半導体メモリカード
【課題】高速モード用ピンが通常モード専用のコネクタの端子と誤接触することを防止した半導体メモリカードを提供する。
【解決手段】実施の形態のSDメモリカード140は、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに通常モードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の一方の端部に配置された通常モード用ピン4と、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに高速モードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の他方の端部に配置された高速モード用ピン5と、を有する。SDメモリカード140は、高速モード対応コネクタのカード挿入穴へ挿抜方向の一方の端部から挿入した場合にはカード挿入穴の奥端まで到達して通常モード用ピン4と通常モード用端子との組、及び高速モード用ピン5と高速モード用端子との組のいずれか一方の組が当接し、他方から挿入した場合にはカード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接する。
【解決手段】実施の形態のSDメモリカード140は、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに通常モードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の一方の端部に配置された通常モード用ピン4と、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに高速モードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の他方の端部に配置された高速モード用ピン5と、を有する。SDメモリカード140は、高速モード対応コネクタのカード挿入穴へ挿抜方向の一方の端部から挿入した場合にはカード挿入穴の奥端まで到達して通常モード用ピン4と通常モード用端子との組、及び高速モード用ピン5と高速モード用端子との組のいずれか一方の組が当接し、他方から挿入した場合にはカード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体メモリカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばNANDフラッシュメモリなどの半導体メモリを用いたメモリカードは、連続撮影した静止画像や高解像度の動画像の記録といった用途にも用いられており、これらの用途においては短時間に多くの情報を読み出したり書き込んだりすること、即ちデータ転送速度の高速化が求められている。一例としては、300MByte/secのデータ転送速度を実現することが求められている。
【0003】
旧来のSDTMメモリカード(以下、SDメモリカードと表記する。)は、データ転送速度が高々20MByte/sec程度であるため、通常の動作モード(通常モード)とは別に、これよりも高速に情報を読み書き可能な動作モード(高速モード)でも使用可能とすることが提案されている。
【0004】
半導体メモリカードを高速モードでも使用可能とする場合、高速モード用のピンを通常モード用のピンとは別個に設けることとなる。例えば、MMC(Multi Media Card)規格に採用されているような2列配置と同様に、高速モードで用いる信号に対応してピンを新設する必要がある(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、従来の半導体メモリカード(通常モード専用の半導体メモリカード)にデータを読み書きするために用いる従来のコネクタの中には、半導体メモリカードの規格で定められたピンに対応する端子以外の端子が設けられているものもある。例えば、2種類以上の半導体メモリカードにデータを読み書き可能なコネクタの場合、ある半導体メモリカードの規格に関して、ピンに対応した規格で定められた端子以外に、規格外の端子を備えていることとなる。このような規格外の端子を備えたコネクタに対して、高速モード用のピンを備えた半導体メモリカードを挿入すると、高速モード用のピンがコネクタ側の規格外のピンと接触する可能性があり、記録したデータが破壊されてしまうなどの不具合が発生する原因となりうるという問題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−84935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施の形態は、高速モード用ピンが通常モード専用のコネクタの端子と誤接触することを防止した半導体メモリカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態の半導体メモリカードは、半導体メモリ及び該半導体メモリを制御するコントローラが実装された基板と、基板を収容する筐体とを有し、第1のモードと、該第1のモードよりも高速にデータを転送する第2のモードとで半導体メモリへのデータの読み書きが可能であり、第1の端子群をカード挿入穴の奥端に、第2の端子群を第1の端子群よりもカード挿入穴の開口側にそれぞれ備えた第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ挿入される半導体メモリカードである。実施の形態の半導体メモリカードは、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに第1のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の一方の端部に配置された第1のピン群と、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに第2のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の他方の端部に配置された第2のピン群と、を有する。実施の形態の半導体メモリカードは、第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ挿抜方向の一方の端部から挿入した場合にはカード挿入穴の奥端まで到達して第1のピン群と第1の端子群との組、及び第2のピン群と第1の端子群との組のいずれか一方の組が当接し、他方から挿入した場合にはカード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接する外形形状を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードの前面図。
【図3】図3は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図。
【図4】図4は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードにデータを読み書きする際に用いる高速モード対応コネクタのカード挿入穴の形状を示す図。
【図5】図5は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードを後端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図6】図6は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードを先端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図7】図7は、第2の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図。
【図8】図8は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図。
【図9】図9は、第2の実施の形態に係るSDメモリカードにデータを読み書きする際に用いる高速モード対応コネクタのカード挿入穴の形状を示す図。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係るSDメモリカードを先端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図11】図11は、第2の実施の形態に係るSDメモリカードを後端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図12】図12は、従来のSDメモリカードの上面図。
【図13】図13は、従来のSDメモリカードの下面図。
【図14】図14は、従来のSDメモリカードの前面図。
【図15】図15は、従来のSDメモリカードにデータを読み書きする際に用いるコネクタの形状を示す図。
【図16】図16は、従来のSDメモリカードを正しい向きで従来のコネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図17】図17は、従来のSDメモリカードを前後逆向きで従来のコネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図18】図18は、従来のSDメモリカードを上下逆向きでは従来のコネクタのカード挿入穴に挿入できないことを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係る半導体メモリカードを詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図である。ここで、図1の紙面における上方向はSDメモリカード140を通常モードで動作させる場合のコネクタへの挿入方向であり、上側を「前」と定義する。同様に図1の紙面下方向はSDメモリカード140を通常モードで動作させる場合のコネクタからの抜き取り方向であり、下側を「後」と定義する。さらに、図1の紙面奥方向を「上」、紙面手前方向を「下」と定義する。なお、SDメモリカード140を高速モードで動作させる場合は、SDメモリカード140のコネクタへの挿抜は逆となり、後側からコネクタへ挿入され、前側に向かってコネクタから抜き取られる。SDメモリカード100は、例えばNAND型フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリで形成されたメモリパッケージ(不図示)及びそれを制御するメモリコントローラ(不図示)が実装された回路基板(不図示)を、上ケース1(図1では不図示)と下ケース2とからなる筐体内に収容した構成である。
【0012】
図2に、SDメモリカード140の前面図を示す。図2に示すように、SDメモリカード140は、両側面にリブ3が形成されており、下側の幅が若干狭くなって前面視が略凸状を呈している。これは、後述するように従来のSDメモリカードと同様である。
【0013】
SDメモリカード140の下面の先端近傍には、SDメモリカード140を通常モードで動作させる(メモリパッケージへのデータの読み書きをメモリコントローラに通常モードで行わせる)際に用いる通常モード用ピン4(第1のピン群に相当)が挿入方向と交差する方向に配列して複数個配置されている。また、SDメモリカード140の下面の後端近傍には、SDメモリカード140を高速モードで動作させる(メモリパッケージへのデータの読み書きをメモリコントローラに高速モードで行わせる)際に用いる高速モード用ピン5(第2のピン群に相当)が挿入方向と交差する方向に配列して複数個配置されている。通常モード用ピン4及び高速モード用ピン5は、上述の不図示の回路基板に形成された電極パターンを、下ケース2に設けられた開口を介してSDメモリカード140の下面側に露出させたものである。なお、高速モード用ピン5は、差動信号を送受するためのピンであり、通常モード用ピン4よりも多数個配置されている。ここでは、高速モード用ピン5の数が通常モード用ピン4の数よりも多い構成を例としているが、必ずしも高速モード用ピン5の数が通常モード用ピン4の数よりも多くなければならない訳ではなく、高速モード用ピン5の数を通常モード用ピン4の数と同数以下とすることも可能である。
【0014】
高速モード用ピン5は、例えば、差動クロック信号RCLK+及びRCLK−と差動データ信号D0+及びD0−と、差動データ信号D1+及びD1−と、電源VDD2とGNDが割り当てられる。信号ピン(差動クロック信号RCLK±、差動データ信号D0±、D1±)を、電源VDD2やGNDと比較して面積を小さくすることで、GND及び電源を確実に供給できるとともに、差動データピンの寄生容量を小さくしてデータ転送速度の高速化を実現しやすくなる。図3は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図である。また、通常モードの電源ピン(VDD)と高速モードの電源ピン(VDD2)とをSDメモリカードの幅方向の位置が同じとなるように配置することにより、高速モードに対応したコネクタの電源端子が、異なるモード用の信号ピンやGNDピンに接触することがなくなる。これにより、コネクタの電源端子が信号ピンやGNDピンに接触して逆バイアスが生じ、異常動作(過大電流やラッチアップ)が発生することを防止できる。
【0015】
比較のために、従来のSDメモリカードの構成を図12〜図18に示す。図12は、従来のSDメモリカードの上面図、図13は、従来のSDメモリカードの下面図、図14は、従来のSDメモリカードの前面図である。従来のSDメモリカード500は、本実施の形態に係るSDメモリカード140と同様に、例えばNAND型フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリで形成されたメモリパッケージ及びそれを制御するメモリコントローラが実装された回路基板を上ケース501及び下ケース502からなる筐体内に収容した構成であり、下面の先端近傍にピン503が挿入方向に交差する方向に複数個配置されている。また、従来のSDメモリカード500は、先端側の一方の側面が斜めになってクビレ504が設けられており、先細になっている。
【0016】
図15に、従来のSDメモリカード500にデータを読み書きする際に用いるコネクタの形状を示す。従来のコネクタ600のカード挿入穴601は、従来のSDメモリカード500の前面視と略同一形状の凸状に開口している。すなわち、カード挿入穴601の幅は、従来のSDメモリカード500の幅が広い部分よりもやや広く、従来のSDメモリカード500が従来のコネクタ600に挿入された状態で固定される程度の大きさを有している。したがって、従来のSDメモリカード500は、前後及び表裏が正しい向きであれば、図16に示すように、カード挿入穴601の奥端まで挿入可能である。しかし、従来のコネクタ600のカード挿入穴601は従来のSDメモリカード500に合わせて先細りになっている。そのため、前後が逆向きであると、図17に示すように、従来のSDメモリカード500は、カード挿入穴601に途中までしか挿入できない。また、表裏が逆向きであると、図18に示すようにカード挿入穴601の開口の形状に適合しないため、全く挿入できない。
【0017】
SDメモリカード140を読み書きするための高速モード対応のコネクタ(高速モード対応コネクタ)240は、図4に示すように、カード挿入穴241の高さがカード挿入穴241の開口から見て奥側の奥端側で高さが低くなっており、その高さはSDメモリカード140の後端側の薄肉部に対応している。したがって、図5に示すように、SDメモリカード140を後端側からカード挿入穴241に挿入した場合には、SDメモリカード140の後端がカード挿入穴241の奥端に到達するまで挿入可能である。SDメモリカード140の後端をカード挿入穴241の奥端に到達するまで挿入することにより、カード挿入穴241の奥端近傍に配置された高速モード用端子242に対応する位置に高速モード用ピン5が配置される。
【0018】
図6に、SDメモリカード140を先端側からカード挿入穴241に挿入した状態を示す。SDメモリカード140の先端側は薄くなってはいないため、先端側からカード挿入穴241に挿入した場合には、カード挿入穴241の高さが変化するところまでしか挿入できない。したがって、SDメモリカード140の先端近傍に形成された通常モード用ピン4は、高速モード対応コネクタ240のカード挿入穴241の高さが変化する部分よりも開口側に配置された通常モード用端子243と対応する位置に配置される。
【0019】
なお、SDメモリカード140は、後端側からカード挿入穴241へ挿入した場合に通常モード用端子243が配置された領域と対応する領域にはピンが設けられていないため、高速モード対応コネクタ240の通常モード用端子243と誤接触する恐れはない。逆に、先端側からカード挿入穴241へ挿入した場合には、高速モード用端子242が配置された領域まで進入しないため、高速モード用端子242と誤接触する恐れはない。また、高速モード用端子242はSDメモリカード140の本体に接触しない。その結果、高速モード用端子242とSDメモリカード140の本体の接触により、SDメモリカード140の外形にダメージが入る可能性を減らすことができる。また、高速モード用端子242の耐久性を向上させることもできる。また、SDメモリカード140を先端側からカード挿入穴241に挿入した場合、高速モード用端子242の摩擦を受けずにすむ。その結果、SDメモリカード140を先端側からカード挿入穴241に挿入した場合、SDメモリカード140を容易に差し込むことが可能となる。
【0020】
また、SDメモリカード140の後端は、クビレが形成されていないため、従来のコネクタ600のカード挿入穴601には途中までしか挿入できない。したがって、高速モード用ピン5が通常モード専用の従来のコネクタ600のピンと接触して記録したデータが破壊されてしまうなどの不具合が発生することがない。また、高速モード対応コネクタ240は、SDメモリカード140だけでなく、従来のSDメモリカード500を差し込むことができ、SDメモリカード500のピン503と通常モード用ピン4をそれぞれ接触させることができる。
【0021】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図である。第1の実施の形態と同様に、SDメモリカード150の下面の先端近傍には、SDメモリカード150を通常モードで動作させる際に用いる通常モード用ピン4が挿入方向に交差する方向に複数個配置され、SDメモリカード150の下面の後端近傍には、SDメモリカード150を高速モードで動作させる際に用いる高速モード用ピン5が挿入方向に交差する方向に複数個配置された構成である。また、SDメモリカード150は、後端側の幅が先端側よりも広くなっている。また、SDメモリカード150の先端部は従来のSDメモリカード500と同じである。具体的には、SDメモリカード150と従来のSDメモリカード500を、通常モード用ピン4が配置された側の先端部を重ねるように上下においた部分が同じであることを意味する。これ以外は、第1の実施の形態と同様である。
【0022】
第1の実施の形態と同様に、高速モード用ピン5は、例えば、差動クロック信号RCLK+及びRCLK−と差動データ信号D0+及びD0−と、差動データ信号D1+及びD1−と、電源VDD2とGNDが割り当てられる。信号ピン(差動クロック信号RCLK±、差動データ信号D0±、D1±)を、電源VDD2やGNDと比較して面積を小さくすることで、GND及び電源を確実に供給できるとともに、差動データピンの寄生容量を小さくしてデータ転送速度の高速化を実現しやすくなる。図8は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図である。また、通常モードの電源ピン(VDD)と高速モードの電源ピン(VDD2)とをSDメモリカードの幅方向の位置が同じとなるように配置することにより、高速モードに対応したコネクタの電源端子が、異なるモード用の信号ピンやGNDピンに接触することがなくなる。これにより、コネクタの電源端子が信号ピンやGNDピンに接触して逆バイアスが生じ、異常動作(過大電流やラッチアップ)が発生することを防止できる。
【0023】
SDメモリカード150を読み書きするための高速モード対応コネクタ250は、図9に示すように、カード挿入穴251の幅がカード挿入穴251の開口から見て奥側の奥端側で狭くなっており、開口部側の幅はSDメモリカード150の後端側の幅と同じである。また、カード挿入穴251の狭くなっている部分の幅はSDメモリカード150の先端側の幅と同じである。
【0024】
図10に、SDメモリカード150を先端側から高速モード対応コネクタ250のカード挿入穴251に挿入した状態を示す。第1の実施の形態とは逆に、SDメモリカード150を先端側からカード挿入穴251に挿入した場合には、SDメモリカード150の先端がカード挿入穴251の奥端に到達するまで挿入可能である。SDメモリカード150の先端をカード挿入穴251の奥端に到達するまで挿入することにより、カード挿入穴251の奥端近傍に配置された通常モード用端子252に対応する位置に通常モード用ピン4が配置される。
【0025】
また、図11に、SDメモリカード150を後端側からカード挿入穴251に挿入した状態を示す。後端側からカード挿入穴251に挿入した場合には、カード挿入穴251の幅が変化するところまでしか挿入できないため、SDメモリカード150の後端近傍に形成された高速モード用ピン5を、カード挿入穴251の幅が変化する部分よりも開口側に配置された高速モード用端子253と対応する位置に配置することが可能である。
【0026】
なお、SDメモリカード150は、先端側からカード挿入穴251へ挿入した場合に高速モード用端子253が配置された領域と対応する領域にはピンが設けられていないため、高速モード対応コネクタ250の高速モード用端子253と誤接触する恐れはない。逆に、後端側からカード挿入穴251へ挿入した場合には、通常モード用端子252が配置された領域まで進入しないため、通常モード用端子252と誤接触する恐れはない。
【0027】
また、SDメモリカード150の幅は、従来のSDメモリカード500よりも広いため、従来のコネクタ600には挿入できない。したがって、高速モード用ピン5が通常モード専用の従来のコネクタ600の端子と接触して記録したデータが破壊されてしまうなどの不具合が発生することがない。また、高速モード対応コネクタ250は、SDメモリカード150だけでなく、従来のSDメモリカード500を差し込むことができ、SDメモリカード500のピン503と通常モード用ピン4をそれぞれ接触させることができる。
【0028】
上記各実施の形態に係るSDメモリカードは、先端側から高速モード対応コネクタへ挿入した場合と後端側から高速モード対応コネクタへ挿入した場合とで、挿入深さが異なる。すなわち、先端又は後端から高速モード対応コネクタへ挿入した場合には、カード挿入穴の途中までで挿入が規制され、その位置でカード側のピンとコネクタ側の対応する種類の端子とが接触する。先端側からコネクタへ挿入した場合と奥端側からコネクタへ挿入した場合とで挿入深さが異なるため、対応しないピンとコネクタとが誤接触することを防止できる。これにより、SDメモリカード内のデータが破壊されてしまうことを防止できる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明と均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
3 リブ、4 通常モード用ピン、5 高速モード用ピン、140、150 SDメモリカード、240、250 高速モード対応コネクタ、241、251 カード挿入穴、500 従来のSDメモリカード。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体メモリカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばNANDフラッシュメモリなどの半導体メモリを用いたメモリカードは、連続撮影した静止画像や高解像度の動画像の記録といった用途にも用いられており、これらの用途においては短時間に多くの情報を読み出したり書き込んだりすること、即ちデータ転送速度の高速化が求められている。一例としては、300MByte/secのデータ転送速度を実現することが求められている。
【0003】
旧来のSDTMメモリカード(以下、SDメモリカードと表記する。)は、データ転送速度が高々20MByte/sec程度であるため、通常の動作モード(通常モード)とは別に、これよりも高速に情報を読み書き可能な動作モード(高速モード)でも使用可能とすることが提案されている。
【0004】
半導体メモリカードを高速モードでも使用可能とする場合、高速モード用のピンを通常モード用のピンとは別個に設けることとなる。例えば、MMC(Multi Media Card)規格に採用されているような2列配置と同様に、高速モードで用いる信号に対応してピンを新設する必要がある(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、従来の半導体メモリカード(通常モード専用の半導体メモリカード)にデータを読み書きするために用いる従来のコネクタの中には、半導体メモリカードの規格で定められたピンに対応する端子以外の端子が設けられているものもある。例えば、2種類以上の半導体メモリカードにデータを読み書き可能なコネクタの場合、ある半導体メモリカードの規格に関して、ピンに対応した規格で定められた端子以外に、規格外の端子を備えていることとなる。このような規格外の端子を備えたコネクタに対して、高速モード用のピンを備えた半導体メモリカードを挿入すると、高速モード用のピンがコネクタ側の規格外のピンと接触する可能性があり、記録したデータが破壊されてしまうなどの不具合が発生する原因となりうるという問題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−84935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施の形態は、高速モード用ピンが通常モード専用のコネクタの端子と誤接触することを防止した半導体メモリカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態の半導体メモリカードは、半導体メモリ及び該半導体メモリを制御するコントローラが実装された基板と、基板を収容する筐体とを有し、第1のモードと、該第1のモードよりも高速にデータを転送する第2のモードとで半導体メモリへのデータの読み書きが可能であり、第1の端子群をカード挿入穴の奥端に、第2の端子群を第1の端子群よりもカード挿入穴の開口側にそれぞれ備えた第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ挿入される半導体メモリカードである。実施の形態の半導体メモリカードは、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに第1のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の一方の端部に配置された第1のピン群と、半導体メモリへのデータの読み書きをコントローラに第2のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の他方の端部に配置された第2のピン群と、を有する。実施の形態の半導体メモリカードは、第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ挿抜方向の一方の端部から挿入した場合にはカード挿入穴の奥端まで到達して第1のピン群と第1の端子群との組、及び第2のピン群と第1の端子群との組のいずれか一方の組が当接し、他方から挿入した場合にはカード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接する外形形状を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードの前面図。
【図3】図3は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図。
【図4】図4は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードにデータを読み書きする際に用いる高速モード対応コネクタのカード挿入穴の形状を示す図。
【図5】図5は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードを後端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図6】図6は、第1の実施の形態に係るSDメモリカードを先端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図7】図7は、第2の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図。
【図8】図8は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図。
【図9】図9は、第2の実施の形態に係るSDメモリカードにデータを読み書きする際に用いる高速モード対応コネクタのカード挿入穴の形状を示す図。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係るSDメモリカードを先端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図11】図11は、第2の実施の形態に係るSDメモリカードを後端側から高速モード対応コネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図12】図12は、従来のSDメモリカードの上面図。
【図13】図13は、従来のSDメモリカードの下面図。
【図14】図14は、従来のSDメモリカードの前面図。
【図15】図15は、従来のSDメモリカードにデータを読み書きする際に用いるコネクタの形状を示す図。
【図16】図16は、従来のSDメモリカードを正しい向きで従来のコネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図17】図17は、従来のSDメモリカードを前後逆向きで従来のコネクタのカード挿入穴に挿入した状態を示す図。
【図18】図18は、従来のSDメモリカードを上下逆向きでは従来のコネクタのカード挿入穴に挿入できないことを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、実施の形態に係る半導体メモリカードを詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図である。ここで、図1の紙面における上方向はSDメモリカード140を通常モードで動作させる場合のコネクタへの挿入方向であり、上側を「前」と定義する。同様に図1の紙面下方向はSDメモリカード140を通常モードで動作させる場合のコネクタからの抜き取り方向であり、下側を「後」と定義する。さらに、図1の紙面奥方向を「上」、紙面手前方向を「下」と定義する。なお、SDメモリカード140を高速モードで動作させる場合は、SDメモリカード140のコネクタへの挿抜は逆となり、後側からコネクタへ挿入され、前側に向かってコネクタから抜き取られる。SDメモリカード100は、例えばNAND型フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリで形成されたメモリパッケージ(不図示)及びそれを制御するメモリコントローラ(不図示)が実装された回路基板(不図示)を、上ケース1(図1では不図示)と下ケース2とからなる筐体内に収容した構成である。
【0012】
図2に、SDメモリカード140の前面図を示す。図2に示すように、SDメモリカード140は、両側面にリブ3が形成されており、下側の幅が若干狭くなって前面視が略凸状を呈している。これは、後述するように従来のSDメモリカードと同様である。
【0013】
SDメモリカード140の下面の先端近傍には、SDメモリカード140を通常モードで動作させる(メモリパッケージへのデータの読み書きをメモリコントローラに通常モードで行わせる)際に用いる通常モード用ピン4(第1のピン群に相当)が挿入方向と交差する方向に配列して複数個配置されている。また、SDメモリカード140の下面の後端近傍には、SDメモリカード140を高速モードで動作させる(メモリパッケージへのデータの読み書きをメモリコントローラに高速モードで行わせる)際に用いる高速モード用ピン5(第2のピン群に相当)が挿入方向と交差する方向に配列して複数個配置されている。通常モード用ピン4及び高速モード用ピン5は、上述の不図示の回路基板に形成された電極パターンを、下ケース2に設けられた開口を介してSDメモリカード140の下面側に露出させたものである。なお、高速モード用ピン5は、差動信号を送受するためのピンであり、通常モード用ピン4よりも多数個配置されている。ここでは、高速モード用ピン5の数が通常モード用ピン4の数よりも多い構成を例としているが、必ずしも高速モード用ピン5の数が通常モード用ピン4の数よりも多くなければならない訳ではなく、高速モード用ピン5の数を通常モード用ピン4の数と同数以下とすることも可能である。
【0014】
高速モード用ピン5は、例えば、差動クロック信号RCLK+及びRCLK−と差動データ信号D0+及びD0−と、差動データ信号D1+及びD1−と、電源VDD2とGNDが割り当てられる。信号ピン(差動クロック信号RCLK±、差動データ信号D0±、D1±)を、電源VDD2やGNDと比較して面積を小さくすることで、GND及び電源を確実に供給できるとともに、差動データピンの寄生容量を小さくしてデータ転送速度の高速化を実現しやすくなる。図3は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図である。また、通常モードの電源ピン(VDD)と高速モードの電源ピン(VDD2)とをSDメモリカードの幅方向の位置が同じとなるように配置することにより、高速モードに対応したコネクタの電源端子が、異なるモード用の信号ピンやGNDピンに接触することがなくなる。これにより、コネクタの電源端子が信号ピンやGNDピンに接触して逆バイアスが生じ、異常動作(過大電流やラッチアップ)が発生することを防止できる。
【0015】
比較のために、従来のSDメモリカードの構成を図12〜図18に示す。図12は、従来のSDメモリカードの上面図、図13は、従来のSDメモリカードの下面図、図14は、従来のSDメモリカードの前面図である。従来のSDメモリカード500は、本実施の形態に係るSDメモリカード140と同様に、例えばNAND型フラッシュメモリなどの不揮発性半導体メモリで形成されたメモリパッケージ及びそれを制御するメモリコントローラが実装された回路基板を上ケース501及び下ケース502からなる筐体内に収容した構成であり、下面の先端近傍にピン503が挿入方向に交差する方向に複数個配置されている。また、従来のSDメモリカード500は、先端側の一方の側面が斜めになってクビレ504が設けられており、先細になっている。
【0016】
図15に、従来のSDメモリカード500にデータを読み書きする際に用いるコネクタの形状を示す。従来のコネクタ600のカード挿入穴601は、従来のSDメモリカード500の前面視と略同一形状の凸状に開口している。すなわち、カード挿入穴601の幅は、従来のSDメモリカード500の幅が広い部分よりもやや広く、従来のSDメモリカード500が従来のコネクタ600に挿入された状態で固定される程度の大きさを有している。したがって、従来のSDメモリカード500は、前後及び表裏が正しい向きであれば、図16に示すように、カード挿入穴601の奥端まで挿入可能である。しかし、従来のコネクタ600のカード挿入穴601は従来のSDメモリカード500に合わせて先細りになっている。そのため、前後が逆向きであると、図17に示すように、従来のSDメモリカード500は、カード挿入穴601に途中までしか挿入できない。また、表裏が逆向きであると、図18に示すようにカード挿入穴601の開口の形状に適合しないため、全く挿入できない。
【0017】
SDメモリカード140を読み書きするための高速モード対応のコネクタ(高速モード対応コネクタ)240は、図4に示すように、カード挿入穴241の高さがカード挿入穴241の開口から見て奥側の奥端側で高さが低くなっており、その高さはSDメモリカード140の後端側の薄肉部に対応している。したがって、図5に示すように、SDメモリカード140を後端側からカード挿入穴241に挿入した場合には、SDメモリカード140の後端がカード挿入穴241の奥端に到達するまで挿入可能である。SDメモリカード140の後端をカード挿入穴241の奥端に到達するまで挿入することにより、カード挿入穴241の奥端近傍に配置された高速モード用端子242に対応する位置に高速モード用ピン5が配置される。
【0018】
図6に、SDメモリカード140を先端側からカード挿入穴241に挿入した状態を示す。SDメモリカード140の先端側は薄くなってはいないため、先端側からカード挿入穴241に挿入した場合には、カード挿入穴241の高さが変化するところまでしか挿入できない。したがって、SDメモリカード140の先端近傍に形成された通常モード用ピン4は、高速モード対応コネクタ240のカード挿入穴241の高さが変化する部分よりも開口側に配置された通常モード用端子243と対応する位置に配置される。
【0019】
なお、SDメモリカード140は、後端側からカード挿入穴241へ挿入した場合に通常モード用端子243が配置された領域と対応する領域にはピンが設けられていないため、高速モード対応コネクタ240の通常モード用端子243と誤接触する恐れはない。逆に、先端側からカード挿入穴241へ挿入した場合には、高速モード用端子242が配置された領域まで進入しないため、高速モード用端子242と誤接触する恐れはない。また、高速モード用端子242はSDメモリカード140の本体に接触しない。その結果、高速モード用端子242とSDメモリカード140の本体の接触により、SDメモリカード140の外形にダメージが入る可能性を減らすことができる。また、高速モード用端子242の耐久性を向上させることもできる。また、SDメモリカード140を先端側からカード挿入穴241に挿入した場合、高速モード用端子242の摩擦を受けずにすむ。その結果、SDメモリカード140を先端側からカード挿入穴241に挿入した場合、SDメモリカード140を容易に差し込むことが可能となる。
【0020】
また、SDメモリカード140の後端は、クビレが形成されていないため、従来のコネクタ600のカード挿入穴601には途中までしか挿入できない。したがって、高速モード用ピン5が通常モード専用の従来のコネクタ600のピンと接触して記録したデータが破壊されてしまうなどの不具合が発生することがない。また、高速モード対応コネクタ240は、SDメモリカード140だけでなく、従来のSDメモリカード500を差し込むことができ、SDメモリカード500のピン503と通常モード用ピン4をそれぞれ接触させることができる。
【0021】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る半導体メモリカードとしてSDメモリカードの構成を示す図である。第1の実施の形態と同様に、SDメモリカード150の下面の先端近傍には、SDメモリカード150を通常モードで動作させる際に用いる通常モード用ピン4が挿入方向に交差する方向に複数個配置され、SDメモリカード150の下面の後端近傍には、SDメモリカード150を高速モードで動作させる際に用いる高速モード用ピン5が挿入方向に交差する方向に複数個配置された構成である。また、SDメモリカード150は、後端側の幅が先端側よりも広くなっている。また、SDメモリカード150の先端部は従来のSDメモリカード500と同じである。具体的には、SDメモリカード150と従来のSDメモリカード500を、通常モード用ピン4が配置された側の先端部を重ねるように上下においた部分が同じであることを意味する。これ以外は、第1の実施の形態と同様である。
【0022】
第1の実施の形態と同様に、高速モード用ピン5は、例えば、差動クロック信号RCLK+及びRCLK−と差動データ信号D0+及びD0−と、差動データ信号D1+及びD1−と、電源VDD2とGNDが割り当てられる。信号ピン(差動クロック信号RCLK±、差動データ信号D0±、D1±)を、電源VDD2やGNDと比較して面積を小さくすることで、GND及び電源を確実に供給できるとともに、差動データピンの寄生容量を小さくしてデータ転送速度の高速化を実現しやすくなる。図8は、信号ピンを電源ピンやグラウンドピンと比較して小さくしたSDメモリカードの一例を示す図である。また、通常モードの電源ピン(VDD)と高速モードの電源ピン(VDD2)とをSDメモリカードの幅方向の位置が同じとなるように配置することにより、高速モードに対応したコネクタの電源端子が、異なるモード用の信号ピンやGNDピンに接触することがなくなる。これにより、コネクタの電源端子が信号ピンやGNDピンに接触して逆バイアスが生じ、異常動作(過大電流やラッチアップ)が発生することを防止できる。
【0023】
SDメモリカード150を読み書きするための高速モード対応コネクタ250は、図9に示すように、カード挿入穴251の幅がカード挿入穴251の開口から見て奥側の奥端側で狭くなっており、開口部側の幅はSDメモリカード150の後端側の幅と同じである。また、カード挿入穴251の狭くなっている部分の幅はSDメモリカード150の先端側の幅と同じである。
【0024】
図10に、SDメモリカード150を先端側から高速モード対応コネクタ250のカード挿入穴251に挿入した状態を示す。第1の実施の形態とは逆に、SDメモリカード150を先端側からカード挿入穴251に挿入した場合には、SDメモリカード150の先端がカード挿入穴251の奥端に到達するまで挿入可能である。SDメモリカード150の先端をカード挿入穴251の奥端に到達するまで挿入することにより、カード挿入穴251の奥端近傍に配置された通常モード用端子252に対応する位置に通常モード用ピン4が配置される。
【0025】
また、図11に、SDメモリカード150を後端側からカード挿入穴251に挿入した状態を示す。後端側からカード挿入穴251に挿入した場合には、カード挿入穴251の幅が変化するところまでしか挿入できないため、SDメモリカード150の後端近傍に形成された高速モード用ピン5を、カード挿入穴251の幅が変化する部分よりも開口側に配置された高速モード用端子253と対応する位置に配置することが可能である。
【0026】
なお、SDメモリカード150は、先端側からカード挿入穴251へ挿入した場合に高速モード用端子253が配置された領域と対応する領域にはピンが設けられていないため、高速モード対応コネクタ250の高速モード用端子253と誤接触する恐れはない。逆に、後端側からカード挿入穴251へ挿入した場合には、通常モード用端子252が配置された領域まで進入しないため、通常モード用端子252と誤接触する恐れはない。
【0027】
また、SDメモリカード150の幅は、従来のSDメモリカード500よりも広いため、従来のコネクタ600には挿入できない。したがって、高速モード用ピン5が通常モード専用の従来のコネクタ600の端子と接触して記録したデータが破壊されてしまうなどの不具合が発生することがない。また、高速モード対応コネクタ250は、SDメモリカード150だけでなく、従来のSDメモリカード500を差し込むことができ、SDメモリカード500のピン503と通常モード用ピン4をそれぞれ接触させることができる。
【0028】
上記各実施の形態に係るSDメモリカードは、先端側から高速モード対応コネクタへ挿入した場合と後端側から高速モード対応コネクタへ挿入した場合とで、挿入深さが異なる。すなわち、先端又は後端から高速モード対応コネクタへ挿入した場合には、カード挿入穴の途中までで挿入が規制され、その位置でカード側のピンとコネクタ側の対応する種類の端子とが接触する。先端側からコネクタへ挿入した場合と奥端側からコネクタへ挿入した場合とで挿入深さが異なるため、対応しないピンとコネクタとが誤接触することを防止できる。これにより、SDメモリカード内のデータが破壊されてしまうことを防止できる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明と均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
3 リブ、4 通常モード用ピン、5 高速モード用ピン、140、150 SDメモリカード、240、250 高速モード対応コネクタ、241、251 カード挿入穴、500 従来のSDメモリカード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体メモリ及び該半導体メモリを制御するコントローラが実装された基板と、前記基板を収容する筐体とを有し、第1のモードと、該第1のモードよりも高速にデータを転送する第2のモードとで前記半導体メモリへのデータの読み書きが可能であり、第1の端子群をカード挿入穴の奥端に、第2の端子群を前記第1の端子群よりも前記カード挿入穴の開口側にそれぞれ備えた前記第2のモードに対応したコネクタの前記カード挿入穴へ挿入される半導体メモリカードであって、
前記半導体メモリへのデータの読み書きを前記コントローラに前記第1のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の一方の端部に配置された前記第1のピン群と、
前記半導体メモリへのデータの読み書きを前記コントローラに前記第2のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の他方の端部に配置された前記第2のピン群と、を有し、
前記第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ前記挿抜方向の一方の端部から挿入した場合には前記カード挿入穴の奥端まで到達して前記第1のピン群と前記第1の端子群との組、及び前記第2のピン群と第1の端子群との組のいずれか一方の組が当接し、他方から挿入した場合には前記カード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接する外形形状を備えることを特徴とする半導体メモリカード。
【請求項2】
前記他方の端部側の厚さ寸法が、前記一方の端部側の厚さ寸法よりも小さく、
前記第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ前記挿抜方向の一方の端部から挿入した場合には前記カード挿入穴の奥端まで到達して前記第1のピン群と前記第1の端子群との組が当接し、逆の側から挿入した場合には前記カード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接することを特徴とする請求項1記載の半導体メモリカード。
【請求項3】
前記他方の端部側の幅寸法が、前記一方の端部側の幅寸法よりも大きく、
前記第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ前記挿抜方向の一方の端部から挿入した場合には前記カード挿入穴の途中で挿入が規制されて前記第1のピン群と前記第2の端子群との組が当接し、逆の側から挿入した場合には前記カード挿入穴の奥端まで到達して他方の組が当接することを特徴とする請求項1記載の半導体メモリカード。
【請求項4】
前記第2のピン群に、少なくともグラウンドと一対の差動データ信号とが割り当てられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体メモリカード。
【請求項5】
前記第2のピン群の中の差動データ信号及び差動クロック信号が割り当てられたピンは、前記第2のピン群の中の電源又はグラウンドが割り当てられたピンよりも面積が小さいことを特徴とする請求項4記載の半導体メモリカード。
【請求項1】
半導体メモリ及び該半導体メモリを制御するコントローラが実装された基板と、前記基板を収容する筐体とを有し、第1のモードと、該第1のモードよりも高速にデータを転送する第2のモードとで前記半導体メモリへのデータの読み書きが可能であり、第1の端子群をカード挿入穴の奥端に、第2の端子群を前記第1の端子群よりも前記カード挿入穴の開口側にそれぞれ備えた前記第2のモードに対応したコネクタの前記カード挿入穴へ挿入される半導体メモリカードであって、
前記半導体メモリへのデータの読み書きを前記コントローラに前記第1のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の一方の端部に配置された前記第1のピン群と、
前記半導体メモリへのデータの読み書きを前記コントローラに前記第2のモードで行わせる際に用いられ、コネクタへの挿抜方向の他方の端部に配置された前記第2のピン群と、を有し、
前記第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ前記挿抜方向の一方の端部から挿入した場合には前記カード挿入穴の奥端まで到達して前記第1のピン群と前記第1の端子群との組、及び前記第2のピン群と第1の端子群との組のいずれか一方の組が当接し、他方から挿入した場合には前記カード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接する外形形状を備えることを特徴とする半導体メモリカード。
【請求項2】
前記他方の端部側の厚さ寸法が、前記一方の端部側の厚さ寸法よりも小さく、
前記第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ前記挿抜方向の一方の端部から挿入した場合には前記カード挿入穴の奥端まで到達して前記第1のピン群と前記第1の端子群との組が当接し、逆の側から挿入した場合には前記カード挿入穴の途中で挿入が規制されて他方の組が当接することを特徴とする請求項1記載の半導体メモリカード。
【請求項3】
前記他方の端部側の幅寸法が、前記一方の端部側の幅寸法よりも大きく、
前記第2のモードに対応したコネクタのカード挿入穴へ前記挿抜方向の一方の端部から挿入した場合には前記カード挿入穴の途中で挿入が規制されて前記第1のピン群と前記第2の端子群との組が当接し、逆の側から挿入した場合には前記カード挿入穴の奥端まで到達して他方の組が当接することを特徴とする請求項1記載の半導体メモリカード。
【請求項4】
前記第2のピン群に、少なくともグラウンドと一対の差動データ信号とが割り当てられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の半導体メモリカード。
【請求項5】
前記第2のピン群の中の差動データ信号及び差動クロック信号が割り当てられたピンは、前記第2のピン群の中の電源又はグラウンドが割り当てられたピンよりも面積が小さいことを特徴とする請求項4記載の半導体メモリカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−146021(P2011−146021A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151150(P2010−151150)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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