説明

半導体装置

【課題】ボンディング用パッドに対するプローブ針の接触時に層間絶縁膜にクラックが入った場合に、そのクラックの有無を検出できるようにし、後の組み立て時の歩留りの向上を図り、もってコストの低減化を図ること。
【解決手段】この発明は、層間絶縁膜27上に形成されたボンディング用パッド3を有する半導体装置である。ボンディング用パッド3の下の位置の層間絶縁膜25上に、層間絶縁膜27を介在してクラック検出用電極を含むクラック検出用パターン5が形成されている。クラック検出用パターン5は、層間絶縁膜27上に形成されるクラック検出用パッド6と電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にボンディング用のパッドを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の半導体装置の構成例を示す断面図である。この半導体装置は、半導体基板1上に素子・配線領域2が形成され、最上の絶縁膜上に複数のボンディング用のパッド3が形成されている。
素子・配線領域2には、例えばMOSトランジスタが形成され、このMOSトランジスタ上に層間絶縁膜と配線パターン(配線層)とが交互に配置されている。
【0003】
すなわち、MOSトランジスタ20上に第1層間絶縁膜21が形成され、第1層間絶縁膜21上に第1配線パターン22が形成されている。第1配線パターン22上には第2層間絶縁膜23が形成され、第2層間絶縁膜23上に第2配線パターン24が形成されている。第2配線パターン24上には第3層間絶縁膜25が形成され、第3層間絶縁膜25上に第3配線パターン26が形成されている。
【0004】
また、第3配線パターン26上には第4層間絶縁膜27が形成され、第4層間絶縁膜27上に複数のボンディング用パッド3が形成されている。
さらに、MOSトランジスタ20と第1配線パターン22はスルーホール28aによって電気的に接続されている。第1配線パターン22と第2配線パターン24とはスルーホール28bによって電気的に接続され、第2配線パターン24と第3配線パターン26とはスルーホール28cによって電気的に接続されている。
【0005】
このような構成からなる半導体装置では、電気測定の際にはボンディング用パッド3に対してプローブ針が接触され、ワイヤボンディングの際にはパッド3にワイヤが接続される。このような場合には、ボンディング用パッド3に強い機械的衝撃が加わるので、下層の層間絶縁膜、配線、素子などに特性の変動を発生させることがあり、この対策のために以下の方法が採用されている。
【0006】
(1)ワイヤボンディング、またはプロービング(パッドに対するプローブ針の接触)の条件によって機械的な衝撃を小さく設定する。
(2)衝撃を受けるパッド側が、衝撃に強くなる構造になるように工夫する。
具体的には、例えば図8に示すように、図7の配線パターン26をダミーパターン(構造強化層)29に置き換えて、機械的衝撃に強い構造とした半導体装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
このような構成によれば、機械的な衝撃を吸収できる。また、図8に示すようにボンディング用パッド3にプローブ針4が接触するなどに起因し、第4層間絶縁膜27に部分的にクラック(ヒビ割れ)aが入っても、ダミーパターン29で止まり、クラックaがそれ以上波及しないという利点がある。
【特許文献1】特許第3632725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図8に示す従来の半導体装置の場合は、層間絶縁膜27に部分的にクラックaが入ってもダミーパターン29で止まるので、回路としては動作不良を回避できる。
しかし、従来の半導体装置では、ワイヤボンディング作業に先立って、ボンディング用パッド3にプローブ針を接触することで所定の電気測定を行うが、その接触時に層間絶縁膜27にクラックaが入る場合がある。この場合には、その後のワイヤボンディング作業によりパッド3が層間絶縁膜27上から剥離するという不具合が発生する場合がある。
【0009】
このため、パッド3に対するプローブ針4の接触時に層間絶縁膜27にクラックが入った場合には、その事実が認識できないので、クラックが入った状態でその後のワイヤボンディング作業が行われる。従って、従来の半導体装置では、ワイヤボンディング作業時(組み立て時)に、パッドが絶縁膜上から剥離し、組み立ての歩留りが低下して製造費用(コスト)の上昇を招くという不具合があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、ボンディング用パッドに対するプローブ針の接触時に層間絶縁膜にクラックが入った場合に、そのクラックの有無を検出できるようにし、後の組み立て時の歩留りの向上を図り、もってコストの低減化を図ることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、各発明は、以下のような構成からなる。
第1の発明は、層間絶縁膜上に形成されたボンディング用パッドを有する半導体装置において、前記ボンディング用パッドの下の位置に、前記層間絶縁膜を介在して配置されるクラック検出用電極と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記クラック検出用電極と電気的に接続されるクラック検出用パッドと、を備えている。
【0012】
第2の発明は、層間絶縁膜上に形成された複数のボンディング用パッドを有する半導体装置において、前記複数のボンディング用パッドの下の位置に、前記層間絶縁膜を介在してそれぞれ配置される複数のクラック検出用電極と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記複数のクラック検出用電極と電気的に接続されるクラック検出用パッドと、を備えている。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記クラック検出用の電極は、所定幅からなる複数の導体を並列に配置した。
第4の発明は、第1または第2の発明において、前記クラック検出用の電極は、格子状に形成されている。
第5の発明は、第1または第2の発明において、前記クラック検出用の電極は、平板からなる。
【0014】
このような構成の本発明によれば、ボンディング用パッドに対するプローブ針の接触時にパッドの下の層間絶縁膜にクラックが入った場合に、そのクラックの有無を検出できるので、後のワイヤボンディング作業によるボンディング用パッドの層間絶縁膜上からの剥離を防止できる。その結果、組み立て時の歩留りの向上を図ることができ、コストの低減化を図ることができる。
また、本発明によれば、パッケージ後の検査において、回路に印加できないような高電圧を用いてクラックを検出することが可能となる。このため、クラックが進行性のある場合には、スクリーニングが可能となり、市場に出力するのに先立って動作不良を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明の半導体装置の実施形態の構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は実施形態の部分的な断面図であり、図2はその全体の上から見た平面図である。
実施形態に係る半導体装置は、図1に示すように、半導体基板などの基板1上に素子・配線領域2aが形成され、最上の層間絶縁膜上に複数のボンディング用のパッド3が形成されている。
【0016】
素子・配線領域2aには、例えばMOSトランジスタが形成され、このMOSトランジスタ上に層間絶縁膜と配線パターンとが交互に配置されている。
すなわち、MOSトランジスタ20上には第1層間絶縁膜21が形成され、第1層間絶縁膜21上には第1配線パターン22が形成されている。第1配線パターン22上には第2層間絶縁膜23が形成され、第2層間絶縁膜23上には第2配線パターン24が形成されている。第2配線パターン24上には、第3層間絶縁膜25が形成されている。MOSトランジスタ20と第1配線パターン22は、スルーホール28aによって電気的に接続されている。第1配線パターン22と第2配線パターン24は、スルーホール28bによって電気的に接続されている。
【0017】
また、第3層間絶縁膜25上には、クラック検出用配線パターン5が形成されている。クラック検出用配線パターン5上には、第4層間絶縁膜27が形成されている。第4層間絶縁膜27上には、複数のボンディング用パッド3とクラック検出用パッド6とがそれぞれ形成されている。クラック検出用パッド6は、スルーホール7を介してクラック検出用配線パターン5と電気的に接続されている。
複数のボンディング用パッド3は、図2に示すように、半導体装置を構成する第4層間絶縁膜27の端部の内側に沿って一列に配置されている。また、その一部には、ボンディング用パッド3に代えてクラック検出用パッド6が含まれている。
【0018】
次に、複数のボンディング用パッド3と、それに関連するクラック検出用配線パターン5の具体的な構成例について、図1および図3を参照して説明する。図3は、ボンディング用パッド3とクラック検出用配線パターン5を上側から見た平面図である。
図1および図3に示すように、複数のボンディング用パッド3の下の位置であって、第4層間絶縁膜27を介する第3層間絶縁膜25上に、クラック検出用配線パターン5が形成されている。言い換えると、複数のボンディング用パッド3とクラック検出用配線パターン5とは、第4層間絶縁膜27を介して対向する形態で配置されている。
【0019】
クラック検出用配線パターン5は、図3に示すように、所定幅からなる複数(この例では5つ)の導体51からなり、その複数の導体51は第3層間絶縁膜25上に所定間隔をおいて並列に配列するようにした。その複数の導体51の配列方向は、複数のパッド3の配列方向と一致するようにした。複数の導体51は、その各一端側が共通接続され、その共通接続部がスルーホール7を介してクラック検出用パッド6に接続されている。
このため、複数の導体51のうち、複数のボンディング用パッド3と対向する各部分は、各ボンディング用パッド3の下の第4層間絶縁膜27に生じるクラックを検出するためのクラック検出用電極として機能する。したがって、クラック検出用配線パターン5は、クラック検出用電極を含むものである。
【0020】
次に、図1に示すクラック検出用配線パターン5の変形例について、図4および図5を参照して説明する。
図4に示すクラック検出用配線パターン5aは、図3に示すクラック検出用配線パターン5の構成を基本とするものである。クラック検出用配線パターン5aは、所定幅からなる複数の導体51を有するとともに、その複数の導体51のうち複数の各パッド3と対向する各部分には、格子状または網目状のクラック検出用電極を形成するようにした。そのクラック検出用電極は、複数の導体51の間に導体52を追加することにより、格子状または網目状になるようにした(図4参照)。
図5に示すクラック検出用配線パターン5cは、複数のボンディング用パッド3と対向する位置に、全体が四角形からなる平板状のクラック検出用電極53をそれぞれ形成するようにした。そのクラック検出用電極53は、導体54によって接続されるとともに、スルーホール7などを介してクラック検出用パッド6に接続されている。
【0021】
次に、図3〜図5に示すクラック検出用配線パターンのそれぞれの特徴について説明する。
図3のクラック検出用配線パターン5は、所定幅からなる複数の導体51からなり、その複数の導体51は第3層間絶縁膜25上に所定間隔をおいて並列に配列するようにした。このように、複数のボンディング用パッド3と対向する各部分は、所定間隔の隙間(導体51が存在しない部分)がある。このため、ボンディング用パッド3にプローブ針が接触したときに第4層間絶縁膜27の変形に伴って変形可能であり、第4層間絶縁膜27にクラックが発生しにくいという利点がある。
【0022】
図5のクラック検出用配線パターン5bは、複数のボンディング用パッド3と対向する位置に、平板状のクラック検出用電極53をそれぞれ設けるようにした。このように、クラック検出用電極53は平板状であって、ボンディング用パッド3との対向面積が図3のクラック検出用配線パターン5よりも大きくなる。このため、第4層間絶縁膜27にクラックが発生した場合に、そのクラックを検出する感度が向上するという利点がある。
【0023】
図4のクラック検出用配線パターン5aは、複数のボンディング用パッド3と対向する各部分には、網目状のクラック検出用電極を形成するようにした。このため、ボンディング用パッド3にプローブ針が接触したときに第4層間絶縁膜27にクラックが発生するのを防止しつつ、仮に第4層間絶縁膜27にクラックが発生した場合に、そのクラックを検出する感度の向上を図ることができる。
【0024】
次に、本発明の実施形態において、層間絶縁膜にクラックが生じた場合に、そのクラックの検出の原理について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、ボンディング用パッド3の表面にプローブ針4が接触し、ボンディング用パッド3に衝撃が加わることにより、第4層間絶縁膜27にクラックaが入ったものとする。
【0025】
この場合に、ボンディング用パッド3とクラック検出用パッド6の間に、例えば10〔V〕程度の高電圧を印加すると、そのクラックaによってボンディング用パッド3とクラック検出用パッド6の間に漏れ電流が流れる。
したがって、その漏れ電流を電流計で測定すれば、漏れ電流の大きさを求めることができる。この測定した漏れ電流値は、第4層間絶縁膜27にクラックaがある場合とない場合とで異なる。そこで、測定した漏れ電流値を所定の判定値と比較すれば、クラックaの有無を検出できる。すなわち、漏れ電流値が判定値以上であればクラックaがありと判定し、漏れ電流値が判定値以下であればクラックaがなしと判定する。
【0026】
次に、本発明の実施形態において、層間絶縁膜にクラックが生じた場合に、そのクラックの検出方法について説明する。
まず、図2において、複数のボンディング用パッド3のうちのいずれかのパッド3の真下の第4層間絶縁膜27にクラックが生じた場合に、そのクラックが生じた箇所を特定する場合の検出方法について説明する。
【0027】
この場合には、複数のボンディング用パッド3について、任意のボンディング用パッド3とクラック検出用パッド6の間に高電圧を印加し、上記のように電流計で漏れ電流を測定し、その測定値によってクラックの有無を検出する。これらの測定を、ボンディング用パッド3を順次変更することにより、その測定を繰り返せば、クラックの発生箇所を特定できる。
【0028】
次に、図2において、複数のボンディング用パッド3のうちのいずれかのパッド3の真下の第4層間絶縁膜27にクラックが生じた場合に、そのクラックの発生箇所を特定することなく、クラックの発生の有無のみを知る場合の検出方法について説明する。
この場合には、複数のボンディング用パッド3の全てを電気的に共通接続し、この共通接続部とクラック検出用パッド6の間に高電圧を印加し、上記のように電流計で漏れ電流を測定し、その測定値によってクラックの有無を検出する。この場合には、クラックの発生箇所は特定できないが、クラックの有無を迅速に検出できる。
【0029】
以上のように、実施形態によれば、クラック検出用配線パターンとクラック検出用パッドなどを設けるようにしたので、ボンディング用パッドに対するプローブ針の接触時にパッドの下の層間絶縁膜にクラックが入った場合に、そのクラックの有無を検出できる。このため、その後のワイヤボンディング作業によるボンディング用パッドの層間絶縁膜上からの剥離を防止できるので、組み立て時の歩留りの向上を図ることができ、コストの低減化を図ることができる。
【0030】
また、実施形態によれば、パッケージ後の検査において、回路に印加できないような高電圧を用いてクラックを検出することが可能となる。このため、クラックが進行性のある場合には、スクリーニングが可能となり、市場に出力するのに先立って動作不良を回避できる。
なお、上記の実施形態では、図1に示すように、ボンディング用パッド3の下方に素子・配線領域2aを設けるようにしたが、図1は一例であり、本発明はそのような構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の部分的な断面図である。
【図2】その実施形態を上から見たときの概略平面図である。
【図3】クラック検出用配線パターンの構成を示す平面図である。
【図4】クラック検出用配線パターンの他の構成を示す平面図である。
【図5】クラック検出用配線パターンのさらに他の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態のクラックの検出原理を説明する図である。
【図7】第1の従来技術の部分的な断面図である。
【図8】第2の従来技術の部分的な断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・基板、2a・・・素子・配線領域、3・・・ボンディング用パッド、5、5a、5b・・・クラック検出用配線パターン、6・・・クラック検出用パッド、51、52・・・導体、53・・・クラック検出用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜上に形成されたボンディング用パッドを有する半導体装置において、
前記ボンディング用パッドの下の位置に、前記層間絶縁膜を介在して配置されるクラック検出用電極と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記クラック検出用電極と電気的に接続されるクラック検出用パッドと、
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
層間絶縁膜上に形成された複数のボンディング用パッドを有する半導体装置において、
前記複数のボンディング用パッドの下の位置に、前記層間絶縁膜を介在してそれぞれ配置される複数のクラック検出用電極と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記複数のクラック検出用電極と電気的に接続されるクラック検出用パッドと、
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記クラック検出用の電極は、所定幅からなる複数の導体を並列に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記クラック検出用の電極は、格子状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記クラック検出用の電極は、平板からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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