説明

半導体集積回路およびその動作方法

【課題】低コストの電磁波による情報受信を可能とすること。
【解決手段】半導体集積回路ICは、プロセッサ1と第1の磁気ランダムアクセスメモリ3と第2の磁気ランダムアクセスメモリ4とを具備する。第1のMRAMメモリ3は不揮発性メモリとして機能して、プロセッサ1は不揮発性メモリの第1のMRAMメモリ3に格納される動作プログラムを実行する。第2のMRAMメモリ4の記憶情報が外部磁界により反転して、第2のMRAMメモリ4は磁気受信アンテナとして機能する。外部磁界の影響を軽減する磁気シールド6が不揮発性メモリとして機能する第1のMRAMメモリ3の上部に形成されるのに対して、磁気シールド6が磁気受信アンテナとして機能する第2のMRAMメモリ4の上部には形成されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を内蔵する半導体集積回路およびその動作方法に関し、特に低コストの電磁波による情報受信を可能とするのに有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、システム・オン・チップ(SoC:System On Chip)と呼ばれる大規模半導体集積回路(LSI)に搭載されるメモリとして、磁気メモリデバイス、すなわち磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM:Magnetic Random Access Memory)が注目されている。MRAMはSRAMのように電源遮断によってデータが消失しないと言う利点を有するだけではなく、更にフラッシュメモリ等の電気的に書き換え可能で電気的に消去可能な半導体不揮発性メモリと比較してデータ書き換え時間が短いと言う利点を有している。
【0003】
下記特許文献1には、磁性膜により構成された固定層(ピン層)と磁性膜により構成された自由層(フリー層)との間に極めて薄いトンネル絶縁膜が形成された磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)を具備するMRAMとして構成された磁気メモリデバイスが記載されている。
【0004】
磁気メモリデバイスの磁気トンネル接合(MTJ)では、固定層(ピン層)の磁化方向は一定の方向に固定される一方、自由層(フリー層)の磁化方向は外部から制御可能となっている。固定層(ピン層)の磁化方向と自由層(フリー層)の磁化方向とが同一方向である場合には、トンネル絶縁膜には大きなトンネル電流が流れる。固定層(ピン層)の磁化方向と自由層(フリー層)の磁化方向とが反対方向である場合には、トンネル絶縁膜のトンネル電流は同一方向の場合よりも減少する。
【0005】
下記特許文献2には、磁気ランダムアクセスメモリMRAMと中央処理ユニットCPUと信号処理回路とを具備してコードレス電話システムに搭載されるベースバンドブロックが同公報の図38に記載されている。アンテナで受信された電波はアナログフロントエンドを介してアナログ・デジタル変換回路に入力されて、アナログ・デジタル変換回路の出力信号はベースバンドブロックの信号処理回路に供給され音声処理と画像処理される。ベースバンドブロックの磁気ランダムアクセスメモリMRAMにはダイヤル番号や短縮番号等の情報が書き込まれたり、逆に読み出されたり、信号処理回路から入力された画像信号を一時的に記憶して液晶ディスプレイに出力するバッファとしても磁気ランダムアクセスメモリMRAMが使用される。
【0006】
下記特許文献3には、リーダ・ライタからのサーチ時の無線信号をRFIDタグアンテナにより受信して、受信した無線信号の強度に応じて単純な変調方式でRFIDタグアンテナの負荷インピーダンスを変化するRFIDタグが記載されている。
【0007】
下記特許文献4の図2には、非接触ICカードの表面カバーと裏面カバーとの間にはこれらのカバーと略同一のサイズを有するループコイルのアンテナと比較的小さな非接触ICチップとが配置されることが記載されている。
【0008】
下記特許文献5には、磁気ランダムアクセスメモリのチップ上面あるいはチップ下面に高透磁率磁性材を形成して擾乱磁界の影響を軽減することが記載されている。
【0009】
下記非特許文献1には、トランスの2次側コイル電圧の出力電圧の情報をフォト・カプラ内部の発光素子であるフォト・ダイオードに印加して、フォト・カプラ内部の受光素子であるフォト・トランジスタの受光信号を制御ICとゲート・ドライバとを介してトランスの1次側コイルを駆動するMOSFETのゲートに供給するスイッチング電源回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−218649号 公報
【特許文献2】特開2002−222589号 公報
【特許文献3】特開2011−60086号 公報
【特許文献4】特開2011−60121号 公報
【特許文献5】特開2004−103071号 公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】間瀬 勝好 「中高耐圧MOSFETの選び方」 トランジスタ技術 2010年9月号、pp.90−91.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者は本発明に先立って、内蔵メモリとしてのMRAMを搭載したシステム・オン・チップ(SoC)と呼ばれる大規模半導体集積回路(LSI)の開発に従事した。
【0013】
この開発において、本発明に先立って本発明者は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の磁気トンネル接合(MTJ)の自由層(フリー層)の磁化方向が外部磁界の影響によって変化すると言う現象に着目した。
【0014】
すなわち、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を内蔵したシステム・オン・チップ(SoC)と呼ばれる大規模半導体集積回路(LSI)が不正アクセスのアタックを受ける際に、磁界印加によってMRAMメモリセルの磁気トンネル接合(MTJ)の自由層(フリー層)の磁化方向が変化して、MRAMメモリセルの記憶情報が反転すると言う問題が本発明に先立って本発明者の検討によって明らかとされた。
【0015】
一方、上述した背景技術の欄で説明したように、一般的には、電磁波による情報伝達は無線周波数信号を受信するために比較的大きなサイズのアンテナや高周波アナログフロントエンドを必要とし、また光による情報伝達はフォト・カプラと光ファイバを必要とするものであった。
【0016】
その結果、システム・オン・チップ(SoC)等の大規模半導体集積回路(LSI)で、近距離の非接触通信のための電磁波による情報伝達を実現する際に、製品価格を低減することが困難なものであった。
【0017】
一方、電源遮断でもデータ保存が可能でありデータ書き換え時間が短いと言う利点を有する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)が、システム・オン・チップ(SoC)等の大規模半導体集積回路(LSI)の分野で近年注目されてきた。
【0018】
本発明者は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を半導体集積回路の高速・不揮発性メモリとして使用するだけではなく、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の記憶情報が外部磁界の影響によって反転すると言う欠点を電磁波による情報受信に転用すると言う着想に到達したものである。
【0019】
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等による検討の結果、なされたものである。
【0020】
従って、本発明の目的とするところは、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を内蔵メモリとして具備する半導体集積回路において、低コストの電磁波による情報受信を可能とすることにある。
【0021】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0023】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態は、プロセッサ(1)と磁気ランダムアクセスメモリ(3、4)とを具備する半導体集積回路(IC)である。
【0024】
前記磁気ランダムアクセスメモリ(3、4)は、第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)と第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)とを含む。
【0025】
前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)は不揮発性メモリとして機能して、前記プロセッサ(1)は前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)に格納される動作プログラムを実行する。
【0026】
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)のメモリセルアレーの記憶情報が前記メモリセルアレーの外部の外部磁界によって反転することによって、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)は磁気受信アンテナとして機能するものである。
【0027】
前記外部磁界の影響を軽減するための磁気シールド(6)が前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)の上部に形成されているのに対して、前記磁気シールド(6)が前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)の上部では形成されていないことを特徴とするものである(図2参照)。
【発明の効果】
【0028】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0029】
すなわち、本発明によれば、低コストの電磁波による情報受信を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICのチップレイアウトを示す図である。
【図3】図3は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICが送信システム20からの電磁波による送信情報を受信する様子を示す図である。
【図4】図4は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICが送信システム20からの電磁波による送信情報を受信する他の様子を示す図である。
【図5】図5は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルMRAMCellの磁気トンネル接合(MTJ)の構造を示す図である。
【図6】図6は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルMRAMCellの構造を示す図である。
【図7】図7は、図6に示した本発明の実施の形態1による磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のメモリセルMRAMCellの構造を示すための鳥瞰図である。
【図8】図8は、図7の鳥瞰図に示した中間層配線の書き込みワード線WWLと上層配線のビット線BLとの交点に配置されたMRAMセルの磁気トンネル接合MTJの自由層Freeへのワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLの影響を示す鳥瞰図である。
【図9】図9は、図7と図8の鳥瞰図に示したワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLの磁場の大きさと磁化反転のしきい値の関係を示すアストロイド曲線を示す図である。
【図10】図10は、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルMRAMCellの構成を示す図である。
【図11】図11は、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに含まれた磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルアレー構成を示す図である。
【図12】図12は、図11に示す磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の一部のメモリセルMRAMCellの記憶情報(磁気トンネル接合(MTJ)の自由層の強磁性層の磁化方向)が、送信用導線7の長手方向に送信電流が流れることによる送信用導線7から生成される磁気によって反転する様子を示す図である。
【図13】図13は、図11に示す磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の多数のメモリセルMRAMCellの記憶情報(磁気トンネル接合(MTJ)の自由層の強磁性層の磁化方向)が、送信用導線7の長手方向に大きな送信電流が流れることによる送信用導線7から生成される強い磁気によって反転する様子を示す図である。
【図14】図14は、図4に示した送信システム20の送信ドライバ25によって通過電流が制御される送信用導線7が図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの半導体チップを封止するための樹脂封止パッケージ8の内部に内蔵される様子を示す図である。
【図15】図15は、図4に示した送信システム20の送信ドライバ25によって通過電流が制御される送信用導線7が図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの半導体チップを封止するための樹脂封止パッケージ8の内部に内蔵される他の様子を示す図である。
【図16】図16は、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの応用としての本発明の実施の形態2によるスイッチング電源回路の構成を示す図である。
【図17】図17は、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICのその他の応用としての本発明の実施の形態3による受信システム10が送信システム20から近距離の非接触通信の送信データを受信する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
1.実施の形態の概要
まず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号は、それが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0032】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態は、プロセッサ(1)と磁気ランダムアクセスメモリ(3、4)とを具備する半導体集積回路(IC)である。
【0033】
前記磁気ランダムアクセスメモリ(3、4)は、第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)と第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)とを含む。
【0034】
前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)は不揮発性メモリとして機能して、前記プロセッサ(1)は前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)のメモリセルアレーに格納される動作プログラムを実行する。
【0035】
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)のメモリセルアレーの記憶情報が前記メモリセルアレーの外部の外部磁界によって反転することによって、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)は磁気受信アンテナとして機能するものである。
【0036】
前記外部磁界の影響を軽減するための磁気シールド(6)が前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)の上部に形成されているのに対して、前記磁気シールド(6)が前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)の上部では形成されていないことを特徴とするものである(図2参照)。
【0037】
前記実施の形態によれば、低コストの電磁波による情報受信を可能とすることができる。
【0038】
好適な実施の形態では、前記磁気シールド(6)は、高透磁率磁性材によって形成されたことを特徴とするものである。
【0039】
他の好適な実施の形態による半導体集積回路(IC)は、前記プロセッサ(1)と前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)と前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)とに接続された内部バス(2)を更に具備する。
【0040】
前記プロセッサ(1)は、前記内部バス(2)を介して、前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)の磁気受信情報を読み出すことを特徴とするものである(図1参照)。
【0041】
更に他の好適な実施の形態では、前記不揮発性メモリとして機能する第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)のメモリセルアレーと前記磁気受信アンテナとして機能する第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)のメモリセルアレーとに含まれる複数の各メモリセルは、自由層(1002)と、トンネル絶縁層(1001)と、固定層(1000)とからなる磁気トンネル接合(MTJ)を含むことを特徴とするものである(図10参照)。前記自由層(1002)は、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能であり、前記トンネル絶縁層(1001)は、絶縁層からなり、前記固定層(1000)は、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定される。
【0042】
より好適な実施の形態では、前記各メモリセルは、NチャネルMOSトランジスタ(TR)を更に含む。
【0043】
前記各メモリセルの前記NチャネルMOSトランジスタ(TR)のドレインとゲートとソースとは、前記各メモリセルの前記磁気トンネル接合(MTJ)の前記固定層(1000)と読み出しワード線(RWL)と接地電圧(Vss)とにそれぞれ接続されたことを特徴とするものである(図10参照)。
【0044】
他のより好適な実施の形態では、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)が前記磁気受信アンテナとして機能する以前において、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)の前記メモリセルアレーの前記複数のメモリセルは、所定の消去状態に初期化されることを特徴とするものである(図11参照)。
【0045】
更に他のより好適な実施の形態による半導体集積回路(IC)は、前記半導体集積回路(IC)の半導体チップを封止するための封止パッケージ(8)と前記封止パッケージ(8)の内部に内蔵された送信用導線(7)とを更に具備する。
【0046】
前記送信用導線(7)に通過電流が供給されることによって、前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)によって受信される磁界を前記送信用導線(7)が生成することを特徴とするものである(図14、図15参照)。
【0047】
別のより好適な実施の形態では、前記送信用導線(7)は、前記半導体集積回路(IC)の前記半導体チップに集積化された内部配線であることを特徴とするものである(図15参照)。
【0048】
更に別のより好適な実施の形態では、前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)の前記メモリセルアレーと前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)の前記メモリセルアレーとは、前記半導体集積回路(IC)の半導体製造プロセスによって同時に製造されたものであることを特徴とするものである。
【0049】
具体的な実施の形態では、前記半導体集積回路(IC)は、スイッチング電源回路のトランス(TR)の一次側コイルを駆動する駆動素子(Q1)の制御入力と前記トランス(TR)の二次側コイルに接続された2個の分圧抵抗(R1、R2)の共通接続点との間に接続可能とされる。
【0050】
前記2個の分圧抵抗(R1、R2)の前記共通接続点の分圧電圧に応答した前記通過電流が前記送信用導線(7)に供給されて、前記プロセッサ(1)は前記動作プログラムを実行することによって前記駆動素子(Q1)の前記制御入力に供給される制御信号を生成することを特徴とするものである(図16参照)。
【0051】
最も具体的な実施の形態では、近距離非接触通信によって送信システム(20)から送信される磁界を前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)が受信することによって、前記半導体集積回路(IC)は前記送信システム(20)からの前記近距離非接触通信による送信データを受信する受信システム(10)を構成することを特徴とするものである(図17参照)。
【0052】
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態は、プロセッサ(1)と磁気ランダムアクセスメモリ(3、4)とを具備する半導体集積回路(IC)の動作方法である。
【0053】
前記磁気ランダムアクセスメモリ(3、4)は、第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)と第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)とを含む。
【0054】
前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)は不揮発性メモリとして機能して、前記プロセッサ(1)は前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)のメモリセルアレーに格納される動作プログラムを実行する。
【0055】
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)のメモリセルアレーの記憶情報が前記メモリセルアレーの外部の外部磁界によって反転することによって、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)は磁気受信アンテナとして機能するものである。
【0056】
前記外部磁界の影響を軽減するための磁気シールド(6)が前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリ(3)の上部に形成されているのに対して、前記磁気シールド(6)が前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリ(4)の上部では形成されていないことを特徴とするものである(図2参照)。
【0057】
前記実施の形態によれば、低コストの電磁波による情報受信を可能とすることができる。
【0058】
2.実施の形態の詳細
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0059】
[実施の形態1]
《半導体集積回路の構成》
図1は、本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの構成を示す図である。
【0060】
図1に示す本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICは、プロセッサとしての中央処理ユニット(CPU)1と、内部バス2と、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と、磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4と、周辺機能モジュール5とを含んでいる。
【0061】
中央処理ユニット(CPU)1は高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3に格納される動作プログラムを実行する。中央処理ユニット(CPU)1の処理データは、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3に格納される。
【0062】
特に、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4は、その内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響によって反転することにより電磁波による情報受信を可能とするものである。従って、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の磁気受信情報は、内部バス2を介して中央処理ユニット(CPU)1によって読み出される。
【0063】
更に、中央処理ユニット(CPU)1は内部バス2を介して、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と、磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4と、周辺機能モジュール5とをアクセスする。
【0064】
また更に、受信システム10として構成された半導体集積回路ICから以下に説明する送信システム20に送信データを送信する必要な場合には、周辺機能モジュール5の入出力ポートを介しての電気配線による情報伝達が実行可能なものである。
【0065】
《半導体集積回路のチップレイアウト》
図2は、図1に示す本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICのチップレイアウトを示す図である。
【0066】
図2に示すように、本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの半導体チップの主表面上には、中央処理ユニット(CPU)1と、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と、磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4と、周辺機能モジュール5が配置されている。図2には示されていないが、中央処理ユニット(CPU)1と磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4と周辺機能モジュール5には、内部バス2が接続されている。
【0067】
《磁気シールド》
図2に示すように、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の記憶情報が半導体集積回路ICの外部磁界の影響によって反転することを防止するために、高透磁率磁性材によって形成された磁気シールド6が磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の上部に形成されている。更に磁気シールド6は、中央処理ユニット(CPU)1の上部および周辺機能モジュール5の一部の上部に形成されている。上部の磁気シールド6と下部の中央処理ユニット(CPU)1、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、周辺機能モジュール5との間には、電気的な分離のための層間絶縁膜が形成されている。
【0068】
しかし、図2に示したように、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4が磁気受信アンテナとして機能することによって磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響により反転することにより電磁波による情報受信を可能とするために、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の上部には磁気シールド6が形成されていない。
【0069】
《電磁波による情報受信》
図3は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICが送信システム20からの電磁波による送信情報を受信する様子を示す図である。
【0070】
図3に示したように、送信システム20は、送信制御回路21と送信駆動素子22と送信電源23と送信ループコイルアンテナ24とによって構成される。送信制御回路21の送信情報によって送信駆動素子22の電流が制御されるので、送信ループコイルアンテナ24から磁気が生成される。
【0071】
従って、図3によれば、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICでは、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響によって反転することにより電磁波による情報受信が可能となるものである。従って、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の磁気受信情報は、内部バス2を介して中央処理ユニット(CPU)1によって読み出される。
【0072】
特に、図3では送信システム20からの電磁波による送信情報の受信を開始する以前に、受信システム10として構成された半導体集積回路ICの中央処理ユニット(CPU)1は磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーの全てのMRAMセルの全ての記憶情報をハイレベル“1”にハイレベル・書き込みするか又はローレベル“0”にローレベル・書き込みする。従って、送信システム20からの電磁波による送信情報の受信を開始する以前に、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーの記憶情報が、初期化される。
【0073】
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の初期化の後に、図3の送信システム20の送信制御回路21の送信情報によって送信駆動素子22の電流が制御されて、送信ループコイルアンテナ24から磁気が生成される。
【0074】
受信システム10として構成された半導体集積回路ICでは、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響によって反転することにより電磁波による情報受信が可能となる。従って、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の磁気受信情報は、内部バス2を介して中央処理ユニット(CPU)1によって読み出される。
【0075】
電磁波による送信情報の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4から中央処理ユニット(CPU)1への読み出しの後に、中央処理ユニット(CPU)1は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の記憶情報の初期化を実行する。
【0076】
このようにして、図3によれば、受信システム10として構成された半導体集積回路ICの磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の記憶情報の初期化動作と送信システム20および受信システム10の送信受信動作とが反復されることによって、近距離の非接触通信のための電磁波による情報伝達を実現することが可能となる。
【0077】
図4は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICが送信システム20からの電磁波による送信情報を受信する他の様子を示す図である。
【0078】
図4に示したように、送信システム20は送信ドライバ25を含み、受信システム10として構成された半導体集積回路ICは送信用導線7を含んでいる。
【0079】
受信システム10として構成された半導体集積回路ICの送信用導線7の一端と他端とは、送信システム20の送信ドライバ25の出力端子と送信システム20の接地電位GNDに接続されている。
【0080】
図4に示した送信システム20の送信ドライバ25は送信情報に応答して受信システム10の半導体集積回路ICの送信用導線7に流れる電流を制御するので、送信用導線7から磁気が生成される。
【0081】
従って、図4によれば、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICでは、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響によって反転することにより電磁波による情報受信が可能となるものである。従って、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の磁気受信情報は、内部バス2を介して中央処理ユニット(CPU)1によって読み出される。
【0082】
特に、図4では送信システム20からの電磁波による送信情報の受信を開始する以前に、受信システム10として構成された半導体集積回路ICの中央処理ユニット(CPU)1は磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーの全てのMRAMセルの全ての記憶情報をハイレベル“1”にハイレベル・書き込みするか又はローレベル“0”にローレベル・書き込みする。従って、送信システム20からの電磁波による送信情報の受信を開始する以前に、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーの記憶情報が、初期化される。
【0083】
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の初期化の後に、図4の送信システム20の送信ドライバ25は送信情報に応答して受信システム10の半導体集積回路ICの送信用導線7に流れる電流を制御するので、送信用導線7から磁気が生成される。
【0084】
受信システム10として構成された半導体集積回路ICでは、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響によって反転することにより電磁波による情報受信が可能となる。従って、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の磁気受信情報は、内部バス2を介して中央処理ユニット(CPU)1によって読み出される。
【0085】
電磁波による送信情報の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4から中央処理ユニット(CPU)1への読み出しの後に、中央処理ユニット(CPU)1は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の記憶情報の初期化を実行する。
【0086】
このようにして、図4によれば、受信システム10として構成された半導体集積回路ICの磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の記憶情報の初期化動作と送信システム20および受信システム10の送信受信動作とが反復されることによって、送信システム20と受信システム10の間が電気的に絶縁分離された状態で電磁波による情報伝達を実現することが可能となる。
【0087】
《MRAMの磁気トンネル接合》
図5は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルMRAMCellの磁気トンネル接合(MTJ)の構造を示す図である。
【0088】
図5に示すように磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のメモリセルMRAMCellの磁気トンネル接合(MTJ)は、反強磁性層3000と強磁性層3001とからなる固定層Fixと、絶縁層3002からなるトンネル絶縁層Tunnelと、強磁性層3003からなる自由層Freeとから構成される。
【0089】
特に固定層Fixでは、隣接するスピンがそれぞれ反対方向を向いて配列され全体として磁気モーメントを持たない反強磁性層3000と隣接するスピンがそれぞれ同一の方向を向いて配列され全体として大きな磁気モーメントを持つ強磁性層3001との交換結合によって、強磁性層3001の磁化方向が強く固定されるものである。
【0090】
半導体集積回路ICの半導体製造プロセスにおいて最大強度の磁場を半導体集積回路ICの半導体ウェハーに供給することによって固定層Fixの強磁性層3001の磁化方向は一定の方向に固定される一方、自由層Freeの強磁性層3003の磁化方向は外部から制御可能となっている。固定層Fixの強磁性層3001の磁化方向と自由層Freeの強磁性層3003の磁化方向とが同一方向である場合には、絶縁層3002からなるトンネル絶縁層Tunnelには大きなトンネル電流が流れる。それとは反対に、固定層Fixの強磁性層3001の磁化方向と自由層Freeの強磁性層3003の磁化方向とが反対方向である場合には、絶縁層3002からなるトンネル絶縁層Tunnelのトンネル電流は同一方向の場合よりも減少する。
【0091】
《MRAMのセル構造》
図6は、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルMRAMCellの構造を示す図である。
【0092】
図6(A)は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のメモリセルMRAMCellの回路構成を示し、図6(B)は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のメモリセルMRAMCellの半導体デバイス構造を示している。
【0093】
図6(A)に示すように、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の1個のメモリセルMRAMCellは、NチャネルMOSトランジスタTRと図5で説明した磁気トンネル接合MTJとによって構成されている。NチャネルMOSトランジスタTRのソースSとゲートGとドレインDとは、それぞれ接地電圧Vssと読み出しワード線RWLと磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)に接続されて、磁気トンネル接合MTJの他端(自由層Free)はビット線BLに接続される。書き込みワード線WWLは、磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)に近接して、読み出しワード線RWLと平行に配置される。
【0094】
図6(B)に示すように、半導体集積回路10の半導体チップに形成されたP型ウェル領域P−Wellの内部にN不純物ソース領域SとN不純物ドレイン領域Dとが形成され、N不純物ソース領域SとN不純物ドレイン領域Dとの間のチャネル領域の表面にはゲート酸化膜を介して多結晶シリコンにより形成されたゲート電極Gが形成されている。従って、P型ウェル領域P−WellとN不純物ソース領域SとN不純物ドレイン領域Dとゲート電極Gとによって、NチャネルMOSトランジスタTRが形成される。
【0095】
図6(B)に示すように、N不純物ソース領域Sは下層配線によって接地電圧Vssに接続されて、ゲート電極Gは読み出しワード線RWLを形成して、N不純物ドレイン領域Dは下層配線と中間層配線によって磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)に接続される。磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)の直下には、中間層配線によって書き込みワード線WWLが磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)に近接して、読み出しワード線RWLと平行に形成される。磁気トンネル接合MTJの他端(自由層Free)は、上層配線によって形成されたビット線BLに接続される。
【0096】
図7は、図6に示した本発明の実施の形態1による磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)のメモリセルMRAMCellの構造を示すための鳥瞰図である。
【0097】
図7の鳥瞰図に示すように、最下層のゲート電極Gによって形成された読み出しワード線RWLと中間層配線によって形成された書き込みワード線WWLとは、平行に配置されている。N不純物ドレイン領域Dは下層配線と中間層配線とによって磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)に接続されている。磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)の直下には、中間層配線によって書き込みワード線WWLが磁気トンネル接合MTJの一端(固定層Fix)に近接して平行に形成されている。また磁気トンネル接合MTJの他端(自由層Free)は、上層配線によって形成されたビット線BLに接続される。
【0098】
図7の鳥瞰図に示すように、中間層配線によって形成された書き込みワード線WWLに矢印の方向の書き込みワード線電流IWWLを流すことによって、矢印の方向の書き込みワード線磁場HWWLが形成され、上層配線によって形成されたビット線BLに矢印の方向のビット線電流IBLを流すことによって、矢印の方向のビット線磁場HBLが形成される。従って、ワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLによって、磁気トンネル接合MTJの他端の自由層Freeの磁化方向が決定される。
【0099】
図8は、図7の鳥瞰図に示した中間層配線の書き込みワード線WWLと上層配線のビット線BLとの交点に配置されたMRAMセルの磁気トンネル接合MTJの自由層Freeへのワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLの影響を示す鳥瞰図である。中間層配線の書き込みワード線WWLと上層配線のビット線BLとの交点にMRAMセルの磁気トンネル接合MTJを配置して、書き込みワード線WWLに矢印方向の書き込みワード線電流IWWLを流し、ビット線BLに矢印方向のビット線電流IBLを流す。
【0100】
一般的に強磁性体には結晶構造や形状等によって磁化しやすい方向(エネルギーが低い状態)があり、この方向は磁化容易軸(Easy Axis)と呼ばれるが、メモリの保持状態としてはこの方向を保つ。これに対して磁化しにくい方向は磁化困難軸(Hard Axis)と呼ばれる。磁化の方向を反転させるには磁化容易軸に対して磁化と反対の方向に磁場を与えて磁化の向きを変える。この時に磁化困難軸方向に磁場を与えると、磁化困難軸方向に磁場が無い場合に比べ磁化容易軸方向の磁場が小さくても磁化の向きが反転することが知られている。
【0101】
従って、磁化困難軸方向と磁化容易軸方向の両方に磁場がかかる交点位置のMRAMセルのみ書き込みを行って、その他の多数のMRAMセルには書き込みしきい値を超えた磁場が印加されず書き換えが起こらないようにすることができる。このようにして2次元的なマトリックスMRAMセルアレイへの書き込みを実現することが可能となる。
【0102】
《アストロイド曲線》
図9は、図7と図8の鳥瞰図に示したワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLの磁場の大きさと磁化反転のしきい値の関係を示すアストロイド曲線を示す図である。
【0103】
アストロイド曲線は4個の円弧を含み、アストロイド曲線の4個の円弧の内側の領域では、ワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLの磁場の大きさが磁化反転のしきい値以下であるので、磁気トンネル接合MTJの他端の自由層Freeの磁化方向を反転することはできない。しかし、アストロイド曲線の4個の円弧の外側の領域では、ワード線磁場HWWLとビット線磁場HBLの磁場の大きさが磁化反転のしきい値以上となるので、磁気トンネル接合MTJの他端の自由層Freeの磁化方向を反転することが可能となる。
【0104】
図7と図8の鳥瞰図に示したように、ビット線BLに矢印の方向のビット線電流IBLを流すことによって、図9の第一象限の“1”書き込みに対応して磁気トンネル接合MTJの他端の自由層Freeの磁化方向を決定することができる。ビット線BLに矢印方向と反対方向のビット線電流IBLを流すことによって、図9の第四象限の“0”書き込みに対応して磁気トンネル接合MTJの他端の自由層Freeの磁化方向を決定することができる。
【0105】
従って、図7と図8との鳥瞰図に示したビット線BLの上部左端を電源電圧VDDの方向にプルアップする一方、ビット線BLの下部右端を接地電圧GNDの方向にプルダウンすることによって、ビット線BLに矢印の方向のビット線電流IBLが流れて、磁気トンネル接合MTJに“1”書き込みが実行される。それとは反対に、図7と図8との鳥瞰図に示したビット線BLの上部左端を接地電圧GNDの方向にプルダウンする一方、ビット線BLの下部右端を電源電圧VDDの方向にプルアップすることによって、ビット線BLに矢印と反対の方向のビット線電流IBLが流れて、磁気トンネル接合MTJに“0”書き込みが実行される。
【0106】
従って、送信システム20からの電磁波による送信情報の受信を開始する以前に磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4内部のメモリセルアレーの記憶情報が初期化される場合には、例えば上述のようにビット線BLに矢印と反対の方向のビット線電流IBLが流れて、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4内部のメモリセルには“0”書き込みによる初期化(消去動作)が実行される。
【0107】
更に図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3も、上述のようにビット線BLに矢印と反対の方向のビット線電流IBLを流し、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の内部のメモリセルに“0”書き込みによる初期化(消去動作)を実行することも可能である。
【0108】
《MRAMのメモリセル》
図10は、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルMRAMCellの構成を示す図である。
【0109】
図10に示すように、ビット線BL0には第1MRAMセル100、第2MRAMセル101、第3MRAMセル102、第4MRAMセル103が接続されている。
【0110】
第1MRAMセル100は、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能となっている自由層1002と、絶縁層からなるトンネル絶縁層1001と、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定された固定層1000とからなる磁気トンネル接合(MTJ)を含んでいる。磁気トンネル接合(MTJ)の自由層1002はビット線BL0に接続され、磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1000はNチャネルMOSトランジスタTRのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのゲートは読み出しワード線RWL0に接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのソースは接地電圧Vssに接続される。磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1000には、書き込みワード線WWL0が近接して形成されている。
【0111】
第2MRAMセル101も、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能となっている自由層1012と、絶縁層からなるトンネル絶縁層1011と、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定された固定層1010とからなる磁気トンネル接合(MTJ)を含んでいる。磁気トンネル接合(MTJ)の自由層1012はビット線BL0に接続され、磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1010はNチャネルMOSトランジスタTRのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのゲートは読み出しワード線RWL1に接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのソースは接地電圧Vssに接続される。磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1010には、書き込みワード線WWL1が近接して形成されている。
【0112】
第3MRAMセル102も、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能となっている自由層1022と、絶縁層からなるトンネル絶縁層1021と、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定された固定層1020とからなる磁気トンネル接合(MTJ)を含んでいる。磁気トンネル接合(MTJ)の自由層1022はビット線BL0に接続され、磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1020はNチャネルMOSトランジスタTRのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのゲートは読み出しワード線RWL2に接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのソースは接地電圧Vssに接続される。磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1020には、書き込みワード線WWL2が近接して形成されている。
【0113】
第4MRAMセル103も、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能となっている自由層1032と、絶縁層からなるトンネル絶縁層1031と、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定された固定層1030とからなる磁気トンネル接合(MTJ)を含んでいる。磁気トンネル接合(MTJ)の自由層1032はビット線BL0に接続され、磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1030はNチャネルMOSトランジスタTRのドレインに接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのゲートは読み出しワード線RWLNに接続され、NチャネルMOSトランジスタTRのソースは接地電圧Vssに接続される。磁気トンネル接合(MTJ)の固定層1010には、書き込みワード線WWLNが近接して形成されている。
【0114】
《MRAM3、4の同時形成》
また図1乃至図10を参照して説明した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに内蔵される高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3と磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4とは、半導体製造プロセスによって同時に製造されることが可能である。
【0115】
すなわち、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに内蔵される2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全てのNチャネルMOSトランジスタTRが、同時に形成される。
【0116】
まず、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全てのNチャネルMOSトランジスタTRの全てのP型ウェル領域P−Well(図6(B)参照)が、同時に形成される。
【0117】
次に、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全てのNチャネルMOSトランジスタTRの全てのゲート酸化膜および全ての読み出しワード線RWLとしてのゲート電極G(図6(B)参照)が、同時に形成される。
【0118】
更に、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全てのNチャネルMOSトランジスタTRの全てのN不純物ソース領域SおよびN不純物ドレイン領域D(図6(B)参照)が、同時に形成される。
【0119】
また更に、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全ての書き込みワード線WWL(図6(B)参照)が、同時に形成される。
【0120】
また更に、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全ての磁気トンネル接合MTJ(図6(B)参照)が、同時に形成される。その際に、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全ての磁気トンネル接合MTJの下層の全ての固定層Fixの強磁性層3001の磁化方向は、半導体集積回路ICの半導体製造プロセスにおいて最大強度の磁場を半導体集積回路ICの半導体ウェハーに供給することによって一定の方向に固定される。
【0121】
更に、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーの全てのメモリセルMRAMCellの全てのビット線BL(図6(B)参照)が、同時に形成される。
【0122】
最後に、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の上部には高透磁率磁性材によって磁気シールド6が形成され、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の記憶情報が半導体集積回路ICの外部磁界の影響によって反転することを防止することが可能となる。磁気シールド6の形成の際には、磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の上部に磁気シールド6が形成されないので、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4が磁気受信アンテナとして機能してMRAM4内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響により反転して電磁波による情報受信が可能となるものである。
【0123】
このように、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1によれば、2個の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、4のメモリセルアレーが半導体製造プロセスにより同時に形成されることが可能であるので、半導体集積回路ICの製造コストを低減することが可能となる。
【0124】
《MRAMのメモリセルアレー》
図11は、図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに含まれた磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルアレー構成を示す図である。
【0125】
図11に示すように、MRAM4のメモリセルアレーのX方向である行方向に複数の書き込みワード線WWL0、WWL1、WWL2…WWLMが形成され、MRAM4のメモリセルアレーのY方向である列方向に複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNが形成されている。尚、図11には図示されていないが、MRAM4のメモリセルアレーのX方向である行方向には、複数の読み出しワード線RWL0、RWL1、RWL2…RWLMが形成されている。
【0126】
MRAM4のメモリセルアレーのX方向である行方向の複数の書き込みワード線WWL0、WWL1、WWL2…WWLMとY方向である列方向の複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNとの各交点には、図6(A)に示した磁気トンネル接合MTJとNチャネルMOSトランジスタTRとによって構成された磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の1個のメモリセルMRAMCellが配置されている。
【0127】
尚、図11には図示されていないが、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路IC中に含まれた高速・不揮発性メモリとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3も、図11に示した磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルアレー構成と同様のメモリセルアレー構成によって構成される。すなわち、MRAM3のメモリセルアレーのX方向である行方向に複数の書き込みワード線WWL0、WWL1、WWL2…WWLMが形成され、MRAM3のメモリセルアレーのY方向である列方向に複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNが形成されている。またMRAM3のメモリセルアレーのX方向である行方向には、複数の読み出しワード線RWL0、RWL1、RWL2…RWLMが形成されている。更に、MRAM3のメモリセルアレーのX方向である行方向の複数の書き込みワード線WWL0、WWL1、WWL2…WWLMとY方向である列方向の複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNの各交点に、図6(A)に示した磁気トンネル接合MTJとNチャネルMOSトランジスタTRとによって構成された磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の1個のメモリセルMRAMCellが配置されている。
【0128】
図11に示したように、送信用導線7の長手方向が、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNと平行なY方向の列方向に配置されている。
【0129】
送信システム20からの電磁波による送信情報の受信を開始する以前においては、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4は初期化状態(消去状態)とされている。初期化状態(消去状態)は、図11に示したように、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4のメモリセルアレーのX方向(行方向)の複数の書き込みワード線WWL0、WWL1、WWL2…WWLMとY方向(列方向)の複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNの全ての交点の全てのメモリセルMRAMCellへの“0”書き込みにより行われる。この“0”書き込みは、メモリセルアレーの複数のビット線BL0、BL1、BL2…BLNの全てに上述のように図7と図8の鳥瞰図に示したビット線の矢印と反対の方向のビット線電流IBLを流すことで可能である。
【0130】
《磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ》
図12は、図11に示す本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに含まれた磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4が送信用導線7の長手方向に送信電流が流れることによって送信用導線7から生成される磁気によって一部のメモリセルMRAMCellの記憶情報(磁気トンネル接合(MTJ)の自由層の強磁性層の磁化方向)が反転する様子を示す図である。
【0131】
図12に示すように、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の左辺に配置された送信用導線7に一番近接して配置された第1列目のビット線BL0の複数のメモリセルMRAMCellの記憶情報(磁化方向)が太い矢印に示すように反転されるものである。すなわち、第1列目のビット線BL0の複数のメモリセルMRAMCellの記憶情報は、“0”書き込みの初期化状態(消去状態)から“1”書き込みのプログラム書き込み状態に変化している。
【0132】
図12から理解されるように磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4は、メモリセルアレー内部の一部のMRAMセルの記憶情報が送信用導線7から生成される磁気(外部磁界)の影響によって反転することにより電磁波による情報受信を可能となるものである。
【0133】
図13は、図11に示す本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICに含まれた磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の多数のメモリセルMRAMCellの記憶情報(磁気トンネル接合(MTJ)の自由層の強磁性層の磁化方向)が反転する様子を示す図である。この記憶情報の反転は、図13に示す送信用導線7の長手方向に大きな送信電流が流れることによって送信用導線7から生成される強い磁気により可能とされる。
【0134】
すなわち、図12と比較して、図13に示した送信用導線7の長手方向に大きな送信電流が流れるので、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の多数のメモリセルMRAMCellの記憶情報が反転するものである。
【0135】
図12の場合における記憶情報が反転されたメモリセルMRAMCellの個数と図13の場合における記憶情報が反転されたメモリセルMRAMCellの個数とは、図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの中央処理ユニット(CPU)1によって検出される。この検出結果を中央処理ユニット(CPU)1がデータ処理することによって、送信システム20の送信情報を復調することが可能となる。
【0136】
《パッケージに内蔵された送信用導線》
図14は、図4に示した送信システム20の送信ドライバ25によって通過電流が制御される送信用導線7が図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの半導体チップを封止するための樹脂封止パッケージ8の内部に内蔵される様子を示す図である。
【0137】
図14に示したように、半導体集積回路ICの樹脂封止パッケージ8から、複数の外部接続端子9が導出されている。送信システム20の送信ドライバ25の出力端子と接続された外部接続端子と接地電位GNDと接続された外部接続端子との間に、磁気を生成するための送信用導線7が接続されている。
【0138】
図14では、磁気を生成するための送信用導線7は、2個の外部接続端子を形成する2個のリード端子の間をリード配線により連結することによって形成される。このリード配線は、2個のリード端子を形成する導電部材と同一材料で形成されることが可能である。
【0139】
図14では、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の初期化の後に、送信システム20の送信ドライバ25は送信情報に応答して受信システム10の半導体集積回路ICの送信用導線7に流れる電流を制御するので、送信用導線7から磁界が生成される。
【0140】
その結果、半導体集積回路ICの磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4内部のメモリセルアレーのMRAMセルの記憶情報が外部磁界の影響により反転することによって、電磁波による情報受信が可能となる。従って、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の磁気受信情報は、内部バス2を介して中央処理ユニット(CPU)1によって読み出される。
【0141】
電磁波による送信情報の磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4から中央処理ユニット(CPU)1への読み出しの後に、中央処理ユニット(CPU)1は磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の記憶情報の初期化を実行する。
【0142】
このようにして、図14に示した受信システム10として構成された半導体集積回路ICの磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の記憶情報の初期化動作と送信システム20および受信システム10の送信受信動作とが反復されることによって、送信システム20と受信システム10の間が電気的に絶縁分離された状態で電磁波による情報伝達を実現することが可能となる。
【0143】
更に図14においても、高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の記憶情報が半導体集積回路ICの外部磁界の影響によって反転することを防止するために高透磁率磁性材により形成された磁気シールド6が磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3の上部に形成されている。更にこの磁気シールド6は、中央処理ユニット(CPU)1の上部と周辺機能モジュール5の一部の上部とに形成されている。上部の磁気シールド6と下部の中央処理ユニット(CPU)1、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3、周辺機能モジュール5との間には、電気的な分離のための層間絶縁膜が形成されている。
【0144】
《半導体集積回路の半導体チップに集積化された送信用導線》
図15は、図4に示した送信システム20の送信ドライバ25によって通過電流が制御される送信用導線7が図1と図2とに示した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの半導体チップを封止するための樹脂封止パッケージ8の内部に内蔵される他の様子を示す図である。
【0145】
図15に示す本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICが図14に示した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICと相違するのは、下記の点である。
【0146】
すなわち、図15に示した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICでは、磁気を生成するための送信用導線7が受信システム10として構成された半導体集積回路ICの半導体チップに集積化された内部配線によって形成されている点である。すなわち、半導体集積回路ICの半導体チップに集積化された内部配線によって形成された送信用導線7の一端と他端は、一方の半導体チップ端子と他方の半導体チップ端子を介して送信システム20の送信ドライバ25の出力端子と接地電位GNDにそれぞれ接続されている。
【0147】
その他に関しては、図15に示した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICは、図14に示した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICと同一であるので、説明を省略する。
【0148】
[実施の形態2]
《半導体集積回路の応用》
図16は、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICの応用としての本発明の実施の形態2によるスイッチング電源回路の構成を示す図である。
【0149】
図16に示す本発明の実施の形態2によるスイッチング電源回路は、トランスTRと、駆動MOSFETQ1と、整流ダイオードD1と、平滑容量C1と、分圧抵抗R1、R2と、電圧・電流変換器V/I_convと、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICとを含んでいる。
【0150】
トランスTRの一次側コイルの一端に入力電圧Vinが供給され、トランスTRの一次側コイルの他端は駆動MOSFETQ1のドレインに接続され、駆動MOSFETQ1のソースは一次側接地電圧GND1に接続される。図1乃至図15で説明した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICは、入力電圧Vinを動作電源電圧として動作するものである。半導体集積回路ICの中央処理ユニット(CPU)1が高速・不揮発性メモリである磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3に格納される動作プログラムを実行することによって、駆動MOSFETQ1の制御ゲートに供給される制御信号が中央処理ユニット(CPU)1から生成される。
【0151】
トランスTRの二次側コイルの一端は整流ダイオードD1のアノードに接続され、整流ダイオードD1のカソードは平滑容量C1の一端と分圧抵抗R1の一端と接続されて、分圧抵抗R1の他端は分圧抵抗R2の一端と接続され、トランスTRの二次側コイルの他端と平滑容量C1の他端と分圧抵抗R2の他端は二次側接地電圧GND2に接続される。平滑容量C1の両端間から出力電圧Voutが生成され、分圧抵抗R1、R2の接続ノードの分圧電圧が電圧・電流変換器V/I_convの入力端子に供給され、電圧・電流変換器V/I_convの出力端子のフィードバック変換電流IFBが磁気を生成するための送信用導線7の一端に供給され、送信用導線7の他端は二次側接地電圧GND2に接続される。
【0152】
図16のスイッチング電源回路の分圧抵抗R1、R2の接続ノードの分圧電圧情報は、電圧・電流変換器V/I_convと送信用導線7とを介して受信システム10として構成された半導体集積回路ICの磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4よって電磁波により受信可能となるものである。その結果、中央処理ユニット(CPU)1が高速・不揮発性メモリである磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)3に格納される動作プログラムを実行することによって、分圧抵抗R1、R2の分圧電圧が所定の電圧と一致するように駆動MOSFETQ1に供給される制御信号が中央処理ユニット(CPU)1から生成される。
【0153】
例えば、図16に示す本発明の実施の形態2によるスイッチング電源回路において、分圧抵抗R1、R2の分圧電圧が所定の電圧よりも低い場合には、中央処理ユニット(CPU)1から生成され駆動MOSFETQ1に供給される制御信号のハイレベル期間が長く制御される。その結果、トランスTRの二次側コイルを駆動する駆動MOSFETQ1のオン期間が長く制御されるので、分圧抵抗R1、R2の分圧電圧が所定の電圧と一致するまで上昇するものとなる。
【0154】
従って、図16に示す本発明の実施の形態2によるスイッチング電源回路によれば、上記非特許文献1に記載されたスイッチング電源回路に使用されるフォト・カプラを省略して、トランスTRの一次側接地電圧GND1と二次側接地電圧GND2との間の電気的な絶縁分離を実現することが可能となる。
【0155】
[実施の形態3]
《半導体集積回路のその他の応用》
図17は、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICのその他の応用としての本発明の実施の形態3による受信システム10が送信システム20から近距離の非接触通信の送信データを受信する様子を示す図である。
【0156】
図17に示す本発明の実施の形態3による受信システム10が送信システム20から近距離の非接触通信の送信データを受信することで、交通機関での交通費用や店頭での商品購入費用等の電子決済を可能とするものである。受信システム10と送信システム20との間の近距離の非接触通信は、通信距離が1メートルから数センチ程度である近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)と呼ばれる方式である。
【0157】
すなわち、図17に示す本発明の実施の形態3の受信システム10に示すように、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による受信システム10として構成された半導体集積回路ICが電池の動作電源が使用可能な携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistant)等の小型携帯電子機器に搭載可能なものである。従って、図1乃至図15を参照して説明した本発明の実施の形態1による半導体集積回路ICは、小型携帯電子機器に装着される電池の動作電源によって動作するものである。
【0158】
従って、図17に示した本発明の実施の形態3による受信システム10によれば、上記特許文献4に記載されたループコイルのアンテナを省略して、送信システム20から近距離の非接触通信の送信データを受信が可能となる。
【0159】
以上、本発明者によってなされた発明を種々の実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0160】
例えば、図4に示したように送信システム20からの電磁波による送信情報を受信する図1と図2に示した本発明の実施の形態1による受信システム10は、内燃エンジンを動力とする自動車等や電気モータを動力とする電気自動車などの車両に搭載される車載制御システムに利用されることが可能となる。すなわち、送信システム20は内燃エンジンや電気モータの高電圧感知電圧を生成して、送信システム20の送信ドライバ25は高電圧感知電圧を車載制御システムの受信システム10の半導体集積回路ICの送信用導線7に流れる電流に変換する。その結果、車載制御システムの受信システム10として構成された半導体集積回路ICでは、磁気受信アンテナとして機能する磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)4の内部のメモリセルアレーのMRAMメモリセルの記憶情報が外部磁界の影響によって反転して電磁波による情報受信が可能となるものである。
【0161】
従って、車載制御システムの受信システム10の半導体集積回路ICの中央処理ユニット(CPU)1は、送信システム20の高電圧感知電圧に応答して、内燃エンジンや電気モータを最適に制御することが可能となるものである。尚、車載制御システムの受信システム10の半導体集積回路ICの外部に不必要な電磁波が輻射しないように、半導体集積回路ICの外部に磁気シールド部材が装着されるものである。更に、送信用導線7の受信システム10と送信システム20との間の配線部分の外部に、配線磁気シールド部材が装着されるものである。
【0162】
このように構成された車載制御システムによれば、送信システム20と受信システム10の間が電気的に絶縁分離された状態で電磁波による情報伝達を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0163】
IC…半導体集積回路
1…中央処理ユニット(CPU)
2…内部バス
3…高速・不揮発性メモリとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)
4…磁気受信アンテナとしての磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)
5…周辺機能モジュール
6…磁気シールド
7…送信用導線
8…パッケージ
9…外部接続端子
10…受信システム
20…送信システム
21…送信制御回路
22…送信駆動素子
23…送信電源
24…送信ループコイルアンテナ
MTJ…磁気トンネル接合
3000…反強磁性層
3001…強磁性層
3002…絶縁層
3003…強磁性層
Fix…固定層
Tunnel…トンネル絶縁層
Free…自由層
RWL…読み出しワード線
WWL…書き込みワード線
BL…ビット線
TR…NチャネルMOSトランジスタ
S…ソース
G…ゲート
D…ドレイン
Vss…接地電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと磁気ランダムアクセスメモリとを具備する半導体集積回路であって、
前記磁気ランダムアクセスメモリは、第1の磁気ランダムアクセスメモリと第2の磁気ランダムアクセスメモリとを含み、
前記第1の磁気ランダムアクセスメモリは不揮発性メモリとして機能して、前記プロセッサは前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレーに格納される動作プログラムを実行して、
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレーの記憶情報が前記メモリセルアレーの外部の外部磁界によって反転することによって、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリは磁気受信アンテナとして機能するものであり、
前記外部磁界の影響を軽減するための磁気シールドが前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリの上部に形成されているのに対して、前記磁気シールドが前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの上部では形成されていない
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記磁気シールドは、高透磁率磁性材によって形成された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記半導体集積回路は、前記プロセッサと前記第1の磁気ランダムアクセスメモリと前記第2の磁気ランダムアクセスメモリとに接続された内部バスを更に具備して、
前記プロセッサは、前記内部バスを介して、前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの磁気受信情報を読み出す
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーと前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーとに含まれる複数のメモリセルの各メモリセルは、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能である自由層と、絶縁層からなるトンネル絶縁層と、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定された固定層とからなる磁気トンネル接合を含む
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記各メモリセルは、NチャネルMOSトランジスタを更に含み、
前記各メモリセルの前記NチャネルMOSトランジスタのドレインとゲートとソースとは、前記各メモリセルの前記磁気トンネル接合の前記固定層と読み出しワード線と接地電圧とにそれぞれ接続された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリが前記磁気受信アンテナとして機能する以前において、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーの前記複数のメモリセルは、所定の消去状態に初期化される
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記半導体集積回路は、前記半導体集積回路の半導体チップを封止するための封止パッケージと前記封止パッケージの内部に内蔵された送信用導線とを更に具備して、
前記送信用導線に通過電流が供給されることによって、前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリによって受信される磁界を前記送信用導線が生成する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
請求項7において、
前記送信用導線は、前記半導体集積回路の前記半導体チップに集積化された内部配線である
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項6において、
前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーと前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーとは、前記半導体集積回路の半導体製造プロセスによって同時に製造されたものである
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
請求項9において、
前記半導体集積回路は、スイッチング電源回路のトランスの一次側コイルを駆動する駆動素子の制御入力と前記トランスの二次側コイルに接続された2個の分圧抵抗の共通接続点との間に接続可能とされ、
前記2個の分圧抵抗の前記共通接続点の分圧電圧に応答した前記通過電流が前記送信用導線に供給されて、前記プロセッサは前記動作プログラムを実行することによって前記駆動素子の前記制御入力に供給される制御信号を生成する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
請求項9において、
近距離非接触通信によって送信システムから送信される磁界を前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリが受信することによって、前記半導体集積回路は前記送信システムからの前記近距離非接触通信による送信データを受信する受信システムを構成する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
プロセッサと磁気ランダムアクセスメモリとを具備する半導体集積回路の動作方法であって、
前記磁気ランダムアクセスメモリは、第1の磁気ランダムアクセスメモリと第2の磁気ランダムアクセスメモリとを含み、
前記第1の磁気ランダムアクセスメモリは不揮発性メモリとして機能して、前記プロセッサは前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレーに格納される動作プログラムを実行して、
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルアレーの記憶情報が前記メモリセルアレーの外部の外部磁界によって反転することによって、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリは磁気受信アンテナとして機能するものであり、
前記外部磁界の影響を軽減するための磁気シールドが前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリの上部に形成されているのに対して、前記磁気シールドが前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの上部では形成されていない
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記磁気シールドは、高透磁率磁性材によって形成された
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記半導体集積回路は、前記プロセッサと前記第1の磁気ランダムアクセスメモリと前記第2の磁気ランダムアクセスメモリとに接続された内部バスを更に具備して、
前記プロセッサは、前記内部バスを介して、前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの磁気受信情報を読み出す
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーと前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーとに含まれる複数のメモリセルの各メモリセルは、強磁性層から構成され磁化方向が外部から制御可能である自由層と、絶縁層からなるトンネル絶縁層と、強磁性層と反強磁性層との積層膜からなり反強磁性層と強磁性層との交換結合によって強磁性層の磁化方向が強く固定された固定層とからなる磁気トンネル接合を含む
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記各メモリセルは、NチャネルMOSトランジスタを更に含み、
前記各メモリセルの前記NチャネルMOSトランジスタのドレインとゲートとソースとは、前記各メモリセルの前記磁気トンネル接合の前記固定層と読み出しワード線と接地電圧とにそれぞれ接続された
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記第2の磁気ランダムアクセスメモリが前記磁気受信アンテナとして機能する以前において、前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーの前記複数のメモリセルは、所定の消去状態に初期化される
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記半導体集積回路は、前記半導体集積回路の半導体チップを封止するための封止パッケージと前記封止パッケージの内部に内蔵された送信用導線とを更に具備して、
前記送信用導線に通過電流が供給されることによって、前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリによって受信される磁界を前記送信用導線が生成する
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項19】
請求項18において、
前記送信用導線は、前記半導体集積回路の前記半導体チップに集積化された内部配線である
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項20】
請求項17において、
前記不揮発性メモリとして機能する前記第1の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーと前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリの前記メモリセルアレーとは、前記半導体集積回路の半導体製造プロセスによって同時に製造されたものである
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項21】
請求項20において、
前記半導体集積回路は、スイッチング電源回路のトランスの一次側コイルを駆動する駆動素子の制御入力と前記トランスの二次側コイルに接続された2個の分圧抵抗の共通接続点との間に接続可能とされ、
前記2個の分圧抵抗の前記共通接続点の分圧電圧に応答した前記通過電流が前記送信用導線に供給されて、前記プロセッサは前記動作プログラムを実行することによって前記駆動素子の前記制御入力に供給される制御信号を生成する
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。
【請求項22】
請求項20において、
近距離非接触通信によって送信システムから送信される磁界を前記磁気受信アンテナとして機能する前記第2の磁気ランダムアクセスメモリが受信することによって、前記半導体集積回路は前記送信システムからの前記近距離非接触通信による送信データを受信する受信システムを構成する
ことを特徴とする半導体集積回路の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−89068(P2013−89068A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229592(P2011−229592)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】