説明

半導体カード

【課題】半導体カードを備える電子機器のポータビリティを向上させる。
【解決手段】半導体カードは、電子機器のカードスロットに挿入可能で、カードスロット内に形成されたカードソケットに係合可能であり、基本部分および拡張部分を有する。基本部分は、端子部および第1連結部を含み、カードソケットに端子部が係合可能である。拡張部分は、第2連結部を含み、第2連結部を第1連結部と連結した状態で、基本部分に対して大略平行に重ね合わされる重ね合わせ状態、および基本部分に対して直角以上に伸張される伸張状態の2つの状態に配置可能である。拡張部分は、重ね合わせ状態において端子部がカードソケットと係合状態にある場合、基本部分および拡張部分がカードスロットに挿入され、伸張状態において端子部がカードソケットと係合状態にある場合、基本部分がカードスロットに挿入される一方、拡張部分の一部はカードスロットから突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体カードに関し、さらに詳しくは、切手サイズのSD(Secure Digital)カード(SDカードアソシエーションにより規定された半導体カード)に準拠し、拡張入出力機能を有するSDカードとしてSDカードアソシエーションにより規定された半導体カードであるSDIO(Secure Digital Input Output)カードに関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピュータおよびPDA(Personal Digital Assistants)のような携帯型の電子機器では、メモリおよび入出力インターフェースなどを拡張する構成として、SDIOカードが広く用いられている。この種のSDIOカードにおいて、最近、たとえばBluetooth(登録商標)のような無線通信機能を搭載し、複数の電子機器を無線で接続することによって、データの送受信を可能としたものが発売されている。
【0003】
この無線通信機能を有するSDIOカードは、送受信回路、インターフェース回路、およびアンテナなどを内蔵したカードケースを備えている。このカードケースは、従来周知のSDIOカードと同様に、電子機器のカードスロットに挿入されるようになっている。無線接続のためのアンテナおよび送受信回路は、カードケースの挿入先端とは反対側の端部に位置されており、このカードケースをカードスロットに挿入すると、カードケースのアンテナの部分がカードスロットから電子機器の外部に突出した状態に保たれる。これにより、カードスロットの外部においてアンテナを所望の方向に設定することが可能となり、受信信号レベルを最大化するとともに小さな送信電力で送信することができ、良好な無線送受信が可能となる利点がある。
【0004】
しかしながら、この装着状態では、不可抗力などにより突出部にカード厚み方向の衝撃や負荷が加わると、カードスロットに挿入されている挿入部と突出部との境界部分に応力が集中し、SDIOカードの機能および性能に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
この問題点を解決しようとする従来例として、特開2003−006603号公報が開示されている。この従来例では、図7Aおよび図7Bに示されるように、半導体カードは、カードスロットに挿入される第1の部分18a、およびカードスロットから突出する第2の部分(突出部)18bを有する。これら第1の部分18aおよび第2の部分18bは、継手部27を介して互いに結合されている。図7Cおよび図7Dに示されるように、この継手部27を中心に揺動する動作が、第1の部分18aおよび第2の部分18bに加わる曲げ力を逃す役目を果すとしている。
【特許文献1】特開2003−006603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来例の半導体カードでは、突出部18bに加わる衝撃や負荷などを回避するために、単に揺動するのみにすぎない。したがって、半導体カードをカードスロットに装着した状態では、突出部18bがカードスロットから突出した状態のままであり、この状態で電子機器を持ち運ぶと、突出部18bのために電子機器のポータビリティが阻害されるという第1の課題があった。
【0007】
さらに、突出部18bにカード厚み方向の大きな衝撃や負荷が加わり、継手部27の揺動可能範囲を超えた場合、継手部27が破損しやすくなるという第2の課題があった。
【0008】
そのため、半導体カードが挿入された電子機器を持ち運ぶ際には、その都度半導体カードをカードスロットから抜き取って、電子機器とは別に持ち運ぶ必要がある。したがって、半導体カードを持ち運んだ先に忘れて来たり、紛失したりする可能性がある。また、継手部27を備えた半導体カードを単独で持ち運ぶ場合、継手部27が揺動することでかえって不安定になり、継手部27を損傷する可能性がある。このように、半導体カードを単独で管理することに伴って、紛失したり破損したりするという第3の課題があった。
【0009】
さらに、この突出部18bの大きさは、半導体カードの中に盛り込む機能に応じて変化する。WLAN(Wireless LAN)、Bluetooth、またはZigBeeを搭載する場合は、突出部を無くしたり、比較的小さくしたりすることができる。しかし、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)またはGSM(Global System for Mobile Communications)を用いた変調方式を使用する半導体カードの場合、これらのハードウェア量が多いため、突出部が大幅に大きくなる。その結果、上述した第1および第2の課題の重要性が大きくなるという第4の課題があった。
【0010】
さらに、この突出した状態に保つ別の理由として、送受信回路で発生する熱を大気中に逃す役割がある。一般的に、送受信回路で発生する熱を抑制するために、無線通信を受信信号レベルに応じて電力制御するような構成が採用されている。すなわち、受信信号レベルが低い場合には通信先(たとえば基地局)が比較的遠いと判断し、送信電力を増加させ、受信信号レベルが高い場合には通信先が比較的近いと判断し、送信電力を減少させる。これにより、通信先が比較的遠い場合に送信能力を向上させるとともに、通信先が比較的近い場合に消費電力および発熱を低減している。ここで、外部に突出した送受信回路およびアンテナなどの体積を小さくするなどにより、電子機器のカードスロット内に半導体カードごと収納することが可能になったとする。この場合、アンテナの方向が固定されることにより受信信号レベルが相対的に低くなると、上述のように送信電力を増加させるために、送受信回路から発生する熱が増大する。しかし、半導体カードが電子機器内に収納されているため、送受信回路の発熱が放熱できずに、半導体カード自身の温度が上昇する。その結果、半導体カードの機能および性能を損傷し、発熱でカードケースが変形する可能性があるという第5の課題があった。
【0011】
さらに、カードスロット内に半導体カードごと収納可能になったとしても、送受信回路の発熱が放熱できないため、送信電力を増加させることができず、半導体カードの送信能力が不充分になるという第6の課題があった。ここで送信能力とは、通信先へ充分な受信信号レベルで到達できるように無線電波を送信する能力である。
【0012】
本発明は、上述した従来の課題を解決するもので、半導体カードを備える電子機器のポータビリティを向上させるとともに、半導体カードの温度上昇を抑制し、送信能力を向上させる半導体カードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明の半導体カードは、電子機器のカードスロットに挿入可能で、前記カードスロット内に形成されたカードソケットに係合可能な半導体カードであって、端子部および第1連結部を含み、前記カードソケットに前記端子部が係合可能である基本部分と、第2連結部を含む拡張部分とを有し、前記拡張部分は、前記第2連結部を前記第1連結部と連結した状態で、前記基本部分に対して大略平行に重ね合わされる重ね合わせ状態、および前記基本部分に対して直角以上に伸張される伸張状態の2つの状態に配置可能であり、前記重ね合わせ状態において前記端子部が前記カードソケットと係合状態にある場合、前記基本部分および前記拡張部分が前記カードスロットに挿入され、前記伸張状態において前記端子部が前記カードソケットと係合状態にある場合、前記基本部分が前記カードスロットに挿入される一方、前記拡張部分の少なくとも一部は前記カードスロットから突出している。
【0014】
さらに、本発明の半導体カードは、上記に記載の半導体カードであって、センサー部を有し、前記拡張部分は、送信部を含み、前記重ね合わせ状態において前記端子部が前記カードソケットと係合状態にある場合、前記拡張部分は前記電子機器に接触可能であり、前記センサー部は、前記拡張部分と前記電子機器との接触を検出し、接触検出信号を生成し、前記送信部は、増幅手段を有し、前記接触検出信号が生成されると、前記増幅手段を制御し、前記送信部の送信電力の上限レベルを増加させる。
【0015】
さらに、本発明の電子機器は、上記に記載の半導体カードを用いる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の半導体カードによれば、半導体カードは、重ね合わせ状態および伸張状態の2つの状態に配置することができる。半導体カードは、重ね合わせ状態ではカードスロットの内部に拡張部分も含めてすべて収納することができ、伸張状態ではカードスロットから電子機器の外部へ、拡張部分の少なくとも一部が突出している。
【0017】
これにより、半導体カードは、伸張状態において、カードスロットから突出している拡張部分の少なくとも一部により、アンテナの方向を最適に調整して無線通信することができる。また、重ね合わせ状態において、電子機器には半導体カードの突出物が無くなるため、半導体カードの破損を防止し、電子機器のポータビリティを向上させることができる。さらに、電子機器に収納した状態で同時に運搬することができるため、個別運搬による半導体カードの紛失および破損を防止することができる。
【0018】
さらに、拡張部分は、送信部を含み、重ね合わせ状態において電子機器に接触することができる。半導体カードはセンサー部を含み、センサー部は、拡張部分の電子機器への接触を検出することができる。送信部は、接触検出結果に基づき、拡張部分が電子機器と接触状態になると、送信電力の上限レベルを増加させ、拡張部分が電子機器と非接触状態になると、送信電力の上限レベルを減少させることができる。
【0019】
これにより、重ね合わせ状態では、アンテナの方向を最適化できないために送信電力を増加させて送信能力を高めようとしても、電子機器との接触により拡張部分の温度上昇を抑制し、半導体カードの機能および性能を保護することができる。また、送信電力の上限レベルを増加させることにより、半導体カードは送信能力をさらに向上させることができる。一方、伸張状態では、アンテナの方向を最適化できるので、送信能力を高めたまま送信電力を減少させることができ、電子機器との接触が無くても、拡張部分の温度上昇を抑制することができる。さらに、送信電力の上限レベルを減少させることにより、送信部の熱的破壊を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態に関するいくつかの例について、図面を参照しながら説明する。図面において、実質的に同一の構成、動作、および効果を表す要素については、同一の符号を付す。また、以下において記述される数字は、すべて本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。さらに、ハイ/ローにより表される論理レベルは、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、例示された論理レベルまたはスイッチング状態の異なる組み合わせにより、同等な結果を得ることも可能である。また、構成要素間の接続関係は、本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。さらに、以下の実施形態は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを用いて構成されるが、ハードウェアを用いる構成は、ソフトウェアを用いても構成可能であり、ソフトウェアを用いる構成は、ハードウェアを用いても構成可能である。
【0021】
(第1の実施形態)
図1Aは、半導体カード30を示す斜視図である。
図1Bは、半導体カード30を示す平面図30A、底面図30B、正面図30C、および側面図30Dである。
図1Cは、半導体カード30を示す正面図である。
図1Dは、半導体カード30の変形例を示す底面図60B、正面図60C、および側面図60D、および別の正面図60Eである。
半導体カード30は、たとえばSDIO(Secure Digital Input Output)カードである。SDIOカードは、SD(Secure Digital)カードに準拠し、拡張入出力機能を有するSDカードとしてSDカードアソシエーションにより規定された半導体カードである。SDIOカードは、ポータブルコンピュータおよびPDA(Personal Digital Assistants)のような携帯型の電子機器220(後述の図2および図3Aに示す)において、メモリおよび入出力インターフェースなどを拡張するカードとして、用いられる。
【0022】
半導体カード30は、基本部分100および拡張部分110を含む。基本部分100は、端子部140および基本部分連結部121を含む。端子部140は、基本部分100の長さ108の方向における一方の端部に位置し、基本部分連結部121は、他方の端部に位置する。拡張部分110は、拡張部分連結部122を含む。拡張部分連結部122は、拡張部分110の長さ108の方向における一方の端部に位置する。拡張部分連結部122は、ヒンジ(すなわち、蝶番)のように基本部分連結部121と連結されており、連結軸123を中心に回動可能になっている。拡張部分110は、拡張部分連結部122を基本部分連結部121と連結した状態で、2つの状態に配置可能である。1つ目は、基本部分100に対して、大略平行に重ね合わされる重ね合わせ状態31(図1A、および図1Bの正面図30Cに示す)である。2つ目は、基本部分100に対して、直角以上に伸張される伸張状態32(図1Cに示す)である。詳しくは、伸張状態32において、基本部分100に対して拡張部分110が成す角度は、90度以上、かつ180度以下の角度である。
【0023】
重ね合わせ状態31では、拡張部分110の内表面115は、所定距離を介して、基本部分100の内表面105と対向しており、拡張部分110の外表面116および基本部分100の外表面106は、互いに逆方向に向いている。伸張状態32では、拡張部分110の内表面115は、基本部分100の内表面105と大略同方向に向いており(すなわち、大略180度の角度に伸張されており)、拡張部分110の外表面116および基本部分100の外表面106は、いずれも内表面105、106とは逆方向に向いている。拡張部分110は、重ね合わせ状態31と伸張状態32との間で、連結軸123を中心に回動可能であり、この2つの状態間の任意の位置において保持することができる。
【0024】
基本部分連結部121は円柱状を成しており、拡張部分連結部122は、基本部分連結部121の両端近傍において、基本部分連結部121を包むような円筒状を成している。拡張部分連結部122は、基本部分連結部121の円柱表面を摺動することにより回動する。基本部分100および拡張部分110の幅109に比べて、拡張部分連結部122の円筒の長さは大略同等であるが、基本部分連結部121の円柱の長さは、通常短い。
【0025】
なお、逆に、拡張部分連結部122が円柱状を成しており、基本部分連結部121が、拡張部分連結部122の両端近傍において、拡張部分連結部122を包むような円筒状を成していてもよい。なお、伸張状態32において伸張される角度は大略180度としたが、90度から270度の間であれば、任意の角度が可能である。図1A、図1B、および図1Cに示すような、拡張部分110が拡張部分連結部122および基本部分連結部121を中心に回動可能な半導体カード30の構成は、回動可能構成と呼ばれる。
【0026】
なお、図1Cでは、回動可能構成であったが、図1Dに示すように、拡張部分110が基本部分100上を摺動しながら伸張されるようにしてもよい。詳しくは、基本部分100は、図1Cの基本部分連結部121の代わりに基本部分連結部121Aを含む。基本部分連結部121Aは、基本部分100の長さ108の方向における一方の端部に位置し、基本部分100の基本部分連結部121Aを除く本体部分上に平板状に形成される。拡張部分110は、図1Cの拡張部分連結部122の代わりに拡張部分連結部122Aを含む。拡張部分連結部122Aは、拡張部分110の長さ108の方向における一方の端部に位置する。拡張部分連結部122Aは、基本部分連結部121A上を摺動可能なように、基本部分連結部121Aと連結されている。拡張部分110は、拡張部分連結部122Aを基本部分連結部121Aと連結した状態で、2つの状態に配置可能である。1つ目は、基本部分100に対して、大略平行に重ね合わされる重ね合わせ状態31(図1Dの正面図60Cに示す)である。2つ目は、基本部分100に対して、直角以上に伸張される伸張状態32(図1Dの正面図60Eに示す)である。詳しくは、伸張状態32において、基本部分100に対して拡張部分110が成す角度は、90度以上、かつ180度以下の角度である。
【0027】
重ね合わせ状態31では、拡張部分110の内表面115は、所定距離を介して、基本部分100の内表面105と対向しており、拡張部分110の外表面116および基本部分100の外表面106は、互いに逆方向に向いている。図1Dの場合、伸張状態32でも重ね合わせ状態31と同様に、拡張部分110の内表面115は、基本部分100の内表面105と対向している。拡張部分110は、重ね合わせ状態31(正面図60Eの拡張部分110A)と伸張状態32(正面図60Eの拡張部分110B)との間で、矢印119のように摺動可能であり、この2つの状態間の任意の位置において保持することができる。拡張部分110は、重ね合わせ状態31において、押しボタンスイッチ61が押されると、図示していないバネ機構により突出し、伸張状態32の位置(拡張部分110B)まで引き出すことができる。拡張部分110は、伸張状態32において、わずかな応力では簡単に移動しないように、図示していないラッチ機構により留められる。さらに、拡張部分110は、伸張状態32において、所定の応力により重ね合わせ状態31の位置(拡張部分110A)まで押し込まれると、図示していないロック機構により重ね合わせ状態31にロックされる。図1Dに示すような、拡張部分110が拡張部分連結部122Aおよび基本部分連結部121Aを中心に摺動可能な半導体カード30の構成は、摺動可能構成と呼ばれる。
【0028】
図2は、電子機器220に挿入された半導体カード30を示す斜視図である。
図3Aは、電子機器220に挿入された半導体カード30を示す断面図である。
図3Bは、カードソケット240を示す斜視図である。
半導体カード30は、電子機器220に設けられたカードスロット310に挿入することができる。さらに、半導体カード30は、カードスロット310内に形成されたカードソケット240と係合することができる。基本部分100の端子部140は、カードソケット240に係合することができる。半導体カード30がSDIOカードの場合、カードソケット240は、SDカードの規定に準拠して構成されている。
【0029】
半導体カード30の厚さ41は、重ね合わせ状態31において、基本部分100の厚さ、拡張部分110の厚さ、および基本部分100の内表面105と拡張部分110の内表面115との距離の合計に大略等しい。また、半導体カード30の厚さ41は、基本部分連結部121および拡張部分連結部122と大略等しい。拡張部分110の厚さは、基本部分100の厚さと等しいまたはより小さい。基本部分100の厚さは、カードソケット240の厚さ40よりも若干小さい。カードスロット310の厚さ42は、一例では、SDカードの規定に準拠しているカードソケット240の厚さ40の、大略2倍に設定される(図3Aは、拡張部分110の厚さなどを広めに模式的に示しており、寸法関係において厳密ではない)。重ね合わせ状態31における半導体カード30の厚さ41は、このカードスロット310の厚さ42よりも若干小さくなるように、拡張部分110の厚さ、および基本部分100の内表面105と拡張部分110の内表面115との距離が設定される。
【0030】
さらに、基本部分100の長さ108は、カードスロット310の奥行きよりも短く、拡張部分110の長さは、基本部分100の長さ108よりも短い。このような寸法関係であれば、半導体カード30は、重ね合わせ状態31において、端子部140がカードソケット240と係合状態にある場合、カードスロット310の内部に、基本部分100および拡張部分110を含めてすべて収納することができ、カードスロット310の外部には突出しない。図3Aに示すように、半導体カード30の基本部分連結部121側の側面51および拡張部分連結部122側の側面52は、電子機器220の側面50と大略同一平面内にある、または電子機器220の側面50よりもカードスロット310の奥行き方向に若干入り込んでいる。
【0031】
一方、図1C(回動可能構成)、または図1Dの正面図60E(摺動可能構成)に示すような伸張状態32においては、端子部140が、図3Aと同様にカードソケット240と係合状態にある場合、基本部分100がカードスロット310の内部に収納されている一方、拡張部分110の少なくとも一部はカードスロット310の外部(すなわち、電子機器220の外部)へ突出している。厳密には、回動可能構成の場合、拡張部分連結部122はカードスロット310の内部にあり、拡張部分110のうち拡張部分連結部122以外の部分がカードスロット310の外部にある。一方、摺動可能構成の場合、拡張部分連結部122Aの一部がカードスロット310の外部にあり、拡張部分110のうちの残りがカードスロット310の内部にある。このように、重ね合わせ状態31において端子部140がカードソケット240と係合状態にある場合、基本部分100および拡張部分110がカードスロット310に挿入され、伸張状態32において端子部140がカードソケット240と係合状態にある場合、基本部分100がカードスロット310に挿入される一方、拡張部分110の少なくとも一部はカードスロット310から外部へ突出している。
【0032】
伸張状態32の半導体カード30が挿入された電子機器220の携帯および運搬は、回動可能構成の場合、次のように行う。半導体カード30は伸張状態32にあり、基本部分100がカードスロット310に挿入され、端子部140がカードソケット240と係合している。この場合、端子部140はいったんカードソケット240から取り外され、半導体カード30はカードスロット310の外部に引き出される。次に、半導体カード30は、カードスロット310の外部において伸張状態32から重ね合わせ状態31に変更される。その後、半導体カード30は、拡張部分110も含む全部がカードスロット310に挿入され、端子部140がカードソケット240と係合する。一方、摺動可能構成の場合は、端子部140をカードソケット240と係合した状態で、重ね合わせ状態31と伸張状態32との間で摺動可能であり、半導体カード30をカードスロット310の外部に引き出す必要は無い。
【0033】
このように、半導体カード30は、重ね合わせ状態31および伸張状態32の2つの状態に配置することができる。半導体カード30は、重ね合わせ状態31ではカードスロット310の内部に拡張部分110も含めてすべて収納することができ、伸張状態32ではカードスロット310から電子機器220の外部へ、拡張部分110の少なくとも一部が突出している。
【0034】
これにより、半導体カード30は、伸張状態32において、カードスロット310から突出している拡張部分110の少なくとも一部により、アンテナの方向を最適に調整して無線通信することができる。また、重ね合わせ状態31において、電子機器220には半導体カード30の突出物が無くなるため、半導体カード30の破損を防止し、電子機器220のポータビリティを向上させることができる。さらに、電子機器220に収納した状態で同時に運搬することができるため、個別運搬による半導体カード30の紛失および破損を防止することができる。
【0035】
図4Aは、半導体カード30の回路構成を示す平面図30Aおよび底面図30Bである。平面図30Aは拡張部分110の回路構成を示し、底面図30Bは基本部分100の回路構成を示す。基本部分100は、制御部150、メモリ部160、およびデジタルベースバンド部170を含む。拡張部分110は、周波数変換部175、送信部190、受信部185、センサー部200、およびアンテナ部180を含む。なお、制御部150、メモリ部160、デジタルベースバンド部170、周波数変換部175、受信部185、およびセンサー部200のそれぞれは、基本部分100または拡張部分110のいずれに含まれてもよいし、基本部分100および拡張部分110に分割されてもよい。
【0036】
端子部140は、カードソケット240と係合状態にある場合、カードソケット240を介して、電子機器220の本体と電気的に接続することができる。電子機器220の本体とは、電子機器220のうちカードソケット240などの一部を除く大部分を表す。制御部150は、SDカードのインターフェース規定に基づき、電子機器220から端子部140を介して所望のデータを受け、メモリ部160に記憶する。メモリ部160は、たとえばフラッシュメモリで構成される。デジタルベースバンド部170は、メモリ部160に記憶されたデータを、直接にまたは制御部150を介して受ける。さらに、デジタルベースバンド部170は、このデータに基づいて、無線通信に適した信号への変調処理を含むデジタルベースバンド送信処理を行い、デジタルベースバンド送信処理された信号を表すデジタルベースバンド信号S170を生成する。周波数変換部175は、デジタルベースバンド信号S170を所望の周波数バンドに周波数変換し、周波数変換された信号を表す送信信号S175を生成する。送信部190は、増幅回路191を有する。送信部190は、送信信号S175を増幅回路191によって増幅し、所望の送信電力に増幅された送信信号S190を生成する。アンテナ部180は、増幅された送信信号S190を無線電波として送信する。
【0037】
さらに、アンテナ部180は、無線電波を受信し、受信信号S180を生成する。受信部185は受信信号S180を増幅し、増幅された受信信号S185を生成する。周波数変換部175は、増幅された受信信号S185をベースバンドに周波数変換し、周波数変換された信号を表すデジタルベースバンド信号S170を生成する。デジタルベースバンド部170は、デジタルベースバンド信号S170に基づいて、復調処理を含むデジタルベースバンド受信処理を行う。制御部150は、デジタルベースバンド受信処理されたデータを受け、メモリ部160とやり取りしながら、SDカードのインターフェース規定に基づき、端子部140を介して電子機器220へ送る。
【0038】
なお、この場合、受信部185が、受信信号S180の受信信号レベルを検出し、送信部190の送信電力がこの受信信号レベルに基づいて制御されるようにしてもよい。詳しくは、受信部185は、受信信号S180の受信信号レベルを検出し、レベル検出信号S186を生成する。制御部150は、レベル検出信号S186に基づいて、制御信号S150を生成する。制御部150は、受信信号レベルが低い場合には通信先が比較的遠いと判断し、制御信号S150をハイレベルにし、受信信号レベルが高い場合には通信先(たとえば基地局)が比較的近いと判断し、制御信号S150をローレベルにする。制御信号S150のハイレベルまたはローレベルの状態は、制御状態の一例である。送信部190は、制御信号S150がローレベルからハイレベルになると、増幅回路191の増幅率を増加させることにより、送信電力を増加させ、制御信号S150がハイレベルからローレベルになると、増幅回路191の増幅率を減少させることにより、送信電力を減少させる。これにより、通信先が比較的遠い場合に送信能力を向上させるとともに、通信先が比較的近い場合に消費電力および発熱を低減することができる。ここで送信能力とは、通信先へ充分な受信信号レベルで到達できるように無線電波を送信する能力である。なお、送信部190は、制御部150を介さずに、直接にレベル検出信号S186に基づいて制御され、送信電力を調整してもよい。
【0039】
拡張部分110は、重ね合わせ状態31において端子部140がカードソケット240と係合状態にある場合、電子機器220に接触することができる。詳しくは、図1B、図1C、および図3Aに示すように、拡張部分110は、拡張部分110における発熱の放熱を媒介する放熱媒介部130を含む。放熱媒介部130は、拡張部分110の内表面115に取り付けられ、板バネ状に形成されることにより、カードソケット240の上表面241に所望の弾性率で接触することができる。拡張部分110の特に送信部190において発生する熱は、放熱媒介部130、カードソケット240、および基板230を経由して、電子機器220の本体へ、熱伝導により放熱することができる。
【0040】
なお、図5に示すように、拡張部分110は、放熱媒介部130の代わりに放熱媒介部130Aを含み、放熱媒介部130Aは、拡張部分110の外表面116に取り付けられてもよい。放熱媒介部130Aは、放熱媒介部130と同様に板バネ状に形成されることにより、カードスロット310に所望の弾性率で接触することができる。拡張部分110の特に送信部190において発生する熱は、放熱媒介部130Aを介して、電子機器220の本体へ、熱伝導により放熱することができる。
【0041】
図4において、センサー部200は、拡張部分110と電子機器220との接触を検出し、接触検出信号S200を生成する。詳しくは、センサー部200は、放熱媒介部130がカードソケット240の上表面241に接触していることを検出し、接触検出信号S200を生成する。拡張部分110は、電子機器220に電気的に接触していてもよいし、または機械的には接触しているが電気的には絶縁されていてもよい。拡張部分110が電子機器220に電気的に接触している場合、たとえば、センサー部200は、拡張部分110の表面を形成するカードケース111の電圧の変化を検出する。または、センサー部200は、拡張部分110の表面を形成するカードケース111に流れる電流の変化を検出する。または、センサー部200は、拡張部分110の表面を形成するカードケース111と接地との間のインピーダンスの変化を検出する。
【0042】
制御部150は、接触検出信号S200に基づいて、制御信号S151を生成する。制御部150は、接触検出信号S200が生成されている場合、制御信号S151をハイレベルにし、接触検出信号S200が生成されていない場合、制御信号S151をローレベルにする。制御信号S151のハイレベルまたはローレベルの状態は、制御状態の一例である。送信部190は、制御信号S151がローレベルからハイレベルになると、増幅回路191の増幅率の上限レベルを増加させることにより、送信電力の上限レベルを増加させる。一方、送信部190は、制御信号S151がハイレベルからローレベルになると、増幅回路191の増幅率の上限レベルを減少させることにより、送信電力の上限レベルを減少させる。たとえば、送信部190は、制御信号S151がハイレベルの場合、制御信号S151がローレベルの場合に比較して、送信電力の上限レベルを大略20%増加させる。これにより、熱伝導による放熱効果が充分な場合に送信能力を向上させるとともに、放熱効果が不充分な場合に送信電力を制限することにより増幅回路191の熱的破壊を防止することができる。
【0043】
なお、送信部190は、制御部150を介さずに、接触検出信号S200に基づいて送信電力の上限レベルを直接に増加または減少させてもよい。この場合、図4Bに示すように、送信部190は、センサー部200により生成される接触検出信号S200を、直接に受ける。詳しくは、送信部190は、接触検出信号S200が生成される(すなわち、非接触状態から接触状態になる)と、増幅回路191の増幅率の上限レベルを増加させることにより、送信電力の上限レベルを増加させ、接触検出信号S200の生成が停止される(すなわち、接触状態から非接触状態になる)と、増幅回路191の増幅率の上限レベルを減少させるにより、送信電力の上限レベルを減少させる。
【0044】
なお、センサー部200は、拡張部分110の温度が所定値を越えると、温度超過信号を生成し、送信部190は、温度超過信号が生成されると、増幅回路191を制御し、送信部190の送信電力の上限レベルを減少させるようにしてもよい。これにより、拡張部分110の温度上昇を抑制し、半導体カード30の機能および性能を保護することができる。
【0045】
このように、重ね合わせ状態31において端子部140がカードソケット240と係合状態にある場合、半導体カード30は、拡張部分110も含めてすべてカードスロット310の内部に収納される。この場合、拡張部分110に含まれるアンテナの方向を自由に動かすことができないため、受信部185の受信信号レベルが低下する。上述したように、受信部185の受信信号レベルに基づいて送信部190の送信電力が制御される場合、受信部185の受信信号レベルが低下すると、送信部190は、増幅回路191の増幅率を増加させることにより、送信電力を増加させる。これにより、拡張部分110がカードスロット310の内部に収納され、アンテナの方向を自由に動かすことができない場合であっても、送信能力を充分に高めることができる。
【0046】
さらに、拡張部分110がカードスロット310の内部に収納されている場合、拡張部分110の突出部分が大量の空気中に露出されている伸張状態32に比べて、拡張部分110の熱対流および熱放射による放熱効果は低下する。しかし、拡張部分110は、上述したように電子機器220に接触しており、送信部190における発熱は、電子機器220へ熱伝導により充分に放熱される。結果的に、重ね合わせ状態31における拡張部分110の放熱効果は、伸張状態32に比べて高くなり、拡張部分110の温度上昇を抑制することができる。このように、拡張部分110がカードスロット310の内部に収納されている場合に、送信部190が送信電力を増加させても、拡張部分110の放熱効果は高いため、拡張部分110の温度上昇を抑制した状態で、送信能力を充分に高めることができる。
【0047】
また、拡張部分110がカードスロット310の内部に収納されている場合、接触検出信号S200が生成されるため、送信部190は、送信電力の上限レベルを増加させることができ、送信能力をさらに向上させることができる。
【0048】
一方、伸張状態32において端子部140がカードソケット240と係合状態にある場合、拡張部分110の少なくとも一部が電子機器220の外部に突出している。この場合、拡張部分110に含まれるアンテナの方向を自由に動かすことができるため、拡張部分110がカードスロット310の内部に収納されている場合に比べて、受信部185の受信信号レベルは上昇する。上述したように、受信部185の受信信号レベルに基づいて送信部190の送信電力が制御される場合、受信部185の受信信号レベルが上昇すると、送信部190は、増幅回路191の増幅率を減少させることにより、送信電力を減少させる。これにより、拡張部分110の少なくとも一部が電子機器220の外部に突出し、拡張部分110に含まれるアンテナの方向を自由に動かすことができる場合に、送信能力を充分に高めた状態で、消費電力および発熱を低減することができる。
【0049】
さらに、拡張部分110の少なくとも一部が電子機器220の外部に突出している場合、重ね合わせ状態31に比べて、拡張部分110の突出部分は大量の空気中に露出されているため、熱対流および熱放射による放熱効果は増大する。しかし、拡張部分110は、上述したように電子機器220に接触していないため、拡張部分110の熱伝導は不充分となり、結果的に、伸張状態32における拡張部分110の放熱効果は、重ね合わせ状態31に比べて低くなる。このように、拡張部分110の少なくとも一部が電子機器220の外部に突出している場合に、拡張部分110の放熱効果が不充分であっても、送信部190が送信電力を減少させるため、拡張部分110の温度上昇を抑制した状態で、送信能力を充分に高めることができる。
【0050】
さらに、拡張部分110の少なくとも一部が電子機器220の外部に突出している場合、接触検出信号S200が生成されないため、送信部190は、送信電力の上限レベルを減少させることができ、増幅回路191の熱的破壊を防止することができる。
【0051】
このように、拡張部分110は、送信部190を含み、重ね合わせ状態31において電子機器220に接触することができる。半導体カード30はセンサー部200を含み、センサー部200は、拡張部分110の電子機器220への接触を検出することができる。送信部190は、接触検出結果に基づき、拡張部分110が電子機器220と接触状態になると、送信電力の上限レベルを増加させ、拡張部分110が電子機器220と非接触状態になると、送信電力の上限レベルを減少させることができる。
【0052】
これにより、重ね合わせ状態31では、アンテナの方向を最適化できないために送信電力を増加させて送信能力を高めようとしても、電子機器220との接触により拡張部分110の温度上昇を抑制し、半導体カード30の機能および性能を保護することができる。また、送信電力の上限レベルを増加させることにより、半導体カード30は送信能力をさらに向上させることができる。一方、伸張状態32では、アンテナの方向を最適化できるので、送信能力を高めたまま送信電力を減少させることができ、電子機器220との接触が無くても、拡張部分110の温度上昇を抑制することができる。さらに、送信電力の上限レベルを減少させることにより、送信部190の熱的破壊を防止することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。その他の構成、動作、および効果は、第1の実施形態と同等であるので、説明を省略する。
図6は、半導体カード30の回路構成を示す平面図30A、底面図30B、正面図30C、および側面図30D、ならびに電子機器を示す斜視図220Aである。
【0054】
図6では、パーソナルコンピュータを表す電子機器220Aに、平面図30A、底面図30B、正面図30C、および側面図30Dで示される半導体カード30が挿入されている。電子機器220Aは、直流電源として、たとえばリチウムイオン電池などの2次電池を含む。電子機器220Aは、さらに残容量警告信号生成部を含む。残容量警告信号生成部は、2次電池の残容量を監視し、残容量が所定値未満になると、電池残容量警告信号350を生成する。すなわち、電池残容量警告信号350は、2次電池の残容量が少ないことを表す。制御部150は、残容量警告信号生成部から端子140を介して電池残容量警告信号350を受けている場合、制御信号S151をローレベルにする。送信部190は、制御信号S151がハイレベルからローレベルになると、増幅回路191を制御し、送信電力の上限レベルを減少させる。
【0055】
なお、電子機器220Aは、2次電池の代わりに1次電池を含み、残容量警告信号生成部は、1次電池の残容量を監視し、残容量が所定値未満になると、電池残容量警告信号350を生成するようにしてもよい。
【0056】
このように構成することにより、電子機器220Aに含まれる電池の残容量が少なくなった場合に消費電力を抑制し、電子機器220Aの駆動時間を長時間化することができる。
【0057】
(実施形態のまとめ)
以上のように、半導体カード30は、重ね合わせ状態31および伸張状態32の2つの状態に配置することができる。半導体カード30は、重ね合わせ状態31ではカードスロット310の内部に拡張部分110も含めてすべて収納することができ、伸張状態32ではカードスロット310から電子機器220の外部へ、拡張部分110の少なくとも一部が突出している。
【0058】
これにより、半導体カード30は、伸張状態32において、カードスロット310から突出している拡張部分110の少なくとも一部により、アンテナの方向を最適に調整して無線通信することができる。また、重ね合わせ状態31において、電子機器220には半導体カード30の突出物が無くなるため、半導体カード30の破損を防止し、電子機器220のポータビリティを向上させることができる。さらに、電子機器220に収納した状態で同時に運搬することができるため、個別運搬による半導体カード30の紛失および破損を防止することができる。
【0059】
さらに、拡張部分110は、送信部190を含み、重ね合わせ状態31において電子機器220に接触することができる。半導体カード30はセンサー部200を含み、センサー部200は、拡張部分110の電子機器220への接触を検出することができる。送信部190は、接触検出結果に基づき、拡張部分110が電子機器220と接触状態になると、送信電力の上限レベルを増加させ、拡張部分110が電子機器220と非接触状態になると、送信電力の上限レベルを減少させることができる。
【0060】
これにより、重ね合わせ状態31では、アンテナの方向を最適化できないために送信電力を増加させて送信能力を高めようとしても、電子機器220との接触により拡張部分110の温度上昇を抑制し、半導体カード30の機能および性能を保護することができる。また、送信電力の上限レベルを増加させることにより、半導体カード30は送信能力をさらに向上させることができる。一方、伸張状態32では、アンテナの方向を最適化できるので、送信能力を高めたまま送信電力を減少させることができ、電子機器220との接触が無くても、拡張部分110の温度上昇を抑制することができる。さらに、送信電力の上限レベルを減少させることにより、送信部190の熱的破壊を防止することができる。
【0061】
なお、以上では、半導体カード30は、基本部分100および拡張部分110を含み、基本部分100または拡張部分110のそれぞれは、図4において上述した回路構成、すなわち制御部150、メモリ部160、デジタルベースバンド部170、周波数変換部175、送信部190、センサー部200、およびアンテナ部180のいずれかを含むとした。しかし、基本部分100は、図4において上述した回路構成以外の、端子部140および基本部分連結部121を含むフレーム(支持構造体)を表し、拡張部分110は、図4において上述した回路構成以外の、拡張部分連結部122を含むフレームを表すとしてもよい。この場合、半導体カード30は、基本部分100、拡張部分110、および図4において上述した回路構成を別個に含み、基本部分100または拡張部分110のそれぞれには、図4において上述した回路構成のいずれかが配設されている。この場合、半導体カード30において、基本部分100または拡張部分110と、上述した回路構成との所有関係の定義が変わるだけであり、実施形態において上述した説明は、すべて当てはめることができる。
【0062】
以上、実施の形態におけるこれまでの説明は、すべて本発明を具体化した一例であって、本発明はこれらの例に限定されず、本発明の技術を用いて当業者が容易に構成可能な種々の例に展開可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、半導体カードに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1A】本発明の第1の実施形態における半導体カードの重ね合わせ状態を示す斜視図である。
【図1B】本発明の第1の実施形態における半導体カードの重ね合わせ状態を示す平面図、底面図、正面図、および側面図である。
【図1C】本発明の第1の実施形態における半導体カードの伸張状態を示す正面図である。
【図1D】本発明の第1の実施形態の変形例1における半導体カードを示す底面図、正面図、および側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における電子機器に挿入された重ね合わせ状態の半導体カードを示す斜視図である。
【図3A】本発明の第1の実施形態における電子機器に挿入された重ね合わせ状態の半導体カードを示す断面図である。
【図3B】本発明の第1の実施形態におけるカードソケットを示す斜視図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態における半導体カードの回路構成を示す平面図および底面図である。
【図4B】本発明の第1の実施形態の変形例2における半導体カードの回路構成を示す平面図および底面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における電子機器に挿入された半導体カードの変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における半導体カードの回路構成を示す平面図、底面図、正面図、および側面図、ならびに電子機器を示す斜視図である。
【図7A】従来例の半導体カードおよび電子機器を示す斜視図である。
【図7B】従来例の半導体カードを示す正面図および側面図である。
【図7C】従来例の半導体カードを示す側面図である。
【図7D】従来例の半導体カードを示す側面図である。
【符号の説明】
【0065】
100 基本部分
110 拡張部分
111 カードケース
121 基本部分連結部
122 拡張部分連結部
130、130A 放熱媒介部
140 端子部
150 制御部
160 メモリ
170 デジタルベースバンド部
180 アンテナ
190 送信部
200 センサー
220、220A 電子機器
230 基板
240 カードソケット
310 カードスロット
350 バッテリー残量警告アラーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のカードスロットに挿入可能で、前記カードスロット内に形成されたカードソケットに係合可能な半導体カードであって、
端子部および第1連結部を含み、前記カードソケットに前記端子部が係合可能である基本部分と、
第2連結部を含む拡張部分とを有し、
前記拡張部分は、前記第2連結部を前記第1連結部と連結した状態で、前記基本部分に対して大略平行に重ね合わされる重ね合わせ状態、および前記基本部分に対して直角以上に伸張される伸張状態の2つの状態に配置可能であり、前記重ね合わせ状態において前記端子部が前記カードソケットと係合状態にある場合、前記基本部分および前記拡張部分が前記カードスロットに挿入され、前記伸張状態において前記端子部が前記カードソケットと係合状態にある場合、前記基本部分が前記カードスロットに挿入される一方、前記拡張部分の少なくとも一部は前記カードスロットから突出している、半導体カード。
【請求項2】
前記拡張部分は、前記重ね合わせ状態と前記伸張状態との間で回動可能である、請求項1に記載の半導体カード。
【請求項3】
前記拡張部分は、前記重ね合わせ状態と前記伸張状態との間で摺動可能である、請求項1に記載の半導体カード。
【請求項4】
センサー部を有し、
前記拡張部分は、送信部を含み、前記重ね合わせ状態において前記端子部が前記カードソケットと係合状態にある場合、前記拡張部分は前記電子機器に接触可能であり、
前記センサー部は、前記拡張部分と前記電子機器との接触を検出し、接触検出信号を生成し、
前記送信部は、増幅手段を有し、前記接触検出信号が生成されると、前記増幅手段を制御し、前記送信部の送信電力の上限レベルを増加させる、請求項1に記載の半導体カード。
【請求項5】
前記拡張部分は、前記カードソケットまたは前記カードスロットの少なくとも一方に接触可能である、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項6】
前記拡張部分は、前記拡張部分における発熱の放熱を媒介する放熱媒介部を有し、
前記放熱媒介部は、前記カードソケットまたは前記カードスロットの少なくとも一方に接触可能である、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項7】
制御信号を生成する制御部を有する、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項8】
前記制御部は、前記接触検出信号が生成されている場合、前記制御信号を第1制御状態にし、前記接触検出信号が生成されていない場合、前記制御信号を第2制御状態にし、
前記送信部は、前記制御信号が第2制御状態から第1制御状態になると、前記送信電力の上限レベルを増加させ、前記制御信号が第1制御状態から第2制御状態になると、前記送信電力の上限レベルを減少させる、請求項7に記載の半導体カード。
【請求項9】
前記制御部は、前記電子機器から前記端子部を介して、前記電子機器の電池の残容量が少ないことを表す電池残容量警告信号を受けている場合、前記制御信号を所定制御状態にし、
前記送信部は、前記制御信号が前記所定制御状態になると、前記送信電力の上限レベルを減少させる、請求項7に記載の半導体カード。
【請求項10】
前記センサー部は、前記拡張部分と、前記カードソケットまたは前記カードスロットの少なくとも一方との接触を検出する、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項11】
前記センサー部は、前記拡張部分と前記電子機器との電気的接触を検出する、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項12】
前記センサー部は、前記拡張部分の表面を形成するカードケースの電圧の変化を検出する、請求項11に記載の半導体カード。
【請求項13】
前記センサー部は、前記拡張部分の表面を形成するカードケースに流れる電流の変化を検出する、請求項11に記載の半導体カード。
【請求項14】
前記センサー部は、前記拡張部分の表面を形成するカードケースと接地との間のインピーダンスの変化を検出する、請求項11に記載の半導体カード。
【請求項15】
前記センサー部は、前記拡張部分の温度が所定値を越えると、温度超過信号を生成し、
前記送信部は、前記温度超過信号が生成されると、前記増幅手段を制御し、前記送信部の送信電力の上限レベルを減少させる、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項16】
前記送信部は、前記送信電力の上限レベルを増加させる、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項17】
前記端子部は、前記カードソケットを介して、前記電子機器の本体と電気的に接続可能である、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項18】
前記拡張部分は、アンテナ部を含み、
前記送信部は、送信信号を前記増幅手段によって増幅し、前記送信電力に増幅された送信信号を生成し、
前記アンテナ部は、前記増幅された送信信号を無線電波として送信する、請求項4に記載の半導体カード。
【請求項19】
請求項1に記載の半導体カードを用いる、電子機器。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate


【公開番号】特開2010−211700(P2010−211700A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59467(P2009−59467)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.GSM
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】