説明

半導体装置用ソケット

【課題】各半導体装置の形状寸法に左右されることなく、各半導体装置に対し適切な押圧力を作用させることができること。
【解決手段】押圧部材10が、所定の範囲の外形寸法を有する異なる形状の半導体装置DVAを押圧可能な押圧部10Pを有し、ソケット本体部2に回動可能に支持される一対のレバー部材6に連結ピン16を介して連結される一対のアーム部材8に保持され、押圧部材10が押圧状態の位置をとる場合、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDおよび2SWBの円弧面部2STに保持され、押圧部材10が、待機状態となる場合、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDおよび2SWBの円弧面部2STから離脱されるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状寸法の異なる複数の半導体装置をそれぞれ、着脱可能に収容できる半導体装置用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などに実装される半導体装置において、一般に、実装される以前の段階でその潜在的欠陥を除去するために例えば、初期動作不良集積回路の除去に有効とされるバーンイン(burn in)試験が半導体装置用ソケットを介してなされる。
【0003】
このような試験に供される半導体装置用ソケットは、一般に、ICソケットと称され、例えば、特許文献1にも示されるように、プリント配線基板(テストボード)上に配される。半導体装置用ソケットは、例えば、特許文献1にも示されるように、半導体装置を着脱可能に収容する半導体装置収容部を有するソケット本体部と、ソケット本体部の半導体装置収容部に配され半導体装置の端子部をプリント配線基板の電極部に電気的に接続するコンタクトピンと、ソケット本体部に対し昇降動可能に設けられるカバー部材と、カバー部材の昇降動に連動して回動せしめられる押圧部材を含むラッチ機構と、カバー部材をソケット本体部から離隔する方向に付勢する弾性部材とを主な要素として含んで構成されている。
【0004】
半導体装置収容部の周囲における相対向する2箇所には、それぞれ、ラッチ機構の一部を構成する押圧部材支持部材の一端が連結されるリンク機構が設けられている。各押圧部材支持部材の他端には、押圧部材が設けられている。
【0005】
カバー部材が最上端の位置にあるとき、弾性部材の付勢力がカバー部材およびリンク機構を介して押圧部材支持部材に作用することにより、各押圧部材が半導体装置収容部に配される半導体装置の共通の上面に所定の圧力で当接せしめられる。これにより、その半導体装置の端子部が、コンタクトピンの接点部に対し所定の圧力で押圧される。
【0006】
一方、カバー部材がソケット本体部に向けて近接するように弾性部材の付勢力に抗して押圧される場合、押圧部材支持部材の他端に設けられる押圧部材は、半導体装置収容部から離隔されるようにリンク機構を介して所定の待機位置まで回動される。
【0007】
試験設備の標準化を図る観点から半導体装置用ソケットにおいては、外形寸法の異なる半導体装置、例えば、一辺が10mmから25mmまでの正方形の半導体装置を、共通の半導体装置用ソケットを利用して試験することが要望される場合がある。
【0008】
外形寸法の異なる半導体装置を共通の押圧部材および押圧部材支持部材を介して所定の弾性部材の付勢力により押圧できるようにする場合、押圧部材支持部材の他端に設けられる押圧部材が、最小外形寸法を有する半導体装置を押圧できるように押圧部材支持部材の長さを設定することが考えられる。このような場合、最大外形寸法を有する半導体装置は、最小外形寸法を有する半導体装置に比してその端子数も増大するのでその押圧力は、最小外形寸法を有する半導体装置に対応した押圧力よりも増大させる必要がある。
【0009】
押圧力を増大させる場合、特許文献2にも示されるように、押圧レバー部材の支点ピンから当接部までの長さをその支点ピンから連結ピンまでの距離に比して短くなるようにレバー比が変更されるもとで、押圧レバー部材が、カバー部材の下降動作に連動して半導体装置が載置される台座を押し下げるように前進した後、その当接部が半導体装置の上面に当接するように回動するように構成したものが提案されている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−59602号公報
【特許文献2】特開2005−174670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述のように、最小外形寸法を有する半導体装置を押圧できるように押圧部材支持部材の長さが設定された場合、押圧力を増大させるために特許文献2に示されるように、レバー比を変更すべく支点ピンの位置をさらにその当接部に近づけることが困難となる場合がある。従って、共通の押圧部材および押圧部材支持部材を介して所定の弾性部材の付勢力によって、最大外形寸法を有する半導体装置に対して適切な押圧力が作用しない虞がある。
【0012】
また、特許文献2において、その当接部が待機位置にある場合、当接部が着脱される最大外形寸法を有する半導体装置に干渉しないように押圧レバー部材および当接部の回動角度を、最小外形寸法を有する半導体装置の場合に比べてさらに大にすることは、最小外形寸法を有する半導体装置を押圧できるように押圧部材支持部材の長さが設定された場合、カバー部材およびソケット本体等をさらに大きくしない限り、困難となる。
【0013】
以上の問題点を考慮し、本発明は、形状寸法の異なる複数の半導体装置をそれぞれ、着脱可能に収容できる半導体装置用ソケットであって、各半導体装置の形状寸法に左右されることなく、各半導体装置に対し適切な押圧力を作用させることができる半導体装置用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置用ソケットは、形状寸法の異なる複数の半導体装置が着脱可能に配される半導体装置載置部を有するソケット本体部と、
ソケット本体部に一端が回動可能に支持され、一端および他端のうち少なくとも一方に係合部を有するレバー部材と、レバー部材の他端に連結部を介して連結されるアーム部材と、アーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する押圧部材と、ソケット本体部に対し昇降動可能に支持され、アーム部材の他端に連結されるカバー部材と、を備え、カバー部材の動作に応じて押圧部材の押圧部が半導体装置を押圧する場合、連結部の一端がソケット本体部の係合溝に係合されることにより、押圧部の押圧状態が保持され、押圧部材が半導体装置載置部から離隔した待機状態をとる場合、連結部の一端がソケット本体部の係合溝から離脱せしめられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る半導体装置用ソケットは、形状寸法の異なる複数の半導体装置が着脱可能に配される半導体装置載置部を有するソケット本体部と、半導体装置載置部を挟んで相対向しソケット本体部に一端が回動可能に支持され、一端および他端のうち少なくとも一方に係合部をそれぞれ有する第1および第2のレバー部材と、第1のレバー部材および第2のレバー部材の他端に連結部を介してそれぞれ連結される第1および第2のアーム部材と、第1のアーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する第1の押圧部材と、第2のアーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する第2の押圧部材と、ソケット本体部に対し昇降動可能に支持され、第1のアーム部材および第2のアーム部材の他端に連結されるカバー部材と、を備え、カバー部材の動作に応じて第1の押圧部材および第2の押圧部材の押圧部が半導体装置を協働して押圧する場合、連結部の一端がソケット本体部の係合溝に係合されることにより、第1の押圧部材および第2の押圧部材の押圧部の押圧状態が保持され、第1の押圧部材および第2の押圧部材が半導体装置載置部から離隔した待機状態をとる場合、連結部の一端がソケット本体部の係合溝から離脱せしめられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る半導体装置用ソケットによれば、形状寸法の異なる複数の半導体装置が着脱可能に配される半導体装置載置部を有するソケット本体部と、アーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する押圧部材と、を備え、カバー部材の動作に応じて押圧部材の押圧部が半導体装置を押圧する場合、連結部の一端がソケット本体部の係合溝に係合されることにより、押圧部の押圧状態が保持されるので各半導体装置の形状寸法に左右されることなく、各半導体装置に対し適切な押圧力を作用させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図2(A)は、本発明に係る半導体装置用ソケットの第1実施例の外観を示す。
【0018】
図2(A)において、半導体装置用ソケットは、例えば、プリント基板PB(図7参照)上における所定位置に縦横に複数個配される。なお、図2(A)においては、代表して1個の半導体装置用ソケットを示す。
【0019】
半導体装置用ソケットは、半導体装置DVAを着脱可能に収容する収容部を有する位置決め部材12と、位置決め部材12が着脱可能に搭載される凹部2Aを有するソケット本体部2と、ソケット本体部2に対し昇降動可能に設けられるカバー部材4と、上述の位置決め部材12の収容部に配される半導体装置DVAの端子部とプリント基板PBの電極部とを電気的に接続する複数のコンタクトピン30ai(i=1〜n,nは正の整数)(図7参照)と、半導体装置DVAの端子部を複数のコンタクトピン30aiに対し所定の圧力で押圧する押圧部材10を含んでなる押圧保持機構と、を含んで構成されている。
【0020】
プリント基板PBの表層部には、ソケット本体部2のコンタクトピン30ai群に対応して電極群が形成されている。電極群は、図示が省略される導電体層を通じて試験信号の入出力を行なうプリント基板PBの信号入出力部に電気的に接続されている。
【0021】
半導体装置DVAは、例えば、BGA型(Ball Grid Array)またはLGA型(Land Grid Array)、QFN型(Quad Flat Non−leaded)等の半導体装置とされる。装着可能な半導体装置DVAの外形寸法は、例えば、一辺が10mm以上25mm以下の範囲のものとされる。即ち、後述する位置決め部材12を半導体装置DVAの外形寸法に合致した位置決め部材に取り替えることにより、異なる外形寸法の半導体装置がソケット本体部2に装着可能となる。
【0022】
位置決め部材12は、図1に示されるように、半導体装置DVAが着脱可能に載置される略正方形の半導体装置載置部12Aを中央部に有している。半導体装置載置部12Aを
を形成する壁部における4隅には、それぞれ、半導体装置DVAの角部を案内し係合する案内壁12Ca、12Cb,12Cc,および、12Cdが形成されている。位置決め部材12には、図9に示されるように、その弾性変形可能な一対の相対向する爪部12NAおよび12NBが設けられる。爪部12NAおよび12NBは、それぞれ、ソケット本体部2の凹部2Aを形成する内壁部に設けられる一対の相対向する突起部2NA、2NBに係止される。これにより、位置決め部材12は、昇降動可能に凹部2Aに保持される。なお、一対の相対向する爪部12NAおよび12NBは、他の相対向する辺にも形成されている。
【0023】
位置決め部材12は、爪部12NAおよび12NBがそれ自体の弾性力に抗して突起部2NA、2NBから外されることにより、後述するソケット本体部2の凹部2Aに対し離脱可能とされる。
【0024】
位置決め部材12の半導体装置載置部12Aの底部を形成する底壁部12CBには、図6に示されるように、コンタクト端子30aiの一端が移動可能に挿入される細孔が形成される。複数の細孔は、コンタクト端子30aiの配列に対応して縦横に形成されている。コンタクト端子30aiは、コイルスプリングにより付勢される一対の端子をスリーブ内に移動可能に有するものとされる。コンタクト端子30aiは、斯かる例に限られることなく、例えば、特開2005−174670号公報にも示されるような、弾性変形可能な湾曲部を有するコンタクトピンであってもよい。
【0025】
底壁部12CBの下方には、端子支持基板36Aおよび36Bがソケット本体部2に配されている。端子支持基板36Aおよび36Bは、それぞれ、複数のコンタクト端子30aiの両端を協働して挟持するようにソケット本体部2に固定されている。複数のコンタクト端子30aiは、その中心軸線が端子支持基板36Aおよび36Bの平坦面に略直交するように挟持されている。
【0026】
また、底壁部12CBと端子支持基板36Aとの間には、底壁部12CBの4隅にそれぞれ設けられる軸に巻装されるコイルスプリング38が配されている。コイルスプリング38は、位置決め部材12を端子支持基板36Aに対し離隔する方向に付勢するものとされる。付勢される位置決め部材12は、その爪部12NAおよび12NBが上述したソケット本体2の突起部2NAおよび2NBに係止されることにより、図6に示される最上端位置で保持されることとなる。
【0027】
即ち、半導体装置載置部12Aに載置される半導体装置DVAが、図6に示されるように、押圧されていない場合、底壁部12CBと端子支持基板36Aとが離隔した状態とされる。このため、底壁部12CBの細孔内のコンタクト端子30aiの一端は、突出しない状態とされる。一方、図7に示されるように、半導体装置載置部12Aに載置される半導体装置DVAが、押圧される場合、底壁部12CBと端子支持基板36Aとが近接される。このため、底壁部12CBの細孔内のコンタクト端子30aiの一端は、半導体装置DVAの端子に当接される。
【0028】
ソケット本体部2は、図5(A)に示されるように、凹部2Aの周囲に外郭壁2WA,2WB,2WC、および、2WDを有している。外郭壁2WAは、後述するカバー部材の爪部4Naおよび4Nbを案内する案内溝2Gaおよび2Gbを所定の間隔をもって互いに平行に有している。外郭壁2WBは、後述するカバー部材の爪部4Ndおよび4Ncを案内する案内溝2Gdおよび2Gcを所定の間隔をもって互いに平行に有している。外郭壁2WCおよび2WDも、それぞれ、同様にカバー部材の爪部を案内する案内溝を所定の間隔をもって互いに平行に有している。
【0029】
案内溝2Gdおよび2Gcに、それぞれ、隣接した位置には、後述する支持軸24Aおよび24Bが挿入される孔2haおよび2hbが形成されている。
【0030】
外郭壁2WA,2WB,2WC、および、2WDを連結する各隅部には、後述するコイルスプリング18の一端を受け止めるスプリング受部2SBが一体に形成されている。外郭壁2WA,2WB,2WC、および、2WDにおける案内溝相互間には、後述する各サブコイルスプリング34の一端を受け止める一対のスプリング受部2SRが形成されている。外郭壁2WAと凹部2Aとの間、および、外郭壁2WCと凹部2Aとの間には、後述する連結ピン20を案内する案内溝2GU(図5(A)および図7参照)が形成されている。また、外郭部2WBと凹部2Aとの間、および、外郭部2WDと凹部2Aとの間には、それぞれ、保持壁2SWB、および、保持壁2SWDが形成されている。
【0031】
保持壁2SWB、および、保持壁2SWDは、凹部2Aを挟んで互いに向かい合い、対称的に形成されているので保持壁2SWDについて説明し、保持壁2SWBについての説明を省略する。
【0032】
保持壁2SWDは、図7に示されるように、後述する連結ピン16を保持する係合溝を一対有している。図2(A)に示される例においては、一方の係合溝のみが利用されているが、後述する図21に示される例のように、双方の係合溝が利用されてもよい。
【0033】
図5(A)に示されるように、図5(A)において左側の係合溝における連結ピン16の侵入路は、左側に開口しており、一方、右側の係合溝における連結ピン16の侵入路は、右側に開口している。左側の係合溝および右側の係合溝の構造は、侵入路の開口方向を除き、互いに同一とされるので左側の係合溝の構造について説明し、右側の係合溝の構造についての説明を省略する。
【0034】
係合溝は、図6に拡大されて示されるように、上述の侵入路の底部を形成する斜面部2SLBと、斜面部2SLBの裾に連なる下方平坦面部2SLCDと、下方平坦面部2SLCDに連なり係合溝の閉塞端部を形成する円弧面部2STと、円弧面部2STの上端に連なり下方平坦面部2SLCDに対し略平行に形成される上方平坦面部2SLCUと、上方平坦面部2SLCUに連なり下方平坦面部2SLCDの真上に形成される湾曲面部2SLAとから構成されている。湾曲面部2SLAに隣接する斜面部2SLBの真上は、開口している。円弧面部2STおよび/または、上方平坦面部2SLCUが、図7および図9に示されるように、半導体装置DVAが押圧される場合、連結ピン16を所定位置に保持するものとされる。なお、上述の係合溝は、閉塞端部を形成する円弧面部2STを有する構成とされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、係合溝は、円弧面部2STの代わりに、円弧面部2STに対応する部分が開口するように形成されてもよい。
【0035】
位置決め部材12の周囲を取り囲むカバー部材4は、位置決め部材12または保持壁2SWDおよび2SWBが選択的に通過する開口部4aを中央に有している。カバー部材4は、図1および図2(A)に示されるように、ソケット本体部2に対し昇降動可能に支持されている。カバー部材4におけるソケット本体部2に向けて突出する爪部4Naおよび4Nb、4Ncおよび4Ndの先端は、それぞれ、カバー部材4が最上端の位置にある場合、図2(A)および図7に示されるように、ソケット本体部2の案内溝2Ga〜2Gdに形成される係止端に係合されている。図2(A)は、カバー部材4が最上端の位置にある状態を示し、図1は、ソケット本体部2の全体を覆うカバー部材4が最下端の位置にある状態を示す。
【0036】
また、カバー部材4の内側部分とソケット本体部2におけるスプリング受部2SBとの間には、カバー部材4を上方に向けて付勢するコイルスプリング18が4個設けられている。なお、装着される半導体装置DVAに対する押圧力が適正な値となるようにサブコイルスプリング34が、適宜、スプリング受部2SRに対し配置されてもよい。
【0037】
カバー部材4の開口部4aの周縁には、後述する押圧部材支持部材としてのアーム部材8およびレバー部材6がそれぞれ係合される溝部4Sa、4Sbが、所定の間隔で形成されている。
【0038】
カバー部材4の溝部4Saおよび4Sbの相互間の部分には、図2(B)に拡大されて示されるように、互いに平行に配される一対のアーム部材8の一端を連結する連結ピン20が貫通するアーム部4Dが一体に互いに略平行に形成されている。連結ピン20の中央部は、図2(B)、および、図4に示されるように、そのアーム部4Dの相互間に形成される係止部4FにEリングにより連結されている。連結ピン20の両端部には、それぞれ、アーム部材8の一端が連結されている。
【0039】
アーム部材8は、図12に拡大されて示されるように、押圧部材10を保持する保持部8Eと、連結ピン20の一端に連結される孔8aを有する基端部8Aと、基端部8Aと保持部8Eとの間を連結する連結部8Bとから構成されている。
【0040】
保持部8Eは、後述する連結ピン16および支持軸14が挿入される孔8b、8cを所定の距離Laをもって共通の直線上に離隔して有している。距離Laは、孔8aと孔8bとの間の対応する同一方向の距離Lbよりも小に設定されており、後述する押圧力を高める観点から極力小とされることが好ましい。保持部8Eにおける孔8b、および、孔8cの共通の直線の位置は、図7および図12において、孔8aの位置に対し距離Ldだけカバー部材4の上面側に偏倚した位置とされる。
【0041】
アーム部材8の相互間には、図10および図11に示されるように、押圧部材10が配されている。押圧部材10は、その内部の中央部を貫通する支持軸14の両端がアーム部材8の孔8cに挿入されEリングEaにより係止されることにより、アーム部材8の保持部8Eに回動可能に支持されている。これにより、押圧部材10の押圧部10Pが、半導体装置DVAを押圧する場合、押圧面10PSの端部が半導体装置に干渉することなく、押圧面10PSが半導体装置DVAの上面に対し略平行に保たれるので半導体装置が均等の圧力で押圧される。
【0042】
略直方体の押圧部材10は、その中央部に矩形状の孔10Hを有している。孔10Hの周縁には、図1に示されるように、半導体装置DVAの上面に当接し押圧する押圧部10Pが形成されている。押圧部10Pの端面には、押圧面10PSが孔10Hの周縁に形成されている。押圧部材10における長辺の中央部には、それぞれ、図8に拡大されて示されるように、張出部10Tが形成されている。各張出部10Tは、半導体装置DVAが半導体装置載置部12Aに載置されていない場合、位置決め部材12の受面部12RAおよび12RBに受け止められる。これにより、半導体装置DVAが半導体装置載置部12Aに載置されていない場合、押圧面10PSと底壁部12CBの内面との間には、隙間CLBが形成されるので押圧面10PSと底壁部12CBとが干渉する虞がない。
【0043】
また、連結ピン16におけるアーム部材8の相互間には、図9に示されるように、一対のレバー部材6の一端が連結されている。連結ピン16における軸線方向の移動は、レバー部材6に隣接して配されるEリングEaにより規制されている。
【0044】
レバー部材6は、図13に拡大されて示されるように、支持軸24Aが貫通される孔6aを有する基端部6Aと、連結ピン16が貫通する長孔6bを有する腕部6Eと、基端部6Aと腕部6Eとを連結する連結部6Bとから構成されている。長孔6bは、図7において、保持壁2SWB、および、保持壁2SWDにおける円弧面部2STに対応して下方平坦面部2SLCDに対し略平行となる方向に延在して形成されている。
【0045】
連結部6Bには、図4に示されるように、支持軸24Aに巻装される捩りコイルばね22の一端が係止される孔6Sが形成されている。捩りコイルばね22の他端は、ソケット本体部2に係止されている。これにより、レバー部材6は、図7において、時計回り方向に、即ち、レバー部材6の腕部6Eが位置決め部材12に近接する方向に付勢されることとなる。
【0046】
押圧部材10が、図7に実線で示される状態から二点鎖線で示されるように、位置決め部材12における半導体装置載置部12Aから離隔せしめられる場合、図14(A)に示されるように、先ず、カバー部材4が矢印Fの示す方向に所定の圧力で押圧されることにより、アーム部材8は、連結ピン16の両端が下方平坦面2SLCDに当接した状態で連結ピン16をレバー部材6とアーム部材8との間の瞬間中心として反時計回り方向に回動し始めるとともに、アーム部材8全体が引っ張られる。その引張力における矢印Hの示す方向の分力により、図14(B)に示されるように、連結ピン16の両端が、矢印Hの示す方向にレバー部材6の長孔6bおよび保持壁2SWDの円弧面部2ST、上方平坦面部2SLCU、および、下方平坦面部2SLCDに対し摺動し始める。その際、レバー部材6は、捩りコイルばね22により、図14(C)および(D)に示される矢印BFの示す方向、即ち、時計回り方向に付勢されているので連結ピン16が長孔6b内で自由に動く虞がない。
【0047】
次に、カバー部材4がさらに押圧されることにより、図14(C)に示されるように、連結ピン16の両端がレバー部材6の長孔6bの他端に到達し、円弧面部2STから離脱され湾曲面部2SLAに摺接したとき、図14(D)に示されるように、連結ピン16の両端が保持壁2SWDに対し離脱されるとともに、レバー部材6がさらに回動される。
【0048】
そして、カバー部材4がさらに最下端位置まで押圧され保持されるとき、図14(E)に示されるように、連結ピン20が案内溝2GUに案内され、支持軸24Aに近接せしめられる。即ち、連結ピン16の両端が保持壁2SWDに対し離脱されることにより、押圧部材10およびアーム部材8が、位置決め部材12から最大限離隔した所定の待機位置に保持されることとなる。これにより、半導体装置DVAの着脱のとき、押圧部材10が、半導体装置DVAに干渉する虞がない。
【0049】
一方、押圧部材10が、図6に示される状態から図7に示される状態に回動され位置決め部材12における半導体装置載置部12Aに載置される半導体装置DVAを押圧する場合にあっては、先ず、カバー部材4が最下端位置まで押圧され保持される状態からカバー部材4が解放されるとき、カバー部材4がコイルスプリング18の付勢力により、カバー部材4がソケット本体部2から離隔する方向に移動せしめられる。その際、レバー部材6は、その長孔6bの端部に連結ピン16が当接している状態で捩りコイルばね22の付勢力により、時計回り方向に回動される。これにより、図14(D)に示されるように、連結ピン20が支持軸24Aから離隔せしめられるとともに、アーム部材8が保持壁2SWDに近接せしめられるように連結ピン16がレバー部材6の長孔6bの一端部に当接した状態で回動せしめられる。仮に捩りコイルばね22がない場合、連結ピン16の運動軌跡において、連結ピン16が長孔6bの他端側に移動することによって、連結ピン16の運動軌跡において連結ピン16の中心軸線と支持軸24Aとの間の距離が、より大きくなり、連結ピン16が、保持壁2SWDの湾曲面部2SLAに干渉し噛み合った状態となる虞がある。しかし、本実施例のように、捩りコイルばね22がある場合、そのような事態が回避される。万一、連結ピン16が、保持壁2SWDの湾曲面部2SLAに干渉しても、連結ピン16が、湾曲面部2SLAによって円弧面部2STまで案内される。
【0050】
さらに、カバー部材4が移動せしめられるとき、図14(C)に示されるように、アーム部材8全体および連結ピン16が図14(A)の矢印Hとは反対方向に移動せしめられる。これにより、図14(A)に示されるように、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2ST、および、上方平坦面部2SLCUに保持される。従って、アーム部材8における連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2ST、および、上方平坦面部2SLCUに保持されるので押圧部材10の押圧面部10PSには、てこの原理に従い、コイルスプリング18の付勢力に基づくアーム部材8における上述の距離LaおよびLbの比に応じた押圧力が作用することとなる。即ち、カバー部材4の押圧力を低減することも可能となる。また、押圧部材10は、半導体装置DVAの外形寸法が、例えば、一辺が10mm以上25mm以下の範囲のものを押圧できるので押圧力を高めるために半導体装置DVAの大きさに応じてアーム部材の全長を長くする必要がない。
【0051】
上述の例においては、レバー部材6は、長孔6bを有する腕部6Eを備えるものとされるが、斯かる例に限られることなく、レバー部材6’は、例えば、図15に示されるように、円形孔6’bを有する腕部6’Eと、長孔6’aを有する基端部6’Aとを備えるものであってもよい。なお、レバー部材6’を備える場合においては、捩りコイルばね22に代えて、捩り方向が逆方向となる捩りコイルばねが備えられる。
【0052】
図15において、レバー部材6’は、支持軸24Aが貫通される長孔6’aを有する基端部6’Aと、連結ピン16が貫通する円形孔6’bを有する腕部6’Eと、基端部6’Aと腕部6’Eとを連結する連結部6’Bとから構成されている。長孔6’aは、図7において、保持壁2SWB、2SWDにおける円弧面部2STに対応して下方平坦面部2SLCDに対し略平行となる方向に延在して形成されている。
【0053】
連結部6’Bには、支持軸24Aに巻装される捩りコイルばねの一端が係止される孔6’Sが形成されている。これにより、レバー部材6’は、図7において、反時計回り方向に、即ち、レバー部材6’の腕部6’Eが位置決め部材12に離隔する方向に付勢されることとなる。
【0054】
斯かる例において、押圧部材10が、図7に実線で示される状態から二点鎖線で示されるように、位置決め部材12における半導体装置載置部12Aから離隔せしめられる場合、図16(A)に示されるように、先ず、カバー部材4が矢印Fの示す方向に所定の圧力で押圧されることにより、アーム部材8は、連結ピン16の両端が下方平坦面2SLCDに当接した状態で、連結ピン16をレバー部材6’とアーム部材8との間の瞬間中心として反時計回り方向に回動し始めるとともに、アーム部材8全体が引っ張られる。これにより、その引張力における矢印Hの示す方向の分力により、図16(B)に示されるように、連結ピン16の両端が、矢印Hの示す方向にレバー部材6’の長孔6’aおよび保持壁2SWDの円弧面部2ST、下方平坦面2SLCD、および、上方平坦面2SLCUに対し摺動し始める。その際、レバー部材6’は、捩りコイルばねにより、図16(C)および(D)に示される矢印BFの示す方向、即ち、反時計回り方向に付勢されているので連結ピン16が長孔6’a内で自由に動く虞がない。
【0055】
次に、カバー部材4がさらに押圧されることにより、図16(C)に示されるように、連結ピン16の両端がレバー部材6’の長孔6’aの他端に到達し、円弧面部2STから離脱されるとき、図16(D)に示されるように、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDから離脱されるとともに、レバー部材6’がさらに回動される。そして、カバー部材4がさらに最下端位置まで押圧され保持されるとき、図16(E)に示されるように、連結ピン20が案内溝2GUに案内され、支持軸24Aに近接せしめられる。即ち、押圧部材10およびアーム部材8が、位置決め部材12から離隔した所定の待機位置に保持されることとなる。
【0056】
一方、押圧部材10が、図6に示される状態から図7に示される状態に回動され、位置決め部材12における半導体装置載置部12Aに載置される半導体装置DVAを押圧する場合にあっては、先ず、カバー部材4が最下端位置まで押圧され保持される状態からカバー部材4が解放されるとき、カバー部材4がコイルスプリング18の付勢力により、カバー部材4がソケット本体部2から離隔する方向に移動せしめられる。その際、レバー部材6’は、その長孔6’aの端部に連結ピン16が当接している状態で捩りコイルばねの付勢力に抗して、時計回り方向に回動される。これにより、図16(D)に示されるように、連結ピン20が支持軸24Aから離隔せしめられるとともに、アーム部材8が保持壁2SWDに近接せしめられるように連結ピン16をレバー部材6とアーム部材8との間の瞬間中心として回動せしめられる。さらに、カバー部材4が移動せしめられるとき、図16(C)に示されるように、アーム部材8全体および連結ピン16が図16(A)の矢印Hとは反対方向に移動せしめられる。これにより、図16(A)に示されるように、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2STおよび上方平坦面2SLCUに保持される。従って、アーム部材8における連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2STおよび上方平坦面2SLCUに保持されるので押圧部材10の押圧面部10PSには、てこの原理に従い、コイルスプリング18の付勢力に基づくアーム部材8における上述の距離LaおよびLbの比に応じた押圧力が作用することとなる。即ち、カバー部材4の押圧力を低減することも可能となる。また、押圧部材10は、半導体装置DVAの外形寸法が、例えば、一辺が10mm以上25mm以下の範囲のものを押圧できるので押圧力を高めるために半導体装置DVAの大きさに応じてアーム部材の全長を長くする必要がない。
【0057】
上述の例においては、レバー部材6は、長孔6bを有する腕部6Eを備えるものとされるが、斯かる例に限られることなく、レバー部材6”は、例えば、図17に示されるように、一端が開口する切欠孔6”bを有する腕部6”Eと、円形の孔6”aを有する基端部6”Aとを備えるものであってもよい。なお、レバー部材6”を備える場合においては、捩りコイルばね22が備えられる。
【0058】
図17において、レバー部材6”は、支持軸24Aが貫通される孔6”aを有する基端部6”Aと、連結ピン16が貫通する切欠孔6”bを有する腕部6”Eと、基端部6”Aと腕部6”Eとを連結する連結部6”Bとから構成されている。切欠孔6”bは、図7において、保持壁2SWB、2SWDにおける円弧面部2STに対応して下方平坦面部2SLCDに対し略平行となる方向に延在して形成されている。
【0059】
連結部6”Bには、支持軸24Aに巻装される捩りコイルばねの一端が係止される孔6”Sが形成されている。これにより、レバー部材6”は、図7において、時計回り方向に、即ち、レバー部材6”の腕部6”Eが位置決め部材12に近接する方向に付勢されることとなる。
【0060】
斯かる例において、押圧部材10が、図7に実線で示される状態から二点鎖線で示されるように、位置決め部材12における半導体装置載置部12Aから離隔せしめられる場合、図18(A)に示されるように、先ず、カバー部材4が矢印Fの示す方向に所定の圧力で押圧されることにより、アーム部材8は、連結ピン16の両端が下方平坦面2SLCDに当接した状態で反時計回り方向に回動し始めるとともに、アーム部材8全体が引っ張られる。その引張力における矢印Hの示す方向の分力により、図18(B)に示されるように、連結ピン16の両端が、矢印Hの示す方向にレバー部材6”の切欠孔6”bおよび保持壁2SWDの円弧面部2STに対し摺動し始める。その際、レバー部材6”は、捩りコイルばね22により、図18(C)および(D)に示される矢印BFの示す方向、即ち、時計回り方向に付勢されているので連結ピン16が切欠孔6”b内で自由に動く虞がない。
【0061】
次に、カバー部材4がさらに押圧されることにより、図18(C)に示されるように、連結ピン16の両端がレバー部材6”の切欠孔6”bの他端に到達し、円弧面部2STから離脱されたとき、図14(D)に示されるように、連結ピン16の両端が保持壁2SWDに対し離脱されるとともに、レバー部材6”がさらに回動される。
【0062】
そして、カバー部材4がさらに最下端位置まで押圧され保持されるとき、図18(E)に示されるように、連結ピン20が案内溝2GUに案内され、支持軸24Aに近接せしめられる。即ち、連結ピン16の両端が保持壁2SWDに対し離脱されることにより、押圧部材10およびアーム部材8が、位置決め部材12から最大限離隔した所定の待機位置に保持されることとなる。これにより、半導体装置DVAの着脱のとき、押圧部材10が、半導体装置DVAに干渉する虞がない。
【0063】
一方、押圧部材10が、図6に示される状態から図7に示される状態に回動され位置決め部材12における半導体装置載置部12Aに載置される半導体装置DVAを押圧する場合にあっては、先ず、カバー部材4が最下端位置まで押圧され保持される状態からカバー部材4が解放されるとき、カバー部材4がコイルスプリング18の付勢力により、カバー部材4がソケット本体部2から離隔する方向に移動せしめられる。その際、レバー部材6”は、その切欠孔6”bの端部に連結ピン16が当接している状態で捩りコイルばね22の付勢力により、時計回り方向に回動される。これにより、図18(D)に示されるように、連結ピン20が支持軸24Aから離隔せしめられるとともに、アーム部材8が保持壁2SWDに近接せしめられるように連結ピン16がレバー部材6”の切欠孔6”bの一端部に当接した状態で回動せしめられる。仮に捩りコイルばね22がない場合、連結ピン16の運動軌跡において、連結ピン16が切欠孔6”bの他端側に移動することによって、連結ピン16の運動軌跡において連結ピン16の中心軸線と支持軸24Aとの間の距離が、より大きくなり、連結ピン16が、保持壁2SWDの湾曲面部2SLAに干渉する虞がある。しかし、本実施例のように、捩りコイルばね22がある場合、そのような事態が回避される。
【0064】
さらに、カバー部材4が移動せしめられるとき、図18(C)に示されるように、アーム部材8全体および連結ピン16が図18(A)の矢印Hとは反対方向に移動せしめられる。これにより、図18(A)に示されるように、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2STおよび上方平坦面2SLCUに保持される。従って、アーム部材8における連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2STに保持されるので押圧部材10の押圧面部10PSには、てこの原理に従い、コイルスプリング18の付勢力に基づくアーム部材8における上述の距離LaおよびLbの比に応じた押圧力が作用することとなる。即ち、カバー部材4の押圧力を低減することも可能となる。また、押圧部材10は、半導体装置DVAの外形寸法が、例えば、一辺が10mm以上25mm以下の範囲のものを押圧できるので押圧力を高めるために半導体装置DVAの大きさに応じてアーム部材の全長を長くする必要がない。
【0065】
上述の例において、保持壁2SWDおよび2SWBは、それぞれ、ソケット本体部2と一体に形成されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、図5(B)に示されるように、保持壁2’SWDおよび2’SWBは、それぞれ、ソケット本体部2’とは別体に形成され、保持壁2’SWDおよび2’SWBは、ソケット本体部2’に対し着脱可能に配置されるものであってもよい。
【0066】
図5(B)において、ソケット本体部2’は、凹部2’Aの周囲に外郭壁2’WA,2’WB,2’WC、および、2’WDを有している。外郭壁2’WA,2’WB,2’WC、および、2’WDの構成は、上述のソケット本体部2における外郭壁2WA,2WB,2WC、および、2WDの構成と同一とされる。
【0067】
案内溝2’Gdおよび2’Gcに、それぞれ、隣接した位置には、支持軸24Aおよび24Bが挿入される孔2’haおよび2’hbが形成されている。
【0068】
外郭壁を連結する各隅部には、コイルスプリング18の一端を受け止めるスプリング受部2’SBが一体に形成されている。外郭壁2’WA,2’WB,2’WC、および、2’WDにおける案内溝相互間には、後述する各サブコイルスプリング34の一端を受け止める一対のスプリング受部が形成されている。また、外郭部2’WBと凹部2’Aとの間、および、外郭部2’WDと凹部2’Aとの間には、それぞれ、保持壁2’SWB、および、保持壁2’SWDの一対の爪部2’na、爪部2’ncが係止される凹部2’HB、2’HDが形成されている。
【0069】
保持壁2’SWB、および、2’SWDは、凹部2’Aを挟んで互いに向かい合い、対称的に形成されている。保持壁2’SWB、および、2’SWDの係合溝の構造は、上述の保持壁2SWDの係合溝の構造と同一とされる。
【0070】
図24および図25は、本発明に係る半導体装置用ソケットの第2実施例の外観を示す。
【0071】
図24および図25においては、上述の押圧部材10の上面にヒートシンク40が設けられたものとされる。なお、図24および図25においては、図1に示される例において同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0072】
ヒートシンク40は、押圧部材10を介して伝達される半導体装置DVAから発生する熱を放熱するものとされ、複数の放熱フィン40fai(i=1〜n,nは正の整数)を所定の間隔で有している。また、ヒートシンク40は、カバー部材4の開口部4aの中央部に位置するものとされる。
【0073】
図19および図20は、それぞれ、本発明に係る半導体装置用ソケットの第3実施例の外観を示す。
【0074】
図19および図20に示される例においては、上述の半導体装置DVAとは大きさの異なる半導体装置DVBが装着されるものとされる。半導体装置DVBの外形寸法は、半導体装置DVAの外形寸法よりも大なる寸法を有し、また、半導体装置DVBにおける適正な圧力は、半導体装置DVAの押圧力よりも大とされる。さらに、半導体装置DVBを協働して押圧する押圧部材50および60が相対向して設けられている。
【0075】
なお、図19および図20においては、図1に示される例における同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0076】
半導体装置用ソケットは、半導体装置DVBを着脱可能に収容する収容部を有する位置決め部材52と、位置決め部材52が着脱可能に搭載される凹部2Aを有するソケット本体部2と、ソケット本体部2に対し昇降動可能に設けられるカバー部材4と、上述の位置決め部材52の収容部に配される半導体装置DVBの端子部とプリント基板PBの電極部とを電気的に接続する複数のコンタクトピン30ai(i=1〜n,nは正の整数)(図21参照)と、半導体装置DVBの端子部を複数のコンタクトピン30aiに対し所定の圧力で協働して押圧する押圧部材50および60を含んでなる押圧保持機構と、を含んで構成されている。
【0077】
位置決め部材52は、半導体装置DVBが着脱可能に載置される略正方形の半導体装置載置部52Aを中央部に有している。半導体装置載置部52Aを形成する壁部における4隅には、それぞれ、半導体装置DVBの角部を案内し係合する案内壁が形成されている。位置決め部材52は、その弾性変形可能な一対の相対向する爪部が、それぞれ、ソケット本体部2の凹部2Aを形成する内壁部に設けられる一対の相対向する突起部2NA、2NBに係止されることにより、昇降動可能に凹部2Aに保持される。なお、一対の相対向する爪部は、他の相対向する辺にも形成されている。これにより、位置決め部材52は、爪部がそれ自体の弾性力に抗して突起部2NA、2NBから外されることにより、ソケット本体部2の凹部2Aに対し離脱可能とされる。
【0078】
位置決め部材52の半導体装置載置部52Aの底部を形成する底壁部52CBには、図21および22に示されるように、コンタクト端子30aiの一端が移動可能に挿入される細孔が、コンタクト端子30aiの配列に対応して縦横に形成されている。また、底壁部52CBと端子支持基板36Aとの間には、底壁部52CBの4隅にそれぞれ設けられる軸に巻装されるコイルスプリング38が配されている。付勢される位置決め部材52は、その爪部が上述したソケット本体2の突起部2NAおよび2NBに係止されることにより、図19および図21に示される最上端位置で保持されることとなる。
【0079】
即ち、半導体装置載置部52Aに載置される半導体装置DVBが、図22に示されるように、押圧されていない場合、底壁部52CBと端子支持基板36Aとが離隔した状態とされるので底壁部52CBの細孔内のコンタクト端子30aiの一端は、突出しない状態とされ、一方、図21に示されるように、半導体装置載置部52Aに載置される半導体装置DVBが、押圧される場合、底壁部52CBと端子支持基板36Aとが近接されるので底壁部52CBの細孔内のコンタクト端子30aiの一端は、突出し半導体装置DVBの端子に当接される。
【0080】
保持壁2SWB、および、保持壁2SWDは、凹部2Aを挟んで互いに向かい合い、対称的に形成されている。
【0081】
保持壁2SWDは、図21に示されるように、連結ピン16を保持する係合溝を一対有している。図21に示される例においては、双方の係合溝が利用される。
【0082】
アーム部材48は、押圧部材50または60を保持する保持部と、連結ピン20の一端に連結される孔を有する基端部と、基端部と保持部との間を連結する連結部とから構成されている。
【0083】
保持部は、連結ピン16および支持軸44がそれぞれ、挿入される孔を所定の距離La(図21参照)をもって共通の直線上に離隔して有している。距離Laは、連結ピン20が挿入される孔と連結ピン16が挿入される孔との間の対応する同一方向の距離よりも小に設定されており、後述する押圧力を高める観点から極力小とされることが好ましい。保持部における上述の共通の直線の位置は、図7および図12において、連結ピン20が挿入される孔の位置に対し所定距離だけカバー部材4の上面側に偏倚した位置とされる。
【0084】
アーム部材48の相互間には、図20に示されるように、押圧部材50または押圧部材60が配されている。押圧部材50および押圧部材60の構造は、その押圧面の形状を除き、互いに同一構造とされるので押圧部材50について説明し、押圧部材60の説明を省略する。
【0085】
押圧部材50は、その内部を貫通する支持軸44の両端がアーム部材48の孔に挿入され、EリングEaにより係止されることにより、アーム部材48の保持部に回動可能に支持されている。
【0086】
略直方体の押圧部材50は、その中央部に半導体装置DVBの上面に当接し押圧する押圧部50Pが形成されている。押圧部50Pの端面には、押圧面50PSが形成されている。
【0087】
また、連結ピン16におけるアーム部材48の相互間には、図20に示されるように、一対のレバー部材6の一端が連結されている。連結ピン16における軸線方向の移動は、レバー部材6に隣接して配されるEリングEaにより規制されている。
【0088】
押圧部材50および60が、それぞれ、図21に示される状態から図22に示されるように、位置決め部材52における半導体装置載置部52Aから離隔せしめられる場合、先ず、カバー部材4が所定の圧力で押圧されることにより、各アーム部材48が連結ピン16を回転中心として図21において反時計回り方向、あるいは、時計回り方向に回動し始めるとともに、各アーム部材48全体が引っ張られることにより、その引張力における矢印HAまたはHBの示す方向の分力により、連結ピン16の両端が、矢印HAまたはHBの示す方向にレバー部材6の長孔6bおよび保持壁2SWDの円弧面部2STに対し摺動し始める。その際、各レバー部材6は、捩りコイルばね22により、図22において、時計回り方向、あるいは反時計回り方向に付勢されているので連結ピン16が長孔6b内で自由に動く虞がない。
【0089】
次に、カバー部材4がさらに押圧されることにより、連結ピン16の両端がレバー部材6の長孔6bの他端に到達し、円弧面部2STから離脱され湾曲面部2SLAに摺接したとき、連結ピン16の両端が保持壁2SWDから離脱されるとともに、レバー部材6がさらに回動される。そして、カバー部材4がさらに最下端位置まで押圧され保持されるとき、連結ピン20が案内溝2GUに案内され、支持軸24Aおよび24Bに近接せしめられる。即ち、押圧部材50および60と、アーム部材48とが、位置決め部材52から離隔した所定の待機位置に保持されることとなる。
【0090】
一方、押圧部材50および60が、図22に示される状態から図21に示される状態に回動され、位置決め部材52における半導体装置載置部52Aに載置される半導体装置DVBを押圧する場合にあっては、カバー部材4が最下端位置まで押圧され保持される状態からカバー部材4が解放されるとき、カバー部材4がコイルスプリング18の付勢力により、カバー部材4がソケット本体部2から離隔する方向に移動せしめられる。その際、各レバー部材6は、その長孔6bの端部に連結ピン16が当接している状態で捩りコイルばね22の付勢力により、時計回り方向、あるいは、反時計回り方向に回動される。これにより、連結ピン20が支持軸24Aおよび24Bに対し離隔せしめられるとともに、アーム部材48が保持壁2SWDに近接せしめられるように連結ピン16を中心として回動せしめられる。さらに、カバー部材4が移動せしめられるとき、連結ピン16の両端が保持壁2SWDの湾曲面部2SLAに向かって移動された後、アーム部材48全体および連結ピン16が移動せしめられる。これにより、連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2STおよび上方平坦面2SLCUに保持される。従って、アーム部材48における連結ピン16の両端が、保持壁2SWDの円弧面部2STおよび上方平坦面2SLCUに保持されるので押圧部材50および60の押圧面部50PSおよび60PSには、てこの原理に従い、コイルスプリング18の付勢力に基づくアーム部材48における上述のレバー比に応じた押圧力が作用することとなる。即ち、カバー部材4の押圧力を低減することも可能となる。
【0091】
なお、上述の第3実施例においては、第2実施例のように、ヒートシンクが各押圧部材に設けられてもよい。また、図15に示されるような、レバー部材6’および、捩りコイルばね22の捩り方向とは逆方向に捩じられた捩りコイルばねが備えられてもよい。
【0092】
上述の第1実施例乃至第3実施例においては、アーム部材およびレバー部材を貫通し連結する連結ピン16が設けられているが、斯かる例に限られることなく、例えば、図23に示されるように、アーム部材8’が連結軸部8’S1および8’S2を有するものであってもよい。連結軸部8’S1は、保持壁2SWDおよび2SWDの円弧面部2STにそれぞれ係合保持されるものとされる。また、連結軸部8’S2は、レバー部材6の長孔6bに係合される。なお、図23において、図1に示される例における同一の構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る半導体装置用ソケットの第1実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】(A)は、本発明に係る半導体装置用ソケットの第1実施例の外観を示す斜視図であり、(B)は、(A)において、ソケット本体部を取り外した状態で下方から見た斜視図である。
【図3】図2(A)に示される例における平面図である。
【図4】図3に示される平面図において、カバー部材を取り除いた状態で示す平面図である。
【図5】(A)は、図2(A)に示される例において備えられるソケット本体部を示す斜視図であり、(B)は、ソケット本体部の変形例を示す斜視図である。
【図6】図1に示される例における断面図である。
【図7】図2(A)に示される例における断面図である。
【図8】図2(A)に示される例において、半導体装置が装着されていない状態を示す部分断面図である。
【図9】図2(A)において、IX−IX線に沿って示される部分断面図である。
【図10】図2(A)に示される例において備えられる押圧部材およびアーム部材を示す斜視図である。
【図11】図10に示される押圧部材の正面図である。
【図12】図10に示されるアーム部材の正面図である。
【図13】図2(A)に示される例において備えられるレバー部材を示す正面図である。
【図14】(A)乃至(E)は、それぞれ、図2(A)に示される例における動作説明に供される図である。
【図15】レバー部材の他の例を示す正面図である。
【図16】(A)乃至(E)は、それぞれ、図15に示されるレバー部材が利用された場合において、図2(A)に示される例における動作説明に供される図である。
【図17】レバー部材のさらなる他の一例を示す正面図である。
【図18】(A)乃至(E)は、それぞれ、図17に示されるレバー部材が利用された場合において、図2(A)に示される例における動作説明に供される図である。
【図19】本発明に係る半導体装置用ソケットの第3実施例の外観を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る半導体装置用ソケットの第3実施例の外観を示す斜視図である。
【図21】図19に示される例における断面図である。
【図22】図20に示される例における断面図である。
【図23】アーム部材の他の一例を示す部分断面図である。
【図24】本発明に係る半導体装置用ソケットの第2実施例の外観を示す斜視図である。
【図25】本発明に係る半導体装置用ソケットの第2実施例の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
2、2’ ソケット本体部
2SWD、2SWB 保持壁
2ST 円弧面部
4 カバー部材
6、6’ レバー部材
8、8’、48 アーム部材
10、50、60 押圧部材
12、52 位置決め部材
16 連結ピン
18 コイルスプリング
40 ヒートシンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状寸法の異なる複数の半導体装置が着脱可能に配される半導体装置載置部を有するソケット本体部と、
前記ソケット本体部に一端が回動可能に支持され、該一端および他端のうち少なくとも一方に係合部を有するレバー部材と、
前記レバー部材の他端に連結部を介して連結されるアーム部材と、
前記アーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、前記形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する押圧部材と、
前記ソケット本体部に対し昇降動可能に支持され、前記アーム部材の他端に連結されるカバー部材と、を備え、
前記カバー部材の動作に応じて前記押圧部材の押圧部が前記半導体装置を押圧する場合、前記連結部の一端が前記ソケット本体部の係合溝に係合されることにより、該押圧部の押圧状態が保持され、前記押圧部材が前記半導体装置載置部から離隔した待機状態をとる場合、該連結部の一端が前記ソケット本体部の係合溝から離脱せしめられることを特徴とする半導体装置用ソケット。
【請求項2】
前記レバー部材が、前記他端に係合部を有する場合、前記レバー部材を前記半導体装置載置部に近接させる方向に付勢する付勢部材が、さらに備えられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用ソケット。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記アーム部材に回動可能に支持されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用ソケット。
【請求項4】
前記半導体装置載置部に昇降動可能に支持される位置決め部材をさらに備え、前記押圧部材の押圧部が押圧状態をとるとき、該位置決め部材が下降せしめられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用ソケット。
【請求項5】
前記レバー部材が、前記一端に係合部を有する場合、該レバー部材を前記半導体装置載置部に対し離隔させる方向に付勢する付勢部材が、さらに備えられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用ソケット。
【請求項6】
形状寸法の異なる複数の半導体装置が着脱可能に配される半導体装置載置部を有するソケット本体部と、
前記半導体装置載置部を挟んで相対向し前記ソケット本体部に一端が回動可能に支持され、該一端および他端のうち少なくとも一方に係合部をそれぞれ有する第1および第2のレバー部材と、
前記第1のレバー部材および第2のレバー部材の他端に連結部を介してそれぞれ連結される第1および第2のアーム部材と、
前記第1のアーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、前記形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する第1の押圧部材と、
前記第2のアーム部材における連結部が連結される部分よりも先端に支持され、前記形状寸法の異なる複数の半導体装置に対応した押圧部を有する第2の押圧部材と、
前記ソケット本体部に対し昇降動可能に支持され、前記第1のアーム部材および第2のアーム部材の他端に連結されるカバー部材と、を備え、
前記カバー部材の動作に応じて前記第1の押圧部材および第2の押圧部材の押圧部が前記半導体装置を協働して押圧する場合、前記連結部の一端が前記ソケット本体部の係合溝に係合されることにより、該第1の押圧部材および第2の押圧部材の押圧部の押圧状態が保持され、前記第1の押圧部材および第2の押圧部材が前記半導体装置載置部から離隔した待機状態をとる場合、該連結部の一端が前記ソケット本体部の係合溝から離脱せしめられることを特徴とする半導体装置用ソケット。
【請求項7】
前記第1および第2のレバー部材が、前記他端に係合部を有する場合、前記第1および第2のレバー部材を前記半導体装置載置部に近接させる方向に付勢する付勢部材が、さらに備えられることを特徴とする請求項6記載の半導体装置用ソケット。
【請求項8】
前記第1および第2の押圧部材は、それぞれ、前記第1のアーム部材および第2のアーム部材に回動可能に支持されることを特徴とする請求項6記載の半導体装置用ソケット。
【請求項9】
第1および第2のレバー部材が、前記一端に係合部を、それぞれ、有する場合、前記第1および第2のレバー部材を前記半導体装置載置部に対し離隔させる方向に付勢する付勢部材が、さらに備えられることを特徴とする請求項6記載の半導体装置用ソケット。
【請求項10】
前記係合溝は、前記連結部の一端が進入または離脱する開口を一端に有することを特徴とする請求項1または請求項6記載の半導体装置用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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