説明

半導体レーザ及びその製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、大容量光ディスク装置及びレーザビームプリンタなどに好適に用いることのできる半導体レーザ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置などに用いる半導体レーザは、長寿命、低しきい値電流動作は当然として、その他に安定な単一横モード動作、低非点隔差、低雑音、低アスペクト比等が求められている。現状ではこれら全ての特性を満たす400nm帯半導体レーザは実現されていない。
【0003】従来、単一横モード型のGaN系半導体レーザとして、図3に示すようなリッジ導波路型構造が用いられている。このリッジ導波路型構造は、以下のようにして作製する。最初に、サファイア基板201上に第1の結晶成長によりGaN半導体層からなるバッファ層202、n−GaN半導体層からなる第1のコンタクト層203、n−AlGaN半導体層からなる第1のクラッド層204、n−GaN半導体層からなる第1の光ガイド層205、Ga1−XInN/Ga1−YInN(0<Y<X<1)半導体層からなる多重量子井戸活性層206、p−AIGaN半導体層からなるキャップ層207、p−GaN半導体層からなる第2の光ガイド層208、p―AlGaN半導体層からなる第2クラッド層209、及びp−GaN半導体層からなる第2のコンタクト層210を順次形成する。
【0004】続いて、例えばClガスを用いた反応性イオンエッチングにより、第2のクラッド層209及び第2のコンタクト層21を積層方向において部分的に除去することによって、リッジストライプ211を形成する。リッジストライプ211以外の表面には、例えばSiOから成る絶縁膜212を形成する。これによって、リッジストライプ211との屈折率差が生じ、また電気的な絶縁を確保することができる。
【0005】そして、リッジストライプ211上に例えばNi/Auから成るp電極213を形成するとともに、第1のコンタクト層203の一部を厚さ方向に部分的にエッチングして得た表面に、例えばTiAlから成るn電極214を形成する。
【0006】このようにして得たリッジ導波路型GaN系半導体レーザにおいて、n電極214を接地し、P電極213に電圧を印可すると、活性層206に向かってp電極213側からホールが、またn電極214側から電子が注入される。その結果、活性層206内で光学利得を生じ、レーザ発振を起こす。また、リッジストライプ211においては、積層方向と垂直な方向に屈折率差を有する屈折率導波構造を呈しているので、光学モードは単一横モードとなって安定する。また、非点隔差も比較的小さくなるので、高性能の半導体レーザを実現できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3に示すようなリッジ導波路型GaN系半導体レーザを実際に作製する場合においては、次に示すような極めて困難な問題が存在する。図3において、リッジストライプ211を形成するためには、前述のように、Clガスを用いた反応性イオンエッチングを用いるが、この際におけるエッチング探さは、リッジストライプ211とSiO絶縁膜212との実効屈折率差を決定する重要な因子となる。
【0008】図4は、リッジストライプ211の実効屈折率、並びにリッジストライプ211及びSiO絶縁膜212における実効屈折率差の、p−AlGaNクラッド層残厚dに対する依存性を示す計算時果である。p−AlGaNクラッド層残厚dが増加するにつれて、リッジストライプ211の実効屈折率が急激に上昇するととともに、リッジストライプ211及びSiO絶縁膜における実効屈折率差が減少する。そして、p−AlGaNクラッド層残厚dが200nmを超えると、前記実効屈折率差がほとんど0になってしまう。すなわち、リッジストライプ211を形成する際のエッチングを極めて高精度に制御することが要求され、例えば、10nm程度の精度でp−AlGaNクラッド層のエッチング深さを制御することが要求される。
【0009】しかしながら、一般的な反応性イオンエッチングでは、各エッチング操作においては、あるいは同一基板面におけるばらつきが数10nm程度となってしまう。このため、リッジストライプ211を形成する際のエッチングを高精度に行うことができず、この結果、リッジ導波路型GaN系半導体レーザの歩留まりが減少してしまうという問題があった。
【0010】本発明は、半導体レーザの製造歩留まりを向上すべく、新規な構造の半導体レーザ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を解決すべく、基板上に、第1のコンタクト層と、第1のクラッド層と、第1の光ガイド層と、活性層と、キャップ層と、第2の光ガイド層と、第2のクラッド層と、第2のコンタクト層とがこの順に積層されてなる半導体レーザであって、前記第1のクラッド層はメサストライプ形状を呈し、前記第1のクラッド層の両側において、この第1のクラッド層の側面全体を覆うように電流ブロック層を具えるとともに、前記電流ブロック層は階段形状を呈し、前記各層の積層方向と垂直な方向において、前記電流ブロック層の前記第1のクラッド層から離隔した部分の高さが、前記電流ブロック層の前記第1のクラッド層に近接した部分の高さよりも低くなっているとともに、前記第1のクラッド層の上面の高さと前記電流ブロック層の前記第1のクラッド層に近接した部分の上面の高さとがほぼ等しくなっており、前記活性層は、互いにほぼ等しい高さを有する、前記第1のクラッド層の上面と前記電流ブロック層の前記近接した部分の上面とに対応した平坦部を有するとともに、前記各層の積層方向と垂直な方向において、前記電流ブロック層の階段形状に対応し、前記平坦部から外方に向かって下方に屈曲していることを特徴とする、単一横モード型のGaN系半導体レーザに関する。
【0012】また、本発明の半導体レーザの製造方法は、上述したGaN系半導体レーザを構成すべく、基板上に、第1のコンタクト層と、第1のクラッド層と、第1の光ガイド層と、活性層と、キャップ層と、第2の光ガイド層と、第2のクラッド層と、第2のコンタクト層とがこの順に積層されてなる半導体レーザの製造方法であって、前記第1のクラッド層を厚さ方向の全体に亘って部分的に除去するとともに、前記第1のコンタクト層を厚さ方向の一部において部分的に除去することにより、前記第1のクラッド層と前記第1のコンタクト層の一部とからなるメサストライプ構造を自己形成的に形成し、前記第1のコンタクト層上において前記メサストライプ構造の全体を覆うようにして電流ブロック層を形成するとともに、この電流ブロック層を加熱することによってマストランスポートを生じさせ、前記電流ブロック層の前記メサストライプ構造上に形成された部分を除去するようにしたことを特徴とする。
【0013】本発明者らは、高精度なエッチング操作を必然的に要求する、従来のリッジ導波路型半導体レーザに代わる新規な構成の半導体レーザを見出すべく、鋭意検討を行った。その結果、上記のような本発明の製造方法に基づいて、製造歩留まりが著しく向上した新規な構成の半導体レーザを得ることができた。
【0014】すなわち、従来の半導体レーザと同様な積層構成において、p―AlGaNからなる第2のクラッド層に代えて、所定の半導体層からなる第1のクラッド層をメサストライプ状に形成するとともに、所定の半導体層からなる電流ブロック層を、前記メサストライプ状の第1のクラッド層を覆うようにして形成する。その後、前記電流ブロック層を所定の温度に加熱すると、この電流ブロック層にマストランスポートが発生し、前記電流ブロック層の、前記メサストライプ状の第1のクラッド層の上面に形成された部分が消失する。
【0015】この結果、前記電流ブロック層は、前記前記メサストライプ状の第1のクラッド層の側面にのみ、この側面の全体を覆うようにして存在する。したがって、第1のクラッド層及び電流ブロック層は、従来の半導体レーザにおける第2のクラッド層及びSiO絶縁層と同様の構成を呈するようになる。そして、このような構成を有する本発明の半導体レーザは、第1のクラッド層及び電流ブロック層間の実効屈折率差に基づいて、従来のリッジ導波路型半導体レーザと同様に、単一横モードの光学モードを呈する。すなわち、本発明の製造方法に基づいて本発明の半導体レーザを製造することにより、高精度なエッチング操作を必要とすることなく、高い歩留まりで従来と同等の特性を有する半導体レーザを提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面と関連させながら、発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1R>1は、本発明の半導体レーザの一例を示す断面図である。図1に示す半導体レーザにおいては、サファイア基板101上に、低温で結晶成長させたAlN半導体層からなるバッファ層102、n−GaN半導体層からなる第1のコンタクト層103、n−AlGaN半導体層からなる第1のクラッド層104、n−GaN半導体層からなる第1の光ガイド層107、Ga1−XInN/Ga1−YInN(0<Y<X<1)半導体層からなる多重量子井戸型の活性層108、p−AlGaN半導体層からなるキャップ層109、p−GaN半導体層からなる第2の光ガイド層110、p−AlGaN半導体層からなる第2のクラッド層111、及びp−GaN半導体層からなる112コンタクト層112がこの順に積層されている。
【0017】第2のコンタクト層112上には、例えばNi/Tiからなるp電極113が形成されているとともに、上記各層をエッチング除去して露出させた第1のコンタクト層103の表面には、例えばTi/Alからなるn電極114が形成されている。
【0018】第1のクラッド層104はメサストライプ形状を呈するとともに、第1のクラッド層104の両側には、その側面104Bの全体を覆うようにして電流ブロック層106が形成されている。
【0019】また、電流ブロック層106は階段形状を呈し、積層方向と垂直な方向において、電流ブロック層106の第1のクラッド層104から離隔した部分106―2の高さが、電流ブロック層106の第1のクラッド層104に近接した部分106―1の高さよりも低くなっている。さらには、電流ブロック層106の第1のクラッド層104に近接した部分106―1の上面106Aの高さと、第1のクラッド層104の上面104Aとの高さがほぼ等しくなっている。すなわち、上面104Aと上面106Aとは同一レベルの平面を構成している。
【0020】メサストライプ状の第1のクラッド層104及び電流ブロック層106を上記のように形成することにより、以下に示すような階段状に屈曲した活性層を容易に形成することができる。
【0021】メサストライプ状の第1のクラッド層104の高さ(厚さ)Hは0.2〜5μmであり、階段状の電流ブロック層106の段差hは0.1〜4μmである。そして、これらの上に積層する第1の光ガイド層107から第2の光ガイド層110は0.05〜0.3μm程度の厚さである。
【0022】したがって、メサストライプ状の第1のクラッド層104及び電流ブロック層106上に積層された第1の光ガイド層107、活性層108、キャップ層109、及び第2の光ガイド層110は、第1のクラッド層104の上面104Aと電流ブロック層106の上面106Aとで構成される平面に対応して、それらの中央部分が平坦に構成されているとともに、電流ブロック層106の階段形状に対応して、前記平坦部から外方へ向かって階段状に屈曲した構成を呈している。すなわち、上述したメサストライプ状の第1のクラッド層104及び電流ブロック層106の形状に応じて、階段状に屈曲した活性層108を得ることができる。
【0023】第2のクラッド層111は、階段状の電流ブロック層106によって形成された、第1の光ガイド層107から第2の光ガイド層110までの段差を埋めるべく、0.4〜2μmの厚さを有している。
【0024】メサストライプ状の第1のクラッド層104の側面全体が電流ブロック層106によって覆われているので、p電極113及びn電極114に所定の電圧を印加しても、第1のクラッド層104以外の領域から活性層108に電流が流入することがない。このため、メサストライプ状の第1のクラッド層上においてのみ発光する。
【0025】さらに活性層108は積層方向と垂直な方向において階段状に屈曲しているため、屈曲部分において屈折率変化を有している。すなわち、活性層108は、横方向において屈折率差を有する屈折率導波構造を呈している。このため、上記のようにして発光した光は、メサストライプ状の第1のクラッド層104上の平坦な部分に閉じ込められて伝搬する。この結果、単一横モードの半導体レーザの提供が可能となる。
【0026】なお、図1に示す半導体レーザにおいては、サファイア基板101と第1のコンタクト層103との間にバッファ層102が形成されているが、これはサファイア基板101と第1のコンタクト層103との格子不整合を緩和して、第1のコンタクト層103の結晶成長を促進させるためのものである。
【0027】次に、本発明の半導体レーザの製造方法において説明する。図2は、本発明の半導体レーザの製造方法の一例を示す工程図である。最初に、図2(a)に示すように、サファイア基板101上に、必要に応じてAlNからなる低温成長バッファ層102、n−GaN半導体層からなる第1のコンタクト層103、及びn−AlGaN半導体層からなる第1のクラッド層104を順次積層する。
【0028】その後、このようにして得たアセンブリを結晶成長装置から取り出す。そして、フォトリソグラフイーと反応性イオンエッチングとを用い、第1のクラッド層104を厚さ方向の全体に亘って、及び第1のコンタクト層103を厚さ方向の一部に亘って部分的に除去し、第1のクラッド層104及び第1のコンタクト層103の一部からなるメサストライプ構造105を自己形成的に形成する。この様子を図2(b)に示す。
【0029】なお、図2(b)においては、第1のコンタクト層103の一部をも除去して第1のクラッド層104及び第1のコンタクト層の一部からなるメサストライプ構造を作製している。このようにメサストライプ構造の一部を第1のコンタクト層103の一部をも含めて構成するのは、後に形成する電流ブロック層によって第1のクラッド層104の側面を完全に覆うようにするためである。すなわち、メサストライプ構造を第1のクラッド層のみから形成した場合は、前記エッチングによって第1のクラッド層の下部が除去される事なく残存する場合が生じる。このような第1のクラッド層のメサストライプ構造を構成しない部分は、電流ブロック層によって完全に覆うことができない。この結果、印加電圧に起因する電流に漏れが生じ、均一な発光が不可能となるためである。
【0030】次いで、前述のようにして得たアセンブリを再び結晶成長装置に導入し、第1のコンタクト層103上において、メサストライプ構造105を覆うようにして高抵抗のGaN半導体層からなる電流ブロック層106を形成する。この様子を図2(c)に示す。
【0031】次いで、例えば、NH雰囲気、NH+H雰囲気、又はNH+H雰囲気などの還元性雰囲気中で、前述のようにして得たアセンブリを900〜1200℃、好ましくは950〜1150℃で、数分間加熱する。すると、電流ブロック層106においてマストランスポートを生じる。すなわち、電流ブロック層106の、メサストライプ構造105上に形成された部分を構成するGaN半導体粒子が、メサストライプ構造105の側面に存在する電流ブロック層の部分に移動する。その結果、メサストライプ構造105の上面105Aから電流ブロック層は消失し、メサストライプ構造105の側面105B側にのみ存在するようになる。この様子を図2(d)に示す。
【0032】なお、上述したマストランスポートを適切に制御することにより、メサストライプ構造の上面105Aの高さと、電流ブロック層106のメサストライプ構造に近接した部分106−1の上面106Aの高さとをほぼ等しくすることができる。
【0033】また、電流ブロック層の厚さ及びメサストライプ構造の高さに応じて、電流ブロック層を図2(d)に示すように階段状に形成することができる。次いで、結晶成長を再開し、図2(e)に示すように、第1の光ガイド層107、活性層108、キャップ層109、第2の光ガイド層110、第2のクラッド層111、及び第2のコンタクト層112を順次形成する。
【0034】次いで、図示しないがコンタクト層112上にp電極113を形成するととともに、図2(e)に示すアセンブリにエッチングを施すことによって第1のコンタクト層103の表面を露出させ、この表面上にn電極114を形成する。
【0035】なお、上述したように、第1のクラッド層104をAlGaN半導体層から構成し、電流ブロック層106をGaN半導体層から構成する場合においては、前記AlGaN半導体層中におけるAlNのモル分率が4〜10%であることが好ましく、さらには5〜8%であることが好ましい。これによって、上述したマストランスポートの発生を容易にし、加熱温度及び保持時間を低減することができる。
【0036】以上、発明の実施の形態に則して本発明を説明してきたが、本発明の内容は上記に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0037】例えば、上記発明の実施の形態においては、電流ブロック層106をGaN半導体層から構成したが、AlGaN半導体層から構成することもできる。この際において、このAlGaN半導体層におけるAlNモル分率は、前記同様の理由から、第1のクラッド層104を構成するAlGaN半導体層におけるAlNモル分率よりも小さいことが好ましい。
【0038】また、図1に示す半導体レーザは、第1のコンタクト層103、第1のクラッド層104、及び第1の光ガイド層107をn型半導体層から構成し、キャップ層109、第2の光ガイド層110、第2のクラッド層111、及び第2のコンタクト層112をp型半導体層から構成している。しかしながら、上記各層は互いに逆の導電型の半導体層から構成することができる。すなわち、第1のコンタクト層103などをp型半導体層から構成し、キャップ層109などをn型半導体層から構成することもできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の半導体レーザ及びその製造方法によれば、半導体レーザの作製時において、構成度なエッチング工程を必要としない。したがっって、従来のリッジ導波路型半導体レーザと同等の性能を有する半導体レーザを高い製造歩留まりで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体レーザの一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の半導体レーザの製造方法の一例における工程図である。
【図3】 従来の半導体レーザの一例を示す断面図である。
【図4】 第2のクラッド層残留膜厚とリッジストライプの実行屈折率、並びにリッジストライプ及びSiO絶縁層間の実行屈折率差との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
101、201 サファイア基板
102、202 バッファ層
103、203 第1のコンタクト層
104、204 第1のクラッド層
105 メサストライプ構造
106 電流ブロック層
107、205 第1の光ガイド層
108、206 活性層
109 207 キャップ層
110、208 第2の光ガイド層
111、209 第2のクラッド層
112、210 第2のコンタクト層
113、213 p電極
114、214 n電極
211 リッジストライプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に、第1のコンタクト層と、第1のクラッド層と、第1の光ガイド層と、活性層と、キャップ層と、第2の光ガイド層と、第2のクラッド層と、第2のコンタクト層とがこの順に積層されてなる半導体レーザであって、前記第1のクラッド層はメサストライプ形状を呈し、前記第1のクラッド層の両側において、この第1のクラッド層の側面全体を覆うように電流ブロック層を具えるとともに、前記電流ブロック層は階段形状を呈し、前記各層の積層方向と垂直な方向において、前記電流ブロック層の前記第1のクラッド層から離隔した部分の高さが、前記電流ブロック層の前記第1のクラッド層に近接した部分の高さよりも低くなっているとともに、前記第1のクラッド層の上面の高さと前記電流ブロック層の前記第1のクラッド層に近接した部分の上面の高さとがほぼ等しくなっており、前記活性層は、互いにほぼ等しい高さを有する、前記第1のクラッド層の上面と前記電流ブロック層の前記近接した部分の上面とに対応した平坦部を有するとともに、前記各層の積層方向と垂直な方向において、前記電流ブロック層の階段形状に対応し、前記平坦部から外方に向かって下方に屈曲していることを特徴とする、単一横モード型のGaN系半導体レーザ。
【請求項2】 前記第1のコンタクト層、前記第1のクラッド層、及び前記第1の光ガイド層はN型半導体層から構成され、前記キャップ層、前記第2の光ガイド層、前記第2のクラッド層、及び前記第2のコンタクト層はP型半導体層から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のGaN系半導体レーザ。
【請求項3】 前記電流ブロック層はGaNから構成され、前記第1のクラッド層はAlGa1−XN(X>0)から構成されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のGaN系半導体レーザ。
【請求項4】 前記基板と前記第1のコンタクト層との間に、バッファ層を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のGaN系半導体レーザ。
【請求項5】 基板上に、第1のコンタクト層と、第1のクラッド層と、第1の光ガイド層と、活性層と、キャップ層と、第2の光ガイド層と、第2のクラッド層と、第2のコンタクト層とがこの順に積層されてなるGaN半導体レーザの製造方法であって、前記第1のクラッド層を厚さ方向の全体に亘って部分的に除去するとともに、前記第1のコンタクト層を厚さ方向の一部において部分的に除去することにより、前記第1のクラッド層と前記第1のコンタクト層の一部とからなるメサストライプ構造を自己形成的に形成し、前記第1のコンタクト層上において前記メサストライプ構造の全体を覆うようにして電流ブロック層を形成するとともに、この電流ブロック層を加熱することによってマストランスポートを生じさせ、前記電流ブロック層の前記メサストライプ構造上に形成された部分を除去するようにしたことを特徴とする、GaN系半導体レーザの製造方法。
【請求項6】 前記電流ブロック層の加熱によるマストランスポートによって、前記メサストライプ構造の上面の高さと前記電流ブロック層のメサストライプ構造に近接した部分の高さとをほぼ等しくするとともに、前記各層の積層方向と垂直な方向において、前記電流ブロック層の前記メサストライプ構造から離隔した部分の高さを前記電流ブロック層の前記メサストライプ構造に近接した部分の高さよりも低くし、前記電流ブロック層が階段形状を呈するようにしたことを特徴とする、請求項5に記載のGaN系半導体レーザの製造方法。
【請求項7】 前記活性層は、前記メサストライプ構造の上面と前記電流ブロック層の前記メサストライプ構造に近接した部分の上面とに対応した平坦部を有するとともに、前記電流ブロック層の階段形状に対応し、前記各層の積層方向と垂直な方向において、前記平坦部から外方に向かって下方に屈曲するように形成したことを特徴とする、請求項6に記載のGaN系半導体レーザの製造方法。
【請求項8】 前記電流ブロック層の加熱は、900〜1200℃で行うことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一に記載のGaN系半導体レーザの製造方法。
【請求項9】 前記第1のコンタクト層、前記第1のクラッド層、及び前記第1の光ガイド層はN型半導体層から構成され、前記キャップ層、前記第2の光ガイド層、前記第2のクラッド層、及び前記第2のコンタクト層はP型半導体層から構成されていることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一に記載のGaN系半導体レーザの製造方法。
【請求項10】 前記メサストライプ構造を構成する前記第1のクラッド層はAlGaN半導体層からなるとともに、前記電流ブロック層はGaN半導体層からなり、前記第1のクラッド層を構成する前記AlGaN半導体層中におけるAlNのモル分率が4〜10%であることを特徴とする、請求項9に記載のGaN系半導体レーザの製造方法。
【請求項11】 前記基板と前記第1のコンタクト層との間に、バッファ層を形成することを特徴とする、請求項5〜10のいずれか一に記載のGaN系半導体レーザの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【特許番号】特許第3449546号(P3449546)
【登録日】平成15年7月11日(2003.7.11)
【発行日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−82580(P2000−82580)
【出願日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【公開番号】特開2001−274512(P2001−274512A)
【公開日】平成13年10月5日(2001.10.5)
【審査請求日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【出願人】(599002043)学校法人 名城大学 (142)
【出願人】(597154117)日本学術振興会 (2)
【参考文献】
【文献】特開 平10−198998(JP,A)
【文献】特開 平9−283854(JP,A)
【文献】特開 平10−294529(JP,A)
【文献】特開 平5−167198(JP,A)