説明

半導体製品評価装置

【課題】金属リボンを用いず簡単な操作で迅速に段取りすることができ、また精度の良い特性評価を行うことができる半導体製品評価装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体製品1の電極露呈位置に直接接続されるコネクタ10、およびコネクタ10と評価装置本体との間に延びるケーブル18とを有するコネクタケーブル20を備え、コネクタ10は、半導体製品1の入力電極2と接触位置にて直接接触する信号端子11と、接触位置至近の位置で半導体製品1と接触して接地するナット状部材(接地端子)12とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体製品評価装置に関し、特に、パッケージ電極部にリードを持たないリードレスパッケージで覆われた半導体製品の電気特性を評価する評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリードレスパッケージで覆われた半導体製品の電気特性評価を行う評価装置は、マイクロストリップラインが表面に形成されたセラミック基板と半導体製品の入出力電極とを金属リボンによってボンディングし、セラミック基板端に接続されたコネクタから電気信号を入出力する構成となっている。このように構成された半導体製品評価装置においては、複数の半導体製品の電気特性を評価する際、各半導体製品を評価装置本体に収容する度毎に、パッケージ電極とセラミック基板上に形成されたマイクロストリップラインとを金属リボンによってボンディングしなければならず、このような段取り作業に多大な時間を要するという問題点があった。また、セラミック基板上に形成されたマイクロストリップラインに多数回金属リボンをボンディングするため、このマイクロストリップラインからなる電極の電気的特性が次第に変化し、得られる評価値(電気特性値)の信頼性が低下し、精度良く特性評価を行うことができなくなるという問題点があった。
【0003】
上記問題を解決する手段として、従来、セラミック基板のマイクロストリップラインに金属リボンを接合しておき、金属リボンと半導体製品の電極部を押し当てることで、各半導体製品ごとに金属リボンのボンディングを行わない構成が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−3412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記金属リボンを用いる技術によれば、金属リボンの耐久性が低いため、複数の半導体製品の電気特性を評価する際には金属リボンの付け直しが必要となり、先の技術と同様に精度良く特性評価を行うことができなくなるという問題点があった。また、金属リボンを半導体製品の電極部へ取り付ける際の位置合わせが難しく、精度良く特性評価を行うことができないという問題点もあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、金属リボンの付け直しを必要とすることなく簡単な操作で迅速に段取りすることができ、また精度の良い特性評価を行うことができる半導体製品評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の半導体製品評価装置は、リードレスパッケージで覆われた半導体製品の入力電極に電気信号を入力して半導体製品を動作させ、半導体製品からの出力信号を半導体製品の出力電極から取り出すことで半導体製品の電気特性を評価する半導体製品評価装置において、半導体製品の電極露呈位置に直接接続されるコネクタ、およびコネクタと評価装置本体との間に延びるケーブルとを有するコネクタケーブルを備え、コネクタは、半導体製品の入力電極または出力電極と接触位置にて直接接触する信号端子と、接触位置至近の位置で半導体製品と接触して接地する接地端子とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタは、半導体製品の入力電極または出力電極と接触位置にて直接接触する信号端子と、接触位置至近の位置で半導体製品と接触して接地する接地端子とを有しているので、金属リボンの付け直しを必要とすることなく簡単な操作で迅速に段取りすることができ、また精度の良い特性評価を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態1の評価対象である半導体製品と待機位置にあるコネクタケーブルの斜視図である。
【図2】図2は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態1の上面図である。
【図3】図3は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態1の一部を断面とする側面図である。
【図4】図4は、半導体製品の出力端子とコネクタケーブルの接触位置での接合状態を示す詳細図である。
【図5】図5は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態2のコネクタとケーブルの接合の様子を示す図である。
【図6】図6は、図5のコネクタの一部を断面とする側面図である。
【図7】図7は、コネクタが半導体製品に接触したときの信号端子の撓む様子を示す一部を断面とする側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態1の評価対象である半導体製品と待機位置にあるコネクタケーブルの斜視図である。図2は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態1の上面図である。図3は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態1の一部を断面とする側面図である。図4は、半導体製品の出力端子とコネクタケーブルの接触位置での接合状態を示す詳細図である。なお、図2において、図中左側のナット状部材12は断面にて示している。また、図3において、評価装置本体30の図中中心から左側は断面にて示している。
【0012】
図1において、評価対象である半導体製品1は、パッケージ電極部にリードを持たないリードレスパッケージタイプの半導体製品であり、半導体を収納するパッケージ1aの両端に入力電極2と出力電極3が露呈する凸部が形成された構造である。
【0013】
図2および図3において、半導体製品評価装置80は、装着された半導体製品1の入力電極2に電気信号を入力して半導体製品1を動作させ、半導体製品1からの出力信号を半導体製品1の出力電極3から取り出すことで半導体製品1の電気特性を評価する。半導体製品評価装置80は、評価装置本体30とその上部に設けられた2本のコネクタケーブル20とから構成されている。
【0014】
評価装置本体30の上面中央部には、図1の半導体製品1を位置合わせする溝31が加工されており、この溝31上に半導体製品1を載置し、2枚の固定金具34で半導体製品1の両端を挟み込み、狭持した状態で固定金具34をねじ35で締結することにより、半導体製品1が所定の位置に固定されている。溝31、固定金具34、ねじ35は、半導体製品1を評価装置本体30の上面中央に位置決め固定する位置決め固定手段を構成している。
【0015】
2本のコネクタケーブル20は、評価装置本体30の両端部から中央に向かって延びるケーブル18と、このケーブル18の先端に設けられ半導体製品1の電極露呈位置に直接接続されるコネクタ10とから構成されている。2本のコネクタケーブル20は、中央の半導体製品1に対して左右対称の構造を成している。なお、図2および図3において、右側のコネクタケーブル20は、半導体製品1の入力電極2に接続され、左側のコネクタケーブル20は、半導体製品1の出力電極3に接続されるが、両者は同様の構造を成しており、以降、一方のコネクタケーブル20について説明するが他方も同様である。
【0016】
ケーブル18は、芯線18aと外皮18bとから構成されている(図1)。外皮18bは、金属材料から作製されバネ性と導電性を有している。ケーブル18は、評価装置本体30の内部側に延びる一端をアースされている。そして、ケーブル18は、このバネ性を有する外皮18bの作用により、例えば軸に沿って湾曲させるように曲げても元に戻るバネ性を持っている。
【0017】
コネクタ10は、半導体製品1の入力電極2または出力電極3と直接接触する平板状の信号端子11を有している(図1)。信号端子11は、ケーブル18の端部から突出した芯線18aを平板状に加工したものである。コネクタ10において、信号端子11の周囲には、偏平円筒状のナット状部材12が、信号端子11を取り囲むようにして配設されている。コネクタ10が設けられているケーブル18の先端部の外皮18bに雄ねじ13が螺刻されており、ナット状部材12は、この雄ねじ13とねじ係合し、回転することで、図1および図4の矢印Bのように、ケーブル18の軸方向に進退動するようにされている。ナット状部材12は、外皮18bと電気的に接続し接地端子となっている。このような構造のナット状部材12は、半導体製品1の電気特性の評価を行う際、回転させて半導体製品1側に移動させることにより、半導体製品1の側面に当接させて接地する。なお、図2において、半導体製品1の出力電極3と接続する側(図中左側)のナット状部材12は断面にて示している。
【0018】
評価装置本体30は、上部に2本のケーブル押し上げ棒(可動手段)37を有している。このケーブル押し上げ棒37は、図4の矢印Aのように、上下方向に移動可能に埋め込まれ、上端は評価装置本体30の上面から突出している。ケーブル押し上げ棒37の下部には、バネ37aが縮められた状態で収納されており、ケーブル押し上げ棒37を上方に付勢している。2本のケーブル18は、ケーブル押し上げ棒37の上部を貫通するようにしてケーブル押し上げ棒37に支持されている。これにより、コネクタ10は、常時(外部から力が加わってない状態)は半導体製品1から所定距離だけ上方に離れた待機位置に位置している(図1)。ケーブル押し上げ棒37は、図示しない押し下げ機構、あるいは操作者の手動操作により押し下げられる。
【0019】
ケーブル押し上げ棒37をバネ37aの付勢力に抗して押し下げると、コネクタ10は、図1の待機位置から矢印Aのように、信号端子11が入力電極2と接触する接触位置に移動する(図4は、信号端子11が出力電極3と接触する接触位置を示している)。すなわち、ケーブル押し上げ棒37は、コネクタ10を待機位置と接触位置との間で移動させる。そして、コネクタ10が接触位置に移動した際には、ケーブル押し上げ棒37は、ケーブル18のバネ性により、信号端子11を入力電極2または出力電極3に、所定の押圧力にて接触させる。なお、図3において、半導体製品1の出力電極3と接続する側(図中左側)のコネクタ10は待機位置にある状態を示している。一方、半導体製品1の入力電極2と接続する側(図中右側)のコネクタ10は接触位置にある状態を示している。
【0020】
以上のように本実施の形態の半導体製品評価装置によれば、ケーブル押し上げ棒37を押し下げてコネクタ10を接触位置に移動させることで、信号端子11を入力電極2(出力電極3)と接触させることができるため、簡単な操作で安定した電気評価を行うことができるという効果がある。この時、ケーブル18はバネ性の金属材料からなる外皮で覆われているため、コネクタケーブル20を可動しても変形や破損を発生することは無く、長期的に安定した電気特性評価を行うことができる。なお、半導体製品1の入出力電極2,3と信号端子11とを接続するだけでは接地状態が不安定なため、発振と呼ばれる電波の漏れこみによる電気的損失が大きくなり電気特性評価をする状態として最適なものではない。上記発振を抑制するためには、電気信号の入出力接続部の直近で接地するのが最も効果が高い。そこで、本実施の形態では、ケーブル18の外皮へ加工した雄ねじ13に螺合させたナット状部材12を回転させて半導体製品1の入出力電極側面に接触させて接地することで、従来よりも入出力接続部の直近で、しかもねじによる加圧により確実に接地することが可能となり、信頼性の高い電気特性評価ができるという効果もある。
【0021】
実施の形態2.
図5は、この発明にかかる半導体製品評価装置の実施の形態2のコネクタとケーブルの接合の様子を示す図である。図6は、図5のコネクタの一部を断面とする側面図である。図7は、コネクタが半導体製品に接触したときの信号端子の撓む様子を示す一部を断面とする側面図である。本実施の形態のコネクタケーブル20Bにおいては、ケーブル18の先端に実施の形態1のコネクタ10に替えて、半導体製品1と接続する三又構造のコネクタ40が設けられている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0022】
コネクタ40は、ケーブル18に装着されるソケットタイプのコネクタであり、ケーブル18の先端に嵌め込まれる樹脂製のコネクタ本体41と、コネクタ本体41のケーブル18と反対側中央から突出する可撓性信号端子(信号端子)43と、この可撓性信号端子43の両側部にて可撓性信号端子43と平行に突出する2つの高剛性接地端子(接地端子)45から構成されている。
【0023】
可撓性信号端子43は、薄板金属片を所定の角度折り曲げて作製され可撓性を有しており、ケーブル18の芯線18aと電気的に接続されている。一方、高剛性接地端子45は、肉厚の金属板で作製され高い剛性を有し、ケーブル18の金属製の外皮18bと電気的に接続されている。可撓性信号端子43は、高剛性接地端子45は、前方および下方に所定長さだけ突出している。
【0024】
コネクタ40は、ケーブル押し上げ棒37を押し下げることにより、待機位置から接触位置に移動すると、まず可撓性信号端子43が入力電極2と接触し、その後、図7に示すように、可撓性信号端子43が撓んで高剛性接地端子45が半導体製品1の上面に当接する。したがって、高剛性接地端子45が半導体製品1に接触するとき、可撓性信号端子43は自らの弾性により所定の押圧力にて入力電極2と接触する。また、高剛性接地端子45は、可撓性信号端子43の接触位置の至近の位置で接地する。出力電極3側においても同様である。
【0025】
このような構成の半導体製品評価装置によれば、ケーブル18の先端に電気信号の入出力端子とその至近による接地端子を兼ねた三又状のコネクタ40を取り付けたので、ケーブル押し上げ棒37を押し下げてコネクタ40を接触位置に移動させるという簡単な操作により、可撓性信号端子43を入力電極2(出力電極3)と接触させることができるとともに電気信号の入出力接続部の直近で接地ができるため、実施の形態1と同様の効果が得られ、操作は実施の形態1のものよりさらに簡単なものとなる。これにより、実施の形態1のものより、更に作業性の高い半導体製品評価装置を得ることができるという効果がある。また、可撓性信号端子43は、可撓性を有しているため連続的な接続を実施しても長期的な劣化が少なく、両端の剛性の高い高剛性接地端子45が可撓性信号端子43の過度な変形負荷を抑制できるため、長期的に安定した電気評価を実施することが可能になるとともに、電気接続端子の直近へ接地端子を配置できるため、更に信頼性の高い半導体製品評価装置を得ることができるという効果もある。また、三又状のコネクタ40は、ケーブル18の先端にはめ込まれるだけなので、万が一破損した場合においても交換が容易であり、整備性に優れた半導体製品評価装置を得ることができるという効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、この発明にかかる半導体製品評価装置は、パッケージ電極部にリードを持たないリードレスパッケージで覆われた半導体製品の電気特性を評価する半導体製品評価装置に適している。
【符号の説明】
【0027】
1 半導体製品
1a パッケージ
2 入力電極
3 出力電極
10 コネクタ
11 信号端子
12 ナット状部材(接地端子)
18 ケーブル
18a 芯線
18b 外皮
20,20B コネクタケーブル
30 評価装置本体
31 溝
34 固定金具
35 ねじ
37 ケーブル押し上げ棒
37a バネ
40 コネクタ
41 コネクタ本体
43 可撓性信号端子(信号端子)
45 高剛性接地端子(接地端子)
80 半導体製品評価装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードレスパッケージで覆われた半導体製品の入力電極に電気信号を入力して前記半導体製品を動作させ、前記半導体製品からの出力信号を前記半導体製品の出力電極から取り出すことで前記半導体製品の電気特性を評価する半導体製品評価装置において、
前記半導体製品の電極露呈位置に直接接続されるコネクタ、および前記コネクタと評価装置本体との間に延びるケーブルとを有するコネクタケーブルを備え、
前記コネクタは、前記半導体製品の前記入力電極または前記出力電極と接触位置にて直接接触する信号端子と、前記接触位置至近の位置で前記半導体製品と接触して接地する接地端子とを有している
ことを特徴とする半導体製品評価装置。
【請求項2】
前記ケーブルがバネ性を持ち、
前記ケーブルを支持し、前記コネクタを前記信号端子の前記接触位置と前記半導体製品から離れた待機位置との間で移動させる可動手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体製品評価装置。
【請求項3】
前記可動手段は、前記信号端子を前記入力電極または前記出力電極に、所定の押圧力にて接触させる
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体製品評価装置。
【請求項4】
前記接地端子は、前記信号端子の周囲を囲むように配設され、前記ケーブル端部の外周部に形成された雄ねじとねじ係合し、回転することで、前記ケーブルの軸方向に進退動するナット状部材であり、前記半導体製品の電気特性の評価が行われるとき、前記半導体製品側に移動して前記半導体製品に当接する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体製品評価装置。
【請求項5】
前記コネクタは、前記ケーブルの端部に固定されたコネクタ本体を有し、
前記信号端子は、前記コネクタ本体から前記ケーブルと反対側に延びる可撓性を有する可撓性信号端子であり、
前記接地端子は、前記コネクタ本体の前記信号端子の両側部に前記信号端子と平行に突出する剛性の高い高剛性接地端子であり、
前記可撓性信号端子は、前記待機位置から前記接触位置に向かう方向に、前記高剛性接地端子よりも突出している
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体製品評価装置。
【請求項6】
前記コネクタ本体は、前記ケーブルの端部にはめ込まれている
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体製品評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−226815(P2011−226815A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94219(P2010−94219)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】