説明

半導体パッケージ

【目的】 外形の大型化を招くことなく、封止樹脂の流動に起因する電気的特性の悪化や見栄えの悪化を確実に回避できる半導体パッケージを提供すること。
【構成】 この半導体パッケージ11は、入出力端子29を有するベースユニット25に放熱体12を装着してなる。放熱体12の高密度配線層Bには、電子部品としてのLSIチップ18,19を搭載するための電子部品搭載領域がある。電子部品搭載領域の外縁部には、複数の接続端子22が形成されている。ベースユニット25側にも複数のボンディングパッド30が形成されている。ボンディングパッド30と接続端子22とはボンディングワイヤ23を介して電気的に接続され、同部分は封止樹脂36によって封止される。ベースユニット25における入出力端子形成領域R2 とボンディングパッド形成領域R1 との間の空白領域R3 には、封止樹脂流動防止用のダムとしての枠状部材37が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体パッケージに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ICチップやLSIチップとマザーボードであるプリント配線板との電気的な接続は、一般的に半導体パッケージを介して行われる。そして、近年においては樹脂封止型の半導体パッケージ(いわゆるプラスティックパッケージ)がその主流を占めている。プラスティックパッケージを作製する場合、LSIチップの誤動作や熱破壊を未然に防止するために、LSIチップの発する熱を確実に放散させることが必要になる。そのため、従来のプラスティックパッケージでは、例えばチップ実装部分の裏面側にCu−W等の高熱伝導材料製の板材である放熱体を配置するという対策が採られている。
【0003】ところが、大型の放熱体を使用することによりパッケージに大きな放熱領域を確保しようとすると、配線を形成することができない領域(デッドエリア)が放熱領域の面積分だけ増えてしまう。このため、パッケージ全体のサイズを大きくせざる得なくなり、結果的に信号伝搬速度の低下などというように電気特性を悪化させてしまう。逆にデッドエリアを極力小さくしてパッケージサイズの現状維持を図ろうとすると、放熱体を小さくせざるを得なく、結果として充分な放熱領域を確保することができなくなる。
【0004】このような問題を解消しうるものとして、高熱伝導性材料からなる板材の片側面に高密度配線層を形成してなる放熱体を、入出力端子を有するベースユニットの窓部に装着した半導体パッケージが従来より提案されている。この半導体パッケージの場合、高密度配線層における電子部品搭載領域に、LSIチップ等が実装される。電子部品搭載領域の外縁部には、複数のボンディングパッドが配設されている。また、ベースユニットの窓部の周囲にも、前記パッドに対応して複数の接続パッドが配設されている。これらのパッドどうしは、ボンディングワイヤを介して電気的に接続される。従って、上記の半導体パッケージは放熱性及びコンパクト性の両方に優れたものになっている。
【0005】また、この種のパッケージでは、ボンディングワイヤ等による電気的接続部分は、何らかの手段によって被覆・保護されることが望ましい。そのため、信頼性向上等の観点からも、ポッティング法による樹脂封止がなされることがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ポッティング法において使用される封止樹脂には流動性があるため、封止樹脂を所定の位置に正確に塗布することが難しい。従って、図6(a),図6(b)に示されるように、ボンディングパッド形成領域R1 を越えて入出力端子形成領域R2 まで封止樹脂40が拡がった箇所が部分的にできやすい。この場合、封止樹脂40が入出力端子41まで到達した部分とそうでない部分とで電気抵抗値に差が生じ、半導体パッケージ42の電気的特性が悪くなる。
【0007】また、封止樹脂40の外形線が不定状になることによって、半導体パッケージ42全体の見栄えも損なわれる。さらに、入出力端子41に封止樹脂40が付着していると、めっきスルーホール内への挿入が困難となり、実装時に不具合が起こりやすくなる。そして、このような封止樹脂40の流動が起こると、ボンディングワイヤ43の露出を避けるためにどうしても樹脂量を増やさざるを得なくなる。その結果、封止樹脂40の拡がりがさらに拡大する。
【0008】入出力端子41に対する封止樹脂40の付着を回避するためには、例えば入出力端子形成領域R2 とボンディングパッド形成領域R1 との間の領域R3 の幅を、ある程度大きく確保すればよいことはいうまでもない。しかし、この方法ではダウンサイジングの要求に逆行することになる。
【0009】本発明は上記の課題を解決するためなされたものであり、その目的は、外形の大型化を招くことなく、封止樹脂の流動に起因する電気的特性の悪化や見栄えの悪化を確実に回避することができる半導体パッケージを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、高熱伝導性材料からなる板材の片側面を放熱領域とし、かつその反対側面を高密度配線層を備える電子部品搭載領域とし、その高密度配線層上に電子部品搭載部を設け、前記高密度配線層を介して電子部品側に電気的に接続される複数の接続端子を前記電子部品搭載領域の外縁部に配設してなる放熱体と、前記放熱体の放熱領域を外側に露出させるための窓部をプリント配線板のほぼ中央部に設け、前記プリント配線板の片側面かつ前記窓部の周囲に複数のボンディングパッドを配設し、さらに前記ボンディングパッド形成領域の外側の領域に複数の入出力端子を配設してなる放熱体装着用のベースユニットとによって構成されるとともに、前記ボンディングパッドと前記接続端子とがボンディングワイヤを介して電気的に接続され、さらにその接続部分が樹脂によって封止されてなる半導体パッケージであって、少なくとも前記ベースユニットにおける前記入出力端子形成領域と前記ボンディングパッド形成領域との間の領域に、封止樹脂流動防止用のダムが形成されてなる半導体パッケージをその要旨としている。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1において、前記ダムは前記入出力端子形成領域と前記ボンディングパッド形成領域との間の領域に配置しうる幅を有する枠状部材であり、同枠状部材は接着剤を介して接着されているとしている。
【0012】請求項3に記載の発明では,請求項2において、前記枠状部材の形成材料は前記プリント配線板の主形成材料と同種のプラスティックであり、接着された状態での前記枠状部材の高さは0.15mm〜3mmであるとしている。
【0013】
【作用】請求項1〜3に記載の発明によると、ボンディングパッド形成領域から入出力端子形成領域に到る経路上に凸部ができるため、入出力端子形成領域への封止樹脂の流動が阻止される。
【0014】請求項2に記載の発明によると、定形状の枠状部材を接着することによって形成されたダムであるため、その幅、高さ及び外形形状のばらつきが小さい。請求項3に記載の発明によると、枠状部材とプリント配線板とが同種のプラスティックであるため、両者の熱膨張係数がほぼ等しくなり、両者の界面において剥離等が起こりにくくなる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例の半導体パッケージを図1〜図5に基づき詳細に説明する。
【0016】本実施例の半導体パッケージ11は、図5に示されるように、基本的にPGAタイプのベースユニット25と、放熱体であるビルドアップ多層薄膜配線板12とによって構成されている。
【0017】ビルドアップ多層薄膜配線板12は、図3に示されるように、高熱伝導性材料からなる板材としてのりん青銅板13を主材料として形成されている。このりん青銅板13の片側面全体は放熱領域となっており、かつその反対側面全体は電子部品搭載領域となっている。電子部品搭載領域全体には、高密度配線層としてのビルドアップ層Bが形成されている。本実施例では、前記ビルドアップ層Bは絶縁層14と極めてファインな配線パターン15とを交互に積層した構成を有している。各層の配線パターン15は、絶縁層14に形成されたバイアホール16によって互いに接続されている。
【0018】図3に示されるように、ビルドアップ層B上には、電子部品搭載部としてのダイパッド17が複数個設けられている。ダイパッド17上には、電子部品としてのLSIチップ18,19が搭載されている。LSIチップ18,19とビルドアップ層B上のボンディングパッド20とは、ボンディングワイヤ21を介して電気的に接続されている。ビルドアップ層Bの外縁部には、接続端子としての多数の接続パッド22が規則的に配設されている。そして、LSIチップ18,19側と接続パッド22とは、ビルドアップ層Bの内層または外層の配線パターン15を介して電気的に接続されている。
【0019】ベースユニット25は、プラスティック製の板材(本実施例ではガラスエポキシ製の銅張積層板)を主形成材料とするプリント配線板25aを用いて作製される。この種の板材には、基本的に加工し易いという利点があるからである。図1,図2に示されるように、ベースユニット25を構成するプリント配線板25aのほぼ中央部には、前記ビルドアップ多層薄膜配線板12の外形にほぼ等しい外形を有する窓部26が透設されている。図3に示されるように、窓部26の内壁面には段部27が設けられている。段部27の上面と窓部26の内壁面とがなす収容部には、ビルドアップ多層薄膜配線板12が嵌合されるようになっている。窓部26の周囲には、表裏を貫通するスルーホール28が多数形成されている。各スルーホール28には、入出力端子としての金属製のピン29が挿入されている。なお、このベースユニット25においてピン29が設けられている略ロ字状の帯形領域を、説明の便宜上、入出力端子形成領域R2 と呼ぶことにする。
【0020】図1に示されるように、窓部26の周囲には、その窓部26を取り囲むように矩形状のボンディングパッド30が配設されている。なお、このベースユニット25においてボンディングパッド30が設けられている略ロ字状の帯状領域を、説明の便宜上、ボンディングパッド形成領域R1 と呼ぶことにする。前記ボンディングパッド30とスルーホール28のランド31とは、配線パターン32を介して電気的に接続されている。また、ベースユニット25側のボンディングパッド30と、ビルドアップ多層薄膜配線板12の接続パッド22とは、ボンディングワイヤ33を介して電気的に接続されている。ベースユニット25において配線パターン32が形成されている面は、配線パターン32を湿気等から保護するためのソルダーレジスト34によって被覆されている。なお、入出力端子形成領域R2 とボンディングパッド形成領域R1 との間に存在する略ロ字状の帯状領域を、説明の便宜上、空白領域R3 と呼ぶことにする。本実施例の場合、この空白領域R3 の幅は約2mm〜5mmである。
【0021】図3に示されるように、ベースユニット25にビルドアップ多層薄膜配線板12を装着すると、ビルドアップ多層薄膜配線板12の放熱領域が窓部26から外側に露出する。そして、本実施例の半導体パッケージ11は、ピン29によって図示しないマザーボードにフェースダウン式に実装される。つまり、実装時においては放熱領域が上向き(外側向き)になり、電子部品搭載領域が下向き(内側向き)になる。そして、前記放熱領域の面積、より詳細には放熱領域のうち窓部26から露出する部分の面積がこの半導体パッケージ11における実際上の放熱面積になる。
【0022】図3〜図5に示されるように、LSIチップ18,19側とビルドアップ多層薄膜配線板12側との電気的接続部分や、ビルドアップ多層薄膜配線板12側とベースユニット25側との電気的接続部分は、封止樹脂36で封止されている。本実施例では、封止樹脂36として粘度が1500cps 〜2500cps のエポキシ樹脂(九州松下製,商品名:CCN2001−23P)が使用されている。LSIチップ18,19側とビルドアップ多層薄膜配線板12側との電気的接続部分とは、詳細にはボンディングパッド20、LSIチップ上面の図示しないボンディングパッド及びそれらを接続しているボンディングワイヤ21を指す。ビルドアップ多層薄膜配線板12側とベースユニット25側との電気的接続部分とは、ボンディングパッド30、接続パッド22及びそれらを接続しているボンディングワイヤ33を指す。
【0023】そして、ベースユニット25における空白領域R3 には、封止樹脂流動防止用のダムとしての略ロ字状の枠状部材37が、接着剤としての接着シール35を介して接着されている。枠状部材37の形成材料は、プリント配線板25aの主形成材料と同種のもの、即ち本実施例においてはエポキシ樹脂である。また、枠状部材37の幅wは、空白領域R3 の幅よりも小さく、好ましくは0.5mm〜5.0mm、特に好ましくは1.0mm〜3.0mmである。この幅wが大きすぎると、枠状部材37を空白領域R3 に接着することができなくなる。逆にこの幅wが小さすぎると、枠状部材37の剛性が低下し、変形しやすくなる。また、接着時に取り扱いにくくなる。
【0024】接着された状態での枠状部材37の高さhは、少なくとも0.1mm以上、好ましくは0.15mm〜3mm、特に好ましくは0.5mm〜1.0mmである。この高さhの値が小さすぎると、封止樹脂36の流動を完全に阻止できなくなるおそれがある。逆にこの高さhの値が大きすぎると、マザーボードへの実装時やワイヤボンディング時などにおいて邪魔になるおそれがある。なお、この高さhの値は、使用される封止樹脂36の粘度が高くなるほど小さい値に設定され、低くなるほど大きい値に設定されることが好ましい。
【0025】次に、この半導体パッケージ11を作製する手順の一例を紹介する。半導体パッケージ11を構成するビルドアップ多層薄膜配線板12は、次のようにして作製される。まず出発材料であるりん青銅板13の片面を黒化処理し、その上に感光性エポキシ樹脂を塗布する。そして、露光・現像を行うことにより、内径40μmのバイアホール形成用穴を有する厚さ15μmの絶縁層14を形成する。スパッタリングすることによって絶縁層14上に厚さ0.1μmのCr薄層を形成し、更にその上にスパッタリングすることによって厚さ0.2μmのCu薄層を形成する。L/S=25μm/25μmの配線パターン15を形成するためのめっきレジストをCu薄層上に配置する。この状態で電解Cuめっき及び電解Niめっきを順次行うことにより、厚さ6μmのCuめっき層及び厚さ1μmのNiめっき層をそれぞれ形成する。めっきレジストを剥離した後、塩化第二銅溶液と20%塩酸水溶液とを用いて非めっき部分のCu薄層及びCr薄層をエッチングする。そして、以上の工程を必要に応じて繰り返すことにより、絶縁層14と複数種の金属からなる配線パターン15とを交互に形成する。その結果、配線パターン15を5層備えたビルドアップ多層薄膜配線板(35mm角,1.0mm厚)12が作製される。そして、この後にオープン・ショートテストを行う。
【0026】一方、ベースユニット25は次のようにして作製される。まず銅張積層板(50mm角,1.7mm厚)の外周部を穴あけ加工することにより、ピン挿入用のスルーホール形成用孔を形成する。触媒核付与及びその活性化の後、無電解Cuめっきを行うことにより、前記スルーホール形成用孔内にCuを析出させる。銅張積層板のほぼ中央部をざぐり加工(35mm角,深さ1.0mm)した後、更に同部分を貫通ざぐり加工(31mm角)することにより、段部27を有する窓部26を形成する。所定部分にめっきレジストを配置した状態で電解Cuめっきを行うことにより、必要部分にCuを析出させる。めっきレジストを剥離した後、不要なCuをエッチングする。このエッチングによってスルーホール28、接続パッド30及び配線パターン32が形成される。この後、スルーホール28のランド31及び接続パッド30以外の部分を被覆するようにソルダーレジスト34を形成した後、スルーホール28内にピン29を挿入する。そして、この後にオープン・ショートテストを行う。
【0027】次に、オープン・ショートテストをパスしたビルドアップ多層薄膜配線板12とベースユニット25とを、銅張積層板の段部27に配置された接着シール(三菱油化製,商品名:YEF−040)35によって仮接着する。その際、同じく接着シール35を用いて枠状部材37を空白領域R3 に仮接着する。本実施例では、仮接着の圧力は25kgf/cm2 であり、時間は2分である。その後、150℃,60分でキュアを行うことによって、接着シール35を完全に硬化させる。なお、前記接着シール35は枠状部材37の底部にあらかじめ仮接着されており、その接着面には保護シートが貼着されている。従って、枠状部材37を仮接着する場合には、保護シートを接着面から引き剥がしたうえで枠状部材37の底部を空白領域R3 に押し付ければよい。
【0028】次いで、ダイボンダを使用して、ダイパッド17上にテスト済のCPU用LSIチップ18を1個、メモリ用LSIチップ19を6個搭載する。ここで、ワイヤボンディング装置(九州松下製,商品名:HW−2200)を用いて、LSIチップ18,19をワイヤボンディングする。このとき、同じ装置を用いてボンディングパッド30と接続パッド22との間もワイヤボンディングする。なお、ワイヤボンディング工程後に、上記のベースユニット25及び枠状部材37の接着工程を実施してもよい。ただし、接着工程後にワイヤボンディング工程を行うほうが、ボンディングワイヤ21,33が変形する危険性が小さくなる。勿論、ソルダーレジスト34の形成後であれば、何時接着工程を実施してもよい。
【0029】そして、最後にポッティング法による樹脂封止を行って、LSIチップ18,19の電気的接続部分と、ビルドアップ多層薄膜配線板12側とベースユニット25側との電気的接続部分とを、封止樹脂36で個別に封止する。半導体パッケージ11は、以上のような手順を経て製造される。
【0030】さて、本実施例の半導体パッケージ11によると、ビルドアップ多層薄膜配線板12を構成するりん青銅板13の片面側には、高密度配線層であるビルドアップ層Bが形成されている。このため、ベースユニット25と共に半導体パッケージ11を形成したときでも、半導体パッケージ11の表面にビルドアップ多層薄膜配線板12の面積に相当するようなデッドエリアが生じるようなことはない。従って、半導体パッケージ11全体が大型になることなく、充分な放熱領域を確保することが可能となる。また、大型化が回避されることに起因して信号伝搬速度が速くなるなど、電気特性も向上する。そして、上記のように半導体パッケージ11の放熱性が向上することによって、LSIチップ18,19の誤動作・熱破壊等が従来に比して極めて少なくなる。
【0031】また、ベースユニット25の収容部にビルドアップ多層薄膜配線板12を装着すると、りん青銅板13の片側面である放熱領域が窓部26から大きく露出した状態となる。よって、電子部品搭載領域からビルドアップ層B及びりん青銅板13を経て放熱領域に伝導してきた熱は、窓部26を介して大気中に効率良く放散される。
【0032】そして、本実施例の半導体パッケージ11では、ボンディングパッド形成領域R1 と入出力端子形成領域R2 との間の空白領域R3 に、ダムとしての枠状部材37が接合されている。このため、ボンディングパッド形成領域R1 から入出力端子形成領域R2 に到る経路上には、封止樹脂36が流動する際に障害となる凸部が形成された状態となっている。従って、ポッティングによって供給された封止樹脂36が入出力端子形成領域R2 の方向へ拡がろうとするとき、枠状部材37によって封止樹脂36の流動が阻止される。その結果、封止樹脂36の外形線は、枠状部材37の外形線に追従することによって直線状になる。よって、外形線が不定状になりやすかった従来に比較して、半導体パッケージ11全体の見栄えも確実に向上する。
【0033】また、封止樹脂36の不均一な流動が解消される結果、電気抵抗値のばらつきも同時に解消され、半導体パッケージ11の電気的特性が確実に向上する。勿論、封止樹脂36の不均一な流動が解消されることによって、ピン実装時における不具合も解消される。加えて、封止樹脂36の供給位置制御や供給量制御が従来に比べて容易になる。
【0034】さらに、この半導体パッケージ11では、既存の空白領域R3 の幅をある程度大きく確保するという対策を採っていないため、外形の大型化を招くこともない。従って、ダウンサイジングの要求に反することもない。
【0035】また、枠状部材37を接着することによってダムを形成する方法であることから、極めて簡単にかつ既存の工程・設備等によって実施することができる。しかも、定形状の枠状部材37が用いられることから、形成されたダムの幅w、高さh及び外形形状のばらつきも極めて小さい。このことは、半導体パッケージ11全体の見栄えの向上に確実に貢献する。
【0036】さらに、この半導体パッケージ11では、プリント配線板25aの主形成材料、枠状部材37の形成材料及び封止樹脂36の材料として、いずれもエポキシ樹脂が使用されている。従って、三者の熱膨張係数は極めて近似したものとなっている。このため、半導体パッケージ11が熱衝撃に遭遇したときでも、互いの界面に剥離が起きることはない。よって、半導体パッケージ11の熱的特性が確実に改善され、ひいては信頼性の向上が図られる。
【0037】なお、本発明は例えば次のように変更することが可能である。
(1)実施例のような略ロ字状の枠状部材37を用いる代わりに、例えば4本の棒材を貼着させることによってダムを形成することも可能である。この場合、ダムは必ずしも完全に連続していなくてもよい。即ち、ピン29が立設されていない箇所やピン29までの距離が長い箇所等については、部分的にダムを省略することも可能である。
【0038】(2)接着剤として固定状の接着シール38を使用した実施例に代え、通常使用される半固形状の接着剤を使用して枠状部材37を接着することとしてもよい。また、これらの接着剤を用いる方法以外の方法によってダムを形成することも可能である。例えば、空白領域R3 に文字印刷用のインクを複数回印刷するという方法等でもよい。この方法を採る場合、インクの印刷はソルダーレジスト34の形成後に行われる。
【0039】(3)次の手順により樹脂封止を行ってもよい。まず、離型面を有する型枠を空白領域R3 の周囲、即ち入出力端子形成領域R2 に配置しておく。この状態で所定部分に封止樹脂36を供給し、そのままの状態で封止樹脂36を熱硬化させる。この後、プリント配線板25a上から型枠のみを除去する。この方法によると、封止樹脂36の供給時及び硬化時に型枠がダムの役割を果たし、入出力端子形成領域R2 への封止樹脂36の流動を阻止する。
【0040】(4)空白領域R3 のみにダムを設けた実施例に代え、例えば空白領域R3 よりも外側となる領域を全体的に隆起させ、当該部分をダムとして機能させてもよい。
【0041】(5)枠状部材37の底面の一部に固定用ピン等を突設し、そのピンをベースユニット25のめっきスルーホール内に挿入させることによって、枠状部材37を取り付けてもよい。また、ベースユニット25における空白領域R3 に溝を設け、その溝内に枠状部材37を嵌合させることによって、枠状部材37を取り付けてもよい。なお、上記のように空白領域R3 に単に溝を設けるだけでも、その溝の存在によって封止樹脂36の流動がある程度阻止される。このため、前記実施例の半導体パッケージ11の効果に準ずる効果が得られる。
【0042】(6)封止樹脂36の形成材料は、実施例のようなエポキシ樹脂のみに限定されるわけではなく、例えばBT樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等のようなその他のプラスティック材料でもよい。また、これらのプラスティック材料のみならず、銅、アルミニウム、ニッケル、コバール等の金属やセラミックスも使用可能である。ベースユニット25を構成するプリント配線板25aの主形成材料を、BT樹脂やポリイミド樹脂にすることもできる。なお、封止樹脂36の形成材料とプリント配線板25aの主形成材料とは、必ずしも同種でなくてもよい。
【0043】(7)ベースユニット25のピン29はスルーホールに挿入されるタイプのものに限られない。例えば、ベースユニット25にスルーホールを形成することなく、表面に設けられたパッド等に直に接合するようなタイプにしても良い。また、入出力端子としてのピン29の代わりにストレートウォール状のバンプ等を形成してもよい。
【0044】(8)実施例のようにそれぞれの電気的接続部分を個別に封止樹脂36で封止するほか、これらの部分を全体的に封止してもよい。
(9)放熱体を構成する板材は必ずしも完全に板状である必要はなく、例えば放熱領域側の表面に多少凹凸があるものでも構わない。
【0045】(10)放熱体であるビルドアップ多層薄膜配線板を作製する場合、実施例にて用いたりん青銅板以外にも、例えばアルミニウム板やアルマイト板等の金属板を使用することが勿論可能である。また、金属板のみに限定されることはなく、例えばアルミナ板、ムライト板、窒化珪素板、窒化ホウ素板等のセラミックス基板を使用することが可能である。
【0046】ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施例及び別例によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 放熱体の放熱領域を外側に露出させるための窓部を、板材を主材料とするプリント配線板のほぼ中央部に設け、前記プリント配線板の片側面かつ前記窓部の周囲に複数のボンディングパッドを配設し、さらに前記ボンディングパッド形成領域の外側の領域に複数の入出力端子を配設してなるベースユニットであって、少なくとも前記入出力端子形成領域と前記ボンディングパッド形成領域との間の領域に、封止樹脂流動防止用のダムが形成されてなる放熱体装着用のベースユニット。
【0047】(2) 請求項1に記載の半導体パッケージにおける封止樹脂流動防止用のダムに代えて、封止樹脂流動防止用の溝が形成されてなる半導体パッケージ。この構成であると、流動する封止樹脂が溝内に落ち込むことにより、結果としてそれ以上の封止樹脂の拡がりが阻止される。
【0048】(3) 請求項2において、枠状部材の形成材料及び封止樹脂の材料は、ともに同種のプラスティックである半導体パッケージ。この構成であると、熱的特性をより向上できる。
【0049】(4) 請求項2において、枠状部材の形成材料、プリント配線板の主形成材料及び封止樹脂の材料は、ともに同種のプラスティックである半導体パッケージ。この構成であると、熱的特性をよりいっそう向上できる。
【0050】(5) 技術的思想(3),(4) において、前記プラスティックはエポキシ樹脂である半導体パッケージ。この構成によると、熱的特性及びコスト性をより向上できる。
【0051】なお、本明細書中において使用した技術用語を次のように定義する。
「高熱伝導性材料: プラスティック材料に比べて熱伝導性のよい材料をいい、例えば窒化アルミニウム、アルミナ、ムライト等のセラミックス材料や銅、アルミニウム等の金属材料をいう。」
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、ダムによって封止樹脂の流動が阻止されるため、外形の大型化を招くことなく、封止樹脂の流動に起因する電気的特性の悪化や見栄えの悪化を確実に回避することができる。
【0053】特に請求項2に記載の発明によれば、ダムとして枠状部材を用いているため、見栄えの悪化をより確実に防止することができ、しかも比較的容易に形成することができる。請求項3に記載の発明によれば、半導体パッケージの熱的特性が改善されることによって、信頼性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のベースユニットを示す底面図。
【図2】図1のベースユニットを示す平面図。
【図3】半導体パッケージを示す要部拡大断面図。
【図4】同じくその要部拡大平面図。
【図5】同じくその底面図。
【図6】(a)は従来の半導体パッケージの問題点を説明するための要部拡大平面図、(b)は同じく要部拡大断面図。
【符号の説明】
11…半導体パッケージ、12…放熱体としてのビルドアップ多層薄膜配線板、13…高熱伝導性材料からなる板材、17…電子部品搭載部としてのダイパッド、18,19…電子部品としてのLSIチップ、22…接続端子としての接続パッド、25…ベースユニット、25a…プリント配線板、26…窓部、29…入出力端子としてのピン、30…ボンディングパッド、33…ボンディングワイヤ、36…封止樹脂、37…ダムとしての枠状部材、38…接着剤としての接着シール、h…枠状部材の高さ、w…枠状部材の幅、B…高密度配線層、R1 …ボンディングパッド形成領域、R2 …入出力端子形成領域、R3 …空白領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】高熱伝導性材料からなる板材の片側面を放熱領域とし、かつその反対側面を高密度配線層を備える電子部品搭載領域とし、その高密度配線層上に電子部品搭載部を設け、前記高密度配線層を介して電子部品側に電気的に接続される複数の接続端子を前記電子部品搭載領域の外縁部に配設してなる放熱体と、前記放熱体の放熱領域を外側に露出させるための窓部をプリント配線板のほぼ中央部に設け、前記プリント配線板の片側面かつ前記窓部の周囲に複数のボンディングパッドを配設し、さらに前記ボンディングパッド形成領域の外側の領域に複数の入出力端子を配設してなる放熱体装着用のベースユニットとによって構成されるとともに、前記ボンディングパッドと前記接続端子とがボンディングワイヤを介して電気的に接続され、さらにその接続部分が樹脂によって封止されてなる半導体パッケージであって、少なくとも前記ベースユニットにおける前記入出力端子形成領域と前記ボンディングパッド形成領域との間の領域に、封止樹脂流動防止用のダムが形成されてなる半導体パッケージ。
【請求項2】前記ダムは前記入出力端子形成領域と前記ボンディングパッド形成領域との間の領域に配置しうる幅を有する枠状部材であり、同枠状部材は接着剤を介して接着されている請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】前記枠状部材の形成材料は前記プリント配線板の主形成材料と同種のプラスティックであり、接着された状態での前記枠状部材の高さは0.15mm〜3mmである請求項2に記載の半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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