説明

半導体装置及び信号処理システム

【課題】複数の半導体装置が搭載された場合、1つの機能をそれら複数の半導体装置のうちの1つのみを使用して実現するのか、それとも複数の半導体装置を協同させて実現するのかについては改良の余地がある。
【解決手段】本発明にかかる半導体装置は、第1ないし第4外部端子と復号回路を有し、第1のモードにおいて、第1外部端子から第1符号化データを入力し、第2符号化データを復号回路で復号して第1復号化データとし、第4外部端子から第1復号化データを出力し、第2のモードにおいて、第1外部端子から第2符号化データを入力し、第2外部端子から、第1外部端子から入力した第2符号化データを出力し、第3外部端子から、第2外部端子から出力された第2符号化データを入力し、第3外部端子から入力した第2符号化データを復号回路で復号して第2復号化データとし、第4外部端子から、第2復号化データ出力することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び信号処理システムに関し、特に本発明の半導体装置と本発明の半導体装置に接続される周辺の半導体装置との間で実現する機能に応じて半導体装置の動作を切り替えることが可能な半導体装置及び信号処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話は、通話機能のほかに、音楽再生機能などのアプリケーション機能を有している。このような携帯電話のうち、特許文献1には、通話機能を実現するLSIと、アプリケーション機能を実現するLSIとを一の半導体チップとした技術が特許文献1に開示されている。一方、特許文献2には、通話機能を実現するLSIと、アプリケーション機能を実現するLSIとが、別個に設けられた技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−343383号公報
【特許文献2】特開2005−136572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献2に記載されているように、携帯電話に複数の半導体装置が搭載された場合、1つの機能(例えば音楽再生機能)を、それら複数の半導体装置のうちの1つのみを使用して実現するのか、それとも複数の半導体装置を協同させて実現するのかについては、改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる半導体装置は、第1ないし第4外部端子と復号回路を有し、第1のモードにおいて、前記第1外部端子から第1符号化データを入力し、前記第2符号化データを前記復号回路で復号して第1復号化データとし、前記第4外部端子から前記第1復号化データを出力し、第2のモードにおいて、前記第1外部端子から第2符号化データを入力し、前記第2外部端子から、前記第1外部端子から入力した前記第2符号化データを出力し、前記第3外部端子から、前記第2外部端子から出力された前記第2符号化データを入力し、前記第3外部端子から入力した前記第2符号化データを前記復号回路で復号して第2復号化データとし、前記第4外部端子から、前記第2復号化データ出力すること、を特徴とするものである。
【0005】
本発明にかかる半導体装置によれば、第1のモードにおいては、本発明の半導体装置とその周辺の半導体装置とを利用し高度な機能を実現することができる。一方、第2のモードにおいては、周辺の半導体装置とは独立して、本発明の半導体装置のみで実現可能な機能を実行することが可能である。
【0006】
本発明にかかる信号処理システムは、第1ないし第4外部端子と復号回路とを有する第1半導体装置と、第5および第6外部端子を有する第2半導体装置と、を有し、第1のモードにおいて、前記第1半導体装置が、前記第1外部端子から第1符号化データを入力し、前記第2符号化データを前記復号回路で復号して第1復号化データとし、前記第4外部端子から前記第1復号化データを出力し、第2のモードにおいて、前記第1半導体装置が、前記第1外部端子から第2符号化データを入力し、前記第2外部端子から、前記第1外部端子から入力した前記第2符号化データを出力し、前記第2半導体装置が、前記第5外部端子から、前記第1半導体装置が前記第2外部端子から出力した前記第2符号化データを入力し、前記第6外部端子から、前記第5外部端子から入力した前記第2符号化データを出力し、前記第1半導体装置が、前記第3外部端子から、前記第2半導体装置が前記第6外部端子から出力した前記第2符号化データを入力し、前記復号回路で前記第3外部端子から入力した前記第2符号化データを復号して第2復号化データとし、前記第4外部端子から前記第2復号化データを出力すること、と特徴とするものである。
【0007】
本発明にかかる信号処理システムによれば、第1のモードにおいて、第1半導体装置と第2半導体装置を協同で動作させて高度な機能を実現することが可能である。一方、第2のモードでは、第2半導体装置とは独立して、第1半導体装置のみで実現可能な機能を実行することが可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる半導体装置によれば、その他の半導体装置が停止した状態であっても、データへのアクセスとそのデータの処理とを独立して行うことが可能であり、機器全体の消費電力を低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明にかかる半導体装置を搭載した携帯機器の一例として、携帯電話を説明する。本発明にかかる携帯電話1のブロック図を図1に示す。図1に示すように、携帯電話1は、アンテナ2、通信部3、第2半導体装置(例えば、アプリケーションプロセッサ4)、キーパッド5、カメラモジュール6、表示装置7、アナログフロントエンド8、記憶装置9、第1半導体装置(例えば、音声処理制御装置10)を有している。ここで、本発明にかかる半導体装置は、音声処理制御装置10として搭載されるものである。
【0010】
アンテナ2は、携帯電話1で使用される電波の送受信を行うものである。通信部3は、携帯電話1で使用される電波の処理部であって、例えば送信する電波の符号化と受信した電波の復号化を行う。通信部3は、例えばRF(Radio Frequency)回路とDBB(Digital Base Band)回路とによって構成される。アプリケーションプロセッサ4は、携帯電話に搭載される各種の機能を実行するものである。したがって、アプリケーションプロセッサ4は、多くのブロックを有している。例えば、ソフトウェアに基づき演算と制御を行う中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)、CPUで用いられるソフトウェアを格納するソフトウェア格納部、カメラモジュール等の周辺装置を制御する周辺装置制御部、動画のエンコード又はデコードを行う動画処理部、静止画のエンコード又はデコードを行う静止画処理部、機器に搭載される装置の電源を制御する電源制御部等を有している。
【0011】
キーパッド5は、ユーザーが携帯電話1を操作するためのインタフェースである。アプリケーションプロセッサ4は、このキーパッド5からの指示に基づき様々な制御を行う。カメラモジュール6は、静止画あるいは動画を撮影する撮像素子を搭載した装置である。表示装置7は、各種の処理結果を表示する装置である。アナログフロントエンド8は、デジタル信号で処理された音声信号をアナログ信号に変換し、スピーカSP等の音声出力装置を駆動する。音声処理制御装置10は、音声データの処理を行うものであって、詳細は後述する。記憶装置9は、データを記憶する装置である。本実施の形態では、記憶装置9として外部から携帯機器に挿入されるメモリカードを用いる。このメモリカードは、所定の規格に基づき動作し、この規格に基づいた制御を行う記憶装置制御回路によって制御される。なお、記憶装置9は、外部から挿入されるメモリカードに限られたものではなく、例えば内蔵された記憶装置でも良い。
【0012】
次に、音声処理制御装置10について詳細に説明する。図2に、音声処理制御装置10とその周辺装置とのブロック図を示す。図2に示すように、音声処理制御装置10は、アプリケーションプロセッサ4、メモリカード9、アナログフロントエンド8とバス配線を介して接続される。ここで、アナログフロントエンド8は、DAC8、アンプ8を有している。DAC8は、音声処理制御装置10が生成するデジタル信号をアナログ信号に変換し、アンプ8に出力する。アンプ8は、DAC8が出力するアナログ信号を増幅して、スピーカSPを駆動する。スピーカSPが駆動されることによって音声が出力される。
【0013】
また、音声処理制御装置10は、クロック生成回路11、電源制御回路12、ホストインタフェース13、制御回路14、復号回路(例えば、音声処理回路15)、オーディオインタフェース16、記憶装置制御回路17、記憶装置インタフェース18を有している。
【0014】
クロック生成回路11は、外部から入力される基準クロック信号CLKINに基づき音声処理制御装置10で使用されるクロック信号を生成する。電源制御回路12は、外部から供給される電源電圧を各ブロックに分配し、分配した電源毎に独立した制御を行う。ホストインタフェース13は、音声処理制御装置10を制御するアプリケーションプロセッサ4との間で信号の送受信を行う。制御回路14は、音声処理制御装置10内で送受信されるデータの通過経路を制御する。音声処理回路15は、符号化データ(例えば、所定のフォーマットで圧縮された音声データ)を復号化して、復号化データ(例えば、非圧縮状態の音声データ)を生成する。復号化された音声された音声データは、オーディオインタフェース16を介してアナログフロントエンド8に送信され、アナログフロントエンド8がスピーカSPを駆動することで音声データが再生される。オーディオインタフェース16は、音声処理制御装置10と音声処理制御装置10に接続される装置との間でデータの送受信を行う。なお、後述する第1〜第4の動作モードにおいては、第1〜第4符号化データと第1〜第4復号化データとして上記符号化データと復号化データをそれぞれ用いる。
【0015】
記憶装置制御回路17は、本実施の形態では、メモリカード9へのデータの書き込みとデータの読み出しとを制御する。記憶装置インタフェース18は、音声処理制御装置10とメモリカード9との間のデータの送受信を行う。なお、本実施の形態におけるメモリカード9には、例えば著作権保護のために暗号化されたデータが記憶されている。この暗号化されたデータは、記憶装置制御回路17によって復号化される。また、記憶装置制御回路17は、メモリカード9にデータを書き込む場合に、このデータを暗号化する。暗号化されたデータは、記憶装置インタフェース18を介してメモリカードに書き込まれる。
【0016】
つまり、本実施の形態にかかる音声処理制御装置10は、記憶装置制御回路17を有することで、メモリカードとの間で音声データの送受信を行うことが可能である。また、音声処理回路15を有することで圧縮された音声データの復号化が可能である。さらに、制御回路14は、音声処理制御装置10内のデータの経路を制御することが可能である。ここで、制御回路14によって、記憶装置制御回路17が読み出した音声データを音声処理回路15に送信することによって、音声処理制御装置10は、アプリケーションプロセッサ4を介することなく音声データの再生が可能である。つまり、音声処理制御装置10は、アプリケーションプロセッサ4とは独立してメモリカード上の音声データを再生することが可能である。
【0017】
アプリケーションプロセッサ4は、多くの機能を実現するために、回路規模が大きく消費電力が大きい。一般的に、アプリケーションプロセッサ4は、動画処理などを行うために高い計算能力を有しているが、音声データの再生には、動画処理ほどの処理能力は必要ない。計算能力が大きくなると、回路規模の増大あるいはクロック周波数の増大から消費電力が大きくなる。つまり、アプリケーションプロセッサ4を用いて音声データの再生を行った場合、必要以上に電力を消費することになる。
【0018】
これに対し、本発明にかかる音声処理制御装置10によれば、音声データの処理に特化した音声処理回路15によって音声データを再生することが可能である。また、音声処理制御装置10は、アプリケーションプロセッサ4とは独立してメモリカード上の音声データを再生することが可能である。このことより、アプリケーションプロセッサ4を停止した低消費電力状態であっても、音声処理制御装置10によって音声データを再生することが可能である。つまり、機能を特化し、その他の部分にかかる消費電力を削減することで、特化した機能を実行しながら、機器全体の消費電力を低減することが可能である。
【0019】
ここで、音声処理制御装置10についてより詳細に説明する。音声処理制御装置10の詳細なブロック図を図3に示す。図3に示すように、音声処理制御装置10は、電源EVDD、DVDD、PLLVDD、MEMVDDを入力する電源端子、データ信号INT、DATA、POW_CNT、ASO、MEM_DATAの入出力端子、リセット信号RESET_B、MEM_RSTBが入力されるリセット端子、クロック信号LRCLK、BCLK、CLKINの入出力を行うクロック入出力端子を有している。なお、データ信号DATA、MEM_DATAの入出力端子、クロック信号LRCLK、BCLK、CLKINの入出力を行うクロック入出力端子は、入力用と出力用の端子が個別に準備されていても良く、また1つの端子で入力と出力とを行うようにしても良い。また、以下の説明においては、第1外部端子をMEM_DATAの入出力端子とし、第2外部端子をデータ信号DATAの入出力端子を出力端子として使用する場合の端子とし、第3外部端子をデータ信号DATAの入出力端子を入力端子として使用する場合の端子とし、第4外部端子をデータ信号ASOの入出力端子とし、第5外部端子をアプリケーションプロセッサ4におけるデータ信号DATAの入力端子とし、第6外部端子をアプリケーションプロセッサ4におけるデータ信号DATAの出力端子とする。
【0020】
各電源端子に外部の装置より供給される電源に基づき音声処理制御装置10は動作する。入出力端子、リセット端子及びクロック入出力端子は、入力バッファあるいは出力バッファとを有している。これらのバッファは、電源EVDD、MEMVDDに基づき動作する。例えば、データ信号INT、DATA、POW_CNT、ASOの入出力端子、リセット信号RESET_B、MEM_RSTBの入力端子、クロック信号LRCLK、BCLK、CLKINの入出力を行うクロック入出力端子は、電源EVDDに基づき動作する。また、データ信号MEM_DATAの入出力端子は、電源MEMVDDに基づき動作する。なお、本実施の形態では、音声処理制御装置10と音声処理制御装置10の周辺の回路とで動作電源電圧が異なる。そのため、電源端子及び入出力端子MEM_DATA以外の端子は、レベルシフト回路を有している。このレベルシフト回路によって、音声処理制御装置10内の信号の振幅とその他の回路の信号の振幅とを整合させている。また、メモリカード9も音声処理制御装置10とは異なる電源電圧で動作するが、ここでは、記憶装置インタフェース18がレベルシフトを行うことで信号振幅を整合させる。
【0021】
また、前述の記載より、音声処理制御装置10は、クロック生成回路11、電源制御回路12、ホストインタフェース13、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16、記憶装置制御回路17、記憶装置インタフェース18を有している。図3を参照して、これらのブロックについて詳細に説明する。なお、各ブロックは内部バスIB1、IB2を介して接続される。
【0022】
クロック生成回路11は、外部から入力される電源PLLVDDに基づき動作する。また、クロック生成回路11は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路であって、外部から入力されるクロック信号CLKINに基づき、各ブロックの動作周波数に応じたクロックを生成する。本実施の形態では、クロック生成回路11は、制御回路14に供給するクロック信号CPU_CLK、音声処理回路15に供給するクロック信号DSP_CLK、記憶装置制御回路17に供給するクロック信号MEM_CLKを生成する。生成するクロック信号の周波数の設定は、ホストインタフェース13と内部バスIB1とを介してアプリケーションプロセッサ4から送信されるデータに基づき行われる。なお、生成するクロック信号の周波数の設定は、ユーザーの使用状態によって変更することが可能である。
【0023】
電源制御回路12は、外部から入力される電源DVDDを各ブロックに分配し、分配した電源毎に独立して制御を行う。なお、本実施の形態においては、電源制御回路12は、入力される電源電圧を単に分配するだけであるが、入力される電源の電圧を昇圧あるいは降圧して、出力する電源毎に異なる電圧を生成しても良い。本実施の形態では、電源制御回路12は、入力される電源DVDDを3つに分配する。例えば、ホストインタフェース13に供給される電源DVDD1と、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16に供給される電源DVDD2と、記憶装置制御回路17に供給される電源DVDD3とに分配する。分配される電源は、ホストインタフェース13と内部バスIB1とを介してアプリケーションプロセッサ4から送信されるデータに基づき活性状態と不活性状態とが切り替えられ、電源毎に独立して制御される。
【0024】
ホストインタフェース13は、アプリケーションプロセッサ4と音声処理制御装置10とを接続するバス配線を介してデータの送受信を行う。送受信されるデータは、レジスタアドレスとデータとが関連づけられたものである。つまり、音声処理制御装置10は、バス配線上に、音声処理制御装置10内のレジスタのレジスタアドレスを発見した場合は、そのレジスタアドレスに関連づけられたデータを受信し、そのデータに基づき動作する。また、音声処理制御装置10は、出力するデータとそのデータの送信先となる装置のレジスタアドレスを関連づけて出力する。つまり、ホストインタフェース13は、バス配線上のデータの監視と、バス配線へのデータの出力を行う。なお、音声処理制御装置10内のブロックは、それぞれレジスタを有しており、レジスタに格納されるデータに応じて動作する。また、ホストインタフェース13は、外部から入力されるリセット信号RESET_Bに応じて、停止状態と動作状態とが切り替わる。
【0025】
ホストインタフェース13は、割り込みコントローラ13、CPUインタフェース13、コントロールレジスタ13を有している。割り込みコントローラ13は、バス配線を監視し、アプリケーションプロセッサ4から出力されるデータ(例えば、割り込み命令INT)を受信する。この割り込み命令に応じて、割り込みコントローラ13は、音声処理制御装置10が実行中の処理を中断させ、音声処理制御装置10がアプリケーションプロセッサ4からのデータを受信できる状態にする。
【0026】
CPUインタフェース13は、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16、記憶装置制御回路17とアプリケーションプロセッサ4との間で送受信されるデータを中継する。CPUインタフェース13は、レジスタを有しており、送受信するデータをこのレジスタに一度記憶する。記憶されたデータを他のブロックが読み込む。このような動作によって、CPUインタフェース13は、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16、記憶装置制御回路17とアプリケーションプロセッサ4との間の中継を行う。
【0027】
例えば、音声処理制御装置10からアプリケーションプロセッサ4にデータを送信する場合、音声処理制御装置10内で処理されたデータを一度CPUインタフェース13のレジスタに記憶し、アプリケーションプロセッサ4は、レジスタに記憶されたデータを読み込む。一方、アプリケーションプロセッサ4から音声処理制御装置10にデータを送信する場合、アプリケーションプロセッサ4から送信されたデータは、CPUインタフェース13のレジスタに記憶され、音声処理制御装置10内のブロックは、このレジスタに記憶されたデータを読み込み、自ブロック内のレジスタにデータを格納する。
【0028】
コントロールレジスタ13は、例えばアプリケーションプロセッサ4から送信される音声処理制御装置10の電源状態に関するデータ(電源制御命令POW_CNT)を記憶する。コントロールレジスタ13に記憶されたデータに基づいて電源制御回路12は、各ブロックに供給する電源を生成する。各ブロックに供給される電源と各ブロックの動作との関係について詳しくは後述する。
【0029】
制御回路14は、経路制御回路(CPU)14、ROM(Read Only Memory)14を有している。経路制御回路14は、ホストインタフェース13と内部バスIB1とを介してアプリケーションプロセッサ4から送信されるデータに基づいて、音声処理制御装置10内で送受信されるデータの経路を制御する。本実施の形態の音声処理制御装置10は、例えば内部のデータ経路を3つ有している。この経路は、記憶装置制御回路17とアプリケーションプロセッサ4とをホストインタフェース13と内部バスIB1とを介して接続するメモリアクセスモードと、音声処理回路15とアプリケーションプロセッサ4とをホストインタフェース13と内部バスIB1とを介して接続するDSPモードと、記憶装置制御回路17と音声処理回路15とを内部バスIB2を介して接続するスタンドアロンモードである。経路制御回路14は、内部バスIB2を介してこれらのモードを記憶装置制御回路17と音声処理回路15とに指示する。各モードの詳細については後述する。
【0030】
ROM14は、例えば音声処理制御装置10の動作に最低限必要な制御ソフト(以下、ファームウェアと称す)が格納されている。このファームウェアは、例えば音声処理制御装置10を起動するときのレジスタの初期値や、音声処理回路15が音声データの圧縮を解除するために必要な圧縮フォーマットに関する処理定義ファイル(以下、コーデックと称す)などである。本実施の形態では、ROM14に少数のコーデックのみを準備する。例えば、準備されるコーデックは、メモリカードの規格上、暗号化して記憶することができる音楽データのフォーマットのみとする。これによって、ROM14に必要な容量を小さくすることが可能である。
【0031】
音声処理回路15は、RAM(Random Access Memory)15、ストリームバッファ15、DSP(Digital Signal Processor)15を有している。RAM15は、DSP15が使用するファームウェア及びコーデック(以下、ファームウェア等と称す)を格納する。このファームウェア等は、内部バスIB2を介してROM14あるいはアプリケーションプロセッサ4からダウンロードされる。ストリームバッファ15は、入力されたデータを入力された順番で出力するFIFO(First In First Out)機能を有している。ストリームバッファ15には、DSP15で処理される音声データが格納される。
【0032】
DSP15は、音声データの処理を行う演算器であって、RAM15に格納されたファームウェア等に基づき圧縮された音声データ(エンコードデータ)の復号化(デコード)を行う。本実施の形態のDSP15は、予め設定された圧縮フォーマットに対する復号化については、ハードウェアにて処理を行うことが可能である。この復号化処理をソフトウェアにて行う場合、ソフトウェアを変更することで様々な圧縮フォーマットを扱うことができる。しかしながら、復号化処理に加えソフトウェアを実行しなければならないため、高い演算能力が必要になり、DSPにおける消費電力が大きくなる。これに対して、復号化処理をハードウェアで行う場合、入力されるデータの復号化のみを行えば良い。したがって、予め入力される音声データの圧縮フォーマットが予測できる場合、予測される復号化処理をハードウェアで行うことで、DSP15の無駄な演算を省き、DSP15の消費電力を低減することが可能である。DSP15で復号化された音声データは、オーディオインタフェース16を介して出力される。
【0033】
オーディオインタフェース16は、例えば音声データを送受信する際に用いられるIS(Inter-IC Sound)規格に準拠したデータ通信を行うことが可能な入出力インタフェースである。IS規格では、ビットクロックBCLKに同期して音声データの送受信を行い、チャンネル切り替えクロックLRCLKに同期して、左側チャンネル用の音声データと右側チャンネル用の音声データとを切り替えて音声データを送受信する。本実施の形態においては、アナログフロントエンド8よりこのビットクロックBCLKとチャンネル切り替えクロックLRCLKを受信し、このクロック信号に同期してDSP15で生成された音声データをアナログフロントエンド8に送信する。なお、以下の説明においては、ビットクロックBCLK及びチャンネル切り替えクロックLRCLKとを出力する回路をマスターと称し、ビットクロックBCLK及びチャンネル切り替えクロックLRCLKを受信する側の回路をスレーブと称する。
【0034】
記憶装置制御回路17は、本実施の形態では、メモリカード9へのデータの書き込みとデータの読み出しとを制御する。読み出されたデータは、内部バスIB1を介してアプリケーションプロセッサ4に送信され、あるいは、内部バスIB2を介して音声処理回路15に送信される。書き込みデータは、内部バスIB1を介してアプリケーションプロセッサ4から送信される。なお、本実施の形態におけるメモリカード9には、例えば著作権保護のために暗号化されたデータが記憶されている。この暗号化されたデータは、記憶装置制御回路17によって復号化される。また、記憶装置制御回路17は、メモリカード9にデータを書き込む場合に、このデータを暗号化する。暗号化されたデータは、記憶装置インタフェース18を介してメモリカードに書き込まれる。なお、記憶装置制御回路17は、外部から入力されるリセット信号MEM_RSTBに応じて、停止状態と動作状態とが切り替わる。
【0035】
記憶装置インタフェース18は、外部から供給され、メモリカードの電源としても使用される電源MEMVDDに基づき動作する。記憶装置インタフェース18は、メモリカードと記憶装置制御回路17との間のデータを中継する。このとき、記憶装置インタフェース18は、中継するデータの信号振幅をレベルシフトする。例えば、メモリカード9から読み出しデータの信号振幅を音声処理制御装置10の動作電源電圧DVDDに基づいた信号振幅に変換する。書き込みデータの場合は、読み出しデータとは逆の振幅変換を行う。
【0036】
ここで、電源制御回路12が生成する電圧について、特に各電源の制御タイミングについて詳細に説明する。まず、外部から入力される電源について説明する。本実施の形態では、外部から入力される電源は、電源EVDD、MEMVDD、DVDD、PLLVDDがある。これらの電源で電圧値は、電源が供給されるブロックに基づき値が設定される。本実施の形態では、電源MEMVDDは、メモリカード9の規格に応じて設定される電圧であって、例えば1.8V〜3.3V程度の電圧値となる。一方、電源EVDDは、アプリケーションプロセッサ4あるいはその他周辺回路が動作する電源電圧に基づいて設定される電圧であって、例えば、1.8V程度の電圧値となる。電源DVDD、PLLVDDは、音声処理制御装置10が動作する電源電圧であって、例えば1.2V程度の電源電圧となる。本実施の形態においては、音声処理制御装置10の主なブロックに供給される電源電圧を周辺に接続される回路の電源電圧よりも低くすることで、音声処理制御装置10の消費電力を低減することが可能である。
【0037】
次に、各電源の起動手順について説明する。本実施の形態で外部から供給される電源のうち電源EVDDは、端子の電源となるため、電源DVDD、PLLDVDDよりも先に起動される。さらに、電源EVDDを電源DVDD、PLLVDDよりも先に起動した場合、ブロック間で貫通電流が発生する、あるいは音声処理制御装置10が制御不能になる等の問題がある。また、電源MEMVDDは、メモリカード9の挿入に応じて起動されるため、電源DVDD、PLLVDDよりも先に起動することが可能である。なお、電源EVDDと電源MEMVDDとの間においては、起動の順序に制約はない。以下の説明においては、電源EVDD及び電源MEMVDDは、電源DVDD、PLLVDDよりも先に起動されているものとする。
【0038】
また、電源DVDDは、音声処理制御装置10内のブロックに供給される基準電源電圧となり、電源PLLVDDの起動に応じてクロック生成回路11が動作する。つまり、電源DVDDと電源PLLVDDに基づいて、音声処理制御装置10が動作するための基準となる電圧あるいは信号が生成される。したがって、電源DVDD、PLLVDDは、動作不良を防止するために同時に起動されることが好ましい。このため、以下の説明においては、電源DVDD、PLLVDDが、同時に起動する場合について説明する。
【0039】
図4に電源DVDD、PLLVDDの起動と電源DVDD1、DVDD2の起動の手順についてのタイミングチャートを示す。図4に示すように、まずタイミングT10で電源DVDD、PLLVDDが立ち上がると、これに応じて電源DVDD1が立ち上がる。電源DVDD1が十分な電圧となると、タイミングT21でリセット信号RESET_Bがロウレベルからハイレベルとなる。リセット信号RESET_Bの立ち上がりに応じて、ホストインタフェース13のリセットが解除され、ホストインタフェース13が動作を開始する。ホストインタフェース13の動作が開始されたことで、アプリケーションプロセッサ4は、バス配線を経由したデータによる音声処理制御装置10の制御を行うことが可能になる。
【0040】
続いて、タイミングT12で、アプリケーションプロセッサ4が電源起動信号DVDD2_Wakeを出力する。この電源起動信号DVDD2_Wakeに応じて、電源制御回路12に送信されるDVDD2起動信号がロウレベルからハイレベルになる。DVDD2起動信号の立ち上がりに応じて、電源DVDD2の出力が開始される。
【0041】
その後、電源DVDD2が十分に立ち上がるタイミングT13で、アプリケーションプロセッサ4から領域リセット解除信号DVDD2_RSTOFFが送信される。この領域リセット解除信号DVDD2_RSTOFFに応じて、電源DVDD2で動作するブロックに送信されるDVDD2領域リセット信号がロウレベルからハイレベルになる。DVDD2領域リセット信号の立ち上がりに応じて、電源DVDD2に基づき動作するブロック(例えば、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16)は、リセットが解除され、動作を開始する。
【0042】
図5に電源DVDD、PLLVDDの起動と電源DVDD1、DVDD3の起動の手順についてのタイミングチャートを示す。図5に示すように、まずタイミングT20で電源DVDD、PLLVDDが立ち上がると、これに応じて電源DVDD1が立ち上がる。電源DVDD1が十分な電圧となると、タイミングT21でリセット信号RESET_Bがロウレベルからハイレベルとなる。リセット信号RESET_Bの立ち上がりに応じて、ホストインタフェース13のリセットが解除され、ホストインタフェース13が動作を開始する。ホストインタフェース13の動作が開始されたことで、アプリケーションプロセッサ4は、バス配線を経由したデータによる音声処理制御装置10の制御を行うことが可能になる。
【0043】
続いて、タイミングT22で、アプリケーションプロセッサ4が電源起動信号DVDD3_Wakeを出力する。この電源起動信号DVDD3_Wakeに応じて、電源制御回路12に送信されるDVDD3起動信号がロウレベルからハイレベルになる。DVDD3起動信号の立ち上がりに応じて、電源DVDD3の出力が開始される。
【0044】
その後、電源DVDD3が十分に立ち上がるタイミングT23で、アプリケーションプロセッサ4から領域リセット解除信号DVDD3_RSTOFFが送信される。この領域リセット解除信号DVDD3_RSTOFFに応じて、電源DVDD3で動作するブロックに送信されるDVDD3領域リセット信号がロウレベルからハイレベルになる。DVDD3領域リセット信号の立ち上がりに応じて、電源DVDD3に基づき動作するブロック(例えば、記憶装置制御回路17)のリセットが解除される。記憶装置制御回路17は、さらに、外部から入力されるリセット信号MEM_RSTBに基づきリセット状態と停止状態が制御される。そのため、タイミングT23の後のタイミングT24でリセット信号MRM_RSTBがロウレベルからハイレベルになるのに応じて、記憶装置制御回路17は、動作を開始する。
【0045】
なお、本実施の形態においては、電源DVDD2と電源DVDD3との起動順序に対する制約はない。電源DVDD2に基づき動作する領域と電源DVDD3に基づき動作する領域との間には、バリアゲート等の回路が配置されている。このバリアゲートは、接続される回路のうち片側が停止状態である場合に、その接続箇所の論理が不定になるのを防止し、さらに、停止状態の回路への貫通電流の流出を防止する。
【0046】
一方、音声処理制御装置10の動作中に電源DVDD2、DVDD3の出力を切り替える場合の動作について説明する。まず、図6に音声処理制御装置10の動作中に電源DVDD2の出力を切り替える場合のタイミングチャートを示す。この場合、電源EVDD、DVDD、PLLVDD、DVDD1が起動したままであって、リセット信号RESET_Bはハイレベルを維持する。このような状態において、タイミングT30で領域リセット信号VDD2_RSTONがアプリケーションプロセッサ4から送信される。この領域リセット信号VDD2_RSTONに応じて、DVDD2領域リセット信号がハイレベルからロウレベルになる。DVDD2領域リセット信号の立ち下がりに応じて、電源DVDD2に基づき動作するブロックは停止状態となる。続いて、タイミングT31で電源停止信号DVDD2_Sleepがアプリケーションプロセッサ4から送信される。この電源停止信号DVDD2_Sleepに応じて、電源制御回路12は、電源DVDD2の出力を停止する。
【0047】
その後、タイミングT32でアプリケーションプロセッサ4が電源起動信号DVDD2_Wakeを出力すると、これに応じて電源制御回路12は、電源DVDD2の出力を開始する。続いて、電源DVDD2が十分に立ち上がるタイミングT33で、アプリケーションプロセッサ4から領域リセット解除信号DVDD2_RSTOFFが送信される。この領域リセット解除信号DVDD2_RSTOFFに応じて、DVDD2領域リセット信号がロウレベルからハイレベルになる。DVDD2領域リセット信号の立ち上がりに応じて電源DVDD2に基づき動作するブロックは動作を開始する。
【0048】
つまり、音声処理制御装置10の動作中に電源DVDD2の出力を切り替える場合、電源DVDD2の出力の切り替えは、電源DVDD2に基づき動作するブロックが停止状態である場合に行われる。
【0049】
次に、図7に音声処理制御装置10の動作中に電源DVDD3及び電源MEMVDDの出力を切り替える場合のタイミングチャートを示す。この場合、電源EVDD、DVDD、PLLVDD、DVDD1が起動したままであって、リセット信号RESET_Bはハイレベルを維持する。このような状態において、タイミングT40でリセット信号MEM_RSTBがハイレベルからロウレベルになる。この立ち下がりに応じて記憶装置制御回路17は、停止状態となる。続いて、タイミングT41で領域リセット信号VDD3_RSTONがアプリケーションプロセッサ4から送信される。この領域リセット信号VDD3_RSTONに応じて、DVDD3領域リセット信号がハイレベルからロウレベルになる。DVDD3領域リセット信号の立ち下がりに応じて、電源DVDD3に基づき動作するブロックはリセット状態となる。続いて、タイミングT42で電源停止信号DVDD3_Sleepがアプリケーションプロセッサ4から送信される。この電源停止信号DVDD3_Sleepに応じて、電源制御回路12は、電源DVDD3の出力を停止する。電源DVDD3が立ち下がるとタイミングT43で電源MEMVDDを停止することが可能になる。
【0050】
その後、タイミングT44で電源MEMVDDの供給を開始する。電源MEMVDDが十分に立ち上がるタイミングT45でアプリケーションプロセッサ4が電源起動信号DVDD3_Wakeを出力すると、これに応じて電源制御回路12は、電源DVDD3の出力を開始する。続いて、電源DVDD3が十分に立ち上がるタイミングT46で、アプリケーションプロセッサ4から領域リセット解除信号DVDD3_RSTOFFが送信される。この領域リセット解除信号DVDD3_RSTOFFに応じて、DVDD3領域リセット信号がロウレベルからハイレベルになる。DVDD3領域リセット信号の立ち上がりに応じて電源DVDD2に基づき動作するブロックのリセットが解除される。その後、タイミングT47で、リセット信号MEM_RSTBがロウレベルからハイレベルになることで、記憶装置制御回路17は動作を開始する。
【0051】
つまり、電源DVDD3に基づき動作するブロックに外部から入力されるリセット信号MEM_RSTBある場合、このリセット信号MEM_RSTBがリセット状態である期間であれば、電源DVDD3を停止することが可能である。なお、電源DVDD3の停止は、DVDD領域リセット信号がリセット状態である期間に行わなければならない。また、電源MEMVDDの停止は、電源MEMVDDで動作するブロックに接続されるブロックに対する電源供給が停止している期間で行われる。
【0052】
続いて、各電源の立ち下げ手順について説明する。各電源を停止させる場合のタイミングチャートを図8に示す。図8に示すように、まずタイミングT50でリセット信号MEM_RSTBを立ち下げ、記憶装置制御回路17を停止状態とする。続いて、タイミングT51でリセット信号RESET_Bを立ち下げ、ホストインタフェース13を停止状態とする。このリセット信号RESET_Bの立ち下げに応じて、電源DVDD2、DVDD3は停止する。これによって、外部から入力されるリセット信号によって設定される停止状態の設定が完了する。なお、リセット信号MEM_RSTBとリセット信号RESET_Bとを立ち下げる順序についての制約はなく、上記順序とは逆の順序によって信号を立ち下げることも可能である。
【0053】
その後、タイミングT52で電源DVDD、PLLVDDを立ち下げる。電源DVDDの立ち下げに応じて、電源DVDD1が立ち下がる。電源DVDDが十分に立ち下がったタイミングT53で、電源MEMVDD、EVDDを立ち下げる。なお、電源DVDDと電源PLLVDDとを立ち下げる順序は、リセット信号が立ち下がった状態であれば特に制約はない。したがって、上記順序に限らず、別のタイミングで電源DVDDと電源PLLVDDとをそれぞれ立ち下げることも可能である。
【0054】
上記説明より、本実施の形態の音声処理制御装置10によれば、電源を独立して制御できることから、使用するブロックにのみ電源を供給し、使用していないブロックに関する消費電流を削減することが可能である。本実施の形態の音声処理制御装置10は、この電源の状態とデータ経路との違いにより複数のモードを有している。以下でこれらのモードについて説明する。
【0055】
図9に本実施の形態にかかる音声処理制御装置10の動作モードと、その動作モードの状態遷移図を示す。図9に示すように、本実施の形態の音声処理制御装置10は、電源OFFモードM0、ディープスリープモードM1、スリープモードM2、第1のモード(例えば、スタンドアロンモードM3)、第3のモード(例えば、DSPモードM4)、第2のモード(例えば、メモリアクセス+DSPモードM5)、第4のモード(例えば、メモリアクセスモードM6)を有している。これらのモードにおける電源の状態を図10に示す。
【0056】
図10に示すように、電源OFFモードM0は、音声処理制御装置10に供給される全ての電源が停止している状態である。ディープスリープモードM1は、電源EVDDのみが供給され、音声処理制御装置10の入出力端子だけが動作している状態である。つまり、このディープスリープモードM1は、アプリケーションプロセッサ4と電気的には接続されるが、データの送受信はしないモードである。
【0057】
スリープモードM2は、電源EVDDと電源DVDD、PLLVDDが供給され、電源DVDD1のみが起動している状態である。つまり、スリープモードM2は、音声処理制御装置10がアプリケーションプロセッサ4からのデータを受信することが可能な状態ではあるが、データの処理は行わない。
【0058】
スタンドアロンモードM3は、音声処理制御装置10に供給される電源が全て供給される状態であり、音声処理制御装置10の全ての機能を使用することができる。つまり、音声処理制御装置10のみで、メモリカードから音声データを読み込み、読み込んだ音声データを再生することが可能である。この場合、アプリケーションプロセッサ4の電源は停止状態と動作状態のいずれでも良い。
【0059】
DSPモードM4は、音声処理制御装置10の機能のうち音声処理回路15に関する機能(例えば、DSP機能)を使用する。この場合、記憶装置制御回路17の機能は必要ないため、電源DVDD3及び電源MEMVDDは停止していても良い。また、音声処理回路15が処理する音声データは、アプリケーションプロセッサ4から送信される。
【0060】
メモリアクセス+DSPモードM5は、音声処理制御装置10の記憶装置制御回路17に関する機能(例えば、メモリアクセス機能)とDSP機能とを使用し、メモリカードから読み出したデータは、アプリケーションプロセッサ4を経由する経路で送受信される。従って、メモリアクセス+DSPモードM5では、アプリケーションプロセッサ4と音声処理制御装置10との電源は全て供給される状態となる。
【0061】
メモリアクセスモードM6は、音声処理制御装置10のメモリアクセス機能を使用し、DSP機能は使用しない。従って、音声処理制御装置10の電源DVDD2は停止した状態であって、その他の電源は供給されている。つまり、このメモリアクセスモードM6は、アプリケーションプロセッサ4が音声処理制御装置10をメモリカードとのインタフェースとして使用するモードである。
【0062】
これらのモードにおける電源状態を音声処理制御装置10の電源状態とデータの経路とを音声処理制御装置10とその周辺装置のブロック図を参照して説明する。なお、電源OFFモードM0と、ディープスリープモードM1とは、音声処理制御装置10は実質的に動作していないため説明を省略する。
【0063】
まず、図11にスリープモードM2における音声処理制御装置10とその周辺装置の電源状態を示す。図11に示すように、このモードでは、音声処理制御装置10のうち、電源DVDDに基づき動作する電源制御回路12、電源PLLVDDに基づき動作するクロック生成回路11、電源DVDD1に基づき動作するホストインタフェース13が動作している。一方、電源DVDD2に基づき動作する制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16、電源DVDD3に基づき動作する記憶装置制御回路17、電源MEMVDDに基づき動作する記憶装置インタフェース18は停止している。
【0064】
ここで、スリープモードM2からスタンドアロンモードM3に移行する場合の手順について説明する。この手順のフローチャートを図12に示す。図12に示すように、この場合、まず電源MEMVDDを供給し、記憶装置インタフェース18を起動する(ステップS10)。その後、電源DVDD2の出力を開始し、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16を起動する(ステップS11)。続いて、電源DVDD3の出力を開始し、記憶装置制御回路17を起動する(ステップS12)。その後、クロック生成回路11が生成するクロックの周波数の設定を行う(ステップS13)。これによって、ステップS11、S12で起動した各ブロックは所定の速度で動作を開始する。
【0065】
ステップS13が完了すると、制御回路14が内部バスの動作速度の設定を行う(ステップS14)。この内部バスの動作速度の設定について詳しくは後述する。ステップS14が完了すると、DSP15が動作するためのファームウェア等をRAM15にダウンロードする(ステップS15)。続いて、制御回路14の経路制御回路14が動作するためのファームウェアをダウンロードする(ステップS16)。その後、音声処理制御装置10の動作が開始される。
【0066】
ステップS15、S16においてダウンロードされるファームウェア等は、音声処理制御装置10が動作するに当たり、その動作を行うために必要なもののみがダウンロードされる。RAM15にダウンロードされるファームウェア等は、制御回路14のROM14に格納されている場合は、それを優先的にダウンロードする。一方、ROM14に格納されていない場合は、アプリケーションプロセッサ4からダウンロードされる。また、経路制御回路14にダウロードされるファームウェアもROM14に格納されている場合は、それを優先的にダウンロードする。
【0067】
ステップS16の内部バスの動作速度の設定について詳細に説明する。本実施の形態のDSP15は、実行する音声データの圧縮フォーマットに応じて動作速度を変更することが可能である。そのため、内部バスIB2を介してデータの送受信を行う場合、制御回路14あるいは記憶装置制御回路17の動作速度とDSP15の動作速度とが異なる。内部バスの動作速度の設定は、このように動作速度の異なる回路間のデータの送受信を成立させるために行う。
【0068】
制御回路14が内部バスを経由したデータの送受信を行う場合、送信側回路と受信側回路とにそれぞれチップセレクト信号CSとライト信号WR(あるいはリード信号RD)を出力する。送信側回路と受信側回路とは、このチップセレクト信号とライト信号又はリード信号に基づきデータの送受信を行う。制御回路14が行う内部バスの設定の一例を図13に示す。図13では、チップセレクト信号CSがロウレベルである期間にライト信号WR(あるいはリード信号RD)が所定の期間だけロウレベルになる。接続される回路は、ライト信号WR(あるいはリード信号RD)がロウレベルになる期間にアドレスデータADRとデータ信号DATAの送受信を行う。なお、アドレスデータADRとデータ信号DATAは、内部バス上の信号である。
【0069】
図13に示すように、ステップ13において設定されるのは、チップセレクト信号CSがロウレベルである期間L0の間の、ライト/リード信号WR/RDのロウレベルの位置と期間である。この位置と期間は、期間L0の開始からライト/リード信号WR/RDが立ち下がるまでの期間L1、ライト/リード信号WR/RDの立ち下がりから立ち上がりまでの期間L2、ライト/リード信号WR/RDの立ち上がりから期間L0までの期間L3を調整することで行われる。
【0070】
スタンドアロンモードM3における音声処理制御装置10とその周辺装置の電源状態と音声データの経路を図14に示す。図14に示すように、スタンドアロンモードM3では、音声処理制御装置10のブロックは全て動作している。また、音声データは、メモリカード9から記憶装置インタフェース18、記憶装置制御回路17、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16を介して、アナログフロントエンド8に送信される。つまり、音声データはアプリケーションプロセッサ4を介することなく再生することが可能である。なお、図14においては、アプリケーションプロセッサ4の電源は停止状態であるが、この電源は供給された状態であっても良い。また、アプリケーションプロセッサ4は、停止状態においてキーパッド5から入力があった場合は適宜起動し、周辺装置を動作させる。
【0071】
スタンドアロンモードM3では、記憶装置制御回路17は、メモリカード9から再生を行う音声データを読み出し、著作権保護のための暗号を復号し、暗号が解除された音声データを出力する。制御回路14は、記憶装置制御回路17から出力された音声データを音声処理回路15に送信する。音声処理回路15では、制御回路14から送信された音声データをストリームバッファ15に記憶する。そして、ストリームバッファ15に記憶された音声データをDSP15で逐次デコードし、オーディオインタフェース16を介して出力する。
【0072】
次に、スリープモードM2からDSPモードM4に移行する場合について説明する。スリープモードM2からDSPモードM4に移行する場合の手順のフローチャートを図15に示す。この場合、まず電源DVDD2の出力が開始され、制御回路14と音声処理回路15とオーディオインタフェース16とが起動される(ステップS20)。次に、クロック生成回路11が生成するクロックの周波数の設定が行われる(ステップS21)。続いて、制御回路14が内部バスの設定を行う(ステップS22)。このステップS22の処理は、図12に示すステップS14の処理に相当する。
【0073】
ステップS22が完了すると、DSP15が動作するためのファームウェア等をRAM15にダウンロードする(ステップS23)。続いて、制御回路14の経路制御回路14が動作するためのファームウェアをダウンロードする(ステップS24)。その後、音声処理制御装置10の動作が開始される。ステップS23、S24の処理は、図12に示すステップS15、16の処理に相当する。
【0074】
DSPモードM4における音声処理制御装置10とその周辺装置の電源状態とデータの経路とを図16に示す。図16に示すように、DSPモードM4では、音声処理制御装置10のブロックのうち記憶装置制御回路17と記憶装置インタフェース18とは停止している。その他のブロックは動作している。また、音声データは、アプリケーションプロセッサ4からホストインタフェース13、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16を介して、アナログフロントエンド8に送信される。つまり、音声データはアプリケーションプロセッサ4が出力し、この音声データを再生することが可能である。なお、図16においては、記憶装置インタフェース18の電源は停止状態であるが、この電源は供給された状態であっても良い。また、DSPモードM6では、ある程度の容量の音声データを一度に送信し、そのデータをストリームバッファ15に蓄積することで、アプリケーションプロセッサ4が停止する時間を長くすることが可能である。
【0075】
DSPモードM4では、制御回路14は、ホストインタフェース13を介して入力される音声データを音声処理回路15に送信する。音声処理回路15では、制御回路14から送信された音声データをストリームバッファ15に記憶する。そして、ストリームバッファ15に記憶された音声データをDSP15で逐次デコードし、オーディオインタフェース16を介して出力する。
【0076】
次に、スリープモードM2からメモリアクセス+DSPモードM5に移行する場合について説明する。スリープモードM2からメモリアクセス+DSPモードM5に移行する場合の手順のフローチャートを図17に示す。この場合、まず電源MEMVDDを供給し、記憶装置インタフェース18を起動する(ステップS30)。その後、電源DVDD2の出力を開始し、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16を起動する(ステップS31)。続いて、電源DVDD3の出力を開始し、記憶装置制御回路17を起動する(ステップS32)。その後、クロック生成回路11が生成するクロックの周波数の設定を行う(ステップS33)。これによって、ステップS31、S32で起動した各ブロックは所定の速度で動作を開始する。
【0077】
ステップS33が完了すると、制御回路14が内部バスの動作速度の設定を行う(ステップS34)。ステップS34は、図12のステップS14に相当する処理である。ステップS34が完了すると、DSP15が動作するためのファームウェア等をRAM15にダウンロードする(ステップS35)。続いて、制御回路14の経路制御回路14が動作するためのファームウェアをダウンロードする(ステップS36)。その後、音声処理制御装置10の動作が開始される。
【0078】
メモリアクセス+DSPモードM5における音声処理制御装置10とその周辺装置の電源状態と音声データの経路とを図18に示す。図18に示すように、メモリアクセス+DSPモードM5では、音声処理制御装置10のブロックは全て電源が供給された状態である。また、音声データは、メモリカード9から記憶装置インタフェース18、記憶装置制御回路17、ホストインタフェース13、アプリケーションプロセッサ4、ホストインタフェース13、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16を介して、アナログフロントエンド8に送信される。つまり、音声データはメモリカード9から読み出され、アプリケーションプロセッサ4を介して送信される音声データを再生することが可能である。音声データを一度アプリケーションプロセッサ4に入力することで、アプリケーションプロセッサ4上で音声データに処理を加え、その処理後の音声データを再生することが可能である。この場合にアプリケーションプロセッサ4において行われる処理は、例えば記憶装置制御回路17では解読できない形式の暗号の解読や音声データへの特殊効果の付加など、音声制御処理装置10のみでは対応できない処理のことである。
【0079】
メモリアクセス+DSPモードM5では、記憶装置制御回路17は、メモリカード9から再生を行う音声データを読み出し、著作権保護のための暗号を復号し、暗号が解除された音声データを出力する。記憶装置制御回路17から出力された音声データは、ホストインタフェース13を介してアプリケーションプロセッサ4に送信される。アプリケーションプロセッサ4は、受信した音声データに対して音声処理制御装置回路10だけでは処理できない処理を行う。その後、処理後の音声データは、ホストインタフェース13を介して音声処理回路15に送信される。音声処理回路15では、アプリケーションプロセッサ4から送信された音声データをストリームバッファ15に記憶する。そして、ストリームバッファ15に記憶された音声データをDSP15で逐次デコードし、オーディオインタフェース16を介して出力する。
【0080】
次に、スリープモードM2からメモリアクセスモードM6に移行する場合について説明する。スリープモードM2からメモリアクセスモードM6に移行する場合の手順のフローチャートを図19に示す。この場合、まず電源MEMVDDを供給し、記憶装置インタフェース18を起動する(ステップS40)。その後、電源DVDD3の出力を開始し、記憶装置制御回路17を起動する(ステップS41)。そして、クロック生成回路11が生成するクロックの周波数の設定を行う(ステップS42)。その後、音声処理制御装置10の動作が開始される。
【0081】
メモリアクセスモードM6における音声処理制御装置10とその周辺装置の電源状態とデータの経路とを図20に示す。図20に示すように、メモリアクセスモードM6では、音声処理制御装置10のブロックのうち制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16は停止した状態である。また、音声データは、メモリカード9から記憶装置インタフェース18、記憶装置制御回路17、ホストインタフェース13を介してアプリケーションプロセッサ4に送信される。つまり、メモリアクセスモードM6は、音声処理制御装置10をメモリインタフェースとして使用するモードである。これによって、アプリケーションプロセッサ4がメモリインタフェースを搭載していない場合であっても、メモリカードを使用することが可能である。なお、このモードでは、メモリカード9からのデータの読み出しに限らず、書き込みを行うことも可能である。また、メモリカード9に格納されるデータは、音声データに限らず、例えば動画や静止画等のデータであっても良い。なお、メモリカード9に格納されるデータは、必ずしも暗号化されている必要はない。
【0082】
上記説明より、本実施の形態にかかる音声処理制御装置10によれば、スタンドアロンモードM3を使用することで、アプリケーションプロセッサ4の電源を停止した状態であっても、音声データの再生が可能である。アプリケーションプロセッサ4の電源を停止させた場合、機器全体の消費電力を大きく低減することができる。一方、音声処理制御装置10は、音楽データの再生機能に特化しているため、その低消費電力は、アプリケーションプロセッサ4に比べ小さい。したがって、本実施の形態にかかる音声処理制御装置10によれば、音楽データの再生を低消費電力で行うことができ、長時間の音楽再生を行う機器を実現することが可能である。
【0083】
また、メモリアクセスモードM6を有することで、アプリケーションプロセッサ4が記憶装置インタフェースを有していない場合であっても、メモリカードへのアクセスが可能になる。これによって、従来ではアプリケーションプロセッサ4上に搭載されていた記憶装置インタフェースが必要なくなるため、アプリケーションプロセッサ4の配置面積を小さくすることが可能である。つまり、機器の小型化が可能である。
【0084】
実施の形態2
実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'は、実施の形態1にかかる音声処理制御装置10にセレクタ19を追加したものである。図21に実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'とその周辺装置のブロック図を示す。図21に示すように、セレクタ19は、オーディオインタフェース16と入出力端子との間に配置される。また、実施の形態2にかかるアプリケーションプロセッサ4'は、音声出力端子を有している。この音声出力端子は、例えばIS規格に準拠したものである。
【0085】
セレクタ19は、複数の入出力端子のうち選択した入出力端子から入力される音声データを音声処理回路15に送信し、音声処理回路15で生成された音声データを複数の入出力端子のうち選択した入出力端子から出力する。例えば、アプリケーションプロセッサ4から入力される音声データを音声処理回路15に送信し、音声処理回路15で処理された音声データをアナログフロントエンド8に送信する。
【0086】
図22に実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'の詳細なブロック図を示す。図22を参照して実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'について説明する。なお、実施の形態1と同じものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図22に示すように、音声処理制御装置10'のオーディオインタフェース16は、例えば2つの入出力バッファ(オーディオインタフェース16、16)を有している。オーディオインタフェース16、16は、例えばIS規格に準拠したデータの送受信を行うことができる。また、オーディオインタフェース16、16は、内部バスIB3を介してDSP15と接続される。DSP15は、内部バスIB3の設定に基づきオーディオインタフェース16、16のうちいずれか一方から入力される音声データを処理し、他方のオーディオインタフェースに処理した音声データを出力する。なお、実施の形態2においても、DSP15は、実施の形態1と同様の動作をすることは可能である。
【0088】
セレクタ19は、セレクタ19、19を有している。セレクタ19、19は、例えばIS規格に準拠したデータの送受信を行うことが可能である。セレクタ19は、オーディオインタフェース16に接続され、セレクタ19は、オーディオインタフェース16に接続される。また、セレクタ19、19は、それぞれ4つの入出力端子に接続されている。例えば、セレクタ19は、オーディオ出力信号ASO1、オーディオ入力信号ASI1、チャンネル切り替えクロック信号LRCLK1、ビットクロック信号BCLK1の入出力端子に接続される。また、セレクタ19は、オーディオ出力信号ASO2、オーディオ入力信号ASI2、チャンネル切り替えクロック信号LRCLK2、ビットクロック信号BCLK2の入出力端子に接続される。
【0089】
また、セレクタ19、19は、互いに接続されており、オーディオインタフェース16を介することなくセレクタ19、19の間でデータの送受信をすることが可能である。なお、セレクタ19は、電源DVDD1に基づき動作している。音声処理制御装置10'は、セレクタ19の機能を使用した透過モードを有している。透過モードは、例えばアプリケーションプロセッサ4が生成した音声データを、音声処理制御装置10'のDSP15を介さずに、そのままアナログフロントエンド8に送信することができる。つまり、一方のセレクタに入力されたデータを何らの処理をすることなく他方のセレクタから出力できるモードが透過モードである。この透過モードを使用する場合、セレクタ19が電源DVDD1に基づき動作していることから、電源DVDD1が出力されている状態であれば良い。
【0090】
実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'の動作モードとそのモードの遷移について図23に示す。図23に示すように、実施の形態1のスリープモードM2に代えて実施の形態2の透過モードM2'が設定される。スリープモードM2と透過モードM2'とでは、供給される電源の状態は同じである。この透過モードM2'を使用してアプリケーションプロセッサ4からアナログフロントエンド8に音声データを送る場合の音声処理制御装置10'とその周辺装置との電源状態を図24に示す。
【0091】
図24に示すように、透過モードM2'では、クロック生成回路11、電源制御回路12、ホストインタフェース13、セレクタ19が動作している。アプリケーションプロセッサ4から出力される音声データは、セレクタ19を介してアナログフロントエンド8に送信されている。
【0092】
つまり、この透過モードM2'を使用することで、本実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'を搭載していない場合と同じ音声データの経路を擬似的に作成することができる。つまり、実施の形態2にかかる音声処理制御装置10'は、セレクタ19を搭載することで、既存のシステムに対して単純に追加することができる。これによって、既存のシステムをほとんど変更することなく、音声処理制御装置10'を追加したシステムを設計することが可能である。
【0093】
また、他の一例として、セレクタ19を介して、イコライザー20を接続したシステムを図25に示す。イコライザー20は、音声データに対して特殊音響効果を加えるものであって、例えば擬似3D音響を生成する3Dプロセッサ等である。この場合、音声処理制御装置10'とイコライザー20との接続は、例えばセレクタ19の一方のセレクタをイコライザー20の入力端子と接続し、他方のセレクタをイコライザー20の出力端子と接続する。
【0094】
スタンドアロンモードM3において、イコライザー20を使用した場合の電源状態と音声データの経路を示すブロック図を図26に示す。図26に示すように、この場合の電源は、アプリケーションプロセッサ4の電源のみが停止した状態となっている。また、音声データは、メモリカード9から記憶装置インタフェース18、記憶装置制御回路17、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16、セレクタ19、イコライザー20、セレクタ19、音声処理回路15、オーディオインタフェース16、セレクタ19の順に通過し、アナログフロントエンド8に送信される。ここで、音声データが同じ経路を入力と出力とで使用する場合、その経路については時分割で入出力状態を切り替えることで、データの衝突を回避する。
【0095】
このスタンドアロンモードM3では、記憶装置制御回路17は、メモリカード9から再生を行う音声データを読み出し、著作権保護のための暗号を復号し、暗号が解除された音声データを出力する。制御回路14は、記憶装置制御回路17から出力された音声データを音声処理回路15に送信する。音声処理回路15では、制御回路14から送信された音声データをストリームバッファ15に記憶する。そして、ストリームバッファ152に記憶された音声データをDSP15で逐次デコードし、オーディオインタフェース16とセレクタ19を介して出力する。出力された音声データは、イコライザー20で特殊音響効果が加えられる。イコライザー20で処理された音声データは、セレクタ19とオーディオインタフェース16を介して、音声処理回路15に送信される。このとき、音声処理回路15のDSP15による処理は特には行わない。受信された音声データは、音声処理回路15のストリームバッファ15に一時記憶され、その後、オーディオインタフェース16とセレクタ19を介して出力される。なお、音声データをイコライザー20に送信する前にデコードするか、イコライザー20での処理の後にデコードするかはイコライザー20の機能によって決定されるものであり、いずれの順序でデコードを行うかは任意に設定可能である。また、音声処理回路15とイコライザー20との間の音声データの送受信を行う経路は、セレクタ19を介する経路を使用し、音声処理回路とアナログフロントエンドとの間のデータの送受信にはセレクタ19を使用するが、これは周辺回路の接続に応じて変更することが可能である。
【0096】
上記説明より、音声処理制御装置10'は、セレクタ19を有することで、音声データに特殊音響効果を加えるようなイコライザー20を接続することができる。つまり、音声処理制御装置10'は、音声処理制御装置10'だけでは得ることができない機能を容易に追加することが可能である。
【0097】
実施の形態3
実施の形態3にかかるアプリケーションプロセッサ4''は、実施の形態2にかかるアプリケーションプロセッサ4'に対して、記憶装置インタフェースを追加したものである。アプリケーションプロセッサ4''は、記憶装置インタフェースを有しているため、音声処理制御装置10'を介することなくメモリカード9にアクセスすることが可能である。このアプリケーションプロセッサ4''を用いた場合の音声処理制御装置10'とその周辺装置とのブロック図を図27に示す。
【0098】
図27に示すように、この場合は、アプリケーションプロセッサ4''からメモリカード9へのアクセス経路が追加される。また、アプリケーションプロセッサ4''がメモリカード9にアクセスした場合の不具合を回避するため、音声処理制御装置10'の記憶装置インタフェース18の出力は、ハイインピーダンス出力の状態を生成することができるようにすることが好ましい。
【0099】
アプリケーションプロセッサ4''が直接メモリカード9にアクセスした場合の音声データの経路とそのときの音声処理制御装置10'の電源状態のブロック図を図28に示す。図28に示すように、この場合、音声処理制御装置10'の記憶装置制御回路17及び記憶装置インタフェース18は、停止状態である。音声データは、アプリケーションプロセッサ4''を介して、音声処理制御装置10'の音声処理回路15で処理された後にアナログフロントエンド8に送信される。つまり、この場合、音声処理制御装置10'は、DSPモードの動作となる。
【0100】
この場合、メモリカード9から読み出した音声データに施された著作権保護のための暗号はアプリケーションプロセッサ4で復号される。そして、アプリケーションプロセッサ4は、暗号が解除された音声データを出力する。アプリケーションプロセッサ4から出力された音声データは、ホストインタフェース13を介して音声処理回路15に送信される。音声処理回路15では、受信した音声データをストリームバッファ15に記憶する。そして、ストリームバッファ15に記憶された音声データをDSP15で逐次デコードし、オーディオインタフェース16を介して出力する。
【0101】
一方、音声処理制御装置10'を透過モードで使用しても、音声データの再生を行うことができる。音声処理制御装置10'を透過モードで使用した場合の音声データの経路を図29に示す。図29に示すように、音声データは、メモリカード9から読み出され、アプリケーションプロセッサ4とセレクタ19とを介してアナログフロントエンド8に送信される。
【0102】
この場合、メモリカード9から読出した音声データに施された著作権保護のための暗号はアプリケーションプロセッサ4で復号される。さらに、アプリケーションプロセッサ4は、暗号が解除された音声データのデコードを行う。アプリケーションプロセッサ4は、このデコード後の音声データを出力し、セレクタ19を介して音声データをアナログフロントエンド8に送信する。
【0103】
上記説明より、音声処理制御装置10'は、音声処理制御装置10'内の記憶装置インタフェース18がハイインピーダンス出力をすることが可能である。このことより、アプリケーションプロセッサ4''が記憶装置インタフェースを有している場合であっても、特に問題なく使用することができる。つまり、アプリケーションプロセッサ4''が記憶装置インタフェースを有している場合であっても、既存のシステムからほとんどシステムを変更することなく音声処理制御装置10'を使用することが可能である。
【0104】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、電源DVDD2は、制御回路14、音声処理回路15、オーディオインタフェース16に電源を供給するが、これらのブロック対して別々の制御が可能な電源を準備しても良い。これによって、ブロック毎にさらに細かな制御を行うことができるため、より消費電力を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】実施の形態1にかかる携帯電話1のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる音声処理制御装置とその周辺装置とのブロック図である。
【図3】実施の形態1にかかる音声処理制御装置の詳細なブロック図である。
【図4】実施の形態1にかかる音声処理制御回路の電源DVDD、PLLVDDの起動と電源DVDD1、DVDD2の起動の手順を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態1にかかる音声処理制御回路の電源DVDD、PLLVDDの起動と電源DVDD1、DVDD3の起動の手順を示すタイミングチャートである。
【図6】実施の形態1にかかる音声処理制御装置の動作中に電源DVDD2の出力を切り替える場合のタイミングチャートである。
【図7】実施の形態1にかかる音声処理制御装置の動作中に電源DVDD3及び電源MEMVDDの出力を切り替える場合のタイミングチャートである。
【図8】実施の形態1にかかる音声処理制御回路において各電源を停止させる場合のタイミングチャートである。
【図9】実施の形態1にかかる音声処理制御装置の動作モードとその動作モードの状態遷移図である。
【図10】実施の形態1にかかる音声処理制御回路の各動作モードにおける電源の状態を示す表である。
【図11】実施の形態1にかかる音声処理制御回路がスリープモードである場合の電源状態を示す図である。
【図12】実施の形態1にかかる音声処理制御回路がスリープモードからスタンドアロンモードに移行する場合の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1にかかる制御回路が行う内部バスの設定の一例を示す図である。
【図14】実施の形態1にかかる音声処理制御装置がスタンドアロンモードである場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【図15】実施の形態1にかかる音声処理制御回路がスリープモードからDSPモードに移行する場合の手順を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態1にかかる音声処理制御装置がDSPモードである場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【図17】実施の形態1にかかる音声処理制御回路がスリープモードからメモリアクセス+DSPモードに移行する場合の手順を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態1にかかる音声処理制御装置がメモリアクセス+DSPモードである場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【図19】実施の形態1にかかる音声処理制御回路がスリープモードからメモリアクセスモードに移行する場合の手順を示すフローチャートである。
【図20】実施の形態1にかかる音声処理制御装置がメモリアクセスモードである場合の電源状態とデータの経路とを示す図である。
【図21】実施の形態2にかかる音声処理制御装置とその周辺装置のブロック図である。
【図22】実施の形態2にかかる音声処理制御装置の詳細なブロック図である。
【図23】実施の形態2にかかる音声処理制御装置の各動作モードとその動作モードの状態遷移図である。
【図24】実施の形態2にかかる音声処理制御回路が透過モードである場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【図25】実施の形態2にかかる音声処理制御装置にイコライザーを接続したブロック図である。
【図26】実施の形態2にかかる音声処理制御回路にイコライザーを接続し、スタンドアロンモードで動作させた場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【図27】実施の形態3にかかるアプリケーションプロセッサを用いた場合の音声処理装置とその周辺装置とのブロック図である。
【図28】実施の形態3にかかるアプリケーションプロセッサを用いてメモリカード9にアクセスした場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【図29】実施の形態3にかかるアプリケーションプロセッサを用いてメモリカード9にアクセスし、音声処理制御装置をDSPモードで動作させた場合の電源状態と音声データの経路とを示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 携帯電話
2 アンテナ
3 通信部
4 アプリケーションプロセッサ
5 キーパッド
6 カメラモジュール
7 表示装置
8 アナログフロントエンド
9 記憶装置(メモリカード)
10 音声処理制御装置
11 クロック生成回路
12 電源制御回路
13 ホストインタフェース
13 割り込みコントローラ
13 CPUインタフェース
13 コントロールレジスタ
14 制御回路
14 経路制御回路
14 ROM
15 音声処理回路
15 RAM
15 ストリームバッファ
15 DSP
16、16、16 オーディオインタフェース
17 記憶装置制御回路
18 記憶装置インタフェース
19、19、19 セレクタ
20 イコライザー
DAC
アンプ
IB1〜IB3 内部バス
SP スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ないし第4外部端子と復号回路を有し、
第1のモードにおいて、
前記第1外部端子から第1符号化データを入力し、
前記第2符号化データを前記復号回路で復号して第1復号化データとし、
前記第4外部端子から前記第1復号化データを出力し、
第2のモードにおいて、
前記第1外部端子から第2符号化データを入力し、
前記第2外部端子から、前記第1外部端子から入力した前記第2符号化データを出力し、
前記第3外部端子から、前記第2外部端子から出力された前記第2符号化データを入力し、
前記第3外部端子から入力した前記第2符号化データを前記復号回路で復号して第2復号化データとし、
前記第4外部端子から、前記第2復号化データ出力すること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2および第3外部端子が共通の外部端子であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1符号化データに施された著作権保護のための暗号の復号を行う暗号復号回路を有することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1ないし第4外部端子と復号回路とを有する第1半導体装置と、
第5および第6外部端子を有する第2半導体装置と、
を有し、
第1のモードにおいて、
前記第1半導体装置が、
前記第1外部端子から第1符号化データを入力し、
前記第2符号化データを前記復号回路で復号して第1復号化データとし、
前記第4外部端子から前記第1復号化データを出力し、
第2のモードにおいて、
前記第1半導体装置が、
前記第1外部端子から第2符号化データを入力し、
前記第2外部端子から、前記第1外部端子から入力した前記第2符号化データを出力し、
前記第2半導体装置が、
前記第5外部端子から、前記第1半導体装置が前記第2外部端子から出力した前記第2符号化データを入力し、
前記第6外部端子から、前記第5外部端子から入力した前記第2符号化データを出力し、
前記第1半導体装置が、
前記第3外部端子から、前記第2半導体装置が前記第6外部端子から出力した前記第2符号化データを入力し、
前記復号回路で前記第3外部端子から入力した前記第2符号化データを復号して第2復号化データとし、
前記第4外部端子から前記第2復号化データを出力すること、
と特徴とする信号処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−5138(P2008−5138A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171561(P2006−171561)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】