTGF−β1、TGF−β2及びTGF−β3という多くの異なるサブクラスを有しており、それらの腫瘍進行における具体的役割が別々に議論され、しばしばTGF−βとして要約され、時折混同されるということである。TGF−βの各サブクラス、すなわちTGF−β1、TGF−β2、及びTGF−β3の具体的役割は、これまでのところ十分には調査されていない。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第1008649号及び欧州特許第0695354号において、TGF−ベータ1及びTGF−ベータ2両方のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、乳房の腫瘍、食道癌、胃癌及び皮膚発癌症の治療のための医薬組成物の製造に使用されうることが教示されている。臨床研究は、神経膠腫中において前記TGF−ベータが重要な役割を果たし、そのために前記TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドが神経膠腫及び乳癌などの治療の好ましい対象であるように示すのに対し、他の腫瘍においては状況が全く異なっている。 前立腺癌においては、例えば(Wikstrom,P.,Scand J Ur−ol Nephrol 34 S.85−94)、他の癌におけるのと同様に、TGF−ベータレベルは上昇するという示唆があるが、このシステムが治療目的で操作され得るかどうかは明らかではない。
【0004】
インタ−ロイキン10(IL−10)によりそれが免疫応答の制御に中心的な役割を果たすことが知られている。一部のインタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドが細胞媒介免疫応答を増強することが示されたため、腫瘍細胞の回避機構を補填し腫瘍成長を阻害して転移形成を減少させる方法において、免疫応答を調節するためにヒトにおけるIL−10の強力な阻害剤を見出すことが重要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、腫瘍成長における望ましくない細胞増殖を抑制及び/又は転移の形成を抑制する適切な腫瘍の治療法を見つけることが本発明の課題であった。
【0006】
本発明の1つの課題は、転移形成を抑制する治療法を見出すことである。
【0007】
例えば膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌及び前立腺癌などの腫瘍は予後不良であり、現在まで有効な治療法は発見されていない。これはまた、中皮腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、腎臓癌、食道癌、軟組織癌などの腫瘍にもあてはまる。従って、このような腫瘍を特異的に抑制する特性を有する新たな治療方法、及び各々の癌の治療に対するこのような治療法の使用方法を見出すのが本発明の課題であった。本発明のもう1つの課題は、免疫機構を調節するインタ−ロイキン10(IL−10)の新しい阻害剤及び適切なそれらの合成方法と、癌治療及び免疫修飾において好まれる医薬組成物の調整のためのそのような阻害剤の使用とを見出すことである。
【0008】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの機構は、直接的効果だけでなく免疫調節効果により作用するようであり、実験的研究において証明され得る。これは、TGF−ベータ抗体で可能であったものより効果的にTGF−ベータアンチセンスヌクレオチドによって細胞移動が阻害されるということを我々が示すことができたため、例えば抗体などによるTGF−ベータの最先端の阻害より優れている。本発明の医薬組成物は、副作用がより少なく、より有効性があり、より高い生物学的利用可能性(バイオアベイラビリティ)を有し、より高い安全性及び/又は改善された化学安定性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は、驚くべきことに、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3の形成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテア−ゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)及び/又はインタ−ロイキン10特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドが腫瘍細胞株及び腫瘍における転移形成を阻害するということを発見した。
【0010】
我々はさらに、TGF−ベータ1、TGF−ベータ3、インタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、白血病及びリンパ腫などの悪性骨髄増殖性疾患だけでなく、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、メラノ−マ、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、及び前立腺癌などの固形腫瘍の腫瘍増殖を阻害することを見出した。TGF−ベータ1、TGF−ベータ3及びインタ−ロイキン10アンチセンスオリゴヌクレオチドのさらなる適応症は、腎臓癌、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、食道癌及び/又は軟組織癌である。
【0011】
TGF−ベータ2のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、TGF−ベータ1TGF−ベータ3及び/又はインタ−ロイキンのアンチセンスオリゴヌクレオチドに対する上述のように、腫瘍増殖を阻害する。
【0012】
本発明の別の観点は、インタ−ロイキン10(IL−10)の形成を阻害する新しくより優れたアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、これにより免疫応答を調節する。
【0013】
本発明のまた別の観点は、IL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドの生成である。
【0014】
本発明の更なる観点は、医薬組成物の調整に対するインタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用である。インタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、転移及び/又は腫瘍成長の治療のための医薬組成物の調整にも使用され、このような病気の治療に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又は活性誘導体は、転移形成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、医薬組成物の調整に使用される。これらの医薬組成物は転移治療に使用される。
【0016】
本発明の本文中における転移は、少なくとも1つの細胞が腫瘍組織から分離又は解離し、例えばリンパ系及び/又は血管などによりヒト又は動物の身体の別の部位に移動し、そこで留まり新しい腫瘍組織を形成することを意味する。
【0017】
別の実施形態において、前記オリゴヌクレオチド又は活性誘導体は、転移の形成に関連したタンパク質合成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0018】
更なる実施形態において、そのような合成において阻害されたタンパク質は、例えば、腫瘍成長因子ベータ1(TGF−ベータ1)、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAM)、インテグリン、セレクチン、金属プロテア−ゼ(MMP)、それらの組織阻害剤(TIMPS)及び/又はインタ−ロイキン10などからなる群から選択される。
【0019】
本発明の本文中において、腫瘍成長因子は、形質転換成長因子の同義語として使用される。TGF−ベータという用語は、特にTGF−ベータ1、TGF−ベータ2及び/又はTGF−ベータ3を含む。
【0020】
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はそのTGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3活性誘導体、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテア−ゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)及び/又はインタ−ロイキン10及び/又は癌治療にいて転移形成を阻害する医薬組成物を調整するためのそれらの活性誘導体の使用である。
【0021】
分子間接着分子(CAMs)は、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、内皮性白血球接着分子−1(ELAM−1)などの分子を含む。
【0022】
金属プロテア−ゼは、細胞外マトリックスの成分に幅広いタンパク質分解活性を有し同定順に番号付けされた(MMP−1、MMP−2など)少なくとも15個の構造的に関連した構成物を含む。金属プロテア−ゼは、これらに限られないが、コラゲナ−ゼ、ゼラチナ−ゼ、ストロメライシン及び金属エラスタ−ゼを含む。
【0023】
本発明の活性誘導体は、後述のように、オリゴヌクレオチドの修飾物である。
【0024】
好ましい実施形態において、前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は転移形成の阻害に対する医薬組成物を調整するための活性誘導体は、配列ID番号1〜68に基づいて羅列した配列において特定される配列であり、さらに好ましくは、配列ID番号1、5、6、8、9、14、15、16、28、29、30、34、35、36、40及び42として記載した配列において特定される配列である。転移形成の阻害に対する医薬組成物を調整するためのこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドの更なる実施形態は、実施例19から24において与えられている。これらのオリゴヌクレオチドは、標的分子に対して改善された親和性を有する。さらに、最先端技術において記載したそれらのオリゴヌクレオチドと比較して、これらの分子の利点は、副作用がより少なく、より有効性があり、生物学的利用可能性がより高く、より高い安全性及び/又は改善された化学安定性を示す。
【0025】
発明のさらに別の実施例において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、次に挙げる癌における転移阻害において有益で、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳房の腫瘍、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、子宮頸癌、大腸癌、結腸直腸癌、胚性癌腫、子宮内膜癌、上皮性癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、頭頸部癌、肝細胞癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、非小細胞気管支/肺癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、直腸癌、腎細胞癌、脂腺癌、皮膚癌、小細胞気管支/肺癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、睾丸癌、子宮癌、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコ−マ及び化膿性肉芽腫;前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユ−イング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、血管芽細胞腫、髄芽細胞腫、メラノ−マ、中皮腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、膠肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、黒色腫、髄膜腫、筋肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノ−マ、トラコ−マ、ウィルムス腫瘍などの癌における転移阻害において有益である。
【0026】
より好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、例えば膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCL)、卵巣癌、膵臓癌、軟組織癌などの癌における転移阻害に有益である。本発明の本文中において有益であることは、それらが医薬組成物の調整のために使用されること及び/又は各々の癌、癌腫、及び/又は転移の治療に使用されることを意味する。
【0027】
本発明の本文中において、癌の使用は癌腫と同意語である。
【0028】
さらに、適応症及びTGF−ベータの全ての組み合わせは、本明細書において開示されていると理解される。
【0029】
別の好ましい本発明の実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、医薬組成物の調整及び/又は腎臓癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中皮腫、食道癌、及び/又は多発性骨髄腫の治療に使用される。
【0030】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌を治療するための医薬組成物の調整に使用される。他の実施形態において、本発明の前記オリゴヌクレオチド及び/又はその活性誘導体は、腎臓癌、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、食道癌、及び/又は軟組織癌を治療するための医薬組成物の調整に使用される。
【0031】
さらなる実施形態において、本発明の前記オリゴヌクレオチド及び/又はその活性誘導体は、例えば胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳房の腫瘍、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、子宮頸癌、大腸癌、結腸直腸癌、胚性癌腫、子宮内膜癌、上皮性癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、頭頸部癌、肝細胞癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、非小細胞気管支/肺癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、直腸癌、腎細胞癌、脂腺癌、皮膚癌、小細胞気管支/肺癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、睾丸癌、子宮癌、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコ−マ及び化膿性肉芽腫;前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユ−イング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、血管細胞腫、髄芽細胞腫、黒色腫、中皮腫、神経線維腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、膠肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、黒色腫、髄膜腫、筋肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノ−マ、トラコ−マ、及び/又はウィルムス腫瘍などの癌の治療、及び/又は前記癌の治療のための医薬組成物の調整に使用される。
【0032】
これらのオリゴヌクレオチドの各々の活性誘導体は本明細書の後半でより詳細に記載されている。
【0033】
また別の実施形態において、上述したような癌を治療するための医薬組成物の調整におけるオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、腫瘍成長因子ベ−タ1、各形質転換成長因子(TGF−ベータ1)、TGF−ベータ3、及び/又はインタ−ロイキン10の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0034】
別の実施形態において、上述したような癌の治療及び/又は上述したような癌を治療するための医薬組成物の調整におけるオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、形質転換成長因子ベータ2(TGF−ベータ2)の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0035】
より好ましい実施形態において、上述したような癌を治療するための医薬組成物の調整における前記オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、配列ID番号1〜21又は49〜68、22〜48又は69〜107に基づいて羅列した配列中で特定されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。配列ID番号1、5、6、8、9、14、15、16、25、26、28、29、30、34、35、36、及び37に基づいて羅列した配列中で特定される配列がさらにより好ましい。これらの配列は特に高い親和性を有する。
【0036】
これらの配列は各々の遺伝子のm−RNAに特に高い親和性を有し、副作用がより少なく、より高い有効性を示し、より高い生物学的利用可能性を有し、安全性及び/又は改善された化学的安定性を有する。本発明の別の観点は、大腸癌、前立腺癌、黒色腫、膀胱癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓癌、及び/又は中皮腫の群から選択される癌を治療するためのTGF−ベータ2アンタゴニストの使用方法である。これらの腫瘍のいくつかは、高いレベルのTGF−ベータ1を伴い、驚くべきことにTGF−ベータ2の阻害によって腫瘍細胞増殖が顕著に減少し、このことはこれらの癌の治療に重要な因子である。
【0037】
本発明の本文中におけるTGF−ベータ2(形質転換成長因子2)アンタゴニストは、TGF−ベータ2の機能を阻害するいかなる化合物も含み、これはTGF−ベータにより誘導されるいかなる効果も阻害されることを意味する。
【0038】
好ましい実施形態において、TGF−ベータ2アンタゴニストは、TGF−ベータ2の生成を阻害する物質であり、TGF−ベータ2に結合する物質であり、及び/或いは、TGF−ベータ2の下流のその活性カスケ−ドの機能を阻害する物質である。より詳細なTGF−ベータ2アンタゴニストに関しては、Wojtowicz−Praga Investigational New Drugs 21:21−32,2003を参照のこと。
【0039】
阻害剤は、TGF−ベータ2結合性タンパク質、阻害剤関連TGF−ベータ受容体、Smad阻害剤、TGF−ベータ2結合性ペプチド(潜伏関連ペプチド)、抗TGF−ベータ2抗体、TGF−ベータ発現制御因子を含むがこれらに限定されてない。
【0040】
TGF−ベータ2結合性タンパク質の例は、フェチュイン、デコリン、小型コンドロイチン−デルマタン硫酸プロテオグリカン、及びプロテオグリカンの一種のバイグリカン及びフィブロモジュリンである。TGF−ベータ受容体阻害剤は、例えば、ベータタグリカン(細胞外領域のTGF−ベータタイプIII受容体)である。
【0041】
TGF−ベータ発現制御因子の例は、トラニスト(N−[3,4−ジメチトキシシンナモイル]−アントラニル酸)又はTGF−ベータ2アンチセンスプラスミドベクタ−又はTGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドである。さらに好ましい実施形態において、TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列ID番号22〜48、より好ましくは配列ID番号25、26、28、29、30、34、35、36、37を用いて記載される配列から選択される。
【0042】
本発明のまた別の観点は、新しいIL−10アンチセンス−オリゴヌクレオチド、及び配列ID番号49〜68で表記する配列において特定されるその活性誘導体である。これらのオリゴヌクレオチドは、IL−10のm−RNAに対して非常に高い親和性を有し、これによりIL−10の合成を効率的に阻害する。
【0043】
一実施形態において、IL−10のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体を生産する工程は、段階的に又はより長いオリゴヌクレオチド鎖からオリゴヌクレオチドを切断することにより、連続したヌクレオチド及びリンカーを添加することを含む。
【0044】
本発明のまた別の観点は、配列ID番号49〜68で表記する配列において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体を含む医薬組成物である。
【0045】
本発明の更なる実施形態は、癌及び/又は転移の治療のための医薬組成物の調整における、配列ID番号49〜68で表記する配列において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の使用方法である。
【0046】
本発明の1つのオリゴヌクレオチドは、癌治療における転移形成を阻害するための医薬組成物の調整において使用されるものであり、本発明のオリゴヌクレオチドは、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、又は軟組織癌を治療するための医薬組成物の調整においても使用されるものであり、IL−10の合成を阻害する新しいオリゴヌクレオチドもまた本発明の一部である。
【0047】
オリゴヌクレオチド又は核酸という用語は、多数のヌクレオチド(すなわちリン酸基に結合した糖(例えばリボース又はデオキシリボースなど)、及び置換ピリミジン(例えばシトシン(C)、チミン(T)又はウラシル(U))或いは置換プリン(例えばアデニン(A)又はグアニン(G)など)のいずれかの可変性の有機塩基に結合した糖を含む分子、)又はそれらの修飾物を指す。本明細書において使用されているように、前記用語は、オリゴデオキシリボヌクレオチドと同様にオリゴリボヌクレオチドを指す。前記用語は、また、オリゴヌクレオシド(すなわちリン酸基のないオリゴヌクレオチド)及びポリマーを含む他の任意の有機塩基を含む。
【0048】
本発明のオリゴヌクレオチドは一本鎖であるのに対し、一部の実施形態において前記一本鎖の核酸の少なくとも一部分は二本鎖である。一本鎖の分子が増強された活性を有するのに対し、二本鎖の分子は生体内においてより安定である。
【0049】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子のm−RNAの全体に対して相補的であるか、又は、阻害されるタンパク質の任意の小部位が例えばTGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10などから選択され得る。より好ましい実施形態において、本発明の前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約6〜約300ヌクレオチドの長さを有し、また別の実施形態において前記ヌクレオチドはそれぞれ約7〜約100ヌクレオチド、約8〜約30ヌクレオチド、さらにより好ましくは12〜24ヌクレオチドの長さ有する。
【0050】
それぞれの遺伝子の配列は当業者に周知であり、またその一部は実施例14において示されるものである。
【0051】
さらに別の実施形態において、核酸はアンチセンス核酸ではなく、相補的遺伝子DNA又はRNA種に細胞内で結合してその結果前記ゲノムDNA又はRNA種の機能を阻害することによって機能しないということを意味する。核酸の結合ユニットに関して本明細書において使用されるように、「結合された」又は「結合」は、二つの実体が互いに物理化学的手段で結合されているということを意味する。共有結合又は非共有結合など、当業者に周知のいかなる結合も包含される。天然結合は、核酸の個々のユニットを結合する性質において通常見出されるものであり、最も一般的である。しかしながら、核酸の個々のユニットは、合成又は修飾された結合で結合されてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのリン酸リンカーはペプチドによって置換される。前記オリゴヌクレオチドのこれらの誘導体は、また、ペプチド核酸とも呼ばれる。
【0053】
一実施形態において、この線形重合構造のそれぞれの末端は、さらに環状構造を形成するように結合される。しかしながら、開環線形構造が通常好まれる。オリゴヌクレオチド構造内において、リン酸基は一般的にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格の形成としてみなされる。RNA及びDNAの標準的な結合又は骨格は、3’−5’リン酸ジエステル結合である。
【0054】
オリゴヌクレオチド又は核酸は、類似の機能を有する非天然発生部位を持つオリゴヌクレオチドを含む。そのように装飾または置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば増強された細胞内取り込み、核酸標的(例えばタンパク質)への増強された親和性、変更された細胞内局在化、及びヌクレアーゼ存在下における増大された安定性などの望ましい特性のために、しばしば、天然形態よりも好まれる。本明細書において使用されるオリゴヌクレオチドの装飾は、糖、塩基部分、及び/又はヌクレオシド結合のいかなる化学的装飾も含むものである。
【0055】
一実施形態において、共有結合的に修飾された塩基及び/又は糖を有する核酸又はオリゴヌクレオチドは、例えば、3’及び/又は2’の位置におけるヒドロキシル基以外、及び5’の位置におけるリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合的に結合された糖骨格を有する核酸を含む。従って装飾された核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含んでも良い。さらに別の実施形態において、装飾された核酸はリボースの代わりにアラビノースなどの糖を含む。従って前記核酸は、骨格組成において異種である可能性があり、その結果ペプチド核酸(核酸塩基と共にアミノ酸骨格を有する)などと一緒に結合したポリマーユニットの任意の可能な組み合わせを含むものである。一部の実施形態において、前記核酸は骨格組成において同種である。
【0056】
前記核酸の置換プリン及びピリミジンは、C−Sプロピン置換塩基などの塩基類似体と同様にシトシンなどの標準のプリン及びピリミジンを含むものである(Wagner et al.,Nature Biotechnology 14:840−844,1996)。プリン及びピリミジンは、これらに限定されないが、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、及び他の天然及び非天然に存在する核酸塩基、置換及び無置換の芳香族部分を含むものである。
【0057】
各オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドポリマー中の一本鎖ヌクレオチドは、同じ装飾を含むものであっても良く、そのような装飾の組み合わせを含むものであっても良く、或いは、そのような装飾をリン酸ジエステル結合で結合していても良い。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドポリマーにヌクレアーゼ耐性を与える方法は、これに限定されないが、共有結合的に修飾したプリン又はピリミジン塩基を含むものである。例えば塩基は、メチル化されるか、ヒドロキシメチル化されるか、或いは、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが実質的に酸及びヌクレアーゼ耐性を与えられるように置換(例えば、グリコシル化)されていても良い。
【0058】
前記配列の一部のヌクレオチドが別のヌクレオチド或いはさらにスペーサーによって置換されているアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの誘導体であっても、例えばTGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10などのタンパク質の合成を阻害することが当業者に理解される。より好ましい実施形態において、約0.1%〜約50%、又は約0.1%〜約10%、又は約0.1%〜約5%のヌクレオチドが置換される。
【0059】
上述したようにスペーサーは前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも2つの部分を連結するいかなる化学物質でもよく、少なくとも1つの核酸のスペースを置換する。
【0060】
また別の実施形態において少なくとも1つのT(チミジン)は、U(ウラシル)によって置換される。
【0061】
好ましい実施形態においてスペーサーは、別のヌクレオチド、又はグルコース、リボースなどの糖、又はアミノ酸、又はポリプロピレンなどの1又はいくつかのポリマーユニットである。
【0062】
より好ましい実施形態において、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの末端ブロック(end−block)は、ビオチン、ビオチン類似体、アビジン、又はアビジン類似体である。これらの分子は、保護されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの分解をブロックし且つ修飾された核酸の固体担体(solid support)への高い親和性結合手段を提供する能力がある。アビジン及びビオチン誘導体は、本発明の試薬を調整するために使用され得るものであり、ストレプトアビジン、コハク酸化アビジン、単量体アビジン、ビオシチン(ビオチン−イプシロン−N−リジン)、ビオチンヒドラジド、2−イミノビオチンのアミノ又はスルフヒドリル誘導体、及びビオチニル−イプシロン−アミノカプロン酸ヒドラジドを含む。ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチニル−イプシロン−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホスクシンイミジル6−(ビオチンアミド)ヘキサン酸塩、N−ヒドロキシスクシンイミドイミノビオチン、ビオチンブロモアセチルヒドラジド、p−ジアゾベンゾイルビオシチン及び3−(N−マレイミドプロピニル)ビオシチンなどの更なるビオチン誘導体もまた、本発明のポリヌクレオチド上の末端ブロッキング基として使用される。
【0063】
別の実施形態において、装飾されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドのリボース基の環状構造は、N−H、N−R(Rは、アルキル又はアリール置換基)、S、及び/又はメチレンで置換された環状構造において酸素を有する。
【0064】
好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの糖成分
は、モルホリノ誘導体であり、その活性誘導体は、モルホリノオリゴヌクレオチドである。
【0065】
別の実施形態において、少なくとも1つの糖部分の2つの炭素は結合している。その結合は、メトキシ基又はその他を伴っていても良い。このリンカーは、ある特定の立体構造においてそれが維持されるような方法で糖部分をを固定し、これによって、例えば、このように固定された核酸がより高い選択性及びより高い安定性有することが可能になる。固定された核酸は、例えば、J.Wengel,Acc.Chem.Res.,120,5458−5463(1999)又はJ.Wengel et al.,nucleosides&nucleotides,18(6&7),S.1365−1370中に記載されており、これらはこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
また別の実施形態において、塩基ユニットは、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。そのようなオリゴマー化合物の1つは、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが明らかにされているオリゴヌクレオチド類似物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、骨格、特にアミノエチルグリシン骨格を含むアミドで置換される。核酸塩基は、前記骨格のアミド部位のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合している。PNA化合物の調整を教示する代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、及び第5,719,262号を含み、各々はこの参照により本明細書に組み込まれる。PNA化合物の更なる教示は、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497−1500において見いだされ得る。
【0067】
さらに、修飾されたオリゴヌクレオチド骨格は、例えば、チオリン酸、キラルなチオリン酸、ジチオリン酸、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、3’−アルキルホスホンサンエステル及びキラルホスホンサンエステルを含むメチル及び他のアルキルのホスホンサンエステル、3’アミノホスホアミデート及びアミノアルキルホスホアミデートを含むホスホアミデート、チオノホスホアミデート、チオノアルキルホスホン酸エステル、チオノアルキルホスホトリエステル、及び標準的3’−5’結合を有するボラノホスフェイト、これらの2’−5’結合類似体、及び反対の極性を有するものであってヌクレオシドユニットの隣接したペアが3’−5’から5’−3、又は2’−5’から5’−2’に結合したものなどを含む。さまざまな塩、混合塩、及び遊離酸もまた含まれる。
【0068】
本発明の一部の実施形態において有益な骨格修飾を有する核酸は、S又はRキラル抗新生物薬の核酸である。本明細書で使用される"Sキラル核酸"は、少なくとも2つのヌクレオチドがキラル中心を形成する骨格修飾を有し、多数のキラル中心がSキラリティを有する核酸である。本明細書で使用される"Rキラル核酸"は、少なくとも2つのヌクレオチドがキラル中心を形成する骨格修飾を有し、多数のキラル中心がRキラリティを有する核酸である。骨格修飾は、キラル中心を形成するいかなるタイプの修飾であってもよい。前記修飾は、これらに限定されないが、チオリン酸、メチルリン酸、メチルチオリン酸、ジチオリン酸、p−エトキシ、2’−メトキシ及びこれらの組み合わせを含む。
【0069】
本発明に有益である修飾された骨格の他の種類は、ペプチド核酸である。前記骨格はアミノエチルグリシンから成り、核酸の特徴を与える塩基を支持する。前記骨格はいかなるリン酸塩も含まず、従って選択的に正味荷電を待たないものである。この電荷の欠如により2本鎖間の電荷反発が存在しないために、より強力なDNA−DNA結合を可能にする。さらに、前記骨格が余分なメチレン基を有するために、オリゴヌクレオチドは酵素/プロテアーゼ耐性である。ペプチド核酸は、例えばPerkin Elmerなどの様々な商業的供給源から購入、或いは新規に合成可能である。
【0070】
更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、上述の修飾のうちの1つにおいて修飾されたように修飾される。
【0071】
また別の実施形態において、オリゴヌクレオチドのこのような修飾は一緒にされる。
【0072】
好ましい実施形態において、1から約12、又は1から約8、又は1から約4、又は1から約2のオリゴヌクレオチド及び/又はヌクレオチドのオリゴヌクレオチド3’及び/又は5’末端での結合は上述のように修飾される。
【0073】
また別の実施形態において、同一の標的(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10)とハイブリッド形成し、表記された配列のオリゴヌクレオチドの1つを含むがさらに約1〜約20までのヌクレオチド、さらに好ましくは2’、3’、及び/又は5’末端の少なくとも1つにおいて1〜15、1〜10、1〜5、1〜3、又は1〜2のヌクレオチドを有する配列を有する本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明の範囲内である。
【0074】
つまり、本発明の任意の配列が選出され得る。例えばある配列は、表記された配列又は実施例から抽出される。このような配列は、例えば実施例16において与えられたTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、又はIL−10などの標的分子のmRNAに相補的なアンチセンスの一部分である。ヌクレオチドは、標的分子のmRNAに相補的なアンチセンスの配列に続くこれらの配列の一方の末端に添加され、mRNAとハイブリッド形成する新しいオリゴヌクレオチドを作り出す。オリゴヌクレオチドの任意末端において、長さ約1〜約20の長さのヌクレオチド、より好ましくは約1〜約25、さらに好ましくは約1〜約10、約1〜約5、約1〜約3のヌクレオチドが添加される。上述のように、いくつかのヌクレオチドが置換されるか或いはスペーサーがヌクレオチドの代わりに含まれる場合、このオリゴヌクレオチド誘導体は依然として標的分子のmRNAとハイブリッド形成することが当業者には理解される。
【0075】
本発明において言及したオリゴヌクレオチドの標的は当業者には既知である。好ましい実施形態において、前記標的は、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織細胞(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10のmRNAの群から選択される。TGF−β1及びTGF−β2のmRNAの配列は、実施例6において与えられる。TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、及びインターロイキン10のmRNAに相補的なアンチセンス配列及びTGF−βに相補的なスプライスバリエーションのアンチセンスは、実施例16において与えられる。
【0076】
本発明のまた別の課題は、本発明のIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の製造工程を見出すことであった。
【0077】
本発明の使用に関して、核酸は、当業者には良く知られた数多くの手順を使用して新規に合成され得る。そのような化合物は、‘合成の核酸’と称される。例えば、b−シアノエチルホスホアミデート方法(Beaucauge,S.L.,and Caruthers,M.H.,Tet.Let.22:1859,1981);ヌクレオシド H−ホスホン酸塩方法(Garegg et al.,Tet.Let.27:4051−4054、1986;Froehler et al.,Nucl.Acid.Res.14:5399−5407,1986,Garegg et al.,Tet.Let.27:4055−4058,1986,Gaffney et al.,Tet.Let.29:2619−2622,1988)がある。これらの化学は、市販の種々の自動化されたオリゴヌクレオチド合成装置により遂行され得る。
【0078】
好ましい工程において、本発明のIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3’−5’方向にヌクレオチド鎖を伸長させる亜リン酸塩トリエステル化学を使用して合成され、各ヌクレオチドは固相に共有結合的に付着した第一のヌクレオチドに結合しており、前記工程は、前記ヌクレオチド5’DMT保護基を開裂する第一工程と、その後鎖の伸長のために各ヌクレオチドを添加する工程と、その後亜リン酸基とキャップ(cap)した未反応の5’−水酸基を修飾する工程と、固体担持からオリゴヌクレオチドを開裂する工程と、最後に合成生成物をワークアップする工程とを含む。
【0079】
また別の実施形態において、核酸はプラスミドにおいて大規模に生産され(例えば、Sambbrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,1989を参照)、小片に分離されるか或いは全体として投与される。
【0080】
さらに別の実施形態において、核酸は、例えば制限酵素であるエクソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼの使用など当業者に既知の技術を使用して、既存の核酸配列(例えばゲノムDNA又はcDNA)から調整される。この方法において調整された核酸は単離された核酸である。核酸という用語は、合成及び単離された核酸及び坑新生物薬坑腫瘍性核酸を含む。
【0081】
他の実施形態において、例えばチオリン酸結合を有するものなどの修飾された骨格を有する核酸は、例えば、ホスホアミデート又はH−ホスホン酸塩化学などを使用した自動化された技術を使用して合成される。アリール及びアルキルホスホン酸塩は、例えば、米国特許第4,469,863号広報に記載されるように作られ得る。米国特許第5,023,243号広報及び欧州特許第092,574号広報に記載されるように電荷を持った酸素部分がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルは、商業的に入手可能な試薬を使用した自動固相合成により調整される。
【0082】
他の核酸骨格修飾及び置換の作成方法が記載されている(Uhlmann,E.andPeyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Godchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。
【0083】
核酸を欠いた前記合成の記載は当業者に既知であり、更なる詳細は、例えばWengle,J.,Chem.Res.,120,S.5458−5463(1999)、又はKoch,T.,J.Physics Condese Matter 15,S.1861−1871(2003)を参照のこと。
【0084】
一実施形態において、チオリン酸は、ホスホアミデート又はH−ホスホン酸塩化学のいずれかを使用した自動化された技術を用いて合成される。アリール及びアルキルホスホン酸塩は、例えば、米国特許第4,469,863号広報に記載されるように作られても良く、さらにアルキルホスホトリエステル(電荷を持った酸素成分が米国特許第5,023,243号広報及び欧州特許第092,574号広報に記載されるようにアルキル化されている)は、商業的に入手可能な試薬を使用した自動化された固相合成により調整され得る。他のDNA骨格修飾及び置換の作成方法が記載されている(Uhlmann,E.and Peyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Goodchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。
【0085】
本発明による有用な他の核酸源は標準のウィルス及び細菌性ベクターを含み、それらの多くは商業的に入手可能である。最も広義において「ベクター」とは任意の核酸物質であり、核酸の細胞への移動を供給及び促進する目的で通常使用される。本明細書に使用されるベクターは発現され得る遺伝子を持った空ベクター又はベクターである。ベクターが遺伝子を持っている場合、一般的にこのベクターは、遺伝子をターゲット細胞に運び、ベクターがない場合にもたらわれる分解の程度と比較して分解が低減される。この場合、前記ベクターは選択的に遺伝子の発現配列を含み、免疫細胞などの標的細胞における遺伝子発現を促進するが、前記細胞において遺伝子が発現されている必要はない。
【0086】
本発明内のオリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド類似体は、本発明の活性誘導体と同義語であり、診断及び治療において研究用試薬及びセットとして使用され得る。治療上の使用に関して、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド類似体は、例えば病気、より好ましくは腫瘍及び/又は転移を患った動物、特にヒトに投与される。
【0087】
好ましい実施形態において、IL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌の治療のため及び/又は転移形成を阻害する医薬組成物の調整に使用される。
【0088】
好ましい実施形態において、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特に本発明の対象である。このように、薬学的に許容な担体において本発明に従った本オリゴヌクレオチド及びその活性誘導体は非常に有用である。これは、例えば癌及び転移などの特に望ましくない病気にあてはまる。
【0089】
一実施形態において、前記オリゴヌクレオチド及び/又はその活性誘導体は、これらに限らないが、例えば胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳房の腫瘍、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、胚性癌腫、上皮性癌、食道癌、子宮頸癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胆嚢癌、胃癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、頸部癌、非小細胞気管支/肺癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、皮膚癌、小細胞気管支/肺癌、扁平上皮細胞癌、脂腺癌、睾丸癌、子宮癌などの望ましくない癌又は癌腫の治療において有用である。
【0090】
聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコ−マ及び化膿性肉芽腫;前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユ−イング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、血管細胞腫、ホジキンスリンパ腫、髄芽細胞腫、白血病、中皮腫、神経芽腫、神経線維腫、非ホジキンス、リンパ腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、黒色腫、髄膜腫、筋肉腫、乏突起膠腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノ−マ、トラコ−マ、及び/又はウィルムス腫瘍。
【0091】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、等張水溶液中において投与され、腫瘍内と同様に静脈内での用途に適切である。さらに本発明の医薬組成物は、1つ以上の非中毒性の薬学的に許容される担体、賦刑剤、及び/又はアジュバント(まとめて本明細書において「担体物質」として称される)を伴ったオリゴヌクレオチドを含む。前記担体物質は、前記組成物の他成分と親和性があるという意味において許容され、受容体に有害ではない。本発明の医薬組成物は、適切な担体、及び意図する治療に対して効果的なオリゴヌクレオチドの投与量を選択することにより、任意の適切な経路によって投与されることに適応され得る。例えば、これらの組成物は、経口、血管内、腹腔内、皮下、筋肉内、直腸、又は腫瘍内投与に適切な形態に調整され得る。
【0092】
従って、使用される担体物質は、固体又は液体、又はその両者であっても良く、例えばタブレットなどの投与単位組成物として化合物が処方され、オレゴヌクレオチドの重量で約1%〜約95%含み得る。溶液中のオレゴヌクレオチドの濃度は、投与される容量に依存する。そのような本発明の医薬組成物は、本質的に成分の混合から成る薬学的な任意の既知の技術により調整され得る。
【0093】
本発明の医薬組成物は単独又は混合物中において輸送される。混合物は、1つ又は複数の本発明のオリゴヌクレオチド含む。本明細書における少なくとも2つのこれらの物質は、化合物としても称される。
【0094】
一実施形態において、前記少なくとも2つの化合物は、混合物でされるか、純物質であるか、又は薬学的に許容な担体中にある。また別の実施形態において、前記医薬組成物の少なくとも2つの化合物は、分離されて純粋であるか、又は分離されて医薬組成物中にある。一実施形態において、前記少なくとも2つの成分は同一の薬学的に許容な担体中にあり、さらに別の実施形態において、前記少なくとも2つの成分は異なる薬学的に許容な担体中にある。
【0095】
投与形態
本発明の医薬組成物の投与は、当業者に既知であるいかなる手段において行われても良い。投与経路は、これに限定されないが、経口、経鼻、髄腔内、接眼、経肺、膣内、直腸、非経口(例えば筋肉注射、皮内、腫瘍内、静脈内、又は皮下、又は直接注射)、局所、経皮を含む。
【0096】
望ましくない癌又癌腫の治療のための医薬組成物の一実施形態において、この医薬組成物は、生分解性ポリマーインプラント又は埋め込み式カテーテルにより送達される。
【0097】
「医薬組成物」という用語は本組成物の液体又は物質に関与し、純物質であり、及び/又は薬学的に許容な担体と組み合わされる。
【0098】
「薬学的に許容される担体」という用語は、1若しくはそれ以上の親和性固体又は液体充填剤、希釈剤、又はカプセル化された物質を意味し、ヒト又は他の脊椎動物の投与に適する。「担体」という用語は、有機又は無機成分を意味し、天然物又は合成物であり、活性成分が結合して用途を促進するものである。前記医薬組成物の成分はまた、望ましい薬学的効果が実質的に損なわれる作用がない方法で、本発明の化合物と混合され得る。
【0099】
そのような担体は、本発明の化合物を、タブレット、コーティングされたタブレット、顆粒、粉末、錠剤、糖衣錠、(微小)カプセル、液状、ゲル状、シロップ、スラリー、懸濁液、エマルジョン、及びそのようなものとして処方され、治療される対象物によって経口摂取される。
【0100】
前記医薬組成物はまた、顆粒、粉末、タブレット、コーティングされたタブレット、(微小)カプセル、坐薬、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ、被覆された金粒子、又は活性化合物の遅延された放出を伴う調整物を含んでも良く、例えば崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、潤滑剤、着香剤、甘味剤、又は可溶化剤などの調整賦形剤及び添加剤及び/又は補助剤は、通常上述のように使用される。
【0101】
薬物送達の本方法の簡潔な概説に関しては、Langer,Science 249:1527−1533,1990を参照し、それはこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
経口投与に関して、前記医薬組成物はいかなる薬物担体もなく単独で送達されるか、或いは化合物を薬学的に許容な担体と結合することによって容易く処方される。
【0103】
一実施形態において、経口用医薬組成物は固体賦形剤として得られ、必要に応じて適切な補助剤を加えた後、選択的に得られる混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工し、タブレット又は糖衣錠の核が得られる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールなどの糖;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ジェラチン、トラガカント・ガム、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調整剤などの充填剤である。
【0104】
また別の実施形態において、例えば架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム等のその塩など、崩壊剤が加えられる。選択的に経口製剤はまた、内部酸性状態を中和するために生理食塩水又は緩衝液中において処方されても良い。
【0105】
さらに別の実施形態において、糖衣錠の核は、適切な被覆剤と共に提供される。この目的に対して、濃縮糖溶液が使用されても良く、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液(lacquer solutions)、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を選択的に含んでも良い。
【0106】
また別の実施形態において、活性化合物の投与量の異なる組み合わせを特定又は特徴付けるために、色素又は顔料がタブレット又は糖衣錠被覆剤に加えられる。
【0107】
別の実施形態において、経口に使用され得る医薬調製物は、グリセロール、ソルビトールなどのゼラチンで作られた押し込み型カプセル及びゼラチンで作られた軟質密閉カプセル、及び例えばグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤を含む。一実施形態において、前記押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び選択的に安定剤を伴った混合物中において活性成分を含む。また別の軟カプセルの実施形態において、前記活性化合物は、例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解又は懸濁される。さらに、安定剤が添加されても良い。
【0108】
また別の実施形態において、経口投与用に処方された微小球が使用され、これは当業者には既知である。
【0109】
経口投与の製剤は、投与量においてそのような投与に適切である。
【0110】
さらに別の口腔投与に対する実施形態において、前記組成物は、従来方法において処方されたタブレット又はトローチ剤の形態をとっても良い。
【0111】
吸入
吸入投与に対する別の実施形態において、本発明に従った使用に対する化合物は、エアロゾールスプレーの形態で便利に送達されてもよく、加圧パック又は噴霧器から、例えばジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、又は他の適切なガスなどの適切な高圧ガス使用を伴っても良い。加圧されたエアロゾールの場合、投与量単位は、定量を送達するためにバルブを提供することにより決定されても良い。例えば吸入器中において使用するゼラチンなどのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末ベースとの粉末混合物を含んで処方されても良い。
【0112】
適切な薬学的担体は、例えば、吸入用の水又は生理食塩水であり、微小カプセル化され、渦巻き型で(encochleated)、リポソームに含まれ、中和されたエアロゾールである。
【0113】
また別の実施形態において、非経口、髄腔内、心室内、又は腫瘍内投与のための薬学的に許容される担体は、滅菌水溶液を含み、緩衝液、希釈剤、及びこれに限定されないが、例えば貫通促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容な担体又は賦型剤などの他の適切な添加剤を含んでも良い。
【0114】
さらなる別の実施形態において、前記化合物の系統的な送達に対して、その化合物は注射による非経口投与(例えば、静脈内ボーラス、又は連続的注入)のために薬学的担体中にある。注射用の製剤は、例えば、アンプル又は複数投与する容器中などの単一投与量形態中において保存料と共に与えられる。医薬組成物は、油又は水媒体中の懸濁、溶液、又はエマルジョンなどの形態をとり、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの補助剤を含む。
【0115】
一実施形態において、非経口投与のための薬学的担体は、水溶性形態における活性化合物の水溶液を含む。
【0116】
また別の実施形態において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの懸濁液は、適切な油性注入懸濁液として調整される。適切な親油性の溶媒又は媒体は、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。水性注入懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させるカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストランなどの物質を含む。選択的に、前記懸濁液は、化合物の溶解性を増大させる適切な安定剤又は試薬もまた含んでいても良く、高濃度溶液の調整を可能にする。
【0117】
さらに別の実施形態において、前記活性化合物は、例えば滅菌無発熱水(pyrogen−free water)などの適切な媒体とともに形成するための粉末形態であっても良く、使用前又は鋭利な物体に乾燥して皮膚に傷をつける。
【0118】
また別の実施形態において、前記化合物は、坐薬又は保持かん腸剤などの直腸又は膣の組成物において処方され、例えばココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含む。
【0119】
また別の実施形態において、前記化合物は持続性薬剤調整物として処方される。一実施形態において、そのような長く作用する処方は、適切なポリマー又は疎水性化合物(例えば許容な油中のエマルジョンとして)として、又はイオン交換樹脂、又は例えば少量可溶化塩など少量可溶化誘導体として処方される。
【0120】
他の実施例において、送達システムは、持続放出、遅延放出、又は持続放出送達システムを含む。そのようなシステムは、化合物の反復投与回避し、対象物及び医者に対する利便性が増大するものである。放出送達システムの多くの種類が利用可能であり、当業者に既知である。
【0121】
1つの実施形態において、送達システムは、ポリマー(ラクチド−グリコリド)、共重合シュウ酸塩、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオートエステル、ポリヒドロキシ酪酸、及びポリ無水物などの、ポリマーベースシステムを含む。薬剤を含む上述のポリマーの微小カプセルは、例えば、米国特許第5、075、109号広報に記載される。
【0122】
また別の実施形態において、送達システムは、例えばコレステロール、コレステロールエステル、及び脂肪酸などのステロールを含む脂質又はモノ−ジ−及びトリ−グリセリドなどの中性脂質である非ポリマーシステム;ヒドロゲルリリースシステム;シラスティックシステム;ペプチドベースシステム;ワックスコーティング;従来の結合剤及び賦形剤を使用する圧縮タフレット;部分的に溶解したインプラント;及びそのようなものを含む。
【0123】
特異的な実施例は、これに限定されるないが;(a)エアロゾールシステムを含み、そこにおいて本発明の基剤は、米国特許第4、452、775号広報、第4、675、189号、及び5、736、152号に記載されるものなどのマトリックス内での形態で含まれる及び(b)拡散系を含み、そこにおいて活性成分は、米国特許第3、854、480号広報、第5、133、974号広報、及び5、407、686号広報に記載されるポリマーから制御された割合で浸透する。さらに、ポンプベースハードウェア送達システムは使用され、それらのいくつかは、移植に使用される。
【0124】
また他の実施形態において、アンタゴニスト及び抗新生物薬抗腫瘍性基剤は、GELFOAMと共に形成され、商業製品は徐々に分解する修飾されたコラーゲン線維から成る。
【0125】
1つの実施形態において、医薬組成物はまた、適切な固相又はゲル相担体又は賦形剤を含む。そのような担体又は賦形剤の実施例は、これに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ジェラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーを含む。
【0126】
1つの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、慎重に又は薬学的に許容な塩の形態で投与される。この塩は、薬学的に許容であるが、薬学的に非許容な塩は、薬学的に許容な先述の塩の混合物の調整に利便的に使用される。そのような塩は、これに限定されないが、以下の酸から調整されたものを含む:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、及びベンゼンスルホン酸。また、そのような塩は、カルボン酸系列のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。
【0127】
1つの実施形態において、適切な緩衝剤は、これに限定されないが、酢酸及びその塩(1〜2% w/v);クエン酸(1〜3% w/v);ホウ酸及びその塩(0.5〜2.5% w/v);及びリン酸及びその塩(0.8%〜2% w/v)を含む。
【0128】
適切な保存料は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03% w/v);塩化ブタノール(0.3〜0.9% w/v);パラベン(0.01〜0.25% w/v);及びチメロサール(0.004〜0.02% w/v)を含む。
【0129】
1つの実施形態において、本発明記載の医薬組成物の少なくとも2つの化合物の局所投与のための薬学的に許容な担体は、経皮貼布、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体、及びパウダーを含む。従来の薬学的担体、水、パウダー、又は油性基剤、増粘剤などが望ましい。また別の実施形態において、コーティングされたコンドーム、手袋などが有用である。
【0130】
さらに別の実施形態において、医薬組成物はまた、栄養送達の増強のため浸透エンハンサーを含む。貫通エンハンサーは、5つの広範なカテゴリーの内の1つに属すると分類され、すなわち、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、界面活性剤、非界面活性剤である(Lee et all.,Critical Reviws in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8,91−192;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier System,1990,7,1−33)。1つ以上のこれらの広範なカテゴリーからの1つ以上の貫通エンハンサーが含まれる。
【0131】
種々の脂肪酸及びその活性誘導体は、浸透エンハンサーとして作用し、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸塩、トリカプリン酸塩、レシンレン酸塩、モノオレイン(別名 1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリリン酸、アリキドニン酸、1−モノカプリン酸グリセリル、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、モノ−及びジ−グリセリド、及び先述の生理学的に許容される塩(すなわち、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノレン酸塩など)を含む(Lee at al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,91−192;Muranishi,Critical Reviws in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7:1,1−33;El−Hariri et al.,J.Pharmacol.,1992,44,651−654)。現在好まれるいくつかの脂肪酸の例は、カプリン酸ナトリウム及びラウリン酸ナトリウムであり、単体または0.5%〜5%の濃度の組み合わせで使用される。
【0132】
胆汁の生理学的役割は、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の簡易化含む(Brunton,Chapter 38 In:Goodman and Gilman´s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed., Hardman et al., eds., MacGraw−Hill,New York,N.Y.,1996,pages 934−935)。種々の天然胆汁酸塩、及びそれらの合成活性誘導体は、浸透エンハンサーとして作用する。このように「胆汁酸塩」という用語は、任意の胆汁の活性誘導体と同様に天然に発生する胆汁成分も含む。現在好まれる胆汁酸塩は、ケノデオキシコール酸(CDCA)であり(Sigma Chemical Company, St.Louis,Mo.)、一般的に0.5%〜2%の濃度で使用される。
【0133】
1若しくはそれ以上の浸透エンハンサーを含む複雑な形式が使用される。例えば、胆汁酸塩は脂肪酸との組み合わせで使用されても良く、複雑な製剤を作り出す。好まれる組み合わせは、カプリン酸ナトリウム又はラウリン酸ナトリウム(一般的に0.5%〜5%まで)と結合したCDCAを含む。
【0134】
一実施形態において、さらにキレート剤が使用され、これに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ジナトリウム、クエン酸、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチル酸、及びホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、β−ジケトン(エナミン)のラウレス−9及びN−アミノアシル誘導体を含む(Lee et all.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,92−192;Muranishi、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7:1,1−33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43−51)。キレート剤は、D−Nase阻害剤としても働くという更なる利点を有する。
【0135】
また別の実施形態において、さらに界面活性剤が使用される。界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,92−191);及びFC−43(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252−257)などのペルフルオロ化合物の乳濁液を含む。
【0136】
非界面活性剤は、例えば、不飽和環状ウレアーゼ、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,92−191);及びジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、及びフェニルブタゾン(Yamashita et al., J.Pharmacol.,1987,39,621−626)などの非ステロイド性抗炎症剤含む。
【0137】
一実施形態において、本発明の医薬組成物はさらに、医薬組成物において従来見出されている他の添加成分をこれらの技術において確立された利用レベルにおいて含む。このように、例えば医薬組成物は、例えば鎮痒薬、収斂剤、局所麻酔薬、又は抗炎症剤などのさらなる適合性薬学的活性物質を含んでも良く、或いは例えば染料、着香料、保存料、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、及び安定剤など、本発明の組成物において物理的に処方された種々の投与形態において有用な追加物質を含んでも良い。しかしながらそのような物質は、添加された場合、本発明の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げるべきではない。
【0138】
例えば大腸結腸直腸癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、前立腺癌、又は軟組織癌などの癌治療における転移形成の阻害、又は癌の治療において、医薬組成物を調整するためのオリゴヌクレオチドの実施形態において、少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが有効量で適用される。他の実施形態において活性誘導体が有効量で使用される。また別の実施形態において、例えば腎臓癌、子宮内膜癌、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、食道癌、又は本発明において述べられた他の任意の癌などの癌治療における転移形成の阻害、又は癌治療の医薬組成物の調整において、オリゴヌクレオチド又はそれらの活性誘導体が有効量で使用される。
【0139】
アンタゴニスト、オリゴヌクレオチド、及びそれらの活性誘導体は、医薬組成物の調整において使用されるだけでなく、有効量において各癌を治療するためにも使用される。一般的に、アンチセンスオリゴヌクレオチド、活性誘導体、又はアンタゴニストの「有効量」という用語は、望ましい生物学的効果を得るのに必要な量又は十分な量ということである。特に前記有効量は、癌又は癌腫の形成速度を減少するか或いは阻害する量、又は転移形成を阻害する量である。例えば、対象物が望ましくない癌を有する場合の有効量は、前記望ましくない癌を縮小させるか或いは除去する量である。さらに有効量は、新たな望ましくない癌における増大を抑制又はその減少を引き起こし、及び/又は転移形成を減少させる量である。
【0140】
前記有効量は、医薬組成物が単回又は反復投与で使用されるものか否か、更に1つのみ又は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが1つの医薬組成物中にあるか否かによって変わる。
【0141】
本明細書において与えられた投与量は成人向けである。ヒトが子供であるか、さらなる病気又は他の状況によりストレスを受けているヒトである場合、これらの投与量が適合されることが当業者には明白である。本発明の範囲内である動物が治療される場合において、同様に有効量はが適合されるべきである。
【0142】
有効量は送達の方法及び手段にも依存し、それは局所化又は全身性であっても良い。例えば一部の用途において、黒色腫又は眼癌の治療におけるこの組み合わせは好ましくは局所的又は眼科担体において送達される。
【0143】
一実施形態において、本明細書において記載されたオリゴヌクレオチドの対象物への投与量は、一般的に1回の投与あたり約0.1μg〜約10mgの範囲であり、これは時間、日、週、又は月、及びそれらの間の他の時間で与えられる用途に依存する。また別の実施形態において、前記投与量は、時間、日、又は週で間隔が空いた1〜10回の投与であって、1回の投与あたり約10μg〜約5mgの範囲、又は約100μg〜約1mgまでの範囲である。しかしながら、一部の実施形態において、投与は前述の一般的な投与より2〜100倍高い又は低い範囲で使用されても良い。
【0144】
本発明の一実施形態において、本発明記載の医薬組成物の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10の生産を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、約1μg/kg/日〜約100mg/kg/日の投与範囲、約10μg/kg/日〜約10mg/kg/日投与範囲、又は約100μg/kg/日〜約1mg/kg/日の投与範囲で投与される。
【0145】
実施例
別の方法を示していない場合、本試験に使用される配列はホスホロチオエートとして使用されるものである。本発明の本文中におけるTGF−β1、TGF−β2はそれぞれTGF−ベータ1、TGF−ベータ2と同じ意味である。AP12009及びAP11014はアンチセンスオリゴヌクレオチドと同義語であり、AP12009はTGF−ベータ2のm−RNAと相補的であるアンチセンスヌクレオチドであり、及びAP11014はTGF−ベータ1のm−RNAと相補的であるアンチセンスヌクレオチドである。
【実施例1】
【0146】
試験系に対する細胞培養条件
試験下における細胞株
結腸癌: HCT−116メラノーマ:MER191a,MER116,ME
S100a
NSCLC: SW900,NCI−H661
卵巣癌: EFO−21,Colo704
膵臓癌: PATU−8902,Hup−T3,Hup−T4
前立腺癌: PC−3,DU−145
細胞株はそれぞれAmerican Type Culture Collection(ATCC)、German Collection of Microorganisms、及びCell Culturesから入手した。すべての細胞は前記提供者による記述どおりに培養した。
【0147】
更なる試験下における細胞株
肝細胞癌 HepG2
メラノーマ RPMI−7951,SK−Mel3
NSCLC A−549
腎臓癌 Caki−1
細胞株はさらにCell Line Service(CLS)から入手した。
【実施例2】
【0148】
細胞媒介細胞毒性試験
腫瘍細胞を生成するために、1%FCS及び3%Panexin(Pan Biosystems)を補足した培地において上清細胞を培養し、培地中のTGF−β量を減少させた。細胞はリポフェクチン、リポフェクチンと各試験物質によって2日連続で処理するか、或いは未処理のまま放置した。培養上清は最後のリポフェクチン処理の後3日で取り除いた。腫瘍細胞により生成されたTGF−ベータは1N HCl(1:20希釈)を用いて室温10分間で活性化した。中和のためにNaOHを加えた。キラー細胞を活性化するリンフォカインを生成するために、健康な供血者から単離したヒト末梢血単球(PBMC)をIL−2の存在下(10ng/ml)腫瘍細胞上清と共にインキュベートした。活性化TGF−ベータ1を阻害するためにTGF−ベータ1特異抗体(1μg/ml,R&D Systems)を加えた。3日後、4h CARE−LASS試験において、標的として各癌細胞株に対するLAK細胞の細胞毒性活性を測定した。
【0149】
TGF−ベータ2に対して同様の手順を適用した。TGF−ベータ1特異抗体の代わりにTGF−2特異抗体を加えた。LAK細胞の測定下におけるTGF−ベータ1又はTGF−ベータ2を測定するための試験において、PBMCの細胞活性は4hCARE−LASS試験において測定した。
【実施例3】
【0150】
リポフェクチン(登録商標)を用いた増殖試験
1ミリリットルあたり約75.000細胞の各腫瘍細胞株を、ATCC(American Type Culture Collection)により推奨されているように、12ウェル平底マイクロタイタープレートにおける10%ウシ胎児血清(FCS,Gibco)を補足したMEM−Dulbecco培地中において培養した。24時間後及び48時間後、前記細胞を各TGF−ベータ1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの指示濃度で6時間処理した。細胞再取り込みを促進するために、更に指示濃度のリポフェクチン(登録商標)(Invitrogen,USA)をこの2×6時間加えた。一部の実験はリポフェクチン(登録商標)を添加せずに行った。この6時間と最終3日間と2つの期間の間、細胞をリポフェクチン(登録商標)の不在下において上述のTGF−ベータ特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド5μMで処理した。コントロール細胞は同じ期間純粋培地で培養した。さらに対照細胞は指示濃度のリポフェクチン(登録商標)で処理した。
【0151】
MEM−Dulbecco培地の代わりに、前記細胞株の提供者の推奨に従って、別の培地を使用しても良い。
【0152】
最終的に、トリパンブルーを用いて細胞を染色し、「ノバウエル」血球計算板においてそれらの数を数えることにより、全ての検体中の細胞数を測定した。
【0153】
生細胞を定量する別の方法は、製造者の手順に従ってEZ4Uアッセイを用いて行うか、或いは製造者の使用説明書に従ってCoulter Counter Z2(Beckmann)を用いて電子細胞の数を数えることによって行った。
【0154】
また、製造者の使用説明書に従って、TGF−ベータ1 Enzyme−Linked Immunosorbent Assay(TGF−ベータ1 ELISA,R&D Systems,USA)によって上清中のTGF−ベータ1濃度を測定した。細胞のない血清補足培地からの値を血清誘導TGF−ベータ1から差し引き、バックグラウンドを計算した。
【0155】
この増殖試験はTGF−ベータ2値の測定に対しても実施した。この場合、TGF−ベータ1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの代わりにTGF−ベータ2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し、TGF−ベータ1濃度を測定する代わりにTGF−ベータ2Enzyme−Linked Immunosorbent Asssay(TGF−ベータ2ELISA)によって上清中のTGF−ベータ2濃度を測定した。
【実施例4】
【0156】
リポフェクチン(登録商標)を添加しない増殖試験
細胞直径及び細胞増殖速度に依存しているが1ミリリットルあたり約25.000〜200.000細胞を、ATCC(American Type Culture Collection)により推奨されているように、12ウェル平底マイクロタイタープレートにおける10%仔ウシ胎児血清(FCS,Gibco)を補足したMEM−Dulbecco培地中において培養した。さらに、TGF−ベータ1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを3日間添加したが、コントロール細胞は3日間未処理で維持した。
【0157】
3日後、トリパンブルー法により染色し、「ノバウエル」血球計算板において数を数えることによって全ての検体中の細胞数を測定した。
【0158】
更に、3日目に製造者の使用説明書に従ってTGF−ベータ1 Enzyme−Linked Immunosorbent Assay(TGF−ベータ1 ELISA,Genzyme,Cambridge,MA,USA)を用いて上清中TGF−ベータ1濃度を測定した。細胞のない血清補足培地からの値を血清誘導TGF−ベータ1から差し引き、バックグラウンドを計算した。
【0159】
別の増殖試験において、TGF−ベータ2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した。これらの試験において、3日目の上清中のTGF−ベータ2値を測定した。メラノーマ細胞株に対して使用される6日間持続試験において、TGF−ベータ1又はTGF−ベータ2の値は3日目及び6日目に測定した。TGF−ベータ1及びTGF−ベータ2値は、TGF−ベータ1又は、R&D Systemsから提供されるTGF−ベータ2 Enzyme−Linked Immunosorbent Assayを用いて測定した。
【0160】
6日間持続試験において、3日後前記培地を交換し、指示濃度における各アンチセンスヌクレオチドを用いて更に3日間細胞を処理した。その後前記細胞数を3日後及び6日後に測定した。生細胞の定量は、EZ4U−アッセイを用いて製造者の手順に従って実施するか、或いはCoulter Counter Z2(Beckmann)を用いて製造者の使用説明書に従って電子細胞数をの数を数えることによって実施した。
【0161】
MEM−Dulbecco培地の代わりに、別の細胞株の提供者の推奨に従って、10%仔ウシ血清(FCS,Gibco)を補足した別の培地を使用した。
【実施例5】
【0162】
スクラッチ試験
腫瘍細胞(約900,000/ウェル)を6ウェルプレートに播種した。次の日この細胞を検体物質及びリポフェクチンを用いて一度処理し、それぞれOptimen(Invitrogen)中6時間リポフェクチンで処理するか、或いは未処理で放置した。その後、滅菌プラスチックピペットチップを用いた標準的な方法において前記細胞の密集単層に傷をつけ(着手)、各ウェルに約1,000の幅の細胞のない帯域を作製した。その後、前記細胞を一度洗浄し、正常培地中37℃でインキュベートした。写真撮影することによってin vitroにおける遊走を記録し、NIH Image 1.6を使用したコンピューター援用画像解析によって前記遊走距離を定量した。核実験は4回ずつ行った。
【0163】
遊走は転移形成において重要な役割を果たすため、この"in vitro"試験は"in vivo"における転移の形成と関連する。"in vitro"における遊走の阻害は、"in vivo"における転移形成の阻害を示すものである。
【実施例6】
【0164】
球状遊走モデル
遊走の球状モデルは別のもので記載されている通りに確立した(Nygaard et al.,1998)。腫瘍細胞は、2%寒天で被膜した組織培養フラスコにおいて培養した。3日後、多細胞球状体を96ウェルプレートに移し、未処理のまま放置、試験物質を用いて処理、或いは10ng/mlの組換えTGF−β2(R&D Systems)を用いて処理した。各細胞株の遊走反応を位相差顕微鏡(×10)を用いて分析した。
【0165】
遊走は転移形成において重要な役割を果たすため、この"in vitro"試験は"in vivo"における転移の形成と関連する。"in vitro"における遊走の阻害は、"in vivo"における転移形成の阻害を示すものである。
【実施例7】
【0166】
TGF−β1/β2−ELISA
腫瘍細胞から分泌されたTGF−β1及びTGF−β2の量はそれぞれELISAによって測定した。簡便に腫瘍細胞(細胞の大きさと細胞成長によるが、15,000〜200,000)を12ウェルの組織培養プレート中に播種し、陽イオン性脂質(リポフェクチン試薬、Gibco BRL)の存在下、無血清Optimem培地(Invitrogen)中、試験下のオリゴヌクレオチドを用いて6時間2日連続で処理、又は未処理のまま放置した。その後この細胞を5μmol/AP11014の存在下で培養、又は未処理のまま放置した。72時間後、リポフェクチン及び試験下のオリゴヌクレオチドを用いて2回目の処理を行い、この細胞培養上清を収集した。標準TGF−β1−ELISA−Kit及びTGF−β2−ELISA−Kit(Quantikine,R&D Systems,USA)を用いて上清中のTGF−β1/β2の量を測定した。
【0167】
この試験におけるTGF−ベータ1又はTGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドの最終濃度はそれぞれ3μg/mlリポフェクチン濃度と共に200nMol/l、6μg/mlと共に400nMol/lであった。
【実施例8】
【0168】
TGF−β1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMによって、結腸癌細胞株HCT−116におけるTGF−β1の分泌が100%に合わせた未処理コントロールと比較して約13.8%減少した。別の増殖実施例においては、約46%減少した。
【0169】
細胞増殖:
実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14によって、結腸癌細胞株(HCT−116)の増殖が100%に合わせた未処理コントロールと比較して約35%減少した。配列ID番号14は200nMol用いた。
【0170】
スクラッチ試験
実施例5に従ったスクラッチ試験において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下200nMの濃度において、結腸癌細胞株の遊走を顕著に抑制した。
【実施例9】
【0171】
肝細胞癌
TGF−β抑制
実施例7に記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン6μg/mlの存在下、肝細胞癌細胞株HepG2におけるTGF−β1の分泌が配列ID番号14からのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約75%抑制された。
【0172】
細胞増殖:
実施例3に従った増殖試験において、6μg/mlのリポフェクチンの存在下、配列ID番号14は400nM濃度において、肝細胞癌細胞株HepG2の増殖を100%に合わせた未処理コントロールと比較して約39%減少させた。
【実施例10】
【0173】
メラノーマ
TGF−ベータ1
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、1μg/mlのリポフェクチンの存在下、メラノーマ癌細胞株MER−116におけるTGF−β1の分泌が配列ID番号14からのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約0%減少した。
【0174】
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、メラノーマ癌細胞株MES−100aにおけるTGF−ベータの分泌が配列ID番号14からのホスホロチオエート10μMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約23%減少した。
【0175】
TGF−ベータ2抑制
実施例7において記載したようにTGF−β2特異的ELISAを用いて分析し、6μg/mlのリポフェクチンの存在下、メラノーマ細胞株RPMI−7951におけるTGF−β2の分泌が配列ID番号30からのホスホロチオエート400nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約14.2%減少した。
【0176】
増殖抑制
実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14は、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、50nM濃度においては約33%、200nM濃度においては約23%、メラノーマ細胞株(MER−116)の増殖を減少させた。A−549細胞株を用いた別の試験において、前記増殖は100%に合わせた未処理コントロールと比較して約0.4%減少した。
【0177】
増殖抑制
実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン6μg/mlの存在下、配列ID番号30は、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、400nM濃度において約17.8%までメラノーマ細胞株(RPMI−7951)の増殖を減少させた。
【実施例11】
【0178】
NSCLC
TGF−β1抑制
実施例7に記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処コントロールと比較して、非小細胞肺癌株SW−900におけるTGF−β1の分泌が約34%減少し、NCI−H661において約38%減少した。
【0179】
同条件下、癌細胞株A−549TGFにおけるTGF−β1の分泌は、約0.4%減少した。
【0180】
細胞増殖
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、NSCLC細胞株(SW−900)の増殖を約30%減少させた。配列ID番号14は200nM濃度を適用した。実施例3に従った増殖試験の別の実施例において、配列ID番号14は200nM濃度においてNSCLC細胞株A−549の増殖を約36%減少させ、NCI−H661を約44%減少させた。
【0181】
スクラッチ試験
実施例5に従ったスクラッチ試験において、配列ID番号14はリポフェクチン6μg/mlの存在下200nM及び400nMの濃度においてNSCLC癌細胞株SW−900の遊走を顕著に阻害した。配列ID番号14の前記両方の濃度で処理した前記細胞の17時間後の遊走は約50μmであったのに対し、リポフェクチンと共にインキュベートした前記細胞は約75μmの遊走であり、コントロール細胞は約80μmであった。24時間後の結果は、コントロール120μm、リポフェクチン処理細胞115μm、及び配列ID番号14処理細胞は約60μmであった。48時間の遊走は、コントロール及びリポフェクチン処理細胞が250μm、配列ID番号14で処理した細胞が前記両方の濃度において150μmであった。
【0182】
同条件下におけるスクラッチ試験において、リポフェクチンと共にインキュベートした配列ID番号14の細胞は約75μmの遊走であり、コントロール細胞は約80μmであった。24時間後の結果は、コントロールが120μm、リポフェクチン処理細胞が115μm、及び配列ID番号14処理細胞が約60μmであった。48時間後の遊走は、コントロール及びリポフェクチン処理細胞において約250μm、配列ID番号14で処理した細胞の前記両方の濃度において約150μmであった。
【実施例12】
【0183】
卵巣癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7に記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からの10nMのホスホチオエートによって、100%にあわせた未処理コントロール細胞と比較して、卵巣癌Colo 704におけるTGF−β1の分泌が約54%減少した。
【0184】
TGF−β2抑制
実施例7に記載したようにTGF−β2特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30からの200nMのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、卵巣癌EFO−21におけるTGF−β2の分泌が約31%減少した。
【0185】
細胞増殖
TGF−ベータ1:実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14は50nM濃度において、100%にあわせた未処理コントロールと比較して卵巣癌細胞株Colo704の増殖を約54%減少させた。
【0186】
実施例3に従った別の増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14は200nM濃度において、100%にあわせた未処理コントロールと比較して卵巣癌細胞株Colo704の増殖を約40%減少させた。
【0187】
実施例3に従った別の増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30は200nM濃度において、100%にあわせた未処理コントロールと比較して卵巣癌細胞株EFO−21の増殖を約63%減少させた。
【実施例13】
【0188】
膵臓癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、配列ID番号14からのホスホチオエート10μMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して膵臓癌Hup T3におけるTGF−β1の分泌が約74%減少した。
【0189】
実施例7の別の試験において、TGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からのホスホチオエート200nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して膵臓DanGにおけるTGF−β1の分泌が約3%減少した。
【0190】
TGF−ベータ2抑制
実施例7において記載したように、TGF−ベータ2特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30からのホスホロチオエート200nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3におけるTGF−β2の分泌が約2%減少し、さらにPATU−8902においては約10%減少した。
【0191】
実施例7に記載したようにTGF−ベータ2特異的ELISAを用いて、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30からのホスホロチオエート200nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T4におけるTGF−β2の分泌が約24%減少し、PA−TU−8902細胞においては約6%減少した。
【0192】
細胞増殖TGF−ベータ2
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号30は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3の増殖を約1%減少させ、細胞株PATU−8902における増殖を約10%減少させた。
【0193】
実施例3に従った別の増殖試験において、配列ID番号30は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3の増殖を約24%減少させ、Hup−T4においては約24%、PATU−8902においては約27%増殖を減少させた。
【0194】
細胞増殖TGF−ベータ1
実施例4に従った増殖試験において、配列ID番号14は10μM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3の増殖を約13%減少させ、細胞株PATU−8902においては約10%減少させた。
【0195】
実施例4に従った別の増殖試験において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株DanGの増殖を約27%減少させた。
【0196】
細胞遊走
膵臓細胞株PATU−8902の遊走は、実施例6の手順に従って測定し、5μMol/l濃度の配列ID番号30は未処理対照と比較して約65時間ほぼ完全に阻害したが、コントロール細胞の球状体の直径は同じ期間において約1000μm増大した。
【0197】
ヒトTGF−ベータ2抗体を試験した同様の実験においてはほとんど効果が示されなかった。これは、遊走阻害を示すことはアンチセンスオリゴヌクレオチドに非常に特異的であり、さらに拮抗するTGF−ベータと関連するだけではないことを示している。
【実施例14】
【0198】
前立腺癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMによって、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株PC−3におけるTGF−β1の分泌を約36%減少させ、DU−145においては約57%減少させた。
【0199】
TGF−ベータ2抑制
実施例7において示したようにTGF−β2特異的ELISAを用いて分析し、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMによって、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺細胞癌株PC−3におけるTGF−β2の分泌が約19%減少し、DU−145においては約20%減少した。
【0200】
細胞増殖TGF−ベータ1:
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号14は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株PC−3の増殖を約74%減少させた。
【0201】
実施例3に従った別の実施例において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株DU−145の増殖を約81%減少させた。
【0202】
細胞増殖TGF−ベータ2:
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号30は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株PC−3の増殖を約29%減少させ、さらにDU−145においては約34%減少させた。
【0203】
スクラッチ試験
実施例5に従ったスクラッチ試験において、配列ID番号14は400nMの濃度において、リポフェクチン6μg/mlの存在下前立腺癌細胞株PC−3の遊走を阻害した。配列ID番号14を用いて処理した細胞の17時間後の遊走が約37μmであったのに対して、リポフェクチンと共にインキュベートした細胞は約140μmであり、コントロール細胞は約165μmであった。24時間後の結果は、コントロールにおいて288μm、リポフェクチン処理細胞において213μm、及び配列ID番号14処理細胞において約60μmであった。48時間後の移動は、コントロールにおいて約366μm、リポフェクチン処理細胞において328μm、配列ID番号14処理細胞において約150μmであった。
【0204】
実施例5に従ったスクラッチ試験の別の実験において、配列ID番号14は400nM濃度において、リポフェクチン6μg/mlの存在下、前立腺癌細胞株PC−3における遊走を有意に阻害した。配列ID番号xxを用いて処理した前記細胞の17時間後の遊走は約118μmであったが、リポフェクチンと共にインキュベートした前記細胞は約207μm遊走し、コントロール細胞は約215μmであった。24時間後の結果は、コントロールにおいて288μm、リポフェクチン処理細胞において313μm、配列ID番号14処理細胞において約166μmであった。48時間後の遊走は、コントロール細胞において約420μm、リポフェクチン処理細胞において421μm、配列ID番号14を用いて処理した細胞において約197μmであった。
【実施例15】
【0205】
腎臓癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMは、腎臓癌細胞株Caki−1におけるTGF−β1の分泌を約4%減少させた。
【0206】
細胞増殖
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号14は200nMの濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、腎臓癌細胞株Caki−1における増殖を約5%減少させた。
【実施例16】
【0207】
TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3 IL−10遺伝子のm−RNAに相補的なアンチセンス
ヒト変換成長因子ベータ1(TGF−ベータ1)のm−RNAに相補的なアンチセンス:
【化1−1】
【0208】
【化1−2】
【0209】
ヒト転換成長因子ベータ2(TGF−ベータ2)のm−RNAに相補的なアンチセンス:
【化2】
【0210】
更にヒト転換成長因子ベータ2のm−RNAに相補的なアンチセンスと比較した挿入を含むヒト転換成長因子ベータ2(TGF−ベータ2)のm−RNAに相補的なアンチセンスのスプライス変化を上記に示す。前記挿入は上部から数えて812と900との間にある。このアンチセンス分子の部分とハイブリッド形成したオリゴヌクレオチドは本発明の範囲内でもある。
【0211】
【化3−1】
【0212】
【化3−2】
【0213】
【化3−3】
【0214】
ヒト変換成長因子ベータ3(TGF−ベータ3)のm−RNAと相補的なアンチセンス
【化4−1】
【0215】
【化4−2】
【0216】
ヒトインターロイキン10のm−RNAのアンチセンス
【化5−1】
【0217】
【化5−2】
【実施例17】
【0218】
オリゴヌクレオチドの合成
オリゴデオキシ−ヌクレオチドの合成方法は、亜リン酸トリエステル化学を用いたヌクレオシドの保護を含む5段階によって実施される。最初のヌクレオチドは、5’−ジメトキシトリチル−デオキシアデノシン(N4ベンゾイル)−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホアミド(01M)として導入し、Cは5’ジメトキシトリチル−デオキシシチジン(N4ベンゾイル)−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホアミドによって導入し、Gは5’−ジメトキシトリチル−デオキシグアノシン(N8イソブチリル)−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホアミドとして導入し、さらにTは5’−ジメトキシトリチル−デオキシチミジン−N,N’−ジ−イソプロピル−2−シアノエチルホスホアミドとして導入した。前記ヌクレオシドは好ましくはアセトニトリル中0.1M濃度において適用した。
【0219】
合成は、制御された約150Fm直径の細孔ガラス粒子(細孔直径はおよそ500Å)において実施し、最大3つのヌクレオシドは長鎖アルキルアミン結合を通じて共有結合的に結合していた(平均ローディングはおよそ30Fmol/g固体支持体)。
【0220】
固体支持体は、試薬は適切に流れるが前記固体支持体を押しとどめるフィルターによって両端がかぶせられた円筒型の合成カラム中にロードした。試薬は、不活性ガスの陽圧を用いることによって、輸送され、合成カラムから引き抜いた。前記ヌクレオチドは、3’−>5’の方向で成長オリゴヌクレオチド鎖に添加した。各ヌクレオチドは以下の合成循環の1回目で結合した。
【0221】
ジクロロメタン中の3−クロロ酢酸を用いて前記ヌクレオチドの5’DMT(ジメトキシトリチル)保護基を脱離した後、無水アセトニトリルを用いてカラムを洗浄した。その後、配列による保護された誘導体の1つの塩基形態とアセトニトリル中のテトラゾールとを同時に加えた。この反応の後、前記反応混合物を引き抜き、二硫化炭素/ピリジン/トリエチルアミン中の硫黄(S8)の混合物を用いて亜リン酸を参加した。前記酸化反応の後、この混合物を引き抜き、アセトニトリルでカラムを洗浄した。前記未反応5’−ヒドロキシ基は、1−メチルイミダゾール及び無水酢酸/ルチジン/テトラヒドロフランを同時に添加することによって保護した。その後、前記合成カラムをアセトニトリルで洗浄し、次の循環を開始した。
【0222】
ワークアップ(work up)方法及び合成生成物の精製は以下に示す。
最終ヌクレオチドを添加した後、アンモニア溶液中インキュベートすることによって、デオキシヌクレオチドを固体支持体から分割した。環外(exoxyclic)の保護基をさらにアンモニア中でインキュベートすることによって除去した。その後、前記アンモニアを真空下でエバポレートした。シリカC18固定相逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて、より短い失敗混合物から5’DMT保護基を有する全長(full−length)合成生成物を分離した。生成物ピークからの溶出物を収集し、真空下で乾燥し、酢酸中におけるインキュベートにより5’−DMT保護基を開裂し、その後酢酸を真空下でエバポレートした。前記合成生成物を純水中に可溶化させ、ジエチルエーテルを用いて3回抽出した。その後前記生成物を真空中で乾燥した。別に、HPLC−AXクロマトグラフィーを行い、生成物ピークの溶出物を過剰のTris−バッファーに対して透析し、その後純水で透析した。最終生成物を凍結乾燥して乾燥保存した。
【実施例18】
【0223】
実施例2に従って、TGFベータ2ID配列30及びTGF−ベータ1配列ID14それぞれのホスホチオエート化オリゴヌクレオチド細胞媒介性細胞毒性試験を実施した。
【0224】
TGF−ベータ2−膵臓癌細胞株PA−TU−8902
驚くべきことに、高値TGF−ベータ2によって阻害される膵臓癌細胞株PA−TU−8902における細胞媒介性毒性は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、200nMの配列ID番号30によってほとんど完全に回復した。前記試験は、腫瘍細胞に対する抹消血単核細胞(PBMC)の異なる比(10:1、5:1、2.5:1)によって確立した。前記細胞媒介細胞毒性の各回復は、80%、88%、及び100%であった。結果は三回のものを採用した。同等の結果が、非小細胞肺癌細胞株K562、結腸癌細胞株HCT−116において見出された。
TGF−ベータ2−膵臓癌細胞株PA−TU−8902
驚くべきことに、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30を用いて処理したPA−TU−8902の細胞培養上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)において未処理標的細胞と比較して、約140〜400%増大した。結果は4回のもの採取した。
【0225】
TGF−ベータ1−結腸癌細胞株K−562
高値TGF−ベータ1によって阻害された細胞媒介細胞毒性は、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30によって結腸癌細胞株K562において完全に回復した。前記試験は腫瘍細胞に対する末梢血単核細胞(PBMC)の異なる比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)によって確立した。これらすべての比において細胞媒介性細胞毒性の回復は100%であった。結果は3回の試験のものを採用した。
【0226】
TGF−ベータ1−結腸癌細胞株HCT−116
驚くべきことに、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30を用いて処理したHCT−116の細胞培養上清中において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)において未処理標的細胞と比較して、約170〜285%増大した。結果は4回のもの採取した。
【0227】
TGF−ベータ1:非小細胞肺(NSCLC)癌細胞株HCI−H661細胞媒介性細胞毒性は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、200nMの配列ID番号30によって非小細胞肺癌細胞株HCI−H661において完全に回復した。前記試験は、腫瘍細胞に対する末梢血単核細胞(PBMC)の異なる比(20:1、10:1、5:1、2.5:1)によって確立した。これらすべての比において細胞媒介性細胞毒性の回復は100%であった。結果は3回の試験のものを採用した。
【0228】
TGF−ベータ1:非小細胞肺(NSCLC)癌細胞株A−549
驚くべきことに、リポフェクチン3μg/mlの存在下、200nMの配列ID番号30を用いて処理したPS−TU−8902の細胞培養上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(10:1、5:1、2.5:1、1.25:1、0.625:1)において未処理標的細胞と比較して、約250〜415%増大した。結果は4回のもの採取した。
TGF−ベータ1:膵臓癌細胞株PC−3
驚くべきことに、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30を用いて処理したPC−3細胞の細胞培養上清中において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)において未処理標的細胞と比較して、約130〜270%増大した。結果は4回のもの採取した。
【実施例19】
【0229】
この実施例のTGF−ベータ1アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ1の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
TGF−ベータ1 アンチセンスオリゴヌクレオチド
【化6−1】
【0230】
【化6−2】
【0231】
【化6−3】
【0232】
【化6−4】
【0233】
【化6−5】
【0234】
【化6−6】
【0235】
【化6−7】
【0236】
【化6−8】
【実施例20】
【0237】
この実施例のTGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ2の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0238】
TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化7−1】
【0239】
【化7−2】
【0240】
【化7−3】
【0241】
【化7−4】
【0242】
【化8−1】
【0243】
【化8−2】
【0244】
【化9】
【0245】
【化10−1】
【0246】
【化10−2】
【実施例21】
【0247】
この実施例のTGF−ベータ3アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ3の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0248】
TGF−ベータ3アンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化11−1】
【0249】
【化11−2】
【0250】
【化11−3】
【0251】
【化11−4】
【0252】
【化11−5】
【0253】
【化11−6】
【実施例22】
【0254】
この実施例のIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるIL−10の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0255】
IL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド
【化12−1】
【0256】
【化12−2】
【0257】
【化12−3】
【0258】
【化12−4】
【実施例23】
【0259】
この実施例のTGF−ベータ1、2、及び3アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ1、2、及び3の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0260】
TGF−ベータ1、2、及び3アンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化13−1】
【0261】
【化13−2】
【実施例24】
【0262】
この実施例のTGF−ベータ1及び2アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ1及び2の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0263】
TGF−ベータ1のm−RNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化14−1】
【0264】
【化14−2】
【0265】
TGF−ベータ2のm−RNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド
【化15】
【図面の簡単な説明】
【0266】
【図1】図1は前立腺癌PC−3の阻害を示した図である。上位2つの配列は、リポフェクチンのみでインキュベートした対照グループの遊走を示している。前記2つの配列より下のものは、リポフェクチンと配列ID番号14に示したアンチセンスオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした細胞における明らか遊走の減少を示す。左側の2つの配列は、最初の状態を示す。右側の2つの配列は24時間後の遊走を示し、明らかに阻害していた。これは転移形成の低減を示す。
【図2】図2は、配列ID番号14を有するPTOが実施例8によるHCT−116CRC細胞のTGF−ベータ1分泌の抑制を示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度を100%に合わせた(無地の棒)。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度は、未処理コントロールに対する%において示されている。指示(indicated)は3つの独立した試験の平均及びSDである。
【図3】図3は、配列ID番号14を有するPTOは、実施例8におけるHCT−116CRC細胞の増殖を示した図である。未処理細胞からのテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U試験)のデータを100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は未処理コントロールに対する%において示されている。指示は3つの独立した試験の平均及びSDである。
【図4】図4は、実施例8において、配列ID番号14を有するPTOがHCT−116CRC球状体の遊走の抑制を示した図である。0、24、48時間における未処理球状体の面積は(白抜き丸(open cycle))μm2で示されている。リポフェクチン処理球状体の面積は白抜き三角(open triangle)として示されている。配列ID番号14を有するPTOの面積は、黒塗り四角(closed square)として示されている。指示は少なくとも4回の平均±SDである。
【図5】図5は、実施例18における配列ID番号14を有するPTOによるHCT−116CRC細胞上清において培養されたPBMCの細胞毒性の増進を示した図である。未処理HCT−116の上清において培養されたPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、指示エフェクター:標的細胞の比(E:T)におけるCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチン処理HCT−116細胞の上清中において培養されたPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性はチェック模様の棒で示されており、さらに配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理HCT−116細胞の情勢中において培養されたPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性毒性を斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図6】図6は、実施例9における配列ID番号14を有するPTOによるHep−G2 HCC細胞のTGF−ベータ1分泌の抑制を示した図である。未処理細胞上清におけるTGF−ベータ1濃度は(無地の棒)pg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の細胞上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度は斜めストライプとして示した。指示は3回の平均及びSDを示している。
【図7】図7は、実施例9における配列ID番号14を有するPTOによるHep−G2 HCC細胞の増殖の抑制を示した図である。電子細胞(elctronic cell)を数えることにより決定した未処理細胞数は、無地の棒として示し、配列ID番号14を有するPTOの細胞数/リポフェクチン処理細胞は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図8】図8は、実施例10に従って、配列ID番号14を有するPTOがMES100aメラノーマ細胞のTGF−ベータ1の分泌を抑制したことを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度は、pg/mlで示した。配列ID番号14を有するPTO/処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度は斜めストライプで示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図9】図9は、実施例10に従って、配列ID番号14を有するPTOがMER−116メラノーマ細胞の増殖を抑制したことを示した図である。電子細胞を数えることによって決定した未処理細胞数は、無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数は、チェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO細胞数/リポフェクチン処理細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図10】図10は、実施例11に従って、配列ID番号14を有するPTOが、A−549、SW−900、及びNCI−H661 NSCLC細胞のTGF−ベータ1の分泌を抑制したことを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度(無地の棒)を100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度(斜めストライプ)は未処理対照に対する%で示した。指示は各細胞株の独立した3回の試験の平均及びSDである。
【図11】図11は、実施例11に従って、配列ID番号14を有するPTOが、A−549、SW−900、及びNCI−H661 NSCLC細胞の増殖を抑制したことを示した図である。未処理細胞からのテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U)のデータ(無地の棒)を100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞のデータ(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞のデータ(斜めストライプ)は未処理対照に対する%で示した。指示は各細胞株における独立した少なくとも2つの試験の平均及びSDである。
【図12】図12は、実施例11に従って、配列ID番号14を有するPTOがSW−900 NSCLCの遊走を阻害したことを示した図である。スクラッチ試験の0、17、24、48、及び65時間において測定された未処理細胞の遊走(白抜き丸)はμmで示した。リポフェクチン処理細胞の遊走は白抜き三角でしめし、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の遊走は黒塗り三角(200nM)又は黒塗りダイアモンド(400nM)として示した。指示は3回の独立した試験の平均±SDである。
【図13】図13は、実施例18に従って、配列ID番号14を有するPTOがA−549 NSCLC細胞上清中において培養したPBMCの細胞媒介性細胞毒性を増進したことを示した図である。未処理A−549細胞の細胞上清中において培養したPBMCのNCI−H661標的細胞における細胞媒介性細胞毒性(無地の棒)は、エフェクター:標的細胞の比(E:T)において示したCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチン処理A−549細胞の上清中において培養したPBMCのNCI−H661標的細胞における細胞媒介性細胞毒性をチェック模様の棒で示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理A−549細胞の上清中において培養したPBMCのNCI−H661標的細胞の細胞媒介性細胞毒性は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図14】図14は、実施例12に従って、配列ID番号14を有するPTOが卵巣癌細胞Colo704のTGF−ベータ1分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒として示し、さらに配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清におけるTGF−ベータ1濃度は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は4回の平均及びSDである。
【図15】図15は、実施例12に従って、配列ID番号14を有するPTOがColo 704卵巣癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。Fuchs−Rosenthal hemacytometerにおいて数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は、チェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は1回の計算データである。
【図16】図16は、実施例13に従って、配列ID番号14を有するPTOがDang膵臓癌細胞のTGF−ベータ1分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度(無地の棒)はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度をチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号14/リポフェクチン処理細胞上清におけるTGF−ベータ1濃度を斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図17】図17は、実施例13に従って、配列ID番号14のPTOがDang膵臓癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図18】図18は、実施例14に従って、配列ID番号14のPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞のTGF−ベータ1分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は未処理細胞の%として示した。指示は各細胞株に対する3回の独立した栄研の平均及びSDである。
【図19】図19は、実施例14に従って、配列ID番号14を有するPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。未処理細胞からのテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U試験)のデータは(無地の棒)100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)および配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)のデータは未処理対照の%として示した。指示は、各細胞株における少なくとも3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図20】図20は、実施例14に従って、配列ID番号14を有するPTOがPC−3前立腺癌細胞の遊走を抑制したことを示した図である。0、6、17、及び24時間におけるスクラッチ試験によって測定される未処理細胞の遊走(白抜き丸)は、μmで示した。リポフェクチン処理細胞の遊走は白抜き三角として示し、さらに配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の遊走は黒塗り四角として示した。指示は3回の独立した試験の平均である。
【図21】図21は、実施例18に従って、配列ID番号14のPTOがPC−3前立腺癌細胞上清において培養したPBMCの細胞媒介性細胞毒性を抑制したことを示した図である。未処理PC−3細胞の上清において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性はエフェクター:標的細胞比(E:T)で示したCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチン処理PC−3細胞の上清中において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介細胞毒性チェック模様の棒で示し、更に配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理PC−3細胞の上清において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図22】図22は、実施例15に従って、配列ID番号14を有するPTOがCaki−1腎臓癌細胞のTGF−ベータ1の分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度(無地の棒)はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図23】図23は、実施例15に従って、配列ID番号14を有するPTOがCaki−1腎臓癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図24】図24は、実施例8に従って、配列ID番号30を有するPTOがHCT−116CRC細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図25】図25は、実施例10に従って、配列ID番号30を有するPTOがRPMI−7951メラノーマのTGF−ベータ2の分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2の濃度(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は4回の独立した試験の平均及びSDである。
【図26】図26は、実施例10に従って、配列ID番号30を有するPTOがRPMI−7951メラノーマ細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の細胞数(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は4回の独立した試験の平均及びSDである。
【図27】図27は、実施例12に従って、配列ID番号30を有するPTOがEFO−21卵巣癌細胞のTGF−ベータ2分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図28】図28は、実施例12に従って、配列ID番号30を有するPTOがEFO−21ライン相癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の細胞数(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図29】図29は、実施例13に従って、配列ID番号30を有するPTOがHup−T3、Hup−T4、及びPA−TU−8902膵臓癌細胞のTGF−ベータ2分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(無地の棒)を100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は各細胞株に対する3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図30】図30は、実施例13に従って、配列ID番号30を有するPTOがHup−T3、Hup−T4、及びPA−TU−8902膵臓癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。未処理細胞から得たテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U試験)又は電子細胞計測データを100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)及び配列ID番号30/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)のデータは、未処理対照の%で示した。指示は各細胞株に対する3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図31】図31は、実施例13に従って、配列ID番号30を有するPTOがPA−TU−8902膵臓癌球状体の遊走を阻害することを示した図である。0、17、24、41、及び65時間における未処理球状体の直径(白抜き丸)はμmで示した。配列ID番号30を有するPTOで処理した球状体の直径は黒塗り四角として示した。rhTGF−ベータ2処理球状体の直径は白抜き四角として示した。高TGF−ベータ2抗体処理球状体の直径は白抜き三角として示した。指示は少なくとも4回の平均、最大及び最小である。
【図32】図32は、実施例18に従って、配列ID番号30を有するPTOがPA−TU−8902膵臓癌細胞上清中において培養したPBMCの細胞媒介性細胞毒性を促進することを示した図である。未処理PA−TU−8902細胞の上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は(無地の棒)はエフェクター:標的細胞比(E:T)で示したCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチンで処理したPA−TU−8902細胞の上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性はチェック模様の棒で示し、配列ID番号30/リポフェクチン処理PA−TU−8902細胞を有するPTOの上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図33】図33は、実施例14に従って、配列ID番号30を有するPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞のTGF−ベータ2の分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(無地の棒)はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒で示し、配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は3回の平均及びSDである。 図34は、配列ID番号30を有するPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【技術分野】
【0001】
本発明は癌治療における効果的な薬物に関連する。癌の形成は、望ましくない組織成長を併発する一方で、他方では転移形成を併発する。この分野における研究は多くのメカニズムを開示しているが、依然として、前立腺癌、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、黒色腫、白血病、リンパ腫、非小細胞肺癌(NSCLC)又は卵巣癌などの固形癌それぞれの転移を抑制する又は腫瘍進行を抑制する深刻な副作用のない治療法が存在しない。さらに、この分野における癌は、中皮腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、腎臓癌、食道癌、又は軟組織癌である。腫瘍由来の形質転換成長因子β(TGF−β)は、転移、血管形成、及び腫瘍細胞の増殖を誘導することにより悪性進行に極めて重要な役割を果たすために議論されている。さらに、腫瘍細胞における免疫機構からの回避機構において中心的役割を果たしていると見られている。しかし、前記文献におけるTGF−β役割は、さまざまに議論されている。TGF−βによる腫瘍成長の抑制を示唆する実験の一方で、他方では、TGF−βによる細胞増殖の誘導を指摘する実験があり、これらが腫瘍の治療法におけるTGF−βの役割を曖昧にしている。
【0002】
さらに重要なことは、TGF−βはTGF−β1、TGF−β2及びTGF−β3という多くの異なるサブクラスを有しており、それらの腫瘍進行における具体的役割が別々に議論され、しばしばTGF−βとして要約され、時折混同されるということである。TGF−βの各サブクラス、すなわちTGF−β1、TGF−β2、及びTGF−β3の具体的役割は、これまでのところ十分には調査されていない。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第1008649号及び欧州特許第0695354号において、TGF−ベータ1及びTGF−ベータ2両方のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、乳房の腫瘍、食道癌、胃癌及び皮膚発癌症の治療のための医薬組成物の製造に使用されうることが教示されている。臨床研究は、神経膠腫中において前記TGF−ベータが重要な役割を果たし、そのために前記TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドが神経膠腫及び乳癌などの治療の好ましい対象であるように示すのに対し、他の腫瘍においては状況が全く異なっている。 前立腺癌においては、例えば(Wikstrom,P.,Scand J Ur−ol Nephrol 34 S.85−94)、他の癌におけるのと同様に、TGF−ベータレベルは上昇するという示唆があるが、このシステムが治療目的で操作され得るかどうかは明らかではない。
【0004】
インタ−ロイキン10(IL−10)によりそれが免疫応答の制御に中心的な役割を果たすことが知られている。一部のインタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドが細胞媒介免疫応答を増強することが示されたため、腫瘍細胞の回避機構を補填し腫瘍成長を阻害して転移形成を減少させる方法において、免疫応答を調節するためにヒトにおけるIL−10の強力な阻害剤を見出すことが重要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、腫瘍成長における望ましくない細胞増殖を抑制及び/又は転移の形成を抑制する適切な腫瘍の治療法を見つけることが本発明の課題であった。
【0006】
本発明の1つの課題は、転移形成を抑制する治療法を見出すことである。
【0007】
例えば膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌及び前立腺癌などの腫瘍は予後不良であり、現在まで有効な治療法は発見されていない。これはまた、中皮腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、腎臓癌、食道癌、軟組織癌などの腫瘍にもあてはまる。従って、このような腫瘍を特異的に抑制する特性を有する新たな治療方法、及び各々の癌の治療に対するこのような治療法の使用方法を見出すのが本発明の課題であった。本発明のもう1つの課題は、免疫機構を調節するインタ−ロイキン10(IL−10)の新しい阻害剤及び適切なそれらの合成方法と、癌治療及び免疫修飾において好まれる医薬組成物の調整のためのそのような阻害剤の使用とを見出すことである。
【0008】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの機構は、直接的効果だけでなく免疫調節効果により作用するようであり、実験的研究において証明され得る。これは、TGF−ベータ抗体で可能であったものより効果的にTGF−ベータアンチセンスヌクレオチドによって細胞移動が阻害されるということを我々が示すことができたため、例えば抗体などによるTGF−ベータの最先端の阻害より優れている。本発明の医薬組成物は、副作用がより少なく、より有効性があり、より高い生物学的利用可能性(バイオアベイラビリティ)を有し、より高い安全性及び/又は改善された化学安定性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
我々は、驚くべきことに、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3の形成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチド、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテア−ゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)及び/又はインタ−ロイキン10特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドが腫瘍細胞株及び腫瘍における転移形成を阻害するということを発見した。
【0010】
我々はさらに、TGF−ベータ1、TGF−ベータ3、インタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、白血病及びリンパ腫などの悪性骨髄増殖性疾患だけでなく、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、メラノ−マ、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、及び前立腺癌などの固形腫瘍の腫瘍増殖を阻害することを見出した。TGF−ベータ1、TGF−ベータ3及びインタ−ロイキン10アンチセンスオリゴヌクレオチドのさらなる適応症は、腎臓癌、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、食道癌及び/又は軟組織癌である。
【0011】
TGF−ベータ2のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、TGF−ベータ1TGF−ベータ3及び/又はインタ−ロイキンのアンチセンスオリゴヌクレオチドに対する上述のように、腫瘍増殖を阻害する。
【0012】
本発明の別の観点は、インタ−ロイキン10(IL−10)の形成を阻害する新しくより優れたアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、これにより免疫応答を調節する。
【0013】
本発明のまた別の観点は、IL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドの生成である。
【0014】
本発明の更なる観点は、医薬組成物の調整に対するインタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用である。インタ−ロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、転移及び/又は腫瘍成長の治療のための医薬組成物の調整にも使用され、このような病気の治療に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又は活性誘導体は、転移形成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、医薬組成物の調整に使用される。これらの医薬組成物は転移治療に使用される。
【0016】
本発明の本文中における転移は、少なくとも1つの細胞が腫瘍組織から分離又は解離し、例えばリンパ系及び/又は血管などによりヒト又は動物の身体の別の部位に移動し、そこで留まり新しい腫瘍組織を形成することを意味する。
【0017】
別の実施形態において、前記オリゴヌクレオチド又は活性誘導体は、転移の形成に関連したタンパク質合成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0018】
更なる実施形態において、そのような合成において阻害されたタンパク質は、例えば、腫瘍成長因子ベータ1(TGF−ベータ1)、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAM)、インテグリン、セレクチン、金属プロテア−ゼ(MMP)、それらの組織阻害剤(TIMPS)及び/又はインタ−ロイキン10などからなる群から選択される。
【0019】
本発明の本文中において、腫瘍成長因子は、形質転換成長因子の同義語として使用される。TGF−ベータという用語は、特にTGF−ベータ1、TGF−ベータ2及び/又はTGF−ベータ3を含む。
【0020】
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はそのTGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3活性誘導体、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテア−ゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)及び/又はインタ−ロイキン10及び/又は癌治療にいて転移形成を阻害する医薬組成物を調整するためのそれらの活性誘導体の使用である。
【0021】
分子間接着分子(CAMs)は、細胞間接着分子−1(ICAM−1)、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、内皮性白血球接着分子−1(ELAM−1)などの分子を含む。
【0022】
金属プロテア−ゼは、細胞外マトリックスの成分に幅広いタンパク質分解活性を有し同定順に番号付けされた(MMP−1、MMP−2など)少なくとも15個の構造的に関連した構成物を含む。金属プロテア−ゼは、これらに限られないが、コラゲナ−ゼ、ゼラチナ−ゼ、ストロメライシン及び金属エラスタ−ゼを含む。
【0023】
本発明の活性誘導体は、後述のように、オリゴヌクレオチドの修飾物である。
【0024】
好ましい実施形態において、前記少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は転移形成の阻害に対する医薬組成物を調整するための活性誘導体は、配列ID番号1〜68に基づいて羅列した配列において特定される配列であり、さらに好ましくは、配列ID番号1、5、6、8、9、14、15、16、28、29、30、34、35、36、40及び42として記載した配列において特定される配列である。転移形成の阻害に対する医薬組成物を調整するためのこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチドの更なる実施形態は、実施例19から24において与えられている。これらのオリゴヌクレオチドは、標的分子に対して改善された親和性を有する。さらに、最先端技術において記載したそれらのオリゴヌクレオチドと比較して、これらの分子の利点は、副作用がより少なく、より有効性があり、生物学的利用可能性がより高く、より高い安全性及び/又は改善された化学安定性を示す。
【0025】
発明のさらに別の実施例において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、次に挙げる癌における転移阻害において有益で、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳房の腫瘍、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、子宮頸癌、大腸癌、結腸直腸癌、胚性癌腫、子宮内膜癌、上皮性癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、頭頸部癌、肝細胞癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、非小細胞気管支/肺癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、直腸癌、腎細胞癌、脂腺癌、皮膚癌、小細胞気管支/肺癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、睾丸癌、子宮癌、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコ−マ及び化膿性肉芽腫;前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユ−イング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、血管芽細胞腫、髄芽細胞腫、メラノ−マ、中皮腫、神経芽細胞腫、神経線維腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、膠肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、黒色腫、髄膜腫、筋肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノ−マ、トラコ−マ、ウィルムス腫瘍などの癌における転移阻害において有益である。
【0026】
より好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、例えば膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCL)、卵巣癌、膵臓癌、軟組織癌などの癌における転移阻害に有益である。本発明の本文中において有益であることは、それらが医薬組成物の調整のために使用されること及び/又は各々の癌、癌腫、及び/又は転移の治療に使用されることを意味する。
【0027】
本発明の本文中において、癌の使用は癌腫と同意語である。
【0028】
さらに、適応症及びTGF−ベータの全ての組み合わせは、本明細書において開示されていると理解される。
【0029】
別の好ましい本発明の実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、医薬組成物の調整及び/又は腎臓癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中皮腫、食道癌、及び/又は多発性骨髄腫の治療に使用される。
【0030】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌を治療するための医薬組成物の調整に使用される。他の実施形態において、本発明の前記オリゴヌクレオチド及び/又はその活性誘導体は、腎臓癌、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、食道癌、及び/又は軟組織癌を治療するための医薬組成物の調整に使用される。
【0031】
さらなる実施形態において、本発明の前記オリゴヌクレオチド及び/又はその活性誘導体は、例えば胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳房の腫瘍、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、子宮頸癌、大腸癌、結腸直腸癌、胚性癌腫、子宮内膜癌、上皮性癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、頭頸部癌、肝細胞癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、非小細胞気管支/肺癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、直腸癌、腎細胞癌、脂腺癌、皮膚癌、小細胞気管支/肺癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、睾丸癌、子宮癌、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコ−マ及び化膿性肉芽腫;前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユ−イング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、血管細胞腫、髄芽細胞腫、黒色腫、中皮腫、神経線維腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、膠肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、黒色腫、髄膜腫、筋肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノ−マ、トラコ−マ、及び/又はウィルムス腫瘍などの癌の治療、及び/又は前記癌の治療のための医薬組成物の調整に使用される。
【0032】
これらのオリゴヌクレオチドの各々の活性誘導体は本明細書の後半でより詳細に記載されている。
【0033】
また別の実施形態において、上述したような癌を治療するための医薬組成物の調整におけるオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、腫瘍成長因子ベ−タ1、各形質転換成長因子(TGF−ベータ1)、TGF−ベータ3、及び/又はインタ−ロイキン10の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0034】
別の実施形態において、上述したような癌の治療及び/又は上述したような癌を治療するための医薬組成物の調整におけるオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、形質転換成長因子ベータ2(TGF−ベータ2)の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0035】
より好ましい実施形態において、上述したような癌を治療するための医薬組成物の調整における前記オリゴヌクレオチド又はその活性誘導体は、配列ID番号1〜21又は49〜68、22〜48又は69〜107に基づいて羅列した配列中で特定されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。配列ID番号1、5、6、8、9、14、15、16、25、26、28、29、30、34、35、36、及び37に基づいて羅列した配列中で特定される配列がさらにより好ましい。これらの配列は特に高い親和性を有する。
【0036】
これらの配列は各々の遺伝子のm−RNAに特に高い親和性を有し、副作用がより少なく、より高い有効性を示し、より高い生物学的利用可能性を有し、安全性及び/又は改善された化学的安定性を有する。本発明の別の観点は、大腸癌、前立腺癌、黒色腫、膀胱癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膵臓癌、及び/又は中皮腫の群から選択される癌を治療するためのTGF−ベータ2アンタゴニストの使用方法である。これらの腫瘍のいくつかは、高いレベルのTGF−ベータ1を伴い、驚くべきことにTGF−ベータ2の阻害によって腫瘍細胞増殖が顕著に減少し、このことはこれらの癌の治療に重要な因子である。
【0037】
本発明の本文中におけるTGF−ベータ2(形質転換成長因子2)アンタゴニストは、TGF−ベータ2の機能を阻害するいかなる化合物も含み、これはTGF−ベータにより誘導されるいかなる効果も阻害されることを意味する。
【0038】
好ましい実施形態において、TGF−ベータ2アンタゴニストは、TGF−ベータ2の生成を阻害する物質であり、TGF−ベータ2に結合する物質であり、及び/或いは、TGF−ベータ2の下流のその活性カスケ−ドの機能を阻害する物質である。より詳細なTGF−ベータ2アンタゴニストに関しては、Wojtowicz−Praga Investigational New Drugs 21:21−32,2003を参照のこと。
【0039】
阻害剤は、TGF−ベータ2結合性タンパク質、阻害剤関連TGF−ベータ受容体、Smad阻害剤、TGF−ベータ2結合性ペプチド(潜伏関連ペプチド)、抗TGF−ベータ2抗体、TGF−ベータ発現制御因子を含むがこれらに限定されてない。
【0040】
TGF−ベータ2結合性タンパク質の例は、フェチュイン、デコリン、小型コンドロイチン−デルマタン硫酸プロテオグリカン、及びプロテオグリカンの一種のバイグリカン及びフィブロモジュリンである。TGF−ベータ受容体阻害剤は、例えば、ベータタグリカン(細胞外領域のTGF−ベータタイプIII受容体)である。
【0041】
TGF−ベータ発現制御因子の例は、トラニスト(N−[3,4−ジメチトキシシンナモイル]−アントラニル酸)又はTGF−ベータ2アンチセンスプラスミドベクタ−又はTGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドである。さらに好ましい実施形態において、TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列ID番号22〜48、より好ましくは配列ID番号25、26、28、29、30、34、35、36、37を用いて記載される配列から選択される。
【0042】
本発明のまた別の観点は、新しいIL−10アンチセンス−オリゴヌクレオチド、及び配列ID番号49〜68で表記する配列において特定されるその活性誘導体である。これらのオリゴヌクレオチドは、IL−10のm−RNAに対して非常に高い親和性を有し、これによりIL−10の合成を効率的に阻害する。
【0043】
一実施形態において、IL−10のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体を生産する工程は、段階的に又はより長いオリゴヌクレオチド鎖からオリゴヌクレオチドを切断することにより、連続したヌクレオチド及びリンカーを添加することを含む。
【0044】
本発明のまた別の観点は、配列ID番号49〜68で表記する配列において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体を含む医薬組成物である。
【0045】
本発明の更なる実施形態は、癌及び/又は転移の治療のための医薬組成物の調整における、配列ID番号49〜68で表記する配列において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の使用方法である。
【0046】
本発明の1つのオリゴヌクレオチドは、癌治療における転移形成を阻害するための医薬組成物の調整において使用されるものであり、本発明のオリゴヌクレオチドは、膀胱癌、大腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、又は軟組織癌を治療するための医薬組成物の調整においても使用されるものであり、IL−10の合成を阻害する新しいオリゴヌクレオチドもまた本発明の一部である。
【0047】
オリゴヌクレオチド又は核酸という用語は、多数のヌクレオチド(すなわちリン酸基に結合した糖(例えばリボース又はデオキシリボースなど)、及び置換ピリミジン(例えばシトシン(C)、チミン(T)又はウラシル(U))或いは置換プリン(例えばアデニン(A)又はグアニン(G)など)のいずれかの可変性の有機塩基に結合した糖を含む分子、)又はそれらの修飾物を指す。本明細書において使用されているように、前記用語は、オリゴデオキシリボヌクレオチドと同様にオリゴリボヌクレオチドを指す。前記用語は、また、オリゴヌクレオシド(すなわちリン酸基のないオリゴヌクレオチド)及びポリマーを含む他の任意の有機塩基を含む。
【0048】
本発明のオリゴヌクレオチドは一本鎖であるのに対し、一部の実施形態において前記一本鎖の核酸の少なくとも一部分は二本鎖である。一本鎖の分子が増強された活性を有するのに対し、二本鎖の分子は生体内においてより安定である。
【0049】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子のm−RNAの全体に対して相補的であるか、又は、阻害されるタンパク質の任意の小部位が例えばTGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10などから選択され得る。より好ましい実施形態において、本発明の前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約6〜約300ヌクレオチドの長さを有し、また別の実施形態において前記ヌクレオチドはそれぞれ約7〜約100ヌクレオチド、約8〜約30ヌクレオチド、さらにより好ましくは12〜24ヌクレオチドの長さ有する。
【0050】
それぞれの遺伝子の配列は当業者に周知であり、またその一部は実施例14において示されるものである。
【0051】
さらに別の実施形態において、核酸はアンチセンス核酸ではなく、相補的遺伝子DNA又はRNA種に細胞内で結合してその結果前記ゲノムDNA又はRNA種の機能を阻害することによって機能しないということを意味する。核酸の結合ユニットに関して本明細書において使用されるように、「結合された」又は「結合」は、二つの実体が互いに物理化学的手段で結合されているということを意味する。共有結合又は非共有結合など、当業者に周知のいかなる結合も包含される。天然結合は、核酸の個々のユニットを結合する性質において通常見出されるものであり、最も一般的である。しかしながら、核酸の個々のユニットは、合成又は修飾された結合で結合されてもよい。
【0052】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのリン酸リンカーはペプチドによって置換される。前記オリゴヌクレオチドのこれらの誘導体は、また、ペプチド核酸とも呼ばれる。
【0053】
一実施形態において、この線形重合構造のそれぞれの末端は、さらに環状構造を形成するように結合される。しかしながら、開環線形構造が通常好まれる。オリゴヌクレオチド構造内において、リン酸基は一般的にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格の形成としてみなされる。RNA及びDNAの標準的な結合又は骨格は、3’−5’リン酸ジエステル結合である。
【0054】
オリゴヌクレオチド又は核酸は、類似の機能を有する非天然発生部位を持つオリゴヌクレオチドを含む。そのように装飾または置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば増強された細胞内取り込み、核酸標的(例えばタンパク質)への増強された親和性、変更された細胞内局在化、及びヌクレアーゼ存在下における増大された安定性などの望ましい特性のために、しばしば、天然形態よりも好まれる。本明細書において使用されるオリゴヌクレオチドの装飾は、糖、塩基部分、及び/又はヌクレオシド結合のいかなる化学的装飾も含むものである。
【0055】
一実施形態において、共有結合的に修飾された塩基及び/又は糖を有する核酸又はオリゴヌクレオチドは、例えば、3’及び/又は2’の位置におけるヒドロキシル基以外、及び5’の位置におけるリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合的に結合された糖骨格を有する核酸を含む。従って装飾された核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含んでも良い。さらに別の実施形態において、装飾された核酸はリボースの代わりにアラビノースなどの糖を含む。従って前記核酸は、骨格組成において異種である可能性があり、その結果ペプチド核酸(核酸塩基と共にアミノ酸骨格を有する)などと一緒に結合したポリマーユニットの任意の可能な組み合わせを含むものである。一部の実施形態において、前記核酸は骨格組成において同種である。
【0056】
前記核酸の置換プリン及びピリミジンは、C−Sプロピン置換塩基などの塩基類似体と同様にシトシンなどの標準のプリン及びピリミジンを含むものである(Wagner et al.,Nature Biotechnology 14:840−844,1996)。プリン及びピリミジンは、これらに限定されないが、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、及び他の天然及び非天然に存在する核酸塩基、置換及び無置換の芳香族部分を含むものである。
【0057】
各オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドポリマー中の一本鎖ヌクレオチドは、同じ装飾を含むものであっても良く、そのような装飾の組み合わせを含むものであっても良く、或いは、そのような装飾をリン酸ジエステル結合で結合していても良い。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドポリマーにヌクレアーゼ耐性を与える方法は、これに限定されないが、共有結合的に修飾したプリン又はピリミジン塩基を含むものである。例えば塩基は、メチル化されるか、ヒドロキシメチル化されるか、或いは、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが実質的に酸及びヌクレアーゼ耐性を与えられるように置換(例えば、グリコシル化)されていても良い。
【0058】
前記配列の一部のヌクレオチドが別のヌクレオチド或いはさらにスペーサーによって置換されているアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの誘導体であっても、例えばTGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10などのタンパク質の合成を阻害することが当業者に理解される。より好ましい実施形態において、約0.1%〜約50%、又は約0.1%〜約10%、又は約0.1%〜約5%のヌクレオチドが置換される。
【0059】
上述したようにスペーサーは前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも2つの部分を連結するいかなる化学物質でもよく、少なくとも1つの核酸のスペースを置換する。
【0060】
また別の実施形態において少なくとも1つのT(チミジン)は、U(ウラシル)によって置換される。
【0061】
好ましい実施形態においてスペーサーは、別のヌクレオチド、又はグルコース、リボースなどの糖、又はアミノ酸、又はポリプロピレンなどの1又はいくつかのポリマーユニットである。
【0062】
より好ましい実施形態において、前記オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの末端ブロック(end−block)は、ビオチン、ビオチン類似体、アビジン、又はアビジン類似体である。これらの分子は、保護されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの分解をブロックし且つ修飾された核酸の固体担体(solid support)への高い親和性結合手段を提供する能力がある。アビジン及びビオチン誘導体は、本発明の試薬を調整するために使用され得るものであり、ストレプトアビジン、コハク酸化アビジン、単量体アビジン、ビオシチン(ビオチン−イプシロン−N−リジン)、ビオチンヒドラジド、2−イミノビオチンのアミノ又はスルフヒドリル誘導体、及びビオチニル−イプシロン−アミノカプロン酸ヒドラジドを含む。ビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチニル−イプシロン−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、スルホスクシンイミジル6−(ビオチンアミド)ヘキサン酸塩、N−ヒドロキシスクシンイミドイミノビオチン、ビオチンブロモアセチルヒドラジド、p−ジアゾベンゾイルビオシチン及び3−(N−マレイミドプロピニル)ビオシチンなどの更なるビオチン誘導体もまた、本発明のポリヌクレオチド上の末端ブロッキング基として使用される。
【0063】
別の実施形態において、装飾されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドのリボース基の環状構造は、N−H、N−R(Rは、アルキル又はアリール置換基)、S、及び/又はメチレンで置換された環状構造において酸素を有する。
【0064】
好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの糖成分
は、モルホリノ誘導体であり、その活性誘導体は、モルホリノオリゴヌクレオチドである。
【0065】
別の実施形態において、少なくとも1つの糖部分の2つの炭素は結合している。その結合は、メトキシ基又はその他を伴っていても良い。このリンカーは、ある特定の立体構造においてそれが維持されるような方法で糖部分をを固定し、これによって、例えば、このように固定された核酸がより高い選択性及びより高い安定性有することが可能になる。固定された核酸は、例えば、J.Wengel,Acc.Chem.Res.,120,5458−5463(1999)又はJ.Wengel et al.,nucleosides&nucleotides,18(6&7),S.1365−1370中に記載されており、これらはこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
また別の実施形態において、塩基ユニットは、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。そのようなオリゴマー化合物の1つは、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが明らかにされているオリゴヌクレオチド類似物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、骨格、特にアミノエチルグリシン骨格を含むアミドで置換される。核酸塩基は、前記骨格のアミド部位のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合している。PNA化合物の調整を教示する代表的な米国特許は、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、及び第5,719,262号を含み、各々はこの参照により本明細書に組み込まれる。PNA化合物の更なる教示は、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497−1500において見いだされ得る。
【0067】
さらに、修飾されたオリゴヌクレオチド骨格は、例えば、チオリン酸、キラルなチオリン酸、ジチオリン酸、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、3’−アルキルホスホンサンエステル及びキラルホスホンサンエステルを含むメチル及び他のアルキルのホスホンサンエステル、3’アミノホスホアミデート及びアミノアルキルホスホアミデートを含むホスホアミデート、チオノホスホアミデート、チオノアルキルホスホン酸エステル、チオノアルキルホスホトリエステル、及び標準的3’−5’結合を有するボラノホスフェイト、これらの2’−5’結合類似体、及び反対の極性を有するものであってヌクレオシドユニットの隣接したペアが3’−5’から5’−3、又は2’−5’から5’−2’に結合したものなどを含む。さまざまな塩、混合塩、及び遊離酸もまた含まれる。
【0068】
本発明の一部の実施形態において有益な骨格修飾を有する核酸は、S又はRキラル抗新生物薬の核酸である。本明細書で使用される"Sキラル核酸"は、少なくとも2つのヌクレオチドがキラル中心を形成する骨格修飾を有し、多数のキラル中心がSキラリティを有する核酸である。本明細書で使用される"Rキラル核酸"は、少なくとも2つのヌクレオチドがキラル中心を形成する骨格修飾を有し、多数のキラル中心がRキラリティを有する核酸である。骨格修飾は、キラル中心を形成するいかなるタイプの修飾であってもよい。前記修飾は、これらに限定されないが、チオリン酸、メチルリン酸、メチルチオリン酸、ジチオリン酸、p−エトキシ、2’−メトキシ及びこれらの組み合わせを含む。
【0069】
本発明に有益である修飾された骨格の他の種類は、ペプチド核酸である。前記骨格はアミノエチルグリシンから成り、核酸の特徴を与える塩基を支持する。前記骨格はいかなるリン酸塩も含まず、従って選択的に正味荷電を待たないものである。この電荷の欠如により2本鎖間の電荷反発が存在しないために、より強力なDNA−DNA結合を可能にする。さらに、前記骨格が余分なメチレン基を有するために、オリゴヌクレオチドは酵素/プロテアーゼ耐性である。ペプチド核酸は、例えばPerkin Elmerなどの様々な商業的供給源から購入、或いは新規に合成可能である。
【0070】
更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチドは、上述の修飾のうちの1つにおいて修飾されたように修飾される。
【0071】
また別の実施形態において、オリゴヌクレオチドのこのような修飾は一緒にされる。
【0072】
好ましい実施形態において、1から約12、又は1から約8、又は1から約4、又は1から約2のオリゴヌクレオチド及び/又はヌクレオチドのオリゴヌクレオチド3’及び/又は5’末端での結合は上述のように修飾される。
【0073】
また別の実施形態において、同一の標的(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10)とハイブリッド形成し、表記された配列のオリゴヌクレオチドの1つを含むがさらに約1〜約20までのヌクレオチド、さらに好ましくは2’、3’、及び/又は5’末端の少なくとも1つにおいて1〜15、1〜10、1〜5、1〜3、又は1〜2のヌクレオチドを有する配列を有する本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明の範囲内である。
【0074】
つまり、本発明の任意の配列が選出され得る。例えばある配列は、表記された配列又は実施例から抽出される。このような配列は、例えば実施例16において与えられたTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、又はIL−10などの標的分子のmRNAに相補的なアンチセンスの一部分である。ヌクレオチドは、標的分子のmRNAに相補的なアンチセンスの配列に続くこれらの配列の一方の末端に添加され、mRNAとハイブリッド形成する新しいオリゴヌクレオチドを作り出す。オリゴヌクレオチドの任意末端において、長さ約1〜約20の長さのヌクレオチド、より好ましくは約1〜約25、さらに好ましくは約1〜約10、約1〜約5、約1〜約3のヌクレオチドが添加される。上述のように、いくつかのヌクレオチドが置換されるか或いはスペーサーがヌクレオチドの代わりに含まれる場合、このオリゴヌクレオチド誘導体は依然として標的分子のmRNAとハイブリッド形成することが当業者には理解される。
【0075】
本発明において言及したオリゴヌクレオチドの標的は当業者には既知である。好ましい実施形態において、前記標的は、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織細胞(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10のmRNAの群から選択される。TGF−β1及びTGF−β2のmRNAの配列は、実施例6において与えられる。TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、及びインターロイキン10のmRNAに相補的なアンチセンス配列及びTGF−βに相補的なスプライスバリエーションのアンチセンスは、実施例16において与えられる。
【0076】
本発明のまた別の課題は、本発明のIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の製造工程を見出すことであった。
【0077】
本発明の使用に関して、核酸は、当業者には良く知られた数多くの手順を使用して新規に合成され得る。そのような化合物は、‘合成の核酸’と称される。例えば、b−シアノエチルホスホアミデート方法(Beaucauge,S.L.,and Caruthers,M.H.,Tet.Let.22:1859,1981);ヌクレオシド H−ホスホン酸塩方法(Garegg et al.,Tet.Let.27:4051−4054、1986;Froehler et al.,Nucl.Acid.Res.14:5399−5407,1986,Garegg et al.,Tet.Let.27:4055−4058,1986,Gaffney et al.,Tet.Let.29:2619−2622,1988)がある。これらの化学は、市販の種々の自動化されたオリゴヌクレオチド合成装置により遂行され得る。
【0078】
好ましい工程において、本発明のIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3’−5’方向にヌクレオチド鎖を伸長させる亜リン酸塩トリエステル化学を使用して合成され、各ヌクレオチドは固相に共有結合的に付着した第一のヌクレオチドに結合しており、前記工程は、前記ヌクレオチド5’DMT保護基を開裂する第一工程と、その後鎖の伸長のために各ヌクレオチドを添加する工程と、その後亜リン酸基とキャップ(cap)した未反応の5’−水酸基を修飾する工程と、固体担持からオリゴヌクレオチドを開裂する工程と、最後に合成生成物をワークアップする工程とを含む。
【0079】
また別の実施形態において、核酸はプラスミドにおいて大規模に生産され(例えば、Sambbrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,1989を参照)、小片に分離されるか或いは全体として投与される。
【0080】
さらに別の実施形態において、核酸は、例えば制限酵素であるエクソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼの使用など当業者に既知の技術を使用して、既存の核酸配列(例えばゲノムDNA又はcDNA)から調整される。この方法において調整された核酸は単離された核酸である。核酸という用語は、合成及び単離された核酸及び坑新生物薬坑腫瘍性核酸を含む。
【0081】
他の実施形態において、例えばチオリン酸結合を有するものなどの修飾された骨格を有する核酸は、例えば、ホスホアミデート又はH−ホスホン酸塩化学などを使用した自動化された技術を使用して合成される。アリール及びアルキルホスホン酸塩は、例えば、米国特許第4,469,863号広報に記載されるように作られ得る。米国特許第5,023,243号広報及び欧州特許第092,574号広報に記載されるように電荷を持った酸素部分がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルは、商業的に入手可能な試薬を使用した自動固相合成により調整される。
【0082】
他の核酸骨格修飾及び置換の作成方法が記載されている(Uhlmann,E.andPeyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Godchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。
【0083】
核酸を欠いた前記合成の記載は当業者に既知であり、更なる詳細は、例えばWengle,J.,Chem.Res.,120,S.5458−5463(1999)、又はKoch,T.,J.Physics Condese Matter 15,S.1861−1871(2003)を参照のこと。
【0084】
一実施形態において、チオリン酸は、ホスホアミデート又はH−ホスホン酸塩化学のいずれかを使用した自動化された技術を用いて合成される。アリール及びアルキルホスホン酸塩は、例えば、米国特許第4,469,863号広報に記載されるように作られても良く、さらにアルキルホスホトリエステル(電荷を持った酸素成分が米国特許第5,023,243号広報及び欧州特許第092,574号広報に記載されるようにアルキル化されている)は、商業的に入手可能な試薬を使用した自動化された固相合成により調整され得る。他のDNA骨格修飾及び置換の作成方法が記載されている(Uhlmann,E.and Peyman,A.,Chem.Rev.90:544,1990;Goodchild,J.,Bioconjugate Chem.1:165,1990)。
【0085】
本発明による有用な他の核酸源は標準のウィルス及び細菌性ベクターを含み、それらの多くは商業的に入手可能である。最も広義において「ベクター」とは任意の核酸物質であり、核酸の細胞への移動を供給及び促進する目的で通常使用される。本明細書に使用されるベクターは発現され得る遺伝子を持った空ベクター又はベクターである。ベクターが遺伝子を持っている場合、一般的にこのベクターは、遺伝子をターゲット細胞に運び、ベクターがない場合にもたらわれる分解の程度と比較して分解が低減される。この場合、前記ベクターは選択的に遺伝子の発現配列を含み、免疫細胞などの標的細胞における遺伝子発現を促進するが、前記細胞において遺伝子が発現されている必要はない。
【0086】
本発明内のオリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド類似体は、本発明の活性誘導体と同義語であり、診断及び治療において研究用試薬及びセットとして使用され得る。治療上の使用に関して、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド類似体は、例えば病気、より好ましくは腫瘍及び/又は転移を患った動物、特にヒトに投与される。
【0087】
好ましい実施形態において、IL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌の治療のため及び/又は転移形成を阻害する医薬組成物の調整に使用される。
【0088】
好ましい実施形態において、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特に本発明の対象である。このように、薬学的に許容な担体において本発明に従った本オリゴヌクレオチド及びその活性誘導体は非常に有用である。これは、例えば癌及び転移などの特に望ましくない病気にあてはまる。
【0089】
一実施形態において、前記オリゴヌクレオチド及び/又はその活性誘導体は、これらに限らないが、例えば胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳房の腫瘍、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、胚性癌腫、上皮性癌、食道癌、子宮頸癌、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、胆嚢癌、胃癌、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、頸部癌、非小細胞気管支/肺癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、皮膚癌、小細胞気管支/肺癌、扁平上皮細胞癌、脂腺癌、睾丸癌、子宮癌などの望ましくない癌又は癌腫の治療において有用である。
【0090】
聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコ−マ及び化膿性肉芽腫;前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユ−イング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、血管細胞腫、ホジキンスリンパ腫、髄芽細胞腫、白血病、中皮腫、神経芽腫、神経線維腫、非ホジキンス、リンパ腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、黒色腫、髄膜腫、筋肉腫、乏突起膠腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノ−マ、トラコ−マ、及び/又はウィルムス腫瘍。
【0091】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、等張水溶液中において投与され、腫瘍内と同様に静脈内での用途に適切である。さらに本発明の医薬組成物は、1つ以上の非中毒性の薬学的に許容される担体、賦刑剤、及び/又はアジュバント(まとめて本明細書において「担体物質」として称される)を伴ったオリゴヌクレオチドを含む。前記担体物質は、前記組成物の他成分と親和性があるという意味において許容され、受容体に有害ではない。本発明の医薬組成物は、適切な担体、及び意図する治療に対して効果的なオリゴヌクレオチドの投与量を選択することにより、任意の適切な経路によって投与されることに適応され得る。例えば、これらの組成物は、経口、血管内、腹腔内、皮下、筋肉内、直腸、又は腫瘍内投与に適切な形態に調整され得る。
【0092】
従って、使用される担体物質は、固体又は液体、又はその両者であっても良く、例えばタブレットなどの投与単位組成物として化合物が処方され、オレゴヌクレオチドの重量で約1%〜約95%含み得る。溶液中のオレゴヌクレオチドの濃度は、投与される容量に依存する。そのような本発明の医薬組成物は、本質的に成分の混合から成る薬学的な任意の既知の技術により調整され得る。
【0093】
本発明の医薬組成物は単独又は混合物中において輸送される。混合物は、1つ又は複数の本発明のオリゴヌクレオチド含む。本明細書における少なくとも2つのこれらの物質は、化合物としても称される。
【0094】
一実施形態において、前記少なくとも2つの化合物は、混合物でされるか、純物質であるか、又は薬学的に許容な担体中にある。また別の実施形態において、前記医薬組成物の少なくとも2つの化合物は、分離されて純粋であるか、又は分離されて医薬組成物中にある。一実施形態において、前記少なくとも2つの成分は同一の薬学的に許容な担体中にあり、さらに別の実施形態において、前記少なくとも2つの成分は異なる薬学的に許容な担体中にある。
【0095】
投与形態
本発明の医薬組成物の投与は、当業者に既知であるいかなる手段において行われても良い。投与経路は、これに限定されないが、経口、経鼻、髄腔内、接眼、経肺、膣内、直腸、非経口(例えば筋肉注射、皮内、腫瘍内、静脈内、又は皮下、又は直接注射)、局所、経皮を含む。
【0096】
望ましくない癌又癌腫の治療のための医薬組成物の一実施形態において、この医薬組成物は、生分解性ポリマーインプラント又は埋め込み式カテーテルにより送達される。
【0097】
「医薬組成物」という用語は本組成物の液体又は物質に関与し、純物質であり、及び/又は薬学的に許容な担体と組み合わされる。
【0098】
「薬学的に許容される担体」という用語は、1若しくはそれ以上の親和性固体又は液体充填剤、希釈剤、又はカプセル化された物質を意味し、ヒト又は他の脊椎動物の投与に適する。「担体」という用語は、有機又は無機成分を意味し、天然物又は合成物であり、活性成分が結合して用途を促進するものである。前記医薬組成物の成分はまた、望ましい薬学的効果が実質的に損なわれる作用がない方法で、本発明の化合物と混合され得る。
【0099】
そのような担体は、本発明の化合物を、タブレット、コーティングされたタブレット、顆粒、粉末、錠剤、糖衣錠、(微小)カプセル、液状、ゲル状、シロップ、スラリー、懸濁液、エマルジョン、及びそのようなものとして処方され、治療される対象物によって経口摂取される。
【0100】
前記医薬組成物はまた、顆粒、粉末、タブレット、コーティングされたタブレット、(微小)カプセル、坐薬、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップ、被覆された金粒子、又は活性化合物の遅延された放出を伴う調整物を含んでも良く、例えば崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、潤滑剤、着香剤、甘味剤、又は可溶化剤などの調整賦形剤及び添加剤及び/又は補助剤は、通常上述のように使用される。
【0101】
薬物送達の本方法の簡潔な概説に関しては、Langer,Science 249:1527−1533,1990を参照し、それはこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
経口投与に関して、前記医薬組成物はいかなる薬物担体もなく単独で送達されるか、或いは化合物を薬学的に許容な担体と結合することによって容易く処方される。
【0103】
一実施形態において、経口用医薬組成物は固体賦形剤として得られ、必要に応じて適切な補助剤を加えた後、選択的に得られる混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工し、タブレット又は糖衣錠の核が得られる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、ショ糖、マンニトール、又はソルビトールなどの糖;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、ジェラチン、トラガカント・ガム、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調整剤などの充填剤である。
【0104】
また別の実施形態において、例えば架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム等のその塩など、崩壊剤が加えられる。選択的に経口製剤はまた、内部酸性状態を中和するために生理食塩水又は緩衝液中において処方されても良い。
【0105】
さらに別の実施形態において、糖衣錠の核は、適切な被覆剤と共に提供される。この目的に対して、濃縮糖溶液が使用されても良く、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液(lacquer solutions)、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を選択的に含んでも良い。
【0106】
また別の実施形態において、活性化合物の投与量の異なる組み合わせを特定又は特徴付けるために、色素又は顔料がタブレット又は糖衣錠被覆剤に加えられる。
【0107】
別の実施形態において、経口に使用され得る医薬調製物は、グリセロール、ソルビトールなどのゼラチンで作られた押し込み型カプセル及びゼラチンで作られた軟質密閉カプセル、及び例えばグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤を含む。一実施形態において、前記押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び選択的に安定剤を伴った混合物中において活性成分を含む。また別の軟カプセルの実施形態において、前記活性化合物は、例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解又は懸濁される。さらに、安定剤が添加されても良い。
【0108】
また別の実施形態において、経口投与用に処方された微小球が使用され、これは当業者には既知である。
【0109】
経口投与の製剤は、投与量においてそのような投与に適切である。
【0110】
さらに別の口腔投与に対する実施形態において、前記組成物は、従来方法において処方されたタブレット又はトローチ剤の形態をとっても良い。
【0111】
吸入
吸入投与に対する別の実施形態において、本発明に従った使用に対する化合物は、エアロゾールスプレーの形態で便利に送達されてもよく、加圧パック又は噴霧器から、例えばジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素、又は他の適切なガスなどの適切な高圧ガス使用を伴っても良い。加圧されたエアロゾールの場合、投与量単位は、定量を送達するためにバルブを提供することにより決定されても良い。例えば吸入器中において使用するゼラチンなどのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末ベースとの粉末混合物を含んで処方されても良い。
【0112】
適切な薬学的担体は、例えば、吸入用の水又は生理食塩水であり、微小カプセル化され、渦巻き型で(encochleated)、リポソームに含まれ、中和されたエアロゾールである。
【0113】
また別の実施形態において、非経口、髄腔内、心室内、又は腫瘍内投与のための薬学的に許容される担体は、滅菌水溶液を含み、緩衝液、希釈剤、及びこれに限定されないが、例えば貫通促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容な担体又は賦型剤などの他の適切な添加剤を含んでも良い。
【0114】
さらなる別の実施形態において、前記化合物の系統的な送達に対して、その化合物は注射による非経口投与(例えば、静脈内ボーラス、又は連続的注入)のために薬学的担体中にある。注射用の製剤は、例えば、アンプル又は複数投与する容器中などの単一投与量形態中において保存料と共に与えられる。医薬組成物は、油又は水媒体中の懸濁、溶液、又はエマルジョンなどの形態をとり、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの補助剤を含む。
【0115】
一実施形態において、非経口投与のための薬学的担体は、水溶性形態における活性化合物の水溶液を含む。
【0116】
また別の実施形態において、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの懸濁液は、適切な油性注入懸濁液として調整される。適切な親油性の溶媒又は媒体は、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。水性注入懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させるカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストランなどの物質を含む。選択的に、前記懸濁液は、化合物の溶解性を増大させる適切な安定剤又は試薬もまた含んでいても良く、高濃度溶液の調整を可能にする。
【0117】
さらに別の実施形態において、前記活性化合物は、例えば滅菌無発熱水(pyrogen−free water)などの適切な媒体とともに形成するための粉末形態であっても良く、使用前又は鋭利な物体に乾燥して皮膚に傷をつける。
【0118】
また別の実施形態において、前記化合物は、坐薬又は保持かん腸剤などの直腸又は膣の組成物において処方され、例えばココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含む。
【0119】
また別の実施形態において、前記化合物は持続性薬剤調整物として処方される。一実施形態において、そのような長く作用する処方は、適切なポリマー又は疎水性化合物(例えば許容な油中のエマルジョンとして)として、又はイオン交換樹脂、又は例えば少量可溶化塩など少量可溶化誘導体として処方される。
【0120】
他の実施例において、送達システムは、持続放出、遅延放出、又は持続放出送達システムを含む。そのようなシステムは、化合物の反復投与回避し、対象物及び医者に対する利便性が増大するものである。放出送達システムの多くの種類が利用可能であり、当業者に既知である。
【0121】
1つの実施形態において、送達システムは、ポリマー(ラクチド−グリコリド)、共重合シュウ酸塩、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオートエステル、ポリヒドロキシ酪酸、及びポリ無水物などの、ポリマーベースシステムを含む。薬剤を含む上述のポリマーの微小カプセルは、例えば、米国特許第5、075、109号広報に記載される。
【0122】
また別の実施形態において、送達システムは、例えばコレステロール、コレステロールエステル、及び脂肪酸などのステロールを含む脂質又はモノ−ジ−及びトリ−グリセリドなどの中性脂質である非ポリマーシステム;ヒドロゲルリリースシステム;シラスティックシステム;ペプチドベースシステム;ワックスコーティング;従来の結合剤及び賦形剤を使用する圧縮タフレット;部分的に溶解したインプラント;及びそのようなものを含む。
【0123】
特異的な実施例は、これに限定されるないが;(a)エアロゾールシステムを含み、そこにおいて本発明の基剤は、米国特許第4、452、775号広報、第4、675、189号、及び5、736、152号に記載されるものなどのマトリックス内での形態で含まれる及び(b)拡散系を含み、そこにおいて活性成分は、米国特許第3、854、480号広報、第5、133、974号広報、及び5、407、686号広報に記載されるポリマーから制御された割合で浸透する。さらに、ポンプベースハードウェア送達システムは使用され、それらのいくつかは、移植に使用される。
【0124】
また他の実施形態において、アンタゴニスト及び抗新生物薬抗腫瘍性基剤は、GELFOAMと共に形成され、商業製品は徐々に分解する修飾されたコラーゲン線維から成る。
【0125】
1つの実施形態において、医薬組成物はまた、適切な固相又はゲル相担体又は賦形剤を含む。そのような担体又は賦形剤の実施例は、これに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ジェラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーを含む。
【0126】
1つの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、慎重に又は薬学的に許容な塩の形態で投与される。この塩は、薬学的に許容であるが、薬学的に非許容な塩は、薬学的に許容な先述の塩の混合物の調整に利便的に使用される。そのような塩は、これに限定されないが、以下の酸から調整されたものを含む:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、及びベンゼンスルホン酸。また、そのような塩は、カルボン酸系列のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。
【0127】
1つの実施形態において、適切な緩衝剤は、これに限定されないが、酢酸及びその塩(1〜2% w/v);クエン酸(1〜3% w/v);ホウ酸及びその塩(0.5〜2.5% w/v);及びリン酸及びその塩(0.8%〜2% w/v)を含む。
【0128】
適切な保存料は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03% w/v);塩化ブタノール(0.3〜0.9% w/v);パラベン(0.01〜0.25% w/v);及びチメロサール(0.004〜0.02% w/v)を含む。
【0129】
1つの実施形態において、本発明記載の医薬組成物の少なくとも2つの化合物の局所投与のための薬学的に許容な担体は、経皮貼布、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、坐薬、スプレー、液体、及びパウダーを含む。従来の薬学的担体、水、パウダー、又は油性基剤、増粘剤などが望ましい。また別の実施形態において、コーティングされたコンドーム、手袋などが有用である。
【0130】
さらに別の実施形態において、医薬組成物はまた、栄養送達の増強のため浸透エンハンサーを含む。貫通エンハンサーは、5つの広範なカテゴリーの内の1つに属すると分類され、すなわち、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、界面活性剤、非界面活性剤である(Lee et all.,Critical Reviws in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8,91−192;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier System,1990,7,1−33)。1つ以上のこれらの広範なカテゴリーからの1つ以上の貫通エンハンサーが含まれる。
【0131】
種々の脂肪酸及びその活性誘導体は、浸透エンハンサーとして作用し、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸塩、トリカプリン酸塩、レシンレン酸塩、モノオレイン(別名 1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリリン酸、アリキドニン酸、1−モノカプリン酸グリセリル、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、モノ−及びジ−グリセリド、及び先述の生理学的に許容される塩(すなわち、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノレン酸塩など)を含む(Lee at al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,91−192;Muranishi,Critical Reviws in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7:1,1−33;El−Hariri et al.,J.Pharmacol.,1992,44,651−654)。現在好まれるいくつかの脂肪酸の例は、カプリン酸ナトリウム及びラウリン酸ナトリウムであり、単体または0.5%〜5%の濃度の組み合わせで使用される。
【0132】
胆汁の生理学的役割は、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の簡易化含む(Brunton,Chapter 38 In:Goodman and Gilman´s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed., Hardman et al., eds., MacGraw−Hill,New York,N.Y.,1996,pages 934−935)。種々の天然胆汁酸塩、及びそれらの合成活性誘導体は、浸透エンハンサーとして作用する。このように「胆汁酸塩」という用語は、任意の胆汁の活性誘導体と同様に天然に発生する胆汁成分も含む。現在好まれる胆汁酸塩は、ケノデオキシコール酸(CDCA)であり(Sigma Chemical Company, St.Louis,Mo.)、一般的に0.5%〜2%の濃度で使用される。
【0133】
1若しくはそれ以上の浸透エンハンサーを含む複雑な形式が使用される。例えば、胆汁酸塩は脂肪酸との組み合わせで使用されても良く、複雑な製剤を作り出す。好まれる組み合わせは、カプリン酸ナトリウム又はラウリン酸ナトリウム(一般的に0.5%〜5%まで)と結合したCDCAを含む。
【0134】
一実施形態において、さらにキレート剤が使用され、これに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ジナトリウム、クエン酸、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチル酸、及びホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、β−ジケトン(エナミン)のラウレス−9及びN−アミノアシル誘導体を含む(Lee et all.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,92−192;Muranishi、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7:1,1−33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43−51)。キレート剤は、D−Nase阻害剤としても働くという更なる利点を有する。
【0135】
また別の実施形態において、さらに界面活性剤が使用される。界面活性剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,92−191);及びFC−43(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252−257)などのペルフルオロ化合物の乳濁液を含む。
【0136】
非界面活性剤は、例えば、不飽和環状ウレアーゼ、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,8:2,92−191);及びジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、及びフェニルブタゾン(Yamashita et al., J.Pharmacol.,1987,39,621−626)などの非ステロイド性抗炎症剤含む。
【0137】
一実施形態において、本発明の医薬組成物はさらに、医薬組成物において従来見出されている他の添加成分をこれらの技術において確立された利用レベルにおいて含む。このように、例えば医薬組成物は、例えば鎮痒薬、収斂剤、局所麻酔薬、又は抗炎症剤などのさらなる適合性薬学的活性物質を含んでも良く、或いは例えば染料、着香料、保存料、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、及び安定剤など、本発明の組成物において物理的に処方された種々の投与形態において有用な追加物質を含んでも良い。しかしながらそのような物質は、添加された場合、本発明の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げるべきではない。
【0138】
例えば大腸結腸直腸癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、前立腺癌、又は軟組織癌などの癌治療における転移形成の阻害、又は癌の治療において、医薬組成物を調整するためのオリゴヌクレオチドの実施形態において、少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドが有効量で適用される。他の実施形態において活性誘導体が有効量で使用される。また別の実施形態において、例えば腎臓癌、子宮内膜癌、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、食道癌、又は本発明において述べられた他の任意の癌などの癌治療における転移形成の阻害、又は癌治療の医薬組成物の調整において、オリゴヌクレオチド又はそれらの活性誘導体が有効量で使用される。
【0139】
アンタゴニスト、オリゴヌクレオチド、及びそれらの活性誘導体は、医薬組成物の調整において使用されるだけでなく、有効量において各癌を治療するためにも使用される。一般的に、アンチセンスオリゴヌクレオチド、活性誘導体、又はアンタゴニストの「有効量」という用語は、望ましい生物学的効果を得るのに必要な量又は十分な量ということである。特に前記有効量は、癌又は癌腫の形成速度を減少するか或いは阻害する量、又は転移形成を阻害する量である。例えば、対象物が望ましくない癌を有する場合の有効量は、前記望ましくない癌を縮小させるか或いは除去する量である。さらに有効量は、新たな望ましくない癌における増大を抑制又はその減少を引き起こし、及び/又は転移形成を減少させる量である。
【0140】
前記有効量は、医薬組成物が単回又は反復投与で使用されるものか否か、更に1つのみ又は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが1つの医薬組成物中にあるか否かによって変わる。
【0141】
本明細書において与えられた投与量は成人向けである。ヒトが子供であるか、さらなる病気又は他の状況によりストレスを受けているヒトである場合、これらの投与量が適合されることが当業者には明白である。本発明の範囲内である動物が治療される場合において、同様に有効量はが適合されるべきである。
【0142】
有効量は送達の方法及び手段にも依存し、それは局所化又は全身性であっても良い。例えば一部の用途において、黒色腫又は眼癌の治療におけるこの組み合わせは好ましくは局所的又は眼科担体において送達される。
【0143】
一実施形態において、本明細書において記載されたオリゴヌクレオチドの対象物への投与量は、一般的に1回の投与あたり約0.1μg〜約10mgの範囲であり、これは時間、日、週、又は月、及びそれらの間の他の時間で与えられる用途に依存する。また別の実施形態において、前記投与量は、時間、日、又は週で間隔が空いた1〜10回の投与であって、1回の投与あたり約10μg〜約5mgの範囲、又は約100μg〜約1mgまでの範囲である。しかしながら、一部の実施形態において、投与は前述の一般的な投与より2〜100倍高い又は低い範囲で使用されても良い。
【0144】
本発明の一実施形態において、本発明記載の医薬組成物の少なくとも1つのオリゴヌクレオチドは、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、細胞間接着分子(CAMs)、インテグリン、セレクチン、金属プロテアーゼ(MMPs)、それらの組織阻害剤(TIMPs)、及び/又はインターロイキン10の生産を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、約1μg/kg/日〜約100mg/kg/日の投与範囲、約10μg/kg/日〜約10mg/kg/日投与範囲、又は約100μg/kg/日〜約1mg/kg/日の投与範囲で投与される。
【0145】
実施例
別の方法を示していない場合、本試験に使用される配列はホスホロチオエートとして使用されるものである。本発明の本文中におけるTGF−β1、TGF−β2はそれぞれTGF−ベータ1、TGF−ベータ2と同じ意味である。AP12009及びAP11014はアンチセンスオリゴヌクレオチドと同義語であり、AP12009はTGF−ベータ2のm−RNAと相補的であるアンチセンスヌクレオチドであり、及びAP11014はTGF−ベータ1のm−RNAと相補的であるアンチセンスヌクレオチドである。
【実施例1】
【0146】
試験系に対する細胞培養条件
試験下における細胞株
結腸癌: HCT−116メラノーマ:MER191a,MER116,ME
S100a
NSCLC: SW900,NCI−H661
卵巣癌: EFO−21,Colo704
膵臓癌: PATU−8902,Hup−T3,Hup−T4
前立腺癌: PC−3,DU−145
細胞株はそれぞれAmerican Type Culture Collection(ATCC)、German Collection of Microorganisms、及びCell Culturesから入手した。すべての細胞は前記提供者による記述どおりに培養した。
【0147】
更なる試験下における細胞株
肝細胞癌 HepG2
メラノーマ RPMI−7951,SK−Mel3
NSCLC A−549
腎臓癌 Caki−1
細胞株はさらにCell Line Service(CLS)から入手した。
【実施例2】
【0148】
細胞媒介細胞毒性試験
腫瘍細胞を生成するために、1%FCS及び3%Panexin(Pan Biosystems)を補足した培地において上清細胞を培養し、培地中のTGF−β量を減少させた。細胞はリポフェクチン、リポフェクチンと各試験物質によって2日連続で処理するか、或いは未処理のまま放置した。培養上清は最後のリポフェクチン処理の後3日で取り除いた。腫瘍細胞により生成されたTGF−ベータは1N HCl(1:20希釈)を用いて室温10分間で活性化した。中和のためにNaOHを加えた。キラー細胞を活性化するリンフォカインを生成するために、健康な供血者から単離したヒト末梢血単球(PBMC)をIL−2の存在下(10ng/ml)腫瘍細胞上清と共にインキュベートした。活性化TGF−ベータ1を阻害するためにTGF−ベータ1特異抗体(1μg/ml,R&D Systems)を加えた。3日後、4h CARE−LASS試験において、標的として各癌細胞株に対するLAK細胞の細胞毒性活性を測定した。
【0149】
TGF−ベータ2に対して同様の手順を適用した。TGF−ベータ1特異抗体の代わりにTGF−2特異抗体を加えた。LAK細胞の測定下におけるTGF−ベータ1又はTGF−ベータ2を測定するための試験において、PBMCの細胞活性は4hCARE−LASS試験において測定した。
【実施例3】
【0150】
リポフェクチン(登録商標)を用いた増殖試験
1ミリリットルあたり約75.000細胞の各腫瘍細胞株を、ATCC(American Type Culture Collection)により推奨されているように、12ウェル平底マイクロタイタープレートにおける10%ウシ胎児血清(FCS,Gibco)を補足したMEM−Dulbecco培地中において培養した。24時間後及び48時間後、前記細胞を各TGF−ベータ1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの指示濃度で6時間処理した。細胞再取り込みを促進するために、更に指示濃度のリポフェクチン(登録商標)(Invitrogen,USA)をこの2×6時間加えた。一部の実験はリポフェクチン(登録商標)を添加せずに行った。この6時間と最終3日間と2つの期間の間、細胞をリポフェクチン(登録商標)の不在下において上述のTGF−ベータ特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド5μMで処理した。コントロール細胞は同じ期間純粋培地で培養した。さらに対照細胞は指示濃度のリポフェクチン(登録商標)で処理した。
【0151】
MEM−Dulbecco培地の代わりに、前記細胞株の提供者の推奨に従って、別の培地を使用しても良い。
【0152】
最終的に、トリパンブルーを用いて細胞を染色し、「ノバウエル」血球計算板においてそれらの数を数えることにより、全ての検体中の細胞数を測定した。
【0153】
生細胞を定量する別の方法は、製造者の手順に従ってEZ4Uアッセイを用いて行うか、或いは製造者の使用説明書に従ってCoulter Counter Z2(Beckmann)を用いて電子細胞の数を数えることによって行った。
【0154】
また、製造者の使用説明書に従って、TGF−ベータ1 Enzyme−Linked Immunosorbent Assay(TGF−ベータ1 ELISA,R&D Systems,USA)によって上清中のTGF−ベータ1濃度を測定した。細胞のない血清補足培地からの値を血清誘導TGF−ベータ1から差し引き、バックグラウンドを計算した。
【0155】
この増殖試験はTGF−ベータ2値の測定に対しても実施した。この場合、TGF−ベータ1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの代わりにTGF−ベータ2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し、TGF−ベータ1濃度を測定する代わりにTGF−ベータ2Enzyme−Linked Immunosorbent Asssay(TGF−ベータ2ELISA)によって上清中のTGF−ベータ2濃度を測定した。
【実施例4】
【0156】
リポフェクチン(登録商標)を添加しない増殖試験
細胞直径及び細胞増殖速度に依存しているが1ミリリットルあたり約25.000〜200.000細胞を、ATCC(American Type Culture Collection)により推奨されているように、12ウェル平底マイクロタイタープレートにおける10%仔ウシ胎児血清(FCS,Gibco)を補足したMEM−Dulbecco培地中において培養した。さらに、TGF−ベータ1特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを3日間添加したが、コントロール細胞は3日間未処理で維持した。
【0157】
3日後、トリパンブルー法により染色し、「ノバウエル」血球計算板において数を数えることによって全ての検体中の細胞数を測定した。
【0158】
更に、3日目に製造者の使用説明書に従ってTGF−ベータ1 Enzyme−Linked Immunosorbent Assay(TGF−ベータ1 ELISA,Genzyme,Cambridge,MA,USA)を用いて上清中TGF−ベータ1濃度を測定した。細胞のない血清補足培地からの値を血清誘導TGF−ベータ1から差し引き、バックグラウンドを計算した。
【0159】
別の増殖試験において、TGF−ベータ2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した。これらの試験において、3日目の上清中のTGF−ベータ2値を測定した。メラノーマ細胞株に対して使用される6日間持続試験において、TGF−ベータ1又はTGF−ベータ2の値は3日目及び6日目に測定した。TGF−ベータ1及びTGF−ベータ2値は、TGF−ベータ1又は、R&D Systemsから提供されるTGF−ベータ2 Enzyme−Linked Immunosorbent Assayを用いて測定した。
【0160】
6日間持続試験において、3日後前記培地を交換し、指示濃度における各アンチセンスヌクレオチドを用いて更に3日間細胞を処理した。その後前記細胞数を3日後及び6日後に測定した。生細胞の定量は、EZ4U−アッセイを用いて製造者の手順に従って実施するか、或いはCoulter Counter Z2(Beckmann)を用いて製造者の使用説明書に従って電子細胞数をの数を数えることによって実施した。
【0161】
MEM−Dulbecco培地の代わりに、別の細胞株の提供者の推奨に従って、10%仔ウシ血清(FCS,Gibco)を補足した別の培地を使用した。
【実施例5】
【0162】
スクラッチ試験
腫瘍細胞(約900,000/ウェル)を6ウェルプレートに播種した。次の日この細胞を検体物質及びリポフェクチンを用いて一度処理し、それぞれOptimen(Invitrogen)中6時間リポフェクチンで処理するか、或いは未処理で放置した。その後、滅菌プラスチックピペットチップを用いた標準的な方法において前記細胞の密集単層に傷をつけ(着手)、各ウェルに約1,000の幅の細胞のない帯域を作製した。その後、前記細胞を一度洗浄し、正常培地中37℃でインキュベートした。写真撮影することによってin vitroにおける遊走を記録し、NIH Image 1.6を使用したコンピューター援用画像解析によって前記遊走距離を定量した。核実験は4回ずつ行った。
【0163】
遊走は転移形成において重要な役割を果たすため、この"in vitro"試験は"in vivo"における転移の形成と関連する。"in vitro"における遊走の阻害は、"in vivo"における転移形成の阻害を示すものである。
【実施例6】
【0164】
球状遊走モデル
遊走の球状モデルは別のもので記載されている通りに確立した(Nygaard et al.,1998)。腫瘍細胞は、2%寒天で被膜した組織培養フラスコにおいて培養した。3日後、多細胞球状体を96ウェルプレートに移し、未処理のまま放置、試験物質を用いて処理、或いは10ng/mlの組換えTGF−β2(R&D Systems)を用いて処理した。各細胞株の遊走反応を位相差顕微鏡(×10)を用いて分析した。
【0165】
遊走は転移形成において重要な役割を果たすため、この"in vitro"試験は"in vivo"における転移の形成と関連する。"in vitro"における遊走の阻害は、"in vivo"における転移形成の阻害を示すものである。
【実施例7】
【0166】
TGF−β1/β2−ELISA
腫瘍細胞から分泌されたTGF−β1及びTGF−β2の量はそれぞれELISAによって測定した。簡便に腫瘍細胞(細胞の大きさと細胞成長によるが、15,000〜200,000)を12ウェルの組織培養プレート中に播種し、陽イオン性脂質(リポフェクチン試薬、Gibco BRL)の存在下、無血清Optimem培地(Invitrogen)中、試験下のオリゴヌクレオチドを用いて6時間2日連続で処理、又は未処理のまま放置した。その後この細胞を5μmol/AP11014の存在下で培養、又は未処理のまま放置した。72時間後、リポフェクチン及び試験下のオリゴヌクレオチドを用いて2回目の処理を行い、この細胞培養上清を収集した。標準TGF−β1−ELISA−Kit及びTGF−β2−ELISA−Kit(Quantikine,R&D Systems,USA)を用いて上清中のTGF−β1/β2の量を測定した。
【0167】
この試験におけるTGF−ベータ1又はTGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドの最終濃度はそれぞれ3μg/mlリポフェクチン濃度と共に200nMol/l、6μg/mlと共に400nMol/lであった。
【実施例8】
【0168】
TGF−β1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMによって、結腸癌細胞株HCT−116におけるTGF−β1の分泌が100%に合わせた未処理コントロールと比較して約13.8%減少した。別の増殖実施例においては、約46%減少した。
【0169】
細胞増殖:
実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14によって、結腸癌細胞株(HCT−116)の増殖が100%に合わせた未処理コントロールと比較して約35%減少した。配列ID番号14は200nMol用いた。
【0170】
スクラッチ試験
実施例5に従ったスクラッチ試験において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下200nMの濃度において、結腸癌細胞株の遊走を顕著に抑制した。
【実施例9】
【0171】
肝細胞癌
TGF−β抑制
実施例7に記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン6μg/mlの存在下、肝細胞癌細胞株HepG2におけるTGF−β1の分泌が配列ID番号14からのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約75%抑制された。
【0172】
細胞増殖:
実施例3に従った増殖試験において、6μg/mlのリポフェクチンの存在下、配列ID番号14は400nM濃度において、肝細胞癌細胞株HepG2の増殖を100%に合わせた未処理コントロールと比較して約39%減少させた。
【実施例10】
【0173】
メラノーマ
TGF−ベータ1
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、1μg/mlのリポフェクチンの存在下、メラノーマ癌細胞株MER−116におけるTGF−β1の分泌が配列ID番号14からのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約0%減少した。
【0174】
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、メラノーマ癌細胞株MES−100aにおけるTGF−ベータの分泌が配列ID番号14からのホスホロチオエート10μMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約23%減少した。
【0175】
TGF−ベータ2抑制
実施例7において記載したようにTGF−β2特異的ELISAを用いて分析し、6μg/mlのリポフェクチンの存在下、メラノーマ細胞株RPMI−7951におけるTGF−β2の分泌が配列ID番号30からのホスホロチオエート400nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して約14.2%減少した。
【0176】
増殖抑制
実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14は、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、50nM濃度においては約33%、200nM濃度においては約23%、メラノーマ細胞株(MER−116)の増殖を減少させた。A−549細胞株を用いた別の試験において、前記増殖は100%に合わせた未処理コントロールと比較して約0.4%減少した。
【0177】
増殖抑制
実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン6μg/mlの存在下、配列ID番号30は、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、400nM濃度において約17.8%までメラノーマ細胞株(RPMI−7951)の増殖を減少させた。
【実施例11】
【0178】
NSCLC
TGF−β1抑制
実施例7に記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処コントロールと比較して、非小細胞肺癌株SW−900におけるTGF−β1の分泌が約34%減少し、NCI−H661において約38%減少した。
【0179】
同条件下、癌細胞株A−549TGFにおけるTGF−β1の分泌は、約0.4%減少した。
【0180】
細胞増殖
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、NSCLC細胞株(SW−900)の増殖を約30%減少させた。配列ID番号14は200nM濃度を適用した。実施例3に従った増殖試験の別の実施例において、配列ID番号14は200nM濃度においてNSCLC細胞株A−549の増殖を約36%減少させ、NCI−H661を約44%減少させた。
【0181】
スクラッチ試験
実施例5に従ったスクラッチ試験において、配列ID番号14はリポフェクチン6μg/mlの存在下200nM及び400nMの濃度においてNSCLC癌細胞株SW−900の遊走を顕著に阻害した。配列ID番号14の前記両方の濃度で処理した前記細胞の17時間後の遊走は約50μmであったのに対し、リポフェクチンと共にインキュベートした前記細胞は約75μmの遊走であり、コントロール細胞は約80μmであった。24時間後の結果は、コントロール120μm、リポフェクチン処理細胞115μm、及び配列ID番号14処理細胞は約60μmであった。48時間の遊走は、コントロール及びリポフェクチン処理細胞が250μm、配列ID番号14で処理した細胞が前記両方の濃度において150μmであった。
【0182】
同条件下におけるスクラッチ試験において、リポフェクチンと共にインキュベートした配列ID番号14の細胞は約75μmの遊走であり、コントロール細胞は約80μmであった。24時間後の結果は、コントロールが120μm、リポフェクチン処理細胞が115μm、及び配列ID番号14処理細胞が約60μmであった。48時間後の遊走は、コントロール及びリポフェクチン処理細胞において約250μm、配列ID番号14で処理した細胞の前記両方の濃度において約150μmであった。
【実施例12】
【0183】
卵巣癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7に記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からの10nMのホスホチオエートによって、100%にあわせた未処理コントロール細胞と比較して、卵巣癌Colo 704におけるTGF−β1の分泌が約54%減少した。
【0184】
TGF−β2抑制
実施例7に記載したようにTGF−β2特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30からの200nMのホスホロチオエートによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、卵巣癌EFO−21におけるTGF−β2の分泌が約31%減少した。
【0185】
細胞増殖
TGF−ベータ1:実施例3に従った増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14は50nM濃度において、100%にあわせた未処理コントロールと比較して卵巣癌細胞株Colo704の増殖を約54%減少させた。
【0186】
実施例3に従った別の増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14は200nM濃度において、100%にあわせた未処理コントロールと比較して卵巣癌細胞株Colo704の増殖を約40%減少させた。
【0187】
実施例3に従った別の増殖試験において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30は200nM濃度において、100%にあわせた未処理コントロールと比較して卵巣癌細胞株EFO−21の増殖を約63%減少させた。
【実施例13】
【0188】
膵臓癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、配列ID番号14からのホスホチオエート10μMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して膵臓癌Hup T3におけるTGF−β1の分泌が約74%減少した。
【0189】
実施例7の別の試験において、TGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号14からのホスホチオエート200nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して膵臓DanGにおけるTGF−β1の分泌が約3%減少した。
【0190】
TGF−ベータ2抑制
実施例7において記載したように、TGF−ベータ2特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30からのホスホロチオエート200nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3におけるTGF−β2の分泌が約2%減少し、さらにPATU−8902においては約10%減少した。
【0191】
実施例7に記載したようにTGF−ベータ2特異的ELISAを用いて、リポフェクチン3μg/mlの存在下、配列ID番号30からのホスホロチオエート200nMによって、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T4におけるTGF−β2の分泌が約24%減少し、PA−TU−8902細胞においては約6%減少した。
【0192】
細胞増殖TGF−ベータ2
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号30は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3の増殖を約1%減少させ、細胞株PATU−8902における増殖を約10%減少させた。
【0193】
実施例3に従った別の増殖試験において、配列ID番号30は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3の増殖を約24%減少させ、Hup−T4においては約24%、PATU−8902においては約27%増殖を減少させた。
【0194】
細胞増殖TGF−ベータ1
実施例4に従った増殖試験において、配列ID番号14は10μM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株Hup−T3の増殖を約13%減少させ、細胞株PATU−8902においては約10%減少させた。
【0195】
実施例4に従った別の増殖試験において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、膵臓癌細胞株DanGの増殖を約27%減少させた。
【0196】
細胞遊走
膵臓細胞株PATU−8902の遊走は、実施例6の手順に従って測定し、5μMol/l濃度の配列ID番号30は未処理対照と比較して約65時間ほぼ完全に阻害したが、コントロール細胞の球状体の直径は同じ期間において約1000μm増大した。
【0197】
ヒトTGF−ベータ2抗体を試験した同様の実験においてはほとんど効果が示されなかった。これは、遊走阻害を示すことはアンチセンスオリゴヌクレオチドに非常に特異的であり、さらに拮抗するTGF−ベータと関連するだけではないことを示している。
【実施例14】
【0198】
前立腺癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMによって、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株PC−3におけるTGF−β1の分泌を約36%減少させ、DU−145においては約57%減少させた。
【0199】
TGF−ベータ2抑制
実施例7において示したようにTGF−β2特異的ELISAを用いて分析し、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMによって、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺細胞癌株PC−3におけるTGF−β2の分泌が約19%減少し、DU−145においては約20%減少した。
【0200】
細胞増殖TGF−ベータ1:
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号14は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株PC−3の増殖を約74%減少させた。
【0201】
実施例3に従った別の実施例において、配列ID番号14は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株DU−145の増殖を約81%減少させた。
【0202】
細胞増殖TGF−ベータ2:
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号30は200nM濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、前立腺癌細胞株PC−3の増殖を約29%減少させ、さらにDU−145においては約34%減少させた。
【0203】
スクラッチ試験
実施例5に従ったスクラッチ試験において、配列ID番号14は400nMの濃度において、リポフェクチン6μg/mlの存在下前立腺癌細胞株PC−3の遊走を阻害した。配列ID番号14を用いて処理した細胞の17時間後の遊走が約37μmであったのに対して、リポフェクチンと共にインキュベートした細胞は約140μmであり、コントロール細胞は約165μmであった。24時間後の結果は、コントロールにおいて288μm、リポフェクチン処理細胞において213μm、及び配列ID番号14処理細胞において約60μmであった。48時間後の移動は、コントロールにおいて約366μm、リポフェクチン処理細胞において328μm、配列ID番号14処理細胞において約150μmであった。
【0204】
実施例5に従ったスクラッチ試験の別の実験において、配列ID番号14は400nM濃度において、リポフェクチン6μg/mlの存在下、前立腺癌細胞株PC−3における遊走を有意に阻害した。配列ID番号xxを用いて処理した前記細胞の17時間後の遊走は約118μmであったが、リポフェクチンと共にインキュベートした前記細胞は約207μm遊走し、コントロール細胞は約215μmであった。24時間後の結果は、コントロールにおいて288μm、リポフェクチン処理細胞において313μm、配列ID番号14処理細胞において約166μmであった。48時間後の遊走は、コントロール細胞において約420μm、リポフェクチン処理細胞において421μm、配列ID番号14を用いて処理した細胞において約197μmであった。
【実施例15】
【0205】
腎臓癌
TGF−ベータ1抑制
実施例7において記載したようにTGF−β1特異的ELISAを用いて分析し、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、配列ID番号14からのホスホロチオエート200nMは、腎臓癌細胞株Caki−1におけるTGF−β1の分泌を約4%減少させた。
【0206】
細胞増殖
実施例3に従った増殖試験において、配列ID番号14は200nMの濃度において、リポフェクチン3μg/mlの存在下、100%に合わせた未処理コントロールと比較して、腎臓癌細胞株Caki−1における増殖を約5%減少させた。
【実施例16】
【0207】
TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3 IL−10遺伝子のm−RNAに相補的なアンチセンス
ヒト変換成長因子ベータ1(TGF−ベータ1)のm−RNAに相補的なアンチセンス:
【化1−1】
【0208】
【化1−2】
【0209】
ヒト転換成長因子ベータ2(TGF−ベータ2)のm−RNAに相補的なアンチセンス:
【化2】
【0210】
更にヒト転換成長因子ベータ2のm−RNAに相補的なアンチセンスと比較した挿入を含むヒト転換成長因子ベータ2(TGF−ベータ2)のm−RNAに相補的なアンチセンスのスプライス変化を上記に示す。前記挿入は上部から数えて812と900との間にある。このアンチセンス分子の部分とハイブリッド形成したオリゴヌクレオチドは本発明の範囲内でもある。
【0211】
【化3−1】
【0212】
【化3−2】
【0213】
【化3−3】
【0214】
ヒト変換成長因子ベータ3(TGF−ベータ3)のm−RNAと相補的なアンチセンス
【化4−1】
【0215】
【化4−2】
【0216】
ヒトインターロイキン10のm−RNAのアンチセンス
【化5−1】
【0217】
【化5−2】
【実施例17】
【0218】
オリゴヌクレオチドの合成
オリゴデオキシ−ヌクレオチドの合成方法は、亜リン酸トリエステル化学を用いたヌクレオシドの保護を含む5段階によって実施される。最初のヌクレオチドは、5’−ジメトキシトリチル−デオキシアデノシン(N4ベンゾイル)−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホアミド(01M)として導入し、Cは5’ジメトキシトリチル−デオキシシチジン(N4ベンゾイル)−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホアミドによって導入し、Gは5’−ジメトキシトリチル−デオキシグアノシン(N8イソブチリル)−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホアミドとして導入し、さらにTは5’−ジメトキシトリチル−デオキシチミジン−N,N’−ジ−イソプロピル−2−シアノエチルホスホアミドとして導入した。前記ヌクレオシドは好ましくはアセトニトリル中0.1M濃度において適用した。
【0219】
合成は、制御された約150Fm直径の細孔ガラス粒子(細孔直径はおよそ500Å)において実施し、最大3つのヌクレオシドは長鎖アルキルアミン結合を通じて共有結合的に結合していた(平均ローディングはおよそ30Fmol/g固体支持体)。
【0220】
固体支持体は、試薬は適切に流れるが前記固体支持体を押しとどめるフィルターによって両端がかぶせられた円筒型の合成カラム中にロードした。試薬は、不活性ガスの陽圧を用いることによって、輸送され、合成カラムから引き抜いた。前記ヌクレオチドは、3’−>5’の方向で成長オリゴヌクレオチド鎖に添加した。各ヌクレオチドは以下の合成循環の1回目で結合した。
【0221】
ジクロロメタン中の3−クロロ酢酸を用いて前記ヌクレオチドの5’DMT(ジメトキシトリチル)保護基を脱離した後、無水アセトニトリルを用いてカラムを洗浄した。その後、配列による保護された誘導体の1つの塩基形態とアセトニトリル中のテトラゾールとを同時に加えた。この反応の後、前記反応混合物を引き抜き、二硫化炭素/ピリジン/トリエチルアミン中の硫黄(S8)の混合物を用いて亜リン酸を参加した。前記酸化反応の後、この混合物を引き抜き、アセトニトリルでカラムを洗浄した。前記未反応5’−ヒドロキシ基は、1−メチルイミダゾール及び無水酢酸/ルチジン/テトラヒドロフランを同時に添加することによって保護した。その後、前記合成カラムをアセトニトリルで洗浄し、次の循環を開始した。
【0222】
ワークアップ(work up)方法及び合成生成物の精製は以下に示す。
最終ヌクレオチドを添加した後、アンモニア溶液中インキュベートすることによって、デオキシヌクレオチドを固体支持体から分割した。環外(exoxyclic)の保護基をさらにアンモニア中でインキュベートすることによって除去した。その後、前記アンモニアを真空下でエバポレートした。シリカC18固定相逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて、より短い失敗混合物から5’DMT保護基を有する全長(full−length)合成生成物を分離した。生成物ピークからの溶出物を収集し、真空下で乾燥し、酢酸中におけるインキュベートにより5’−DMT保護基を開裂し、その後酢酸を真空下でエバポレートした。前記合成生成物を純水中に可溶化させ、ジエチルエーテルを用いて3回抽出した。その後前記生成物を真空中で乾燥した。別に、HPLC−AXクロマトグラフィーを行い、生成物ピークの溶出物を過剰のTris−バッファーに対して透析し、その後純水で透析した。最終生成物を凍結乾燥して乾燥保存した。
【実施例18】
【0223】
実施例2に従って、TGFベータ2ID配列30及びTGF−ベータ1配列ID14それぞれのホスホチオエート化オリゴヌクレオチド細胞媒介性細胞毒性試験を実施した。
【0224】
TGF−ベータ2−膵臓癌細胞株PA−TU−8902
驚くべきことに、高値TGF−ベータ2によって阻害される膵臓癌細胞株PA−TU−8902における細胞媒介性毒性は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、200nMの配列ID番号30によってほとんど完全に回復した。前記試験は、腫瘍細胞に対する抹消血単核細胞(PBMC)の異なる比(10:1、5:1、2.5:1)によって確立した。前記細胞媒介細胞毒性の各回復は、80%、88%、及び100%であった。結果は三回のものを採用した。同等の結果が、非小細胞肺癌細胞株K562、結腸癌細胞株HCT−116において見出された。
TGF−ベータ2−膵臓癌細胞株PA−TU−8902
驚くべきことに、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30を用いて処理したPA−TU−8902の細胞培養上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)において未処理標的細胞と比較して、約140〜400%増大した。結果は4回のもの採取した。
【0225】
TGF−ベータ1−結腸癌細胞株K−562
高値TGF−ベータ1によって阻害された細胞媒介細胞毒性は、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30によって結腸癌細胞株K562において完全に回復した。前記試験は腫瘍細胞に対する末梢血単核細胞(PBMC)の異なる比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)によって確立した。これらすべての比において細胞媒介性細胞毒性の回復は100%であった。結果は3回の試験のものを採用した。
【0226】
TGF−ベータ1−結腸癌細胞株HCT−116
驚くべきことに、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30を用いて処理したHCT−116の細胞培養上清中において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)において未処理標的細胞と比較して、約170〜285%増大した。結果は4回のもの採取した。
【0227】
TGF−ベータ1:非小細胞肺(NSCLC)癌細胞株HCI−H661細胞媒介性細胞毒性は、リポフェクチン3μg/mlの存在下、200nMの配列ID番号30によって非小細胞肺癌細胞株HCI−H661において完全に回復した。前記試験は、腫瘍細胞に対する末梢血単核細胞(PBMC)の異なる比(20:1、10:1、5:1、2.5:1)によって確立した。これらすべての比において細胞媒介性細胞毒性の回復は100%であった。結果は3回の試験のものを採用した。
【0228】
TGF−ベータ1:非小細胞肺(NSCLC)癌細胞株A−549
驚くべきことに、リポフェクチン3μg/mlの存在下、200nMの配列ID番号30を用いて処理したPS−TU−8902の細胞培養上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(10:1、5:1、2.5:1、1.25:1、0.625:1)において未処理標的細胞と比較して、約250〜415%増大した。結果は4回のもの採取した。
TGF−ベータ1:膵臓癌細胞株PC−3
驚くべきことに、リポフェクチン6μg/mlの存在下、400nMの配列ID番号30を用いて処理したPC−3細胞の細胞培養上清中において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、エフェクター:標的細胞比(20:1、10:1、5:1、2.5:1、1.25:1)において未処理標的細胞と比較して、約130〜270%増大した。結果は4回のもの採取した。
【実施例19】
【0229】
この実施例のTGF−ベータ1アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ1の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
TGF−ベータ1 アンチセンスオリゴヌクレオチド
【化6−1】
【0230】
【化6−2】
【0231】
【化6−3】
【0232】
【化6−4】
【0233】
【化6−5】
【0234】
【化6−6】
【0235】
【化6−7】
【0236】
【化6−8】
【実施例20】
【0237】
この実施例のTGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ2の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0238】
TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化7−1】
【0239】
【化7−2】
【0240】
【化7−3】
【0241】
【化7−4】
【0242】
【化8−1】
【0243】
【化8−2】
【0244】
【化9】
【0245】
【化10−1】
【0246】
【化10−2】
【実施例21】
【0247】
この実施例のTGF−ベータ3アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ3の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0248】
TGF−ベータ3アンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化11−1】
【0249】
【化11−2】
【0250】
【化11−3】
【0251】
【化11−4】
【0252】
【化11−5】
【0253】
【化11−6】
【実施例22】
【0254】
この実施例のIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるIL−10の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0255】
IL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド
【化12−1】
【0256】
【化12−2】
【0257】
【化12−3】
【0258】
【化12−4】
【実施例23】
【0259】
この実施例のTGF−ベータ1、2、及び3アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ1、2、及び3の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0260】
TGF−ベータ1、2、及び3アンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化13−1】
【0261】
【化13−2】
【実施例24】
【0262】
この実施例のTGF−ベータ1及び2アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明の一部である。これらは、"in vitro"及び"in vivo"におけるTGF−ベータ1及び2の形成を阻害するオリゴヌクレオチドに対する更なる実施形態であり、これにより、薬学的組成物として薬学的許容可能な担体において、本発明に記載された癌の治療及び/又は転移形成の阻害に対して使用され得るものである。
【0263】
TGF−ベータ1のm−RNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド:
【化14−1】
【0264】
【化14−2】
【0265】
TGF−ベータ2のm−RNAに対して相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド
【化15】
【図面の簡単な説明】
【0266】
【図1】図1は前立腺癌PC−3の阻害を示した図である。上位2つの配列は、リポフェクチンのみでインキュベートした対照グループの遊走を示している。前記2つの配列より下のものは、リポフェクチンと配列ID番号14に示したアンチセンスオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした細胞における明らか遊走の減少を示す。左側の2つの配列は、最初の状態を示す。右側の2つの配列は24時間後の遊走を示し、明らかに阻害していた。これは転移形成の低減を示す。
【図2】図2は、配列ID番号14を有するPTOが実施例8によるHCT−116CRC細胞のTGF−ベータ1分泌の抑制を示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度を100%に合わせた(無地の棒)。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度は、未処理コントロールに対する%において示されている。指示(indicated)は3つの独立した試験の平均及びSDである。
【図3】図3は、配列ID番号14を有するPTOは、実施例8におけるHCT−116CRC細胞の増殖を示した図である。未処理細胞からのテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U試験)のデータを100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は未処理コントロールに対する%において示されている。指示は3つの独立した試験の平均及びSDである。
【図4】図4は、実施例8において、配列ID番号14を有するPTOがHCT−116CRC球状体の遊走の抑制を示した図である。0、24、48時間における未処理球状体の面積は(白抜き丸(open cycle))μm2で示されている。リポフェクチン処理球状体の面積は白抜き三角(open triangle)として示されている。配列ID番号14を有するPTOの面積は、黒塗り四角(closed square)として示されている。指示は少なくとも4回の平均±SDである。
【図5】図5は、実施例18における配列ID番号14を有するPTOによるHCT−116CRC細胞上清において培養されたPBMCの細胞毒性の増進を示した図である。未処理HCT−116の上清において培養されたPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は、指示エフェクター:標的細胞の比(E:T)におけるCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチン処理HCT−116細胞の上清中において培養されたPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性はチェック模様の棒で示されており、さらに配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理HCT−116細胞の情勢中において培養されたPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性毒性を斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図6】図6は、実施例9における配列ID番号14を有するPTOによるHep−G2 HCC細胞のTGF−ベータ1分泌の抑制を示した図である。未処理細胞上清におけるTGF−ベータ1濃度は(無地の棒)pg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の細胞上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度は斜めストライプとして示した。指示は3回の平均及びSDを示している。
【図7】図7は、実施例9における配列ID番号14を有するPTOによるHep−G2 HCC細胞の増殖の抑制を示した図である。電子細胞(elctronic cell)を数えることにより決定した未処理細胞数は、無地の棒として示し、配列ID番号14を有するPTOの細胞数/リポフェクチン処理細胞は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図8】図8は、実施例10に従って、配列ID番号14を有するPTOがMES100aメラノーマ細胞のTGF−ベータ1の分泌を抑制したことを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度は、pg/mlで示した。配列ID番号14を有するPTO/処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度は斜めストライプで示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図9】図9は、実施例10に従って、配列ID番号14を有するPTOがMER−116メラノーマ細胞の増殖を抑制したことを示した図である。電子細胞を数えることによって決定した未処理細胞数は、無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数は、チェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO細胞数/リポフェクチン処理細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図10】図10は、実施例11に従って、配列ID番号14を有するPTOが、A−549、SW−900、及びNCI−H661 NSCLC細胞のTGF−ベータ1の分泌を抑制したことを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度(無地の棒)を100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1の濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度(斜めストライプ)は未処理対照に対する%で示した。指示は各細胞株の独立した3回の試験の平均及びSDである。
【図11】図11は、実施例11に従って、配列ID番号14を有するPTOが、A−549、SW−900、及びNCI−H661 NSCLC細胞の増殖を抑制したことを示した図である。未処理細胞からのテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U)のデータ(無地の棒)を100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞のデータ(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞のデータ(斜めストライプ)は未処理対照に対する%で示した。指示は各細胞株における独立した少なくとも2つの試験の平均及びSDである。
【図12】図12は、実施例11に従って、配列ID番号14を有するPTOがSW−900 NSCLCの遊走を阻害したことを示した図である。スクラッチ試験の0、17、24、48、及び65時間において測定された未処理細胞の遊走(白抜き丸)はμmで示した。リポフェクチン処理細胞の遊走は白抜き三角でしめし、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の遊走は黒塗り三角(200nM)又は黒塗りダイアモンド(400nM)として示した。指示は3回の独立した試験の平均±SDである。
【図13】図13は、実施例18に従って、配列ID番号14を有するPTOがA−549 NSCLC細胞上清中において培養したPBMCの細胞媒介性細胞毒性を増進したことを示した図である。未処理A−549細胞の細胞上清中において培養したPBMCのNCI−H661標的細胞における細胞媒介性細胞毒性(無地の棒)は、エフェクター:標的細胞の比(E:T)において示したCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチン処理A−549細胞の上清中において培養したPBMCのNCI−H661標的細胞における細胞媒介性細胞毒性をチェック模様の棒で示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理A−549細胞の上清中において培養したPBMCのNCI−H661標的細胞の細胞媒介性細胞毒性は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図14】図14は、実施例12に従って、配列ID番号14を有するPTOが卵巣癌細胞Colo704のTGF−ベータ1分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒として示し、さらに配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清におけるTGF−ベータ1濃度は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は4回の平均及びSDである。
【図15】図15は、実施例12に従って、配列ID番号14を有するPTOがColo 704卵巣癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。Fuchs−Rosenthal hemacytometerにおいて数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は、チェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は1回の計算データである。
【図16】図16は、実施例13に従って、配列ID番号14を有するPTOがDang膵臓癌細胞のTGF−ベータ1分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度(無地の棒)はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度をチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号14/リポフェクチン処理細胞上清におけるTGF−ベータ1濃度を斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図17】図17は、実施例13に従って、配列ID番号14のPTOがDang膵臓癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図18】図18は、実施例14に従って、配列ID番号14のPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞のTGF−ベータ1分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は未処理細胞の%として示した。指示は各細胞株に対する3回の独立した栄研の平均及びSDである。
【図19】図19は、実施例14に従って、配列ID番号14を有するPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。未処理細胞からのテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U試験)のデータは(無地の棒)100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)および配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)のデータは未処理対照の%として示した。指示は、各細胞株における少なくとも3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図20】図20は、実施例14に従って、配列ID番号14を有するPTOがPC−3前立腺癌細胞の遊走を抑制したことを示した図である。0、6、17、及び24時間におけるスクラッチ試験によって測定される未処理細胞の遊走(白抜き丸)は、μmで示した。リポフェクチン処理細胞の遊走は白抜き三角として示し、さらに配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の遊走は黒塗り四角として示した。指示は3回の独立した試験の平均である。
【図21】図21は、実施例18に従って、配列ID番号14のPTOがPC−3前立腺癌細胞上清において培養したPBMCの細胞媒介性細胞毒性を抑制したことを示した図である。未処理PC−3細胞の上清において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性はエフェクター:標的細胞比(E:T)で示したCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチン処理PC−3細胞の上清中において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介細胞毒性チェック模様の棒で示し、更に配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理PC−3細胞の上清において培養したPBMCのK562標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図22】図22は、実施例15に従って、配列ID番号14を有するPTOがCaki−1腎臓癌細胞のTGF−ベータ1の分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中のTGF−ベータ1濃度(無地の棒)はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図23】図23は、実施例15に従って、配列ID番号14を有するPTOがCaki−1腎臓癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図24】図24は、実施例8に従って、配列ID番号30を有するPTOがHCT−116CRC細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、更に配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【図25】図25は、実施例10に従って、配列ID番号30を有するPTOがRPMI−7951メラノーマのTGF−ベータ2の分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2の濃度(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は4回の独立した試験の平均及びSDである。
【図26】図26は、実施例10に従って、配列ID番号30を有するPTOがRPMI−7951メラノーマ細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の細胞数(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は4回の独立した試験の平均及びSDである。
【図27】図27は、実施例12に従って、配列ID番号30を有するPTOがEFO−21卵巣癌細胞のTGF−ベータ2分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図28】図28は、実施例12に従って、配列ID番号30を有するPTOがEFO−21ライン相癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数(無地の棒)は100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の細胞数(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図29】図29は、実施例13に従って、配列ID番号30を有するPTOがHup−T3、Hup−T4、及びPA−TU−8902膵臓癌細胞のTGF−ベータ2分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(無地の棒)を100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(チェック模様の棒)、及び配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)は、未処理対照の%で示した。指示は各細胞株に対する3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図30】図30は、実施例13に従って、配列ID番号30を有するPTOがHup−T3、Hup−T4、及びPA−TU−8902膵臓癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。未処理細胞から得たテトラゾリウムに基づく増殖試験(EZ4U試験)又は電子細胞計測データを100%に合わせた。リポフェクチン処理細胞(チェック模様の棒)及び配列ID番号30/リポフェクチン処理細胞(斜めストライプ模様の棒)のデータは、未処理対照の%で示した。指示は各細胞株に対する3回の独立した試験の平均及びSDである。
【図31】図31は、実施例13に従って、配列ID番号30を有するPTOがPA−TU−8902膵臓癌球状体の遊走を阻害することを示した図である。0、17、24、41、及び65時間における未処理球状体の直径(白抜き丸)はμmで示した。配列ID番号30を有するPTOで処理した球状体の直径は黒塗り四角として示した。rhTGF−ベータ2処理球状体の直径は白抜き四角として示した。高TGF−ベータ2抗体処理球状体の直径は白抜き三角として示した。指示は少なくとも4回の平均、最大及び最小である。
【図32】図32は、実施例18に従って、配列ID番号30を有するPTOがPA−TU−8902膵臓癌細胞上清中において培養したPBMCの細胞媒介性細胞毒性を促進することを示した図である。未処理PA−TU−8902細胞の上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は(無地の棒)はエフェクター:標的細胞比(E:T)で示したCARE−LASS試験によって測定した。リポフェクチンで処理したPA−TU−8902細胞の上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性はチェック模様の棒で示し、配列ID番号30/リポフェクチン処理PA−TU−8902細胞を有するPTOの上清中において培養したPBMCのHup−T3標的細胞における細胞媒介性細胞毒性は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は4回の平均、最大及び最小である。
【図33】図33は、実施例14に従って、配列ID番号30を有するPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞のTGF−ベータ2の分泌を抑制することを示した図である。未処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度(無地の棒)はpg/mlで示した。リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ1濃度はチェック模様の棒で示し、配列ID番号30を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の上清中におけるTGF−ベータ2濃度は斜めストライプ模様の棒で示した。指示は3回の平均及びSDである。 図34は、配列ID番号30を有するPTOがPC−3及びDU−145前立腺癌細胞の増殖を抑制することを示した図である。電子細胞の数を数えることにより決定した未処理細胞の細胞数は無地の棒として示した。リポフェクチン処理細胞の細胞数はチェック模様の棒として示し、配列ID番号14を有するPTO/リポフェクチン処理細胞の細胞数は斜めストライプ模様の棒として示した。指示は3回の平均及びSDである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌治療における転移形成を阻害するための薬学的組成物を調整するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の使用。
【請求項2】
請求項1の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、前記転移形成の阻害に関与するタンパク質の合成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【請求項3】
請求項1又は2の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAM)、インテグリン、セレクチン、メタロプロテアーゼ(MMP)、それらの組織阻害剤(TIMP)、及び/又はインターロイキン10の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号68、69〜107に示した配列において特定されるか、或いは実施例19〜24において特定されるものである。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかによるオリゴヌクレオチドの使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号1、5、6、8、9、14、15、16、28、29、30、34、35、36、40、42に示した配列において特定されるものである。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの使用において、前記癌は、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、胚性癌腫、子宮内膜癌、上皮性癌、食道癌、嚢胞癌、胃癌、頭頸部癌、肝細胞癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、非小細胞気管支/胚癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、直腸癌、腎臓細胞癌、脂腺癌、皮膚癌、非小細胞気管支/肺癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、睾丸癌、子宮癌、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫、前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユーイング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、血管細胞腫、髄芽細胞腫、メラノーマ、中皮腫、神経芽腫、神経線維腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、神経膠腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、メラノーマ、髄膜腫、筋肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノーマ、トラコーマ、ウィルムス腫瘍、及び/又は多発性骨髄腫の群から選択されるものである。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかの使用において、前記癌は、前立腺癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝細胞癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、及び軟組織癌の群、或いはメラノーマ、腎臓癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、及び/又は膀胱癌の群から選択されるものである。
【請求項8】
前立腺癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、メラノーマ、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌の治療、又はメラノーマ、腎臓癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、又は膀胱癌の群から選択される癌の治療のための薬学的組成物の調整のためのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の使用。
【請求項9】
請求項8の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、形質転換増殖因子ベータ1(TGF−ベータ1)、TGF−3、及び/又はインターロイキン10の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドであるか、或いは形質転換成長因子TGF−ベータ2の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【請求項10】
請求項9の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号1〜21又は49〜68、22〜48、又は69〜107において示した配列において特定されるものであるか、或いは実施例19〜24において特定されるものである。
【請求項11】
配列ID番号49〜68に示した配列において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド、或いは実施例22において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドの群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体。
【請求項12】
請求項11のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の製造方法であって、前記製造方法は、
連続的なヌクレオチド及びリンカーを段階的に付加する工程、又は
より長いオリゴヌクレオチド鎖からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を有するものである。
【請求項13】
請求項12の製造方法であって、3’から5’の方向にヌクレオチド鎖を伸長する亜リン酸トリエステル化学を使用する工程を有し、前記ヌクレオチドは、各々、固相に共有結合的に結合した第一のヌクレオチドと結合しており、前記製造方法は、
前記ヌクレオチドの5’DMT保護基を開裂する工程と、
前記各ヌクレオチドを付加して鎖を伸長する前記付加する工程と、
亜リン酸基、その後キャップ(cap)未反応5’−水酸基を修飾する工程、及び前記固体支持体から前記オリゴヌクレオチドを開裂する工程と、
前記合成生成物をワークアップする工程と
を有するものである。
【請求項14】
配列ID番号49〜68において示された配列において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、或いは実施例22において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物。
【請求項15】
請求項10のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、癌及び/又は転移の治療のための薬学的組成物の調整におけるものである。
【請求項16】
結腸癌、前立腺癌、メラノーマ、子宮内膜癌、膀胱癌、卵巣癌、膵臓癌、及び/又は中皮癌の治療のための薬学的組成物の調整におけるTGF−ベータ2のアンタゴニストの使用。
【請求項17】
請求項16の使用において、前記アンタゴニストは、TGF−ベータ2結合タンパク質、阻害剤に関連するTGF−ベータ受容体、Smad阻害剤、TGF−ベータ2結合ペプチド、TGF−ベータ抗体、TGF−ベータ2発現調節因子、TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその活性誘導体の群から選択されるものである。
【請求項18】
請求項17の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号22〜48において示される配列において特定されるか、或いは実施例20、実施例23、又は実施例24において特定されるものである。
【請求項19】
結腸癌、前立腺癌、メラノーマ、子宮内膜癌、膀胱癌、卵巣癌、膵臓癌、及び/又は中皮癌の治療におけるTGF−ベータ2アンタゴニストの使用。
【請求項20】
転移治療のためのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の少なくとも1つの使用。
【請求項21】
結腸癌、前立腺癌、メラノーマ、膀胱癌、子宮内膜癌、食道癌、肝細胞癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、骨肉腫、中皮腫、腎臓癌、多発性骨髄腫、膵臓癌、白血病、リンパ腫、及び/又は軟組織癌の治療のためのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の少なくとも1つの使用。
【請求項22】
癌及び/又は転移の治療のための配列ID番号49〜69において示される配列において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は実施例22において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つの使用。
【請求項1】
癌治療における転移形成を阻害するための薬学的組成物を調整するための少なくとも1つのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の使用。
【請求項2】
請求項1の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、前記転移形成の阻害に関与するタンパク質の合成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【請求項3】
請求項1又は2の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、TGF−ベータ1、TGF−ベータ2、TGF−ベータ3、細胞間接着分子(CAM)、インテグリン、セレクチン、メタロプロテアーゼ(MMP)、それらの組織阻害剤(TIMP)、及び/又はインターロイキン10の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号68、69〜107に示した配列において特定されるか、或いは実施例19〜24において特定されるものである。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかによるオリゴヌクレオチドの使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号1、5、6、8、9、14、15、16、28、29、30、34、35、36、40、42に示した配列において特定されるものである。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの使用において、前記癌は、胆管癌、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、気管支癌、腎臓癌、子宮頸癌、絨毛癌、嚢胞腺癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、胚性癌腫、子宮内膜癌、上皮性癌、食道癌、嚢胞癌、胃癌、頭頸部癌、肝細胞癌、肝臓癌、肺癌、髄様癌、非小細胞気管支/胚癌、卵巣癌、膵臓癌、乳頭癌、乳頭腺癌、前立腺癌、小腸癌、直腸癌、腎臓細胞癌、脂腺癌、皮膚癌、非小細胞気管支/肺癌、軟組織癌、扁平上皮細胞癌、睾丸癌、子宮癌、聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコーマ、及び化膿性肉芽腫、前癌状態の腫瘍、芽細胞腫、ユーイング腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、血管細胞腫、髄芽細胞腫、メラノーマ、中皮腫、神経芽腫、神経線維腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、肉腫(血管肉腫、軟骨肉腫、内皮性肉腫、線維肉腫、神経膠腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ内皮性肉腫、リンパ管肉腫、メラノーマ、髄膜腫、筋肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫を含む)、セミノーマ、トラコーマ、ウィルムス腫瘍、及び/又は多発性骨髄腫の群から選択されるものである。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかの使用において、前記癌は、前立腺癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝細胞癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、膵臓癌、及び軟組織癌の群、或いはメラノーマ、腎臓癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、及び/又は膀胱癌の群から選択されるものである。
【請求項8】
前立腺癌、膀胱癌、結腸癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、メラノーマ、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣癌、膵臓癌の治療、又はメラノーマ、腎臓癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中皮腫、多発性骨髄腫、又は膀胱癌の群から選択される癌の治療のための薬学的組成物の調整のためのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の使用。
【請求項9】
請求項8の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、形質転換増殖因子ベータ1(TGF−ベータ1)、TGF−3、及び/又はインターロイキン10の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドであるか、或いは形質転換成長因子TGF−ベータ2の生成を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【請求項10】
請求項9の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号1〜21又は49〜68、22〜48、又は69〜107において示した配列において特定されるものであるか、或いは実施例19〜24において特定されるものである。
【請求項11】
配列ID番号49〜68に示した配列において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチド、或いは実施例22において特定されるIL−10アンチセンスオリゴヌクレオチドの群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体。
【請求項12】
請求項11のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の製造方法であって、前記製造方法は、
連続的なヌクレオチド及びリンカーを段階的に付加する工程、又は
より長いオリゴヌクレオチド鎖からオリゴヌクレオチドを切断する工程
を有するものである。
【請求項13】
請求項12の製造方法であって、3’から5’の方向にヌクレオチド鎖を伸長する亜リン酸トリエステル化学を使用する工程を有し、前記ヌクレオチドは、各々、固相に共有結合的に結合した第一のヌクレオチドと結合しており、前記製造方法は、
前記ヌクレオチドの5’DMT保護基を開裂する工程と、
前記各ヌクレオチドを付加して鎖を伸長する前記付加する工程と、
亜リン酸基、その後キャップ(cap)未反応5’−水酸基を修飾する工程、及び前記固体支持体から前記オリゴヌクレオチドを開裂する工程と、
前記合成生成物をワークアップする工程と
を有するものである。
【請求項14】
配列ID番号49〜68において示された配列において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、或いは実施例22において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物。
【請求項15】
請求項10のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、癌及び/又は転移の治療のための薬学的組成物の調整におけるものである。
【請求項16】
結腸癌、前立腺癌、メラノーマ、子宮内膜癌、膀胱癌、卵巣癌、膵臓癌、及び/又は中皮癌の治療のための薬学的組成物の調整におけるTGF−ベータ2のアンタゴニストの使用。
【請求項17】
請求項16の使用において、前記アンタゴニストは、TGF−ベータ2結合タンパク質、阻害剤に関連するTGF−ベータ受容体、Smad阻害剤、TGF−ベータ2結合ペプチド、TGF−ベータ抗体、TGF−ベータ2発現調節因子、TGF−ベータ2アンチセンスオリゴヌクレオチド、又はその活性誘導体の群から選択されるものである。
【請求項18】
請求項17の使用において、前記オリゴヌクレオチドは、配列ID番号22〜48において示される配列において特定されるか、或いは実施例20、実施例23、又は実施例24において特定されるものである。
【請求項19】
結腸癌、前立腺癌、メラノーマ、子宮内膜癌、膀胱癌、卵巣癌、膵臓癌、及び/又は中皮癌の治療におけるTGF−ベータ2アンタゴニストの使用。
【請求項20】
転移治療のためのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の少なくとも1つの使用。
【請求項21】
結腸癌、前立腺癌、メラノーマ、膀胱癌、子宮内膜癌、食道癌、肝細胞癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、骨肉腫、中皮腫、腎臓癌、多発性骨髄腫、膵臓癌、白血病、リンパ腫、及び/又は軟組織癌の治療のためのオリゴヌクレオチド又はその活性誘導体の少なくとも1つの使用。
【請求項22】
癌及び/又は転移の治療のための配列ID番号49〜69において示される配列において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は実施例22において特定されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つの使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公表番号】特表2007−523943(P2007−523943A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500182(P2007−500182)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002101
【国際公開番号】WO2005/084712
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504282740)アンティセンス ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002101
【国際公開番号】WO2005/084712
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504282740)アンティセンス ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】
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