説明

医薬製剤

本発明は、単数または複数コンポーネントの製薬剤形の溶融押出および射出成形に適した、新規の製薬上許容されるポリマー組成物を対象とし、これらの製薬剤形は、カプセル区画である、複数の薬物物質を収容するサブユニット、および/または、薬物物質を収容したポリマーの固体マトリックスを含む中実サブユニットを含み、これらのサブユニットは、組み立て後の剤形においては一体に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の製薬上許容されるポリマーブレンドを用いて射出成形された単一または複数コンポーネント剤形の製作に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なタイプの経口投与用の製薬剤形が、知られている。医薬用カプセルは、よく知られており、一般的に経口投与用である。このようなカプセルは、一般的に製薬上許容される、例えば経口摂取可能な、ゼラチンなどのポリマー材料の外被壁を含むが、カプセル壁用の他の材料、例えばデンプンおよびセルロースをベースとするポリマーも知られている。このようなカプセルは、一般的にカプセル成形機上にフィルムを作製し次いでそれを乾燥させることによって作製された軟質の壁を有する。射出成形によって作製された硬質の壁をもつカプセルも知られており、例えば(全てWarner Lambertの)米国特許第4576284号、米国特許第4591475号、米国特許第4655840号、米国特許第4738724号、米国特許第4738817号および米国特許第4790881号を参照されたい。これらの特許は、ゼラチン、デンプンおよび他のポリマーで作製されたカプセルの具体的な構造、ならびに親水性ポリマーと水の混合物の射出成形によってこれらを作製する方法とを開示している。米国特許第4576284号は、具体的に、カプセルを閉じるキャップを備え、このキャップが充填済みのカプセル上に成形によってin situ形成されるカプセルを開示している。米国特許第4738724号は、広範囲の硬質カプセル形状および部分を開示している。
【0003】
複数区画カプセルも、各区画が異なる薬物放出特性を有するタイプのカプセル、または例えば異なる薬物物質もしくは薬物製剤を含むタイプのカプセルを含めて、とりわけ例えば米国特許第4738724号(Warner−Lambert)、米国特許第5672359号(University of Kentucky)、米国特許第5443461号(Alza Corp.)、国際公開WO95/16438号(Cortecs Ltd.)、国際公開WO90/12567号(Helminthology Inst.)、ドイツ特許出願公開第3727894号、およびベルギー特許第900950号(Warner Lambert)、フランス特許出願公開第2524311号、およびオランダ特許出願公開第7610038号(Tapanhony NV)、フランス特許第1454013号(Pluripharm)、米国特許第3228789号(Glassman)、および米国特許第3186910号(Glassman)などにおいてよく知られている。米国特許第4738817号は、水で可塑化したゼラチンで作製された米国特許第3228789号および米国特許第3186910号の複数区画カプセルと類似の構造の複数区画カプセルを開示している。Witter他の米国特許第4738817号(‘817号)、Wittwer他の米国特許第4790881号(‘881号)、およびWittwer、F.の欧州特許EP0092908号は全て、ゼラチンおよび他の賦形剤で製作された射出成形カプセルを開示している。Wittwer他の‘817号および‘881号は、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースフタレート(HPMCP)、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリエチレングリコール、酢酸フタル酸セルロース(CAP)など、他の親水性ポリマーのカプセル、およびポリビニルピロリドンのカプセルも製作している。米国特許第4790881号およびEP0091908は共に、一般的にアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル(オイドラギット(Eudragit))を含めて、使用に適した腸溶特性を有する他のポリマーを提案しているが、何も実際に示されておらず具体的詳細も提供されていない。
【0004】
薬物物質が分散され、埋め込まれ、または固溶体として溶かされた固体ポリマーのマトリックスを含む製薬剤形も知られている。このようなマトリックスは、射出成形法によって形成することができる。この技術は、Cuff GおよびRaouf FのPharmaceutical Technology,June(1998)pages 96−106に論じられている。このような剤形のためのいくつかの具体的な処方が、とりわけ米国特許第4678516号、米国特許第4806337号、米国特許第4764378号、米国特許第5004601号、米国特許第5135752号、米国特許第5244668号、米国特許第5139790号、米国特許第5082655号、米国特許第5552159号、米国特許第5939099号、米国特許第5741519号、米国特許第4801460号、米国特許第6063821号、国際公開WO99/27909号、カナダ特許2227272、カナダ特許2188185、カナダ特許2211671、カナダ特許2311308、カナダ特許2298659、カナダ特許2264287、カナダ特許2253695、カナダ特許2253700、およびカナダ特許2257547に開示されている。
【0005】
米国特許第5705189号は、薬物のコーティングおよびカプセルの生産において熱可塑性剤として使用するためのメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルのコポリマーのグループを対象とする。射出成形法で生産された上記カプセル成形品の、反りまたは他のゆがみに関する品質についての情報は全く提示されていない。上記特許で提示された乳濁液の粘度/温度図のせん断速度データも提示されていない。
【0006】
製薬上許容されるポリマーブレンドが、ホットメルトによって押し出されて、あるいは射出成形されて、カプセル中など複数区画のものでもよい適切な剤形になる、製薬剤形を製作することも望ましい。剤形としてのこの製薬用ポリマー組成物は、有効薬剤を含むセグメントごとに異なる生理化学的特徴を提供することができ、したがって各セクションごとに成形すべき適切なポリマーを選択するだけで作製できる、急速溶解、即時放出、遅延放出、パルス放出、または改変放出を含み得る好都合な剤形を選択することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、新規の医薬組成物、ならびに溶融押出技術におけるその使用、および射出成形カプセルシェル、リンカー、スペーサー、複数コンポーネント射出成形カプセルシェル、リンカーもしくはスペーサー、複数コンポーネント製薬剤形の作製におけるその使用、ならびに本出願の特許請求の範囲および明細書において定義されるその他の態様を提供する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、とりわけ、前記剤形における製薬上許容されるポリマーおよび適切な賦形剤からなる新規の処方または組成物を用いて、患者の個別の投与要件に適合された剤形においてより大きな柔軟性をもたらす、代替の改良された製薬剤形を提供することである。
【0009】
本発明の別の実施形態は、新規の製薬上許容されるポリマーブレンドを含む複数コンポーネント剤形を射出成形によって成形する方法を提供することである。これらの複数コンポーネント剤形は、それによって放出される、製薬上許容される1種または複数の有効薬剤を収容するのに適している。
【0010】
本発明によれば、溶融押出組成物、ならびに射出成形カプセルシェルおよび/またはリンカーが、好ましくはオイドラギットRL100またはオイドラギットRS100またはその組合せを含む組成物と共に提供される。
【0011】
上記カプセルまたはリンカーは、固体マトリックスを含み、好ましくは約10〜80重量/重量%の量で存在するオイドラギットRL100、および約30〜約70重量/重量%のヒドロキシプロピルセルロース誘導体またはヒドロキシプロピルセルロースのブレンドを含む。
【0012】
上記組成物は、所望により、約0重量/重量%〜約30重量/重量%の量で存在する溶解性を修飾する賦形剤、約30重量/重量%までの量で存在する滑沢剤、約10重量/重量%までの量で存在する可塑剤、および約10重量/重量%までの量で存在する加工処理剤をさらに含むこともできる。
【0013】
別の実施形態では、上記製薬剤形は、それぞれが薬物物質を収容するカプセル区画である複数のサブユニットを含む。この場合、各区画は、少なくとも1つの隣接した区画から、好ましくは製薬上許容されるポリマー材料で作製された壁によって物理的に隔てられている。上記サブユニットの少なくとも1つが薬物物質を収容するカプセル区画である場合は、この壁の厚さは、約0.1〜0.8mmの範囲である。別の実施形態では、上記壁の厚さは、約0.3〜0.8mmの範囲である。
【0014】
本発明の複数コンポーネント剤形は、異なる放出特性を有する異なる剤形の様々な組合せから構成できるので、高度の多様性を提供する。例えば、上記サブユニットは、実質的に即時放出のサブユニット、持続放出サブユニット、またはパルス放出サブユニットとすることができる。
【0015】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、製薬上許容されるポリマーおよび賦形剤からなる新規組成物を対象とし、このポリマー組成物は、1個または複数のコンポーネントとして射出成形することができ、この複数のコンポーネントは所望により組み合わせて利用して積層剤形または複数コンポーネント剤形などにすることができる。このポリマーブレンドは、やはり経口投与用の有効薬剤を収容できる単一のコンポーネントとして射出成形できることが認められる。
【0017】
本発明はまた、本明細書に記載された新規の製薬上許容されるポリマーブレンドを含むコンポーネントの上に製薬上許容されるフィルムコーティングを施すことに関する。このフィルムコーティングは、当分野でよく知られる、遅延放出処方、またはpH制御処方とすることができる。適切なコーティングの1つは、Opradry、および/またはオイドラギットL30D−55である。例えばL30D−55の塗布によって代表される腸溶コーティングは、GMP Aerocoater column coaterなど標準の設備を用いて施すことができる。コンポーネントの重量増加は、名目上約3重量/重量%〜約5重量/重量%である。
【0018】
本明細書の製薬上許容されるポリマーブレンドは、一貫した溶解プロフィールを提供するように設計される。
【0019】
適切な複数コンポーネント剤形は、その内容の全体を参照によって本明細書に組み込む、2000年7月27日出願のPCT/EP00/07295号、すなわち2001年2月8日公開の国際公開WO01/08666号に開示されている。
【0020】
本発明の剤形の諸部分、例えばカプセル区画壁、中実サブユニット、またはキャップもしくはリンカーは、一般的に、例えば経口摂取用に安全であると見なされ、上記のカプセル区画壁、固体サブユニット、またはキャップもしくはリンカーの所要の形状に成形することができる、製薬上許容されるポリマーブレンド(および接着接合を形成する場合の接着剤)を含む。ポリマー材料を所要の形状に成形する好ましい方法は、射出成形であり、これはホットランナー射出成形法またはコールドランナー射出成形法のどちらでもよい。このような方法に適した射出成形機は、知られている。
【0021】
製薬剤形は、複数のカプセル区画を含むことができ、これらの区画は、それぞれ境界があり、少なくとも1つの隣接する区画から、本明細書に記載のような製薬上許容されるポリマー材料製の壁で物理的に隔てられ、組み立てた剤形中では隣接する区画が互いに結合され、少なくとも患者への投与の前に結合によって一体に保持され、1つまたは複数の区画に薬物物質が収容される。適切には、この第1の実施形態の組み立てた剤形中に、少なくとも2個の、例えば3個のこのようなカプセル区画がある。3個以上のこのような区画を、組み立てた剤形中で、例えば両端の2個の末端区画と、1個または複数の中間区画とを含む配列として直線的に配置することができる。適切には、このようなカプセル区画が2個あってよい。適切には、このような2個のカプセル区画の1個は、徐放性成分である材料で作製することができ、すなわち、その結果、ある時間遅延の後に、例えばこの区画が腸に到達したときに、そのカプセル区画の壁が、溶解し、破裂し、またはその他の形で破れて、その内容物を放出する。適切には、このような2個のカプセル区画のもう1個は、即時放出成分である材料で作製することができ、すなわち、その結果、直ちにまたは実際上直ちに、例えばこの区画が口内または胃内にあるときに、そのカプセル区画の壁が、溶解し、破裂し、またはその他の形で破れて、その内容物を放出する。
【0022】
カプセル区画の1個または複数、例えば全部が、例えば実質的に円筒形であってよく、円筒形という用語は、長手軸を横切る断面が円、卵形または楕円形の形状、および平行の形状、または例えば側壁がその長さの少なくとも一部にわたって円錐形にテーパーを付した先細の形状を含む。このような実質的に円筒形のカプセル区画は、その長手方向に配置された端部の一方または両方に接続可能部分を備えることができ、したがって組み立て後の剤形も、全体的に実質的に円筒形の形状であってよい。
【0023】
適切には、(オイドラギットE(登録商標)オイドラギットE100(登録商標)、オイドラギット(登録商標) Lおよび/またはオイドラギット(登録商標) Sなどの)メタクリル酸コポリマー、(オイドラギット(登録商標)4135Fや4155Fなどの)ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、および(オイドラギット(登録商標)RLおよび/またはオイドラギット(登録商標)RSなどの)メタクリル酸アンモニウムコポリマーが、ホットメルト押出および射出成形に使用される。オイドラギット(登録商標)RS100やRL100などのポリ(メタ)アクリレートコポリマーのグループは、本発明の一実施形態である。
【0024】
例えば、腸液中で溶けやすくカプセルに成形できるアクリル酸および/またはメタクリル酸ベースのポリマーが(Roehm GmbHの)米国特許第5705189号に開示されており、その内容の全体を参照によって本明細書に組み込む。これらのポリ(メタ)アクリレートコポリマーは、押し出し可能であり、半カプセルに射出成形され、アクリル酸および/またはメタクリル酸の比は、コポリマーのほぼ20重量/重量%以上であった(実施例1〜8)。これらの実施例においては、モノステアリン酸グリセロールが、唯一の離型剤としてポリマーの1〜6重量%だけ添加された。Lehmann特許の教示によれば、ブレンドされていないポリマーは、単独では射出成形に適さず、カプセルシェルを作製するには滑沢剤とブレンドされなければならない。
【0025】
オイドラギットRS100またはRL100を用いて、射出成形されたゆがみがなく反りのない、単一カプセルまたは複数区画剤形の組立て用のカプセル/サブユニットコンポーネントを作製するためには、少なくとも1種の滑沢剤および溶解性修飾剤が、射出成形金型からの離型を得るのに有用であると判断されている。
【0026】
ポリマーオイドラギットRL100は、非常に透過性の高いpH非依存性のポリマーであり、その顆粒は水に不溶であるとその製造会社Rohm Pharmaによって記載されている。オイドラギットRS100も、低い浸透性で水に不溶のpH非依存性のポリマー顆粒であると記載されている。対照的に、オイドラギット4135F/4155Fは、pH7を超えてはじめて、例えば結腸内で溶解し、したがって徐放または遅延放出成分としての使用に適しており、ポリマーオイドラギットE100は酸に溶け、即時放出成分としての使用に適している。
【0027】
これらおよび他の製薬上許容されるポリマーが、アメリカ薬学会と英国薬学会によって共同出版されたthe Handbook of Pharmaceutical excipientsに記載されている。
【0028】
RL100ポリマーは、それだけには限らないが、HPMCやHPCなどの膨潤剤、SDSやPluronicグループの薬剤などの界面活性剤、ラクトースやPEGなどの孔形成/チャネリング(chanelling)剤、RS100などコブレンディング(co−blending)用のさらなるポリマー、および微気候的pH条件の調整用のさらなる緩衝剤を含む、さらなる賦形剤とブレンドされる。
【0029】
本発明の一実施形態においては、RL100と、Klucel(登録商標)としてHercules Incorporatedの一部門であるAqualonから市販されているようなHPCポリマーのコブレンドがある。クルーセル(Klucel)HPCは、その所期の用途によって決まる様々なグレードで製造されている。適切なKlucelポリマーは、クルーセルEF、クルーセルJH、クルーセルLF、およびクルーセルGFである。クルーセルEは、粘度が150〜700の範囲(EF pharm/EXF Pharmで300〜6ミリパスカル)であり、分子量が約80,000であり、Jは、粘度が150〜400の範囲で、分子量が約140,000であり、Lは、粘度が75〜150、分子量が約95,000であり、Gは、粘度が75〜400の範囲で、分子量が約370,000である。
【0030】
これらの熱可塑性ポリマーのブレンドへの添加は、溶着条件の影響を受けにくくし、水和前および水和後で共に引張特性を改善し、pH1〜6におけるポリマーの膨潤をより強固にする。
【0031】
コブレンドの処方は、本明細書に記載されたさらなる賦形剤を必要とすることが認められる。このような賦形剤の1つが、ステアリルアルコールなどの滑沢剤である。
【0032】
これらのコブレンドされたポリマーが、いくつかの条件下で非ブレンドのポリマー組成物よりかなり多く水和し膨潤するシェルをもたらすと判断されている。このことから、溶解の再現性の著しい改善、溶着の設定によってあまり影響を受けないカプセルシェルの放出、溶解時に構造的完全性の低下をもたらす水和プロフィールの改善、ならびに得られるシェルのより優れた外観および引張特性を有する処方がもたらされる。
【0033】
オイドラギットRL100をコブレンドした組成物はさらに、長期の保存状態の後にも安定であることが見出されている。
【0034】
上記ポリマー組成物は、まず溶融押出プロセスで溶融され、溶融流れ、強度、脆性、および他の成形特性において支援するためのさらなる添加剤または賦形剤を含んでもよく、これらのさらなる賦形剤には、それだけには限らないが、可塑剤、吸収促進剤、追加の界面活性剤、着香料、染料などが含まれることが認められる。したがって、本発明の別の態様は、オイドラギットRL100またはRS100およびステアリルアルコールなどの滑沢剤を含む溶融押出用の医薬組成物である。
【0035】
本明細書の上記組成物は、様々な肉厚に成形することができるが、カプセルまたはコンポーネントは、肉厚が約0.3〜約0.8mm、適切には0.5mmであることが好ましい。しかし、溶解性能により、所望の放出プロフィールに応じて肉厚がより適切に調整される。肉厚の増加が、コンポーネントの反りを減少させるのに必要になることがあり、あるいはこれに加えてさらなる賦形剤の改変が必要になることもある。
【0036】
ポリメタクリレートポリマーである、オイドラギットRL100またはRS100は、上記処方中に約10〜約80重量/重量%の量で存在する。別の実施形態では、オイドラギットRL100またはRS100は、約20〜約50重量/重量%の量で存在する。別の実施形態では、オイドラギットRL100またはRS100は、約20〜約40重量/重量%の量で存在する。
【0037】
前述のように、上記ポリマー材料は、それだけには限らないが、界面活性剤、吸収促進剤、滑沢剤、可塑剤、溶解性修飾剤、加工処理剤、着色剤、着香料および甘味料を含めて、その性質を改変し様々な用途にそれ自体を適合させるための他の物質を含んでよい。上記配合物中に界面活性剤を含めることが、上記配合物/ブレンドの粘度および表面張力を低下させるのに必要または望ましいこともあるが、量がより多くなると、得られる剤形の品質に悪影響を与えることがある。界面活性剤はHLB値をたよりに選択できるが、これは必ずしも有用な判断基準ではない。Tween(登録商標)80(HLB=10)、Pluronic F68(HLB=28)、およびSDS(HLB>40)などのHLB界面活性剤が、本発明で利用されているが、Pluronic F92やF127などのより低いHLB値の界面活性剤も使用してよい。BASF USAで製造されたPluronicは、POLOXAMERの別名を有する。例えば、Pluronic F68は、分子量が8,400である。Pluronic F127は、分子量が12,600である。Pluronicは、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーである。
【0038】
オリゴマー表面改変剤とも呼ばれる界面活性剤があり、この界面活性剤には、それだけには限らないが、Pluronics(登録商標)(エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであり、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーとも称される);レシチン;Aerosol OT(登録商標)(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム);ラウリル硫酸ナトリウム;Polyoxyl 40(登録商標)水素化ヒマシ油;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、すなわちTween(登録商標)20、60および80といったTweenなどのポリソルベート;ソルビタン脂肪酸エステル、すなわちSpan(登録商標)またはArlacel(登録商標)、Emsorb(登録商標)、Capmul(登録商標)、またはSorbester(登録商標)などのモノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタンなど;Triton X−200;ポリエチレングリコール類;モノステアリン酸グリセリル;ビタミンE−TPGS(登録商標)(コハク酸d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000);ステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ラウリン酸スクロースおよび酢酸スクロースブチレートなどのスクロース脂肪酸エステル、ならびにそれらの組合せおよび混合物が含まれる。
【0039】
適切には、上記処方は、所望により約0〜約10%重量/重量%の界面活性剤を含むことができる。本明細書での使用に適した界面活性剤には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とも称されるラウリル硫酸ナトリウム、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、あるいはそれらの混合物が含まれる。一実施形態においては、適切な界面活性剤は、ビタミンE−TPGS(登録商標)、ラウリル硫酸ナトリウム、スクロース脂肪酸エステル、レシチン、およびPluronicグループである。別の実施形態においては、SDS[Texapon K−12(登録商標)]またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーが、上記処方中で使用される場合、それらは、2重量%未満、好ましくは1重量/重量%未満の量で存在する。
【0040】
ポリマー担体またはオリゴマー表面改変剤は、適切に選ばれた場合、それ自体、吸収促進剤として作用することがある。本発明での使用に適した吸収促進剤には、それだけには限らないが、キトサン、レシチン、レクチン;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸から誘導されるようなスクロース脂肪酸エステル;およびビタミンE−TPGS、ならびにそれらの組合せまたは混合物が含まれる。適切には、これらの吸収促進剤は、約0〜約20重量/重量%の範囲で存在する。
【0041】
可塑剤を、上記組成物の溶融特性において支援するのに用いることができる。本発明で使用できる可塑剤の例は、クエン酸トリエチル(TEC)、トリアセチン、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル(ATEC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、フタル酸ジブチル、セバチン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジエチル、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、またはヒマシ油、およびそれらの組合せまたは混合物である。ポリマー材料によって、どの可塑剤が使用に適しているかが決まる。適切には、可塑剤は、約0〜約20重量/重量%の量で存在する。本発明の一実施形態では、可塑剤は、約0〜約5重量/重量%の量で存在する。本発明の一実施形態では、上述のような可塑剤を添加せずにオイドラギットRL100またはRS100配合物の射出成形されたシェルを形成することができる。
【0042】
溶解性修飾剤、または放出性の改変を支援する物質は、カプセルシェル/リンカー/コンポーネントの浸食および/または膨潤特性を変える。「Explotab」(デンプングリコール酸ナトリウム)、BASFから市販されている「Kollidon−CL」(架橋PVP)、Kollidon VA64(コポビドン)、Starch 1500、ISP−Plasdoneによって製造されているポリビニルピロリドン(PVP、米国薬局方のポビドンとしても知られている)またはBASF−Kollidonの主としてより低いK値のグレード(K−15、K−25、のみならずK−30〜K−90も)などの膨潤剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系誘導体;例えばマンニトール、ラクトース、およびデンプンなどの低分子量溶質のようなウィッキング剤;塩化ナトリウム(通常5〜10%)などの無機塩によって代表される周知の崩壊剤など、多くの異なるクラスの試剤を使用することができる。
【0043】
Kollidan VA64、またはコポビドンは、コポリビドン、コポビドナム、コポビドン(copovidone)またはコポビドン(copovidon)としても知られ、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルの2つのモノマーの比である。
【0044】
本明細書で使用される溶解性修飾剤の別のクラスの試剤は、膨潤性固体として知られているものであり、これらの試剤には、それだけには限らないが、ポリ(エチレン)オキシド、エチルセルロースや酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系誘導体;例えばKLUCEL EFおよびLFグレードなどの低分子量、およびJFまたはGFなどの低分子量と高分子量グレードの混合物などのヒドロキシプロピルセルロース(HPC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および他のヒドロキシアルキルセルロース誘導体が含まれる。適切には、溶解性修飾賦形剤として使用される膨潤性固体は、約10重量/重量%〜約70重量/重量%の範囲である。別の実施形態では、膨潤剤は、約20〜約65重量/重量%、適切には約50重量/重量%の量で存在する。
【0045】
他の適切な溶解性修飾賦形剤には、それだけには限らないが、約2.5〜約15重量/重量%の範囲で存在するキシリトールやマンニトールなど、非還元糖のクラスが含まれる。適切には約5〜約70重量/重量%の範囲で存在する、ラクトース、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、あるいはマレイン酸、クエン酸またはコハク酸などの有機酸などの水溶性フィラーのクラスも、本明細書に含まれる。本発明の別の実施形態では、水溶性フィラーは、約5〜約20重量/重量%の量で存在してよい。
【0046】
適切な溶解性修飾賦形剤の別のグループは、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムNF(FMC製Aci−Di−Sol(登録商標))、コポビドン、およびクロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)およびそれらの組合せまたは混合物など、崩壊剤と一般的に称される試剤である。適切には、崩壊剤のクラスは、約10〜40%、より好ましくは約20〜30重量/重量%の範囲で存在する。1種またはそれ以上の溶解性修飾賦形剤は、単独で、または互いに混合物として組み合わせて使用でき、約2.5〜約70重量/重量%の範囲となることが認められる。
【0047】
このような組合せの1つは、ヒドロキシプロピルセルロースおよびラクトースである。一般的に加工処理剤として分類されるさらなる試薬には、タルクなどの強化剤が含まれる。適切には、加工処理剤は、約0〜約10重量/重量%存在する。別の実施形態では、加工処理剤は、約0〜約5重量/重量%存在する。
【0048】
本明細書での使用に適した成形加工用滑沢剤または滑剤には、それだけには限らないが、ステアリルアルコール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセロール(GMS)、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、非晶質ケイ酸、およびヒュームドシリカ、ならびにそれらの組合せまたは混合物が含まれる。上記滑沢剤は、主に組成物の流動促進剤として機能する。本発明の一実施形態では、ステアリルアルコールを適切な滑沢剤として使用する。適切には、Crodacol S95(Croda Oleochemicals)など市販グレードのステアリルアルコールを、本発明で使用する。上記滑沢剤材料は、摩砕にも適してなければならない。処方中に存在する滑沢剤の量は、約0〜約30重量/重量%である。別の実施形態では、滑沢剤は、約10〜約25重量/重量%存在する。別の実施形態では、滑沢剤は、約10〜約15重量/重量%存在する。
【0049】
ステアリルアルコールは、成形加工用滑沢剤として働き、熱く柔らかいシェルが金型から取り出されるときに、成形品のゆがみ、すなわち複数投与用区画シェルのしわを引き起こさないことが見出されている。滑沢剤/流動促進剤として使用可能な別の代替材料は、レシチン(天然物)である。適切には、本明細書で使用する滑沢剤は、金属イオン汚染をもたらさない。
【0050】
本発明の一実施形態は、ステアリルアルコール、少なくとも1種の膨潤性固体、およびポリマーオイドラギットRL100の組合せである。所望により、この処方は、SDSなどの界面活性剤を、さらに2重量/重量%以下または1重量/重量%以下だけ含む。膨潤性固体は、ポリマーのヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースのブレンドでよい。
【0051】
本発明の最終製品、すなわちカプセル、および/またはコンポーネントもしくはサブユニットはさらに、それらが作製されるポリマー材料中に、それらがさらに容易に一体に溶着できるようにするための材料を含むことができる。サブユニットはさらに、構造的特徴を備え、かつ/またはそれらが作製されるポリマー材料中に、それらが、簡単な機械的接合または互いの溶着のいずれかによってさらに容易に一体に接合できるようにするための材料を含むことができる。このような支援のための適切な材料は、ポリマーがレーザーエネルギーを吸収する助けとなる、炭素(例えば0.2〜0.5%)、酸化鉄または二酸化チタン(例えば0.5〜1.0%)などの不透明剤材料である。このような不透明剤材料は、一般的に安全と見なされている。
【0052】
例えば、カプセル区画、中実サブユニット、またはそれらの組合せなど、複数のサブユニットのそれぞれが、同一または異なるポリマーを含むことができる。例えば、カプセル区画、中実サブユニット、またはそれらの組合せなど、複数のサブユニットのそれぞれが、同一または異なる薬物物質を含むことができる。例えば、それぞれのサブユニットは、同一の薬物物質を含むが、その内容物を、患者の胃腸管中に異なる速度で、患者への投与後の異なる時期に、または患者の胃腸系の異なる場所で放出することができる。あるいは、それぞれのサブユニットが、異なる薬物物質を含み、これらの薬物物質のそれぞれを、同じまたは異なる速度で、あるいは投与後の同じまたは異なる時期に、あるいは患者の胃腸系中の同じまたは異なる場所で放出することができる。
【0053】
例えば、2個以上、例えば2個のカプセル区画が、それぞれ異なる薬物物質、および/または異なる薬物物質処方、および/または同じ薬物を異なる処方で含むことができ、したがって2種以上の薬物物質または処方の組合せを、患者に投与することができる。
【0054】
本発明の剤形は、その薬物内容および/または薬物内容の放出特性が異なるサブユニットを一体に組み立てて、特定の投与要件に合った剤形を提供することを可能にする。
【0055】
上記サブユニットそれぞれの寸法および形状、したがって、組み立て後の剤形全体の寸法および形状は、それに収容される材料の性質および量、ならびに所期の投与モードおよび所期のレシピエントによって決まり得る。例えば、経口投与用の剤形は、経口投与用の周知のカプセルの剤形と同様の形状および寸法とすることができる。
【0056】
上記剤形は、経口投与に適した1種または複数の薬物物質を含む経口剤形として提供するのに特に適しており、このような薬物物質の全てのタイプに適しているようである。
【0057】
どのカプセル区画中に収容された薬物物質も、例えば、粉末、顆粒、コンパクト、マイクロカプセル、ゲル、シロップまたは液体などの任意の適切な形で存在できるが、但しカプセル区画壁材料が後三者の形の液体内容物に対して十分に不活性であることをその前提とする。上記区画の内容物、例えば薬物物質は、ドーセイティングピンやキャビティ充填など、カプセルを充填するために通常使用されるような、標準の方法によって上記区画中に導入することができる。
【0058】
上記サブユニットは、その薬物内容物の放出特性が互いに異なってよく、これは様々な方法で実現することができる。例えば、1種または複数の中実サブユニットおよび/またはカプセル区画を、実質的に即時の放出、すなわち、摂取しまたは胃に到達した実質的に直後にその薬物内容物を放出するものとすることができる。例えば、これは、溶解、分解またはその他の形で破れて薬物内容物を実質的に即時に放出するマトリックスポリマーまたはカプセル区画壁を用いて実現することができる。一般的に、即時放出サブユニットは、カプセル区画とすることによって提供することが好ましい。
【0059】
例えば、1個または複数の中実サブユニットおよび/またはカプセル区画を、持続放出サブユニットとすることもできる。好ましくは、これらは、中実サブユニットである。というのは、ポリマーのバルクマトリックスは、薄い壁のカプセルよりもゆっくりと溶解または分散して、その薬物内容物を放出する可能性が高いからである。
【0060】
例えば、1個または複数の中実サブユニットおよび/またはカプセル区画を、例えば患者の胃腸系の予め決定した特定のポイントにおいてそれらの薬物内容を放出するためのパルス放出サブユニットとすることもできる。これは、上述のオイドラギット(登録商標)ポリマーなど、規定のpH環境においてのみ溶解または分散するポリマー材料の使用によって実現することができる。例えば、E100は酸に不安定である。
【0061】
例えば、上記のカプセル区画−リンカー−カプセル区画の剤形においては、1つのカプセル区画を、実質的に即時放出とすることができ、その他のカプセル区画を持続放出、遅延放出またはパルス放出とすることができる。これを実施するためには、例えば、1つのカプセル区画を、胃または消化管の上部においてこのカプセル区画にその薬物内容を放出させるポリマー材料で作製することができ、リンカー(第2区画のキャップとして働くもの)および第2区画自体を、それらの薬物内容物を腸環境においてのみ放出する物質、例えば、上記腸溶ポリマーで作製することができる。
【0062】
サブユニットがその薬物物質内容物を放出する時間または胃腸管内の位置の決定は、例えば、サブユニット材料、例えば中実サブユニットマトリックスポリマーまたはカプセル区画壁材料の性質によって、あるいはキャップによって閉じられた末端区画の場合にはキャップ材料の性質によって行うことができる。例えば、異なる区画、例えば隣接の区画の壁を、異なる区画に異なる薬物放出特性を与えるように、異なるポリマーであるいはその溶解または分解特性が異なるポリマーで作製することができる。同様に、異なる中実サブユニット、例えば隣接の中実サブユニットのポリマーマトリックス材料を、異なる中実サブユニットに異なる薬物放出特性を与えるように、異なるポリマーであるいはその溶解または分解特性が異なるポリマーで作製することができる。
【0063】
例えば、マトリックス、壁またはキャップの材料を、薬物物質を胃で放出するように胃のpHにおいて溶解または分散するポリマーとすることができる。あるいは、異なる区画が異なる放出特性をもつように、異なる区画の壁材料を異なるものにすることもできる。
【0064】
例えば、中実サブユニットまたはカプセル区画は、それぞれ、小腸または大腸のpHにおいて溶解または分散して薬物物質を腸内に放出する腸溶ポリマーを含む、マトリックスまたは壁もしくはキャップを有してよい。適切なこのようなポリマーについては、例えば米国特許第5705189号に関して先に述べた。
【0065】
それに加えてまたはその代わりに、上記壁材料は、より厚い壁の区画がより薄い壁の区画よりもゆっくりと崩壊するように区画間の厚さが異なっていてもよい。
【0066】
それに加えてまたはその代わりに、上記区画壁または上記キャップは、弱い部分または箇所をもつこともでき、この弱い部分または箇所は優先的に溶解し、それによって薬物物質内容物の放出の開始時期および/または速度を決定することができる。例えば、このような弱い箇所は、区画壁またはキャップ中に穴、例えば小さい穴、例えばレーザードリル穴を含み、これらの穴を、消化管中の所定の箇所で溶解するポリマー材料、例えば腸溶ポリマー材料のフィルムで塞ぎ、かつ/または覆うことができる。例えば、このような弱い箇所は、カプセル区画が形成される成形作業中に形成される、カプセル区画中の薄い部分を含むことができる。
【0067】
それに加えてまたその代わりに、上記サブユニットは、その薬物放出特性を改変する表面または他の構造的特徴をもつこともできる。例えば、中実サブユニットは、大きな表面積をもたらす内部チャネルまたは空洞を備えることができる。例えば、中実サブユニットは、中空の円筒形、ドーナツ、またはトロイドの形とすることができ、これらの形状は、液体媒体中での一次溶解または崩壊に役立ち、同様にその中に分散された薬物内容物の一次放出に役立つことが知られている。
【0068】
「製薬上許容される薬剤」は、それだけには限らないが、本明細書に記載する薬物、タンパク質、ペプチド、核酸、栄養剤を含む。この用語は、本明細書で定義される治療に有効な薬剤、生体に有効な薬剤、有効な薬剤、治療薬、治療用タンパク質、診断薬、または薬物を含み、欧州連合適正製造基準ガイドのガイドラインに従う。このような物質は、病気の診断、治癒、緩和、治療、または予防における薬理活性または他の直接効果をもたらし、または身体の構造および機能に影響を与えるものである。上記物質は、造影剤および/または放射性標識化合物などの診断薬を含むこともできる。これらは、哺乳動物に使用することも、あるいはヒトに使用することもできる。薬理活性は、予防的なものでも、あるいは病状の治療のためのものでもよい。本明細書の薬剤は、小分子の治療剤をもペプチドおよびタンパク質をも含む。本明細書に記載の医薬組成物は、所望により、製薬上許容される1種または複数の、活性剤、生物活性薬、活性剤、治療薬、治療用タンパク質、診断薬、または内部に分布した薬物もしくは成分を含むことができる。
【0069】
本明細書では、「活性剤」、「薬物部分」または「薬物」の用語は、全て交換可能に使用される。
【0070】
活性剤の水溶性は、米国薬局方によって定義されている。したがって、その中で定義されている非常に溶けやすい、溶けやすい、溶ける、およびやや溶けにくいの基準に合致する活性剤は、本発明に包含される。
【0071】
適切な薬物物質は、それだけには限らないが、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫薬、抗不整脈剤、抗生物質(ペニシリンを含む)、抗凝血薬、抗うつ薬、糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン剤、抗高血圧症薬、抗ムスカリン剤、抗ミコバクテリウム薬、抗悪性腫瘍薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス剤、不安鎮静剤(催眠剤および神経遮断薬)、収斂剤、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および代用血液、心臓変力剤、コルチコステロイド、咳止め(去痰剤、粘液溶解薬)、診断薬、利尿剤、ドーパミン作動性薬(抗パーキンソン薬)、止血剤、免疫欠乏薬、脂質調整薬、筋弛緩剤、副交感神経作動薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート、プロスタグランジン、放射性医薬品、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー薬、興奮剤および摂食障害薬、交感神経様作用薬、甲状腺薬、PDE IV阻害薬、NK3阻害薬、CSBP/RK/p38阻害薬、抗精神病薬、血管拡張剤およびキサンチンを含めた様々な周知のクラスの薬物から選択することができる。
【0072】
好ましい薬物物質には、経口投与用および静脈内投与用のものが含まれる。これらのクラスの薬物の記述および各クラス内の薬物種類のリストを、その開示の全体を参照によってここに本明細書に組み込むMartindale,The Extra Pharmacopoeia,Twenty−ninth Edition,The Pharmaceutical Press,London,1989に見出すことができる。上記薬物物質は、市販されており、かつ/または当分野で周知の技術によって調製することができる。
【0073】
上記ポリマーブレンドは、好ましくは周知の製薬用ポリマーから選択することができる。これらのポリマーの生理化学的特性、ならびに最終の射出成形コンポーネントの肉厚によって、急速溶解、即時放出、遅延放出;持続放出、制御放出、パルス放出のような改変された放出などの剤形のデザインが規定される。
【0074】
上記ポリマーブレンドは、選択された成分が押出機の供給ホッパーに供給される、ホットメルト押出し品の周知の製造方法によって作製される。本明細書の上記ブレンドのホットメルト押出し品製造に適した周知の設備は、容易に入手できる。
【0075】
早期放出のカプセルまたは複数投与カプセルのコンポーネント(2時間以下のウインドーのものなど)を作製するには、ポリマーオイドラギットRL100(Rohm)を、本明細書で述べた賦形剤とブレンドすることにより、押し出して(本明細書で述べたような)薄い壁のコンポーネントのシェルにすることができる。このたび、実験の部からわかるように、滑沢剤およびヒドロキシプロピルセルロースを含む処方、またはHPCのコブレンドを用いると、シェルの反りを減らしてまたはシェルの反りなしに、金型から確実に複製し射出することができる、安定した射出成形されたコンポーネントが作製されることが判明した。
【0076】
クルーセルHPCを30〜70%の範囲の様々な割合で含む実験を計画し、溶解時間の相違について試験した。擬似胃液中でも擬似腸液中でも、約26%〜63%のクルーセルHPCを含む処方は、同様の溶解時間(<2時間)をもつことが見出された。
【0077】
一貫した放出を確保するために、上記製薬処方は、様々な親水性賦形剤を含む。好ましくは、この親水性賦形剤は、押出温度で溶けないもの、例えば、ラクトース、無機塩、HPC、Pharmacoat 603(ガラス転移温度175℃のHPMC)などのHPMCである。前述のように、これらの膨潤性固体は、いく種類かの分子量別のグレード、例えば、HPCの95Kまたは80Kグレードで市販されている。例えば、HPCの分子量が変化しても、上記シェルを水和する能力は保持されるはずであるが、水和速度は、より遅くなるかもしれず、すなわち、膨張の割合は、減少するはずである。したがって、上記シェルの溶解時間、およびその中の成分の放出がより長くなるかもしれない。様々なパーセンテージのKlucel(登録商標)HPCを用いた実験が計画され、溶解時間の相違について試験された。40〜70%のKlucel(登録商標)を含む処方は、同様の溶解時間をもつことが見出された。
【0078】
ステアリルアルコールなどの滑沢剤を含めると、流れが増す。ステアリルアルコールの比率がより高いと、流動性が増大し、したがってより薄い壁の成形が可能になることも見出されている。上記処方は、所望により界面活性剤および分解剤を含むことができる。
(実施例)
【0079】
次に、本発明を、以下の実施例に即して説明する。これらの実施例は例示のために示したものにすぎず、本発明の範囲を制限するものと見なすべきではない。温度は、全て摂氏で示され、溶媒は、特に断りのないかぎり、全て入手可能な最高純度のものである。
(実施例1)
【0080】
本明細書に記載された、製薬上許容されるポリマー組成物を用いた複数コンポーネントの医薬剤形の作製
実施例1では、様々な複数コンポーネントのカプセルおよび適切なサブユニットの成形に使用される一般的な方法を説明する。さらなる医薬組成物を、以下に示し説明する。
【0081】
【表1】

【0082】
適切なブレンダーを使用して
品目2 ヒドロキシプロピルセルロース(クルーセルGF)
品目3 ラクトース一水和物
品目4 粉砕されたステアリルアルコール
を一緒に混合して、均質な粉末ブレンドを形成する。
【0083】
適切な、ペレットフィーダーおよび粉末フィーダーの両方を備えた共回転式の二軸スクリューホットメルト押出機を、ストランド冷却装置およびペレタイザーと一緒にセットアップする。選択した金型を射出成形機に取り付ける。加工パラメーターの例は、以下のとおりである。
押出機
スクリュー速度 150rpm(100〜500rpmの範囲)
ゾーン1の温度(フィードゾーン) 50℃(30〜75℃の範囲)
ゾーン2の温度 95℃(85〜130℃の範囲)
ゾーン3の温度 100℃(90〜135℃の範囲)
ゾーン4の温度 110℃(95〜140℃の範囲)
ゾーン5の温度 115℃(100〜145℃の範囲)
ストランドダイの温度 120℃(105〜150℃の範囲)
ペレットフィーダー 0.25キログラム/時(0.2〜1.8キログラム/時)
粉末フィーダー 0.75キログラム/時(0.2〜1.8キログラム/時)
ストランド冷却装置: 使用する押出速度に適したもの
ペレタイザー: 使用する押出速度に適したもの
射出成形機: 機械のタイプおよびペレットの処方に応じた、適切な射出/冷却時間、温度および射出圧のもの
【0084】
押出機を適切な温度に予熱する。ペレットフィーダーにメタクリル酸アンモニウムコポリマー(オイドラギットRL100)を装入し、粉末フィーダーにブレンドを装入する。押出機スクリューの回転を開始し、次いで2つのフィーダーを始動させる。押し出されたストランドを、冷却装置に沿って処理してペレタイザーに送り、形成されたペレットを回収する。
【0085】
適切な機械設定を入力し、射出成形機を予熱する。ホッパーに上記ペレットを装入し、上記複数コンポーネントユニットを成形する。
【0086】
さらなる実施例または本実施例の実施形態を、同じ加工ステップを用いるが、以下に示される異なる処方を用いて作製する。
【0087】
これらの実施例から得られるシェルを、本明細書で先に述べた、オイドラギット4135F、10%ヒプロメロース(HPMC)−Pharmacoat603(信越化学工業株式会社)および12%ステアリルアルコールを含む組成物を有するリンカーユニットと、最大の溶着強度を用いて一体に溶着する。特に断りのないかぎり、RL100シェル用の標準の溶着は、−2.50mm、100%振幅である。
【0088】
上記シェル肉厚に関しては、壁厚についての言及がない場合、上記シェルは、0.5mm厚である。
【0089】
溶着したカプセルは、該当する場合、USP2またはUSP3溶出装置のいずれかを用いて試験した。
(実施例2)
【0090】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 25.00
クルーセルGF 50.00
ラクトース 13.00
ステアリルアルコール 12.00
【0091】
加工条件
押出/射出成形:押出−1キログラム/時間、ダイ温度120℃、スクリュー150rpm、トルク46%、ダイ圧力5バール(5×10ダイン/平方センチメートル);射出成形−部分充填2/4、0.5mm壁セクションシェル、他のピンからの完全な成形品、プローブ温度185℃。さらなるシェルの観察結果:多くの割れたまたは不完全に成形されたシェル、またポリマーのニットラインが全てのシェルに存在した。溶着時に多量の破損もあった。
【0092】
USP2に準拠し、有効成分を収容する−2.50mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、ディスクシンカーを用いてpH1.2の擬似胃液中50rpmで100%稼動させた溶出試験は、かなり再現性があり、試験した6サンプルで34〜64分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
(実施例3)
【0093】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 35.00
クルーセルEF 40.00
ラクトース 13.00
ステアリルアルコール 12.00
【0094】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.1キログラム/時間、ダイ温度110℃、スクリュー200rpm、トルク53%、ダイ圧力2バール(2×10ダイン/平方センチメートル);射出成形−0.5mm壁セクションシェルの1/4に割れ、他のピンからの完全な成形品、プローブ温度175℃。
【0095】
USP2に準拠し、有効成分を収容する−2.50mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、ディスクシンカーを用いてpH1.2の擬似胃液中75rpmで100%稼動させた溶出試験は、非常に再現性があり、試験した6サンプルで38〜50分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
(実施例4)
【0096】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 25.00
クルーセルEF 63.00
ステアリルアルコール 12.00
【0097】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.2キログラム/時間、ダイ温度110℃、スクリュー200rpm、トルク35%、ダイ圧力1バール(1×10ダイン/平方センチメートル);射出成形−満足な0.5mm壁セクションシェル、いくつかの0.3mmシェルで小さいニットライン、プローブ温度180℃。
【0098】
さらなるシェルの観察結果:良好な成形品、非常に少ない割れ。
【0099】
USP2に準拠し、−2.5mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、ディスクシンカーを用いてpH1.2の擬似胃液中50rpmで100%稼動させた溶出試験は、58〜100分の一定しない放出時間を示した。
【0100】
別の実施形態においては、本実施例の成形した0.5mmシェルを使用して、オイドラギットL30D−55のフィルムコートを加えた。Aeromatic Aerocoaterを使用し、標準的な手順を用い、重量増加6%のフィルムコートで、上記コーティングを施した。
【0101】
上記コート済みシェルは、その放出プロフィールについてUSP2またはUSP3溶出装置で試験していない。
(実施例5)
【0102】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 25.00
クルーセルEF 31.50
クルーセルJF 31.50
ステアリルアルコール 12.00
【0103】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.2キログラム/時間、ダイ温度115℃、スクリュー200rpm、トルク41%、ダイ圧力4バール(4×10ダイン/平方センチメートル);射出成形−満足な0.5mm壁セクションシェル、プローブ温度185℃。
【0104】
さらなるシェル観察結果:非常に良好な成形品、シェルは完全に良品であり、溶着時の割れなし。
【0105】
USP2に準拠し、−2.50mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、ディスクシンカーを用いてpH1.2の擬似胃液中50rpmで100%稼動させた溶出試験は、試験した6サンプルで36〜40分の範囲の非常に再現性のある脱離を示した。
(実施例6)
【0106】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 25.00
クルーセルEF 50.00
ラクトース 13.00
ステアリルアルコール 12.00
【0107】
加工条件
押出/射出成形:0.5mmシェルフィルムを上記の条件を用いて作製し、Opadry透明サブコートをコートし、次いでオイドラギットL30D−55腸溶コートをコートした。上記コーティングを、Aeromatic Aerocoaterを用いて施し、このフィルムコートの重量増加を、次のように2グループに分けた。:A=1.5重量/重量%サブコート;B=2.5重量/重量%腸溶コート;およびC=6.0重量/重量%腸溶コート。
【0108】
USP3に準拠し、有効成分を収容する、1.5%サブコート(A)および2.5%腸溶コート(B)を施し、−2.60mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、pH1.2の擬似胃液中10dpmで100%稼動させた溶出試験は、試験した6サンプルで非常に再現性があり、40〜55分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
【0109】
別の実施形態においては、本実施例の0.5mmシェルに、Opadry透明サブコートをフィルムコートした。このコーティングを、Aeromatic Aerocoaterを用いて施し、これらのカプセルを、次のようにフィルムコート重量増加を用いて2グループに分けた。:A=3.8重量/重量%サブコート;B=7.0重量/重量%サブコート。
【0110】
USP3溶出試験条件を用いて試験した6サンプルで、−2.60mm、振幅100%で超音波溶着したBグループの7%Methocelをコートしたシェルは、45〜55分の非常に再現性のある放出プロフィールを示した。
【0111】
別の実施形態においては、本実施例の0.5mmシェルに、Opadry透明サブコートをフィルムコートし、次いでオイドラギットL30D−55腸溶コートをオーバーコートした。Aeromatic Aerocoaterを用い、これらのカプセルを、次のようにフィルムコート重量増加を用いて2グループに分けた。:A=2.5重量/重量%サブコート;B=7.5重量/重量%腸溶コート;およびC=10.0重量/重量%腸溶コート。
【0112】
−2.50mm、振幅100%で超音波溶着した、2.5%サブコートおよび10%L30D55腸溶コートの6サンプルシェルを、USP3溶出試験条件を用いて試験した。80〜125分の再現性のある放出(異常値1)の故に、これらの放出プロフィールは、良好と見なした。
【0113】
別の実施形態では、本実施例の0.5mmシェルに、Opadry透明サブコートをAeromatic Aerocoaterを用いてフィルムコートした。得られたフィルムコート重量増加は以下のとおりであった。:A=1.7重量/重量%サブコート;B=15.3重量/重量%腸溶コート;C=21.3重量/重量%腸溶コート。
【0114】
USP3に準拠し、有効成分を収容する、1.7%サブコート(A)および15.3%腸溶コート(B)を施し、−2.60mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、pH1.2の擬似胃液中10rpmで100%稼動させた溶出試験は、試験した6サンプルで非常に再現性があり、160〜190分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
【0115】
別の実施形態では、本処方を用いて作製した0.3mmシェルに、Opadry透明サブコートをフィルムコートし、次いでオイドラギットL30D−55腸溶コートをオーバーコートした(コーティング間隔約24時間)。Aeromatic Aerocoaterを使用し、得られたフィルムコート重量増加は次のとおりであった。:A=2.5重量/重量%サブコート;B=13.3重量/重量%腸溶コート。
【0116】
USP3に準拠し、有効成分を収容する、2.5重量/重量%サブコート(A)および13.3%腸溶コート(B)を施し、−2.50mmで溶着した0.3mmカプセルシェルを使用し、pH1.2の擬似胃液中(1.5時間)、pH5.5擬似腸液中(0.5時間)次いでpH6.8擬似腸液中(2時間)10dpmで100%稼動させた溶出試験は、試験した6サンプルで85〜130分の範囲の放出を示した。
(実施例7)
【0117】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 25.00
クルーセルEF 61.00
ステアリルアルコール 12.00
二酸化チタン 2.00
【0118】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.00キログラム/時間、ダイ温度105℃、スクリュー200rpm、トルク41%、ダイ圧力1バール(1×10ダイン/平方センチメートル);射出成形−満足な0.5mm壁セクションシェル、プローブ温度180℃。
【0119】
USP3に準拠し、有効成分を収容する−2.40mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、pH1.2の擬似胃液中10dpmで100%稼動させた溶出試験は、試験した6サンプルで一定しない34〜95分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
(実施例8)
【0120】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 24.00
クルーセルEF 50.00
ステアリルアルコール 12.00
コハク酸 13.00
【0121】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.00キログラム/時間、ダイ温度110℃、スクリュー200rpm、トルク46%、ダイ圧力1バール(1×10ダイン/平方センチメートル)、滑らかな「ガラス様」ストランド。射出成形−0.5mm;キャビティ内で持続的粘着。0.3mmシェルは試みなかった。
(実施例9)
【0122】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 24.00
クルーセルEF 50.00
ラクトース 13.00
ステアリルアルコール 12.00
SDS 1.00
【0123】
加工条件
押出/射出成形:押出−0.73キログラム/時間、ダイ温度110℃、スクリュー200rpm、トルク41%、ダイ圧力2バール(2×10ダイン/平方センチメートル);射出成形−満足な0.5mmシェル、プローブ温度150℃。
【0124】
本実施例のシェルは、これらの放出プロフィールについてUSP2またはUSP3溶出装置で試験していない。
(実施例10)
【0125】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 21.60
オイドラギットRS100 2.40
クルーセルEF 32.00
クルーセルJF 32.00
ステアリルアルコール 12.00
【0126】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.5キログラム/時間、ダイ温度120℃、スクリュー150rpm、トルク38%、射出成形−プローブ温度180℃で満足な0.5mmシェル、金型に時々粘着。
【0127】
USP2に準拠し、有効成分を収容する−2.5mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、ディスクシンカーを用いてpH1.2の擬似胃液中75rpmで100%稼動させた溶出試験は、非常に再現性があり、試験した6サンプルで34〜48分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
(実施例11)
【0128】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 2.40
オイドラギットRS100 21.60
クルーセルEF 32.00
クルーセルJF 32.00
ステアリルアルコール 12.00
【0129】
加工条件
押出/射出成形:押出−1.5キログラム/時間、ダイ温度約120℃、スクリュー153rpm、トルク35%、射出成形−プローブ温度180℃で満足な0.5mmシェル、金型に時々粘着。
【0130】
USP2に準拠し、有効成分を収容する−2.50mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、ディスクシンカーを用いてpH1.2の擬似胃液中75rpmで100%稼動させた溶出試験は、かなり再現性があり、試験した4サンプルで46〜50分の範囲の、また試験した2サンプルで84分および94分の脱離を有する放出プロフィールを示した。
【0131】
USP3に準拠し、有効成分を収容する−2.45mmで溶着した0.5mmカプセルシェルを使用し、pH1.2の擬似胃液中(1.5時間)、次いでpH6.8擬似腸液中(4.5時間)10dpmで100%稼動させた溶出試験は、非常に再現性があり、試験した6サンプルで55〜80分の範囲の脱離を有する放出プロフィールを示した。
(実施例12)
【0132】
処方 重量/重量%
オイドラギットRL100 10.00
クエン酸 20.00
クルーセルEF 58.00
ステアリルアルコール 12.00
【0133】
加工条件
押出:押出−1.0キログラム/時間、ダイ温度約110℃、スクリュー200rpm、トルク35%。
【0134】
本明細書で引用した、それだけには限らないが特許および特許出願を含めたあらゆる刊行物は、個々の各刊行物が、完全に記載されていたかのように本明細書に参照によって組み込まれることが具体的にかつ個別に示されていたかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
上記説明は、その好ましい実施形態を含めて本発明を完全に開示する。本明細書に具体的に開示された変更形態および改良は、添付の特許請求の範囲に含まれる。さらに詳述するまでもなく、当業者なら、上記説明を用いて、本発明を最大限に利用できると思われる。したがって、本明細書の諸実施例は、単に例示的なものにすぎず、何ら本発明の範囲を限定するものと見なすべきではない。独占的な所有権または特権が請求される本発明の実施形態は、特許請求の範囲に定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10〜約80重量/重量%の量で存在するオイドラギットRL100またはRS100と、約20重量/重量%〜約70重量/重量%の合計量で存在する少なくとも1種の溶解性修飾賦形剤と、約5重量/重量%〜約25重量/重量%の量で存在する滑沢剤と、0〜約10%の量で存在する界面活性剤、0〜約10重量/重量%の量で存在する可塑剤および/または0〜約10重量/重量%の量で存在する加工処理剤とを含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記オイドラギットがRL100である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オイドラギットRL100が、約15〜約50重量/重量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記オイドラギットRL100が、約20〜約40重量/重量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が、2重量/重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムであるか、あるいはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記滑沢剤が、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセロール(GMS)、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、非晶質ケイ酸、またはヒュームドシリカ、およびそれらの組合せまたは混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記滑沢剤が約10〜30重量/重量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記滑沢剤がステアリルアルコールである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ステアリルアルコールが約10〜約15重量/重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記滑沢剤がステアリルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記ステアリルアルコールが約10〜約15重量/重量%の量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記溶解性修飾賦形剤が膨潤性固体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記膨潤性固体が、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースのセルロース系誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または他のヒドロキシアルキルセルロース誘導体、およびそれらの組合せまたは混合物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記膨潤性固体が、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの組合せまたは混合物の少なくとも1種である、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記溶解性修飾賦形剤が、それぞれ異なる分子量を有し、約30重量/重量%〜約80重量/重量%の合計量で存在するヒドロキシプロピルセルロースポリマーのブレンドからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ヒドロキシプロピルセルロースポリマーのブレンドが、クルーセルEFおよびクルーセルJF、またはクルーセルEF、EJおよびGF、またはクルーセルJFおよびGFである、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記溶解性修飾賦形剤が、非還元糖、低分子量溶質、または水溶性フィラーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記低分子量溶質または糖が、キシリトール、マンニトール、ラクトース、デンプン、または塩化ナトリウム、あるいはそれらの組合せまたは混合物である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記溶解性修飾賦形剤が崩壊剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、コポビドン、ポリビニルピロリドン、およびそれらの組合せまたは混合物である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記可塑剤が、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル(ATEC)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、フタル酸ジブチル、セバチン酸ジブチル(DBS)、フタル酸ジエチル、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、またはヒマシ油、およびそれらの組合せまたは混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記加工処理剤がタルクである、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記加工処理剤が約1〜約5重量/重量%の量で存在する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
吸収促進剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記吸収促進剤が、キトサン、レシチン、レクチン、スクロース脂肪酸エステル、ビタミンE−TPGS、およびそれらの組合せまたは混合物である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
約15〜50重量/重量%の量で存在するオイドラギットRL100、ステアリルアルコールである滑沢剤、およびヒドロキシプロピルセルロース誘導体である少なくとも1種の溶解性修飾賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項28】
前記ヒドロキシプロピルセルロースが、異なる分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースのブレンドである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ヒドロキシプロピルセルロースのブレンドが、クルーセルEFおよびクルーセルJFである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ヒドロキシプロピルセルロースのブレンドが、クルーセルJFおよびクルーセルGFである、請求項1または17に記載の組成物。
【請求項31】
前記ヒドロキシプロピルセルロースのブレンドが、クルーセルEFおよびクルーセルGFである、請求項1または17に記載の組成物。
【請求項32】
前記ヒドロキシプロピルセルロースのブレンドが、等しい重量/重量%からなるものである、請求項28から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記ヒドロキシプロピルセルロースのブレンドが、約32重量/重量%である、請求項28から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記HPCが、約50重量/重量%の量で存在する、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
さらにウィッキング剤を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
前記ウィッキング剤が、ラクトースである、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記ラクトースが、約13重量/重量%の量で存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
下表の成分を含む、成形カプセルシェル用医薬組成物。
【表1−1】

【表1−2】

【請求項39】
請求項1から38のいずれか一項で定義される組成物を有する、射出成形カプセルシェル、リンカーまたはスペーサー。
【請求項40】
請求項1から38のいずれか一項で定義される組成物を有する、複数コンポーネント射出成形カプセルシェル、リンカーまたはスペーサー。
【請求項41】
請求項1から38のいずれか一項で定義される組成物を有する、溶着された、または機械的に接合された、複数コンポーネント射出成形カプセルシェル、リンカーまたはスペーサー。
【請求項42】
複数のサブユニットを含む複数コンポーネント製薬剤形であって、各サブユニットが、
a)カプセル区画中に収容された薬物物質を放出するために、患者の胃腸環境中で可溶性または分解性の、薬物物質を収容したカプセル区画と、
b)約15〜80重量/重量%の量で存在するオイドラギットRL100またはRS100と、約30重量/重量%〜約70重量/重量%の量で存在する少なくとも1種のヒドロキシプロピルセルロースとを含み、薬物物質を収容する、固体マトリックスとから選択され、前記ポリマーが、固体マトリックス中に収容された薬物物質を放出するように患者の胃腸環境中で可溶性、分散性または分解性であり、少なくとも患者への投与の前にサブユニットが一体に溶着されまたは機械的に接合されて組み立てた剤形にされる剤形。
【請求項43】
前記固体マトリックスが、約10〜25重量/重量%の量で存在する滑沢剤をも含む、請求項42に記載の複数コンポーネントの製薬剤形。
【請求項44】
前記サブユニットの少なくとも1つが、約0.1〜0.8mmの範囲の厚さの壁を有する、薬物物質を収容したカプセル区画である、請求項42に記載の剤形。
【請求項45】
前記サブユニットの少なくとも1つが、実質的に即時の放出サブユニットである、請求項42に記載の剤形。

【公表番号】特表2007−528901(P2007−528901A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503046(P2007−503046)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/008147
【国際公開番号】WO2005/089726
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(595047190)スミスクライン ビーチャム ピー エル シー (34)
【Fターム(参考)】