半導体装置とその製造方法
【課題】半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における外縁部または中央部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板102と、半導体基板の一面102aを覆うように配された絶縁層103と、絶縁層103上に設けられる複数の突起部109と、突起部109を覆うように個別に設けられるバンプパッド106と、複数のバンプパッド106の一面106aに各々形成された複数のバンプ107と、を備え、複数のバンプパッド106の一面106aが各々半導体基板102の中央方向を向くように、突起部109のバンプパッド106と接する面109aが個別に傾斜を有している、ことを特徴とする半導体装置100。
【解決手段】半導体基板102と、半導体基板の一面102aを覆うように配された絶縁層103と、絶縁層103上に設けられる複数の突起部109と、突起部109を覆うように個別に設けられるバンプパッド106と、複数のバンプパッド106の一面106aに各々形成された複数のバンプ107と、を備え、複数のバンプパッド106の一面106aが各々半導体基板102の中央方向を向くように、突起部109のバンプパッド106と接する面109aが個別に傾斜を有している、ことを特徴とする半導体装置100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。より詳細には、実装基板等と相互接続するためのバンプを備えた構造の半導体装置において、該半導体装置を実装基板等に表面実装した際の接続信頼性を向上させた半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型・薄型化、軽量化、高機能化に伴い、プリント配線板等の実装基板上における電子部品の実装密度向上に対する要求が非常に強くなっている。この傾向を反映して、半導体装置の実装形態は、リードフレームと呼ばれる外部電極をパッケージ外形に沿って一次元的に配置したQFP(Quad Flat Package)から、バンプと呼ばれる球状の外部電極を平坦な面上に二次元的に配列させたBGA(Ball Grid Array)に変わってきている。また、CSP(Chip Scale Package)や、WLP(Wafer Level Package)といった、より小型低背化が実現できる実装形態の採用が活発化している。
【0003】
バンプを用いて、半導体装置を実装基板に表面実装する方法としては、デジタルIC等に多用されるワイヤボンド接続と比較して、接続部を短縮できるフリップチップ実装がある(例えば、特許文献1参照)。この実装方法は、接続部が短縮されているため電気的特性が良く、小型かつ薄型の半導体装置を必要とする携帯機器の回路や、電気的特性が重視される高周波回路等に適している。
【0004】
バンプは、半導体装置と実装基板とを電気的に導通させるための電極端子であるとともに、両者を電気的に接続し、熱変形や反りによって発生する応力を緩和吸収する機械的な役割を担う。しかしながら、従来のバンプは球形に近いため、バンプの根本(パッドとの接合部)にはくびれ形状があり、このくびれ部に応力集中が発生しやすい構造となっている。そのため、バンプはその根本を基点としてクラックが発生し易く、電子機器の信頼性を著しく低下させる原因の一つになっていた。
【0005】
図12は、従来の球状のバンプ607を用いた半導体装置600を、バンプ607を介して実装基板651の接続部652にフリップチップ実装した状態を示す概略断面図である。半導体装置600は、半導体基板602の一面602a上に絶縁層603、配線層(不図示)、該配線層と電気的に接続されたバンプパッド606、およびバンプ607を順に設けることによって構成されている。さらに、バンプ607が露呈するように、封止樹脂層608によって一面が封止されている。
【0006】
図12に示されているとおり、従来のバンプ607のくびれ部には、熱変形や反りによって、バンプ607の接続寿命を低下させるクラック607aが発生し、さらにはバンプ607が破断してしまう虞がある。
【0007】
上述したように、バンプ607は、実装基板651から受ける外部応力あるいは熱応力を緩和・吸収する機能を有する。しかし、その応力が大きいほど、あるいは加わる回数が多いほど、バンプ607には金属疲労が蓄積していくため、クラック607aが発生し易くなる。また、バンプ607で緩和・吸収できなかった応力成分は、半導体装置600の配線層や絶縁層603、あるいは半導体基板602に搭載された半導体デバイス(不図示)そのものに加わるため、これらの接続境界からの剥離が発生しやすくなる。
【0008】
また、クラック607aの発生によりバンプ607が破断した場合、電気抵抗が増大してしまい、半導体デバイスに必要な電力が供給できない、あるいは電気信号が正常に伝達されない等の虞があり、実装された半導体装置としての信頼性が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−260583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における外縁部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置を提供することを第一の目的とする。
【0011】
また本発明は、半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における中央部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置を提供することを第二の目的とする。
【0012】
また、本発明は、半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における外縁部または中央部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置の製造方法を提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る半導体装置は、一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の中央方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする。
【0014】
従来の半導体装置の構成では、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して平行に配される。そして、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドは実装基板に対して平行に配される。
これに対し、請求項1の半導体装置の構成によれば、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して傾斜を有するように配される。したがって、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドの、半導体基板の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構成でのバンプパッドと実装基板との距離に比べて短くなる。そのため、各々のバンプの、半導体基板の外縁部側の側面(外側面)のくびれが、従来構成でのバンプのくびれに比べて小さくなる。
ゆえに、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの外側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑えることができる。そして、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る半導体装置は、一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が電気的に前記バンプパッドに各々接続される配線層と、複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の外縁方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする。
【0016】
従来の半導体装置の構成では、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して平行に配される。そして、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドは実装基板に対して平行に配される。
これに対し、請求項2の半導体装置の構成によれば、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して傾斜を有するように配される。したがって、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドの、半導体基板の外縁部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造でのバンプパッドと実装基板との距離に比べて短くなる。そのため、各々のバンプの、半導体基板の中央部側の側面(内側面)のくびれが、従来構成でのバンプのくびれに比べて小さくなる。
ゆえに、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの内側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑えることができる。そして、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項3に係る半導体装置は、請求項1または2において、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が全て同一の傾斜を有している、ことを特徴とする。
【0018】
請求項3の構成のように、突起部のバンプパッドと接する面が有する傾斜を、全て同一とすることにより、突起部をインプリント法を用いて形成する場合、突起部を構成する樹脂に金型を押し当てて成型した後に、該金型を均一に剥離除去しやすくなる。
【0019】
本発明の請求項4に係る半導体装置は、請求項1または2において、前記突起部は複数の層が積層された多段形状をなしている、ことを特徴とする。
【0020】
請求項4の構成によれば、バンプのバンプパッドと接触する面積が増加する。したがって、バンプはバンプパッド上に安定して固定されるため、半導体装置を実装した際の実装基板との接合強度を高めることができる。
【0021】
本発明の請求項5に係る半導体装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記絶縁層は、前記半導体基板の一面の全域を覆う、ことを特徴とする。
【0022】
請求項5の構成により、絶縁層と半導体基板との間で高い密着性が得られる。これにより、絶縁層を形成した後の工程において、絶縁層を構成する膜が剥がれるのを防止することができる。さらには、実装後の半導体パッケージとしての信頼性を高めることができる。また、絶縁層の表面は半導体基板の表面に比べて凹凸が小さくなるので、平滑な配線層を形成することができ、高周波信号の伝播特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の請求項6に係る半導体装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記絶縁層は、前記半導体基板の一面のうち配線層および前記突起部が形成される領域を覆う、ことを特徴とする。
【0024】
請求項6によれば、配線層あるいは突起部が形成されない領域には、絶縁層を設けなくてもよい。したがって、絶縁層の膜応力による半導体基板の屈曲を低減することができ、半導体素子の特性が低下することを回避できる。また、絶縁層の形成に用いる材料の総量を、最小限に抑えることができ、絶縁層形成にともなうコストの削減を実現することができる。
【0025】
本発明の請求項7に係る半導体装置は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記突起部の前記バンプパッドと接する面の傾斜は、複数の前記バンプパッドのうち少なくとも前記半導体基板の外縁部に設けられた前記バンプパッドに対して形成されている、ことを特徴とする。
【0026】
従来の半導体装置の構成では、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して平行に配される。そして、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドは実装基板に対して平行に配される。このとき、主に半導体装置の外縁部に設けられたバンプに対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に力が加わる。
これに対し、請求項7の半導体装置の構成によれば、各々のバンプと接するバンプパッドのうち、少なくとも半導体基板の外縁部に設けられたバンプパッドが、半導体基板の一面に対して傾斜を有するように配される。したがって、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、少なくとも外縁部に設けられたバンプパッドの、半導体基板の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造でのバンプパッドと実装基板との距離に比べて短くなる。そのため、少なくとも外縁部に設けられたバンプパッドと接するバンプのくびれが、従来構成でのバンプのくびれに比べて小さくなる。
ゆえに、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、少なくとも外縁部に設けられたバンプに対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑えることができる。そして、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明の請求項8に係る半導体装置の製造方法は、一面に複数の電極を配してなる半導体基板の上に、複数の前記電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の上に、複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、を形成する工程と、複数の前記バンプパッドの一面上に複数のバンプを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記突起部を形成する工程は、前記突起部の前記バンプパッドと接する面ごとに所望の傾斜を有するように、前記突起部を形成する、ことを特徴とする。
【0028】
請求項8の構成によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となる。そして、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る半導体装置によれば、半導体装置を実装した際に、各々のバンプと接するバンプパッドの、半導体基板の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプの、半導体基板の外縁部側の側面(外側面)のくびれが、従来構造に比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの外側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係る半導体装置によれば、半導体装置を実装した際に、各々のバンプと接するバンプパッドの、半導体基板の外縁部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプの、半導体基板の中央部側の側面(内側面)のくびれが、従来構造に比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの内側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】バンプと電極を示し、(a)は、バンプが電極から離れた位置に、(b)は、バンプが電極の上方にあることを示す断面図である。
【図3】フリップチップ実装した、第一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図4】バンプの詳細を示し、(a)は従来、(b)は本発明のバンプの詳細図である。
【図5】第一実施形態に係る半導体装置の製造工程を順に示す断面図である。
【図6】第二実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図7】第三実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図8】第四実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】第五実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図10】第五実施形態に係る半導体装置の製造工程を順に示す断面図である。
【図11】第五実施形態に係る半導体装置の製造工程を順に示す断面図である。
【図12】フリップチップ実装した、従来の半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0034】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る半導体装置100の断面図である。半導体装置100は、半導体基板102と、半導体基板の一面102aに設けられた電極104と、電極104を除く半導体基板の一面102aを覆う絶縁層103と、絶縁層103上に形成された突起部109と、突起部109上にバンプパッド106を介して載置されたバンプ107と、電極104とバンプパッド106とを電気的に接続する配線層105と、半導体装置100の実装される側の面のうちバンプ107を除く領域を覆う封止樹脂層108と、を有する。
【0035】
半導体基板102は、シリコン等で構成される半導体ウェハでもよく、半導体ウェハをチップ寸法に切断(ダイシング)した半導体チップであってもよい。半導体チップは、各種半導体素子や集積回路等を備えた半導体ウェハの切断領域102bを分断して得られる(図5(d))。
【0036】
電極104は、例えば、Al、Cu、Cr、Ti、Au、Si等の導電性を有する金属により構成され、半導体基板102が備えた半導体素子や集積回路を配線層105、バンプパッド106、バンプ107を介して外部端子(回路)と電気的に接続する端子をなす。
【0037】
絶縁層103は、半導体基板の一面102aのうち、電極104を除いた全領域を覆ってもよいし、電極104と切断領域102bを除いた全領域を覆ってもよいし、配線層105および突起部109が形成される領域のみを覆ってもよい。
【0038】
第一の構成によれば、絶縁層103と半導体基板102との間で高い密着性が得られる。これにより、絶縁層103を形成した後の工程において、絶縁層103を構成する膜が剥がれるのを防止することができる。さらには、実装後の半導体パッケージとしての信頼性を高めることができる。また、絶縁層103の表面は半導体基板102の表面に比べて凹凸が小さくなるので、平滑な配線層105を形成することができ、高周波信号の伝播特性を向上させることができる。
第二の構成によれば、半導体基板102の切断領域102bには絶縁層103を設けなくてもよい。これにより、絶縁層103を形成した後の工程において、半導体基板102を分断したときに絶縁層103の剥離を抑制することができる。
【0039】
第三の構成によれば、突起部109が形成されない領域には、絶縁層103を設けなくてもよい。したがって、絶縁層103の形成に用いる材料の総量を、最小限に抑えることができ、絶縁層形成にともなうコストの削減を実現することができる。
【0040】
いずれの構成であっても、絶縁層103は、一定の厚みで平坦に形成される。絶縁層103に用いる材料としては、高い絶縁性を有し、高周波数帯域での信号伝搬特性に優れた感光性を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、液晶ポリマー等が好適である。
【0041】
突起部109は、絶縁層103上のバンプ107が載置される箇所に形成された突起状の部位である。各々の突起部109は、バンプパッド106と接する突起部の上面109aが、半導体基板の一面102aにおいて中央方向を向くように、個別に傾斜を有している。突起部の上面109aと半導体基板の一面102aとのなす角度(傾斜角度)は、半導体装置100を実装した状態でバンプ107に加わる応力を考慮して、適宜決定されるものとする。突起部の上面109aは、少なくとも、バンプ107を載置することが可能な面積があればよく、その形状については制限されないものとする。
【0042】
また、絶縁層103上に形成される複数の突起部109は、バンプ107が載置される箇所ごとに各々孤立した形状であってもよいし、絶縁層上でつながった形状であってもよい。
【0043】
また、突起部109をインプリント法により形成する場合、突起部109を構成する樹脂に金型を押し当てて成型した後に、該金型を均一に剥離除去しやすくするため、突起部のバンプパッドと接する面は、全て同一の傾斜を有していることが好ましい。
【0044】
配線層105は、電極104と電気的に接続されており、導電性に優れた材料で構成されることが好ましい。また配線層105は、電極104との密着性に優れるとともに、バンプパッド106や半導体基板102内に拡散しない元素からなる材料で構成されれば、さらに好ましく、例えば、Cu、Al、Ni、Ag、Pb、Sn、Au、Co、Cr、Ti、TiW等の導体(各種の金属や合金等)が好適である。
【0045】
バンプパッド106は、配線層105と連続して形成された、バンプ7が搭載される領域をなす。バンプパッド106は、一定の厚み(2〜40μm)を有しており、配線層105と同じ材質とすることが好ましい。
【0046】
図2(a)、(b)は、それぞれ第一実施形態に係る半導体装置100を構成する、バンプ107近傍の断面を拡大した図である。図2(a)に示すように、バンプ107は、電気的に接続された電極104から、配線層105を介して離間した位置にある場合が、想定されている。つまり、実装基板との接続箇所と対応する位置にバンプパッド106を配するため、バンプパッド106は、配線層105によって所望の位置に再配置される。
【0047】
ただし、図2(b)に示すように、バンプ107が半導体基板の一面102aに設けられた電極104の直上に配置される場合は、バンプパッドを形成することなく、バンプ107を直接配線層125に電気的に接続してもよい。
【0048】
バンプ107は、ボイドの数が極めて少ない高密度のはんだボールにより構成され、共晶はんだ、鉛を含まない高温はんだ等を用いることができる。バンプ107を構成する材料としては、電気抵抗が低く、バンプパッド106との接合が容易であり、機械的特性に優れたものがよく、例えば、錫、銀、銅、金、鉛、ビスマス、亜鉛、アルミニウムのうち、少なくとも2種類を含むはんだが好適である。
【0049】
封止樹脂層108は、電極104、絶縁層103、配線層105を覆って保護するものであり、その厚みは、5〜50μm程度である。封止樹脂層108に用いる材料としては、高い絶縁性を有し、耐環境性に優れた感光性樹脂が好ましく、例えば、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、液晶ポリマー等が好適である。
【0050】
図3は、第一実施形態に係る半導体装置100を、実装基板151にフリップチップ実装した、半導体パッケージ150を示す図である。半導体装置100は、実装基板151の一面151aに設けられた接続部152において、実装基板151と電気的に接続されている。
【0051】
一般に、半導体基板と、それを実装する実装基板の熱膨張率には差がある。そのため、図3に示すような半導体パッケージ150が高温環境あるいは低温環境に曝された場合に、半導体基板102と実装基板151とを電気的に接続するとともに機械的に結合するバンプ107に、応力が発生する。この応力は、バンプ107のくびれ部に集中してかかる。
【0052】
これに対し、第一実施形態に係る半導体装置100の構成によれば、半導体装置100を実装した際に、各々のバンプ107と接するバンプパッド106の、半導体基板102の中心部から遠い方の一端部と実装基板151との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ107の、半導体基板102上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置100との熱膨張率の差にともなって、実装基板151が、半導体基板102側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ107の外側面に対して、半導体装置100と実装基板151とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ107が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0053】
なお、突起部の上面109aと半導体基板の一面102aとのなす角度(傾斜角度)が大きいほど、バンプパッドの上面106aの、半導体基板102の中央部から遠い方の一端部と実装基板151との距離が短くなる。そして、バンプ107の外側面のくびれが小さくなるため、バンプ107の破損をより確実に抑制することができる。
【0054】
しかしながら、傾斜角度が大きすぎると、後に説明するようにリフローしてバンプ107を形成するときに、溶融したはんだがバンプパッドの上面106aから流出してしまい、
バンプを接合することができなくなる。また、突起部109をインプリント法により形成するときに、突起部109が絶縁層103と接する面積に対する突起部109が金型と接する面積の割合が大きいために金型の剥離除去が困難になる。
【0055】
そこで、傾斜角度は、半導体装置100を実装した状態でバンプ107に加わる応力および形成の容易性を考慮して、適宜決定されるものとする。
【0056】
なお、バンプ107の外側面のくびれが、従来構造でのバンプ607のくびれに比べて小さくなる理由は、半導体装置を実装する際のリフロー工程でバンプが溶融する際の、バンプ材の表面張力(表面積が最小となるように作用する力)に起因する。バンプのくびれが小さくなる原理について、図4(a)、(b)を用いて以下に説明する。
【0057】
図4(a)、(b)は、それぞれ従来構造におけるバンプ607、第一実施形態におけるバンプ107のくびれについて、説明する図である。図4(b)に示すように、第一実施形態では、バンプ107の外側面側、内側面側における接続部152とバンプパッド106との距離を、それぞれL1、L2とすると、L1<L2となる。そして、リフロー工程において溶融したはんだ材は、バンプ107の表面積が最小となるように、L1側の曲率が小さく、L2側の曲率が大きくなる。
【0058】
ここで、図4(b)で示す二点鎖線は、図4(a)に示すバンプ607のように、L1側、L2側での曲率が等しい場合の、バンプ107の外形線に相当する。また、図4(b)で示す実線は、第一実施形態の構成により、L1側、L2側の曲率がそれぞれ変化した場合の、バンプ107の外形線に相当する。
【0059】
バンプ107と接続部152とのL1側、L2側の接点において、接続部152のバンプ107と接する面と、バンプ107の外形線とのなす角をそれぞれβ1、β2とすると、β1は小さくなり、β2は若干大きくなる。すなわち、バンプ107の外形線のくびれは、L1側では小さくなり、L2側では若干大きくなる。
【0060】
くびれの小さくなるL1側の面では、バンプ107に加わる応力が小さくなるため、破断されにくくなる。一方、L2側の面では、バンプ107の表面積が大きいため、くびれはわずかに大きくなる程度である。したがって、L2側の面での、くびれの大きさの変化により、バンプ107に加わる応力の変化は無視できるほど小さい。
【0061】
第一実施形態に係る半導体装置100の構成では、バンプ107のL1側およびL2側の側面は、それぞれ半導体基板102上における外縁部側の側面(外側面)、中央部側の側面(内側面)に相当する。
【0062】
そのため、第一実施形態に係る半導体装置100の構成では、バンプ107のくびれは、外側面において小さくなる。よって、半導体装置100の構成は、実装基板151に実装した際に、半導体基板102の外縁部において、実装基板151と離間する方向に大きな力が加わる場合、すなわち、実装基板151の熱膨張率が半導体基板102の熱膨張率よりも小さい場合に、好適な構成となる。
【0063】
[製造方法1]
第一実施形態に係る半導体装置の製造方法1について、図5(a)〜(h)に示す工程図を用いて説明する。
【0064】
図5(a)に示すように、電極(不図示)を備えた半導体基板102cの一面102aを覆うように、ポリイミド樹脂等からなる絶縁膜の材料を塗布して熱硬化させることにより、絶縁層103を形成する。絶縁膜の材料を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ディスペンス法、スクリーン印刷法等の方法がある。
【0065】
次に、UVインプリント法により、突起部109を形成する。まず、図5(b)に示すように、絶縁層103上に、スプレーコート法により光硬化性樹脂(例えば、東洋合成工業株式会社製のPAK−01)を塗布して、光硬化性樹脂層109cを形成する。
【0066】
そして、図5(c)に示すように、所定の形状に加工した金型Pを光硬化性樹脂層109cに押し当て、その状態でUV光を照射し、光硬化性樹脂層109cを硬化させた後に、金型Pを剥離除去する。ここで、UV光は金型Pを介して光硬化性樹脂層109cに照射されるため、金型Pは石英等の透明材料で構成されている必要がある。
【0067】
光硬化性樹脂層109c(突起部109)に用いる材料としては、体積収縮が小さく、硬化後に金型Pの剥離除去が容易な光硬化性樹脂が好ましく、例えば、ポリオールアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、メラミンアクリレート樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、ポリアミドアクリレート樹脂等が好適である。このとき突起部周辺に残渣が生じることがあり、これを除去するために酸素プラズマ処理を行う。
【0068】
次に、図5(d)に示すように、レーザエッチング法により、電極104が露出するように、絶縁層103を除去する。加えて、切断領域102bが露出するように絶縁層103を除去してもよい。ここで用いるレーザとしては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Nd−YVO4レーザ、色素レーザ、OPOレーザ等が好適である。レーザの波長は、樹脂材の光吸収係数に応じて適切に選択すればよい。なお、レーザエッチングによって、エッチング箇所周辺に有機物残渣が生じることがあり、これを除去するために酸素プラズマ処理を行う。
【0069】
ここでは、図5(c)に示すように、UVインプリント後において、突起部109同士は接続されており、図5(d)に示すように、レーザエッチング後に、突起部109が個々に切り分けられた例を示しているが、突起部109はレーザエッチング後に必ずしも切り分けられていなくてもよい。
【0070】
次に、図5(e)に示すように、突起部の上面109aに、セミアディティブ工法により、Cuからなる配線層(不図示)およびバンプパッド106を形成する。すなわち、半導体基板の一面102a側にTiW(またはTi、Cr、Ni)とCuの積層型薄膜をスパッタリングし、フォトリソグラフィによるパターニング後、電解めっきにより、Cuを析出させて形成される。
【0071】
次に、図5(f)に示すように、スクリーン印刷法により、絶縁層103、突起部109、配線層(不図示)、バンプパッド106上を覆うように、感光性エポキシ樹脂等からなる材料を塗布し、封止樹脂層108を形成する。
【0072】
次に、図5(g)に示すように、バンプパッド106上にフラックス(図示せず)を塗布してから球状のボールを載置し、リフローしてバンプ107を形成する。または、はんだペーストをバンプパッド106上にスクリーン印刷し、リフローしてバンプ107を形成してもよい。フラックスは必要に応じて洗浄除去する。
【0073】
次に、図5(h)に示すように、半導体装置をチップ状態となるように分断する。分断する方法としては、ダイシングブレードを用いる方法とレーザを用いる方法(ステルスダイシング)がある。前者の方法では、所望の切断領域102bに高速回転するダイシングブレードを接触させることにより、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置100が得られる。
【0074】
後者の方法では、所望の位置における半導体基板の内部にレーザを照射して改質層を形成する。そして、テープエキスパンド等の方法で外部応力を加えることにより、半導体基板の改質層から表面に亀裂を進展させて、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置100が得られる。
【0075】
以上説明した、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法1によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0076】
また、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法1では、突起部を構成する樹脂として光硬化性樹脂を用い、UV光を照射して硬化させる。したがって、突起部の形成に加熱処理がないため熱による樹脂の形状変化がなく、高精細な形状を有する突起部の形成が可能となる。
【0077】
[製造方法2]
上述の製造方法1においては、UVインプリント法を用いて突起部109を形成したが、突起部109は、熱インプリント法を用いて形成することもできる。以下では、熱インプリント法を用いる場合の製造方法2について、製造方法1と異なる突起部109の形成工程を取り上げて説明する。なお、突起部109を形成する以外の工程は、UVインプリント法を用いる場合と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
まず、半導体基板の一面102aに形成された絶縁層103上に、スピンコート法により、エポキシ樹脂を全面塗布する。次いで、この樹脂をエポキシ樹脂のガラス転移点付近まで加熱する。そして、所定の形状に加工した金型Pを押し当てて樹脂を冷却し、樹脂が十分に冷却したところで金型Pを剥離除去する。
【0079】
突起部109を構成する材料としては、高温で軟化するものが好ましく、例えば、ポリカーボネイト樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、液晶ポリマー樹脂等の熱可塑性樹脂、またはシリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム等のエラストマが好適である。
【0080】
あるいは、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂等の熱硬化性樹脂も適用できるが、この場合、硬化温度よりも低い温度で金型を押し当てた後、溶媒が十分に揮発して樹脂の流動性がなくなった後に金型を剥離除去し、熱硬化処理を行うとよい。金型の剥離が容易な場合は、金型を押し当てた状態で熱硬化処理を行い、その後に金型を剥離除去することで、金型を剥離除去した後の形状変化が小さく、高精細な突起部を形成することができるためより好ましい。
【0081】
熱インプリント法を用いて突起部109を形成する場合、金型Pは透明である必要はなく、耐熱性に優れ、熱膨張による寸法変化の小さい材料が好ましい。例えば、石英、石英ガラス、ダイヤモンド、シリコン、シリコンカーバイト、グラッシーカーボン、ニッケル、タンタル等が好適である。
【0082】
以上説明した、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法2によっても、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0083】
また、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法2では、突起部を形成する材料や、金型として使用する材料に対する制約が少ないため、製造コストを削減することができる。
【0084】
[製造方法3]
突起部109は、インクジェット法を用いても形成することもできる。以下では、突起部109の形成に、インクジェット法を用いる場合の製造方法3について、説明する。なお、突起部109を形成する以外の工程は、製造方法1として説明した工程と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
まず、半導体基板の一面102a全域に,スクリーン印刷法を用いて感光性ポリイミド樹脂を塗布する。次いで、フォトリソグラフィで所定の電源と切断領域102bが露出するようパターニングした後、感光性ポリイミド樹脂を熱硬化させることで絶縁層103を形成する。
【0086】
次に、インクジェット法により、光硬化性樹脂(例えば、東洋合成工業株式会社製のPAK−02)を印刷する。すなわち、インクジェットのヘッドから吐出される光硬化性樹脂の液滴を、半導体基板の一面102aに形成された絶縁層103上に着弾させる。そして、着弾した光硬化性樹脂を、UV光の照射により硬化させる。これらのプロセスを繰り返すことで任意の突起形状を形成することができる。
【0087】
モノマー、オリゴマー、またはこれらとポリマーとを配合した溶液をインクジェット法で吐出し、予め半導体基板を加熱しておくことで、着弾した液滴の溶媒を速やかに蒸発させて突起部を形成し、その後、UV光照射または加熱処理して重合させてもよい。この場合、特に樹脂の種類は限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはエラストマ等から選択することができる。
【0088】
また、光硬化性樹脂等からなる溶液中にナノサイズの微粒子を添加してもよい。微粒子としては、シリカ、窒化アルミニウム、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化鉄、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等が好適である。
【0089】
これらの微粒子を光硬化性樹脂等からなる溶液中に添加することにより、材料の熱膨張率や熱伝導性等を制御することができる。これにより、例えば、絶縁樹脂とバンプパッドの熱膨張率の差によって生じる応力を分散させたり、放熱特性を向上させたりすることができる。
【0090】
以上説明した、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法3によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0091】
また、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法3では、金型等の治工具が不要であることに加え、材料の無駄が少なく、プロセスが簡便であるため、製造コストを削減することが可能である。
【0092】
<第二実施形態>
図6は、本発明の第二実施形態に係る半導体装置200の断面図である。半導体装置200は、半導体基板202と、半導体基板の一面202aに設けられた電極204と、電極204を除く半導体基板の一面202aを覆う絶縁層203と、絶縁層203上に形成された突起部209と、突起部209上にバンプパッド206を介して載置されたバンプ207と、電極204とバンプパッド206とを電気的に接続する配線層205と、半導体装置200の実装される側の面のうちバンプ207を除く領域を覆う封止樹脂層208と、を有する。
【0093】
バンプパッド206と接する突起部の上面209aが、半導体基板202上において外縁方向を向くように、個別の傾斜を有する構成が、第一実施形態と異なる。その他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0094】
第二実施形態に係る半導体装置200の構成によっても、半導体装置200を実装基板に実装した際に、各々のバンプ207と接するバンプパッド206の、半導体基板202の外縁部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ207の、半導体基板202上における中央部側の側面(内側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置200との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板と反対側に凸形状をなすように反る場合、すなわち、実装基板の熱膨張率が半導体基板202の熱膨張率よりも大きい場合に、バンプ207の内側面に対して、半導体装置200と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ207が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0095】
なお半導体装置200をフリップチップ実装した際に、主に半導体装置200の外縁部に設けられたバンプに対して、半導体装置200と実装基板とが離間する方向に力が加わる。そこで、各々のバンプと接するバンプパッドのうち、少なくとも半導体基板202の外縁部に設けられたバンプパッドが、半導体基板の一面202aに対して傾斜を有するように配することにより、第一実施形態と同傾向の効果が得られる。
【0096】
<第三実施形態>
図7は、本発明の第三実施形態に係る半導体装置300の断面図である。半導体装置300は、半導体基板302と、半導体基板の一面302aに設けられた電極304と、電極304を除く半導体基板の一面302aを覆う絶縁層303と、絶縁層303上に形成された突起部309と、突起部309上にバンプパッド306を介して載置されたバンプ307と、電極304とバンプパッド306とを電気的に接続する配線層305と、半導体装置300の実装される側の面のうちバンプ307を除く領域を覆う封止樹脂層308と、を有する。
【0097】
バンプパッド306が接する突起部の上面309aと、半導体基板の一面302aとのなす角度(傾斜角度)が、半導体基板の一面302aの外縁部において、中央部よりも大きく形成された構成が、第一実施形態と異なる。その他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0098】
第三実施形態に係る半導体装置300の構成によっても、半導体装置300を実装した際に、各々のバンプ307と接するバンプパッド306の、半導体基板302の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ307の、半導体基板302上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置300との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ307の内側面に対して、半導体装置300と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ307が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0099】
また、第一実施形態の説明でも述べたように、傾斜角度が大きいほど、バンプパッド306の、半導体基板302の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が小さくなり、バンプ307のくびれを小さく抑えることができる。
【0100】
したがって、半導体基板の一面302aの、相対的に大きい力(引っ張り応力)が加わると想定される外縁部においては、突起部309の傾斜角度を特に大きく形成することにより、バンプ307のくびれを小さく抑えることができる。そして、外縁部におけるバンプ307の破断を、他の領域と同程度に起きにくくすることができる。
【0101】
すなわち、バンプ307に加わる応力が、半導体基板の一面302aの各領域(位置)で異なる場合であっても、第三実施形態のように、各領域でバンプ307に加わると想定される応力の大きさに応じて傾斜角度を設定することにより、バンプ307の破断しやすい領域をなくすことができる。これにより、半導体基板の一面302aの全域において、安定した実装状態を実現することができ、半導体パッケージとしての信頼性を高めることができる。
【0102】
<第四実施形態>
図8は、本発明の第四実施形態に係る半導体装置400の断面図である。半導体装置400は、半導体基板402と、半導体基板の一面402aに設けられた電極404と、電極404を除く半導体基板の一面402aを覆う絶縁層403と、絶縁層403上に形成された突起部409と、突起部409上にバンプパッド406を介して載置されたバンプ407と、電極404とバンプパッド406とを電気的に接続する配線層405と、半導体装置400の実装される側の面のうちバンプ407を除く領域を覆う封止樹脂層408と、を有する。
【0103】
第一実施形態では、バンプ107と接する突起部の上面109aは、半導体基板の一面102aに対して傾斜する一つの面で構成されていた。これに対し、第四実施形態では、バンプ407と接する突起部の上面409aは、半導体基板の一面402aに対して傾斜する二つの面で構成される。すなわち、第四実施形態のバンプ407と接する突起部の上面409aは、半導体基板の一面402aに対して傾斜する突起部の上面409aと、半導体基板の一面402aに対して突起部の上面409aよりも急峻に傾斜する突起部の上面409bとが、基板402側から順に接続された構成をなしている。そして、突起部の上面409aおよび409bを覆うように、バンプパッド406が形成されている。第四実施形態の他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0104】
第四実施形態に係る半導体装置400の構成によっても、半導体装置400を実装した際に、各々のバンプ407と接するバンプパッド406の、半導体基板402の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ407の、半導体基板402上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置400との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ407の外側面に対して、半導体装置400と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ407が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0105】
第四実施形態の構成によれば、突起部の上面409bの傾斜角度が大きすぎて、バンプ407を形成するときにリフローに溶融したはんだがバンプパッド406から流出してしまう状態であっても、突起部の上面409bに比べて緩やかな傾斜角度を有する突起部の上面409aで速やかに接合することで流出を阻止するよう機能する。そのため、バンプ407をバンプパッド406に接合できなくなる虞はない。
【0106】
これにより、バンプ407がバンプパッド406上に接合しない虞を回避しつつ、突起部の上面409bの傾斜角度を第一実施形態での突起部の上面109aの傾斜角度よりも、大きくすることができる。したがって、突起部の上面409bの、半導体基板402の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離をより短くすることができ、また、バンプ407の外側面側のくびれを、より小さく抑えることができる。したがって、実装後の半導体装置の信頼性を、第一実施形態の構成を用いた場合よりも、さらに向上させることができる。
【0107】
<第五実施形態>
図9は、本発明の第五実施形態に係る半導体装置500の断面図である。半導体装置500は、半導体基板502と、半導体基板の一面502aに設けられた電極504と、電極504を除く半導体基板の一面502aを覆う絶縁層503と、絶縁層503上に形成された突起部509と、突起部509上にバンプパッド506を介して載置されたバンプ507と、電極504とバンプパッド506とを電気的に接続する配線層505と、半導体装置500の実装される側の面のうちバンプ507を除く領域を覆う封止樹脂層508と、を有する。
【0108】
第一実施形態では、突起部109が単一の部位で構成されていた。これに対し、第五実施形態では、突起部509が複数の部位で構成される。すなわち、第五実施形態の突起部509は、一定の厚みを有する複数の突起層509a、509bを順に積層した、多段形状をなすように構成される。突起層509bの面積を、突起層509aよりも小さく形成することにより、突起部509の側部が、傾斜に近い形状となる。そして、突起部509の側部を覆うように、バンプパッド506が形成されている。第五実施形態の他の構成は、第一実施形態と同様である。なお、突起部509は、3つ以上の突起層で構成されてもよく、各突起層の厚さは一様でなくてもよい。
【0109】
第五実施形態に係る半導体装置500の構成によっても、半導体装置500を実装した際に、各々のバンプ507と接するバンプパッド506の、半導体基板502の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ507の、半導体基板502上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置500との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ507の外側面に対して、半導体装置500と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ507が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0110】
突起部の側面が多段形状をなすため、これを覆うバンプパッド506も多段形状をなす。これにより、バンプ507を載置した際に、バンプ507とバンプパッド506との接触面積が、第一実施形態でのバンプ107とバンプパッド106との接触面積に比べて大きくなる。したがって、バンプ507とバンプパッド506との接合強度をより高めることができる。
【0111】
[製造方法4]
第五実施形態に係る半導体装置の製造方法4について、図10(a)〜(g)に示す工程図を用いて説明する。
【0112】
図10(a)に示すように、まず、電極504を備えた半導体基板502cの一面502aを覆うように、ポリイミド樹脂等からなる絶縁膜の材料を塗布する。そして、フォトリソグラフィによるパターニングを行い、熱硬化させて、絶縁層503を形成する。絶縁膜の材料を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ディスペンス法、スクリーン印刷法等の方法がある。
【0113】
次に、スクリーン印刷法により、突起部509を形成する。まず、図10(b)に示すように、絶縁層503上の突起部を形成する箇所に、印刷マスクを用いて非感光性のシリコーン樹脂を塗布し、熱硬化させて突起層509aを形成する。
【0114】
そして、図10(c)に示すように、突起層509a上に、印刷マスクを用いて非感光性のシリコーン樹脂を塗布し、熱硬化させて突起層509bを形成する。
【0115】
スクリーン印刷法の代替として、半硬化したフィルムをラミネートし、フォトリソグラフィによりパターニングしてもよい。
【0116】
この場合、感光性を有する樹脂である必要があり、ポリカーボネイト樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、液晶ポリマー樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。または、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム等のエラストマが好ましい。
【0117】
また、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂等の熱硬化性樹脂も用いることができる。
【0118】
このように、多段形状の突起部509を構成する材料としては、液状のみならず、半硬化させたフィルム状の樹脂を用いることができる。そのため、材料選択の幅が広がり、フィルムを用いる場合は工程の簡略化も可能である。
【0119】
次に、図10(d)に示すように、絶縁層503および突起部509に、インクジェット法を用いてAgの配線層505およびバンプパッド506を形成する。液滴として用いる材料としては、導電性の高い材料が好ましく、Au、Ag、Cu等の金属からなるナノサイズの粒子を分散させたインク、あるいはこれらの金属の錯体を含有するインクが好適である。配線抵抗をより小さくするために、さらに無電解めっきを行って配線層505を厚くしてもよい。製造方法4においては、まず、パラジウム塩を用いた触媒化前処理を行い、その後、銅/ニッケル/金をそれぞれ無電解めっきし、三層の積層型配線を形成する。
【0120】
次に、図10(e)に示すように、スクリーン印刷法により、絶縁層503、突起部509、配線層505、バンプパッド506上を覆うように、感光性エポキシ樹脂等からなる材料を塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングして硬化させることで封止樹脂層508を形成する。
【0121】
次に、図10(f)に示すように、バンプパッド506上にフラックス(図示せず)を塗布してから球状のボールを載置し、リフローしてバンプ507を形成する。または、はんだペーストをバンプパッド506上にスクリーン印刷し、リフローしてバンプ507を形成してもよい。フラックスは必要に応じて洗浄除去する。
【0122】
次に、図10(g)に示すように、半導体装置をチップ状態となるように分断する。分断する方法としては、ダイシングブレードを用いる方法とレーザを用いる方法(ステルスダイシング)がある。前者の方法では、所望の切断領域に高速回転するダイシングブレードを接触させることにより、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置500が得られる。
【0123】
後者の方法では、所望の位置における半導体基板の内部にレーザを照射して改質層を形成する。そして、テープエキスパンド等の方法で外部応力を加えることにより、半導体基板502の改質層から表面に亀裂を進展させて、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置500が得られる。
【0124】
以上説明した、第五実施形態に係る半導体装置の製造方法4によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0125】
[製造方法5]
第五実施形態に係る半導体装置の製造方法5では、突起部509を、感光する波長領域が異なる樹脂を重ね塗りし、それぞれの感光する波長の光でフォトリソグラフィすることによりパターニングして形成することを特徴としている。突起部509以外の箇所については、製造方法4と同様にして得られる。以下、製造方法5について、図11(a)〜(e)に示す突起部形成の工程図を用いて説明する。なお、突起部509を形成する以外の工程は、製造方法4として説明した工程と同様であるので、説明を省略する。
【0126】
まず、図11(a)に示すように、絶縁層503上の全面に、スピンコート法により、g線(435nm)で感光するポジ型の樹脂509dを塗布する。
【0127】
次に、図11(b)に示すように、樹脂509d上の全面に、スピンコート法により、i線(365nm)で感光するネガ型の樹脂509eを塗布する。
【0128】
次に、図11(c)に示すように、マスクM1で、第1の突起層509aに相当する箇所をマスクした上で、g線で樹脂509dからなる層を露光する。
【0129】
次に、図11(d)に示すように、マスクM2で、第2の突起層509bに相当する箇所をマスクした上で、i線で樹脂509eからなる層を露光する。
【0130】
そして、図11(e)に示すように、樹脂509dの層および樹脂509eの層を一括して現像し、残った突起層509aと突起層509bとからなる突起部509を得る。
【0131】
第五実施形態に係る半導体装置の製造方法5によっても、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0132】
また、製造方法5によれば、2層目を露光する際に、i線が照射された1層目の部分は、現像したときに幾分溶解するため、パターンのエッジが丸みを帯びる。このような形状とすることで、突起部509を覆うように形成される配線層およびバンプパッドが、突起部509(突起層509a)のエッジにおいて断線する危険性を、低減させることができる。
【0133】
なお、第五実施形態に係る半導体装置の製造方法4、5においては、レーザを用いたエッチングにより、突起部509を構成する各突起層509a、509bのエッジの面取りを行うことが好ましい。面取りを行うことにより、突起部509の製法によらず、配線層やバンプパッドが各突起層509a、509bのエッジで断線する危険性を容易に低減することができる。また、エッチングにより発生した残渣を除去するために、酸素プラズマ処理を実施することが好ましい。
【0134】
また、図1〜7における突起部の断面は三角形であるが、四角形(樹脂ポスト構造で上面が傾斜したような形状)であってもよい。
また、パッド上にバンプが戴置された構造を示したが、パッドの側面がバンプ内に含まれる形態としてもよい。例えば、前記断面が四角形の突起部において、突起の高さが低い側の側面はバンプで覆う形態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、例えば携帯電話やデジタルカメラ、ノートパソコン等、小型で高密度な電子部品を必要とする電子装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
100、200、500・・・半導体装置、102、202・・・半導体基板、
102a、202a・・・一面、103、203・・・絶縁層、
104、204・・・電極、105、205・・・配線層、
106、206・・・バンプパッド、106a、206a・・・一面、
107、207・・・バンプ、109、209、509・・・突起部、
109a、209a・・・バンプパッドと接する面、509a、509b・・・突起層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関する。より詳細には、実装基板等と相互接続するためのバンプを備えた構造の半導体装置において、該半導体装置を実装基板等に表面実装した際の接続信頼性を向上させた半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型・薄型化、軽量化、高機能化に伴い、プリント配線板等の実装基板上における電子部品の実装密度向上に対する要求が非常に強くなっている。この傾向を反映して、半導体装置の実装形態は、リードフレームと呼ばれる外部電極をパッケージ外形に沿って一次元的に配置したQFP(Quad Flat Package)から、バンプと呼ばれる球状の外部電極を平坦な面上に二次元的に配列させたBGA(Ball Grid Array)に変わってきている。また、CSP(Chip Scale Package)や、WLP(Wafer Level Package)といった、より小型低背化が実現できる実装形態の採用が活発化している。
【0003】
バンプを用いて、半導体装置を実装基板に表面実装する方法としては、デジタルIC等に多用されるワイヤボンド接続と比較して、接続部を短縮できるフリップチップ実装がある(例えば、特許文献1参照)。この実装方法は、接続部が短縮されているため電気的特性が良く、小型かつ薄型の半導体装置を必要とする携帯機器の回路や、電気的特性が重視される高周波回路等に適している。
【0004】
バンプは、半導体装置と実装基板とを電気的に導通させるための電極端子であるとともに、両者を電気的に接続し、熱変形や反りによって発生する応力を緩和吸収する機械的な役割を担う。しかしながら、従来のバンプは球形に近いため、バンプの根本(パッドとの接合部)にはくびれ形状があり、このくびれ部に応力集中が発生しやすい構造となっている。そのため、バンプはその根本を基点としてクラックが発生し易く、電子機器の信頼性を著しく低下させる原因の一つになっていた。
【0005】
図12は、従来の球状のバンプ607を用いた半導体装置600を、バンプ607を介して実装基板651の接続部652にフリップチップ実装した状態を示す概略断面図である。半導体装置600は、半導体基板602の一面602a上に絶縁層603、配線層(不図示)、該配線層と電気的に接続されたバンプパッド606、およびバンプ607を順に設けることによって構成されている。さらに、バンプ607が露呈するように、封止樹脂層608によって一面が封止されている。
【0006】
図12に示されているとおり、従来のバンプ607のくびれ部には、熱変形や反りによって、バンプ607の接続寿命を低下させるクラック607aが発生し、さらにはバンプ607が破断してしまう虞がある。
【0007】
上述したように、バンプ607は、実装基板651から受ける外部応力あるいは熱応力を緩和・吸収する機能を有する。しかし、その応力が大きいほど、あるいは加わる回数が多いほど、バンプ607には金属疲労が蓄積していくため、クラック607aが発生し易くなる。また、バンプ607で緩和・吸収できなかった応力成分は、半導体装置600の配線層や絶縁層603、あるいは半導体基板602に搭載された半導体デバイス(不図示)そのものに加わるため、これらの接続境界からの剥離が発生しやすくなる。
【0008】
また、クラック607aの発生によりバンプ607が破断した場合、電気抵抗が増大してしまい、半導体デバイスに必要な電力が供給できない、あるいは電気信号が正常に伝達されない等の虞があり、実装された半導体装置としての信頼性が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−260583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における外縁部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置を提供することを第一の目的とする。
【0011】
また本発明は、半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における中央部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置を提供することを第二の目的とする。
【0012】
また、本発明は、半導体基板をフリップチップ実装することにより、半導体基板の実装面における外縁部または中央部に対し、実装基板と離間する方向に力が加わった場合に、バンプのくびれを小さく抑えることが可能な構造を備えた、半導体装置の製造方法を提供することを第三の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る半導体装置は、一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の中央方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする。
【0014】
従来の半導体装置の構成では、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して平行に配される。そして、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドは実装基板に対して平行に配される。
これに対し、請求項1の半導体装置の構成によれば、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して傾斜を有するように配される。したがって、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドの、半導体基板の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構成でのバンプパッドと実装基板との距離に比べて短くなる。そのため、各々のバンプの、半導体基板の外縁部側の側面(外側面)のくびれが、従来構成でのバンプのくびれに比べて小さくなる。
ゆえに、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの外側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑えることができる。そして、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る半導体装置は、一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が電気的に前記バンプパッドに各々接続される配線層と、複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の外縁方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする。
【0016】
従来の半導体装置の構成では、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して平行に配される。そして、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドは実装基板に対して平行に配される。
これに対し、請求項2の半導体装置の構成によれば、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して傾斜を有するように配される。したがって、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドの、半導体基板の外縁部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造でのバンプパッドと実装基板との距離に比べて短くなる。そのため、各々のバンプの、半導体基板の中央部側の側面(内側面)のくびれが、従来構成でのバンプのくびれに比べて小さくなる。
ゆえに、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの内側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑えることができる。そして、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明の請求項3に係る半導体装置は、請求項1または2において、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が全て同一の傾斜を有している、ことを特徴とする。
【0018】
請求項3の構成のように、突起部のバンプパッドと接する面が有する傾斜を、全て同一とすることにより、突起部をインプリント法を用いて形成する場合、突起部を構成する樹脂に金型を押し当てて成型した後に、該金型を均一に剥離除去しやすくなる。
【0019】
本発明の請求項4に係る半導体装置は、請求項1または2において、前記突起部は複数の層が積層された多段形状をなしている、ことを特徴とする。
【0020】
請求項4の構成によれば、バンプのバンプパッドと接触する面積が増加する。したがって、バンプはバンプパッド上に安定して固定されるため、半導体装置を実装した際の実装基板との接合強度を高めることができる。
【0021】
本発明の請求項5に係る半導体装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記絶縁層は、前記半導体基板の一面の全域を覆う、ことを特徴とする。
【0022】
請求項5の構成により、絶縁層と半導体基板との間で高い密着性が得られる。これにより、絶縁層を形成した後の工程において、絶縁層を構成する膜が剥がれるのを防止することができる。さらには、実装後の半導体パッケージとしての信頼性を高めることができる。また、絶縁層の表面は半導体基板の表面に比べて凹凸が小さくなるので、平滑な配線層を形成することができ、高周波信号の伝播特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の請求項6に係る半導体装置は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記絶縁層は、前記半導体基板の一面のうち配線層および前記突起部が形成される領域を覆う、ことを特徴とする。
【0024】
請求項6によれば、配線層あるいは突起部が形成されない領域には、絶縁層を設けなくてもよい。したがって、絶縁層の膜応力による半導体基板の屈曲を低減することができ、半導体素子の特性が低下することを回避できる。また、絶縁層の形成に用いる材料の総量を、最小限に抑えることができ、絶縁層形成にともなうコストの削減を実現することができる。
【0025】
本発明の請求項7に係る半導体装置は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記突起部の前記バンプパッドと接する面の傾斜は、複数の前記バンプパッドのうち少なくとも前記半導体基板の外縁部に設けられた前記バンプパッドに対して形成されている、ことを特徴とする。
【0026】
従来の半導体装置の構成では、各々のバンプと接するバンプパッドは、半導体基板の一面に対して平行に配される。そして、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、バンプパッドは実装基板に対して平行に配される。このとき、主に半導体装置の外縁部に設けられたバンプに対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に力が加わる。
これに対し、請求項7の半導体装置の構成によれば、各々のバンプと接するバンプパッドのうち、少なくとも半導体基板の外縁部に設けられたバンプパッドが、半導体基板の一面に対して傾斜を有するように配される。したがって、この半導体装置をフリップチップ実装した際に、少なくとも外縁部に設けられたバンプパッドの、半導体基板の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造でのバンプパッドと実装基板との距離に比べて短くなる。そのため、少なくとも外縁部に設けられたバンプパッドと接するバンプのくびれが、従来構成でのバンプのくびれに比べて小さくなる。
ゆえに、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、少なくとも外縁部に設けられたバンプに対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑えることができる。そして、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0027】
本発明の請求項8に係る半導体装置の製造方法は、一面に複数の電極を配してなる半導体基板の上に、複数の前記電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の上に、複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、を形成する工程と、複数の前記バンプパッドの一面上に複数のバンプを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、前記突起部を形成する工程は、前記突起部の前記バンプパッドと接する面ごとに所望の傾斜を有するように、前記突起部を形成する、ことを特徴とする。
【0028】
請求項8の構成によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となる。そして、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る半導体装置によれば、半導体装置を実装した際に、各々のバンプと接するバンプパッドの、半導体基板の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプの、半導体基板の外縁部側の側面(外側面)のくびれが、従来構造に比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの外側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係る半導体装置によれば、半導体装置を実装した際に、各々のバンプと接するバンプパッドの、半導体基板の外縁部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプの、半導体基板の中央部側の側面(内側面)のくびれが、従来構造に比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置との熱膨張率の差にともなって実装基板が反ることにより、バンプの内側面に対して、半導体装置と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプが破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】バンプと電極を示し、(a)は、バンプが電極から離れた位置に、(b)は、バンプが電極の上方にあることを示す断面図である。
【図3】フリップチップ実装した、第一実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図4】バンプの詳細を示し、(a)は従来、(b)は本発明のバンプの詳細図である。
【図5】第一実施形態に係る半導体装置の製造工程を順に示す断面図である。
【図6】第二実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図7】第三実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図8】第四実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図9】第五実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図10】第五実施形態に係る半導体装置の製造工程を順に示す断面図である。
【図11】第五実施形態に係る半導体装置の製造工程を順に示す断面図である。
【図12】フリップチップ実装した、従来の半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0034】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る半導体装置100の断面図である。半導体装置100は、半導体基板102と、半導体基板の一面102aに設けられた電極104と、電極104を除く半導体基板の一面102aを覆う絶縁層103と、絶縁層103上に形成された突起部109と、突起部109上にバンプパッド106を介して載置されたバンプ107と、電極104とバンプパッド106とを電気的に接続する配線層105と、半導体装置100の実装される側の面のうちバンプ107を除く領域を覆う封止樹脂層108と、を有する。
【0035】
半導体基板102は、シリコン等で構成される半導体ウェハでもよく、半導体ウェハをチップ寸法に切断(ダイシング)した半導体チップであってもよい。半導体チップは、各種半導体素子や集積回路等を備えた半導体ウェハの切断領域102bを分断して得られる(図5(d))。
【0036】
電極104は、例えば、Al、Cu、Cr、Ti、Au、Si等の導電性を有する金属により構成され、半導体基板102が備えた半導体素子や集積回路を配線層105、バンプパッド106、バンプ107を介して外部端子(回路)と電気的に接続する端子をなす。
【0037】
絶縁層103は、半導体基板の一面102aのうち、電極104を除いた全領域を覆ってもよいし、電極104と切断領域102bを除いた全領域を覆ってもよいし、配線層105および突起部109が形成される領域のみを覆ってもよい。
【0038】
第一の構成によれば、絶縁層103と半導体基板102との間で高い密着性が得られる。これにより、絶縁層103を形成した後の工程において、絶縁層103を構成する膜が剥がれるのを防止することができる。さらには、実装後の半導体パッケージとしての信頼性を高めることができる。また、絶縁層103の表面は半導体基板102の表面に比べて凹凸が小さくなるので、平滑な配線層105を形成することができ、高周波信号の伝播特性を向上させることができる。
第二の構成によれば、半導体基板102の切断領域102bには絶縁層103を設けなくてもよい。これにより、絶縁層103を形成した後の工程において、半導体基板102を分断したときに絶縁層103の剥離を抑制することができる。
【0039】
第三の構成によれば、突起部109が形成されない領域には、絶縁層103を設けなくてもよい。したがって、絶縁層103の形成に用いる材料の総量を、最小限に抑えることができ、絶縁層形成にともなうコストの削減を実現することができる。
【0040】
いずれの構成であっても、絶縁層103は、一定の厚みで平坦に形成される。絶縁層103に用いる材料としては、高い絶縁性を有し、高周波数帯域での信号伝搬特性に優れた感光性を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、液晶ポリマー等が好適である。
【0041】
突起部109は、絶縁層103上のバンプ107が載置される箇所に形成された突起状の部位である。各々の突起部109は、バンプパッド106と接する突起部の上面109aが、半導体基板の一面102aにおいて中央方向を向くように、個別に傾斜を有している。突起部の上面109aと半導体基板の一面102aとのなす角度(傾斜角度)は、半導体装置100を実装した状態でバンプ107に加わる応力を考慮して、適宜決定されるものとする。突起部の上面109aは、少なくとも、バンプ107を載置することが可能な面積があればよく、その形状については制限されないものとする。
【0042】
また、絶縁層103上に形成される複数の突起部109は、バンプ107が載置される箇所ごとに各々孤立した形状であってもよいし、絶縁層上でつながった形状であってもよい。
【0043】
また、突起部109をインプリント法により形成する場合、突起部109を構成する樹脂に金型を押し当てて成型した後に、該金型を均一に剥離除去しやすくするため、突起部のバンプパッドと接する面は、全て同一の傾斜を有していることが好ましい。
【0044】
配線層105は、電極104と電気的に接続されており、導電性に優れた材料で構成されることが好ましい。また配線層105は、電極104との密着性に優れるとともに、バンプパッド106や半導体基板102内に拡散しない元素からなる材料で構成されれば、さらに好ましく、例えば、Cu、Al、Ni、Ag、Pb、Sn、Au、Co、Cr、Ti、TiW等の導体(各種の金属や合金等)が好適である。
【0045】
バンプパッド106は、配線層105と連続して形成された、バンプ7が搭載される領域をなす。バンプパッド106は、一定の厚み(2〜40μm)を有しており、配線層105と同じ材質とすることが好ましい。
【0046】
図2(a)、(b)は、それぞれ第一実施形態に係る半導体装置100を構成する、バンプ107近傍の断面を拡大した図である。図2(a)に示すように、バンプ107は、電気的に接続された電極104から、配線層105を介して離間した位置にある場合が、想定されている。つまり、実装基板との接続箇所と対応する位置にバンプパッド106を配するため、バンプパッド106は、配線層105によって所望の位置に再配置される。
【0047】
ただし、図2(b)に示すように、バンプ107が半導体基板の一面102aに設けられた電極104の直上に配置される場合は、バンプパッドを形成することなく、バンプ107を直接配線層125に電気的に接続してもよい。
【0048】
バンプ107は、ボイドの数が極めて少ない高密度のはんだボールにより構成され、共晶はんだ、鉛を含まない高温はんだ等を用いることができる。バンプ107を構成する材料としては、電気抵抗が低く、バンプパッド106との接合が容易であり、機械的特性に優れたものがよく、例えば、錫、銀、銅、金、鉛、ビスマス、亜鉛、アルミニウムのうち、少なくとも2種類を含むはんだが好適である。
【0049】
封止樹脂層108は、電極104、絶縁層103、配線層105を覆って保護するものであり、その厚みは、5〜50μm程度である。封止樹脂層108に用いる材料としては、高い絶縁性を有し、耐環境性に優れた感光性樹脂が好ましく、例えば、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、液晶ポリマー等が好適である。
【0050】
図3は、第一実施形態に係る半導体装置100を、実装基板151にフリップチップ実装した、半導体パッケージ150を示す図である。半導体装置100は、実装基板151の一面151aに設けられた接続部152において、実装基板151と電気的に接続されている。
【0051】
一般に、半導体基板と、それを実装する実装基板の熱膨張率には差がある。そのため、図3に示すような半導体パッケージ150が高温環境あるいは低温環境に曝された場合に、半導体基板102と実装基板151とを電気的に接続するとともに機械的に結合するバンプ107に、応力が発生する。この応力は、バンプ107のくびれ部に集中してかかる。
【0052】
これに対し、第一実施形態に係る半導体装置100の構成によれば、半導体装置100を実装した際に、各々のバンプ107と接するバンプパッド106の、半導体基板102の中心部から遠い方の一端部と実装基板151との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ107の、半導体基板102上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置100との熱膨張率の差にともなって、実装基板151が、半導体基板102側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ107の外側面に対して、半導体装置100と実装基板151とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ107が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0053】
なお、突起部の上面109aと半導体基板の一面102aとのなす角度(傾斜角度)が大きいほど、バンプパッドの上面106aの、半導体基板102の中央部から遠い方の一端部と実装基板151との距離が短くなる。そして、バンプ107の外側面のくびれが小さくなるため、バンプ107の破損をより確実に抑制することができる。
【0054】
しかしながら、傾斜角度が大きすぎると、後に説明するようにリフローしてバンプ107を形成するときに、溶融したはんだがバンプパッドの上面106aから流出してしまい、
バンプを接合することができなくなる。また、突起部109をインプリント法により形成するときに、突起部109が絶縁層103と接する面積に対する突起部109が金型と接する面積の割合が大きいために金型の剥離除去が困難になる。
【0055】
そこで、傾斜角度は、半導体装置100を実装した状態でバンプ107に加わる応力および形成の容易性を考慮して、適宜決定されるものとする。
【0056】
なお、バンプ107の外側面のくびれが、従来構造でのバンプ607のくびれに比べて小さくなる理由は、半導体装置を実装する際のリフロー工程でバンプが溶融する際の、バンプ材の表面張力(表面積が最小となるように作用する力)に起因する。バンプのくびれが小さくなる原理について、図4(a)、(b)を用いて以下に説明する。
【0057】
図4(a)、(b)は、それぞれ従来構造におけるバンプ607、第一実施形態におけるバンプ107のくびれについて、説明する図である。図4(b)に示すように、第一実施形態では、バンプ107の外側面側、内側面側における接続部152とバンプパッド106との距離を、それぞれL1、L2とすると、L1<L2となる。そして、リフロー工程において溶融したはんだ材は、バンプ107の表面積が最小となるように、L1側の曲率が小さく、L2側の曲率が大きくなる。
【0058】
ここで、図4(b)で示す二点鎖線は、図4(a)に示すバンプ607のように、L1側、L2側での曲率が等しい場合の、バンプ107の外形線に相当する。また、図4(b)で示す実線は、第一実施形態の構成により、L1側、L2側の曲率がそれぞれ変化した場合の、バンプ107の外形線に相当する。
【0059】
バンプ107と接続部152とのL1側、L2側の接点において、接続部152のバンプ107と接する面と、バンプ107の外形線とのなす角をそれぞれβ1、β2とすると、β1は小さくなり、β2は若干大きくなる。すなわち、バンプ107の外形線のくびれは、L1側では小さくなり、L2側では若干大きくなる。
【0060】
くびれの小さくなるL1側の面では、バンプ107に加わる応力が小さくなるため、破断されにくくなる。一方、L2側の面では、バンプ107の表面積が大きいため、くびれはわずかに大きくなる程度である。したがって、L2側の面での、くびれの大きさの変化により、バンプ107に加わる応力の変化は無視できるほど小さい。
【0061】
第一実施形態に係る半導体装置100の構成では、バンプ107のL1側およびL2側の側面は、それぞれ半導体基板102上における外縁部側の側面(外側面)、中央部側の側面(内側面)に相当する。
【0062】
そのため、第一実施形態に係る半導体装置100の構成では、バンプ107のくびれは、外側面において小さくなる。よって、半導体装置100の構成は、実装基板151に実装した際に、半導体基板102の外縁部において、実装基板151と離間する方向に大きな力が加わる場合、すなわち、実装基板151の熱膨張率が半導体基板102の熱膨張率よりも小さい場合に、好適な構成となる。
【0063】
[製造方法1]
第一実施形態に係る半導体装置の製造方法1について、図5(a)〜(h)に示す工程図を用いて説明する。
【0064】
図5(a)に示すように、電極(不図示)を備えた半導体基板102cの一面102aを覆うように、ポリイミド樹脂等からなる絶縁膜の材料を塗布して熱硬化させることにより、絶縁層103を形成する。絶縁膜の材料を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ディスペンス法、スクリーン印刷法等の方法がある。
【0065】
次に、UVインプリント法により、突起部109を形成する。まず、図5(b)に示すように、絶縁層103上に、スプレーコート法により光硬化性樹脂(例えば、東洋合成工業株式会社製のPAK−01)を塗布して、光硬化性樹脂層109cを形成する。
【0066】
そして、図5(c)に示すように、所定の形状に加工した金型Pを光硬化性樹脂層109cに押し当て、その状態でUV光を照射し、光硬化性樹脂層109cを硬化させた後に、金型Pを剥離除去する。ここで、UV光は金型Pを介して光硬化性樹脂層109cに照射されるため、金型Pは石英等の透明材料で構成されている必要がある。
【0067】
光硬化性樹脂層109c(突起部109)に用いる材料としては、体積収縮が小さく、硬化後に金型Pの剥離除去が容易な光硬化性樹脂が好ましく、例えば、ポリオールアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、メラミンアクリレート樹脂、シリコーンアクリレート樹脂、ポリアミドアクリレート樹脂等が好適である。このとき突起部周辺に残渣が生じることがあり、これを除去するために酸素プラズマ処理を行う。
【0068】
次に、図5(d)に示すように、レーザエッチング法により、電極104が露出するように、絶縁層103を除去する。加えて、切断領域102bが露出するように絶縁層103を除去してもよい。ここで用いるレーザとしては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、Nd−YAGレーザ、Nd−YVO4レーザ、色素レーザ、OPOレーザ等が好適である。レーザの波長は、樹脂材の光吸収係数に応じて適切に選択すればよい。なお、レーザエッチングによって、エッチング箇所周辺に有機物残渣が生じることがあり、これを除去するために酸素プラズマ処理を行う。
【0069】
ここでは、図5(c)に示すように、UVインプリント後において、突起部109同士は接続されており、図5(d)に示すように、レーザエッチング後に、突起部109が個々に切り分けられた例を示しているが、突起部109はレーザエッチング後に必ずしも切り分けられていなくてもよい。
【0070】
次に、図5(e)に示すように、突起部の上面109aに、セミアディティブ工法により、Cuからなる配線層(不図示)およびバンプパッド106を形成する。すなわち、半導体基板の一面102a側にTiW(またはTi、Cr、Ni)とCuの積層型薄膜をスパッタリングし、フォトリソグラフィによるパターニング後、電解めっきにより、Cuを析出させて形成される。
【0071】
次に、図5(f)に示すように、スクリーン印刷法により、絶縁層103、突起部109、配線層(不図示)、バンプパッド106上を覆うように、感光性エポキシ樹脂等からなる材料を塗布し、封止樹脂層108を形成する。
【0072】
次に、図5(g)に示すように、バンプパッド106上にフラックス(図示せず)を塗布してから球状のボールを載置し、リフローしてバンプ107を形成する。または、はんだペーストをバンプパッド106上にスクリーン印刷し、リフローしてバンプ107を形成してもよい。フラックスは必要に応じて洗浄除去する。
【0073】
次に、図5(h)に示すように、半導体装置をチップ状態となるように分断する。分断する方法としては、ダイシングブレードを用いる方法とレーザを用いる方法(ステルスダイシング)がある。前者の方法では、所望の切断領域102bに高速回転するダイシングブレードを接触させることにより、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置100が得られる。
【0074】
後者の方法では、所望の位置における半導体基板の内部にレーザを照射して改質層を形成する。そして、テープエキスパンド等の方法で外部応力を加えることにより、半導体基板の改質層から表面に亀裂を進展させて、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置100が得られる。
【0075】
以上説明した、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法1によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0076】
また、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法1では、突起部を構成する樹脂として光硬化性樹脂を用い、UV光を照射して硬化させる。したがって、突起部の形成に加熱処理がないため熱による樹脂の形状変化がなく、高精細な形状を有する突起部の形成が可能となる。
【0077】
[製造方法2]
上述の製造方法1においては、UVインプリント法を用いて突起部109を形成したが、突起部109は、熱インプリント法を用いて形成することもできる。以下では、熱インプリント法を用いる場合の製造方法2について、製造方法1と異なる突起部109の形成工程を取り上げて説明する。なお、突起部109を形成する以外の工程は、UVインプリント法を用いる場合と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
まず、半導体基板の一面102aに形成された絶縁層103上に、スピンコート法により、エポキシ樹脂を全面塗布する。次いで、この樹脂をエポキシ樹脂のガラス転移点付近まで加熱する。そして、所定の形状に加工した金型Pを押し当てて樹脂を冷却し、樹脂が十分に冷却したところで金型Pを剥離除去する。
【0079】
突起部109を構成する材料としては、高温で軟化するものが好ましく、例えば、ポリカーボネイト樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、液晶ポリマー樹脂等の熱可塑性樹脂、またはシリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム等のエラストマが好適である。
【0080】
あるいは、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂等の熱硬化性樹脂も適用できるが、この場合、硬化温度よりも低い温度で金型を押し当てた後、溶媒が十分に揮発して樹脂の流動性がなくなった後に金型を剥離除去し、熱硬化処理を行うとよい。金型の剥離が容易な場合は、金型を押し当てた状態で熱硬化処理を行い、その後に金型を剥離除去することで、金型を剥離除去した後の形状変化が小さく、高精細な突起部を形成することができるためより好ましい。
【0081】
熱インプリント法を用いて突起部109を形成する場合、金型Pは透明である必要はなく、耐熱性に優れ、熱膨張による寸法変化の小さい材料が好ましい。例えば、石英、石英ガラス、ダイヤモンド、シリコン、シリコンカーバイト、グラッシーカーボン、ニッケル、タンタル等が好適である。
【0082】
以上説明した、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法2によっても、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0083】
また、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法2では、突起部を形成する材料や、金型として使用する材料に対する制約が少ないため、製造コストを削減することができる。
【0084】
[製造方法3]
突起部109は、インクジェット法を用いても形成することもできる。以下では、突起部109の形成に、インクジェット法を用いる場合の製造方法3について、説明する。なお、突起部109を形成する以外の工程は、製造方法1として説明した工程と同様であるので、説明を省略する。
【0085】
まず、半導体基板の一面102a全域に,スクリーン印刷法を用いて感光性ポリイミド樹脂を塗布する。次いで、フォトリソグラフィで所定の電源と切断領域102bが露出するようパターニングした後、感光性ポリイミド樹脂を熱硬化させることで絶縁層103を形成する。
【0086】
次に、インクジェット法により、光硬化性樹脂(例えば、東洋合成工業株式会社製のPAK−02)を印刷する。すなわち、インクジェットのヘッドから吐出される光硬化性樹脂の液滴を、半導体基板の一面102aに形成された絶縁層103上に着弾させる。そして、着弾した光硬化性樹脂を、UV光の照射により硬化させる。これらのプロセスを繰り返すことで任意の突起形状を形成することができる。
【0087】
モノマー、オリゴマー、またはこれらとポリマーとを配合した溶液をインクジェット法で吐出し、予め半導体基板を加熱しておくことで、着弾した液滴の溶媒を速やかに蒸発させて突起部を形成し、その後、UV光照射または加熱処理して重合させてもよい。この場合、特に樹脂の種類は限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはエラストマ等から選択することができる。
【0088】
また、光硬化性樹脂等からなる溶液中にナノサイズの微粒子を添加してもよい。微粒子としては、シリカ、窒化アルミニウム、窒化シリコン、炭化シリコン、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化鉄、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等が好適である。
【0089】
これらの微粒子を光硬化性樹脂等からなる溶液中に添加することにより、材料の熱膨張率や熱伝導性等を制御することができる。これにより、例えば、絶縁樹脂とバンプパッドの熱膨張率の差によって生じる応力を分散させたり、放熱特性を向上させたりすることができる。
【0090】
以上説明した、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法3によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0091】
また、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法3では、金型等の治工具が不要であることに加え、材料の無駄が少なく、プロセスが簡便であるため、製造コストを削減することが可能である。
【0092】
<第二実施形態>
図6は、本発明の第二実施形態に係る半導体装置200の断面図である。半導体装置200は、半導体基板202と、半導体基板の一面202aに設けられた電極204と、電極204を除く半導体基板の一面202aを覆う絶縁層203と、絶縁層203上に形成された突起部209と、突起部209上にバンプパッド206を介して載置されたバンプ207と、電極204とバンプパッド206とを電気的に接続する配線層205と、半導体装置200の実装される側の面のうちバンプ207を除く領域を覆う封止樹脂層208と、を有する。
【0093】
バンプパッド206と接する突起部の上面209aが、半導体基板202上において外縁方向を向くように、個別の傾斜を有する構成が、第一実施形態と異なる。その他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0094】
第二実施形態に係る半導体装置200の構成によっても、半導体装置200を実装基板に実装した際に、各々のバンプ207と接するバンプパッド206の、半導体基板202の外縁部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ207の、半導体基板202上における中央部側の側面(内側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置200との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板と反対側に凸形状をなすように反る場合、すなわち、実装基板の熱膨張率が半導体基板202の熱膨張率よりも大きい場合に、バンプ207の内側面に対して、半導体装置200と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ207が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0095】
なお半導体装置200をフリップチップ実装した際に、主に半導体装置200の外縁部に設けられたバンプに対して、半導体装置200と実装基板とが離間する方向に力が加わる。そこで、各々のバンプと接するバンプパッドのうち、少なくとも半導体基板202の外縁部に設けられたバンプパッドが、半導体基板の一面202aに対して傾斜を有するように配することにより、第一実施形態と同傾向の効果が得られる。
【0096】
<第三実施形態>
図7は、本発明の第三実施形態に係る半導体装置300の断面図である。半導体装置300は、半導体基板302と、半導体基板の一面302aに設けられた電極304と、電極304を除く半導体基板の一面302aを覆う絶縁層303と、絶縁層303上に形成された突起部309と、突起部309上にバンプパッド306を介して載置されたバンプ307と、電極304とバンプパッド306とを電気的に接続する配線層305と、半導体装置300の実装される側の面のうちバンプ307を除く領域を覆う封止樹脂層308と、を有する。
【0097】
バンプパッド306が接する突起部の上面309aと、半導体基板の一面302aとのなす角度(傾斜角度)が、半導体基板の一面302aの外縁部において、中央部よりも大きく形成された構成が、第一実施形態と異なる。その他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0098】
第三実施形態に係る半導体装置300の構成によっても、半導体装置300を実装した際に、各々のバンプ307と接するバンプパッド306の、半導体基板302の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ307の、半導体基板302上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置300との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ307の内側面に対して、半導体装置300と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ307が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0099】
また、第一実施形態の説明でも述べたように、傾斜角度が大きいほど、バンプパッド306の、半導体基板302の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が小さくなり、バンプ307のくびれを小さく抑えることができる。
【0100】
したがって、半導体基板の一面302aの、相対的に大きい力(引っ張り応力)が加わると想定される外縁部においては、突起部309の傾斜角度を特に大きく形成することにより、バンプ307のくびれを小さく抑えることができる。そして、外縁部におけるバンプ307の破断を、他の領域と同程度に起きにくくすることができる。
【0101】
すなわち、バンプ307に加わる応力が、半導体基板の一面302aの各領域(位置)で異なる場合であっても、第三実施形態のように、各領域でバンプ307に加わると想定される応力の大きさに応じて傾斜角度を設定することにより、バンプ307の破断しやすい領域をなくすことができる。これにより、半導体基板の一面302aの全域において、安定した実装状態を実現することができ、半導体パッケージとしての信頼性を高めることができる。
【0102】
<第四実施形態>
図8は、本発明の第四実施形態に係る半導体装置400の断面図である。半導体装置400は、半導体基板402と、半導体基板の一面402aに設けられた電極404と、電極404を除く半導体基板の一面402aを覆う絶縁層403と、絶縁層403上に形成された突起部409と、突起部409上にバンプパッド406を介して載置されたバンプ407と、電極404とバンプパッド406とを電気的に接続する配線層405と、半導体装置400の実装される側の面のうちバンプ407を除く領域を覆う封止樹脂層408と、を有する。
【0103】
第一実施形態では、バンプ107と接する突起部の上面109aは、半導体基板の一面102aに対して傾斜する一つの面で構成されていた。これに対し、第四実施形態では、バンプ407と接する突起部の上面409aは、半導体基板の一面402aに対して傾斜する二つの面で構成される。すなわち、第四実施形態のバンプ407と接する突起部の上面409aは、半導体基板の一面402aに対して傾斜する突起部の上面409aと、半導体基板の一面402aに対して突起部の上面409aよりも急峻に傾斜する突起部の上面409bとが、基板402側から順に接続された構成をなしている。そして、突起部の上面409aおよび409bを覆うように、バンプパッド406が形成されている。第四実施形態の他の構成は、第一実施形態と同様である。
【0104】
第四実施形態に係る半導体装置400の構成によっても、半導体装置400を実装した際に、各々のバンプ407と接するバンプパッド406の、半導体基板402の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ407の、半導体基板402上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置400との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ407の外側面に対して、半導体装置400と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ407が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0105】
第四実施形態の構成によれば、突起部の上面409bの傾斜角度が大きすぎて、バンプ407を形成するときにリフローに溶融したはんだがバンプパッド406から流出してしまう状態であっても、突起部の上面409bに比べて緩やかな傾斜角度を有する突起部の上面409aで速やかに接合することで流出を阻止するよう機能する。そのため、バンプ407をバンプパッド406に接合できなくなる虞はない。
【0106】
これにより、バンプ407がバンプパッド406上に接合しない虞を回避しつつ、突起部の上面409bの傾斜角度を第一実施形態での突起部の上面109aの傾斜角度よりも、大きくすることができる。したがって、突起部の上面409bの、半導体基板402の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離をより短くすることができ、また、バンプ407の外側面側のくびれを、より小さく抑えることができる。したがって、実装後の半導体装置の信頼性を、第一実施形態の構成を用いた場合よりも、さらに向上させることができる。
【0107】
<第五実施形態>
図9は、本発明の第五実施形態に係る半導体装置500の断面図である。半導体装置500は、半導体基板502と、半導体基板の一面502aに設けられた電極504と、電極504を除く半導体基板の一面502aを覆う絶縁層503と、絶縁層503上に形成された突起部509と、突起部509上にバンプパッド506を介して載置されたバンプ507と、電極504とバンプパッド506とを電気的に接続する配線層505と、半導体装置500の実装される側の面のうちバンプ507を除く領域を覆う封止樹脂層508と、を有する。
【0108】
第一実施形態では、突起部109が単一の部位で構成されていた。これに対し、第五実施形態では、突起部509が複数の部位で構成される。すなわち、第五実施形態の突起部509は、一定の厚みを有する複数の突起層509a、509bを順に積層した、多段形状をなすように構成される。突起層509bの面積を、突起層509aよりも小さく形成することにより、突起部509の側部が、傾斜に近い形状となる。そして、突起部509の側部を覆うように、バンプパッド506が形成されている。第五実施形態の他の構成は、第一実施形態と同様である。なお、突起部509は、3つ以上の突起層で構成されてもよく、各突起層の厚さは一様でなくてもよい。
【0109】
第五実施形態に係る半導体装置500の構成によっても、半導体装置500を実装した際に、各々のバンプ507と接するバンプパッド506の、半導体基板502の中央部から遠い方の一端部と実装基板との距離が、従来構造よりも短くなる。そのため、バンプ507の、半導体基板502上における外縁部側の側面(外側面)のくびれが、図12に示した、従来構造におけるバンプ607のくびれに比べて小さくなる。したがって、実装後に、半導体装置500との熱膨張率の差にともなって、実装基板が、半導体基板側に凸形状をなすように反る場合に、バンプ507の外側面に対して、半導体装置500と実装基板とが離間する方向に加わる力が低減される。これにより、バンプ507が破断されるのを抑制することができ、実装後の半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0110】
突起部の側面が多段形状をなすため、これを覆うバンプパッド506も多段形状をなす。これにより、バンプ507を載置した際に、バンプ507とバンプパッド506との接触面積が、第一実施形態でのバンプ107とバンプパッド106との接触面積に比べて大きくなる。したがって、バンプ507とバンプパッド506との接合強度をより高めることができる。
【0111】
[製造方法4]
第五実施形態に係る半導体装置の製造方法4について、図10(a)〜(g)に示す工程図を用いて説明する。
【0112】
図10(a)に示すように、まず、電極504を備えた半導体基板502cの一面502aを覆うように、ポリイミド樹脂等からなる絶縁膜の材料を塗布する。そして、フォトリソグラフィによるパターニングを行い、熱硬化させて、絶縁層503を形成する。絶縁膜の材料を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ディスペンス法、スクリーン印刷法等の方法がある。
【0113】
次に、スクリーン印刷法により、突起部509を形成する。まず、図10(b)に示すように、絶縁層503上の突起部を形成する箇所に、印刷マスクを用いて非感光性のシリコーン樹脂を塗布し、熱硬化させて突起層509aを形成する。
【0114】
そして、図10(c)に示すように、突起層509a上に、印刷マスクを用いて非感光性のシリコーン樹脂を塗布し、熱硬化させて突起層509bを形成する。
【0115】
スクリーン印刷法の代替として、半硬化したフィルムをラミネートし、フォトリソグラフィによりパターニングしてもよい。
【0116】
この場合、感光性を有する樹脂である必要があり、ポリカーボネイト樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスルホン樹脂、液晶ポリマー樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。または、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ウレタンゴム等のエラストマが好ましい。
【0117】
また、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂等の熱硬化性樹脂も用いることができる。
【0118】
このように、多段形状の突起部509を構成する材料としては、液状のみならず、半硬化させたフィルム状の樹脂を用いることができる。そのため、材料選択の幅が広がり、フィルムを用いる場合は工程の簡略化も可能である。
【0119】
次に、図10(d)に示すように、絶縁層503および突起部509に、インクジェット法を用いてAgの配線層505およびバンプパッド506を形成する。液滴として用いる材料としては、導電性の高い材料が好ましく、Au、Ag、Cu等の金属からなるナノサイズの粒子を分散させたインク、あるいはこれらの金属の錯体を含有するインクが好適である。配線抵抗をより小さくするために、さらに無電解めっきを行って配線層505を厚くしてもよい。製造方法4においては、まず、パラジウム塩を用いた触媒化前処理を行い、その後、銅/ニッケル/金をそれぞれ無電解めっきし、三層の積層型配線を形成する。
【0120】
次に、図10(e)に示すように、スクリーン印刷法により、絶縁層503、突起部509、配線層505、バンプパッド506上を覆うように、感光性エポキシ樹脂等からなる材料を塗布し、フォトリソグラフィによりパターニングして硬化させることで封止樹脂層508を形成する。
【0121】
次に、図10(f)に示すように、バンプパッド506上にフラックス(図示せず)を塗布してから球状のボールを載置し、リフローしてバンプ507を形成する。または、はんだペーストをバンプパッド506上にスクリーン印刷し、リフローしてバンプ507を形成してもよい。フラックスは必要に応じて洗浄除去する。
【0122】
次に、図10(g)に示すように、半導体装置をチップ状態となるように分断する。分断する方法としては、ダイシングブレードを用いる方法とレーザを用いる方法(ステルスダイシング)がある。前者の方法では、所望の切断領域に高速回転するダイシングブレードを接触させることにより、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置500が得られる。
【0123】
後者の方法では、所望の位置における半導体基板の内部にレーザを照射して改質層を形成する。そして、テープエキスパンド等の方法で外部応力を加えることにより、半導体基板502の改質層から表面に亀裂を進展させて、半導体装置を分断し、チップ状態となった個々の半導体装置500が得られる。
【0124】
以上説明した、第五実施形態に係る半導体装置の製造方法4によれば、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0125】
[製造方法5]
第五実施形態に係る半導体装置の製造方法5では、突起部509を、感光する波長領域が異なる樹脂を重ね塗りし、それぞれの感光する波長の光でフォトリソグラフィすることによりパターニングして形成することを特徴としている。突起部509以外の箇所については、製造方法4と同様にして得られる。以下、製造方法5について、図11(a)〜(e)に示す突起部形成の工程図を用いて説明する。なお、突起部509を形成する以外の工程は、製造方法4として説明した工程と同様であるので、説明を省略する。
【0126】
まず、図11(a)に示すように、絶縁層503上の全面に、スピンコート法により、g線(435nm)で感光するポジ型の樹脂509dを塗布する。
【0127】
次に、図11(b)に示すように、樹脂509d上の全面に、スピンコート法により、i線(365nm)で感光するネガ型の樹脂509eを塗布する。
【0128】
次に、図11(c)に示すように、マスクM1で、第1の突起層509aに相当する箇所をマスクした上で、g線で樹脂509dからなる層を露光する。
【0129】
次に、図11(d)に示すように、マスクM2で、第2の突起層509bに相当する箇所をマスクした上で、i線で樹脂509eからなる層を露光する。
【0130】
そして、図11(e)に示すように、樹脂509dの層および樹脂509eの層を一括して現像し、残った突起層509aと突起層509bとからなる突起部509を得る。
【0131】
第五実施形態に係る半導体装置の製造方法5によっても、突起部は絶縁層と別の層として形成される。したがって、電気的な絶縁膜としての機能を絶縁層に担わせることにより、突起部の構成材料を自由に選択することが可能となり、突起部を、バンプに加わる力を低減させるような所望の形状、大きさに加工することができる。さらに、突起部のみを柔軟性の高い樹脂材で構成することが可能であり、これにより、半導体装置を実装基板に実装した際の接続信頼性を向上させることができる。
【0132】
また、製造方法5によれば、2層目を露光する際に、i線が照射された1層目の部分は、現像したときに幾分溶解するため、パターンのエッジが丸みを帯びる。このような形状とすることで、突起部509を覆うように形成される配線層およびバンプパッドが、突起部509(突起層509a)のエッジにおいて断線する危険性を、低減させることができる。
【0133】
なお、第五実施形態に係る半導体装置の製造方法4、5においては、レーザを用いたエッチングにより、突起部509を構成する各突起層509a、509bのエッジの面取りを行うことが好ましい。面取りを行うことにより、突起部509の製法によらず、配線層やバンプパッドが各突起層509a、509bのエッジで断線する危険性を容易に低減することができる。また、エッチングにより発生した残渣を除去するために、酸素プラズマ処理を実施することが好ましい。
【0134】
また、図1〜7における突起部の断面は三角形であるが、四角形(樹脂ポスト構造で上面が傾斜したような形状)であってもよい。
また、パッド上にバンプが戴置された構造を示したが、パッドの側面がバンプ内に含まれる形態としてもよい。例えば、前記断面が四角形の突起部において、突起の高さが低い側の側面はバンプで覆う形態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、例えば携帯電話やデジタルカメラ、ノートパソコン等、小型で高密度な電子部品を必要とする電子装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
100、200、500・・・半導体装置、102、202・・・半導体基板、
102a、202a・・・一面、103、203・・・絶縁層、
104、204・・・電極、105、205・・・配線層、
106、206・・・バンプパッド、106a、206a・・・一面、
107、207・・・バンプ、109、209、509・・・突起部、
109a、209a・・・バンプパッドと接する面、509a、509b・・・突起層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、
前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、
前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、
前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、
複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、
複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の中央方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、
前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、
前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、
前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が電気的に前記バンプパッドに各々接続される配線層と、
複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、
複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の外縁方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記突起部の前記バンプパッドと接する面が全て同一の傾斜を有している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記突起部は複数の層が積層された多段形状をなしている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記半導体基板の一面の全域を覆う、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記半導体基板の一面のうち配線層および前記突起部が形成される領域を覆う、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記突起部の前記バンプパッドと接する面の傾斜は、複数の前記バンプパッドのうち少なくとも前記半導体基板の外縁部に設けられた前記バンプパッドに対して形成されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
一面に複数の電極を配してなる半導体基板の上に、複数の前記電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に、複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、を形成する工程と、
複数の前記バンプパッドの一面上に複数のバンプを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記突起部を形成する工程は、
前記突起部の前記バンプパッドと接する面ごとに所望の傾斜を有するように、前記突起部を形成する、ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、
前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、
前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、
前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、
複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、
複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の中央方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
一面に複数の電極を配してなる半導体基板と、
前記半導体基板の一面を覆うように配され、かつ前記複数の電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられる複数の突起部と、
前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、
前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が電気的に前記バンプパッドに各々接続される配線層と、
複数の前記バンプパッドの一面に各々形成された複数のバンプと、を備え、
複数の前記バンプパッドの一面が各々前記半導体基板の外縁方向を向くように、前記突起部の前記バンプパッドと接する面が個別に傾斜を有している、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記突起部の前記バンプパッドと接する面が全て同一の傾斜を有している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記突起部は複数の層が積層された多段形状をなしている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記半導体基板の一面の全域を覆う、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記半導体基板の一面のうち配線層および前記突起部が形成される領域を覆う、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記突起部の前記バンプパッドと接する面の傾斜は、複数の前記バンプパッドのうち少なくとも前記半導体基板の外縁部に設けられた前記バンプパッドに対して形成されている、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
一面に複数の電極を配してなる半導体基板の上に、複数の前記電極が個別に露呈するように複数の開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に、複数の突起部と、前記突起部を覆うように個別に設けられるバンプパッドと、前記絶縁層上に設けられ、前記開口部を通して一端が前記電極と各々電気的に接続され、他端が前記バンプパッドに各々電気的に接続される配線層と、を形成する工程と、
複数の前記バンプパッドの一面上に複数のバンプを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記突起部を形成する工程は、
前記突起部の前記バンプパッドと接する面ごとに所望の傾斜を有するように、前記突起部を形成する、ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−51268(P2013−51268A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187509(P2011−187509)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
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