説明

半月板の人工器官及びこれに関連する方法

半月板の人工器官が開示される。当該半月板の人工器官は、健常な半月板の機能に置き換わるものとして設計されている。製法、選択方法、及び半月板に置き換えて使用するための人工器官、もまた開示される。人工器官の製法には、強化繊維とともにポリマーを射出成形する工程が含まれる。人工器官の選択方法には、移植前の選択法及び移植中の選択補うが含まれる。半月板の人工器官を移植する方法は、損傷した半月板に置き換える際に用いられうる。本願における半月板の人工器官及び関連する方法は、損傷した半月板を有する患者の治療に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一般的には医療用人工器官、システム及び方法を開示する。より詳細には、いくつかの例において本願発明は天然の半月板における昨日の少なくとも一部に置き換わる人工器官に関する。
【背景技術】
【0002】
膝は外側半月板と内側半月板の二つの半月板を有する。各半月板は、前角及び後角で脛骨に付着する三日月型の繊維軟骨組織である。半月板の損傷は痛みと関節炎の原因となる。したがって、ある症例では損傷した半月板を人工器官に置き換えることが望ましい。本願発明の人工器官は、一部の場合において天然の半月板と置き換える又はこれを補強するために外科的に膝関節に埋め込まれる。このような人工器官は、適切な大きさ及び機能を有するものとすることが、対象となる患者にとって重要である。本願発明に係る方法によれば、ある症例において特定の患者の使用に適した人工器官を同定しうる。
【0003】
従来から存在する器具、システム及び方法によって、これらの問題に対処する試みがなされてきたが、全ての事項について満足の得られる効果は得られていない。したがって、これら器具、システム及び方法について本願発明のような改良の必要性があった。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態として、半月板の人工器官が開示される。
【0005】
また、別の実施形態として、損傷した半月板に置き換わる人工器官が開示される。係る人工器官は、大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部とかみ合う下側表面とを有する中央部分を含む。前記中央部分は弾性材質から成る。前記人工器官はまた、前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分を有する。前記外側部分は弾性材質から成り、該弾性材質に組み込まれた少なくとも1の強化繊維によって張力がかかる。前記外側部分は、大腿骨と脛骨によって人工器官に加わる圧縮力によって前記中央部分から外側に放射状に移動するような大きさ及び形状を有する。
【0006】
別の実施形態として、膝関節に使用される半月板の人工器官が開示される。係る半月板の人工器官は、大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部とかみ合う下側表面とを有する中央部分を含む。前記中央部分は、弾性ポリカーボネートポリウレタンから成る。該半月板の人工器官はまた、前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分を有する。前記外側部分は、張力のかかった超高分子量ポリエチレン強化繊維に組み込まれた弾性ポリカーボネートポリウレタンを含む。前記外側部分は、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの末端を接合する第二のセクションを有する。前記第二のセクションは、骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有する。
【0007】
別の実施形態として、半月板インプラントが開示される。前記半月板インプラントは、大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部とかみ合う下側表面とを有する中央部分を含む。前記中央部分は、弾性ポリカーボネートポリウレタンから成り、装着されている位置と装着されていない位置で弾性変形可能である。前記中央部分の上側及び下側表面は、装着された状態で大腿骨及び脛骨との接触が増加する。該半月板インプラントはまた、前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分を有する。前記外側部分は、張力のかかった超高分子量ポリエチレン強化繊維に組み込まれた弾性ポリカーボネートポリウレタンから成る。該外側部分は、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの末端を接合する第二のセクションを有する。前記第二のセクションは、骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有する。そして、外側部分は装着されている位置と装着されていない位置で弾性変形可能である。少なくとも前記外側部分の一部は、装着された位置で中央部分から外側に放射状に移動される。
【0008】
別の実施形態として、膝関節の損傷した半月板に置き換える人工器官が開示される。前記半月板インプラントは、大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部とかみ合う下側表面とを有する中央部分を含む。前記中央部分は、弾性ポリポリウレタンから成る。該人工器官はまた、前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分を有する。前記外側部分は、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に拡張する第二のセクションを有する。該第二のセクションは、骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有する。また、前記外側部分は、前記中央部分に関連して剛性が増加するよう、強化繊維に組み込まれた弾性ポリウレタンから形成される。
【0009】
別の実施形態として、半月板の人工器官が開示される。前記半月板の人工器官は、大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部にかみ合う下側表面とを有する中央部分を含む。外側部分は前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する。該外側部分は、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に拡張する第二のセクションを有する。前記第二のセクションは、骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有する。また、前記第二のセクションは前記中央部分の上側表面で先細りになる上側内側表面を有する。該上側内側表面は、前記第二のセクションの長さに沿った種々の曲率半径によって特徴付けられる。
【0010】
別の実施形態として、骨を貫通することなく膝関節に固定される半月板インプラントが開示される。該半月板インプラントは、大腿骨の一部と周期的にかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部に周期的にかみ合う下側表面とを有する中央部分を含む。外側部分は前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する。該外側部分は、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に拡張する第二のセクションを有する。前記第二のセクションは、前記第一のセクションの第一の末端に隣接する第一の領域、前記第一のセクションの第二の末端に隣接する第二の領域、及び前記第一及び第二の領域の間の第三の領域、を有する。前記第二のセクションにおける第一の領域は、約4mm〜約15mmの高さ、前記第二のセクションの長さに沿った約5mm〜約70mmの第一曲率半径、及び前記第二のセクションの長さに垂直な、約10mm〜約100mmの第二曲率半径、を有する。前記第二のセクションにおける第二の領域は、約4mm〜約15mmの高さ、前記第二のセクションの長さに沿った約5mm〜約50mmの第三曲率半径、及び前記第二のセクションの長さに垂直な、約5mm〜約70mmの第四曲率半径、を有する。前記第二のセクションの第三の領域は、約4mm〜約15mmの高さ、前記第二のセクションの長さに沿った約10mm〜約30mmの第一曲率半径、を有する。
【0011】
別の実施形態として、半月板の人工器官を製造する方法が開示される。前記方法は、上側表面、上側表面に対向する下側表面、及び前記上側表面と下側表面との間に配置される外側表面を有するコアを射出成形する工程を含む。前記外側表面は、複数の凹部を有する。前記方法はまた、強化繊維を少なくとも1つの前記外側表面の凹部に巻き付ける工程と、前記強化繊維を固定するために、前記外側表面及び巻き付けられた強化繊維の周囲に外側部分を射出成形する工程を含む。ある実施形態においては、前記コアの材質は前記強化繊維よりも高い融点を有するものであってもよい。
【0012】
別の実施形態として、人工器官を製造する方法が開示される。前記方法は、コアを形成するためにポリカーボネートポリウレタンを鋳型に注入する工程を含む。前記鋳型は、前記コアの上側表面を形成する鏡面研磨された上側鋳型表面と、前記コアの下側表面を形成する鏡面研磨された下側鋳型表面とを有し、コアに複数の凹部を形成する取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを有する。前記方法は、前記取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを除去する工程と、超高分子量ポリエチレン強化繊維を、コアの周囲及び前記コア上の少なくとも一つの前記複数の凹部に巻き付ける工程と、を含む。前記方法はまた、コアを加熱する工程と、前記コアと強化繊維を覆う外層を形成するためにポリカーボネートポリウレタンを鋳型に注入する工程と、前記鋳型を冷却する工程と、を含む。ある実施形態においては、ポリカーボネートポリウレタンがポリエチレン強化繊維の融点よりも高い温度で射出できるよう、ポリカーボネートポリウレタンが前記ポリエチレン強化繊維よりも高い融点を有するものであってもよい。
【0013】
別の実施形態として、半月板インプラントを製造する方法が開示される。前記方法は、コアを形成するためにポリマーを鋳型に注入する工程を含む。前記鋳型は、前記コアの上側表面を形成する鏡面研磨された上側鋳型表面と、前記コアの下側表面を形成する鏡面研磨された下側鋳型表面とを有し、コアに複数の凹部を形成する取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを有する。前記方法はまた、前記取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを除去する工程と、強化繊維を前記コアの周囲及びコア上の少なくとも一つの前記複数の凹部に巻き付ける工程と、を含む。前記強化繊維は、巻き付けられる間、5N〜78Nの力で張力がかけられていてもよい。また、前記方法は、前記コアと強化繊維を覆う外層を形成するためにポリマーを鋳型に注入する工程を含んでもよい。
【0014】
別の実施形態として、利用可能な人工器官のライブラリから、患者のために半月板の人工器官を選択する方法が開示される。前記方法は、移植前マッチングプロセスを含む。該移植前マッチングプロセスは、直接的幾何学的マッチングプロセス、相関パラメータに基づくマッチングプロセス、及び有限要素に基づくマッチングプロセス、を含む。前記直接的幾何学的マッチングプロセスは、患者の健康な膝部の像を得る工程と、健康な半月板を含む膝部を各構成部に分割する工程と、幾何学的に適した人工器官を同定するために健康な半月板と利用可能な人工器官を比較する工程と、を含む。前記相関パラメータに基づくマッチングプロセスは、患者の負傷した膝部の像を得る工程と、負傷した膝部の解剖学的計測に基づいて利用可能な人工器官に関する1もしくはそれ以上の相関パラメータを決定する工程と、相関パラメータが適切な人工器官を同定するために、前記利用可能な人工器官に関する1もしくはそれ以上の相関パラメータと許容される基準データ範囲とを比較する工程と、を含む。最後に、前記有限要素に基づくマッチングプロセスは、前記患者の負傷した膝部の像に基づいて患者の負傷した膝部の有限要素モデルを作る工程と、1もしくはそれ以上の利用可能な人工器官について、それらが負傷した膝部に配置された際に前記負傷した膝部にかかる負荷をシミュレートする工程と、有限要素が適切な人工器官を同定するために前記1もしくはそれ以上の利用可能な人工器官についての負荷分布を評価する工程と、を含む。
【0015】
別の実施形態として、負傷した半月板を治療する方法が開示される。前記方法は、負傷した半月板に置き換えるのに最も適切な半月板の人工器官を同定するために移植前マッチングプロセスを利用する工程を含む。前記移植前マッチングプロセスは、領域の相関、幅の相関、長さの相関及び周囲長の相関を考慮する相関パラメータに基づくマッチングプロセスを含む。前記領域の相関は、半月板の接触領域を内側脛骨の領域で割ることにより決定されるものであってもよい。前記幅の相関は、半月板の平均の幅を内側脛骨の幅で割ることにより決定されるものであってもよい。また、前記長さの相関は、内側半月板の長さを内側脛骨の長さで割ることにより決定されるものであってもよい。前記周囲長の相関は、半月板周囲長を内側脛骨の周囲長で割ることにより決定されるものであってもよい。
【0016】
別の実施形態として、手術方法が開示される。前記手術方法は、内側ポータルを作るために関節鏡検査を行う工程と、損傷した半月板の大部分を切除する工程と、脂肪体の一部を切除する工程と、前記内側ポータルを直径約4cm〜約6cmに拡大する工程と、内側腔を評価する工程と、最も適切な半月板の人工器官を同定するために1もしくはそれ以上の移植検査をする工程と、前記最も適切な半月板の人工器官を、骨を貫通させることなく、前記内側腔に移植し固定する工程と、を含む。
【0017】
別の実施形態においては、異なる融点を有する少なくとも2つの材質から、生体適合性を有するコンポジット材質が作られる。ある実施形態においては、第一の材質が第二の材質の融点よりも高い温度に加熱され、第二の材質の周囲に鋳造される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の他の特徴および効果は、以下の、添付の図面を参照して開示する実施形態の詳細な説明において明らかになる。
【図1】図1は、本開示の一実施形態に係る人工器官の実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1の人工器官の平面図である。
【図3】図3は、切断線3−3に沿った図1及び2の人工器官の断面図である。
【図4】図4は、切断線4−4に沿った図1及び2の人工器官の断面図である。
【図5】図5は、図1及び2の人工器官、並びに他の人工器官の断面比較図である。より詳しくは、図5は、対応する断面線に沿った他の人工器官の断面図と比較して示される、切断線4−4に沿った図1及び2の人工器官の断面図である。
【図6】図6は、図1及び2の人工器官の切断線6−6に沿った断面図である。
【図7】図7は、図1及び2の人工器官の切断線7−7に沿った断面図である。
【図8】図8は、図1及び2の人工器官、並びに他の人工器官の断面比較図である。より詳しくは、図8は、対応する断面線に沿った他の人工器官の断面図と比較して示される、切断線8−8に沿った図1及び2の人工器官の断面図である。
【図9a】図9aは、挿入構造における大腿骨および脛骨の間に位置する図1及び2の人工器官の断面図である。
【図9b】図9bは、予め張力をかけられ、無負荷状態における大腿骨および脛骨の間に位置する図1及び2の人工器官の断面図である。
【図10】図10は、図9bと類似する大腿骨および脛骨の間に位置する図1および2の人工器官の断面図であるが、図10は、負荷した、荷重状態を示すものである。
【図11】図11は、患者の膝に使用する適切な人工器官を選択するための、本開示の一態様に係る方法の実施形態のブロック図である。
【図12】図12は、手術の前に患者に使用する適切な人工器官を選択するための、本開示の一態様に係る方法の実施形態のブロック図である。
【図13】図13は、本開示の一態様に従う、骨、関節軟骨および半月が分割されたレンダリング膝関節の側面図である。
【図14】図14は、本開示の一態様に従う、天然の半月の三次元復元物の斜視図である。
【図15】図15は、本開示の一態様に従う、様々な相関パラメータを記載する図である。
【図16】図16は、本開示の一態様に従う、膝関節の解剖学的特徴の測定値を確認する、膝関節のMRI及び/若しくはCTスキャンに基づく膝関節の断面平面図である。
【図17】図17は、図16と同様に、膝関節のMRI及び/若しくはCTスキャンに基づく膝関節の断面平面図であるが、本開示の一態様に従う他の解剖学的特徴の測定値を確認するものである。
【図18】図18は、本開示の一態様に従う、内側半月の高さを確認する、膝関節のMRI及び/若しくはCTスキャンに基づく膝関節の断面平面図である。
【図19】図19は、本開示の一態様に従う、内側半月前部及び後部の高さを確認する、膝関節のMRI及び/若しくはCTスキャンに基づく膝関節の断面平面図である。
【図20】図20は、本開示の一態様に従う、膝関節の三次元有限要素モデルの斜視図である。
【図21】図21は、本開示の一態様に従う、人工器官と脛骨プラトーとの間のシミュレーションされた接触圧マップのレンダリングである。
【図22】図22は、健康な天然の半月の側面と比較して示される、本開示に従う、損傷した天然の半月の交換に用いられる人工器官の斜視図である。
【図23】図23は、手術の際に患者の膝に使用される適切な人工器官を選択するための、本開示の一態様に従う方法の実施形態のブロック図である。
【図24】図24は、本開示の一態様に従う外科的プロトコルのブロック図である。
【図25】図25は、本開示の一態様に従う、図24の外科的プロトコルにおいて使用される、人工器官を患者の膝に移植する方法のブロック図である。
【図26】図26は、本開示の他の態様に従う、図24の外科的プロトコルにおいて使用される、人工器官を患者の膝に移植する方法のブロック図である。
【図27】図27は、本開示の一態様に従う、人工器官の斜視図である。
【図28】図28は、本開示の一態様に従う、人工器官の核の斜視図である。
【図29】図29は、本開示の一態様に従う、図27の人工器官の核の斜視図である。
【図30】図30は、図29の人工器官の核の断面図である。
【図31】図31は、本開示の一態様に従う、図27の人工器官の外側部の斜視図である。
【図32】図32は、本開示の一態様に従う、患者の体重および活性レベルに基づいた人工器官の繊維混入比率を記述する図である。
【図33】図33は、本開示の一態様に従う、繊維密度を有する人工器官の断面図である。
【図34】図34は、図38と同様に、人工器官の断面図であるが、本開示の一態様に従う、他の繊維密度を有するものである。
【図35】図35は、本開示の一態様に従う、人工器官を製造する方法のブロック図である。
【図36】図36は、本開示の一態様に従う、人工器官の核の周囲に強化繊維を巻付けるための緊張力を記述する図である。
【図37】図37は、本開示の一態様に従う、線形繊維構造を有する材料の斜視図である。
【図38】図38は、本開示の一態様に従う、繊維メッシュ構造を有する材料の斜視図である。
【図39】図39は、切断線39−39に沿った、図38の繊維メッシュ構造を有する材料の部分的な断面図である。
【図40】図40は、本開示の一態様に従う、巻き付けられた繊維構造を有する材料の斜視図である。
【図41】図41は、切断線41−41に沿った、図40の巻き付けられた繊維構造を有する材料の部分的な斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面に示した実施形態を参照し、当該実施形態を説明するために特定の言語を用いることにより、本開示の本質を理解することが促される。しかしながら、これらは、本開示の範囲を限定することを意図するものとして理解されるものではない。説明した装置、器具、及び/又は方法に対してあらゆる修正或いは変更すること、並びに当業者であれば明らかである本開示の本質を更に応用することについては、本願明細書に明示的に議論されていない場合であっても、本開示に包含されるものである。さらに、1つの実施形態に開示された特徴、構成要素、及び/又は工程は、本開示の別の実施形態の特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わせることができることが意図される。
【0020】
人口器官
本開示の一つの態様に従った人口器官100が本明細書に示した図1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10において参照される。特に図1は、人口器官100の斜視図である。図2は、当該人口器官100の上面図である。図3、4、5、6、7及び8は、当該人口器官100の断面図である。図3は、図2の切断線3−3に沿った当該人口器官100の断面図である。図4は、図3の切断線4−4に沿った当該人口器官100の断面図である。図5は、別の人口器官102と比較した本願人口器官100の断面図である。より具体的に、図5は、図2の断面線4−4に沿った人口器官100の断面面を、対応する切断線に沿った別の人口器官102の断面図と比較して示した図である。図6は図2の切断線6−6に沿った当該人口器官100の断面図である。図7は、図2の切断線7−7に沿った人口器官100の断面図である。図8は、図5と同様に、別の人口器官102と比較した人口器官100の比較断面図であるが、異なる切断線に沿った断面図である。より具体的に、図8は、図2の切断線8−8に沿った人口器官100の断面図であり、対応する切断線に沿った別の人口器官102の断面図と比較して示した図である。図9aは、大腿骨と脛骨との間に配置した図1及び図2の人口器官の挿入構造の断面図である。図9bは、大腿骨104と脛骨106の間に配置した張力をかける前の無荷重状態の人口器官100のダイアグラム断面図である。図10は、図9bと同様に大腿骨104と脛骨106の間に配置し、人口器官100に重力負荷をかけた状態の人口器官100の断面図である。
【0021】
全体的に、当該人口器官100は、損傷、破裂、崩壊、罹患した、或いは置換することが必要になった半月板を置換するためのものである。説明の目的のために、人口器官100は、右膝、医療用半月板置換器と共に説明される。しかしながら、対応する実施形態においては、例えば左膝医療用半月板、左膝外側半月板、及び/又は右膝外側半月板などの他の半月板の置換器として使用可能である。その場合、当該人口器官の大きさ、形、厚さ、物体特性、及び/又は他の特性はそれぞれ具体的な用途に合わせて設定される。
【0022】
人口半月板100は、外側本体部分108と中心本体部分110を含む。全体的に、前記外側本体部分108は、中心本体部分110と比較して、より厚みと高さがある。一部の例において、前記外側本体部分108は、5mm〜15mmの厚みである。一部の例において、前記中心本体部分110は0.1mm〜5mmの厚みである。別の実施形態において、前記外側本体部分108は、最大約10mmの厚みがあり、前記中心本体部分110は約2mmの厚みがある。一部の例において、前記外側本体部分108の高さ又は厚みは、前記人口器官100の周囲長によって変化する。この点については、一部の実施形態において、前記外側本体部分108の高さ又は厚さの変化が、患者の解剖学的特徴と適合するように選択される。同様に、中心本体部分110の高さ又は厚みは、一部の実施形態において人口器官100によって変化する。また、前記中心本体部分の高さ又は厚さの変化は、一部の実施形態においては、患者の解剖学的特徴と適合する様に選択される。一部の実施形態において、人口器官100は、挿入構造に挿入された後、荷重がかけられ、引き延ばされ、移動し、及び/又は移植構造に移し替えられる。一部の実施形態において、前記挿入構造と移植構造との間の形態変化は、人口器官100にかけられた荷重により促される。そのような実施形態において、外側及び中心本体部分108、110の高さ又は厚みの変化は、挿入構造と移植構造との間の変形又は変化と適合するように選択される。
【0023】
本実施形態において、人口器官100は、隣接骨を貫通して人口器官をその位置に固定するための固定部材又は固定装置を用いずに構成される。むしろ、当該人口器官100は、骨貫通固定器具に固定されることなく、膝関節内に「浮遊」又は大腿骨又は脛骨にしっかりと固定される構成となっている。そのためには、人口器官100の外側本体部分108は、膝関節から人口器官100を不要に排除するのを防ぐ形と大きさとなっている。人口器官100は、一部の実施形態において、人口器官によって係合された患者の脛骨又は他の骨構造に対して永久的な損傷を与えることなく患者に移植することができる。一部の例において、人口器官100は、例えば脛骨を切開或いは大きく穴を開けるなどの患者の人体に永久的な破壊を避けながら、患者の膝の問題を軽減する様に移植される。そのような場合、人口器官100は、その後除去されて、次に行われる治療に悪影響を与えることなく、別の人口器官又は治療と置き換えられる。
【0024】
このためには、人口器官100の外側本体部分108は、第一の部分112と第二の部分114を含む。一部の実施形態において、前記第一の部分112は本来の半月板の形と一致する。一部の実施形態において、前記外側本体部分108は、半楕円形である。従って、第一の部分112は、外側本体部分108の大部分にわたり広がっている。ブリッジ114は、第一の部分112の2つの末端と接合している。従って、人口器官が医療半月板装置として使用する構成となっている場合、前記ブリッジ114は当該装置の側面にそって伸長している。人口器官100が外側半月板装置として使用される構成となっている場合、前記ブリッジ114は当該装置の内側側面に沿って伸長している。従って、第一の部分112及びブリッジ114から成り中心本体部分110よりも厚みを有する外側本体部分108は、中心本体部分110を完全に取り囲み、移植後、人口器官100の動きを制限するように働く。すなわち、大腿骨と脛骨の間に配置されることにより人口器官100にかかる接触圧力に沿って外側本体部分108の高さが高くなっており、これにより、前記人工関節100が膝関節内における好ましい位置の範囲外に動くことを防ぐ。一部の例において、大腿骨の遠位部は、外側本体部分108によって規定される上部凹部内に受け入れられ、前記外側本体部分108の高くなった高さと前記器官100にかかる接触圧により前記凹部内に維持される。
【0025】
ブリッジ部分114の高さ又は厚みは、一部の実施形態において、大腿骨切痕の大きさと十字靱帯までの距離に基づく。一部の実施形態において、前記ブリッジ部分114は、外側本体部分108の第一の部分112の高さ又は厚さの1/4〜3/4最大の高さ又は厚みを有する。一部の実施形態において、前記ブリッジ114の大きさと形は、健康な本来の半月板の圧力分配を模倣するため、脛骨筋の平坦域への最適な圧力分配を達成するように選択される。前記ブリッジ、より広く言うと、外側本体部分108は、前部、後部、側面前部、側面中部、及び側面後部の角度、高さ、並びに矢状及び冠状の曲率半径によって幾何学的に特徴づけられる。前記ブリッジの具体的な大きさ、形、角度、曲率半径、及び他の幾何学的属性の範囲は、図3、4、6及び7に関して以下に検討する。これらの範囲は治療する患者において使用される範囲の大部分を包含するものであるが、その範囲によって限定されることが意図されるものではない。構成部材がこれらの範囲外で使用されることが望ましいか或いは必要である状況及び/又は用途があることも確実に意図されるものである。
【0026】
さらに、外側本体部分108及び中心本体部分110は、人口器官100自体が中心となるような形と大きさになっている。すなわち、人口器官100の形と大きさは、人口器官100が膝関節内の好ましい配向で配置されるか或いは並べられるように促すようになっている。従って、人口器官100が膝関節の位置範囲内で移動した場合、人口器官100は外側及び中心本体位置108及び110の形と大きさにより、好ましい配向に自然に戻る。いくつかの実施形態において、前記外側本体位置、より具体的にはブリッジ114が、物理的な障壁として働き、膝の反応応力によって引き起こされる人工関節の移動を制御する。人口器官が膝関節内で移動する機能を集めた自己センタリング或いは自己整列機構により、一般的な耐荷重歩行サイクル(例えば屈曲−伸長角が0°〜20°、又は踵への着地からつま先が離れるまで)の間、人口器官100の位置を改善する。この結果、人口器官100は、本来の半月板と同様に荷重圧力の分配を示す。
【0027】
中心本体部分110により、上部表面116と下部表面118が定められる。前記上部及び下部表面116及び118はいずれも関節支持表面である。特に、上部及び下部表面116、118は、大腿骨及び脛骨それぞれと動いて係合する構成となっている。すなわち人口器官100は、ある範囲内で、大腿骨及び/又は脛骨に対して形を変えて回転する。いくつかの例においては、前後並びに内側と外側の両方の方向に対して変形可能である。いくつかの例において、前記上部表面116は、垂直及び水平支持部材の両方を含む。そのためには、一部の実施形態において、前記上部表面116は垂直及び水平支持構成部材が規定する凹面を有する。上部表面116と下部表面118の間の中心本体部分110の厚みは垂直支持部材を支持し、上部表面116は、外見上、本体部分108に向かって延長するに従って高くなっていることにより、水平支持構成部材の輪郭を示す。同様に、一部の実施形態において、前記下部表面118は、垂直及び水平支持部材の両方を含む。特に、一部の実施形態において、下部表面118は凸状表面を有する。前記上部表面116と下部表面118の間の中心本体部分110の厚みは垂直支持部材を支え、下部表面116の高さが外側本体部分108に向かって延長するに従って先細になっていることにより、水平支持構成部材の輪郭を示す。一部の実施形態において、前記上部表面116及び/又は下部表面118は、人口器官10が中立的な位置に偏る形状となっている。例えば、前記上部表面116及び/又は下部表面116の弓型になった輪郭は、前記表面と骨との間の相互作用により骨が前記表面に対して特定の配向となる形状となっている。これにより、外側本体部分108に関して上述したように、一部の実施形態において記人口器官100は、自己センタリング或いは自己整列するようになっている。
【0028】
一部の実施形態において、前記人口器官100は、上部表面116において1若しくはそれ以上の凹部(図示せず)を含む。前記凹部により滑液が蓄積される。一部の実施形態において、前記凹部は、大腿が上部表面116と最も広範囲に接触する部分に位置する。そのような実施形態において、前記滑液は、人口器官の上部関節表面116を円滑にし、人口器官100と大腿との摩擦を制限する。凹部は、上部表面116内で様々な形状を取り得るものであり、一部の例では、患者の具体的な解剖学的特徴に基づいて形づくられる。その際、凹部は一部の実施形態において、弓型の凹部を作る傾斜したくぼみを有するものであっても良い。前記弓型の凹部は実質的に円形の輪郭、細長い輪郭、不規則な形状、及び/又はそれらの組み合わせを有するものであっても良い。人口関節100は、異なる実施形態において様々な数の凹部を有する。一部の実施形態において、人口関節100は、図1に示すように上部表面116に凹部を有するものではない。
【0029】
図1及び2に示すように、上部関節表面116は、外側本体部分108で囲まれている。その際、外側本体部分108の第一部分112及びブリッジ114が、前記上部表面部分116が前記外側本体部分108に埋め込まれるように、中心本体部分に対して高くなった周縁部又は障壁の輪郭を示す。より具体的な図3、4、6及び7を参照すると、現在の実施例において、前記外側本体部分108は、一方の面上で上部関節接合表面116に向かって先細になっており、もう一方の面で人口関節100の外部表面122に向かって先細になっている実質的に凸状の上部表面120の輪郭を示す。従って、中心本体部分110の前記上部表面116と、中心本体部分108の前記上部表面部分120は、例えば大腿顆などの大腿の一部を受け入れる構成である凹んだ凹部の輪郭を示す。従って、一部の例において、人口器官100が移植された場合、外側本体部分108に囲まれた中心本体部分110が、大腿顆を脛骨プラトーから隔離又は脛骨プラトーを和らげる働きをする。この際、前記外側本体部分108は、人口器官の大腿顆に対する動きを妨げる働きをする。特に、現在の実施形態において、外側本体部分108は、動きながら人口関節100と噛み合う大腿の一部が外側本体部分108を超えて横方向に動くのを防ぐ。このように、人口器官100は、衝撃吸収及び大腿と脛骨の間の望ましいトライボロジーを提供する。
【0030】
より具体的に図2〜8を参照して、人口器官100の典型的な大きさ、形、角度、曲率半径、及びその他の幾何学的属性について説明する。これらの範囲は、患者の治療に用いられる範囲の大部分を包含することが理解されるが、それによって限定されることを意図するものではない。これらの範囲外の部材を使用することが望ましい又は必要な場合の状況及び/又は用途があることが確実に予期される。
【0031】
より具体的に図3を参照すると、図2の切断線3−3も沿った人口器官100の断面図が示されている。示したように、現在の実施形態において、外側本体部分108は埋め込まれた複数の繊維124を含む。前記埋め込まれた繊維124は、一部の実施形態において、人口器官100に予備的に張力をかけるために(pretension)使用される。一部の実施形態において、前記埋め込まれた繊維124は、中心本体部分110と比較して外側本体部分108の剛性及び/又は強度を高めるために使用される。一部の実施形態において、前記繊維124は人口器官100に予備的な張力をかけるため、並びに半径方向の剛性及び/又は外側本体部分108の張り骨を増強するための両方に対して使用される。一部の例において、前記埋め込まれた繊維124は、高分子量のポリエチレンを含む。ある特定の実施形態において、前記繊維124は、超高分子量ポリエチレンを含み、人口器官100の少なくとも外側本体部分108を形成するポリカーボネートポリウレタン内に埋め込まれている。
【0032】
一部の例において、前記繊維124は、ブリッジ114が外側に外見上斜めになるのを防ぎ、これにより人口器官100が膝から引き離されるのを防ぐ。繊維124は、ブリッジ114に適応された放射状に外側に向かった力を、大腿に連結した、人口器官100の反対側にある外側本体部分108の特定部分に移す傾向がある。これにより、繊維124は、不必要な人口器官100の動きを妨げ、特に、人口器官が膝関節から滑り落ちたり急にとびぬけるのを防ぐ。しかしながら、挿入されている間、繊維が内側に放射状に向かった放射状の或いは圧縮した力に反発しないように、ブリッジ114は、挿入構造(例えば図9aを参照)内側に折りたたまれていても良い。ブリッジ114がいったん挿入されると、支持関節丘表面を超え、大腿ノッチに隣接するようになり、人口関節の中心部材の弾性特性により、ブリッジが外側方向に撓み、固定構造をもたらす(例えば図9bを参照)。
【0033】
図3に示すように、外側本体部分108の第一部分112は切断線3−3において高さと厚み126を有する。この際、第一部分112の前記高さと厚み126は、約4mm〜約15mmであり、一部の例においては、約5.7mm及び9.3mmである。現在の実施形態において、前記第一部分112の高さ又は厚み126は、約7.6mmである。より小さな実施形態において、前記高さと厚み126は、5.7mmである。より大きな実施形態において、前記高さと厚みは、約9.3mmである。現在の実施形態において、中央関節板として使用される構造となっており、高さ又は厚み126は、外側本体部分108の第一部分112の前内側の高さ又は厚みとして考慮されても良い。外側半月板の代替として、外側代替物として構成された類似の人口器官の相当する高さ又は厚みは類似した範囲内であり、外側本体部分の前外側の高さ又は厚みとみなされる。
【0034】
同様に、外側本体部分108のブリッジ114は、切断線3−3における高さ又は厚み128を有する。前記ブリッジ114の高さ又は厚み128は、約4mm〜約15mmの間であり、一部の実施例においては、5.1mm、及び約8.8mmである。現在の実施形態において、前記ブリッジ114の高さ又は厚み128はおよそ7.0mmである。小さい実施形態において、前記高さ又は厚み128は、およそ5.1mmである。大きな実施形態において、前記高さ又は厚みはおよそ8.8mmである。内側半月板の代替として使用される構造となっている現在の実施形態において、前記高さ又は厚み128は、前記ブリッジ114の前外側の高さ又は厚みとみなされる。外側半月板の代替において、外側代替物用に構成された類似の人口器官の前記相当する高さ又は厚みは、同様の範囲内であっても良く、前記ブリッジの中央前部の高さ又は厚みとみなされる。
【0035】
前記ブリッジ114の内部表面130は、前記ブリッジ114と中央本体部分110の関節表面上部116とを連結している。前記内部表面130は、切断線3−3において曲率半径132を有する。この際、前記曲率132は約5mm〜約70mmであり、一部の例においては、約9.3mm及び約15.3mmである。現在の実施形態において、前記曲率半径132は、およそ12mmである。小さい実施形態において、前記曲率半径132はおよそ9.3mmである。大きな実施形態において、前記曲率半径はおよそ15.3mmである。一部の実施形態において、前記曲率半径132は、上部表面116の曲率半径より小さいものである。現在の実施形態は、内側半月板の代替として使用されるように構成されており、前記曲率半径132は人口器官100の外側前方曲率半径とみなされる。外側半月板の代替物において、前記外側代替品のために構成された同様の人口器官の相当する曲率半径は類似の範囲内であり、当該人口器官の内側前方曲率半径とみなされる。
【0036】
切断線3−3において、前記ブリッジは、全体に、人口器官100によって定義される面に対して実質的に垂直な軸136に関して、角度134で伸長している。一部の例において、前記軸136は、中心本体部分110とブリッジ114との交点から伸長している。前記角度134は、約20°〜約70°であり、一部の例においては、約30°〜約32°である。現在の実施形態において、前記角度134は、およそ31°である。より小さい実施形態において、前記角度134はおよそ30°である。より大きな実施形態において、前記角度134はおよそ32°である。内側半月板の代替物として使用されるように設計された現在の実施形態において、前記角度134は、人口器官100の前外側角度とみなされる。外側半月板の代替物において、外側代替物用に設計された同様の人口器官の相当する角度は、類似の範囲内であり、当該人口器官の前内側角度とみなされる。
【0037】
より具体的な図4を参照すると、図2の切断線4−4に沿った人口器官100の断面図が示されている。示したように、外側本体部分108の第一部分112は、切断線4−4において厚さ又は高さ138を有する。この際、前記第一部分112の高さ又は厚さ138は、約4mm〜約15mmの間であり、一部の実施形態においては、約5.8mm〜約9.5mmである。現在の実施形態において、前記第一部分112の高さ又は厚さ138は、およそ7.7mmである。より小さな実施形態において、前記高さ又は厚さ138はおよそ5.8mmである。より大きな実施形態において、前記高さ又は厚さは、およそ9.5mmである。内側半月板の代替物として使用されるように設計された現在の実施形態において、前記高さ又は厚さ138は、外側本体部分108の第一部分112の中間の高さ又は厚さとみなされる。外側半月板の代替物において、外側代替物用に設計された同様の人口器官の相当する高さ又は厚さは、類似の範囲内であり、外側本体部分の中間の高さ又は厚さとみなされる。
【0038】
同様に、前記外側本体部分108の外側は、断面線4−4における高さ又は厚さ140を有する。前記ブリッジ114の高さ又は厚さ140はまた、約4mm〜約15mmの間であり、一部の例においては、約4.6mm、及び約7.8mmである。現在の実施形態において、前記ブリッジ114の高さ又は厚さ140はおよそ6.0mmである。より小さな実施形態において、前記高さ又は厚さ140はおよそ4.6mmである。より大きな実施形態において、前記高さ又は厚さ140は、およそ7.8mmである。内側半月板代替物として使用されるように設計された現在の実施形態において、前記高さ又は厚さ140は、ブリッジ114の中間の高さ又は厚さとみなされる。
【0039】
前記ブリッジ114と関節116とをつなぐ内面130は、切断線4−4において、曲率半径142を有する。この際、前記曲率半径142は約8mm〜約30mmであり、一部の例においては、約8.9mm、及び15.2mmである。現在の実施形態において、前記曲率半径142は約14mmである。より小さな実施形態において、前記曲率半径142はおよそ8.9mmである。より大きな実施形態において、前記曲率半径はおよそ15.2mmである。一部の例において、前記曲率半径142は、上部表面116の曲率半径より小さいものである。半月板代替物として使用されるように設計された実施形態において、前記曲率半径142は、人口器官100の中間外側曲率半径とみなされても良い。外側半月板代替物において、外側代替物用に設計された類似の人口器官の相当する曲率半径は、同様の範囲内であり、人口器官の中間内側曲率半径とみなされるものである。
【0040】
切断線4−4において、ブリッジ114は、示したように、概して人口器官100によって定義される面に対して実質的に垂直に延長した軸146に対して角度144で延長している。前記角度144は、約15°〜約60°の間であり、一部の例においては、約18°〜約20°の間である。本実施形態において前記角度144は、およそ19°である。より小さい実施形態において、前記角度144はおよそ18°である。より大きな実施形態において、前記角度144はおよそ20°である。内側半月板代替物として使用されるように設計された実施形態において、前記角度144は、人口器官100の中間外側角度としてみなされる。外側半月板代替物において、外側代替物用に設計された類似の人口器官の相当する角度は、同様の範囲内であり人口器官の中間内側角度とみなされる。
【0041】
外側本体部分108のブリッジ114はまた、断面線4−4において、幅又は厚み148を有する。前記ブリッジ114の幅又は厚みは148は約1mm〜約5mmであり、一部の例においては、約2.0mm〜3.3mmである。本実施形態において、前記ブリッジ114の幅又は厚み140は、およそ2.0mmである。より小さな実施形態において、前記幅又は厚み140もまた、およそ2.0mmである。より大きな実施形態において、前記幅又は厚み140はおよそ3.3mmである。内側半月板代替物として使用されるように設計された実施形態において、前記幅又は厚さ148は、ブリッジ100の中間外側幅又は厚みとみなされる。外側半月板代替物において、外側代替物用に設計された類似の人口器官の相当する幅又は厚みは、同様の範囲内であり、前記ブリッジの中間内側幅又は厚みとみなされる。一部の実施形態において、ブリッジ114の幅又は厚みは、実質的に、人口器官100の前方から後方に伸びた前記ブリッジの長さに沿って一定である。別の実施形態において、ブリッジ114の幅又は厚みは、人口器官100の前部から後部に伸びたブリッジの長さに沿って代わるものである。
【0042】
図5を参照すると、人口器官100の断面図が、別の人口器官102と比較して示してある。より具体的には、図5は、図2の切断線4−4に沿った人口器官100の断面図であり、別の人口器官102の相当する断面線に沿って切断した断面図と比較して示したものである。図示したように、人口器官100は、人口器官102のより大きな輪郭と比較して小さな輪郭を有する。この場合、人口器官102は、患者の本来の半月板の大きさと実質的に適合する大きさとなっているのに対して、人口器官100は、それが配置される前記本来の半月板の大きさと比べて小さな大きさを有する。これは、人口器官100が一部の実施形態において、小さな大きさに予備的に張力(pretension)がかけられている。特定の実施形態において、外側本体部分108の中に埋め込まれた繊維は、前記器官100を、予備的に張力をかけるために用いられる。一部の実施形態において、前記人口器官100は、一旦膝関節に配置され、支圧部分に荷重がかけられると、伸長或いは拡張する。一部の実施形態において、負荷力が人口器官100にかけられると、前記外側本体部分108は、外側に拡張する形状となっており、内側本体部分110は、負荷力がかけられた場合に大腿及び脛骨の係合表面に従う形状となっている。そのため、大腿と嵌合する人口器官100の内側壁の角度は、外向きに圧接し、ただ単に下向きに圧縮しない。従って、一部の実施形態において、ある患者を治療用に選択された人口器官100は、人口器官が配置される所にある本来の半月板より意図的に小さくされる。
【0043】
図6を参照すると、図2の断面線に沿った人口器官100の断面図が示してある。示したように、外側本体部分108の第一部分112は、断面線4−4における高さ又は厚み150を有する。この際、前記第一部分112の高さ又は厚み150は、約4mm〜約15mmであり、一部の例においては、約5.8mm〜約9.1mmである。本実施形態において、前記第一部分112の高さ又は厚み150は、およそ7.5mmである。より小さな実施形態において、前記高さ又は厚み150はおよそ5.8mmである。より大きな実施形態において、前記高さ又は厚み150はおよそ9.1mmである。内側半月板代替物として使用されるように設計された本実施形態において、前記高さ又は厚み150は、前記外側本体部分108の第一部分112の内側後部の高さ又は厚みとみなされる。外側半月板代替物において、外側代替物のために設計された類似の人口器官の相当する高さ又は厚みは、類似の範囲内であり、前記外側本体部分の外側後部の高さ又は厚みとみなされる。
【0044】
同様に、前記外側本体部分108のブリッジ114は、断面線6−6における高さ又は厚み152を有する。前記ブリッジ114の高さ又は厚み152はまた、約4mm〜約15mmであり、一部の例においては約8mm〜約12.1mmである、本実施形態において、前記ブリッジの高さ又は厚み152はおよそ8.8mmである。より小さな実施形態において、前記高さ又は厚みはおよそ8.0mmである。より大きな実施形態において、前記高さ又は厚み152は、およそ12.1mmである。内側半月板代替物として使用されるように設計された本実施形態において、前記高さ又は厚み152は、前記ブリッジ114の外側後部の高さ又は厚みとみなされる。外側半月板の代替物において、外側代替物用に設計された類似の人口器官の相当する高さ又は厚みは類似の範囲内であり、前記ブリッジの内側後部の高さ又は厚みとみなされる。
【0045】
ブリッジ114が関節表面116と接触した内部表面130は、断面線6−6における曲率半径154を有する。この場合、前記曲率半径154は約5nm〜約50nmであり、一部の例においては、約7.4mm〜約11.6mmである。本実施形態において、前記曲率半径154はおよそ11mmである。より小さな実施形態において、前記曲率半径154はおよそ7.4mmである。より大きな実施形態において、前記曲率半径154はおよそ11.6mmである。一部の例において、前記曲率半径154は上部表面116の曲率半径より小さいものである。内側半月板として使用されるように設計された実施形態において、前記曲率半径154は人口器官100の後部側面曲率半径とみなされる。側面半月板の代替物において、側面代替物のために設計された類似の人口器官の相当する曲率半径は類似の範囲内であり、人口器官の内部後部曲率半径とみなされる。
【0046】
断面線6−6において、ブリッジ114は概して、示したように、人口器官100によって定義される面に対して実質的に垂直に延長した軸158に対して、角度156で延長している。前記角度156は、約15°〜約60°であり、一部の例において約29°〜約31°である。本実施形態において、前記角度156はおよそ30°である。より小さな実施形態において、前記角度156はおよそ29°である。より大きな実施形態において、前記角度156はおよそ31°である。内側半月板代替物として使用されるように設計された実施形態において、前記角度156は、人口器官100の側面後部角度とみなされる。側面半月板代替物において、側面代替物として設計された類似の人口器官の相当する角度は類似の範囲内であり、人口器官の内側後部角度とみなされる。
【0047】
図7を参照すると、図2の切断線7−7に沿った人口器官100の断面図が示されている。切断線7−7は、人口器官100の外側本体部分108のブリッジ114を通して延長している。示したように、外側本体部分108のブリッジ114は、切断線7−7において前部高さ又は厚み160を有する。この場合、前記ブリッジ114の高さ又は厚み160は、約4mm〜約15mmであり、一部の例においては、約5.7mm〜約9.3mmである。本実施形態において、前記ブリッジ114の前部高さ又は厚み160はおよそ7.8mmである。より小さな実施形態において、前記前部高さ又は厚み160はおよそ5.7mmである。より大きな実施形態において、前記前部高さ又は厚み160はおよそ9.3mmである。外側本体部分108のブリッジ114は切断線7−7において後部高さ又は厚み162を有する。前記ブリッジ114の後部高さ又は厚み162は、約4mm〜約20mmであり、一部の例においては、約7.7mm〜約12.7mmである。本実施形態において、ブリッジ114の後部高さ又は厚み162は、およそ9.0mmである。小さな実施形態において、前記後部高さ又は厚み162は、よそ7.7mmである。大きな実施形態において、前記後部高さ又は厚み162は、およそ12.7mmである。
【0048】
ブリッジ114の上部表面の前方部分は、切断線7−7において、前部曲率半径164を有する。この際、前記前部曲率半径164は、約10mm〜100mmであり、一部の実施形態においては、約23.0mm〜約33.1mmである。本実施形態において、前記曲率半径164はおよそ72mmである、他の実施形態において、曲率半径164はおよそ28mmである。より小さな実施形態において、前記曲率半径164はおよそ23mmである。より大きな実施形態において、前記曲率半径164はおよそ33.1mmである。ブリッジ114の上部表面の後方部分は、切断線7−7において後部曲率半径166を有り、一部の例においては、約15.2mm〜約24.2mmである、本実施形態において、前記曲率半径166はおよそ18.5mmである。より小さな実施形態において、前記曲率半径166はおよそ15.2mmである、より大きな実施形態において、前記曲率半径166はおよそ24.2mmである。
【0049】
さらに、ブリッジ114の上部表面の前方部分は、一般に、示したように人口器官100によって定義される平面に対して実質的に垂直に伸長した軸170に対して前部角度168で伸長する。前部角度168は、約45°〜約75°であり、一部の例においては約62°〜68°である。本実施形態において、前記角度168は、およそ65°である。より小さな実施形態において、前記角度168はおよそ62°である。より大きな実施形態において、前記角度は68°である。ブリッジ114の上部表面の後方部分は、示したように、一般に、人口器官100によって定義される平面に対して実質的に垂直に伸長した軸174に対して後部角度172°で伸長している。後部角度172は約35°〜約70°であり、一部の例においては、約55°〜約61°である。本実施形態において、前記角度172はおよそ58°である。より小さな実施形態において、前記角度172はおよそ55°である。より大きな実施形態において、前記角度172はおよそ61°である。
【0050】
中心本体部分110は、切断線7−7における上部関節表面116と低関節表面118との間の高さ又は厚み176を有する。一部の実施形態において、前記高さ又は厚み176は、中心本体部分110の最低の厚みであり、より具体的な実施形態において、人口器官100全体における最低厚みである。そのためには、前記高さ又は厚み176は、約1mm〜約3mmであり、一部の例においては、約1.2mm〜約2.1mmである。本実施形態において、前記高さ又は厚み176はおよそ1.5mmである。より小さな実施形態において、前記高さ又は厚み176はおよそ1.2mmである。より大きな実施形態において、前記高さ又は厚み176はおよそ2.1mmである。
【0051】
再度図2を参照すると、人口器官100は、第一部分112の外側境界線と、外側本体部分108のブリッジ114の間を伸びた最大又は全幅178を有することが示されている。この場合、前記幅178は約20mm〜約65mmであり、一部の例においては約24.8mm〜40.6mmである。本実施形態において、前記幅178はおよそ32mmである。より小さな実施形態において、前記幅178はおよそ24.8mmである。より大きな実施形態において、前記幅178はおよそ40.6mmである。また、人口器官100は、外側本体部分108の第一部分112の対立外側境界線の間を伸びた最大又は全長180を有する。この場合、前記長さは約20mm〜約60mmであり、一部の例において、約34.5mm〜56.5mmである。本実施形態において、前記長さ180はおよそ46mmである。より小さな実施形態において、前記長さ180はおよそ34.5mmである。より大きな実施形態において、前記長さ180はおよそ56.5mmである。
【0052】
ここから、図8を参照すると、代替人口器官102と比較した人口器官100の断面図が示されている。より具体的には、図8は、相当する断面線に沿った代替人口器官102の断面図と比較して示した図2の切断線8−8に沿った人口器官100の断面図である。上述した図5と同様に、人口器官100は、人口器官100のより大きな断面と比較して小さい断面を有する。この場合、人口器官102は、また、患者の本来の半月板の大きさと実質的に適合する大きさであるのに対して、人口器官100は、とってかわる本来の半月板と比較して小さな大きさを有する。人口器官100は、一部の例においては、予備的に張力がかけれて小さな大きさとなる。一部の実施形態において、前記人口器官100は膝関節内に位置付けされると、伸長或いは拡大する設計となっており、荷重を支える状態に曝される。一部の例において、外側本体部分108は、人口器官に荷重がかけられると外側に伸長する設計となっており、内部本体部分110は荷重がかけられると大腿及び脛骨の嵌合表面に同調する設計となっている。そのためには、大腿と一致する人口器官100の内部壁の角度が、人口器官に荷重がかけられ、外側本体部分108はただ単に下に圧縮されるのではなく外側に促されるように、十分に急勾配となっている。従って、一部の例において、患者を治療するために用いられるように選択された人口器官100は、意図的に取り換えられる本来の半月板の大きさより小さくなっている。
【0053】
一部の例において、外側本体部分108は、中心本体部分110と比較して硬くなっている。以下に詳細に説明しているように、この増加した剛性は、異なる材料特性、形状、支持体の特徴、及び/又は中心本体部分110と外側本体部分108の間の剛性を変化させるための他のメカニズムによるものである。さらに、一部の実施形態において、前記外側本体部分108は、予備的に張力がかけられて、人口器官100が膝関節内に適合して嵌合するのを改善する。一部の例において、人口器官100の予備的張力は、人口器官の耐負荷表面の接触面積を最大限に増加させ、健康な本来の半月板と実質的に同様の方法で、人口器官100を介して荷重を分配させる。一部の実施形態において、外側本体部分108の1つの特徴は、人口器官100に予備的に張力をかけること、及び外側本体部分の剛性及び/又は強度を増加させることの両方に利用されることである。
【0054】
一部の実施形態において、人口器官100の外側本体部分108は、上述した器官に予備張力をかけるために変形制御要素が利用される。前記変形制御要素は、材料特性、構造特性、更なる構成部材及び/又はその組み合わせである。ここで述べる様々な変形制御要素は組み合わされることにより、さらに外側本体部分108の変形の量が制限又は規定され、及び/又は人口器官の予備張力量が調整されても良いことが理解される。一部の実施形態において、外側本体部分108は、中心本体部分と比較して外側本体部分の剛性及び/又は強度を増加させるための材料又は繊維を含む。特定の実施形態において、人口器官100の中心本体部分は、DSM Dynnema UHMWPE繊維により補強された外側本体部分108を有するBionate80Aが形成される。Bionate80Aは、人口軟骨と類似した弾性の引張応力を有する弾力性のあるポリマー材料であり、一部の実施例においては、前記引張応力は、約1〜10MPa、及び一部の例においては、約4〜8MPaである。他の実施例のように、ある実施形態において、外側本体部分108は、外側本体部分108の強度及び制限された柔軟性をさらに与えるカーボン繊維を含む。一部の実施形態において、前記カーボン繊維は、外側本体部分108が曲げられる前に注入される。他の実施形態において、外側本体部分108は、カーボン繊維の周りに形成又は成形される。他の実施形態において他の添加材又は繊維が、外側本体部分108の材料を強化するために使用される。外側本体部分108及び人口器官100を形成するために使用される基材によって、特定の添加物又は強化材料が使用される。一部の例において、前記添加材は、外側本体部分108の基剤全体に実質的に均一に配分されている。他の実施形態において、変形制御要素は外側本体部分108の規定の部分のみを含むものである。この場合、変形制御要素は外側本体部分108のある部分に沿って伸びていても良く、前記変形制御要素は外側本体部分の特定の部分の範囲内に配置されていても良く、或いはそれらの組み合わせであっても良い。
【0055】
別の実施形態において、前記外側本体部分108は、変形制御要素及び/又は予備張力要素として作用する強化層を有する。一部の例において、前記強化層は、ワイヤー、ケーブル、フィラメント、糸、及び/又は強化層を通した構造物を有する。人口器官100の柔軟性、変形及び/又張力を制限するために、前記強化層により外側本体部分の剛性が高められる。一部の実施形態において、前記強化層はカーボン繊維である。別の実施形態において、前記強化層は金属、ポリマー、又は中心本体部分110から成る材料と比較して増強された強度及び/又は合成を有する他の材料を含むものである。一部の実施形態において、前記強化層は、前記人口装置108が曲げられる前に外側本体部分108に挿入される。一部の実施形態において、前記強化層は、本体部分108における開口部分に挿入され更なる材料が前記開口部分に挿入されることにより、前記開口部分が閉じられて前記強化層がそこに固定される。前記強化層は、望ましい剛性、変形特性、及び/又は張力を外側本体部分108に提供するように構成された切断面を有する。更に、前記強化層は外側本体部分の範囲内に適切に配置され、望ましい剛性、変形特性、及び/又は張力を外側本体部分108に提供する。一部の実施形態において、外側本体部分108は、複数の強化層を含むものである。この場合、前記強化層は、外側本体部分108とほとんど同じように間隔をあけて配置され、及び/又は人口器官の隣接上部表面から人口装置の隣接下部表面に伸びた周囲強化壁を形成する。
【0056】
一部の実施形態において、外側本体部分108は、外側本体部分の変形特性を規定するための1若しくはそれ以上の凹部及び/又は逃げ溝を有する。別の例において、前記構成部材は、外側本体部分108における凹部に注入又は導入される。一般に、凹部の大きさ及び構成部材の特性は、望ましい変形特性及び/又は外側本体部分108の張力を達成するために調節される。一部の実施形態において、前記凹部は外側本体部分の高さの1/8〜2/3であり、尚且つ外側本体部の幅の1/8〜2/3を有する。多くの実施形態において、前記構成部材は、実質的に凹部44全体を埋めるものである。しかしながら、一部の実施形態において前記構成材料は凹部のみを埋めるものである。そのような実施形態において、前記凹部の残りの部分は空洞のままであるか、或いは別の材料で埋められていてもよい。一部の実施形態において、前記構成材料は、更なる材料が凹部にある残った開口空間に導入されることにより、前記凹部に固定される。
【0057】
別の実施形態において、外側本体部分108は変形制御要素及び/又は予備張力要素として働く強化層を有する。一部の例において、強化層は、ワイヤー、ケーブル、フィラメント、糸、及び/又はそこを通って延長した構造を有する。強化層は、外側本体部分108の剛性を増強させることにより、人口器官100の柔軟性、変形、及び/又は張力を制限する。一部の実施形態において、強化層は、カーボン繊維を有する。別の実施形態では、強化層は、金属、ポリマー、又は中心本体部分110を有する材料と比較して増強された硬度及び/又は合成を有する他の材料を有する。一部の実施形態においては、外側本体部108の少なくとも一部が強化層の周りに形成されている。別の実施形態において、前記強化層は、人口器官108が曲げられる前に外側本体部分108に挿入される。一部の実施形態において、前記強化層は、本体部分108の開口部分に挿入され、更なる材料が前記開口部分に挿入されることにより、前記開口部分が閉じて、前記強化層がそこに固定される。強化層は、望ましい剛性、変形特性、及びまた張力を外側本体部分108に提供するように設計されている断面を有する。さらに、前記強化層は、外側本体部分108の範囲内に適切に配置されることにより、望ましい剛性、変形特性、及び/又は張力を外側本体部分108に与える。さらに、強化層は外側本体部分108の範囲内に適切に配置され、望ましい剛性、変形特性、及び/又は張力を外側本体部分108に与える。一部の実施形態において、外側本体部分は、複数の強化層をその中に含む。この場合、複数の強化層は外側本体部分108の同じ間隔をあけて配置され、及び/又は外側本体部分の特定範囲にまとめられる。一部の例において、前記複数の強化層は、人口器官の上部表面近隣から人口器官の下部表面近隣に伸びた特定強化壁を形成する。
【0058】
一部の実施形態において、外側本体部分108は1若しくはそれ以上の凹部及び/又は外側本体部分の変形特性を規定するための構成部材を受け入れる逃げ溝を有する。例えば、一部の例において前記構成部材はワイヤー、ケーブル、又は上述のものと類似したフィラメントであっても良い。他の例において、前記構成部材は注入、或いは外側本体部分108における凹部に導入される材料であっても良い。一般に、凹部の大きさ及び構成部材の特性は、外側本体部分108の望ましい変形特性及び/又は張力を達成するために調節される。一部の例において、前記凹部は外側本体部分の高さの1/8〜2/3であり、尚且つ外側本体部分の幅の1/8〜2/3である。多くの実施形態において、前記構成部材は実質的に凹部44全体を満たすものである。しかしながら、一部の実施形態においては、前記構成部材は、凹部を部分的に満たすような大きさとなっている。そのような実施形態において、前記凹部の残りの部分は満たされないままとなっているか、或いは別の材料で満たされているものであっても良い。一部の実施形態において、前記構成部材は、更なる材料が凹部の残りの空いた空間に導入されることにより、前記凹部に固定される。
【0059】
上述したように、人口器官100は、大腿又は脛骨にしっかりと固定されることなく使用される設計となっている。しかしながら、一部の実施形態において、人口器官100は、骨の一部と周辺組織を係合する定着部材を含む。そのような実施形態の一部において、人口器官100は、人口器官の下部表面から下に伸びた定着部材を含む。定着部材は、一部の例において、下部表面からブリッジ114近傍まで実質的に並行に延びている。ある実施形態において、前記定着部材は、鍵穴手術アプローチにより、脛骨プラトーなどの脛骨部分に手術により切開された相補的鍵穴形状の溝に嵌合する設計となった龍骨構造を含む。別の実施形態において定着部材は、脛骨に噛み合うように調製された溝と嵌合するように設計されたばち形を含む。別の実施形態において、前記固定部材はブリッジ114に対して実質的に垂直及び/又はブリッジ114に対して傾斜したな方向を含む、人口器官の別の部分及び/又は他の方向から延びている。前記定着部材の別の配置及配向は、他の術的アプローチ、患者の特定の解剖学的属性、半月板の特定の配向性、物理的設定、及び/又は他の因子と適合するように使用される。前記固定部材は、一部の実施形態において、人口器官の外皮部分として製造される。
【0060】
一部の実施形態において、定着装置(例えば、骨用ねじ、釘、ステープルなど)は、人口器官100を脛骨に固定する定着部材と組み合わせて、或いはその代わりに使用される。この場合、人口器官は一部の実施形態において、前記定着装置を受け入れ更に嵌合する設計となった開口部或いは凹部を含む。更に、そのような実施形態において、定着は、人口器官の底表面が生物学的活性コーティング剤で被覆され、さらに人口器官が脛骨プラトーに定着するのを改善する様に自然の組織成長を促すことが好ましい。前記被覆は、一部の実施形態において、組織成長を促すために好ましい任意の材料を前記底表面にグリット噴射又はスプレーすることにより形成される、より具体的には脛骨と人口器官との間の骨成長を促すために採用された材料を用いる。
【0061】
一部の例において、人口器官100に対する内部予備張力を適用することは、上部及び下部表面116、118の接触面を最大化し、本来の半月板の荷重分配をシュミレーションする最適な方法で荷重が分配される。実験的及びコンピュータ(例えば有限要素)による分析に基づけば、上述した人口器官100などの半月板人口器官に対する内部予備張力を適用することにより、前記器官の耐荷重機能を改善することが見出された。特に、予備張力は、人口軟骨にかけられたピークストレスを減少させ、前記器官の全耐荷重閾値を高め、前記器官の荷重分配を改善する。
【0062】
一部の実施形態において、前記人口器官100は、DSM Dyneema(登録商標)などの埋め込み繊維と一体化された、PTG Bionate(登録商標)Polycarbonate−Urethane(PCU)、80 Shore Aなどの柔軟性のあるホスト材料を含む。そのような実施形態において、前記埋め込み繊維は、人口器官に予備張力をかけるために使用されても良い。人口器官100に予備的に張力がかけられた場合、柔軟性を有するホスト材料により、人口器官に、負荷機能として、大腿と脛骨の表面の係合がもたらされる。一方、埋め込まれた繊維は、人口器官が短期間で破損するリスクを大幅に減らすように、柔軟性ホスト材料よりも大きな負荷がかけられる。一部の例においては、置換される本来の半月板よりも少ない予備張力が人口器官100に適用される。この場合、前もって行われる機械テスト及び有限要素分析により、縮小インプラントを使用した場合の予備張力の有効性が示される。一部の実施形態において、予備張力に曝された人口器官100は、置換される本来の半月板の大きさに対して0.5〜7.5%縮小しており、一部の例においては、約2.0%〜約4.0%縮小している。この場合、人口器官の具体的な大きさは、具体的な患者の膝構造によって決定される。一部の例において、前記器官に予備張力をかけることにより前記器官の大きさが小さくなる。具体的には、繊維又は前記器官に張力をかける他の要素の張力により、前記器官の全体の大きさを収縮又は縮小する。一部の例においては、前記人口器官の膝関節内に荷重をかけることにより、前記器官が、望ましい移植サイズに拡張又は伸長する。
【0063】
接触帯の添加
予め張力をかけた器官において、人工器官100と大腿骨との接触は、外側本体部108で最初に生じる。これは、重量が大腿骨を通じて人工器官に移動し、且つ外側本体部108を外側におし進めるにつれて、人工器官の中央本体部110を伸ばすことになる。外側本体部108の係合角度は、前記器官100に印加される圧縮力が少なくとも部分的に前記強化用繊維に移されるようになる。いくつかの場合には、前記外側本体部108は外側に強いられ、前記中央本体部110は、単に前記外側本体部を圧縮する大腿骨よりも、大腿骨を介して適用される重量に伸びる。前記中央本体部110および上下の関節面116、118のこの伸張は、前記人工器官100に作用する平均およびピークの荷重圧力を下げるのに加えて、前記人工器官と大腿骨と脛骨との間に接触領域を増加させる(例えば、図9bおよび10の間の移行を参照)。
【0064】
図9aに示すように、ある場合には、強化用繊維124は、外側本体部108の外側への動きを制限し、限定し、或いは他の方法で相反するが、前記器官100を内側で折り重ならせ、又は崩壊させる。人工器官100は、図9aにおいて折り畳み移植配向に示される。この点について、ブリッジ部114は、中央本体部110に向けて折り畳まれ、又は折り込まれ、膝関節への前記器官100の導入を容易にする。一部の実施形態において、前記ブリッジ部114は、この挿入構造において折り畳まれ、且つ圧縮される。ある場合には、前記ブリッジ部114は弾性を有し、挿入後に、その原型の、折り畳まれていない構造に戻るようにしている(例えば図9bを参照)。特に、一旦前記ブリッジ部114が大腿骨104の反対側に接し、且つ広がる余地があれば、前記ブリッジ部114はその中立位置に戻る。従って、一部の外科的手法において、前記人工器官100の一部は、折り畳まれ、及び/若しくは圧縮され、前記器官の膝関節への挿入を容易にする。本実施形態において、前記ブリッジ114は折り畳まれ/圧縮されているように示されている一方、他の例においては、外側本体部108の他の部分が折り畳まれ、及び/若しくは圧縮される。
【0065】
図9bに示すように、人工器官100を有する大腿骨および脛骨間の初期接触において、上側表面116と大腿骨との間のギャップ182、及び下側表面118と脛骨との間のギャップ184が存在する。この点に関して、骨104、106および人工器官100の初期接触は、上側の一定の接触領域186と下側の一定の接触領域188とを有する。前記一定の接触領域186および188は、人工器官100が膝関節に挿入された後、大腿骨および脛骨のそれぞれと一定の接触がある。従って、一部の例において、前記一定の接触領域186および188は、前記器官100の上部及び下部の環状の表面積から成る。この点について、前記一定の接触領域186および188は、外側本体部108の一部、または外側本体部108および中央本体部110の組合せから成ることもできる。上部および下部の一定の接触領域186および188は、それぞれ、上部および下部の間欠的な接触領域190および192である。前記人工器官100が十分に荷重すると、前記間欠的な接触領域190および192は、それぞれ、大腿骨および脛骨と接触する状態になる。より具体的には、荷重が前記人工器官100に適用されるにつれ、前記接触領域186および188のテーパー表面は、前記外側本体部108をわずかに外側においやり、大腿骨および脛骨が前記間欠的な接触領域190および192に接触する状態になる。一部の場合には、荷重すると、前記人工器官の材質の曲げ易い性質が前記間欠的な接触領域190および192を、大腿骨および脛骨の荷重する顆の形に一致させる。この場合、前記間欠的な接触領域190および192は、前記一定の接触領域186および188がするような、大腿骨および脛骨と常に係合することはない。一部の場合、前記間欠的な接触領域190および192は、それぞれ、前記一定の接触領域186および188によって、円周方向に、又は環状に囲まれ及び/若しくは特徴付けられる。さらに、一部の実施形態において、追加の間欠的な接触領域190および192が前記一定の接触領域186および188の外側に含まれる。従って、一部の場合において、前記間欠的な接触領域190および192は、中央本体部110及び/若しくは外側本体部108の一部を有する。一部の実施形態において、前記一定の接触領域186および188は、前記器官100の周囲に延び、前記間欠的な接触領域は前記一定の接触領域内にだけ存在することになる。一部の場合において、前記一定の接触領域186および188は、大腿骨及び/若しくは脛骨の外形に実質的に合うように成形される。図1を参照すると、上部の一定の接触領域186と間欠的な接触領域190との配向性の1つの例が見て取れる。
【0066】
図10を参照すると、前記人工器官100が大腿骨と脛骨との間で体重負荷にさらされると、前記外側本体部は外側に追いやられ、且つ前記中央本体部110は、上下の表面116及び118と、大腿骨および脛骨との間で、実質的に均一な接触を達成する。図示するように、ギャップ182、184は取り除かれ、前記間欠的な接触領域190、192と前記一定の接触領域186、188とは、それぞれ、大腿骨及び脛骨と接触する。前記中央本体部110の材質の柔軟性は、前記材質が、ある場合には軟骨を有する大腿骨及び脛骨の接触面の形に一致することができるため、持続的な接触を促進する。さらに、前記人工器官100の伸縮及び嵌め合わせは、膝関節内の前記人工器官の移動および回転を少なくさせる。この少なくされた前記人工器官の移動および回転は、長期間の十字靱帯への損耗を限定する働きをする。
【0067】
人工器官の選択
一部の実施形態において、人工器官は、利用可能な人工器官の有限のライブラリ又はカタログから患者用に選択される。この点において、前記利用可能な人工器官は、多様なサイズ、多様な材質、及び/若しくは多様な形状のものである。一部の場合において、選定方法論が、患者の外科的特徴を基にした患者用の1若しくはそれ以上の適した人工器官及び/若しくは最適な人工器官を特定するために適用される。他の場合において、カスタムの人工器官が、患者の外科的特徴を基にして患者用に、特別に設計され、且つ制作される。患者用の適した人工器官を特定する特別な方法を開示する。本明細書に開示される方法は、患者用の適した人工器官を特定する目的で、個別に、互いに組み合わせて、及び/若しくは他の方法と組み合わせて使用され得ることが認識される。
【0068】
最も健康的な患者の膝関節において、自然の半月板及び周囲の骨は、実質的に調和した幾何学的な輪郭を有する。したがって、人工の半月板と接合した膝関節の機能を修復するために、人工器官は、移植後の膝関節の周囲の骨の構造の幾何学的な輪郭に実質的に調和するように作られるべきである。従って、一部の実施形態において、患者の膝関節及び人工器官の幾何学的な特性を考慮に入れるべきである。この点に関して、骨の構造、関節軟骨、及び/若しくは半月板を含む、患者の健康な膝関節と患者の損傷した膝関節との両方を考慮する。
【0069】
ここで図11を参照すると、少なくとも1つの患者用の適した人工器官を特定する方法200が図示される。この方法200は、工程202における移植前整合過程と工程204における移植中整合過程とを含む。本明細書に開示される移植前及び移植中の整合過程202及び204は、左右の両膝関節における内側及び外側の両半月板の置換のために利用される。方法200は、移植前整合過程の工程202から始まる。工程202の移植前整合過程は、1若しくはそれ以上の整合方法を有する。より具体的には図12を参照すると、本実施形態において、移植前整合過程202は、3つの異なる整合方法を有する。すなわち、直接幾何学的整合方法206、相関パラメータに基づく整合方法208、及び有限要素に基づく整合方法210である。これらの3つの整合過程206、208、及び210は、以下に詳細に説明する。これらの過程206、208、及び210は、共に使用されるように記載されているが、一部の実施形態において、3つの方法のただ1つ若しくは2つが移植前整合過程202において利用される。他の実施形態において、過程206、208、及び210は、追加の及び/若しくは代わりの整合過程と組み合わせて利用される。
【0070】
直接幾何学的整合過程206は工程212において始まり、対象患者の健康な膝関節のCT及び/若しくはMRIスキャンが入手される。一部の場合において、前記健康な膝関節のCT及び/若しくはMRIスキャンは、損傷した膝関節用の人工器官に適した測定結果を特定するために利用される。工程214において、健全な膝関節は、多様な構成要素に区画される。一部の実施形態において、イメージ処理アルゴリズムが膝関節を区画するために利用される。一部の実施形態において、膝関節の1若しくはそれ以上の骨表面、関節軟骨、及び半月板が区画される。例えば、図13を参照すると、患者の右膝関節250の側面図が図示され、大腿骨256及び脛骨258の骨表面252及び関節軟骨254が区画されている。さらに、関節軟骨254の間に延びる内側半月板260が区画されている。一部の場合において、骨表面、関節軟骨、及び半月板は別の工程において区画される。他の場合において、骨表面、関節軟骨、及び半月板の区画は、ほぼ同時に実行される。一部の実施形態において、内側膝関節腔は、関節軟骨の表面に基づいて特徴付けられる。一部の場合において、健全な半月板は、関節軟骨によって定義される膝関節腔に少なくとも部分的に基づいて定義される。一部の実施形態において、工程214又は直接幾何学的整合過程206に後続する工程において、図14に示すように、健全な半月板260の仮の立体模型262が図形として形成される。一部の実施形態において、この仮の立体模型262がステレオリソグラフィ(stereolithography:STL)形式において作り出される。前記仮の立体模型262は、一部の場合において、利用可能な人工器官のために、健全な半月板260と比較するために使用される。
【0071】
本実施形態において、工程216では、区画された健全な半月板が、利用可能な人工器官と比較される。一部の場合において、この比較は、半月板の異なる区域若しくは領域における線寸法(例えば、深さ、幅、高さ、及び/若しくは曲率半径)に関連した相対的な大きさ及び形状;外側表面(例えば、上下の接触表面及び/若しくは周囲面);及び体積を比較することを含む。一部の実施形態において、各人工器官は、いかに良く自然の半月板の多様な測定のそれぞれに適合するかに基づいて、スコアが付けられ又はランキング付けされる。各測定のスコアを組み合わせることによって、各利用可能な人工器官用の全体のスコアが入手される。多様な測定の重要度若しくは重み付けは、患者の年齢、活性度、体重、及び/若しくは治療医療関係者によって検討される他の要因等の要因によって決定される。一部の場合において、この重み関数は、促された質問に対して提供された回答に基づくコンピュータシステムによって決定される。他の場合において、治療医療関係者は手動で多様な測定の重み関数を設定する。
【0072】
この点において、最適な人工器官、又は特定の測定について最適なスコアを得る人工器官が、必ずしも自然の半月板と正確に同一の測定結果を有するものではないことが理解される。むしろ、本開示における一部の実施形態において、人工器官は、自然の健全な半月板とほぼ同じか又はそれより小さい。一部の実施形態において、前記人工器官は、一般に、その弛緩した移植前状態において、自然の半月板よりも約5%〜約20%小さい。同様に、本開示の一部の実施形態において、前記人工器官は自然の半月板の形状と合致するものではない。例えば、図22は、健全な自然の半月板246の寸法と比較して示す本開示に従う、損傷した自然の半月板と置換するのに使用する人工器官244の斜視図である。図示するように、前記人工器官244は、自然の半月板246の寸法と合致しない。一部の実施形態において、最適な人工器官は、自然の半月板と実質的に同じ大きさ且つ形状である。工程218において、1若しくはそれ以上の最高級の人工器官が、特定の対象膝関節の移植に適するとして直接幾何学的適合方法のために選択される。一部の実施形態において、ただ1つの最適な人工器官が工程218における幾何学的マッチングプロセス206によって特定される。他の実施形態において、すべての利用可能な人工器官が、幾何学的マッチングプロセス206を使用して計算されたそれらのスコアに基づいてランク付けされる。さらに他の実施形態において、対象膝関節に適するすべての人工器官が特定され、適していない人工器官は、潜在的なインプラントの選択肢として廃棄される。
【0073】
患者の膝関節及び半月板の測定及び比較は、実質的に電子的又は自動的手段によって実行されているように記載されているが、一部の実施形態において、測定はCT/MRIスキャンから直接に手動で行われる。さらに、これらの手動の測定は、人工器官の測定と比較して行われても良い。人工器官の測定は、一部の場合、製造者によって提供される。他の場合において、人工器官の測定は、手動によっても同じように入手される。手動の測定は、イメージ処理アルゴリズム及びマッチングプロセスを使用して入手される測定及び比較を裏付けるために利用されることができる。さらに、本開示はCT及び/若しくはMRIスキャンの使用について議論しているが、他の医療的イメージング方法が利用され得ることが十分に意図される。従って、本明細書に記載されるいずれの且つすべての方法と共に、代わりの医療的イメージング装置及び方法が利用され得ることが十分に意図される。
【0074】
相関パラメータに基づいたマッチングプロセス208が一部の実施形態において利用される。相関パラメータに基づいたマッチングプロセスは、健全な膝関節を有する患者の1若しくはそれ以上の大規模な研究に基づく寸法測定を利用する。一般に、この研究は、患者の膝関節の寸法を考慮し、且つ「通常の」又は許容可能な範囲で定義する。一部の場合において、骨及び半月板の測定された寸法に基づく幾何学的な関係又は数式は、健全な被験体のそれぞれについて計算される。これらの幾何学的関係又は数式は、本開示の一部の実施形態における適切な人工器官を選択するのに利用される相関パラメータを定義する。
【0075】
ここで図15を参照すると、本開示の1の態様に従う多様な相関パラメータを記述するチャートが図示される。本実施形態において、5つの相関パラメータ(領域、幅、全長、周囲長、及び冠状面関係)が特定されている。他の実施形態において、多数の又は少数の相関パラメータが利用される。各々の相関パラメータは、膝関節の寸法測定から成る数式又は方程式によって定義される。これらの測定は、一部の場合、健全な被験患者の大規模な研究のCT及びMRIスキャンに基づく。領域の相関パラメータは、脛骨の内側領域によって割られる半月板の接触領域によって定義され、又は以下の式によって表される。
【0076】
【数1】

【0077】
幅の相関関数は、脛骨の内側の幅によって割られる半月板の平均の幅によって定義され、又は以下の式によって表される。
【0078】
【数2】

【0079】
ここで、この半月板の平均の幅は、前部半月板の幅及び後部半月板の幅の平均であり、以下の式で表される。
【0080】
【数3】

【0081】
全長の相関関数は、脛骨の内側の全長によって割られる内側半月板の全長によって定義され、以下の式によって表される。
【0082】
【数4】

【0083】
周囲長の相関関数は、脛骨の内側の周囲長によって割られる半月板の周囲長によって定義され、以下の式によって表される。
【0084】
【数5】

【0085】
冠状面関係の相関関数は、脛骨の冠状面の幅によって割られる半月板の冠状面の幅によって定義され、以下の式によって表される。
【0086】
【数6】

【0087】
平均および標準偏差は、大規模な研究における相関パラメータのそれぞれについて計算される。平均および標準偏差は、標準的なデータ又は許容された範囲として考慮される。1つの大規模な研究によると、標準的なデータの範囲は以下のとおりである。脛骨の冠状面の幅は75.6mmであり、標準偏差が6.7mm又は8.8%である。冠状面において測定された半月板の平均の幅は32.1mmであり、標準偏差が3.1mm又は9.6%である。脛骨の内側全長の平均は48.8mmであり、標準偏差が5.2mm又は10.6%である。脛骨の領域の平均は1282.8mmであり、標準偏差が227.2mm又は17.7%である。脛骨の内側周囲長の平均は92.9mmであり、標準偏差が9.mm又は10.4%である。前部半月板の幅の平均は28.7mmであり、標準偏差が10.3mm又は35.8%である。後部半月板の幅の平均は28.7mmであり、標準偏差が10.4mm又は36.3%である。内側半月板の本体の幅の平均は6.7mmであり、標準偏差が11.7mm又は173.3%である。内側半月板の全長の平均は44.5mmであり、標準偏差が9.5mm又は21.3%である。半月板の周囲長の平均は87.6mmであり、標準偏差が9.5mm又は10.8%である。前部半月板の高さの平均は6.9mmであり、標準偏差が11.7mm又は169.6%である。後部半月板の高さの平均は7.4mmであり、標準偏差が11.6mm又は157.4%である。内側半月板の高さの平均は6.9mmであり、標準偏差が11.6mm又は167.2%である。半月板の全体領域の平均は965.68mmであり、標準偏差が186.64mm又は19.3%である。
【0088】
これらの標準的なデータ範囲に基づいて、以下のように相関パラメータの範囲を決定された。領域の相関パラメータの平均は0.75であり、標準偏差が0.08又は10.77%である。周囲長の相関パラメータの平均は0.95であり、標準偏差が0.05又は5.0%である。幅の相関パラメータの平均は0.87であり、標準偏差が0.06又は6.6%である。全長の相関パラメータの平均は0.91であり、標準偏差が0.07又は8.0%である。冠状面の相関パラメータの平均は0.37であり、標準偏差が0.03又は7.1%である。追加の大規模な研究を将来的に実施してもよいこと、及び本明細書において以下に記載される相関パラメータの許容された範囲は、必要に応じて、技術分野における許容された寸法の範囲と一致するように調節されることができることが考慮される。
【0089】
図16〜19を参照すると、膝関節の外科的特徴の測定を特定するMRI及び/若しくはCTスキャンに基づく膝関節280の多様な視野が図示される。例えば、より具体的に図16を参照すると、外科的特徴の多様な測定を特定する、膝関節280の断面平面図が提供される。特に、冠状面(MWと表示)と冠状の脛骨の幅(TPWと表示)で測定される半月板の幅が特定される。これらのパラメータは、上述したように、冠状関係を計算するために利用される。さらに、脛骨の内側の全長(MLと表示)は、脛骨の内側の周囲長(TMPと表示)とともに特定される。より具体的に図17を参照すると、膝関節280の断面平面図が提供され、これは図16のものに類似するが、他の外科的特徴の測定を特定する。具体的には、前部及び後部の半月板の幅(それぞれMWAおよびMWPと表示)が提供される。また、内側半月板の全長(MMLと表示)及び半月板の周囲長(Pと表示)が提供される。最後に、内側半月板の本体部分の幅(MMBWと表示)が提供される。図18を参照すると、内側半月板の高さ(Hcrossと表示)を特定する、膝関節280の拡大断面矢印図が提供される。最後に、図19を参照すると、前部及び後部の半月板の高さ(それぞれ、HA及びHPと表示)を特定する、膝関節280の拡大断面側面図が提供される。追加の及び/若しくは代わりの膝関節280の図面が提供されることも十分に考慮される。さらに、追加の及び/若しくは代わりの膝関節280の測定が提供されることも十分に考慮される。
【0090】
相関パラメータに基づくマッチングプロセス208は工程220において開始し、対象患者の損傷した膝関節のCT及び/若しくはMRIスキャンが入手される。損傷した膝関節のイメージに基づいて、その膝関節の多様な解剖学的な測定が入手される。例えば、一部の場合において、脛骨の測定に関する情報を入手するのが望ましい。この点について、相関パラメータに関して上述した脛骨の寸法(例えば、脛骨の内側領域、脛骨の内側の幅、脛骨の内側の全長、脛骨の内側の周囲長、脛骨の冠状幅、及び/若しくは脛骨の他の寸法)が、一部の場合において入手される。過程208は工程222に続き、1若しくはそれ以上の利用可能な人工器官の相関パラメータが決定される。相関パラメータの幾何学的関係の数式が、利用可能な対象の膝関節に基づく人工器官について計算され、且つ各人工器官の許容された標準的なデータと比較される。各人工器官は、いかに良く前記器官が、相関パラメータについての許容された範囲に適合するかに基づいて、各相関パラメータのサブグレードが与えられる。この点に関して、人工器官の許容された範囲の値は、対象の膝関節の利用可能な測定および当該対象の膝関節の標準的なデータ(例えば、標準的な範囲±標準偏差)に基づいて決定され得る。例えば、領域の相関パラメータに関して、人工器官への半月板接触領域の許容可能な範囲は、許容可能な範囲の標準的な範囲と脛骨の内側領域とを掛け合わすことによって決定され、A×TMA=MAと表される。人工器官の他の態様の許容可能な範囲は、それぞれの相関パラメータを同様に計算することができる。
【0091】
過程208は工程224に続き、計算された相関パラメータが、標準的な又は許容された相関パラメータと比較される。いかに良く人工器官がそれぞれの相関パラメータについての範囲内に適合するかに応じて、サブグレードはそのパラメータに対して決定される。より良い適合ほど、パラメータに対するより良いサブグレードとなる。一部の場合において、このグレードは二進法である。前記器官が許容可能な範囲内である場合、最高のスコアを獲得し、前記器官が許容可能な範囲外である場合、最低のスコアを獲得することを意味する。上述の幾何学的適合方法と同じように、最高級の人工器官はすべてのサブグレードを集計し、全体のグレードを決定することによって計算される。この点について、多様な相関パラメータが一部の実施形態において重み付けされ、正確な相関パラメータの重要度が強調されることが理解される。相関パラメータの重要度若しくは重み付けは、患者の年齢、活性度、体重、及び/若しくは治療医療関係者によって検討される他の要因等の要因によって決定される。一部の場合において、この重み関数は、促された質問に対して提供された回答に基づくコンピュータシステムによって決定される。他の場合において、治療医療関係者は手動で多様な測定の重み関数を設定する。
【0092】
さらに、相関パラメータは考慮されるインプラントの型に応じて変化しても良いことが理解される。例えば、本開示の一部の実施形態において、人工器官は、その弛緩した移植前状態において、自然の半月板よりも約5%〜約20%小さく設計される。したがって、寸法が相関パラメータと関わる場合の人工器官の寸法の許容可能な範囲を決定する際に、このようなサイジングを考慮に入れることができる。工程226において、1若しくはそれ以上の最高級の人工器官が、特定の対象の膝関節に適したインプラントとして相関パラメータに基づくマッチングプロセス208に選択される。一部の実施形態において、ただ1つの最適な人工器官が相関パラメータに基づくマッチングプロセス208によって特定される。他の実施形態において、すべての利用可能な人工器官が、相関パラメータに基づくマッチングプロセス208を使用して計算されたそれらのスコアに基づいてランク付けされる。さらに他の実施形態において、対象膝関節に適するすべての人工器官が特定され、適していない人工器官は、潜在的なインプラントの選択肢として廃棄される。
【0093】
有限要素に基づくマッチングプロセス210が一部の実施形態において利用される。有限要素に基づくマッチングプロセス210は工程228において開始し、対象患者の損傷した膝関節のCT及び/若しくはMRIスキャンが得られる。一部の場合において、同じCT及び/若しくはMRIスキャンが、有限要素に基づくマッチングプロセス210および相関パラメータに基づくマッチングプロセス208の両者のために利用される。上述した直接幾何学的マッチングプロセス206と同様に、健全な膝関節に関連して、工程230において、患者の損傷した膝関節が、骨、関節軟骨、及び半月板等のその多様な要素に区画される。一部の場合において、損傷した膝関節の骨、軟骨、半月板の3次元固体幾何学モデルが構築される。その個体幾何学に基づき、工程232において、患者特有の膝関節の有限要素モデルが作られる。この患者特有の膝関節の有限要素モデルは、一部の場合において、人工器官の多様な有限要素モデルと関連して
構成される。この点について、一部の実施形態において、この有限要素モデルは自然の半月板を含まない。さらに、一部の場合において、患者の健全な膝関節の有限要素モデルは、損傷した膝関節における人工器官の効果の評価において使用するために作られる。
【0094】
有限要素に基づくマッチングプロセス210は、工程234に続き、有限要素モデルを使用するいくつかのシミュレーションケースがテストされる。第一に、一部の実施形態において、患者体重の最高3倍までの負荷が自然の損傷した半月板上に大腿骨によって適用される。他の実施形態において、損傷した半月板における負荷のシミュレーションが除外される。他の実施形態において、患者の健全な膝関節の自然の半月板における負荷のシミュレーションが実行され、ベースラインとして利用される。損傷した又は健全な半月板が利用されるか否かに関係なく、半月板の圧力測定のピーク及び平均、大腿骨及び脛骨の関節軟骨に働く圧力測定のピーク及び平均、半月板の圧力測定のピーク及び平均、脛骨プラトーの圧力分布、及び/若しくは他の測定が計算される。
【0095】
工程234もまた、シミュレーションされた負荷の下での1若しくはそれ以上の利用可能な人工器官をテストすることを含む。図20を参照すると、本開示の一の態様に従う、脛骨プラトーと大腿骨298との間に位置する人工器官294を有する膝関節292の3次元の有限要素モデル290が図示される。それぞれの利用可能な人工器官について、人工器官の圧力測定のピーク及び平均、大腿骨及び脛骨の関節軟骨に働く圧力測定のピーク及び平均、脛骨プラトーの圧力分布、及び/若しくは他の測定が計算される。図21を参照すると、人工器官と脛骨プラトー296との間の接触圧を示す図20の人工器官294のシミュレーションされた接触圧マップ300が図示される。
【0096】
工程236において、各人工器官の圧力測定の結果が産業上利用可能な値及び/若しくは自然の健全な半月板と比較され、それぞれの測定のサブグレードを有する人工器官が提供される。例えば、各人工器官の圧力測定のピークが許容された範囲又は自然の健全な半月板の圧力測定のピークと比較される。どの程度、人工器官が許容される範囲内であるかは、ピーク圧力についての当該器官のサブグレードを決定する。同様に、関節軟骨に働く圧力のピーク及び平均は、それぞれの人工器官についての許容された自然の値と比較され、それによって、人工器官はサブグレードを得られる。さらに、それぞれの人工器官についての脛骨プラトーの圧力分布は、接触領域及び圧力密度の観点から、健全な自然の半月板のものと比較される。一の特定の実施形態において、仮に脛骨プラトーの圧力分布の結果が健全な自然の半月板の±15%以内である場合、人工器官は完全なサブグレードスコアを得られる。
【0097】
負荷シミュレーションの各要素についてのスコアを組み合わせることによって、利用可能な人工器官のそれぞれについての全体のスコアが入手される。この点に関して、一部の実施形態において、多様な要素又は測定が重み付けされ、人工器官の特定の態様の重要度を強調する。多様な測定の重要度若しくは重み付けは、患者の年齢、活性度、体重、及び/若しくは治療医療関係者によって検討される他の要因等の要因によって決定される。一部の場合において、この重み関数は、促された質問に対して提供された回答に基づくコンピュータシステムによって決定される。他の場合において、治療医療関係者は手動で多様な測定の重み関数を設定する。
【0098】
一部の場合において、有限要素に基づくマッチングプロセス210は、上述した負荷シミュレーションに追加して又は代わりに、運動シミュレーションを含む。この点において、膝関節の動きは、1若しくはそれ以上の利用可能な人工器官について健全な自然の半月板の動きと比較される。一部の場合において、これらのシミュレーションは、歩き、走り、自転車乗車、起立、着席、等の患者の代表的な動作のシミュレーションをするように設計されている。人工器官は、膝関節の動作(例えば、屈曲の多様な度合いにおける位置及び/若しくは負荷サポート)に関連する多様な要素についてのそれらのパフォーマンスに基づいてサブグレードが付与される。一部の実施形態において、負荷シミュレーション及び運動シミュレーションは、前記器官が運動シミュレーションにおける負荷機能に基づいてスコア付けされるように、組み合わせられる。
【0099】
一部の場合において、有限要素に基づくマッチングプロセスは、患者の特定のモデルよりも総称モデルと比較される。例えば、一部の実施形態において、複数の有限要素モデルは、多様な異なる膝関節サイズ及び/若しくは膝関節の型に対応して提供される。複数の異なる有限要素モデル由来の特定の有限要素モデルは現在の患者用に選択される。一部の実施形態において、特定の有限要素モデルは現在の患者の膝関節サイズを少なくとも部分的に基づいている。一部の場合において、選択されたモデルは患者のMRIデータに基づいて決定される。さらに、一部の場合において、特定の有限要素モデルの選択は、対象の膝関節についての、少なくとも部分的に、例えば、上述の相関に基づくマッチングプロセス208に関するもの等の相関パラメータに基づくものである。一部の場合において、利用可能な人工器官のそれぞれは、有限要素モデルのそれぞれに関してテストされ、又はシミュレーションされ、また、人工器官のそれぞれの機能は、自然の健全な半月板についての許容された値と比較される。従って、1若しくはそれ以上の適した人工器官の有限モデルのそれぞれが特定される。そして、対象の膝関節のCT/MRIスキャンからの関連した骨測定のみを使用して、最もよく適合した有限要素モデルが特定され、その最もよく適合した有限要素モデルから、対応する適切な人工器官が現在の患者用の適した器官として特定される。
【0100】
一部の実施形態において、移植前適合方法202は、直接幾何学的マッチングプロセス206、相関パラメータに基づくマッチングプロセス208、及び有限要素に基づくマッチングプロセス210によって提供される回答を重み付けすることによって工程240において続く。一部の実施形態において、各マッチングプロセス206、208、及び210は同等の重みを与えられる。しかし、他の実施形態において、マッチングプロセス206、208、及び210は、同等ではない重みを与えられる。例えば、患者特有に生成された有限要素モデルよりもむしろ一般の有限要素モデルが利用される場合には、有限要素モデルに基づく相関は、直接幾何学的マッチングプロセス206及び相関パラメータに基づくマッチングプロセス208よりも少ない重みを与えられる。異なるマッチングプロセス206、208、及び210の重み付けの決定は、一部の場合において、治療医療関係者によって決定される。最後に、移植前マッチングプロセス202は、1若しくはそれ以上の適した人工器官の特定が特定されると共に、工程242において続く。一部の実施形態において、単一の「最良の」人工器が移植前適合方法202によって特定される。他の実施形態において、2若しくはそれ以上の適した人工器官が特定される。この点において、2若しくはそれ以上の適した人工器官が特定される場合、特定の人工器官が移植中マッチングプロセス204によって選択されても良い。
【0101】
図11及び23を参照すると、工程202における移植前マッチングプロセスの後に、方法200が、移植中マッチングプロセスの工程204において続く。この移植中マッチングプロセス204は、少なくとも2つの適した予備的な人工器官を選択する工程310において開始する。一部の実施形態において、適した予備的な人工器官が、上述の移植前マッチングプロセス202によって特定される。一部の実施形態において、3つの予備的な人工器官が選択される。さらに、1つの特定の実施形態において、3つの異なるサイズの人工器官が選択される。他の実施形態において、選択された人工器官は、実質的に、形、材質、機能、及び/若しくは他の特性において異なる。一部の実施形態において、予備的な人工器官は、実質的に、永久に移植されている人工器官に似ている。一部の実施形態において、予備的なインプラントは、永久に移植されている実在の人工器官である。一部の実施形態において、それぞれのトライアル品は、最終的なインプラントと類似した外観形状を有し、最終的なインプラントと類似した強度特性を有する材質に形成される。しかし、このトライアル品は、強化用の繊維又は層を欠く。従って、トライアル品は、最終的なインプラントよりもより簡単に膝関節から取り外すことができる。さらに、一部の実施形態において、トライアル品は、最終的なインプラントからトライアル品を容易に区別するように、外観上のマーキング(例えば「TRIAL」)、又は高分子樹脂における染料等の視覚的な指標を含む。一部の場合において、トライアル品は、最終的なインプラントからトライアル品を区別するために、その中に埋め込められた放射線不透過性のマーカーを含む。
【0102】
移植中マッチングプロセス204は、人工器官インビボ物理的テストを有する工程312に続く。一般的に、このインビボテストは、予備的な人工器官を膝関節に導入し、且つ一連の動作を通して膝関節を動かすことを含む。工程314において、外科医は、人工器官のそれぞれのトライアル品の適合度及び膝関節の対応する動作を考慮する。工程314における外科医の観察に基づいて、移植中マッチングプロセス204は、患者用の最適な人工器官の最終的な選択を工程316において行う。その後、外科医が、選択された人工器官を患者に移植する。一部の場合において、人工器官は、本発明に記載される方法に従って移植される。
【0103】
移植中マッチングプロセス204を利用して、外科医は、現実の物理的テストに基づき、対象となる膝関節に最も良く適合する人工器官を決定する。この点について、一部の実施形態において、移植前マッチングプロセスは、対象の膝関節における使用に適した2若しくはそれ以上の人工器官を特定するために利用される。移植中マッチングプロセスは、その後、適した人工器官のうちから最適なものを選択するために利用される。従って、移植中マッチングプロセス204は、一部の場合において、移植前マッチングプロセス202の結果を確認するために利用されても良い。一部の実施形態において、予備的なインプラントは、適切なサイズの人工器官を選択するために移植中マッチングプロセスにおいて利用され、その後、そのサイズの現実の人工器官が移植される。一部の実施形態において、3つのサイズの人工器官及び/若しくはトライアル品が手術に運ばれる。通常、その3つのサイズは、移植前マッチングプロセスにおいて特定される最適に適合する人工器官であり、人工器官はその最適適合器官よりもわずかに大きく且つわずかに小さい。現実の対象の膝関節内での適合によれば、外科医は、使用する最適な人工器官を特定する。手術中の最適適合人工器官を特定した後、外科医は、その外科器官を移植する。
【0104】
外科的プロトコル
ここで図24を参照する。図24には、本開示の一態様に応じる外科的プロトコル320のブロック図が示されている。一般的に、外科的プロトコル320は、患者の膝関節への人工器官に関するものである。具体的な説明の実施形態では、外科的プロトコル320は、内側半月を置換するための外科的デバイスの移植に関するものである。他の実施形態では、同様の外科的プロトコルは、外科的デバイスと外側半月を置換するために利用されている。一部の場合において、外科手術で補綴具と外側及び内側半月両方を置換する。
【0105】
外科的プロトコル320は、関節鏡検査が行われる工程322から始まる。一部の実施形態において、レッグホルダーまたは支柱が利用されている。このような実施形態では、レッグホルダーまたは支柱は、後続の工程において、外反力の適用を容易にすること、インプラントの挿入を容易にすること、及び/または、そうでなければ手術実績を上げることに利用されている。一部の実施形態において、関節鏡検査はルーチン検査である。外科的プロトコル320は、工程322において必要に応じて、いかなる付加的な関節疾患に対応している。
【0106】
外科的プロトコル320は、膝関節の関節軟骨の評価を行う工程324へと続く。一部の実施形態において、内側コンパートメント内にある関節軟骨の完全性が評価される。一般的に、関節軟骨の評価は、患者の膝が移植用の人工器官の受け入れに適しているか確認することである。一部の場合において、これらの疾患の治療、そうでなければ、人工器官の移植の前に関節軟骨の欠陥を識別するために、関節軟骨の評価がされる。
【0107】
外科的プロトコル320は、半月板及び脂肪体を切除する工程326に続く。その際、一部の実施形態において、半月板が完全に切除される(半月板全切除術)。他の実施形態において、半月板は膝関節への人工器官の導入を可能にするために部分的に切除される(半月板部分切除術)。一般的に、脂肪体は、膝関節の半月板及び/または内側コンパートメントを露出または到達するのに必要なだけ切除される。したがって、一部の場合において、脂肪体は実質的にそのまま残る。他の実施形態において、脂肪体のかなりの部分が切除されることがある。
【0108】
外科的プロトコル320は、内側ポータルを拡張する工程328に続く。一般的に、内側ポータルは工程322の関節鏡検査法により作られたポータルと同じである。しかしながら、一部の実施形態において、内側ポータルは関節鏡検査法によって作られたポータルから分岐している。一部の実施形態において、切開部は膝蓋腱の内側縁に隣接している。内側ポータルは膝関節に人工デバイスまたはインプラントの挿入に対応するために拡大される。一部の実施形態において、切開部またはポータルは約4.0cmから約6.0cmのサイズに拡大される。しかし、一部の場合において、インプラントのサイズ、インプラントの柔軟性、及び/または、その他の要因に応じて、サイズは大きく、または小さくなることがある。
【0109】
外科的プロトコル320は膝関節の内側腔に到達する工程330に続く。一部の場合において、内側腔への到達は、被膜及び内側腔への到達を供する支帯を開くことからなる。さらに、一部の場合において、前半月板周縁部の任意の残りの部分が切除されるか、または、内側腔への到達時に切除される。
【0110】
内側腔に到達後、外科的プロトコル320は、膝関節に一つまたは複数の予備的インプラントの挿入を行う工程332へと続く。予備的インプラントは、同じ種類のインプラントの異なるサイズ、異なるタイプのインプラント、及び/またはそれらの組み合わせで表されることがある。一部の実施形態において、予備的インプラントは、移植前のマッチングまたは選択方法で識別される。特定の一つの例では、上述の移植前のマッチング処理202は、インプラントの試用版が得られる可能性のある一つまたは複数の適切なインプラントを識別するために利用されている。一部の場合において、予備的インプラントは患者に永続的に移植されることになる実際のインプラントと大きさ及び形が実質的に似ている。一部の場合において、予備的インプラントと実際のインプラントとの唯一の違いは、インプラントが作られる素材のみである。具体的には、一実施形態において、予備的インプラントには強化繊維が含まれない。一部の場合において、予備的インプラントと実際のインプラントは、お互いの同一のコピーである。一部の場合において、一つのインプラントが予備と実際のインプラントの両方に使われる。
【0111】
一般的に、最初の予備的インプラントは膝関節に挿入される。一部の場合において、最初の予備的インプラントは、移植前の選択プロセスの中で最も適切なインプラントとして識別されたインプラントの代表である。予備的インプラントの膝関節挿入後、膝関節の機能がチェックされる。この段階で、外科医またはその他の医療関係者は膝の自然な動きと同様の様々な動きに膝を動かし、問題の兆候がないか膝を観察する。例えば、一部の場合において、運動範囲の限界または過剰、異常音(例えば、クリック音またはきしみ音)、滑らかでない動き、インプラントの回転、インプラントの移動、及び/またはインプラントを使用することによる潜在的な問題を示す他の問題がないか膝を観察する。問題または潜在的な問題が、膝の機能をチェックして観察された場合、最初の予備的インプラントは外され、代替の予備的インプラントが挿入され、膝の機能がチェックされる。一部の場合において、後続の予備的インプラントは前回の予備的インプラントからワンサイズ上げる、または下げる。さらに、インプラントの試用期間は、数分から数週間の範囲で指定できる。適切な予備的プラントが識別されるまで、このプロセスが繰り返される。一部の場合において、予備的インプラントのプロセスは、上述の移植マッチングプロセス204に実質的に似ている。
【0112】
適切なインプラントが識別された後、外科的プロトコル320は、インプラントまたは試用プロセス中に選択された人工器官を移植する工程334に続く。一般的に、人工器官は、関連する人工器官の任意の適切な移植法で移植される。移植方法のいくつかを説明する。一部の場合において、本発明の人工器官は、次の方法を使用しての移植に適している。図25を参照する。図25は、本開示の一態様に応じて患者の膝に人工器官を移植する方法340のブロック図である。一部の場合において、方法340は、外科的プロトコル320の移植工程334として利用される。方法340は、「浮動」インプラント、すなわち、骨を貫通しない、または骨を貫通するデバイスと対にならないインプラントに関連して説明される。ただし、他の例で、同様の方法は、骨を貫通して、または骨を貫通しているデバイスと対になって骨に固定されているインプラントと利用されることもある。
【0113】
方法340は、患者の膝が完全に屈曲される工程342で始まる。つまり、患者の膝が完全に屈曲した状態に置かれる。患者の膝が完全に屈曲された後、方法340は、人工器官が脛骨の内側コンパートメントに配置される工程344に続く。上記で説明したように、一実施形態において、人工器官のブリッジは、サイズが小さいため、膝関節に渡されるように挿入の形状が少し内側に折り返されている(例えば図9aを参照)。人工器官のブリッジが大腿骨の切欠き部に到達すると、ブリッジは弾性的に固定配置に移動する(例えば図9bを参照)。方法340は、後部縁または人工器官の端が、大腿骨と大腿骨の後方部に隣接する脛骨の隙間内に配置される工程346に続く。内側コンパートメント及び大腿骨と脛骨の間の隙間の後部縁に人工器官が配置されるとともに、方法340は、膝が伸ばされ、外反力が膝にかけられる工程348に続く。一部の場合において、膝は約30度広げられる。他の例において、膝は、30度より少なく、もしくはさらに広げられる。これは、膝関節内部のインプラントを固定し、インプラントと脛骨及び大腿骨両方の内側コンパートメントを咬み合わせる。続いて、インプラントの形状及びインプラントの両端にかけられた圧縮力が膝内部の所定の位置にインプラントを保持する。一部の場合において、前記器官100は、方法340を用いて移植される。
【0114】
ここで図26を参照する。図26は、本開示の一態様に応じて患者の膝に人工器官を移植する方法350のブロック図である。一部の場合において、方法350は、外科的プロトコル320の移植工程334として利用される。方法350は、「浮動」インプラント、すなわち、骨を貫通しない、または骨を貫通するデバイスと対にならないインプラントに関連して説明される。ただし、他の例において、同様の方法は、骨を貫通して、または骨を貫通しているデバイスと対になって骨に固定されているインプラントと利用されることもある。
【0115】
方法350は、牽引縫合が挿入される工程352で始まる。一部の場合において、牽引縫合は、人工器官が配置され、膝を包み込む後部内側の軟部組織構造が広がる後部内側に挿入される。他の実施形態では、牽引縫合は、それ以外の場合、膝関節の隣接、及び/または内部に配置され、内側腔内への人工器官の挿入を助ける。一部の場合において、牽引縫合は、膝関節に人工器官の一部挿入をした後に挿入されていることに留意すべきである。方法350は、患者の膝が完全に屈曲される工程354に続く。つまり、患者の膝は完全な屈曲した状態におかれる。患者の膝が完全に屈曲された後、方法350は、人工器官が脛骨内側顆の上に配置される工程356に続く。方法350は、人工器官の後縁部またはエッジが、大腿骨及び大腿骨の後方部に隣接する脛骨の間の隙間に配置される工程358に続く。内側顆及び大腿骨と脛骨間の隙間の後縁部に配置されるとともに、方法350は、膝が伸ばされ、及び、膝に外反力をかける工程360に続く。方法350は、インプラントが、牽引縫合との張力を印加しながらその最終的な位置に引き込まれる工程362に続く。一部の場合において、牽引縫合は、インプラントの位置取りを容易にする。一部の実施形態において、牽引縫合はインプラントを内側腔内に促すのに利用される。他の実施形態では、牽引縫合は、内側腔への開口部を維持し、インプラントの挿入をそれにより可能にするのを維持するのに利用されている。人工器官が膝関節内に固定されると、インプラントの形及び膝の装填中のインプラント全体にかけられた圧縮力が、インプラントが配置場所から滑るのを防いでいる。
【0116】
再び図24を参照する。方法320は移植された人工器官との膝の動きをチェックする工程336に続く。一部の実施形態において、工程336は予備的インプラントが評価される工程332と実質的に似ている。従って、一部の実施形態において、工程336は、工程332の予備的インプラントのモニタリングによって得られた実際のインプラントの動きを確認することからなる。もし、何らかの理由によって、移植された人工器官と膝の機能が損なわれた場合、人工器官は調整される、代替人工器官と交換される、または、そうでなければ問題を解決するよう修正されることがある。膝の動きがチェックされ、それが容認しうるものと確認された後、方法320は、縫合及び膝に包帯を巻く工程338で終了する。
【0117】
上記の方法では開示されていないが、一部の場合において、膝関節の大腿骨顆及び/または他の側面は、膝関節が移植後にほぼ正常に屈曲できるように、外科的に準備され得ることが十分に考慮される。さらに、膝関節の脛骨プラトー及び/または他の側面は、
移植された人工器官の固定的咬合をさせるのに手術的準備をされることがある。上記の方法のその他の変更は、本開示の範囲から逸脱することなく、当業者にとって明らかであろう。
【0118】
様々な材料が本発明の人工器官を作るにあたり用いるのに適している。医療用ポリウレタン系材料は、特に実施形態での使用に適しているが、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0119】
バイオネート(Bionate)(登録商標)は、ポリマーテクノロジーグループ("PTG")によって作られたもので、ポリカーボネートウレタンは、これまで開発された中で最も広範囲にテストされた生体材料である。炭酸塩結合は、炭化水素基に隣接して、材料群に酸化安定性を与え、例えば、ペースメーカーのリード、心室補助装置、カテーテル、ステント、及び他の多くの生物医学的装置などのように、酸化が分解の潜在的様態となる応用に魅力的なこれらのポリマーをつくる。ポリカーボネートウレタンは、その生体安定性を促進する最初の生物医学的ポリウレタンである。バイオネート(登録商標)ポリカーボネートウレタンは、水酸基末端ポリカーボネート、芳香族ジイソシアネート及び鎖延長剤として使用される低分子量グリコールの反応生成物として形成される熱可塑性エラストマーである。組織構造、発癌性、生体安定性及び医療機器におけるこれら三者の生体適合性ガイダンスを網羅する広範なテストの結果は、費用対効果の高い材料の生体適合性を検証する。
【0120】
適切な材料のもう一つの群は、PurSil(商標)、ポリエーテルウレタンシリコーンとCarboSil(商標)、ポリカーボネートシリコーンに代表されるポリウレタンシリコーン共重合体である。シリコーンは、ほとんどのインプラントにおいて、生体安定性及び生体適合性があり、及び、多くの適用デバイスにとって有用である低硬度及び低弾性率をしばしば有していることが長い間知られている。従来のシリコーンエラストマーは、非常に高い極度の延性を持つが、低度から中度の引張強度のみを有する。その結果、ほとんどの生医学シリコーンエラストマーの靭性は特に高くはない。デバイスの製造における従来のシリコーンエラストマーのその他の欠点は、架橋結合するのに有用な性質を開発する必要があることだ。架橋後に得られた熱硬化性シリコーンを溶解または再溶融することはできない。対照的に、従来のポリウレタンエラストマーは一般的に、優れた物性を有する熱可塑性である。熱可塑性ウレタンエラストマー(TPUs)は、かなり高弾性のエラストマーにもかかわらず、高い靭性を形成するのに高い延性と高い引張強度を兼ね備えている。芳香族ポリエーテルTPUsは、優れた屈曲寿命を持ち、5000Psiを超える引張強度及び700%を超える極限の延性を持つことがある。これらの材料は、心室支援装置、大動脈内バルーン及び人工心臓の部品のような、連続的に屈曲し、慢性的なインプラントにしばしば使用される。TPUsはポリマーを有用な形状にするため融解もしくは溶解することによって簡単に処理することができる。
【0121】
従来のシリコーンエラストマーの生体適合性及び生体安定性とTPUsの加工性及び靭性を組み合わせる見通しは、限りなく理想に近い生体材料となる魅力的な取り組みである。例えば、ポリカーボネート系ポリウレタンでは、シリコーン共重合体は炭酸塩結合の加水分解を減少させることが示されており、それに対し、ポリエーテルウレタンでは、共有結合シリコーンは、生体内で酸化分解からポリエーテルソフトセグメントを保護しているようにみえる。ポリマーテクノロジーグループは、2つの既に報告された以下の方法を組み合わせることにより、シリコーン−ポリウレタン共重合体を合成した:有機(非シリコーン系)ソフトセグメントと一緒に、シリコーン(PSX)と高分子骨格との共重合、及び共重合体鎖を終了する表面修飾末端基の使用。
【0122】
その他の該当する材料には、PurSil(商標)シリコーンポリエーテルウレタン及びCarboSil(商標)シリコーンカーボネートウレタンが含まれ、それらは、ソフトセグメント中のシリコーンを含む真の熱可塑性共重合体である。これらの高強度熱可塑性エラストマーは、ポリジメチルシロキサン(PSX)が、ポリテトラメチルネオキサイド(PTMO)(PurSil)もしくは脂肪族、水酸基末端ポリカーボネート(CarboSil)と共にポリマーソフトセグメント中に組み込まれるマルチステップバルク合成によって調製される。ハードセグメントは、MDIといった芳香族ジイソシアネートと低分子量グリコール延長鎖から構成される。共重合体鎖はシリコーン(もしくはその他の)表面改質末端基で終了する。これらの材料の脂肪族化合物(AL)は脂肪族ジイソシアネートから合成されたハードセグメントと共に得られる。
【0123】
これらのシリコーンウレタンの多くは、物理的性質の望ましい組み合わせを示している。例えば、芳香族シリコーンポリエーテルウレタンは、指定されたショア硬度において、従来のポリエーテルウレタン−高いシリコーン含有量、高弾性率(PurSilプロパティを参照のこと)よりも高い弾性を持っている。逆に、脂肪族シリコーンポリエーテルウレタンは、非常に低い弾性及びシリコーンホモポリマーもしくは天然ゴムの典型的な非常に高い延性をもつ(脂肪族PurSilプロパティを参照のこと)。これらの特性は、従来の架橋シリコーンゴム用の高性能な代替品としてこれらの材料を非常に魅力的なものとする。PTMO及びPCと共通の化学的性質のもつ物質群の両方において、いくつかのポリマーは、従来のシリコーン生体材料よりも引張強度が3〜5倍強い。
【0124】
適切な材料のさらなる例は、表面改質末端基(SMEs)を含み、これは、合成時に、界面活性オリゴマーがベースポリマーに共有結合される。SMEs−シリコーン(S)、スルホン酸(SO)、フッ化炭素(F)、ポリエチレン・オキシド(P)及び炭化水素基(H)を含む−は、ポリマーのバルク特性を損なうことなく、表面の化学的性質を制御する。結果は、凝血抵抗性、生体安定性、及び耐摩耗性などの重要な表面特性が、製造後の追加処理もしくは局所コーティングなしで、強化されていることである。この技術は、PTGのポリマーの広い範囲で応用されている。
【0125】
SMEsは、添加物を使わずに必要な表面特性を達成できる一連の塩基性ポリマーを提供する。PTGの開発プロセスに従って調整されたポリウレタンは、末端基を、末端イソシアネート基を介して、合成の際に、ハードセグメントではなく、高分子骨格と共役させる。骨格への相対的末端基の付加流動性は、界面活性末端ブロックによる均一のオーバーレイヤーの形成を促進する。界面活性末端基を使用すると、元のポリマーの骨格がそのまま残るので、ポリマーは強度と加工性を保持する。基本的に全ての高分子鎖が表面改質部分を持っていることは、添加剤に関する潜在的な問題の多くを解消する。
【0126】
SMEのアプローチは、単一ポリマーへ混合末端基を取り込むこともできる。例えば、疎水性及び親水性の末端基の組み合わせは、疎水性に対する親水性のバランスを容易に制御することができる両親媒性特性をポリマーに与える。
【0127】
CARDIOTECH CTE製の他の材料は、クロノフレックス(ChronoFlex)(登録商標)及びヒドロセイン(Hydrothane)(商標)を含む。
【0128】
クロノフレックス(ChronoFlex)(登録商標)、芳香族ポリカーボネートウレタンは、生体耐久性ポリウレタンエラストマーにセグメント化された医療グレード群であり、ストレス誘発微小き裂の生体内での形成を克服するよう、特にCardio Tech Internationalによって開発された。
【0129】
ヒドロセイン(HydroThane)(商標)、親水性熱可塑性ポリウレタンは、高吸水性、熱可塑性、5から25重量%の水を含むポリウレタンヒドロゲルの一つである。ヒドロセイン(HydroThane)(商標)は、80デュロメータA硬度及び93シェアA硬度の透明樹脂として提供される。この材料群の優れた特徴は、急速吸水性、高強度及び高延性である。その結果、ポリマーは、潤滑特性を持ち、表面での非常に高い含水性のために、本質的に菌耐性である。ヒドロセイン(HydroThane)(商標)親水性ポリウレタン樹脂は、熱可塑性ヒドロゲルであり、及び、従来の方法により、押出または成形が可能である。一方、従来のヒドロゲルは、熱硬化性であり、加工が困難である。
【0130】
THERMEDICS製のその他の適当な材料は、テコセント(Tecothante)(登録商標)(芳香族ポリエーテル系ポリウレタン)、カーボセイン(Carbothane)(登録商標)(脂肪族ポリカーボネート系ポリウレタン)、テコフィリック(Tecophilic)(登録商標)(高吸水性脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン)、及びテコプラスト(Tecoplast)(登録商標)(芳香族ポリエーテル系ポリウレタン)が含まれる。テコセイン(Tecothane)(登録商標)は芳香族であり、デュロメータ硬度、色及びX線不透過(radiopacifiers)の広い範囲で利用可能なポリエーテル系TPUの一つである。同じデュロメータ硬度のテコフレックス樹脂と比較して、改善され耐溶剤性及び生体安定性を示すテコセイン(Tecothane)樹脂を期待することができる。カーボセイン(Carbothane)(登録商標)は脂肪族であり、デュロメータ硬度、色及び放射線不透過(radiopacifiers)の広い範囲で利用可能なポリエーテル系TPUの一つである。TPUのこのタイプは、優れた酸化安定性、優れた長期生体安定性と同一視できる性質を示すことが報告されている。この群は、テコフレックスのように、加工が容易であり、及び、経時黄変がない。テコフィリック(Tecophilic)(登録商標)は、脂肪族であり、ポリエーテル系TPUは、乾燥樹脂の最大150重量%の平衡水分を吸収するよう特別に調合されている。
【0131】
ポリウレタンは、製剤中のジイソシアネート成分の化学的性質に基づいて、芳香族または脂肪族指定される。テコフレックス(Tecoflex)、テコフィリック(Tecophilic)及びカーボセイン(Carbothane)樹脂は脂肪族化合物、水素化メチレンジイソシアネート(HMDI)の使用によって製造される。テコセイン(Tecothane)及びテコプラスト(Tecoplast)樹脂は芳香族化合物のメチレンジイソシアネート(MDI)を使用している。テコフレックス(Tecoflex)は、脂肪族であり、ポリエーテル系TPUである。これらの樹脂は、加工しやすく、経時黄変がない。溶液グレードの型は、ラテックスを置き換える候補である。製剤によっては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及び1、4 −ブタンジオール延長鎖を使用して処方されている。カーボセイン(Carbothane)は、ポリカーボネートジオール(PCDO)と特に調合されている。これらの材料は、様々な群での主要な化学組成の違いを表している。芳香族及び脂肪族ポリウレタンは、医療デバイスでの使用のための極めて優れた材料にするのと同様な性質を共有している。一般的に、次の化学的、機械的及び生物学的性質に関しては、医療グレードの脂肪族および芳香族ポリウレタンの間に大きな違いはない:高い引張強度(4,000から10,000psi);非常に高い延性(250〜700%);広い範囲のデュロメータ硬度(72ショアAから84ショアD);良好な生体適合性、高耐摩耗性、良好な加水分解安定性、酸化エチレンとガンマ照射で滅菌することが可能;低温でのエラストマー特性を保持;押出成形、射出成形にとって良好な溶接加工特性、など。
【0132】
そのような望ましい性質の配列では、脂肪族及び芳香族両方のポリウレタンは、医療用部品の設計においてますます選択される材料となるのは明らかである。しかしながら、特定の適用に関して、他方に対する一方の選択を決定づけるポリウレタンのこれら2つのファミリーの間には明確な違いがある。
【0133】
自然な状態では、芳香族及び脂肪族両方のポリウレタンは、色の非常に薄い黄色であることがはっきりとしている。しかしながら、芳香族ポリウレタンは、溶解加工の結果または、滅菌、または経時変化によって濃い黄色からオレンジ色になることがある。芳香族ポリウレタンのクリアチューブや射出成形部品の変色の主要な欠点は審美的なものであるが、ポリマーのNMI部分での発色形成によって引き起こされる黄色は材料の他の物理的性質に影響を与えるようには見えない。テコセイン(Tecothane)のX線不透過のグレードは、溶解加工または滅菌中にいくつかの変色を示す。しかしながら、標準及びカスタム配合の両方でテコセイン(Tecothane)のX線不透過性のグレードは、特にこの変色を最小限に抑えるために調合されている。
【0134】
芳香族ポリウレタンは、脂肪族ポリウレタン−特に、低デュロメータ硬度(80から85ショアA)で、長期の接触でポリマーの膨潤につながることがあり、短期の接触で表面に粘着性を与えることがある脂肪族に比べて有機溶媒よりも有機溶媒及び油に対して優れた抵抗性を示す。これらの効果は高いデュロメータ硬度では目立たないが、芳香族は、医療業界で使用される一般的な有機溶剤においてほとんどまたは全く感度を示さない。
【0135】
脂肪族及び芳香族のポリエーテル系ポリウレタンは両方とも、体内に挿入後数分以内に大幅に軟化する。多くのデバイスメーカーは、患者の快適さの利点だけでなく、血管外傷のリスクの低減のため、ウレタン製品のこの機能を推進している。しかしながら、この軟化効果は脂肪族樹脂よりも芳香族樹脂の方がはっきりしない。
【0136】
テコセイン(Tecothane)、テコプラスト(Tecoplast)及びカーボセイン(Carbothane)は、テコフレックス(Tecoflex)及びテコフィリック(Tecophilic)よりもかなり高い温度で融解する。したがって、テコセイン(Tecothane)、テコプラスト(Tecoplast)及びカーボセイン(Carbothane)から製造された製品において、射出成形のいずれかの押出成形による加工は多くの熱履歴を置く。例えば、テコフレックス(Tecoflex)EG−80A及びEG−60D樹脂がそれぞれ華氏約310度及び340度のノズル温度で成形されるのに対し、同じデュロメータ硬度のテコセイン(Tecothane)及びカーボセイン(Carbothane)製品は華氏380度及び435度の範囲のノズル温度で成形される。
【0137】
他の興味深い材料は、テコフィリック(Tecophilic)族の新しい部材であるテコゲル(Tecogel)、乾燥樹脂の500%から2000%の平衡水分を吸収するよう合成されることもあるヒドロゲル、及び、芳香族のテコプラスト(Tecoplast)(登録商標)、高いデュロメータ硬度と高い熱変形温度を示す堅牢な射出成形成分を生成するために調製されたポリエーテル系TPUを含む。
【0138】
その他の潜在的に適当な材料は、Elast−Eon(商標)と名付けられたポリウレタンの4群が含まれ、これらはAorTechバイオマテリアル社から入手可能である。
【0139】
Elast−Eon(商標)1、ポリヘキサメチレンアジパミド酸化物(PFMO)、
芳香族ポリウレタンは、影響を受けやすい化学群を減らしている点において、従来のポリウレタンを改善している。Elast−Eon(商標)2、シロキサン系マクロジオール、芳香族ポリウレタンは、ソフトセグメントにシロキサンを組み込んでいる。Elast−Eon(商標)3、シロキサン系マクロジオール、変性ハードセグメント、芳香族ポリウレタンは、ハードセグメントにシロキサンを組み込むためにさらに柔軟性を高めるElast−Eon2の変形である。Elast−Eon(商標)4は、変性芳香族ハードセグメントポリウレタンである。
【0140】
バイエル社もまた候補材料を製造する。Texin4210 及びTexin4215は、射出成形及び押出成形用の熱可塑性ポリウレタン/ポリカーボネートである。Texin5250、5286及び5290は、射出成形及び押出成形用のそれぞれ約50、86及び90のショア硬度Dの芳香族ポリエーテル系医療用材料である。
【0141】
製造方法
本発明の人工器官は、典型的な適用が「在庫」単位で満たされるように、様々なサイズで製造されていることがある。したがって、外科医は、注入処理中に在庫単位の中から適切なサイズのデバイスを選択することができる。また、別の実施形態では、交換する半月板は、コンピュータ支援製造(CAM)技術と相まったMRIのような医療用画像処理技術によって決定された患者の特性を生かすため、カスタム製造されている。
【0142】
一部の実施形態において、人工器官は、二つの生体適合性材料からなる溶融型複合インプラントである:PTGバイオネート(Bionate)(登録商標)ポリカーボネート−ウレタン(PCU)、80ショア硬度A、マトリックス材料及び超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)補強材。いくつかの特定の実施形態では、補綴具は、PCUの形成をなし、補綴具の基礎となる関節面の負荷の望ましい分布において、DSMダイニーマ(Dyneema)(登録商標)繊維とともに円周方向に強化される。したがって、一般的に、以下に説明するようなデバイスの製造の態様及び方法は図27から35を参照する。
【0143】
特に図27、28、29及び31を参照する。そこに示すように、人工器官370は、本開示の一態様に応じる。一般的に、人工器官370は、外周部374に囲まれて、コア372を含んでいる。人工器官370は、上部の関節面376及びそれに相対する下部の関節面378が含まれている(図29)。上部関節面376は大腿骨に咬合するよう構成され、それに対し、下部関節面378は脛骨に咬合するよう構成されている。一部の実施形態において、人工器官370は、関節面の中または上において、欠陥、欠点及び/又は、加工の残渣を実質的に制限する射出成形加工を介して形成される。その点では、関節面は、それらが形成される型の表面によって実質的に滑らかさを得ることがある。一部の場合において、型表面は約0.05Raから0.4Raの間に光学研磨し、鏡面研磨される。
【0144】
人工器官370は繊維と共に埋め込まれている(図示せず)。一部の場合において、繊維はコア372及び外周部374間の人工器官370の周りに円周方向に配置される。その点では、一部の実施形態において、人工器官370内で、コア372は繊維の配置を容易にする機能を含んでいる。例えば、特に図28を参照すると、図28には、本開示の一態様に応じたコア372の斜視図が示されている。図に示されているように、コア372は、コアの外側を定義する上周縁部380及び下周縁部382を含む。上部周縁部380及び下部周縁部382の間に、コア372は凹凸を交互に一連含んでいる。現在の実施例では、上部周縁部380及び下部周縁部382の間に、コアは凸部384、386、388及び390を含む。図29を参照すると、周縁部380と382の間に、コア372は、凹部392、394、396、398及び400を含む。一部の実施形態において、凹部392、394、396、398及び400は、人工器官370内に埋め込まれる繊維を受けるようサイズと形を整えられている。一部の場合において、凸部384、386、388、390及び凹部392、394、396、398、400は、コア372の周りに繊維を巻きつけるように構成されることもある。
【0145】
本実施形態では、凹部392、394、396、398及び400は、上部周縁部380から下部周縁部382のコア372の高さに沿って、サイズが増加する。したがって、上部周縁部380及び凸部384に隣接する凹部392は、凹部の中で最小であり、下部周縁部382及び凸部390に隣接する凹部400は凹部の中で最大である。したがって、現在の実施例では、図29で示される人工器官370の下部は、人工器官の上部よりも数多くの繊維を受けるよう構成されている。また、図示されているように、凹部392、394、396、398及び400は、凹部の内側よりも隣接する外側の方が幅広くなるように先細にされている。一部の場合において、これは、先細またはとがった形状につながるよう成形/挿入されたコア372を射出成形した結果であることがある。先細またはとがった凹部を形成するこの方法において、成形物/挿入物を先細にさせ、または尖らせることは、射出成形加工後に、前記コアを傷つけることなく、当該成形物/挿入物が前記コア372から分離することを可能にする。
【0146】
一般的に、コア372の凹凸の形及びサイズは、デバイスを介して所望の繊維分布を達成するよう調整または選択される。したがって、一部の場合において、全ての凹凸は実質的に同じサイズである。他の場合では、凹凸部または埋め込まれた繊維の分布と関連する人工器官の他の態様は、所望の繊維分布に適合するように、高さ、周囲、長さ、幅または人工器官の他の態様に従って変化する。その点では、一部の場合において、凹凸は実質的に環状にコア372の周りに完全に延びている。他の場合では、図28に示された実施形態のように、凹凸はコア372の周りに一つまたは複数の離散断面を持つ。
【0147】
一部の場合において、コア372の上部周縁部380及び下部周縁部382は、外側部分が実質的に上部周縁部と下部周縁部の間にある人工器官370の外側部分374と結合するよう構成されている。この点に関して、人工器官370の関節面に悪影響なく外側部分374が射出成形される、またはそれ以外ではコア372に接続されるように、上部周縁部380及び下部周縁部382は、関節面上部376及び関節面下部378からそれぞれ構成されることがある。
【0148】
しかしながら、一部の場合において、コア372は上部周縁部380及び下部周縁部382を含まない。例えば、本発明の別の実施形態であるコア402を示す図30を参照すると、コア402は、上部周縁部及び下部周縁部を含まない。それ以外においては、コア402はコア372と他の点で実質的に似ている。一部の場合において、人工器官370の外側部分374は、外側領域または人工器官の上部及び下部の関節面境界から成っている。例えば、一部の場合において、外側部分が少なくとも人工器官の上部及び下部の関節面の範囲を示すように、外側部分374はコア402の周りに成形されている。そのような実施形態では、少なくとも外側部分374の上部及び下部表面の滑らかさはコアの関節面上部376及び関節面下部378に実質的に似ている。
【0149】
先述したように、他の場合では、外側部分374はコア372の上部周縁部380及び下部周縁部382の間に実質的に配置されている。より具体的に図31を参照すると、外側部分374は内側表面404及び外側表面406、上部表面408及び下部表面410から成っている。内部表面404は実質的に滑らかなものとして示されているが、一部の実施形態において、外側部分374はコア372及び/またはコアを取り囲む繊維の周りに射出成形されることが理解されている。そのような実施形態では、内部表面404は、コア及び繊維隣接の輪郭と実質的に一致する。しかし、他の実施形態では、外側部分374は、示されているように、滑らかな内部表面404から実質的に構成されている。外側部分374は、実質的に、上部周縁部380及び下部周縁部382の間、周縁部との接触面である上部表面408及び下部表面410の間に配置されている。その点に関して、一部の場合において、上部周縁部380及び下部周縁部382の係合面は、外側部分374及びコア372間の係合を容易にする機能を含む。例えば、上部周縁部380及び下部周縁部382の係合面は、荒く、ざらつき、刻みがあり、凸部及び/または凹部を含み、または、そうでなければ、外側部分374及びコア372間の係合を強めるよう形作られ扱われることがある。
【0150】
一部の実施形態において、人工器官370の繊維は、繊維及び人工器官の関節面の間の接触を防止するように、コア372及び/又は外側部分374の受け入れ材料内に完全に埋め込まれている。この方法では、繊維も同様に患者の宿主組織と接触することができない。一部の実施形態において、コア372及び/又は外側部分374がPCUにより形成されるのに対し、繊維はUHMWPEによって形成される。このような実施形態では、射出成形加工は、フォーム、機械的特性、またはUHMWPE繊維の安定性に影響を及ぼさない方法で実行される。この点に関して、一般的に、UHMWPEはPCUと比較して低い融点を有し、これにより、UHMWPE繊維の周りにPCUを注入する標準的な射出成形加工が当該UHMWPE繊維の特性に悪影響を与えている。したがって、一部の場合において、人工器官370は、PCUと利用してもUHMWPE繊維の所望の材料特性を維持できるよう本開示の方法を利用して製造されている。
【0151】
一部の実施形態において、繊維は、天然の半月板を模倣するかのように、人工器官370で負荷を分散させるように構成される。その点で、繊維量、繊維の種類、繊維の分布、及び/または繊維の場所は、所望の負荷分散を実現するために実施形態によって変更される。また、繊維のこれらの属性はインプラント内の配置によって単一インプラント内で異なる場合がある。例えば、一部の場合において、繊維の番号や密度が人工器官の高さによって異なる。一部の場合において、繊維特性は、人工器官370を装着する患者に基づいて少なくとも部分的には決定される。例えば、患者の膝の骨格のサイズ、患者の体重、患者の予想される活動レベル、及び/または患者のその他の側面などこれらの要因は、人工器官370に埋め込まれる繊維の特性を決定するにあたって考慮されている。一部の場合において、繊維混入率(FIR)も考慮に入れられている。一般的に、繊維混入率は、マトリックス材料または基材と比較して人工器官370内の繊維の量または割合の代表である。一部の実施形態において、繊維混入率は、人工器官の断面の面積で割った繊維の面積として測定される、または、
【数7】

【0152】
である。
【0153】
図32を参照すると、本開示の一態様に応じた、患者の体重及び活動レベルに基づいた人工器官の繊維混入率を定める表が示されている。図示されているように、本実施形態においては、繊維混入率は、範囲によって分類された患者の体重及び活動レベルに基づいて決定されている。具体的には、患者の体重は3つのカテゴリーに分類される:60kg以下、60kgから110kg、110kg以上。一部の実施形態において、患者の体重は、もっと数多くのカテゴリーに分類される、または患者固有の体重が利用される。患者の活動レベルもまた、3つのカテゴリーに分類される:低活動型、中活動型、こう活動型。繰り返しになるが、一部の実施形態において、患者の活動レベルは、もっと数多くのカテゴリーに分類される、及び/または活動タイプによって分類される。一部の場合において、他の要因が繊維混入率の決定において考慮される。図32に示されているように、一般的に、患者の体重が重ければ重いほど、及び活動レベルが高ければ高いほど、繊維混入率は高くなる。図32によると、一般的に、繊維混入率は約0.1%から約1.2%の間である。しかしながら、一部の実施形態において、繊維混入率は約0.0%(すなわち繊維なし)から約50%の間である。
【0154】
図33及び34を参照すると、本開示における、人工器官430及び440の繊維混入率の違いについて示している。図33の人工器官430は、関節面上部432、関節面下部434、及び繊維438によって強化された外側部分を含む。人工器官430は、比較的低い繊維混入率から成る。繊維438は、人工器官430及び人工器官の隣接する外側の境界の高さに沿って、均等に分布している。図34の人工器官440もまた、関節面上部442、関節面下部444、及び繊維447によって強化された外側部分446を含む。しかしながら、人工器官440の繊維447は、人工器官の高さに沿って均等に分布されていない。図に示されているように、人工器官440における繊維447は一般的に、人工器官上部から下部に向かって繊維密度を増加させる列448、450、452及び454によって整列されている。態様によっては、人工器官440は、繊維を受けるため、様々なサイズの凹部を持つ前記コア372を用いる人工器官の代表である。その点で、様々な繊維密度の列448、450、452及び454は、繊維を受けるために様々なサイズを持つコアの凹部に対応する。
【0155】
図35を参照すると、本開示の一態様に応じた人工器官を製造するための方法460のブロック図が示されている。一般的に、方法460は3つの工程から構成されている:コア注入工程462、繊維を巻く工程464、及び外側部分注入工程466。方法460は、人工器官のコアの射出成形を行う工程462で始まる。一部の場合において、コアは、前記コア372または402と実質的に類似して成形される。したがって、このような実施形態では、材料が注入される金型はコア372またはコア402のネガティブ成形で形作られている。一部の場合において、外側部分注入工程でPCUのオーバーラッピングを避けるため、及びインプラントの表面が滑らかで欠陥のないままであることを確認するために、コアの上部周縁部及び下部周縁部は、人工器官の外側部分は、前記器官の関節面に影響を与えないよう上部周縁部と下部周縁部の間に続いて注入するようにして成形される。
【0156】
工程462のコア成形後、方法460は、コアの周りに繊維を巻きつける工程464へと続く。一部の実施形態において、コアは、コアの周りに繊維を巻きつける前に完全に配置されることが許容されている。その他の場合では、コア内に少なくとも繊維の最初の層が埋め込まれる巻きつけよりも前に、コアは完全には配置されていない。一部の実施形態において、工程464の前記巻きつけはコアの各トンネルまたは凹部中の繊維の量を制御し、及び、巻線工程中に繊維の張力を維持する巻線機によって行われる。先述したように、コアのトンネルは、実施形態によって異なる繊維の量の組み込みに応じてサイズ変更される。したがって、1〜20の一部の場合において、繊維はインプラントの高さに沿ったトンネルの場所に応じて各トンネルに配置される。
【0157】
巻線工程464中に、繊維は約5N〜約78Nの力で引っ張られている。一部の場合において、繊維にかかる張力は選択されるので、結果として、人工器官は移植及び装填時に伸びるようプレテンションされる。一部の場合において、人口器官のプレテンションの結果、プレテンション状態の自然の半月板と比較してサイズが小さくなる。一部の実施形態において、繊維にかかる張力は、本開示の一態様に応じた繊維のプロパティに基づいた様々な繊維のための張力を設定した図36の表に基づいて決定される。一部の場合において、繊維は、繊維の最大張力の約10%で巻かれている。たとえば、繊維の最大張力が約50Nのとき、繊維は約5Nの力で人工器官のコアの周りに巻かれている。
【0158】
コアの周りに繊維が巻かれた後、方法460は、人口器官の外側部分の射出成形を行う工程466へと続く。一部の場合において、外側部分の射出成形466の前に、前記コアは、コアと外側表面部分を密着させるために約100℃で加温される。しかし、メーカーの指示によると、150度以上の温度に長い時間曝すと、UHMWPE繊維の融解を引き起こす。150度以上の温度に短い時間曝す(熱ショック状態)は、しかし、前記UHMWPE繊維の構造的または機械的性質に影響を及ぼさない。したがって、一部の場合において、外側部分はUHMWPE繊維の融点以上温度で成形される。一特定の実施形態では、ポリカーボネートポリエチレンは約160℃の温度で成形される。したがって、UHMWPE繊維が使用される実施形態では、以下のひとつまたは複数の工程は、繊維の融解を防ぎ、及び/または繊維に不利な材料に変更されることを防ぐために前記繊維が高温に曝されている時間を最小限におさえるために利用されている。一部の場合において、外側表面成形後すぐに、人工器官を形成するのに用いられる金型内に冷却トンネルを介して冷たい流体を循環させることで、金型は周囲の室内の温度(約25℃)に冷却される。さらに、一部の場合において、外側部分用の金型内に注入される材料は最小限に維持される。注入材料のより小さい質量は、加温時間に曝す時間を短縮することで、冷却を速める。
【0159】
一部の実施形態において、成形過程の二つの段階(工程462及び466)は、いくつかの部分から構成される単一モジュラー型構造を利用している。例えば、一部の場合において、金型は、人工器官の全体的形状に対応するよう形作られた外側構造から成り、及び、人工器官のコアを成形するための、少なくとも一つの取り外し可能な挿入部を含む。その点で、金型は、二つの注入段階462及び466の間に挿入部を削除することで修正される。一部の場合において、挿入部の削除は、コアの周りに繊維を巻きつけることを考慮に入れる。一般的に、コア注入462の後の挿入部の削除は、コアを形成する以前に注入材料の除去または破壊を必要としない。むしろ、上述したように、コアの境界に沿った前記トンネルまたは凹部は、これらのトンネルを形成する金型の前記挿入の取り外しをスムーズに行えるよう形作られている。例えば、一部の実施形態において、金型の挿入部は除去を容易にするようテーパされている。一部の場合において、金型挿入部は研磨されている、または、それ以外の場合は、コア注入部及び挿入部の間の摩擦を制限するため、滑らかな表面を有している。一部の実施形態において、前記金型はアルミニウム、スチール、他の金属、及び/または、それらを組み合わせて作られている。アルミニウム及びアルミニウム鋼が利用されている状況において、注入された材料と接触する表面は、硬質アルマイトコーティングされている。一部の場合において、硬質アルマイトの約10μmの層が利用されている。他の場合では、硬質アルマイトの厚いまたは薄い層が利用されている。
【0160】
一部の実施形態において、人工器官は、自然の半月板の機能をシミュレートする構造及び材料特性を有する軟骨補填材から形成されている。一般的に、前記材料は、硝子(関節)軟骨及び線維軟骨(例えば、椎間板、膝半月板など)のような体の軟骨組織の様々な荷重フォームと同等に柔軟な関節面を提供する。前記材料は、隣接する骨及び/または前記インプラントそのものにかかる衝撃強度の衝撃の吸収及び削減を提供する。一部の場合において、衝撃吸収機能は、患者の痛みを軽減し、前記器官の磨耗を軽減し、及び/または患者への機動性の提供をする。前記材料は、弾性変形可能である。具体的には、材料内及び自然で健康な軟骨と同様な関節面での圧力分布を達成するために自然の軟骨と同様の方法で操作された人工器官の材料圧力のような患者の体によって与えられる自然な圧迫下において、前記材料は変形する。
【0161】
一実施形態においては、前記材料は、繊維に埋め込まれた柔軟な生体適合性マトリックス材料または他の強化材料から構成される複合材料である。一部の場合において、前記材料の特定の複合構造は、自然の軟骨の構造的特性に基づいており、高配向コラーゲン繊維ネットワークまたはコラーゲン線維と埋め込まれた軟骨マトリックスから構成される。自然の軟骨と同様に、前記材料は、強化弾力性のある複合構造を維持するよう高い衝撃力に耐えることができる。その点で、前記マトリックス材料及び繊維材料間の相乗効果の材料特性への結果は、それぞれの個別材料からは得られない。具体的には、柔軟なマトリックス材料は、減衰またはクッション効果を供し、及び、部分的な材料の流れや変形を許容することで圧力を分配している。その一方で、補強材は、前記マトリックス材料の流れを抑制または制限することで、人工器官の全体的なデザイン形状を維持及び安定させている。その点で、補強材または繊維材料は、人工器官に作動する圧力の高い部分に位置する。一部の場合において、人工器官にかかる圧縮荷重は、人工器官の形状及びそこの繊維の配向のため、補強材または繊維材料にかかる引張荷重に変換される。その点で、一部の場合において、上記で議論された人工器官100はこの方法で機能する。これは、人工器官100の圧縮荷重が、人工器官の変形または延伸のため、埋め込まれた繊維124にかかる引張荷重に変換される。これらの材料は、自然の軟骨組織と同様の圧縮下において負荷分散の生成を示す。
【0162】
一部の実施形態において、弾力性マトリックス材料は、生体適合性ポリマーを含む。一部の場合において、前記ポリマーはポリカーボネートポリウレタンである。一特定実施形態では、マトリックス材料は、PTGバイオネート(Bionate)(登録商標)ポリカーボネート−ウレタン(PCU)、80ショア硬度Aである。応用で利用される高弾性率補強材は以下のいずれでもよい:超高分子量ポリエチレン(UHWMPE)繊維、例えば、高純度DSMダイニーマ(Dyneema)(登録商標);パラ系アラミド合成繊維、例えば、デュポン(DuPont)(登録商標)ケブラー(Kevlar)、ケブラー29(Kevlar29)、ケブラー49(Kevlar49);炭素;ステンレス鋼;チタン;ニッケルチタン(ニチノール);及び/または他の適切な補強材。その点で、前記繊維は、0〜1mmの直径範囲での、一本鎖または複数の繊維糸として、モノフィラメントまたはマルチフィラメントで用いることができる。
【0163】
軟骨補強材のいくつかの具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態は、本発明の開示に応じて自然の軟骨の特性をシミュレートするよう、補強材をマトリックス材料に埋め込まれることがある、または他の場合では分散される、様々な方法が例示され、及び、制限がないことが理解されている。一般的には、かっこ内のどちらかの繊維の形式(ストレート、巻き、またはそれ以外)、複雑なメッシュの形式、及び/または前記追うようにおける所望の機能及び配置に基づいたこれらの組み合わせにおいて、補強材はマトリックス材料に埋め込まれる。一部の場合において、前記繊維の分布は、マトリックス材料の異なる部分を介して様々である。その点で、一部の実施形態において、前記繊維の分布は、材料の機械的性質が高い圧力が起こりやすいところからそらすように変化させている。
【0164】
全体的に、前記材料の繊維混入率は、合計材料の断面積を基準として繊維断面積を測定すると、約0%から約50%の間と多様になることがある。一部の場合において、繊維混入率は、前記材料が所望の機能及び/または材料特性を得るために変えられる。例えば、材料に組み込まれた繊維の量は、材料の意図された応用に基づく配置によって異なることがある(すなわち、異なる材料の深さや場所に組み込まれた繊維の量は異なる)。一般的に、高い圧力に接している箇所ほど数多くの繊維を用いることに関連付けられている。したがって、一部の場合において、繊維は、材料または人工器官の高い圧力に接している箇所に集中している。利用されている繊維の特定の数は、患者の活動レベル、患者の体重、マトリックス材料、繊維材料、インプラントの形状などの要因、必要な機能、及び/または、その他の要因に依存する。一部の場合において、繊維の分布及び/または繊維混入率は、コンピュータの有限要素解析によって決定される。
【0165】
より具体的に図37を参照する。図37には、本開示の一態様に応じた線状の繊維構成をもつ代表的な材料460の概略斜視図が示されている。その点において、前記材料460は、繊維464の多数と共に埋め込まれたマトリックス材料462を含む。図に示すように、前記繊維464は、前記材料の長さに沿って実質的に互いに平行に延びている。一部の場合において、前記繊維464は全ての繊維がマトリックス材料の内部に同一平面内に実質的に配置されているように配置される。他の実施形態では、前記繊維はマトリックス材料内の複数の面に並んでいる。まだ他の実施形態では、前記繊維は、マトリックス材料全体に分散されているが、実質的には同じ方向に直線状に延びている。一般的に、前記繊維464は、直線状に延びるよう、及び、実質的にたがいに平行になるよう、いかなる方法、方向、またはそれらの組み合わせによって、マトリックス材料462を介して分布されることもある。
【0166】
より具体的に図38及び39を参照する。図38及び39には、本開示の一態様に応じたメッシュ状の繊維構成をもつ代表的な材料470が示されている。具体的には、図38は前記材料470の概略斜視図であり、及び、図39は、図38の断面線39−39に沿った前記材料470の部分断面図である。前記材料470は、繊維の多数または繊維メッシュ474と共に埋め込まれたマトリックス材料を含む。図39に示すように、本発明の実施形態においては、前記繊維474は、繊維メッシュ上部476及び繊維メッシュ下部478を含む。図に示すように、繊維メッシュ部476及び478はそれぞれ、格子、織り込み、及び/または、格子状に編成された繊維474の覆いから構成される。本発明の実施形態において、前記繊維は、格子状を形成するために、実質的に垂直な角度で結合している。これは、繊維の最初のグループは、前記材料の最初の軸に沿って実質的に互いに平行に延び、及び、前記メッシュ繊維の格子を形成するよう、最初の軸に対して実質的に垂直な軸に実質的に平行に延びている。他の実施形態において、代替の格子、角度、及び/または方向を含むことがある。本実施形態では、繊維メッシュ上部476及び繊維メッシュ下部478は実質的に平面であり、及び、材料470を介して実質的に互いに平行に延びる。一部の場合において、繊維メッシュ上部476及び繊維メッシュ下部478は互いに非平行な角度で延びている。一部の実施形態において、前記材料470は、繊維メッシュ部の数多く、または少しを含む。一部の場合において、前記繊維メッシュ部は、実質的に平坦ではない。一般的に、繊維メッシュ部は、必要に応じていかなる方法、方向、または組み合わせで前記マトリックス材料472を介して分布されることがある。
【0167】
より具体的に図40及び41を参照する。図40及び41には、本開示の一態様に応じて、らせん状の繊維構成を有する代表的な材料480が示されている。具体的には、図40は、前記材料480の概略斜視図であり、及び、図41は、図40の断面線41−41に沿った前記材料480の部分斜視断面図である。前記材料480は、繊維484の多数と共に埋め込まれたマトリックス材料482を含む。本実施形態においては、前記繊維484は、前記マトリックス材料482内に環状に配置されている。一部の場合において、各前記繊維484は、環状構造を形成するために前記材料482の周りまたは内部に巻かれている。本実施形態においては、前記繊維484は、前記繊維が、一般的に円筒状の形状になるよう、前記材料の垂直面内に実質的に整列される。他の実施形態においては、前記繊維484は、代替の方向及び/またはパターンを含むことができる。その点で、前記繊維は、楕円形、長方形、他の幾何学形、及び/または、一部の場合において他の非幾何学形に巻かれている。さらに、一部の場合において、繊維の複数のグループは前記材料内に配置されている。一特定の実施形態においては、繊維の複数の環状リングは、マトリックス材料内に同心円状に配置されている。一般的に、前記繊維は、いかなる方法、方向、または必要に応じてそれらを組み合わせて巻かれることがある。
【0168】
図37〜41に図示された実施形態においては、前記繊維が前記マトリックス材料を介して表示できるよう実質的に不透明に図示されているのに対し、前記マトリックス材料は、少なくとも部分的に透明であるものとして図示されている。しかし、他の場合では、前記繊維がマトリックス材料を介して見えないように、前記マトリックス材料は実質的に不透明、及び/または前記繊維が透明及び/または前記マトリックス材料と実質的に同じ色である。
【0169】
上記複合材料は、人工器官を形成するために利用されることがある。例えば、一部の場合において、前記複合材料は、膝関節(半月板及び膝関節全体を含む)、股関節(寛骨臼カップを含む)、肩関節、肘関節、指関節、及びその他の荷重及び/または非荷重に利用される人工器官に利用される。
【0170】
一部の場合において、本開示の人工器官はここに記載されている以外の過程で形成されていることを理解されたい。これらの製造過程は任意の適切な製造方法が含まれている。例えば、制限なく、以下の製造方法のいずれかを利用することができる:挿入を含む射出成形;挿入を含む圧縮成形;挿入を含む射出‐圧縮成形;挿入を含む前記のいずれかの方法によってプレ形成されたプレハブ要素の圧縮成形;挿入を含む溶射成形;挿入を含むディッピング成形;金属材料または棒からの加工;挿入を含むプレハブ要素からの加工;及び/または挿入を含まない前記のいずれかの方法。さらに、一部の実施形態において、本開示の人工器官は、具体的に上記で確認された以外の医療用材料として形成されることを理解されたい。その点で、一部の実施形態において、人工器官は任意の適切な医療用材料として形成される。
【0171】
本開示の原理は、上述した特定の実施形態を用いて記載されているが、それらによっては、いかなる限定が暗示されるものではない。前記器官、器具、及び/または方法への任意及び全ての代替または変更は、当業者にとって明らかであろう本開示の原理のいずれか、さらに応用と同様に技術は、明示的にここで説明されていなくても本発明に包含される。また、様々な現在予期しない、または不測の代替、変更、及び本開示の変形は、それ以降に当業者によって行うことができることが認識されている。このような全ての変形、変更、及び改善は、本開示の関係する以下の特許請求の範囲に包含されると当業者にとって明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用可能な人工器官のライブラリから、患者のために半月板の人工器官を選択する方法であって、
患者の健康な膝部の像を得る工程と、健康な半月板を含む膝部を各構成部に分割する工程と、幾何学的に適した人工器官を同定するために健康な半月板と利用可能な人工器官を比較する工程と、を含む直接的幾何学的マッチングプロセスと、
患者の負傷した膝部の像を得る工程と、負傷した膝部の解剖学的計測に基づいて利用可能な人工器官に関する1もしくはそれ以上の相関パラメータを決定する工程と、相関パラメータが適切な人工器官を同定するために、前記利用可能な人工器官に関する1もしくはそれ以上の相関パラメータと許容される基準データ範囲とを比較する工程と、を含む相関パラメータに基づくマッチングプロセスと、
前記患者の負傷した膝部の像に基づいて患者の負傷した膝部の有限要素モデルを作る工程と、1もしくはそれ以上の利用可能な人工器官について、それらが負傷した膝部に配置された際に前記負傷した膝部にかかる負荷をシミュレートする工程と、有限要素が適切な人工器官を同定するために前記1もしくはそれ以上の利用可能な人工器官についての負荷分布を評価する工程と、を含む有限要素に基づくマッチングプロセスと
から成る移植前マッチングプロセスを含む、方法。
【請求項2】
前記移植前マッチングプロセスが、さらに
幾何学的に適切な人工器官、相関パラメータが適切な人工器官及び有限要素が適切な人工器官の中から、1もしくはそれ以上の最も適切な人工器官を同定する工程、を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1もしくはそれ以上の最も適切な人工器官を同定する工程が、直接的幾何学的マッチングプロセス、相関パラメータに基づくマッチングプロセス、及び有限要素に基づくマッチングプロセスに重み付けする工程を含むものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
直接的幾何学的マッチングプロセス、相関パラメータに基づくマッチングプロセス、及び有限要素に基づくマッチングプロセスが等分に重み付けされるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
直接的幾何学的マッチングプロセス、相関パラメータに基づくマッチングプロセス、及び有限要素に基づくマッチングプロセスの少なくともいずれか1つが、残りの直接的幾何学的マッチングプロセス、相関パラメータに基づくマッチングプロセスよりも小さな重み付けをされるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、さらに
選択された第一の人工器官を負傷した膝部に導入する工程であって、前記選択された第一の人工器官は最も適切な人工器官の一つである工程と、
前記選択された第一の人工器官の適合を評価する工程と
から成る着床中マッチングプロセスを含む、方法。
【請求項7】
前記着床中マッチングプロセスが、さらに
選択された第二の人工器官を負傷した膝部に導入する工程であって、前記選択された第二の人工器官は他の最も適切な人工器官の一つである工程と、
前記選択された第二の人工器官の適合を評価する工程と
から成る着床中マッチングプロセスを含むものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記移植前マッチングプロセスが、適切な内側半月板の人工器官を同定するように設定されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記相関パラメータに基づくマッチングプロセスにおける1もしくはそれ以上の相関パラメータが、領域の相関、幅の相関、長さの相関及び周囲長の相関から選ばれるものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記領域の相関が、半月板の接触領域を内側脛骨の領域で割ることにより決定されるものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記幅の相関が、半月板の平均の幅を内側脛骨の幅で割ることにより決定されるものである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記半月板の平均の幅が、前半月板の幅と後半月板の幅の平均値として定義されるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記長さの相関が、内側半月板の長さを内側脛骨の長さで割ることにより決定されるものである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記周囲長の相関が、半月板周囲長を内側脛骨の周囲長で割ることにより決定されるものである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記直接的幾何学的マッチングプロセスが、さらに
健康な半月板の仮想立体モデルを作成する工程であって、健康な半月板と利用可能な人工器官との比較は、前記健康な半月板の仮想立体モデルの寸法と前記利用可能な人工器官の寸法とを比較することにより行われるものである、工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
負傷した半月板を治療する方法であって、
負傷した半月板に置き換えるのに最も適切な半月板の人工器官を同定するために移植前マッチングプロセスを利用する工程であって、前記移植前マッチングプロセスは領域の相関、幅の相関、長さの相関及び周囲長の相関を考慮する相関パラメータに基づくマッチングプロセスを有し、ここで前記領域の相関は半月板の接触領域を内側脛骨の領域で割ることにより決定され、前記幅の相関は半月板の平均の幅を内側脛骨の幅で割ることにより決定され、前記長さの相関は内側半月板の長さを内側脛骨の長さで割ることにより決定され、及び前記周囲長の相関は半月板周囲長を内側脛骨の周囲長で割ることにより決定されるものである、工程を含む方法。
【請求項17】
前記移植前マッチングプロセスが、さらに、
直接的幾何学的マッチングプロセス及び有限要素に基づくマッチングプロセスを含むものである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、さらに
選択された最も適切な半月板の人工器官を膝関節部に移植し、その適合を評価する工程
を含むものである、方法。
【請求項19】
前記選択された人工器官の適合を評価する工程が、膝の自然な動きをシミュレートした様々な動きを通して膝関節部を動かすことによるものである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、さらに
他に選択され得る半月板の人工器官を膝関節部に移植し、その適合を評価する工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、さらに
最も適切な半月板の人工器官を膝関節部に移植する工程を含む、方法。
【請求項22】
前記最も適切な半月板の人工器官が内側半月板の人工器官を含み、前記最も適切な半月板を移植する工程が、
前記膝関節部を十分に収縮させ、
前記人工器官を前記膝関節部の内側顆に配置し、
前記人工器官の一部を大腿骨と大腿骨後方部分に近接する脛骨との間の空間に配置し、
前記膝関節部を伸ばし、
前記膝関節部に外反力を適用する
ものである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記最も適切な半月板の人工器官を移植する工程が、さらに
牽引縫合を加え、
前記人工器官を適切な位置に配置させるために前記牽引縫合による張力を適用する
ことを含むものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
手術方法であって、
内側ポータルを作るために関節鏡検査を行う工程と、
損傷した半月板の大部分を切除する工程と、
脂肪体の一部を切除する工程と、
前記内側ポータルを直径約4cm〜約6cmに拡大する工程と、
内側腔を評価する工程と、
最も適切な半月板の人工器官を同定するために1もしくはそれ以上の移植検査をする工程と、
前記最も適切な半月板の人工器官を、骨を貫通させることなく、前記内側腔に移植し固定する工程と
を含む方法。
【請求項25】
半月板の人工器官を製造する方法であって、
上側表面、上側表面に対向する下側表面、及び前記上側表面と下側表面との間に配置され、複数の凹部を有する外側表面、を有するコアを射出成形する工程と、
強化繊維を少なくとも1つの前記外側表面の凹部に巻き付ける工程と、
前記強化繊維を固定するために、前記外側表面及び巻き付けられた強化繊維の周囲に外側部分を射出成形する工程と
を含む方法。
【請求項26】
前記コアを射出成形する工程が、ポリカーボネートポリウレタンを射出成形することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、超高分子量のポリエチレン繊維を巻き付けることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、約2N〜約10Nの力で強化繊維に張力をかけることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、前記強化繊維の最大張力の約8%〜約12%の力で張力をかけることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法であって、さらに
前記外側部分を射出成形する直前に、前記コアを加熱する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記コアを加熱する工程が、前記コアの温度を約100℃に加熱することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、さらに
前記外側部分が射出される鋳型を、前記外側部分が射出成形された直後に冷却する工程を含む、方法。
【請求項33】
前記鋳型を冷却する工程が、鋳型中の1もしくはそれ以上の冷却穴に液体を流すことを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項25に記載の方法であって、さらに
前記コアを射出成形した後に、前記複数の凹部を形成しているインサートを除去する工程を含む、方法。
【請求項35】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、第一の強化繊維を第一の複数の凹部に巻き付け、第二の強化繊維を第二の複数の凹部に巻き付ける工程であって、前記第二の強化繊維の量が前記第一の強化繊維の量よりも多いものである工程を含むものである、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記第二の複数の凹部が、前記第一の複数の凹部よりも大きいものである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第二の複数の凹部が、前記第一の凹部よりも前記下側表面に近い位置に配置されるものである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、最終的な半月板の人工器官が含む繊維の割合が50%以下になるよう、強化繊維を巻き付けるものである、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、最終的な半月板の人工器官が含む繊維の割合が約0.1%〜約1.2%となるよう、強化繊維を巻き付けるものである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記外側部分が、前記コアの上部縁と下部縁の間に射出成形されるものである、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
人工器官を製造する方法であって、
コアを形成するためにポリカーボネートポリウレタンを鋳型に注入する工程であって、前記鋳型は前記コアの上側表面を形成する鏡面研磨された上側鋳型表面と、前記コアの下側表面を形成する鏡面研磨された下側鋳型表面とを有し、コアに複数の凹部を形成する取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを有するものである、工程と、
前記取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを除去する工程と、
超高分子量ポリエチレン強化繊維を、コアの周囲及び前記コア上の少なくとも一つの前記複数の凹部に巻き付ける工程と、
コアを加熱する工程と、
前記コアと強化繊維を覆う外層を形成するためにポリカーボネートポリウレタンを鋳型に注入する工程と、
前記鋳型を冷却する工程と、
を含む、方法。
【請求項42】
前記強化繊維を巻き付ける工程が、第一の強化繊維を第一の複数の凹部に巻き付け、第二の強化繊維を第二の複数の凹部に巻き付ける工程であって、前記第二の強化繊維の量が前記第一の強化繊維の量よりも多いものである工程を含むものである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第二の複数の凹部が、前記第一の凹部よりも前記下側表面に近い位置に配置されるものである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
半月板の移植をする方法であって、
コアを形成するためにポリマーを鋳型に注入する工程であって、前記鋳型は前記コアの上側表面を形成する鏡面研磨された上側鋳型表面と、前記コアの下側表面を形成する鏡面研磨された下側鋳型表面とを有し、前記コアの周囲に複数の凹部を形成する取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを有するものである、工程と、
前記取り外し可能な1もしくはそれ以上のインサートを除去する工程と、
強化繊維をコアの周囲及び前記コア上の少なくとも一つの前記複数の凹部に巻き付ける工程であって、まき付けの間前記強化繊維は5N〜78Nの力で張力がかけられるものである、工程と、
前記コアと強化繊維を覆う外層を形成するためにポリマーを鋳型に注入する工程と
を含む、方法。
【請求項45】
損傷した半月板に置き換わる人工器官であって、
大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部とかみ合う下側表面とを有する中央部分であって弾性ポリマー材質から成る中央部分と、
前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分であって、弾性ポリマー材質から成り、該弾性ポリマー材質を組み込む少なくとも1の強化繊維によって張力がかかり、該外側部分は大腿骨と脛骨によって人工器官に加わる圧縮力によって前記中央部分から外側に放射状に移動するような大きさ及び形状を有するものである、外側部分と
から成る人工器官。
【請求項46】
前記少なくとも1の強化繊維が、約5N〜約78Nの力の張力を受けるものである、請求項45に記載の人工器官。
【請求項47】
前記少なくとも1の強化繊維が、約7N〜約8Nの力の張力を受けるものである、請求項46に記載の人工器官。
【請求項48】
前記少なくとも1の強化繊維が、前記少なくとも1の強化繊維における最大張力の約8%〜約12%の力で張力を受けるものである、請求項46に記載の人工器官。
【請求項49】
前記人工器官に加わる圧縮力が、少なくとも部分的に、前記少なくとも1の強化繊維の引張荷重に変換されるものである、請求項45に記載の人工器官。
【請求項50】
前記少なくとも1の強化繊維が前記外側部分内で前記中央部分の周囲に完全に伸びているものである、請求項59に記載の人工器官。
【請求項51】
前記中央部分が、前記圧縮力によって前記外側部分が外側に放射状に移動するにつれて伸びるものである、請求項45に記載の人工器官。
【請求項52】
前記大腿骨の一部と前記中央部分の上側表面との間の接触領域が、前記中央部分の伸縮により増加しているものである、請求項51に記載の人工器官。
【請求項53】
前記脛骨の一部と前記中央部分の下側表面との間の接触領域が、前記中央部分の伸縮により増加しているものである、請求項51に記載の人工器官。
【請求項54】
前記弾性ポリマー材質が、医療グレードのポリウレタンベースの材質である、請求項45に記載の人工器官。
【請求項55】
前記弾性ポリマー材質が、ポリカーボネートポリウレタンである、請求項54に記載の人工器官。
【請求項56】
少なくとも一つの埋め込まれた繊維が、超高分子量のポリエチレンである、請求項55に記載の人工器官。
【請求項57】
前記外側部分が、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクションを含むものである、請求項45に記載の人工器官。
【請求項58】
前記外側部分が、該外側部分の半楕円形状の第一及び第二の末端を接続するブリッジ部分を含むものである、請求項49に記載の人工器官。
【請求項59】
前記ブリッジ部分が、大腿骨の切れ込みとかみ合う大きさとされるものである、請求項50に記載の人工器官。
【請求項60】
膝関節に使用される半月板の人工器官であって、前記半月板の人工器官は
大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部にかみ合う下側表面とを有する中央部分であって弾性ポリカーボネートポリウレタンから成る中央部分と、
前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分であって、張力のかかった超高分子量ポリエチレン強化繊維に組み込まれた弾性ポリカーボネートポリウレタンから成り、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの末端を接合する第二のセクションを有し、該第二のセクションは骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有するものである、外側部分と
から成る人工器官。
【請求項61】
前記中央部分が、前記上側表面と前記下側表面の間の厚さの最小値が約3mm以下であり、前記外側部分の増加した厚さが約4mm〜約15mmである、請求項60に記載の人工器官。
【請求項62】
前記超高分子量ポリエチレン強化繊維が、該超高分子量ポリエチレン強化繊維の最大張力の約8%〜約12%の力で張力を受けるものである、請求項60に記載の人工器官。
【請求項63】
前記超高分子量ポリエチレン強化繊維が、10N以下の力で張力を受けるものである、請求項63に記載の人工器官。
【請求項64】
半月板インプラントであって、
大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部にかみ合う下側表面とを有する中央部分であって、弾性ポリカーボネートポリウレタンから成り、装着されている位置と装着されていない位置で弾性変形可能で、前記上側表面と下側表面は装着された状態で大腿骨及び脛骨との接触が増加する、中央部分と、
前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分であって、張力のかかった超高分子量ポリエチレン強化繊維に組み込まれた弾性ポリカーボネートポリウレタンから成り、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの末端を接合する第二のセクションを有し、該第二のセクションは骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有するものであり、装着されている位置と装着されていない位置で弾性変形可能で、少なくとも該外側部分の一部は、装着された位置で中央部分から外側に放射状に移動されるものである、外側部分と
から成る半月板インプラント。
【請求項65】
膝関節の損傷した半月板に置き換わる人工器官であって、
大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部にかみ合う下側表面とを有する、弾性ポリウレタンから成る中央部分と、
前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分であって、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に拡張する第二のセクションを有し、該第二のセクションは骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有するものであり、前記中央部分に関連して半径方向の剛性が増加するよう、強化繊維に組み込まれた弾性ポリウレタンから形成される、外側部分と
から成る人工器官。
【請求項66】
前記第二のセクションが、約4mm〜約15mmの高さを持つものである、請求項65に記載の人工器官。
【請求項67】
前記第二のセクションが、前記人工器官の周囲長を決める外側表面と前記中央部分の上側表面で先細りになる内側表面の間に約1mm〜約5mmの幅を有するものである、請求項66に記載の人工器官。
【請求項68】
前記第二のセクションが、第一のセクションの第一の末端に隣接する第一の領域と、第一のセクションの第二の末端に隣接する第二の領域と、及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に形成される前記第一及び第二の領域に位置する第三の領域と、を有し、前記内側表面の容積は第一、第二及び第三の領域でそれぞれ異なるものである、請求項67に記載の人工器官。
【請求項69】
前記内側表面が、前記第一の領域において約5mm〜約70mmの第一冠状曲率半径と、前記第二の領域において約5mm〜約50mmの第二冠状曲率半径と、及び前記第三の領域において約10mm〜約30mmの第三冠状曲率半径と
を有するものである、請求項68に記載の人工器官。
【請求項70】
前記内側表面が、前記第一の領域において約10mm〜約100mmの第一矢状曲率半径と、前記第二の領域において約5mm〜約70mmの第二矢状曲率半径と
を有するものである、請求項68に記載の人工器官。
【請求項71】
約20mm〜約60mmの最大長さを有するものである、請求項67に記載の人工器官。
【請求項72】
約20mm〜約65mmの最大長さを有するものである、請求項71に記載の人工器官。
【請求項73】
前記弾性ポリウレタンが、ポリカーボネートポリウレタンを含むものである、請求項65に記載の人工器官。
【請求項74】
前記繊維が超高分子量ポリエチレンを含むものである、請求項73に記載の人工器官。
【請求項75】
半月板の人工器官であって、
大腿骨の一部とかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部にかみ合う下側表面と
を有する中央部分と、
前記中央部分を覆い、該中央部分と関連して厚さが増加する外側部分であって、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に拡張する第二のセクションを有し、該第二のセクションは骨を貫通することなく、膝関節において半月板の人工器官を固定するために大腿骨の切れ込みとかみ合うような大きさ及び形状を有するものであり、前記第二のセクションは前記中央部分の上側表面で先細りになる上側内側表面を有し、該上側内側表面は前記第二のセクションの長さに沿った種々の曲率半径によって特徴付けられるものである、外側部分と
から成る人工器官。
【請求項76】
前記上側内側表面が、前記第一のセクションの第一の末端に隣接する第一の領域であって、前記第二のセクションの長さに対して実質的に垂直な方向に約5mm〜約70mmの第一曲率半径を有する第一の領域、を含むものである、請求項75に記載の人工器官。
【請求項77】
前記上側内側表面が、前記第一のセクションの第一の末端に隣接する第二の領域であって、前記第二のセクションの長さに対して実質的に垂直な方向に約5mm〜約50mmの第二曲率半径を有する第二の領域、を含むものである、請求項76に記載の人工器官。
【請求項78】
前記上側内側表面は、前記第一及び第二の領域の間に第三の領域を有し、該第三の領域は、前記第二のセクションの長さに対して実質的に垂直な方向に約10mm〜約30mmの第三曲率半径を有するものである、請求項77に記載の人工器官。
【請求項79】
前記第一曲率半径が訳12mm、前記第二曲率半径が約11mm、及び前記第三曲率半径が約14mmである、請求項78に記載の人工器官。
【請求項80】
前記第一の領域が、前記第二のセクションの長さに対して実質的に平行な方向に約10mm〜約100mmの第四曲率半径を有し、前記第二のセクションの長さに対して実質的に平行な方向に訳5mm〜訳70mmの第五曲率半径を有するものである、請求項77に記載の人工器官。
【請求項81】
前記第四曲率半径が約72mmであり、前記第五曲率半径が約16mmである、請求項80に記載の人工器官。
【請求項82】
前記外側部分が、前記上側内側表面とこれに対向する外側表面との間に約1mm〜約5mmの厚さを有するものである、請求項75に記載の人工器官。
【請求項83】
前記外側部分の厚さが約2mmである、請求項82に記載の人工器官。
【請求項84】
骨を貫通することなく膝関節に固定される半月板インプラントであって、
大腿骨の一部と周期的にかみ合う上側表面と、これに対向し、脛骨の一部に周期的にかみ合う下側表面とを有する中央部分と、
大腿骨と脛骨を継続的にかみ合わせるために前記中央部分を覆う外側部分であって、前記中央部分と関連して厚さが増加し、天然の半月板と同様に半楕円形状の輪郭を有する第一のセクション及び前記第一のセクションの第一及び第二の末端の間に拡張する第二のセクションを有する、外側部分と、
前記第二のセクションは、前記第一のセクションの第一の末端に隣接する第一の領域、前記第一のセクションの第二の末端に隣接する第二の領域と、前記第一及び第二の領域の間の第三の領域と、を含み、
前記第二のセクションにおける第一の領域が、約4mm〜約15mmの高さ、前記第二のセクションの長さに沿った約5mm〜約70mmの第一曲率半径、及び前記第二のセクションの長さに垂直な、約10mm〜約100mmの第二曲率半径、を有し、
前記第二のセクションにおける第二の領域が、約4mm〜約15mmの高さ、前記第二のセクションの長さに沿った約5mm〜約50mmの第三曲率半径、及び前記第二のセクションの長さに垂直な、約5mm〜約70mmの第四曲率半径、を有するものである、
半月板インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公表番号】特表2011−517606(P2011−517606A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504147(P2011−504147)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/039874
【国際公開番号】WO2009/154847
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(507168904)アクティブ インプランツ コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】