半導体冷却装置
【目的】 狭いスペ−ス内に搭載された半導体素子等の発熱部材を均一に冷却するとともに、温度上昇した空気を筐体内に滞留させず、効率よく流動可能とする。
【構成】 半導体素子1,2の近傍に超小型ファン5を、超小型ファン5の流入側、吹出側に空間を形成し、超小型ファン5の流入側、吹出側の空間の互いに異なる面を開口11,12させ、超小型ファン5に流入する空気及び吹き出される空気の流路を区分する区分手段を、ファンフレーム9と枠部材10とにより形成した。
【効果】 超小型ファンから吹き出される空気が超小型ファンの流入側にまわり込むことなく、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動が誘起され、半導体素子等が均一に冷却される。
【構成】 半導体素子1,2の近傍に超小型ファン5を、超小型ファン5の流入側、吹出側に空間を形成し、超小型ファン5の流入側、吹出側の空間の互いに異なる面を開口11,12させ、超小型ファン5に流入する空気及び吹き出される空気の流路を区分する区分手段を、ファンフレーム9と枠部材10とにより形成した。
【効果】 超小型ファンから吹き出される空気が超小型ファンの流入側にまわり込むことなく、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動が誘起され、半導体素子等が均一に冷却される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子等の発熱部材の冷却装置に係り、特に超小型ファンにより半導体素子を均一に冷却し所定の温度に保つのに好適な半導体冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体冷却装置においては、特開平2−83958号公報及び実開昭60−92892号公報に記載のように、特定の発熱素子の近傍にファンを取付け、発熱素子を個別に冷却していた。また、特開平1−151296号公報に記載のように、配線基板上に搭載された発熱素子に対向して小型ファンを設置し、これらの小型ファンで発熱素子を冷却していた。さらに、特開平2−28355号公報に記載のように、配線基板上に搭載された発熱素子をトンネル状通路で覆い、トンネル状通路の一端からファンによって送風して冷却していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例にあっては、発熱素子の近傍に設けたファンで発熱素子を冷却するものの、ファンから吹き出して温度が上昇した空気の処理については考慮されておらず、すなわち、温度上昇した排気空気が再びファンに流入してしまい冷却効率を低下させるという問題があった。また、この温度上昇した空気を筐体内に滞留させさせないため、外部に排気する別のファンが必要になるという問題もあった。また、トンネル状通路を確保するスペ−スが必要であり、高密度実装の妨げになるという問題があった。
【0004】本発明の目的は、狭いスペ−ス内に搭載された半導体素子等の発熱部材を均一に冷却するとともに、温度上昇した空気を筐体内に滞留させず、効率よく流動させる冷却機構を備えた半導体冷却装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体冷却装置は、空気の通気孔を有する筐体に半導体素子を搭載した電子回路基板を収容し、半導体素子の近傍に半導体素子を冷却する少なくとも一つの超小型ファンを設けてなる半導体冷却装置において、それぞれの超小型ファンの流入空気の流路とそれぞれの超小型ファンの吹出空気の流路とをそれぞれ区分して流入空気と吹出空気との混合を防止するとともに、流入空気と吹出空気とが誘起する気流により筐体の外部より空気を流入させかつ筐体の内部の空気を流動させる区分手段を設けた構成とする。
【0006】そして区分手段は、誘起される気流により半導体素子及び他の発熱部材を冷却する流路を備えている構成でもよい。
【0007】また区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン流入口と、超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲みファン流入口より離間させて他方向に設けたファン吹出口とを備えている構成でもよい。
【0008】さらに区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン吹出口と、超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲みファン吹出口より離間させて他方向に設けたファン流入口とを備えている構成でもよい。
【0009】そして超小型ファンは、複数の回転翼で形成されている構成でもよい。
【0010】また区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、それぞれの空間を区分して超小型ファンの端部より半導体素子の面にほぼ平行に設けたつば状部材とを備えている構成でもよい。
【0011】さらに区分手段は、ファン吹出口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えている構成でもよい。
【0012】そして区分手段は、ファン流入口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えている構成でもよい。
【0013】また超小型ファンは、回転翼の回転面を半導体素子面に対し傾斜させて設置され、傾斜側面と半導体素子との間を囲む板状部材を設けた構成でもよい。
【0014】さらに超小型ファンは、複数の回転翼で長円筒形に形成され、長円筒形の軸を半導体素子の上流でかつ半導体素子の面とほぼ平行に配置するとともに、超小型ファンの側方と半導体素子との間を囲む板状部材を設けた構成でもよい。
【0015】そして半導体素子の搭載された電子回路基板に対向する壁は、他の電子回路基板又は搭載部品の壁である構成でもよい。
【0016】また筐体壁に設けた通気孔の近傍に、筐体内の空気を排気する超小型ファンを設けた構成でもよい。
【0017】さらに半導体素子上に放熱フィンを設けた構成でもよい。
【0018】そして電子装置においては、前記のいずれかの半導体冷却装置を筺体に収容し、少なくともキーボード及び表示装置を備えてなる構成とする。
【0019】
【作用】本発明によれば、半導体素子等の発熱部材に取り付けられた超小型ファンの流入側、吹出側の空間の互いに異なる面に開口を設け、超小型ファンに流入する空気及び吹き出される空気の流路を区分する区分手段により、吹出空気が流入側にまわり込まないようにしたため、筐体内への空気流入及び筐体内の空気流動が誘起され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することがなくなり、半導体素子等の発熱部材が均一に冷却される。また、複数の配線基板群が高密度で筐体内に設置されている電子装置であっても、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動が誘起され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することがなくなり、半導体素子等の発熱部材が均一に冷却される。
【0020】
【実施例】本発明の一実施例を図1を参照しながら説明する。多数の半導体素子1,2を搭載した配線基板3が筐体4に収容され、半導体素子1の上部には超小型ファン5が筐体壁6との間に設けられる。超小型ファン5は発熱量の特に大きい半導体素子1に設けられ、筐体4には空気の通気孔7が設けられている。超小型ファン5は回転翼と半導体素子1との間に空間を形成して設けられており、例えば、足8がファンフレ−ム9に取り付けられる。超小型ファン5と半導体素子1との間の空間は一部を開口して囲まれており、開口は空気のファン吹出口11となる。一方、超小型ファンの半導体素子に対して反対側にも超小型ファン5と筐体壁6との間に空間が設けられる。超小型ファン5と筐体壁6との間の空間は、一部が開口した枠部材10で囲まれ、開口は空気のファン流入口12となる。なお、筐体壁6は、他の配線基板、電子装置を構成する部品でもよい。またファン吹出口11及びファン流入口12は、半導体素子側面の複数面に設けてもよい。ただし、ファン吹出口11とファン流入口12とが半導体素子側面の同一の側面になく、ファン吹出口11から吹き出される空気が直接ファン流入口12にまわり込まないように区分して設けられる。区分手段は、半導体素子1と超小型ファン5との間及び超小型ファン5と筐体壁6との間のそけぞれに設けた空間と、半導体素子1と超小型ファン5との間の空間を枠部材10(板状部材)で囲み一方向に設けたファン吹出口11と、超小型ファン5と筐体壁6との間の空間を枠部材10で囲みファン吹出口11より離間させて他方向に設けたファン流入口12とを備えている。
【0021】本実施例の動作を図2を参照しながら説明する。半導体素子1の放熱面上部に取り付けられた超小型ファン5は、超小型ファン5上部から下部すなわち半導体素子1に空気を吹き付け、半導体素子1を冷却する。この時、空気は、超小型ファン5と筐体壁6との間の空間にファン流入口12から流入し、吹き付けられた空気は、超小型ファン5と半導体素子1との間の空間からファン吹出口11を通して吹き出される。ファン流入口及びファン吹出口が同一面にないため、流入空気13及び吹出空気14は混合することなく、したがって、半導体素子1は筐体壁6の通気孔7から流入する新鮮な空気によって均一に冷却される。さらに、ファン吹出口11から吹き出される空気によって他の発熱部材等の半導体素子2も冷却される。流入空気13及び吹出空気14の主流方向(流路)が区分されるため、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動がスム−ズに行われ、発熱量の大きい半導体素子1及び比較的発熱量の小さい半導体素子2等も均一に冷却され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することもない。特に、狭い筐体内に半導体素子、その他の部品が高密度に搭載され、筐体内での空気の流動が妨げられる電子装置でも、本実施例によれば、効率よく空気流動が誘起され、半導体素子を均一に冷却できる。
【0022】本発明の他の実施例を図3に示す。本実施例では、超小型ファン5は、空気を超小型ファン5下側から吸い込み上部へ吹き出す。筐体の通気孔7から流入する空気は、超小型ファン5と半導体素子1との間の空間から流入し、半導体素子1を冷却し、温度上昇した空気を超小型ファン5と筐体壁6との間の上部空間に吹き出す。超小型ファン5へのファン入口12、ファン吹出口11が半導体素子1に対して互いに異なる面に設けられているため、流入空気13及び吹出空気14は混合することなく、半導体素子1は常に筐体の通気孔7から流入する空気によって冷却される。さらに、半導体素子1の冷却で温度上昇した吹出空気14は、筐体内上部空間に吹き出されるため、筐体内部の空気との混合が抑制されるとともに、流入空気13及び吹出空気14の主流方向が区分されるため、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動がスム−ズに行われる。
【0023】なお、図1から図3に示したそれぞれの実施例において、超小型ファンの空気吹き出し方向が逆の場合であっても、筐体に設けた通気孔7は、筐体外部への排気口となるため、筐体内のスム−ズな流動、半導体素子の冷却が行える。
【0024】本発明の他の実施例を図4に示す。本実施例では、半導体素子1の放熱面にフィン(放熱フィン)41を取り付けており、特に、発熱量の大きい半導体素子の冷却に適する。図4では、狭い空間内に半導体素子が搭載された場合で、高さの低いフィンを用いているが、発熱量の大きさ、筐体内のスペ−スに応じて最適なフィン形状及び寸法が選定される。
【0025】図5に超小型ファン搭載部の実施例を示す。半導体素子1の放熱面とほぼ同じ外形寸法を持つファンフレ−ム9を有する超小型ファン5を半導体素子1の上部に取り付ける。この時、ファンフレ−ム9に足8を取付け、超小型ファン5と半導体素子1の放熱面との間に空間を形成する。これによって、半導体素子1と超小型ファン5との間の空間に開口(ファン吹出口)11a,11b,11cが形成される。図5では、開口は3面に設けられ、他の1面は半導体素子1の面までファンフレ−ム9が形成され開口されない。なお、足8は、超小型ファン5の回転翼の回転面より下部まで延びるファンフレ−ム9を形成し、開口させる面のみファンフレ−ム9の下端を回転面高さまで取り除くなどの手段によって形成してもよい。超小型ファン5上部には、筐体壁まで、もしくは、近傍まで到達する高さを有する枠部材10を取り付け、超小型ファン上部空間を形成する。枠部材10は、超小型ファンと筐体壁との間の超小型ファン上部空間の一部に開口(ファン流入口)12を形成するように一部が開放されている。さらに、超小型ファン下部の空間から吹き出す空気と超小型ファン上部の開口の空気が直接混合しないように、超小型ファン上部空間の開口12側方にはり出し、超小型ファン下部空間の開口11に達する爪状部材51が設けられている。本実施例によれば、超小型ファン5によって、超小型ファン上部空間の開口から流入した空気は、半導体素子1に吹き付けられ半導体素子1を冷却する。超小型ファン下部空間より吹き出される空気は、流入する方向と異なる方向に空気が吹き出され、さらに、爪状部材51によって直接混合することがないため、半導体素子1は効率よく均一に冷却される。また、流入、吹出空気の主流方向を区分できるため、筐体内の空気流動を誘起することができ、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することもなく、超小型ファンを取り付けていない発熱部材も冷却できる。なお、超小型ファン上部、超小型ファン下部の空間開口は、流入、吹出空気が混合せず筐体内の流動が誘起できるならば、開口の相対位置は問わない。
【0026】本発明の他の実施例を図6に示す。本実施例では、半導体素子1と筐体壁6との間に超小型ファン5が設置され、超小型ファン5と半導体素子1との間に形成された空間の一部に開口11が設けられている。超小型ファン上部の超小型ファン5と筐体壁6との間の空間には超小型ファン端部から側方に拡がるつば状部材61が取り付けられる。図7に示すように、超小型ファン5によって超小型ファン下部空間の開口11から流入する空気71は、半導体素子1を冷却し、温められた空気72が超小型ファン上部の筐体壁6とつば状部材61との間に形成される空間に吹き出される。超小型ファン上部空間より吹き出される温度上昇した空気は流入空気より低密度であるため、超小型ファン上部空間の開放部分が空気流入口と同一側にあっても、あるいは、つば状部材61によって、流入空気と吹出空気とが混合することはない。なお、図7では、つば状部材61を超小型ファン上部に設置した場合を示したが、ファン流入口である超小型ファン下部開口の上側であれば、つば状部材の取付け位置は、図示された部分より下側であってもよい。
【0027】本発明の他の実施例を図8に示す。半導体素子1の放熱面とほぼ同じ外形寸法を持つファンフレ−ム9を有する超小型ファン5を半導体素子1の上部に取り付ける。この時、ファンフレ−ム9には足8あるいはファンフレ−ム9の側面を下端から超小型ファンの回転翼の回転面高さまで取り除く等の手段によって、超小型ファン下部の半導体素子1との間の空間に開口11が形成される。開口は側面全面にあってもよい。超小型ファン上部は、超小型ファンフレ−ム端部から側方に拡がるつばを形成するため、中心部に超小型ファンフレ−ム9の外周寸法に応じた孔62を設けたつば板、もしくは、中心部に超小型ファンの回転翼の回転部に応じた孔64を設けたつば板63を取り付ける。
【0028】本発明の他の実施例を図9に示す。本実施例では、配線基板3上に搭載された半導体素子1と筐体壁6との間に超小型ファン5が設置され、開口11を有する空間が超小型ファン5と半導体素子1との間に形成される。筐体壁6との間に形成される超小型ファン上部の空間は、枠部材板92で囲まれており、筐体壁6に設けた通気口91に通じている。筐体壁6に設けた通気口91から直接超小型ファンに流入する空気が半導体素子1に吹き付けられ冷却する。超小型ファン5に流入する部分が枠部材板92で囲まれているため、開口11から吹き出される空気は、超小型ファンの流入側にまわり込むことはない。従って、筐体内の流動が誘起され、他の発熱部品も冷却される。図9では、筐体壁の通気口から外部空気を取り入れ、半導体素子1に吹き付ける構成を示したが、逆に、開口11から流入し半導体素子1を冷却して、温度上昇した空気を通気口から外部に排気するようにしてもよい。これによって、筐体内の空気が滞留して筐体内の温度が上昇することはない。
【0029】本発明の他の実施例を図10に示す。本実施例では、配線基板3上に搭載された半導体素子1と筐体壁6との間に超小型ファン5を傾斜させて、超小型ファン5の一端を半導体素子1に、他の一端を筐体壁6に近接させて設置する。さらに、側板(板状部材)103を超小型ファン両側面に取付け、開口101及び102を有する空間を超小型ファン5と半導体素子1との間及び超小型ファン5と筐体壁6との間に形成する。超小型ファン5によって半導体素子1が冷却されるとともに、筐体内の空気流動の主流方向が、開口101から開口102の方向に誘起され、筐体中に設置された他の発熱部品を冷却するとともに筐体内の空気が滞留して筐体内の温度が上昇することはない。図10では、筐体内の空気流動の主流方向が、開口101から開口102の方向に誘起される構成を示したが、他の発熱部品の配置、筐体の通気口位置等に応じて、超小型ファン5によって、空気を半導体素子1の方向に吹き付けて、開口102から開口101の方向に吹き出すようにしてもよい。また、図11に示すように、半導体素子1に半導体素子1と超小型ファン5との間に形成される空間に応じてくさび状のフィン110を取り付けて冷却性能を向上できるため、発熱量の大きい半導体素子1の冷却にも適用できる。なお、フィン110の形状は、半導体素子の発熱量、フィンの製造コストに応じた形状であってもよい。
【0030】これまでの実施例では、超小型ファンが回転翼一つで形成された実施例を示したが、図12は、複数個の回転翼51がファンフレ−ム9に形成された構成である。回転翼が一つの場合、回転翼の中心部分は風が送られず、半導体素子1の放熱面上において風速にばらつきを生じやすく半導体素子内部の温度にばらつきを生じる。回転翼を複数個設けて半導体素子1に対向して設置することによって、空気が半導体素子1の放熱面に均一に送られ、半導体素子内部の温度のばらつきを低減できる。
【0031】本発明の他の実施例を図13に示す。本実施例では、長円筒状で、回転軸に垂直な方向から貫通して吹き出す超小型ファン52を半導体素子1の近傍に設置する。超小型ファン52は、半導体素子1と同程度の幅(紙面と直角方向の幅)を有し、両側面に板状部材130を設け、半導体素子1と筐体壁6との間の空間を区分し、超小型ファン52で半導体素子1を冷却するとともに、超小型ファン52より吹き出された空気が流入側にまわり込まないようにする。これによって、筐体内の流動が、図面左側から右側の方向に誘起され、他の発熱素子2を冷却するとともに、温度上昇した空気が筐体内に滞留して筐体内の温度が上昇することはない。本構造により、筐体内の狭い空間に搭載された半導体素子でも効果的に冷却することができる。さらに、図14に示すように、半導体素子1に複数のフィン131を取り付けることによって発熱量の大きい半導体素子1の冷却にも適用できる。
【0032】本発明の他の実施例を図15に示す。本実施例では、半導体冷却装置を電子装置に適用したもので、発熱量の比較的大きい半導体素子1、比較的小さい半導体素子2群、コネクタ25等を搭載した配線基板3、ディスク装置21等が、通気口7a,7bを有する筐体4中に設置され、キ−ボ−ド24、表示装置23を備えている。半導体素子1の近傍には超小型ファン5が、超小型ファン5と半導体素子1との間及び超小型ファン5と筐体壁との間に空間を形成して取り付けられており、それぞれの空間は、開口11,12を形成して囲まれている。なお、開口11,12は互いに異なる方向に開口している。超小型ファン5によって半導体素子1が局所的に冷却され、互いに異なる方向に向かう開口を流通する空気によって筐体内の流動が誘起され、通気口7aから空気が取り入れられるとともに、筐体内の超小型ファンを取り付けた半導体素子1以外の発熱部品も冷却される。なお、必要に応じて超小型ファン22を設け、筐体内の空気を通気口7bを通して排気することによって超小型ファン5で誘起される空気流動を助長し、発熱部品が筐体内に高密度に搭載された場合においても効率よく冷却することができる。 本発明の他の実施例を図16に示す。本実施例では、電子装置は、発熱量の比較的大きい半導体素子1、比較的小さい半導体素子2群等を搭載した配線基板3が多数で構成される。各々の配線基板3に搭載された半導体素子1の近傍には超小型ファン5が、超小型ファン5と半導体素子1との間及び超小型ファン5と隣接する配線基板3aとの間に空間を形成して取り付けられており、それぞれの空間は、互いに異なる方向に開口した開口11を残して囲まれている。超小型ファン5によって半導体素子1が局所的に冷却され、互いに異なる方向に向かう開口を流通する空気によって筐体内の流動が誘起され、超小型ファン5を取り付けた半導体素子1以外の発熱部品も冷却される。なお、必要に応じて超小型ファン26を設け、筐体内の空気を排気することによって超小型ファン5で誘起される空気流動を助長し、発熱部品が筐体内に高密度に搭載された場合においても効率よく冷却することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、超小型ファンに区分手段を付設したため、狭いスペ−ス内に搭載された半導体素子等の発熱部材が冷却されるとともに、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動が誘起され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することなく、半導体素子を均一に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すの斜視断面図である。
【図2】図1の実施例の動作を説明する断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例の主要部分を示す構成図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図7】図6の実施例の動作を説明する断面図である。
【図8】図6の実施例の主要部分を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図13】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図15】本発明を用いた電子装置を示す斜視断面図である。
【図16】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体素子
3 配線基板
5 超小型ファン
6 筐体壁
11 開口(ファン流入口)
12 開口(ファン吹出口)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子等の発熱部材の冷却装置に係り、特に超小型ファンにより半導体素子を均一に冷却し所定の温度に保つのに好適な半導体冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体冷却装置においては、特開平2−83958号公報及び実開昭60−92892号公報に記載のように、特定の発熱素子の近傍にファンを取付け、発熱素子を個別に冷却していた。また、特開平1−151296号公報に記載のように、配線基板上に搭載された発熱素子に対向して小型ファンを設置し、これらの小型ファンで発熱素子を冷却していた。さらに、特開平2−28355号公報に記載のように、配線基板上に搭載された発熱素子をトンネル状通路で覆い、トンネル状通路の一端からファンによって送風して冷却していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例にあっては、発熱素子の近傍に設けたファンで発熱素子を冷却するものの、ファンから吹き出して温度が上昇した空気の処理については考慮されておらず、すなわち、温度上昇した排気空気が再びファンに流入してしまい冷却効率を低下させるという問題があった。また、この温度上昇した空気を筐体内に滞留させさせないため、外部に排気する別のファンが必要になるという問題もあった。また、トンネル状通路を確保するスペ−スが必要であり、高密度実装の妨げになるという問題があった。
【0004】本発明の目的は、狭いスペ−ス内に搭載された半導体素子等の発熱部材を均一に冷却するとともに、温度上昇した空気を筐体内に滞留させず、効率よく流動させる冷却機構を備えた半導体冷却装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体冷却装置は、空気の通気孔を有する筐体に半導体素子を搭載した電子回路基板を収容し、半導体素子の近傍に半導体素子を冷却する少なくとも一つの超小型ファンを設けてなる半導体冷却装置において、それぞれの超小型ファンの流入空気の流路とそれぞれの超小型ファンの吹出空気の流路とをそれぞれ区分して流入空気と吹出空気との混合を防止するとともに、流入空気と吹出空気とが誘起する気流により筐体の外部より空気を流入させかつ筐体の内部の空気を流動させる区分手段を設けた構成とする。
【0006】そして区分手段は、誘起される気流により半導体素子及び他の発熱部材を冷却する流路を備えている構成でもよい。
【0007】また区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン流入口と、超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲みファン流入口より離間させて他方向に設けたファン吹出口とを備えている構成でもよい。
【0008】さらに区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン吹出口と、超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲みファン吹出口より離間させて他方向に設けたファン流入口とを備えている構成でもよい。
【0009】そして超小型ファンは、複数の回転翼で形成されている構成でもよい。
【0010】また区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、それぞれの空間を区分して超小型ファンの端部より半導体素子の面にほぼ平行に設けたつば状部材とを備えている構成でもよい。
【0011】さらに区分手段は、ファン吹出口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えている構成でもよい。
【0012】そして区分手段は、ファン流入口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えている構成でもよい。
【0013】また超小型ファンは、回転翼の回転面を半導体素子面に対し傾斜させて設置され、傾斜側面と半導体素子との間を囲む板状部材を設けた構成でもよい。
【0014】さらに超小型ファンは、複数の回転翼で長円筒形に形成され、長円筒形の軸を半導体素子の上流でかつ半導体素子の面とほぼ平行に配置するとともに、超小型ファンの側方と半導体素子との間を囲む板状部材を設けた構成でもよい。
【0015】そして半導体素子の搭載された電子回路基板に対向する壁は、他の電子回路基板又は搭載部品の壁である構成でもよい。
【0016】また筐体壁に設けた通気孔の近傍に、筐体内の空気を排気する超小型ファンを設けた構成でもよい。
【0017】さらに半導体素子上に放熱フィンを設けた構成でもよい。
【0018】そして電子装置においては、前記のいずれかの半導体冷却装置を筺体に収容し、少なくともキーボード及び表示装置を備えてなる構成とする。
【0019】
【作用】本発明によれば、半導体素子等の発熱部材に取り付けられた超小型ファンの流入側、吹出側の空間の互いに異なる面に開口を設け、超小型ファンに流入する空気及び吹き出される空気の流路を区分する区分手段により、吹出空気が流入側にまわり込まないようにしたため、筐体内への空気流入及び筐体内の空気流動が誘起され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することがなくなり、半導体素子等の発熱部材が均一に冷却される。また、複数の配線基板群が高密度で筐体内に設置されている電子装置であっても、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動が誘起され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することがなくなり、半導体素子等の発熱部材が均一に冷却される。
【0020】
【実施例】本発明の一実施例を図1を参照しながら説明する。多数の半導体素子1,2を搭載した配線基板3が筐体4に収容され、半導体素子1の上部には超小型ファン5が筐体壁6との間に設けられる。超小型ファン5は発熱量の特に大きい半導体素子1に設けられ、筐体4には空気の通気孔7が設けられている。超小型ファン5は回転翼と半導体素子1との間に空間を形成して設けられており、例えば、足8がファンフレ−ム9に取り付けられる。超小型ファン5と半導体素子1との間の空間は一部を開口して囲まれており、開口は空気のファン吹出口11となる。一方、超小型ファンの半導体素子に対して反対側にも超小型ファン5と筐体壁6との間に空間が設けられる。超小型ファン5と筐体壁6との間の空間は、一部が開口した枠部材10で囲まれ、開口は空気のファン流入口12となる。なお、筐体壁6は、他の配線基板、電子装置を構成する部品でもよい。またファン吹出口11及びファン流入口12は、半導体素子側面の複数面に設けてもよい。ただし、ファン吹出口11とファン流入口12とが半導体素子側面の同一の側面になく、ファン吹出口11から吹き出される空気が直接ファン流入口12にまわり込まないように区分して設けられる。区分手段は、半導体素子1と超小型ファン5との間及び超小型ファン5と筐体壁6との間のそけぞれに設けた空間と、半導体素子1と超小型ファン5との間の空間を枠部材10(板状部材)で囲み一方向に設けたファン吹出口11と、超小型ファン5と筐体壁6との間の空間を枠部材10で囲みファン吹出口11より離間させて他方向に設けたファン流入口12とを備えている。
【0021】本実施例の動作を図2を参照しながら説明する。半導体素子1の放熱面上部に取り付けられた超小型ファン5は、超小型ファン5上部から下部すなわち半導体素子1に空気を吹き付け、半導体素子1を冷却する。この時、空気は、超小型ファン5と筐体壁6との間の空間にファン流入口12から流入し、吹き付けられた空気は、超小型ファン5と半導体素子1との間の空間からファン吹出口11を通して吹き出される。ファン流入口及びファン吹出口が同一面にないため、流入空気13及び吹出空気14は混合することなく、したがって、半導体素子1は筐体壁6の通気孔7から流入する新鮮な空気によって均一に冷却される。さらに、ファン吹出口11から吹き出される空気によって他の発熱部材等の半導体素子2も冷却される。流入空気13及び吹出空気14の主流方向(流路)が区分されるため、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動がスム−ズに行われ、発熱量の大きい半導体素子1及び比較的発熱量の小さい半導体素子2等も均一に冷却され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することもない。特に、狭い筐体内に半導体素子、その他の部品が高密度に搭載され、筐体内での空気の流動が妨げられる電子装置でも、本実施例によれば、効率よく空気流動が誘起され、半導体素子を均一に冷却できる。
【0022】本発明の他の実施例を図3に示す。本実施例では、超小型ファン5は、空気を超小型ファン5下側から吸い込み上部へ吹き出す。筐体の通気孔7から流入する空気は、超小型ファン5と半導体素子1との間の空間から流入し、半導体素子1を冷却し、温度上昇した空気を超小型ファン5と筐体壁6との間の上部空間に吹き出す。超小型ファン5へのファン入口12、ファン吹出口11が半導体素子1に対して互いに異なる面に設けられているため、流入空気13及び吹出空気14は混合することなく、半導体素子1は常に筐体の通気孔7から流入する空気によって冷却される。さらに、半導体素子1の冷却で温度上昇した吹出空気14は、筐体内上部空間に吹き出されるため、筐体内部の空気との混合が抑制されるとともに、流入空気13及び吹出空気14の主流方向が区分されるため、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動がスム−ズに行われる。
【0023】なお、図1から図3に示したそれぞれの実施例において、超小型ファンの空気吹き出し方向が逆の場合であっても、筐体に設けた通気孔7は、筐体外部への排気口となるため、筐体内のスム−ズな流動、半導体素子の冷却が行える。
【0024】本発明の他の実施例を図4に示す。本実施例では、半導体素子1の放熱面にフィン(放熱フィン)41を取り付けており、特に、発熱量の大きい半導体素子の冷却に適する。図4では、狭い空間内に半導体素子が搭載された場合で、高さの低いフィンを用いているが、発熱量の大きさ、筐体内のスペ−スに応じて最適なフィン形状及び寸法が選定される。
【0025】図5に超小型ファン搭載部の実施例を示す。半導体素子1の放熱面とほぼ同じ外形寸法を持つファンフレ−ム9を有する超小型ファン5を半導体素子1の上部に取り付ける。この時、ファンフレ−ム9に足8を取付け、超小型ファン5と半導体素子1の放熱面との間に空間を形成する。これによって、半導体素子1と超小型ファン5との間の空間に開口(ファン吹出口)11a,11b,11cが形成される。図5では、開口は3面に設けられ、他の1面は半導体素子1の面までファンフレ−ム9が形成され開口されない。なお、足8は、超小型ファン5の回転翼の回転面より下部まで延びるファンフレ−ム9を形成し、開口させる面のみファンフレ−ム9の下端を回転面高さまで取り除くなどの手段によって形成してもよい。超小型ファン5上部には、筐体壁まで、もしくは、近傍まで到達する高さを有する枠部材10を取り付け、超小型ファン上部空間を形成する。枠部材10は、超小型ファンと筐体壁との間の超小型ファン上部空間の一部に開口(ファン流入口)12を形成するように一部が開放されている。さらに、超小型ファン下部の空間から吹き出す空気と超小型ファン上部の開口の空気が直接混合しないように、超小型ファン上部空間の開口12側方にはり出し、超小型ファン下部空間の開口11に達する爪状部材51が設けられている。本実施例によれば、超小型ファン5によって、超小型ファン上部空間の開口から流入した空気は、半導体素子1に吹き付けられ半導体素子1を冷却する。超小型ファン下部空間より吹き出される空気は、流入する方向と異なる方向に空気が吹き出され、さらに、爪状部材51によって直接混合することがないため、半導体素子1は効率よく均一に冷却される。また、流入、吹出空気の主流方向を区分できるため、筐体内の空気流動を誘起することができ、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することもなく、超小型ファンを取り付けていない発熱部材も冷却できる。なお、超小型ファン上部、超小型ファン下部の空間開口は、流入、吹出空気が混合せず筐体内の流動が誘起できるならば、開口の相対位置は問わない。
【0026】本発明の他の実施例を図6に示す。本実施例では、半導体素子1と筐体壁6との間に超小型ファン5が設置され、超小型ファン5と半導体素子1との間に形成された空間の一部に開口11が設けられている。超小型ファン上部の超小型ファン5と筐体壁6との間の空間には超小型ファン端部から側方に拡がるつば状部材61が取り付けられる。図7に示すように、超小型ファン5によって超小型ファン下部空間の開口11から流入する空気71は、半導体素子1を冷却し、温められた空気72が超小型ファン上部の筐体壁6とつば状部材61との間に形成される空間に吹き出される。超小型ファン上部空間より吹き出される温度上昇した空気は流入空気より低密度であるため、超小型ファン上部空間の開放部分が空気流入口と同一側にあっても、あるいは、つば状部材61によって、流入空気と吹出空気とが混合することはない。なお、図7では、つば状部材61を超小型ファン上部に設置した場合を示したが、ファン流入口である超小型ファン下部開口の上側であれば、つば状部材の取付け位置は、図示された部分より下側であってもよい。
【0027】本発明の他の実施例を図8に示す。半導体素子1の放熱面とほぼ同じ外形寸法を持つファンフレ−ム9を有する超小型ファン5を半導体素子1の上部に取り付ける。この時、ファンフレ−ム9には足8あるいはファンフレ−ム9の側面を下端から超小型ファンの回転翼の回転面高さまで取り除く等の手段によって、超小型ファン下部の半導体素子1との間の空間に開口11が形成される。開口は側面全面にあってもよい。超小型ファン上部は、超小型ファンフレ−ム端部から側方に拡がるつばを形成するため、中心部に超小型ファンフレ−ム9の外周寸法に応じた孔62を設けたつば板、もしくは、中心部に超小型ファンの回転翼の回転部に応じた孔64を設けたつば板63を取り付ける。
【0028】本発明の他の実施例を図9に示す。本実施例では、配線基板3上に搭載された半導体素子1と筐体壁6との間に超小型ファン5が設置され、開口11を有する空間が超小型ファン5と半導体素子1との間に形成される。筐体壁6との間に形成される超小型ファン上部の空間は、枠部材板92で囲まれており、筐体壁6に設けた通気口91に通じている。筐体壁6に設けた通気口91から直接超小型ファンに流入する空気が半導体素子1に吹き付けられ冷却する。超小型ファン5に流入する部分が枠部材板92で囲まれているため、開口11から吹き出される空気は、超小型ファンの流入側にまわり込むことはない。従って、筐体内の流動が誘起され、他の発熱部品も冷却される。図9では、筐体壁の通気口から外部空気を取り入れ、半導体素子1に吹き付ける構成を示したが、逆に、開口11から流入し半導体素子1を冷却して、温度上昇した空気を通気口から外部に排気するようにしてもよい。これによって、筐体内の空気が滞留して筐体内の温度が上昇することはない。
【0029】本発明の他の実施例を図10に示す。本実施例では、配線基板3上に搭載された半導体素子1と筐体壁6との間に超小型ファン5を傾斜させて、超小型ファン5の一端を半導体素子1に、他の一端を筐体壁6に近接させて設置する。さらに、側板(板状部材)103を超小型ファン両側面に取付け、開口101及び102を有する空間を超小型ファン5と半導体素子1との間及び超小型ファン5と筐体壁6との間に形成する。超小型ファン5によって半導体素子1が冷却されるとともに、筐体内の空気流動の主流方向が、開口101から開口102の方向に誘起され、筐体中に設置された他の発熱部品を冷却するとともに筐体内の空気が滞留して筐体内の温度が上昇することはない。図10では、筐体内の空気流動の主流方向が、開口101から開口102の方向に誘起される構成を示したが、他の発熱部品の配置、筐体の通気口位置等に応じて、超小型ファン5によって、空気を半導体素子1の方向に吹き付けて、開口102から開口101の方向に吹き出すようにしてもよい。また、図11に示すように、半導体素子1に半導体素子1と超小型ファン5との間に形成される空間に応じてくさび状のフィン110を取り付けて冷却性能を向上できるため、発熱量の大きい半導体素子1の冷却にも適用できる。なお、フィン110の形状は、半導体素子の発熱量、フィンの製造コストに応じた形状であってもよい。
【0030】これまでの実施例では、超小型ファンが回転翼一つで形成された実施例を示したが、図12は、複数個の回転翼51がファンフレ−ム9に形成された構成である。回転翼が一つの場合、回転翼の中心部分は風が送られず、半導体素子1の放熱面上において風速にばらつきを生じやすく半導体素子内部の温度にばらつきを生じる。回転翼を複数個設けて半導体素子1に対向して設置することによって、空気が半導体素子1の放熱面に均一に送られ、半導体素子内部の温度のばらつきを低減できる。
【0031】本発明の他の実施例を図13に示す。本実施例では、長円筒状で、回転軸に垂直な方向から貫通して吹き出す超小型ファン52を半導体素子1の近傍に設置する。超小型ファン52は、半導体素子1と同程度の幅(紙面と直角方向の幅)を有し、両側面に板状部材130を設け、半導体素子1と筐体壁6との間の空間を区分し、超小型ファン52で半導体素子1を冷却するとともに、超小型ファン52より吹き出された空気が流入側にまわり込まないようにする。これによって、筐体内の流動が、図面左側から右側の方向に誘起され、他の発熱素子2を冷却するとともに、温度上昇した空気が筐体内に滞留して筐体内の温度が上昇することはない。本構造により、筐体内の狭い空間に搭載された半導体素子でも効果的に冷却することができる。さらに、図14に示すように、半導体素子1に複数のフィン131を取り付けることによって発熱量の大きい半導体素子1の冷却にも適用できる。
【0032】本発明の他の実施例を図15に示す。本実施例では、半導体冷却装置を電子装置に適用したもので、発熱量の比較的大きい半導体素子1、比較的小さい半導体素子2群、コネクタ25等を搭載した配線基板3、ディスク装置21等が、通気口7a,7bを有する筐体4中に設置され、キ−ボ−ド24、表示装置23を備えている。半導体素子1の近傍には超小型ファン5が、超小型ファン5と半導体素子1との間及び超小型ファン5と筐体壁との間に空間を形成して取り付けられており、それぞれの空間は、開口11,12を形成して囲まれている。なお、開口11,12は互いに異なる方向に開口している。超小型ファン5によって半導体素子1が局所的に冷却され、互いに異なる方向に向かう開口を流通する空気によって筐体内の流動が誘起され、通気口7aから空気が取り入れられるとともに、筐体内の超小型ファンを取り付けた半導体素子1以外の発熱部品も冷却される。なお、必要に応じて超小型ファン22を設け、筐体内の空気を通気口7bを通して排気することによって超小型ファン5で誘起される空気流動を助長し、発熱部品が筐体内に高密度に搭載された場合においても効率よく冷却することができる。 本発明の他の実施例を図16に示す。本実施例では、電子装置は、発熱量の比較的大きい半導体素子1、比較的小さい半導体素子2群等を搭載した配線基板3が多数で構成される。各々の配線基板3に搭載された半導体素子1の近傍には超小型ファン5が、超小型ファン5と半導体素子1との間及び超小型ファン5と隣接する配線基板3aとの間に空間を形成して取り付けられており、それぞれの空間は、互いに異なる方向に開口した開口11を残して囲まれている。超小型ファン5によって半導体素子1が局所的に冷却され、互いに異なる方向に向かう開口を流通する空気によって筐体内の流動が誘起され、超小型ファン5を取り付けた半導体素子1以外の発熱部品も冷却される。なお、必要に応じて超小型ファン26を設け、筐体内の空気を排気することによって超小型ファン5で誘起される空気流動を助長し、発熱部品が筐体内に高密度に搭載された場合においても効率よく冷却することができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、超小型ファンに区分手段を付設したため、狭いスペ−ス内に搭載された半導体素子等の発熱部材が冷却されるとともに、筐体内への空気流入、筐体内の空気流動が誘起され、冷却によって温度上昇した空気が筐体内に滞留することなく、半導体素子を均一に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すの斜視断面図である。
【図2】図1の実施例の動作を説明する断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例の主要部分を示す構成図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図7】図6の実施例の動作を説明する断面図である。
【図8】図6の実施例の主要部分を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す斜視断面図である。
【図13】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図14】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図15】本発明を用いた電子装置を示す斜視断面図である。
【図16】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体素子
3 配線基板
5 超小型ファン
6 筐体壁
11 開口(ファン流入口)
12 開口(ファン吹出口)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気の通気孔を有する筐体に半導体素子を搭載した電子回路基板を収容し、前記半導体素子の近傍に該半導体素子を冷却する少なくとも一つの超小型ファンを設けてなる半導体冷却装置において、それぞれの超小型ファンの流入空気の流路とそれぞれの超小型ファンの吹出空気の流路とをそれぞれ区分して前記流入空気と前記吹出空気との混合を防止するとともに、前記流入空気と前記吹出空気とが誘起する気流により前記筐体の外部より空気を流入させかつ該筐体の内部の空気を流動させる区分手段を設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項2】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、誘起される気流により半導体素子及び他の発熱部材を冷却する流路を備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項3】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、前記半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン流入口と、前記超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲み前記ファン流入口より離間させて他方向に設けたファン吹出口とを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項4】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、前記半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン吹出口と、前記超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲み前記ファン吹出口より離間させて他方向に設けたファン流入口とを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項5】 請求項1記載の半導体冷却装置において、超小型ファンは、複数の回転翼で形成されていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項6】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、それぞれの空間を区分して前記超小型ファンの端部より前記半導体素子の面にほぼ平行に設けたつば状部材とを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項7】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、ファン吹出口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項8】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、ファン流入口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項9】 請求項1記載の半導体冷却装置において、超小型ファンは、回転翼の回転面を半導体素子面に対し傾斜させて設置され、傾斜側面と半導体素子との間を囲む板状部材を設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項10】 請求項1記載の半導体冷却装置において、超小型ファンは、複数の回転翼で長円筒形に形成され、該長円筒形の軸を半導体素子の上流でかつ該半導体素子の面とほぼ平行に配置するとともに、前記超小型ファンの側方と前記半導体素子との間を囲む板状部材を設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項11】 請求項1記載の半導体冷却装置において、半導体素子の搭載された電子回路基板に対向する壁は、他の電子回路基板又は搭載部品の壁であることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項12】 請求項1記載の半導体冷却装置において、筐体壁に設けた通気孔の近傍に、筐体内の空気を排気する超小型ファンを設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項13】 請求項1記載の半導体冷却装置において、半導体素子上に放熱フィンを設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1項記載の半導体冷却装置を筺体に収容し、少なくともキーボート及び表示装置を備えてなることを特徴とする電子装置。
【請求項1】 空気の通気孔を有する筐体に半導体素子を搭載した電子回路基板を収容し、前記半導体素子の近傍に該半導体素子を冷却する少なくとも一つの超小型ファンを設けてなる半導体冷却装置において、それぞれの超小型ファンの流入空気の流路とそれぞれの超小型ファンの吹出空気の流路とをそれぞれ区分して前記流入空気と前記吹出空気との混合を防止するとともに、前記流入空気と前記吹出空気とが誘起する気流により前記筐体の外部より空気を流入させかつ該筐体の内部の空気を流動させる区分手段を設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項2】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、誘起される気流により半導体素子及び他の発熱部材を冷却する流路を備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項3】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、前記半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン流入口と、前記超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲み前記ファン流入口より離間させて他方向に設けたファン吹出口とを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項4】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、前記半導体素子と超小型ファンとの間の空間を板状部材で囲み一方向に設けたファン吹出口と、前記超小型ファンと筐体壁との間の空間を板状部材で囲み前記ファン吹出口より離間させて他方向に設けたファン流入口とを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項5】 請求項1記載の半導体冷却装置において、超小型ファンは、複数の回転翼で形成されていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項6】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、半導体素子と超小型ファンとの間及び超小型ファンと筐体壁との間のそれぞれに設けた空間と、それぞれの空間を区分して前記超小型ファンの端部より前記半導体素子の面にほぼ平行に設けたつば状部材とを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項7】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、ファン吹出口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項8】 請求項1記載の半導体冷却装置において、区分手段は、ファン流入口の近傍の筐体壁に設けた複数の通気孔と、それぞれの通気孔より超小型ファンへ流路を形成するダクトとを備えていることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項9】 請求項1記載の半導体冷却装置において、超小型ファンは、回転翼の回転面を半導体素子面に対し傾斜させて設置され、傾斜側面と半導体素子との間を囲む板状部材を設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項10】 請求項1記載の半導体冷却装置において、超小型ファンは、複数の回転翼で長円筒形に形成され、該長円筒形の軸を半導体素子の上流でかつ該半導体素子の面とほぼ平行に配置するとともに、前記超小型ファンの側方と前記半導体素子との間を囲む板状部材を設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項11】 請求項1記載の半導体冷却装置において、半導体素子の搭載された電子回路基板に対向する壁は、他の電子回路基板又は搭載部品の壁であることを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項12】 請求項1記載の半導体冷却装置において、筐体壁に設けた通気孔の近傍に、筐体内の空気を排気する超小型ファンを設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項13】 請求項1記載の半導体冷却装置において、半導体素子上に放熱フィンを設けたことを特徴とする半導体冷却装置。
【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1項記載の半導体冷却装置を筺体に収容し、少なくともキーボート及び表示装置を備えてなることを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開平5−304379
【公開日】平成5年(1993)11月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−108256
【出願日】平成4年(1992)4月28日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【公開日】平成5年(1993)11月16日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)4月28日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
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