説明

半導体装置

【課題】 信頼性の高い固体電解コンデンサ上に半導体チップを搭載した半導体装置を提供する。
【解決手段】 アイランド12と電源リード23とGNDリード24とを有するリードフレームと、アイランド12に搭載されたシート状の固体電解コンデンサ25と、固体電解コンデンサ25上に搭載された、平面積が固体電解コンデンサ25より小さい半導体チップ11と、半導体チップ11と固体電解コンデンサ25、及び固体電解コンデンサ25と電源リード23またはGNDリード24と接続するボンディングワイヤ14とを有し、少なくとも固体電解コンデンサの陽極部1に溶接された陽極板7の接続部とボンディングワイヤ14の接続部が垂直方向投影部にて異なる位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に半導体チップにシート状の固体電解コンデンサを組み合わせた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI等の半導体チップの電源回路と接地回路の間にコンデンサを入れ安定した電源供給を行うことを目的とする技術が開示されている。このようにバイパスコンデンサを半導体パッケージに内蔵し、LSI等の半導体チップの回路に近接した場所にバイパスコンデンサを配置することによって、配線長を短くし、ESL(等価直列インダクタンス)を下げ、効率よく安定に動作するLSIを作ることが出来る。また、バイパスコンデンサを半導体パッケージ内に搭載することによって、マザーボード上の部品点数を低減することも可能になる。
【0003】
半導体チップと固体電解コンデンサとボンディングワイヤを備えた半導体装置が、例えば特許文献1に開示されている。この半導体装置は、図10の従来の複合電子部品の一例を示す断面図の様に半導体チップ11上に固体電解コンデンサ25を配置および接着している。半導体チップ11と固体電解コンデンサ25を接続する技術は、陽極パッド21、陰極パッド22を接続する手段の他、固体電解コンデンサ25の陽極体に達するように絶縁性樹脂の上面に形成された孔に導体めっき処理を施してなる陽極端子の末端面(陽極ビア16)と基板20の上面に形成されたランド(陽極パッド21)をボンディングワイヤで接続する技術がある。また、陽極部に関して上述したが、固体電解コンデンサの陰極導体層に対しても同様の手法にて接続を行う技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−294291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている半導体装置は、ボンディングワイヤの固体電解コンデンサと接続する位置が、固体電解コンデンサの陽極体と孔を導体めっき処理を施してなる陽極端子の接続部となっていた。そのため、ワイヤボンディング時のボンディングツールによる加重や振動によって、ワイヤボンディング箇所の直下のシート状の固体電解コンデンサの陽極体と導体めっきにて形成した陽極端子の接続部が破壊され、導通不良となる恐れがあり接続信頼性に問題があった。
【0006】
即ち、本発明の課題は、信頼性の高い半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決する手段を提供するものであって、その構成は次の通りである。
【0008】
本発明の半導体装置は、アイランドと電源リードとGNDリードとを有するリードフレームと、前記アイランドに搭載されたシート状の固体電解コンデンサと、前記固体電解コンデンサ上に搭載された、平面積が前記固体電解コンデンサより小さい半導体チップと、前記半導体チップと前記固体電解コンデンサ、及び前記固体電解コンデンサと前記電源リードまたは前記GNDリードと接続するボンディングワイヤとを有し、前記固体電解コンデンサの陽極部に溶接された陽極板の前記陽極部との接続部と前記陽極板の前記ボンディングワイヤとの接続部を有し、前記陽極板の前記陽極部との接続部と前記陽極板の前記ボンディングワイヤとの接続部が垂直方向に投影したときに、重ならない位置にあることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の半導体装置は、アイランドと電源リードとGNDリードとを有するリードフレームと、前記アイランドに搭載されたシート状の固体電解コンデンサと、前記固体電解コンデンサ上に基板を介して搭載された、平面積が前記固体電解コンデンサより小さい半導体チップと、前記半導体チップと前記基板を介して前記固体電解コンデンサ、及び前記固体電解コンデンサと前記電源リードまたは前記GNDリードとを接続するボンディングワイヤとを有し、前記固体電解コンデンサの陽極部に溶接された陽極板の前記陽極部との接続部と、前記基板の前記ボンディングワイヤとの接続部を有し、前記陽極板の前記陽極部との接続部と前記基板の前記ボンディングワイヤとの接続部が垂直方向に投影したときに、重ならない位置にあることを特徴とする。また、前記陽極板は、母材が銅を主成分としていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固体電解コンデンサの陽極部に溶接された陽極板の陽極部との接続部と陽極板のボンディングワイヤとの接続部、または、基板のボンディングワイヤとの接続部が垂直方向に投影したときに異なる位置となることによって、ボンディングツールの加重や振動による衝撃から接続不良や導通不良の発生を防ぐことができることになる。
【0011】
そのため、固体電解コンデンサの陽極部と半導体チップのワイヤボンディング接続時に、固体電解コンデンサの陽極部に溶接された陽極板の接続部がボンディングワイヤと陽極板または基板との接続部の直下に無い、即ち、垂直方向に投影したときに異なる位置で接続されることにより固体電解コンデンサの陽極部と陽極板の接続部が破壊され、導通不良となることを防ぎ、信頼性の高い半導体装置を製作できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態及び実施例1の半導体装置の外装樹脂を透視した平面図。
【図2】本発明の実施の形態及び実施例1の図1のA―A線で切断した模式的断面図。
【図3】本発明の実施例2の半導体装置の外装樹脂を透視した平面図。
【図4】本発明の実施例2の図3のB―B線で切断した模式的断面図。
【図5】本発明の実施例2の図4のC−C面とD−D面間においてC−C面から基板部を透視した平面図。
【図6】比較例1の半導体装置の外装樹脂を透視した平面図。
【図7】比較例1の図6のE―E面線で切断した模式的断面図。
【図8】比較例2の半導体装置の外装樹脂を透視した平面図。
【図9】比較例2の図8のF―F面線で切断した模式的断面図。
【図10】従来の半導体装置の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態の半導体装置について図1、図2を用いて説明する。本発明の実施の形態の半導体装置26はシート状のアルミ電解コンデンサなどからなる固体電解コンデンサ25と、この固体電解コンデンサ25が搭載されるQFPタイプの例えば42合金のアイランド12と電源リード23とGNDリード24を有するリードフレーム13と、固体電解コンデンサ25上に必要に応じ基板および金属箔9を介して搭載された固体電解コンデンサ25より平面積が小さい半導体チップ11と、固体電解コンデンサ25と半導体チップ11、および固体電解コンデンサ25と電源リード23またはGNDリード24とを接続するボンディングワイヤ14を有し、ボンディングワイヤ14は固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7または基板と接続される。さらに、固体電解コンデンサ25、金属箔9および半導体チップ11を覆う外装樹脂15を備えている。
【0014】
固体電解コンデンサ25は、例えばアルミニウムからなる板状または箔状の弁作用金属の母材を陽極部1とし、この陽極部1にレジスト帯2を設けて、陽陰極を分離し固体電解コンデンサ25の基体とした。固体電解コンデンサ25の陽極部1においてレジスト帯2を設け、このレジスト帯2で区切られた部分の誘電体酸化皮膜層3上に導電性高分子層4を形成し、グラファイト層5及び銀ペースト層6を塗布し、硬化することにより固体電解コンデンサ25の陰極部を設けたものである。
【0015】
固体電解コンデンサの陽極部1に陽極板7を溶接する方法は、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接などが使用することができ生産効率、溶接機器のランニングコスト、接続信頼性から超音波溶接が好ましい。尚、超音波溶接の面積は、陽極板7の平面積の1/2乃至2/3を陽極部1と溶接することが好ましい。これは、ボンディングワイヤを接続する際のボンディングツール径が陽極板7と陽極部1の接続箇所に垂直に投影したときに重ならない範囲とすることが重要であるためである。すなわち陽極板7において陽極部1の接続箇所と陽極板とボンディングワイヤとの接続箇所が垂直に投影したときに重ならない部分であれば良いが、ボンディングツール径の中心は、陽極板7において陽極部1の接続箇所が垂直に投影したときに重ならない範囲の中心とすることが好ましい。また固体電解コンデンサ上に基板を介して半導体チップを搭載することもできる。この場合は、陽極板の平面積の全てを陽極部と接続してもよい。基板のボンディングワイヤとの接続部となる陽極パッドにボンディングワイヤを接続する際のボンディングツール径が陽極板と陽極部の接続箇所に垂直に投影したときに重ならない範囲とすることが重要であるためである。すなわち陽極板において陽極部の接続箇所と、基板とボンディングワイヤとの接続箇所が垂直に投影したときに重ならない部分であれば良いが、ボンディングツール径の中心は、基板の陽極パッドと、陽極板と陽極部の接続箇所を垂直に投影したときに重ならない範囲の中心とすることが好ましい。
【0016】
固体電解コンデンサ25に必要により金属箔9を半導体チップ11のワイヤボンディング接続箇所の直下の部分に具備するように導電性接着銀8を用いて接続する。
【0017】
固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7と、主として陰極部上の金属箔9は、銅、銅合金、銀、銀合金、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金などを使用することができ、これらを母材として、ニッケルめっき、金めっきを施したものも使用できる。めっき部を含めた厚さは20〜78μmが好ましい。このうち銅を母材としたものが、導電率が高いことから好ましい。また、銅板貼りプリント基板のように金属箔を基板の両面に貼り付けたものも用いることができる。また、これは固体電解コンデンサ上に配置される基板としても用いることができる。この場合プリント基板の基材はビスマレイドトリアジン樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ガラスポリイミド樹脂、液晶ポリマーなどを使用することができる。市場流通量の多さ、加工の容易さ、線膨張係数からガラスエポキシ樹脂を基材の材質として選択し、基材の厚みは60μm程度、基材の両面に貼り付ける銅箔は無酸素銅とし厚みはめっき厚を含め43μm程度とするのが好ましい。
【0018】
その後、固体電解コンデンサ25が非導電性接着剤10でアイランド12に搭載される。さらに、固体電解コンデンサ25上の金属箔9上または基板上に非導電性接着剤10を用いて半導体チップ11を搭載する。しかる後、固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7と半導体チップ11の陽極部を、直接または基板を介して、例えば金のボンディングワイヤ14にてワイヤボンディングを行う際、固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7の接続部とボンディングワイヤ14の接続部が垂直方向に投影したときに異なる位置にてワイヤボンディングを行う。また、金属箔9または基板と半導体チップ11の陰極部をワイヤボンディングにて例えば金のボンディングワイヤ14にて接続し、外装樹脂15にて外装を行う。
【0019】
接着剤は、固体電解コンデンサ25とアイランド12の接続信頼性から固体電解コンデンサ25単体にて外装樹脂15aで外装していない場合は導電性接着銀8を使用し、固体電解コンデンサ25単体にて外装樹脂15aで外装している場合は、非導電性接着剤10を使用することが好ましい。
【0020】
さらに、上記の実施の形態における固体電解コンデンサ25は、陽極部および陰極部を1個ずつ有する2端子型固体電解コンデンサであるが、本発明においては陽極部を2個且つ陰極部を1個有する3端子型の固体電解コンデンサでも適応は可能である。
【実施例】
【0021】
以下に、本発明の半導体装置について、実施例を用いて具体的に説明する。
【0022】
(実施例1)
実施例1の半導体装置の外装樹脂内部を透視した平面図は、既に説明した図1と同様であり、実施例1の半導体装置内部の図1におけるA−A線に対応する模式断面構造は実施の形態で説明した図2と同様である。実施例1について図1、図2を参照して説明する。
【0023】
まず、アルミ電解コンデンサ用として販売されている粗面化した(エッチングした)アルミ化成箔において、箔の厚みが80μmであり単位平方センチメートル当たりの箔容量が118μFで誘電体を形成する際の化成電圧が9Vの箔を選択し、コンデンサ素子の形状になるように打ち抜き加工した。次に、陽陰極を分離するためにエポキシ樹脂をスクリーン印刷法にて、幅0.8mm、厚さ20μmのレジスト帯2を設け、アジピン酸水溶液中で化成し、誘電体酸化皮膜層3を形成した。その後、陰極形成領域の誘電体酸化皮膜上にモノマーとしてピロール、酸化剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウム、ドーパントとしてパラトルエンスルホン酸を用いて、化学酸化重合することにより導電性高分子層4を形成した。その上に、スクリーン印刷法によりグラファイト層5を塗布し、硬化することで厚さ30μmに形成した。続いて、グラファイト層5上にスクリーン印刷法により銀ペースト層6を塗布し、硬化することで厚さ50μmに形成し、陽極部1に対してYAGレーザを用いて陽極を露出させ、この陽極と厚さ15μmの銅めっき、厚さ3μmのニッケルめっきおよび厚み0.1μmの金めっきが施された銅母材の陽極板7を超音波溶接した。尚、超音波溶接した面積は、陽極板7の平面積の2/3を陽極部1と溶接した。
【0024】
次に、固体電解コンデンサ25の陰極部の銀ペースト層6上に導電性接着銀8をディスペンサーにて塗布した後、ニッケルおよび金めっきが施された無酸素銅母材で縦2.0mm、横1.0mm、厚さ43μmの金属箔9を搭載し硬化した。さらに、ワイヤボンディングで金のボンディングワイヤ14が接続される側の陽極板7と金属箔9を除き、外装樹脂15aを用いてトランスファーモールド成形で外装を行った。
【0025】
42合金からなるQFPタイプのリードフレーム13のアイランド12上にディスペンサーにてエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を塗布し、固体電解コンデンサ25の外装樹脂15a面を下面として搭載し硬化した。
【0026】
さらに、固体電解コンデンサ25の陰極部に搭載した金属箔9上にディスペンサーでエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を塗布し半導体チップ11を搭載した。しかる後、固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7の垂直方向投影部にて陽極部との接続部と異なる部分である陽極板7の端部の1/3の部分と半導体チップ11の陽極部1をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。さらに、金属箔9と半導体チップ11の陰極部をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。
【0027】
また、固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7の垂直方向投影部にて陽極部との接続部と異なる部分である陽極板7の端部の1/3の部分とQFPタイプのリードフレーム13の電源リード23、および金属箔9とQFPタイプのリードフレーム13のGNDリード24をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。
【0028】
ここで、このようにして得られた10個の半導体装置26について、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態を確認し、接続不良数をカウントして表1にまとめた。さらに、トランスファーモールド成形を用い外装樹脂15にて外装を行い半導体装置26が完成した。完成した10個の半導体装置26について、動作確認を行うことによって固体電解コンデンサ25の破壊の有無を確認し、その結果を表1にまとめた。
【0029】
尚、表1に示した結果の判定基準として、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態の接続不良とは、半導体チップ11の陽極部および陰極部、QFPタイプのリードフレーム13の電源リード23およびGNDリード24、固体電解コンデンサ25の陽極板7および金属箔9のワイヤボンディングの接続部における何れか1つでも、未接続および断線が発生した場合とした。また、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7との接続状態の接続不良とは、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7の超音波溶接した接続部が、破壊され剥がれが発生した場合および亀裂が発生した場合とした。さらに、半導体装置26の動作不良とは、半導体チップ11が半導体装置26に内蔵した固体電解コンデンサ25の効果を有することなく動作した場合および半導体チップ11が動作しない場合とした。
【0030】
(実施例2)
実施例2について図3、図4および図5を参照して説明する。固体電解コンデンサ25の製造工程は上記実施例1に示したものと陽極板の接続を除き同様である。陽極板7は厚さ15μmの銅めっき、厚さ3μmのニッケルめっきおよび厚み0.1μmの金めっきが施された銅母材の陽極板7を固体電解コンデンサ25の陽極部1に超音波溶接した。尚、超音波溶接した面積は、陽極板7の平面積の全面を陽極部1と溶接した。
【0031】
次に、実施例1の金属箔に代えて基板20を固体電解コンデンサ25上に搭載し、基板20として、エポキシ樹脂からなる銅板張り両面プリント基板を用いた。基板20の固体電解コンデンサ25の搭載面には銅母材からなる陽極搭載部18及び陰極搭載部19を備えており、エポキシ樹脂の内部を貫通する陽極ビア16および陰極ビア17を介して半導体チップ11搭載面側のワイヤボンディングに用いる各2個の陽極パッド21および陰極パッド22に電気的に接続している。また、基板20は、半導体チップ11のワイヤボンディング接続箇所の直下の部分に4個の金属箔9aを具備し、陽極パッド21および陰極パッド22以外の部分はソルダーレジスト27にて覆われている。基板の外形寸法は縦4.5mm、横1.6mmであり、ガラスエポキシ樹脂からなる厚みが60μmの基材の両面に厚み35μmの無酸素銅箔を配置し、3μm厚のニッケルメッキ、0.1μm厚の金めっきを行い基板20とした。基板20の固体電解コンデンサ25搭載面にスクリーン印刷法で導電性接着銀8を50μm厚に塗布した後、固体電解コンデンサ25の陽極板7が溶接されている側を搭載し硬化した。さらに、トランスファーモールド成形で、半導体チップ11搭載面側のワイヤボンディングに用いる各2個の陽極用パッド21および陰極パッド22を除き、外装樹脂15aで外装を行った。
【0032】
次に42合金からなるQFPタイプのリードフレーム13のアイランド12上にディスペンサーにてエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を塗布し、固体電解コンデンサ25の外装樹脂15a面を下面として搭載し硬化した。
【0033】
さらに、基板20上にエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を用いて半導体チップ11を搭載した。しかる後、固体電解コンデンサ25の搭載された基板20のワイヤボンディングに用いる陽極パッド21と半導体チップ11の陽極部をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続する際、陽極パッド21のワイヤボンディング箇所が垂直方向に投影したときに固体電解コンデンサ25の陽極板7と異なる箇所、即ち陽極パッド21の半導体チップ11に近い側の端部付近で金のボンディングワイヤ14で接続した。また、固体電解コンデンサ25の搭載された基板20のワイヤボンディングに用いる陰極パッド22と半導体チップ11の陰極部をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。さらに、固体電解コンデンサ25の搭載された基板20のワイヤボンディングに用いる陽極パッド21と、ワイヤボンディング箇所が垂直方向に投影したときに固体電解コンデンサ25の陽極板7と異なる箇所、即ち陽極パッド21の電源リード23に近い側の端部付近でQFPタイプのリードフレーム13の電源リード23と接続し、固体電解コンデンサ25の搭載された基板20のワイヤボンディングに用いる陰極パッド22とQFPタイプのリードフレーム13のGNDリード24をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。
【0034】
ここで、このようにして得られた10個の半導体装置26について、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態を確認し、接続不良数をカウントして表1にまとめた。さらに、トランスファーモールド成形を用い外装樹脂15にて外装を行い半導体装置26が完成した。完成した10個の半導体装置26について、動作確認を行うことによって固体電解コンデンサ25の破壊の有無を確認し、その結果を表1にまとめた。
【0035】
尚、表1に示した結果の判定基準として、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態の接続不良とは、半導体チップ11の陽極部および陰極部、QFPタイプのリードフレーム13の電源リード23およびGNDリード24、固体電解コンデンサ25に用いた基板20のワイヤボンディングに用いる陽極パッド21および陰極パッド22のワイヤボンディングの接続部における何れか1つでも、未接続および断線が発生した場合とした。また、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7との接続状態の接続不良とは、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7の超音波溶接した接続部が、破壊され剥がれが発生した場合および亀裂が発生した場合とした。さらに、半導体装置26の動作不良とは、半導体チップ11が半導体装置26に内蔵した固体電解コンデンサ25の効果を有することなく動作した場合および半導体チップ11が動作しない場合とした。
【0036】
(比較例1)
比較例1について、図6、図7を参照して説明する。固体電解コンデンサ25の製造工程は実施例1に示したものと陽極板の接続を除き同様である。陽極板7は厚さ15μmの銅めっき、厚さ3μmのニッケルめっきおよび厚み0.1μmの金めっきが施された銅母材の陽極板7を固体電解コンデンサ25の陽極部1に超音波溶接した。尚、超音波溶接した面積は、陽極板7の平面積の全面を陽極部1と溶接した。
【0037】
次に、実施例1と同様に固体電解コンデンサ25の陰極部の銀ペースト層6上に導電性接着銀8をディスペンサーにて塗布した後、ニッケルおよび金めっきが施された無酸素銅母材で縦2.0mm、横1.0mm、厚さ43μmの金属箔9を搭載し硬化した。さらに、トランスファーモールド成形で、ワイヤボンディングで金のボンディングワイヤ14が接続される側の陽極板7と金属箔9を除き、外装樹脂15aで外装を行った。
【0038】
42合金からなるQFPタイプのリードフレーム13のアイランド12上にディスペンサーにてエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を塗布し、固体電解コンデンサ25の外装樹脂15a面を下面として搭載し硬化した。
【0039】
さらに、固体電解コンデンサ25の陰極部に搭載した金属箔9上にディスペンサーでエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を塗布し半導体チップ11を搭載した。しかる後、固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7と半導体チップ11の陽極部をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。陽極板7のボンディングワイヤの接続部は垂直方向に投影したときに直下に固体電解コンデンサ25の陽極部1と陽極板7との接続部がある位置関係であった。
【0040】
また、固体電解コンデンサ25の陽極部1に溶接された陽極板7とQFPタイプのリードフレーム13の電源リード23をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。陽極板7のボンディングワイヤの接続部は垂直方向に投影したときに直下に固体電解コンデンサ25の陽極部1と陽極板7との接続部がある位置関係であった。
【0041】
その後、実施例1と同様の条件で半導体装置26を完成させた。ここで、このようにして得られた10個の半導体装置26について、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態を確認し、接続不良数をカウントして表1にまとめた。さらに、トランスファーモールド成形を用い外装樹脂15にて外装を行い半導体装置26が完成した。完成した10個の半導体装置26について、動作確認を行うことによって固体電解コンデンサ25の破壊の有無を確認し、その結果を表1にまとめた。
【0042】
尚、表1に示した結果の判定基準として、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態の接続不良とは、半導体チップ11の陽極部および陰極部、QFPタイプのリードフレーム13の電源リード23およびGNDリード24、固体電解コンデンサ25の陽極板7および金属箔9のワイヤボンディングの接続部における何れか1つでも、未接続および断線が発生した場合とした。また、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7との接続状態の接続不良とは、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7の超音波溶接した接続部が、破壊され剥がれが発生した場合および亀裂が発生した場合とした。さらに、半導体装置26の動作不良とは、半導体チップ11が半導体装置26に内蔵した固体電解コンデンサ25の効果を有することなく動作した場合および半導体チップ11が動作しない場合とした。
【0043】
(比較例2)
比較例2について、図8、図9を参照して説明する。実施例2と同様に固体電解コンデンサ25を作製し、基板20を固体電解コンデンサ25上に搭載した。その後、基板20の固体電解コンデンサ25搭載面にスクリーン印刷法で導電性接着銀8を塗布した後、固体電解コンデンサ25の陽極板7が溶接されている側を搭載し硬化した。さらに、トランスファーモールド成形で、半導体チップ11搭載面側のワイヤボンディングに用いる各2個の陽極パッド21および陰極パッド22を除き、外装樹脂15aで外装を行った。
【0044】
次に42合金からなるQFPタイプのリードフレーム13のアイランド12上にディスペンサーにてエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10を塗布し、固体電解コンデンサ25の外装樹脂15a面を下面として搭載し硬化した。さらに、基板20上にエポキシ樹脂を主成分とする非導電性接着剤10用いて半導体チップ11を搭載した。
【0045】
しかる後、固体電解コンデンサ25の搭載された基板20のワイヤボンディングに用いる陽極パッド21と半導体チップ11の陽極部をワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。陽極パッド21のワイヤボンディング箇所は、垂直方向に投影したときに固体電解コンデンサ25の陽極搭載部18に導電性接着銀8で接続された陽極板7が直下となる箇所、即ち陽極パッド21の中央部付近で金のボンディングワイヤ14で接続した。また、基板20のワイヤボンディングに用いる陽極パッド21とQFPタイプのリードフレーム13の電源リード23とをワイヤボンディングにて金のボンディングワイヤ14で接続した。陽極パッド21のワイヤボンディング箇所は垂直方向に投影したときに固体電解コンデンサ25の陽極搭載部18に導電性接着銀8で接続された陽極板7の直下となる箇所、即ち陽極パッド21の中央部付近で金のボンディングワイヤ14で接続した。
【0046】
その後、実施例2と同様の条件で半導体装置26を完成させた。ここで、このようにして得られた10個の半導体装置26について、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態を確認し、接続不良数をカウントして表1にまとめた。さらに、トランスファーモールド成形を用い外装樹脂15にて外装を行い半導体装置26が完成した。完成した10個の半導体装置26について、動作確認を行うことによって固体電解コンデンサ25の破壊の有無を確認し、その結果を表1にまとめた。
【0047】
尚、表1に示した結果の判定基準として、固体電解コンデンサとワイヤボンディングとの接続状態の接続不良とは、半導体チップ11の陽極部および陰極部、QFPタイプのリードフレーム13の電源リード23およびGNDリード24、固体電解コンデンサ25に用いた基板20のワイヤボンディングに用いる陽極パッド21および陰極パッド22のワイヤボンディングの接続部における何れか1つでも、未接続および断線が発生した場合とした。また、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7との接続状態の接続不良とは、固体電解コンデンサの陽極部1と陽極板7の超音波溶接した接続部が、破壊され剥がれが発生した場合および亀裂が発生した場合とした。さらに、半導体装置26の動作不良とは、半導体チップ11が半導体装置26に内蔵した固体電解コンデンサ25の効果を有することなく動作した場合および半導体チップ11が動作しない場合とした。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例1および実施例2共に、ワイヤボンディングでのボンディングワイヤによる固体電解コンデンサ25の導通状態は10個中10個が接続良好であった。さらに、完成した半導体装置の動作確認を行ったところ10個中10個が正常に動作した。したがって、固体電解コンデンサ25の陽極部と陽極板の接続部が接続良好であり、前記接続部は破壊されていないことが分かる。
【0050】
しかしながら、比較例1では、ワイヤボンディングでのボンディングワイヤ時に加重や衝撃が加わり固体電解コンデンサ25の導通状態は10個中4個が接続良好であり、残りの6個は接続不良が起こった。また、完成した半導体装置10個の動作確認を行ったところ10個中6個とも動作しなかった。また、比較例2では、ワイヤボンディングでのボンディングワイヤ時に加重や衝撃が加わり固体電解コンデンサ25の導通状態は10個中6個が接続良好であり、残りの4個は接続不良が起こった。また、完成した半導体装置10個の動作確認を行ったところ10個中4個とも動作しなかった
【0051】
故に、ボンディングワイヤの接続状態は良好であるが、ワイヤボンディング時の直接的に加わる応力によって固体電解コンデンサ25の陽極部と陽極板の接続が破壊されていることが判った。
【0052】
また、半導体装置の内部であっても、半導体チップの回路により一層近い部分にコンデンサを配置することが可能となり電気特性を向上することが出来た。さらには、実施例2より実施例1の方が固体電解コンデンサと半導体チップまでの配線長が短く電気特性上優位であった。
【符号の説明】
【0053】
1 陽極部
2 レジスト帯
3 誘電体酸化皮膜層
4 導電性高分子層
5 グラファイト層
6 銀ペースト層
7 陽極板
8 導電性接着銀
9 金属箔
9a 金属箔(基板内)
10 非導電性接着剤
11 半導体チップ
12 アイランド
13 リードフレーム
14 ボンディングワイヤ
15 外装樹脂
15a 外装樹脂(固体電解コンデンサ単体)
16 陽極ビア
17 陰極ビア
18 陽極搭載部
19 陰極搭載部
20 基板
21 陽極パッド
22 陰極パッド
23 電源リード
24 GNDリード
25 固体電解コンデンサ
26 半導体装置
27 ソルダーレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイランドと電源リードとGNDリードとを有するリードフレームと、前記アイランドに搭載されたシート状の固体電解コンデンサと、前記固体電解コンデンサ上に搭載された、平面積が前記固体電解コンデンサより小さい半導体チップと、前記半導体チップと前記固体電解コンデンサ、及び前記固体電解コンデンサと前記電源リードまたは前記GNDリードとを接続するボンディングワイヤとを有し、前記固体電解コンデンサの陽極部に溶接された陽極板の前記陽極部との接続部と前記陽極板の前記ボンディングワイヤとの接続部を有し、前記陽極板の前記陽極部との接続部と前記陽極板の前記ボンディングワイヤとの接続部が垂直方向に投影したときに、重ならない位置にあることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
アイランドと電源リードとGNDリードとを有するリードフレームと、前記アイランドに搭載されたシート状の固体電解コンデンサと、前記固体電解コンデンサ上に基板を介して搭載された、平面積が前記固体電解コンデンサより小さい半導体チップと、前記半導体チップと前記基板を介して前記固体電解コンデンサ、及び前記固体電解コンデンサと前記電源リードまたは前記GNDリードとを接続するボンディングワイヤとを有し、前記固体電解コンデンサの陽極部に溶接された陽極板の前記陽極部との接続部と、前記基板の前記ボンディングワイヤとの接続部を有し、前記陽極板の前記陽極部との接続部と前記基板の前記ボンディングワイヤとの接続部が垂直方向に投影したときに、重ならない位置にあることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記陽極板は、母材が銅を主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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