説明

半導体組立体のボンドを試験するためのシステム及び方法

【課題】半田などの溶融材料のボール又はバンプから形成されたボンドの引張強度を試験するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置を含み、該装置は、長手方向軸線を有するプローブと、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するためのヒーターと、プローブを支持するためのホルダと、ホルダ及び該ホルダ内に支持されるプローブを上昇及び降下させる作動装置と、ホルダに引張力を加え、これによりプローブに長手方向軸線に沿って引張力を加えるようにする手段と、引張試験中にプローブに加わる力を測定するための力測定システムと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体組立体のボンドの引張試験システム及び方法に関する。詳細には、本発明は、半田などの溶融材料のボール又はバンプから形成されたボンドの引張強度を試験するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCB及び/又は半導体組立体の生産で使用される製造プロセスの品質を試験するために、機械的破壊及び非破壊強度試験が実施される。通常、試験は、2つの材料間の電気的又は熱的連続性を提供するボンドに対して実施される。好適な形状及びサイズのボンドでは、ボンドを形成する材料の1つを把持、フック留め、又は剪断することによって試験荷重を加えることができる。
【0003】
典型的には、ボンドはPCB又は半導体基板の表面上の半田ボール又はバンプであるが、把持ジョーを用いたアクセスが困難な例外的形状又はサイズの場合のように、上記のような試験荷重の印加が実施可能ではないボンドが幾つか存在する。試験荷重を加える代替の手段として、ボンドを溶融させて、次いで該ボンドを試験ツールの周りに再固化できることは周知である。その結果、試験ツールを移動させて再固化されたボンドに試験荷重を加えることができる。引張試験に使用されるこのタイプのシステムの実施例は、米国特許第5,641,913号に記載されている。
【0004】
実際には、この動作原理は、引張試験の実施のためにボンドをフック留め又は把持するよう設計された既存のボンド試験機械を適合させることにより実施されている。このようにして現在使用されている機械は、英国Buckinghamshire州Aylesbury、Rabans Lane Industrial Area、Faraday Road、25所在のDage Holdings Limitedから入手可能なDage 4000 multifunction Bondtesterである。引張試験に通常使用されるフックには試験ピンが取り付けられる。試験ピンは、フックにより所定位置に保持され、該フックは、試験中に加えられる力を測定するための歪みゲージを備えたビームに直接取り付けられる。ピンの一方端には、フックを係合してピンの先端に力を伝達する90度曲げ部が形成される。システムは、ヒーター及び熱電対を機械的に支持する比較的大型のチタンブロックに挿入されるカートリッジヒーターを使用する。フックは、試験ピンの直線部分が、貫通して延びる閉鎖嵌合孔を通過するように、チタンヒーターブロック上に正確に位置合わせされる。
【0005】
この設備の動作方法は以下の通りである。試験されることになる試料は、水平方向可動テーブルに取り付けられたワークホルダーに堅固に組み込まれる。オペレータは、ジョイスティック制御器を用いて、通常は所要精度を得るために顕微鏡を利用して試料上の指定試験サイトを試験ピンの真下に移動させる。オペレータは、試験ピンの先端が試験されることになる半田ボール/バンプの上部に載るまでジョイスティック試験ピン組立体を用いて、電動垂直ステージに搭載されるロードセル全体及び試験ピン組立体を降下させる。試験ボタンが押され、チタンヒーターブロックを通じて所定温度までプローブを加熱する。半田ボール/バンプが溶融すると、試験ピンの最先端が自重により半田の溶融プールに落下する。所望の温度に達するとヒーターがオフになり、試験ピンの冷却が始まって半田を固化できるようになる。固化されると、ピン、半田、及びヒーターブロックは、これらに向けられる低温空気ジェットにより急激に冷却される。所定温度が達成されると、試験ピンは、半田ボール/バンプの本体に係止され、破壊引張試験を開始することができる。ロードセル組立体全体が自動的に上向きに駆動され、プルフックがピン及びひいてはボンドに軸方向荷重を加えるようになる。ロードセル内のビームが屈曲し、較正歪みゲージが力を計測する。ボンドが損なわれると、歪みゲージが力の低下を確認し、故障前の最大力が記録される。次いで、記録された力はデータベース内に記憶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,641,913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このボンド試験装置及び方法には、測定精度、作動速度、及び利便性の点で幾つかの欠点があり、これらの欠点の一部又は全てを克服すること、或いは少なくとも有用な代替策を提供することが本発明の目的である。
【0008】
本発明は、添付の独立請求項において定義され、該請求項を参照されたい。本発明の好ましい態様は、従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置を含み、該装置は、長手方向軸線を有するプローブと、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するためのヒーターと、プローブを支持するためのホルダと、ホルダ及び該ホルダ内に支持されるプローブを上昇及び降下させる作動装置と、ホルダに引張力を加え、これによりプローブに長手方向軸線に沿って引張力を加えるようにする手段と、引張試験中にプローブに加わる力を測定するための力測定システムと、を備え、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱した後、該プローブ先端がボンドと接触し、プローブの加熱によってボンドが溶融し、冷却され固化されて、ボンド内にプローブ先端を固定し、次いでプローブは、力測定システムにより測定された引張力をボンドに加える引張力印加手段によって後退される。
【0010】
プローブの長手方向軸線に沿って引張力を加えることにより、従来技術と比べて測定精度が改善される。曲がったプローブピンを利用する従来技術のシステムにおいて、試験ピンの曲げにより加わる力は、試験サイトの真上にはなく、小さな曲げモーメントを発生する。これはまた、ヒーターブロックにおいて試験ピンと孔との間の摩擦を増大させる結果となり、力測定に悪影響を及ぼす可能性がある。プローブの長手方向軸線と一致して力を加えることにより、曲げモーメントが排除され、摩擦問題が低減される。
【0011】
更に、従来技術のシステムにおいて、試験ピンに係合するプルフックにより加えられる最大力は、試験ピンの曲げ強度により制限される。この最大力を超えると、ピンが真っ直ぐになる。曲げ部を通らずにプローブの長手方向軸線と一致して引張力を加えることによってこの問題が回避される。
【0012】
好ましくは、プローブは、プローブ保持機構によりホルダに結合される直線ピンである。好ましくは、プローブは、クランプ機構によりホルダ内に保持される。好ましくは、クランプ機構は、プローブの長手方向軸線にクランプ力を提供する。直線プローブピンと共にこのタイプのクランプを使用することにより、試験完了時にプローブを装置から容易に取り外すもとが可能になる。対照的に、従来技術のシステムにおいて、試験が完了すると試験ピンは、一方端に半田ボールと他方端に曲げ部とを有するので、ヒーターブロックにおいて機械的に捕捉される。これは、ピンを切断するか、或いは、サイクルを再実施し、プローブを取り外すことができるように、溶融している間に半田ボールを手動で取り除く必要があることを意味している。これは、作動速度だけでなく、コストにも大きな影響がある。試験ピンは、消耗品として精密に形成され、比較的高価であるので、クリーニングして再使用できることが望ましい。
【0013】
また、直線状のクランプピンを使用すると、ホルダは、単に、装荷トレイ内に垂直方向に保持されるピン上に押し下げて、その結果クランプすることができるので、オペレータは、プローブの装荷中にホルダの高温の端部との接触をあまり必要としない。更に、熱シールドをヒーターの周りに設けて、作動の加熱段階中に熱傷のリスクを軽減し、プローブからの望ましくない熱損失を低減することができる。対照的に、従来技術システムでは、プローブの手動装荷が必要であり、より時間が掛かり煩わしい。また、特に半田ボールが試験後に再溶融された場合、ホルダの一部は高温になる可能性があるので、ホルダに接触したときにオペ-レータが熱傷のリスクに曝される。
【0014】
プローブが堅固にクランプされると、押し込み試験及び引張試験の両方を実施することができる。また、負荷が、所定の力まで又は固定サイクル数まで圧縮試験と引っ張り試験との間で循環される疲労試験を実施することができる。従来技術のシステムでは、ピンに押し込み力を加えることはできなかった。従って、押し込み試験及び疲労試験は、従来技術のシステムでは実施可能ではなかった。
【0015】
好ましくは、クランプ機構は空気圧により作動される。しかしながら、例えば、電気又は磁気機構など、あらゆる好適な作動機構を用いることができる。クランプ機構は、プローブを囲み、テーパー付き外部表面を有するコレットと、ピストンとを含むことができ、使用時にはピストンの作動により、該ピストンがテーパー付き外部表面に沿って移動するようになり、又はテーパー付き外部表面をホルダの別の表面に対して駆動してプローブ周りにコレットをクランプするようにする。これに加えて又は代替として、手動作動のクランプ機構を設けることもできる。好ましくは、コレットはクランプ解除位置に付勢される。
【0016】
好ましくは、ヒーターは、プローブの少なくとも一部を囲む熱伝導性管体と、該管体の少なくとも一部を囲む加熱素子とを含む。このようにして、熱源が従来技術よりも遙かに試験ピンに近接しており、試験を実施するのに必要なエネルギー並びに全サイクルを実施する時間が削減される。
【0017】
好ましくは、ヒーターワイヤーは、該ヒーターワイヤーを加熱する役割を果たす電源に接続される。好ましくは、熱伝導性管体は電気的に絶縁される。好ましくは、熱伝導性管体は、セラミック材料から形成される。好適なセラミック材料の1つの実施例は、英国CW1 6UA Weston Road, Crewe, Crewe Hallbに所在のDynamic Ceramic Ltdから入手可能な窒化アルミニウム/窒化ホウ素セラミック複合材である。
【0018】
好ましくは、本装置は更に、プローブに隣接して配置される熱電対を含む。好ましくは、熱電対は熱伝導性管体上に配置され、より好ましくは使用時に供試のボンドに最も近い熱伝導性管体の端部に配置される。電気的に絶縁された管体により、熱電対を管体上に直接置くことが可能になる。熱電対を用いて、ボンド試験の加熱段階中又は冷却段階中の両方でプローブの温度を判定することができる。プローブの温度は、ボンド試験全体を通じて記録し制御することができる。製造中に実施されるプロセスを可能な限り密接に似せるように供試のボンドの溶融及び冷却を制御するのが有利である。これにより、供試のボンドの形成及びその材料特性が製造されたボンドと確実に一致するようになる。
【0019】
好ましくは、本装置は、プローブを冷却する冷却システムを含む。好ましくは、冷却システムは、圧縮空気源と、該圧縮空気源に接続され且つプローブの近傍に圧縮空気の流れを提供するよう構成されたノズル又は出口と、圧縮空気源からノズル又は出口への圧縮空気の供給を制御するよう構成されたバルブと、を備える。
【0020】
好ましくは、本装置は更に、試験されることになる半導体試料が装着される可動プラットフォームを含む。好ましくは、プローブのアレイも可動プラットフォーム上に装着される。プローブのアレイを有することにより、好ましくはキャリアトレイに予め装荷され、試験サイトにおける教示の位置では自動試験ルーチンが可能である。電動制御装置を用いて、ホルダ及びプラットフォームを互いに対して移動させ、プローブの引き上げ、試験の実施、次いで使用プローブの収集容器への沈下を自動化することができる。
【0021】
別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置を含み、該装置は、プローブと、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するためのヒーターと、プローブを支持するためのホルダと、ホルダ及び該ホルダ内に支持されるプローブを上昇及び降下させる作動装置と、ホルダに引張力を加え、これによりプローブに引張力を加えるようにする手段と、引張試験中にプローブに加わる力を測定するための力測定システムと、を備え、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱した後、該プローブ先端がボンドと接触し、プローブの加熱によってボンドが溶融し、冷却され固化されて、ボンド内にプローブ先端を固定し、次いでプローブは、力測定システムにより測定された引張力をボンドに加える引張力印加手段によって後退され、ヒーターは、プローブの少なくとも一部を囲む熱伝導性管体と、該管体の少なくとも一部を囲む加熱素子とを含む。
【0022】
このヒーター構成では、熱源が従来技術よりも遙かに試験ピンに近接しており、試験を実施するのに必要なエネルギー並びに全サイクルを実施する時間が削減される。加熱及び冷却に必要な熱質量も有意に低減される。これにより試験プロセスが迅速化する。
【0023】
好ましくは、ヒーターワイヤーは、該ヒーターワイヤーを加熱する役割を果たす電源に接続される。好ましくは、熱伝導性管体は導電性ではない。好ましくは、熱伝導性管体はセラミック材料から形成される。
【0024】
好ましくは、本装置は更に、プローブに隣接して配置される熱電対を含む。好ましくは、熱電対は熱伝導性管体上に配置され、より好ましくは使用時に供試のボンドに最も近い熱伝導性管体の端部に配置される。熱電対を用いて、ボンド試験の加熱段階中又は冷却段階中の両方でプローブの温度を判定することができる。プローブの温度は、ボンド試験全体を通じて記録し制御することができる。製造中に実施されるプロセスを可能な限り密接に似せるように供試のボンドの溶融及び冷却を制御するのが有利である。これにより、供試のボンドの形成及びその材料特性が製造されたボンドと確実に一致するようになる。
【0025】
本装置は更に、好ましくは、作動の加熱段階中に熱傷のリスクを軽減し、プローブからの望ましくない熱損失を低減するためにヒーターの周りに熱シールドを含む。
【0026】
好ましくは、本装置は、プローブを冷却する冷却システムを含む。好ましくは、冷却システムは、圧縮空気源と、該圧縮空気源に接続され且つプローブにおいて圧縮空気のジェットを配向するよう構成されたノズル又は出口と、圧縮空気源からノズル又は出口への圧縮空気の供給を制御するよう構成されたバルブと、を備える。
【0027】
好ましくは、プローブは長手方向軸線を有し、ホルダが該プローブの長手方向軸線に沿ってプローブへの引張力を加える。
【0028】
好ましくは、プローブは、プローブ保持機構によってホルダに結合される直線ピンである。好ましくは、プローブは、クランプ機構によりホルダ内に保持される。好ましくは、クランプ機構は、プローブの長手方向シャフトにクランプ力を提供し、シャフトの周りに対称的に配置される。
【0029】
好ましくは、クランプ機構は空気圧により作動される。しかしながら、例えば、電気又は磁気的に作動することができるあらゆる好適なクランプ機構を用いることができる。クランプ機構は、プローブを囲み、テーパー付き外部表面を有するコレットと、ピストンとを含むことができ、使用時にはピストンの作動により、該ピストンがテーパー付き外部表面に沿って移動するようになり、又はテーパー付き外部表面をホルダの別の表面に対して駆動してプローブ周りにコレットをクランプするようにする。これに加えて又は代替として、手動作動のクランプ機構を設けることもできる。好ましくは、コレットはクランプ解除位置に付勢される。
【0030】
好ましくは、本装置は更に、試験されることになる半導体試料が装着される可動プラットフォームを含む。好ましくは、プローブのアレイも可動プラットフォーム上に装着される。プローブのアレイを有することにより、好ましくはキャリアトレイに予め装荷され、試験サイトにおける教示の位置では自動試験ルーチンが可能である。電動制御装置を用いて、ホルダ及びプラットフォームを互いに対して移動させ、プローブの引き上げ、試験の実施、次いで使用プローブの収集容器への浸漬を自動化することができる。
【0031】
別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体上のボンドを試験する方法を含み、該方法は、熱伝導性プローブの先端をボンドに付ける段階と、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱する段階と、ボンドが固化する温度までボンド内に埋め込まれたプローブの先端を冷却する、又は冷却可能にする段階と、プローブに引張力を加える段階と、引張力を加える段階の間にプローブに加えられる力を記録する段階と、を含み、プローブが長手方向軸線を有し、引張力を加える段階が、プローブの長手方向軸線に沿ってプローブに引張力を加える段階を含む。
【0032】
好ましくは、本方法は、加熱段階中にプローブに力を加えて、ボンドが溶融したときにプローブをボンド内に押し込む段階を含む。或いは、本方法は、加熱段階中にプローブをボンド上に載せ、ボンドが溶融したときにプローブをその自重によりボンド内に沈下させることを可能にする段階を含む。
【0033】
更に別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体上のボンドを試験する方法を含み、該方法は、熱伝導性プローブの先端をボンドに付ける段階と、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱する段階と、ボンドが固化する温度までボンド内に埋め込まれたプローブの先端を冷却する、又は冷却可能にする段階と、プローブに引張力を加えて半導体組立体からボンドを除去する段階と、引張力を加える段階の間にプローブに加えられる力を記録する段階と、を含み、加熱段階が、プローブの少なくとも一部を囲む熱伝導性管体と管体の少なくとも一部を囲む加熱素子とを提供して、加熱素子に電流を通してプローブを加熱する段階を含む。
【0034】
別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体上のボンドを試験する方法を含み、該方法は、直線ピンを含む熱伝導性プローブをプローブホルダにクランプする段階を含み、該プローブをクランプする段階が、プローブがホルダ内に位置付けられるようにプローブホルダ及びプローブを互いに対して移動させ、プローブの長手方向シャフトをクランプする段階を含み、該方法が更に、プローブの先端をボンドに付ける段階と、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱する段階と、ボンドが固化する温度までボンド内に埋め込まれたプローブの先端を冷却する、又は冷却可能にする段階と、プローブホルダを通じてプローブに引張力を加え、引張力を加えている間にプローブに加えられる力を記録する段階と、プローブホルダからプローブを解放する段階とを含む。
【0035】
好ましくは、プローブがホルダ内に位置付けられるようにプローブホルダ及びプローブを互いに対して移動させる段階が、自動制御により実施される。
【0036】
好ましくは、プローブがホルダ内に位置付けられるようにプローブホルダ及びプローブを互いに対して移動させる段階が、プローブがプローブホルダと整列された後、該プローブホルダをプローブにわたって垂直方向に移動させる段階を含む。
【0037】
好ましくは、本方法は更に、容器をプローブホルダの真下の位置に移動させる段階と、次いで、引張力を加える段階と、を含み、プローブホルダからプローブを解放するステップが、容器内にプローブを放出する段階を含む。
【0038】
好ましくは、クランプ段階が、自動制御によりプローブの長手方向シャフトの周りにコレットをクランプする段階を含む。
【0039】
更に別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置を含み、該装置は、直線状の熱伝導性ピンを含むプローブと、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するためのヒーターと、プローブを支持し、該プローブにクランプ力を加えるように構成されるクランプ機構を含むホルダと、ホルダ及び該ホルダ内に支持されるプローブを上昇及び降下させる作動装置と、ホルダに引張力を加え、これによりプローブに引張力を加えるようにする手段と、引張試験中にプローブに加わる力を測定するための力測定システムと、を備え、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱した後、該プローブ先端がボンドと接触し、プローブの加熱によってボンドが溶融し、冷却され固化されて、ボンド内にプローブ先端を固定し、次いでプローブは、力測定システムにより測定された引張力をボンドに加える引張力印加手段によって後退される。
【0040】
直線プローブの使用により、ホルダへのプローブの装荷が容易化且つ自動化することができる。ホルダは、単に、整列プローブピン上に押し下げて、そのシャフトの周りにクランプすることのみ必要とする。対照的に、フックと係合した曲げプローブピンを用いた従来技術システムでは、プローブピンの装荷を手動で行う必要があり、相当な器用さを必要とする。
【0041】
好ましくは、本装置は更に、所定位置に配置された複数のプローブと、ホルダ及びプローブの少なくとも1つとを互いに対して移動させてプローブをホルダと整列させるように構成された自動プローブ装荷機構とを含む。好ましくは、本装置は更に、プローブホルダの真下に位置付けられて試験後に使用したプローブを受けることができる収集容器を含む。
【0042】
好ましくは、本装置は更に、試験されることになる半導体試料が装着される可動プラットフォームを含む。好ましくは、プローブのアレイも可動プラットフォーム上に装着される。プローブのアレイを有することにより、好ましくはキャリアトレイに予め装荷され、試験サイトにおける教示の位置では自動試験ルーチンが可能である。自動プローブ装荷機構を用いて、ホルダ及びプラットフォームを互いに対して移動させ、プローブの引き上げを自動化することができる。次いで、試験を実施し、使用したプローブを収集容器内に沈下することができる。
【0043】
更に別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置を含み、該装置は、所定位置に位置付けられた複数の熱伝導性プローブと、該プローブを支持し、プローブにクランプ力を提供するよう構成されたクランプ機構を含むホルダと、ホルダ及びプローブの少なくとも1つとを互いに移動させて該プローブをホルダと整列させるよう構成された自動プローブ装荷機構と、ホルダ及び該ホルダ内に支持されるプローブをボンドに向けて及びボンドから離れる方向に移動させる作動装置と、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するヒーターと、引張試験中にプローブに加わる力を測定するための力測定システムと、を備え、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱した後、該プローブ先端がボンドと接触し、プローブの加熱によってボンドが溶融し、冷却され固化されて、ボンド内にプローブ先端を固定し、次いでプローブは、力測定システムにより測定された引張力をボンドに加える引張力印加手段によって後退される。
【0044】
好ましくは、自動プローブ装荷機構は、電子コントローラと、複数のプローブの各々の位置が記憶されるメモリとを含む。
【0045】
好ましくは、本装置は更に、プローブホルダの真下に位置付けられて試験後に使用したプローブを受けることができる収集容器を含む。好ましくは、自動プローブ装荷機構は、プローブホルダに対する収集容器の位置を制御するよう構成される。
【0046】
好ましくは、本装置は更に、試験されることになる半導体試料が装着される可動プラットフォームを含む。好ましくは、プローブのアレイも可動プラットフォーム上に装着される。プローブのアレイを有することにより、好ましくはキャリアトレイに予め装荷され、試験サイトにおける教示の位置では自動試験ルーチンが可能である。自動プローブ装荷機構を用いて、ホルダ及びプラットフォームを互いに対して移動させ、プローブの引き上げを自動化することができる。次いで、試験を実施し、使用したプローブを収集容器内に沈下することができる。
【0047】
好ましくは、複数のプローブの各々は、直線状の熱導電性ピンを含む。各プローブは、直立して構成することができ、その結果、使用時にホルダを各プローブ上に降下させ、試験の実施前にプローブをクランプできるようにする。試験後、使用したプローブはクランプ解除することができ、ホルダの外に滑動させることができ、或いは単に自重でホルダの外に落としてもよい。
【0048】
別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体上のボンドを試験する方法を含み、該方法は、複数の熱伝導性プローブを所定位置に提供する段階と、プローブの少なくとも1つとプローブホルダとを自動制御により互いに移動させて、当該プローブをプローブホルダと整列させる段階と、プローブをプローブホルダにクランプする段階と、プローブ及びホルダをボンドに対して移動させてプローブの先端をボンドに付ける段階と、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱する段階と、ボンドが固化する温度までボンド内に埋め込まれたプローブの先端を冷却する、又は冷却可能にする段階と、プローブホルダを通じてプローブに引張力を加えて、引張力を加える段階の間にプローブに加えられる力を記録する段階と、プローブホルダに対して容器を移動させる段階と、プローブをプローブホルダから容器に解放する段階と、を含む。
【0049】
プローブの少なくとも1つとプローブホルダとを自動制御により互いに移動させて、当該プローブをプローブホルダと整列させる段階が、プローブの少なくとも1つをプローブホルダの真下の位置に横方向に移動させる段階を含む。
【0050】
好ましくは、複数の熱伝導性プローブを所定位置に提供する段階が、プローブを可動プラットフォームに保持するキャリアトレイを装着する段階を含む。
【0051】
好ましくは、複数のプローブの各々は直線状の熱伝導性ピンを含む。
【0052】
更に別の態様において、本発明は、半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置を含み、該装置は、プローブと、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するためのヒーターと、プローブを支持するためのホルダとを備え、該ホルダが、プローブを保持するクランプと、クランプに結合され且つ作動位置と静止位置とを有し該静止位置から作動位置への移動によりクランプがプローブの周りで締め付けられるようになる駆動機構と、駆動機構に結合されて該駆動機構の静止位置を調整するよう構成された手動調整機構とを含み、本装置が更に、ホルダ及び該ホルダ内に支持されるプローブを使用時にボンドに向けて及びボンドから離れて移動させる作動装置と、引張力をプローブに加える手段と、引張試験中にプローブに加わる力を測定するための力測定システムと、を備え、プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱した後、該プローブ先端がボンドと接触し、プローブの加熱によってボンドが溶融し、ボンドが冷却され固化されて、ボンド内にプローブ先端を固定し、次いでプローブは、力測定システムにより測定された引張力をボンドに加える引張力印加手段によって後退される。
【0053】
好ましくは、クランプはコレットである。好ましくは、駆動機構は、空気圧又は油圧制御システムに結合されるピストン及びシリンダである。好ましくは、ピストンはコレットに当接し、手動調整機構は、ピストンの静止位置を調整するよう構成される。
【0054】
好ましくは、手動調整機構は、自動クランプ機構を作動させることなく、引張試験前にプローブを摩擦嵌めでクランプ内に保持できるようにする。続いて、引張試験中に、自動クランプ機構を作動させることにより大きなクランプ力を加えることができる。
【0055】
好ましくは、手動調整機構は、自動クランプ機構の変わりに交互に用いて、ボンドに引張試験を適用するのに十分な程にクランプをプローブ周りで締め付けることができる。
【0056】
添付図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明によるボンド試験装置の正面図である。
【図2】図1の装置の断面図である。
【図3】図2の部分Aの詳細図である。
【図4】図3のプローブクランプシステムの概略図である。
【図5】図3の部分Bの詳細図である。
【図6】図5に部分的に示す冷却システムの概略図である。
【図7】カバーを取り外した状態の図1及び2に示すカートリッジ組立体の詳細図である。
【図8】力測定を行うための図7の歪みゲージの使用方法を示す回路図である。
【図9】本発明による装置の制御機構を示す概略図である。
【図10】本発明によるボンド試験の方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、本発明によるボンド試験機械の正面図である。図2は、線X−Xを通る同じ機械の側断面図である。本機械は、ステージテーブル1を含み、その上に試験されることになる1つ又は複数のボンドを有する半導体組立体2が実装される。
【0059】
図1及び2に示す機械は、ボンド、及び詳細には半田ボンドに対して引張試験及び押し込み試験を実施するよう構成される。プローブ3は、垂直方向可動カートリッジ組立体4内に保持される。プローブは、ボンドと接触し、ボンドを溶融し、溶融ボンド内に沈下させ、ボンドを冷却して固化し、次いで、ボンドに引張力を加えてその強度を試験するのに使用される。
【0060】
図1及び2に示す機械は、機械の可動部分が取り付けられる固定シャーシ5を含む。シャーシ5は、作業台又はテーブル上に着座するよう設計される。シャーシ5には、可動ステージテーブル1が取り付けられ、ここには供試の試料2が装着される。ステージテーブル1は、本明細書ではX−Y平面と呼ばれる水平方向平面でシャーシ5に対して移動可能である。このステージテーブル1の移動は、ステッパ又はサーボモータ(図示せず)を用いて達成され制御される。試料ホルダ6は、ネジ付きボルト及びナット組立体を用いてステージテーブル1に固定されるが、あらゆる好適な固定手段を用いてもよい。試料ホルダは、様々なサイズの半導体試料を保持できるクランプを備える。クランプはハンドル7を用いて調整される。このタイプのステージテーブル及び試料ホルダ構成はよく知られており、英国Buckinghamshire州Aylesbury、Rabans Lane Industrial Area、Faraday Road、25所在のDage Holdings Limitedから入手可能なDage 4000 multifunction Bondtesterにおいて見ることができる。しかしながら、供試の組立体は、複数の異なる手段によりテーブル上の所定位置に固定することができる。真空チャックを用いて、より大きな基板又は装置をテーブルに固定することができる。図にはまた、ステージテーブル上に配置されたプローブ80のトレイが示される。
【0061】
機械はまた、プローブ3が結合されるカートリッジ組立体4を含む。カートリッジ4及びプローブ3は、シャーシ5及びステージテーブル1に対して半導体組立体の表面に垂直である垂直方向(本明細書ではZ方向と呼ばれる)で移動可能である。シャーシ5に対するカートリッジ4及びプローブ3の移動は、この場合も同様に、シャーシ5に装着される送りネジ又はボールネジ8を駆動するためのステッパ又はサーボモータ(図示せず)を用いて達成される。カートリッジ4は、このボールネジ上のナットに装着されるので、ネジが回転するときに上方又は下方に移動するが、当該技術分野で周知のソレノイドのような他の好適な駆動機構を用いてもよい。図1及び2に示す垂直駆動機構は、上記で参照したDage 4000 multifunction Bond Testerにおいて見出すことができる。
【0062】
機械は通常、パーソナルコンピュータ(PC)により制御され、キーボード及びスクリーン及び1つ又はそれ以上のジョイスティック(図示せず)など好適なユーザインタフェースを含む。機械はまた、供試の試料に向けられる顕微鏡9を含み、プローブの正確な位置決めを支援する。これらのユーザ制御機能はまた、上記で参照したDage 4000 multifunction Bond Testerにおいて見出すことができる。
【0063】
図3は、図2のプローブ、及びカートリッジのプルシャフトに装着される様態を詳細に示している。プローブ3は、コレット12を用いてクランプに保持される熱伝導性ピンを含み、コレット12は、プローブハウジング11内でプルシャフト10に結合される。プローブシャフトの先端は、コーティング又は半田浸漬されて、供試のボンドと接触したときに良好な濡れ作用を保証する。
【0064】
プルシャフトにプローブをクランプするのに使用するクランプ機構は、空気圧により駆動される。しかしながら、電気又は磁気アクチュエータに基づく他の機構も同様に用いることができる。クランプ機構は、プローブ3のシャフトの一部を囲む鋼鉄コレット12を含む。コレット12は、コレットを収容するシリンダ14内を移動するピストン13の作用によって、プローブのシャフト周りに緊密にクランプされる。シリンダ14は、該シリンダ14の底面にネジ止めされるシリンダ端部キャップ14により閉鎖される。ピストン13は、コレット12に当接して、該コレット12のテーパー付き外面をシリンダ端部キャップ14aの対応するテーパー付き部分に駆動することにより、プローブ3の上端周りにコレット12をクランプする。ピストンは、圧縮空気を用いて空気圧により駆動され、該圧縮空気は、ピストン13とシリンダ14との間に設けられるピストンチャンバ13aに供給される。Oリング15、16は、ピストンとシリンダの間、並びにピストンとプルシャフトとの間にシールを形成するのに使用される。プローブのバックストップ17がプルシャフト10上に設けられ、ホルダ内のプローブ3の移動を制限する。図示の実施形態において、ピストン、シリンダ、及びプルシャフトは全て、鋼鉄から形成される。バネ18がピストン13とシリンダ端部キャップ14aとの間に設けられ、ピストン13に作用する空気圧による力が存在しない場合に、ピストン13をコレット12から離れるよう付勢する。クランプ機構はまた、図4に概略的に示される。図4は、シャーシに装着できる圧縮空気40の供給源に接続されたピストンチャンバ13aを示す。ピストン13を駆動するための圧縮空気40の供給は、以下で説明するように電気的に制御される供給バルブ41により調節される。クランプを解放するためのピストンチャンバ13aからの圧縮空気の排出は、この場合も同様に電気的に制御される排気バルブ42により制御される。
【0065】
他のクランプ構成も実施可能である。例えば、ピストンを用いて、コレットのテーパー付き面に沿って移動させることにより、プローブ周囲にピストンを押し込むことができる。或いは、コレットの代わりに、プローブシャフトに当接させる直接作動のクランプ部材を利用してもよい。直線プローブピンを使用することを組み合わせた、これら全てのクランプ構成の利点は、ホルダからプローブへの装荷及び非装荷を容易にすることができ、完全自動化プロセスにすることができる点である。
【0066】
手動クランプ調整機構19、20もまた設けられ、上述の空気圧によるクランプ機構の代わりに、又はこれに加えて用いることができる。空気圧によるクランプ機構に加えて用いる場合、手動クランプ調整機構は、ピストンの静止位置を設定し、よってコレット12の内面を開放又は閉鎖するのに使用される。手動クランプ調整機構は、シリンダ14の後方のネジ山に取り付けられる。プレート19は、下向きに延びる3つのダウウェルピン20の一方の端部に当接し、該ピンはまた、他方の端部にてピストン13の背面に当接する。プレートは、プレート19を回転させることによってネジ山上で下方又は上方に移動することができる。プレート19が下方に移動するとコレット12が閉鎖される。プレート19が上方に移動するとコレット12が開放される。手動クランプ調整機構は、プローブ3を堅固に固定する程度に下向きに離れて移動するまで環状プレートを単に回転させることによって、空気圧によるクランプ機構を必要とすることなく単独で用いることもできる。
【0067】
プローブ3、詳細にはボンドが溶融するように供試のボンドと接触してプローブの当該部分を加熱するため、プローブ3の下側部分の周りにヒーターが設けられる。ヒーターは、プローブ34の周りに密着するセラミック管体21と、管体21の外側表面の周りに巻かれ、或いはその外側表面上に置かれるヒーターワイヤー22とを含む。管体21は、0.95mm厚の壁を有する、熱伝導性であるが電気的に絶縁性のセラミックから形成される。セラミック管体の材料は、窒化アルミニウム/窒化ホウ素セラミック複合材である。ヒーターワイヤー22は抵抗加熱により熱を提供する。ワイヤー22は、電源(図3では見えない)に接続される。電流がワイヤーを通過してセラミック管体21及びプローブ3を加熱する。ワイヤーは、ニッケルクロム(ニクロム)から形成される。セラミック管体21は、外側表面上に溝を備えて形成することができ、該溝は、ヒーターワイヤー22を受けて良好な熱的接触を確保する。抵抗加熱の代替手段又はこの追加として、例えば、誘導加熱又は高温の1つ又は複数のジェットの使用など、他の形態の加熱を用いることもできる。ヒーターとクランプ組立体との間に断熱障壁23が設けられる。ヒーター組立体の周りに熱シールド24が設けられる。
【0068】
熱電対30は、セラミック管21の底端部上に位置付けられる。熱電対30は、プローブ温度、よって供試のボンド31の温度の指標を提供する。熱電対はK型熱電対である。このタイプの好適な熱電対は、英国マンチェスター所在のOmega Engineering LimitedのM44 5BDから入手可能である。これは図5に詳細に示される。熱電対30を用いて、引張試験の種々の段階を実施するタイミングを決定し、溶融及び固化段階の温度分布を半導体組立体の製造プロセスの温度分布に密接に似せるよう制御することができる。加熱及び冷却の速度は、ボンドの材料特性に影響を及ぼす可能性がある。
【0069】
図6に概略的に示す冷却組立体はまた、供試のボンド31が溶融するとプローブ3を迅速に冷却するために設けられる。冷却組立体は、プローブの近傍において圧縮空気のジェットを提供することによって作動する。圧縮空気60の供給源は、ヒータシールド24内でプローブ3に近接してノズル25に接続される。電気的に制御可能なバルブ61が圧縮空気60の供給源(クランプ機構に使用される圧縮空気40の供給源と同じ又は異なるものとすることができる)と、ノズル25との間に設けられる。空気供給源60、バルブ61、及びノズル25間の接続は、好適な可撓性又は剛体ホースによって形成することができる。空気供給源は、シャーシに装着できる圧縮空気のシリンダとすることができる。バルブ61を制御するのに使用される制御電子回路62もまた図6に示されている。他の形態の冷却を代替手段として提供してもよい。例えば、プローブ及びボンドにわたる非圧縮空気の流れを生成するファンを用いることができ、或いは、プローブ及びボンドは、単に自力で周囲温度を冷却させるようにしてもよい。
【0070】
セラミック管体21及びプローブ3は、従来技術のヒーターブロックと比べて比較的低い熱質量を有し、よって加熱冷却サイクルが遙かに迅速である。
【0071】
図7は、カートリッジ組立体4及びプローブ10に懸かる力が検出される様態を示す。カートリッジは、送りネジ8上のナットに堅固に接続された剛体バックプレート70を含む。図2を参照されたい。アルミニウムカンチレバーアーム71a及びbのペアは、その一方端においてボルト75を用いてバックプレート70に固定され、その両端部においてZ方向に自由に屈曲する。このタイプのカンチレバーアーム71a及びbは周知であり、上記で参照したDage 4000 multifunction Bond Testerにおいて見出すことができる。プルシャフト10は、カンチレバーアーム71a及びbの自由端部に設けられたアパーチャを通り、プルシャフト10のネジ部に取り付けられるナット72を用いてカンチレバーアーム71a及びbに堅固に固定される。明らかに、カンチレバーアームへのプルシャフトの他の取付手段も実施可能である。
【0072】
Z方向でプルシャフト10に作用する何らかの力は、カンチレバーアーム71a及びbを屈曲させる。プルシャフト10に作用する力を測定するために、歪みゲージ73a、73b(図では見えない)は、カンチレバーアーム71aの対向する面上に配置される。アーム71aの屈曲は、歪みゲージを変形させ、プルシャフトに作用する力の測定値を記録できるようになる。このタイプの力測定システムは、例えば、米国特許63019712及び上述のDage 4000 multifunction Bond Testerから知られている。
【0073】
温度補償素子76は、カンチレバーアーム71a及びbを備える。図8は、4つの歪みゲージ及び温度補償素子76を用いた回路構成を示している。回路は、歪みゲージ用にホイートストン・ブリッジを用いており、励起電圧Vexciteを用いて励起される。出力電圧Voutは、プルシャフト10に作用する力の指標である。
【0074】
歪みゲージは、引張又は押し込み試験の間のプルシャフトに作用する力を検出するだけでなく、試験開始前にプローブの初期位置決めの間にプローブが供試のボンドに接触するタイミングを判定するのに使用される。プローブが半導体組立体と接触したときのカンチレバーアームの小さな曲げが検出され、次いで、Z方向の駆動が停止されてボンド又は基板への損傷を阻止する。
【0075】
図9は、装置の様々な部分の制御に関する概略図である。本装置は、パーソナルコンピュータ(PC)90上で動作するアプリケーションソフトウェア91により制御される。装置の種々の部品に対する専用電子回路が設けられ、アプリケーションによって制御される。カートリッジ組立体4のZ方向駆動93用、及びステージテーブル1のX−Y平面駆動94用にモーション制御電子回路92が設けられる。クランプの作動を制御するため、特にバルブ41及び42を制御するためにクランプ電子回路95も設けられる。
【0076】
ヒーター97及び冷却システム98を制御する温度検知及び制御電子回路96が設けられる。熱電対30からの信号は、加熱及び冷却サイクルを開始及び終了させるため温度制御電子回路96により使用される。
【0077】
歪みゲージ73、74を作動させるため、及びこれら歪みゲージの出力からプルシャフトに作用する力の測定値を判定するために、力測定及びタッチダウン検知電子回路99が設けられる。上述のように、歪みゲージ73a及びb、74a及びbからの信号は、プローブが最初に位置付けられたときにZ方向駆動を停止するためのタッチダウンセンサとして使用される。
【0078】
図10は、本発明によるボンド試験で実施されるステップを示すフロー図である。
【0079】
本プロセスの第1のステップは、プルシャフトにプローブ3を装荷することである。これは、ステップ100として示される。これは、プローブをホルダ内に手動で装荷し、次いでこれを手動又は自動的に所定位置にクランプすることによって達成することができる。或いは、本プロセスは完全に自動化してもよい。ステージテーブル1は、プローブ80のアレイ内の1つのプローブがプルシャフト10のすぐ真下に配置されるように移動することができる。ステージテーブル上のプローブの位置を記録することによって、ステージテーブルは、次のプローブピンを所定位置に自動的に移動させるよう制御することができる。次に、カートリッジ組立体は、プローブが所定位置になるまでZ方向送りネジ駆動装置を用いて降下される。
【0080】
次いで、ステップ105において、ピストン13を作動させることによりプローブをクランプすることができ、或いは、ピストンを作動させることなく、このステージでクランプが必要ではないように重量に抗してプローブを所定位置に支持する程コレットを十分に緊密にしてもよい。次に、プローブ及びカートリッジ組立体は、ステージテーブル1上の所定距離に引き寄せられる。
【0081】
次いで、ステップ110において、ステージテーブルは、試験されることになるボンド311がプローブの真下にあるように移動される。これは、顕微鏡及びジョイスティック制御器を用いて手動で行うことができる。或いは、ステージテーブル上のボンドの位置が既知で電気的に記録されている場合には自動的に行うこともできる。
【0082】
次に、ステップ115において、プローブ3は、Z方向駆動装置を用いて試験されることになるボンド31に向かって下方に移動させる。ステップ120において、歪みゲージ73、74からの出力を用いてボンド31との接触が検出され、次いで、ステップ125において、Z方向駆動装置を停止する。
【0083】
ステップ130において、プローブがクランプ解除され、又はクランプが緩められ、プローブ3がボンド31の上部に載るようになる。次にステップ135において、ヒーターが作動してプローブを加熱し、よってボンドを加熱する。プローブがボンドの溶融温度又はそれ以上の所定温度に達したことを熱電対が検出すると、ヒーターを停止させる。プローブは、自重により溶融しているボンド内に沈下する。或いは、プローブは、加熱ステップ中にクランプされたままであるが、固体ボンドがプローブに上向きの力を及ぼすように所定位置に保持され、カンチレバーアームを屈曲させることができる。ボンドが溶融すると、プローブは、カンチレバーアームの作動によって溶融半田内に下向きに押し込まれる。
【0084】
ステップ140において、冷却サイクルが始まる。バルブ61が開き、圧縮空気のジェットがプローブ上に配向されてプローブ及びボンドを急激に冷却する。ボンドが固化する所望温度に到達したことを熱電対が検出すると、バルブが閉じて冷却が停止する。この時点でプローブ先端の周りでボンドが固化される。
【0085】
熱電対を用いて、加熱及び冷却サイクル中のプローブの温度プロファイルの記録を提供することができる。このことを利用して、加熱及び冷却の速度を制御し、よって再固化ボンドが製造後の元のボンドとほとんど同じ材料特性を有するのを確保することができる。これは、典型的な製造プロセスで使用される温度プロフィールを可能な限り密接に似せることにより行われる。
【0086】
冷却が完了した後、プローブのクランプが解除されている場合には、ステップ145において、空気圧によるクランプ機構を用いてプローブ3が緊密にクランプされる。代替として、プローブをクランプするステップ145は、冷却ステップ140の前に実施してもよい。代替として、プローブは、プロセス全体を通じてクランプされたままでもよい。
【0087】
ステップ150において、引張試験が実施され、プルシャフトに作用する力は、歪みゲージ73a及びb、74a及びbからの出力を用いて試験全体で記録される。引張試験は、Z軸駆動装置を用いてステージテーブル1から離れるZ軸方向にプルシャフトを駆動することによって実施される。引張試験中にボンド31が半導体基板から取り外されると、プルシャフト10に作用する力が急激に低下する。達成した最大力が記録される。
【0088】
図2、3、及び7から、図示の実施形態において、プローブ3の長手方向軸線は、プルシャフト10の長手方向軸線と整列しており、引張試験中にプルシャフト10によりプローブ3に作用する引張力がローブ3の長手方向軸線と直接的に一致することが分かる。これにより、不正確で繰り返し不可能な試験結果をもたらす可能性があるプローブ上の曲げモーメントが存在しないことが保証される。このことはまた、加えられる可能性のある最大引張力を増大させ、引張又は押し込み試験中にプローブへの損傷の可能性を有意に低減し、その結果プローブの有効寿命が延びる。
【0089】
本発明の装置はまた、引張試験の実施に好適であるばかりでなく、プローブをZ方向でボンド内に駆動して所定の直線距離にわたって移動したときのプルシャフトに作用する力を記録することによってボンドの押し込み試験を実施するのにも好適である。また、所定サイクル数又は所定の力に至るまで15の連続した交互する引張及び押し込み試験からなる疲労試験を実施することもできる。
【0090】
引張試験(又は押し込み試験もしくは疲労試験)の完了後、ステップ155において、半導体組立体は、ステージテーブルを移動させることによりプローブから離れる方向に移動される。プローブ3のクリーニングを促進するために、プローブ3が依然としてクランプに取り付けられ且つセラミック加熱管体内に収容されている間、プローブ3に取り付けられる何れかのボンド材料は再溶融することができる。必要に応じて、新しい半導体組立体2をステージテーブル1上に装着することができる。
【0091】
ステップ160において、プローブ3はホルダから装荷解除される。これは、プレート19を回転させて上方に移動させ、コレット12を開放することにより手動で、或いは、空気圧によるクランプ力を解除することによって自動的に行うことができる。使用プローブを受け入れるための容器は、ステージテーブルに固定され、このステージにてプルシャフトの真下に移動することができる。次いで、プローブは、クランプ解除時に容器内に入ることができ、実質的にクリーニングし再使用することができる。
【0092】
次いでプロセスが完了し、新しいボンドを試験することができる。ステップ165において、プロセスを再開するために、ステージテーブルが新しいプローブを受ける位置に移動し、ステップ100において再度プロセスが始まる。
【符号の説明】
【0093】
1 ステージテーブル
2 半導体組立体
3 プローブ
4 カートリッジ組立体
5 固定シャーシ
6 試料ホルダ
9 顕微鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田ボール又はバンプを含む半導体組立体のボンドに引張試験を行うための装置において、
長手方向軸線を有するプローブと、
前記プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱するためのヒーターと、
前記プローブを支持するためのホルダと、
前記ホルダ及び該ホルダ内に支持される前記プローブを上昇及び降下させる作動装置と、
前記ホルダに引張力を加え、これにより前記プローブに長手方向軸線に沿って引張力を加えるようにする手段と、
前記引張試験中に前記プローブに加わる力を測定するための力測定システムと、
を備え、
前記プローブの先端をボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱した後、該プローブ先端が前記ボンドと接触し、前記プローブの加熱によって前記ボンドが溶融し、冷却され固化されて、前記ボンド内に前記プローブ先端を固定し、
次いで前記プローブは、前記力測定システムにより測定された引張力を前記ボンドに加える引張力印加手段によって後退される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記プローブが、プローブ保持機構によって前記ホルダに結合される直線ピンである、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プローブがクランプ機構により前記ホルダ内に保持される、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記クランプ機構が、
前記プローブを囲み、テーパー付き外部表面を有するコレットと、
ピストンと、
を含み、使用時には前記ピストンの作動により、該ピストンが前記テーパー付き外部表面に沿って移動するようになり、又は前記テーパー付き外部表面を前記ホルダの表面に対して駆動して前記プローブ周りに前記コレットをクランプするようにする、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ヒーターが、前記プローブの少なくとも一部を囲む熱伝導性管体と、前記管体の少なくとも一部を囲む加熱素子と、を含む、
前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項6】
前記熱伝導性管体が導電性ではない、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記熱伝導性管体が、セラミック材料から形成される、
請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記プローブに隣接して配置される熱電対を更に備える、
前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項9】
前記熱電対が前記熱伝導性管体上に配置される、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ヒーターを囲む熱シールドを更に備える、
前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記管体を冷却するための冷却システムを更に備える、
前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項12】
前記冷却システムが、
圧縮空気源と、
該圧縮空気源に接続され且つ前記プローブの近傍に圧縮空気のジェットを提供するよう構成されたノズルと、
前記圧縮空気源から前記ノズルへの圧縮空気の供給を制御するよう構成されたバルブと、
を更に備える、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
試験されることになる半導体試料が使用時に装着される可動プラットフォームと、前記可動プラットフォーム上に装着されるプローブのアレイとを更に備える、
前記請求項の何れかに記載の装置。
【請求項14】
半田ボール又はバンプを含む半導体組立体上のボンドを試験する方法であって、
前記ボンドを熱伝導性プローブの先端と接触させる段階と、
前記プローブの先端を前記ボンドの溶融温度又はそれ以上の温度まで加熱する段階と、
前記ボンドが固化する温度まで前記ボンド内に埋め込まれた前記プローブの先端を冷却する、又は冷却可能にする段階と、
前記プローブに引張力を加える段階と、
前記引張力を加える段階の間に前記プローブに加えられる力を記録する段階と、
を含み、
前記プローブが長手方向軸線を有し、前記引張力を加える段階が、前記プローブの長手方向軸線に沿って前記プローブに引張力を加える段階を含む、
方法。
【請求項15】
前記加熱段階中に前記プローブに力を加えて、前記ボンドが溶融したときに前記プローブを前記ボンド内に押し込む段階を更に含む、
請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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