説明

半導体装置の製造方法

【課題】 酸素に対して活性な材質からなる薄膜を成膜する薄膜形成装置のメンテナンス時に発火してしまうことを防ぐことのできる技術を提供する。
【解決手段】 薄膜形成装置の成膜チャンバの内面を構成する部材もしくは成膜チャンバの内部に配置された部材であるターゲットシールドTGS、排気シールドEXS、ガス分散板GDB、およびリングチャックRCK等については、予め表面に金属を溶射し、酸素を含有した金属膜MF1を形成しておくことにより、これら部材の表面に酸素に対して活性な微粒子が堆積すると、堆積した微粒子中に金属膜MF1中の酸素が拡散し、酸化膜OF1が形成され、酸素に対して活性な微粒子は不活性な状態(化学的に安定な状態)へ変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、金属薄膜を成膜する薄膜形成装置を用いた半導体装置の製造工程に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許2568141号公報(特許文献1)には、電解銅箔のマット面に銅酸化物微細粒を含む酸素含有層を形成またはさらにそれを酸素含有雰囲気中で加熱処理することで酸素富化層を形成した発火防止性パーティクルゲッターを薄膜形成装置内に配置し、酸素に対して非常に活性であるチタン等の金属、合金、化合物の堆積層をパーティクルゲッターから剥離および飛散しないように固着し、同時に堆積物中に基板表面の酸素含有層または酸素富化層からの酸素を吸収および拡散させ、堆積層を酸素に対して不活性化することにより、装置開放時あるいは堆積物保管時の発火問題を排除する技術が開示されている。
【0003】
特開平11−340143号公報(特許文献2)には、成膜室内に冶具が設置される薄膜形成装置において、その冶具の表面に対してアルミニウムを溶射することによって凸形状を形成し、冶具に付着する成膜生成物の密着力を向上させることによって、成膜中における異物の発生を抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特許2568141号公報
【特許文献2】特開平11−340143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薄膜形成装置による半導体基板(以下、単に基板と記す)への成膜処理工程中には、成膜処理室(以降、チャンバと記す)内の部品にも薄膜を形成する微粒子が堆積する。この微粒子が、Ti(チタン)等の高反応性の金属微粒子であった場合には、薄膜形成装置のメンテナンス時に衝撃や摩擦を加えると発火してしまう虞があることから、たとえば薄膜形成装置の構成部品の慎重な取り外しや取り外した部品の保管は水中にて行っていた。
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載されたパーティクルゲッターは、エンボス加工が施された板状材料である。そのため、チャンバ内の微小な部品やコリメータのようなハニカム構造体には固着させることが困難であるという課題を有している。
【0006】
本発明の目的は、薄膜形成装置のメンテナンス時に発火してしまうことを防ぐことのできる技術を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
本発明による半導体装置の製造方法は、第1の処理装置を用い、前記第1の処理装置が有する第1の処理室内にて半導体基板上に酸素に対して活性な薄膜を堆積する工程を含むものであり、
前記薄膜を堆積する工程に先立って、予め前記第1の処理室の内面となる第1の部材および前記第1の処理室内に配置された第2の部材の表面に第1の金属を溶射し、第1の金属膜を形成しておくものである。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0011】
すなわち、第1の処理装置の第1の処理室の内面を構成する第1の部材および第1の処理室の内部に配置された第2の部材の表面に予め第1の金属を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておくので、第1の処理装置のメンテナンス時に発火してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施の形態で用いる薄膜形成装置(第1の処理装置)の一例であるスパッタリング装置を示す説明図である。図1に示すスパッタリング装置は、搬送室TR1内に搬送ロボットTRB1が設けられ、この搬送ロボットTRB1がスパッタリング装置に備え付けられた各チャンバへの半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)の搬送を行う。スパッタリング装置に備え付けられたチャンバは、たとえばロードロックチャンバLL1、LL2、デガスチャンバDG1、DG2、スパッタエッチングチャンバSEC、および成膜チャンバ(第1の処理室)DPC1〜DPC3である。スパッタリング装置に備え付けられたチャンバは、たとえばロードロックチャンバLL1、LL2、デガスチャンバDG1、DG2、スパッタエッチングチャンバSEC、および成膜チャンバDPC1〜DPC3である。ロードロックチャンバLL1には、スパッタリング処理前の複数枚のウエハがウエハカセットに収納された状態で搬送および配置され、ロードロックチャンバLL1内は、ウエハカセットが配置されると真空状態にされる。デガスチャンバDG1では、ロードロックチャンバLL1から搬送ロボットTRB1によって取り出されたウエハが搬送され、ウエハに対するデガス処理が施され、ウエハに付着している不必要な水分等が除去される。また、デガスチャンバDG1では、ウエハに形成されたオリエンテーションフラットの位置合わせが行われ、ウエハの向きが揃えられる。成膜チャンバDPC1〜DPC3では、ウエハにスパッタリング処理が施され、ウエハの表面に所定の薄膜(たとえばTi膜)が成膜される。成膜チャンバDPC1〜DPC3でスパッタリング処理が施された後のウエハは、ロードロックチャンバLL2内に配置されたウエハカセットに収納される。スパッタエッチングチャンバSECでは、ウエハに対してスパッタエッチング処理が施される。
【0014】
図2は、上記成膜チャンバDPC1〜DPC3の内部の構造を説明する要部断面図である。図2に示すように、成膜チャンバDPC1〜DPC3は、ターゲットTGT、ターゲットを保持するパッキングプレートPKP、ターゲットシールドTGS、排気シールドEXS、ガス分散板GDB、リングチャックRCK、およびウエハWFRを下部から保持するホルダHLDなどから構成されている。図示は省略するが、ターゲットから飛び出す金属微粒子の指向性を高めるために、たとえば成膜チャンバDPC1〜DPC3の内部にハニカム構造のコリメータを配置してもよい。ターゲットTGTは、たとえば薄膜を形成する物質であるTiから形成されている。パッキングプレートPKPは、たとえばAl(アルミニウム)等から形成されている。ターゲットシールドTGS、排気シールドEXS、ガス分散板GDB、およびリングチャックRCKは、たとえばステンレス鋼(SUS304)等から形成されている。
【0015】
本実施の形態において、ウエハWFR上に堆積する薄膜が、たとえばTi、Ni(ニッケル)およびCo(コバルト)などの酸素に対して活性な(高い反応性を有する)材質である場合には、成膜チャンバDPC1〜DPC3の内面を構成する部材(第1の部材)もしくは成膜チャンバDPC1〜DPC3の内部(第2の部材)に配置された部材であるターゲットシールドTGS、排気シールドEXS、ガス分散板GDB、およびリングチャックRCK等については、予め表面に金属(第1の金属)を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておく。本実施の形態では、その金属としてAlを例示することができる。金属の溶射は、形成される金属膜が酸素を良好に含有するように、酸素が十分に存在する雰囲気中にて行う。成膜処理中には、薄膜を形成する微粒子はウエハWFR上だけでなくターゲットシールドTGS、排気シールドEXS、ガス分散板GDB、およびリングチャックRCK等にも堆積していくが、図3に示すように、ターゲットシールドTGS、排気シールドEXS、ガス分散板GDB、およびリングチャックRCK等の表面には予め酸素を含有した金属膜(第1の金属膜)MF1が形成されているので、堆積した微粒子中に金属膜MF1中の酸素が拡散し、酸化膜OF1を形成する。それにより、酸素に対して活性な微粒子は不活性な状態(化学的に安定な状態)へ変化する。その結果、スパッタリング装置のメンテナンス時において、スパッタリング装置を構成する各部品が大気開放され、衝撃や摩擦が加えられても発火してしまう虞を解消することができる。すなわち、スパッタリング装置のメンテナンスを容易にかつ安全に実施することが可能となる。
【0016】
上記金属膜MF1は溶射によって成膜するので、表面が微小な構造となっている個所や曲面となっている個所にも容易に成膜することができる。また、成膜チャンバDPC1〜DPC3の内部に前述のコリメータが配置される場合でも、ハニカム構造のような複雑な構造部にも容易に金属膜MF1を成膜することができる。
【0017】
上記本実施の形態においては、金属膜MF1はAlの溶射によって形成する場合について説明したが、Alの代わりに、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Ni合金、Cu合金、Al23(アルミナセラミック)、TiO2(チタニア)、Cr23(酸化クロム)、ZrO2−MgO(ジルコニア)、またはZrO2−Y23(ジルコニア)等を溶射して形成してもよい。
【0018】
次に、上記の本実施の形態のスパッタリング装置を用いた半導体装置の製造工程について図4〜図8を用いて説明する。
【0019】
まず、図4に示すように、比抵抗が10Ωcm程度の単結晶シリコンからなる基板1(ウエハWFR)を850℃程度で熱処理して、その主面に膜厚10nm程度の薄い酸化シリコン膜(パッド酸化膜)を形成する。次いで、この酸化シリコン膜の上に膜厚120nm程度の窒化シリコン膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で堆積した後、フォトレジスト膜をマスクにしたドライエッチングで素子分離領域の窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とを除去する。酸化シリコン膜は、後の工程で素子分離溝の内部に埋め込まれる酸化シリコン膜をデンシファイ(焼き締め)するときなどに基板に加わるストレスを緩和する目的で形成される。また、窒化シリコン膜は酸化されにくい性質を持つので、その下部(活性領域)の基板表面の酸化を防止するマスクとして利用される。
【0020】
続いて、窒化シリコン膜をマスクにしたドライエッチングで素子分離領域の基板1に深さ350nm程度の素子分離溝2を形成した後、エッチングで素子分離溝2の内壁に生じたダメージ層を除去するために、基板1を1000℃程度で熱処理して溝の内壁に膜厚10nm程度の薄い酸化シリコン膜を形成する。
【0021】
続いて、CVD法にて半導体基板1上に酸化シリコン膜3を堆積した後、この酸化シリコン膜3の膜質を改善するために、半導体基板1を熱処理して酸化シリコン膜3をデンシファイ(焼き締め)する。その後、窒化シリコン膜をストッパに用いた化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)法でその酸化シリコン膜3を研磨して素子分離溝2の内部に残すことにより、表面が平坦化された素子分離領域を形成する。
【0022】
続いて、熱リン酸を用いたウェットエッチングで半導体基板1の活性領域上に残った窒化シリコン膜を除去した後、半導体基板1のnチャネル型MISFETを形成する領域にB(ホウ素)をイオン注入してp型ウエル4を形成する。次いで、半導体基板1のpチャネル型MISFETを形成する領域にP(リン)をイオン注入してn型ウエル5を形成する。
【0023】
ここで、n型ウエル5を形成するPは、前述のTi同様に酸素に対して活性な(高い反応性を有する)物質(第1の物質)である。そこで、本実施の形態においては、Pのイオン注入を行うイオン注入装置のチャンバ(処理室)内面を構成する部材およびチャンバの内部に配置された部材についても予め表面にAlなどの金属を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておく。Pはチャンバ内面を構成する部材およびチャンバの内部に配置された部材にも付着するが、イオン注入装置のチャンバ内面を構成する部材もしくはチャンバの内部に配置された部材の表面に付着したP中に金属膜中の酸素が拡散し、Pを酸素に対して不活性な状態(化学的に安定な状態)へ変化させる。その結果、Pのイオン注入を行うイオン注入装置のメンテナンス時において、イオン注入装置を構成する各部品が大気開放され、衝撃や摩擦が加えられても発火してしまう虞を解消することができる。すなわち、イオン注入装置のメンテナンスを容易にかつ安全に実施することが可能となる。
【0024】
次に、半導体基板1を熱処理することによって、p型ウエル4およびn型ウエル5の表面にゲート酸化膜6を形成する。
【0025】
次に、図5に示すように、たとえばPをドープした低抵抗の多結晶シリコン膜7を堆積する。次いで、たとえばCVD法で多結晶シリコン膜7上にWSix(タングステンシリサイド)膜7Wを堆積する。ここで、このWSix膜7Wも、前述のTi同様に酸素に対して活性な(高い反応性を有する)物質である。そこで、本実施の形態においては、WSix膜7Wの成膜処理を行うCVD装置の成膜チャンバの内面を構成する部材および成膜チャンバの内部に配置された部材についても予め表面にAlなどの金属を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておく。WSix膜7Wは成膜チャンバの内面を構成する部材もしくは成膜チャンバの内部に配置された部材の表面にも堆積するが、成膜チャンバの内面を構成する部材もしくは成膜チャンバの内部に配置された部材の表面に堆積したWSix膜7W中に金属膜中の酸素が拡散し、WSix膜7Wを酸素に対して不活性な状態(化学的に安定な状態)へ変化させる。その結果、WSix膜7Wの成膜処理を行うCVD装置のメンテナンス時において、CVD装置を構成する各部品が大気開放され、衝撃や摩擦が加えられても発火してしまう虞を解消することができる。すなわち、CVD装置のメンテナンスを容易にかつ安全に実施することが可能となる。
【0026】
次に、図6に示すように、たとえばCVD法により上記WSix膜7W上に酸化シリコン膜を堆積する。次いで、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたフォトレジスト膜(図示は省略)をマスクとしたドライエッチングによりその酸化シリコン膜、WSix膜7W、多結晶シリコン膜7およびゲート酸化膜6をパターニングすることにより、WSix膜7Wおよび多結晶シリコン膜7からなるゲート電極8を形成することができる。
【0027】
次に、たとえばp型ウエル4にAs(ヒ素)をイオン注入することよってn型半導体領域(ソース、ドレイン)9を形成し、n型ウエル5にBをイオン注入することによってp型半導体領域(ソース、ドレイン)10を形成する。ここまでの工程によって、p型ウエル4にnチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Qnが形成され、n型ウエル5にpチャネル型MISFETQpを形成することができる。
【0028】
次に、図7に示すように、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpの上部に層間絶縁膜11を形成し、続いてフォトレジスト膜をマスクにして層間絶縁膜11をドライエッチングすることにより、n型半導体領域(ソース、ドレイン)9およびp型半導体領域(ソース、ドレイン)10の上部にコンタクトホール12を形成する。次いで、コンタクトホール12内を含む基板1上に、スパッタリング法により、たとえば窒化チタン膜を堆積する。続いて、CVD法により、基板1上にW(タングステン)膜を堆積し、コンタクトホール12をそのW膜で埋め込む。その後、コンタクトホール12以外の層間絶縁膜11上の窒化チタン膜およびW膜を、たとえばCMP法により除去し、プラグ13を形成する。
【0029】
次に、層間絶縁膜11の上部にTi膜14A、Al合金膜14Bおよび窒化チタン膜14Cを順次堆積する。本実施の形態において、Ti膜14Aの堆積には図1〜図3を用いて説明したスパッタリング装置を用いる。次いで、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたフォトレジスト膜(図示は省略)をマスクとしたドライエッチングによりそのTi膜14A、Al合金膜14Bおよび窒化チタン膜14Cをパターニングすることにより、Ti膜14A、Al合金膜14Bおよび窒化チタン膜14Cの積層膜からなる配線14を形成することができる。
【0030】
本実施の形態では、配線をTi膜14A、Al合金膜14Bおよび窒化チタン膜14Cの3層の薄膜から形成する場合について説明したが、MoSi(モリブデンシリサイド)膜、Al合金膜14BおよびMoSi膜の3層の薄膜、もしくはTiW(チタンタングステン)膜、Al合金膜14BおよびTiW膜の3層の薄膜から形成してもよい。ここで、MoSi膜およびTiW膜についてもTi膜14A同様に酸素に対して活性な(高い反応性を有する)物質である。そこで、本実施の形態においては、これらMoSi膜およびTiW膜を堆積する際にも図1〜図3を用いて説明したスパッタリング装置を用いる。それにより、MoSi膜およびTiW膜の成膜処理を行うスパッタリング装置のメンテナンス時において、スパッタリング装置を構成する各部品が大気開放され、衝撃や摩擦が加えられても発火してしまう虞を解消することができる。
【0031】
次に、図8に示すように、たとえばCVD法によって基板1上に酸化シリコン膜を堆積することによって層間絶縁膜15を形成した後、上記プラグ13および配線14を形成した工程と同様の工程によってプラグ16および配線17を形成し、本実施の形態の半導体装置を製造する。なお、図8を用いて説明した工程を繰り返すことによって、さらに多層に配線を形成してもよい。
【0032】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0033】
たとえば、前記実施の形態においては、薄膜形成装置の成膜チャンバの内面を構成する部材および成膜チャンバの内部に配置された部材の表面に予め金属を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておく例について説明したが、薄膜形成装置内に配置された搬送ロボットの表面にAl等の金属膜を溶射によって形成しておいてもよい。それにより、搬送ロボットに酸素に対して活性な物質が付着しても、搬送ロボットのメンテナンス時に発火してしまう虞を解消することができる。
【0034】
また、前記実施の形態においては、薄膜形成装置の成膜チャンバの内面を構成する部材および成膜チャンバの内部に配置された部材の表面に予め金属を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておく例について説明したが、液晶ディスプレイにおいて液晶物質制御用電極として用いられるITO(Indium Tin Oxide)膜を成膜する成膜装置の成膜チャンバの内面を構成する部材および成膜チャンバの内部に配置された部材の表面に予め金属を溶射しておき、酸素を含有した金属膜を形成しておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の半導体装置の製造方法は、酸素に対して活性な物質を材料として用いる半導体装置の製造工程に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程中にて用いる薄膜形成装置であるスパッタリング装置の一例を示す説明図である。
【図2】図1に示したスパッタリング装置が有する成膜チャンバの内部構造を説明する要部断面図である。
【図3】図1に示したスパッタリング装置が有する成膜チャンバの内部の要部を拡大して示した断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である半導体装置の製造方法を説明する要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 基板
2 素子分離溝
3 酸化シリコン膜
4 p型ウエル
5 n型ウエル
6 ゲート酸化膜
7 多結晶シリコン膜
7W WSix
8 ゲート電極
9 n型半導体領域(ソース、ドレイン)
10 p型半導体領域(ソース、ドレイン)
11 層間絶縁膜
12 コンタクトホール
13 プラグ
14 配線
14A Ti膜
14B Al合金膜
14C 窒化チタン膜
15 層間絶縁膜
16 プラグ
17 配線
DG1、DG2 デガスチャンバ
DPC1〜DPC3 成膜チャンバ(第1の処理室)
EXS 排気シールド
GDB ガス分散板
HLD ホルダ
LL1、LL2 ロードロックチャンバ
MF1 金属膜(第1の金属膜)
OF1 酸化膜
PKP パッキングプレート
Qn nチャネル型MISFET
Qp pチャネル型MISFET
RCK リングチャック
SEC スパッタエッチングチャンバ
TGS ターゲットシールド
TGT ターゲット
TR1 搬送室
TRB1 搬送ロボット
WFR ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の処理装置を用い、前記第1の処理装置が有する第1の処理室内にて半導体基板上に酸素に対して活性な薄膜を堆積する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記薄膜を堆積する工程に先立って、予め前記第1の処理室の内面となる第1の部材および前記第1の処理室内に配置された第2の部材の表面に第1の金属を溶射し、酸素を含んだ第1の金属膜を形成しておくことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第1の処理装置を用い、前記第1の処理装置が有する第1の処理室内にて半導体基板上に酸素に対して活性な薄膜を堆積する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記薄膜を堆積する工程に先立って、予め前記第1の処理室の内面となる第1の部材および前記第1の処理室内に配置された第2の部材の表面にアルミニウムを主成分とする第1の金属を溶射し、酸素を含んだ第1の金属膜を形成しておくことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
第1の処理装置を用い、前記第1の処理装置が有する第1の処理室内にて半導体基板上に酸素に対して活性な薄膜を堆積する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記薄膜は、チタンを主成分とし、
前記薄膜を堆積する工程に先立って、予め前記第1の処理室の内面となる第1の部材および前記第1の処理室内に配置された第2の部材の表面にアルミニウムを主成分とする第1の金属を溶射し、酸素を含んだ第1の金属膜を形成しておくことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
第1の処理装置を用い、前記第1の処理装置が有する第1の処理室内にて半導体基板に酸素に対して活性な第1の物質を導入する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記第1の物質を導入する工程に先立って、予め前記第1の処理室の内面となる第1の部材および前記第1の処理室内に配置された第2の部材の表面に第1の金属を溶射し、酸素を含んだ第1の金属膜を形成しておくことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
第1の処理装置を用い、前記第1の処理装置が有する第1の処理室内にて半導体基板に酸素に対して活性な第1の物質を導入する工程を含む半導体装置の製造方法であって、
前記第1の物質を導入する工程に先立って、予め前記第1の処理室の内面となる第1の部材および前記第1の処理室内に配置された第2の部材の表面にアルミニウムを主成分とする第1の金属を溶射し、酸素を含んだ第1の金属膜を形成しておくことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−83430(P2006−83430A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269482(P2004−269482)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】