説明

半導体装置用ソケット

【課題】半導体装置の装着のとき、半導体装置の電極部とコンタクト端子の可動接点部の先端部との干渉を確実に回避できること。
【解決手段】カバー部材12がソケット本体10に対し下降せしめられ近接した場合、半導体装置DVが装着される位置決め部材14が、レバー部材26、26’の当接部26tによりコンタクト端子20aiの可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部に対し一旦、離隔するように押し上げられるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験に供される半導体装置をプリント配線基板に電気的に接続するための半導体装置用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などに実装される半導体装置において、一般に、実装される以前の段階でその潜在的欠陥を除去するために例えば、初期動作不良集積回路の除去に有効とされるバーンイン(burn in)試験が半導体装置用ソケットを介してなされる。
【0003】
このような試験に供される半導体装置用ソケットは、一般に、ICソケットと称され、例えば、特許文献1にも示されるように、プリント配線基板(テストボード)上に配される。
【0004】
例えば、オープントップタイプソケットにおいて、半導体装置用ソケットは、後述するコンタクト作動用部材を、コンタクト端子の一対の可動接点部に対し相対的に移動可能に収容する収容部を有するソケット本体と、半導体装置として、例えば、BGA型(Ball Grid Array)の半導体装置が装着される収容部を有し、半導体装置を収容部に案内するとともに半導体装置の電極部のコンタクト端子に対する相対位置を位置決めする位置決め部材と、所定の方向に沿って往復動可能にソケット本体内に配され、コンタクト端子の一方の可動接点部を他方の可動接点部に対し互いに近接または離隔させるコンタクト作動用部材と、作業者によるマニュアル操作力あるいは搬送ロボットのハンドラーにより作用される操作力をコンタクト作動用部材の駆動機構を介して駆動力としてコンタクト作動用部材に伝達するカバー部材とを含んで構成されている。
【0005】
ソケット本体は、複数のコンタクト端子の一対の可動接点部が突出する収容部を内側に有している。各コンタクト端子は、装着される半導体装置の各電極部に対応してソケット本体に設けられる基端側の固定側端子と、その端子に結合され半導体装置の各電極部を選択的に挟持、または解放する一対の可動接点部と、からなる。一対の可動接点部は、コンタクト作動用部材の移動に応じて互いに近接し半導体装置の各電極部を挟持し、または、互いに離隔し半導体装置の各電極部を解放するものとされる。
【0006】
コンタクト作動用部材は、ソケット本体の収容部に、例えば、各コンタクト端子の可動接点部の運動方向に対し略直交する方向に沿って移動可能に配されている。なお、コンタクト作動用部材は、特許文献2にも示されるように、ソケット本体の収容部に、各コンタクト端子の可動接点部の運動方向に沿って移動可能に配されているものも実用に供されている。
【0007】
コンタクト作動用部材は、各コンタクト端子の可動接点部がそれぞれ突出する開口部を内側に縦横に有している。異なる列の各開口部は、それぞれ、隔壁により仕切られている。
【0008】
コンタクト作動用部材において、同一列の各コンタクト端子の可動接点部が突出する隣接する各開口部相互間には、一方の可動接点部と他方の可動接点部との間を仕切るように形成される可動接点押圧部(特許文献1においては仕切壁と呼称されている)がそれぞれ設けられている。さらに、コンタクト作動用部材の一端とソケット本体の収容部の内周部との間には、コンタクト作動用部材を初期位置に戻すべく付勢する付勢部材が設けられている。
【0009】
さらに、コンタクト作動用部材は、特許文献1にも示されるような回動可能なレバー部材、および、作動軸からなる駆動機構に連結されている。その駆動機構のレバー部材の一端は、下降せしめられるカバー部材のカム面に当接するものとされる。
【0010】
これにより、カバー部材の下降動作に応じてレバー部材の一端が回動されることにより、コンタクト作動用部材が付勢手段の付勢力に抗して移動せしめられるとき、上述の可動接点押圧部が各コンタクト端子の一方の可動接点部および他方の可動接点部を互いに離隔させるように移動せしめられる。一方、カバー部材の上昇動作に応じて、コンタクト作動用部材が付勢手段の付勢力の復元力により初期の位置まで移動せしめられる。
【0011】
カバー部材は、ソケット本体に対し昇降動可能にソケット本体に支持されている。また、カバー部材は、位置決め部材の外周を包囲するように開口を内側に有している。
【0012】
斯かる構成において、搬送ロボットのハンドラーまたは作業者の指等に保持される半導体装置が、カバー部材の開口を通じて位置決め部材の収容部内に装着される場合、先ず、カバー部材が搬送ロボットのハンドラー等により最下端位置まで下降せしめられるとともにその半導体装置が下降せしめられる。これにより、コンタクト作動用部材が付勢手段の付勢力に抗して移動せしめられる。その際、コンタクト作動用部材が最下端位置で保持された状態で、突出した一方の可動接点部と他方の可動接点部とが離隔した状態に保持される。
【0013】
次に、半導体装置が所定の高さからの落下によって位置決め部材の収容部に載置されることにより、半導体装置の電極部が各コンタクト端子の一方の可動接点部と他方の可動接点部との間に対し位置決めされる。
【0014】
そして、半導体装置の各電極が各コンタクト端子の一対の可動接点部の相互間に配された状態で、カバー部材が上昇せしめられるとき、コンタクト作動用部材が付勢手段の付勢力の復元力により初期の位置まで上昇せしめられることにより、可動接点押圧部が上昇され、一方の可動接点部および他方の可動接点部が互いに近接することとなる。
【0015】
従って、半導体装置の各電極部が各コンタクト端子の一対の可動接点部により挟持されることにより、半導体装置の各電極部が各コンタクト端子に電気的に接続状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−111215号公報
【特許文献2】特開2004−47137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述のようにコンタクト作動用部材が最下端位置で保持された状態で、突出した一方の可動接点部と他方の可動接点部とが離隔した状態に保持される場合、一対の可動接点部の先端部は、位置決め部材における半導体装置載置面より所定の長さだけ突出している。
【0018】
このような場合、例えば、作業者のマニュアル操作によって半導体装置が位置決め部材の半導体装置載置面に落下されるとき、誤って傾いた姿勢となった半導体装置の電極部が、可動接点部の先端部に干渉する虞がある。特に、半導体装置の重量が比較的重いとき、例えば、ヒートスプレッター付きの半導体装置、あるいは、電極総数が2200個を越える比較的大きいサイズの半導体装置のとき、そのような半導体装置の電極部が可動接点部の先端部に干渉することにより、一対の可動接点部の先端部が変形、あるいは、破損する虞がある。
【0019】
以上の問題点を考慮し、本発明は、試験に供される半導体装置をプリント配線基板に電気的に接続するための半導体装置用ソケットであって、半導体装置の装着のとき、半導体装置の電極部とコンタクト端子の可動接点部の先端部との干渉を確実に回避できる半導体装置用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的を達成するために、本発明に係る半導体装置用ソケットは、半導体装置の端子を選択的に挟持し電気的に接続する一対の接触片部を有するコンタクト端子を備えるソケット本体と、ソケット本体に移動可能に配され、コンタクト端子の一対の接触片部における一方の接触片部を他方の接触片部に対し相対的に近接または離隔させるように少なくとも一方の接触片部を移動させる押圧部を有するコンタクト作動用部材と、コンタクト作動用部材およびコンタクト端子の一対の接触片部に対し近接または離隔可能に該コンタクト用作動用部材に配され、半導体装置を着脱可能に収容し、半導体装置の電極部のコンタクト端子の一対の接触片部に対する位置決めを行なう半導体装置収容部を有する位置決め部材と、コンタクト作動用部材と位置決め部材との間に揺動可能に配され、位置決め部材をコンタクト作動用部材に対し近接または離隔させるレバー部材と、ソケット本体に移動可能に支持され半導体装置の半導体装置収容部への着脱に応じてコンタクト作動用部材の押圧部に動作を行わせ、コンタクト端子の一対の接触片部を半導体装置の端子に対し当接または離隔させるとともに、半導体装置の前記半導体装置収容部への装着のとき、レバー部材に、半導体装置が収容された位置決め部材をコンタクト作動用部材およびコンタクト端子の一対の接触片部に対し一旦、離隔させた後、近接させる動作を行わせるカバー部材と、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る半導体装置用ソケットによれば、カバー部材が、半導体装置の半導体装置収容部への着脱に応じてコンタクト作動用部材の押圧部に動作を行わせ、コンタクト端子の一対の接触片部を半導体装置の端子に対し当接または離隔させるとともに、半導体装置の前記半導体装置収容部への装着のとき、レバー部材に、半導体装置が収容された位置決め部材をコンタクト作動用部材およびコンタクト端子の一対の接触片部に対し一旦、離隔させた後、近接させる動作を行わせることにより、半導体装置の端子がコンタクト端子の一対の接触片部に衝突する虞がないので半導体装置の装着のとき、半導体装置の電極部とコンタクト端子の可動接点部の先端部との干渉を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る半導体装置用ソケットの一例の要部を部分的に拡大して示す部分断面図である。
【図2】図1に示される例における構成を示す平面図である。
【図3】図1に示される例における構成を示す断面図である。
【図4】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図5】図1に示される例において用いられるスライダ部材を、レバー部材とともに示す平面図である。
【図6】図1に示される例において用いられるスライダ部材を示す平面図である。
【図7】(A)は、図1に示される例において用いられるレバー部材を示す斜視図であり、(B)は、(A)における側面図である。
【図8】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図9】図1に示される例における動作説明に供される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る半導体装置用ソケットの一例を、テストボードとしてのプリント配線基板とともに拡大して示す。なお、図1においては、プリント配線基板上に複数個配置される半導体装置用ソケットのうちの1個を代表して示す。
【0024】
半導体装置用ソケットは、所定の板厚を有するプリント配線基板18に形成される導体パターンにおける所定位置にそれぞれ配されている。その導体パターンにおける所定位置には、後述するコンタクト端子の固定側端子が半田付け固定されるめっきスルーホール群が形成されている。また、導体パターンの周囲には、後述のソケット本体の各位置決めピン部が挿入される孔が形成されている。
【0025】
半導体装置用ソケットは、図1および図2に示されるように、上述のプリント配線基板18上に固定されるソケット本体10と、ソケット本体10内の中央のコンタクト収容部に配され後述する半導体装置とプリント配線基板18の導体パターンとを電気的に接続する複数のコンタクト端子20ai(i=1〜n,nは正の整数)と、ソケット本体10に昇降動可能に支持され後述するラッチ機構に操作力を伝達するカバー部材12と、半導体装置DVを着脱可能に収容するとともに半導体装置DVの電極部のコンタクト端子に対する相対位置を位置決めする位置決め部材14を有するスライダ部材22と、位置決め部材14内に収容された半導体装置DVの各電極部を複数のコンタクト端子に向けて押圧するとともに半導体装置DVを保持する押え部材16Aおよび16Bを含んでなるラッチ機構とを主な要素として含んで構成されている。
【0026】
斯かる半導体装置用ソケットに供される半導体装置DVは、例えば、BGA型の一辺約50mmの略正方形の半導体装置とされ、約2200個を超える複数の球状の電極部DVaが縦横に形成される電極面を有している(図8参照)。
【0027】
樹脂製のソケット本体10は、後述するカバー部材12が下降せしめられるとき、そのアーム部の下端、および、押え部材16Aおよび16Bの基端部が侵入する凹部(不図示)を相対向する端部にそれぞれ、有している。また、図3に示されるように、ソケット本体10の内部の中央には、複数のコンタクト端子20aiが半導体装置DVの電極部に対応して配されるコンタクト収容部が形成されている。
【0028】
コンタクト収容部は、プリント配線基板18の表面に向けて開口する凹部と、その凹部に連通し各コンタクト端子20aiをそれぞれ、収容する複数のセルと、から構成されている。各セルは、所定の間隔で縦横に形成されている。同一列における隣接するセル相互間は、仕切壁10Pai(i=1〜n,nは正の整数)により仕切られている。セルの内部には、コンタクト端子20aiの固定部20Bを内壁面で支持する圧入部が形成されている。そのセルの開口端が開口するコンタクト収容部の上面部には、後述するコンタクト作動用部材としてのスライダ部材22が移動可能に配されている平坦面が形成されている。
【0029】
コンタクト端子20aiは、弾性のある薄板状の金属材料でプレス加工により一体成形され、図1に拡大されて示されるように、プリント配線基板18の表面に対し略直交する方向に延びている。コンタクト端子20aiは、上述の半導体装置DVにおける球状の電極部DVaを選択的に挟持する一対の可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fと、プリント配線基板18のめっきスルーホールに半田付け固定される固定側端子20Cと、可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fと固定側端子20Cとを連結する固定部20Bとを含んで構成されている。
【0030】
可動側接触片部20mは、固定側接触片部20fに対し近接または離隔可能となるように弾性を有している。可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける上端部には、それぞれ、半導体装置DVにおける球状の電極部に当接する接点部が形成されている。各接点部は、図3に拡大されて示されるように、スライダ部材22のスリット22bを通じて位置決め部材14の細孔近傍の位置まで突出している。
【0031】
また、図4において、スライダ部材22が矢印Fの示す方向に移動せしめられる場合、可動側接触片部20mの接点部は、破線で示されるように、スライダ部材22の押圧部22aにより押圧され、固定側接触片部20fの接点部に対し離隔せしめられる。一方、スライダ部材22が矢印Rの示す方向に移動され、その離隔した位置から初期位置に戻される場合、可動側接触片部20mの接点部は、固定側接触片部20fの接点部に対し近接せしめられる。
【0032】
スライダ部材22は、カバー部材12の下降動作に応じてカム機構(不図示)により図5における矢印Fの示す方向に移動せしめられる。そのカム機構は、例えば、特開2003−17207号公報にも示されるような、レバー部材およびコイルスプリングを含んで構成されている。
【0033】
また、スライダ部材22は、図3に拡大されて示されるように、コンタクト端子20aiにおける一対の可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fが通過するスリット22bを縦横に有している。同一列における隣接するスリット22b相互間は、内部に形成される押圧部22aにより仕切られている。隣接する異なる列相互間におけるスリット22b相互間は、隔壁により仕切られている。また、スライダ部材22の略中央部における隣接する異なる列相互間におけるスリット22b相互間に対応する上面には、所定の長さおよび高さの補強用のリブ22ra(i=1〜n,nは正の整数)が形成されている。
【0034】
スライダ部材22は、図5に示されるように、互いに直交する座標系における座標軸Xに平行な辺におけるスリット22b群の周辺に、後述する位置決め部材の第1のガイドポストの脚部(不図示)が挿入される孔22Rを座標軸Xに沿って所定の間隔で2箇所ずつ有している。座標軸Xに沿った孔22Rと孔22Rとの間には、位置決め部材の第2のガイドポストのフック部(不図示)が通過する孔22Hが、所定の間隔で2箇所に形成されている。なお、スライダ部材22は、座標軸Xに沿って往復動可能にコンタクト収容部の上面部に支持されている。
【0035】
各孔22Rに隣接してスリット22b群から離隔して外周部に近い位置には、それぞれ、レバー部材26および26’が揺動可能に設けられる溝22GA,22GB,22GC,および、22GDが形成されている。
【0036】
細長い溝22GAは、図6に示されるように、座標軸Xに沿って形成される斜面部22BSと、斜面部22BSの一端に連なる平坦部22Bfと、平坦部22Bfの端部から座標軸Yに沿って屈曲するように形成される窪み22Bdとから構成されている。
【0037】
斜面部22BSは、図3に示されるように、右下方に向けて傾斜する所定の勾配を有している。斜面部22BSと平坦部22Bfとの境界部分には、後述するレバー部材26における回動支点としての突起部26BPを受け止める凹部22Bpが形成されている。
【0038】
座標軸Xに沿って溝22GAに対向して共通の直線上に形成される溝22GBは、座標軸Xに沿って形成される斜面部22BSと、斜面部22BSの一端に連なる平坦部22Bfと、平坦部22Bfの端部から座標軸Yに沿って溝22GAの窪み22Bdの屈曲方向と同一方向に屈曲するように形成される窪み22Bdとから構成されている。
【0039】
斜面部22BSは、図3に示されるように、左下方に向けて傾斜する所定の勾配を有している。斜面部22BSと平坦部22Bfとの境界部分には、後述するレバー部材26’における回動支点としての突起部26BPを受け止める凹部22Bpが形成されている。
【0040】
座標軸Yに沿って溝22GBに対向して形成される溝22GCは、座標軸Xに沿って形成される斜面部22BSと、斜面部22BSの一端に連なる平坦部22Bfと、平坦部22Bfの端部から座標軸Yに沿って溝22GAおよび22GBの窪み22Bdの屈曲方向とは逆方向に屈曲するように形成される窪み22Bdとから構成されている。
【0041】
斜面部22BSは、図3に示されるように、左下方に向けて傾斜する所定の勾配を有している。斜面部22BSと平坦部22Bfとの境界部分には、後述するレバー部材26における回動支点としての突起部26BPを受け止める凹部22Bpが形成されている。
【0042】
座標軸Xに沿って溝22GCに対向して共通の直線上に形成される溝22GDは、座標軸Xに沿って形成される斜面部22BSと、斜面部22BSの一端に連なる平坦部22Bfと、平坦部22Bfの端部から座標軸Yに沿って溝22GAおよび22GBの窪み22Bdの屈曲方向とは逆方向に屈曲するように形成される窪み22Bdとから構成されている。
【0043】
斜面部22BSは、図3に示されるように、右下方に向けて傾斜する所定の勾配を有している。斜面部22BSと平坦部22Bfとの境界部分には、後述するレバー部材26’における回動支点としての突起部26BPを受け止める凹部22Bpが形成されている。
【0044】
レバー部材26および26’は、それぞれ、後述するガイド部を除き、互いに同一構造を有するのでレバー部材26について説明し、レバー部材26’についての説明を省略する。
【0045】
レバー部材26は、上述の溝22GAおよび22GCに配され、一方、レバー部材26’は、上述の溝22GBおよび22GDに配される。
【0046】
レバー部材26は、図7(A)および(B)に拡大されて示されるように、樹脂材料で成形され、支点としての突起部26BPを有するアーム部26Bと、アーム部26Bの一端に形成されるカバー部材当接部26URと、アーム部26Bの他端に形成されるガイド部26Cとから構成されている。
【0047】
アーム部26Bは、上述の溝22GAおよび22GCにおける斜面部22BSおよび平坦部22Bf上に載置される。突起部26BPは、アーム部26Bにおける溝に載置される面に所定の高さだけ隆起している。突起部26BPは、カバー部材当接部26UR側に概ね近い位置に形成されている。
【0048】
カバー部材当接部26URは、図7(A)においてアーム部26Bの中心軸線に対して略直交し、カバー部材12に向けて(即ち、上方に向けて)突出するように形成されている。これにより、カバー部材12が下降せしめられる場合、図4に拡大されて示されるように、カバー部材当接部26URの先端が、カバー部材12の内周面に力点として当接するものとされる。
【0049】
ガイド部26Cは、図7(A)においてアーム部26Bの中心軸線に対して共通の平面上で一方に向けて略直交するように形成されている。ガイド部26Cの一端は、図7(B)に示されるように、下方に向けて突出している。ガイド部26Cにおけるアーム部26Bと共通の平面上には、後述の位置決め部材14の下面に当接する当接部26tが作用点として形成されている。
【0050】
なお、レバー部材26’におけるガイド部26Cは、レバー部材26のガイド部26Cとは異なり、図7(A)においてアーム部26Bの中心軸線に対して共通の平面上で他方に向けて略直交するように形成されている。
【0051】
上述のスライダ部材22の上面に、レバー部材26およびレバー部材26’を介して載置される位置決め部材14は、図3に示されるように、半導体装置DVを収容するとともに、半導体装置DVの電極部のコンタクト端子20aiの各接点部に対する位置決めを行うガイド部を有する半導体装置収容部14Aを備えている。半導体装置収容部14Aは、底部の一部を形成する半導体装置載置面14asを有している。
【0052】
図3に示されるように、カバー部材12がソケット本体10に対し離隔され最上端位置にある場合、その半導体装置収容部14A内には、上述のコンタクト端子20aiの可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部が突出している。一方、図4に示されるように、カバー部材12がソケット本体10に対し近接され最下端位置にある場合、位置決め部材14は、レバー部材26および26’のガイド部26Cにおける当接部26tによりスライダ部材22に対し離隔するように所定の距離だけ押し上げられ、その半導体装置収容部14A内には、上述のコンタクト端子20aiの可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部が突出しない状態とされる。
【0053】
半導体装置収容部14Aを形成する相対向する壁部には、それぞれ、後述する押え部材16Aおよび16Bがそれぞれ通過する開口部が形成されている。
【0054】
カバー部材12は、上述の位置決め部材14が移動可能に配される開口部を中央に有している。半導体装置DVが位置決め部材14に対し着脱されるとき、半導体装置DVがその開口部を通過することとなる。
【0055】
カバー部材12は、その複数の脚部(不図示)がそれぞれ、ソケット本体10の外周部に形成される各溝に案内されて昇降動可能に支持されている。また、図1に示されるように、カバー部材12におけるスプリング受け部とソケット本体10との間には、カバー部材12を上方に、即ち、カバー部材12をソケット本体10に対し離隔する方向に付勢するコイルスプリング17が複数個設けられている。その際、カバー部材12の脚部の先端に設けられる爪部が溝の端部に係合される。これにより、カバー部材12が最上端位置に保持されることとなる。なお、図1および図3は、それぞれ、カバー部材12が最上端位置に保持された状態を示す。
【0056】
カバー部材12は、図4に示されるように、下降せしめられる場合、ラッチ機構を構成する押え部材16Aおよび16Bの基端部を押圧するアーム部(不図示)を有している。
【0057】
押え部材16Aおよび16Bは、図5に示されるように、それぞれ、スライダ部材12における座標軸Xに平行な各辺に回動可能に支持されている。
【0058】
また、押え部材16Aおよび16Bの基端部は、それぞれ、コイルスプリング(不図示)により、位置決め部材14に装着された半導体装置DVをその先端部で押さえ付ける方向に付勢されている。これにより、押え部材16Aおよび16Bの先端部は、位置決め部材14の上方となる位置に配される。一方、カバー部材12のアーム部により押え部材16Aおよび16Bの基端部がコイルスプリング17の付勢力に抗して押圧される場合、押え部材16Aおよび16Bの先端部は、位置決め部材14から離隔して所定の待機位置に配される。
【0059】
斯かる構成において、半導体装置DVの試験を行うにあたっては、先ず、図示が省略される搬送ロボットに設けられる押圧部材の押圧面部がカバー部材12の上面に当接されて上述のコイルスプリング17の付勢力に抗して下方に向けて所定のストロークで所定の最下端位置まで押圧される。その際、図4に示されるように、レバー部材26および26’のカバー部材当接部26URが押し下げられることにより、位置決め部材14が当接部26tにより所定の距離だけ押し上げられる。
【0060】
これにより、押え部材16Aおよび16Bが互いに離隔し待機位置とされる。また、例えば、被検査物としての半導体装置DVが、図示が省略される搬送ロボットの搬送アームにより吸引保持されてカバー部材12の開口部および位置決め部材14の真上となる位置まで搬送される。
【0061】
次に、搬送アームにより吸引保持された半導体装置DVは、カバー部材12の開口部を通じて下降せしめられて位置決め部材14の半導体装置収容部14Aに位置決めされ装着される。
【0062】
その際、図8に示されるように、所定の高さから落下した半導体装置DVの姿勢が傾くように半導体装置DVが誤って装着された場合であっても、半導体装置DVの電極部DVaは、可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部から所定距離、離隔しているので可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部が損傷する虞がない。
【0063】
また、図9に示されるように、所定の高さから落下した半導体装置DVの電極部DVaが、誤ってコンタクト端子20aiの可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部の一方側に偏るように半導体装置DVが装着された場合であっても、半導体装置DVの電極部DVaは、可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部から所定距離、離隔しているので可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部が損傷する虞がない。
【0064】
続いて、カバー部材12は、上述の押圧部材の押圧面部がカバー部材12の上面に当接された状態で上昇されるとき、上述のコイルスプリング17の付勢力等により最上端位置まで上昇せしめられる。その際、押え部材16Aおよび16Bの先端の当接部は、それぞれ、略同一のタイミングで、回動され、半導体装置DVをコンタクト端子20aiに向けて押圧することとなる。また、カバー部材12の上昇開始と同時に、レバー部材26および26’のカバー部材当接部26URが自重により押し上げられることにより、位置決め部材14が所定の距離だけ押し下げられた後、所定のタイミングでスライダ部材12における初期位置への移動が開始されるので半導体装置DVの電極部DVaが、可動側接触片部20mおよび固定側接触片部20fにおける接点部相互間で挟持される。
【0065】
そして、カバー部材12が最上端位置に維持されるもとでプリント配線基板18の入出力部に検査信号が供給されるとき、コンタクト端子20aiを通じてその検査信号が半導体装置DVに供給されるとともにその回路の異常が検出される場合、半導体装置DVからの異常検出信号が入出力部を通じて外部の故障診断装置に供給されることとなる。
【0066】
上述の例においては、本発明の一例が、コンタクト収容部の上面部における平坦面に摺動されるスライダ部材22が、所定の方向に移動せしめられる場合、可動側接触片部20mの接点部は、スライダ部材22の押圧部22aにより押圧され、固定側接触片部20fの接点部に対し離隔せしめられる構成を備える半導体装置用ソケットに適用されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、特許文献1にも示されるように、一対の接触片部の相互間に配される仕切壁を備える移動板がソケット本体における上下方向に沿って移動せしめられることにより、一対の接触片部双方が互いに離隔するように移動せしめられる構成を備える半導体装置用ソケットに適用されてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
10 ソケット本体
12 カバー部材
14 位置決め部材
20ai コンタクト端子
22 スライダ部材
26、26’ レバー部材
DV 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の端子を選択的に挟持し電気的に接続する一対の接触片部を有するコンタクト端子を備えるソケット本体と、
前記ソケット本体に移動可能に配され、前記コンタクト端子の一対の接触片部における一方の接触片部を他方の接触片部に対し相対的に近接または離隔させるように少なくとも該一方の接触片部を移動させる押圧部を有するコンタクト作動用部材と、
前記コンタクト作動用部材およびコンタクト端子の一対の接触片部に対し近接または離隔可能に該コンタクト用作動用部材に配され、前記半導体装置を着脱可能に収容し、該半導体装置の電極部の該コンタクト端子の一対の接触片部に対する位置決めを行なう半導体装置収容部を有する位置決め部材と、
前記コンタクト作動用部材と前記位置決め部材との間に揺動可能に配され、該位置決め部材を該コンタクト作動用部材に対し近接または離隔させるレバー部材と、
前記ソケット本体に移動可能に支持され前記半導体装置の前記半導体装置収容部への着脱に応じて前記コンタクト作動用部材の押圧部に動作を行わせ、前記コンタクト端子の一対の接触片部を該半導体装置の端子に対し当接または離隔させるとともに、前記半導体装置の前記半導体装置収容部への装着のとき、前記レバー部材に、前記半導体装置が収容された前記位置決め部材を前記コンタクト作動用部材および前記コンタクト端子の一対の接触片部に対し一旦、離隔させた後、近接させる動作を行わせるカバー部材と、
を具備して構成される半導体装置用ソケット。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記位置決め部材の半導体装置収容部に着脱される前記半導体装置が通過する開口部を有し、前記ソケット本体に対し昇降動可能に支持されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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