説明

半透膜支持体

【課題】 優れた均一性をもつ合成繊維不織布よりなる支持体上に半透膜を形成させる際に塗工液の裏抜けが生じず、また必要最小限の厚みで欠陥の無い半透膜を得ることができる、優れた半透膜支持体の提供。
【解決手段】 合成繊維から構成される不織布であり、該不織布の下式(A)で表される質量分布係数Snが0.1以下であることを特徴とする半透膜支持体。
Sn = D/M (A)
Sn :質量分布係数 [−]
D :単位面積当たり質量の標準偏差[g/m
M :単位面積当たり質量 [g/m

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのXY方向での質量の不均一さが極少で、その結果、支持体上に半透膜を形成させる際に塗工液の裏抜けが生じず、また必要最小限の厚みで欠陥の無い半透膜を得ることができる、優れた半透膜支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料/工業用水中の不純物の除去、海水の淡水化、食品中の雑菌の除去、排水処理、あるいは生化学分野など、半透膜を応用する用途は増加を続けており、またこの分野の研究は国内外において日進月歩である。
【0003】
半透膜の材質としては、再生セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリスルフォン、ポリアミドなど様々な高分子が用途に合わせて選択されるが、その膜自体は強度が弱く、単独では限外濾過や逆浸透などに使用される際の1〜10MPa以上という高圧には耐えられないため、強度が強く通液性の高い不織布等の支持体上に膜を生成する必要がある。
【0004】
その支持体には、必要とされる通液性、引張強度、湿潤強度、耐久性を得るために、ポリエステルやポリオレフィン等の合成繊維を湿式あるいは乾式でシート状に成形し、加熱加圧処理して繊維同士を溶融接着させた合成繊維不織布が一般的に用いられるが、その際に問題となるのは、これら不織布のXY方向での不均一性が、その上に設ける半透膜の不均一性を招き、結果として十分な性能が得られない、あるいは十分な性能を得る為に必要な膜厚が厚くなり、濾過効率の低下を招くことである。従って、支持体に用いられる不織布は、可能な限り均一で、ピンホール欠点などがないことが要求される。
【0005】
半透膜の支持体としての不織布については、従来その製法が公知となっている。例えば太さの異なるポリエステル繊維を用いてZ方向に粗密のある構造を作らしめ、低い通液抵抗を保ちつつ半透膜塗工液の裏抜け防止を図る方法が提案されている。(特許文献1)
【0006】
また、特定の熱収縮応力と複屈折を持つポリエステル繊維を用いることにより、引張応力が掛かった際の寸法安定性を向上させ、表面が平滑で、裏抜けがなく、膜の付着性に優れた不織布を提供する方法が提案されている。(特許文献2)
【0007】
また、半透膜塗工時に支持体が幅方向に湾曲することが、半透膜層の不均一性の原因になるとして、繊維の配向性をコントロールすることにより均一な半透膜層を形成するという提案もなされている。(特許文献3)
【0008】
また、特殊紙の湿式抄紙法において、粘剤を用いて地合を整える方法は従来公知である。例えば、半透膜支持体ではないが、ガラス繊維シートを製造する際において分散剤としてのベタイン型両性界面活性剤によりガラス繊維を分散させ、アニオン性界面活性剤、ポリアクリルアミド系粘剤を順次添加することによりガラス繊維が良好に分散したスラリーを得て、地合の良いシートを得る方法が提案されている。(特許文献4、5)
【0009】
しかしながら、特許文献1の方法では、半透膜塗工液の裏抜けを防止するために支持体の多層構造が必須で、工程が複雑化され、生産速度と原料歩留まりの低下を招きコストアップが避けられない。
【0010】
特許文献2の方法によれば、確かに引張応力や熱による繊維の部分的な伸縮不均一による不織布シートの不均一性を減ずるには効果がある可能性があるが、しかし、シートの不均一性の大部分は繊維からシートが形成される際の繊維分布の粗密から来る不均一性であって、問題の根本的解決とはなり得ない。
【0011】
また、特許文献3に記載のように、仮に支持体の湾曲を極限まで減らしたとしても、支持体自体の不均一性に由来する半透膜層の不均一性を解決することはない。
【0012】
また特許文献4、5に記載の場合については、高分子粘剤(高分子増粘剤とも言う)の役割を、分散した繊維の表面に付着することによる繊維の再凝集防止効果と考えており、従って高分子粘剤の添加量はガラス繊維を基準として0.2〜1.5%と比較的少なく、得られたシートの地合評価も目視による結束繊維の有無を主眼にしたもので、シートの質量分布の均一性を問題としていない。従って、以下に述べる本発明の半透膜支持体とは全く異なった技術である。
【0013】
【特許文献1】特開昭60−238103号公報
【特許文献2】特許第3153487号公報
【特許文献3】特開2002−95937号公報
【特許文献4】特開平5−123513号公報
【特許文献5】特開平8−209585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の如く、半透膜の支持体として優れた均一性をもつ合成繊維不織布およびその製法は未だ発展途上にあり、支持体上に半透膜を形成させる際に塗工液の裏抜けが生じず、また必要最小限の厚みで欠陥の無い半透膜を得ることができる、優れた半透膜支持体の提供が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討の結果、半透膜支持体を構成する合成繊維のXY方向の質量分布の均一性こそが、支持体上に設けられた半透膜の性能を決定する最大の要因であると予測し、また、かかる予測に基づく技術的課題が、抄紙時の繊維分散体スラリーの繊維分濃度及び非常に高分子量の粘剤により繊維分低シェアにおける粘度をコントロールすることで解決でき、かつ、予測通りの効果が達成できることを発見して本発明に至った。
【0016】
具体的には、本発明に係る半透膜支持体は、合成繊維からなる主体繊維とバインダー繊維から構成される不織布であり、質量分布係数が0.1以下であることを特徴とする。この要件を満たすことにより、後段の半透膜付与工程において、塗工液の裏抜けが生じず、さらに従来よりも薄い膜を均一に形成することができ、半透膜の性能が向上する。本発明でいう質量分布係数は、下式(A)で求められる:
Sn = D/M (A)
Sn:質量分布係数 [−]
D :単位面積当たり質量の標準偏差 [g/m
M :単位面積当たり質量 [g/m]。
式(A)中のDは、β線地合計(Beta Formation Tester BFT−1:AMBERTEC社製)を用いて測定した数値のことである。式(A)は、質量の標準偏差から、坪量の影響を除くことを目的としている。該β線地合計による質量分布係数Snが半透膜支持体の性能と相関する理由として、該β線地合計によるシート質量分布の測定は1mmφ×任意回数で行われるが、この分解能が、課題の半透膜支持体への半透膜層塗工時の裏抜けに影響を与える質量分布のスケールとほぼ一致するためであると本発明者は推測する。
【0017】
上記の質量分布係数をもつ半透膜支持体は、前記合成繊維を水に分散した繊維スラリーを湿式抄紙して不織布とする工程において、抄紙時の該繊維スラリーの繊維分濃度を0.01〜0.1質量%とし、且つ該繊維スラリーが高分子粘剤を含有し、該高分子粘剤が分子量500万以上の水溶性高分子であり、該高分子粘剤の含有量を、該繊維スラリー中の繊維分質量を基準として3〜15質量%として抄紙することにより得られる。
【0018】
本発明に係る合成繊維は、太さ0.3〜5.0デシテックス、長さ1〜8mmのポリエステル繊維の主体繊維とバインダー繊維からなり、その乾燥質量比率が該ポリエステル主体繊維:ポリエステルバインダー繊維=90:10〜50:50であることが望ましい。
【0019】
本発明に係る半透膜支持体は、不織布ウェブをカレンダ装置により加熱加圧処理して繊維間を溶融接着せしめてシート強度を増強する工程において、図1に示すようにカレンダ装置の加熱ロールに沿ってウェブを走行させたのちニップにより加熱加圧された不織布であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によって、XY方向に高い均一性を達成し、また生産速度、生産歩留まりを低下させる要因を発生させることなく、半透膜支持体として優れた合成繊維不織布を効率よく提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
【0022】
本実施形態に係る半透膜支持体は、合成繊維からなる不織布である。合成繊維の原料は、本発明の要件である質量分布係数が達成される限り、特に限定されず、用途に応じて様々な合成樹脂が用いられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ナイロン等の合成樹脂から紡糸された繊維を例示することができる。また、レーヨン等の再生セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体、また近年生化学用途として活発に研究されているポリ乳酸、ポリ酪酸、ポリ琥珀酸等の天然物を原料ソースとした繊維も、本発明で言う合成繊維の範疇に含まれる。上記の合成繊維の中でも、ポリエステル繊維は、耐熱性、耐薬品性、価格の安さ、繊維径や性状の種類の豊富さなどから、好適に用いられる。
【0023】
本実施形態に係る合成繊維のうち、低温での溶融接着を目的としない通常の融点を持つ合成繊維を、主体繊維と呼ぶ。主体繊維の形状は、本発明の要件である質量分布係数が得られる限りは限定されないが、繊維径が細いものを用いれば、完成したシートの孔径はより小さくなり、繊維径が太いものを用いれば、シートの強度が増す。繊維が短いものを用いれば水中での分散性が向上し、繊維が長いものを用いればシートの強度が増す。従って、支持体に求められる強度、孔径、シート均一性などを考慮して適当な形状を選ぶ必要があり、本実施形態においては太さ0.3〜5.0デシテックス、長さ1〜8mmの範囲のものが好適に用いられる。また、繊維の断面の形状は、必要に応じて適宜選択することが可能で、本実施形態においては限定されない。
【0024】
本実施形態に係る合成繊維は、シート化工程、巻き取り工程の間に十分なシート強度を得るために、バインダー繊維を混合していることが望ましい。バインダー繊維とは、一般的に主体繊維よりも融点が低い(80〜160℃程度の)合成繊維のことを指し、抄紙後の乾燥工程における加熱で表面が溶融接着し、操業を可能とする引張強度をシートに付与する効果を持つ。ただし、繊維自体の引張強度は主体繊維より劣るため、操業のし易さと完成製品の強度のバランスが取れる配合率にする必要があり、本実施形態においては、主体繊維:バインダー繊維=90:10〜50:50の範囲が好ましい。バインダー繊維は、その構成樹脂全ての融点が低いものや、内側と外側の二重構造、いわゆる芯鞘構造と呼ばれる構造を持ち、表面だけが融着するタイプなどがあり、いずれも本実施形態において使用可能である。また、太さ、長さ、断面の形状等は、主体繊維と同様に目的に応じて選択が可能である。
【0025】
本実施形態に係る不織布の密度は特に限定しないが、支持体にもとめられる透液性を考慮して、0.6〜1.0g/cm3の範囲が好ましい。1.0g/cm3以上では支持体の孔径が小さくなりすぎ十分な通水性を得にくい。0.6g/cm3未満では逆に孔径が大きくなりすぎて塗工液の裏抜けが生じやすくなってしまう。また、支持体の坪量については20g/m以上であることが好ましく、20g/m未満では厚みが薄すぎて裏抜けが生じやすくなる。
【0026】
本実施形態においては、本発明の要件である質量分布係数を得られる限りはいかなる方法で繊維をシート化しても構わないが、繊維を水中に分散したのち、抄紙ワイヤ上に繊維を積層し、ワイヤ下方から脱水してシートを形成する、いわゆる湿式抄紙法が好適に用いられる。この際用いる抄紙機の種類は、本発明の要件である質量分布係数を得られる限りは限定されず、例えば長網式抄紙機、丸網式抄紙機、傾斜ワイヤ式抄紙機等を用いることができ、それら一種以上を組み合わせた多層抄き抄紙機を用いてもよい。完成した不織布の質量分布係数に大きな影響を与えるのが水中での繊維分散の均一性であり、更に詳しくは、抄紙ワイヤ上で脱水される瞬間の繊維の均一性である。そのため、抄紙時の繊維スラリーは繊維分濃度を0.01〜0.1質量%の範囲に調整することが望ましい。繊維スラリーの濃度が0.01%より低い場合、抄紙速度の著しい低下を招き、繊維スラリーの濃度が0.1%より高い場合、所望の質量分布均一性を得ることが難しい。該繊維濃度は殊に0.01〜0.08%、なかでも0.01〜0.05%であるのが有利である。
【0027】
また、半透膜支持体のように高度な均一性を要求される不織布については、抄紙濃度を低くしただけでは十分な均一性を得ることは難しい。本発明においては、これを分子量500万以上の高分子粘剤を用いることで可能となった。
【0028】
一般に、スラリー中に分散した繊維は、分散機による比較的高速での分散時は均一に分散されているが、抄紙時の低速流動状態では、繊維同士が凝集し合い、結果得られるシートは不均一になってしまう。そこで、低シェアの繊維濃度において高粘度を示すある種の高分子粘剤を加えて低流速時の粘度を高くコントロールすることにより、繊維同士が凝集方向に動くのを防ぎ、均一なシートを形成することができる。本発明者の検討によれば、分子量500万以上の水溶性高分子を用いることにより、低シェアの繊維濃度における繊維の分散性を向上させることが出来る。この際注意しなければならないのは、高分子粘剤は、分散機やポンプのような流体に高いシェアを掛ける装置により構造破壊され、粘性が低下する可能性があることである。
【0029】
本実施形態における高分子粘剤としては、既知の合成あるいは天然の親水性高分子が使用できるが、高分子粘剤を用いる際の注意点として、これらの高分子を過剰に添加すると、濾水性が悪化して湿紙水分が高くなることによって、あるいは高分子自体の粘性によって、抄紙ワイヤと不織布ウェブの離型性が悪化して紙切れが発生し抄紙効率の著しい低下を引き起こす。また、粘剤が不織布の空隙を埋めることにより、半透膜支持体として必要な透気(透液)性を損なう。従って、少ない添加量で所望の繊維分散性・質量分布均一性を得ることが望ましい。本発明者の検討の結果、分子量500万以上の水溶性高分子粘剤を、繊維スラリー中の繊維質量を基準として3〜15質量%の範囲で含有することが望ましい。分子量が500万以下である場合、所望の質量分布係数が得られない。高分子粘剤の分子量は好ましくは600万以上、特に好ましくは700万以上である。また含有量が3質量%以下の場合所望の質量分布係数を得難く、含有量が15質量%以上の場合、ワイヤー剥離性などの抄紙性及び透気性が悪化する。
【0030】
高分子粘剤の種類としては、合成あるいは天然を問わず使用することが可能である。例えば天然高分子としてメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、カゼイン、ゼラチン、ニカワ等のタンパク質系高分子、ペクチン等の天然多糖類、あるいはでんぷん、トロロアオイ等が例示され、合成高分子としてはポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド系高分子(PAM)、ポリエチレンオキサイド系高分子(PEO)、ポリアクリル酸系高分子(PAA)を例示できる。中でも高分子量のものが容易に扱えるという点で、PAM、PEO、PAAが好適に用いられる。本発明では、これら高分子は単体あるいは共重合体あるいは混合物であっても構わず、二種類以上を併用することも構わない。また、高分子粘剤の性能を損なわない限りは、工程内でのそれらの添加位置は問わない。また、合成繊維の分散工程から抄紙工程までの間に、必要に応じて他の添加剤、例えばpH調整剤、キレート剤、分散剤、消泡剤、撥水剤、濡れ剤、防腐剤、帯電防止剤などを添加することも構わない。
【0031】
シート化工程及び乾燥工程を経た後の、バインダー繊維を含有した合成繊維シートはその状態でも不織布といえるが、一般的にはそのままでは半透膜支持体としては強度が不足している。そこで、半透膜支持体として十分な強度を得るために、主体繊維の融点付近の温度で加熱加圧処理することにより、主体繊維を溶融接着して強度を高めることが行われる。この処理は、200℃以上の温度で処理可能な金属ロールニップカレンダを通すことが一般的な方法であるが、高い耐熱性をもつ樹脂ロールであれば用いることも可能である。この際の温度条件、加圧条件、シートテンションは完成支持体の性能に影響を与えるが、本発明の要件である質量分布均一性を損なわない限りはいかなる条件も採用可能である。一般的には、160℃〜240℃の範囲が好ましいが、用いる合成繊維の種類によっては、より低い温度やより高い温度が望ましい場合もある。線圧は、50〜200kg/cmの範囲が好ましいが、その限りではない。また、ウェブ全体で均一な性能を発現させるためには、できるだけ均一な温度プロファイル、線圧プロファイルで処理することが望ましい。また、加熱加圧処理を多段で行うことも可能であり、その際、各段の条件や装置が異なっても構わない。
【0032】
また、本発明者の検討によれば、加熱加圧工程におけるXY方向の収縮の程度により、支持体の質量分布均一性が変化する。図1に示すように、カレンダ装置のロール1からロール2(加熱ロール)に沿って不織布ウェブを走行させた後、ロール2とロール3により作られるニップにおいて加熱加圧処理をすることで、質量分布均一性が向上する。ここで、ロール1は加熱しないロールであり、ロール3は加熱しないか、あるいはロール2と同様加熱しても良い。ロール2(加熱ロール)は金属製ロールが望ましく、その他の加熱しないロールは金属製でも使用できるが、樹脂製ロール、コットン製ロール、あるいはアラミド製ロールがより好ましい。均一性向上の理由について本発明者は、加圧される前に加熱ロールに一定時間接触させてウェブ温度を上昇させることにより、ニップにおける急激な昇温による不均一な収縮を抑えられるためと推測している。この際、ロール1とロール2により作られるニップについては、加圧してもしなくても構わない。また、加熱ロールに沿ってウェブを走行させたのち加圧するという原則に則っていれば、ロールの本数、通過するニップの数については問わない。
【0033】
完成した半透膜支持体は、質量分布係数が0.1以下であることが、本発明の要件である。この要件を満たすことにより、後段の半透膜付与工程において塗工液の裏抜けによる欠陥と操業性の低下が生じず、さらに従来よりも薄い膜を均一に形成することができ、半透膜の性能が向上する。質量分布係数は好ましくは0.080以下、特に好ましくは0.069以下であるのが好ましい。
【0034】
本実施形態に係る半透膜支持体に、半透膜塗工液を塗布する方法は特に限定されない。一例を挙げると、バッキングロールに沿って走行する支持体ウェブ上に、スリットから供給される半透膜塗工液を層状に塗布する。この際に半透膜支持体の質量分布が均一でないと、支持体の薄い部分から裏側に塗工液が通過し、半透膜の欠陥となる上、バッキングロール汚れを発生する可能性があり、また均一な半透膜層を得るために必要以上の膜厚が要求される場合もある。
【0035】
次いで、半透膜層を保持した支持体ウェブを凝固液で満たされた層内に導入して凝固せしめる。例えばポリスルフォンの半透膜を製造する場合には、塗工液はポリスルフォン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を用い、凝固液には水が使用される。このようにして得られた半透膜は、そのままでも限外濾過膜として使用できるが、逆浸透膜として使用する場合には更にその表面に活性層と呼ばれる層を設ける。この活性層は、例えば酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、架橋ポリアミド酸、ポリ尿素等を界面重合により超薄膜として支持半透膜上に形成することで得られる。
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。また、例中の「%」は、特に断らない限り「乾燥質量%」を表し、「部」は「乾燥質量部」を表す。
【0037】
(実施例1)
<繊維原料スラリーの調製>
太さ1.45デシテックス、カット長さ5mmの市販のポリエステル主体繊維(商品名:EP133、株式会社クラレ製)24kgと、太さ2.2デシテックス、カット長さ5mmの市販のポリエステルバインダー繊維(商品名:EP201、株式会社クラレ製)6kgを、水2970kgに投入し、カウレスミキサーで5分間分散し、繊維分濃度1%の繊維原料スラリー1を得た。
<高分子粘剤1の調製>
水200kgに、分子量800万のポリエチレンオキサイド/ポリアクリルアミド(部分加水分解)共重合型高分子粘剤(商品名:パムオールP−130、明成化学工業社製)90gを投入し、プロペラミキサーで2時間攪拌して、濃度0.045%の高分子粘剤1を得た。
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−1aを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1aを、短網式抄紙機のヘッドボックスに投入し繊維スラリー1−1aを抄紙したのち、表面温度120℃のシリンダドライヤでシート水分3%以下となるまで乾燥し、ロールに巻き取り、支持体原紙1−1aを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1aを、表面温度170℃、線圧100kg/cm、速度5m/分の条件で、図1に示すペーパーランにてコットンロール(非加熱;ロール1)−金属ロール(加熱;ロール2)−金属ロール(加熱;ロール3)のニップカレンダにて加熱加圧処理し、坪量75g/m、厚み100μmの半透膜支持体1−1aを得た。
【0038】
(実施例2)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.01%の繊維スラリー1−1bを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1bを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−1bを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1bを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−1bを得た。
【0039】
(実施例3)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.1%の繊維スラリー1−1cを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1cを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−1cを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1cを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−1cを得た。
【0040】
(実施例4)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維15%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−1dを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1dを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−1dを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1dを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−1dを得た。
【0041】
(実施例5)
<高分子粘剤2の調製>
水200kgに、分子量1000万のポリアクリルアミド(部分加水分解)高分子粘剤(商品名:パムオール、明成化学工業社製)90gを投入し、プロペラミキサーで2時間攪拌して、濃度0.045%の高分子粘剤2を得た。
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤2を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−2aを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−2aを、短網式抄紙機のヘッドボックスに投入し繊維スラリー1−1aを抄紙したのち、表面温度120℃のシリンダドライヤでシート水分3%以下となるまで乾燥し、ロールに巻き取り、支持体原紙1−2aを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−2aを、表面温度170℃、線圧100kg/cm、速度5m/分の条件で、図1に示すペーパーランにて金属ニップカレンダにて加熱加圧処理し、坪量75g/m、厚み100μmの半透膜支持体1−2aを得た。
【0042】
(実施例6)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤2を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.01%の繊維スラリー1−2bを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−2bを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−2bを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−2bを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−2bを得た。
【0043】
(実施例7)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤2を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.1質量%の繊維スラリー1−2cを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−2cを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−2cを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−2cを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−2cを得た。
【0044】
(実施例8)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤2を、対繊維15%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−2dを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−2dを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−2dを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−2dを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−2dを得た。
【0045】
(実施例9)
<繊維原料スラリーの調製>
太さ0.44デシテックス、カット長さ5mmの市販のポリエステル主体繊維(商品名:EP043、株式会社クラレ製)24kgと、太さ2.2デシテックス、カット長さ5mmの市販のポリエステルバインダー繊維(商品名:EP201、株式会社クラレ製)6kgを、水2970kgに投入し、カウレスミキサーで5分間分散し、繊維分濃度1%の繊維原料スラリー2を得た。
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー2に、高分子粘剤1を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー2−1aを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー2−1aを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙2−1aを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙2−1aを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体2−1aを得た。
【0046】
(実施例10)
<繊維原料スラリーの調製>
太さ3.3デシテックス、カット長さ5mmの市販のポリエステル主体繊維(商品名:EP303、株式会社クラレ製)24kgと、太さ2.2デシテックス、カット長さ5mmの市販のポリエステルバインダー繊維(商品名:EP201、株式会社クラレ製)6kgを、水2970kgに投入し、カウレスミキサーで5分間分散し、繊維分濃度1%の繊維原料スラリー3を得た。
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー3に、高分子粘剤1を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー3−1aを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー3−1aを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙3−1aを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙3−1aを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体3−1aを得た。
【0047】
(実施例11)
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1aを、加熱ロールに沿わせず、ニップに直に通すペーパーラン(金属ロール(加熱;ロール2)−金属ロール(加熱;ロール3))にて表面温度170℃、線圧100kg/cm、速度5m/分の条件で加熱加圧を行い、半透膜支持体1−1axを得た。
【0048】
(比較例1)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.20%の繊維スラリー1−1eを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1eを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−1eを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1eを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−1eを得た。
【0049】
(比較例2)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維20%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−1fを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1fを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−1fを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1fを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−1fを得た。
【0050】
(比較例3)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤1を、対繊維2%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−1gを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−1gを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−1gを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−1gを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−1gを得た。
【0051】
(比較例4)
<高分子粘剤3の調製>
水200kgに、分子量400万のポリエチレンオキサイド系高分子粘剤(商品名:アルコックスSP、明成化学工業社製)90gを投入し、プロペラミキサーで2時間攪拌して、濃度0.045%の高分子粘剤3を得た。
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤3を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−3aを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−3aを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−3aを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−3aを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−3aを得た。
【0052】
(比較例5)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤3を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.01%の繊維スラリー1−3bを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−3bを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−3bを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−3bを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−3bを得た。
【0053】
(比較例6)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤3を、対繊維4%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.10%の繊維スラリー1−3cを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−3cを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−3cを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−3cを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−3cを得た。
【0054】
(比較例7)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、高分子粘剤3を、対繊維15%となるように添加したのち、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1−3dを得た。
<シートの作製>
繊維スラリー1−3dを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1−3dを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1−3dを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1−3dを得た。
【0055】
(比較例8)
<繊維スラリーの調製>
繊維原料スラリー1に、水を加えて全体を稀釈し、繊維分濃度0.03%の繊維スラリー1xを得た。高分子粘剤は添加しなかった。
<シートの作製>
繊維スラリー1xを、実施例1に準じて抄紙し、支持体原紙1xを得た。
<加熱加圧処理>
支持体原紙1xを、実施例1に準じて加熱加圧処理を行い、半透膜支持体1xを得た。
【0056】
実施例に用いた高分子粘剤1〜3について、粘度を測定したデータを下記の表に示す。B型粘度計(東機産業株式会社製)とBLアダプタ(同)を用いて60rpm、20℃で測定した。
【表1】

【0057】
実施例と比較例の半透膜支持体の構成一覧を表2に示す。
【表2】

【0058】
以上の実施例及び比較例において得られた半透膜支持体について、表3に評価結果を示す。
【表3】

【0059】
(評価方法)
<ワイヤ剥離性>
抄紙前の繊維スラリーを繊維分で4.4gとなるように採取して25cm×25cmの角形手抄き装置に導入し、100メッシュのプラスチックワイヤを用いて抄紙して吸引脱水したのち、輪郭部より剥がしてワイヤからの湿紙の剥がれ方(剥がれ抵抗、ワイヤへの繊維の取られ)を目視評価した。評価は下記の要領で行った。
◎…ほとんど抵抗なく剥がれ、繊維も取られない。
○…軽く抵抗があるが繊維は取られない。(実用レベル)
△…抵抗が大きく、輪郭部などにわずかに繊維の残りがある。(実用下限レベル)、
×…抵抗が大きく剥がれにくく、部分的にワイヤ上に残る。(実用に適さない。)。
【0060】
<質量分布均一性Sn>
得られた半透膜支持体を23℃、50%RHの環境で24時間調湿したのち、β線地合計(Beta Formation Tester BFT−1:AMBERTEC社製)を用いて質量分布標準偏差を測定し、式(A)に基づいて質量分布均一性Snを求めた。
【0061】
<フラジール透気度>
フラジール透気度は、JIS L1096に記載の通気性試験A法(フラジール形法)に準拠し、スイス テクステスト社製通気性試験機FX3300にて測定した。
【0062】
<裏抜け>
得られた半透膜支持体を20cm×30cmに断裁し、ポリスルフォン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)20%溶液をメイヤーバー#12を用いて半透膜支持体上に塗工し、支持体を裏面から観察して塗工液の裏抜けの程度を目視評価した。評価は下記の要領で行った。
◎…裏抜けはない。(実用レベル)
○…裏抜けはないが、地合の薄い部分で塗工液の浸透が見られる。(実用レベル)
△…何枚も塗工すると、裏抜けする場合がある。(実用下限レベル)
×…裏抜けがある。(実用に適さない)
【0063】
実施例1〜10の半透膜支持体は、いずれも、質量分布係数Snが0.1以下であって、樹脂塗工液の裏抜けがなく良好であった。しかも、ワイヤ剥離性とフラジール透気度が実用レベル若しくは実用下限レベルを満足していた。実施例11では、実施例1と同様に抄紙したにも関わらず、加熱加圧処理の条件の違いにより質量分布係数が悪化した。
【0064】
一方、比較例1及び3〜9は質量分布係数が0.1を超えており、裏抜けが発生した。また、比較例2は、高分子粘剤を対繊維分20%と増やしたため、ワイヤ剥離性が実用レベルに達しなかった。比較例7は、分子量の低い高分子粘剤の添加量を増やしたが、質量分布係数の改善効果が低く裏抜けが発生し、かつ剥離性の悪化も同時に起こり両者のバランスをとることは出来なかった。比較例8は、高分子粘剤を用いなかったため剥離性は最も良かったが、裏抜けは悪かった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】は本発明の半透膜支持体の加熱加圧工程で使用されるカレンダ装置の概略図を示す。
【符号の説明】
【0066】
1・・・ロール1(非加熱)
2・・・ロール2(加熱)
3・・・ロール3(加熱または非加熱)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維から構成される不織布であり、該不織布の下式(A)で表される質量分布係数Snが0.1以下であることを特徴とする半透膜支持体:
Sn = D/M (A)
Sn :質量分布係数 [−]
D :単位面積当たり質量の標準偏差[g/m
M :単位面積当たり質量 [g/m]。
【請求項2】
前記不織布が、前記合成繊維を水に分散した繊維スラリーを湿式抄紙して不織布とする工程において、抄紙時の該繊維スラリーの繊維分濃度を0.01〜0.1質量%とし且つ分子量500万以上の水溶性高分子粘剤を、該繊維スラリー中の繊維分質量を基準として3〜15質量%の比率で含有して抄紙されたことを特徴とする請求項1記載の半透膜支持体。
【請求項3】
前記合成繊維が、太さ0.3〜5.0デシテックス、長さ1〜8mmのポリエステル繊維の主体繊維とバインダー繊維からなり、その乾燥質量比率が該ポリエステル主体繊維:ポリエステルバインダー繊維=90:10〜50:50であることを特徴とする請求項1または2記載の半透膜支持体。
【請求項4】
前記不織布が、不織布ウェブをカレンダ装置により加熱加圧処理して繊維間を溶融接着せしめてシート強度を増強する工程において、カレンダ装置の加熱ロールに沿ってウェブを走行させたのち加圧ニップにより加熱加圧された不織布であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半透膜支持体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−238147(P2008−238147A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86935(P2007−86935)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000241810)北越製紙株式会社 (196)
【Fターム(参考)】